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▶ テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ピペットチップ用収納ボックス
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
G01N35/10 G
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019084104
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2019219384
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】18170596.3
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501442699
【氏名又は名称】テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】マリナ・クノプケ
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0152494(US,A1)
【文献】特開2016-200604(JP,A)
【文献】特開2016-122013(JP,A)
【文献】特開2007-253118(JP,A)
【文献】登録実用新案第3005123(JP,U)
【文献】特開2011-123065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0323140(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの縦壁(5)と2つの横壁(6)とから形成され、前記2つの縦壁(5)と前記2つの横壁(6)により内部空間が区画され、上面(25)の第1開口部と底面(26)の第2開口部を有する非導電性のフレーム部(4)と、
前記フレーム部(4)の前記上面(25)に接続され、実質的に前記第1開口部を覆い、プラスチック製のピペットチップ(2)を挿入するための複数のベアリング開口部(8)を有するプラスチック製のピペットチップ(2)のための非導電性支持プレート(7)と、
を備えたプラスチックピペットチップ(2)のための収納ボックス(1)であって、
前記フレーム部(4)の前記底面(26)に配置され、前記ベアリング開口部(8)の1つに挿入される少なくとも1本のピペットチップ(2)に接触するための、前記支持プレート(7)に実質的に垂直な方向に高さHで延びる導電性ピペットチップ接触片(14)を備えることを特徴とする収納ボックス。
【請求項2】
前記ピペットチップ接触片(14)は、導電性の複数の縦ウェブ(11)および/または複数の横ウェブ(12)によって形成され、前記各縦ウェブ(11)は、前記フレーム部(4)の前記縦壁(5)とほぼ平行に前記底面(26)から前記支持プレート(7)の方向に高さHで延び、前記各横ウェブ(12)は、前記フレーム部(4)の前記横壁(6)とほぼ平行に前記底面(26)から前記支持プレート(7)の方向に高さHで延びることにより、ベアリング開口部(8)に挿入されたピペットチップ(2)が前記縦ウェブの1つまたは前記横ウェブの1つに接触可能であることを特徴とする請求項1に記載の収納ボックス(1)。
【請求項3】
前記ピペットチップ接触片(14)は、複数の縦ウェブ(11)および横ウェブ(12)によって形成されていることを特徴とする請求項2に記載の収納ボックス(1)。
【請求項4】
各縦ウェブ(11)および各横ウェブ(12)は導電性であることを特徴とする請求項3に記載の収納ボックス(1)。
【請求項5】
前記縦ウェブ(11)および横ウェブ(12)は、前記支持プレート(7)に挿入されるピペットチップ(2)のためのレセプタクル(13)のアレイを形成するように前記フレーム部(4)の内部空間に配置されることを特徴とする請求項3または4に記載の収納ボックス(1)。
【請求項6】
各レセプタクル(13)は、前記支持プレート(7)の1または複数の開口部(8)に割り当てられることを特徴とする請求項5に記載の収納ボックス(1)。
【請求項7】
さらに、前記フレーム部(4)の前記底面(26)に前記支持プレート(7)に平行に配置されたベースプレート(9)を備え、
前記ベースプレート(9)は、前記支持プレート(7)に面する上面(10)および前記上面(10)と反対側の底面(19)を備え、
前記ベースプレート(9)は静電荷を受けるか散逸させるために導電性を有し、
前記ピペットチップ接触片(14)は、前記ベースプレート(9)の前記上面(10)に配置されることを特徴とする請求項2に記載の収納ボックス(1)。
【請求項8】
前記ベースプレート(9)は、前記縦ウェブ(11)および/または前記横ウェブ(12)と一体形成され、前記フレーム部4の前記底面に接続可能であることを特徴とする請求項7に記載の収納ボックス(1)。
【請求項9】
前記ベースプレート(9)および前記縦ウェブ(11)および/または前記横ウェブ(12)は一体形成され、前記フレーム部(4)とは別の容器(15)が設けられ、前記容器(15)の寸法は、前記フレーム部(4)を前記容器(15)に挿入可能なように前記フレーム部(4)に合わせていることを特徴とする請求項7に記載の収納ボックス(1)。
【請求項10】
前記縦ウェブ(11)および/または前記横ウェブ(12)は導電性材料で被覆されているまたは導電性材料から製造されていることを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載の収納ボックス(1)。
【請求項11】
前記ピペットチップ接触片(14)は、前記フレーム部(4)の前記底面(26)に配置された導電性接触プレートであることを特徴とする請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項12】
前記導電性接触プレートは、導電性発泡材料または導電性ゴムでできたプレートであることを特徴とする請求項11に記載の収納ボックス。
【請求項13】
前記ピペットチップ接触片(14)は、前記支持プレート(7)に面する上面(20)と、前記上面(20)に、1本以上のピペットチップ(2)を受けるための凹部(21)のアレイとを備えることを特徴とする請求項11または12に記載の収納ボックス。
【請求項14】
前記支持プレート(7)の各ベアリング開口部(8)は、前記ピペットチップ接触片(14)の前記上面(20)の各凹部(21)に割り当てられていることを特徴とする請求項13に記載の収納ボックス。
【請求項15】
さらに、前記フレーム部(4)の前記底面(26)に前記支持プレート(7)に平行に配置されたベースプレート(9)を備え、
前記ベースプレート(9)は、前記支持プレート(7)に面する上面(10)および前記上面(10)と反対側の底面(19)を備え、前記ベースプレート(9)は静電荷を受けるおよび/または散逸させるために導電性であり、前記ピペットチップ接触片(14)は前記ベースプレート(9)の前記上面に配置されることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の収納ボックス(1)。
【請求項16】
前記ベースプレート(9)の前記導電性は、前記ベースプレート(9)のコーティングによって得られるまたは前記ベースプレート(9)は導電性材料でできていることを特徴とする請求項7からまたは15のいずれか1項に記載の収納ボックス。
【請求項17】
プラスチック製のピペットチップ(2)が挿入された請求項1から16のいずれか1項に記載の少なくとも1つの収納ボックス(1)を提供するステップと、
