IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アストロメディカル・バイオテクノロジー・リミテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】悪液質の治療におけるケタミンの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/135 20060101AFI20230925BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
A61K31/135
A61P7/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022542904
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 US2020061187
(87)【国際公開番号】W WO2021145952
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】62/960,255
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522279221
【氏名又は名称】アストロメディカル・バイオテクノロジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Astromedical Biotechnology, Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジェイムズ チャン-ジ
【審査官】松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-503719(JP,A)
【文献】Acta Neurologica Belgica,2019年06月12日,Vol.120,pp.71-82
【文献】Neuropharmacology,1996年,Vol.35, No.4,pp.475-481
【文献】痛みと臨床,2002年,Vol.2, No.2,pp.22-28 (pp.150-156)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/13
A61P 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のケタミンを含む、がん治療用化学療法剤によって誘発された、がんを患っている対象の悪液質の治療のための医薬組成物であって、
ケタミンの用量が、1週間あたり1-100mg/60kgである、医薬組成物
【請求項2】
ケタミンが、非経口投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
ケタミンが、悪液質による体重減少を改善する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
ケタミンが、対象の生存率を高める、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
化学療法剤が、フルオロウラシル(5-FU)である、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、米国特許法119条(e)の下に、2020年1月13日出願の米国仮出願第62/960,255号に対する優先権を主張する。上記出願の開示の全体は、参照することにより本出願に組み込まれる。
技術分野
本発明は、悪液質の治療におけるケタミンの使用に関する;特に、ケタミンは、5-FU治療によって引き起こされる悪液質の治療に使用される。
【背景技術】
【0002】
5-フルオロウラシル(5-FU)は、50年近くがん治療に使用されており、さまざまながんの治療に使用することができる。5-フルオロウラシルは、がんの治療には効果があるが、吐き気、嘔吐、下痢、粘膜炎症、頭痛、筋力低下、脱毛、心筋梗塞、または肺炎などの副作用も多く発生させる。したがって、5-FUを服用することは、がん患者にとって大きな負担である。
【0003】
悪液質(cachexia)(悪液質(cachexy)としても知られている)は、この病気によって引き起こされる複雑な代謝症候群である。代謝不良や神経性食欲不振症は、患者に異常な脱力感を引き起こすことが多く、主な症状は、筋力低下や体重減少などである。その他の症状には、アルブミンとヘモグロビンの減少、および炎症性因子(たとえば、インターロイキン-6(IL-6)および反応性タンパク質(CRP)など)の増加が含まれる。悪液質の筋肉消耗症状は、栄養素を供給するだけでは回復できない。食物摂取量を増やしたり、栄養摂取量を増やしても、患者の継続的な体重減少を防いだり止めたりすることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の治療法は、悪液質を引き起こす病気(がんなど)を治療することによってのみ症状を緩和することができるが、それらは効果がないことが多く、治癒するのが困難である。通常、悪液質の悪化は、筋活動、食欲を刺激または吐き気を軽減する薬の投与、栄養薬の直接投与、または他の支持療法によって緩和される。したがって、悪液質症候群を効果的に改善し、がん患者の生存率を改善することができる薬剤または方法を開発することが急務である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概略
