(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】操作位置に容積投与ポンプを設置する方法
(51)【国際特許分類】
F04B 53/00 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
F04B53/00 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019020944
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2022-02-02
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517098354
【氏名又は名称】ネオセラム エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビン,レデガンク
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-234873(JP,A)
【文献】国際公開第2004/072592(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0292016(US,A1)
【文献】特開2007-306990(JP,A)
【文献】米国特許第06739478(US,B2)
【文献】米国特許第07004843(US,B1)
【文献】特開2004-352573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機械(2、92)上で容器を充填するのに配置される容積投与ポンプ(1)を操作位置に設定する方法であって、前記
容積投与ポンプ(1;91)が本体(3;93)を備え、本体(3)の内部には、ピストン手段(4;94)が
ポンプ軸(AA’)に沿って摺動するように載置され、切換手段(5;95)が回転可能に載置されており、前記ピストン手段および前記切換手段が前記本体(3;93)の外側に延びており、
また前記駆動機械(2、92)が、静止した本体(8;98)、および機械軸(BB’)に沿った摺動運動を駆動するように構成された第1のアーム(7)を備えるものであり、
以下の:
― 前記ピストン手段および前記切換手段(4,5,94;95)を前記
容積投与ポンプ(1;91)の本体(3;93)とともに高速に保持するステップと、
― 前記本体(3;93)、前記ピストン手段、および前記切換手段(4,5;94
、95)のいずれか一つを
、ピボット(P)
であって、前記駆動機械の軸に対して垂直な回転軸を有するピボット(P)に連結するステップと、
― 前記ピボット(P)の
回転軸周りの
面内で前記
容積投与ポンプを回転させて、
前記駆動機械(2、92)の操作支持体上
での前記ポンプのセルフインターロッキングを達成することによってのみ、前記本体(3;93)、前記ピストン手段、および前記切換手段(4,5;94,95)のその他を締結するステップ、とを含む方法。
【請求項2】
前記
容積投与ポンプ(91)が、前記本体(93)内に摺動するように、そして回転可能に載置される、切換バルブ(95)を含むピストン(94)を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
容積投与ポンプ(1)が、前記本体(3)の内部に摺動するように載置されるピストン(4)と、前記本体の内部に回転可能に載置される切換バルブ(5)とを備え、前記ピストン(4)および前記切換バルブ(5)が、前記本体(3)の外側に延びており、
― 本体(3)、ピストン(4)、および切換バルブ(5)のいずれか一つをピボット(P)に連結し、
― 前記ピボット(P)の周りに前記ポンプを回転させて、前記操作支持体上に、前記本体(3)、前記ピストン(4)、および前記切換バルブ(5)のその他二つを締結する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記操作支持体が回転部分を備え、前記切換バルブ(5)が前記回転部分に締結される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記操作支持体が、摺動部分を備え、前記ピストン(4)が、前記摺動部分に締結される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記切換手段が、前記ポンプ軸
(AA’)の周りに回転可能に載置され、前記ポンプの回転時に、前記ポンプ軸(AA’)が鉛直面内で運動する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポンプを操作位置に設置することが、前記ピストン手段(4)の摺動運動を駆動する、静止した本体(8)および第1のアーム(7)を有する駆動機械(2)上に前記容積投与ポンプ(1)を設置することを含み、前記アームが、
