IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スペースデータの特許一覧

特許7353690情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
<>
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図1
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図2
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図3
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図4
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図5
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図6
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図7
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図8
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図9
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図10
  • 特許-情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/20 20110101AFI20230925BHJP
   G06T 15/00 20110101ALI20230925BHJP
【FI】
G06T19/20
G06T15/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023004740
(22)【出願日】2023-01-16
【審査請求日】2023-01-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522145100
【氏名又は名称】株式会社スペースデータ
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航陽
【審査官】粕谷 満成
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-049748(JP,A)
【文献】特開2011-191899(JP,A)
【文献】特開2020-095484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/20
G06T 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
画像またはテキストの少なくとも1つに関する入力情報を取得する手段、
三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで三次元CG(Computer Graphics)を生成するソフトウェアにおいて当該三次元CGの外観を制御する複数のパラメータの値を、前記入力情報に基づいて決定する手段、
決定した前記複数のパラメータの値を含むテイストファイルを作成する手段、
として機能させ、
前記複数のパラメータは、三次元モデルが配置される仮想空間における光、影、境界線、時間帯、空模様、雲、大気、または霧の少なくとも1つの表現を制御し、
前記複数のパラメータの値を決定する手段は、前記入力情報に基づくモデル入力データに少なくとも1つの学習済みモデルを適用することで、前記複数のパラメータの値を決定する、
プログラム。
【請求項2】
前記取得する手段は、前記入力情報を含む、テイストファイルの作成要求を取得し、
前記コンピュータを、前記作成要求に対する応答として前記テイストファイルを出力する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記取得する手段は、前記入力情報と前記三次元モデルを特定可能な情報とを含む、三次元CGの生成要求を取得し、
前記コンピュータを、
前記テイストファイルに含まれる前記複数のパラメータの値を前記ソフトウェアに設定し、当該ソフトウェアによって前記三次元モデルに対応する三次元CGを生成する手段、
前記生成要求に対する応答として、前記三次元CGを出力する手段、
として機能させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記取得する手段は、前記作成する手段によって作成されたテイストファイルを含む複数の利用可能テイストファイルのうちユーザによって選択されたテイストファイルを特定可能な情報と、前記三次元モデルを特定可能な情報とを含む、三次元CGの生成要求を取得し、
前記コンピュータを、
前記ユーザによって選択されたテイストファイルに含まれる前記複数のパラメータの値を前記ソフトウェアに設定し、当該ソフトウェアによって前記三次元モデルに対応する三次元CGを生成する手段、
前記生成要求に対する応答として、前記三次元CGを出力する手段、
として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、
前記三次元CGと、当該三次元CGを生成するために前記ソフトウェアに設定されている前記複数のパラメータの値を編集するためのユーザ指示を受け付けるための情報とを表示する手段、
前記ユーザ指示に応じて、編集前の前記複数のパラメータの値が記述されたテイストファイルを編集結果によって上書きする、または編集結果を新たなテイストファイルとして保存する手段、
として機能させる、請求項3または請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記三次元CGを生成する手段は、前記編集結果によって上書きされたテイストファイル、または前記新たなテイストファイルに含まれる前記複数のパラメータの値を前記ソフトウェアに設定し、当該ソフトウェアによって前記三次元モデルに対応する三次元CGを新たに生成する、
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記複数のパラメータの値を決定する手段は、複数の学習用の入力情報と、当該複数の学習用の入力情報の各々に対して定められた第1パラメータの正解値と用いた教師あり学習により構築された第1学習済みモデルを用いて前記第1パラメータの値を決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記入力情報を取得する手段は、指定されたテキストに基づき検索エンジンによって行われた検索の結果に含まれる画像情報の特徴量を入力情報として取得する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
画像またはテキストの少なくとも1つに関する入力情報を取得する手段と、
三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで三次元CG(Computer Graphics)を生成するソフトウェアにおいて当該三次元CGの外観を制御する複数のパラメータの値を、前記入力情報に基づいて決定する手段と、
決定した前記複数のパラメータの値を含むテイストファイルを作成する手段と
を具備
前記複数のパラメータは、三次元モデルが配置される仮想空間における光、影、境界線、時間帯、空模様、雲、大気、または霧の少なくとも1つの表現を制御し、
