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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】金属化フィルムの検査方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20230925BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
G01N21/956 Z
G01N21/88 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019211622
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021081389
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390022460
【氏名又は名称】株式会社指月電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】笹井 浩之
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-250225(JP,A)
【文献】特開2007-305718(JP,A)
【文献】特開2018-179698(JP,A)
【文献】特開2019-032268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着部と非蒸着部とを備えるフィルムコンデンサ用金属化フィルムの検査方法であって、
金属化フィルムを撮像して画像を得るステップと、
撮像された画像に対してパターンマッチング処理を実行し、基準画像に対応する領域を切り出すステップと、
切り出された切り出し画像非蒸着部を、非蒸着部の大きさより小さい範囲で枠取りし、その枠内の画像を抽出するステップと、
抽出された抽出画像の輝度を算出するステップと、
算出された値と基準値とを比較判定するステップと、
を備える金属化フィルムの検査方法。
【請求項2】
切り出し画像全体の輝度を算出するステップと、
切り出し画像全体の輝度と基準値(抽出画像の輝度と比較する基準値とは異なる)とを比較判定するステップと、
を備える請求項1記載の金属化フィルムの検査方法。
【請求項3】
基準画像に対応する領域を切り出せない場合に不良と判定するステップ
を備える請求項1又は2記載の金属化フィルムの検査方法。
【請求項4】
基準画像を作成するステップと、
基準値を作成するステップと、
を備える請求項1から3のいずれかに記載の金属化フィルムの検査方法。
【請求項5】
基準画像を作成するステップが、画像を2値化するステップを含む
請求項4記載の金属化フィルムの検査方法。
【請求項6】
蒸着部と非蒸着部とを備えるフィルムコンデンサ用金属化フィルムの検査装置であって、
金属化フィルムを撮像して画像を得る撮像部と、
撮像部で撮像された画像に対してパターンマッチング処理を実行し、基準画像に対応する領域を切り出す検出部と、
検出部で切り出された切り出し画像非蒸着部を、非蒸着部の大きさより小さい範囲で枠取りし、その枠内の画像を抽出する抽出部と、
抽出部で抽出された抽出画像の輝度を算出する算出部と、
算出部で算出された値と基準値とを比較判定する判定部と、
を備える金属化フィルムの検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属化フィルムの検査方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムコンデンサに使用される一般的な金属化フィルムには、金属を蒸着させた蒸着部からなる電極部に、ヒューズ部分となる狭隘部を残して、金属を蒸着していない非蒸着部で囲まれた小電極部が形成されている。非蒸着部の良否検査は従来、検査員による目視検査が一般的であったが、検査員の主観的な目視判定に頼るところが多く、良否の一貫性確保が難しく、製品の品質の安定にも関わっていた。また、微細な欠陥は目視による判定自体が難しく、見逃してしまう可能性もある。
【0003】