前記機械軸(BB’)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記回転の終了時に、前記ポンプ軸(AA’)が前記機械軸(BB’)に重なる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
― ハンドル(9)を用いて、前記
容積投与ポンプ(1)の本体(3)の内部にともに組み立てられた前記ピストン手段(4)と前記切換手段(5)とを把持する予備的なステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
― 本体(3;93)を備え、本体(3;93)の内部には、ピストン手段(4;94)が摺動するように載置され、切換手段(5:95)が回転可能に載置され、前記ピストン手段および前記切換手段が前記本体(3;93)の外側に延びている、容器を充填するのに配置される容積投与ポンプ(1;91)と、
― 静止した本体(8;98)、および機械軸(BB’)に沿った摺動運動を駆動する第1のアーム(7)を備える駆動機械(2;92)との組み立て体であって、
前記ピストン手段(4;94)および前記
容積投与ポンプ(1;91)の本体(3;93)が、前記第1のアーム(7)および前記静止した本体(8)にそれぞれ、形状連携によってのみ締結されるよう配置され
て、
前記ピストン手段(4;94)が、ポンプ軸(AA’)に沿って摺動するように載置され、また前記切換手段が、前記ポンプ軸(AA’)の周りに回転可能に載置され、また前記ポンプ軸(AA’)は、操作位置において、前記機械軸(BB’)と整列する
、ことを特徴とする組み立て体。
【請求項11】
前記
容積投与ポンプ(91)が、切換バルブ(95)を含むピストン(94)を備え、前記第1のアーム(9
9)もまた、前記機械軸(BB’)の周りに回転運動を駆動するものであり、前記本体(93)が、前記静止した本体(98)に締結され
るよう配置される、請求項10に記載の組み立て体。
【請求項12】
前記
容積投与ポンプ(1)が、ピストン(4)および切換バルブ(5)を備え、前記ピストン(4)および前記切換バルブ(5)が、前記本体(3)の外側に延びており、前記駆動機械(2)がさらに、前記機械軸(BB’)の周りの回転運動を駆動する第2のアーム(6)を
さらに備え、前記切換バルブが、形状連携のみにより前記第2のアーム(6)に締結されるよう配置される、請求項10に記載の組み立て体。
【請求項13】
前記形状連携が、前記ピストン手段(4;94)および前記第1のアーム(7
)上、前記ポンプの本体(3)上、ならびに前記機械の
前記静止した本体(8)上
にそれぞれ配置されたセルフインターロッキング連携手段を通じて進行する、請求項10~1
1のいずれか一項に記載の組み立て体。
【請求項14】
前記形状連携が、前記ピストン手段(4;94)および前記第1のアーム(7)上、前記ポンプの本体(3)上および前記機械の前記静止した本体(8)上、ならびに前記切換手段(5)および前記第2のアーム(6)上にそれぞれ配置されたセルフインターロッキング連携手段を通じて進行する、請求項12に記載の組み立て体。
【請求項15】
前記セルフインターロッキング連携手段が、熱可塑性材料から少なくとも部分的にできている、請求項
13または14に記載の組み立て体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容積ポンプの分野に、そして特に、操作者の立ち入り制限のある制御された領域内の機械的手段にそうしたポンプを据え付けることに関する。
【背景技術】
【0002】
製薬工業の食品工業のような業界は、容積ポンプ、すなわち容積移送式ポンプを使用して、例えば医薬調製物などを注射器中に(ワクチン)、溶液を静脈内投与用の小袋中に、低温殺菌されたジュースをボトル中に充填する等、個々の容器中に液体調製物を充填している。液体調製物が、純粋で殺菌されている状態を維持していること、および分配される容積が非常に正確であることが、最も重要である。
【0003】
これらの目的を達成するために、高精度容積ポンプが、ステンレス鋼またはさらにはセラミックスのような様々な材料で開発されており、その目的は、いかなる金属汚染も回避することにある。
【0004】
