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特許7353753エーテル油を含む水中油型エマルション組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】エーテル油を含む水中油型エマルション組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/33 20060101AFI20230925BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230925BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20230925BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
A61K8/33
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/37
A61K8/44
A61K8/06
A61Q1/14
A61Q19/10
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018231472
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020109056
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲ファン▼
(72)【発明者】
【氏名】織田 政紀
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-503441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0034181(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0229429(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01716842(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第10161885(DE,A1)
【文献】SenSpa, UK,Daily Ritual Creamy Cleanser,Mintel GNPD [online],2017年05月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#4788771, [検索日:2022.08.25], 製品詳細, 製品情報
【文献】Hildegard Braukmann, Germany,Shower Cream,Mintel GNPD [online],2017年12月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5306955, [検索日:2022.08.25], 製品詳細, 製品情報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のエーテル油と、
(b)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
(c)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、
(d)少なくとも1種の、トリメチルグリシン、カルニチン、及びL-プロリンベタインから選択されるベタインと、
(e)水と
を含み、
前記(b)非イオン性界面活性剤が、
(1)ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化アルキルグリセリド、及びポリオキシアルキレン化脂肪エーテルから選択される界面活性剤、
(2)脂肪酸又は脂肪アルコールα-ヒドロキシ酸及び/又はコハク酸と、グリセロールとのエステル、
(4)ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステル及びオキシアルキレン化脂肪エステルから選択される界面活性剤、
(5)エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー、
(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテル、
(7)シリコーン界面活性剤、並びに
(8)これらの混合物
から選択され、
前記(c)アニオン性界面活性剤が、式(IV):
【化1】
[式中、
Zは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、8~22個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
Xは、水素又はメチル基であり、
nは、0又は1であり、
Yは、水素、-CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2C6H5、-CH2C2H4OH、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(NH)NH2、-CH2C(O)O-M+、-(CH2)2C(O)OH、-(CH2)2C(O)O-M+から選択され、
Mは、COOが対アニオンである塩形成カチオンである]により表される、水中油型エマルションの形態の組成物。
【請求項2】
前記組成物中の油滴が、100nm未満の体積平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物中の前記(a)エーテル油の量が、前記組成物の総質量に対して、0.1~40質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(b)非イオン性界面活性剤が、
- 少なくとも1個の飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基を含む、少なくとも1種の脂肪酸、及び2~12個のグリセロールのポリグリセリル脂肪酸エステル、
- ポリオキシエチレン化アルキルグリセリド、
- 少なくとも1個の飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基を含む、少なくとも1種の脂肪アルコール、及び2~60個のエチレンオキシドのポリオキシエチレン化脂肪エーテル、並びに
- これらの混合物
から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(b)非イオン性界面活性剤が、少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸モノエステル及び少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸ジエステルを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中の前記(b)非イオン性界面活性剤の量が、前記組成物の総質量に対して、0.1~30質量%の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中の前記(c)アニオン性界面活性剤の量が、前記組成物の総質量に対して0.01~10質量%の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物中の前記(d)ベタインの量が、前記組成物の総質量に対して、0.01~15質量%の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物中の前記(e)水の量が、前記組成物の総質量に対して、30~90質量%の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
そのまま使用されるか、又はクレンジング製品のために使用される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ケラチン物質をクレンジングするための方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に塗布する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型エマルションの形態の組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくはクレンジング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のクレンジングは、顔をケアする際に非常に重要である。クレンジングは、できる限り効果的なものでなければならないが、その理由は、脂っぽい残留物、例えば過度の皮脂、日常的に使用される化粧料の残余物、及びメイクアップ製品、特に耐水性の製品が、皮膚のしわに蓄積し、皮膚の毛穴を塞いで吹き出物の出現をもたらす傾向があるからである。
【0003】
いくつかのタイプの皮膚クレンジング製品、例えば、すすぎ落とし可能なクレンジング無水油及びジェル、並びに起泡性クリーム、ローション及びジェルが知られている。例えば、特開2014-122198はナノ又はマイクロエマルションの形態の洗い流し用化粧用組成物を開示し、これは(a)少なくとも1種の油、(b)HLBが7~14の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、(c)少なくとも1種の会合性ポリウレタン、(d)少なくとも1種のポリオール、及び(e)水を含み、(a)油の量は、組成物の総質量に対して少なくとも20質量%からの範囲である。加えて、米国特許第6,468,551B号は、水中油型マイクロエマルションジェルを開示し、(a)これは、非連続油相及び連続水性相、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを含有しない1種又は複数の水中油型乳化剤を含み、更に任意選択でマイクロエマルションの総質量に対して20質量%未満の乳化剤含有量を有する1種又は複数の油中水型乳化剤を含み、水性相、油相、1種又は複数の前記水中油型乳化剤、任意選択で1種又は複数の油中水型乳化剤、任意選択で1種又は複数の更なる賦形剤、添加剤及び/又は活性化合物を含むベース成分の混合物を配合することによって形成され、マイクロエマルションを形成し、(b)非連続油相の液滴は、1種又は複数の架橋物質によって互いに接合され、架橋物質の分子は、マイクロエマルション液滴の間の距離を架橋するのに十分な伸長を有する少なくとも1種の親水性領域、及びマイクロエマルション液滴と疎水的相互作用を始める少なくとも1種の疎水性領域を有する。
【0004】
すすぎ落とし可能な無水油及びジェルは、主にこれらの配合物中に存在する油の力により、クレンジング作用を有する。これらの油により、脂肪性残留物の溶解及びメイクアップ顔料の分散が可能となる。これらの製品は、効果的であり、忍容性が良好である。しかし、それらは、重く、起泡性がなく、塗布時に爽快感を付与しないという欠点を示し、これらは全て、化粧品の観点からは不利である。
【0005】
その一方で、油を含まない起泡性クリーム、ローション及びジェルは、主にその中に含まれる界面活性剤の力により、クレンジング作用があり、この作用は、脂肪性残留物及び例えばメイクアップ製品の顔料を懸濁させる。これらは効果的であり、心地よい使用感があり、その理由は、これらが起泡性であり、除去することが容易であるからである。
【0006】
マイクロエマルション(水中油型、油中水型又は両連続型)が、近年、クレンジングオイルの代替品として開発されており、ファンデーション及び水に強いマスカラに対する優れた効果が非常に高く評価されている。マイクロエマルションの利点は、通常は同じであるメイクアップ除去効果にとってより良好なすすぎ能を時に示すことである。しかし、ナノ又はマイクロエマルションの形態を経時的に維持することは、一般に困難である。
【0007】
したがって、安定したナノ又はマイクロエマルション組成物を、特にマイクロエマルションの状態を経時的に維持できるクレンジング組成物のために提供する必要性が、依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-122198
【文献】米国特許第6,468,551B号
【文献】米国特許第5,364,633A号
【文献】米国特許第5,411,744A号
【文献】米国特許出願公開第2008/0200704号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Satoshi Tomomasaら、Oil Chemistry、第37巻、No.11(1988年)、48~53頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、マイクロエマルションの状態を維持することに関して良好な安定性を有する、安定した水中油型ナノ又はマイクロエマルション組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のエーテル油と、