前記挿入されたピペットチップ(2)と共に前記収納ボックス(1)を動かすステップと、
を備えるプラスチック製のピペットチップ(2)から静電荷を散逸させる方法。
【請求項18】
前記収納ボックス(1)は再配置され、液体ハンドリングプラットフォーム(23)のロボットグリッパー(29)によって動作し、前記挿入されたピペットチップ(2)は、前記収納ボックス(1)によって動作し、出口端(31)で前記ピペットチップ接触片(14)に接触することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記収納ボックス(1)は、前記液体ハンドリングプラットフォーム(23)の作業面(24)に再配置され、場合によっては接地されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記収納ボックス(1)の少なくとも1本のピペットチップ(2)を液体ハンドリングプラットフォーム(23)のピペットに取り付け、そしてこの収納ボックス(1)または他の収納ボックス(1)の空いたベアリング開口部(8)に挿入することを特徴とする請求項17から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ピペットチップ(2)をピペットに取り付けるステップと、前記ピペットチップ(2)を収納ボックスに挿入するステップとの間に、少なくとも1つの方法ステップが前記液体ハンドリングプラットフォーム(23)を用いて行われ、
前記方法ステップは
液体を吸引するステップと、
液体を分注するステップと、
を含むグループから選択されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチックピペットチップ用の収納ボックスに関する。収納ボックスは、2つの縦面と2つの横面とから形成されるフレーム部と、支持プレートとを備える。支持プレートは、ピペットチップを挿入することができる様々なベアリング開口部を有する。さらに、プラスチックピペットチップから静電荷を散逸させるための方法、および自動化された液体ハンドリングプラットフォームにおける上記収納ボックスの使用が提案されている。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製のピペットチップを保管するための収納ボックスは従来技術として公知である。このようなボックスは、プラスチック製のピペットチップを正しい手順でユーザに提供するために、特に生化学または他のプロセスを行う際に使用される。そのようなプラスチック製のピペットチップは通常使い捨てピペットチップとして使用される。このようなピペットチップは1回の使用後(例えば特定の液体をピペット操作した後)に廃棄される。これにより、先のピペット操作ステップからの液体残渣が複数回の使用により気付かずにサンプル中に運ばれるのを回避することができる。特に、サンプルが高密度のサンプル容器、つまりいわゆるウェルを備えたいわゆるマイクロプレートで処理される場合、調べるべきサンプル量はかなり少なく(マイクロリットル(μL)の範囲内である)ので、汚染液滴は、サンプルを用いて行われる反応に大きな影響を与える。
【0003】
これらのマイクロプレートの使用は、多数の試料が体系的に検査される場合に特に有利である。今日、マイクロプレートは主に標準化されたフォーマットで販売されている(例えば、ANSI_SLAS_1-4 2004年規格;米国規格協会、2006年)。プレートの種類に応じて、マイクロプレート中で異なる数のサンプルを処理することができ、ウェルはそれぞれ空間アレイ状に互いに特定の軸方向距離を置いて配置される。例えば、中心距離9mmの8×12ウェルを96ウェルマイクロプレート上に配置するか、または中心距離4.5mmの16×24ウェルを384ウェルマイクロプレート上に配置する。マイクロプレートの基本的な面積、いわゆる実装面積はすべてのプレートタイプで同じであるため、同じデバイスで異なるプレートタイプを使用できる。
【0004】
自動液体ハンドリングプラットフォームの使用もよく知られており、これによって液体が異なる容器および/または試料間で高精度および高スループット率で自動的にピペット操作できる。例示的に挙げられるのは本出願人のFreedom EVOシリーズのプラットフォームである。そのようなプラットフォームは通常、ピペットヘッドを有し、その上に多数の自動操作ピペットを配置することができる。これらは、いわゆるシングルチャンネルピペットヘッドの差別化のためにマルチチャンネルピペットヘッドとも称される。例えば、8本のピペットを有する8部分からなるピペットヘッド、または96個のピペットを有する96部分からなるピペットヘッドが知られている。通常ピペットは互いに標準的なマイクロプレートのウェルの軸間距離と等しい距離を空けて配置される。
【0005】
(通常は複数回使用のために金属製の)ピペットニードルまたは(使い捨て用)プラスチックピペットチップを(シングルチャンネルおよびマルチチャンネル装置の双方の)各ピペットに密封して取り付けることができ、様々な機構を適用することができる。例えば、ピペットチップがそれぞれのピペットの端部で摩擦によって保持されるまで、ピペットヘッドのピペットが上方からピペットチップの開口部に挿入されるまでピペットヘッドが下がるプラスチックピペットチップがある。あるいは、ピペットヘッドはそれ自身のレセプタクル開口部を有することができ、その中にピペットチップがこれらのピペットチップの上端と共に密封挿入される。このような受容開口部は、ピペットヘッド内に一体化された有孔板によって提供することができる。
【0006】
この場合、ピペットチップは冒頭に述べた収納ボックス内に配置され、そこでもまたピペットチップは受入れ開口部を上向きにして標準アレイ状に配置される。特にそのようなピペットヘッドを使用するとき、使用されるピペットチップも標準化形態でピペットヘッドに提供されるならば有利である。
【0007】
使用後にプラスチックピペットチップを廃棄するために、取り出し機構を使用してピペットチップをピペットの端部から押し出す。プラスチックピペットチップを、廃棄物容器に落とすことも、収納ボックスのベアリング開口部に再挿入することもできる。同様に、プラスチックピペットチップを手動ピペットに取り付けたり取り出したりできる。
【0008】
このような使い捨てピペットチップは通常はポリプロピレンでできている。このようにして、ピペットチップは費用効率よく製造することができ、そして必要ならば、簡単に滅菌することができる。ポリプロピレンはまた、優れた耐薬品性を特徴とする。しかしながら、このようなプラスチックピペットチップは、例えばこれらのピペットチップをピペットに取り付ける際、または取り出し機構によって取り出す時に、これらのピペットチップが発生させる摩擦によって静電的に帯電することが示されている。同様に、収納ボックスもたいていポリプロピレンでできているので、収納ボックスから包装フィルムを取り除くことさえピペットチップの静電帯電に引き起こしうる。その結果静電荷が収納ボックスからピペットチップに移動できる。
【0009】
しかしながら、そのような静電的に帯電したプラスチックピペットチップは、例えば取り出し中にピペットヘッドのピペットに付着する傾向があり、従ってもはや収納ボックスに戻すことができないので、自動化プロセスに悪影響を及ぼしうる。このような付着しているピペットチップは、次のピペットチップのピックアップを妨げうる、またはこれらのピペットチップは作業現場に制御されずに落下するので、今度は汚染が広がりうるか、または作業現場の該当領域で操作が妨げられる。同様に、帯電したピペットチップは、例えば収納ボックスに収納されている場合、互いに反発しうる。このことによって、ピペットヘッドに取り付けると、ピペットチップはもはや十分に軸方向に整列しておらず、傾斜または変形さえも引き起こし得る。
