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特許7353644光学スキャナ装置の校正方法、光学スキャナ装置及び光学式三次元形状測定装置
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  • 特許-光学スキャナ装置の校正方法、光学スキャナ装置及び光学式三次元形状測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】光学スキャナ装置の校正方法、光学スキャナ装置及び光学式三次元形状測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230925BHJP
   G01B 9/02 20220101ALI20230925BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
G01B11/00 Z
G01B9/02
G01C3/06 120Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020001699
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021110601
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】503249810
【氏名又は名称】株式会社XTIA
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100204032
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 浩之
(72)【発明者】
【氏名】興梠 元伸
(72)【発明者】
【氏名】今井 一宏
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-192483(JP,A)
【文献】特開2012-013593(JP,A)
【文献】特開2010-014549(JP,A)
【文献】特開2004-294390(JP,A)
【文献】特開2011-027605(JP,A)
【文献】特開2008-170279(JP,A)
【文献】特開2011-095241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 9/00- 9/10
G01C 3/00- 3/32
G01S 7/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を走査することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置に備えられる光学スキャナ装置の校正方法であって、
平面度は高いが拡散反射成分を含む基準平面を有し、基準平面上の座標位置が予め校正された校正用基準器を上記基準平面が僅かに傾斜された状態に設置し、
上記光コム距離計から上記校正用基準器の基準平面に照射する測定光を上記光学スキャナ装置により走査して、上記光コム距離計により上記基準平面より反射された測定光の拡散反射成分を用いて上記基準平面の形状測定を行い、
上記光コム距離計により得られる上記基準平面の形状測定結果に基づいて、上記予め校正された基準平面上の座標位置に対する上記形状測定結果に基づく座標位置の誤差を校正データとすることを特徴とする光学スキャナ装置の校正方法。
【請求項2】
上記校正用基準器の基準平面に照射した測定光による上記基準平面上の走査軌跡が直線から逸脱する場合に、基準に対し正負の上記基準平面の傾け角度において、上記光コム距離計により上記基準平面より反射された測定光の拡散反射成分を用いて上記基準平面の形状測定を行うことを特徴とする請求項1に記載の光学スキャナ装置の校正方法。
【請求項3】
上記光学スキャナ装置は1次元スキャナであり、
上記光学スキャナ装置により走査された測定光が形成する平面に対し、上記校正用基準器の基準平面が垂直な状態を基準として、上記測定光が形成する平面と上記基準平面が交差する直線を軸として軸周りに上記基準平面を傾斜させた基準に対し正負の上記基準平面の傾け角度において、上記基準平面の形状測定を行うことにより得られる2つの高さ分布の加算平均を取ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学スキャナ装置の校正方法。
【請求項4】
上記光学スキャナ装置は2次元スキャナであり、
上記光学スキャナ装置によりX軸方向に走査された測定光が形成する平面に対し、上記校正用基準器の基準平面が垂直な状態を基準として、上記X軸方向に走査された測定光が形成する平面と上記基準平面が交差する直線を軸として軸周りに上記基準平面を傾斜させた基準に対し正負の上記基準平面の傾け角度において、上記基準平面の形状測定を行うとともに、上記光学スキャナ装置によりY軸方向に走査された測定光が形成する平面に対し、上記校正用基準器の基準平面が垂直な状態を基準として、上記Y軸方向に走査された測定光が形成する平面と上記基準平面が交差する直線を軸として軸周りに上記基準平面を傾斜させた基準に対し正負の上記基準平面の傾け角度において、上記基準平面の形状測定を行って得られる4つの高さ分布の加算平均を取ることを特徴とする請求項1又は請求項2に光学スキャナ装置の校正方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載された校正方法により取得された校正データに基づいて、測定対象物に照射する測定光を走査する光学系の群遅延の空間分布を校正する校正処理手段を備えることを特徴とする光学スキャナ装置。