(b)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
(c)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、
(d)少なくとも1種のベタインと、
(e)水と
を含む、水中油型エマルションの形態の組成物によって達成することができる。
【0012】
組成物の油滴は、100nm未満、好ましくは90nm未満、より好ましくは80nm未満の体積平均粒径を有してもよい。
【0013】
(a)エーテル油は、ジカプリリルエーテル、ジカプリルエーテル、ジラウリルエーテル、ジイソステアリルエーテル、ジオクチルエーテル、ノニルフェニルエーテル、ドデシルジメチルブチルエーテル、セチルジメチルブチルエーテル、セチルイソブチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0014】
組成物中の(a)エーテル油の量は、組成物の総質量に対して、0.1~40質量%、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~20質量%の範囲であってもよい。
【0015】
(b)非イオン性界面活性剤は、
(1)ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化アルキルグリセリド、及びポリオキシアルキレン化脂肪エーテルから選択される界面活性剤、
(2)脂肪酸又は脂肪アルコール、カルボン酸及びグリセロールの混合エステル、
(3)糖の脂肪酸エステル及び糖の脂肪アルコールエーテル、
(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステル、並びにオキシアルキレン化脂肪エステルから選択される界面活性剤、
(5)エチレンオキシド(A)及びプロピレンオキシド(B)のブロックコポリマー、
(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテル、
(7)シリコーン界面活性剤、並びに
(8)これらの混合物
から選択されうる。
【0016】
(b)非イオン性界面活性剤は、
- 少なくとも1個の飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の脂肪酸、及び2~12個のグリセロール、好ましくは2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロールのポリグリセリル脂肪酸エステル、
- ポリオキシエチレン化アルキルグリセリド、例えばカプリル酸及びカプリン酸のモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体(好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~20個のエチレンオキシド単位、更により好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位)、
- 少なくとも1個の飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の脂肪アルコール、及び2~60個のエチレンオキシド、好ましくは2~30個のエチレンオキシド、より好ましくは2~10個のエチレンオキシドのポリオキシエチレン化脂肪エーテル、並びに
- これらの混合物
から選択されうる。
【0017】
(b)非イオン性界面活性剤は、少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸モノエステル及び少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸ジエステルを含んでもよい。
【0018】
組成物中の(b)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1~30質量%、好ましくは1~20質量%、より好ましくは3~16質量%の範囲であってもよい。
【0019】
(c)アニオン性界面活性剤は、アミノ酸ベースのアニオン性界面活性剤から選択されうる。
【0020】
(c)アニオン性界面活性剤は、式(IV)により表すことができる。
【0021】
【化1】
【0022】
式中、
Zは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、8~22個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
Xは、水素又はメチル基であり、
nは、0又は1であり、
Yは、水素、-CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2C6H5、-CH2C2H4OH、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(NH)NH2、-CH2C(O)O-M+、-(CH2)2C(O)OH、-(CH2)2C(O)O-M+から選択され、
Mは、COOが対アニオンである塩形成カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアミンである。
【0023】
組成物中の(c)アニオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01~10質量%、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~1質量%の範囲であってもよい。
【0024】
(d)ベタインは、トリメチルグリシン、カルニチン、及びL-プロリンベタイン又はスタキドリンから選択されうる。
【0025】
組成物中の(d)ベタインの量は、組成物の総質量に対して、0.01~15質量%、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.3~5質量%の範囲である。
【0026】
組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して30~90質量%、好ましくは40~80質量%、より好ましくは50~70質量%の範囲である。
【0027】
本発明による組成物は、そのまま使用されてもよく、又はクレンジング製品、好ましくは皮膚のメイクアップクレンジング製品、より好ましくは体及び/若しくは顔のメイクアップクレンジング製品のために使用されうる。
【0028】
本発明は、ケラチン物質、例えば皮膚、毛髪、粘膜、爪、まつ毛、眉毛、及び頭皮をクレンジングするための方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
鋭意検討の結果、本発明者らは、(a)少なくとも1種のエーテル油、(b)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、(c)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、(d)少なくとも1種のベタイン、及び(e)水を組み合わせることによって、経時的に良好な安定性を有することができる水中油型ナノ又はマイクロエマルション組成物を提供することが可能であることを見出した。
【0030】
したがって、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のエーテル油と、
(b)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
(c)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、
(d)少なくとも1種のベタインと、
(e)水と
を含む、水中油型エマルションの形態の組成物である。
【0031】
本発明による組成物は、少なくとも2か月間にわたって放置しても、ナノ又はマイクロエマルションの状態の維持に関して良好な安定性を示す。
【0032】
本発明による組成物は(a)エーテル油、(b)非イオン性界面活性剤、並びに(c)アニオン性界面活性剤を含むので、本発明による組成物はクレンジング能力を有すると言うことができる。
【0033】
加えて、本発明による組成物はナノ又はマイクロエマルションの形態であるので、組成物は、透明又はわずかに半透明である(不透明ではない)良好な外観を示すことができ、消費者にとって好ましい。
【0034】
また、本発明による組成物は、相当量の水を含み、この水は水中油型エマルションの形態の組成物の外相を形成するので、本発明による組成物は、使用後の皮膚に良好な感触、例えば爽快感、すべすべ感及び保湿感を提供することができる。
【0035】
以下に、本発明による組成物、方法及び使用をより詳細に説明する。
【0036】
[組成物]
本発明による組成物は、ナノ又はマイクロエマルションの形態でありうる。
【0037】
「マイクロエマルション」は、2通り、すなわち、広義と狭義に定義することができる。つまり、ある場合(「狭義のマイクロエマルション」)では、マイクロエマルションは、油性成分、水性成分及び界面活性剤の3つの成分を有する三成分系を有する、熱力学的に安定な等方性単一液相を指し、別の場合(「広義のマイクロエマルション」)では、マイクロエマルションは、熱力学的に不安定な典型的なエマルション系の中で、より小さい粒径に起因して透明又は半透明な外観を呈するようなエマルションを付的に含んでいる(Satoshi Tomomasaら、Oil Chemistry、第37巻、No.11(1988年)、48~53頁)。
【0038】
マイクロエマルションは、油がミセルによって可溶化されているO/W(水中油)型マイクロエマルション、水が逆ミセルによって可溶化されているW/O(油中水)型マイクロエマルション、又は界面活性剤分子の会合数が無限になり、その結果、水性相及び油相の両方が連続構造を有する両連続型マイクロエマルションのいずれかを指す。
【0039】
「ナノエマルション」は、本明細書において、径が100nm未満の分散相を特徴とするエマルションを意味し、この分散相は、分散相/連続相界面で、ラメラ型の液晶相を任意選択により形成することができる(b)非イオン性界面活性剤、(c)アニオン性界面活性剤等のクラウンによって安定化される。特定の乳白剤が存在しないとき、ナノエマルションの透明性は、分散相の小さい径から生じるが、この小さい径は機械学的エネルギー、とりわけ高圧ホモジナイザーの使用によって得られる。
【0040】
ナノエマルションは、その構造によって、マイクロエマルションと区別することができる。具体的には、マイクロエマルションは、例えば(b)非イオン性界面活性剤、(c)アニオン性界面活性等により形成され、且つ(a)エーテル油で膨化したミセルから形成されている熱力学的に安定な分散液である。更に、マイクロエマルションは、調製するために、実質的な機械的エネルギーを必要としない。
【0041】
本発明による組成物は、O/W型ナノ又はマイクロエマルションの形態である。
【0042】
本発明による組成物は、油滴の形態の油相の体積平均粒径が100nm以下、好ましくは90nm未満、より好ましくは80nm未満、例えば、10~95nm、好ましくは10~85nm、より好ましくは10~75nmである、O/W型ナノ又はマイクロエマルションの形態であることが好ましい。油滴の体積平均粒子径は、例えば、大塚電子株式会社製のELSZ-2000ゼータ電位・粒径測定器によって測定することができる。
【0043】
本発明による組成物は、透明又はわずかに半透明な外観、好ましくは透明な外観を有することができる。本発明による組成物の透明な外観は、わずかに青色を有してもよい。
【0044】
外観の測定は、非希釈組成物で行ってもよい。ブランクは蒸留水を用いて決定する。透明度は、(例えばHACH社製の2100Q Portable Turbidimeterを用いて)比濁分析法濁度を測定することにより測定してもよい。
【0045】
本発明による組成物は、好ましくは150NTU未満、好ましくは100NTU未満、より好ましくは50NTU未満の比濁分析法濁度を有してもよい。
【0046】
本発明による組成物の粘度は、本発明による組成物が流動可能であり、ケラチン物質から液だれしない限り、特に制限されない。粘度は、25℃において、粘度計又はレオメーターより、好ましくは円錐平板型ジオメトリーにより測定することができる。好ましくは、本発明による組成物の粘度は、例えば、25℃及び1s-1において、1~3000Pa.s、好ましくは1~2000Pa.sの範囲でありうる。
【0047】
本発明による組成物の形態は、油中水型エマルションの形態である限り特に限定されず、例えば水性ゲル、水溶液等である。
【0048】