本明細書で提供される態様は、悪液質の治療のための方法であり、治療有効量のケタミンを5-FUで治療された対象に投与することを含む。
【0006】
特定の実施形態では、ケタミンのヒト用量は、1週間あたり1-100mg/60kgである。
【0007】
特定の実施形態では、ケタミンは、非経口投与される。
【0008】
特定の実施形態では、治療は、悪液質による体重減少を改善する。
【0009】
特定の実施形態では、治療は、生存率を高める。
【0010】
本明細書で提供される別の態様は、5-FU、ケタミン、および薬学的に許容される担体を含む、がんの治療のための医薬組成物である;ここで、ケタミンのヒト用量は、1週間あたり1-100mg/60kgである。
【0011】
本明細書で提供される別の態様は、5-FUおよびケタミンを含む治療有効量の医薬組成物を必要とする対象に投与することを含む、がんの治療のための方法である。
【0012】
特定の実施形態では、ケタミンのヒト用量は、1週間あたり1-100mg/60kgである。
【0013】
特定の実施形態では、医薬組成物は、非経口投与される。
【0014】
特定の実施形態では、ケタミンと5-FUは、同時にまたは別々に投与される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の説明
以下の実施形態は、本開示の上記および他の技術的内容、特徴および効果を明確に示すために作成される。実施形態による説明を通じて、当業者は、上記で特定された態様を達成するために本開示が採用する技術的アプローチおよび効果を明確に理解するであろう。
【0016】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ定義を有する。
【0017】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「または」または「および」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的ではない。本明細書で使用されるセクション見出しは、構成の目的のためだけであり、記載された主題を限定するものとして解釈されるべきではない。特に明記しない限り、本明細書で使用されるすべての材料は市販されており、容易に入手することができる。
【0018】
本明細書で使用される「約」という用語は、1つの実施形態では特定の量に対する偏差±15%または±10%;好ましい実施形態では特定の量に対する偏差±5%;さらに好ましい実施形態では特定の量に対する偏差±1%;または最も好ましい実施形態では特定の量に対する偏差±0.1%を含む用量などの測定量を意味する;一方、量が関係する物質の性質は、それによって影響を受けない。
【0019】
5-フルオロウラシル(本明細書では5-FUと略称)は、ピリミジン類似体の一種であり、主に腫瘍の治療に使用される。現在、5-FUの作用機序は、チミジル酸シンターゼの機能を阻害することにより、DNA合成をさらに阻害すると考えられている。
【0020】
5-FUの副作用として、重度の脱水、骨髄抑制、腸炎、口腔潰瘍、皮膚炎、狭心症と心筋梗塞、急性腎不全、間質性肺炎、肝障害、黄疸、下痢などが挙げられる。5-FUはまた、急性中枢神経系損傷(白質脳症)および中枢神経系変性を引き起こす可能性がある。
【0021】
ケタミン(IUPAC:(R,S)-2-(2-クロロフェニル)-2-メチルアミノ-シクロヘキサン-1-オン)は、スペシャルKとしても知られ、非競合的NMDA受容体拮抗薬であり、1960年代から麻酔、鎮痛、および鎮静用に使用されてきた。ケタミンは、肝臓のシトクロムP450によって代謝され、NMDAを含むさまざまな受容体に結合して麻酔効果を生み出す。
【0022】
ケタミンは、グルタミン(中枢神経系の神経伝達物質)によって誘導されるNMDA受容体の活性化を阻害することができ、シナプス前ニューロンからのグルタミンの放出を阻害し、抑制性神経伝達物質GABAの効果を高めることもできる。
【0023】
本明細書において、「ケタミン」は、ラセミまたは鏡像異性的に濃縮された(たとえば、鏡像異性的に純粋な)形態を意味する場合がある。1つの実施形態では、本発明に記載のケタミンは、ラセミケタミンである。別の実施形態では、本発明に記載のケタミンは、鏡像異性的に濃縮されたケタミンである。特定の実施形態では、本発明に記載のケタミンは、S鏡像異性体またはR鏡像異性体である。
【0024】
本明細書では、薬物の投与量は、たとえば、体重1キログラムあたりに投与される薬物のグラム数(g/kg)または体重1キログラムあたりに投与される薬物のミリグラム数(mg/kg)などの体重1キログラム当たりに投与される薬物の重量として定義される。
【0025】
本明細書で使用される「約」または「およそ」という用語は、当業者によって理解される許容可能な偏差の程度を意味し、本文中での使用法により、ある程度変化する可能性がある。一般的に言えば、たとえば、「約」または「およそ」は、値の±10%、±5%、または±3%の範囲にある値を意味しうる。
【0026】
