(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】波動歯車ユニット、歯車変速装置及びバルブタイミング変更装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20230925BHJP
F01L 1/356 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
F16H1/32 B
F01L1/356 D
(21)【出願番号】P 2019085161
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】實方 雄平
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-155313(JP,A)
【文献】特開2015-102110(JP,A)
【文献】特開2016-125343(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015017188(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第107387725(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F01L 1/356
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部に形成された内歯及び前記円筒部に底壁部が一体的に連続する隅部領域において前記内歯の歯底よりも内側に突出する歯非形成部を有する有底円筒状の第1内歯車と、
前記第1内歯車の内歯に噛合する外歯,前記歯非形成部と隙間をおいて対向する対向部,及び前記底壁部に接触し得るように対向する端部を有する可撓性円筒状の外歯車と、
前記第1内歯車に隣接して配置されると共に前記外歯に噛合する内歯を有する第2内歯車と、
前記外歯車を楕円変形させて前記第1内歯車及び前記第2内歯車と部分的に噛合させつつ噛合い位置を移動させる回転部材と、
を含む、波動歯車ユニット。
【請求項2】
前記外歯車は、幅方向の両側において前記対向部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の波動歯車ユニット。
【請求項3】
前記第2内歯車は、円筒状をなし、
前記第2内歯車には、前記第1内歯車と反対側に隣接して前記外歯車を覆うカバー部材が配置され、
前記外歯車の幅寸法は、前記第1内歯車の底壁部と前記カバー部材の離隔寸法よりも小さく設定されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の波動歯車ユニット。
【請求項4】
前記第1内歯車は、前記端部が対向する前記底壁部において、径方向に伸長する溝状の油通路を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載の波動歯車ユニット。
【請求項5】
前記第2内歯車は、円筒部に形成された前記内歯及び前記円筒部に底壁部が一体的に連続する隅部領域において前記内歯の歯底よりも内側に突出する歯非形成部を有する有底円筒状に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の波動歯車ユニット。
【請求項6】
前記外歯車の幅寸法は、前記第1内歯車の底壁部と前記第2内歯車の底壁部との離隔寸法よりも小さく設定されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の波動歯車ユニット。
【請求項7】
前記対向部は、前記外歯車の外周領域を肉抜きして形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載の波動歯車ユニット。
【請求項8】
前記対向部は、円錐状の傾斜面である、
ことを特徴とする請求項7に記載の波動歯車ユニット。
【請求項9】
前記対向部は、前記外歯よりも小さい外径をなす円筒面である、
ことを特徴とする請求項7に記載の波動歯車ユニット。
【請求項10】
前記対向部は、円錐状の傾斜面及び前記傾斜面に連続し前記外歯よりも小さい外径をなす円筒面である、
ことを特徴とする請求項7に記載の波動歯車ユニット。
【請求項11】
入力軸と、出力軸と、前記出力軸を回動自在に支持するハウジングと、前記入力軸と前記出力軸の間に介在する変速ユニットと、を備えた歯車変速装置であって、
前記変速ユニットは、請求項1ないし10いずれか一つに記載の波動歯車ユニットを含む、
ことを特徴とする歯車変速装置。
【請求項12】
前記波動歯車ユニットの回転部材は、前記入力軸と一体的に回転し、
前記波動歯車ユニットの第1内歯車は、前記出力軸と一体的に回転し、
前記波動歯車ユニットの第2内歯車は、前記ハウジングに固定されている、
ことを特徴とする請求項
11に記載の歯車変速装置。
【請求項13】
カムシャフトとクランクシャフトに連動するハウジングロータとの相対的な回転位相を変更する位相変更ユニットを備え、前記カムシャフトにより駆動される吸気用又は排気用のバルブの開閉時期を進角側又は遅角側に変更するエンジンのバルブタイミング変更装置であって、
前記位相変更ユニットは、請求項1ないし10いずれか一つに記載の波動歯車ユニットを含み、
前記波動歯車ユニットの第1内歯車は、前記カムシャフトと一体的に回転するように連結され、
前記波動歯車ユニットの第2内歯車は、前記ハウジングロータと一体的に回転するように連結される、
ことを特徴とするバルブタイミング変更装置。
【請求項14】
前記波動歯車ユニットの回転部材は、電動モータの回転力が伝達されるように形成されている、
ことを特徴とする請求項13に記載のバルブタイミング変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内歯車と円筒状の外歯車を含むリング型(フラット型とも称する)の波動歯車ユニットに関し、特に、有底円筒状の内歯車を含む波動歯車ユニット、歯車変速装置及びエンジンのバルブタイミング変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の波動歯車ユニットとしては、円筒状に形成された二つの内歯車、二つの内歯車をそれぞれ固定する二つの板状部材、二つの内歯車と噛合するべく円筒状に形成された可撓性の外歯車、外歯車を楕円変形させる波動発生器を備えた波動歯車伝達装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この装置においては、円筒状の内歯車が、底壁の役割をなす板状部材に固定されることで、円筒部及び底壁部を有する有底円筒状(カップ状)の内歯車が構成されている。
この構成では、内歯車の内周面の幅方向全域において内歯を形成することは可能であるが、円筒状の内歯車、板状部材、締結用のネジ等の複数の部品により有底円筒状の内歯車が構成されるため、部品点数が多く、組付け作業も必要となる。
【0004】
そこで、加工により、円筒部及び底壁部により画定される有底円筒状の内歯車を一体的に形成しようとすると、円筒部の幅全域に亘って内歯を形成することができず、円筒部が底壁部に連続する隅部領域において、歯が形成されないか又は完全な歯が形成されない歯非形成領域が生じる。