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種のエーテル油、(b)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、(c)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、(d)少なくとも1種のベタイン、及び(e)水を含む。組成物の成分を以下に詳細に説明する。
【0049】
(エーテル油)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種のエーテル油を含む。単一のタイプのエーテル油を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのエーテル油を組み合わせて使用することもできる。
【0050】
ここで「油」とは、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体又はペースト(非固体)の形態である、脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。
【0051】
(a)エーテル油は、揮発性であっても不揮発性であってもよく、好ましくは不揮発性である。
【0052】
(a)エーテル油として、ジアルキルエーテル、例えば次式によって表されるものを使用することが好ましいこともある。
R1-O-R2
式中、
R1及びR2のそれぞれは、独立して、直鎖状、分枝状又は環状のC4~C24アルキル基、好ましくはC6~C18アルキル基、より好ましくはC8~C12アルキル基を示す。R1及びR2は、同一であることが好ましいこともある。
【0053】
直鎖状アルキル基として、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ベヘニル基、ドコシル基、トリコシル基、及びテトラコシル基を挙げることができる。
【0054】
分枝状アルキル基として、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、t-ブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、3-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-ブチルペンチル基、5-メチルオクチル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-ブチルペンチル基、5-メチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、イソトリデシル基、2-ペンチルノニル基、2-ヘキシルデシル基、イソステアリル基、2-ヘプチルウンデシル基、2-オクチルドデシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-(1-メチルエチル)-2-メチルプロピル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、1-(2-メチルプロピル)-3-メチルブチル基、3,7-ジメチルオクチル基、及び2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチルオクチル基を挙げることができる。
【0055】
環状アルキル基として、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、及び3,3,5-トリメチルシクロヘキシル基を挙げることができる。
【0056】
(a)エーテル油は、ジカプリリルエーテル、ジカプリルエーテル、ジラウリルエーテル、ジイソステアリルエーテル、ジオクチルエーテル、ノニルフェニルエーテル、ドデシルジメチルブチルエーテル、セチルジメチルブチルエーテル、セチルイソブチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましいこともある。
【0057】
(a)エーテル油は、ジカプリリルエーテル、ジカプリルエーテル、ジラウリルエーテル、ジイソステアリルエーテル、ジオクチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択されることがより好ましいこともある。
【0058】
本発明による組成物中の(a)エーテル油の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。本発明による組成物中の(a)エーテル油の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以上であることが、更により好ましいこともある。
【0059】
その一方で、本発明による組成物中の(a)エーテル油の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下であってもよい。本発明による組成物中の(a)エーテル油の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下であることが、更により好ましいこともある。
【0060】
本発明による組成物中の(a)エーテル油の量は、組成物の総質量に対して、0.1~40質量%、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~20質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の(a)エーテル油の量は、組成物の総質量に対して5~15質量%であることが、更により好ましいこともある。
【0061】
(非イオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。単一のタイプの特定の非イオン性界面活性剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの特定の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0062】
非イオン性界面活性剤は、8.0~14.0、好ましくは9.0~13.5、より好ましくは10.0~13.0のHLB(親水性親油性バランス)値を有してもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤を使用する場合、そのHLB値は、全ての非イオン性界面活性剤のHLB値の質量平均によって決定される。
【0063】
(b)非イオン性界面活性剤は、
(1)ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化アルキルグリセリド、及びポリオキシアルキレン化脂肪エーテルから選択される界面活性剤、
(2)脂肪酸又は脂肪アルコール、カルボン酸及びグリセロールの混合エステル、
(3)糖の脂肪酸エステル及び糖の脂肪アルコールエーテル、
(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステル、並びにオキシアルキレン化脂肪エステルから選択される界面活性剤、
(5)エチレンオキシド(A)及びプロピレンオキシド(B)のブロックコポリマー、
(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテル、
(7)シリコーン界面活性剤、並びに
(8)これらの混合物
から選択されうる。
【0064】
界面活性剤(1)は、45℃以下の温度で流体であってもよい。
【0065】
界面活性剤(1)は、特に、
- 少なくとも1個の飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の脂肪酸、及び2~12個のグリセロール、好ましくは2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロールのポリグリセリル脂肪酸エステル、
- ポリオキシエチレン化(PEG化(PEGylated))アルキルグリセリド、例えばカプリル酸及びカプリン酸のモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体(好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~20個のエチレンオキシド単位、更により好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位)、例えば、PEG-6(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、PEG-7(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、及びPEG-7グリセリルココエート、
- 少なくとも1個の飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の脂肪アルコール、及び2~60個のエチレンオキシド、好ましくは2~30個のエチレンオキシド、より好ましくは2~10個のエチレンオキシドのポリオキシエチレン化脂肪エーテル、並びに
- これらの混合物
でありうる。
【0066】
(b)非イオン性界面活性剤は、上記のポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化アルキルグリセリド、及びポリオキシエチレン化脂肪エーテルから選択される少なくとも2つの混合物であることが好ましい。
【0067】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロール、更により好ましくは5~7個のグリセロールから誘導されるポリグリセロール部分を有することが好ましい。
【0068】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の酸、好ましくは飽和の酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、及びミリスチン酸のモノ、ジ及びトリエステルから選択されうる。
【0069】
(b)非イオン性界面活性剤は、少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸モノエステル及び少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸ジエステルを含むことが好ましい。
【0070】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリン酸PG2、ジカプリン酸PG2、トリカプリン酸PG2、カプリル酸PG2、ジカプリル酸PG2、トリカプリル酸PG2、ラウリン酸PG2、ジラウリン酸PG2、トリラウリン酸PG2、ミリスチン酸PG2、ジミリスチン酸PG2、トリミリスチン酸PG2、ステアリン酸PG2、ジステアリン酸PG2、トリステアリン酸PG2、イソステアリン酸PG2、ジイソステアリン酸PG2、トリイソステアリン酸PG2、オレイン酸PG2、ジオレイン酸PG2、トリオレイン酸PG2、ラクチル酸PG2(PG2 lactylate)、ジラクチル酸PG2(PG2 dilactylate)、トリラクチル酸PG2(PG2 trilactylate)、カプリン酸PG3、ジカプリン酸PG3、トリカプリン酸PG3、カプリル酸PG3、ジカプリル酸PG3、トリカプリル酸PG3、ラウリン酸PG3、ジラウリン酸PG3、トリラウリン酸PG3、ミリスチン酸PG3、ジミリスチン酸PG3、トリミリスチン酸PG3、ステアリン酸PG3、ジステアリン酸PG3、トリステアリン酸PG3、イソステアリン酸PG3、ジイソステアリン酸PG3、トリイソステアリン酸PG3、オレイン酸PG3、ジオレイン酸PG3、トリオレイン酸PG3、ラクチル酸PG3、ジラクチル酸PG3、トリラクチル酸PG3、カプリン酸PG4、ジカプリン酸PG4、トリカプリン酸PG4、カプリル酸PG4、ジカプリル酸PG4、トリカプリル酸PG4、ラウリン酸PG4、ジラウリン酸PG4、トリラウリン酸PG4、ミリスチン酸PG4、ジミリスチン酸PG4、トリミリスチン酸PG4、ステアリン酸PG4、ジステアリン酸PG4、トリステアリン酸PG4、イソステアリン酸PG4、ジイソステアリン酸PG4、トリイソステアリン酸PG4、オレイン酸PG4、ジオレイン酸PG4、トリオレイン酸PG4、ラクチル酸PG4、ジラクチル酸PG4、トリラクチル酸PG4、カプリン酸PG5、ジカプリン酸PG5、トリカプリン酸PG5、カプリル酸PG5、ジカプリル酸PG5、トリカプリル酸PG5、ラウリン酸PG5、ジラウリン酸PG5、トリラウリン酸PG5、ミリスチン酸PG5、ジミリスチン酸PG5、トリミリスチン酸PG5、ステアリン酸PG5、ジステアリン酸PG5、トリステアリン酸PG5、イソステアリン酸PG5、ジイソステアリン酸PG5、トリイソステアリン酸PG5、オレイン酸PG5、ジオレイン酸PG5、トリオレイン酸PG5、ラクチル酸PG5、ジラクチル酸PG5、トリラクチル酸PG5、カプリン酸PG6、ジカプリン酸PG6、トリカプリン酸PG6、カプリル酸PG6、ジカプリル酸PG6、トリカプリル酸PG6、ラウリン酸PG6、ジラウリン酸PG6、トリラウリン酸PG6、ミリスチン酸PG6、ジミリスチン酸PG6、トリミリスチン酸PG6、ステアリン酸PG6、ジステアリン酸PG6、トリステアリン酸PG6、イソステアリン酸PG6、ジイソステアリン酸PG6、トリイソステアリン酸PG6、オレイン酸PG6、ジオレイン酸PG6、トリオレイン酸PG6、ラクチル酸PG6、ジラクチル酸PG6、トリラクチル酸PG6、カプリン酸PG10、ジカプリン酸PG10、トリカプリン酸PG10、カプリル酸PG10、ジカプリル酸PG10、トリカプリル酸PG10、ラウリン酸PG10、ジラウリン酸PG10、トリラウリン酸PG10、ミリスチン酸PG10、ジミリスチン酸PG10、トリミリスチン酸PG10、ステアリン酸PG10、ジステアリン酸PG10、トリステアリン酸PG10、イソステアリン酸PG10、ジイソステアリン酸PG10、トリイソステアリン酸PG10、オレイン酸PG10、ジオレイン酸PG10、トリオレイン酸PG10、ラクチル酸PG10、ジラクチル酸PG10、及びトリラクチル酸10からなる群から選択されうる。