なお、目視によらないフィルムの検査方法としては、例えば特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-110949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただ、特許文献1の検査方法は、フィルムからの透過光を撮像し、欠陥に起因する光強度の変化から欠陥の有無を検査するものであるため、蒸着部と非蒸着部を備える金属化フィルムに適用した場合、非蒸着部によって光強度が変化することから、欠陥に起因する光強度の変化と区別をつけることができず、欠陥を識別することができない。
【0006】
そこで本発明は、非蒸着部を備える金属化フィルムの検査方法及び検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の金属化フィルムの検査方法は、蒸着部11と非蒸着部12とを備えるフィルムコンデンサ用金属化フィルムの検査方法であって、金属化フィルム10を撮像して画像を得るステップ(S31)と、撮像された画像に対してパターンマッチング処理を実行し、基準画像13に対応する領域を切り出すステップ(S33~S36)と、切り出された切り出し画像14から非蒸着部の画像15を抽出するステップ(S37)と、抽出された抽出画像15の輝度を算出するステップ(S38)と、算出された値と基準値とを比較判定するステップ(S39)とを備えることを特徴としている。
【0008】
上記検査方法では、切り出し画像14全体の輝度を算出するステップ(S38)を備えることが好ましい。
【0009】
また、基準画像13に対応する領域を切り出せない場合に不良と判定するステップ(S36)を備えることが好ましい。
【0010】
さらに、基準画像13を作成するステップ(S11~S18)と、基準値を作成するステップ(S21~S23)とを備えることが好ましい。
【0011】
さらにまた、基準画像13を作成するステップが、画像を2値化するステップ(S17)を含むことが好ましい。
【0012】
本発明の金属化フィルムの検査装置は、蒸着部11と非蒸着部12とを備えるフィルムコンデンサ用金属化フィルムの検査装置1であって、金属化フィルム10を撮像して画像を得る撮像部3と、撮像部3で撮像された画像に対してパターンマッチング処理を実行し、基準画像13に対応する領域を切り出す検出部72と、検出部72で切り出された切り出し画像14から非蒸着部12の画像を抽出する抽出部75と、抽出部75で抽出された抽出画像の輝度を算出する算出部76と、算出部76で算出された値と基準値とを比較判定する判定部77とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の金属化フィルムの検査方法および検査装置では、目視によらない検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の一実施形態の金属化フィルムの検査装置を示す図である。
図2】金属化フィルムを示す図である。
図3】基準画像作成工程のフローチャートである。
図4】基準値作成工程のフローチャートである。
図5】良否判定工程のフローチャートである。
図6】基準画像を示す図である。
図7】切り出し画像を示す図である。
図8図8aは良品の輝度の分布を示すグラフ、図8bは不良品の輝度の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明の金属化フィルムの検査装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の検査装置1は、図1に示すように、金属化フィルム10に光を照射する照明部2と、照明部2からの光で照射された金属化フィルム10を撮像して画像を得る撮像部3と、撮像部3で撮像された画像に基づいて金属化フィルム10の良否判定を行う良否判定部4とを備えている。
【0016】
(金属化フィルム)
金属化フィルム10は、誘電体フィルム上に金属を蒸着したものであって、図2に示すように、金属が蒸着された蒸着部11と、金属が蒸着されていない非蒸着部12とを備えている。なお、非蒸着部12の形状は略十字とされているが、例えば棒状(直線状)やT字状、クロス状、斜線等、種々の形状のものであってもよい。なお、誘電体フィルムの厚みは例えば2~15μm、蒸着部の厚みは例えば0.02~10μm、非蒸着部の幅は例えば0.2~10mmである。
【0017】
(照明部)
照明部2は、LED(発光ダイオード)や蛍光灯、ハロゲンランプやメタルハライドランプ等の光源上にガラス等の光透過性の載置面を設けた透過照明台であって、載置面上に金属化フィルム10を載置できるようになっている。