【0005】
これに対処するべく、切削加工等により、歯非形成領域を凹状に切削して除去することも可能であるが、加工工数の増加、製造コストの増加等を招く。
一方、外歯車の外歯が歯非形成領域と干渉しないように、例えば、特許文献2に開示されているような押え部材等を採用して、スラスト方向の移動を規制することも可能であるが、外歯車の幅方向における装置の大型化、構造の複雑化、部品点数の増加、高コスト化等を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-223246号公報
【文献】国際公開W02017/098663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、小型化、部品点数の削減、低コスト化等を図れる波動歯車ユニット、歯車変速装置及びバルブタイミング変更装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の波動歯車ユニットは、円筒部に形成された内歯及び円筒部に底壁部が一体的に連続する隅部領域において内歯の歯底よりも内側に突出する歯非形成部を有する有底円筒状の第1内歯車と、第1内歯車の内歯に噛合する外歯,歯非形成部と隙間をおいて対向する対向部,及び底壁部に接触し得るように対向する端部を有する可撓性円筒状の外歯車と、第1内歯車に隣接して配置されると共に外歯に噛合する内歯を有する第2内歯車と、外歯車を楕円変形させて第1内歯車及び第2内歯車と部分的に噛合させつつ噛合い位置を移動させる回転部材と、を含む。
【0009】
上記波動歯車ユニットにおいて、外歯車は、幅方向の両側において対向部を有する、構成を採用してもよい。
【0010】
上記波動歯車ユニットにおいて、第2内歯車は、円筒状をなし、第2内歯車には、第1内歯車と反対側に隣接して外歯車を覆うカバー部材が配置され、外歯車の幅寸法は、第1内歯車の底壁部とカバー部材の離隔寸法よりも小さく設定されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記波動歯車ユニットにおいて、第1内歯車は、外歯車の端部が対向する底壁部において、径方向に伸長する溝状の油通路を有する、構成を採用してもよい。
【0012】
上記波動歯車ユニットにおいて、第2内歯車は、円筒部に形成された内歯及び円筒部に底壁部が一体的に連続する隅部領域において内歯の歯底よりも内側に突出する歯非形成部を有する有底円筒状に形成されている、構成を採用してもよい。
【0013】
上記波動歯車ユニットにおいて、外歯車の幅寸法は、第1内歯車の底壁部と第2内歯車の底壁部との離隔寸法よりも小さく設定されている、構成を採用してもよい。
【0014】
上記波動歯車ユニットにおいて、対向部は、外歯車の外周領域を肉抜きして形成されている、構成を採用してもよい。
【0015】
上記波動歯車ユニットにおいて、対向部は、円錐状の傾斜面である、構成を採用してもよい。
【0016】
上記波動歯車ユニットにおいて、対向部は、外歯よりも小さい外径をなす円筒面である、構成を採用してもよい。
【0017】
上記波動歯車ユニットにおいて、対向部は、円錐状の傾斜面及び傾斜面に連続し外歯よりも小さい外径をなす円筒面である、構成を採用してもよい。
【0018】
本発明の歯車変速装置は、入力軸と、出力軸と、出力軸を回動自在に支持するハウジングと、入力軸と出力軸の間に介在する変速ユニットとを備えた歯車変速装置であって、変速ユニットは、上記構成をなすいずれかの波動歯車ユニットを含む。
【0019】
上記歯車変速装置において、波動歯車ユニットの回転部材は、入力軸と一体的に回転し、波動歯車ユニットの第1内歯車は、出力軸と一体的に回転し、波動歯車ユニットの第2内歯車は、ハウジングに固定されている、構成を採用してもよい。
【0020】
本発明のバルブタイミング変更装置は、カムシャフトとクランクシャフトに連動するハウジングロータとの相対的な回転位相を変更する位相変更ユニットを備え、カムシャフトにより駆動される吸気用又は排気用のバルブの開閉時期を進角側又は遅角側に変更するエンジンのバルブタイミング変更装置であって、位相変更ユニットは、上記構成をなすいずれかの波動歯車ユニットを含み、波動歯車ユニットの第1内歯車は、カムシャフトと一体的に回転するように連結され、波動歯車ユニットの第2内歯車は、ハウジングロータと一体的に回転するように連結される、構成となっている。
【0021】
上記バルブタイミング変更装置において、波動歯車ユニットの回転部材は、電動モータの回転力が伝達されるように形成されている、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0022】
上記構成をなす波動歯車ユニット、歯車変速装置、及びバルブタイミング変更装置によれば、構造の簡素化、小型化、部品点数の削減、低コスト化等を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る波動歯車ユニットを採用したバルブタイミング変更装置を前方斜めから視た外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る波動歯車ユニットを採用したバルブタイミング変更装置を後方斜めから視た外観斜視図である。
【
図3】
図1に示すバルブタイミング変更装置の斜視断面図である。
【
図4】
図1に示すバルブタイミング変更装置の分解斜視図である。
【
図5】
図2に示すバルブタイミング変更装置の分解斜視図である。
【
図6】本発明の波動歯車ユニットに含まれる有底円筒状の第1内歯車を示す外観斜視図である。
【
図7】本発明の波動歯車ユニットに含まれる円筒状の外歯車を部分的に示した部分斜視図である。
【
図8】本発明の波動歯車ユニットに含まれる外歯車、外歯車の対向部、有底円筒状の第1内歯車、第1内歯車の歯非形成部、円筒状の第2内歯車の相互関係を示す部分断面図である。
【
図9】
図8に示す外歯車の対向部及び第1内歯車の歯非形成部の変形例を示す部分断面図である。
【
図10】
図8に示す外歯車の対向部及び第1内歯車の歯非形成部の他の変形例を示す部分断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る波動歯車ユニットを採用した歯車変速装置を前方斜めから視た外観斜視図である。
【
図13】
図11に示すバルブタイミング変更装置を前方斜めから視た分解斜視図である。
【
図14】
図11に示すバルブタイミング変更装置を後方斜めから視た分解斜視図である。
【
図15】
図11に示す歯車変速装置の軸線を通る断面図である。
【
図16】
図11に示す歯車変速装置において、本発明の波動歯車ユニットに含まれる外歯車、外歯車の対向部、有底円筒状の第1内歯車、第1内歯車の歯非形成部、有底円筒状の第2内歯車、第2内歯車の歯非形成部の相互関係を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
一実施形態に係るバルブタイミング変更装置Mは、
図1及び
図2に示すように、カムシャフト2とスプロケット11aの相対的な回転位相を変更する位相変更ユニットを備えている。ここで、カムシャフト2は、軸線S回りの一方向(
