(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】縁取り専用カッターおよびステーショナリーシステム
(51)【国際特許分類】
B26B 25/00 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
B26B25/00 A
(21)【出願番号】P 2019103367
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105120
【氏名又は名称】岩田 哲幸
(74)【代理人】
【識別番号】100106725
【氏名又は名称】池田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】最上 さやか
(72)【発明者】
【氏名】繁田 さくら
(72)【発明者】
【氏名】早田 香織
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 里英
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-178508(JP,A)
【文献】実開昭55-151269(JP,U)
【文献】実公昭49-040630(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル式の縁取り専用カッターであって、
当該縁取り専用カッターの外郭を構成する本体部と、
前記本体部に、所定の長尺方向に延在するように設けられて、縁取り作業の作業対象が挿入可能なスロット部と、
前記スロット部に刃部が位置するように、支持シャフトを介して、前記本体部に回転自在に軸支されて収容されたロータリーブレードと、を有し、
前記スロット部に挿入された作業対象が、前記スロット部に対して前記長尺方向に相対的に移動することにより、前記ロータリーブレードが前記作業対象をカットするように構成された縁取り専用カッターであって、
前記本体部は、
使用者の手による把持に供されるとともに、縁部を備えた開口部を有し、前記開口部から前記刃部が露出するように前記ロータリーブレードが収容され、前記縁部が前記スロット部の天面を形成するように構成された第1本体部と、
前記第1本体部の開口部を覆うとともに、前記縁部と組み合されて、前記スロット部の底面を形成する第2本体部と、を有し、
さらに前記支持シャフトは、当該支持シャフトの軸が径方向となるように回動可能な支持シャフト回動軸を有しており、
前記当該支持シャフトは、
使用者の手動操作によって前記支持シャフト回動軸回りに回動することで、前記ロータリ
ーブレードの刃部が前記スロット部に臨む使用位置と、前記ロータリ
ーブレードを前記開口部から外部に露出して当該ロータリ
ーブレードを交換可能とするための交換位置との間で、切り替え可能に構成されていることを特徴とする縁取り専用カッター。
【請求項2】
請求項1に記載の縁取り専用カッターであって、前記第1本体部および第2本体部の少なくとも一方は、前記スロット部に挿入されて相対移動する作業対象の端部に対する位置決め用の側壁部を更に有することを特徴とする縁取り専用カッター。
【請求項3】
請求項1または2に記載の縁取り専用カッターであって、前記ロータリーブレードの刃部は、当該ロータリーブレードの幅方向に波状に形成されており、前記スロット部に挿入されて相対移動する作業対象に対して、波状のカット処理が行われるように構成されていることを特徴とする縁取り専用カッター。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の縁取り専用カッターであって、使用者の手動操作により前記使用位置と前記交換位置との間で前記支持シャフトを回動動作されるための手動操作部を有することを特徴とする縁取り専用カッター。
【請求項5】
請求項4に記載の縁取り専用カッターであって、前記支持シャフト回動軸は、当該支持シャフトの軸と交差状に延在形成され、
前記手動操作部は、前記支持シャフト回動軸に設けられたレバー操作部を備えることを特徴とする縁取り専用カッター。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の縁取り専用カッターを複数備えたステーショナリーシステムであって、当該複数の縁取り専用カッターのそれぞれにおける本体部は、予め定められた主題に基づく複数の外郭デザイン中から選択された、互いに異なる外郭デザインを備えており、
かつ、複数種類のカッティング仕様からなるロータリーブレードの中から選択された、互いに異なるカッティング仕様を有するロータリーブレードを備えていることを特徴とするステーショナリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文具としての縁取り専用カッター、および当該縁取り専用カッターを主体として構成されるステーショナリーシステムの構築技術に関する。
【背景技術】
【0002】