前記複数のパラメータの値を決定する手段は、前記入力情報に基づくモデル入力データに少なくとも1つの学習済みモデルを適用することで、前記複数のパラメータの値を決定する、
情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
画像またはテキストの少なくとも1つに関する入力情報を取得するステップと、
三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで三次元CG(Computer Graphics)を生成するソフトウェアにおいて当該三次元CGの外観を制御する複数のパラメータの値を、前記入力情報に基づいて決定するステップと、
決定した前記複数のパラメータの値を含むテイストファイルを作成するステップと
を実行
前記複数のパラメータは、三次元モデルが配置される仮想空間における光、影、境界線、時間帯、空模様、雲、大気、または霧の少なくとも1つの表現を制御し、
前記複数のパラメータの値を決定するステップでは、前記入力情報に基づくモデル入力データに少なくとも1つの学習済みモデルを適用することで、前記複数のパラメータの値を決定する、
方法。
【請求項11】
第1情報処理装置と、第2情報処理装置とを具備するシステムであって、
前記第1情報処理装置は、画像またはテキストの少なくとも1つに関する入力情報を前記第1情報処理装置から取得する手段と、
三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで三次元CG(Computer Graphics)を生成するソフトウェアにおいて当該三次元CGの外観を制御する複数のパラメータの値を、前記入力情報に基づいて決定する手段と、
決定した前記複数のパラメータの値を含むテイストファイルを作成する手段と
を備え、
前記複数のパラメータは、三次元モデルが配置される仮想空間における光、影、境界線、時間帯、空模様、雲、大気、または霧の少なくとも1つの表現を制御し、
前記複数のパラメータの値を決定する手段は、前記入力情報に基づくモデル入力データに少なくとも1つの学習済みモデルを適用することで、前記複数のパラメータの値を決定する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばUnity(登録商標)などのソフトウェアを用いることで、多様な三次元CG(Computer Graphics)を生成することができる。他方、これらのソフトウェアでは、膨大な数のグラフィカル関連のパラメータが用意されている。このため、思い通りの表現の三次元CGを生成するには、パラメータに関して十分な知識・スキルを有する熟練者がかかるパラメータの試行錯誤を行うことが必要となる。
【0003】
特許文献1には、照明手段により実物体を照明し、この実物体による反射光を受光素子により受光させ、この受光素子からの出力信号に基づいて実物体の表面属性を推定すること、推定した表面属性に基づいて三次元コンピュータグラフィクスに適用される表面属性データを作成することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-216969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術思想は、実物体を忠実に再現した三次元CGの生成に役立つ可能性がある。しかしながら、架空の物体の三次元CGや、実物体にデフォルメなどのアレンジを加えた三次元CGを思い通りに生成するには依然として熟練者によるパラメータの試行錯誤が必要となる。
【0006】
本開示の目的は、三次元CGの表現様式の調整を容易にするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、画像またはテキストの少なくとも1つに関する入力情報を取得する手段、三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで三次元CG(Computer Graphics)を生成するソフトウェアにおいて当該三次元CGの外観を制御する複数のパラメータの値を、入力情報に基づいて決定する手段、決定した複数のパラメータの値を含むテイストファイルを作成する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態の一態様の説明図である。
図5】テイストファイルの説明図である。
図6】本実施形態のテイストファイルのデータ構造を示す図である。
図7】本実施形態のテイストファイル作成処理のフローチャートである。
図8】本実施形態のテイストファイル編集処理のフローチャートである。
図9】本実施形態のテイストファイル編集処理において表示される画面例を示す図である。
図10】変形例1の三次元CG生成処理のフローチャートである。
図11】変形例2の三次元CG生成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、クライアント装置10と、サーバ30とを備える。
クライアント装置10及びサーバ30は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0012】
クライアント装置10は、サーバ30にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。クライアント装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0013】
サーバ30は、クライアント装置10から送信されたリクエストに応じたレスポンスをクライアント装置10に提供する情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、サーバコンピュータである。
【0014】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。図2は、本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
図2に示すように、クライアント装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。クライアント装置10は、ディスプレイ21に接続される。
【0016】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0017】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0018】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0019】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0020】
入出力インタフェース13は、クライアント装置10に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、クライアント装置10に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0021】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0022】
通信インタフェース14は、クライアント装置10と外部装置(例えばサーバ30)との間の通信を制御するように構成される。
【0023】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0024】
