(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
B64D 45/04 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
B64D45/04
(21)【出願番号】P 2022019737
(22)【出願日】2022-02-10
(62)【分割の表示】P 2020170030の分割
【原出願日】2017-08-15
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2017/018908
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016159766
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005476
【氏名又は名称】本郷飛行機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】金田 賢哉
(72)【発明者】
【氏名】三木 崇弘
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-240745(JP,A)
【文献】特開2005-297922(JP,A)
【文献】特開2017-161495(JP,A)
【文献】特開2012-232654(JP,A)
【文献】特開2007-106269(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0985195(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0094619(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0212528(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0056098(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の着陸地点付近に予め設置された
N個(Nは正の整数値)の着陸用信号発生装置
の夫々から送信された時間情報と当該
N個の着陸用信号発生装置の
夫々の位置情報に基づいて、前記着陸用信号発生装置からの当該移動体の相対位置を
GPSの原理を用いて演算し、当該演算の結果から
算出する距離のパラメータのみを用いて、着陸操作を実行する制御を実行する着陸制御手段、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記着陸制御手段は、
前記着陸用信号発生装置の個数の前記Nが2以下の場合、前記N個の着陸用信号発生装置の夫々についての前記時間情報及び前記位置情報に加えてさらに、外部情報を組み合わせて、前記移動体の相対位置を演算する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
移動体の着陸地点付近に予め設置されたN個(Nは正の整数値)の着陸用信号発生装置の夫々から送信された時間情報と当該N個の着陸用信号発生装置の夫々の位置情報に基づいて、前記着陸用信号発生装置からの当該移動体の相対位置をGPSの原理を用いて演算し、当該演算の結果から算出する距離のパラメータのみを用いて、着陸操作を実行する制御を実行する着陸制御ステップ、
を含む情報処理方法。
【請求項4】
コンピュータに、
移動体の着陸地点付近に予め設置されたN個(Nは正の整数値)の着陸用信号発生装置の夫々から送信された時間情報と当該N個の着陸用信号発生装置の夫々の位置情報に基づいて、前記着陸用信号発生装置からの当該移動体の相対位置をGPSの原理を用いて演算し、当該演算の結果から算出する距離のパラメータのみを用いて、着陸操作を実行する制御を実行する着陸制御ステップ、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型無人飛行機(典型的にはドローン)の研究・開発が盛んに行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願書類では、小型無人飛行機の情報処理システム等に関して、次の発明を開示する。これら発明は、小型無人飛行機の新規な制御装置及び制御方法を提供することを共通の目的とする。この出願書類では、各発明に関する「背景技術」、発明の概要の「発明が解決しようとする課題」、「課題を解決するための手段」及び「発明の効果」は、「発明を実施するための形態」の欄に、夫々項目分けをして記載する。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、小型無人飛行機の新規な情報処理システム等を提供することを目的とする。
【0006】
[第1発明]コンバータモジュール
[第2発明]フライトレコーダモジュール
[第3発明]安全制御
[第4発明]レーザトラック1
[第5発明]汎用プラットフォーム(ソフト面)(ソフト面)
[第6発明]着陸ポート
[第7発明]着陸近接技術
[第8発明]デザーコントロール、デザークリップ
[第9発明]接触防止と個体認証
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、
蓄電池で動作する動作部と、着陸ポートに接触または近接する近接部位と、当該近接部位に配置され、前記蓄電池に充電するための電力を供給する電力供給部と、を備える移動体と、
前記移動体が着陸する前記着陸ポートであって、前記近接部位を略所定位置に誘導する誘導部位を有する前記着陸ポートと、
を備える。
【0008】
また、前記誘導部位は、前記移動体の前記近接部位が接触または近接する可能性がある部分の一部に配置された凹部とすることができる。
【0009】
また、前記誘導部位は、前記移動体の前記近接部位が接触または近接する可能性がある部分の一部に配置された凸部とすることができる。
【0010】
また、前記着陸ポートは、
前記移動体に電力を供給するための給電部を極性毎にさらに備え、
前記給電部の夫々の幅は、極性の異なる複数の前記電力供給部同士の幅よりも短くすることができる。
【0011】
また、前記着陸ポートは、前記近接部と近接する面に、
第1凸部と、
当該第1凸部よりも低い位置に当該第1凸部とは独立して固定された、前記移動体に電力を供給するための給電部と、
をさらに備えることができ、
前記近接部位は、前記着陸ポートと近接する面に、
前記移動体が前記着陸ポートに着陸する時に前記第1凸部に接触する第2凸部と、
当該第1凸部よりも低い位置に前記電力供給部と、
をさらに備えることができ、
前記第1凸部と前記第2凸部とが接触すると、前記移動体の自重によって前記第1凸部が下降することにより、前記給電部と前記電力供給部とが接触し、
前記第1凸部と前記第2凸部とが離隔すると、弾性体の反発力によって前記第1凸部が上昇することにより、前記給電部が、再び前記第1凸部よりも低い位置に戻ることができる。
【0012】
また、前記移動体は、
自機の側面部に前記電力供給部をさらに備えることができ、
前記着陸ポートは、
前記電力供給部と近接する面に、前記移動体に電力を供給するための給電部と、
前記近接部位と前記着陸ポートとが接触し、前記誘導部位による誘導が行われると、前記給電部と前記電力供給部とが接触するまで前記移動体を運搬する運搬部と、
をさらに備えることができる。
【発明の効果】
【0013】
これら発明によれば、小型無人飛行機の新規な制御装置及び制御方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】現在のドローンと専用コントローラとの間の通信及び飛行制御する全体的なイメージを説明する図である。
【
図1B】本実施例のドローンと携帯端末との間を、直接又は通信回線を経由して通信及び飛行制御する全体的なイメージを説明する図である。
【
図2】第1実施形態に係るコンバータモジュールの概要を説明するブロック図である。
【
図3A】情報処理端末からドローンに対して、命令信号(コマンド)を送信する場合のパケット信号の構成の一例を示す図である。
【
図3B】コンバータモジュールが、
図3Aで示すパケット信号を、ドローンの種類に対応して変換したドローン向けパケット信号の構成の一例を示す図である。
【
図3C】I2Cの場合のドローン向けパケット信号の構成の一例を示す図である。
【
図4】第2実施形態に係るFDRモジュールの概略を説明するブロック図である。
【
図5】ドローンの飛行データの記録過程を説明するフロー図である。
【
図6B】クラウドコンピューティングを利用する場合のパケットのデータ構成を説明する図である。
【
図6C】或る種のセンサを搭載していないドローン2に関して、不搭載センサの情報を送信するデータ構造の一例である。
【
図7A】飛行制御命令を絶対制御で行う場合のデータ構造の一例である。
【
図7B】飛行制御命令を相対制御で行う場合のデータ構造の一例である。
【
図7C】ドローンを慣性制御する場合のドローンに送られる命令情報のデータ構造の一例である。
【
図7D】衝突防止をするため仮想航路を設定することで、管制を実現するイメージを説明する図である。
【
図8A】特定エリアを予め定めた色彩のテープ等で囲むことにより行われる安全制御を説明する図である。
【
図8B】特定エリアを、実際の場所、建物等で特定するのではなく、地図情報で規定することにより行われる安全制御を説明する図である。
【
図8C】一定の信号を継続的に発振するBLEビーコン装置を設置ことにより行われる安全制御を説明する図である。
【
図9】レーザ光の発光パターンを複数決めておくことにより、発光パターによって操縦情報(例えば、上昇命令や帰還命令)をドローンに送信することによりドローン2の操縦を行う例を説明する図である。
【
図10】ドローン2の機体の提供、ドローンの用途の変更等及びバージョンアップに容易に対応出来るプラットフォームの概要を説明するためのイメージである。
【
図11A】各着陸ポートの断面形状を示す図である。
【
図11C】着陸ポートを利用したドローンへの充電方法を説明する図である。
【
図11D】着陸ポートの断面中央部にのみ凸部を設けた場合の例を示す図である。
【
図11E】十字型の凸部を有する着陸ポートを示す平面斜視図である。
【
図11F】中央部に四角錐形状の凸部を有する着陸ポートを示す平面斜視図である。
【
図11G】中央部及び端部の夫々に凸部を設けた場合の例を示す図である。
【
図11H】中央部及び端部の夫々に凸部を有する着陸ポートを示す平面斜視図である。
【
図11I】着陸ポートが複数に分割された場合の例を示すイメージ図である。
【
図11J】複数に分割された着陸ポートの夫々の幅がドローンの両脚部の幅よりも短い場合を示すイメージ図である。
【
図11K】複数に分割された着陸ポートの夫々の幅がドローンの両脚部の幅よりも長い場合を示すイメージ図である。
【
図11L】ドローンの1本の脚部に複数の端子が配置されている場合における垂直方向の充電方法を説明する図である。
【
図11M】ドローンの1本の脚部に複数の端子が配置されている場合における垂直方向の充電方法を説明する図である。
【
図11N】ドローンの1本の脚部に複数の端子が配置されている場合における水平方向の充電方法を説明する図である。
【
図12】
図12は、ドローンの着陸制御に使用される着陸用信号発生装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
