(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】人力駆動車用ペダリング装置および人力駆動車用ペダリングシステム
(51)【国際特許分類】
B62M 3/00 20060101AFI20230925BHJP
B62J 6/06 20060101ALI20230925BHJP
B62J 43/30 20200101ALI20230925BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20230925BHJP
H02N 2/18 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
B62M3/00 Z
B62J6/06
B62J43/30
B62J45/00
B62M3/00 B
B62M3/00 D
H02N2/18
(21)【出願番号】P 2019092318
(22)【出願日】2019-05-15
【審査請求日】2022-02-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【氏名又は名称】森 昌康
(72)【発明者】
【氏名】駒田 耕之
(72)【発明者】
【氏名】掛橋 駿
(72)【発明者】
【氏名】井上 暁
(72)【発明者】
【氏名】小山 諒
(72)【発明者】
【氏名】村岡 勉
(72)【発明者】
【氏名】松井 久
(72)【発明者】
【氏名】桑山 和也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 拓真
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-177203(JP,A)
【文献】特開2007-230340(JP,A)
【文献】特開2018-039466(JP,A)
【文献】特開2019-182201(JP,A)
【文献】特開2018-203204(JP,A)
【文献】特開2018-144614(JP,A)
【文献】特開2009-006991(JP,A)
【文献】特開2006-107859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 3/00- 3/16
B62J 43/00-43/30
H02N 2/00- 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のペダリング装置であって、
少なくとも人力を含む駆動力に応じて回転軸心回りに回転可能な回転体と、
前記回転体に作用する前記駆動力に応じて発電することで電力を生成する発電装置と、
前記発電装置からの前記電力を蓄電する蓄電装置と、を備え、
前記回転体は、第1端部および第2端部を含み、前記第1端部から前記第2端部まで第1方向に沿って延び、
前記発電装置は、前記回転体に取り付けられる発電素子を含み、
前記発電素子は、前記第1方向に定義される第1長さと、前記第1方向に垂直な第2方向に定義される第2長さと、前記第1方向および前記第2方向に垂直な第3方向に定義される厚みと、を有し、
前記第1長さは、前記第2長さよりも長い、
人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項2】
前記回転体は、前記回転軸心に沿って延びるクランク軸と、前記クランク軸から前記回転軸心に対して径方向に延びるクランクアームを含み、
前記発電装置は、前記クランクアームに設けられる、
請求項1に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項3】
前記クランクアームは、ペダルを取付可能な前記第1端部と、前記クランク軸に取り付けられる前記第2端部と、前記第1端部に設けられる第1孔と、前記第2端部に設けられる第2孔と、を有し、
前記発電装置は、前記第1孔および前記第2孔の間に設けられる、
請求項2に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項4】
前記発電装置は、前記クランクアームに作用する前記駆動力に応じて発電する、
請求項2または3に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項5】
前記回転体に作用する前記駆動力を前記発電装置に伝達するように前記回転体に設けられる伝達部材をさらに備え、
前記伝達部材に作用する前記駆動力に対する前記伝達部材の変形量の割合は、前記回転体に作用する前記駆動力に対する前記回転体の変形量の割合よりも大きい、
請求項1から4のいずれか1項に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項6】
前記伝達部材は、前記回転体の材質とは異なる材質で形成される、
請求項5に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項7】
前記回転体は、前記回転軸心に沿って延びるクランク軸と、前記クランク軸から前記回転軸心に対して径方向に延びるクランクアームを含み、