(1-2)サーバの構成
サーバの構成について説明する。図3は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0025】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0026】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0027】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0028】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0029】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0030】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0031】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0032】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えばクライアント装置10)との間の通信を制御するように構成される。
【0033】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。図4は、本実施形態の一態様の説明図である。図5は、テイストファイルの説明図である。
【0034】
図4に示すように、サーバ30は、クライアント装置10から入力情報IN1を取得する。入力情報IN1は、画像(複数の画像、または1以上の動画を含み得る)、テキスト(つまり文字列)、またはそれらの組み合わせに関する。一例として、入力情報IN1は、ユーザが三次元CGに取り入れたいと考える表現様式の参考資料となるコンテンツ(例えばイラスト、コミック、アニメーション、映画、またはビデオゲーム、など)を構成する画像であってよい。
【0035】
サーバ30は、入力情報IN1に基づいて複数のパラメータの値を決定する。これら複数のパラメータは、所定のソフトウェアにおいて三次元CG(Computer Graphics)の外観を制御するために用いられる。所定のソフトウェアは、三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで三次元CGを生成する機能を備える。所定のソフトウェアは、典型的には、Unity、Unreal Engine(登録商標)などのゲームエンジンであるが、これに限られない。
【0036】
サーバ30は、例えば後述するパラメータ予測モデルを、入力情報IN1に基づくモデル入力データに適用することで、入力情報IN1のテイストを再現するように各パラメータの値を最適化する。ここで、テイストとは、仮想空間の表現様式を意味している。テイストは、仮想空間のベース設定(静的要素)と仮想空間の環境設定(動的要素)との少なくとも1つを含む。
【0037】
仮想空間のベース設定は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・写実的な表現とデフォルメ風(例えばコミック・アニメーションのように物体の境界線(縁)や色味をはっきりと表現するか)な表現とのバランス
・物体の境界線の有無、および濃淡
・色味(ダーク系、パステルカラー、原色系など)
【0038】
仮想空間の環境設定は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・時間帯(例えば、明け方、日中、夕暮れ、夜間など)
・季節(例えば、春夏秋冬など)
・気象条件(例えば、天気、大気の状態など)
・地域(例えば、欧米、アジア、アフリカなど)
・時代(例えば、中世、江戸時代など)
【0039】
そして、サーバ30は、決定した複数のパラメータの値を含むテイストファイルTF2を作成する。このようにして作成されたテイストファイルTF2は、所定のソフトウェアによって、前述の入力情報IN1のテイストを継承した三次元CGを生成するために利用可能である。
【0040】
具体的には、テイストファイルTF2がクライアント装置10に提供されたとする。この場合、図5に示すように、クライアント装置10は、三次元モデルTG3を取得する。クライアント装置10は、所定のソフトウェアにより、テイストファイルTF2に記述された複数のパラメータの値を設定(つまり、テイストファイルTF2をインポート)し、三次元モデルTG3に対してレンダリング処理を行うことで、三次元CG TG4を生成する。このように、本実施形態によれば、ユーザは、参考資料と三次元CG TG4とを見比べながらパラメータの試行錯誤を行わずとも、三次元CG TG4に入力情報IN1のテイストを容易に反映させることができる。つまり、本実施形態によれば、三次元CGの表現様式の調整が容易となる。
【0041】
(3)テイストファイル
本実施形態のテイストファイルについて説明する。図6は、本実施形態のテイストファイルのデータ構造を示す図である。
【0042】
テイストファイルには、所定のソフトウェアによって用いられる複数のパラメータの値が記述される。図6に示すように、テイストファイルは、光関連パラメータと、影関連パラメータと、境界線関連パラメータと、色味関連パラメータと、反射関連パラメータと、空模様関連パラメータと、雲関連パラメータと、大気関連パラメータと、時間帯関連パラメータとを含むことができる。テイストファイルの具体的なデータ構造は、所定のソフトウェアの仕様に依存するので、テイストファイルは図6に示されているパラメータの全部または一部を含まなくてもよいし、図6に示されてないパラメータを含んでもよい。さらに、テイストファイルは、所定のソフトウェアによって定められたパラメータのうち一部(例えば、入力情報に関連するパラメータのみ)についての値のみ記述されてもよい。
【0043】
光関連パラメータは、1つまたは複数の光パラメータを含む。光関連パラメータに含まれる光パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。光パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間の光の表現を制御する。一例として、光パラメータは、以下の少なくとも1つを制御する。
・光源の数、種類、位置、または姿勢
・光源から発せられる光の強度、放射特性、または波長
【0044】
影関連パラメータは、1つまたは複数の影パラメータを含む。影関連パラメータに含まれる影パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。影パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間に配置される物体に生じる影の表現を制御する。一例として、影パラメータは、影の方向、大きさ、または濃淡の少なくとも1つを制御する。
【0045】
境界線関連パラメータは、1つまたは複数の境界線パラメータを含む。境界線関連パラメータに含まれる境界線パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。境界線パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間に配置される物体の境界線(縁)の表現を制御する。一例として、境界線パラメータは、境界線の有無、濃淡、色、または太さの少なくとも1つを制御する。
【0046】