小型無人飛行機の代表例として、ドローンが知られている。以下、本発明の一実施形態に係る小型無人飛行機の通信及び制御装置及びこれらの方法の実施形態について、ドローンを例にとって、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複する説明を省略する。なお、最初にドローン2の通信及び制御装置の全体的なイメージの説明を行い、次に、第1乃至第9発明に対応する第1乃至第8実施形態を順番に説明する。
【0016】
[ドローンの通信及び制御装置の全体的な概要]
図1Aは、従来のドローンと専用コントローラとの間の通信及び飛行制御に関する全体的なイメージを説明する図である。
【0017】
図1Aに示すように、ドローン2は、上空のGPS(Global Positioning System)衛星1から位置決め情報を取得している。ドローン2は、このGPS位置決めデータ、ドローン搭載の各種センサから得られた飛行データ(例えば、姿勢情報、回転運動情報等)等を、操縦者3が所持する専用コントローラ4Aに送信している。操縦者3は、ドローン2のGPS位置決めデータ、飛行データ等を参考にしながら、ドローン2に対して飛行制御命令を送信している。このように、ドローン2の飛行エリアは、専用コントローラ4Aの電波の到達範囲に制限されている。しかし、ドローン2を専用コントローラ4Aの電波の到達範囲を越えた一層広いエリアでも活用したい要望がある。
図1Bは、本実施形態のドローンと携帯端末との間を、直接又は通信回線を経由して通信及び飛行制御するイメージを説明する図である。
【0018】
ドローン2が、携帯端末4Bの電波の到達範囲内を飛行しているときは、ドローン2と携帯端末4Bとの間で直接交信が行われる。即ち、ドローン2は、ドローン操縦者3による情報処理端末4Bの操作に基づいて、飛行等の動作を行う。
【0019】
しかし、ドローン2が、携帯端末4Bの電波の到達範囲から外れたエリアを飛行する場合には、ドローン2と携帯端末4Bとの間の交信は、以下のルートにより行われる。
即ち、飛行するドローン2の上空にはGPS衛星1が宇宙空間に有り、GPSデータ(ドローン2の現在位置を特定するための情報)をドローン2に送信している。
ドローン2とWi-Fi(登録商標)スポット等5との間で交信が行われ、そのデータはサーバコンピュータ6により処理や記録される。なお、Wi-Fi(登録商標)スポット等5は、Wi-Fi(登録商標)スポットのみならず、電波塔等も含み得る。
情報処理端末4Bは、スマートフォン等で構成され、ドローン操縦者3により操作される。情報処理端末4は、インターネットや携帯キャリア網等の通信回線7を介して、サーバコンピュータ6に接続し、ここに記録されたドローン2の各種データを入手することが出来る。
このように、情報処理端末4Bとドローン2とは、インターネットや携帯キャリア網等の通信回線7を介するサーバコンピュータ6経由で交信することもできる。そこで以下、本出願書類では、このルートを「サーバ経由ルート」と称する。
【0020】
また、上述したように、ドローン2が、携帯端末4Bの電波の到達範囲内を飛行しているときは、
図1Aの場合と同様に、ドローン2と情報処理端末4Bとの間でも直接交信が行われる。この場合、ドローン操縦者3は、ドローン2とリアルタイムで交信する情報処理端末4Bを操作することが出来る。
情報処理端末4Bのデータは、通信回線7を介して、サーバコンピュータ6により処理や記録される。
このように、ドローン2と情報処理端末4Bとは、リアルタイムで直接交信することもできる。そこで以下、本出願書類では、この交信ルートを「直接ルート」と称する。
「直接ルート」は、リアルタイム交信という利点を有し、一方、電波到達の距離的制限がある欠点を有している。
これに対して、「サーバ経由ルート」は、距離的制限が無い利点を有するが、一般にリアルタイム交信よりタイムラグがある欠点を有している。
【0021】
以下に説明する第1乃至第9実施形態は、このようなイメージのもとで実現されている。
[第1実施形態]コンバータモジュール
現在、日本国内では、ドローン2には情報処理端末の搭載が法的に禁じられている。しかし、例えば米国ではこのような規定はない。
そこで、将来、日本国内でもこの禁止規定が緩和されることが見込まれている。法的規制が緩和された場合、ドローン2を情報処理端末4Bで操作したいとするニーズは高いものと思われる。
第1実施形態は、ドローン2と情報処理端末4Bとの間を通信可能にするコンバータモジュールを提供することを目的とする。即ち、第1実施形態は、ドローン2に搭載されている通信機器に無線通信で接続しながら、インターネットや携帯キャリア網等の通信回線7にも同時に接続することができるコンバータモジュールを提供し、ドローン操縦者3が、情報処理端末4Bを用いて、直接ルートのみならずサーバ経由ルートで操作できるようにすることを目的とする。
【0022】
図2は、第1実施形態に係るコンバータモジュール10の概要を説明するブロック図である。
【0023】
ドローン基板16は、ドローン2に搭載された制御回路等の基板である。ドローン基板16にドローン搭載通信手段15が搭載されている。
コンバータモジュール10は、ドローン2に搭載され、大別して、情報処理端末4Bと通信回線7を介して交信可能な情報処理端末向け通信手段11と、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有する制御手段12と、ドローン基板16内のドローン搭載通信手段15と交信可能なドローン基板向け通信手段13とを備えている。コンバータモジュール10は、1又は複数個のモジュールで構成される。
【0024】
以下、各要素に付いて説明する。
情報処理端末向け通信手段11は、通信相手の情報処理端末4Bの通信モードに応じた構成をとる。
情報処理端末向け通信手段11は、例えば、Wi-Fi(登録商標)(無線LANを利用したインターネット接続)、Bluetooth(デジタル機器用の廉価な近距離無線用規格の1つ、(登録商標))、3Gハイスピード(第三世代向け携帯電話用)、4G LTE(LTEを使用した情報処理端末向け)等を利用する構成を採用できる。
【0025】
制御手段12は、CPUとメモリとを有している。CPUは、任意のCPUであってよいが、ドローン2と情報処理端末4Bの間をリアルタイムで通信可能にするため高速処理が可能なものが好ましい。メモリは、データを処理や記録するRAM(Random Access Memory)、予め制御用アプリケーションプログラムを記録しておくROM(Read Only Memory)等をもっている。予め、情報処理端末4B及びドローン2の種類に対応したアプリケーションプログラムを記録することにより、制御手段12はカスタマイズされている。操作する情報処理端末4Bも必要なアプリケーションプログラムによってカスタマイズされている。
【0026】
ドローン基板向け通信手段13は、ドローン2のドローン基板16に搭載されたドローン搭載通信手段15の通信モードで、その構成が決定される。例えば、ドローン基板向け通信手段13は、現在ドローン2で採用されているWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等を利用する構成を採用できる。
【0027】
図1で説明した「サーバ経由ルート」による交信は、次の通りである。
(1)ドローン2のドローン基板16に搭載されたドローン搭載通信手段15からの飛行データ等の各種信号は、コンバータモジュール10のドローン基板向け通信手段13で受信され、制御手段12で情報処理端末4Bの通信モードに変換する処理がなされ、情報処理端末向け通信手段11からサーバコンピュータ6及び通信回線7を介して、情報処理端末4Bに送信される。
ここで、
図2の例のサーバ経由ルートは、ドローン2のコンバータモジュール10、Wi-Fi(登録商標)スポット等5、サーバコンピュータ6、通信回線7、及び情報処理端末4Bの順とされているが、これは例示に過ぎず、サーバコンピュータ6及び通信回線7を介するルートであれば足りる。例えば、通信回線7が所定の携帯電話のキャリア網であり、Wi-Fi(登録商標)スポット等5が当該キャリア網の中継装置等である場合、次のようなルートを、サーバ経由ルートとして採用してもよい。即ち、ドローン搭載通信手段15、コンバータモジュール10、Wi-Fi(登録商標)スポット等5(キャリア網の中継装置等)、通信回線7(キャリア網)、サーバコンピュータ6、図示せぬインターネット(Wi-Fi(登録商標)スポット等インターネットの中継装置等も含む)、及び情報処理端末4Bというルートを、サーバ経由ルートとして採用できる。この場合、コンバータモジュール10は、ドローン搭載通信手段15からの送信対象の信号を、当該キャリアの通信モードに基づく信号に変換して、Wi-Fi(登録商標)スポット等5(キャリア網の中継装置等)に送信する。
(2)反対に、情報処理端末4Bからの操縦等の命令信号は、サーバコンピュータ6及び通信回線7を含むサーバ経由ルートを介して、コンバータモジュール10の情報処理端末向け通信手段11で受信され、制御手段12でドローン2の通信モードに変換処理され、ドローン基板向け通信手段13からドローン搭載通信手段15に送信される。
図1で説明した「直接ルート」による交信は、次の通りである。
(3)ドローン搭載通信手段15からの飛行データ等の各種信号は、情報処理端末4Bに対して直接送信される。なお、
図2の例では、ドローン搭載通信手段15からの飛行データ等の各種信号は、コンバータモジュール10を介しているが、特にコンバータモジュール10を介さずに情報処理端末4Bに対して直接送信されてもよい。
(4)反対に、情報処理端末4Bからの操縦等の命令信号は、ドローン2に対して直接送信される。
【0028】
図3Aは、情報処理端末4Bからドローン2に向けて、飛行制御命令を送信する場合のパケット信号のデータ構造の一例を示す図である。ここで、ユーザIDは、ユーザを特定するデータであり、ユーザ認証IDは、例えばハッキングを防止するセキュリティに関するデータである。コマンド1には、ドローン2の位置を特定するGPS座標や姿勢、移動命令(例えば、右方向に10m移動等)を入れることが出来る。
なお、上述のパケット信号は、携帯型の情報処理端末4Bにインストールされたアプリケーションプログラム等から操作される。
【0029】
図3Bは、コンバータモジュール10が、
図3Aで示すパケット信号を、ドローン2の種類に対応して変換したドローン向けパケット信号のデータ構造の一例を示す図である。コンバータモジュール10の制御手段12が、コマンド1を、ドローン2の信号モードに対応してコマンド2に変換している。例えば、GPS機器を搭載していないドローン2に対しては、コマンド1で含まれているGPS座標データが削除される。この信号変換は、ドローン2の通信モードに応じて用意されたアプリケーションプログラムにより実行されるため、情報処理端末4Bは、通信モードの異なる種類のドローン2に対応出来る。
なお、「サーバ経由ルート」の場合、必要に応じて、ドローン2と情報処理端末4Bとの間の信号変換の一部又は全部をサーバコンピュータ6で実行してもよい。具体的には例えば、サーバコンピュータ6からコンバータモジュール10へと通信するに場合、サーバコンピュータ6が、送信先のドローン2の機体の種類に合わせて、送信用のパケットを変換するようにしてもよい。つまり、コマンド1からコマンド2へと変換することで、ドローン2の種類の違いを吸収することができるが、この変換を行う場所は、コンバータモジュール10を含めてサーバ経由ルート内であれば任意の場所でよい。