【請求項6】
請求項5の記載された光学スキャナ装置を備え、
光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を上記光学スキャナ装置で走査することにより、上記光コム距離計による測距データとして、上記校正処理手段により上記光学系の群遅延の空間分布が校正された上記測定対象物の三次元形状測定データを取得する
ことを特徴とする光学式三次元形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を走査することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置に備えられる光学スキャナ装置の校正方法、光学スキャナ装置及び光学式三次元形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、精密なポイントの距離計測が可能なアクティブ式距離計測方法として、レーザ光を利用する光学原理による距離計測が知られている。レーザ光を用いて対象物までの距離を測定するレーザ距離計ではレーザ光の発射時刻と、測定対象に当たり反射してきたレーザ光を受光素子にて検出した時刻との差に基づいて、測定対象物までの距離が算出される(たとえば特許文献1参照)。また、例えば、半導体レーザの駆動電流に三角波等の変調をかけ、対象物での反射光を半導体レーザ素子の中に埋め込まれたフォトダイオードを使用して受光し、フォトダイオード出力電流に現れた鋸歯状波の主波数から距離情報を得ている。
【0003】
ある点から測定点までの絶対距離を高精度で測定する装置としてレーザ距離計が知られている。たとえば、特許文献1には、基準光の干渉信号と測定光の干渉信号の時間差から距離を測定する距離計が記載されている。
【0004】
従来の絶対距離計では、長い距離を高精度で測れる実用的な絶対距離計を実現することが難しく、高い分解能を得るためにはレーザ変位計のように原点復帰が必要なため絶対距離測定に適さない方法しか手段がなかった。
【0005】
本件発明者等は、基準面に照射される基準光と測定面に照射される測定光との干渉光を基準光検出器により検出するとともに、上記基準面により反射された基準光と上記測定面により反射された測定光との干渉光を測定光検出器により検出して、上記基準光検出器と測定光検出器により得られる2つ干渉信号の時間差から、上記基準面までの距離と上記測定面までの距離の差を求めることにより、高精度で、しかも短時間に行うことの可能な光コム距離計及び距離測定方法並びに光学的三次元形状測定装置を先に提案している(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
光学的三次元形状測定装置では、光コム距離計から出射された測定光を1次元又は2次元に走査するガルバノミラーやポリゴンミラー等の走査光学系を介して測定対象物に照射して、測定対象物で反射された測定光の反射光が走査光学系を介して戻される光コム距離計により、測定面までの距離情報として測定面の三次元形状情報を取得するので、測定対象物付近の仮想平面に対して垂直な方向から測定対象物に測定光を照射するために、テレセントリックf-θレンズ等によるテレセントリック光学系による光学スキャナが使用されている。
【0007】
従来、二次元スキャンの光学スキャナの校正は、一般的に、三次元座標が校正された校正用基準器を使用して、次のようにして行われている。
【0008】
図9に示すように、校正用基準器200の格子点の座標を(XGi,YGj,ZGk)とする。平面に格子状に座標を作製した基準器であればXGi,YGjはXY基準器の座標、ZGkは基準器を設置した高さである。Z基準平面になる面にZY座標が識別できる加工を施したものでも良い。またはZ基準平面とXY基準器を別に用意してもよい。Z基準平面とXY基準器が別の場合であっても、それぞれ同じ条件で計測すれば、スキャナ側から見た座標(X,Y,Z)と校正用基準器の格子点の座標(XGi,YGj,ZGk)の関係を求めることができる。ここで、X,Yはスキャナが想定しているXY座標、Zは形状計測器が出力する校正前の高さの値である。
【0009】
まず複数の高さでXY基準器を測定して、スキャナが想定するXY座標(X,Y)と校正用基準器の格子点の座標のZ依存性(XGi,YGj,ZGk)を得る。
次にZ基準平面を測定するとスキャナ側から見た座標(高さ分布)(X,Y,Z)とZ基準平面の設置高さ(ZGk)の関係を得る。両者を合成することで共通の(X,Y)を介してスキャナ側から見た座標と校正用基準器の格子点の座標の関係が得られる。
【0010】