前記クランクアームは、ペダルを取付可能な前記第1端部と、前記クランク軸に取り付けられる前記第2端部と、前記第1端部に設けられる第1孔と、前記第2端部に設けられる第2孔と、を有し、
前記伝達部材は、前記第2端部よりも前記第1端部の近くに配置される、
請求項5または6に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項8】
前記発電装置は、圧電素子を含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項9】
前記蓄電装置は、前記回転体に設けられる、
請求項1から8のいずれか1項に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項10】
前記蓄電装置は、前記回転体とは別個に設けられる、
請求項1から8のいずれか1項に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項11】
前記発電装置は、第1端子を含み、
前記蓄電装置は、前記第1端子に電気的に接続される第2端子を含む、
請求項1から10のいずれか1項に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項12】
前記回転体は、クランクアームを含み、
前記クランクアームは、前記第1端部および前記第2端部を有し、前記第1端部から前記第2端部まで前記第1方向に沿って延びる、
請求項1に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項13】
前記第1長さは、前記厚みよりも長い、
請求項1または12に記載の人力駆動車用ペダリング装置。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか1項に記載の前記人力駆動車用ペダリング装置と、
前記蓄電装置に蓄電される電気を利用する電子コンポーネントを制御するコントローラと、
を備える、人力駆動車用ペダリングシステム。
【請求項15】
前記電子コンポーネントは、変速機、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、ブレーキ装置、ライト、表示装置、およびアシスト駆動装置の少なくとも1つを含む、
請求項14に記載の人力駆動車用ペダリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される技術は、人力駆動車用ペダリング装置および人力駆動車用ペダリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機械式リングアンプを有するクランクアームが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願に開示される技術の課題は、例えば、人力の利用効率を高めることができる人力駆動車用ペダリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、回転体と、発電装置と、蓄電装置と、を備える。回転体は少なくとも人力を含む駆動力に応じて回転軸心回りに回転可能である。発電装置は回転体に作用する駆動力に応じて発電する。蓄電装置は発電装置からの電力を蓄電する。
【0006】
第1の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、発電装置が駆動力を利用して発電するので、回転体に入力される人力の利用効率を高めることができる。
【0007】
第2の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第1の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、回転体は、回転軸心に沿って延びるクランク軸と、クランク軸から回転軸心に対して径方向に延びるクランクアームを含む。発電装置はクランクアームに設けられる。
【0008】
第2の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、クランクアームに作用する駆動力を利用して発電装置が発電するので、回転体に入力される人力の利用効率をさらに高めることができる。
【0009】
第3の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第2の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、クランクアームは、ペダルを取付可能な第1端部と、クランク軸に取り付けられる第2端部と、第1端部に設けられる第1孔と、第2端部に設けられる第2孔と、を有する。発電装置は第1孔および第2孔の間に設けられる。
【0010】
第3の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、クランクアームに作用する駆動力を効率よく利用できる。