さらにまた、「直接ルート」及び「サーバ経由ルート」を利用する場合、必要に応じて、ドローン2と情報処理端末4Bとの間の信号変換の一部又は全部を、情報処理端末4Bに読み込まれたアプリケーションプログラムが実行してもよい。
即ち、コンバータモジュール10からドローン2へとコマンドを送る場合、コンバータモジュール10は、Wi-Fi(登録商標)又は、物理的なケーブルを接続してI2C(Inter-Integrated Circuit)通信で実装できる。
【0030】
図3Cは、I2C通信の例を示している。
つまり、コマンド2をコマンド3へ変換し、ハッキング等を防止する認証ID等を削除して、ドローン2の操作コマンドのみのパケット信号を採用してもよい。
【0031】
コンバータモジュール10を用いることにより、情報処理端末4Bから任意所望のドローン2と交信が可能となる。
更に、「サーバ経由ルート」を採った場合、情報処理端末4Bから通信回線7及びサーバコンピュータ6を介して、ドローン2と交信することで、通信可能な距離的制限が無くなる。
更に、コンバータモジュール10は、任意所望のドローン2の機体に対して後付けできる特徴を有している。
【0032】
以下説明する第2乃至第8実施形態は、必要に応じて、第1実施形態に係るコンバータモジュールが組み込まれており、ドローン2と情報処理端末4Bの間が交信可能であることを前提とする。
【0033】
以上まとめると、第1実施形態のコンバータモジュール10は、通信信号のコンバータとして機能する。そして、コンバータモジュール10は、3G,LTE,5G(次世代)等の各種携帯のキャリア網と接続できる情報処理端末4Bと、Wi-Fi(登録商標),Bluetooth(登録商標),ラジコン無線受信機,物理的なコネクタ等によって接続等されるドローン2に搭載されたドローン基板16との間で授受される信号を、相互で利用可能な形態に変換することができる。
なお、上述のBluetooth(登録商標)には、BLE(BlueTooth(登録商標) Low Energy)を含んでもよい。
さらに、ドローン2の種類によっては、CPUでの変換処理にカスタマイズを加える必要がある場合やユーザが操作する情報処理端末4Bでアプリケーションソフトウェア等に手を加える必要がある。
この点、次のような動作フローが考えられる。具体的には例えば、ドローン2から発信された情報は、携帯キャリア網等の通信回線7を介してサーバコンピュータ6へと送信され、最終的には携帯型の情報処理端末4Bへと送信される。
このような要領で通信をすることで、従来の携帯型の情報処理端末とドローン2を直接Wi-Fi(登録商標)で接続して通信を行っていた操作を、携帯キャリア網等の通信回線7を介して、コンバータモジュール10から同じ内容の信号(情報)を、Wi-Fi(登録商標)を介して発信することで、Wi-Fi(登録商標)の接続範囲を超えてドローン2を操作することができる。
このように、第1実施形態におけるキーワードは、SIM、キャリア通信網、Wi-Fi(登録商標)、コンバータ、遠隔操作等である。SIMをドローン2に搭載することは、現在日本国の法律で禁止されているため、飛行しない状態でテスト済みである。また、米国等では飛行が可能である。
【0034】
さらに、本発明が適用される通信制御装置は、上述の第1実施形態に限定されず、次のような構成を有する各種各様の実施形態取ることができる。
即ち、本発明が適用される通信制御装置は、
第1通信モードに基づく通信を行う第1情報処理装置(例えば情報処理端末4B)と、前記第1通信モードとは異なる第2通信モードに基づく通信を行う第2情報処理装置(例えばドローン2)との間の通信を制御する通信制御装置(例えばコンバータモジュール10)であって、
前記第1通信モードに基づく前記第1情報処理装置からの第1信号を受信し、当該第1信号の通信モードを前記第2通信モードへと変換する第1通信モード変換手段と、
前記第2通信モードに基づいて、前記第1信号を前記第2情報処理装置へと送信する制御を実行する第1送信制御手段と、
前記第2通信モードに基づく前記第2情報処理装置からの第2信号を受信し、当該第2信号の通信モードを前記第1通信モードへと変換する第2通信モード変換手段と、
前記第1通信モードに基づいて、前記第2信号を前記第1情報処理装置へと送信する制御を実行する第2送信制御手段と、
を備える。
これにより、小型無人飛行機の新規な通信制御装置及び制御方法を提供することができる。
また、通信制御装置として、
前記第1通信モード変換手段は、前記第1信号を、前記第1通信モードに基づく通信網(例えば通信回線7)を介して受信し、
前記第2通信モード変換手段は、前記第2信号を、前記第1通信モードに基づく前記通信網(例えば通信回線7)を介して前記第1情報処理装置へと送信する制御を実行する。
このようにすることで、「サーバ経由ルート」を採ることが可能になり、通信可能な距離的制限が無くなる。
【0035】
[第2実施形態]フライトレコーダモジュール
一般の民間航空機では、航空機の様々な電子システムに送信された命令を記録するフライトレコーダ(Flight Data Recorder、以下、FDRと呼ぶ)の搭載が義務づけられている。
FDRは、搭載した航空機の飛行データを常時記録している。航空機事故が起こった場合、FDRに記録された飛行データを分析することによって、多くの場合、事故の原因や要因を特定することができる。
ドローンにとっても飛行データを事後に分析可能とするため、飛行データを記録することは重要である。なお、第2実施形態では説明の便宜上、ドローン2に限定して説明を行うが、特にこれに限定されない。その他の機械、例えばロボット等を採用することも可能である。
【0036】
第2実施形態では、飛行中のドローン2の位置情報及び/又は姿勢情報を常時記録するFDRモジュールを提供することを目的とする。
このFDRモジュールは、例えば、ドローン2の事故の調査や墜落場所の特定、不審な動きをするドローン2の発見、開発上のデバッグ等に有用である他、将来的には、衝突の回避等にも活用できる可能性がある。
第2実施形態を含む複数の実施形態において、通信機、CPU、メモリ、センサ(例えばGPSやIMU等)をまとめたモジュール(例えばFDRモジュール)を提供する。
【0037】
図4は、第2実施形態に係るFDRモジュール20の概略を説明するブロック図である。FDRモジュール20は、大別して、通信手段22と、制御手段24と、センサ手段28とを備えている。FDRモジュール20は、予めドローン2に搭載されている制御用の基板の一部に搭載又は接続され、1又は複数個のモジュールで構成されている。具体的には例えば、FDRモジュール20は、
図2のドローン基板16の少なくとも一部として構成することができる。なお、この場合、「サーバ経由ルート」を採用しないならば、コンバータモジュール10は、第2実施形態にとって必須な構成要素ではない。一方、FDRモジュール20は、コンバータモジュール10の少なくとも一部として構成してもよい。さらにいえば、FDRモジュール20は、ドローン2に搭載されれば足り、その一部がドローン基板16に搭載されたり、別の一部がコンバータモジュール10に搭載されたり、或いはまたドローン基板16やコンバータモジュール10とは別の
図2の図示せぬ基板に搭載されてもよい。
【0038】
以下、各要素に付いて説明する。
通信手段22は、任意の通信機から構成される。例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、3Gハイスピード、4G LTE等を利用できる。
即ち、通信手段22を構成する任意の通信機は、インターネットや端末に接続するためのものWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標、BLEを含む)、携帯キャリア回線(3G、LTE、それ以降)を用いた通信をすることができる。
【0039】
制御手段24は、CPU25と、メモリ26とを有している。
CPU25は、ネットワークとのやり取りをする計算機である。具体的には例えば、CPU25は、後述するセンサ手段28の検出値をフィルタにかけてノイズを除去し、パケット化処理を行い、必要に応じて暗号化処理等を行う。更に、通信回線の選択、システムへのログオン、飛行データのメモリへの記録及び呼出し処理の制御を行う。CPU25は、任意のCPUであってよいが、ドローン2の飛行中に飛行データをリアルタイムで処理する必要があるため、処理速度が高速なものが好ましい。
【0040】
メモリ26は、センサ手段28からの各種の飛行データを記録し、CPU25で処理するためのRAM、予め各種のアプリケーションプログラムを記録しておくROM等をもっている。必要に応じて、例えば、ドローン2の種類に応じて所定のアプリケーションプログラムを記録することにより、制御手段24はカスタマイズされている。
なお、RAMは、一次記憶装置であり、ネットワークに接続していないときにセンサ情報を保持する。
【0041】
センサ手段28は、GPS(DGPS,QZSS(順天頂衛星)等を含む)、IMU(完成センサ(加速度,角度,角速度)等を含む)任意の所望の各種センサが含まれる。
つまり、センサ手段28に含まれる代表的なセンサは、ドローン2の飛行位置を特定するためのGPS(全地球測位システム)と、ドローン2の飛行中の動き(速度、加速度等)や姿勢(傾き等)を特定するためのIMU(慣性計測装置)である。ドローン2自体に既に搭載されているセンサに関しては、センサ手段28に新たに搭載することなく、それを利用してもよい。
【0042】
GPSは、複数個の米国の軍事用衛星からの信号を受信し、ドローン2が自身の現在位置を3次元で特定するシステムである。GPSは、その改良形である、予め位置が分かっている地上基地局でもGPS電波を受信し誤差を消去するDGPS(相対測位方式GPS)、特定地域上にも見留まる3基の衛星を使って米国GPSを保管及び補強するQZSS(順天頂衛星システム)等であってもよい。
IMUは、ドローン2の運動を司る3軸の角度(又は角速度)と加速度を検出する装置である。
【0043】
図1B及び
図4を参照しながら、
図5に従って、ドローン2の飛行データの記録について説明する。最初は、「直接ルート」の場合を説明する。
ステップS1で、飛行開始か否か判断される。飛行開始から飛行データの記録が開始され、ステップS2に進む。
【0044】
ステップS2で、ドローン搭載のFDRモジュール20と情報処理端末4Bの間の通信状態(例えば、電波の強度、信号の品質等)が判断される。信号状態の判断は、受信信号の強度、品質等が、予め定めた閾値(スレシホールドレベル)を越えたら良好と判断し、以下なら不良と判断される。通信状態不良は、ドローン2が「サーバ経由ルート」に入った場合だけでなく、「直接ルート」可能な領域を飛行している場合であっても、例えば高い建物等によって電波が一時的又は継続的に遮断された状況で発生する。良好なら、ステップS3に進む。不良の場合は、ステップS4に進む。
【0045】
ステップS3で、ドローン2の飛行データは、FDRモジュール20でデータ変換され、情報処理端末4Bに送られる。即ち、
図4に示すように、センサ手段28のIF(インターフェース回路)から受けた飛行データはCPU25でデータ変換されて、情報処理端末4Bに送信される。この飛行データは、