【0018】
(撮像部)
撮像部3は、撮影レンズと撮像素子とを備えたカメラであって、例えば撮像指示の入力や画像の出力を行うためのUSB端子を備えたUSBカメラである。画素数は例えば640×480であるが、検査対象の金属化フィルムに合わせて適宜変更可能である。
【0019】
(良否判定部)
良否判定部4は、撮像部3で撮像された画像に基づいて基準画像13を作成する基準画像作成部5と、撮像部3で撮像された画像に基づいて基準値を作成する基準値作成部6と、基準画像13と基準値とに基づいて金属化フィルム10の良否判定を行う第1判定部7と、基準画像13との相関度に基づいて金属化フィルム10の良否判定を行う簡易判定部8とを備えている。
【0020】
なお、このような良否判定部4は、演算部(CPU)、記憶部(不揮発性メモリ、揮発性メモリ、記憶デバイス)、表示部(ディスプレイ)、インターフェース(キーボード、マウス)等を備えた一般的なコンピュータによって実現できる。記憶部には良否判定プログラムが格納されており、これに従って良否判定が行われる。また、記憶部は後述の第1記憶部55や第2記憶部63を兼ねてもよい。
【0021】
(基準画像作成部)
基準画像作成部5は、画像のノイズを除去する第1ノイズ除去部51と、良品の撮像された画像に対してパターンマッチング処理を実行し、良品の撮像された画像の中から理想画像に対応する領域を切り出す第1検出部52と、第1検出部52で切り出された切り出し画像14Aを2値化する変換部56と、2値化された画像を基準画像13として記憶する第1記憶部55とを備えている。なお、理想画像とは、設計データに基づいた画像である。良品の撮像された画像とは、実際の金属化フィルム10の蒸着パターン良品を撮像した画像である。
【0022】
第1検出部52は、理想画像に基づいて画像を回転させる第1角度補正部53と、理想画像に基づいて画像から非蒸着部12を含む画像を切り出す第1切り出し部54とを備えている。
【0023】
第1角度補正部53は、良品の撮像された画像と理想画像とを縮小してなる縮小画像を生成する画像縮小部53aと、両方の縮小画像を比較して回転角を把握する回転角把握部53bと、回転角把握部53bで把握した回転角に基づいて画像を回転させる回転部53cとを備えている。
【0024】
(基準値作成部)
基準値作成部6は、第1切り出し部54で切り出された切り出し画像14Aから非蒸着部12の画像を抽出する第1画像抽出部61と、第1画像抽出部61で抽出された抽出画像15から光透過率及び輝度を算出するとともに、切り出し画像14A(基準画像13ではない)全体の輝度を算出する第1算出部62と、第1算出部62で算出された値を基準値として記憶する第2記憶部63とを備えている。
【0025】
(第1判定部)
第1判定部7は、画像のノイズを除去する第2ノイズ除去部71と、撮像された画像に対してパターンマッチング処理を実行し、撮像された画像の中から基準画像13に対応する領域を切り出す第2検出部72と、第2検出部72で切り出された切り出し画像14から非蒸着部12の画像を抽出する第2画像抽出部75と、第2画像抽出部75で抽出された抽出画像15の光透過率及び輝度を算出するとともに、切り出し画像14全体の輝度を算出する第2算出部76と、第2算出部76で算出された値と基準値とを比較判定する第2判定部77とを備えている。
【0026】
第2検出部72は、基準画像13に基づいて画像を回転させる第2角度補正部73と、基準画像13に基づいて画像から非蒸着部12を含む画像を切り出す第2切り出し部74とを備えている。
【0027】
第2角度補正部73は、検査対象の金属化フィルム10を撮像した画像と基準画像13とを縮小してなる縮小画像を生成する画像縮小部73aと、両方の縮小画像を比較して回転角を把握する回転角把握部73bと、回転角把握部73bで把握した回転角に基づいて画像を回転させる回転部73cとを備えている。
【0028】
(検査方法)
次に、上記検査装置1を用いた検査方法について説明する。
【0029】
(撮像工程)
照明部2の載置面に金属化フィルム10を載置して光源から光を照射するとともに、金属化フィルム10を透過した光を撮像部3で撮像する(図3のS11や図5のS31)。この際、理想画像や基準画像13の非蒸着部12と、検査対象の金属化フィルム10の非蒸着部12の角度を合わせるように撮像してもよい。この場合、以下で説明する角度補正は不要となる。また、非蒸着部12のパターン(連続する模様の1つ:図2の場合は十字状)を中心に撮像することが好ましい。ただ、画像にパターンが1つ以上含まれていればよい。なお、良否判断はパターン毎に行われるため、画像に複数のパターンが含まれている場合は、パターンの数だけ良否判断を繰り返す。