【0011】
第4の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第2または第3の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、発電装置はクランクアームに作用する駆動力に応じて発電する。
【0012】
第4の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、クランクアームに作用する駆動力を効率よく利用できる。
【0013】
第5の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第1から第4のいずれか1つの側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、回転体に作用する駆動力を発電装置に伝達するように回転体に設けられる伝達部材をさらに備える。伝達部材における駆動力の伝達効率は回転体における駆動力の伝達効率よりも大きい。
【0014】
第5の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、駆動力による回転体の変形を伝達部材によって効率よく発電装置に伝達することができる。したがって、伝達部材によって回転体に入力される人力の利用効率をさらに高めることができる。
【0015】
第6の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第5の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、伝達部材は回転体の材質とは異なる材質で形成される。
【0016】
第6の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、伝達部材によって回転体に入力される人力の利用効率をさらに高めることができる。
【0017】
第7の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第5または第6の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、回転体は、回転軸心に沿って延びるクランク軸と、クランク軸から回転軸心に対して径方向に延びるクランクアームを含む。クランクアームは、ペダルを取付可能な第1端部と、クランク軸に取り付けられる第2端部と、第1端部に設けられる第1孔と、第2端部に設けられる第2孔と、を有する。伝達部材は第2端部よりも第1端部の近くに配置される、
第7の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、伝達部材によって回転体に入力される人力の利用効率をより効果的に高めることができる。
【0018】
第8の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第1から第7のいずれか1つの側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、発電装置は圧電素子を含む。
【0019】
第8の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、圧電素子によって回転体に入力される人力の利用効率をさらに高めることができる。
【0020】
第9の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第1から第8のいずれか1つの側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、蓄電装置は回転体に設けられる。
【0021】
第9の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、回転体の一部を蓄電装置の配置場所として利用することができる。
【0022】
第10の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第1から第8のいずれか1つの側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、蓄電装置は回転体とは別個に設けられる。
【0023】
第10の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、蓄電装置の配置が回転体の制約を受けない。
【0024】
第11の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置は、第1から第10のいずれか1つの側面に係る人力駆動車用ペダリング装置において、発電装置は第1端子を含む。蓄電装置は第1端子に電気的に接続される第2端子を含む。
【0025】
第11の側面に係る人力駆動車用ペダリング装置では、発電装置を蓄電装置に確実に接続することができる。
【0026】