図1Bの例では情報処理端末4Bから通信回線7を介してサーバコンピュータ6に送られ処理・記録される。このように、ドローン2と情報処理端末4Bとは、オンライン状態にあり、ドローン操縦者3は、リアルタイムで飛行データを情報処理端末4Bで確認することができる。情報量が多い場合、情報処理端末4Bが利用するクラウドコンピューティングを利用することも出来る。
なお、IF(インターフェイス回路、以下、「IF」と呼ぶ)とは、ドローン2と通信をする、物理的なケーブル(I2CやSPIでの通信)もしくは無線通信(Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等)に対応するIFを採用することができる。
【0046】
ステップS4で、ドローン2の飛行データは、CPU25でデータ変換後、FDRモジュール20のメモリ26に記録される。ドローン2と情報処理端末4Bとは信号状態不良によりオフライン状態にあるため、一時的にメモリ26に記録される。
ステップS5で、信号状態が回復されたか判断される。回復された場合、ステップS6に進む。未だ回復されていない場合、ステップS4に戻る。
【0047】
ステップS6で、信号状態が回復されたため、メモリ26に記録された飛行データは、情報処理端末4Bに送られる。この飛行データは、情報処理端末4Bからサーバコンピュータ6に送られ処理や記録される。
ステップS7で、飛行終了か判断され、未だ終了でない場合はステップS2に戻り、飛行終了の場合は飛行データの記録を終了する。
【0048】
以上のステップは、「直接ルート」で説明した。しかし、これに限定されない。ドローン2の位置情報及び、又は姿勢情報の常時記録は、「サーバ経由ルート」でも行われる。ドローン2が、電波到達の距離的制限区域外(例えば、Wi-Fi(登録商標)の電波が届かないエリア)を飛行データの記録が可能となる。この場合、ステップS4で、ドローン2の飛行データは、FDRモジュール20のメモリ26に逐次記録される。また、ステップS5で、飛行データを送受信機器5に送信可能か否かが判断される。送信可能な状態のとき、飛行データは、送受信機器5を介して、サーバコンピュータ6に記録される。これにより、ドローン操縦者3は、通信回線を介して飛行データを携帯端末4Bで確認することができる。更に、ドローン操縦者3は、サーバコンピュータ6に必要なアプリケーションプログラムを記録しておくことにより、複数台のドローン2を1台の情報処理端末4Bで管理することも出来る。
即ち、「サーバ経由ルート」で記録を行う場合、Wi-Fi(登録商標)の範囲外でも情報通信を行えるほか、複数台のドローン2を同時に管理することができるのである。
【0049】
図6Aは、飛行データの構成の一例を示す図である。飛行データはパケット化され、各データパケットは、例えば、シリアル番号、データ長、GPS時刻、GPS座標、GPS精度、IMU情報、エラー番号(「エラーコード」ともいう。)、データセット(例えば、データをメモリ上に保持する際のクラス構造)等から構成されている。
ここで、IMU情報は、ドローン2の飛行データである加速度、角速度、角度等を含んでいる。エラー番号及びデータセットは、ドローン2の機体側の仕様に依存して任意に設定できる。データセットは可変長である。このパケットデータは、必要に応じて、暗号化することも出来る。
これらのパケット化された飛行データは、シリアル番号が付されているので、ステップS3でドローン2から情報処理端末4Bへ直接送信された飛行データと、ステップS4乃至S6で遅れて送信された飛行データも、サーバコンピュータ6により一連のデータとして記録することができる。或いは、飛行データをCPU25で時間コードに対応させて記録してもよい。この場合、例えば、サーバコンピュータ6により時間コードを基に処理して、一連のデータとして記録する。
【0050】
図6Bは、クラウドコンピューティングを利用する場合のパケットのデータ構成を説明する図である。通信で送られてきた情報は、データパケットのページのモジュール情報の後に付けることで、クラウドに上げることが出来る。
【0051】
このFDRモジュール20をドローン2に搭載することにより、飛行中のドローン2の位置情報及び/又は姿勢情報を含む飛行データを常時記録することが出来る。ドローン2と情報処理端末4Bとの常時接続は必須でなく、FDRモジュール20に最低限電源供給がなされれば、常時、ドローン2の飛行データの常時記録が可能となる。
【0052】
飛行データの常時記録により、次のような二次的効果が有る。
(1)「直接ルート」では、ドローン2の予期しない飛行(位置、姿勢等)をリアルタイムで検出できる。
(2)飛行データを、ドローン2から送られる画像、エラー信号等と対応させることが出来る。
(3)ドローン2開発段階で、FDRモジュール20から得られる飛行データは、ドローン2の飛行制御及び、又は姿勢制御のプログラミングのデバッグ等に利用することができる。
(4)事後に飛行データを分析することにより、ドローン2を制御するハードウェア及びソフトウェアの修正・改良に利用することが出来る。
(5)ドローン2に事故が発生した場合、飛行データを分析することにより事故原因の究明、墜落場所の特定等が可能となる。
(6)FDRモジュール20から得られる飛行データは、ドローン2の衝突防止技術の開発に利用することが出来る。
(7)或る種のセンサ(例えば、GPS)を搭載していないドローン2に関して、
図4のセンサ手段28に、予め基本的なセンサ(GPS、IMU等)を搭載することにより、不搭載センサのデータ(例えば、
図6Cに示すようなパケットデータ)を提供して、飛行データ精度の向上、信頼性の確保等が可能となる。或いは、搭載しているセンサのデータに対して、この予備センサからのデータを提供して、測定誤差を減少して精度の向上し、2つのセンサを用いることによって冗長性の確保(信頼性の向上)等が可能となる。
即ち、ドローン2への通信としては、例えば、GPS等センサを搭載しないドローン2へのGPS等のセンサ値の提供や、予備のGPS等センサとして活用できるように値の取得をすることができる。そして、上記のデータはドローン2側(例えばI2CやWi-Fi(登録商標)等)で入手することができる。
(8)サーバコンピュータ6に記録された飛行データは、インターネット上にリンクを張って、ネット上で管理可能となる。
【0053】
FDRモジュール20により得られた飛行データに基づき、情報処理端末4Bからドローン2に送信される飛行制御命令は、目的地のGPS座標を与える絶対制御と、目的地と飛行データから得られた現在位置との差分を与える相対制御の何れであってもよい。
【0054】
図7Aは、絶対制御の場合のデータ構造の一例である。
図7Bは、相対制御の場合のデータ構造の一例である。
具体的に、例えば、FDRモジュール20がドローン2と接続されている場合、ドローン操縦者3は、操縦指示を出すことができる。そのため、ドローン2は、I2CやWi-Fi(登録商標)等を介して、遠隔で制御を実行することができる。
さらに言えば、当該制御には、目的地のGPS座標を与える絶対防御と、差分を示す相対制御が存在する。
【0055】
FDRモジュール20から得られる飛行データは、衝突防止手段に活用できる。大量のドローン2が飛行する時代が来た場合、航空機と同じく管制をする必要が出てくると予想される。遠隔での自動操縦機能では、細かなミッションがこなせない場合がある。
そこで、長距離飛行に関して衝突防止をするため、仮想航路を設定することで、管制を実現できる。例えば、
図7Dに示すように、ドローン2の飛行位置が、点1から、点2、3、及び点(n-1)(nは2以上の整数値)を経由して、点nを目指す場合、ドローン2のサイズ、気流等による飛行中のズレ、誤差等を勘案したチューブ状のドローン2エリア(図中、破線で示す。)の経路を決定し、他のドローン2エリアとの交差を予め禁止する。この結果、ドローン2が、他のドローン2と衝突するのを未然に防止することが出来る。なお、ドローン2の飛行位置である点2、3、及び点(n-1)を、飛行中のドローン2の位置情報により逐次更新してドローン2エリアを再設定することにより、衝突防止の信頼性が向上する。
図7Cは、ドローン2に送られる命令情報のデータ構造の一例である。
具体的には例えば、大量のドローン2が飛行する時代が来た場合、航空機と同じく管制をする必要がでてくると考えられる。
しかしながら、遠隔での自動操縦機能では、こまかなミッションがこなせない可能性がある。そこで、長距離の飛行に関して衝突を防止するため、仮想の航路を設定することで、管制を実現できる可能性がある。
即ち、点1、点2という2点間の飛行経路に半径を与えたチューブ状を複数接続した経路を示すことで、衝突防止に活用できる可能性がある。
【0056】
FDRモジュール20は、異常検知の連携に活用できる。加速度などのIMU情報のデータのばらつきが継続的に大きくなった場合又は角度情報等でドローン2が上下反転した場合等のドローン2の異常を検出したとき、一層詳細なIMU情報を取得して、操縦者3に対して異常発生時の飛行データを提供することが出来る。
即ち、IMU(加速度等)の値のばらつきが継続的に大きくなる等した時や、角度情報等が上下反転した場合等、「異常」と認識して、より詳細なIMU情報を取得して提供することができる。
ここでは、第2実施形態を小型無人飛行機(ドローン2)を例にとって説明した。しかし、このFDRモジュール20の用途は、これに限定されない。人工知能を備えたロボットの行動、姿勢データを常時記録することにより、ロボットの制御に適用可能である。ロボットが転倒するような異常状態を判断し、その際の位置・行動・姿勢等のデータを細かく記録することも出来る。
【0057】
以上の内容をまとめると、上述のFDRモジュール20は、通信が接続されているときは、情報処理端末2のアプリケーションソフトウェアや通信回線7を介して、状態を示す情報を送信し続け、通信が接続されていないときは、状態を示す情報を内部に保持し、接続されたときにまとめて送信する。
さらに、例えば、FDRモジュール20に記録されたログデータは、携帯型の情報処理端末4Bから視認できるようにしてもよいし、ログの情報量が多い場合にはクラウド管理をしてもよい。
【0058】
また、この場合、オフライン時には、FDRモジュール20は、その内部に情報を保持し、オンラインになった時にログをクラウド等に送信してもよい。
ドローン2と情報処理端末4Bの接続について、ドローン2側で送信するエラー番号や画像等と連携したい場合には、端子を用いた接続、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の接続方式で接続を行うことで、実現することができる。
【0059】
また、ドローン2の種類によって通信の方式(通信モード)が異なる場合も有るため、必要に応じてカスタマイズしてもよい。
なお、第2実施形態におけるキーワードは、フライトレコーダ、遠隔操作、異常検知、ログ、管制航法等である。
【0060】
また、FDRモジュール20は、以下のようなアップデートが想定される。
上述の通り、ドローン2に事故があった時に分析が可能であり、事故直前を検知(例えば急な落下が始まる等)して、ログを高時間分解能で取得するモードに変更する等して事故原因の究明に貢献することができる可能性がある。なお、平時においてもログを取得する場合、データ量が膨大となってしまうおそれがある。
【0061】
また、例えば、ドローン2がレコーダを搭載している場合、風が吹く等の外部状況への反応を認識して、基本性能を確認することもできる。
また、例えば、(1)「事故(突風など外乱)」、(2)「センサ値」、(3)「結果(墜落による破損など)」の順になる場合が多いが、この場合、結果から原因を把握するのは難しい。