【0071】
ポリオキシアルキレン化脂肪エーテル、好ましくは、ポリオキシエチレン化脂肪エーテルは、2~60個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位を含んでもよい。エーテルの脂肪鎖は、ラウリル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル及びセチル単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから特に選択されうる。エトキシル化脂肪エーテルの例として、2個、3個、4個、及び5個のエチレンオキシド単位を含むラウリルアルコールエーテル(CTFA名:ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4、及びラウレス-5)、例えば名称Nikkol BL-2で日光ケミカルズ株式会社によって販売される製品、名称Emalex 703で日本エマルジョン株式会社によって販売される製品、名称Nikkol BL-4で日光ケミカルズ株式会社によって販売される製品、名称EMALEX 705で日本エマルジョン株式会社によって販売される製品を挙げることができる。
【0072】
(2)脂肪酸又は脂肪アルコール、カルボン酸及びグリセロールの混合エステルは、上記の非イオン性界面活性剤として使用することができ、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル鎖を有する脂肪酸又は脂肪アルコール、並びにα-ヒドロキシ酸及び/又はコハク酸とグリセロールとの混合エステルを含む群から特に選択されうる。α-ヒドロキシ酸は、例えば、クエン酸、乳酸、グリコール酸又はリンゴ酸、及びこれらの混合物であってもよい。
【0073】
本発明のナノエマルションに使用できる混合エステルに由来する脂肪酸又はアルコールのアルキル鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。これらは、とりわけ、ステアレート、イソステアレート、リノレエート、オレエート、ベヘネート、アラキドネート、パルミテート、ミリステート、ラウレート、カプレート、イソステアリル、ステアリル、リノレイル、オレイル、ベヘニル、ミリスチル、ラウリル又はカプリル鎖、及びこれらの混合物であってもよい。
【0074】
本発明のナノエマルションに使用することができる混合エステルの例として、名称Imwitor 375でHuels社によって販売されている、グリセロールと、クエン酸、乳酸、リノール酸及びオレイン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸グリセリル);名称Imwitor 780 KでHuels社によって販売されている、コハク酸と、イソステアリルアルコールとグリセロールとの混合エステル(CTFA名:コハク酸イソステアリルジグリセリル(Isostearyl diglyceryl succinate));名称Imwitor 370でHuels社によって販売されている、クエン酸及びステアリン酸とグリセロールとの混合エステル(CTFA名:クエン酸ステアリン酸グリセリル);名称Lactodan B30又はRylo LA30でDanisco社により販売されている、乳酸及びステアリン酸とグリセロールとの混合エステル(CTFA名:乳酸ステアリン酸グリセリル(Glyceryl stearate lactate))を挙げることができる。
【0075】
上記の非イオン性界面活性剤として使用することができる(3)糖の脂肪酸エステルは、特に、C8~C22脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物、並びにC14~C22脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物を含む群から選択されうる。
【0076】
本発明に使用できるエステルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪酸は、8~22個又は14~22個の炭素原子をそれぞれ含有する、飽和又は不飽和の直鎖状アルキル又はアルケニル鎖を含む。エステルの脂肪単位は、特に、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキドン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、並びにこれらの混合物から選択されうる。ステアリン酸を使用することが好ましい。
【0077】
脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物の例として、モノステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース及びトリステアリン酸スクロース、並びにこれらの混合物、例えばCroda社により名称Crodesta F50、F70、F110及びF160で販売されている製品を挙げることができ、挙げることができる脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物の例は、Goldschmidt社により名称Tego-care 450で販売されているジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコースである。グルコース又はマルトースモノエステル、例えばメチルo-ヘキサデカノイル-6-D-グルコシド及びo-ヘキサデカノイル-6-D-マルトシドを挙げることもできる。
【0078】
上記の非イオン性界面活性剤として使用できる(3)糖の脂肪アルコールエーテルは、45℃以下の温度で固体であってもよく、特に、C8~C22脂肪アルコールとグルコース、マルトース、スクロース又はフルクトースとのエーテル又はエーテル混合物、及びC14~C22脂肪アルコールとメチルグルコースとのエーテル又はエーテル混合物を含む群から選択されうる。これらは、特に、アルキルポリグルコシドである。
【0079】
本発明のナノエマルション中に使用できる、エーテルの脂肪単位を形成しているC8~C22又はC14~C22脂肪アルコールは、それぞれ、8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の直鎖状アルキル又はアルケニル鎖を含む。エーテルの脂肪単位は、デシル、セチル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル、パルミチル、ミリスチル、ラウリル、カプリル及びヘキサデカノイル単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから特に選択されうる。
【0080】
糖の脂肪アルコールエーテルの例として、例えばHenkel社によってそれぞれPlantaren 2000及びPlantaren 1200の名称で販売されている、デシルグルコシド及びラウリルグルコシド等のアルキルポリグルコシド、例えばSEPPIC社により名称Montanov 68、Goldschmidt社により名称Tego-care CG90及びHenkel社により名称Emulgade KE3302で販売されている、任意選択によりセトステアリルアルコールとの混合物としてのセトステアリルグルコシド、並びにSEPPIC社によって名称Montanov 202で販売されている、例えばアラキジルアルコール及びベヘニルアルコール及びアラキジルグルコシドの混合物の形態の、アラキジルグルコシドを挙げることができる。
【0081】
より特定的に使用される界面活性剤は、モノステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース又はトリステアリン酸スクロース及びこれらの混合物、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、並びにアルキルポリグルコシドである。
【0082】
上記の非イオン性界面活性剤として使用できる(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステルは、ソルビタンのC16~C22脂肪酸エステル及びソルビタンのオキシエチレン化C16~C22脂肪酸エステルを含む群から選択されうる。これらは、16~22個の炭素原子をそれぞれ含有する少なくとも1つの飽和直鎖状アルキル鎖を含む少なくとも1種の脂肪酸と、ソルビトール又はエトキシル化ソルビトールとから形成されうる。オキシエチレン化エステルは、一般に、1~100個のエチレングリコール単位、好ましくは2~40個のエチレンオキシド(EO)単位を含んでもよい。
【0083】
これらのエステルは、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル及びこれらの混合物から特に選択されうる。ステアリン酸エステルが好ましく使用される。
【0084】
本発明に使用することができる上記の非イオン性界面活性剤の例として、名称ICI社によりSpan 60で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社により名称Span 40で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社により名称Tween 65で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)を挙げることができる。
【0085】
上記の非イオン性界面活性剤として使用できる(4)オキシアルキレン化脂肪エステル、好ましくは、エトキシル化脂肪エステルは、1~100個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~60個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位と、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有する少なくとも1種の脂肪酸鎖とによって形成されるエステルであってもよい。エステルの脂肪鎖はステアリン酸、ベヘン酸、アラキドン酸及びパルミチン酸の単位、並びにこれらの混合物から特に選択されうる。挙げることができるエトキシル化脂肪エステルの例は、40個のエチレンオキシド単位を含むステアリン酸エステル(CTFA名:PEG-40ステアレート)、例えばICI社により名称Myrj 52で販売されている製品、並びに8個のエチレンオキシド単位を含むベヘン酸のエステル(CTFA名:PEG-8ベヘネート)、例えばGattefosse社により名称Compritol HD5 ATOで販売されている製品である。
【0086】
上記の非イオン性界面活性剤として使用することができる、(5)エチレンオキシド(A)及びプロピレンオキシド(B)のブロックコポリマーは、式(I):
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)zH (I)
[式中、x、y及びzは整数であり、x+zは2~100の範囲であり、yは14~60の範囲である]のブロックコポリマー、及びその混合物、より特定的には8.0~14.0の範囲のHLB値を有する式(I)のブロックコポリマーから特に選択されうる。
【0087】
上記の非イオン性界面活性剤として使用することができる(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、
PPG-6デシルテトラデセス-30;ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4630として販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-12;ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4612として販売されているもの、