第12の側面に係る人力駆動車用ペダリングシステムは、第1から第11のいずれか1つの側面に係る人力駆動車用ペダリング装置と、蓄電装置に蓄電される電気を利用する電子コンポーネントを制御するコントローラと、を備える。
【0027】
第12の側面に係る人力駆動車用ペダリングシステムでは、電子コンポーネントで消費される電力の少なくとも一部を人力駆動車用ペダリング装置で発生する電力で賄うことができる。
【0028】
第13の側面に係る人力駆動車用ペダリングシステムは、第12の側面に係る人力駆動車用ペダリングシステムにおいて、電子コンポーネントは、変速機、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、ブレーキ装置、ライト、表示装置、およびアシスト駆動装置の少なくとも1つを含む。
【0029】
第13の側面に係る人力駆動車用ペダリングシステムでは、人力駆動車用ペダリング装置で発生する電力を様々な電子コンポーネントにおいて利用することができる。
【発明の効果】
【0030】
本願に開示される技術であれば、例えば、人力の利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1実施形態に係る人力駆動車用ペダリングシステムの人力駆動車用ペダリング装置の斜視図
【
図2】
図1のラインII-IIにおける人力駆動車用ペダリング装置の断面図
【
図3】
図2のラインIII-IIIにおける人力駆動車用ペダリング装置の断面図
【
図4】
図2のラインIV-IVにおける人力駆動車用ペダリング装置の断面図
【
図5】
図1の人力駆動車用ペダリングシステムの概略ブロック図
【
図6】第2実施形態に係る人力駆動車用ペダリングシステムの概略ブロック図
【
図7】変形例に係る人力駆動車用ペダリングシステムの概略ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図中において同じ符号は、対応するまたは同一の構成を示す。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、人力駆動車用ペダリングシステム10は人力駆動車用ペダリング装置12を備える。人力駆動車用ペダリング装置12は回転体14を備える。回転体14は少なくとも人力を含む駆動力F1に応じて回転軸心A1回りに回転可能である。例えば、回転体14は人力駆動車両のフレームに回転可能に取り付けられる。回転体14は人力を受けるように構成される。本実施形態では、回転体14はクランク軸16を含む。クランク軸16は回転軸心A1に沿って延びる。回転体14はクランクアーム18を含む。クランクアーム18はクランク軸16から回転軸心A1に対して径方向に延びる。回転体14はクランクアーム20を含む。クランクアーム20はクランク軸16から回転軸心A1に対して径方向に延びる。クランクアーム18は第1クランクアーム18と称することもできる。クランクアーム20は第2クランクアーム20と称することもできる。
【0033】
本実施形態では、クランクアーム18および20は人力を受けるように構成される。ここでいう「人力」とは、人力駆動車の推進力を得るためにライダーから回転体に付与される力をいう。人力は、人力駆動車用ペダリング装置12に入力されるペダリング力と言い換えることもできる。「駆動力」とは、回転体14の回転に寄与する力をいい、人力を含む。駆動力F1は、人力に加えてアシスト駆動装置から入力されるアシスト駆動力も含み得る。本実施形態では、駆動力F1は駆動力F11および駆動力F12を含む。クランクアーム18は駆動力F11を受けるように構成される。クランクアーム20は駆動力F12を受けるように構成される。しかし、クランクアーム18および20のうち一方が回転体14から省略されてもよい。
【0034】
回転体14はスプロケット22をさらに含む。スプロケット22はクランクアーム18に連結される。回転体14はスプロケット26をさらに含む。スプロケット26はスプロケット22に連結される。スプロケット22および26はチェーン24と係合するように構成される。スプロケット22または26はチェーン24を介して駆動力F1を他のスプロケットに伝達するように構成される。
【0035】
図2に示すように、クランクアーム18は、ペダルP1を取付可能な第1端部18Aと、クランク軸16に取り付けられる第2端部18Bと、を有する。クランクアーム18は第1孔18Cおよび第2孔18Dを有する。第1孔18Cは第1端部18Aに設けられる。第2孔18Dは第2端部18Bに設けられる。ペダルP1は第1孔18Cに取り付けられる。クランク軸16は第2孔18Dに取り付けられる。
【0036】
同様に、クランクアーム20は、ペダルP2を取付可能な第1端部20Aと、クランク軸16に取り付けられる第2端部20Bと、を有する。クランクアーム20は第1孔20Cおよび第2孔20Dを有する。第1孔20Cは第1端部20Aに設けられる。第2孔20Dは第2端部20Bに設けられる。ペダルP2は第1孔20Cに取り付けられる。クランク軸16は第2孔20Dに取り付けられる。
【0037】