文具の一つのカテゴリーである縁取り専用カッターの構築技術に関し、例えば実開昭55-151269号に開示されるように、ロータリーブレードを用いた封筒類のカッターが知られている。
【0003】
この技術では、カッター本体にロータリーブレードおよびスリットを設け、当該スリットに封筒類を挿入して進行させることにより、ロータリーブレードが当該封筒をカットして開封の用に供する構成が開示されている。
【0004】
一方、かかるロータリーブレード式カッターは、製造時において、台座となるカッター本体に凹状のスリットを形成し、かつ、当該スリットの配置領域とロータリーブレードの配置領域を正しくセッティングする必要があり、製造コストや生産性の観点で改良の余地がある。
また近年のライフスタイルの多様化に伴い、文具ステーショナリー分野においても、使用性、デザイン性や趣向性を向上させて、所有・使用の満足度を高める要請が強い。
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、生産性や使用性に優れた縁取り専用カッター、および当該縁取り専用カッターを主体に構成されるステーショナリーシステム構築技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、本発明によって解決される。本発明においては、ポータブル式の縁取り専用カッターとして、当該縁取り専用カッターの外郭を構成する本体部と、前記本体部に、所定の長尺方向に延在するように設けられて、例えば紙等の作業対象が挿入可能なスロット部と、前記スロット部に刃部が位置するように、支持シャフトを介して、前記本体部に回転自在に軸支されて収容されたロータリーブレードとを有する縁取り専用カッターが構成される。
【0008】
本発明は、縁取り専用カッターとして、典型的には、紙の縁をカット処理することで縁取り処理を行うための文具として構築されているが、必ずしも作業対象は紙素材に限定されるものではなく、例えば布材、不織布、あるいは薄板上の樹脂材等、縁取り作業の観点で実質的に紙と同視し得るものに対しても好適に適用可能である。また本発明における「縁取り」「カッター」「カット」「カット処理」といった用語については、作業対象を完全に切断して分離するカット態様、作業対象を分離することなく切れ目を入れるカット態様のいずれも好適に包含する。
【0009】
本発明における「ロータリーブレード」としては、軸支された回転可能な刃部を有する刃物が広く包含される。例えば刃部について、一般的な切断刃として構成してもよく、あるいは一定間隔で刃を断続的に設け、ミシン目のカット態様が得られるようにしてもよい。あるいは、当該間隔を変化させて、ミシン目のピッチを変化させる態様も好適に用いられる。更には刃部をその幅方向に波状に設け、波状のカット態様が得られるにしてもよい。また刃部を一定の幅広構造として、幅のある孔状のカット態様(パンチング模様)が得られるようにしてもよい。
【0010】
本発明に係る縁取り専用カッターでは、前記スロット部に挿入された紙等の作業対象が、当該スロット部に対して前記長尺方向に相対的に移動することにより、前記ロータリーブレードが前記作業対象をカットするように構成されている。そして前記本体部は、第1本体部および第2本体部を有する。第1本体部は、使用者の手による把持に供されるとともに、縁部を備えた開口部を有し、前記開口部から前記刃部が露出するように前記ロータリーブレードが収容され、前記縁部が前記スロット部の天面を形成するように構成される。一方、第2本体部は、前記第1本体部の開口部を覆うとともに、前記縁部と組み合されて、前記スロット部の底面を形成する。
【0011】
本発明に係る縁取り専用カッターは、使用者が手で把持することができるポータブル文具に属する。そして当該縁取り専用カッターを上記のように構成することで、わざわざスロットの溝を別工程で形成することなく、第1本体部と第2本体部を組み合わせて連接するだけで、スロットが形成されることになり合理的である。
【0012】
しかも第1本体部においては、ロータリーブレードを、その刃部が開口部から露出するように収容するとともに、当該開口部の縁部がスロット部の天面を形成するように構成しているため、第1本体部成形時に、スロット部とロータリーブレードが予め正確に位置決めされて配置されることになる。従って、スロット部とロータリーブレードの配置関係を事後的に細かく調整する必要がなく合理的である。
【0013】
更に本発明において、前記ロータリーブレードは、前記開口部を介して交換自在に構成することができる。
特に、本発明では、ロータリーブレードは、第1本体部において、開口部から刃部が露出するように収容されているので、当該開口部にアクセスして容易にロータリーブレードを交換することができる。なお、本発明における「交換」は、例えば度重なる使用によって経時的に切れ味の劣化したロータリーブレードを同種の新品に交換する態様、紙のカット態様を変化させるため、異なるカットパターンを有する別種のロータリーブレードに交換する態様のいずれも好適に包含する。