ここでZ基準平面として鏡面反射成分の少なくかつ平坦度の高い粗面を使用することができる。X軸周り、Y軸周りそれぞれにわずかな角度をつけて鏡面反射を含まない高さ分布データを得る。それらを平均して仮想平面形状を得る。XY基準器を測定する場合、鏡面反射成分がXY基準器の格子点の抽出に影響を与えない条件ならば、基準器を仮想平面に一致させて測定を行ってもよい。
【0011】
格子点の座標(XGi,YGj,ZGk)がスキャナ側から見た座標(高さ分布)(X,Y,Z)に見えているので、格子点の座標についての補正量
(ΔX,ΔY,ΔZ)=(XGi-X,YGj-Y,ZGk-Z
全ての格子点について補正量を求めれば格子点における補正データの集合として
ΔX=XMCAL(X,Y,Z
ΔY=YMCAL(X,Y,Z
ΔZ=ZMCAL(X,Y,Z
が得られる。このデータには格子点の補正量しか含まれないため、格子点以外の補正量は補間によって求める必要がある。補正データの集合を元にそれぞれをスキャナ側から見たXY座標、および高さZの値、(X,Y,Z)の高次多項式またはその他適切な近似関数でフィットしてその多項式の係数として校正データを保存しておく。フィットされた関数をそれぞれ
ΔX=XFCAL(X,Y,Z)
ΔY=YFCAL(X,Y,Z)
ΔZ=ZFCAL(X,Y,Z)
とすれば、スキャナ側から見た任意の座標(X,Y,Z)における補正量は内挿によって
ΔX=XFCAL(X,Y,Z
ΔY=YFCAL(X,Y,Z
ΔZ=ZFCAL(X,Y,Z
となる。なお通常の使用環境ではスキャナを出るビームは測定対象に向かって一直線に進むのでZに関しては一次式で表されると考えてよい。
【0012】
スキャナ光学系のテレセントリシティー(鉛直打ち下ろし特性、仮想平面の法線への一致具合といったもの)が高く、XY座標のZ依存性が無視できるほど小さい場合には補正データからZ依存性がなくなるため、計測が容易な一つの高さ(例えばZ=0の高さやビーム焦点の高さ)だけで校正用基準器の座標を取得すればよい。
【0013】
Z=0における全ての格子点について補正量を求めれば格子点における補正データの集合として
ΔX=XMCAL(X,Y,0)
ΔY=YMCAL(X,Y,0)
ΔZ=ZMCAL(X,Y,0)
が得られる。ΔZについては格子点に限定せず、平面のデータ全体を使うことができる。格子点以外の補正量は補間によって求められる。補正データの集合を元にそれぞれをスキャナ側から見たXY座標(X,Y)の高次多項式またはその他適切な関数でフィットしてその多項式の係数として校正データを保存しておく。フィットされた関数をそれぞれ
ΔX=XFCAL(X,Y)
ΔY=YFCAL(X,Y)
ΔZ=ZFCAL(X,Y)
とすれば、スキャナ側から見た任意の座標(X,Y,Z)における補正量は内挿によって
ΔX=XFCAL(X,Y
ΔY=YFCAL(X,Y
ΔZ=ZFCAL(X,Y
となる。
【0014】
Z依存性を含む一般形で補正式を定義しておいてZ依存を表す項にかかる係数がゼロである場合として考えてもよい。
【0015】
スキャナが例えばX軸に平行なラインのように単一方向へのスキャンを行って、Y軸方向には別の移動手段によって全体の形状を計測する場合は、二次元スキャンの中の一ラインをスキャンしたと考えて校正を行う。スキャンの線がX軸に平行な線に対してゆがみがある場合にはXY座標の校正が必要になる。X軸のラインスキャンとY軸移動を組み合わせてXY基準器をY軸方向の座標校正をするために最低限必要な幅でスキャンして、二次元スキャンと同様な方法で校正データを取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開2001-343234号公報
【文献】特許第5231883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、従来の光学的三次元形状測定装置に備えられた光学スキャナでは、一般的に、レンズや鏡の曲面は理想型状からのずれや屈折率の影響により、仮想平面上で完全に等距離になることはなく、像面湾曲に見られるように視野の中心部と周縁部で高さが異なることが多い。光学系の如何なる場所でも主光軸が光軸に対して平行な理想的なテレセントリック光学系による光学スキャナを備える光学的三次元形状測定装置であれば、鏡のように高精度の基準平面を計測し、計測結果として得られる平面が平面に見えるような校正データを使用して測定対象物の高さデータに誤差なく補正することが可能である。
【0018】
しかしながら、現実には、光学スキャナを介して測定対象物に照射される測定光は、理想的な曲面からの乖離や材料の波長分散の影響を受けて、場所毎に光軸に対して僅かに傾斜しており、それが1次元又は2次元に分布した状態となる。
【0019】
また、波長分散の大きな材料が走査光学系に含まれる場合、群遅延が測定光のビーム径内で分布する虞がある。
【0020】
このように場所毎に光軸に対して僅かに傾斜した測定光を出射する光学スキャナや波長分散の大きな材料が走査光学系に含まれる光学スキャナでは、鏡を用いて校正すると、鏡面反射された測定光の一部の反射光成分のみが光コム距離計における干渉信号の生成に寄与することになる。
【0021】