【0030】
(基準画像作成工程)
続いて、基準画像13を作成する。まず、第1ノイズ除去部51で、撮像部3で撮像された良品の画像のノイズを除去する(図3のS12)。具体的には、画像には照明部2や撮像部3に起因するノイズが生じるため、画像にフィルター処理を施してノイズを除去する。
【0031】
次に、ノイズを除去した画像に対してパターンマッチング処理を実行し、撮像された画像の中から理想画像に対応する領域を切り出す。具体的には、まず、画像縮小部53aで、予め設定されている理想画像とノイズを除去した画像とをともに縮小して2つの縮小画像を出力する(S13)。次に、回転角把握部53bで、2つの縮小画像を比較し、画像をどれだけ回転させれば理想画像の非蒸着部12と撮像された画像の非蒸着部12とが同形状になるか(角度が等しくなるか)を把握し、画像を回転させる角度を把握する(S14)。そして、回転部53cで、回転角把握部53bで把握した角度に基づいて画像(縮小画像ではない)を回転させる(S15)。次に、第1切り出し部54で、理想画像に基づいて画像から非蒸着部12を含む画像を切り出す(S16)。具体的には、理想画像と相関度が高くなる範囲を指定して切り出す。すなわち、蒸着部11の大きさ、非蒸着部12の大きさ、蒸着部11と非蒸着部12との位置関係が理想画像とほぼ等しくなるように切り出す。理想画像は非蒸着部12のパターン(例えば十字状)を含む画像である。従って、第1切り出し部54で切り出された切り出し画像14Aは、非蒸着部12のパターンを含んだ画像となる(図7参照)。
【0032】
そして、変換部56で、切り出し画像14Aを2値化(S17)した後、第1記憶部55に、2値化した画像を基準画像13として記憶させて(S18)、基準画像作成工程を完了する。このように、実際の金属化フィルム10に基づいて基準画像13を作成することにより、理想画像に比べてより実態に即した基準を設けることができ、精度の良い良否判定が可能となる。
【0033】
(基準値作成工程)
次に、基準値を作成する。まず、第1画像抽出部61で、第1切り出し部54で切り出された切り出し画像14Aから非蒸着部12の画像を抽出する(図4のS21)。この際、矩形状に枠取りをする(図7の破線参照)。また、非蒸着部12の大きさより僅かに小さい範囲で枠取りをすることが好ましい。続いて、第1算出部62で、第1画像抽出部61で抽出された抽出画像15の光透過率及び輝度を算出するとともに、切り出し画像14A全体の輝度を算出する(S22)。例えば抽出画像15全体の平均輝度や輝度のばらつき(標準偏差)、光透過率を算出する。なお、光透過率については、画像の輝度値(0~255)からパーセントに換算するための式を予め設定しておき、この換算式に基づいて算出する。また、切り出し画像14A全体の平均輝度や輝度のばらつき(標準偏差)を算出する。そして、第2記憶部63に、第1算出部62で算出された値を基準値として記憶させて(S23)、基準値作成工程を完了する。
【0034】
(良否判定工程)
基準画像13と基準値とが作成された後で、次に良否判定を行う。まず、上記撮像工程に基づいて検査対象となる金属化フィルム10を撮像する(図5のS31)。次に、第2ノイズ除去部71で、撮像部3で撮像された検査対象の画像のノイズを除去する(S32)。ノイズ除去方法は第1ノイズ除去部51と同じである。
【0035】
次に、ノイズを除去した画像に対してパターンマッチング処理を実行し、撮像された画像の中から基準画像13に対応する領域を切り出す。具体的には、まず、画像縮小部73aで、基準画像13とノイズを除去した画像とをともに縮小して2つの縮小画像を出力する(S33)。次に、回転角把握部73bで、2つの縮小画像を比較し、画像をどれだけ回転させれば基準画像13の非蒸着部12と撮像された画像の非蒸着部12とが同形状になるか(角度が等しくなるか)を把握し、画像を回転させる角度を把握する(S34)。そして、回転部73cで、回転角把握部73bで把握した角度に基づいて画像(縮小画像ではない)を回転させる(S35)。次に、第2切り出し部74で、基準画像13に基づいて画像から非蒸着部12を含む画像を切り出す(S36)。具体的には、基準画像13と相関度が高くなる範囲を指定して切り出す。すなわち、蒸着部11の大きさ、非蒸着部12の大きさ、蒸着部11と非蒸着部12との位置関係が基準画像13とほぼ等しくなるように切り出す。基準画像13は、図6に示すように、非蒸着部12のパターン(例えば十字状)を含む画像である。従って、第2切り出し部74で切り出された切り出し画像14は、非蒸着部12のパターンを含んだ画像となる。