このように交換自在性を確保することで、縁取り専用カッターとしての使用性を一層向上することが可能になる。
【0014】
上記ロータリーブレードの交換自在性を具体化する構成として、前記支持シャフトは、当該支持シャフトの軸が径方向となるように回動可能な支持シャフト回動軸を有することができる。前記支持シャフトは、使用者の手動操作によって前記支持シャフト回動軸回りに回動することで、前記ロータリーブレードの刃部が前記スロット部に臨む使用位置と、前記ロータリーブレードを前記開口部から外部に露出して当該ロータリーブレードを交換可能とするための交換位置との間で、切り替え可能に構成されることが好ましい。
【0015】
支持シャフト回動軸を回動中心として、ロータリーブレードが支持シャフトとともに、支持シャフトの軸が径方向となる状態で回動動作することにより、ロータリーブレードを使用位置から交換位置へと切り替えて、ロータリーブレードの交換を自在かつ容易に遂行することができる。
【0016】
更に本発明の好適な態様として、前記第1本体部および第2本体部の少なくとも一方は、前記スロット部に挿入されて相対移動する作業対象の端部に対する位置決め用の側壁部を有することができる。「少なくとも一方」は、第1本体部と第2本体部のいずれか一方のみで側壁部を形成する態様、双方を組み合わせて側壁部を形成する態様のいずれも好適に包含する。このように構成することにより、第1本体部ないし第2本体部成形時にスロット部の内部構造を予め形成しておくことができるので、後工程でスロット部を凹状に形成する従来の手法に比べて、スロット部の内部の寸法精度を容易に高めることができる。
【0017】
更に本発明の好適な態様として、前記ロータリーブレードの刃部は、当該ロータリーブレードの幅方向に波状に形成されており、前記スロット部に挿入されて相対移動する作業対象に対して、波状のカット処理が行われるように構成されていることができる。
このように構成することで、例えばメッセージカードの縁を波状にデコレーションする等、縁取り専用カッターに趣向性の高い使用可能性を付与することができる。
【0018】
また上記ロータリーブレードの交換自在性を更に支援するべく、使用者の手動操作により前記使用位置と前記交換位置との間で前記支持シャフトを回動動作させるための手動操作部を設けることが好ましい。
【0019】
更に、前記支持シャフト回動軸を、当該支持シャフトの軸と交差状に延在形成するとともに、前記手動操作部は、前記支持シャフト回動軸に設けられたレバー操作部を備えるように構成することが好ましい。このように構成することで、使用者による手動操作力が、レバー操作部における梃子の作用で増幅されて、支持シャフト回動軸を回動動作させることができるため、ロータリーブレード交換時の使用者の一層の負担軽減・利便性向上が図られる。
【0020】
更に本発明の好適な態様によれば、上記縁取り専用カッターを複数備えたステーショナリーシステムが構築可能である。当該ステーショナリーシステムを構成する各縁取り専用カッターにおける本体部は、予め定められた主題に基づく複数の外郭デザイン中から選択された、互いに異なる外郭デザインを備えることが好ましい。「主題」とは「テーマ」ないし「モチーフ」「コンセプト」とも称呼され、例えば、女性向けのファンシー・ステーショナリーに適用する場合には、「海洋動物シリーズ」等といった主題を設定することができる。この場合、「複数の外郭デザイン」としては、例えば「ペンギン」「あざらし」「しろくま」等といったように、上記主題に基づく、外郭デザインに関する各種のバリアントを設定することが可能であり、これによってデザインの選択制を高め、ステーショナリーシステムの趣向性を増大することができる。
【0021】
更に本発明に係るステーショナリーシステムでは、複数種類のカッティング仕様(カットパターンないしカット態様とも称呼する)からなるロータリーブレードの中から選択された、互いに異なるカッティング仕様を有するロータリーブレードをそれぞれの縁取り専用カッターに備えさせることが好ましい。例えば上記女性ユースの例の場合、「ペンギン」には「波状のカット態様」、「あざらし」には「細かいミシン目のカット態様」「しろくま」には「粗いミシン目のカット態様」等といったように、外郭デザインとカッティング仕様を紐付けすることにより、ユーザーにデザイン選択の楽しみを与え、一層の趣向性向上を図ることができる。なお、上記の通り、ロータリーブレードについて交換自在な構成が採用される場合、定められたカッティング仕様が割り当てられたそれぞれの外郭デザインにおいて、ロータリーブレードを自在に交換することによって他のカッティング仕様に変更(恒久的に変更ないし暫定的に変更)し、更にステーショナリーシステムにおける使用時の趣向性を高めることが可能とされる。
【0022】
本発明によれば、上記各構成により、生産性および趣向性の高い縁取り専用カッターおよびステーショナリーシステムが構築可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施形態について