光コム距離計では、測定対象物に照射した測定光の上記測定対象物により反射された反射光の全てを検出することができれば、測定光の光軸中心の軌跡の距離を高精度に計測できるのであるが、反射光の一部しか検出できない場合には、 測定光の光軸中心の軌跡から算出される距離に誤差が生じることになる。
【0022】
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の実情に鑑み、測定光を測定対象物に照射する走査光学系の群遅延の空間分布を補正することができる校正データを取得可能な光学スキャナ装置の校正方法を提供することにある。
【0023】
また、本発明の目的は、測定光を測定対象物に照射する走査光学系の群遅延の空間分布が補正された光学スキャナ装置を提供することにある。
【0024】
さらに、測定光を測定対象物に照射する走査光学系の群遅延の空間分布による影響を除去して誤差の少ない三次元形状測定を行うことのできる光学式三次元形状測定装置を提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明では、測定対象物に照射される測定光の光軸に対する傾斜等に起因する走査光学系の群遅延の空間分布を補正することができる校正データを平面度は高いが拡散反射成分を含む基準平面を有し、基準平面上の座標位置が予め校正された校正用基準器を用いて取得する。
【0027】
すなわち、本発明は、光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を走査することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置に備えられる光学スキャナ装置の校正方法であって、平面度は高いが拡散反射成分を含む基準平面を有し、基準平面上の座標位置が予め校正された校正用基準器を上記基準平面が僅かに傾斜された状態に設置し、上記光コム距離計から上記校正用基準器の基準平面に照射する測定光を上記光学スキャナ装置により走査して、上記光コム距離計により上記基準平面より反射された測定光の拡散反射成分を用いて上記基準平面の形状測定を行い、上記光コム距離計により得られる上記基準平面の形状測定結果に基づいて、上記予め校正された基準平面上の座標位置に対する上記形状測定結果に基づく座標位置の誤差を校正データとすることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る光学スキャナ装置の校正方法では、上記校正用基準器の基準平面に照射した測定光による上記基準平面上の走査軌跡が直線から逸脱する場合に、基準に対し正負の上記基準平面の傾け角度において、上記光コム距離計により上記基準平面より反射された測定光の拡散反射成分を用いて上記基準平面の形状測定を行うものとすることができる。
【0029】
また、本発明に係る光学スキャナ装置の校正方法において、上記光学スキャナ装置は1次元スキャナであり、上記光学スキャナ装置により走査された測定光が形成する平面に対し、上記校正用基準器の基準平面が垂直な状態を基準として、上記測定光が形成する平面と上記基準平面が交差する直線を軸として軸周りに上記基準平面を傾斜させた基準に対し正負の上記基準平面の傾け角度において、上記基準平面の形状測定を行うことにより得られる2つの高さ分布の加算平均を取るものとすることができる。
【0030】
また、本発明に係る光学スキャナ装置の校正方法において、上記光学スキャナ装置は2次元スキャナであり、上記光学スキャナ装置によりX軸方向に走査された測定光が形成する平面に対し、上記校正用基準器の基準平面が垂直な状態を基準として、上記X軸方向に走査された測定光が形成する平面と上記基準平面が交差する直線を軸として軸周りに上記基準平面を傾斜させた基準に対し正負の上記基準平面の傾け角度において、上記基準平面の形状測定を行うとともに、上記光学スキャナ装置によりY軸方向に走査された測定光が形成する平面に対し、上記校正用基準器の基準平面が垂直な状態を基準として、上記Y軸方向に走査された測定光が形成する平面と上記基準平面が交差する直線を軸として軸周りに上記基準平面を傾斜させた基準に対し正負の上記基準平面の傾け角度において、上記基準平面の形状測定を行って得られる4つの高さ分布の加算平均を取るものとすることができる。
【0031】
また、本発明は、光学スキャナ装置であって、上述の如き本発明に係る光学スキャナ装置の校正方法により取得された校正データに基づいて、測定対象物に照射する測定光を走査する光学系の群遅延の空間分布を校正する校正処理手段を備えることを特徴とする。
【0032】
また、本発明は、光学式三次元形状測定装置であって、上述の如き本発明に係る光学スキャナ装置を備え、光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を上記光学スキャナ装置で走査することにより、上記光コム距離計による測距データとして、上記校正処理手段により上記光学系の群遅延の空間分布が校正された上記測定対象物の三次元形状測定データを取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明では、平面度は高いが拡散反射成分を含む基準平面を有し、基準平面上の座標位置が予め校正された校正用基準器を用いることにより、測定対象物に照射される測定光の光軸に対する傾斜等に起因する走査光学系の群遅延の空間分布を補正することができる校正データを取得可能な光学スキャナ装置の校正方法を提供することができる。