図1中のR方向)に回転するものであり、鍔状の嵌合部2a、ネジ孔2b、油通路2c、位置決めピンPの嵌合穴2dを備えている。スプロケット11aは、軸線S回りの一方向(R方向)に回転し、チェーンを介してクランクシャフトの回転に連動する。
【0025】
そして、位相変更ユニットが、電動モータにより適宜駆動制御されることにより、カムシャフト2により駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期(バルブタイミング)が変更されるようになっている。
【0026】
位相変更ユニットは、
図3ないし
図5に示すように、ハウジングロータ10、第1内歯車20、ロータ30、外歯車40、第2内歯車50、ベアリング60、回転部材70を備えている。
ここでは、第1内歯車20、外歯車40、第2内歯車50、及び回転部材70により、波動歯車ユニットが構成されている。
【0027】
ハウジングロータ10は、軸線S回りに回転自在に支持される第1ハウジング11、第1ハウジング11に対してネジb1により結合される第2ハウジング12を備えている。
【0028】
第1ハウジング11は、金属材料を用いて略円筒状に形成され、スプロケット11a、円筒部11b、内周面11c、環状の底壁面11d、油通路11e、油通路11f、進角側ストッパ11g、遅角側ストッパ11h、ネジb1を捩じ込む複数のネジ孔11jを備えている。
【0029】
内周面11cは、第1ハウジング11が軸線S回りに回転自在に支持されるべく、第1内歯車20の外周面21aに摺動自在に接触する。
底壁面11dは、第1ハウジング11が軸線S方向に位置決めされるべく、第1内歯車20の接合面22bの外周領域に摺動自在に接触する。
油通路11eは、内周面11cにおいて軸線Sと平行に伸長する溝状に形成され、カムシャフト2の油通路2c及びロータ30の油通路35を経て第1内歯車20の内部に導かれた潤滑油を、第1内歯車20の外周面21aと内周面11cの摺動領域に導く。
油通路11fは、円筒部11bの前端面において、径方向に伸長する溝状に形成され、ハウジングロータ10内に導かれた潤滑油を、ハウジングロータ10の外部に導く。
進角側ストッパ11gは、ロータ30の進角側当接部36を当接させて、カムシャフト2を最大進角位置に位置決めする。
遅角側ストッパ11hは、ロータ30の遅角側当接部37を当接させて、カムシャフト2を最大遅角位置に位置決めする。
【0030】
第2ハウジング12は、金属材料を用いて円板状に形成され、軸線Sを中心とする円形の開口部12a、ネジb1を通す複数の円孔12b、軸線S方向において外歯車40の端部42bと対向する内壁面12cを備えている。
開口部12aは、径方向において回転部材70の周りに隙間をおいて、回転部材70の連結部72を露出させる。
内壁面12cは、外歯車40の端部42bが軸線S方向から対向して接触し得るように、軸線Sに垂直な平坦面として形成されている。
すなわち、第2ハウジング12は、ハウジングロータ10の一部として機能すると共に、第2内歯車50に対して第1内歯車20と反対側に隣接して配置され、外歯車40を覆うカバー部材としても機能するものである。
【0031】
そして、第1ハウジング11に対して、ロータ30を嵌合させた第1内歯車20、第2内歯車50、外歯車40及びベアリング60を嵌合させた回転部材70が組み付けられ後に、第2ハウジング12が第1ハウジング11にネジb1で結合されることにより、軸線S回りに回転するハウジングロータ10が形成される。
【0032】
ここで、ハウジングロータ10は、第1内歯車20を介して軸線S回りに回転可能に支持されているため、カムシャフト2に固定される第1内歯車20を基準として、ハウジングロータ10、外歯車40、第2内歯車50の位置決めを行うことができる。
また、ハウジングロータ10として、第1ハウジング11及び第2ハウジング12を含む構成を採用し、第1ハウジング11に対して、上記種々の部品を収容して第2ハウジング12を結合することにより、バルブタイミング変更装置Mを容易に組み付けることができる。
【0033】
第1内歯車20は、金属材料を用いて、
図4及び
図6に示すように、加工により、円筒部21及び底壁部22を一体的に有する有底円筒状に形成され、内歯23、歯非形成部24、嵌合孔25、油通路26を備えている。
【0034】
円筒部21は、第1ハウジング11の内周面11cと摺動自在に接触するべく、軸線Sを中心とする外周面21aを画定する。
底壁部22は、軸線Sに垂直な平坦壁として形成され、外歯車40の端部42aが接触し得ると共に締結ボルトb2の座面として機能する内壁面22aと、ロータ30が接合される接合面22bを画定する。
内歯23は、円筒部21の内周面において、軸線Sを中心とする円環状に配列して形成された歯数Z1からなる歯列をなす。
そして、内歯23は、外歯車40の外歯41の軸線S方向における略半分の奥側領域と噛合する。ここで、「奥側」とは、
図8において、軸線S方向の右側すなわちカムシャフト2が配置される側である。
【0035】
歯非形成部24は、
図6及び
図8に示すように、円筒部21に底壁部22が一体的に連続する隅部領域CAにおいて、内歯23が形成されない領域又は完全な歯の形態を成さない不完全な歯形態を含む領域であり、内歯23の歯底23aよりも内側に突出すると共に底壁部22に向かうにつれて内径が小さくなる傾斜断面をなす環状凸部である。
歯非形成部24は、切削加工で内歯23を成形する場合に切削刃で切削できずに残存する領域である。
【0036】
嵌合孔25は、ロータ30の筒状嵌合部32が嵌合されるべく、軸線Sを中心とする円形状をなす。
油通路26は、底壁部22の内壁面22aにおいて、径方向に伸長する溝として形成され、ロータ30の油通路35及び筒状嵌合部32の内側を経て第1内歯車20の内部に導かれた潤滑油を、ベアリング70、外歯車40の端部42a、外歯車40の外歯41と内歯23,52の噛合領域、外歯車40の端部42bに供給する。
このように、油通路26を設けたことにより、外歯車40の噛合領域や接触領域等の摩耗や劣化を抑制でき、円滑な動作を得ることができる。
【0037】
ロータ30は、金属材料を用いて略平板状に形成され、
図4及び
図5に示すように、貫通孔31、筒状嵌合部32、嵌合凹部33、位置決め孔34、油通路35、進角側当接部36、遅角側当接部37を備えている。
【0038】
貫通孔31は、潤滑油が流れる隙間をおいて締結ボルトb2を通すように、軸線Sを中心とする円形状をなす。
筒状嵌合部32は、貫通孔31の一部を画定すると共に、第1内歯車20の嵌合孔25に嵌合され、又、嵌合状態で油通路26を閉塞しないように、軸線Sを中心とする円筒状をなす。
嵌合凹部33は、カムシャフト2の嵌合部2aを嵌合させるべく、軸線Sを中心とする円形状をなす。
【0039】
位置決め孔34は、カムシャフト2の嵌合穴2dに固定された位置決めピンPが嵌合されるように形成され、軸線S回りの角度位置を位置決めする役割をなす。
油通路35は、嵌合凹部33の底壁面において、径方向に伸長して貫通孔31に連通すると共にカムシャフト2の油通路2cに連通する溝として形成され、カムシャフト2の油通路2cから供給される潤滑油を、貫通孔31を経て第1内歯車20内に導く。