PPG-13デシルテトラデセス-24;ポリオキシエチレン(24)ポリオキシプロピレン(13)デシルテトラデシルエーテル、例えばNOF Corporation社からUNILUBE 50MT-2200Bとして販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4620として販売されているもの、
PPG-4セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-31として販売されているもの、
PPG-8セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-41として販売されているもの、
PPG-4セテス-10;ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-33として販売されているもの、
PPG-4セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-34として販売されているもの、
PPG-5セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(5)セチルエーテル、例えばCroda社からProcetyl AWSとして販売されているもの、
PPG-8セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社Nikkol PBC-44としてから販売されているもの、及び
PPG-23ステアレス-34;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(34 EO)(23 PO)、例えばPola Chemical Industries社からUnisafe 34S-23として販売されているもの、からなる群から選択されうる。これらは、比較的短時間のうちに組成物の温度が増減する場合でも、長時間にわたって安定した組成物を提供することができる。
【0088】
ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-13デシルテトラデセス-24、PPG-6デシルテトラデセス-20、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-20、及びPPG-23ステアレス-34からなる群から選択されうる、(15~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(5~30 PO)アルキル(C16~C24)エーテルであることがより好ましいこともある。
【0089】
ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-13デシルテトラデセス-24、PPG-5セテス-20、及びPPG-8セテス-20からなる群から選択できる、(15~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(5~30 PO)アルキル(C16~C24)エーテルであることが更により好ましいこともある。
【0090】
上記の非イオン性界面活性剤として使用できる(7)シリコーン界面活性剤として、米国特許第5,364,633A号及び米国特許第5,411,744A号の文献に開示されているものを挙げることができる。
【0091】
上記の非イオン性界面活性剤としての(7)シリコーン界面活性剤は、好ましくは式(I)の化合物であってもよい。
【0092】
【化2】
【0093】
式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立して、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、R1、R2又はR3基の少なくとも1つは、アルキル基でなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、ただしA及びBが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、
zは、0~5の範囲の整数である。
【0094】
本発明の好ましい一実施形態によると、式(I)の化合物において、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0095】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(II)の化合物を挙げることができる。
【0096】
【化3】
【0097】
式中、Aは20~105の範囲の整数であり、Bは2~10の範囲の整数であり、yは10~20の範囲の整数である。
【0098】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(III)の化合物を挙げることもできる。
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である。
【0099】
使用することができる本発明の化合物には、Dow Corning社により名称DC5329、DC7439-146、DC2-5695及びQ4-3667で販売されているものがある。化合物DC 5329、DC 7439-146及びDC 2-5695は、式(II)の化合物であり、それぞれ、式中、Aは22、Bは2、yは12であり;Aは103、Bは10、yは12であり;Aは27、Bは3、yは12である。
【0100】
化合物Q4-3667は、式(III)の化合物であり、式中、Aは15であり、yは13である。
【0101】
本発明による組成物中の(b)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。本発明による組成物中の(b)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して5質量%以上であることが、更により好ましいこともある。
【0102】
その一方で、本発明による組成物中の(b)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは16質量%以下であってもよい。本発明による組成物中の(b)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して12質量%以下であることが、更により好ましいこともある。
【0103】
本発明による組成物中の(b)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1~30質量%、好ましくは1~20質量%、より好ましくは3~16質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の(b)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、5質量%~12質量%であることが更により好ましいこともある。
【0104】
(アニオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。2種以上のアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのアニオン性界面活性剤、又は異なるタイプのアニオン性界面活性剤の組合せが使用されうる。
【0105】
(c)アニオン性界面活性剤は、特に、アミノ酸ベースのアニオン性界面活性剤、タウレート、ホスフェート及びアルキルホスフェート、カルボキシレート、スルホスクシネート、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、スルホネート、イセチオネート、アルキルエーテルカルボン酸、アルキルスルホアセテート、ポリペプチド、及びこれらの混合物から特に選択されうる。好ましくは、(c)アニオン性界面活性剤は、アミノ酸ベースのアニオン性界面活性剤から選択される。
【0106】
1)前記アミノ酸ベース界面活性剤は、アミノ酸のカルボン酸塩から誘導され、アミノ酸塩のα-炭素又はβ-炭素上に位置するアミン基がC8~C22脂肪酸誘導体でアシル化されている。
【0107】
これらのアミノ酸のカルボン酸塩は、それぞれのアミノ酸を塩基で中和すること等の従来の手段によって形成することができる。中和されたアミノ酸のα-炭素又はβ-炭素上に位置するアミン基は、周知のショッテン・バウマン反応により、塩基の存在下での脂肪酸ハロゲン化物(ハロゲン化アシル)でアシル化され、アミドをもたらし、このようにして所望の界面活性剤反応生成物、すなわち、アミノ酸界面活性剤を形成する。アミノ酸のカルボン酸塩のアシル化に適したハロゲン化アシルには、塩化アシル、臭化アシル、フッ化アシル及びヨウ化アシルが含まれる。ハロゲン化アシルは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C8~C22脂肪酸をハロゲン化(臭化、塩化、フッ化及びヨウ化)チオニルと反応させることによって調製することができる。代表的なハロゲン化アシルには、塩化デカノイル、塩化ドデカノイル(塩化ラウロイル)、塩化ココイル(ヤシ油由来の脂肪酸塩化物)、塩化テトラデカノイル(塩化ミリストイル)、塩化ヘキサデカノイル(塩化パルミトイル)、塩化オクタデカノイル(塩化ステアロイル)、塩化9-オクタデセノイル(塩化オレオイル)、塩化エイコサノイル(塩化アラキドイル)、塩化ドコサノイル、及びこれらの任意の混合物が含まれるが、これらに限定されない。他のハロゲン化アシルには、前述の脂肪酸の臭化物、フッ化物及びヨウ化物が含まれる。ハロゲン化アシルを調製する方法、並びにアミノ酸をアシル化する代替的方法は、2008年8月21日公開の米国特許出願公開第2008/0200704号に記載されており、その出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0108】
一実施形態において、前記アミノ酸ベースのアニオン性界面活性剤は、式(IV)により表される。
【0109】
【化4】
【0110】
式中、
Zは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、8~22個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
Xは、水素又はメチル基であり、
nは、0又は1であり、
Yは、水素、-CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2C6H5、-CH2C2H4OH、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(NH)NH2、-CH2C(O)O-M+、-(CH2)2C(O)OH、-(CH2)2C(O)O-M+から選択され、
Mは、COOが対アニオンである塩形成カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアミンである。
【0111】
本発明の好ましい実施形態によると、式(IV)のアミノ脂肪酸において、
Zは、飽和又は不飽和の直鎖C8~C18アルキル基、特にココイル基であり、
Xは、水素であり、
nは、0であり、
Yは、水素であり、
Mは、COOが対アニオンである塩形成カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアミンである。
【0112】
アミノ酸界面活性剤の例は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、セリン、チロシン、バリン、サルコシンの塩、及びこれらの任意の混合物である。より具体的には、カプリロイルグルタミン酸二カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二カリウム、カプリロイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二ナトリウム、カプリロイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸カリウム、カプリロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、オリボイルグルタミン酸ナトリウム(sodium olivoyl glutamate)、パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルメチルβ-アラニン(cocoyl methyl β-alaninate)、ラウロイルβ-アラニン、ラウロイルメチルβ-アラニン、ミリストイルβ-アラニン、ラウロイルメチルβ-アラニンカリウム、ココイルアラニンナトリウム、ココイルメチルβ-アラニンナトリウム及びミリストイルメチルβ-アラニンナトリウム、パルミトイルグリシン(palmitoyl glycinate)、ラウロイルグリシンナトリウム、ココイルグリシンナトリウム、ミリストイルグリシンナトリウム、ラウロイルグリシンカリウム、ココイルグリシンカリウム、ラウロイルサルコシンカリウム、ココイルサルコシンカリウム、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレオイルサルコシンナトリウム、パルミトイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンアンモニウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ミリストイルアスパラギン酸ナトリウム、ココイルアスパラギン酸ナトリウム、カプロイルアスパラギン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸二ナトリウム、ミリストイルア