【0034】
また、本発明によれば、測定光を測定対象物に照射する光学系の群遅延の空間分布が補正された光学スキャナ装置を提供することができる。
【0035】
さらに、本発明によれば、測定光を測定対象物に照射する光学系の群遅延の空間分布による影響を除去して誤差の少ない三次元形状測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明を適用した光学式三次元形状測定装置100の基本的な構成を示すブロック図である。
図2】上記光学的三次元形状測定装置に備えられた光コム距離計の構成を示すブロック図である。
図3】上記光学的三次元形状測定装置における光学スキャナ装置が測定光を1方向に走査するスキャン光学系を備える1次元スキャナである場合の校正処理の様子を模式的に示す斜視図である。
図4】上記1次元スキャナで校正用基準平面の形状を測定した場合に、スキャンされる点の軌跡がX軸からのずれに応じた測定結果として得られる高さ分布の様子を模式的に示す斜視図であり、(A)は 基準平面の傾斜角度θが正の場合を示し、(B)は 基準平面の傾斜角度θが負の場合を示している。
図5】上記光学的三次元形状測定装置における光学スキャナ装置が測定光を2方向に走査するスキャン光学系を備える2次元スキャナである場合の校正処理の様子を模式的に示す斜視図である。
図6】上記2次元スキャナの校正処理における校正用基準器の基準平面の状態を示す模式的に示す斜視図であり、(A)は 基準平面をX軸廻りに+θ傾けた状態を示し、(B)は 基準平面をX軸廻りに-θ傾けた状態を示し、(C)は 基準平面をY軸廻りに+φ傾けた状態を示し、(D)は 基準平面をY軸廻りに-φ傾けた状態を示し、(E)は θ=0度、φ=0度の仮想平面を示している。
図7】単一材料で製作されたテレセントリックレンズを用いて、ガルバノスキャナでX方向に1次元スキャンするスキャン光学系について、スキャンの直線性を測定した結果と、このスキャン光学系により、平面性の高いTiNコートされたセラミック基板をY方向に±1度傾けて1次元形状を測定した結果を示す特性図であり、(A)はスキャンの直線性の測定結果を示し、(B)はセラミック基板の1次元形状を測定した結果の差分をプロットしたものである。
図8】平面ミラーを計測した結果と、粗面であるTiNコートされたセラミック基板を計測したときの乖離を示す特性図であり、(A)は図7の(B)を測定したときのデータ(TiN+1度)のデータから、平面ミラーを計測したデータの差分をプロットしたものであり、(B)は図7の(B)を測定したときのデータ(TiN-1度)のデータから、平面ミラーを計測したデータの差分をプロットしたものであり、(C)は、図8の(A)と図8の(B)の平均値を示している。
図9】従来、二次元スキャンの光学スキャナの校正に一般的に使用されている校正用基準器の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、共通の構成要素については、共通の指示符号を図中に付して説明する。また、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0038】
本発明は、例えば図1に示すような構成の光学式三次元形状測定装置100に適用される。
【0039】
図1は、本発明を適用した光学式三次元形状測定装置100の基本的な構成を示すブロック図である。
【0040】
この光学的三次元形状測定装置100は、光コム距離計10と、光コム距離計10から出射される測定光S2で測定対象物50を走査する光学スキャナ装置20と、光コム距離計10の出力に基づいて、測定対象物50の複数の点までの絶対距離を計測して立体像を得る信号処理装置30を備える。
【0041】
光コム距離計10は、例えば図2のブロック図に示すように、光周波数コム干渉計を用いて距離を測定するものであって、第1、第2の光コム光源11、12から出射される中心周波数と周波数間隔の異なる二つの光周波数コムをそれぞれ周期的に強度又は位相が変調され、互いに変調周期が異なる干渉性のある基準光S1と測定光S2として干渉光学系13を介してと測定光路15に入射させる測定光S2との干渉光S3を基準光検出器16により検出するとともに、基準光路14と測定光路15に入射させた基準光S1と測定光S2が上記基準光路14と測定光路15を往復して戻ってくる基準光S1’と測定光S2’との干渉光S4を測定光検出器17により検出し、信号処理部18により、上記基準光検出器16により干渉光S3を検出した干渉信号と上記測定光検出器17により干渉光S4を検出した干渉信号の時間差から、光速と測定波長における屈折率から上記基準光S1が往復した基準光路14の距離L1と上記測定光S2が往復した測定光路15の距離L2の差を求めることができる。なお、干渉計や検出器の形態は複数ある。
【0042】