これらのポンプは通常、ケーシング内にくり抜かれたシリンダにより画定された主要な中心軸の周りに構築され、このシリンダ内ではピストンが、長手方向に摺動するように運動可能であり、その振幅は、決まった容積を有する計量チャンバを画定するよう予め定義されている。いくつかの場合では、2エレメント・ポンプ(two-element pump)称されて、チャネルがピストン内に配置され、このピストンが更に、軸の周りに回転して計量チャンバをポンプの流入口および排出口ノズルと交互に接続しており、それゆえ前記チャネルは切換バルブとして働く。その他の場合では、3エレメント・ポンプと称されて、切換バルブが別個の構成要素内に構築され、これもまたシリンダ内に挿着される。この後者の場合では、ピストンは、摺動する構成要素を介して作動させられる一方で、切換バルブは別個の回転する構成要素を用いて作動させられる。当業者は、これらのポンプに精通しており、欧州特許第3045724号では、そうしたポンプがどのようにして働くかが開示されている。
【0005】
容積ポンプは、常時清浄であることが必要であり、例えば、新規ロットの製造を開始する場合には、相互汚染を回避することが必要である。
【0006】
そうした容積ポンプが遭遇する一つの困難は、それらを組み立てて、ポンプの様々な構成要素を保持し起動することになる機械にすることであって、これらの構成要素がしっかりと固定されてはいないことである。確かに、利用可能な装置へのポンプの組み立てには:
― ナットを螺着して、インターフェース構成要素にピストンの末端を保持し、続いて、機械の摺動アームにインターフェース構成要素をピン留めして、それにより全体の配置が、ピストンの正確な長手方向の変位を保証すると同時に、幾分かの横方向の可撓性を可能にしてピストンへのいかなる損傷も防止すること;
― ポンプのコアシリンダを機械の不動の構成要素に固定して、中央のシリンダの安定性を保証すること、および
― インターフェース構成要素をポンプ構成要素に螺着し、それを機械にピン留めすることにより、機械の回転動アームに切換バルブを固着すること、が必要とされる。
【0007】
特に、グローブボックスのような殺菌された環境で作業している場合には、螺着およびピンの挿着のあらゆるステップを実行しつつ、ポンプの様々な部分を保持することは、厚手の手袋を装着している操作者にとっては非常に繊細な動作である。据え付けの最中にポンプを損傷させるリスクと、いくつかの鋭利な構成要素が手袋を損傷させ、それによりポンプ上に汚染粒子を放出するリスクを伴う、殺菌状態を破るというリスクとの、両方リスクが存在する。
【0008】
ポンプの据え付けの最中にそれを把持する装置が、国際公開第2004072592号パンフレットに開示されている。これらの装置は、ポンプの据え付けの最中にポンプの諸部分をともに固着することを可能にするものの、それを使用する操作者は依然として、ナット(73)およびネジ(72)を締結すること、および、水平運動によりポンプを挿着するのに、非常に慎重であることが求められる。
【0009】
それゆえ本出願人は、対応する機械に容積ポンプを安全にそして速やかに固定する新規方法を提案することが必要であると判断する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的に向けて、容器を充填するのに配置される容積投与ポンプを操作位置に設定する方法であって、ポンプが本体を備え、本体の内部には、ピストン手段が摺動するように載置され、切換手段が回転可能に載置されており、ピストン手段および切換手段が本体の外側に延びており、以下の:
― ピストン手段および切換手段をポンプの本体とともに高速に保持するステップと、
― 本体、ピストン手段、および切換手段のいずれか一つをピボットに連結するステップと、
― ピボットの周りにポンプを回転させて、操作支持体上に、本体(3;93)、ピストン手段、および切換手段のその他を締結するステップ、とを含む方法が提案される。
【0011】
2エレメント・ポンプについては、ポンプは、本体の中に摺動するようにそして回転可能に載置される、切換バルブまたはチャネルを含むピストンを備えている。
【0012】
3エレメント・ポンプについては、ポンプがピストンおよび切換バルブを備え、ピストンおよび切換バルブが本体(3)の外側に延びており、
― ピボットに、本体、ピストン、および切換バルブのいずれか一つを連結し、
― ピボットの周りにポンプを回転させて、操作支持体上に、本体、ピストン、および切換バルブのその他二つを締結する。
【0013】
連結および締結により、これは本明細書では単なる接続と称され、二つの部分が、形状連携により、すなわちネジ、ボルト、ピン、ナットのようないかなる追加の構成要素、またはそれらの組み立て体に手作業での介入を要求するいかなる構成要素もなしに、互いに接続される。インターロッキング(interlocking)またはセルフインターロッキング(self-interlocking)のような用語もまた、形状連携によるこの接続を記載するのに使用されることになろう。
【0014】
