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特許7353761多孔質構造部材を備える整形外科用インプラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】多孔質構造部材を備える整形外科用インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019009301
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2019126732
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】15/878,723
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511039728
【氏名又は名称】スメド-ティーエイ/ティーディー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ポール エス. ネボスキー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー シー. スタルカップ
(72)【発明者】
【氏名】トロイ ディー. ナップ
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163706(JP,A)
【文献】特表平10-501710(JP,A)
【文献】特開2016-135242(JP,A)
【文献】特表2016-512107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用インプラントであって、
インプラントボディであって、第1の面と、該第1の面と反対側の第2の面と、前記インプラントボディに形成された、前記第1の面および前記第2の面を貫通して延びるキャビティとを有し、前記インプラントボディは、実質的に非多孔質であり、前記インプラントボディは、前記キャビティまで前記インプラントボディを貫通して形成された少なくとも1つの第1の開口を備える第3の面をさらに有し、前記少なくとも1つの第1の開口は、外側直径を有する外側部分と、内側直径を有する内側部分とを有し、前記外側直径は前記内側直径より大きい、インプラントボディと、
前記キャビティ内に保持された実質的に多孔質の材料を含む耐力部材であって、前記実質的に多孔質の材料は、前記少なくとも1つの第1の開口を介して材料薬剤を受け入れるように構成されており、前記耐力部材は、前記キャビティから前記第1の面を越えて延びる第1の接触面を有する、耐力部材と、
を有し、
前記少なくとも1つの第1の開口の前記外側部分は、ツールから前記材料薬剤を受け取るために前記ツールに接続されるように構成されており、
前記少なくとも1つの第1の開口の前記内側部分は、前記ツールから前記少なくとも1つの第1の開口を介して前記実質的に多孔質の材料によって前記材料薬剤が受け取られると、前記少なくとも1つの第1の開口を介して前記実質的に多孔質の材料から前記材料薬剤が出ることを防止するためのプラグに接続されるように構成されており
前記少なくとも1つの第1の開口の前記内側部分は、ねじ山付き内側部分を有し、プラグは、前記少なくとも1つの第1の開口の前記ねじ山付き内側部分と螺合させられるねじ山付き近位部分と、前記少なくとも1つの第1の開口の前記外側部分の第1の直径より小さな直径を有する遠位部分とを有し、前記外側部分はねじ山付き外側部分を有し、
前記プラグは、中間部分を有し、該中間部分は、前記少なくとも1つの第1の開口の前記ねじ山付き内側部分の第2の直径より大きくかつ前記少なくとも1つの第1の開口の前記ねじ山付き外側部分の前記第1の直径より小さな直径を有する、
整形外科用インプラント。
【請求項2】
前記耐力部材は、前記第1の接触面と反対側の第2の接触面を有し、前記耐力部材は、前記第1の接触面から前記第2の接触面まで延びた、相互接続する気孔を有し、前記耐力部材は、全体積を有し、前記相互接続する気孔は全体として見て、前記全体積の少なくとも60%を占めている、請求項1記載の整形外科用インプラント。
【請求項3】
前記キャビティは、少なくとも2つのサブキャビティを有し、前記少なくとも1つの第1の開口は、少なくとも2つの第1の開口を有し、前記少なくとも2つのサブキャビティ内に保持された前記実質的に多孔質の材料は、異なる気孔率を有する、請求項1記載の整形外科用インプラント。
【請求項4】
前記材料薬剤は、流動性材料である、請求項1記載の整形外科用インプラント。
【請求項5】
前記流動性材料は、骨移植片である、請求項4記載の整形外科用インプラント。
【請求項6】
前記流動性材料は、骨パテである、請求項4記載の整形外科用インプラント。
【請求項7】
前記流動性材料は、治療薬である、請求項4記載の整形外科用インプラント。
【請求項8】
前記遠位部分は遠位端部を有し、該遠位端部は、前記少なくとも1つの第1の開口から前記プラグをねじ外すための回転手段を受け入れるように成形されている、請求項記載の整形外科用インプラント。
【請求項9】
前記遠位端部は、六角形として成形されている、請求項記載の整形外科用インプラント。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の開口の前記内側部分は、前記ツールから受け取られた前記プラグに接続されるように構成されている、請求項1記載の整形外科用インプラント。
【請求項11】
前記第3の面は、前記ツールに接続されるように構成された少なくとも1つの第2の開口を有する、請求項1記載の整形外科用インプラント。
【請求項12】
前記材料薬剤および前記プラグをさらに含み、前記耐力部材の前記実質的に多孔質の材料は前記材料薬剤を有し、前記少なくとも1つの第1の開口の前記内側部分は前記プラグに接続されており、前記プラグは前記少なくとも1つの第1の開口をシールしている、請求項1記載の整形外科用インプラント。
【請求項13】
整形外科用インプラントと共に使用するように構成されたツールであって、前記整形外科用インプラントは、インプラントボディを有し、該インプラントボディは、第1の面と、該第1の面と反対側の第2の面と、前記インプラントボディに形成された、前記第1の面および前記第2の面を貫通して延びるキャビティとを有し、前記インプラントボディは、実質的に非多孔質であり、前記インプラントボディは、さらに、前記キャビティまで前記インプラントボディを貫通して形成された少なくとも1つの第1の開口と、少なくとも1つの第2の開口とを備える第3の面を有し、前記少なくとも1つの第1の開口は、外側直径を有するねじ山付き外側部分と、内側直径を有するねじ山付き内側部分とを有し、前記外側直径は前記内側直径より大きく、前記キャビティ内に保持された実質的に多孔質の材料を含む耐力部材を有し、該耐力部材は、前記少なくとも1つの第1の開口を介して材料薬剤を受け入れるように構成されており、前記耐力部材は、前記キャビティから前記第1の面を越えて延びる第1の接触面を有し、前記ツールは、
第1の端部および第2の端部を有する管状通路を有する管状アセンブリであって、前記第1の端部は、前記インプラントボディに取り付けるための手段を有する、管状アセンブリと、
プラグと、
該プラグに接続されたプランジャと、を含み、
前記管状通路は、前記第2の端部を介して、前記材料薬剤と、前記プラグに接続された前記プランジャとを受け入れるように構成されており、
前記プラグに接続された前記プランジャは、前記少なくとも1つの第1の開口を通じて前記管状通路から前記耐力部材内へ前記材料薬剤を排出するために、前記管状通路を通ってスライドするように構成されており、
前記プラグに接続された前記プランジャは、前記第1の開口を通じた前記耐力部材からの前記材料薬剤の排出に対して前記第1の開口をシールするために、前記プラグを前記第1の開口に接続するために前記管状通路内で回転するように構成されており
前記管状アセンブリは、インサータを有し、該インサータは、管状部分と、前記インサータの前記管状部分内に配置されたカニューレとを有し、前記管状アセンブリの取付けのための前記手段は、前記インサータの取付け部分と、前記カニューレのねじ山付き取付け部分とを有し、前記インサータの前記取付け部分は、前記インプラントボディの前記第3の面の前記少なくとも1つの第2の開口と接続されるように構成された少なくとも1つのピンを有し、前記カニューレの前記ねじ山付き取付け部分は、前記第3の面の前記少なくとも1つの第1の開口の前記ねじ山付き外側部分と接続されるように構成されており、前記カニューレは、前記管状通路を有する、
整形外科用インプラントと共に使用するように構成されたツール。
【請求項14】
前記インサータは、前記管状部分の周囲に配置されたハンドル部分を有する、請求項13記載のツール。
【請求項15】
前記プラグは、
前記少なくとも1つの第1の開口の前記ねじ山付き内側部分に接続されるように構成されたねじ山付き近位部分と、
遠位部分であって、前記プランジャが前記遠位部分に接続されており、前記遠位部分は、前記少なくとも1つの第1の開口の前記ねじ山付き外側部分の前記外側直径より小さな遠位直径を有する、遠位部分と、
前記少なくとも1つの第1の開口の前記ねじ山付き内側部分の前記内側直径より大きくかつ前記ねじ山付き外側部分の前記外側直径より小さいまたは該外側直径と等しい中間直径を有する中間部分と、
を有する、請求項13記載のツール。
【請求項16】
前記管状通路は、管状通路直径を有し、前記プラグの前記中間直径は、前記管状通路直径と等しく、前記プラグの前記遠位直径は、前記管状通路直径より小さい、請求項15記載のツール。
【請求項17】
前記プラグの前記遠位部分は、遠位端部を有し、前記プランジャは、ジョイントにおいて前記遠位端部に切断可能に接続されており、これにより、前記少なくとも1つの第1の開口をシールするために該少なくとも1つの第1の開口の前記ねじ山付き内側部分に前記ねじ山付き近位部分を接続するために前記プランジャが前記管状通路内で回転させられたとき、前記プランジャは、前記ジョイントにおいて前記遠位端部から切断される、請求項15記載のツール。
【請求項18】
前記プラグの前記遠位部分は、ヘッドとして形成された遠位端部を有し、前記プランジャは、ソケットとして構成された第1の端部を有し、前記プランジャの前記第1の端部は、前記プラグの前記遠位端部に接続されている、請求項15記載のツール。
【請求項19】
前記プランジャは、前記プラグに接続された第1の端部と、ハンドル端部と、該ハンドル端部を前記第1の端部に接続するロッドとを有し、該ロッドは、少なくとも1つのシーリングリングを有する、請求項13記載のツール。
【請求項20】
前記材料薬剤は、流動性材料である、請求項13記載のツール。
【請求項21】
前記流動性材料は、骨移植片である、請求項20記載のツール。
【請求項22】
前記流動性材料は、骨パテである、請求項20記載のツール。
【請求項23】
前記流動性材料は、治療薬である、請求項20記載のツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