上記光学スキャナ装置20は、光コム距離計10から出射される測定光S2を測定対象物50の表面にスキャンしながら照射して、表面からの反射光を光コム距離計10に戻すもので、上記光コム距離計10から出射される測定光S2で測定対象物50を走査する走査光学系21と、この走査光学系21により偏向された測定光S2を集光させるとともに測定対象物50に垂直方向から照射させるテレセントリック集光光学系22からなるスキャン光学系23を備えている。
【0043】
信号処理装置30は、上記光学スキャナ装置20を制御してレーザービームを走査すると同時に上記光コム距離計10が計測する測定対象物50までの距離情報を取得して、ビーム照射位置とその場所まで距離を複数の点について蓄積することにより非接触で測定対象物50の三次元形状を測定する。
【0044】
そして、この光学的三次元形状測定装置100における光学スキャナ装置20は、図3に示すように、測定光S2を1方向に走査するスキャン光学系23Aを備える1次元スキャナである場合、スキャンされた測定光S2が作るシート状の平面41と校正用基準器40の校正用基準平面40Aが垂直になった状態を基準として、X軸(測定光S2の走査方向)周りに基準平面40Aを角度θだけ傾けた状態で、上記光コム距離計10から上記校正用基準器40の基準平面40Aに照射する測定光S2を走査して、上記基準平面40Aの形状測定を行うことにより校正データの取得が行われる。
【0045】
ここで、鏡面反射成分を検出しないようするために基準平面40は、わずかに傾けられるのであって、ビーム径に応じて必要な角度θは異なる。ビーム径100μmの場合、X軸(測定光S2の走査方向)周りに基準平面40Aを1度傾ければ十分である。
【0046】
この光学スキャナ装置20の校正には、平面度の良い機械加工面や窒化チタン(TiN)がコートされたセラミック基板など、平面度は高いが拡散反射成分を含み、鏡面反射成分の少ない基準平面40Aを有し、基準平面40上の座標位置が予め校正された校正用基準器40が用いられる。
【0047】
この光学的三次元形状測定装置100における信号処理装置30は、上記光学スキャナ装置20を制御してレーザービームを走査すると同時に上記光コム距離計10が計測する上記校正用基準器40の基準平面40Aまでの距離情報を取得して、ビーム照射位置とその場所まで距離を複数の点について蓄積することにより上記基準平面40Aの三次元形状を測定し、上記光コム距離計10により得られる上記基準平面40Aの形状測定結果に基づいて、上記予め校正された基準平面40A上の座標位置に対する上記形状測定結果に基づく座標位置の誤差を校正データとする校正処理を行う。
【0048】
ここで、 図4は、上記1次元スキャナで上記校正用基準器40の基準平面40Aの形状を測定した場合に、スキャンされる点の軌跡がX軸からのずれに応じた測定結果として得られる高さ分布の様子を模式的に示す斜視図であり、(A)は 基準平面40Aの傾斜角度θが正の場合を示し、(B)は 基準平面40Aの傾斜角度θが負の場合を示している。
【0049】
すなわち、信号処理装置30による光学スキャナ装置20の校正処理では、光学スキャナ装置20が測定光S2を1方向に走査するスキャン光学系23Aを備える1次元スキャナである場合、スキャンされる点の軌跡がX軸からずれていると、高さのずれとして検出され、Y軸の正方向に湾曲している場合には、図4の(A)に示すように、角度θが正ならばZ軸方向の高さ分布F1は上に凸となり、X軸の正方向に湾曲している場合には、図4の(B)に示すように、角度θが負ならばZ軸方向の高さ分布F2は下に凸となるので、正負の角度θで校正用基準平面40Aの形状を測定して高さ分布の加算平均を取ることによってスキャン線の湾曲と基準平面40Aの傾きによって発生する高さ変動を相殺することができる。
【0050】
また、この光学的三次元形状測定装置100における光学スキャナ装置20は、図5に示すように、測定光S2を2方向に走査するスキャン光学系23Bを備える2次元スキャナである場合、X軸方向にスキャンされた測定光S2が作るシート状の平面41Xと校正用基準器40の校正用基準平面40Aが垂直になった状態を基準として、X軸(測定光S2の走査方向)周りに基準平面40Aを角度θだけ傾けるとともにY軸方向にスキャンされた測定光S2が作るシート状の平面41Yと校正用基準器40の校正用基準平面40Aが垂直になった状態を基準としてY軸周りに基準平面40Aを角度φだけ傾けた状態で、上記光コム距離計10から上記校正用基準器40の基準平面40Aに照射する測定光S2を走査して、上記基準平面40Aの形状測定を行うことにより校正データの取得が行われる。
【0051】
信号処理装置30による光学スキャナ装置20の校正処理では、光学スキャナ装置20が測定光S2を2方向に走査するスキャン光学系23Bを備える2次元スキャナである場合、スキャンの場所によってスキャン線の湾曲が異なるので、図6に示すように、X軸、Y軸それぞれ正負に傾けて測定することによって後処理でその影響を除外する。
【0052】
図6の(A),(B),(C),(D),(E)は、光学スキャナ装置20が測定光S2を2方向に走査するスキャン光学系23Bを備える2次元スキャナである場合の校正処理における校正用基準器40の基準平面40Aの状態を示す模式的に示す斜視図であり、(A)は 基準平面40AをX軸廻りに+θ傾けた状態を示し、(B)は 基準平面40AをX軸廻りに-θ傾けた状態を示し、(C)は 基準平面40AをY軸廻りに+φ傾けた状態を示し、(D)は 基準平面40AをY軸廻りに-φ傾けた状態を示し、(E)は θ=0度、φ=0度の仮想平面40Bを示している。