【0040】
進角側当接部36は、第1ハウジング11の進角側ストッパ11gに対して離脱可能に当接する。
遅角側当接部37は、第1ハウジング11の遅角側ストッパ11hに対して離脱可能に当接する。
【0041】
そして、ロータ30は、筒状嵌合部32が嵌合孔25に嵌合されることで、予め第1内歯車20に一体的に組み付けられる。
続いて、第1ハウジング11が第1内歯車20に回転自在に取り付けられた状態で、ロータ30がカムシャフト2に近づけられ、位置決め孔34に位置決めピンPが嵌合され、嵌合凹部33に嵌合部2aが嵌合される。これにより、ロータ30がカムシャフト2に接合される。
その後、締結ボルトb2が、貫通孔31に通されてネジ穴2bに捩じ込まれることで、第1内歯車20がロータ30を介してカムシャフト2に固定される。
【0042】
また、ロータ30は、進角側当接部36が進角側ストッパ11gに当接することで最大進角位置に位置付けられ、遅角側当接部37が遅角側ストッパ11hに当接することで最大遅角位置に位置付けられる。
すなわち、カムシャフト2は、ロータ30を介して、ハウジングロータ10に対する相対的な回転範囲が規制される。
これにより、バルブタイミングを変更可能な回転位相の範囲、すなわち、最大遅角位置から最大進角位置までの調整可能な角度範囲を所望の範囲に規制することができる。
【0043】
ここでは、ロータ30を採用したことにより、カムシャフト2の嵌合部2aの形状がエンジンの仕様に応じて異なる場合、ロータ30を種々のカムシャフト2に対応させて設定するだけで、バルブタイミング変更装置Mを種々のエンジンに適用することができる。
【0044】
外歯車40は、金属材料を用いて、
図4、
図5、
図7、
図8に示すように、弾性変形可能な薄い肉厚の円筒状に形成され、その外周面において外歯41、軸線S方向における幅寸法を規定する端部42a,42b、幅方向の両側の外周領域において対向部43,43を備えている。
【0045】
外歯41は、外歯車40の外周面において、軸線Sを中心とする円環状に配列して形成され、第1内歯車20の歯数Z1と異なる歯数Z2からなる歯列をなす。
そして、外歯41は、軸線S方向における略半分の奥側領域が第1内歯車20の内歯23と噛合し、軸線S方向における略半分の前側領域が第2内歯車50の内歯52と噛合する。ここで、「前側」とは、
図8において軸線S方向の左側すなわちカムシャフト2が配置される側と反対の電動モータが配置される側であり、「奥側」とは、
図8において軸線S方向の右側である。
端部42aは、軸線Sに垂直な円環状の平坦面をなし、第1内歯車20の底壁部22の内壁面22aに接触し得るように軸線S方向において対向する。
端部42bは、軸線Sに垂直な円環状の平坦面をなし、第2ハウジング12の内壁面12cに接触し得るように軸線S方向において対向する。
尚、外歯車40は、端部42bが底壁部22に対向し、端部42aが内壁面12cに対向するように組み付けられてもよい。
【0046】
対向部43は、端部42a又は端部42bが底壁部22の内壁面22aに接触した状態で、第1内歯車20の歯非形成部24と所定の隙間をおいて対向するように、すなわち、歯非形成部24の内径よりも小さい外径をなすように、外歯車40の外周領域を肉抜きして形成されている。
ここでは、外歯車40を成形する際に、バリ取り等のトリミング加工時に、よろめき加工を施すことで、仕上げ加工と同時に、対向部43が幅方向の端部42a,42bに向かうにつれて外径が小さくなる円錐状の傾斜面に形成されている。
【0047】
そして、外歯車40は、ベアリング60を介して回転部材70のカム部73のカム作用を受けることにより楕円状に変形させられて、第1内歯車20と二箇所で部分的に噛合すると共に、第2内歯車50と二箇所で部分的に噛合する。
【0048】
上記のように、外歯車40には、端部42aの近傍に対向部43、端部42bの近傍に対向部43が設けられている。したがって、外歯車40の端部42bが、第1内歯車20の底壁部22と対向するように、外歯車40が組み付けられてもよい。それ故に、外歯車40の誤組み付けを防止することができる。
【0049】
また、外歯車40の端部42aが第1内歯車20の底壁部22に接触した状態で、対向部43が歯非形成部24と隙間をおいて対向するため、外歯41と歯非形成部24との干渉を防止できる。
それ故に、端部42aと底壁部22の間にスペーサ部材等を介在させて外歯41と歯非形成部24との干渉を防止する場合に比べて、部品点数を削減でき、又、軸線S方向における寸法の幅狭化を達成することができる。
【0050】
第2内歯車50は、金属材料を用いて、
図3ないし
図5に示すように、略円筒状又は円環状に形成され、軸線Sを中心とする円筒部51、内歯52、鍔部53、ネジb1を通す複数の円孔54を備えている。
円筒部51は、第1ハウジング11の内周面11cに嵌め込まれる外径寸法に形成されている。
内歯52は、円筒部21の内周面において、軸線Sを中心とする円環状に配列して形成された歯数Z3からなる歯列をなす。
そして、内歯52は、外歯車40の外歯41の軸線S方向における略半分の前側領域と噛合する。
【0051】
ここで、内歯52の歯数Z3は、外歯車40の内歯41の歯数Z2と同一に設定されている。このように、歯数Z3,Z2を同一(Z3=Z2)とすることにより、第1内歯車20の歯数Z1と外歯車40の歯数Z2だけで、回転位相を変更する際の変速比(例えば、減速比)を容易に設定することができる。
【0052】
鍔部53は、軸線Sに垂直な平板状に形成され、第1ハウジング11と第2ハウジング12の間に挟み込まれて組み付けられる。
すなわち、第2内歯車50は、ネジb1により、ハウジングロータ10と一体的に回転するように固定されて、外歯車40と噛合するようになっている。
【0053】
上記構成において、外歯車40は、
図8に示すように、軸線S方向において、第1内歯車20の底壁部22の内壁面22aと第2ハウジング12の内壁面12cとの間に隙間Cをおいて配置されている。
すなわち、軸線S方向において、外歯車40の幅寸法は、第1内歯車20の底壁部22とカバー部材としての第2ハウジング12の内壁面12cの離隔寸法よりも小さく設定されている。
これにより、外歯車40が、底壁部22と内壁面12cの両方に同時に接触するのを防止できるため、摺動抵抗を低減することができる。
【0054】
ベアリング60は、
図3及び
図8に示すように、環状の内輪61、環状の外輪62、内輪61と外輪62の間に転動自在に配置された複数の転動体63、複数の転動体63を保持するリテーナ64を備えている。
【0055】
内輪61は、金属材料を用いて弾性変形可能な無端ベルト状に形成され、回転部材70のカム部73が嵌め込まれる。
外輪62は、金属材料を用いて弾性変形可能な無端ベルト状に形成され、外歯車40の内側に嵌め込まれる。
複数の転動体63は、金属材料を用いて球体に形成され、内輪61と外輪62の間に挟み込まれると共にリテーナ64により軸線S回りに等間隔に保持される。
リテーナ64は、金属材料を用いて弾性変形可能な無端ベルト状に形成され、複数の転動体63を等間隔で転動自在に保持する。
【0056】
そして、ベアリング60の内輪61及び外輪62は、回転部材70のカム部73に沿って楕円状に変形する。