【0036】
なお、この際、非蒸着部12に形状の崩れや欠け、汚れなどの不具合が生じていると、基準画像13と画像との相関度が所定値を満たさない。そのため、撮像された画像の中から基準画像13に対応する領域を切り出すことができず、この時点で不良判定がされる。すなわち、この段階で、基準画像13との相関度に基づいて金属化フィルム10の良否判定を行う簡易判定部8が働くのである。
【0037】
簡易判定部8で良判定となった、すなわち、第2切り出し部74から切り出し画像14が出力されると、次に第2画像抽出部75で、切り出し画像14から非蒸着部12の画像を抽出する(S37)。この際、図7に示すように矩形状に枠取りをする。また、非蒸着部12の大きさより僅かに小さい範囲で枠取りをすることが好ましい。続いて、第2算出部76で、第2画像抽出部75で抽出された抽出画像15の光透過率及び輝度を算出するとともに、切り出し画像14全体の輝度を算出する(S38)。例えば抽出画像15全体の平均輝度や輝度のばらつき(標準偏差)、光透過率を算出する。なお、光透過率については、画像の輝度値(0~255:0が全く光を透過しない状態、255がフィルムの無い状態)からパーセントに換算するための式を予め設定しておき、この換算式に基づいて算出する。また、切り出し画像14全体の平均輝度や輝度のばらつき(標準偏差)を算出する。
【0038】
そして、第2判定部77で、第2算出部76で算出された値と、予め設定されている基準値とを比較し、検査対象の良否を判定する(S39)。例えば、図8aに示すように、良品の場合、蒸着部11の輝度と非蒸着部12の輝度とがはっきりと区別されるため、2つのピーク(山)を見てとることができる。一方で、欠陥部(非蒸着部12内に蒸着金属が付着している場合等)は非蒸着部12の輝度が低く、非蒸着部12の山を見ることができない。このように欠陥部があると輝度のばらつきが大きくなる傾向にある。そのため、第2算出部76で算出された値(抽出画像15の光透過率、輝度ばらつき)とそれに対応する基準値とを比較することで非蒸着部12の良否判断を行うことができる。また、蒸着部11の膜厚が薄い場合、切り出し画像14全体の平均輝度が大きくなる傾向にある。そのため、第2算出部76で算出された値(切り出し画像14全体の平均輝度)とそれに対応する基準値とを比較することで蒸着部11の良否判断を行うことができる。
【0039】
このように、本発明では、蒸着部11と非蒸着部12とが存在するフィルムコンデンサ用金属化フィルムに対して容易に適用でき、検査員の目視に頼ることなく確実且つ一定の品質基準で蒸着パターンの良否判定を行うことができる。また、画像同士の比較ではなく、光透過率や輝度ばらつきを比較しているため、品種間の差異や経時的な変化を捉えることができ、微細な欠陥や変動を見つけ出すことが可能となる。
【0040】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、図2では十字状のパターンのみであったが、複数種類のパターンを備える金属化フィルムもある。この場合、各パターンで基準画像13を設定し、最も相関度が高くなる基準画像13に基づいて画像を切り出すようにすればよい。
【0041】
なお、基準画像13として良品の画像や設計図に基づく理想画像を用いる場合、基準画像作成工程は不要である。また、基準値として理想値や規格値等を用いる場合、基準値作成工程は不要である。また、基準画像作成部5や基準値作成部6を設ける必要もない。
【0042】
画像縮小部53a、73a、回転角把握部53b、73bについては必ずしも設ける必要はない。すなわち、理想画像や基準画像13と未縮小の画像とを比較して画像を回転するようにしてもよい。
【0043】
第1ノイズ除去部51と第2ノイズ除去部71、第1検出部52と第2検出部72、第1角度補正部53と第2角度補正部73、第1切り出し部54と第2切り出し部74、第1記憶部55と第2記憶部63、第1画像抽出部61と第2画像抽出部75、第1算出部62と第2算出部76については一方を他方にまとめてもよい。すなわち、例えば第1ノイズ除去部51が第2ノイズ除去部71を兼ねていてもよい。