本明細書における用語「治療」、「改善」またはこれらに類似する用語は、治療または予防による、少なくとも1つの疾患症状または体調の緩和、軽減、または改善、新たな症状の予防、病気または生理的状態の抑制、病気の発症の予防または遅延化、病気または生理的状態の回復を引き起こすこと、病気によって引き起こされる生理的状態の遅延化、および 病気の症状または生理的状態の停止を含む。
【0027】
本明細書における悪液質(cachexia)(悪液質(cachexy)としても知られている)という用語は、持続的な重度の体重減少、食欲不振、脱力感、貧血、ならびにタンパク質、脂肪、および炭水化物の代謝異常によって引き起こされる症状を意味する。悪液質は、食欲不振、貧血、および体重減少を主な症状とする症候群として臨床的に定義されている。悪液質は、腫瘍、化学療法、食欲不振、重度の外傷、消化管吸収不良、体重減少、貧血、肥満、および重度の敗血症など、さまざまな状態で発生する可能性があり、その中で腫瘍誘発性悪液質が最も一般的であり、腫瘍悪液質と呼ばれる。
【0028】
本発明の医薬組成物は、対象における悪液質を治療するために使用することができる。具体的には、本発明の医薬組成物は、悪液質を発症する危険性があるか、または悪液質に関連する症状を経験している対象に投与して、悪液質の発生を回避するか、または悪液質の進行を改善または遅延させることができる。
【0029】
本明細書における「有効量」または「治療有効量」という用語は、患者が薬物を摂取した後に、1つまたは複数の疾患症状または生理学的状態を緩和することができる化合物または薬物の十分な量を意味する。結果として、徴候、症状、もしくは原因、または他の生理学的システムの意図的な変化を軽減および/または緩和することができる。たとえば、治療のための「有効量」には、臨床診療において疾患の症状を有意に軽減することができる、本発明によって提供される化合物の用量が含まれる。
【0030】
本発明によれば、治療有効量は、疾患の重症度、患者の年齢、患者の健康状態、がんの潜在的リスク、または他の要因に応じて変化する。
【0031】
本発明によれば、本明細書に記載の組成物および他の医薬成分は、同じ医薬組成物として投与する必要はなく、異なる物理的および化学的特性のために異なる方法で投与されてもよい。
【0032】
本明細書における用語「組成物」または「薬学的組成物」は、少なくとも1つの薬物および他の担体の混合物を意味する。担体には、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、賦形剤、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書における「薬学的に許容される」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題や合併症がなく、かなり合理的な利益/リスク比を有する、合理的な医学的判断の範囲内で、使用者(ヒトなど)の組織と接触して使用するのに適した化合物、組成物、および/または剤形を意味する。各担体は、他の製剤成分と適合しなければならないという条件で、「許容」される。
【0034】
本明細書における「担体」という用語は、細胞または組織が薬物を吸収するのを助ける機能を有する非毒性の化合物または薬物を意味する。
【0035】
適切な賦形剤の例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルボース、マンノース、デンプン、アカシア、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップおよびメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
組成物はさらに、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油などの滑沢剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁剤;たとえば、ヒドロキシ安息香酸メチルおよびプロピルなどの保存剤;甘味料;および香味料を含んでもよい。
【0037】
本発明によれば、本発明の薬物は、静脈内注射、経口投与、非経口投与、眼内投与、肺内投与、もしくは局所投与、またはこれらの投与経路の組み合わせを含むがこれらに限定されないさまざまな投与技術に適用することができる。
【0038】
本発明によれば、本発明の薬物は腹腔内注射に使用される。
【0039】
本発明によれば、医薬組成物は、トローチ、丸薬、粉末、ロゼンジ、サシェ、錠剤、エリキシル剤、懸濁液、エマルジョン、溶媒、シロップ、軟および硬ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射剤および包装粉末の形態であることができる。
【0040】
本発明は、治療有効量のケタミンを患者に投与することを含む、5-FUによって引き起こされる悪液質を治療するための方法を提供し、ここで、患者は5-FU治療を受けている。
【0041】
本発明はまた、5-FU治療を受けている患者に投与される、悪液質を改善するための薬剤を調製するためのケタミンの使用を提供する。
【0042】
好ましい実施形態では、薬物は、悪液質による体重減少を改善するために使用される。
【0043】
好ましい実施形態では、薬物は、生存率を改善するために使用される。
【0044】
本発明はまた、治療有効量の医薬組成物を患者に投与することを含む、がんを治療する方法を提供し、ここで、医薬組成物は、5-FU、ケタミン、および薬学的に許容される担体を含む。