これは、引用により本願に組み込まれる2017年6月19日に出願された“ORTHOPAEDIC IMPLANT WITH POROUS STRUCTURAL MEMBER”という名称の米国特許出願連続番号第15/626596号明細書に基づく一部継続出願である。米国特許出願連続番号第15/626596号明細書は、引用により本願に組み込まれる2015年3月3日に出願された“ORTHOPAEDIC IMPLANT WITH POROUS STRUCTURAL MEMBER”という名称の米国特許出願連続番号第14/637142号明細書の分割である。米国特許出願連続番号第14/637142号明細書は、引用により本願に組み込まれる2009年8月13日に出願された“ORTHOPAEDIC IMPLANT WITH POROUS STRUCTURAL MEMBER”という名称の米国特許出願連続番号第12/540515号明細書に基づく一部継続出願である。米国特許出願連続番号第12/540515号明細書は、引用により本願に組み込まれる2008年8月13日に出願された“SPINAL DEVICES”という名称の米国仮特許出願連続番号第61/088460号明細書に基づく。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、整形外科用装置、特に、整形外科用インプラントに関する。
【0003】
2.関連技術の説明
ほとんどの整形外科用インプラントは、股関節インプラント、膝関節インプラント、関節窩インプラントなどの任意のインプラントに適した金属材料から形成されている。関節の場合、インプラントは、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの、非金属耐力面を有してもよい。UHMWPEは、インプラントの金属ボディに取り付けられており、インプラントに良好な摩耗特性および低摩擦を提供する。
【0004】
インプラントに多孔質骨内殖面を提供することも知られている。例えば、股関節インプラントは、ステムにおける多孔質面を有してもよく、この多孔質面は、大腿骨の近位端部の骨内殖を許容することを意図したものである。このような多孔質面は、熱焼結などによってインプラントのステムに結合された金属多孔質面の形式であってもよい。このタイプの多孔質面の例は、織られたメッシュ、繊維メッシュおよび粒子を含む。周囲の解剖学的構造からの荷重を支持することができる多孔質内殖面を有する膝関節インプラントも公知である。
【0005】
インプラントと共に使用される上述のタイプの多孔質面は、一般的に、2つの反対側の外側多孔質面を備える1つの構造部材の一部ではない。例えば、膝関節インプラントにおいて、インプラントの遠位面は、基板材料のすぐ上方にある多孔質材料上に載置されることができるが、多孔質材料は、一般的に、組織内殖のための1つの外面のみを有する。股関節インプラントの場合、多孔質内殖面は、通常、ステムなどのインプラントの構造的構成部材におけるコーティングとして提供されている。
【0006】
脊椎ケージなどの幾つかの整形外科的用途において、インプラントの2つの外側の耐力面の間に延びる多孔質部材を有することが有利である。このような構成において、キャビティは、一般的に、インプラントの2つの外面の間に形成されておりかつ多孔質内殖材料で充填されており、多孔質内殖材料は、一般的に、海綿骨組織などの自然物質である。このようなインプラントは、Shimp他の米国特許出願第2002/0091447号明細書に記載されている。Shimp他によって記載されたインプラントの1つの問題は、キャビティを充填するための十分な海綿骨組織を回収することが高価であり、受容者拒絶の問題が懸念となる可能性がある。天然材料または合成材料を利用することを想定したその他の類似のインプラントが、King他の米国特許出願公開第2004/0210316号明細書およびVan Hoeck他の米国特許第6423095号明細書に記載されている。これらの記載された各インプラントにおいて、キャビティに保持された多孔質材料は、主インプラントボディの最も突出した外面と同一平面であるまたはそれよりも低い外面を有することにより、埋込み後の周囲の解剖学的構造からの支持荷重からかなり隔離されている。これは意図的である。なぜならば、キャビティに配置された材料は、インプラント本体より著しく低い強度を有する傾向があるからである。しかしながら、周囲の解剖学的構造からの支持荷重から多孔質内殖材料を隔離することは、多孔質内殖材料が解剖学的構造と接触する表面積の大きさをも減じ、これは、インプラントの統合を減速させる可能性がある。加えて、キャビティに配置された多孔質材料は、一般的に、身体によって再吸収可能であり、インプラントの寿命にわたって存続するわけではない。
【0007】
インプラントのキャビティにおける多孔質材料は、多孔質材料の孔を介した周囲の組織による薬剤の吸収を介して、近傍の解剖学的構造または組織の治癒を補助するためにまたは感染から保護するためにまたは病気と闘うために、1つまたは複数のタイプの生物学的薬剤が充填されていてもよい。しかしながら、多孔質材料に薬剤を充填した後でかつインプラントの埋込みの前における孔からの薬剤の排出、および特にインプラントが体内に配置された後に薬剤がインプラントに充填されるならば、インプラントが最初に装填されるときに通した開口を通じた薬剤の漏れという問題が存在する。
【0008】
当該技術分野において必要とされていることは、公知のインプラントおよび方法の欠点のうちの幾つかを克服することができる整形外科用インプラントおよび関連する装置および方法である。
【0009】
発明の概要
本発明の1つの態様によれば、インプラントボディを有し、インプラントボディは、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面と、インプラントボディに形成された、第1の面および第2の面を貫通して延びたキャビティとを有する、整形外科用インプラントが提供される。インプラントボディは、実質的に非多孔質であり、さらに、キャビティまでインプラントボディを貫通して形成された少なくとも1つの第1の開口を備える第3の面を有する。少なくとも1つの第1の開口は、外側直径を有する外側部分と、内側直径を有する内側部分とを有する。外側直径は内側直径より大きい。インプラントは、さらに、キャビティ内に保持された実質的に多孔質の材料を含む耐力部材を有し、実質的に多孔質の材料は、少なくとも1つの第1の開口を介して材料薬剤を受け入れるように構成されている。耐力部材は、キャビティから第1の面を越えて延びる第1の接触面を有する。少なくとも1つの第1の開口の外側部分は、ツールから材料薬剤を受け取るためにツールに接続されるように構成されており、少なくとも1つの第1の開口の内側部分は、材料薬剤が、ツールから少なくとも1つの第1の開口を介して実質的に多孔質の材料によって受け取られると、少なくとも1つの第1の開口を介して実質的に多孔質の材料から出ることを防止するためのプラグに接続されるように構成されている。
【0010】
本発明の1つの態様によれば、整形外科用インプラントと共に使用するように構成されたツールが提供される。整形外科用インプラントは、インプラントボディを有し、インプラントボディは、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面と、インプラントボディに形成された、第1の面および第2の面を貫通して延びるキャビティとを有し、インプラントボディは、実質的に非多孔質であり、キャビティまでインプラントボディを貫通して形成された少なくとも1つの第1の開口と、少なくとも1つの第2の開口とを備える第3の面をさらに有し、少なくとも1つの第1の開口は、外側直径を有するねじ山付き外側部分と、内側直径を有するねじ山付き内側部分とを有し、外側直径は内側直径より大きい。インプラントは、さらに、キャビティ内に保持された実質的に多孔質の材料を含む耐力部材を有し、耐力部材は、少なくとも1つの第1の開口を介して材料薬剤を受け入れるように構成されており、耐力部材は、キャビティから第1の面を越えて延びる第1の接触面を有する。ツールは、第1の端部および第2の端部を有する管状通路を有する管状アセンブリを有し、第1の端部は、インプラントボディに取り付けるための手段と、プラグと、プラグに接続されたプランジャとを有する。管状通路は、第2の端部を介して、材料薬剤およびプラグに接続されたプランジャを受け入れるように構成されている。プラグに接続されたプランジャは、少なくとも1つの第1の開口を介して材料薬剤を管状通路から耐力部材内へ排出するために管状通路を通って摺動するように構成されている。プラグに接続されたプランジャは、また、第1の開口を介した耐力部材からの材料薬剤の排出に対して第1の開口をシールするために、プラグを第1の開口に接続するように管状通路内で回転するように構成されている。
【0011】
本発明の1つの態様によれば、整形外科用インプラントに材料薬剤を充填する方法が提供される。整形外科用インプラントは、インプラントボディを有し、インプラントボディは、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面と、インプラントボディに形成された、第1の面および第2の面を貫通して延びるキャビティとを有し、インプラントボディは、実質的に非多孔質であり、キャビティまでインプラントボディを貫通して形成された少なくとも1つの第1の開口と、少なくとも1つの第2の開口とを備える第3の面をさらに有し、少なくとも1つの第1の開口は、外側直径を有するねじ山付き外側部分と、内側直径を有するねじ山付き内側部分とを有し、外側直径は内側直径より大きい。インプラントは、さらに、キャビティ内に保持された実質的に多孔質の材料を含む耐力部材を有し、耐力部材は、少なくとも1つの第1の開口を介して材料薬剤を受け入れるように構成されており、耐力部材は、キャビティから第1の面を越えて延びる第1の接触面を有する。方法は、インプラントボディの第3の面に管状アセンブリを接続することを含み、管状アセンブリは、第1の端部および第2の端部を有する管状通路を有し、第1の端部は、前記管状通路が少なくとも1つの第1の開口において中心合わせされ、第2の端部を介して材料薬剤を管状通路内へ配置し、プラグに接続されたプランジャを管状通路を通って第2の端部を介して摺動させ、これにより、少なくとも1つの第1の開口を介して材料薬剤を管状通路から耐力部材内へ排出し、第1の開口を介した耐力部材からの材料薬剤の排出に対して少なくとも1つの第1の開口をシールするためにプラグを少なくとも1つの第1の開口と接続するために管状通路内でプランジャを回転させるように、第3の面に接続されている。
【0012】
本発明の1つの利点は、インプラントが体内に配置される前またはインプラントが体内に配置された後に整形外科用インプラントにまず材料薬剤を充填することができるまたは第2の外科手術処置の間に材料薬剤を再充填することができるということである。
【0013】
本発明の別の利点は、インプラントに材料薬剤が充填されるときに通る整形外科用インプラントの1つまたは複数の開口を、インプラントからの材料薬剤の漏れまたは排出に対してシールすることができるということである。
【0014】
図面の簡単な説明
本発明の上述の特徴および利点ならびにその他の特徴および利点、それらを達成する形式は、より明らかになるであろう。また、発明は、添付の図面に関連した発明の実施の形態の以下の説明を参照することによってさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明により形成された装置の中実な構成部材の1つの実施の形態の斜視図である。
図2】本発明により形成された装置の多孔質の構成部材の1つの実施の形態の斜視図である。
図3図1に示された中実な構成部材と、図2に示された多孔質の構成部材とから形成された装置の斜視図である。
図4】多孔質の領域と中実の領域とを備える1つの連続的な層の断面図である。
図5】窓を備える脊椎ケージの1つの実施の形態の斜視図である。
図6】線6-6に沿って見た図5に示された脊椎ケージの断面図である。
図7】レッジまたは溝を備える脊椎ケージの1つの実施の形態の斜視図である。
図8】線8-8に沿って見た図7に示された脊椎ケージの断面図である。