クランク軸16は、円筒形状を有し、第1軸端16Aおよび第2軸端16Bを含む。クランク軸16は第1軸端16Aから第2軸端16Bまで回転軸心A1に沿って延びる。クランクアーム18は第1軸端16Aに連結される。クランクアーム20は第2軸端16Bに連結される。クランク軸16はフレーム2に取り付けられたボトムブラケット4に回転可能に支持される。
【0038】
図2に示すように、人力駆動車用ペダリング装置12は発電装置28を備える。発電装置28は回転体14に作用する駆動力F1に応じて発電する。駆動力F1は余剰力F2を含む。例えば、発電装置28は回転体14に作用する駆動力F1のうち余剰力F2に応じて発電する。ここでいう「余剰力」とは、回転体14に入力される人力のうち回転体14の回転に寄与しない力をいう。余剰力F2は、回転体14に作用する人力のうち回転軸心A1に直交する方向D2および平行な方向D3のうち少なくとも一方において回転体14に作用する力をいう。しかし、発電装置28が、余剰力F2に加えて、周方向D1において回転体14に作用する力(例えば、駆動力F11およびF12)に応じて発電してもよい。
【0039】
発電装置28はクランクアーム18および/または20に作用する駆動力F1に応じて発電する。本実施形態では、発電装置28は第1発電素子29および第2発電素子30を含む。余剰力F2はクランクアーム18に作用する余剰力F21とクランクアーム20に作用する余剰力F22とを含む。第1発電素子29はクランクアーム18に作用する余剰力F21に応じて発電する。第2発電素子30はクランクアーム20に作用する余剰力F22に応じて発電する。
【0040】
余剰力F21は、クランクアーム18に作用する人力のうち、周方向D1とは異なる方向の成分をいう。余剰力F22とは、クランクアーム20に作用する人力のうち、周方向D1とは異なる方向の成分をいう。余剰力F21は、クランクアーム18に作用する人力のうち、回転軸心A1に直交する方向D2の成分および平行な方向D3の成分うち少なくとも一方を含む。余剰力F22は、クランクアーム20に作用する人力のうち、回転軸心A1に直交する方向D2の成分および平行な方向D3の成分うち少なくとも一方を含む。
【0041】
本実施形態は、発電装置28はクランクアーム18および/または20に設けられる。第1発電素子29はクランクアーム18に設けられる。第2発電素子30はクランクアーム20に設けられる。
【0042】
例えば、発電装置28は第1孔18Cおよび第2孔18Dの間に設けられる。本実施形態では、第1発電素子29は第1孔18Cおよび第2孔18Dの間に設けられる。第1発電素子29は第1端部18Aおよび第2端部18Bの間に配置される。クランクアーム18は中空構造を有する。クランクアーム18は、第1壁18E、第2壁18F、および内部空間18Gを含む。第1壁18Eは第1端部18Aから第2端部18Bまで延びる。第2壁18Fは第1端部18Aから第2端部18Bまで延びる。第2壁18Fは第1壁18Eと方向D3に間隔を空けて配置される。内部空間18Gは第1壁18Eおよび第2壁18Fの間に設けられる。第1発電素子29は、クランクアーム18の内部空間18G内に配置され、第1壁18Eに取り付けられる。
【0043】
図3に示すように、クランクアーム18は第3壁18Hおよび第4壁Kを含む。第3壁18Hは第4壁18Kと周方向D1に間隔を空けて配置される。内部空間18Gは第1壁18E、第2壁18F、第3壁18H、および第4壁18Kの間に設けられる。第1発電素子29は周方向D1において第3壁18Hおよび第4壁18Kの間に配置される。しかし、第1発電素子29の配置は本実施形態に限定されない。例えば、第1発電素子29はクランクアーム18のどの部分(例えば、第1壁18E、第2壁18F、第3壁18H、および第4壁18Kのうち少なくとも1つ)に配置されていてもよい。また、第1発電素子29は回転体14においてクランクアーム18以外の部分に配置されていてもよい。
【0044】
図2に示すように、発電装置28は第1孔20Cおよび第2孔20Dの間に設けられる。本実施形態では、第2発電素子30は第1孔20Cおよび第2孔20Dの間に設けられる。第2発電素子30は第1端部20Aおよび第2端部20Bの間に配置される。クランクアーム20は中空構造を有する。クランクアーム20は、第1壁20E、第2壁20F、および内部空間20Gを含む。第1壁20Eは第1端部20Aから第2端部20Bまで延びる。第2壁20Fは第1端部20Aから第2端部20Bまで延びる。第2壁20Fは第1壁20Eと方向D3に間隔を空けて配置される。内部空間20Gは第1壁20Eおよび第2壁20Fの間に設けられる。第2発電素子30は、クランクアーム20の内部空間20G内に配置され、第1壁20Eに取り付けられる。
【0045】
図4に示すように、クランクアーム20は第3壁20Hおよび第4壁Kを含む。第3壁20Hは第4壁20Kと周方向D1に間隔を空けて配置される。内部空間20Gは第1壁20E、第2壁20F、第3壁20H、および第4壁20Kの間に設けられる。第2発電素子30は周方向D1において第3壁20Hおよび第4壁20Kの間に配置される。しかし、第2発電素子30の配置は本実施形態に限定されない。例えば、第2発電素子30はクランクアーム20のどの部分(例えば、第1壁20E、第2壁20F、第3壁20H、および第4壁20Kのうち少なくとも1つ)に配置されていてもよい。また、第2発電素子30は回転体14においてクランクアーム20以外の部分に配置されていてもよい。