【0053】
すなわち、X軸に平行に存在すべき線がY軸の正の方向に湾曲している場合、図6の(A)に示すように、X軸廻りの角度θを正負それぞれで、Z軸方向の高さ分布F1、F2を測定する。
【0054】
Y軸に平行に存在すべき線がX軸の正の方向に湾曲している場合、図6の(C)に示すように、Y軸廻りの角度φを正負それぞれで、Z軸方向の高さ分布F3、F4を測定する。
【0055】
このように正負の角度θ、φで校正用基準平面40Aの形状を測定(合計4回)して高さ分布の加算平均を取ることによってスキャン線の湾曲と基準平面の傾きによって発生する高さ変動を相殺することができる。
【0056】
すなわち、図6の(A),(B),(C),(D),(E)に示すように、X軸周りの±θ、Y軸周りの±φ、合計4つの傾斜角で測定したデータの加算平均から、図6の(E)に示すように、θ=0度、φ=0度の仮想平面40Bの測定データを得ることができ、粗面の基準平面40Aからの拡散反射を主成分するデータ、すなわち、鏡面反射の影響を受けないデータを取得することができる。
【0057】
ここで、単一材料で製作されたテレセントリックレンズを用いて、ガルバノスキャナでX方向に1次元スキャンするスキャン光学系について、スキャンの直線性を測定した結果と、このスキャン光学系により、平面性の高いTiNコートされたセラミック基板をY方向に±1度傾けて1次元形状を測定した結果を図7の(A),(B)に示す。
【0058】
図7の(A)は160mm幅スキャンできる単一材料で製作されたテレセントリックレンズを用いて、ガルバノスキャナでX方向に1次元スキャンしたときのスキャンの直線性の測定結果を示している。直線性には直線からの逸脱が観測されている。
【0059】
図7の(B)は、平面性の高いTiNコートされたセラミック基板を上記光学系の焦点位置かつスキャン中心のビームに対して垂直に設置したのち、Y方向に+1度傾けたとき(X軸方向に走査された測定光が形成する平面とTiNコートされた平面が交差する直線を軸としたX軸回転)の1次元形状を測定した結果を(TiN+1度)とし、逆にY方向に-1度傾けたときの1次元形状を測定した結果を(TiN-1度)とし、それらの差分((TiN-1度)-(TiN+1度))をプロットしたものである。
【0060】
図7の(B)に示す計測結果は、図7の(A)に示す測定結果と強い相関が認められ、(TiN-1度)と(TiN+1度)の差分にはスキャンの直線性由来以外の歪み成分をキャンセルする効果があり、スキャンの直線性が際立って見えるようになったためである。
【0061】
すなわち、図7の(B)の計測結果は、レーザービームに対して角度をもっておかれた平面の高さを測定すると、スキャンの直線性からの逸脱成分が形状データに含まれてしまうことを証明している。
【0062】
また、図8の(A)、(B)は、図7の(B)を測定したときのデータ(TiN+1度)及び(TiN-1度)のデータから、平面ミラーを計測したデータの差分をプロットしたものであり、図8の(C)は、図8の(A)と図8の(B)の平均値を示している。
【0063】
スキャンの直線性はY方向に+1度傾けたときと-1度傾けたときでは符号が反転するので、図8の(A)と図8の(B)の平均値である図8の(C)ではスキャンの直線性由来の歪みの成分はキャンセルされている。したがって図8の(C)で表される歪みは、平面ミラーを計測した結果と、粗面であるTiNコートされたセラミック基板を計測したときの乖離を表している。この乖離の主要因はテレセントリックレンズの不完全性及びレンズの材料の波長分散によるものである。
【0064】
この光学的三次元形状測定装置100における信号処理装置30では、平面度は高いが拡散反射成分を含む基準平面40Aを有し、基準平面40A上の座標位置が予め校正された校正用基準器40を上記基準平面40Aが僅かに傾斜された状態に設置し、光コム距離計10から上記校正用基準器40の基準平面40Aに照射する測定光S2を光学スキャナ装置20により走査して、上記光コム距離計10により上記基準平面40Aより反射された測定光S2’の拡散反射成分を用いて上記基準平面40Aの形状測定を行い、上記光コム距離計10により得られる上記基準平面40Aの形状測定結果に基づいて、上記予め校正された基準平面40A上の座標位置に対する上記形状測定結果に基づく座標位置の誤差を校正データとする校正処理が行われることにより、上記光コム距離計10による測距データとして、上記スキャン光学系の群遅延の空間分布が校正された上記測定対象物の三次元形状測定データを取得することができる。
【0065】