連結および締結は、例えば、クリップ留め具による取り付け、スナップ留め具による取り付け、磁気による取り付けのような、構成要素の様々な手段および設計により、または接着剤の帯により、実現することができる。
【0015】
そのため、本発明の方法では、機械上の割り当て位置にポンプの第1の部分を関連付けることが単に必要であり、この接続点はさらに、機械上のそれらの割り当て位置にポンプ上のその他の締結手段を接続するための回転運動のピボットとして働き、これにより、操作支持体と称される。これは、複数のクリック(click)操作としてまとめられる可能性がある。
【0016】
操作支持体は、静止部分および/または機械の可動部分を指し、これを使用して、ポンプの部分との接続に際し、ポンピング操作の最中にポンプの一部分が動くのを防止すること、および/または摺動または回転運動がポンプの別の部分に加わることを防止できる。
【0017】
機械にポンプを結合する操作者には、いかなる締結構成要素も必要ではない。この操作は、非常に高速に、そして手袋が引き裂かれる、または小部品が落下するいかなるリスクもなしに実行される。
【0018】
いくつかの場合では、ピストンをピボットに連結し、ポンプを、回転部分に切換バルブを締結するために回転させる。その他の場合では、切換バルブをピボットに連結し、ポンプを、摺動部分にピストンを締結するために回転させる。さらにその他の場合では、本体を連結し、ポンプを、ピストンを摺動部分に、そして切換バルブを回転部分に締結するために回転させる。
【0019】
好ましくは、ピストン手段は、ポンプ軸(AA’)に沿って摺動するように載置され、切換手段は、前記ポンプ軸の周りに回転可能に載置され、ポンプの回転時には、ポンプ軸(AA’)が鉛直面内で運動する。
【0020】
操作位置にポンプを設置することには、静止した本体と、ピストンの摺動運動を駆動する第1のアームとを有する駆動機械上に容積投与ポンプを設置することが含まれ、前記アームは、機械軸(BB’)に沿って整列する。
【0021】
2エレメント・ポンプについては、第1のアームは、切換手段を備えるピストンの回転運動も駆動する。3エレメント・ポンプについては、機械は、切換バルブの回転運動を駆動する第2のアームを備え、前記第1および第2のアームは、機械軸(BB’)に沿って整列する。
【0022】
よって、本発明の方法によれば、回転の終了時に、ポンプ軸(AA’)は、機械軸(BB’)に重なる。
【0023】
本発明の方法を適用するには
― 容器を充填するのに配置された容積投与ポンプであって、本体を備え、本体の内部には、ピストン手段が摺動するように載置され、切換手段が回転可能に載置されており、ピストン手段および切換手段が本体の外側に延びている容積投与ポンプと、
― 静止した本体、および機械軸に沿った摺動運動を駆動する第1のアームを備える駆動機械との組み立て体であって、ピストン手段およびポンプの本体が、それぞれ第1のアームおよび静止した本体に、形状連携によってのみ締結されるよう配置されることを特徴とする組み立て体もまた提案される。
【0024】
2エレメント・ポンプについては、ピストンは、切換バルブを備えており、そして第1のアームは、機械軸の周りの回転運動も駆動するためのものである。本体は、続いて、静止した本体に締結されるよう配置される。
【0025】
3エレメント・ポンプについては、ポンプは、本体の外側に延びているピストンおよび切換バルブを備え、そして駆動機械はさらに、機械軸の周りの回転運動を駆動する第2のアームを備え、切換バルブは、形状連携によってのみ第2のアームへ締結されるよう配置される。
【0026】
形状の連携は、ピストンと第1のアーム、ポンプの本体と静止した本体上、および、存在する場合には、機械の切換バルブと第2のアームを二つずつ接続するように配置されたセルフインターロッキング手段を通じて進行する。
【0027】
好ましくは、連携するインターロッキング手段は、医療装置に使用されような、例えば熱可塑性材料のような、或る程度の可撓性を有する固体/剛性材料からできている。これにより、或る程度の可撓性が可能でありつつ、信頼性のある確実な接続が可能になる。この可撓性は確かに、機械アームの軸が多少ずれる場合にポンプへの損傷を回避するために、必要とされ得る。
【0028】
中間製造物として、本発明はまた、容器を充填するのに配置される容積投与ポンプであって、本体を備え、本体の内部には、ピストンが摺動するように載置され、切換バルブが回転可能に載置されており、ピストンおよび切換バルブが本体の外側に延びており、本体、ピストン、および切換バルブの一つが連結手段を備え、その他二つが締結手段を備えていることを特徴とする容積投与ポンプに関連するものである。
【0029】