【0010】
プラスチックピペットチップ用のピペットチップキャリアは、文献欧州特許第1414574号明細書から知られており、このキャリアにおいて少なくともピペットチップ用の受け入れ開口部を有する支持プレートと、側壁の1つは常に導電性である。ピペットチップが再び挿入されると、存在する可能性のある静電荷を支持プレートへと散逸させることができる。
【0011】
文献米国特許出願公開第2016/0167041号明細書から、静電荷に対抗するためのピペットチップ用収納装置が知られている。この目的のためにピペットチップを、静電荷が保持プレートへ移動できるように導電性保持プレートの受容部に挿入することができる。保持プレートは、挿入されたピペットチップとともに収納ボックスに取り付けることができる。
【0012】
さらに、導電性要素を備えたカバーを有するピペットチップトレイが欧州特許第2389247号明細書から知られている。導電性要素は、挿入されたピペットチップの上面およびカバーと接触している。このように静電荷がカバーへと移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】欧州特許第1414574号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0167041号明細書
【文献】欧州特許第2389247号明細書
【発明の概要】
【0014】
本発明は設計が簡単で、静電的に帯電したプラスチックピペットチップを容易にかつ効率的に取り出すことができるピペットチップ用収納ボックスを提供することを目的とする。
【0015】
上記目的は請求項1に係るプラスチック製のピペットチップのための収納ボックスによって解決される。
【0016】
少なくとも部分的に導電性のピペットチップ接触片と場合によっては収納ボックスの底面に配置される少なくとも部分的に導電性のベースプレートとを設けることによって、実験室での操作における収納ボックスの通常の使用中に発生する可能性のある静電荷をピペットチップの接触片と該当する場合はベースプレート上へと散逸させることができる。
【0017】
この場合、ピペットチップ接触片は挿入されたピペットチップ間の直接接触を確立し、潜在的な静電荷がピペットチップ接触片に移動できる。
【0018】
本発明のさらなる目的は、静電的に帯電したプラスチック製のピペットチップを、できれば使用前に容易に放電することができる方法を提供することである。
【0019】
この目的は、請求項19に係る方法を提供することにより解決され、その中でとりわけ本発明に係る収納ボックスが提供される。
【0020】
本発明の有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ピペットチップ接触片としての導電性ベースと導電性ウェブとを有する収納ボックスを強く図式化した断面図を示す。
図2A】導電性ベースと導電性ウェブとを有する収納ボックスを強調して図式化した空間的表現を示し、ピペットチップ接触片および任意のベースがフレームから取り外されている収納ボックスの概観を示す。
図2B図2Aに示された収納ボックスの縦断面図を示す。
図3A】収納ボックスの上部を強調して図式化した上面図を示し、縦および横ウェブの様々な配置が破線で示された、横ウェブおよび縦ウェブを有する収納ボックスを示す。
図3B】収納ボックスの上部を強調して図式化した上面図を示し、縦および横ウェブの様々な配置が破線で示された、縦ウェブを有する収納ボックスを示す。
図3C】収納ボックスの上部を強調して図式化した上面図を示し、縦および横ウェブの様々な配置が破線で示された、横ウェブを有する収納ボックスを示す。
図4A】導電性ベースを有する収納ボックスの様々な例を強調して図式化した断面図であり、ウェブを有するベースを下から取り付けることができる収納ボックスを示す。
図4B】導電性ベースを有する収納ボックスの様々な例を強調して図式化した断面図であり、別個の収納容器に挿入可能な収納ボックスを示し、収納容器は導電性ベースと導電性ウェブとを含む。
図5A】代替のピペットチップ接触片を有する収納ボックスを強調して図式化した断面図であって、一体型の導電性ベースとピペットチップ接触片とを備えた収納ボックスを示し、異なる高さのピペットチップ接触片を示す。
図5B】代替のピペットチップ接触片を有する収納ボックスを強調して図式化した断面図であって、異なる高さおよび材料のピペットチップ接触片を有する収納ボックスを示す。
図6】作業面と、その上に配置された収納ボックスと標準的なマイクロプレートとを有する液体ハンドリングワークステーションの非常に図式化された概観を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ピペットチップ2を挿入して収納することができる収納ボックス1に関する。特に、収納ボックス1はプラスチックピペットチップ2と共に使用するのに適している。このようなピペットチップ2はたいてい使い捨て用途に使用され、一回の使用後または少なくとも数回の使用後に廃棄される。プラスチックピペットチップ2が以下に記載される収納ボックス1内に収納される場合、ピペットチップ2の通常の取り扱い中に意図せずに発生する静電荷をたやすくピペットチップ2から散逸させることができる。
【0023】
図面は、様々な例示的な収納ボックス1を示す。プラスチック製のピペットチップ2用の収納ボックス1は、好ましくは長方形であるフレーム部4を含む。フレーム部4は、2つの縦壁5と2つの横壁6とによって形成されている。2つの縦壁5と2つの横壁6は、内部空間を区画し、フレーム部4の上面25に第1開口部を有し、フレーム部4の底面に第2開口部を有する。特に、縦および横壁11、12ならびにこれらの壁によって形成されたフレームは図2および3から理解することができる。収納ボックス1に挿入されると、ピペットチップ2は内部に突出できる。
【0024】
本発明のあらゆる実施形態において、フレーム部4は実質的に非導電性である。フレーム部4、すなわち縦壁5および横壁6は、好ましくは非常に低い導電率を有するプラスチックでできている。
【0025】
支持プレート7は、フレーム部4の上部25に配置される。支持プレート7は、枠部4の第1開口部に沿って延びており、縦壁5および横壁6に対して本質的に垂直である。従ってこの支持プレートはほぼ第1開口部を覆う。支持プレート7はフレーム部4の上部25、すなわち縦壁5および横壁6のそれぞれの上部に接続されているのが好ましい。
【0026】
本発明のあらゆる実施形態において、支持プレート7も実質的に非導電性である。支持プレート7も非常に低い導電率を有するプラスチックでできているのが好ましい。
【0027】
非導電性フレーム部4または非導電性支持プレート7の材料の例は、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのプラスチックポリマーである。
【0028】
支持プレート7は、プラスチックピペットチップ2用の複数のベアリング開口部8を含む。各ベアリング開口部8は、支持プレート7を完全に貫通する。1本のピペットチップ2を各ベアリング開口部8に挿入できる。典型的には、ピペットチップ2は液体出口の反対側の上端部に保持構造を有し、この保持構造はベアリング開口部8においてピペットチップを保持する。この保持構造は、例えば、それぞれのベアリング開口部の直径よりも大きい、周方向カラー、保持ウェブ、または周方向プラスチックもしくはゴムリングであり得る。この保持構造によって、挿入されたピペットチップ2がベアリング開口部8から滑り落ちるのを防止する。