図1~
図10に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る縁取り専用カッター1は、ポータブル式の文具として、当該縁取り専用カッター1の外郭を構成する第1本体部11と、当該第1本体部11において、所定の長尺方向LDに延在するように設けられて、作業対象となる紙が挿入可能なスロット部121と、前記スロット部に刃部133が位置するように、前記本体部に回転自在に軸支されて収容されたロータリーブレード131と、第1本体部11の下部を覆う底蓋211としての第2本体部21を有する。
【0024】
本実施形態に係る縁取り専用カッター1は、ポータブル式文具として構成される。当該縁取り専用カッター1においては、スロット部121に紙Pを挿入するとともに、長尺方向LDに相対的に移動動作させることで、スロット部121に配置されたロータリーブレード131の刃部133が紙Pをカット処理していく。典型的には、使用者が把持部111を手で把持した状態で、紙Pをスロット部121に挿入して移動動作させる使用態様が多用される。なお、本実施の形態では、縁取り作業の作業対象の典型例として「紙」を用いて説明を行う。
【0025】
第1本体部11を底面側から視た
図2に示すように、第1本体部11は、開口部113を備えた凹状の内部空間13を有する。当該内部空間13には格子状のリブ117が配置され、第1本体部11の外郭剛性を強化している。リブ117のうち中央部に配置されたものは、後述するスロット部形成リブ119として構成される。またリブ117には、第2本体部21を連接するための第2本体部取付台座129が形成されている。また、第1本体部11の開口部113の外周には、平面状の縁部115が形成されている。
【0026】
更に内部空間13にはロータリーブレード131が配置される。ロータリーブレード131は、その外周領域に刃部133が形成されるとともに、固定ナット137を介して、支持シャフト135に回転自在に取り付けられる。支持シャフト135は、当該支持135に交差状(本実施の形態では直交状)に連接された支持シャフト回動軸139と一体化されている。また支持シャフト回動軸139には、支持シャフト135と並列してレバー操作部140が設けられている。
【0027】
図1におけるA―A線断面図である
図3に示すように、スロット部121は、第1本体部11および第2本体部21を連接することで形成される。すなわち第1本体部11と第2本体部21を図中上下方向に連接すると、第1本体部11の縁部115がスロット部121の天面部123となり、第1本体部11のスロット部形成リブ119がスロット部121の側壁部127となり、第2本体部21の底面部213がスロット部121の底面部125となる。そして、このように第1本体部11と第2本体部21を連接して形成されたスロット部121には、ロータリーブレード131の刃部133が臨むように配置されることになる。側壁部127は、
図1に示す紙Pがスロット部121に挿入される場合において、当該紙Pの位置決め部材としての機能を奏する。
【0028】
本実施の形態では、上記のように、スロット部121の各構成要素が、あらかじめ第1本体部11と第2本体部21に一体状に成形されているため、当該第1本体部11と第2本体部21を連接することで、スロット部121を容易かつ高精度な状態で形成することが可能とされる。
【0029】
また第1本体部11においては、ロータリーブレード131を、その刃部133が開口部133から露出するように収容するとともに、当該開口部133の縁部115がスロット部121の天面123を形成するように構成している。このため、第1本体部11成形時に、スロット部121とロータリーブレード131が予め正確に位置決めされて配置されるものである。従って、スロット部121とロータリーブレード131の配置関係を事後的に細かく調整する必要がなく合理的な構成が得られることになる。
【0030】
図4にロータリーブレード131の具体的構成を示す。
図4(A)に示すように、ロータリーブレード131は、その外周領域に波状の刃部133を有する。刃部133は、
図4(B)に示すように、ロータリーブレード131の幅方向に波状(うねり状)に形成されており、波状のカット処理を行うことができる。本実施の形態では、メッセージカードの縁を波状にデコレーションするといった使用態様が付与される。
【0031】
更に本実施の形態に係る縁取り専用カッター1では、ロータリーブレード131を、第1本体部11の開口部113(
図2参照)を介して交換自在に構成することができる。
具体的には、
図1に示す縁取り専用カッター1において、第2本体部21を第1本体部11から取り外す。そして、
図2に示すように、第1本体部11の底面に設けられた開口部113において、使用者が指でレバー操作部140を引き起こし操作する。
【0032】
第2本体部21が取り外された状態の第1本体部11を、天地逆の状態で模式的に示した