図9】多孔質材料を収容するように組み立てられた2部構成中実構成部材を備える脊椎ケージの1つの実施の形態の斜視図である。
図10】線10-10に沿って見た図9に示された脊椎ケージの断面図である。
図11】脊椎ケージの軸線に対して垂直なラミネートを備える脊椎ケージの1つの実施の形態の斜視図である。
図12】脊椎ケージの軸線に対して平行なラミネートを備える脊椎ケージの1つの実施の形態の斜視図である。
図13】脊椎ケージの軸線に対して角度を成すラミネートを備える脊椎ケージの1つの実施の形態の斜視図である。
図14】脊椎ケージの1つの実施の形態の斜視図である。
図15】脊椎ケージの別の実施の形態の斜視図である。
図16】脊椎ケージのさらに別の実施の形態の斜視図である。
図17】脊椎ケージのさらに別の実施の形態の斜視図である。
図18】治療薬剤のデリバリのための特徴を備えるインプラントの断面図である。
図19】テーパしたインプラントの断面図である。
図20】別のテーパしたインプラントの断面図である。
図21】さらに別のテーパしたインプラントの断面図である。
図22】さらに別のテーパしたインプラントの断面図である。
図23】さらに別のテーパしたインプラントの断面図である。
図24】周囲の骨と噛み合う歯を示すインプラントの斜視図である。
図25図24に示されたインプラントの側面図である。
図26】脊椎固定術装置である。
図27】本発明による整形外科用インプラントの別の実施の形態の斜視図である。
図28図27に示された整形外科用インプラントの側面図である。
図29図27および図28に示された整形外科用インプラントの正面図である。
図30】本発明による整形外科用インプラントのさらに別の実施の形態の斜視図である。
図31図30に示された整形外科用インプラントの側面図である。
図32】本発明による整形外科用インプラントのさらに別の実施の形態の斜視図である。
図33図32に示された整形外科用インプラントの正面図である。
図34図32および図33に示された整形外科用インプラントの側面図である。
図35】内殖材料を有する図32図34に示された整形外科用インプラントの側面図である。
図36】本発明による整形外科用インプラントのさらに別の実施の形態の斜視図である。
図37図36に示された整形外科用インプラントの側面図である。
図38】内殖材料を有する図36および図37に示された整形外科用インプラントの側面図である。
図39】本発明による整形外科用インプラントの斜視図である。
図40】本発明の1つの実施の形態による図39の整形外科用インプラントの側面図である。
図41】本発明の1つの実施の形態による、プラグが取り外された、図39の整形外科用インプラントの断面図である。
図42】本発明の1つの実施の形態による図39の整形外科用インプラントのプラグの平面図である。
図43】本発明の1つの実施の形態による、第1の開口をシールするために第1の開口に接続されたプラグ532を有する、図39の整形外科用インプラントの断面図である。
図44】本発明の1つの実施の形態による、図39の整形外科用インプラントに接続された挿入/デリバリ(ID)ツールの断面図を示している。
図45】本発明の1つの実施の形態による、図44のIDツールの構成部材の斜視図である。
図46】本発明の1つの実施の形態による、IDツールのプランジャの第1の端部の平面図である。
図47図39の整形外科用インプラントに材料薬剤を充填するための方法ステップである。
【0016】
本明細書に示された具体例は、発明の実施の形態を例示しており、このような具体例は、いかなる形式においても発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0017】
発明の詳細な説明
I.多孔質脊椎装置-ラミネート設計
本発明は、シート形成のための製造方法、結合/組立て方法およびテーパを形成する方法を含む、脊椎インプラントまたはインプラント構成部材のためのラミネート方法を提供する。さらに、本発明は、脊椎装置を通じた治療薬剤のデリバリを提供する。
本発明は、多孔質脊椎固定術装置の設計および製造方法を提供することによってこれらの問題を解決する。
A.材料
脊椎装置のための材料オプションは、以下のものを含む:(PEEK、PMMAなどの)インプラント可能なポリマ、(炭素繊維強化PEEKなどの)インプラント可能な強化ポリマ、(チタン、チタン合金などの)インプラント可能な金属および(ヒドロキシアパタイト、アルミナなどの)インプラント可能なセラミック。これらの材料のうちの1つまたは複数を、任意の装置において組み合わせることができる。
B.全体的な設計
全体的な設計に関して、インプラントは、全体的に多孔質の材料または1つまたは複数の多孔質領域および1つまたは複数の中実領域を有することができる。加えて、全体的に多孔質の装置は、既存の中実装置と組み合わせるように形成することができる(図1図3参照)。
多孔質領域は、相互接続した孔/ジオメトリ(以下、孔と呼ぶ)を備える材料の層を積層することによって形成される。
中実領域は、射出成形または機械加工などの従来技術によってまたは中実シートを互いに結合することによって形成することができる。後者の方法により、中実領域および多孔質領域が連続的なシートから形成される(図4参照)。
シートにおける孔は、例えば、レーザ切断、打抜き、エッチング、放電加工、プラズマエッチング、電鋳法、電子ビーム加工、ウォータジェット切断、型押しまたは機械加工によって形成することができる。ポリマベース材料の場合、シートにおける孔は、シートが例えば押出し成形、射出成形またはホットスタンピングされるときに形成することができる。
互いに対するシートの取付けは、以下のものを含むあらゆる数の方法によって達成することができる:
1.熱。熱は複数の方法によって発生させることができる:
a.超音波溶接-層の境界面に熱を生じさせるために超音波を使用する。
b.熱かしめ-層の間に溶融を生じさせるために、加熱されたツールを使用する。
c.振動溶接
d.レーザ溶接
e.対流-結合を生じさせるための熱を生じさせるためにオーブンを使用する
f.中間層-例えば、損傷を生じることなくポリマ(例えば、PEEK)を通過するエネルギ波を吸収することができる材料を使用する。吸収されたエネルギは、局所的な加熱を生じる。このようなコーティングの一例は、Gentex(R) CorporationのClearweldである。Clearweldが吸収するレーザ波は、損傷を生じることなくPEEKを通過し、PEEKに大規模な損傷を与えることなく層を互いに融着させる。
2.化学的
a.接着剤-材料を結合するために(接着剤などの)二次的材料を使用することができる。
b.溶剤接着-ポリマまたは強化ポリマが溶融可能な材料を、シート面に塗布することができ、これにより、複数の面を互いに結合させる。
c.オーバーモールディング-ポリマまたは強化ポリマのオーバーモールディングは、化学的結合を提供することができる。
3.機械的
a.オーバーモールディング-ポリマまたは強化ポリマのオーバーモールディングは、マイクロスケールまたはマクロスケールにおいて構成部材間に機械的ロックを生じさせることができる(マイクロスケール-成形された材料が、既存の材料の表面凹凸とロックする。マクロスケール-さねはぎ接続またはアンダカットなどの特徴)。オーバーモールドされた材料は、層とは別個の構成部材であることができるまたは1つの層を別の層上にオーバーモールドさせることができる。
b.特徴は、層内に提供されているまたは機械的ロックを提供する別個の構成部材によって提供されている-例えば、Aピン、スナップロック接続、ダブテール、さねはぎ、リベット、ねじおよび/または機械的ロックを形成するための溶融タブ。例えば、1つまたは複数のリベットは、多孔質インプラントの全ての層を互いに接続することができる。これらの接続特徴は、チタン、チタン合金、PEEKおよび/またはその他のインプラント可能なポリマを含むが、これらに限定されないあらゆるインプラント可能な材料から形成することができる。これらの特徴は、以下で説明するように、放射線不透過性マーカとして使用することもできる。
c.幾つかの接着剤は、化学的結合に加えてまたは化学的結合の代わりに機械的結合を提供する。
4.上記方法のいずれか/全ての組合せ
多孔質領域と、中実領域とが(図1図3のように)別々に形成されるとすると、両者を結合することが望ましいであろう。この結合を達成する複数の方法が存在する。
1.熱。熱は複数の方法によって発生させることができる:
a.超音波溶接-層の境界面に熱を生じさせるために超音波を使用する。
b.熱かしめ-層の間に溶融を生じさせるために、加熱されたツールを使用する。
c.振動溶接
d.レーザ溶接
e.対流-結合を生じさせるための熱を生じさせるためにオーブンを使用する
f.中間層-例えば、損傷を生じることなくポリマ(例えば、PEEK)を通過するエネルギ波を吸収することができる材料を使用する。吸収されたエネルギは、局所的な加熱を生じる。このようなコーティングの一例は、Gentex(R) CorporationのClearweldである。Clearweldが吸収するレーザ波は、損傷を生じることなくPEEKを通過し、PEEKに大規模な損傷を与えることなく層を互いに融着させる。
2.化学的
a.接着剤-材料を結合するために(接着剤などの)二次的材料を使用することができる。
b.溶剤接着-ポリマまたは強化ポリマが溶融可能な材料を、シート面に塗布することができ、これにより、複数の面を互いに結合させる。
c.オーバーモールディング-ポリマまたは強化ポリマのオーバーモールディングは、化学的結合を提供することができる。
3.機械的
a.オーバーモールディング-ポリマまたは強化ポリマのオーバーモールディングは、マイクロスケールまたはマクロスケールにおいて構成部材間に機械的ロックを生じさせることができる(マイクロスケール-成形された材料が、既存の材料の表面凹凸とロックする。マクロスケール-さねはぎ接続またはアンダカットなどの特徴)。オーバーモールドされた材料は、層とは別個の構成部材であることができるまたは1つの層を別の層上にオーバーモールドさせることができる。
b.特徴は、層内に提供されているまたは機械的ロックを提供する別個の構成部材によって提供されている-例えば、Aピン、スナップロック接続、ダブテール、さねはぎ、リベットおよび/または機械的ロックを形成するための溶融タブ。例えば、多孔質材料は、一般的に脊椎ケージにおいて典型的な窓に取り付けることができるまたは中実リングの内縁に沿ってさねはぎが形成される(図5図10参照)。これらの接続特徴は、チタン、チタン合金、PEEKおよび/またはその他のインプラント可能なポリマを含むが、これらに限定されないあらゆるインプラント可能な材料から形成することができる。これらの特徴は、この開示において後で考察されるように、放射線不透過性マーカとして使用することもできる。
c.幾つかの接着剤は、化学的結合に加えてまたは化学的結合の代わりに機械的結合を提供する。
4.上記方法のいずれか/全ての組合せ
層と層との組立てまたは1つの構成部材と別の構成部材との組立て(例えば、中実構成部材への多孔質構成部材の組立て)は、接着剤結合または溶剤接着または粗面を改良するために表面改変などの方法によって補助することができる。
図5および図6は、脊椎ケージを例示しており、窓を示している(断面図が右に示されている)。これは、多孔質構成部材を結合させることができる1つのタイプの特徴の一例である。
図7および図8は、脊椎ケージを例示しており、レッジまたは溝を示している(断面図が右に示されている)。これは、多孔質構成部材を結合させることができる1つのタイプの特徴の一例である。