本発明の方法、組み立て体、および投与ポンプは、唯一の共通の新規概念により明瞭に結びついている。本発明の方法を実現することを可能にする組み立て体およびポンプの特徴。
本発明は、添付図面を参照しつつ、いくつかの実施例の以下の記載を用いるとより良く理解されることになるが、それらの図面では:
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】本発明の方法を実現する場合のポンプの別の構成を例示し;
【
図4】ポンプの組み立て体および機械の接続点を例示し;
【
図5】回転運動を駆動する機械のアームとポンプの切換バルブを接続する詳細なスキームであり;
【
図6】並進運動を駆動する機械のアームとピストンを接続する詳細なスキームであり;
【
図7】機械の静止部分とポンプの口栓を接続する背面図であり;
【
図8】機械の静止部分とポンプの口栓を接続する別のモードの図であり、そして
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に、ポンプ1と機械2の、その操作位置における相互接続の原理を模式的に例示する。機械2は、静止部分8だけでなく、二つのアーム6および7を備えている。ポンプ1は、中空シリンダ体3を備え、その内側には、ピストン4が、軸AA’に沿って摺動するように載置され、切換バルブ5が、軸AA’、流体流入口12、および流体排出口13の周りに回転可能に載置されている。ピストンおよび切換バルブは、本体3の内側に合わせた一般的なシリンダ形状を有する。ピストン4および切換バルブ5は、本体3の片側からそれぞれ突出している。口栓10は、本体3の横側から突出している。
【0032】
図2および3を参照すると、本発明の方法により駆動機械2に容積投与ポンプ1を設置することが可能になるが、駆動機械は、明瞭にする目的のために本明細書には部分的にしか表示しない。
【0033】
駆動機械2は、二つの向かい合った対応するアーム6および7を備えている。アーム6は、ここでは軸BB’の周りの回転運動を駆動し、アーム7は、ここでは軸BB’に沿った並進運動を駆動する。機械はさらに静止部分8を備えており、そこに受容クリップ構成要素11が配置されている。
【0034】
第1のステップでは、ピストン4および切換バルブ5がまず組み立てられ、そしてポンプの本体3の中にともに保持される。これは、ここでは本体3を位置9bに、ピストンを位置9aに、そして切換バルブ5を位置9cに解放可能に保持するハンドル9により可能になる。それゆえハンドル9はポンプの固定されていない部分をともに保持し、その結果、ポンプは、はずれて落下するいかなるリスクもなしに片手で操作することができる。ハンドルは、ポンプの末端間の距離が機械のアームの末端間の距離に合うよう保証することもでき、それにより、機械上にポンプを結合することが容易になる。
【0035】
ハンドルは、操作者がポンプの各部分上でハンドルの顎を片手だけで開閉できるようにするいかなる好適な特徴も有することができる。これは例えば、洗濯挟みとして、または顎の開きを誘発する押しボタンを介して、機能することができる。
【0036】
しかしながら、ハンドルの使用は強制ではない。操作者は、どちらか片手でポンプの部分を非常にうまく保持することができる。代わりに、操作者はポンプの底部、ここではピストン4を保持することができ、その結果、残りの部分3および5は重力によって、ともに組み立てられた状態のまま維持される。
【0037】
第2のステップ(
図2)では、切換バルブ5の末端は連結されており、すなわち機械のアーム6の末端に接続されており、この接続がピボットPを形成し、この周りでポンプ、そしてそれによりポンプ軸AA’を回転させることができる。接続またはインターロッキング手段の技術的特徴を、以下に詳細に記載することになるが、しかし外部の構成要素を使用する必要はないことに留意されたい。ネジ、ピン、またはボルトは必要ではなく、これは既存のシステムにおけるとおりである。
【0038】
最後のステップでは、
図2に例示のとおり、軸AA’が軸BB’に重なるまでポンプをピボットPの周りに回転させる。重なりに達すると、ピストン4の末端は、口栓10が機械の静止部分8上の受容構成要素11に締結されるのと事実上同時に、アーム7の末端に締結される。
【0039】
結果として、ポンプは、三つの接続点またはインターロッキング点で機械に接続され、可動部分の末端、すなわちピストンおよび切換バルブは、機械の駆動アーム6および7に接続され、ポンプ1の本体3は、機械2の静止した本体8に固定される。
【0040】
操作者は続いて、ポンプ上のその把持部を解放すること、またはハンドルが使用されるならばハンドルの解放手段を起動させることのいずれかにより、ポンプを解放することができる。
【0041】