このように、ベアリング70が、楕円変形させられた状態で回転部材70のカム部73と外歯車40の間に介在するため、回転部材70の回転に伴って、外歯車40を円滑に楕円変形させることができる。
【0057】
回転部材70は、金属材料を用いて、
図3ないし
図5に示すように、略円筒状に形成され、環状部71、連結部72、カム部73を備えている。
環状部71は、軸線Sを中心とする円環状をなす。
連結部72は、環状部71の内側において、軸線Sに垂直な径方向中心に向けて開口するU字状溝として形成され、電動モータの回転軸と連結される。
カム部73は、その外周面が軸線Sに垂直な直線方向において長軸をもつ楕円形を画定する楕円環状に形成され、外歯車40に対して楕円変形を生じさせるカム作用を及ぼす。
ここでは、環状部71とカム部73がネジにより結合されているため、仕様に応じて、環状部71又はカム部73を交換することが可能である。
また、連結部72は、過大負荷が生じた際に回転軸との間の回転力の伝達を断つように、脆弱性を持たせた形状にして、環状部71を樹脂材料により形成してもよい。
【0058】
そして、回転部材70は、電動モータの回転力が及ぼされることで、カム部73が外歯車40にカム作用を及ぼす。
これにより、第1内歯車20及び第2内歯車50と噛合した状態にある外歯車40が、楕円変形しつつその噛合位置が軸線S回りに連続的に変化する。
【0059】
上記構成において、第1内歯車20、外歯車40、及び第2内歯車50との関係について説明する。
第1内歯車20の歯数Z1と外歯車40の歯数Z2の関係は、相対回転を生じさせるため、第1内歯車20と外歯車40の噛合箇所の個数をN、正の整数をnとするとき、Z2=Z1±n・Nの関係が成立するように設定される。この実施形態においては、N=2であるため、例えば、Z1=162、Z2=160に設定される。
また、第2内歯車50の歯数Z3と外歯車40の歯数Z2の関係は、前述したように相対回転を生じないで同位相で回転するように、同一の値が選定される。この実施形態においては、例えば、Z3=160、Z2=160に設定される。
これによれば、第1内歯車20の歯数Z1と外歯車40の歯数Z2だけで減速比を決定できるため、減速比の設定が容易である。
尚、第2内歯車50の歯数Z3は、外歯車40の歯数Z2と同一ではなく、異なる値でもよい。
【0060】
次に、上記構成をなすバルブタイミング変更装置Mの組み付け作業について説明する。
組付け作業に際して、第1ハウジング11、第2ハウジング12、ネジb1、第1内歯車20、ロータ30、外歯車40、第2内歯車50、ベアリング60、回転部材70が準備される。
【0061】
先ず、回転部材70に対して、ベアリング60及び外歯車40が組み付けられる。
続いて、第1内歯車20に対してロータ30が接合されて一体的に組み付けられる。
続いて、第1ハウジング11に対して、第1内歯車20が嵌め込まれ、外歯車40の歯列41の奥側部分を第1内歯車20の内歯23に噛合させるようにして、回転部材70が嵌め込まれる。
続いて、外歯車40の内歯41の前側部分に内歯52を噛合させるようにして、第2内歯車50が嵌め込まれ、その外側前方から第2ハウジング12が配置される。
【0062】
そして、ネジb1が、円孔12b,54を通して、ネジ穴11jに捩じ込まれることにより、第2内歯車50を挟み込んだ状態で、第2ハウジング12が第1ハウジング11に結合される。
これにより、バルブタイミング変更装置Mの組付けが完了する。また、この組付け状態において、ハウジングロータ10の開口部12aを通して、回転部材70の連結部72が露出した状態となる。
尚、組付け作業は、上記の手順に限るものではなく、その他の手順を採用してもよい。
上記構成をなすバルブタイミング変更装置Mによれば、構造の簡素化、小型化、部品点数の削減、低コスト化等を達成できる。
【0063】
次に、上記のバルブタイミング変更装置Mがエンジンに適用される場合の動作を説明する。
先ず、位相の変更を行わない、すなわち、バルブタイミングを変更しない場合は、電動モータは、回転部材70に対して、カムシャフト2の回転速度と同一の回転速度でカムシャフト2と同一方向に回転駆動力を及ぼすように駆動制御される。
したがって、第1内歯車20と外歯車40は、互いに噛合った位置でロックされる。
また、外歯車40と第2内歯車50とは、互いに噛合った位置でロックされる。
これにより、カムシャフト2とハウジングロータ10は、軸線S回りにおいて一方向(
図1中のR方向)に一体的に回転する。
【0064】
一方、位相を変更する、すなわち、バルブタイミングを変更する場合は、電動モータは、回転部材70に対して、カムシャフト2の回転速度と異なる回転速度でカムシャフト2と同一方向に回転駆動力を及ぼすように駆動制御される。
例えば、電動モータが、回転部材70に対して、カムシャフト2の回転速度よりも速い回転速度でカムシャフト2と同一方向に回転駆動力を及ぼすように駆動制御されると、回転部材70が軸線S回りの一方向に相対的に回転させられることになり、回転部材70のカム部73は、一方向に回転しつつ外歯車40に対してカム作用を及ぼす。
そして、回転部材70が一方向に一回転すると、外歯車40は、第1内歯車20に対して、歯数差(162-160)分だけ回転差を生じ、他方向にずれる。
一方、回転部材70が一方向に回転しても、外歯車40の歯数Z2と第2内歯車50の歯数Z3は同一であるため、同位相を保持する。
【0065】
すなわち、回転部材70が一方向に相対的に回転させられることにより、ハウジングロータ10に対してカムシャフト2の回転位相が進められて、吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期が進角側に変更される。
【0066】
一方、電動モータが、回転部材70に対して、カムシャフト2の回転速度よりも遅い回転速度でカムシャフト2と同一方向に回転駆動力を及ぼすように駆動制御されると、回転部材70が軸線S回りの他方向に相対的に回転させられることになり、回転部材70のカム部73は、他方向に回転しつつ外歯車40に対してカム作用を及ぼす。
そして、回転部材70が他方向に一回転すると、外歯車40は、第1内歯車20に対して、歯数差(162-160)分だけ回転差を生じ、一方向にずれる。
一方、回転部材70が他方向に回転しても、外歯車40の歯数Z2と第2内歯車50の歯数Z3は同一であるため、同位相を保持する。
【0067】
すなわち、回転部材70が他方向に相対的に回転させられることにより、ハウジングロータ10に対してカムシャフト2の回転位相が遅らせられて、吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期が遅角側に変更される。
【0068】
この変更動作に際して、外歯車40の外歯41に対する内歯23と内歯52との噛合い状態の違いにより生じるスラスト力により、外歯車40は軸線S方向に移動する。
外歯車40が、軸線S方向の奥側に向けて移動して、端部52aが第1内歯車20の底壁部22に接触した場合、対向部43が歯非形成部24と隙間をおいて対向するため、外歯41と歯非形成部24との干渉を防止できる。これにより、外歯車40の外歯41は、第1内歯車20の内歯23に正常に噛合して円滑に回転することができる。