【0045】
好ましい実施形態では、がんには、肛門がん、乳がん、結腸直腸がん、中咽頭がん、胃がん、膵臓がん、皮膚がん、または頭頸部がんが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
好ましい実施形態では、ケタミンおよび5-FUは、同時にまたは別々に患者に投与される。
【0047】
本発明はまた、5-FU、ケタミン、および薬学的に許容される担体を含む、がんを治療するための医薬組成物を提供する。
【0048】
好ましい実施形態では、医薬組成物中のケタミンの用量は、5-FUの用量の少なくとも約60%である。
【0049】
好ましい実施形態では、ケタミンのヒト用量は、1週間あたり1~100mg/60kgである。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、ケタミンのヒト用量は、1週間あたり1~50mg/60kgである。
【0051】
好ましい実施形態では、ケタミンのヒト用量は、1週間あたり約25mg/60kgである。
【0052】
抗がん剤であるカペシタビンは、経口で吸収され、組織内で5-FUに変換されて、抗がん作用を発揮する。したがって、特定の実施形態では、5-FUは、カペシタビンの形態で患者に投与することができる。
【0053】
ノルケタミン(IUPAC:(R,S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(アミン)シクロヘキサノン)は、脱メチル化後のケタミンの代謝産物であり、ケタミンよりも低く、遅い活性を有する。
【0054】
したがって、特定の実施形態では、ケタミンはノルケタミンの形態で患者に投与することができる。本明細書において、「ノルケタミン」は、ラセミ体または鏡面異性体(specular isomer)濃縮の形態(たとえば、純粋な鏡面異性)を意味する場合がある。
【実施例
【0055】
材料および方法
6~12週齢のマウス(国立実験動物センターより入手)を12時間明暗サイクルにて、温度24±1℃の恒温室で個別飼育した。
【0056】
マウスは4つのグループに分けられ、各グループには4匹のマウスが含まれた。
【0057】
5-FUを、マウス1キログラムあたり50mg(50mg/kg)の用量で製剤し、1日1回、3日間連続して腹腔内(i.p.)に注射した。
【0058】
さらに、ケタミンを15mg/kgまたは30mg/kgの用量で調製し、5-FUの最後の注射の24時間後にマウスの腹腔内に注射(i.p.)した。
【0059】
生理食塩水は、対照群と同様に5-FUおよびケタミンの担体として使用された。
【0060】
上記注射完了後、マウスの生存率、体重、および摂餌量を観察した。
【0061】
実験結果
この実施例の実験結果を表1~3に示す。
【0062】
結果から分かるように、すべての分のマウスは、50mg/kgの5-FUを腹腔内注射されたが、5-FU注射後17日目には、50mg/kgの5-FUと15mg/kgケタミンを注射された群の生存率はわずか25%であった。しかしながら、50mg/kg5-FUと30mg/kgケタミン群では、依然として100%の生存率がある。
【0063】
次に、食物摂取に関しては、対照群は235.2グラム(g)の食物を消費した(標準偏差:4.0)。5-FU注射群は189.6gの食物を摂取した(標準偏差:7.5)。5-FUとケタミンをそれぞれ与えられた2つの群は、同様の摂取量である。15mg/kgケタミン群は、215.0gの食物を摂取した(標準偏差:8.3)。ケタミン30mg/kg群は、219.1gの食物を摂取した(標準偏差:5.7)。
【0064】
さらに、体重変化に関しては、5-FU 50mg/kgとケタミン15mg/kgを注射した群のマウスは、5-FUのみを注射した群と同様に、平均19.9%の体重減少を示した。対照的に、5-FU 50mg/kgとケタミン30mg/kgの群では、体重減少はわずか 7.5% であり、対照群(0.2%の減少)のそれに近かった。
【0065】
表1:実験終了時の最終観察繰越(LOCF)集団におけるマウスの重量
【表1】
【0066】
表2:実験終了時のLOCF集団におけるマウスの体重変化
【表2】
【0067】
表3:実験終了時のLOCF集団におけるマウスの体重変化パーセント
【表3】
【0068】
本出願に開示された内容によれば、動物実験から、5-FU注射は体重減少、食物と水の摂取量の減少、および生存率の低下などの悪液質の症状と合併症を引き起こす可能性があり、ケタミンの併用は、上記の症状を改善する。したがって、当業者は本明細書から、ケタミンが5-FUによる悪液質の改善または治療に使用することができることを知りうる。
【0069】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態は例としてのみ提供され、組み合わせて実施できることは当業者には明らかであろう。当業者は、本開示から逸脱することなく、多くの変形、変更、および置換を思い付くであろう。本明細書に記載された開示の実施形態に対するさまざまな代替が、開示を実施する際に使用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本開示の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの均等物がそれによってカバーされることを意図している。