図9および図10は、脊椎ケージを例示しており、多孔質材料を収容するように組み立てられた2部構成中実構成部材を示している。この例では、機械的手段(ねじ/リベット)が、接着剤結合に関連して使用されている。接着剤による方法のみ、機械的な方法のみまたは本開示に記載されたその他の製造方法のいずれかも、選択肢である。
図11図13は、脊椎ケージを例示しており、インプラントの軸線に対して垂直、平行および角度を成したラミネートを示している。
インプラントのラミネート部分は、あらゆる方向に向けられた層を有することができる。例えば、層は、インプラントの軸線に対して垂直、平行または角度を成していることができる(図11図13参照)。この角度は、インプラント内で一定である必要はない。
インプラントの全体形状は、ALIF、TLIF、PLIFおよび標準的な円形のケージなどのあらゆる典型的な既存のタイプであることができる(図14図17参照)。
C.治療薬剤のデリバリ
この装置は、インプラントの周囲の組織へ直接に治療薬剤を供給するために使用することができる(図18参照)。これが望まれる状況の幾つかの例は、ガン組織またはガン組織の周囲の組織への腫瘍治療薬のデリバリ:より迅速かつより良好な融合を促進するために骨成長を促進させる/高めるための(BMP、ヒドロキシアパタイトスラリおよび/または血小板などの)薬剤のデリバリ:および苦痛を軽減するための鎮痛薬剤のデリバリである。このリストは、排他的ではない。
図18は、治療薬剤のデリバリのための特徴を備えるインプラントの断面側面図を示している。
インプラントは、長期にわたる治療薬剤のデリバリのための貯蔵部を有することができる。貯蔵部から多孔質材料へ通じる開口は、所望の速度での治療薬剤の制御された放出を可能にする。貯蔵部は、外科手術の前、間または後のあらゆる時点に補充することができる。
周囲組織への治療薬剤の即時デリバリのみが要求されるならば(長期間の放出は要求されない)、設計は、貯蔵部を含む必要はない。この場合、治療薬剤は、チャネルを介してインプラントアクセスから多孔質材料へ直接に送ることができる。しかしながら、即時デリバリ設計に貯蔵部を含むことができる。貯蔵部における開口は、より遅い長期のデリバリではなく、治療薬剤の即時放出を可能にするようにサイズ決めされている。
インプラントにおけるアクセス(図18参照)は、(皮下ポートまたは外部ペインポンプなどによる)貯蔵部の遠隔充填を可能にするために、(ニードルなどの)デリバリツールまたは装置(または装置に通じたカテーテル)の挿入と一致することができる。
インプラントを通じて1つの椎骨から別の椎骨への骨成長を可能にしかつ促進するために、開口は、インプラントの上部から下部へ延びており、骨成長を可能にするように適切にサイズ決めされている(図18参照)。
D.前後テーパ
幾つかのインプラントは、椎骨の間に存在する天然の前後方向のテーパと一致するようにテーパさせられている。中実部分が存在するならば、このテーパは、従来の機械加工および/または成形技術によって形成することができる。多孔質領域では、以下のものを含む、このテーパを形成する複数の方法がある:
a.設計が貯蔵部を含むならば、貯蔵部自体をテーパさせることができる。多孔質の内殖層は、均一な厚さであることができ、(図18に示したように)貯蔵部の外側において層状であることができる。
b.1つまたは複数のくさび形片は、くさび上に積層された内殖層と共にテーパを形成することができる。これは、貯蔵部、アクセスおよび治療薬剤デリバリのための孔を有さない図20に示されたものとほぼ同じ設計である。インプラントを通じて1つの椎骨から別の椎骨への骨成長を可能にしかつ促進するために、開口は、インプラントの上部から下部へ延びており、骨成長を可能にするように適切にサイズ決めされている(図18参照)。
c.図19におけるように全体的なテーパを形成するために、より短い層をより大きな層と積層させることができる。
d.図20におけるように段状のテーパを形成するために、異なる長さの層を積層させることができる。
e.(d)における技術と同様に、異なる長さの層を積層させることができる。積層の前に、テーパした層を使用することによって、滑らかなテーパを形成することができるまたは層が積層された後に、機械加工または熱間成形などによって、滑らかなテーパを形成することができる。これらのうち2つめは、まず、(d)においてそのような部材を形成し、次いで、図21に示された滑らかなテーパを形成するために材料を除去することを含む。
f.段状のテーパ上に滑らかな面を形成する別の方法は、図22に示したように、テーパ面に対して平行な1つまたは複数の外側層を有することである。
g.(f)における設計は、テーパの外側層と段状の層の角との間に大きな接触面積を生じない。(増大した強度を提供することができる)増大した接触面積を提供する1つの方法は、テーパの面に対して平行な外側層を付加する前に、図21に示したように段状の層をテーパさせることである。これの一例が、図23に示されている。
E.骨との境界面
しばしば、比較的高い摩擦を生じるインプラント-骨境界面を有することが望ましい。従来、これは、インプラントの粗面、歯(図24および図25参照)、スパイクまたはフックなどによって達成される。
ラミネートインプラントにおいて、このような特徴を形成するための複数の選択肢が存在する。これらの選択肢は、以下のものを含む:
a.ラミネートシートを結合する前に特徴を形成する:他のシートに結合する前に、インプラントの最も外側の層に歯またはその他の“粗い”特徴を形成する。これらの歯は、複数の方法によって形成することができる。
i.材料を成形する-例えば:熱成形、冷間成形。
ii.材料を除去する-例えば:機械加工、レーザ切断、化学的エッチング。
iii.材料を付加する-例えば、インサート成形、機械的取付け、接着剤結合、レーザ溶接、溶剤接着によって特徴を形成するために材料を取り付ける。
b.ラミネートシートを結合した後に特徴を形成する:シートが結合された後にインプラントの面に粗面特徴を形成する。これらの特徴は、(a)に挙げたものと同じ方法によって形成することができる。
c.インプラントから骨内へ突出する(フック、スパイク等などの)二次的特徴。この特徴は、例えば、インサート成形、機械的取付け、接着剤結合、レーザ溶接または溶剤接着によって取り付けることができる。
図24および図25は、インプラントを例示しており、周囲の骨と噛み合う歯を示している。
F.器具との境界面
体内の位置へのインプラントの挿入を補助するために、しばしば、インプラントを器具に取り付ける必要がある。器具とインプラントとの境界面の近くの材料は、しばしば、付加的な応力を受ける可能性がある。部分的または完全なラミネートインプラントにおいて、この境界面の領域に付加的な支持を提供することが必要なことがある。これは、応力を減じるように器具を設計するおよび/または境界面の領域においてインプラントを強化することを含む複数の方法によって達成することができる。例えば、インプラントにおける雌ねじ山と係合する雄ねじ山を有する器具の場合、インプラントは、雌ねじ山の領域において金属、固体重合体または強化ポリマを付加することによって強化することができる。機械設計において、損傷を受けたねじ山を修理するために、ねじ山インサートがしばしば使用される。この場合、ねじ山インサートは、器具との境界面においてインプラントを強化するために使用することができる。
G.放射線不透過性マーカ
無充填PEEKなどの放射線透過性材料が使用される場合、時に、固体金属のホワイトアウト問題なしにX線などの診断ツールにおいて当該インプラントの一部または全部を見ることができることが望ましい。例えば、外科医は、手術中に適切な配置を確保するためにインプラントの向きおよび位置を決定するためにこのようなマーカを使用してもよい。放射線不透過性マーカは、この可能性を提供することができる。放射線不透過性材料の不透明度および/または量は、マーカが、X線またはその他の診断方法によるインプラント付近の組織の評価を妨げないように、制御することができる。材料の選択肢は、以下のものを含むが、それらに限定されない:
a.インプラント可能な金属(例えば、ステンレス鋼、チタンまたはチタン合金)
b.硫酸バリウム充填PEEK
c.炭素充填PEEK
d.(硫酸バリウムまたは酸化ジルコニウムなどの)放射線不透過性材料を備えるその他のポリマ。
マーカ設計の例は、以下のうちの1つまたは複数を含む:
a.1つまたは複数の放射線不透過性ピン
b.リベットまたはピンなどのアセンブリ特徴
c.装置の一部に放射線不透過性材料をコーティングする。放射線不透過性コーティングを形成する方法の例は、以下のものを含むが、それらに限定されない:
i.ポリマ上にチタン層を堆積させるために化学蒸着法を使用する
ii.(CI Medicalによって開発された)RadiopaqueTM インクなどの放射線不透過性インクを使用する
d.ラミネート層のうちの1つまたは複数は放射線不透過性である。層を放射線不透過性にする方法の例は、以下のものを含むが、それらに限定されない:
i.(タンタル、チタン、チタン合金、コバルトクロムまたはステンレス鋼などの)インプラント可能な金属から層を形成する
ii.層を形成するために硫酸バリウム充填ポリマを使用する
iii.例えば、1つまたは複数の層の表面上にチタン層を堆積させるために化学蒸着法を使用して、層を放射線不透過性材料でコーティングする
e.僅かに放射線不透過性の多孔質材料。これは、例えば、硫酸バリウムを備えるポリマを使用することによって達成することができる。
II.多孔質ポリマ脊椎固定術装置
脊椎固定術の成功への鍵は、固定される椎骨の間の良好な骨成長の形成である。したがって、この骨成長の評価は、手術の進行および最終的な成功を決定するために重要である。
既存の多孔質脊椎ケージは、生体適合性金属から形成されている。これらの金属の密度により、インプラントは、インプラントの周囲の組織の術後検査を困難にしていた。
今では、複数の現在の装置は、PEEKなどの固体生体適合性ポリマから形成されている。PEEKは、比較的放射線透過性の材料である。これは、固体固定術装置のための放射線不透過性の問題を解決するが、しばしば、2つの椎骨の間のより迅速な骨成長を促進することが望まれる。
この問題の1つの解決手段は、PEEKまたは強化多孔質PEEKなどの多孔質生体適合性ポリマから形成されたインプラントである。
A.全体的な設計
このようなインプラントは、全体的に多孔質であるか、または多孔質ポリマと中実ポリマとの混合を有することができる。例えば、材料の中実リングは、多孔質コアを包囲していることができる(図26参照)。
図26は、中実領域(領域1)および多孔質領域(領域2)を備える脊椎固定術装置を示している。
設計の1つの実施の形態は、既存の中実のリング状の装置と対応する多孔質の中央構成部材である。この装置は、製造場面または手術室において中実装置と組み立てられることができる。
中実領域/構成部材が存在するならば、多孔質領域および中実領域は、互いに取り付けられる必要がある場合があるが、必ずしも互いに取り付けられる必要はない。多孔質材料と中実材料とを取り付けるために使用することができる方法の例は:
a.機械的特徴-スナップばめ接続、‘ダブテール’タイプの接続
b.接着剤結合
c.溶剤接着
d.例えば、レーザ溶接、超音波溶接または振動溶接、対流加熱、熱かしめによって加えられる熱
B.材料
a.多孔性を形成する方法
i.ラミネート設計-孔を含む材料のシートを結合する
ii.発泡法
iii.ポリマの‘ビード’を結合する-多孔質構造を形成するために(例えば、加熱、接着剤結合または溶剤接着を介して)あらゆる形状のビードを互いに結合することができる
iv.ポリマおよび溶解可能材料の混合