スパラギン酸二ナトリウム、ココイルアスパラギン酸二ナトリウム、カプロイルアスパラギン酸二ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸カリウム、ミリストイルアスパラギン酸カリウム、ココイルアスパラギン酸カリウム、カプロイルアスパラギン酸カリウム、ラウロイルアスパラギン酸二カリウム、ミリストイルアスパラギン酸二カリウム、ココイルアスパラギン酸二カリウム、カプロイルアスパラギン酸二カリウム、並びにこれらの混合物等のアミノ酸界面活性剤を挙げることができる。
【0113】
市販のアミノ酸界面活性剤、例えば、
- サルコシネート、例えば、Ciba社によって名称Sarkosyl NL 97(登録商標)で販売されている若しくはSeppic社によって名称Oramix L 30(登録商標)で販売されているラウロイルサルコシンナトリウム、日光ケミカルズ株式会社によって名称Nikkol Sarcosinate MN(登録商標)で販売されているミリストイルサルコシンナトリウム、又は日光ケミカルズ株式会社によって名称Nikkol Sarcosinate PN(登録商標)で販売されているパルミトイルサルコシンナトリウム、
- アラニネート、例えば、日光ケミカルズ株式会社によって名称Sodium Nikkol Alaninate LN 30(登録商標)で販売されている若しくは川研ファインケミカル株式会社によって名称Alanone ALE(登録商標)で販売されているN-ラウロイル-N-メチルアミドプロピン酸ナトリウム、又は川研ファインケミカル株式会社によって名称Alanone ALTA(登録商標)で販売されているトリエタノールアミンN-ラウロイル-N-メチルアラニン、
- グルタメート、例えば、味の素株式会社によって名称Acylglutamate CT-12(登録商標)で販売されているモノココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、味の素株式会社によって名称Acylglutamate LT-12(登録商標)で販売されているラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、
- アスパルテート、例えば、Mitsubishi社によって名称Asparack(登録商標)で販売されているN-ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミン及びN-ミリストイルアスパラギン酸トリエタノールアミンの混合物、
- グリシン誘導体(グリシネート)、例えば、味の素株式会社によって名称Amilite GCS-12(登録商標)及びAmilite GCK 12で販売されているN-ココイルグリシンナトリウム、
- シトレート、例えば、Goldschmidt社によって名称Witconol EC 1129で販売されているオキシエチレン化(9mol)ココアルコールのクエン酸モノエステル、並びに
- ガラクツロネート、例えば、Soliance社によって販売されているドデシルD-ガラクトシドウロン酸ナトリウム
を参照することができる。
【0114】
2)タウレートとして、Clariant社によって名称Hostapon CT Pate(登録商標)で販売されているパーム核油メチルタウレートのナトリウム塩;N-アシル-N-メチルタウレート、例えばClariant社によって名称Hostapon LT-SF(登録商標)で販売されている、若しくは日光ケミカルズ株式会社によって名称Nikkol CMT-30-T(登録商標)で販売されているN-ココイル-N-メチルタウリン酸ナトリウム、日光ケミカルズ株式会社によって名称Nikkol PMT(登録商標)で販売されているパルミトイルメチルタウリン酸ナトリウム、又は太陽化学株式会社によって名称Sunsoft O-30Sで販売されているステアロイルメチルタウリン酸ナトリウムを挙げることができる。
【0115】
3)ホスフェート及びアルキルホスフェートとして、例えば、Kao Chemicals社によって名称MAP 20(登録商標)で販売されているラウリルモノホスフェート等のモノアルキルホスフェート及びジアルキルフォスフェート、ドデシルホスフェートのカリウム塩、Cognis社によって名称Crafol AP-31(登録商標)で販売されているモノエステル及びジエステル(主としてジエステル)の混合物、Cognis社によって名称Crafol AP-20(登録商標)で販売されているオクチルリン酸モノエステル及びジエステルの混合物、Condea社によって名称Isofol 12 7 EO-Phosphate Ester(登録商標)で販売されているエトキシ化(7molのEO)2-ブチルオクチルリン酸モノエステル及びジエステルの混合物、Uniqema社によって参照名Arlatone MAP 230K-40(登録商標)及びArlatone MAP 230T-60(登録商標)で販売されている、モノ(C12~C13)アルキルホスフェートのカリウム又はトリエタノールアミン塩、Rhodia Chimie社によって名称Dermalcare MAP XC-99/09(登録商標)で販売されているラウリルリン酸カリウム、及びUniqema社によって名称Arlatone MAP 160Kで販売されているセチルリン酸カリウムを挙げることができる。
【0116】
4)カルボキシレートとして、
- アミドエーテルカルボキシレート(AEC)、例えば、Kao Chemicals社によって名称Akypo Foam 30(登録商標)で販売されているラウリルアミドエーテルカルボン酸ナトリウム(3 EO)、
- ポリオキシエチレン化カルボン酸塩、例えば、Kao Chemicals社により名称Akypo Soft 45 NV(登録商標)で販売されている、オキシエチレン化(6 EO)ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム(65/25/10 C12~C14~C16)、Biologia E Tecnologia社により名称Olivem 400(登録商標)で販売されている、オリーブ油起源のポリオキシエチレン化脂肪酸及びカルボキシメチル化脂肪酸、又は日光ケミカルズ社により名称Nikkol ECTD-6NEX(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(6 EO)トリデシルエーテルカルボン酸ナトリウム、並びに
- 有機塩基又は無機塩基で中性化されているC6~C22アルキル鎖を有する脂肪酸の塩(セッケン)、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、リジン及びアルギニン
を挙げることができる。
【0117】
5)スルホスクシネートとして、例えば、Witco社によって名称Setacin 103 Special(登録商標)及びRewopol SB-FA 30 K 4(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(3 EO)ラウリル(70/30 C12/C14)アルコールモノスルホスクシネート、Zschimmer Schwarz社によって名称Setacin F Special Paste(登録商標)で販売されているC12~C14アルコールのヘミスルホスクシネートの二ナトリウム塩、Cognis社によって名称Standapol SH 135(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(2 EO)オレアミドスルホコハク酸二ナトリウム、Sanyo社によって名称Lebon A-5000(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(5 EO)ラウラミドモノスルホスクシネート、Witco社によって名称Rewopol SB CS 50(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(10 EO)ラウリルシトレートモノスルホスクシネートの二ナトリウム塩、又はWitco社によって名称Rewoderm S 1333(登録商標)で販売されているリシノール酸モノエタノールアミドモノスルホスクシネートを挙げることができる。ポリジメチルシロキサンスルホスクシネート、例えばMacIntyre社によって名称Mackanate-DC 30で販売されているPEG-12ジメチコンスルホコハク酸二ナトリウムも使用することができる。
【0118】
6)アルキルスルフェートとして、例えば、ラウリル硫酸トリエタノールアミン(CTFA名:ラウリル硫酸TEA)、例えばHuntsman社によって名称Empicol TL40 FLで販売されている製品又はCognis社によって名称Texapon T42で販売されている製品を挙げることができ、これらの製品は、水溶液中40%である。ラウリル硫酸アンモニウム(CTFA名:ラウリル硫酸アンモニウム)、例えばHuntsman社によって名称Empicol AL 30FLで販売されている製品も挙げることができ、これは、水溶液中30%である。
【0119】
7)アルキルエーテルスルフェートとして、例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(CTFA名:ラウレス硫酸ナトリウム)、例えばCognis社によって名称Texapon N40及びTexapon AOS 225 UPで販売されているもの、又はラウリルエーテル硫酸アンモニウム(CTFA名:ラウレス硫酸アンモニウム)、例えばCognis社によって名称Standapol EA-2で販売されているものを挙げることができる。
【0120】
8)スルホネートとして、例えば、α-オレフィンスルホネート、例えばStepan社によって名称Bio-Terge AS-40(登録商標)で販売されている、Witco社によって名称Witconate AOS Protege(登録商標)及びSulframine AOS PH 12(登録商標)で販売されている若しくはStepan社によって名称Bio-Terge AS-40 CG(登録商標)で販売されているα-オレフィンスルホン酸ナトリウム(C14~C16)、Clariant社によって名称Hostapur SAS 30(登録商標)で販売されている第二級オレフィンスルホン酸ナトリウム、又は直鎖状アルキルアリールスルホネート、例えばManro社によって名称Manrosol SXS30(登録商標)、Manrosol SXS40(登録商標)及びManrosol SXS93(登録商標)で販売されているキシレンスルホン酸ナトリウムを挙げることができる。
【0121】
9)イセチオネートとして、アシルイセチオネート、例えばココイルイセチオン酸ナトリウム、例えばJordan社によって名称Jordapon CI P(登録商標)で販売されている製品を挙げることができる。
【0122】
10)アルキルエーテルカルボン酸として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸を挙げることができ、例えば式(IV)に対応する化合物である。
RO[CH2O]u[(CH2)xCH(R')(CH2)y(CH2)zO]v[CH2CH2O]wCH2COOH (V)
式中、
Rは、6~40個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、
u、v、及びwは、互いに独立して、0~60の数を表し、
x、y、及びzは、互いに独立して、0~13の数を表し、
R'は、水素、アルキル、好ましくはC1~C12アルキルを表し、
x+y+zの合計は、0以上である。
【0123】