【0029】
支持プレート7のベアリング開口部8の数は、標準マイクロプレート27のウェルの数に対応するように選択されるのが好ましい。例示的に96、384または1536ウェルが挙げられる。ベアリング開口部8の数が標準マイクロプレートと一致する場合、ベアリング開口部8はそれぞれの標準マイクロプレート27のウェルアレイに対応する支持プレートのアレイにはめ込まれるのが好ましい。例えば、96個のベアリング開口部8は、8×12個のベアリング開口部(図3A図3C参照)のアレイに対応し、例えば384個のベアリング開口部(図2A参照)は16×24個のアレイに対応する。
【0030】
縦壁5および横壁6は、図1に示すように支持プレート7に対して完全に直角に配置されていなくてもよく、それとはわずかに異なる角度で配置されていてもよい。特に、縦および横壁5、6は、これらの壁が支持プレート7に対してフレーム部4の底面26の方向に広がる側壁を形成するように配置されてもよい(図2A参照)。これにより、収納ボックス1の安定性が向上する。
【0031】
本発明によれば、収納ボックス1は、その底面26に、ベアリング開口部8のうちの1つに挿入された少なくとも1本のピペットチップ2に接触するための少なくとも部分的に導電性のピペットチップ接触片14を含む。ピペットチップ接触片14はフレーム片の底面から、収納ボックス1の上部25方向、すなわち支持プレート7の方向に高さHで延びている。この高さHは、通常の使用において挿入されたピペットチップ2がピペットチップ接触片14に接触できるように選択される。高さHは、挿入されたピペットチップ2が少なくともその下端で、好ましくはその出口端31でピペットチップ接触片14に接触できるように選択されるのが好ましい。接触することによって、ピペットチップ2上に存在する静電荷を導電性ピペットチップ接触片14上へと散逸させる。ピペットチップ接触片14の少なくとも部分的な導電性が、導電性材料を含むか完全に導電性材料でできていることによって達成されるのが好ましい。
【0032】
ピペットチップ接触片14は異なる構成とすることができる。例えば、収納ボックス1の底面26に配置され、収納ボックス1の上部25に向かって延びている縦ウェブ11および/または横ウェブ12によって形成されていてもよい(例えば、図1図4参照)。挿入されたピペットチップ2は、次に、ピペットチップ2に直接面するウェブの内部に接触できる。また、ピペットチップ接触片14は、より板状とすることができ、その場合、ピペットチップ接触片は、挿入されたピペットチップ2が突出できる支持プレート7に面する面に凹部を有することが好ましい(図5参照)。
【0033】
収納ボックス1の特に有利な実施形態では、ピペットチップ接触片14は、複数の縦ウェブ11と複数の横ウェブ12の両方によって形成されている(例えば、図2Aおよび図2Bならびに図3A図3C参照)。縦ウェブ11はフレーム部4の縦壁5とほぼ平行に延びており、横ウェブ12は好ましくはフレーム部4の横壁6とほぼ平行に延びているのが好ましい。縦ウェブ11と横ウェブ12はフレーム部4の底面26に配置され、支持プレート7に対してほぼ垂直に延びているだけでなく、支持プレート7の方向にそれぞれ高さHで延びているのが好ましい。上記縦および横ウェブ11、12は、これらのウェブがベアリング開口部8間に延び、ピペットチップ2が挿入されるベアリング開口部8の下を空けておくように互いに対しておよび支持プレート7に対して配置される。それらは挿入されたピペットチップの位置には全く大きな影響を与えない。
【0034】
図1は、プラスチック製のピペットチップ2用の例示的な収納ボックス1を示す。場合によっては蓋3を有する収納ボックス1が示されている。ピペットチップ接触片14は、多数の縦ウェブ11と横ウェブ12とから形成されている。断面図では例として横ウェブ12が示されているが、縦ウェブ11は見えない。支持プレート7には、ピペットチップ2を収容するための8つのベアリング開口部8が示されている。各ベアリング開口部8はピペットチップ2を挿入できるように支持プレート7を完全に貫通している。図示の8つのベアリング開口部8のうちの7つには、ピペットチップ2が挿入されており、それらは周方向カラーによってベアリング開口部8内に保持されている。明確にするために、ベアリング開口部8は空の状態で、すなわちピペットチップ2が挿入されていない状態で示されている。
【0035】
ベアリング開口部8のそれぞれについて、中央軸16が示されている。ベアリング開口部8は、例えば、支持プレート7の円筒形開口部として示されている。ここで中央軸16は、それぞれの円状のベアリング開口部8の中心点を通る、その軸に沿った想像線としての直線である。挿入されたピペットチップ2は、通常その長軸が中央軸16に沿って一直線になり、円状のベアリング開口部8の直径は、挿入されたピペットチップ2がベアリング開口部8にある程度の隙間を有して支持される。収納ボックス1全体を動かすと、挿入されたピペットチップ2がこのようにベアリング開口部8およびフレーム部4内をわずかに動く。あるいは、挿入されたピペットチップ2がベアリング開口部8内に隙間を有して保持されている限り、円直径を有するベアリング開口部8の代わりに、ベアリング開口部8に対して異なる形状、例えば多角形を選択してもよい。
【0036】
収納ボックス1の導電性ウェブ11、12は簡単な方法で挿入されたピペットチップ2の接触領域を形成する。ピペットチップ2は、これらのピペットチップがわずかに動くことができるように収納ボックス1に挿入されるので、例えば収納ボックス1が輸送される際またはベアリング開口部に再挿入中にこれらの下端は導電性ウェブ11、12に接触する。上記ウェブ11、12に接触すると、静電荷をピペットチップ2から導電性ウェブ11、12に散逸、または少なくとも再分配することができる。
【0037】
縦および横ウェブ11、12をピペットチップ接触片14として使用する場合、これらのウェブはフレーム部4の底面26に、互いにレセプタクル13のアレイを形成するように配置されるのが好ましい。1つのレセプタクル13を1つの挿入されたピペットチップ2に割り当ててもよい。ベアリング開口部8が支持プレート7に規定されたアレイで配置される場合、フレーム部4のレセプタクル13の底面26の配置は、支持プレートのベアリング開口部8の配置に一致できる。従って、フレーム部4の底面26の各レセプタクル13内に、挿入された1本のピペットチップ2の出口端31が対応するベアリング開口部内に突出する。レセプタクル13の中央軸17は、ほぼ関連するベアリング開口部8の中央軸16上に位置することができる。図3Aから図3Cに関して別の配置を考察する。
【0038】
図1は、例として、異なる高さHを有する図示の導電性横ウェブ12を示す。収納ボックス1用の縦および/または横ウェブ11、12はそれぞれ同じ高さHを有していてもよい(図4Aおよび図4B参照)。高さHは、縦および/または横ウェブの特定の高さHを各収納ボックス1に対して選択することができるように使用されるピペットチップ2の長さに合わせることができる。また、収納ボックス1に関して、異なる高さのレセプタクル13が収納ボックス1の内部に形成されるように、縦および/または横ウェブ11、12は高さが異なっていてもよい。この変形例は、収納ボックス1に異なる長さのピペットチップ2を用意し提供する場合に好ましい。使用されるピペットチップ2の長さに対する高さHを調整することで、挿入された各ピペットチップ2が確実に導電性ピペットチップ接触片14、すなわちこの場合には導電性ウェブ11、12に接触できる。
【0039】