すなわち、この光学的三次元形状測定装置100において、信号処理装置30は、光コム距離計10から測定対象物50に照射する測定光S2を上記光学スキャナ装置20で走査することにより、上記光コム距離計10による測距データとして上記スキャン光学系23の群遅延の空間分布が校正された測定対象物50の三次元形状測定データを取得する校正処理手段としての機能を有しており、平面度は高いが拡散反射成分を含む基準平面を有し、基準平面40A上の座標位置が予め校正された校正用基準器40を用いて校正データを取得して、測定対象物50に照射される測定光S2の光軸に対する傾斜等に起因するスキャン光学系23の群遅延の空間分布を校正データ基づき補正することにより、測定光S2を測定対象物50に照射する上記スキャン光学系23の群遅延の空間分布による影響を除去して誤差の少ない三次元形状測定を行うことができる。
【0066】
校正データの形式は測定されたデータの三次元座標データ(X,Y,Z)を校正後の座標(X+ΔX,Y+ΔY,Z+ΔZ)に変換するためのデータ(ΔX,ΔY,ΔZ)そのものをテーブルの形で保持する方式や(ΔX,ΔY,ΔZ)を(X,Y,Z)の関数の形式で保持しておく方式が考えられる。関数形式の場合、多項式近似した関数の係数の形で校正データを保持することも可能である。
【0067】
この光学的三次元形状測定装置100では、上記信号処理装置30により、平面度は高いが拡散反射成分を含む基準平面40Aを有し、基準平面40A上の座標位置が予め校正された校正用基準器40を上記基準平面40Aが僅かに傾斜された状態に設置し、光コム距離計10から上記校正用基準器40の基準平面40Aに照射する測定光S2を光学スキャナ装置20により走査して、上記光コム距離計10により上記基準平面40Aより反射された測定光S2’の拡散反射成分を用いて上記基準平面40Aの形状測定を行い、上記光コム距離計10により得られる上記基準平面40Aの形状測定結果に基づいて、上記予め校正された基準平面40A上の座標位置に対する上記形状測定結果に基づく座標位置の誤差を校正データとする本発明に係る光学スキャナ装置の校正方法が実行される。
【0068】
この光学スキャナ装置20の校正方法では、上記校正用基準器40の基準平面40Aに照射した測定光S2による上記基準平面40A上の走査軌跡が直線から逸脱する場合に、基準に対し正負の上記基準平面40Aの傾け角度において、上記光コム距離計10により上記基準平面40Aより反射された測定光S2’の拡散反射成分を用いて上記基準平面40Aの形状測定を行うものとすることができる。
【0069】
また、この光学スキャナ装置20の校正方法において、上記光学スキャナ装置20が1次元スキャナである場合に、上記光学スキャナ装置20により走査された測定光S2が形成する平面に対し、上記校正用基準器40の基準平面40Aが垂直な状態を基準として、上記測定光S2が形成する平面と上記基準平面40Aが交差する直線を軸として軸周りに上記基準平面40Aを傾斜させた基準に対し正負の上記基準平面40Aの傾け角度において、上記基準平面40Aの形状測定を行うことにより得られる2つの高さ分布の加算平均を取るものとすることができる。
【0070】
また、この光学スキャナ装置20の校正方法において、上記光学スキャナ装置20が2次元スキャナである場合に、上記光学スキャナ装置20によりX軸方向に走査された測定光S2が形成する平面に対し、上記校正用基準器40の基準平面40Aが垂直な状態を基準として、上記X軸方向に走査された測定光がS2形成する平面と上記基準平面40Aが交差する直線を軸として軸周りに上記基準平面40Aを傾斜させた基準に対し正負の上記基準平面の傾け角度において、上記基準平面40Aの形状測定を行うとともに、上記光学スキャナ装置20によりY軸方向に走査された測定光S2が形成する平面に対し、上記校正用基準器40の基準平面40Aが垂直な状態を基準として、上記Y軸方向に走査された測定光S2が形成する平面と上記基準平面40Aが交差する直線を軸として軸周りに上記基準平面40Aを傾斜させた基準に対し正負の上記基準平面40Aの傾け角度において、上記基準平面40Aの形状測定を行って得られる4つの高さ分布の加算平均を取るものとすることができる。
【0071】
また、上記三次元形状測定装置100では、信号処理装置30により光学スキャナ装置20におけるスキャン光学系23の群遅延の空間分布を校正する校正処理行うものとしたが、上述の如き本発明に係る光学スキャナ装置の校正方法により取得された校正データに基づいて、測定対象物50に照射する測定光S2を走査するスキャン光学系23の群遅延の空間分布を校正する校正処理手段として、例えば、予め取得された校正データを記憶手段に保存しておき、光学的三次元形状測定装置100の信号処理装置30や光コム距離計10の信号処理部18に校正データを供給する校正データ供給手段を光学スキャナ装置20に備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 光コム距離計、11、12 第1、第2の光コム光源、13 干渉光学系、14 基準光路、15 測定光路、16 基準光検出器、17 測定光検出器、18 信号処理部、20 光学スキャナ装置、21 走査光学系、22 テレセントリック集光光学系、23、23A、23B スキャン光学系、30 信号処理装置、40 校正用基準器、40A 基準平面、40B 仮想平面、50 測定対象物、100 光学的三次元形状測定装置
図1
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