1.1つの方法は、粉末状のインプラント可能材料(例えば、PEEK)と、インプラント可能材料が溶解しないもの(例えば、PEEKの例では、水、イソプロピルアルコール)において可溶性の粉末(例えば、塩)との混合物を形成することを含む。次いで、インプラント可能な粒子を互いに結合させるために、混合物が加熱される。粒子同士の結合を補助するために、圧力を加えることができる。(レーザ波などの任意の範囲のエネルギ波を吸収しかつ熱を生ぜしめる材料、例えば、Gentex(R) CorporationのClearweldコーティングで粉末をコーティングするなどの)対流またはその他の方法によって熱を発生させることができる。最後に、多孔質のインプラント可能材料を形成するために、フィラーを溶解させる。この方法は、ネットシェイプ部材または原材料形状を形成することができ、そこから、個々の部材を形成することができる。
2.別の方法は、上述のような溶解可能材料とインプラント可能なポリマを混合することを含む。混合物は、次いで、ペレットにされ、次いで、中間部品形状または最終部品形状に射出成形される。多孔質のインプラント可能なポリマを形成するために、フィラーが溶解される。
b.強化-改良された機械的特性が望まれるならば、様々な強化材料を使用することができる。例えば、炭素繊維または硫酸バリウムを使用することができる。
C.放射線不透過性マーカ
時に、固体金属のホワイトアウト問題なしにX線などの診断ツールにおいてインプラントの一部を見ることができることが望ましい。例えば、外科医は、手術中に適切な配置を確保するためにインプラントの向きおよび位置を決定するためにこのようなマーカを使用してもよい。放射線不透過性マーカは、この可能性を提供することができる。放射線不透過性材料の不透明度および/または量は、マーカが、X線またはその他の診断方法によるインプラント付近の組織の評価を妨げないように、制御することができる。材料の選択肢は、以下のものを含むが、それらに限定されない:
a.インプラント可能な金属(例えば、ステンレス鋼、チタンまたはチタン合金)
b.硫酸バリウム充填PEEK
c.炭素充填PEEK
d.(硫酸バリウムまたは酸化ジルコニウムなどの)放射線不透過性材料を備えるその他のポリマ
マーカ設計の例は、以下のうちの1つまたは複数を含む:
a.1つまたは複数の放射線不透過性ピン
b.装置の一部に放射線不透過性材料をコーティングする。放射線不透過性コーティングを形成する方法の例は、以下のものを含むが、それらに限定されない:
i.ポリマ上にチタン層を堆積させるために化学蒸着法を使用する
ii.(CI Medicalによって開発された)RadiopaqueTM インクなどの放射線不透過性インクを使用する
c.僅かに放射線不透過性の多孔質材料。これは、例えば、硫酸バリウムを備えるポリマを使用することによって達成することができる。
【0018】
ここで、図27図29を参照すると、本発明による整形外科用インプラント100の1つの実施の形態が示されており、整形外科用インプラント100は、インプラントボディ102を有する。インプラントボディ102は、第1の面104と、第1の面104と反対側の第2の面106とを有する実質的に非多孔質の材料から形成されている。本明細書において使用されるとき、“実質的に非多孔質”とは、インプラントボディ102がほとんど中実であるように5%以下の気孔率を示している。インプラントボディ102は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、その他のポリアリルエーテルケトン(PAEKs)、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロム、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)またはあらゆる前述の材料を含む、生体適合性でかつ整形外科用インプラントを形成するために一般的に使用される様々な異なる材料から形成することができる。これらの材料は例示的でしかなく、インプラントボディを形成するためにその他の生体適合性材料を使用することができることが認められるべきである。図27図29に示したように、インプラントボディ102は、脊椎用途のための頸部ケージの形状で形成されているが、本明細書にさらに示されているように、その他の形状を使用することもできる。第1の面104および第2の面106は、図示したように湾曲していることができるか、または実質的に平らな平坦な面として形成することができる。代替的に、面104,106のうちの一方が、1つまたは複数の湾曲部を備えた面として形成することができ、他方の面は平坦である。
【0019】
キャビティ108がインプラントボディ102に形成されており、キャビティ108は、インプラントボディ102を貫通した連続的なキャビティ108を形成するように、第1の面104および第2の面106を貫通して延びている。キャビティ108は、第1の面104を貫通して形成された第1のキャビティ入口110と、第2の面106を貫通して形成された第2のキャビティ入口112(図28に示されている)とを有する。キャビティ入口110,112のうちの一方または両方は、それぞれの面104,106を貫通して同心状に形成することができ、これにより、キャビティ入口110,112は、それぞれの面104,106の周縁形状とほぼ一致する周縁形状を有し、キャビティ入口110,112は、それぞれの面104,106よりも小さな周縁を有する。キャビティ108は、全体にわたって一定の形状または変化する形状を有するように形成することができる。
【0020】
第1の接触面116を有する実質的に多孔質の材料を含む耐力部材114が、インプラントボディ102内に形成されたキャビティ108内に保持されている。本明細書において使用されるとき、“実質的に多孔質”とは、少なくとも20%の気孔率を示しているが、それより著しく高いことができる。例えば、耐力部材114は、全体積、すなわち耐力部材114によって占められている全体の体積を有することができ、その60%以上は、耐力部材114に形成された気孔117によって規定される。言い換えれば、全体で見ると、耐力部材114の全体積の40%は、耐力部材114を形成する構造材料によって占めることができるのに対し、全体積の60%は、気孔117によって規定された空の空間によって占められている。耐力部材114を形成するために極端に多孔質の材料が使用されると、全体で見て、気孔117は、耐力部材114の全体積の80%以上を占めることができる。望まれるならば、外科手術処置の有効性を高めるために、整形外科用インプラント100の埋込み後、周囲の解剖学的特徴への溶出のために、気孔117の一部または全てに1つまたは複数の治療薬剤を保持することができる。気孔117に提供することができる可能な治療薬剤の非排他的リストは、様々な成長因子、骨形成因子、骨形成蛋白質、抗菌物質、抗炎症薬、抗凝固薬、鎮痛剤、細胞毒性物質、幹細胞、および埋込み後に整形外科用インプラント100から溶出することが望ましい公知または未知のその他の物質を含む。耐力部材114を形成するために使用される材料は、インプラントボディ102のように、整形外科用インプラント100が、患者内の解剖学的部位における埋込みに適しているように、生体適合性であるべきである。また、耐力部材114が、非再吸収可能な1つまたは複数の材料から形成されている、すなわち、耐力部材114の材料が、少なくとも1年間、生きている患者に埋め込まれた後、元の質量の少なくとも90%を維持することができると、有用である。このような材料の例は、PEEK、タンタルおよびチタンであるが、その他の多孔質材料も、使用されると考えられる。耐力部材114は、前述されたものなどの、合成材料、または骨移植片などの1つまたは複数の天然由来の材料を含むことができる。天然由来の材料は、例えば、患者または異なる器官から回収された細胞または組織、コラーゲンまたはその他の生物材料を使用して形成される骨格等であることもできる。キャビティ108によって規定されたインプラントボディ102における空の空間の少なくとも90%が耐力部材114によって占められるように、耐力部材114が実質的にキャビティ108を占めていることが有用であるが、必要ではない。耐力部材114によるキャビティ108のこのような占領は、埋込みの間にキャビティ108内に耐力部材114を保持することをより容易にする。
【0021】
第1の面104は、インプラントボディ102の第2の面106が地面に置かれたときに地面に対して最大高さを有する第1の面104における箇所である第1のピーク118を規定している。インプラントボディ102の第1のピーク118は図28に最も良く示されており、図28において、第1のピーク118が第1のキャビティ入口110に隣接していることを見ることができる。さらに図28を参照すると、第1の接触面116が第1のピーク118を越えて延びるように、すなわち、第1の接触面116が第1の面104よりも高くなっているように、耐力部材114の第1の接触面116はキャビティ108から第1のキャビティ入口110を越えて延びていることを見ることができる。この意味において、第1の接触面116は、第1の面104を越えて延びておりかつ第1の面104から突出した厚さT1を規定しており、この厚さT1は、第1の接触面116にわたって一定であるまたは変化していることができる。第1の面104の第1のピーク118を越えて第1の接触面116を延長させることによって、解剖学的構造との接触から第1の面104を隔離させながら、埋込みの間に、椎骨などの解剖学的構造と接触して第1の接触面116を配置することができる。埋め込まれると、次いで、多孔質の耐力部材114は、気孔117を通じた耐力部材114内への組織の内殖を可能にしながら、解剖学的構造からの荷重を支持することができる。
【0022】
解剖学的構造の変化する形状および所望の耐力特性により、第1の接触面116は、湾曲した面または平坦な面であることができる。第1の面104と第1の接触面116との相対的なサイズ決めは、耐力部材114の耐力特性のバランスを取るように、所望のように調節することもできる。見ることができるように、第1の接触面116は接触面積を規定しており、第1の面104は第1の表面積を規定しており、接触面積と、第1の表面積とは、一緒に、整形外科用インプラント100の上側表面積を規定している。接触面積が占める上側表面積の相対的割合は、埋込みの間の解剖学的構造のための接触面の変化する大きさを提供するように、変更することができる。接触面積は、大きな接触面116が望まれるときは全表面積の40~90%であることができるか、またはより小さな接触面116が望まれるときは全表面積の40%未満であることができると考えられる。“上側表面積”という用語は、説明の便宜のためにのみ使用されており、本発明の範囲を制限しないことが理解されるべきである。
【0023】
選択的に、耐力部材114は、インプラントボディ102の第2の面106の第2のピーク122を越えて延びるように、キャビティ108から第2のキャビティ入口112を越えて延びる第2の接触面120を有することができる。第2の面106の第2のピーク122は、第1の面104の第1のピーク118と同様であるが、主要な相違点は、第2のピーク122は、第1の面104が地面に置かれたときに地面に対して第2の面106の最大高さを規定するということである。第2の接触面120は、第2の接触面120が埋込みの後に解剖学的構造と接触することができるように、第1の接触面116と同様に構成および変更することができる。第2の接触面120は、周囲の解剖学的構造からの第1および第2の接触面116,120における耐力によって生ぜしめられる耐力部材114の所望の耐力特性に応じて、第1の接触面116の鏡像または異なる構成であることができる。耐力部材114の全体を貫通した移動通路を、耐力部材114に形成された相互接続された気孔117を介して形成することができるように、耐力部材114の気孔117が、第1の接触面116から第2の接触面120まで相互接続されていると、有用である可能性がある。