例えば、高さHは、ピペットチップ接触片14が支持プレート7の方向にフレーム部4の高さの少なくとも1/3および/または1/2および/または2/3で延びるように選択されてもよい。
【0040】
収納ボックス1の右端に示されている4つの横ウェブ12は最大高さHKmaxを有する。最大高さHKmaxは、上記ウェブ11、12が別体の支持プレート7の底面に接触しないように選択される。従って、縦および/または横ウェブ11、12は、支持プレート7を安定させるための支持機能を有しない。一般的にピペットチップ接触片14は、そして特に縦および/または横ウェブ12は、支持プレート7の底面に自身の安定化ストラット30を有する従来の収納ボックス1に好適である(図2Bも参照)。
【0041】
図2Aは、ピペットチップ接触片14が複数の縦ウェブ11と複数の横ウェブ12とから形成されている収納ボックス1の特に好ましい実施形態を示している。この場合、縦および横ウェブ11、12は任意のベースプレート9に配置されている。ベースプレート9はフレーム部4の底面26に配置されて収納ボックスの底部を形成し、上記ウェブ11、12は挿入されたピペットチップ2の対応するレセプタクル13を形成する。そのようなベースプレート9は、フレーム部4の縦壁5および横壁6に対してほぼ垂直に、そして支持プレート7に対して本質的に平行に延びている。任意のベースプレート9がない場合は、ピペットチップ接触片14の底面が収納ボックス1のベースを形成する。
【0042】
特に収納ボックス1の導電性接触面を作業面、例えば液体ハンドリングプラットフォーム23の金属作業面24の方にさらに拡大する場合には、ベースプレート9を設けることができる。しかしながらこのベースプレートはピペットチップ接触片14を収納ボックス1に固定するための、またはその安定化のための固定補助としても役立つ。
【0043】
本発明に係る収納ボックス1は、例えば金属面を備える作業テーブル24を有する自動液体ハンドリングプラットフォーム23上での作業状況において特に有利に使用される。このようにして、静電荷をピペットチップ2から収納ボックス1を介して、すなわち特にピペットチップ接触片14、および使用される場合にはベースプレート9を介して作業プレート24へと放電することができる。そのような金属製ワークトップがアースに接続されている(接地されている)場合、静電荷を、使い捨てピペットチップ9から収納ボックス1およびワークトップを介して周囲にほぼ完全に放電することができる。
【0044】
例えば、縦および/または横ウェブ11、12をピペットチップ接触片14として用いる場合、これらのウェブの下縁は、収納ボックス1が任意のベースプレート9を用いることなく作業面に配置される底面または支持面を形成することができる。いずれの場合にも複数の導電性縦ウェブ11および/または横ウェブ12を用いることによって、静電荷をピペットチップから再分配することができる比較的大きな面積が得られる。さらに、使用されるウェブ11、12の下縁の合計は作業面を有する比較的大きな接触面を形成し、その作業面を介して、ピペットチップによってピックアップされた静電荷が作業面へと移動できる。
【0045】
任意のベースプレート9を用いることによって、特にピペットチップ接触片14として縦および/または横ウェブ11、12を使用する場合、(場合によっては金属)作業面24に対する接触面を拡大することができるので、さらに良好な充放電を達成することができる。
【0046】
板状のピペットチップ接触片14を代替物として使用する場合。一例として図5Aおよび図5Bに示すように、作業面に対するより大きな接触面積が単にその形状のために自動的に得られる。この変形例では、ベースプレート9による接触面積のさらなる拡大は必要ではない。それにもかかわらず、ここでは、例えば、ピペットチップ接触片14のフレーム部4への取り付けを簡単にするために、または安定性を高めるために、ベースプレート9を設けることもできる。
【0047】
図2Aは、ピペットチップ接触片14とベースプレート9とが一体であり、収納ボックス1に取り付けることができる共通の別個のベース部分として構成されている収納ボックス1の立体的な表示を示している。ピペットチップ接触片14はベースプレート9の上面10に複数のレセプタクル13を形成するように配置された複数の縦ウェブ11および横ウェブ12によって形成され、各レセプタクルには挿入されたピペットチップ2が少なくともその下部出口端31を突出させている。縦および横壁5、6を有するフレーム部4は、支持プレート7と一体形成され、ピペットチップ接触片14およびベースプレート9から持ち上げて示されている。収納ボックス1に適したピペットチップ2がベアリング開口部8の1つの上方に示されている。縦および横ウェブ11、12を備えたベースプレート9は、フレーム部の底面26に取り付けることができる。明確にするために、ベアリング開口部8およびレセプタクル13の中央軸16および17はここでは示されていない。
【0048】
図2Aに示す収納ボックス1の実施形態では、各縦ウェブ11および各横ウェブ12は等しい高さHを有しているので、縦ウェブ11および横ウェブによって形成された各レセプタクル13は、同じ高さを有する。図2に示す例示的な収納ボックス1は、384本のピペットチップ2を収納するように設計されている。従って、その収納ボックスは384個のプラスチックピペットチップ2用のベアリング開口部8を有する。ベースプレート9上に配置された縦ウェブ11と横ウェブ12の数は挿入された各ピペットチップ2が、レセプタクル13内に突出し、その位置で、少なくとも縦ウェブ11の1つおよび横ウェブ12の1つに接触することができるように選択される。またウェブの考えられる数および配置を図3A図3Cに示す。
【0049】
図2Aに示されている収納ボックス1は、384本の125μLピペットチップ2用に設計されている。これらのピペットチップ2は約54.8mmの長さを有する。収納ボックス1自体は、高さ48mm、長さ127.76mm、幅85.50mmである。12個の縦ウェブ11と18個の横ウェブ12を有するベースプレートは、21mmの高さ、125.65mmの長さおよび83.40mmの幅を有する。縦ウェブ11および横ウェブ12の数および配置は、ウェブのない「通路」が上記ウェブ間に形成されるように選択される。支持プレート7の底面からフレーム部4の底面26に向かって延びている安定化ストラット30がこれらの通路内に突出できる。
【0050】
図2Bは、収納ボックス1のそのような安定化ストラット30を示している。そのような安定化ストラット30は、例えば、支持プレート7の底面に規則正しい間隔で取り付けることができ、フレーム部4の内部を通じてベースプレート9まで及んでいる。例えばピペットチップ2をピペットヘッド28によって収納ボックスからピックアップする場合、これらのストラットは収納ボックス1、特に支持プレート7を安定させるように働く。このような安定化ストラット30がないと、次のような危険がある。ピペットヘッド28がピペットチップ2上を押圧すると、支持プレート7が押し込まれるか、変形する。本発明に係るピペットチップ接触片14を自身の安定化ストラットを既に備える収納ボックス1と共に用いることは、接触片14の支持プレート7に対する安定化機能を担うことを意図するものではないので特に好ましい。従って、ピペットチップ接触片14がフレーム部4の底面から支持プレート7の底面26まで延びそこで当接することを意図するものではない。
【0051】
ピペットチップ接触片14の導電性は、例えば、実質的に非導電性プラスチックでできた適切な形状のワークピースを導電性材料で被覆することによって達成することができる。これは、例えばウェブ11、12がピペットチップ接触片として設けられている場合に特に有用であり得る。あるいはまたはさらに、ピペットチップ接触片14は導電性材料で作ることができる。