図5において、レバー140の引き起こし操作により、支持シャフト回動軸139が回動動作(自転動作)し、
図6に示すように、ロータリーブレード131が取り付けられた支持シャフト135は、当該支持シャフト135の軸が径方向となるように回動されて、ロータリーブレード131の全体が、第1本体部11の開口部113から外部(
図6では上方)へと露出されることになる。なお支持シャフト135については、
図5に示す状態が「使用位置」、
図6に示す状態が「交換位置」に対応している。
【0033】
図6に示す状態で、使用者は、手動操作により、固定ナット137を外して、ロータリーブレード131を支持シャフト135から離脱させて容易に交換することができる。本実施の形態では、レバー操作部140による梃子の作用を利用して、支持シャフト回動軸139を回動動作させるため、使用者の手動操作力を増幅して切り替え操作が可能とされる。またレバー操作部140のうち、使用者の指が当接する領域には、指係止部141が設けられており、使用者の指による係止が確実化され、レバー操作部140の操作性が更に向上されている。
【0034】
なおロータリーブレード131の「交換」は、例えば、度重なる使用によって経時的に切れ味の劣化したロータリーブレード131を同種の新品に交換する態様や、紙のカット態様を変化させるため、異なるカットパターンを有する別種のロータリーブレードに交換する態様のいずれにも対応可能である。
【0035】
異なるカットパターンを有する別種のロータリーブレードの例として、例えば
図7に示すように、所定のピッチで切り欠きが設けられて、相対的にピッチの細かい「細ミシン目用ロータリーブレード151」や、相対的にピッチの粗い「粗ミシン目用ロータリーブレード153」等が好適に用いられる。
【0036】
上記した実施形態に係る縁取り専用カッター1では、
図1に示すように、第1本体部11の外郭デザインとして「ペンギン」のデザインが施されている。この点、更に
図9に示す「あざらし」のデザインが施された縁取り専用カッター1B、
図10に示す「しろくま」のデザインが施された縁取り専用カッター1Cを準備することができる。例えば、前者には、
図7で示した細ミシン目用ロータリーブレード151、後者には、
図8で示した粗ミシン目用ロータリーブレード153を配置可能である。そして、
図1に示した「ペンギン」のデザインが施された縁取り専用カッター1(波目状のロータリーブレード131を備えている)とともに、3種類のカット態様を備えた3つの縁取り専用カッター1、1B、1Cからなるステーショナリーシステムを構築することができる。
【0037】
すなわち、本実施の形態では、「海洋動物シリーズ」という主題に基づいて、「ペンギン」「あざらし」「しろくま」という複数の外郭デザインをそれぞれ備えた縁取り専用カッター1、1B、1Cからなるステーショナリーシステムが提供されることとなった。使用者は、当該ステーショナリーシステムを所有し、用途や趣向性に応じて、いずれかの縁取り専用カッターを選択して使用し、状況に応じて、異なるなる縁取り専用カッターを代替使用して、といった具合で、多様化された使用態様が与えられることになる。
【0038】
以上、本実施の形態によれば、生産性および趣向性の高い縁取り専用カッター1およびステーショナリーシステム(1,1B、1C)が構築可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の実施形態に係る縁取り専用カッターの全体構成を示す模式的正面図である。
【
図2】第1本体部11を底面から視た模式図である。
【
図3】スロット部121の構成を示す模式的断面図である。
【
図4】(A)(B)ともにロータリーブレードの構成を示す模式図である。
【
図5】ロータリーブレードの交換のための操作を示す模式図である。
【
図6】ロータリーブレードの交換のための操作を示す模式図である。
【
図7】細ミシン目用ロータリーブレードの構成を示す模式図である。
【
図8】粗ミシン目用ロータリーブレードの構成を示す模式図である。
【
図9】(A)(B)ともに、他の外郭デザインを備えた縁取り専用カッターの構成を示す斜視図である。
【
図10】(A)(B)ともに、更なる他の外郭デザインを備えた縁取り専用カッターの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0040】
1、1A、1B、1C 縁取り専用カッター
3 本体部
5 ステーショナリーシステム
11 第1本体部
13 内部空間
111 把持部
113 開口部
115 縁部
117 リブ
119 スロット部形成リブ
121 スロット部
123 天面部
127 側壁部
129 第2本体部取付台座
131 ロータリーブレード
133 (波状)刃部
135 支持シャフト
137 固定ナット
139 支軸シャフト回動軸
140 レバー操作部
141 指係止部
151 細ミシン目用ロータリーブレード
153 粗ミシン目用ロータリーブレード
21 第2本体部
211 底蓋
213 底面部
P 紙(縁取り作業対象)