一方、外歯車40が、軸線S方向の前側に向けて移動して、端部52bが第1ハウジング12の内壁面12cに接触しても、第2内歯車50には歯非形成部が無いため、外歯車40の外歯41は、第2内歯車50の内歯52に正常に噛合して円滑に回転することができる。
【0069】
また、外歯車40は、
図8に示すように、第1内歯車20の底壁部22(内壁面22a)と第1ハウジング12の内壁面12cとの間に隙間Cをおいて配置されているため、外歯車40は底壁部22と内壁面12cの両方に同時に接触することはなく、その分だけ摺動抵抗を低減することができる。
さらに、上記バルブタイミング変更装置Mにおいては、エンジンのオイルパンに貯留された潤滑油が、オイルポンプ等によりカムシャフト2に供給され、油通路2c、油通路35、貫通孔31を経て、第1内歯車20の内部に導かれ、又、油通路26を経て、ベアリング60、外歯車40の外歯41と内歯23,52の噛合領域にも供給される。
そして、潤滑油は、開口部12a、油通路11fを経てハウジングロータ10の外部に導かれ、エンジンのカバー部材の内部を流れてオイルパンに戻される。このように、潤滑作用も確実に行われるため、外歯車40等の摺動領域や噛合い領域の摩耗や劣化を抑制でき、バルブタイミングを円滑に変更できる。
【0070】
尚、上記の実施形態においては、第2内歯車として円筒状の第2内歯車50を採用し、第2内歯車50に隣接するカバー部材としての第2ハウジング12を採用した構成を示したが、これに限定されるものではない。
例えば、第2内歯車として、第2ハウジングとしての機能も兼ねるように、円筒部に形成された内歯及び円筒部に底壁部が一体的に連続する隅部領域において内歯の歯底よりも内側に突出する歯非形成部を有する有底円筒状の第2内歯車を採用してもよい。
この場合、外歯40の端部42bは、第2内歯車の底壁部に接触し得るように対向し、端部42bの近傍に形成された対向部43は、第2内歯車の歯非形成部と隙間をおいて対向するように機能する。
【0071】
図9は、第1内歯車20の歯非形成部24の変形例及び外歯車40の対向部43の変形例を示すものである。
この変形例では、第1内歯車20が、歯非形成部24に替えて、歯非形成部27を備えている。
また、外歯車40が、対向部43に替えて、対向部44を備えている。
【0072】
歯非形成部27は、切削加工で内歯23を成形する場合に切削刃で切削できずに残存する領域であり、内歯23の歯底23aよりも内側に突出する矩形断面をなす環状凸部である。
【0073】
対向部44は、端部42a又は端部42bが底壁部22の内壁面22aに接触した状態で、第1内歯車20の歯非形成部27と所定の隙間をおいて対向するように、すなわち、歯非形成部27の内径よりも小さい外径をなすように、外歯車40の外周領域を肉抜きして形成されている。
ここでは、外歯車40を成形する際に、外周領域に切削加工等を施すことで、対向部43が、外歯41よりも小さい外径をなす円筒面に形成されている。
【0074】
この変形例においても、外歯車40の端部42aが第1内歯車20の底壁部22に接触した状態で、対向部44が歯非形成部27と隙間をおいて対向するため、外歯41と歯非形成部27との干渉を防止できる。
それ故に、前述同様に、端部42aと底壁部22の間にスペーサ部材等を介在させて外歯41と歯非形成部27との干渉を防止する場合に比べて、部品点数を削減でき、又、軸線S方向における寸法の幅狭化を達成することができる。
【0075】
図10は、第1内歯車20の歯非形成部24の他の変形例及び外歯車40の対向部43の他の変形例を示すものである。
この変形例では、第1内歯車20が、歯非形成部24に替えて、歯非形成部28を備えている。
また、外歯車40が、対向部43に替えて、対向部45を備えている。
【0076】
歯非形成部28は、切削加工で内歯23を成形する場合に切削刃で切削できずに残存する領域であり、内歯23の歯底23aよりも内側に突出し、底壁部22に向かうにつれて外径が小さくなる傾斜断面と矩形断面が結合した断面をなす環状凸部である。
【0077】
対向部45は、端部42a又は端部42bが底壁部22の内壁面22aに接触した状態で、第1内歯車20の歯非形成部28と所定の隙間をおいて対向するように、すなわち、歯非形成部28の内径よりも小さい外径をなすように、外歯車40の外周領域を肉抜きして形成されている。
ここでは、外歯車40を成形する際に、外周領域に切削加工等を施すことで、対向部45が、幅方向の端部42a,42bに向かうにつれて外径が小さくなる円錐状の傾斜面及び傾斜面に連続し外歯41よりも小さい外径をなす円筒面に形成されている。
【0078】
この変形例においても、外歯車40の端部42aが第1内歯車20の底壁部22に接触した状態で、対向部45が歯非形成部28と隙間をおいて対向するため、外歯41と歯非形成部28との干渉を防止できる。
それ故に、前述同様に、端部42aと底壁部22の間にスペーサ部材等を介在させて外歯41と歯非形成部28との干渉を防止する場合に比べて、部品点数を削減でき、又、軸線S方向における寸法の幅狭化を達成することができる。
【0079】
図11ないし
図16は、一実施形態に係る歯車変速装置M2を示すものである。
一実施形態に係る歯車変速装置M2は、入力軸102を有する電動モータ100、ハウジング110、出力軸125を有する第1内歯車120、外歯車130、第2内歯車140、ベアリング150、回転部材160を備えている。
ここでは、第1内歯車120、外歯車130、第2内歯車140、及び回転部材160により、波動歯車ユニットが構成されている。
【0080】
電動モータ100は、
図15に示すように、本体部101、本体部101により回転駆動される入力軸102、フランジ部103を備えている。
本体部101は、磁石、励磁用のコイル、回転子を有する。
入力軸102は、軸線S上に伸長して本体部101から突出し、回転部材160を嵌合させる嵌合部102a、回転部材160を固定するべくワッシャWを備えた締結ボルトb3を捩じ込むネジ穴102bを有する。
フランジ部103は、軸線Sに垂直な環状の平坦面として形成され、ネジb4を通す円孔103aを備えている。そして、フランジ部103は、第2内歯車140の鍔部145に接合される。
【0081】
ハウジング110は、軸線Sを中心とする有底円筒状に形成され、円筒部111、支持部112、嵌合凹部113、ネジ穴114を備えている。
円筒部111は、第1内歯車120を軸線S回りに回転自在に収容するように、軸線Sを中心とする円筒状をなす。
支持部111は、軸線Sを中心とする円筒状に形成され、軸受BRを介して、第1内歯車120の出力軸125を軸線S回りに回転自在に支持する。
嵌合凹部113は、第2内歯車140の鍔部145を嵌合させて固定するべく、軸線Sを中心とする円環状の凹部をなす。
【0082】
第1内歯車120は、金属材料を用いて、
図13及び
図15に示すように、加工により、円筒部121及び底壁部122を一体的に有する有底円筒状に形成され、内歯123、歯非形成部124、底壁部122から軸線S方向に突出する出力軸125を備えている。
【0083】
円筒部121は、軸線Sを中心とし、ハウジング110の内部に非接触に配置される外径寸法をなす外周面を画定する。