従って、これらに対応できるようなアップデートが想定される。
【0062】
さらに、本発明が適用される通信制御装置は、上述の第2実施形態に限定されず、次のような構成を有する各種各様の実施形態取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
別の情報処理装置(例えば携帯端末4)で操作された、移動体(例えばドローン2)の移動データを常時記録する記憶媒体を含み、当該移動体に搭載され得る情報処理装置であって、
前記情報処理装置と前記別の情報処理装置との通信状態を判定する通信状態判定手段と、
前記通信状態判定手段で通信状態が良好だと判定された場合に、前記移動体の移動データを、前記別の情報処理装置へと送信し、前記通信状態判定手段で通信状態が不良だと判定された場合に、前記移動データを、前記記憶媒体に記憶して、その後通信状態が良好だと判定された場合に、当該記憶媒体に記録された当該移動データを、前記別の情報処理装置へと送信する制御を実行する送信時期制御手段と、
を備える。
これにより、オンライン時には、移動データを情報処理端末4B等で確認できるとともに、情報量が多い場合にはクラウド管理もできる。また、オフライン時には、ドローン2内に移動データを保存し、オンライン時になったときに移動データを情報処理端末4B等へ送信することができる。
【0063】
[第3実施形態]安全制御
カメラ搭載のドローンは上空から撮影可能なため、ドローンが自動制御する上で、進入してよい場所、よくない場所、これ以上出てはいけない場所などを識別することは、個人のプライバシーを保護し、安全性確保の面で、国家安全のための機密指定場所等の特定エリアを回避する機能は、重要な技術である。
そこで、第3実施形態は、簡易な手段で、特定エリアへの侵入防止又は特定エリアから外部へ飛行出来ない手段を備えたドローン2を提供することを目的とする。また、第3実施形態のドローン2は、出られない、入れないに加え、推奨ルートであることを示したり、緊急着陸可能な場所であることを示したりもできる。
【0064】
第1の方法は、
図8Aに示すように、特定エリアを予め定めた色彩のテープ等で囲むことにより行われる。ドローン2は、搭載カメラ(図示せず。)を使ってテープ等より特定エリアを認識し、ドローン2の現在の飛行位置(GPS情報)から特定エリアまでの相対座標を計算し、特定エリアに侵入しないように操縦制御される。墜落時も、この特定エリアを避けるように制御される。この操縦制御は、特定エリアを回避するように組まれたアプリケーションプログラムにより実現される。反対に、ドローン2を特定エリアから外部へ飛行出来ないようにすることも出来る。なお、ドローン2を室内等のGPS情報が弱い所で飛行させる場合、ドローン搭載のカメラにより高速で立体環境地図を作成して利用してもよい。
図8Aのように特定の色のテープで囲むことで、その範囲から出られない、または入らないなどの情報を伝えることが出来る。
図8Aは、写真であるが、屋外でもテープが太ければ可能である。カメラで画像認識→ドローン2の自己位置からの相対座標を計算→その範囲に入らないように等の制御も実行可能になる。
第2の方法は、
図8Bに示すように、特定エリアを、実際の場所、建物等で特定するのではなく、地図情報で規定する。例えば、ドローン搭載のカメラにより高速で立体地図を作成し、この立体地地図に対して特定エリア情報を付与する。特定エリアへの進入禁止、又は特定エリアから外部への飛行禁止方法は、第1の方法と同じである。
図8Bのように地図上などのGPS情報に紐づくように、囲みを登録しておくと、ドローン2が周辺を飛ぶときに、その中に入らない、又は中から出ないように制御することができる。ドローン2が、GPS情報により得られる自己位置から周辺の禁止区域の情報をダウンロードすることで実現できる。
第3の方法は、
図8Cに示すように、一定の信号を継続的に発振するBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)ビーコン装置を設置し、信号源から一定の距離内(特定エリア内)に侵入しないように制御する。反対に、信号源から一定の距離内から外部へ飛行しないように制御する。
Bluetooth(登録商標)の規格で無線(ビーコン)を出し続けるものnがある。この規格によれば、ビーコンを出す機器からの距離を計算することができる技術を実現できる。この技術を活用すると、無線のシールドが存在することをドローン2に伝える機器を用いることができる(
図8C)。つまり、ドローン2に搭載されたBluetooth(登録商標)の受信機で移動しながらビーコンの発信装置の距離を捕捉し続けると、ビーコンが存在する位置の座標が計算できる。この計算をもとに、下記の(1)又は(2)の処理を実行することで、ドローン2の動きを制限することもできる。
(1)ビーコンのコマンドに50m以内に入ってはいけないというコマンドを載せて、通知
(2)インターネットから、ビーコンIDを検索し、制限条件を確認
上述尾第1乃至第3の方法は、単独又は複数個組み合わせて採用することが出来る。
第1乃至第3の方法すべて、GPS座標またはドローン2自身との相対座標に変換して処理することもできる。
【0065】
第3実施形態によれば、ドローン2を特定エリアへ進入禁止にすること、又は特定エリアから外部へ飛行禁止にすることが可能となる。
【0066】
これを応用し、人物、道路、学校等のエリアを避けること、着陸や墜落時に人を避けて下りるようにすることが可能となる。これは、搭載カメラにより高速で立体地図を作成し、地図上に特定エリア情報を付与することで、回避する特定エリアを認識することで実現できる。
【0067】
この技術を使って、着陸時に地面向きのカメラから収集される画像データから距離を測定し、又は3Dマップを作成し、人、自動車、家屋等を含む突起物、斜面、溝等の着陸不適合エリアを避けて着陸することが出来る。
【0068】
この技術を使って、移動時に、カメラ画像データから、道路上の白線・黄色線を認識したり、道路のアスファルトの色が直線的な組み合わせで存在することを認識したり、地図等による事前情報から道路等の場所を事前に認識することで、その上空を避け、又は滞在する時間を最小にすることが出来る。
【0069】
さらに、本発明が適用される情報処理装置は、上述の第3実施形態に限定されず、次のような構成を有する各種各様の実施形態取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
別の情報処理装置(例えば情報処理端末4B)で操作された移動体(例えばドローン2)に搭載され、
特定の領域を飛行可能領域として認識し、当該飛行可能領域以外の領域を飛行禁止領域として認識する飛行領域認識手段と、
前記移動体の現在の位置に対する前記移動可能領域までの位置の相対座標を演算し、前記移動禁止領域に当該移動体を進入させない制御を実行する制御手段と、
を備える。
これにより、ドローン2が任意の領域を侵入、撤退することを防ぎ、また、推奨ルートであることを示したり、緊急着陸可能な場所であることを示したりすることができる。
【0070】
[第4実施形態]レーザトラック等
従来、ドローンの操縦は、専用の送信機で操縦されている。
しかし、専用の送信機以外の機器で操縦が出来るといろいろな面で便利である。
【0071】
例えば、音による操縦が可能となる。
笛、スピーカーからの音声等の特定の周波数に対して、ドローン2に搭載のマイクロフォンが反応して、ドローン2が移動し、離着陸する。即ち、笛、スピーカー等の音源が、専用送信機を用いずに、ドローン2に命令を送る。特に、特定の音により、ドローン2を操作することは手軽であり、ドローン2に緊急着陸命令を送信できれば有用である。また、各種音のパターンにより左右へ移動などの命令を送ることで、情報処理端末4B等の携帯端末なしに操縦することもできる。
Phenox2には、マイクで笛の音(3200Hz)を認識して離着陸する機能がある。音声認識での操縦も若干量の例があるが、プロペラがうるさく、ドローン2のマイクロフォンを活用するには、笛などの認知性の高いものが有効と考えられる。なお、3200Hzは、Phenox2のプロペラの音程と干渉しない音程であり、機体によって周波数は異なる。レーザの画像認識を、笛とマイクに置き換え、コマンドを送ってもよい。
【0072】
また、光線による操縦も可能となる。
例えば、レーザポインタのような光源(可視光線及び不可視光線を含む。)を、ドローン搭載カメラで捉え自動追尾することで、専用送信機を用いずに、ドローン2を操縦することができる。この場合、ドローン2がレーザポインタ光源を見失った場合、ドローン2から点滅パターンの光線を発光し、又は予め定められた挙動(例えば、ドローン2の旋回等)により、操縦者にレーザポインタ光源を見失った事態を連絡する。また、点滅パターンやジェスチャーで離着陸やポインターを見失った時の挙動を通信することができる。
専用のレーザポンタで壁面又は地面に向けて発光する。地面の場合は下向きカメラでホバリングの場所を変更することができる。また、壁面の場合は横向きカメラで高度などを変更することができる。
また、複数レーザを併用することもできる。
ドローン搭載カメラの画像情報では、周囲の環境に赤色が多い場合(例えば、背景が夕日)には赤色可視光レーザは目立たない。一方、周囲の環境に緑色が多い場合(例えば、背景が森林)には緑色可視光レーザは目立たない。
そこで、レーザとして、例えば、赤色可視光レーザと緑色可視光レーザを同時に並行光線として採用することにより、いずれかのレーザ光を容易に認識することが出来、追尾の信頼性が向上する。
つまり、赤色可視光レーザと緑色可視光レーザの2つを同時に光らせることにより、赤色の壁などでは赤色レーザでは制御が難しかったり、背景の中の赤色を画像認識で誤認する場合があったが、2色が横並びの点を探すことで、精度を上げることができる。
3種類以上のレーザ光を使用する場合、更に信頼性が向上する。また、他の種類の光線(例えば、赤外線)を利用してもよい。3色以上や赤外線などを併用することで、活用の幅を広げられる。
また、レーザ光の発光(点灯)パターンを利用することもできる。
図9に示すように、レーザ光の発光パターンを複数決めておくことにより、発光パターによって操縦情報(例えば、上昇命令や帰還命令)をドローン2のカメラに向けて送信してもよい。
更に、レーザ光の色を複数決めておくことにより、発光パターによって操縦情報(例えば、上昇命令や帰還命令)をドローン2に送信してもよい。更に、レーザ光の発光パターンとレーザ光の色との組み合わせにより、操縦情報をドローン2に送信してもよい。
ここで、複数色のレーザは同じように点滅するようにしてもよいが、色によって点滅パターンを変えることで、より複雑な指令を送ることも可能となる。
【0073】
さらに、本発明が適用される情報処理装置は、上述の第4実施形態に限定されず、次のような構成を有する各種各様の実施形態取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
特定の周波数の音に対応した、少なくとも着陸命令を含む移動体(例えばドローン2等)への命令に基づいて、当該移動体を操作する制御を実行する周波数操作制御手段と、
を備えることができる。
これにより、ドローン2等の移動体はマイクロフォンで音を認識して離着陸することができる。
また、本発明が適用される情報処理装置は、
移動体に搭載された撮像部で特定の光源を捉え自動追尾することで、当該移動体を操作する制御を実行する自動操作制御手段、