【0052】
ピペットチップ接触片14の導電性コーティングの適当な材料は、例えば、グラファイトスプレー(例えば、CRC Industries Deutschland GmbH社のグラファイト33ラッカー)または、例えばアルミニウム製金属箔を用いた金属コーティングである。あるいはまたはさらに、プラスチックポリマーはグラファイトなどの導電性材料と混合することもできる。ピペットチップ接触片14の製造に適した導電性材料は、例えば、グラファイト含有ポリプロピレンまたはグラファイトを含有する(硬質)ゴムである。鉄、アルミニウムまたは銅化合物などの金属材料も導電性ピペットチップ接触片14の製造に適している。
【0053】
例えば、図5Aおよび5Bに示すように、ウェブ11、12の代わりに、導電性の板状構造をピペットチップ接触片14として使用する場合。図5Aおよび図5Bに示すように、発泡グラファイト含有プラスチックポリマーも使用することができる。
【0054】
任意のベースプレート9の導電性は、例えば対応するプラスチックプレートを導電性材料で被覆することによっても達成することができる。あるいは、ベースプレート9は、部分的にまたは好ましくは完全に導電性材料から製作することができる。
【0055】
ベースプレート9の導電性コーティングに適した材料は、例えばグラファイトスプレーまたは金属箔のような金属コーティングである。また導電性ベースプレート9の製造に適した材料は、グラファイト含有ポリマー、発泡または未発泡、グラファイト含有硬質ゴム、またはアルミニウム、鉄または銅化合物のような金属材料である。
【0056】
図3Aから図3Cでは、収納ボックス1が支持プレート7の平面図で示されている。フレーム部4の縦壁5および横壁6の外側と、支持プレート7のベアリング開口部8とを、特に見ることができる。縦ウェブ11および/または横ウェブ12は、これらのウェブが支持プレート7の下に配置されていることを示すために破線で示されている。
【0057】
図3Aにおいて、ピペットチップ接触片は、多数の縦ウェブ11と横ウェブ12とによって形成されている。縦ウェブ11は、フレーム部4の縦壁5とほぼ平行に延び、互いにかつフレーム部4の縦壁5に対して所定の間隔で配置されている。横ウェブ12は、フレーム部4の横壁6とほぼ平行に延び、互いにかつ横壁6に対して所定の間隔で配置されている。縦ウェブ11および横ウェブ12はフレーム部4の内部にこれらのウェブが1本以上のピペットチップ2のレセプタクル13を形成するように配置される。本発明によれば、ウェブ11、12はフレーム部4の底面に配置され、その内部を支持プレート7の底面方向に高さHで延びているので、例えば収納ボックス1を動かすと、挿入されたピペットチップ2は、その出口端部31が、少なくともウェブ11、12の1つに接触することができる。上面図のために、上記ウェブ11、12の高さHは見えない。
【0058】
縦ウェブ11および横ウェブ12の少なくともいくつかは導電的に形成されている。この実施形態における各縦ウェブ11および各横ウェブ12は、ベアリング開口8に挿入されたピペットチップ2が導電性縦ウェブ11または導電性横ウェブに接触することができるように導電性であるのが好ましい。
【0059】
縦ウェブ11および横ウェブ12は、支持プレート7のベアリング開口部8のアレイに対応するレセプタクル13のアレイを形成するように配置されていてもよい。これにより、支持プレート7の各ベアリング開口部にフレーム部4の底面のレセプタクル13が割り当てられる。ベアリング開口部8に割り当てられるそのようなレセプタクル13は、図3Aでは、説明のために太字で縁取った正方形によって強調されている。従って、上記ウェブ11、12は、ベアリング開口部8間に延び、ピペットチップ2が挿入されるように各ベアリング開口部8の下のスペースを空けておくのが好ましい。
【0060】
個々のベアリング開口部8の中心軸16も示されている。選択された例について、ベアリング開口部8に割り当てられたレセプタクル13の中心軸17も示されている。これらの場合において、ベアリング開口部8の中心軸16とこのベアリング開口部8に割り当てられたレセプタクル13の中心軸17とは共通の直線上にある。
【0061】
縦ウェブ11と横ウェブ12とがそれぞれレセプタクル13の一種の外側境界を形成するようにしてもよい。このことは、図3Aの上面図で収納ボックス1の左側横辺6と下側縦辺5について示されている。代替として、レセプタクル13は、フレーム部4の内側方向に「開いた」ままにしておくことができる(上方縦辺5および右横辺6の方向に示される外側レセプタクル13を参照)。
【0062】
縦ウェブ11および横ウェブ12の数ならびにそれらのフレーム部4の内部における配置は、支持プレート7の各ベアリング開口部8の下を(挿入されたピペットチップ2の端部のための)空けておくだけでなく、空いたスペースが、支持プレート7から収納ボックス1の内部に突出する安定化ストラット30のためのベアリング開口部8の間に形成されるように選択されてもよい。このことは図2Bに関連して既に述べた。図3Aは一例として、右側から4番目と5番目のベアリング開口部8の間、および上から4番目と5番目のベアリング開口部の間の横ウェブ12の規則的な配置がどのように中断されるかを示しており、これらの位置には通路が形成されている。この通路内では横または縦ウェブ12、11は配置されていないので、収納ボックス1の安定化ストラット30が突出できる。
【0063】
図3Bは、ピペットチップ接触片14が多数の縦ウェブ11によって形成されているが横ウェブ12を有しない例示的な収納ボックス1を示している。この変形例では、各縦ウェブ11は導電性であるのが好ましい。各縦ウェブ11は、フレーム部4の内部空間の縦壁5に対してほぼ平行に延びており、かつ支持プレート7に対して垂直に支持プレート7の方向に高さHで延びている。縦ウェブの数はベアリング開口部8に挿入された各ピペットチップ2が、少なくとも1つの縦ウェブ11に接触することができるように選択されるのが好ましく、この場合縦ウェブ11はベアリング開口部8間に配置され、ベアリング開口部8の下のスペースをピペットチップ2の中央軸16に沿って空けておく。図3Aに記載されるように、縦ウェブ11の数および配置もまた、例えば、フレーム部4の内部に及ぶ安定化ストラット30の存在に適合させることができる。
【0064】
図3Bは、例として縦ウェブ11の様々な考えられる配置を示す。例えば、第1上方縦行のベアリング開口部8に対して縦ウェブ11が1つだけ設けられ、上から4番目および5番目の列のベアリング開口部8に対して縦ウェブ11が1つだけ設けられている。(図の上から見て)第2、3、6~8列のベアリング開口部8には、各々の場合2つの縦ウェブ11が「横付けされ」ている。上から第4および第5列間のベアリング開口部間の通路は対応する安定化ストラット30を収容するために使用される。
【0065】
図3Cは、ピペットチップ接触片14が多数の導電性横ウェブ12によって形成されているが縦ウェブ11を有しない例示的な収納ボックス1を示している。導電性横ウェブ12の数、およびフレーム部4の内部におけるこれらの導電性ウェブの配置もまた、ベアリング開口部8の1つに挿入された各ピペットチップ2が、例えば収納ボックス1を動かす場合、導電性(横)ウェブに接触できるように選択されるのが好ましい。この場合、横ウェブ12は、フレーム部4の横壁5に対してほぼ平行に延びている。さらに、横ウェブ12は支持プレート7に対して垂直に高さHで支持プレート7の方向に延びている。
【0066】