底壁部122は、軸線Sに垂直な多段状の平坦面として形成され、外歯車130の端部132aが接触し得る内壁面122aと、出力軸125が突出する外壁面122bを画定する。
内歯123は、円筒部121の内周面において、軸線Sを中心とする円環状に配列して形成された歯数Z11からなる歯列をなす。
そして、内歯123は、外歯車130の外歯131の軸線S方向における略半分の奥側領域と噛合する。ここで、「奥側」とは、
図15において、軸線S方向の右側すなわち出力軸125が配置される側である。
【0084】
歯非形成部124は、
図13及び
図16に示すように、円筒部121に底壁部122が一体的に連続する隅部領域CAにおいて、内歯123が形成されない領域又は完全な歯の形態を成さない不完全な歯形態を含む領域であり、内歯123の歯底123aよりも内側に突出すると共に底壁部122に向かうにつれて内径が小さくなる傾斜断面をなす環状凸部である。
歯非形成部124は、切削加工で内歯123を成形する場合に切削刃で切削できずに残存する領域である。
出力軸125は、円柱状に形成され、支持部112において軸受BRを介して軸線S回りに回転自在に支持される。
【0085】
外歯車130は、金属材料を用いて、
図13、
図14、
図16に示すように、弾性変形可能な薄い肉厚の円筒状に形成され、その外周面において外歯131、軸線S方向における幅寸法を規定する端部132a,132b、幅方向の両側の外周領域において対向部133,134を備えている。
【0086】
外歯131は、外歯車130の外周面において、軸線Sを中心とする円環状に配列して形成され、第1内歯車120の歯数Z11と異なる歯数Z12からなる歯列をなす。
そして、外歯131は、軸線S方向における略半分の奥側領域が第1内歯車120の内歯123と噛合し、軸線S方向における略半分の前側領域が第2内歯車140の内歯143と噛合する。ここで、「前側」とは、
図15において軸線S方向の左側すなわち電動モータ100が配置される側であり、「奥側」とは、
図15において軸線S方向の右側である。
端部132aは、軸線Sに垂直な円環状の平坦面をなし、第1内歯車120の底壁部122の内壁面122aに接触し得るように軸線S方向において対向する。
端部132bは、軸線Sに垂直な円環状の平坦面をなし、第2内歯車140の底壁部142の内壁面142aに接触し得るように軸線S方向において対向する。
【0087】
対向部133は、端部132aが第1内歯車120の底壁部22の内壁面22aに接触した状態で、第1内歯車120の歯非形成部124と所定の隙間をおいて対向するように、すなわち、歯非形成部124の内径よりも小さい外径をなすように、外歯車130の外周領域を肉抜きして形成されている。
対向部134は、端部132bが第2内歯車140の底壁部142の内壁面142aに接触した状態で、第2内歯車140の歯非形成部144と所定の隙間をおいて対向するように、すなわち、歯非形成部144の内径よりも小さい外径をなすように、外歯車130の外周領域を肉抜きして形成されている。
ここでは、外歯車130を成形する際に、バリ取り等のトリミング加工時に、よろめき加工を施すことで、仕上げ加工と同時に、対向部133が幅方向の端部132aに向かうにつれて外径が小さくなる円錐状の傾斜面に形成され、又、対向部134が幅方向の端部132bに向かうにつれて外径が小さくなる円錐状の傾斜面に形成されている。
【0088】
そして、外歯車130は、ベアリング150を介して回転部材160のカム部162のカム作用を受けることにより楕円状に変形させられて、第1内歯車120と二箇所で部分的に噛合すると共に、第2内歯車140と二箇所で部分的に噛合するようになっている。
【0089】
第2内歯車140は、金属材料を用いて、
図14及び
図15に示すように、加工により、円筒部141及び底壁部142を一体的に有する有底円筒状に形成され、内歯143、歯非形成部144、鍔部145を備えている。
【0090】
円筒部141は、軸線Sを中心とし、ハウジング110の内部に非接触に配置される外径寸法をなす外周面を画定する。
底壁部142は、軸線Sに垂直な平坦面として形成され、外歯車130の端部142bが接触し得る内壁面142aと、電動モータ100の本体部101に対向する外壁面142b、入力軸102を通す貫通孔142cを画定する。
内歯143は、円筒部141の内周面において、軸線Sを中心とする円環状に配列して形成された歯数Z13からなる歯列をなす。
そして、内歯143は、外歯車130の外歯131の軸線S方向における略半分の前側領域と噛合する。
ここで、内歯143の歯数Z13は、外歯車130の内歯131の歯数Z12と同一に設定されている。このように、歯数Z13,Z12を同一(Z13=Z12)とすることにより、第1内歯車120の歯数Z11と外歯車130の歯数Z12だけで、変速比、例えば減速比を容易に設定することができる。
【0091】
歯非形成部144は、
図14及び
図16に示すように、円筒部141に底壁部142が一体的に連続する隅部領域CAにおいて、内歯143が形成されない領域又は完全な歯の形態を成さない不完全な歯形態を含む領域であり、内歯143の歯底143aよりも内側に突出すると共に底壁部142に向かうにつれて内径が小さくなる傾斜断面をなす環状凸部である。
歯非形成部144は、切削加工で内歯143を成形する場合に切削刃で切削できずに残存する領域である。
鍔部145は、ハウジング110の嵌合凹部113に嵌合される外径寸法に形成され、ネジb4を通す円孔145aを有する。
【0092】
そして、第2内歯車140は、内歯143が外歯車130の外歯131と噛合した状態で、鍔部145がハウジング110の嵌合凹部113に嵌合されて、電動モータ100のフランジ部103により挟み込まれ、ネジb4が捩じ込まれることにより、ハウジング110に固定される。
【0093】
上記のように、外歯車130の端部132aが第1内歯車120の底壁部122に接触した状態で、対向部133が歯非形成部124と隙間をおいて対向するため、外歯131と歯非形成部124との干渉を防止できる。
また、外歯車130の端部132bが第2内歯車140の底壁部142に接触した状態で、対向部134が歯非形成部144と隙間をおいて対向するため、外歯131と歯非形成部144との干渉を防止できる。
それ故に、端部132aと底壁部122の間及び端部132bと底壁部142の間にスペーサ部材等を介在させて外歯131と歯非形成部124,142との干渉を防止する場合に比べて、部品点数を削減でき、又、軸線S方向における寸法の幅狭化を達成することができる。
【0094】
また、上記構成において、外歯車130は、
図16に示すように、軸線S方向において、第1内歯車120の底壁部122の内壁面122aと第2内歯車140の底壁部142の内壁面142aとの間に隙間Cをおいて配置されている。
すなわち、軸線S方向において、外歯車130の幅寸法は、第1内歯車120の底壁部122と第2内歯車140の底壁部142との離隔寸法よりも小さく設定されている。
これにより、外歯車130が、底壁部122と底壁部142の両方に同時に接触するのを防止できるため、摺動抵抗を低減することができる。
【0095】
ベアリング150は、
図15及び