【0024】
整形外科用インプラント100の埋込みを補助するために、キャビティ108までインプラントボディ102の別の面126を貫通した開口124を形成することができる。開口124は、埋込みの間に整形外科用インプラント100を安定させかつ位置決めすることを助けるために、挿入ツール(図示せず)が開口124内に配置されることを許容するあらゆるサイズまたは形状であることができる。耐力部材114は、部分的に開口124内へ延びていることができ、別の材料を開口124に保持することができるまたは開口124は、キャビティ108に保持された耐力部材114までクリアな通路を提供することができる。同様の形式において、1つまたは複数の突出部128を、開口124に隣接して配置することができ、突出部128は、挿入ツールと相互作用しかつ整形外科用インプラント100と挿入ツールとの間のより安定した接続を提供するように成形されている。必要であれば、埋込み後に患者から整形外科用インプラント100を取り出すために、挿入ツールではなく取出しツール(図示せず)が開口124および突出部128と相互作用することができるように、開口124および突出部128を構成することもできる。
【0025】
ここで図30および図31を参照すると、前述の整形外科用インプラント100と同様に構成された整形外科用インプラント200の別の実施の形態が示されている。説明の簡略化のために、整形外科用インプラント100の特徴と類似の整形外科用インプラント200の全ての特徴は、同じ数字に100を加えたもので示されている。見ることができるように、インプラントボディ202の第1の面204は、多孔質の端板として示された内殖材料230によってカバーされている。埋込み後の内殖材料230内への周囲の組織の内殖を促進しかつ整形外科用インプラント200の良好な統合を提供するために、内殖材料230は、第1の面204の全部または一部をカバーしていることができる。内殖材料230は、内殖材料230内への所望の身体組織の内殖を促進するあらゆる材料から形成することができる。考えられる材料の非排他的リストは、多孔質チタン、タンタル、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、PEEK、PAEK、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ乳酸(PLA)およびポリグリコール酸(PGA)を含むが、内殖材料230として多くのその他のタイプの材料を使用することができることが理解されるべきである。耐力部材214は、周囲の解剖学的構造からの荷重の主力を最初に支持するので、内殖材料230は、耐力部材214より高い気孔率を有するより低い強度の材料、または両方から形成することができる。例えば、耐力部材214は、60%の気孔率を有する強化PEEK材料から形成することができ、内殖材料230は、80%の気孔率を有するPEEK材料から形成することができる。これにより、整形外科用インプラント200は、耐力部材214のより高い強度の材料が、最初に、周囲の解剖学的構造からの荷重の主力を支持するのに対し、内殖材料230のより高い気孔率の材料は、整形外科用インプラント200を固定するためにより良い組織内殖を許容する。
【0026】
図31に示したように、内殖材料230は、内殖ピーク234を有し、内殖ピーク234は、インプラントボディ202がその第2の面206において地面に置かれたときに地面に対する内殖材料230の最も高い箇所である。耐力部材214の第1の接触面216は、インプラントボディ202に形成されたキャビティ208から内殖ピーク234を越えて延びており、これにより、第1の接触面216は、埋込みの後、解剖学的構造からの荷重を支持し、内殖材料230を、解剖学的構造からの荷重を最初に支持することから隔離することができる。整形外科用インプラント200は、インプラントボディ202の第2の面206の全部または一部をカバーする第2の内殖材料236を有することができ、耐力部材214は、第1の内殖材料230がどのように内殖材料230の内殖ピーク234を越えて延びているかと同様に、第2の内殖材料236を越えて延びる第2の接触面220を有することができる。この意味において、内殖材料230,236は、整形外科用インプラント100の第1および第2の面104,106と同様の面を有し、この面を越えて、耐力部材214が延びている。
【0027】
ここで、図32図34を参照すると、本発明による整形外科用インプラント300の別の実施の形態が示されており、整形外科用インプラント300は、腰椎ケージとして使用されるように構成されたインプラントボディ302を有する。インプラントボディ302は、実質的に非多孔質の材料から成り、第1の面304と、第1の面304と反対側の第2の面306と、第1の面304および第2の面306を貫通して形成された第1のキャビティ308と、第1の面304および第2の面306を貫通して形成された第2のキャビティ310とを有する。見ることができるように、インプラントボディ302は、平らな平坦部分312と、傾斜した湾曲を有する湾曲部分314とを有する。キャビティ308,310は、第1および第2の面304,306を貫通して、全てまたは部分的に平坦部分312または湾曲部分314内に形成することができる。第1の耐力部材316は第1のキャビティ308内に保持されており、第2の耐力部材318は第2のキャビティ310内に保持されている。第1の耐力部材316は第1の接触面320を有し、第2の耐力部材318は第3の接触面322を有し、各接触面は、接触面320,322が埋込みの後に周囲の解剖学的特徴からの荷重を支持することができるように、それぞれのキャビティ308,310から平坦部分312の平面を越えて延びている。耐力部材316,318およびそれらの接触面320,322は、前述の耐力部材114,214と同様に構成することができ、耐力部材316,318が、異なるサイズおよび全体積を有するように示されているとしても、それらのサイズおよび全体積は等しいことができる。各接触面320,322は、第1の面304の平坦部分312に対してそれぞれの厚さT2,T3を規定している。接触面320,322の厚さT2,T3は、互いに等しいことができるまたは異なる耐力特性を提供するように異なることができる。例えば、耐力部材316のより大きな全体的な体積により、耐力部材316に、耐力部材318の接触面322より厚い接触面320を提供することが望ましいことがあり、この場合、T2はT3より大きい。所望のヒーリング効果を生じるために、耐力部材316および318は、異なる材料から形成することができる、異なる気孔率を有することができるまたはさもなければ互いに異なって構成することができる。
【0028】
ここで図35を参照すると、図32図34に示された整形外科用インプラント300が示されており、内殖材料324が、インプラントボディ302の第1および第2の面304,306をカバーしている。内殖材料324は、前述の内殖材料230と同様の形式で構成することができる。
【0029】
ここで、図36および図37を参照すると、本発明による整形外科用インプラント400の別の実施の形態が示されている。整形外科用インプラント400は、前方腰椎椎体間固定術ケージとして構成された、インプラントボディ402を有し、インプラントボディ402は、第1の面404と、第1の面404と反対側の第2の面406と、第1の面404および第2の面406を貫通して延びるキャビティ408とを有する実質的に非多孔質の材料を含む。見ることができるように、第1の面404は、インプラントボディ402の前側からインプラントボディ402の後側に向かって下方へ傾斜した、傾斜した平坦な面である。異なる外科手術処置に適した、インプラントボディ402の様々な形状を提供するために、第1の面404の傾斜を所望のように調節することができることが認められるべきである。
【0030】
実質的に多孔質の材料を含む耐力部材410が、キャビティ408内に保持されている。耐力部材410は第1の接触面412を有し、第1の接触面412は、キャビティ408から延びており、第1の接触面412がすぐ隣接した第1の面404の一部より高くなっている。言い換えれば、第1の接触面412はキャビティ408から外方へ突出しており、これにより、第1の接触面412は、整形外科用インプラント400が埋め込まれたときに周囲の解剖学的特徴と接触し、キャビティ408にすぐ隣接した第1の面404の部分を、周囲の解剖学的特徴からの荷重を最初に支持することから隔離する。第1の面404が傾斜させられているので、前述の第1の接触面のように、第1の接触面412は、必ずしも第1の面404のピークを越えて延びていない。しかしながら、全ての他の態様において、耐力部材410および第1の接触面412は、前述の耐力部材および接触面と同様に構成することができる。
【0031】
ここで図38を参照すると、図36および図37に示された整形外科用インプラント400が示されており、内殖材料414はインプラントボディ402の第1の面404をカバーしている。内殖材料414は、前述の内殖材料と同様に構成することができる。見ることができるように、図36および図37に示された耐力部材410がどのように第1の面404の一部より高くなっているかと同様に、耐力部材410は、内殖材料414の一部より高くなっている。
【0032】
ここで、図39を参照すると、本発明による整形外科用インプラント500の別の実施の形態が示されている。整形外科用インプラント500は、第1の面504と、第1の面504と反対側の第2の面506とを有する実質的に非多孔質の材料から形成されたインプラントボディ502を有する。第1の面504および第2の面506は、図示したように湾曲していることができるか、または実質的に平らな平坦な面として形成することができる。代替的に、面504,506のうちの一方が、1つまたは複数の湾曲部を備えた面として形成することができ、他方の面は平坦である。
【0033】
キャビティ508がインプラントボディ502に形成されており、キャビティ508は、インプラントボディ502を貫通した連続的なキャビティ508を形成するように第1の面504および第2の面506を貫通して延びている。キャビティ508は、第1の面504を貫通して形成された第1のキャビティ入口510と、第2の面506を貫通して形成された第2のキャビティ入口512(図40)とを有する。キャビティ入口510,512のうちの一方または両方は、それぞれの面504,506を貫通して同心状に形成することができ、これにより、キャビティ入口510,512は、それぞれの面504,506の周縁形状とほぼ一致する周縁形状を有し、キャビティ入口510,512は、それぞれの面504,506よりも小さな周縁を有する。キャビティ508は、全体にわたって一定の形状または変化する形状を有するように形成することができる。
【0034】
第1の接触面516を有しかつ気孔517を有する実質的に多孔質の材料を含む耐力部材514が、インプラントボディ502内に形成されたキャビティ508内に保持されている。耐力部材514およびその接触面516は、前述の耐力部材114,214および410およびそれらのそれぞれの接触面116,216および412と同様に構成することができる。
【0035】