横ウェブ12は、ベアリング開口部8間に配置され、ベアリング開口部8の下のスペースをピペットチップ2の中心軸16に沿って空けている。図3Aおよび図3Bに関連してなされた同じ記載は、使用される横ウェブ12の数およびフレーム部4の内部におけるこれらのウェブの配置の選択にも当てはまる。例えば、(右側から見て)4および5列のベアリング開口部8間の通路によって、存在する可能性のある任意の安定化ストラッド30をこの通路に収容することができる。
【0067】
図3Bに示す実施形態の縦ウェブ11または図3Cに示す実施形態の横ウェブ12は、それぞれ同じ高さHを有するのが好ましい。あるいは、縦ウェブ11または横ウェブ12の高さHは異なっていてもよく、使用されるピペットチップ2の長さに適合させることができる。
【0068】
収納ボックス1の通常の取り扱い手順において、生成された可能性がある静電荷を散逸させることができるように、ピペットチップ接触片14と共に使用される各ピペットチップ2をピペットチップ接触片14と接触させることができるように構成されるのが好ましい。縦ウェブ11および/または横ウェブ12の数および配置は、ベアリング開口部8に挿入された各ピペットチップ2に対して2つ以上の接触面がウェブによって設けられるのが特に好ましい。
【0069】
図4Aおよび図4Bは、ピペットチップ接触片14およびベースプレート9を備えた収納ボックス1の異なる変形例を示している。ピペットチップ接触片14は、それぞれの場合縦ウェブ11および/または横ウェブ12から形成されているが、これらの図のそれぞれには1種類のウェブのみを示している。
【0070】
図4Aは、ベースプレート9が縦ウェブ11および/または横ウェブ12と一体形成されている収納ボックス1の変形例を示す。ベースプレート9は、ピペットチップ接触片を形成する全てのウェブと一体形成されているのが好ましい。上記ウェブ11、12を有するベースプレート9は、フレーム部4の底面に接続することができる。接続は、例えば締め付け、接着、またはプラグ接続(図示せず)によって行うことができる。結合のためにフレーム部4とベースプレート9とが互いに向かって動く方向は、2つの矢印で示されている。
【0071】
図4Bは、ベースプレート9と縦ウェブ11および/または横ウェブ12とが一体形成されている収納ボックス1の変形例を示す。この変形例では、ベースプレート9およびウェブ11、12は収納ボックス1のベースを直接形成するのではなく、フレーム部4とは別の容器15の一部である。容器15の寸法は、フレーム部4を容器15に挿入できるようにフレーム部4に合わせている。従って、容器15は、フレーム部4を支持プレート7と共に収容する役目を果たす。挿入方向は、2つの矢印で印を付けている。容器15内でフレーム部4をより良く保持するために、例えばクランプ接続またはプラグ接続によって容器15にフレーム部4を固定してもよい。図4Bは、一例として、ベースプレート9上の保持ピン18を示しており、これを用いてフレーム部4とプラグ接続を行うことができる。あるいは、フレーム部4は、これらの保持ピン18間にその外側を挟んでクランプすることもできる。
【0072】
ウェブ11、12とベースプレート9との一体的な組み合わせの代替として、上記ウェブ11、12をベースプレート9とは別に構成してフレーム部4に取り付けることもできる。その後、必要ならば任意のベースプレート9を収納ボックス1に取り付けることができる。
【0073】
図4Aおよび4Bの収納ボックスの変形例の利点は、市販の従来の収納ボックス1を使用できることである。ピペットチップ接触片14および任意のベースプレート9は、その結果使用される対応する収納ボックス1およびピペットチップ2に特に適合させることができる。
【0074】
収納ボックス1は通常はそれぞれのピペットチップ2(例えば、ロボットチップblacknight、200μL、物品番号49002-0007、および50μLおよび200μL用チップボックス、物品番号45009-3000、どちらもRitter Medical,Ritter Gmbh, 86830 Schwabmuchen,ドイツ)と共に流通しているので、本発明のピペットチップ接触片14は、例えば、従来の非導電性ベース部分を導電性ピペットチップ接触片と取り替えることによって、所望の収納ボックス1に適合させることができる。
【0075】
プラスチックピペットチップ2上に最終的に存在する静電荷を散逸させるための導電性ピペットチップ接触片14は、収納ボックス1のフレーム部4および支持プレート7とは別の構造であり、更に収納ボックス1に接続されるのが好ましい。
【0076】
図5Aおよび5Bはそれぞれ代替として設計されたピペットチップ接触片14を有する収納ボックス1である。これらの変形例では、ピペットチップ接触片14は、フレーム部4の底面26に配置された導電性接触プレートによって形成されている。
【0077】
図5Aは、任意のベースプレート9を含まない収納ボックス1を示す。この収納ボックス1では、板状ピペットチップ接触片14自体が収納ボックス1のフレーム部4の底面26上の底部を形成する。この場合、導電性接触プレートは、ベースプレート9がなくてもピペットチップ接触片14が収納ボックス1のベースを形成するのに十分な安定性を有するように、寸法安定性のある材料から構成されるのが好ましい。プレート形状によっても、挿入されたプラスチックピペットチップから作業面24に静電荷を散逸させるために十分大きな接触面が得られる。
【0078】
接触プレート用のベースプレート9も設けることが好ましい場合、これらを、好ましくはプラグ接続または接着剤接続によってベースプレート9に接続することができる。あるいは、ピペットチップ接触片14は、ベースプレート9と一体設計することができるのでフレーム部4に取り付けることができる。
【0079】
導電性接触プレートに適当な材料は、例えば発泡体、好ましくは半硬質または硬質発泡体、または導電性ゴム、例えばシリコーン(Micro Tech Components GmbH、GermanyからのSRE-WxH-C)などの導電性エラストマーである。
【0080】
図5Aでは、ピペットチップ接触片14は、左側と右側とで異なって構成されると見られるが、通常同じ材料でできている。左側のピペットチップ接触片14は、導電性接触プレートとして設計されており、最小高さKminを有する。この高さは、存在する可能性のある静電荷を十分に散逸させるために、収納ボックス1の通常使用で使用されるピペットチップ2が、できれば使用されるピペットチップ2の嵌め合いを損なうことなく、実際にピペットチップ接触片に接触することを確実にするために必要である。この最小高さHKminは、収納されるピペットチップ2の長さだけでなく、接触プレートの材料の種類にも依存する。
【0081】
接触プレートとして構成されたピペットチップ接触片14は、特に好ましくはその上面20に、すなわち支持プレート7に面する側に凹部21の配置を含み、その配置は、支持プレート7のベアリング開口部8の配置に対応する。接触プレートの上面10の1つの凹部21を支持プレート7の各ベアリング開口部8に割り当てることが特に好ましい。
【0082】
その結果、凹部21に割り当てられたベアリング開口部8に挿入されたピペットチップ2は、各凹部21内に突出できる。
【0083】
接触プレートとして構成されたピペットチップ接触片14と、接触プレートの上面20に配置された凹部21とを有するこのような収納ボックス1もまた図5Bに示される。この場合、接触プレートはベースプレート9上に配置されている。従ってベースプレート9は、接触プレートをフレーム部4に固定するのにも役立つ。加えて、例えば、接触プレートが寸法安定性の低い導電性材料、例えばそれに対応して軟質フォームで構成される場合、そのようなベースプレート9によって安定性も増す。図5Bは、左側の接触プレートが右側の接触プレートとは異なる材料で作られている収納ボックス1を示す。このことは、それぞれ接触プレートまたはピペットチップ接触片14の異なるハッチングによって示されている。