を備えることができる。
これにより、ドローン2等の移動体はレーザポインタ等の光線をカメラ(撮像部)で捉え、自動追尾することで専用送信機無しに操縦することができる。
また、本発明が適用される情報処理装置は、
レーザ光の発光パターンに基づいて移動体(例えばドローン2)の操作をする制御を実行する発光パターン操作制御手段、
を備えることができる。
これにより、より複雑な指令を送ることも可能となる。
【0074】
[第5実施形態]汎用性確保(ソフト面)(ハード面)
従来、ドローンは、軍事目的、救援目的、商業目的等の専用機として開発されている。一方、ドローンは開発途上にあるため、仕様の更新(バージョンアップ)が頻繁に行われている。それに従い、用途によって利用できなくなったり、譲渡や貸出など複雑な利用シーンが想定される。そのとき、ドローンやロボット自体の機体と、アプリケーションが別の組み合わせで活用されるシーンが考えられる。それに対応できるプラットフォームを設計した。
しかし、ドローンが、経済的側面等から、1台のドローンが、用途の変更、複数の用途に対応することが望まれる。そして、ドローンが、常にバージョンアップされて、最新仕様であることも望まれる。
各地域でドローンを貸出・メンテナンスする業者が、目的を持った利用者に機体を貸すとともに、利用者は各人の目的に合ったアプリケーションを活用することで、目的を達成できる。
そこで、第5実施形態は、ドローン2の機体の提供、ドローン2の用途の変更等及びバージョンアップに容易に対応出来るプラットフォームを提供することを目的とする。
【0075】
図10は、ドローン2の機体の提供、ドローン2の用途の変更等及びバージョンアップに容易に対応出来るプラットフォームの概要を説明するためのイメージである。
登録された利用者は、ドローン2群から所望のドローン2の機体一式(操縦用の携帯端末等を含む。)と、用途に即したアプリメーションプログラムを選択することが出来る。プラットフォーム提供者は、選択されたドローン2にアプリケーションプログラムを組み込み、利用者に提供する。
利用者は、機体とアプリケーションの両方を自由な組み合わせで選択することができる。携帯電話のAndroid Market(登録商標)などと異なり、機種自体も選択可能になる。
また、提供されるアプリメーションプログラムは更新されており、一旦、利用者に渡された後でもプラットフォームから更新プログラムをダウンロード出来る。プログラムを自由にダウンロードし、操作者の任意の業務を実施できるとともに、飛ばしてみると違う動きがした、などということを防ぐため、安全な仕組みを作る必要がある。
携帯のアプリマーケットのようにダウンロードできる一方で、操作者を管理することのできるwebプラットフォームが実現可能になる。
ドローン2に対しては、USBのような汎用的ポートを用意し、物理的又は電気回路として必要なモジュールを接続することで、1台のドローン2に対して機能を追加・変更し、多用途で利用することが出来る。
【0076】
第5実施形態は、様々な用途に適用可能なドローン2を提供することが出来る。例えば、物品を搬送する物流、救命具を渡す海難救助、サーモカメラを使って行方不明者を捜索する遭難捜索、赤外線カメラを使った農業調査等に適用可能なドローン2を提供することが出来る。
更に、利用者は、ドローン2を購入することなく、複数の者で共有することが出来る。
更に、このプラットフォームの利点は、利用者登録に際し一定の審査を行い、必要により利用者情報を逐次求めて、利用者を管理することが出来る。
ハードウェアいついては、任意のコネクタにより接続可能とされている。これにより、アプリケーションに必要なハードウェアを任意に追加できることになる。コネクタの形状などは、汎用のものを活用することもできるし、通信信号の暗号化などを用いた新規な形状を採用してもよい。
【0077】
さらに、本発明が適用される情報処理装置は、上述の第5実施形態に限定されず、次のような構成を有する各種各様の実施形態取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
移動体(例えばドローン2)を、当該移動体用途に即して選択された0以上のアプリケーションプログラム及び0以上のハードウェアの組を介して操作する制御を実行するアプリケーション操作制御手段、
を備える。
これにより、ドローン操作者3は、アプリケーションプログラムを自由にダウンロードしたり、ハードウェアを自由に組み合わせることで、ドローン2について任意の使い方を実現できる。また、ドローン操作者3は、ドローン2の機体(ハードウェア)とアプリケーションの両方を自由な組み合わせを選択することができる。
【0078】
[第6実施形態]着陸ポート
ドローンの運用において離着陸は不可避である。特に、着陸は、安全性の確保、所定の位置への着陸等のオペレーションの上での要請があり、着陸ポートの重要性は大きい。
また、充電についても重要であり、着陸ポートと一体で充電をできる仕組みがあれば、オペレーションを円滑に動かすことができる。
そこで、本実施形態は、安全性の確保、所定の位置への着陸等の要請を満たし、且つ着陸後には充電が可能な着陸ポートを提供することを目的とする。
【0079】
着陸ポートアセンブリは、ドローン2の脚部本数に対応して、複数個の着陸ポートの組み合わせから構成されている。
図11Aは、各着陸ポートPの断面形状を示す図である。ドローン2の脚部Lを収納する着陸ポートPは、開口部側が拡がったラッパ形状の凹部となっている。このため、ドローン2の着陸時に多少の誤差があっても、開口部内に収まっていれば誤差が補正され、所定の位置に着陸することが出来る。
図11Bは、着陸ポートPの平面斜視図である。なお、
図11Bは、全体の1/4であり、ドローン2の脚部L1本分である。脚の数が4つでない場合、2つや6つの場合でも類似の方法でできる。
図11Cは、着陸ポートPを利用したドローン2への充電方法を説明する図である。着陸後ドローン2側電極と着陸ポート側電極とが摺動接触することにより給電が開始される。充電電流が大きい大型のドローン2の場合、着陸後、モータ(図示せず)を使って着陸ポート側電極をドローン側電極に圧接するようにしてもよい。
【0080】
図11D乃至
図11Hに示すように、着陸ポートPの一部に凸部Bを設けることもできる。
【0081】
図11Dは、着陸ポートPの断面中央部にのみ凸部Bを設けた場合の例を示している。
図11E及び
図11Fは、いずれも
図11Dに示す着陸ポートPの具体例を示す平面斜視図である。
図11Eは、十字型の凸部Bを有する着陸ポートPを示す平面斜視図である。また、
図11Fは、中央部に四角錐形状の凸部Bを有する着陸ポートPを示す平面斜視図である。
図11Eに示すように、十字型の凸部Bを有する着陸ポートPは、十字型の凸部Bによって窪みに4つの平面部Fが形成されるため、脚部の本数が4本であるドローン2の着陸ポートとして好適である。
上述したように、ドローン2は、着陸時に地面向きのカメラから収集される画像データから距離を測定し、又は3Dマップを作成し、人、自動車、家屋等を含む突起物、斜面、溝等の着陸不適合エリアを避けて着陸することが出来る。
このため、
図11D乃至
図11Hに示すように、着陸ポートPの一部に凸部Bを設けることにより、少なくとも以下の有利な効果が得られる。即ち、ドローン2は、カメラから収集された画像データを認識し易くなるため、3Dマップを作成する際の利便性を向上させることができる。
また、ドローン2が着陸ポートPに着陸するときに、ドローン2の脚部が本来の着地部分から若干ずれた場所に着陸した場合であっても、ドローン2は、自重によって自然に着陸ポートPの凸部Bの傾斜面を滑り落ちるため、結果的に着陸ポートP上の適正な着陸場所に誘導されることとなる。
このため、
図11D乃至
図11Fに示すような、中央部にのみ凸部Bを有する着陸ポートPよりも、
図11G及び
図11Hに示すような、中央部及び端部の夫々に凸部Bを有する着陸ポートPの方が、着陸ポートPの凸部Bの傾斜面によって、ドローン2を適正な着陸場所に誘導する効果が高い。
なお、
図11E及び
図11Hに示す着陸ポートPは、ドローン2の脚部の本数が4本である場合を想定しているが、脚部の本数が4本以外の場合も同様である。即ち、着陸ポートPは、ドローン2の脚部の本数が4本以外であっても、夫々のドローン2の着陸に好適な平面部Fを形成させる凸部Bを設けることができる。例えば、脚部の本数が2本のドローンの場合には、2本の脚部を介してドローン2を適正な着陸場所に効率良く誘導できるような平面部Fを形成させる凸部Bを設けることができる。また例えば、脚部の本数が6本のドローンの場合には、6本の脚部を介してドローン2を適正な着陸場所に効率良く誘導できるような平面部Fを形成させる凸部Bを設けることができる。
【0082】
また例えば、
図11I乃至
図11Kに示すように、着陸ポートPを2つに分割し、分割された着陸ポートPの夫々に、ドローン2の充電用端子T1を配置させることもできる。
【0083】
図11Iは、着陸ポートPを2つに分割した場合を示すイメージ図である。
図11Iに示す場合、ドローン2の着陸ポートPへの着陸時に数cm程度の誤差が生じるため、ドローン2の複数の脚部Lの夫々が着陸ポートPに接触する可能性のある広い範囲に、ドローン2を充電させるための充電用端子T1が配置されている。例えば、
図11Iに示すように、着陸ポートP側の充電用端子T1を着陸ポートPの全面に亘って配置させてもよい。
【0084】
また、ドローン2側の充電用端子T2の夫々は、ドローン2の複数の脚部Lの夫々に点形状で配置される。このため、着陸ポートP側の充電用端子T1の形状は、充電用端子T2の形状(点形状)よりも広い円形状又は矩形状で構成させる。これにより、ドローン2の着陸ポートPへの着陸時の数cmの誤差に対応することができる。
【0085】
また、
図11Jに示すように、着陸ポートP側の複数の充電用端子T1の幅wは、ドローン2の複数の脚部L同士の間隔dよりも短くなるように設計されている。これは、幅wが間隔dよりも長く設計されていると、
図11Kに示すように、1つの充電用端子T1に、ドローン2側の極性の異なる2つの充電用端子T2の夫々が同時に接触して、ドローン2のバッテリーがショートしてしまうからである。
ただし、
図11Kに示すように幅wが間隔dよりも長く設計されている場合であっても以下の対応策を講じることによりショートを回避することができる。即ち、ショート回避用のヒューズ(図示なし)を設けたり、または、接続先の充電用端子T2の電圧を調べることにより正しい接続か否かを判定し、接続を制御する接続制御部を設けたりすることにより、ショートを回避することができる。
【0086】
また、図示はしないが、着陸ポートP側の充電用端子T1に接続された回路には、逆流防止回路が設けられている。これにより、ドローン2が逆向きに着陸する場合に対応することができる。
また、着陸ポートP側の充電用端子T1は、2次元的にm個(mは2以上の整数値)配置させることができる。これにより、多数の充電用端子T1とドローン2側の充電用端子T2とを接触させてバランス充電を行うことができる。これにより、ドローン2に搭載されたバッテリーの許容電圧を超えないようにすることができる。また、一部の充電用端子T1を、通信を行うための通信用端子に転用したりすることも可能となる。
【0087】
上述した
図11I及び
図11Kに示す例では、ドローン2の脚部L1本に対し、充電用端子T2が1個配置されるが、これは例示に過ぎない。例えばドローン2の脚部L1本に対してドローン2側の充電用端子T2を複数個配置することもできる。