色味関連パラメータは、1つまたは複数の色味パラメータを含む。色味関連パラメータに含まれる色味パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。色味パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間に配置される物体の色味の表現を制御する。一例として、色味パラメータは、物体に対して使用可能な色(カラーパレット)を制御する。
【0047】
反射関連パラメータは、1つまたは複数の反射パラメータを含む。反射関連パラメータに含まれる反射パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。反射パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間に配置される物体の反射の表現を制御する。一例として、反射パラメータは、物体表面の光の反射率を制御する。
【0048】
空模様関連パラメータは、1つまたは複数の空模様パラメータを含む。空模様関連パラメータに含まれる空模様パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。空模様パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間の空模様の表現を制御する。一例として、空模様パラメータは、仮想空間に適用する天候(例えば、晴天、曇天、雨、雷、または雪など)を制御する。
【0049】
雲関連パラメータは、1つまたは複数の雲パラメータを含む。雲関連パラメータに含まれる雲パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。雲パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間に配置される雲の表現を制御する。一例として、雲パラメータは、雲の数、種類、形状、大きさ、位置、または姿勢の少なくとも1つを制御する。
【0050】
大気関連パラメータは、1つまたは複数の大気パラメータを含む。大気関連パラメータに含まれる大気パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。大気パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間の大気の表現を制御する。一例として、大気パラメータは、以下の少なくとも1つを制御する。
・大気中の粒子(例えば、砂、ホコリなど)の密度、または各粒子の種類、形状、大きさ、色、もしくは重さ
・大気中の風の速度、または方向
【0051】
霧関連パラメータは、1つまたは複数の霧パラメータを含む。霧関連パラメータに含まれる霧パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。霧パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間の霧の表現を制御する。一例として、霧パラメータは、霧の密度、または各水粒の形状、色、大きさ、もしくは重さを制御する。
【0052】
時間帯関連パラメータは、1つまたは複数の時間帯パラメータを含む。時間帯関連パラメータに含まれる時間帯パラメータの詳細は、所定のソフトウェアの仕様に依存する。時間帯パラメータは、テイストファイルが適用される仮想空間の時間帯の表現を制御する。一例として、時間帯パラメータは、時間帯の種類(例えば、明け方、日中、夕暮れ、夜間など)を制御する。
【0053】
サーバ30によって作成されたテイストファイルは、例えば記憶装置31またはサーバ30がアクセス可能な記憶装置に保存される。また、サーバ30は、作成したテイストファイルをクライアント装置10へ送信してもよく、この場合にテイストファイルは記憶装置11またはクライアント装置10がアクセス可能な記憶装置に保存され得る。
【0054】
(4)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
【0055】
(4-1)テイストファイル作成処理
本実施形態のテイストファイル作成処理について説明する。図7は、本実施形態のテイストファイル作成処理のフローチャートである。
【0056】
本実施形態のテイストファイル作成処理は、例えば、クライアント装置10がサーバ30にアクセスし、テイストファイルの作成サービスの利用を申し込んだことに応じて開始し得る。
【0057】
図7に示すように、クライアント装置10は、ユーザ指示の受付(S110)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ユーザからテイストファイルを作成するためのユーザ指示を受け付ける。例えば、クライアント装置10は、ユーザから、テイストファイルの基礎となる画像を指定するユーザ指示、またはテイストファイルのコンセプトを表すテキストを指定するユーザ指示を受け付ける。クライアント装置10は、ユーザ指示に基づいて入力情報を取得する。
【0058】
一例として、クライアント装置10は、以下の少なくとも1つを入力情報として取得してよい。
・ユーザによって指定された画像
・ユーザによって指定された画像から抽出された特徴量
・ユーザによって指定されたテキスト
・ユーザによって指定されたテキストから抽出された特徴量
・ユーザによって指定されたテキストを用いてインターネットまたは他のデータソースを検索した結果に含まれる画像(以下、「検索画像」という)
・検索画像から抽出された特徴量
なお、特徴量の抽出、または画像検索は、クライアント装置10の代わりにサーバ30によって実行されてもよい。
【0059】
ステップS110の後に、クライアント装置10は、テイストファイルの作成要求(S111)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、少なくとも、ステップS110において取得した入力情報を含む、テイストファイルの作成要求を生成する。クライアント装置10は、生成した要求をサーバ30へ送信する。
テイストファイルの作成要求は、テイストファイルを使用するソフトウェアを特定可能な情報をさらに含んでもよい。
【0060】
ステップS111の後に、サーバ30は、入力情報の取得(S130)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS111においてクライアント装置10によって送信された作成要求を受信する。サーバ30は、作成要求に基づいて入力情報を取得する。
ここで、サーバ30は、前述の特徴量の抽出、または画像検索を行ってもよい。
【0061】
ステップS130の後に、サーバ30は、パラメータ値の決定(S131)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS130において取得した入力情報(特に、画像(検索画像を含み得る)の特徴量、またはテキストの特徴量)に、パラメータ予測モデルを適用することで、パラメータの値を決定する。
【0062】
ここで、パラメータ予測モデルは、大量(例えば数千程度)の教師データを用いた教師あり学習によって構築することができる。パラメータ予測モデルは、テイストファイルを構成するパラメータ毎もしくはパラメータ群(例えば光パラメータを構成する一群のパラメータ)毎に構築されてもよいし、テイストファイルを構成する複数のパラメータまたは複数のパラメータ群に亘って共通に構築されてもよい。また、パラメータ予測モデル毎に異なるモデル入力データが生成されてよい。各教師データは、学習用の画像(様々なテイストで表現された画像)またはテキスト(様々なテイストを連想させるテキスト)に基づく学習用入力データと、当該学習用入力データから予測すべきパラメータ値(正解)を表す正解データとを含む。パラメータ予測モデルは、サーバ30上に構築されてもよいし、外部装置(例えばクラウドサーバ)上に構築されてもよい。