【0046】
発電装置28は圧電素子を含む。圧電素子は外力によって生じる歪みに応じて電圧を発生する。第1発電素子29は圧電素子を含む。第2発電素子30は圧電素子を含む。クランクアーム18の変形に応じて第1発電素子29に歪みが生じる。第1発電素子29はクランクアーム18の変形に伴う歪みに応じて電圧を発生する。クランクアーム20の変形に応じて第2発電素子30に歪みが生じる。第2発電素子30はクランクアーム20の変形に伴う歪みに応じて電圧を発生する。発電装置28は圧電素子以外の構成によって発電してもよい。
【0047】
人力駆動車用ペダリング装置12は伝達部材32をさらに備える。伝達部材32は回転体14に作用する駆動力F1を発電装置28に伝達するように回転体14に設けられる。伝達部材32における駆動力F1の伝達効率は、回転体14における駆動力F1の伝達効率よりも大きい。伝達部材32は回転体14に作用する余剰力F2を発電装置28に伝達するように回転体14に設けられる。伝達部材32における余剰力F2の伝達効率は、回転体14における余剰力F2の伝達効率よりも大きい
伝達部材32は第1伝達部材33および第2伝達部材34を含む。第1伝達部材33はクランクアーム18に作用する余剰力F21を第1発電素子29に伝達するようにクランクアーム18に設けられる。第1伝達部材33における余剰力F21の伝達効率は、クランクアーム18における余剰力F21の伝達効率よりも大きい。第2伝達部材34はクランクアーム20に作用する余剰力F22を第2発電素子30に伝達するようにクランクアーム20に設けられる。第2伝達部材34における余剰力F22の伝達効率は、クランクアーム20における余剰力F22の伝達効率よりも大きい。
【0048】
ここでいう「伝達効率」とは、部材に作用する力に対するその部材の変形量の割合をいう。例えば、「伝達部材32における駆動力F1(または余剰力F2)の伝達効率」とは、伝達部材32に作用する駆動力F1(または余剰力F2)に対する伝達部材32の変形量の割合をいう。「回転体14における駆動力F1(または余剰力F2)の伝達効率」とは、回転体14に作用する駆動力F1(または余剰力F2)に対する回転体14の変形量の割合をいう。「第1伝達部材33における駆動力F1(または余剰力F21)の伝達効率」とは、第1伝達部材33に作用する駆動力F1(または余剰力F21)に対する第1伝達部材33の変形量の割合をいう。「クランクアーム18における駆動力F1(または余剰力F21)の伝達効率」とは、クランクアーム18に作用する駆動力F1(または余剰力F21)に対するクランクアーム18の変形量の割合をいう。「第2伝達部材34における駆動力F1(または余剰力F22)の伝達効率」とは、第2伝達部材34に作用する駆動力F1(または余剰力F22)に対する第2伝達部材34の変形量の割合をいう。「クランクアーム20における駆動力F1(または余剰力F22)の伝達効率」とは、クランクアーム20に作用する駆動力F1(または余剰力F22)に対するクランクアーム20の変形量の割合をいう。
【0049】
伝達部材32は回転体14の材質とは異なる材質で形成される。第1伝達部材33はクランクアーム18の材質とは異なる材質で形成される。第2伝達部材34はクランクアーム20の材質とは異なる材質で形成される。本実施形態では、回転体14の材質は金属(例えば、アルミ)および/または樹脂(例えば、繊維強化プラスチック)を含む。伝達部材32の材質は弾性部材を含む。例えば、伝達部材32の材質はゴムを含む。第1伝達部材33の材質はゴムを含む。第2伝達部材34の材質はゴムを含む。しかし、伝達部材32の材質は本実施形態に限定されない。
【0050】
伝達部材32は第2端部18Bよりも第1端部18Aの近くに配置される。本実施形態では、第1伝達部材33は第2端部18Bよりも第1端部18Aの近くに配置される。第1伝達部材33は、クランクアーム18の内部空間18G内に配置され、第1壁18Eに取り付けられる。第1伝達部材33は第1壁18Eおよび発電装置28の間に配置される。第1伝達部材33は、第1壁18Eの変形を増幅して発電装置28に伝達する。第1伝達部材33は人力駆動車用ペダリング装置12から省略されてもよい。
【0051】
同様に、伝達部材32は第2端部20Bよりも第1端部20Aの近くに配置される。本実施形態では、第2伝達部材34は第2端部20Bよりも第1端部20Aの近くに配置される。第2伝達部材34は、クランクアーム20の内部空間20G内に配置され、第1壁20Eに取り付けられる。第2伝達部材34は第1壁20Eおよび発電装置28の間に配置される。第2伝達部材34は、第1壁20Eの変形を増幅して発電装置28に伝達する。第2伝達部材34は人力駆動車用ペダリング装置12から省略されてもよい。