この場合、ドローン2側の充電用端子T2は、ドローン2の脚部Lの底面付近に配置される。具体的には例えば、
図11Lに示すように、ドローン2の脚部Lの底部に凹部LDと凸部LBを設け、充電用端子T2が凹部LDの底部に埋め込まれるように配置する。これにより、土や埃が充電用端子T2に付着することを防ぐことができるため、充電用端子T2の劣化を遅らせることができる。
この場合、着陸ポートP側には、一体成型された凹部PDと凸部PBとを設け、凹部PDの底部に凸型形状の充電用端子T1を配置する。そして、
図11Mに示すように、ドローン2が着陸ポートPに着陸する際にドローン2の脚部Lが着陸ポートP側の凸部PBに接触すると、ドローン2の自重により、一体成型された凹部PD及び凸部PBが下降する。このとき、凸型形状の着陸ポートP側の充電用端子T1は、凹部PD及び凸部PBの下降に連動しないように固定されているため、むき出しの状態となる。そして、着陸ポートP側の充電用端子T1は、ドローン2の脚部Lの底部に設けられた凹部LDに囲まれた状態で、ドローン2側の充電用端子T2と接触することとなる。
ドローン2の自重で下降した着陸ポートP側の凹部PD及び凸部PBは、ドローン2が着陸ポートPから離陸すると上昇して元の位置に戻る。このため、着陸ポートP側の充電用端子T1は、再びを着陸ポートP側の凹部PDの内部に隠れる。これにより、着陸ポートP側の充電用端子T1が常にむき出しの状態となることを防止できるため、土や埃が充電用端子T1に付着することを防止し、その結果、充電用端子T1の劣化を遅らせることができる。
なお、着陸ポート側の凹部及び凸部の下降と上昇には、バネS等の弾性体の反発力を利用することができる。
【0088】
ここで、
図11L及び
図11Mは、ドローン2の自重を利用することにより、充電用端子T1と充電用端子T2とが垂直方向に接触する構成となっているが、充電用端子T1と充電用端子T2とが垂直方向である必要は特になく、任意の方向、例えば水平方向に接触する構成としてもよい。
図11Nは、充電用端子T1と充電用端子T2とが水平方向に接触する構成とした場合の一例を示すイメージ図である。
図11Nの例では、着陸ポートP側の充電用端子T1は、着陸ポートPに設けられた垂直壁面に配置され、ドローン2側の充電用端子T2は、ドローン2の側面部の一部に配置されている。この場合、充電用端子T1と充電用端子T2とは水平方向に接触することになる。このため、
図11L及び
図11Mの場合と異なり、充電用端子T1と充電用端子T2とを接触させる手法として、ドローン2の自重を利用することができない。そこで、ドローン2の脚部Lに接触している着陸ポートPの床面を、充電用端子T1に向けてベルトコンベアのように水平移動できるようにする構成や、図示はしないが、ドローン2が板や棒によって充電用端子T1に向けて自動で押されるような構成とすることができる。これにより、充電用端子T2を充電用端子T1に水平方向に接触させることができる。
上述したように、ドローン2は、制御精度が完全ではないため、数cmの誤差が生じる事が前提となる。このため、従来よりドローン2に自動で接触充電を行わせることは困難であった。しかしながら、着陸ポートP側の形状を工夫することにより、接触充電の精度を格段に上げることができる。即ち、着陸ポートP側の形状を、上述したような構成とすることにより、着陸ポートP側の充電用端子T1に、ドローン2側の充電用端子T2を接触させた充電を安全かつ確実に行うことが可能となる。
また、
図11L乃至Nの例では、充電用端子T1及びT2は、いずれもドローン2及び着陸ポートPに対して垂直に配置されているが、ドローン2及び着陸ポートPに対して充電用端子T1及びT2を配置させる角度は特に限定されない。例えば、ドローン2及び着陸ポートPに対して充電用端子T1及びT2が斜めになるように配置させてもよい。
【0089】
さらに、本発明が適用される情報処理システムは、上述の第6実施形態に限定されず、次のような構成を有する各種各様の実施形態とることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システムは、
蓄電池で動作する動作部(例えばコンバータモジュール10、ドローン搭載通信手段15、FDRモジュール20、図示せぬ駆動部等)と、
着陸ポート(例えば着陸ポートP)に接触または近接する近接部位(例えば脚部L)と、
当該近接部位に配置され、前記蓄電池に充電するための電力を供給する電力供給部(例えば充電用端子T2)と、
を含む移動体(例えばドローン2)と、
前記移動体が着陸する前記着陸ポートであって、前記近接部位を略所定位置(例えば
図11Eの平面部F)に誘導する誘導部位(例えば
図11D乃至
図11Hの凸部B)を有する前記着陸ポートと、
を備える。
これにより、多少の誤差があってもドローン2等の移動体は正しい位置に着陸することができる。また、充電方法として、ドローン2等の移動体の脚部Lを的確にとらえて充電することができるので、ドローン2等の移動体の着陸と同時に充電を開始することができる。
【0090】
また、前記誘導部位は、前記移動体の前記近接部位が接触または近接する可能性がある部分の一部に配置された凹部とすることができる。
【0091】
また、前記誘導部位は、前記移動体の前記近接部位が接触または近接する可能性がある部分の一部に配置された凸部とすることができる。
このように、着陸ポートPの一部に誘導部位としての凹部又は凸部を設けることにより、多少の誤差があってもドローン2等の移動体を正しい着陸位置に誘導することができる。
【0092】
また、前記着陸ポートは、
前記移動体に電力を供給するための給電部(例えば充電用端子T1)を極性毎に備え、
前記給電部の夫々の幅は、極性の異なる複数の前記電力供給部同士の幅よりも短くすることができる。
これにより、ドローン2等の移動体に搭載されたバッテリーのショートを防ぐことができる。
【0093】
前記着陸ポートは、前記近接部と近接する面に、
第1凸部(例えば
図11Lの凸部PB)と、
当該第1凸部よりも低い位置に当該第1凸部とは独立して固定された、前記移動体に電力を供給するための給電部(例えば
図11Lの充電用端子T1)と、
をさらに備え、
前記近接部は、前記着陸ポートと近接する面に、
前記移動体が前記着陸ポートに着陸する時に前記第1凸部に接触する第2凸部(例えば
図11Lの凸部LB)と、
当該第1凸部よりも低い位置に前記電力供給部(例えば
図11Lの充電用端子T2)と、
をさらに備え、
前記第1凸部と前記第2凸部とが接触すると、前記移動体の自重によって前記第1凸部が下降することにより、前記給電部と前記電力供給部とが接触し、
前記第1凸部と前記第2凸部とが離隔すると、弾性体の反発力によって前記第1凸部が上昇することにより、前記給電部が、再び前記第1凸部よりも低い位置に戻ることができる。
これにより、着陸ポートP側の充電用端子T1が常にむき出しの状態となることを防ぐことができるため、土や埃が充電用端子T1に付着することを防いで充電用端子T1の劣化を遅らせることができる。また、土や埃が充電用端子T2に付着することを防ぐことができるため、充電用端子T2の劣化を遅らせることができる。
【0094】
また、前記移動体は、
自機の側面部に前記電力供給部(例えば
図11Nの充電用端子T2)をさらに備えることができ、
前記着陸ポートは、
前記電力供給部と近接する面に、前記移動体に電力を供給するための給電部(例えば
図11Nの充電用端子T1)と、
前記近接部位と前記着陸ポートとが接触し、前記誘導部位による誘導が行われると前記給電部と前記電力供給部とが接触するまで前記移動体を運搬する運搬部と、
をさらに備えることができる。
これにより、電力供給部を給電部に水平方向に接触させることができる。
【0095】
[第7実施形態]着陸近接技術
ドローンが着陸地点に向かって飛行する場合、大きな範囲ではGPS情報を利用するが、着陸地点の近くではGPS情報の精度が問題になる。
そこで、第7実施形態は、ドローン2が、着陸地点の近くで精度良く機体の位置を決定できる着陸用信号発生装置を提供することを目的とする。
GPSと同じく時間情報を搭載した信号発信装置を地上に複数設置することで、ドローン2の自己位置を着陸地点と相対座標として精度よく推定できると考えられる。
【0096】
図12に示すように、着陸地点に、例えば、3個の着陸用信号発生装置を予め設置する。この着陸用信号発生装置は、GPSの原理を利用した、GPS衛星の代わりに、時間と位置情報を発信する。ドローン2は、着陸地点の近くでは、この着陸用信号発生装置からの時間と位置情報に基づき、着陸用信号発生装置からの機体の相対位置を精度良く決定することが出来、正確に着陸することが出来る。
具体的には例えば、着陸用信号発生装置は、Wi-Fi(登録商標)など無線による着陸ポートへの接続を行い、信号を出す。または、着陸用信号発生装置は、GPS情報による着陸へリポートへの近接検知し、インターネット経由で信号を出す。これにより、ドローン2等の移動体の現地から着陸までの移動量が精度よくわかる。
ここで、着陸用信号発生装置は3個存在するが、1つや2つでもよい。この場合、3個の着陸用信号発生装置、または1個又は2個の着陸用信号発生装置とGPSなどの外部情報との組み合わせにより、1次元的な制御が実現できる。ここで、着陸だけではなく、ドローン2等の移動体が人物等に物体を渡すなどするときに、1次元制御(人との直線的な距離だけの制御)に落とし込めると、ジェスチャーや「近接」と「離脱」の2ボタンだけで安全に人との距離を制御できる。
【0097】
さらに、本発明が適用される情報処理装置は、上述の第6実施形態に限定されず、次のような構成を有する各種各様の実施形態取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
移動体(例えばドローン2)の着陸地点付近に予め設置された着陸用信号発生装置から送信された時間と位置情報に基づいて、前記着陸用信号発生装置からの当該移動体の相対位置を演算し、当該演算の結果に基づいて、着陸操作を実行する制御を実行する着陸制御手段、
を備える。
これにより、時間情報を搭載した信号発信装置を地上に複数設置することで、ドローン2等の移動体の位置を着陸地点との相対座標として精度よく推定することができる。
【0098】
[第8実施形態]デザーコントロール、デザークリップ
ドローン2、ロボット等を取り扱う上で、安全性、給電の必要性等から有線接続が多用されている。物流等でも搬送物を吊す場合に長く強靭な紐(デザー)を使用する場合が多い。
また、ドローン2、ロボット等により、紐をくくり付ける作業は、非常に難しく、紐をくくり付ける装置の先例はない。
ドローン2を制御する方法として、事前にプログラムした通りに動いたり、プロポやスマホで操縦する方法があるが、直感的に動かす方法があまりない。
また、ドローン2の制御は、一般に、事前にプログラムした操縦装置を使って、ドローン2を操縦している。ドローン操縦者3が、ドローン2を直感的に動かす方法はあまり提案されていない。
第8実施形態に係るデザーコントロールは、ドローン2、ロボット等に有効な、新規なデザーコントロールを提供することを目的とする。
第8実施形態に係るデザークリップは、紐先に取り付ける新規な開閉可能なデザークリップを提供することを目的とする。