図16に示すように、環状の内輪151、環状の外輪152、内輪151と外輪152の間に転動自在に配置された複数の転動体153、複数の転動体153を保持するリテーナ154を備えている。
【0096】
内輪151は、金属材料を用いて弾性変形可能な無端ベルト状に形成され、回転部材160のカム部162が嵌め込まれる。
外輪152は、金属材料を用いて弾性変形可能な無端ベルト状に形成され、外歯車130の内側に嵌め込まれる。
複数の転動体153は、金属材料を用いて球体に形成され、内輪151と外輪152の間に挟み込まれると共にリテーナ154により軸線S回りに等間隔に保持される。
リテーナ154は、金属材料を用いて弾性変形可能な無端ベルト状に形成され、複数の転動体153を等間隔で転動自在に保持する。
【0097】
そして、ベアリング150の内輪151及び外輪152は、回転部材160のカム部162に沿って楕円状に変形する。
このように、ベアリング150が、楕円変形させられた状態で回転部材160のカム部162と外歯車130の間に介在するため、回転部材160の回転に伴って、外歯車130を円滑に楕円変形させることができる。
【0098】
回転部材160は、
図13ないし
図15に示すように、略円筒状に形成され、嵌合孔161、カム部162を備えている。
嵌合孔161は、回転部材160が入力軸102と一体的に回転するべく、電動モータ100の入力軸102が嵌合されるように形成されている。
カム部162は、その外周面が軸線Sに垂直な直線方向において長軸をもつ楕円形を画定する楕円環状に形成され、外歯車130に対して楕円変形を生じさせるカム作用を及ぼす。
【0099】
そして、回転部材160は、電動モータの回転力が及ぼされることで、カム部162が外歯車130にカム作用を及ぼす。
これにより、第1内歯車120及び第2内歯車140と噛合した状態にある外歯車130が、楕円変形しつつその噛合位置が軸線S回りに連続的に変化する。
【0100】
上記構成において、第1内歯車120、外歯車130、及び第2内歯車140との関係について説明する。
第1内歯車120の歯数Z11と外歯車130の歯数Z12の関係は、相対回転を生じさせるため、第1内歯車120と外歯車130の噛合箇所の個数をN、正の整数をnとするとき、Z12=Z11±n・Nの関係が成立するように設定される。この実施形態においては、N=2であるため、例えば、Z11=162、Z12=160に設定される。
また、第2内歯車140の歯数Z13と外歯車130の歯数Z12の関係は、前述したように相対回転を生じないで同位相で回転するように、同一の値が選定される。この実施形態においては、例えば、Z13=160、Z12=160に設定される。
【0101】
上記構成をなす歯車変速装置M2では、電動モータ100の駆動力により入力軸102が回転すると、波動歯車ユニットにより減速されて、出力軸125が回転する。
この変速動作に際して、外歯車130の外歯131に対する内歯123と内歯143との噛合い状態の違いにより生じるスラスト力により、外歯車130は軸線S方向に移動する。
【0102】
外歯車130が、軸線S方向の奥側に向けて移動して、端部132aが第1内歯車120の底壁部122に接触した場合、対向部133が歯非形成部124と隙間をおいて対向するため、外歯131と歯非形成部124との干渉を防止できる。これにより、外歯車130の外歯131は、第1内歯車120の内歯123に正常に噛合して円滑に回転することができる。
一方、外歯車130が、軸線S方向の前側に向けて移動して、端部132bが第2内歯車140の底壁部142に接触した場合、対向部134が歯非形成部144と隙間をおいて対向するため、外歯131と歯非形成部144との干渉を防止できる。これにより、外歯車130の外歯131は、第2内歯車140の内歯143に正常に噛合して円滑に回転することができる。
【0103】
また、外歯車130は、
図16に示すように、第1内歯車120の底壁部122(内壁面122a)と第2内歯車140の底壁部142(内壁面142a)との間に隙間Cをおいて配置されているため、外歯車130は底壁部122と底壁部142の両方に同時に接触することはなく、その分だけ摺動抵抗を低減することができる。
上記構成をなす歯車変速装置M2によれば、構造の簡素化、小型化、部品点数の削減、低コスト化等を達成できる。
【0104】
尚、上記実施形態においては、第2内歯車として、円筒部141及び底壁部142が一体的に形成された第2内歯車140を示したが、これに限定されるものではなく、第2内歯車を円筒状に形成し、カバー部材を第2内歯車に隣接して配置すると共に第2内歯車に固定する構成を採用してもよい。
【0105】
上記のバルブタイミング変更装置Mに係る実施形態においては、外歯車40と回転部材70の間にベアリング70を介在させた構成を示したが、これに限定されるものではなく、カム部73に外歯車40を直接嵌め込む構成を採用してもよい。
また、ベアリングとして、内輪61、転動体63、外輪62を含むベアリング60を示したが、これに限定されるものではなく、ベアリングを内輪と転動体により構成し、外輪の代わりに外歯車40を適用する構成を採用してもよい。
【0106】
上記の歯車変速装置M2に係る実施形態においては、外歯車130と回転部材160の間にベアリング150を介在させた構成を示したが、これに限定されるものではなく、カム部162に外歯車130を直接嵌め込む構成を採用してもよい。
また、ベアリングとして、内輪151、転動体153、外輪152を含むベアリング150を示したが、これに限定されるものではなく、ベアリングを内輪と転動体により構成し、外輪の代わりに外歯車130を適用する構成を採用してもよい。
【0107】
以上述べたように、本発明の波動歯車ユニットは、構造の簡素化、小型化、部品点数の削減、低コスト化等を達成できるため、バルブタイミング変更装置の位相変更ユニットとして、又、歯車変速装置の変速ユニットとして適用できることは勿論のこと、その他の回転伝達装置における減速機、増速機、あるいは変速機等としても適用できる。
【符号の説明】
【0108】
S 軸線
M バルブタイミング変更装置
2 カムシャフト
10 ハウジングロータ
11a スプロケット
12 第2ハウジング(カバー部材)
20 第1内歯車(波動歯車ユニット、位相変更ユニット)
21 円筒部
22 底壁部
CA 隅部領域
23 内歯
23a 歯底
24 歯非形成部
26 油通路
40 外歯車(波動歯車ユニット、位相変更ユニット)
41 外歯
42a,42b 端部
43,44,45 対向部
50 第2内歯車(波動歯車ユニット、位相変更ユニット)
52 内歯
70 回転部材(波動歯車ユニット、位相変更ユニット)
M2 歯車変速装置
100 電動モータ
102 入力軸
110 ハウジング
120 第1内歯車(波動歯車ユニット、変速ユニット)
121 円筒部
122 底壁部
123 内歯
123a 歯底
124 歯非形成部
125 出力軸
130 外歯車
131 外歯
132a,132b 端部
133,134 対向部
140 第2内歯車(波動歯車ユニット、変速ユニット)
141 円筒部
142 底壁部
143 内歯
143a 歯底
144 歯非形成部
160 回転部材(波動歯車ユニット、変速ユニット)