この特定の実施例では、切換バルブは、まず機械に接続されてピボットPを形成する。しかしながら、まずピストンを接続してピボットP’を形成することもまた可能であり、切換バルブおよびポンプの本体はその後、本発明の方法にしたがって、ピボットP’の周りにポンプを回転させることにより締結される可能性がある。第1の接続点の選択は、ポンプおよび機械により、様々な接続部分の構成に依存することもある。
【0042】
本発明の目的として、容積投与ポンプおよび機械の組み立て体を、
図4~7を参照しつつ以下に記載する。
【0043】
図3および4を参照すると、ポンプ1の本体3の内側に挿着された切換バルブ5の一部は、シリンダ形状を有しているが、その一方で、その突出している末端は、二つの向かい合った主面を有する平坦な直方体41であり、その面から横方向の棒42が垂直に突出している。
【0044】
機械2の回転駆動アーム6は、二つの歯を有する連結されたフォーク43で終わっており、これらの歯は、切換バルブの平坦な直方体41をそれらの間にちょうど受容できるほど充分離れるように、そして連結された歯が、歯上に刻まれた切り込み部または溝44内で、切換バルブの突出している横方向の棒42を支持するように、配置される。
【0045】
そうした配置構造では、切換バルブ5を機械の駆動アーム6と相互接続することが非常に容易である。この操作は、数秒のうちに片手で実行することができる。更に、アーム6が回転運動を加える場合には、この運動は、フォーク43の歯の間に咬持された、または囲まれた直方体状の区間41に、高精度に転送される。フォークの間の距離はもちろん、直方体41の厚みに合わせて調整されるものとする。これらの連結された歯43上で着座している横方向の棒42、切換バルブ5は、機械アーム6から切り離すことができない。それゆえインターロックは、いかなる追加の締結手段がなくとも確実なものとなる。
【0046】
切換バルブとの駆動アーム6末端のこの形状の連携によりさらに、幾分かの可撓性が許される。機械の軸BB’が、ポンプの軸AA’からわずかに異なる可能性のある場合では、フォークは、切換バルブ上に応力を加える可能性があり、そうでない場合には、これによりポンプに損傷を生じさせる可能性がある。この可撓性は、フォーク43および/または切換バルブの末端を製造するための熱可塑性材料のような可撓性材料を使用することにより、有利には増強される。
【0047】
いったん切換バルブ5がアーム6と連結されると、便利なピボットが生み出される。確かに、有利にはシリンダ状であって区画41の各側で整列した横方向の棒は、軸を形成してその周りにポンプ1を枢動させることができる。本発明の方法に関して上に開示したとおり、ポンプをこのピボット軸の周りに回転させ、さらにピストン4および本体3を、それぞれアーム7および機械の静止部分8に接続することができる。
【0048】
上に記載されたインターロッキング接続は、ここでは切換バルブに適用され、機械からの回転駆動を受容する。しかしながら、同様な手段がピストンにも適用され、並進駆動を受容する可能性がある。その場合には、フォークの歯が、横方向の棒の下上に位置するよう配置される可能性があり、これは、ピストンに、上下両方向への並進運動を転送できるようするのが目的である。
【0049】
これは、回転および並進運動の両方をポンプ構成要素に転送し、それによりポンプを結合できるようにする可能性もある。これは、当業者には公知の二構成要素ポンプについては特に興味深い可能性があり、この場合では、切換バルブはピストンの中に直接的に配置されていて、その結果ピストンは、並進および回転運動の両方を受ける。
【0050】
図4および6を参照すると、ピストン4の突出している末端は、球の形状、すなわちボール51を有する。相補的に、機械2の並進アーム7は、クリップ部52で終わっており、クリップ部分は二つのプライヤ(plier)53を有し、それぞれが、ボール51を受容するように特に設計された球状溝54を、それらの内面上に示している。プライヤ53は、剛性ではあるが幾分かの可撓性を示しており、これにより、インターロッキングの最中に溝54にボール51を到達させるためにボール51の圧力がかかると、わずかに広がって離れることが可能である。いったんボール51がプライヤ53どうしの間に挿着されると、これらは、もとの位置に戻ろうとする傾向があるはずであり、これにより、ボール51上に軽い保持圧がかかる。
【0051】
ピストン4のボール51は、いったんクリップ52内に挿着されると、アーム7と強固にインターロックされ、この結果アームは、精度および可撓性の両方を保ちつつ、その並進運動をピストン4に転送することができるようになる。
【0052】
クリップ52は、ここでは二つのプライヤ53とともに記載されているが、もちろん、さらに多数のプライヤ、例えば、ボール51を受容するように円形に配置される三つまたは四つのプライヤを用いて設計される可能性もある。