【0052】
人力駆動車用ペダリング装置12は蓄電装置36を備える。蓄電装置36は発電装置28からの電力を蓄電する。蓄電装置36は第1発電素子29および第2発電素子30で発生する電力を蓄電するように第1発電素子29および第2発電素子30に電気的に接続される。本実施形態では、蓄電装置36は回転体14に設けられる。例えば、蓄電装置36はクランク軸16の内部に配置される。しかし、蓄電装置36の配置は本実施形態には限定されない。例えば、蓄電装置36は、クランク軸16の代わりに、あるいはクランク軸16に加えて、クランクアーム18および20のうち少なくとも一方に設けられてもよい。また、蓄電装置36は回転体14とは別個に設けられてもよい。
【0053】
発電装置28は第1端子38を含む。発電装置28は第1発電素子29を第1端子38に電気的に接続する第1配線39を含む。蓄電装置36は第1端子38に電気的に接続される第2端子40を含む。第1端子38は第2端子40に取り外し可能に接続される。
【0054】
発電装置28は第1端子42を含む。発電装置28は第2発電素子30を第1端子42に電気的に接続する第2配線43を含む。蓄電装置36は第1端子42に電気的に接続される第2端子44を含む。第1端子42は第2端子44に取り外し可能に接続される。
【0055】
ここでいう「取り外し可能に接続」とは、実質的なダメージなしで、第1要素に対する第2要素の取り外しおよび接続を繰り返し行える構成を包含する。すなわち、第1端子38は第2端子40に、実質的なダメージなしで取り外し可能に接続される。第1端子42は第2端子44に、実質的なダメージなしで取り外し可能に接続される。
【0056】
図5に示すように、蓄電装置36は、キャパシタ36A、整流回路36B、および電圧レギュレータ36Cを含む。整流回路36Bは、発電装置28に電気的に接続され、発電装置28で発生する電力を整流する。本実施形態では、整流回路36Bは第1整流回路36B1および第2整流回路36B2を含む。第1整流回路36B1は、第1発電素子29に電気的に接続され、第1発電素子29で発生する電力を整流する。第2整流回路36B2は、第2発電素子30に電気的に接続され、第2発電素子30で発生する電力を整流する。キャパシタ36Aは整流回路36Bで整流される電力を蓄電する。キャパシタ36Aは第1整流回路36B1および第2整流回路36B2で整流される電力を蓄電する。電圧レギュレータ36Cはキャパシタ36Aから出力される電圧を所定のレベルに調整する。
【0057】
人力駆動車用ペダリングシステム10はコントローラ46を備える。コントローラ46は、蓄電装置36に蓄電される電気を利用する電子コンポーネント48を制御する。コントローラ46は電子コンポーネント48と電気的に接続される。電子コンポーネント48は、変速機、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、ブレーキ装置、ライト、表示装置、およびアシスト駆動装置の少なくとも1つを含む。コントローラ46は電子コンポーネント48と電気的に接続される。本実施形態では、電子コンポーネント48は蓄電装置36に蓄電される電気を利用する変速機50を含む。コントローラ46は変速機50を制御する。変速機50はチェーン24をシフトするアクチュエータ50Aを含む。コントローラ46は、操作装置から送信される制御コマンドに基づいてアクチュエータ50Aを制御する。変速機50は従来の構造を含むので、変速機50の詳細な説明は省略する。
【0058】
コントローラ46はプロセッサ46Aおよびメモリを含む。プロセッサ46Aは、CPU(Central Processing Unit)およびメモリコントローラを含む。メモリ46BはROM(Read Only Memory)およびRAM(Random-Access Memory)を含む。ROMは非一時的かつコンピュータが読み込み可能な記憶媒体(Non-Transitory Computer-Readable Storage Medium)を含む。RAMは一時的かつコンピュータが読み込み可能な記憶媒体(Transitory Computer-Readable Storage Medium)を含む。メモリ46BはROMおよびRAMの中にアドレスをそれぞれ有する複数の記憶領域を含む。プロセッサ46Aはメモリ46Bの記憶領域にデータを記憶するようメモリ46Bを制御したりメモリ46Bに記憶されたデータを読み込んだりする。
【0059】
コントローラ46は回路基板46Cおよびバス46Dを含む。プロセッサ46Aおよびメモリ46Bは回路基板46C上に電気的に搭載される。プロセッサ46Aおよびメモリ46Bは回路基板46Cおよびバス46Dを介して電気的に接続される。メモリ46B(例えばROM)はプログラムを記憶する。プログラムがプロセッサ46Aに読み込まれることで、コントローラ46の構成および/またはアルゴリズムが実現される。
【0060】