【0063】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに光関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき光パラメータの値を決定する。
【0064】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに影関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき影パラメータの値を決定する。
【0065】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに境界線関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき境界線パラメータの値を決定する。
【0066】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに色味関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき色味パラメータの値を決定する。
【0067】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに反射関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき反射パラメータの値を決定する。
【0068】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに空模様関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき空模様パラメータの値を決定する。
【0069】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに雲関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき雲パラメータの値を決定する。
【0070】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに大気関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき大気パラメータの値を決定する。
【0071】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに霧関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき霧パラメータの値を決定する。
【0072】
サーバ30は、例えば、モデル入力データに時間帯関連パラメータ予測モデルを適用することで、テイストファイルに記述されるべき時間帯パラメータの値を決定する。
【0073】
ステップS131の後に、サーバ30は、テイストファイルの作成(S132)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS131において決定したパラメータ値を含むテイストファイルを作成する。
【0074】
ステップS132の後に、サーバ30は、テイストファイルの出力(S133)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS132において作成したテイストファイルをステップS111における作成要求に対する応答として、クライアント装置10へ送信する。
【0075】
ステップS133の後に、クライアント装置10は、テイストファイルのインポート(S112)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS133においてサーバ30によって送信されたテイストファイルを受信する。クライアント装置10は、所定のソフトウェアに、受信したテイストファイルに記載されたパラメータ値を設定する。所定のソフトウェアは、ステップS112の段階で起動されてもよいし、ステップS112の開始前に起動されていてもよい。
【0076】
ステップS112の後に、クライアント装置10は、三次元CGの生成(S113)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS112において設定したパラメータ値に基づいて、ユーザによって指定された三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで、入力情報に応じたテイストで表現された三次元CGを生成する。
ステップS113を以て、クライアント装置10は、図7に示すテイストファイル作成処理を終了する。なお、本処理は、テイストファイルの提供に留めてもよく、この場合に、クライアント装置10はステップS133においてサーバ30によって送信されたテイストファイルを受信し、当該テイストファイルを記憶装置11に保存したことを以て本処理を終了してもよい。
【0077】
(4-2)テイストファイル編集処理
本実施形態のテイストファイル編集処理について説明する。図8は、本実施形態のテイストファイル編集処理のフローチャートである。図9は、本実施形態のテイストファイル編集処理において表示される画面例を示す図である。
【0078】
図8に示すテイストファイル編集処理は、例えば、テイストファイルのユーザ(例えば、図7に示すテイストファイル作成処理によって生成されたテイストファイルの提供を有償または無償で受けた者)が、クライアント装置10に所定の操作を行ったことに応じて開始する。
【0079】
なお、本処理は、様々な形態で実行可能である。第1例として、サーバ30が、クライアント装置10からの要求に応じて本処理を実行してもよい。第2例として、テイストファイルはユーザ環境(クライアント装置10、またはユーザが利用するクラウド環境を含む)において保存され、クライアント装置10またはユーザ環境内のサーバ(クラウドサーバを含む)が本処理を実行してもよい。以降の説明では、クライアント装置10が本処理を実行することを前提に述べるが、「クライアント装置10」を、「サーバ30」または「ユーザ環境内のサーバ」として適宜読み替えることができる。
【0080】
図8に示すように、クライアント装置10は、モデリング・レンダリング(S210)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、編集対象となるテイストファイルが適用される仮想空間に配置される物体に対応する属性情報を読み込み、所定のソフトウェアを実行することで当該属性情報から物体の三次元モデルを生成(モデリング)する。そして、クライアント装置10は、所定のソフトウェアに編集対象となるテイストファイルを設定し、上記三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで、三次元CGを生成する。
【0081】