【0053】
代わりに、同様な接続が、ボール以外の別の形状、例えば卵形を用いて設計され、クリップ内の溝が相補的に設計される可能性がある。これにより、ポンプ構成要素への並進運動の転送だけでなく、またはこれの代わりに、回転運動の転送が可能になり、それによりポンプが結合される。これは、二構成要素ポンプについては特に興味深い可能性があり、この場合、切換バルブはピストン内に直接的に配置され、その結果ピストンは、並進および回転運動の両方を受ける。
【0054】
更に、いったんピストン4がアーム7とインターロックされると、便利なピボット点が生み出される。確かに、ボール51は、溝54の中で回転するための幾分かの自由度を有し、それによりピボット点を生み出す。本発明の方法について上に開示されたとおり、ポンプは、クリップ52内にボール51を挿着することにより接続され、その結果、このピボット点の周りに回転して、さらに切換バルブ5および本体3を、それぞれアーム6および機械の静止部分8に接続する可能性がある。
【0055】
上記に説明したとおり、本発明の以下の方法に従って、機械のアーム6または7の一つがまず接続される。その後、ピボット点の周りにポンプを回転させることにより、第2のアームが接続される。この第2の接続は、機械2の静止部分8にポンプ1の本体3が接続されるのと大体同時に生じる。
【0056】
以下、
図4および7を参照すると、口栓10、ここではシリンダ状延長部が、ポンプ1の本体3から垂直に突出している。ポンプ1が機械2と完全に接続されている場合、口栓10は、ここでは水平方向に位置する。機械2上の受容構成要素11は、ここでは同一の面内で下方に配置された三つの歯を備えるクリップであり、中央の歯62は、下方に真っ直ぐに延びているが、一方で二つの横方向の歯61は、下方に対称に屈曲して、それらの末端が互いに対面することにより、中央の歯62の末端とともに、口栓10の区画よりわずかに小さいサイズを有するロッジング(lodging)を形成するようになっている。
【0057】
ポンプの据え付けの際に、口栓10は、歯62より下(
図7上で表示された位置)で歯61の末端と接触するようになる。歯61に対して口栓10のわずかな圧力がかかると、これらの歯は、離れるようにわずかに運動し、それによりロッジングのサイズが広がり、ロッジングの内側に口栓10を動かし、三つの歯の末端を接触させる(
図4上に表示された位置)。これには、歯が、例えば熱可塑性の又は薄い金属のブレード(blade)のような、剛性ではあるが可撓性の材料でできている必要がある。口栓10はその結果、ロッジング内に囲まれ、三つの歯61および62が、クリップ11の面内での口栓のいかなる運動も防止する。
【0058】
三つの接続点のインターロックの後、ポンプ1の動作時に、本体はクリップ11により静止高さに維持され、ピストンはクリップ52を介してアーム7により起動され、そして切換バルブはフォーク43を介してアーム6により起動される。
【0059】
図8に、スタンド802にポンプ1を締結する代わりのクリップ81を例示する。クリップ81は、ここでは鉛直面内で上方に延びるただ二つの歯801を有し、それらの末端が互いに対面するようになっている。末端は、クリップ11について上記されたように、同様な機構上で口栓10を囲むように設計される。これは、駆動機械にポンプを締結する手段についての多様な配置を実証している。
【0060】
ネジ、ピンまたはボルトのような外部の構成要素は、機械2にポンプ1を設置するのには使用されない。結合操作はわずか数秒しかかからず、そして片手で実行される可能性がある。
【0061】
機械からポンプを分離するにも、操作は同じように容易である。実行されることになるステップは:
― ポンプを、分離時にピストン4およびバルブ要素5が本体3に組み立てられた状態のままとなるように、保持すること;
― 三つの接続点でロックが外れるようにポンプを引っ張ること、である。
【0062】
引っ張るステップは、例えば三つのインターロックを一度に切り離するように実行することができる。代わりに、引っ張るステップは、二つのステップから成るものとすることができ、これは、第1に、機械の静止部分8へのポンプの本体3の第1のインターロック、および対応する機械アーム(7または6)へのポンプの一方の末端4または5の第2のインターロックを、ピボットとして働く第3のインターロッキング点の周りでポンプに回転運動を加えることにより、同時に切り離すステップ;第2に、第3のインターロックを切り離して、ポンプを完全に解放するステップである。結合と同様に、このステップは、片手で実行することができる、または、
図1および2に開示されたもののような好適なハンドルを使用することができる。
【0063】