【0084】
さらに、図5Bは収納ボックス1の左右両側の14の異なる高さHのピペットチップ接触片を示す。従って、接触プレートの上面20の凹部21もまた異なる深さを有する。また図5Bはこの場合、接触プレートの凹部21の形状も挿入されるピペットチップ2の形状にわずかにより適合していることを示している。接触プレートの上面の凹部21の中央軸22が、この凹部21に割り当てられたベアリング開口部8の中央軸16に沿って延びていることが特に好ましい。各ベアリング開口部8の下のスペースは、ピペットチップ2が挿入されるように空いたままである。
【0085】
図6は、作業面24と、その上に配置された収納ボックス1とマイクロプレート27とを有する例示的な液体ハンドリングプラットフォーム23の非常に図式的な概観を示す。作業面24を接地して、作業面24を介して収納ボックス1から環境へ静電荷を放電することができる。液体ハンドリングプラットフォーム23は、一例として、例えば本発明に係るボックス1の使用および/または方法という状況において、物体を液体ハンドリングプラットフォームで再配置することができるロボットグリッパー29を含む。ロボットグリッパー29は、特にデカルト座標系のX軸および/またはY軸および/またはZ軸に沿って(破線矢印図を参照)、移動可能(対応する矢印で示される)であるように構成されるのが好ましい。
【0086】
また、液体ハンドリングプラットフォーム23のピペットヘッド28も示されており、この場合、4本のピペットが例示的に示されている。ピペットヘッド28は、シングルチャンネルピペットヘッドまたはマルチチャンネルピペットヘッドとして構成することができ、すなわち1本または複数本のピペットを含むことができる。例えば、8本、12本、または96本のピペットも可能である。対応する矢印で示されるように、ピペットヘッド28は移動可能であるのが好ましい。ピペットを有するピペットヘッド28は、デカルト座標系の少なくともX軸および/またはY軸に沿って移動することができる。あるいはまたはさらに、ピペットは高さ調整可能であり、ピペット自体がデカルト座標系のZ軸に沿って移動可能であり、および/またはピペットヘッド28の対応する動きによって高さ調整機能が達成可能であってもよい。
【0087】
プラスチックピペットチップ2から静電荷を散逸させる方法では、本発明に従って前述の収納ボックス1が提供される。
【0088】
収納ボックス1は上述の個々の特徴の組み合わせを含むことができ、その組み合わせは
使用されるピペットチップ2のために、および望ましい作業プロセスにおいて行われるステップのために特に有利に構成された収納ボックス1を提供するように、当業者によって選択される。
【0089】
使用するピペットチップ2を収納ボックス1に挿入し、作業プロセス中に収納ボックス1を動かす。収納ボックス1の動きに起因して、収納ボックス1に挿入されたピペットチップ2も動き、それによって収納ボックス1内のピペットチップ接触片14に接触する。この接触の間に、最終的に存在する静電荷が導電性ピペットチップ接触片14へと移動できる。収納ボックス1が、例えば液体ハンドリングプラットフォームの金属面24または他の導電性作業面上に置かれるとすぐに、静電荷がピペットチップ接触片14からこの表面へと移動する。収納ボックス1が導電性ベースプレート9を含む場合、静電荷は最初にピペットチップ接触片14からベースプレート9へ、その後ベースプレート9から対応する作業面24へと移動する。静電荷を完全に散逸させることができるように、作業面24をアース接続部に接続してもよい。
【0090】
作業プロセスの過程で行われ、使用されたピペットチップ2から静電荷の放電を前もって生じさせることができる収納ボックス1の動きは、例えば、液体ハンドリングプラットフォーム23での収納ボックス1の再配置である。再配置は、例えば、使用者によって手動で、またはロボットグリッパー29によって行うことができる(図6も参照)。
【0091】
ピペットチップ2から静電荷の放電を生じさせ得るさらなる動きは、例えば、ピペットヘッド28のピペットによって既にピックアップされたピペットチップ2を収納ボックス1の空いているベアリング開口部8に挿入することである。例えば、ピペットチップ2をピペットに取り付ける際に生じる静電荷は、本発明に係る収納ボックス1または別の収納ボックス1に再挿入することによって散逸させることができる。
【0092】
ピペットチップ2を収納ボックス1に再挿入するために、液体ハンドリングプラットフォーム23の取り出し機構31を使用することが好ましく、これを用いてピペットチップ2をピペットから自動的に取り出すことができる。
【0093】
液体ハンドリングプラットフォーム23のピペットに予め取り付けられていたピペットチップ2から静電荷を散逸させるために、最初にこのピペットを用いてピペットチップ2を少なくともその半分の長さまでベアリング開口部8に挿入し、その後、例えば取り出し機構31を用いて各ピペットから押し出すのが好ましい。このようにして、それぞれのピペットチップ2は、残りの長さ分については収納ボックス1内に自由落下するので、再び収納ボックス1から脱落することなく、それ自身の動きによってピペットチップ接触片14に自動的に接触することができる。
【0094】
本発明に関連して、静電荷の散逸は、プラスチックピペットチップ2から収納ボックス1の導電性ピペットチップ接触片14への静電荷の再分配と、導電性ベースプレート9が存在する場合には、当該ベースプレート9への再分配のどちらも含むものとする。同様に、静電荷は、収納ボックス1の導電性部分に再分配できるだけでなく、アース接続によって収納ボックス1から取り除くこともできる。
【0095】
例えば自動液体ハンドリングプラットフォームに関する作業プロセスの範囲内で本発明の収納ボックス1を同様に使用することで、使い捨てピペットチップ2の望ましくない静電荷によって生じる作業プロセスにおける意図しない中断を回避または完全に防止することさえできる。
【0096】
液体ハンドリングプラットフォーム23を用いて行うことができる方法ステップは、液体を吸引することおよび液体を分注することを含む群から選択されることが好ましい。吸引はピペットチップ2内への液体の吸い込みであり、分注はピペットチップ2からの液体の排出である。液体は単一の液体、異なる液体の混合物、または液体/気体混合物であり得る。液体は粒子を含んでもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 ピペットチップ用収納ボックス
2 ピペットチップ
3 蓋
4 フレーム
5 フレームの縦壁
6 フレームの横壁
7 支持プレート
8 ベアリング開口部
9 ベースプレート
10 ベースプレートの上面
11 縦ウェブ
12 横ウェブ
13 レセプタクル
14 ピペットチップ接触片
15 容器
16 ベアリング開口部8の中央軸
17 レセプタクル13の中央軸
18 保持ピン
19 ベースプレートの底面
20 ピペットチップ接触片の上面
21 20の凹部
22 21の中央軸
23 液体ハンドリングプラットフォーム
24 液体ハンドリングプラットフォームの作業面
25 フレームの上部
26 フレームの底面
27 マイクロプレート
28 ピペットヘッド
29 ロボットグリッパー
30 安定化ストラット
31 取り出し機構
ピペットチップ接触片の高さ
Kmin ピペットチップ接触片の最小高さ
Kmax ピペットチップ接触片の最大高さ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6