ここで、三次元モデルを生成するためのベースとなる属性情報は、様々な定義が可能である。第1例として、物品の三次元モデルの場合に、属性情報は、当該物品を構成する要素(部分)の位置関係、形状、光学的特性、色、または付属物に関する情報を含むことができる。なお、物品とは、有体物である動産を意味する。物品は、人工物は勿論、自然物(例えば、植物、動物、石、など)、または自然物を加工した物を含み得る。人工物は、工業製品は勿論、美術品(例えば、彫刻、絵画、等)を含み得る。第2例として、建物の三次元モデルの場合に、属性情報は、当該建物の高さ、形状、側面構造、上面構造、看板、色、または建築資材に関する情報を含むことができる。第3例として、土地の三次元モデルの場合に、属性情報は、当該土地の地形、地面、または利用(土地用途)に関する情報を含むことができる。第4例として、道路・鉄道の三次元モデルの場合に、属性情報は、当該道路・鉄道の形状、または車線数に関する情報を含むことができる。
【0082】
ステップS210の後に、クライアント装置10は、三次元CGの表示(S211)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS210において生成した三次元CGと、編集対象となるテイストファイルに対する編集指示をユーザから受け付けるためのUI(User Interface)とをディスプレイ21に表示する。一例として、クライアント装置10は、図9に示す画面をディスプレイ21に表示する。
【0083】
図9に示す画面は、オブジェクトJ21~J25を含む。
オブジェクトJ21は、ステップS210において生成した三次元CGを表示する。クライアント装置10は、オブジェクトJ21に対するユーザ指示に応じて、三次元CGをロール軸、ピッチ軸、もしくはヨー軸周りの回転、または拡大もしくは縮小して当該オブジェクトJ21に表示する。オブジェクトJ21は、テイストファイルが適用される仮想空間全体に対応する三次元CGと、各物体に対応する三次元CGと、各物体を構成する一部の要素に対応する三次元CGとの表示を例えばユーザ指示に応じて切り替えてもよい。
また、各物体に対応する三次元CGがオブジェクトJ21上で選択されている場合に、クライアント装置10は当該物体の三次元モデル(属性情報)に対する編集指示を受け付けてもよい。各物体を構成する一部の要素に対応する三次元CGがオブジェクトJ21上で選択されている場合に、クライアント装置10は当該要素の三次元モデル(属性情報)に対する編集指示を受け付けてもよい。
【0084】
オブジェクトJ22は、編集対象となるテイストファイルに記述されている各パラメータの値を表示するとともに、当該パラメータの値を編集する指示を受け付ける。クライアント装置10は、編集指示を受け付けるために種々の入力フォーム(例えば、テキストフィールド、メニュー、チェックボックス、ラジオボタン、など)をオブジェクトJ22上に配置することができる。ユーザは、クライアント装置10の入力デバイスを操作することで、所望の編集指示をクライアント装置10に与える。クライアント装置10は、オブジェクトJ22において受け付けた編集指示に応じて、編集対象となるテイストファイルに記述されている、対応するパラメータ値を(一時的に)更新し、更新されたパラメータ値に基づく三次元CGをオブジェクトJ21に表示する。これにより、ユーザは、パラメータの値の編集に伴う三次元CGの見た目の変化を確認しながら、テイストファイルを自由にカスタマイズすることができる。
【0085】
ユーザは、オブジェクトJ22に対して例えば以下の編集指示を行うことができる。
・光関連パラメータの編集
・影関連パラメータの編集
・境界線関連パラメータの編集
・色味関連パラメータの編集
・反射関連パラメータの編集
・空模様関連パラメータの編集
・雲関連パラメータの編集
・大気関連パラメータの編集
・霧関連パラメータの編集
・時間帯関連パラメータの編集
【0086】
オブジェクトJ23は、入力情報を追加するためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ23が選択されると、クライアント装置10は、編集対象のテイストファイルを、追加された入力情報に基づいて修正する。
第1例として、クライアント装置10は、編集対象のテイストファイルを作成するために用いられた入力情報と、追加された入力情報とを、テイストファイルの生成要求に含めて、本実施形態のテイストファイル作成処理を実行することで、編集対象のテイストファイルの修正版を取得してもよい。
第2例として、クライアント装置10は、追加された入力情報をテイストファイルの作成要求に含め、本実施形態のテイストファイル作成処理を実行することで、当該入力情報に基づく追加のテイストファイルを取得する。そして、クライアント装置10は、追加のテイストファイルに記述されたパラメータ値と、編集対象のテイストファイルに記述されたパラメータ値とをブレンド(重み付き平均または単純平均)することで、編集対象のテイストファイルを修正する。
【0087】
オブジェクトJ24は、三次元モデルに対する1つ前の編集指示を取り消す指示を受け付ける。ユーザは、クライアント装置10の入力デバイスを操作してオブジェクトJ24を選択することで、取消指示をクライアント装置10に与える。クライアント装置10は、取消指示を受けると、1つ前の編集指示を取り消す。これにより、テイストファイルに記述されるパラメータ値は、1つ前の編集指示がなされる前の状態に戻る。
【0088】
オブジェクトJ25は、テイストファイルの編集を確定する指示を受け付ける。ユーザは、クライアント装置10の入力デバイスを操作してオブジェクトJ25を選択することで、確定指示をクライアント装置10に与える。クライアント装置10は、確定指示を受けると、確定指示時における最新のテイストファイル(つまり、一連の有効な編集指示を反映したテイストファイル)によって、編集対象のテイストファイルを上書きする。これにより、テイストファイルの編集が確定する。なお、上書きを行うことは必須でなく、クライアント装置10は、編集対象のテイストファイルとは別に編集後のテイストファイルを保存してもよい。これにより、編集前(オリジナル)のテイストファイルと編集後のテイストファイルとを併存させることができる。
【0089】
ステップS211においてテイストファイルの編集が確定する(例えば、オブジェクトJ25の選択が検出される)前にユーザが編集指示(例えば、オブジェクトJ22に対する操作)を行うと、クライアント装置10は、編集指示の取得(S212)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、選択されたオブジェクト、または当該オブジェクトが保持する値に応じて、編集指示(例えば、編集対象となる属性情報、および当該属性情報の編集値)を取得する。
【0090】
ステップS212の後に、クライアント装置10は、テイストファイルの更新(S213)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS212において取得した編集指示を反映するように、編集対象のテイストファイルを更新する。
ステップS213の後に、クライアント装置10は、モデリング・レンダリング(S210)、および三次元CGの表示(S211)を再実行する。つまり、クライアント装置10は、更新されたテイストファイルを再設定し、三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで三次元CGを新たに生成し、当該三次元CGを表示する。これにより、ステップS212において取得した編集指示が反映された三次元CGをユーザに提示することができる。
【0091】
他方、ステップS211においてテイストファイルの編集が確定した場合に、クライアント装置10は、テイストファイルの保存(S214)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、最新のテイストファイルを記憶装置11に保存する。