機械上でのポンプの結合および/または分離は自動化されて、ロボットにより実行されることさえ可能である。例えば、上記のハンドル9は、ロボット化されたハンドルである可能性があり、これは、ストレージ内のポンプに手を伸ばして機械にポンプを結合するよう、または機械からポンプ切り離してストレージ内のポンプを交換するようプログラムされる可能性がある。
【0064】
それゆえ本発明の組み立て体により、本発明の方法を実行することが可能になる。それゆえ本方法および組み立て体は、唯一の新規概念により結びついている。
【0065】
接続手段の特定の配置を例示したものの、それらが交換可能または組み合わせ可能であることを示してきたが、一つのタイプのインターロックが複数の接続点に使用される可能性もある。当業者は、その他の設計のクリップを使用して、および/または磁気的な結合力、剥離可能な接着剤、またはあらゆるその他の好適な手段を使用してセルフインターロッキング手段を設計する、いくつかのその他の可能性が存在することを理解するであろう。本発明のインターロッキング手段は、実施例としてここで使用されているものには限定されない。
【0066】
ここで例示されたインターロッキング手段は、好ましくは熱可塑性材料からできており、これは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVC、ポリスチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、または当業者当技術分野では公知のあらゆるその他の好適な熱可塑性材料とすることができる。
【0067】
しかしながら、インターロッキング手段は、当業者当技術分野では公知のその他の好適な材料を使用して製造してもよい。例えば、いくつかの構成要素は、金属からできている可能性があり、それらは、形状に依っては幾分かの可撓性を示すことがある。例えば、ボール51のようないくつかの構成要素は、可撓性である必要はなく、そしてそれゆえ、例えばステンレス鋼またはセラミックスからできていてもよい。
【0068】
本発明の方法および組み立て体は、あらゆるサイズおよびタイプの容積投与ポンプに適用することができ、そのポンプが、ステンレス鋼、セラミックス、またはいかなるその他の材料の場合であってもそうである。
【0069】
本組み立ての方法はまた、二構成要素ポンプ、すなわちピストンおよび切換バルブを、同一構成要素内に含まれる手段とする場合のポンプを設置するのに適用される。
【0070】
図9を参照すると、容積投与ポンプ91が、容器を充填するのに配置され、本体93を備え、その中にはピストン94が摺動するように載置されている。切換バルブまたはチャネル95は、ピストン94内に配置されている。切換バルブは、軸AA’の周りで回転して働き、ポンプの計量チャンバに流入口96および排出口97を交互に接続する。それゆえピストンおよび切換手段は、本体93の外側に延びる単一の構成要素である。
【0071】
駆動機械92は、静止した本体98と、機械軸(BB’)に沿った摺動運動、および機械軸(BB’)の周りの回転運動を駆動するアーム99とを備えている。
【0072】
ピストンおよび切換手段94はアーム99に締結され、ポンプ91の本体93は、形状連携のみによって、静止した本体98に締結されている。本体の締結はここでは、機械92の静止部98に固定されるよう配置される口栓101として表されている。
【0073】
しかしながらこの表現は、概略であり例示である。2エレメント・ポンプのあらゆるその他の構成が可能である。
【0074】
上記の連結手段およびクリップは、2エレメント・ポンプを用いたこの構成で使用することができ、上に詳細に記載された3エレメント・ポンプのとおりである。
【0075】
本発明の方法に関して、容積投与ポンプ91を操作位置に設置するには
― ピストン手段および切換手段を、ポンプ(1)の本体(3)とともに高速に保持し、
― 本体(3;93)およびピストン手段(4、94)および切換手段(5;94)のいずれか一つをピボット(P)に連結し、そして
― ピボット(P)の周りにポンプ(1)を回転させて、操作支持体上に、本体、ピストン手段、および切換手段のその他のものを締結する。
【0076】
上記のすべての場合で、ピボット点をポンプの末端に記載してきた。しかしながら、このピボットポンプはまた、ポンプのあらゆる高さで、さらに中央寄りにあってもよい。例えば、口栓10は、第1の場所における接続する連結手段である可能性がある一方、ポンプは、斜め位置に維持される可能性がある。ポンプは続いて、ピボットの周りに回転して、鉛直位置に達する可能性があり、その位置にポンプ軸を、形状の連携により事実上同時にポンプの両末端を締結することを目的として機械軸と整列させる。次に、ポンプの両末端がクリックして、ポンプを操作位置に設置する。