【0044】
また、撮像部3は金属化フィルム10を透過した光を撮像していたが、金属化フィルム10を反射した光を撮像してもよい。
【0045】
なお、本発明には以下の構成のものも含まれる。
【0046】
金属蒸着部と非金属蒸着部とを備えるフィルムコンデンサ用金属化フィルムの検査装置であって、金属化フィルムに光を照射する照明部と、金属化フィルムを撮像して画像を得る撮像部と、撮像部で撮像された画像に基づいて金属化フィルムの良否判定を行う良否判定部とを備え、良否判定部が、画像のノイズを除去するノイズ除去部と、基準画像に基づいて画像を回転させる角度補正部と、基準画像に基づいて画像から非金属蒸着部を含む画像を切り出す切り出し部と、切り出し部で切り出された切り出し画像から非金属蒸着部の画像を抽出する画像抽出部と、画像抽出部で抽出された抽出画像の光透過率及び輝度を算出する算出部と、算出部で算出された値と基準値とを比較判定する判定部とを備えている、金属化フィルムの検査装置。
【0047】
金属蒸着部と非金属蒸着部とを備えるフィルムコンデンサ用金属化フィルムの検査装置であって、金属化フィルムに光を照射する照明部と、金属化フィルムを撮像して画像を得る撮像部と、撮像部で撮像された画像に基づいて金属化フィルムの良否判定を行う良否判定部とを備え、良否判定部が、撮像部で撮像された画像に基づいて基準画像を作成する基準画像作成部と、基準値を作成する基準値作成部と、基準画像と基準値とに基づいて金属化フィルムの良否判定を行う第1判定部とを備え、基準画像作成部が、画像のノイズを除去する第1ノイズ除去部と、理想画像に基づいて画像を回転させる第1角度補正部と、理想画像に基づいて画像から非金属蒸着部を含む画像を切り出す第1切り出し部と、第1切り出し部で切り出された切り出し画像を基準画像として記憶する第1記憶部とを備え、基準値作成部が、第1切り出し部で切り出された切り出し画像から非金属蒸着部の画像を抽出する第1画像抽出部と、第1画像抽出部で抽出された抽出画像から光透過率及び輝度を算出する第1算出部と、第1算出部で算出された値を基準値として記憶する第2記憶部とを備え、第1判定部が、検査対象の画像のノイズを除去する第2ノイズ除去部と、基準画像に基づいて画像を回転させる第2角度補正部と、基準画像に基づいて画像から非金属蒸着部を含む画像を切り出す第2切り出し部と、第2切り出し部で切り出された切り出し画像から非金属蒸着部の画像を抽出する第2画像抽出部と、第2画像抽出部で抽出された抽出画像の光透過率及び輝度を算出する第2算出部と、第2算出部で算出された値と基準値とを比較判定する第2判定部とを備えている、金属化フィルムの検査装置。
【0048】
第1角度補正部及び/又は第2角度補正部が、画像を縮小してなる縮小画像を生成する画像縮小部と、理想画像又は基準画像と縮小画像とを比較して回転角を把握する回転角把握部と、回転角把握部で把握した回転角に基づいて画像を回転させる回転部とを備えている、金属化フィルムの検査装置。
【0049】
基準画像作成部が、第1ノイズ除去部でノイズが除去された画像を2値化する変換部を備えている、金属化フィルムの検査装置。
【0050】
基準画像との相関度に基づいて金属化フィルムの良否判定を行う簡易判定部を備えている、金属化フィルムの検査装置。
【符号の説明】
【0051】
1 検査装置
2 照明部
3 撮像部
4 良否判定部
5 基準画像作成部
51 第1ノイズ除去部
52 第1検出部
53 第1角度補正部
53a 画像縮小部
53b 回転角把握部
53c 回転部
54 第1切り出し部
55 第1記憶部
56 変換部
6 基準値作成部
61 第1画像抽出部
62 第1算出部
63 第2記憶部
7 第1判定部
71 第2ノイズ除去部
72 第2検出部
73 第2角度補正部
73a 画像縮小部
73b 回転角把握部
73c 回転部
74 第2切り出し部
75 第2画像抽出部
76 第2算出部
77 第2判定部
8 簡易判定部
10 金属化フィルム
11 蒸着部
12 非蒸着部
13 基準画像
14 第2切り出し部で切り出された切り出し画像
14A 第1切り出し部で切り出された切り出し画像
15 抽出画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8