ステップS214を以て、クライアント装置10は、図8に示すテイストファイル編集処理を終了する。
【0092】
サーバ30は、指定されたテキストに基づき検索エンジンによって行われた検索の結果に含まれる画像情報の特徴量を入力情報として取得してもよい。これにより、ユーザがテキストを指定した場合にも、画像を指定した場合と同様の処理によりテイストファイルを作成することができる。
【0093】
(5)小括
以上説明したように、本実施形態のサーバ30は、三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで三次元CGを生成するソフトウェアにおいて当該三次元CGの外観を制御する複数のパラメータの値を、画像またはテキストの少なくとも1つに関する入力情報に基づいて決定する。サーバ30は、決定した複数のパラメータの値を含むテイストファイルを作成する。これにより、ユーザは、パラメータの試行錯誤を行わずとも、三次元CGに所望のテイストを反映させるためのテイストファイルを容易に作成することができる。
【0094】
サーバ30は、入力情報を含む、テイストファイルの作成要求を取得し、当該作成要求に対する応答としてテイストファイルを出力してもよい。これにより、ユーザは、入力情報を指定するだけで、三次元CGに当該入力情報に応じたテイストを反映させるためのテイストファイルを容易に入手することができる。
【0095】
クライアント装置10(またはサーバ30)は、三次元CGと、当該三次元CGを生成するためにソフトウェアに設定されている複数のパラメータの値を編集するためのユーザ指示を受け付けるための情報とを表示してもよい。クライアント装置10(またはサーバ30)は、ユーザ指示に応じて、編集前の複数のパラメータの値が記述されたテイストファイルを編集結果によって上書きし、または編集結果を新たなテイストファイルとして保存してもよい。これにより、ユーザは、入力情報に基づいて作成されたテイストファイルが三次元CGに反映された結果の視覚的に確認し、当該テイストファイルに記述されるパラメータの値の微調整することで、テイストの品質を高めることができる。
【0096】
クライアント装置10(またはサーバ30)は、編集結果によって上書きされたテイストファイル、または新たなテイストファイルに含まれる複数のパラメータの値をソフトウェアに設定し、当該ソフトウェアによって三次元モデルに対応する三次元CGを新たに生成してもよい。これにより、ユーザは、テイストファイルを更新したことによる、三次元CGの外観への影響を即座かつ容易に確認し、パラメータ値の微調整を効率的に行うことができる。
【0097】
複数のパラメータは、三次元モデルが配置される仮想空間における光、影、境界線、色味、反射、時間帯、空模様、雲、大気、または霧の少なくとも1つの表現を制御してもよい。これにより、テイストファイルを介して仮想空間の様々な要素の表現を制御することができる。
【0098】
サーバ30は、入力情報に基づくモデル入力データに少なくとも1つの学習済みモデル(パラメータ予測モデル)を適用することで、複数のパラメータの値を決定してもよい。これにより、パラメータの最適化ロジックを作り込まずとも、パラメータの値を妥当に決定することができる。
【0099】
サーバ30は、複数の学習用の入力情報と、当該複数の学習用の入力情報の各々に対して定められた第1パラメータの正解値と用いた教師あり学習により構築された第1学習済みモデルを用いて第1パラメータの値を決定してもよい。これにより、第1パラメータの最適化ロジックを作り込まずとも、第1パラメータの値を学習内容に応じて決定することができる。
【0100】
(6)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0101】
(6-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、作成したテイストファイルではなく当該テイストファイルに基づいて生成した三次元CGをユーザに提供する例である。
【0102】
変形例1の三次元CG生成処理について説明する。図10は、変形例1の三次元CG生成処理のフローチャートである。
【0103】
変形例1の三次元CG生成処理は、例えば、クライアント装置10がサーバ30にアクセスし、三次元CGの生成サービスの利用を申し込んだことに応じて開始し得る。
【0104】
図10に示すように、クライアント装置10は、ユーザ指示の受付(S310)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ユーザから三次元CGを生成(テイストファイルの作成を含む)するためのユーザ指示を受け付ける。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS110(図7)と同様に、ユーザ指示に基づいて入力情報を取得する。
【0105】
さらに、クライアント装置10は、作成したテイストファイルが適用される仮想空間に配置される三次元モデルを特定可能な情報(例えば、三次元モデルに対応する属性情報、または当該属性情報が格納されている場所を示す情報)を指定するユーザ指示を受け付ける。
【0106】
ステップS310の後に、クライアント装置10は、三次元CGの生成要求(S311)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、少なくとも、ステップS310において取得した入力情報と三次元モデルを特定可能な情報とを含む、三次元CGの生成要求を生成する。クライアント装置10は、生成した要求をサーバ30へ送信する。
三次元CGの生成要求は、三次元CGを生成する(つまり、テイストファイルを使用する)ソフトウェアを特定可能な情報をさらに含んでもよい。
【0107】
ステップS311の後に、サーバ30は、情報の取得(S330)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS311においてクライアント装置10によって送信された生成要求を受信する。サーバ30は、生成要求に基づいて入力情報と三次元モデルを特定可能な情報とを取得する。
ここで、サーバ30は、前述の特徴量の抽出、または画像検索を行ってもよい。
【0108】
ステップS330の後に、サーバ30は、図7と同様に、パラメータ値の決定(S131)~
テイストファイルの作成(S132)を実行する。
【0109】
ステップS132の後に、サーバ30は、テイストファイルのインポート(S333)を実行する。
具体的には、サーバ30は、所定のソフトウェアに、ステップS132において作成したテイストファイルに記載されたパラメータ値を設定する。所定のソフトウェアは、ステップS333の段階で起動されてもよいし、ステップS333の開始前に起動されていてもよい。
【0110】
ステップS333の後に、サーバ30は、三次元CGの生成(S334)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS333において設定したパラメータ値に基づいて、ステップS330において取得した情報に対応する三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで、入力情報に応じたテイストで表現された三次元CGを生成する。サーバ30は、生成した三次元CGをステップS311における生成要求に対する応答としてクライアント装置10へ送信する。
【0111】
ステップS334の後に、クライアント装置10は、画面表示(S312)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS334においてサーバ30によって送信された三次元CGを受信する。クライアント装置10は、三次元CGをディスプレイ21に表示する。