本実施形態では、コントローラ46は回転体14とは別個に設けられる。例えば、コントローラ46は電子コンポーネント48に設けられる。しかし、コントローラ46は回転体14に設けられてもよい。例えば、コントローラ46は、クランク軸16の内部、クランクアーム18の内部、およびクランクアーム20の内部のうち少なくとも1つに設けられてもよい。
【0061】
人力駆動車用ペダリング装置12は電気接点52を含む。電気接点52はボトムブラケット4に組み込まれる。クランク軸16は環状の回転電気接点54を含む。回転電気接点54は電気接点52と接触する。回転体14が回転していても電気接点52および回転電気接点54を介して蓄電装置36からコントローラ46および変速機50に電力が供給される。
〔第2実施形態〕
次に、
図6を参照して、第2実施形態に係る人力駆動車用ペダリングシステム210を説明する。人力駆動車用ペダリングシステム210は、蓄電装置36の配置以外は人力駆動車用ペダリングシステム10と同じ構造および/または構成を有する。したがって、本明細書では、説明を簡潔にするために、第1実施形態で説明した機能と実質的に同じ機能を有する要素は同じ番号で示し、それらの説明は省略する、および/あるいは、それらを詳細には図示しない。
【0062】
図6に示すように、人力駆動車用ペダリングシステム210は人力駆動車用ペダリング装置212を備える。人力駆動車用ペダリング装置212は回転体14を備える。人力駆動車用ペダリング装置12は、発電装置28、および蓄電装置36を備える。本実施形態では、蓄電装置36は回転体14とは別個に設けられる。例えば、蓄電装置36はコントローラ46に設けられている。
【0063】
人力駆動車用ペダリング装置212は電気接点252Aおよび52Bを含む。電気接点252Aおよび252Bはボトムブラケット4に組み込まれる。クランク軸16は環状の回転電気接点254Aおよび254Bを含む。回転電気接点254Aは電気接点252Aと接触する。回転電気接点254Bは電気接点252Bと接触する。第1発電素子29は回転電気接点254Aおよび電気接点252Aを介して第2整流回路36B2に電気的に接続される。第2発電素子30は回転電気接点254Bおよび電気接点252Bを介して第2整流回路36B2に電気的に接続される。
〔変形例〕
前述の第1および第2実施形態では、電子コンポーネント48は変速機50を含む。しかし、
図7に示すように、電子コンポーネント48は、変速機50、サスペンション56、アジャスタブルシートポスト58、ブレーキ装置60、ライト62、表示装置64、およびアシスト駆動装置66の少なくとも1つを含んでいてもよい。サスペンション56、アジャスタブルシートポスト58、ブレーキ装置60、ライト62、表示装置64、およびアシスト駆動装置66は、従来の構造を含むので、これらの詳細な説明は省略する。
【0064】
本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0065】
「~部材」、「~部」、「~要素」、「~体」、および「~構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0066】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在することを暗に意味するわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在することを暗に意味するわけではない。
【0067】
ここで用いられる「一対の」という用語は、一対の要素が同じ形状や構造を有する場合に加えて、一対の要素が異なる形状や構造を有する場合も包含する。
【0068】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。例えば、「AおよびBのうち少なくとも1つ」というフレーズは、(1)Aのみ、(2)Bのみ、および(3)AおよびBの両方、を包含する。「A、B、およびCのうち少なくとも1つ」というフレーズは、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)AおよびBの両方、(5)BおよびCの両方、(6)AおよびCの両方、および(7)A、BおよびC全て、を包含する。言い換えると、本開示では、「AおよびBのうち少なくとも1つ」というフレーズは、「Aのうち少なくとも1つおよびBのうち少なくとも1つ」を意味するものではない。
【0069】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0070】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 人力駆動車用ペダリングシステム、12 人力駆動車用ペダリング装置、14 回転体、16 クランク軸、18 クランクアーム、20 クランクアーム、28 発電装置、36 蓄電装置、38 第1端子、40、第2端子、42 第1端子、44 第2端子、48 電子コンポーネント、50 変速機、56 サスペンション、58 アジャスタブルシートポスト、60 ブレーキ装置、62 ライト、64 表示装置、66 アシスト駆動装置