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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】包装用袋の供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/18 20060101AFI20230925BHJP
   B65H 3/08 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
B65B43/18
B65H3/08 310D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019117218
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021004042
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506111354
【氏名又は名称】大和サービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592209755
【氏名又は名称】金城機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】川添 晃
(72)【発明者】
【氏名】望月 一之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 佳三
(72)【発明者】
【氏名】木村 功
(72)【発明者】
【氏名】亀山 武彦
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-012524(JP,A)
【文献】実開平04-077542(JP,U)
【文献】米国特許第04531724(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/18
B65H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の包装用袋を積層した状態で収容しかつ下端部が開口したスタッカと、前記包装用袋に対して前記スタッカの下端側から斜めに上昇して前記包装用袋を押し上げた後に下降して最下端の前記包装用袋を真空吸着する取り出しヘッドとを備え、前記取り出しヘッドで吸着している前記包装用袋を上下両方向に真空吸着して開口させる包装用袋の供給装置であって
前記取り出しヘッドによって斜めに押し上げられた前記包装用袋の端部のうち斜め下側となる端部を下側から引っ掛けて前記端部を上側に撓ませておくサポート片が、前記スタッカの内部に設けられ、
前記取り出しヘッドの前記スタッカの内部における上昇量は、前記包装用袋の前記端部が前記サポート片から浮き上がらない量である
ことを特徴とする包装用袋の供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の包装用袋の供給装置であって
前記取り出しヘッドは、前記包装用袋の開口側の端部が前記取り出しヘッドから突き出る長さに構成され、
前記包装用袋の前記開口側の端部を下側から真空吸着する補助ヘッドが、前記スタッカ内の前記包装用袋を吸着して所定位置に下降した前記取り出しヘッドに隣接した位置に設けられ、
前記補助ヘッドに載っている前記包装用袋の前記開口側の端部に対して、前記開口側の端部とは反対の端部側から斜めに昇降して前記開口側の端部の上面を真空吸着する開口ヘッドが設けられ、
前記補助ヘッドには、前記開口ヘッドが昇降する斜めの方向を向いていて前記開口ヘッドの先端の少なくとも一部に対向する傾斜部が設けられている
ことを特徴とする包装用袋の供給装置。
【請求項3】
複数枚の包装用袋を積層した状態で収容しかつ下端部が開口したスタッカと、前記包装用袋に対して前記スタッカの下端側から斜めに上昇して前記包装用袋を押し上げた後に下降して最下端の前記包装用袋を真空吸着する取り出しヘッドとを備え、前記取り出しヘッドで吸着している前記包装用袋を上下両方向に真空吸着して開口させる包装用袋の供給装置であって、
前記取り出しヘッドによって斜めに押し上げられた前記包装用袋の端部のうち斜め下側となる端部を下側から引っ掛けて前記端部を上側に撓ませておくサポート片が、前記スタッカの内部に設けられ、
前記取り出しヘッドは、前記包装用袋の開口側の端部が前記取り出しヘッドから突き出る長さに構成され、
前記包装用袋の前記開口側の端部を下側から真空吸着する補助ヘッドが、前記スタッカ内の前記包装用袋を吸着して所定位置に下降した前記取り出しヘッドに隣接した位置に設けられ、
前記補助ヘッドに載っている前記包装用袋の前記開口側の端部に対して、前記開口側の端部とは反対の端部側から斜めに昇降して前記開口側の端部の上面を真空吸着する開口ヘッドが設けられ、
前記補助ヘッドには、前記開口ヘッドが昇降する斜めの方向を向いていて前記開口ヘッドの先端の少なくとも一部に対向する傾斜部が設けられている
ことを特徴とする包装用袋の供給装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の包装用袋の供給装置であって
前記補助ヘッドのうち前記傾斜部を挟んで前記取り出しヘッドとは反対側の部分が、前記取り出しヘッドの上面と平行な吸着平面とされ、
前記吸着平面に前記包装用袋の前記開口側の端部の下面を真空吸着する吸引口が開口して設けられ、
前記吸引口に隣接する箇所に凹部が形成されている
ことを特徴とする包装用袋の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サンドイッチなどの食品あるいはその他の商品を入れる包装用袋を、当該商品の包装工程における所定位置に連続的に供給する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サンドイッチを入れる袋を連続的に供給する装置の一例が特許文献1に記載されている。その装置は、多数枚積層した袋を保持するスタッカを、サンドイッチの搬送ラインの上方に配置し、その搬送ラインとスタッカとの間で昇降する吸着板によって、スタッカの下端から袋を1枚ずつ取り出すように構成されている。スタッカは、サンドイッチの搬送方向で先端側(以下、単に先端側と記す)が下側となるように傾斜しており、また吸着板は、スタッカ以上に傾斜した状態でスタッカに向けて上昇するようになっている。したがって、スタッカ内の袋は、吸着板によって、サンドイッチの搬送方向の後方側(以下、後端側と記す)が大きく持ち上げられて吸着板の上面に吸着して保持され、その状態で吸着板が下降するので、袋は吸着板の傾斜角度からスタッカの傾斜角度に次第に戻る。その場合、吸着板の傾斜角度が袋の傾斜角度より大きいから、袋の先端側が後端側より先にスタッカの下端に接触し、その結果、吸着板に吸着されている袋は、その上側に載っている袋に対して、先端側から次第に引き剥がされてスタッカから抜き取られる。