【0112】
ステップS312を以て、クライアント装置10は、図10に示す三次元CG生成処理を終了する。
【0113】
以上説明したように、変形例1のサーバ30は、入力情報と三次元モデルを特定可能な情報とを含む、三次元CGの生成要求を取得してもよい。サーバ30は、作成したテイストファイルに含まれる複数のパラメータの値をソフトウェアに設定し、当該ソフトウェアによって三次元モデルに対応する三次元CGを生成し、当該三次元CGを生成要求に対する応答として出力してもよい。これにより、ユーザはパラメータの試行錯誤を行わずとも、指定した三次元モデルに所望のテイストが反映された三次元CGを入手することができる。
【0114】
(6-2)変形例2
変形例2について説明する。変形例2は、作成済みのテイストファイルの選択をユーザから受け付け、選択されたテイストファイルに基づいて生成した三次元CGをユーザに提供する例である。
【0115】
変形例2の三次元CG生成処理について説明する。図11は、変形例2の三次元CG生成処理のフローチャートである。
【0116】
変形例2の三次元CG生成処理は、例えば、クライアント装置10がサーバ30にアクセスし、三次元CGの生成サービスの利用を申し込んだことに応じて開始し得る。
【0117】
図11に示すように、クライアント装置10は、ユーザ指示の受付(S410)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ユーザから三次元CGを生成(テイストファイルの選択を含む)するためのユーザ指示を受け付ける。
【0118】
具体的には、クライアント装置10は、複数の利用可能テイストファイルのいずれかを選択するユーザ指示を受け付ける。複数の利用可能テイストファイルには、ユーザ本人または当該ユーザが所属する組織からの要求に応じて過去に生成されたテイストファイルが含まれてもよいし、他のユーザ、他の組織(情報処理システム1の運営者を含み得る)からの要求に応じて過去に生成されたテイストファイルが含まれてもよい。
【0119】
一例として、ステップS410において、クライアント装置10は、テイストファイルを選択するための画面をディスプレイ21に表示してもよい。かかる画面には、選択肢となるテイストファイル毎に、以下の少なくとも1つの情報が表示されてよい。
・テイストファイルのタイトル
・テイストファイルの説明文
・テイストファイルを適用して作成された仮想空間のサンプル画像
【0120】
さらに、クライアント装置10は、ステップS310(図10)と同様に、選択したテイストファイルが適用される仮想空間に配置される三次元モデルを特定可能な情報を指定するユーザ指示を受け付ける。
【0121】
ステップS410の後に、クライアント装置10は、三次元CGの生成要求(S411)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、少なくとも、ステップS410において取得したテイストファイルの選択結果(つまり、ユーザによって選択されたテイストファイルを特定可能な情報)と三次元モデルを特定可能な情報とを含む、三次元CGの生成要求を生成する。クライアント装置10は、生成した要求をサーバ30へ送信する。
三次元CGの生成要求は、三次元CGを生成する(つまり、選択したテイストファイルを使用する)ソフトウェアを特定可能な情報をさらに含んでもよい。
【0122】
ステップS411の後に、サーバ30は、情報の取得(S430)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS411においてクライアント装置10によって送信された生成要求を受信する。サーバ30は、生成要求に基づいて、ユーザによって選択されたテイストファイルを特定可能な情報と三次元モデルを特定可能な情報とを取得する。
【0123】
ステップS430の後に、サーバ30は、テイストファイルの特定(S431)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS430において取得した情報に基づいて、複数の利用可能テイストファイルの1つを特定する。
【0124】
ステップS132の後に、サーバ30は、テイストファイルのインポート(S432)を実行する。
具体的には、サーバ30は、所定のソフトウェアに、ステップS431において特定したテイストファイルに記載されたパラメータ値を設定する。所定のソフトウェアは、ステップS432の段階で起動されてもよいし、ステップS432の開始前に起動されていてもよい。
【0125】
ステップS432の後に、サーバ30は、図10と同様に、三次元CGの生成(S334)を実行する。
ステップS334の後に、クライアント装置10は、図10と同様に、画面表示(S312)を実行する。
ステップS312を以て、クライアント装置10は、図11に示す三次元CG生成処理を終了する。
【0126】
以上説明したように、変形例2のサーバ30は、複数の利用可能テイストファイルのうちユーザによって選択されたテイストファイルを特定可能な情報と、三次元モデルを特定可能な情報とを含む、三次元CGの生成要求を取得してもよい。サーバ30は、ユーザによって選択されたテイストファイルに含まれる複数のパラメータの値をソフトウェアに設定し、当該ソフトウェアによって三次元モデルに対応する三次元CGを生成し、当該三次元CGを生成要求に対する応答として出力してもよい。これにより、ユーザはパラメータの試行錯誤を行わずとも、所望のテイストファイルを選択するだけで、指定した三次元モデルに所望のテイストが反映された三次元CGを入手することができる。
【0127】
(7)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、クライアント装置10と接続されてもよい。ディスプレイ21は、クライアント装置10に内蔵されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0128】
上記の情報処理の各ステップは、クライアント装置10及びサーバ30の何れでも実行可能である。例えば、いずれかの装置によって行われるとして説明された処理が別の装置によって行われたり、複数の装置のやり取りによって行われるとして説明された処理が単一の装置によって行われたりしてもよい。また、上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。
【0129】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 :情報処理システム
10 :クライアント装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
【要約】
【課題】三次元CGの表現様式の調整を容易にするための技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、画像またはテキストの少なくとも1つに関する入力情報を取得する手段、三次元モデルに対してレンダリング処理を行うことで三次元CG(Computer Graphics)を生成するソフトウェアにおいて当該三次元CGの外観を制御する複数のパラメータの値を、入力情報に基づいて決定する手段、決定した複数のパラメータの値を含むテイストファイルを作成する手段、として機能させる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11