好適には、例示したように、第1の接触面516が第1の面504を越えて延びるように、耐力部材514の第1の接触面516はキャビティ508から第1のキャビティ入口510を越えて延びている。この意味において、第1の接触面516は、第1の面504を越えて延びておりかつ第1の面504から突出した厚さT4を規定しており、この厚さT4は、第1の接触面516にわたって一定であるまたは変化していることができる。しかしながら、別の実施の形態において、厚さT4は、ゼロの一定値を有し、これにより、第1の接触面516は第1の面504と同一平面を成している。第1の面504を越えて第1の接触面516を延長させることによって、解剖学的構造との接触から第1の面504を隔離させながら、埋込みの間に椎骨などの解剖学的構造と接触して第1の接触面516を配置することができる。埋め込まれると、次いで、多孔質の耐力部材514は、気孔517を通じた耐力部材514内への組織の内殖を可能にしながら、解剖学的構造からの荷重を支持することができる。
【0036】
キャビティ508までインプラントボディ502の別の面526を貫通した1つまたは複数の第1の開口524を形成することができる。耐力部材514は、部分的に第1の開口524内へ延びていることができ、別の材料を第1の開口524に保持することができるまたは第1の開口524は、キャビティ508に保持された耐力部材514までクリアな通路を提供することができる。第1の開口524は、以下でより完全に説明される挿入/デリバリツールが、整形外科用インプラント500を埋め込むための外科手術処置の間に第1の開口524を介した耐力部材514への材料薬剤のデリバリのために、第1の開口524内に配置される(例えば、第1の開口524に接続される)ことを可能にするあらゆるサイズまたは形状であることができる。好適には、第1の開口524は、直径d1を有するねじ山付き外側部分530を有する円形の開口であるが、本発明の範囲は、関連するジオメトリパラメータ(例えば、楕円、正方形、矩形を規定するパラメータ)を有する1つまたは複数の異なる直径または異なる幾何学的形状を有する第1の開口524をカバーしており、ねじ山が設けられていない外側部分530を有してもよい。
【0037】
加えて、1つまたは複数の第2の開口528を、第1の開口524に隣接して配置することができ、第2の開口528は、第1の開口524を介した耐力部材514への材料薬剤のデリバリのためにおよび/または埋込みの間に整形外科用インプラント500を位置決めするために、整形外科用インプラント500と挿入/デリバリツールとの間のより安定した接続を提供するために、挿入/デリバリツール(以下で説明される)と相互作用するように成形されている。(以下でより完全に説明される)材料薬剤を耐力部材514に充填するためにまたは必要であれば第2の外科手術処置の間に耐力部材514を補充するために挿入/デリバリツールが第1の開口524および第2の開口528と相互作用することができるように、第1の開口524および第2の開口528を構成することもできる。
【0038】
整形外科用インプラント500は、第1の開口524に接続されたプラグ532を有する。プラグ532は、耐力部材514の材料薬剤が、特に耐力部材514に第1の開口524を介して挿入/デリバリツールから材料薬剤が充填された後、挿入/デリバリツールが耐力部材514に充填し終わるとおよび/または第1の開口524から切り離されると、第1の開口524を介して耐力部材514から流出することを防止する。
【0039】
別の実施の形態では、キャビティ508は、選択的に、2つ以上のサブキャビティに分割されてもよい。1つの典型的な実施の形態によって、キャビティ508は、選択的に、インプラントボディ502の同じ実質的に非多孔質の材料から形成された、ディバイダ509によって2つのサブキャビティ508Aおよび508Bに分割されてもよい。耐力部材514は、2つのサブキャビティ508Aおよび508B内に保持された異なる気孔率の多孔質材料を有してもよい。1つの実施の形態において、1つまたは複数の第1の開口524は、各サブキャビティ508Aおよび508Bまで、第3の面526を貫通して形成されている。
【0040】
図40は、本発明の1つの実施の形態による、整形外科用インプラント500の別の図を示している。選択的に、耐力部材514は、インプラントボディ502の第2の面506を越えて延びるように、キャビティ508から第2のキャビティ入口512を越えて延びる第2の接触面520を有することができる。第2の接触面520は、埋込みの後に第2の接触面520が解剖学的構造と接触することができるように、第1の接触面516と同様に構成および変更することができる。第2の接触面520は、周囲の解剖学的構造からの第1および第2の接触面516,520における耐力によって生ぜしめられる耐力部材514の所望の耐力特性に応じて、第1の接触面516の鏡像であるまたは異なる構成であることができる。耐力部材514の全体を貫通した移動通路を、耐力部材514に形成された相互接続された気孔517を介して形成することができるように、耐力部材514の気孔517が、第1の接触面516から第2の接触面520まで相互接続されていると、有用である可能性がある。
【0041】
例示したように、第2の接触面520は、第2の面506を越えて延びておりかつ第2の面506から突出した厚さT5を規定しており、この厚さT5は、第2の接触面506にわたって一定であるまたは変化していることができる。しかしながら、別の実施の形態において、厚さT5は、ゼロの一定値を有し、これにより、第2の接触面520は第2の面506と同一平面を成している。
【0042】
図41は、本発明の1つの実施の形態による、プラグ532が取り外された、整形外科用インプラント500の断面図を示している。見やすくするために、1つの第1の開口524のみが示されている。第1の開口524は、ねじ山付き外側部分530と、内側部分534とを有する。内側部分534は、好適にはねじ山付きであるが、発明の範囲は、ねじ山が設けられておらず、その代わりに、ねじ山の代わりの切欠、またはプラグを取外し可能に接続するその他の手段(図42に示されている)を有する内側部分534をカバーしている。ねじ山付き外側部分530は、外側直径doを有し、ねじ山付き内側部分534は、内側直径diを有する。1つの実施の形態において、内側直径diは、外側直径doより小さい。前の図面の符号と同じ符号は、同じ特徴を示している。
【0043】
図42は、本発明の1つの実施の形態によるプラグ532を示している。プラグ532は、ねじ山付き近位部分536と、遠位部分538と、ねじ山付き近位部分536と遠位部分538との間に位置決めされた中間部分540とを有する。ねじ山付き近位部分536は、第1の開口524のねじ山付き内側部分534と接続(例えば、螺合)させられるように構成されている。しかしながら、本発明の範囲は、プラグ532の近位部分536を取外し可能に接続するその他の手段をカバーしており、このその他の手段において、近位部分536は、例えば、内側部分534の切欠と取外し可能に接続されるための、例えば、リッジを有する。中間部分540は、直径dmを有し、遠位部分538は、直径ddを有する。遠位部分538は、好適には、例えば、ソケット(図示せず)などの、回転手段を収容するように成形された、遠位端部542を有する。例示された実施の形態では、遠位端部542は六角形として成形されているが、本発明の範囲は、あらゆる形状に形成された遠位端部542(例えば、対応する回転手段を収容するためのソケットを有する円筒として成形されている)をカバーしている。1つの実施の形態において、中間部分540の直径dmは、第1の開口524のねじ山付き外側部分530の直径doより小さいまたはそれと等しくかつ第1の開口524のねじ山付き内側部分534の直径diより大きい。プラグ532を第1の開口524の内側部分534にねじ込みかつプラグ532を第1の開口524の内側部分534からねじ外す(すなわち、取り外すまたは切り離す)ために第1の開口524のねじ山付き外側部分530内に回転手段を受け入れるために、遠位部分538の直径ddは、第1の開口524のねじ山付き外側部分530の直径doより小さい。
【0044】
図43は、本発明の1つの実施の形態による、第1の開口524をシールするために第1の開口524に接続されたプラグ532を有する、整形外科用インプラント500の断面図を示している。見やすくするために、1つの第1の開口524のみが示されている。例示したように、プラグ532の中間部分および遠位部分540,538それぞれの直径dmおよびddは、第1の開口524のねじ山付き外側部分530の直径do図41に示されている)より小さい。1つの実施の形態では、回転手段(図示せず)の適用を介してプラグ532が第1の開口524内の所定の位置に接続されると、プラグ532の中間部分540が壁部544に対して当接してもよく、これにより、第1の開口524のねじ山付き外側部分530を、第1の開口524のねじ山付き内側部分534から分離させる。第1の開口524のねじ山付き内側部分534との、ねじ山付き近位部分536の接続が、耐力部材514内に収容された材料薬剤の漏れからインプラント500の第1の開口524を十分にシールしてもよいが、壁部544に対するプラグ532の中間部分540の当接が、第1の開口524をシールしかつプラグ532が第1の開口524内へ深くねじ込まれすぎることを防止することを補助してもよい。加えて、図44に関連してさらに以下に見られるように、中間部分540は、プラグ532をねじ山付き内側部分534に隣接して位置決めするために挿入/デリバリツール600のプランジャ606がプラグ532を挿入/デリバリツールのカニューレ604においてスライドさせるための手段を提供してもよく、これにより、プラグ532は、その後、以下でさらにより完全に説明されるように、回転手段を介してねじ山付き内側部分534に接続されてもよい。
【0045】
図44は、本発明の1つの実施の形態による、図39図41および図43に示された整形外科用インプラント500に接続された挿入/デリバリ(ID)ツール600の断面図を示している。挿入デリバリツール600は、説明しやすくするために、整形外科用インプラント500に接続されて示されている。図45は、本発明の1つの実施の形態による、IDツール600が整形外科用インプラント500から切り離されたときのIDツール600の複数の構成部材を示している。以下の説明では図44および図45の両方が参照される。
【0046】
IDツール600は、インサータ602と、カニューレ604(すなわち、チューブ)と、プランジャ606とを有する。1つの実施の形態において、インサータ602は、管状部分608と、管状部分608の第1の端部611に配置された取付け部分610と、管状部分608の第2の端部613の周囲に配置されたハンドル部分612とを有する。簡略に説明するように、取付け部分610は、1つまたは複数のピン614を有してもよく、ピン614は、埋込み中にインサータ602が、整形外科用インプラント500を挿入および/または位置決めしかつ第1の開口524を介した整形外科用インプラント500への材料薬剤619のデリバリのために整形外科用インプラント500を安定させることを可能にするために、1つまたは複数の第2の開口528と係合(接続または相互作用とも呼ばれる)するように構成されている。加えて、管状部分608と組み合わされた、1つまたは複数の第2の開口528と係合させられた1つまたは複数のピン614を含む取付け部分610は、カニューレ604を第1の開口524へ案内しかつカニューレ604が第1の開口524へ接続されるためのものであるときに整形外科用インプラント500を安定させるための手段を提供する。
【0047】