式(V)において、Rは、直鎖状又は分枝状、非環状又は環状、飽和又は不飽和、脂肪族又は芳香族、置換又は非置換でありうる。置換基の例として、一価の官能基、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1~C6アルコキシ基、アミノ基、C1~C6アルキルアミノ基、C1~C6ジアルキルアミノ基、ニトロ基、カルボニル基、アシル基、カルボキシル基、シアノ基等を挙げることができる。典型的に、Rは、直鎖状若しくは分枝状の、非環式C6~C40アルキル若しくはアルケニル基又はC1~C40アルキルフェニル基、より典型的には、C8~C24アルキル若しくはアルケニル基又はC4~C20アルキルフェニル基、更により典型的には、C10~C18アルキル基若しくはアルケニル基又はC6~C16アルキルフェニル基であり、これらは置換されていてもよく;u、v、wは、互いに独立して、典型的には2~20の数、より典型的には3~17の数、最も典型的には5~15の数であり;x、y及びzは、互いに独立して、典型的には2~13の数、より典型的には1~10の数、最も典型的には0~8の数である。
【0124】
式(IV)に対応するポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸は、アルコールROHを、単一のアルコキシドとしてエチレンオキシドによりアルコキシル化することによって、又はいくつかのアルコキシドによりアルコキシル化し、続いて酸化することによって、得ることができる。u、v、及びwの数は、それぞれ、アルコキシル化の程度を表す。一方、分子レベルにおいて、u、v、及びwの数、並びにアルコキシル化の総計の程度は、ゼロを含めた整数となり得るにすぎず、巨視的レベルにおいて、これらは、端数の形態の平均値である。脂肪エーテルカルボン酸には、ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸及びこれらの塩、より特定的にはポリオキシエチレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸及びこれらの塩、ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸及びこれらの塩、並びにポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸が含まれうる。好ましくは、脂肪エーテルカルボン酸は、ポリオキシエチレン(3)~(17)ラウリルエーテルカルボン酸である。
【0125】
適切なアルキルエーテルカルボン酸として、ポリオキシアルキレン化(C6~C24)アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、特に2~50個のアルキレンオキシド基、特にエチレンオキシド基を含むもの、例えば、Kao社により名称Akypoで販売されている化合物を挙げることができる。塩は、特にアルカリ金属塩、とりわけ、ナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、トリエタノールアミン又はモノエタノールアミン等のアミノアルコールの塩、及びマグネシウム塩から選択される。
【0126】
ポリオキシアルキレン化(C6~C24)アルキルエーテルカルボン酸は、次式(VI)により表すことができる。
R1-(OC2H4)n-OCH2COOA (VI)
式中、
R1は、直鎖状若しくは分枝状のC8~C22アルキル基若しくはアルケニル基又は基の混合物、(C8~C9)アルキルフェニル基、R2CONH-CH2-CH2-基を表し、ここでR2は、直鎖状又は分枝状のC11~C21アルキル基又はアルケニル基を示し、
nは、2~24、好ましくは2~10の範囲でありうる整数又は小数(平均値)であり、アルキル基は、およそ6から20個の間の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子を含有し、アリールは、好ましくはフェニルを示し、
Aは、水素原子、アンモニウム基、Na、K、Li、Mg又はモノエタノールアミン若しくはトリエタノールアミン残基を示し、好ましくは、水素又はナトリウム原子、より特定的にはナトリウム原子を示す。
【0127】
優先的には、R1は、直鎖状若しくは分枝状のC8~C22アルキル若しくはアルケニル基、又は(C8~C9)アルキルフェニル基である。特に、R1は、(C12~C14)アルキル、ココイル若しくはオレイル基又は基の混合物;ノニフェニル又はオクチルフェニル基を示す。
【0128】
市販の製品のうち、Kao社により以下の名称で販売されている製品を好ましく使用することができる。
Akypo NP 70(式(VI)において、R1=ノニルフェニル、n=7及びA=Hである);
Akypo NP 40(式(VI)において、R1=ノニルフェニル、n=4及びA=Hである);
Akypo OP 40(式(VI)において、R1=オクチルフェニル、n=4及びA=Hである);
Akypo OP 80(式(VI)において、R1=オクチルフェニル、n=8及びA=Hである);
Akypo OP 190(式(VI)において、R1=オクチルフェニル、n=19及びA=Hである);
Akypo RLM 38(式(VI)において、R1=(C12~C14)アルキル、n=3.8及びA=Hである);
Akypo RLM 38 NV(式(VI)において、R1=(C12~C14)アルキル、n=4及びA=Naである);
Akypo RLM 45(式(VI)において、R1=(C12~C14)アルキル、n=4.5及びA=Hである);
Akypo RLM 45 NV(式(VI)において、R1=(C12~C14)アルキル、n=4.5及びA=Naである);
Akypo RLM 100(式(VI)において、R1=(C12~C14)アルキル、n=10及びA=Hである);
Akypo RLM 100 NV(式(VI)において、R1=(C12~C14)アルキル、n=10及びA=Naである);及び
Akypo RLM 160 NV(式(VI)において、R1=(C12~C14)アルキル、n=16及びA=Naである)。
【0129】
本発明による組成物中の(c)アニオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。本発明による組成物中の(c)アニオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.15質量%以上であることが更により好ましいこともある。
【0130】
その一方で、本発明による組成物中の(c)アニオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。本発明による組成物中の(c)アニオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以下であることが更により好ましいこともある。
【0131】
本発明による組成物中の(c)アニオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01~10質量%、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~1質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の(c)アニオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.15~0.5質量%であることが更により好ましいこともある。
【0132】
(ベタイン)
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種のベタインを含む。単一のタイプの特定のベタインを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの特定のベタインを組み合わせて使用してもよい。
【0133】
用語「ベタイン」は、本明細書において、正荷電カチオン性部分及び負荷電アニオン性部分を有する両性化合物を意味し、正荷電カチオン性部分の正電荷原子に結合している水素原子はなく、正荷電カチオン性部分は負荷電アニオン性部分に隣接していないことがある。
【0134】
本発明の目的では、(d)ベタインは本明細書において界面活性剤ではなく、少なくとも1つの親水性部分及び少なくとも1つの疎水性部分を含む。
【0135】
ベタイン中の正荷電カチオン性部分には、第四級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、及びスルホニウムカチオンが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、ベタインは正荷電カチオン性部分として第四級アンモニウムカチオンを含む。
【0136】
ベタイン中の負荷電アニオン性部分には、カルボキシレートアニオンが含まれるが、これに限定されない。
【0137】
ベタインは、好ましくは、トリメチルグリシン、カルニチン、及びL-プロリンベタイン又はスタキドリンから選択される少なくとも1つを含み、より好ましくは、ベタインはトリメチルグリシンを含む。
【0138】
本発明による組成物中の(d)ベタインの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であってもよい。本発明による組成物中の(d)ベタインの量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上であることが更により好ましいこともある。
【0139】
その一方で、本発明による組成物中の(d)ベタインの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。本発明による組成物中の(d)ベタインの量は、組成物の総質量に対して、3質量%以下であることが更により好ましいこともある。
【0140】
本発明による組成物中の(d)ベタインの量は、組成物の総質量に対して、0.01~15質量%、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.3~5質量%の範囲であってもよい。本発明による組成物中の(d)ベタインの量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%~3質量%であることが更により好ましいこともある。
【0141】
(水)
本発明による組成物は、(e)水を含む。
【0142】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
【0143】
その一方で、本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下であってもよい。
【0144】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、30~90質量%、好ましくは40~80質量%、より好ましくは50~70質量%であってもよい。
【0145】
(ポリオール)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種のポリオールを含んでもよい。単一のタイプのポリオールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのポリオールを組み合わせて使用してもよい。
【0146】
用語「ポリオール」は、本明細書において、2個以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖類又はその誘導体を包含しない。糖類の誘導体には、糖類の1個以上のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、並びにその1個以上のヒドロキシ基中の1個以上の水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置き換えられている糖類又は糖アルコールが含まれる。
【0147】
ポリオールは、少なくとも2個のヒドロキシ基、好ましくは2~5個のヒドロキシ基を含む、C2~C12ポリオール、好ましくはC2~C9ポリオールであってもよい。ポリオールは、天然又は合成のポリオールであってもよい。ポリオールは、直鎖状、分岐状又は環状の分子構造を有してよい。
【0148】
ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択されうる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択されうる。
【0149】
ポリオールは、組成物の総質量に対して、0.1質量%~50質量%、好ましくは1質量%~40質量%、例えば10質量%~30質量%の範囲の量で存在してもよい。
【0150】
(会合性ポリウレタン)
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種の会合性ポリウレタンを含んでもよい。単一のタイプの会合性ポリウレタンを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの会合性ポリウレタンを組み合わせて使用することもできる。
【0151】