現在、ドローン2が制御不能で飛んで行かないように、飛行範囲をカバーできる紐で繋いでおくことは行われている。また、ドローン2への給電を有線で行う方法も存在する。本発明者は、このような有線接続を、ドローン2の飛行の制御に利用する技術を検討した。従って、第8実施形態に係るデザーインターフェースは、紐を使った新規なドローン2操縦システムを提供することを目的とする。
【0099】
(デザーコントロール)
ドローン2、ロボット等の自由な動きを確保するため、有線では長さに余裕を持たせ、弛ませて使用している。
第8実施形態は、デザーを使った制御(デザーコントロール)及びクリップ(デザークリップ)を提供することを目的とする。
デザーコントロールは、ドローン2、ロボット等と制御装置との間を結ぶ有線部材の途中の2箇所を伸縮性部材(例えば、ゴム)で結び、適当な張力を与えている。伸縮性部材の張力により、有線は所望の張力で引っ張られ、弛むことは無い。更に、有線が引っ張られたときは、伸縮性部材が伸張してこの引っ張り応力を吸収する。
ドローン2をはじめ、ロボットを扱う上で、安全性や給電などの都合で有線接続が多用される。物流などでも物をつるすなどの時に紐を使うことは多い。多くの場合、有線では紐をたるませて活用してきた。ここに伸縮性のゴムなどを挟み適度な張力を与えることで、安定した制御を提供できる。
給電やドローン2が制御不能で飛んで行かないように紐を使う方法は、有名である。たるませずに紐をつなぐ技術を開発したことにより、ドローン2は紐で引っ張られていることを認識し、それに応じた制御をすることができる。
例えばドローン2(ロボット)とケーブルの間にゴム(やバネなど)をはさむ事で制御が簡単となる。(取付位置は重心近くが望ましい。)荷物のつり下げの場合にも便利である。
デザーの傾きと張力がわかるため、単体で制御に活用できる。後述するように人が引っ張るなどの操作がインターフェイスとして活用できる。
【0100】
(デザークリップ)
ドローン2を含むロボットによって紐をくくり付けるという作業は非常に難しく、括り付け対象の周りに巻き付けるなどを行うことはあるが、装置として先例がない。しかし、ロボットが人間の作業を代替する上でこの作業は必須であり、多用する上で簡便な装置を作ることは重要と考えられる。そこで、紐先に開閉可能な装置を取り付けることで、机の脚や木などに引っかけられる装置を提供する。
【0101】
図13は、デザークリップの断面図である。一方のクリップ片と他方のクリップ片は、バネ(図示せず。)で先端部が閉じる構造となっている。最初は、両方のクリップ片は、くさび型開放部材により強制的に開放された状態にある。把持対象物を両方のクリップ片の間に挟んだ後、くさび型開放部材を取り除くことで、両方のクリップ片はバネの力で閉じて対象物を固定している。紐先に、このデザークリップを取り付ける。このデザークリップを用いることで、容易に、建築物の横木、樹木の枝等に紐の一端を係止することが出来る。
また、対象物に接続すると、ロボットとこの構造物を自動で切り離すこともできる。
狙いは電線の張り替えである。
紐を持つ者が、引っ張ったことを検知し、その向きや急さなどから、紐を持つ者の意図を指定した表を用いて判断を行い、適切な制御をおこなうことができる。この表は機械学習などにより自動更新も可能である。
さらに言えば、空陸協調等で無人自動車等のウィンチロープを高い場所に付けるとか、吊り上げ等も可能である。
このように、インタラクションの点で重要であり、紐を引くことを検知し、制御に活用することで、ペットのような動作などを実現することもできる。
【0102】
さらに、本発明が適用される情報処理装置は、上述の第8実施形態に限定されず、次のような構成を有する各種各様の実施形態取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
移動体(例えばドローン2)に伸縮性の部材を接続することで、前記移動体の制御を実行するデザー制御手段、
を備える。
これにより、有線を伸縮性のゴムなどで挟み適度な張力を与えることで、ドローン2等の移動体の安定した制御ができる。
また、有線接続を使用することで、ドローン2等の移動体に安定して給電を行うことができる。
そして、有線を利用して、簡易ロボットアーム(例えば
図13)をドローン2等の移動体につけることもできる。上述の簡易ロボットアームはクサビで固定され、ユーザが、クサビをはずすことで、バネの力で荷物を挟んで固定し、そのまま、ドローン2等の移動体により運搬が可能となり、また、上述の簡易ロボットアームは自動で切り離すこともできるので、容易に荷物の上げ下ろしができる。
【0103】
[第9実施形態]接触防止と個体認証
従来、民間航空機の航路の追跡方法として、プライマリ・レーダー(1次レーダー)、セカンダリ・レーダー(2次レーダー)、ADS-B及びADS-Bの受信システムであるFR24等がある。1次レーダーは、地上レーダーが追跡するシステムである。2次レーダーは、地上レーダーの問いかけに対して航空機のトランスポンダが4桁の個体認識信号を返信し、航空機の識別を可能にするシステムである。ADS-Bは、航空機がGPSによる位置情報を地上及び他の周辺の航空機に通知するシステムである。FR24は、ADS-Bの電波をフライトレーダー24が設置された受信装置で受信してサーバに転送するシステムである。
ドローンに関しても、同様に、飛行中の航路の追跡システムを構築することは重要である。そこで、本実施形態は、ドローンの航路追跡システムを提供することを目的とする。
【0104】
ドローン2の航路追跡システムは、ドローン2に適当な無線装置を搭載し、飛行の際に、個体認識信号を常時出力することにより構築されるシステムである。この無線装置は、例えば、Bluetooth(登録商標)等を利用する装置であってもよい。
ドローン2に搭載の無線装置から発信された個体認識信号は、地上の情報処理端末4B、Wi-Fiスポット等5、及び周辺を飛行する他のドローンにより受信される。この個体認識信号は、少なくとも、個体識別番号(ID)と、飛行中のドローン2の位置座標と、その他の付加情報とを含んでいる。ここで、個体識別番号(ID)は、各ドローンに付与された専用のIDであり、位置座標は、例えば、GPSで得られた位置情報であり、付加情報はドローンの個体認識に有用な任意の情報である。
【0105】
更に、地上にあるサーバ6に、個体識別番号(ID)に関連付けて、予め、ドローンの操縦者3の氏名・名称及び連絡先等の情報、ドローンの種類、用途、日時と関連付けた飛行計画等を記録することで、種々の利用法が可能となる。
【0106】
本実施形態によれば、ドローン2の航路追跡システムを提供することが出来る。このドローン2の航路追跡システムは、次のような副次的効果をもたらす。
(1)ドローン操縦者3は、他のドローンの個体認識信号を受信したとき、他のドローンが周辺に存在することを知ることが出来る。
(2)ドローン操縦者3は、他のドローンの個体認識信号の位置座標又は電波強度により、他のドローンまでの距離、他のドローンの予定移動情報等を知ることが出来る。
(3)ドローン操縦者3は、他のドローンの個体認識信号を受信したとき、その付加情報により、又は個体識別番号(ID)からサーバコンピュータ6に記録された情報により、他のドローンの正当性、予定飛行航路等を確認することが出来る。必要に応じて、他のドローンの操縦者にオンラインで連絡を取ることが出来る。
(4)ドローン操縦者3は、他のドローンの予定飛行航路等に基づき、必要に応じて、自身のドローン2に対して適切な回避行動を命令することが出来る。
(5)飛行の際に、個体認識信号を常時発信するシステムを構築することにより、盗難に遭ったドローン2の無効化、飛行した場合の回収が可能となる。
【0107】
このドローン2の飛行中の航路追跡システムは、人口知能を備えたロボットにも応用できる。動作中のロボット間の衝突は、危険を伴う。動作中のロボットから、同じような個体識別信号を常時発信することにより、ロボットの移動追跡システムを構築することが出来る。上記の副次的効果(1)乃至(5)をももたらすことができる。
【0108】
また、固体識別番号は、上述のように常時発信される信号に含めることでオンラインで確認できることは当然のこと、専用のデコーダでオフラインで確認できるようにしてもよい。
【0109】
以上まとめると、ドローン2を含むロボット同士の接触は非常に危険を伴う。また、安全な目的で飛行しているかなどを管理することも非常に重要である。そこで、ロボットから常時個体認識信号を出すことにより、管理、および、接触回避する方法が実現可能になる。
Bluetooth(登録商標)などを利用する無線装置は、ドローン2を含む各種無人航空機に搭載され、個体識別番号を含む信号を発信する。具体的には例えば、この信号は、個体識別番号+座標(GPSなど)+付加情報の形式をとることができる。情報処理端末4B等の受信側は、この信号を受信したときに、近接する他の無人航空機が存在することを知れる。この信号に座標情報がある場合、または、電波強度で距離がわかる場合、受信側は、その変化から移動情報がわかる。さらにまた、受信側は、付加情報などを頼りにオンラインで問い合わせる事で、この無人航空機の航路や正当性を確認することができる。
【0110】
さらに、本発明が適用される情報処理装置は、上述の第9実施形態に限定されず、次のような構成を有する各種各様の実施形態取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
移動体(例えばドローン2)に搭載され、個体識別番号と位置情報とを含む信号を無線で送信する制御を実行する無線通信制御手段、
を備える。
これにより、移動体の航路追跡システムを提供することが出来る。この移動体の航路追跡システムは、上述のような副次的効果(1)乃至(5)を奏することができる。
【0111】
以上、本発明の第1実施形態乃至第9実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0112】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図2や
図4等のブロック図は構成の例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのようなブロックを用いるのかは特に
図2や
図4等の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0113】
また例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであっても良い。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、又は各種デバイス等であってもよい。
【0114】
また例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0115】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【符号の説明】
【0116】
1:衛星、 2:ドローン、 3:ドローン操縦者、 4:情報処理端末、 6:サーバコンピュータ、 7:通信回線、 10:コンバータモジュール、 11:通信手段、 12:制御手段、 13:ドローン向け通信手段、 15:ドローン搭載通信手段、 16:ドローン基板、 20:FDRモジュール、 22:通信手段、 24:制御手段、 26:センサ手段、 28:センサ手段、 P:着陸ポート、 B:凸部、 F:平面部、 L:脚部、 T1:充電用端子、 T2:充電用端子、 PB:凸部、 PD:凹部、 LB:凸部、 LD:凹部、 S:弾性体