カニューレ604は、整形外科用インプラント500に接続されるように構成された取付け部分616を有する管状通路605を有する。1つの実施の形態において、取付け部分616にはねじ山が設けられている。ねじ山付き取付け部分616は、第1の開口524のねじ山付き外側部分530と螺合するように構成されている。しかしながら、発明の範囲は、ねじ山が設けられておらず、その代わりに、第1の開口524の外側部分530に取り付けるためのその他の取付け手段を有する取付け部分616をカバーしている。カニューレ604は、材料薬剤619を受け取るように構成された受入れ端部618と、プランジャ606に接続されたプラグ532とを有する。受入れ端部618は、カニューレ604を整形外科用インプラントボディ500(例えば、第1の開口524)へ確実に、しかしながら取外し可能に接続するために、ねじ山付き取付け端部616を第1の開口524のねじ山付き外側部分530と螺合させるために、カニューレ604を回転させるための回転可能な手段(図示せず)を受け入れるように構成されていてもよい。例示したように、インサータ602およびカニューレ604は、第1の開口524のねじ山付き外側部分530を介してカニューレ604を整形外科用インプラント500に接続するために、カニューレ604がインサータ602の管状部分608内に位置決めされる(すなわち、インサータ602の管状部分608内でスライドさせられる)ように、構成されている。
【0048】
挿入/デリバリツール600は、プランジャ606も有する。プランジャ606は、ロッド624を介して互いに接続された、第1の端部620とハンドル端部622とを有する。第1の端部620は、プラグ532と、プラグ532と取付け端部616との間においてカニューレ604に存在する材料薬剤619とを、カニューレ604を通じて、第1の開口524に向かって押し付けるために、プラグ532の遠位部分538に接続されるように構成されている。1つの実施の形態において、第1の端部620は、プラグ532の六角形の遠位端部542と接続されるように構成された六角形のソケットである。プランジャ606の第1の端部620がプラグ532の遠位端部542と接続されると、プラグ532(およびプラグ532と取付け端部616との間においてカニューレ604に存在するあらゆる材料薬剤619)を、カニューレ604を通じて押し付けるためにハンドル端部622に力が加えられてもよく、これにより、第1の開口524を介して材料薬剤619を耐力部材514内へ押し込み、プラグ532のねじ山付き近位部分536が、第1の開口524のねじ山付き内側部分534に当接するまで押し付けられると、ハンドル端部622は、プラグ532を第1の開口524のねじ山付き内側部分534内へねじ込むために回転させられてもよく、これにより、耐力部材514からの材料薬剤619の放出または漏れに対して第1の開口524をシールする。1つの実施の形態では、プランジャ606は、Oリングなどの1つまたは複数のシーリングリング624を有する。シーリングリング624は、プランジャ606がカニューレ604に沿って第1の開口524の方向へ押し付けられるときに、シーリングリング624と、カニューレ604の受入れ端部618との間のカニューレ604の部分内への材料薬剤619の漏れを防止するために、ロッド624の周囲に配置されている。
【0049】
1つの実施の形態において、例示したように、管状通路605は、管状通路直径dpを有し、プラグ532の中間直径dmは、管状通路直径dpと等しく、プラグ532の遠位直径ddは、管状通路直径dpより小さい。
【0050】
別の実施の形態では、インサータ602と、インサータ602の管状部分608内に配置されたカニューレ604とが、集合的に、管状通路605を有する管状アセンブリ603と呼ばれてもよい。管状アセンブリは、さらに、整形外科用インプラント500に接続する(すなわち、取り付ける)ように構成された第1の端部607と、材料薬剤619、プラグ532およびプランジャ606を受け入れるように構成された第2の端部609とを有する。
【0051】
図46は、本発明の別の実施の形態による、プランジャ606の第1の端部620を示している。この実施の形態において、第1の端部620は、ジョイント626においてプラグ532の遠位端部542に接続されている、または言い換えれば、第1の端部620はプラグ532を有する。作動中、インサータ602およびカニューレ604が整形外科用インプラント500に接続され、材料薬剤がカニューレ604の受入れ端部618に配置され、プラグ532に接続された第1の端部620を有するプランジャ606が、第1の開口524のねじ山付き内側部分534に当接するまでねじ山付き近位部分536を押し付けると、プランジャ606が回転させられ、プラグを、ねじ山付き内側部分534内へねじ込む。1つの実施の形態において、プラグの螺合が完了し、これにより、第1の開口524をシールすると、プランジャ606のさらなる回転により、第1の端部620が、ジョイント626に沿ってプラグ532の遠位端部542から切断され、カニューレ604からのプランジャ606の取出しを許容するように、第1の端部620はプラグ532の遠位端部542に接続されている。1つの実施の形態において、遠位端部542は、後でプラグ532が第1の開口524からねじ外される(すなわち、取り外される)ことを可能にするために、六角形またはあらゆるその他の形状として構成されている。別の実施の形態では、遠位端部542は、プラグ532を取り外すためのいかなる回転手段も受け入れるようには構成されておらず、これにより、プラグ532は、第1の開口524に永久に接続される。
【0052】
図47は、整形外科用インプラント500に材料薬剤619を充填するための方法ステップを示している。
【0053】
ステップ628において、インサータ602が整形外科用インプラント500に接続される。1つの実施の形態では、インサータ602の取付け部分610の1つまたは複数のピン614は、整形外科用インプラント500の1つまたは複数の第2の開口528に接続される。1つの実施の形態では、2つの第2の開口528は、整形外科用インプラントの側面とも呼ばれる面526に形成されている。面526は、整形外科用インプラント500の第1の面504と第2の面506との間に形成されている。1つの実施の形態では、2つの第2の開口が、面526における第1の開口524を挟むように形成されている。
【0054】
ステップ630において、カニューレ604が整形外科用インプラント500に接続される。1つの実施の形態では、取付け部分616が第1の開口524の外側部分530に到達するまで、カニューレ604の取付け部分616がインサータ602内へスライドさせられる。カニューレ604は、好適には、カニューレ604の受入れ端部618に提供された、ソケット、レンチなどの回転手段を使用することによって、回転させられ、取付け部分616を回転させ、これにより、取付け部分616を第1の開口524の外側部分530に接続させる。1つの実施の形態では、取付け部分616および外側部分530の両方にねじ山が設けられており、カニューレ604の回転は、ねじ山付き取付け部分616をねじ山付き外側部分530と螺合させ、これにより、カニューレ604を整形外科用インプラント500に接続させるか、または1つの実施の形態によれば、整形外科用インプラント500の第1の開口524に接続させる。
【0055】
ステップ632において、受入れ端部618を介して材料薬剤619がカニューレ604内に配置される。1つの実施の形態では、材料薬剤は流動性材料である。本発明の範囲は、骨ペースト、骨パテ、骨移植片などの流動性材料、または治療薬、例えば、抗生物質、血漿、骨髄、鎮痛薬、または腫瘍対抗薬剤などの薬剤を含み、これらは全て、当業者に公知の慣用的な粘度を有する。さらに、本発明の範囲は、流動性材料として具体化されてもよいあらゆる生物学的材料薬剤をカバーする。加えて、本発明の範囲は、様々な相互接続性および孔サイズを有する多孔質耐力部材514と組み合わされて、第1の開口524、カニューレ604およびプランジャ606を介して多孔質耐力部材514内へ供給可能な、所定の範囲の粘度を有する材料薬剤をカバーする。
【0056】
ステップ634において、プラグ532に接続されたプランジャ606の第1の端部620は、カニューレ604に挿入されかつ第1の開口524の方向へカニューレ604を通じて押し込まれ、これにより、プラグ532が材料薬剤619を第1の開口524の方向へ押し付けることを可能にし、かつ整形外科用インプラント500の多孔質耐力部材514に材料薬剤619を充填するために材料薬剤619を第1の開口524に通過させる。1つの実施の形態では、プランジャ606の第1の端部620は、例えばソケットを介して、プラグ532の遠位端部542に取外し可能に接続されている。別の実施の形態では、プランジャ606の第1の端部620は、遠位部分542と第1の端部620との間のジョイント626においてプラグ532の遠位端部542に切断可能に接続されている。
【0057】
ステップ636において、プラグ532に接続されたプランジャ606が、第1の開口524の内側部分534に隣接したプラグ532の近位部分536を押し付けた後、プランジャ606はカニューレ604内で回転させられ、プラグ532を第1の開口524に接続させ(取り付けまたは固定しとも呼ばれる)、これにより、第1の開口524をシールする。1つの実施の形態では、プラグ532の近位部分536および第1の開口524の内側部分534はねじ山を有し、カニューレ604の回転は、近位部分536を内側部分534と螺合させ、これにより、第1の開口524を通じた耐力部材514の材料薬剤619の放出(漏れとも呼ばれる)に対して第1の開口524をシールする。
【0058】
ステップ638において、プランジャ606の第1の端部620がプラグ532の遠位端部542に取外し可能に接続されると、ステップ636においてプラグ532が第1の開口524へねじ込まれた後、プランジャ606の第1の端部620は遠位端部542から切り離され、プランジャ606は、カニューレ604から取り出されてもよい。プランジャ606の第1の端部620がジョイント626においてプラグ532の遠位端部542に切断可能に接続されているならば、ステップ636においてプラグ532が第1の開口524へねじ込まれた後、プランジャ606のさらなる回転により、第1の端部620は、ジョイント626に沿ってプラグ532の遠位端部542から切断される。次いで、プランジャ606は、カニューレ604から取り出されてもよい。
【0059】
ステップ640において、カニューレ604は、ステップ630におけるのとは反対方向へインサータ602内で回転させられ、これにより、カニューレ604を整形外科用インプラント500から切り離す。例えば、カニューレ604を反対方向へ回転させることにより、カニューレ604のねじ山付き取付け端部616が第1の開口524のねじ山付き外側部分530からねじ外され、これにより、カニューレ604がインサータ602の管状部分608から滑り出される。
【0060】
ステップ642において、インサータ602は、整形外科用インプラント500から切り離される。1つの実施の形態では、インサータ602の取付け部分610の1つまたは複数のピン614は、整形外科用インプラント500の1つまたは複数の第2の開口528から切り離される。
【0061】
本発明は、少なくとも1つの実施の形態に関して説明されているが、本発明は、さらに、本開示の思想および範囲内で変更することができる。したがって、本願は、発明の一般的な原理を使用する発明のあらゆる変更、使用または適応をカバーすることが意図されている。さらに、本願は、添付の請求項の範囲内の、発明が属する技術分野における公知のまたは慣用的な態様に含まれるような本開示からの逸脱をカバーすることが意図されている。
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