本発明の目的において、用語「会合性ポリウレタン」は、媒体中で互いに可逆的に会合可能なポリウレタンを指す。
【0152】
会合性ポリウレタンは、少なくとも1つの親水性部分及び少なくとも1つの疎水性部分を含んでもよい。本発明の目的において、用語「疎水性基」は、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、特に12~30個の炭素原子、より優先的には16~30個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状の炭化水素ベース鎖を有する基又はポリマーを意味する。
【0153】
会合性ポリウレタンは、カチオン性又は非イオン性、好ましくは非イオン性でありうる。より詳細には、前記ポリマーは、それらの鎖の中に、大抵はポリオキシエチレン化した性質の親水性配列と、脂肪族結合の単独、及び/又はシクロ脂肪族結合、及び/又は芳香族結合であってもよい疎水性配列の両方を含有する。
【0154】
好ましくは、これらのポリエーテル-ポリウレタンは、6~30個の炭素原子、好ましくは6~20個の炭素原子を有する、親水性配列により分離されている少なくとも2つの親油性炭化水素鎖を含み、炭化水素鎖は、ペンダント鎖であること、又は親水性配列の末端の鎖であることが可能である。特に、1つ以上のペンダント鎖を想定することが可能である。加えて、ポリマーは、親水性配列の一端又は両端に炭化水素鎖を含むことができる。
【0155】
ポリエーテル-ポリウレタンは、ポリブロック、特にトリブロックの形態であってもよい。疎水性配列は、鎖のそれぞれの末端にあってもよく(例えば、親水性中央配列を有するトリブロックコポリマー)、又は末端及び鎖中の両方に分布されていてもよい(例えば、ポリブロックコポリマー)。これらの同じポリマーは、また、グラフト単位の形態であってもよく、星型であってもよい。
【0156】
更により特定的には、本発明によると、(i)100~180molのエチレンオキシドを含む少なくとも1種のポリエチレングリコール、(ii)1~150個のエチレングリコール単位を含みうるステアリルアルコール又はデシルアルコール、及び(iii)少なくとも1種のジイソシアネートから構成される、少なくとも3種の化合物の重縮合によって得ることができるポリエーテル-ポリウレタンを使用することが好ましい。
【0157】
このようなポリエーテル-ポリウレタンは、特に、ROHM & HAAS社により名称Aculyn 46(登録商標)及びAculyn 44(登録商標)で販売されている[ACULYN 46(登録商標)は、150又は180molのエチレンオキシド、ステアリルアルコール及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)を含有しているポリエチレングリコールの重縮合物であって、マルトデキストリン(4%)と水(81%)のマトリックス中で15質量%であり;ACULYN 440は、150又は180molのエチレンオキシド、デシルアルコール及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)を含有しているポリエチレングリコールの重縮合物であって、プロピレングリコール(39%)と水(26%)の混合物中で35質量%である]。
【0158】
本発明によると、会合性ポリウレタンは、Rheox社により名称Rheolate FX 1100で販売されているステアレス-100/PEG-136/HDIコポリマーであることが好ましい。
【0159】
会合性ポリウレタンの量は制限されず、組成物の総質量に対して、0.01~10質量%、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.4~3質量%の範囲であってもよい。
【0160】
(任意選択の添加剤)
本発明による組成物は、また、例えば、カチオン性又は両性の界面活性剤、溶媒、ガム、樹脂、親水性増粘剤、疎水性増粘剤、分散剤、抗酸化剤、例えばヒドリキシアセトフェノン、被膜形成剤、防腐剤、例えばサリチル酸及びフェノキシエタノール、香料、中和剤、pH調整剤、消毒薬、UV遮蔽剤、化粧用活性剤、例えばビタミン、保湿剤、エモリエント又はコラーゲン保護剤、並びにこれらの混合物から選択される、化粧品の分野で通常使用される任意選択の添加剤のいずれかを含んでもよい。
【0161】
本発明による組成物中に存在しうる上記の任意選択の添加剤の性質及び量を、所望の美容特性が影響を受けないよう調整することは、当業者にとって日常的な作業である。
【0162】
本発明の好ましい一実施形態において、組成物は、
(a)少なくとも1種のエーテル油と、
(b)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステルの非イオン性界面活性剤と、
(c)少なくとも1種のアミノ酸ベースのアニオン性界面活性剤と、
(d)少なくとも1種のベタインと、
(e)水と
を含む、水中油型エマルションの形態である。
【0163】
本発明の別の好ましい実施形態において、組成物は、
(a)少なくとも1種のエーテル油と、
(b)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸モノエステル及び少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸ジエステルを含む非イオン性界面活性剤と、
(c)少なくとも1種のアミノ酸ベースアのニオン性界面活性剤と、
(d)少なくとも1種のベタインと、
(e)水と
を含む、水中油型エマルションの形態である。
【0164】
本発明による組成物は、上記の必須成分及び任意選択の成分を従来の方法で混合することによって調製することができる。
【0165】
例えば、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のエーテル油と、
(b)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
(c)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、
(d)少なくとも1種のベタインと、
(e)水と
を混合する工程を含む方法によって調製することができる。
【0166】
任意選択の成分のいずれかを更に混合することが可能である。
【0167】
[化粧用組成物]
本発明による組成物は、好ましくは化粧用組成物として使用されうる。したがって、本発明による組成物は、ケラチン物質への塗布を意図したものであってもよい。ケラチン物質は、本明細書において、ケラチンを主要構成要素として含有する材料を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪、まつ毛、眉毛等が含まれる。したがって、本発明による組成物は、ケラチン物質のための美容方法に使用されることが好ましい。
【0168】
本発明による組成物は、クレンジング組成物、より好ましくはメイクアップ除去剤、特にケラチン物質からメイクアップを除去するメイクアップ除去剤であることが好ましい。
【0169】
本発明による組成物は、組成物がケラチン物質から液だれしないように増大した粘度を有しながら、良好な流動性を有することが好ましい。
【0170】
[方法及び使用]
本発明による組成物は、ケラチン物質に塗布することによって、皮膚、毛髪、粘膜、爪、まつ毛、眉毛、及び頭皮等のケラチン物質を処置するための美容方法等の非治療的方法に使用することができる。
【0171】
本発明による方法は、クレンジング方法、特にメイクアップ製品、例えばマスカラをケラチン物質から洗い落とすためのクレンジング方法であることが好ましい。
【0172】
本発明による組成物は、そのまま、又は化粧料、好ましくはクレンジング製品において使用することができる。特に、本発明による組成物は、好ましくは、体及び/若しくは顔の皮膚、又はケラチン繊維、例えば毛髪、まつ毛、及び眉毛のメイクアップ除去製品等のクレンジング製品であってもよい。或いは、本発明による組成物は、上記の製品の1つの要素として使用することができる。例えば、本発明による組成物は、上記の製品を形成するために任意の他の要素に加える、又は任意の他の要素と組み合わせることができる。
【0173】
本発明は、また、組成物中に油滴の径を100nm未満、好ましくは90nm未満、より好ましくは80nm未満にして維持するために、(a)少なくとも1種のエーテル油、(b)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び(e)水を含む水中油型エマルションの形態の組成物中に、(c)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と(d)少なくとも1種のベタインとの組合せを使用することに関する。
【0174】
本組成物による方法及び使用に用いられる組成物は、本発明による組成物に関して上記に説明された任意選択の成分のいずれかを含んでもよい。
【実施例
【0175】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0176】
[マイクロエマルションジェル]
以下の、Table 1(表1)に示されている実施例1(Ex.1)及び比較例1~3(Comp.Ex.1~3)によるマイクロエマルションジェル形態の組成物は、Table 1(表1)に示されている成分を混合することによって調製した。Table 1(表1)に示される成分の量の数値は、全て活性原料の「質量%」に基づいている。
【0177】
[評価]
(体積平均粒子径)
実施例1(Ex.1)及び比較例1~3(Comp.Ex.1~3)による各組成物の分散油滴の体積平均粒子径は、調製された直後(T0)に、及び4℃、25℃又は45℃で2か月間保管した後で、大塚電子株式会社製のELSZ-2000ゼータ電位・粒径測定器によって測定した。
【0178】
評価結果を以下のTable 1(表1)にまとめる。Table 1(表1)のP.S.は、相分離を意味する。
【0179】
【表1】
【0180】
Table 1(表1)から分かるように、実施例1による組成物は、本発明の成分(a)~(e)の特定の組合せを含み、4℃~45℃で2か月間にわたって保管された後であっても微細なエマルション状態を維持し、良好な安定性を示した。
【0181】
その一方で、比較例1のそれぞれの組成物は、ベタイン及びアニオン性界面活性剤を欠いており、4℃~45℃で劣った安定性を示した。比較例2による組成物は、アニオン性界面活性剤を欠いており、同様に、4℃~45℃で劣った安定性を示した。加えて、比較例3による組成物は、ベタインを欠き、アニオン性界面活性剤の代わりに追加的な非イオン性界面活性剤を含んでおり、同様に、4℃~45℃で劣った安定性を示した。
【0182】
[マイクロエマルション]
以下の、Table 2(表2)に示されている実施例2(Ex.2)及び比較例4~7(Comp.Ex.4~7)によるマイクロエマルション形態の組成物は、Table 2(表2)に示されている成分を混合することによって調製した。Table 2(表2)に示される成分の量の数値は、全て活性原料の「質量%」に基づいている。
【0183】
[評価]
実施例2(Ex.2)及び比較例4~7(Comp.Ex.4~7)による各組成物の分散油滴の体積平均粒子径は、調製された直後(T0)に、及び4℃、25℃又は45℃で2か月間保管した後で、大塚電子株式会社製のELSZ-2000ゼータ電位・粒径測定器によって測定した。
【0184】
評価結果を以下のTable 2(表2)にまとめる。Table 2(表2)のP.S.は、相分離を意味する。
【0185】
【表2】
【0186】
Table 2(表2)から分かるように、実施例2による組成物は、本発明の成分(a)~(e)の特定の組合せを含み、4℃~45℃で2か月間にわたって保管された後であっても微細なエマルション状態を維持し、良好な安定性を示した。
【0187】
その一方で、比較例4による組成物は、ベタイン及びアニオン性界面活性剤を欠いており、4℃~45℃で劣った安定性を示した。比較例5による組成物は、ベタインを欠いており、同様に、4℃~45℃で劣った安定性を示した。加えて、比較例6及び7による組成物は、アニオン性界面活性剤を欠き、代わりに追加的な非イオン性界面活性剤を含んでおり、同様に、4℃~45℃で劣った安定性を示した。
【0188】
したがって、本発明による組成物は、良好な安定性を示すため、ケラチン物質を洗浄するための組成物として極めて好ましいものでありうると結論付けることができる。
【0189】
(実施例3及び実施例4)
以下のマイクロエマルションジェル形態の組成物は、以下の表に示されている成分を混合することによって調製した。表に示される成分の量に関する数値は、全て活性原料の「質量%」に基づいている。
【0190】
【表3】
【0191】
【表4】
【0192】
実施例3及び実施例4による組成物は、本発明の成分(a)~(e)の特定の組合せを含み、良好な安定性を示した。