【0003】
吸着板は、サンドイッチの搬送ライン上では、当該搬送ラインに沿うように水平になる。袋の開口部は、後端側に形成されているので、搬送ライン上で吸着板より後端側には袋の開口部の下面を吸着して保持する補助吸着部が設けられている。その吸着部の上方から開口ヘッドが下降して開口部の上面を吸着し、その状態で開口ヘッドが上昇することにより、袋の開口部が上下に引き剥がされ、開口する。なお、開口ヘッドの上昇方向は、後端側から先端側に向けて斜め上方である。すなわち、開口部のエッジを斜め上方に引き上げた状態になり、その結果、当該エッジが垂れ下がってサンドイッチを袋に挿入する際の障害とならないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-12524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した装置は、従来、手作業で行っていた袋の取り出し、袋の開口、その内部へのサンドイッチの挿入などを自動化するための装置である。したがって、商品として支障がないように、サンドイッチを正確に、またきれいに袋に入れる必要があることは勿論のこと、高速化が必要である。しかしながら、高速化した場合、袋のいわゆる一枚取りに失敗したり、袋の口を開けなかったりする場合がある。例えばスタッカからその最下部の袋を取り出す場合、袋は多数枚が積層されて互いに密着しているから、高速で引き離そうとすると、吸着板が袋を真空吸着しているとしても、袋同士の間の真空が吸着板より勝って袋を一枚取りできない場合が多発する。また、袋の口を開く場合、開口端が垂れないように、開口ヘッドで斜め上方に引き上げるので、開口ヘッドを袋に上側から押し付けた際に、補助吸着部による袋の開口部側の吸着が不十分になり、袋の口を開くことなく、袋を持ち上げてしまう事態が生じる。あるいは反対に開口ヘッドによる吸着が不十分になって、袋の口を開けることができない事態が生じる。
【0006】
この発明は、袋の一枚取りから開口に到る機械的作業を高速化する際の上記の不都合を回避して、正確かつ高速での袋の一枚取りないし開口を行うことのできる装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は、複数枚の包装用袋を積層した状態で収容しかつ下端部が開口したスタッカと、前記包装用袋に対して前記スタッカの下端側から斜めに上昇して前記包装用袋を押し上げた後に下降して最下端の前記包装用袋を真空吸着する取り出しヘッドとを備え、前記取り出しヘッドで吸着している前記包装用袋を上下両方向に真空吸着して開口させる包装用袋の供給装置であって、前記取り出しヘッドによって斜めに押し上げられた前記包装用袋の端部のうち斜め下側となる端部を下側から引っ掛けて前記端部を上側に撓ませておくサポート片が、前記スタッカの内部に設けられ、前記取り出しヘッドの前記スタッカの内部における上昇量は、前記包装用袋の前記端部が前記サポート片から浮き上がらない量であることを特徴としている。
【0009】
この発明では、前記取り出しヘッドは、前記包装用袋の開口側の端部が前記取り出しヘッドから突き出る長さに構成され、前記包装用袋の前記開口側の端部を下側から真空吸着する補助ヘッドが、前記スタッカ内の前記包装用袋を吸着して所定位置に下降した前記取り出しヘッドに隣接した位置に設けられ、前記補助ヘッドに載っている前記包装用袋の前記開口側の端部に対して、前記開口側の端部とは反対の端部側から斜めに昇降して前記開口側の端部の上面を真空吸着する開口ヘッドが設けられ、前記補助ヘッドには、前記開口ヘッドが昇降する斜めの方向を向いていて前記開口ヘッドの先端の少なくとも一部に対向する傾斜部が設けられていてよい
また、この発明は、複数枚の包装用袋を積層した状態で収容しかつ下端部が開口したスタッカと、前記包装用袋に対して前記スタッカの下端側から斜めに上昇して前記包装用袋を押し上げた後に下降して最下端の前記包装用袋を真空吸着する取り出しヘッドとを備え、前記取り出しヘッドで吸着している前記包装用袋を上下両方向に真空吸着して開口させる包装用袋の供給装置であって、前記取り出しヘッドによって斜めに押し上げられた前記包装用袋の端部のうち斜め下側となる端部を下側から引っ掛けて前記端部を上側に撓ませておくサポート片が、前記スタッカの内部に設けられ、前記取り出しヘッドは、前記包装用袋の開口側の端部が前記取り出しヘッドから突き出る長さに構成され、前記包装用袋の前記開口側の端部を下側から真空吸着する補助ヘッドが、前記スタッカ内の前記包装用袋を吸着して所定位置に下降した前記取り出しヘッドに隣接した位置に設けられ、前記補助ヘッドに載っている前記包装用袋の前記開口側の端部に対して、前記開口側の端部とは反対の端部側から斜めに昇降して前記開口側の端部の上面を真空吸着する開口ヘッドが設けられ、前記補助ヘッドには、前記開口ヘッドが昇降する斜めの方向を向いていて前記開口ヘッドの先端の少なくとも一部に対向する傾斜部が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明では、前記補助ヘッドのうち前記傾斜部を挟んで前記取り出しヘッドとは反対側の部分が、前記取り出しヘッドの上面と平行な吸着平面とされ、前記吸着平面に前記包装用袋の前記開口側の端部の下面を真空吸着する吸引口が開口して設けられ、前記吸引口に隣接する箇所に凹部が形成されていてよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、包装用袋は積層されてスタッカの内部に収容される。その場合、取り出しヘッドによって斜めに押し上げられた際に下側となる端部が、サポート片に引っ掛かっている。積層した包装用袋には自重が掛かっているから、サポート片に引っ掛かっている端部側が相対的に押し上げられている。その状態は、多数枚重ねた包装用袋の端部をいわゆるしごいて、斜めにずらした状態である。このように包装用袋が積層されて収容されているスタッカに対して、その下端の開口部から、取り出しヘッドが斜めに上昇し、包装用袋を押し上げつつ最下端の包装用袋を真空吸着する。その場合、斜めに押し上げられた包装用袋の斜めに傾斜した状態での下端部はサポート片に引っ掛かったままとなっている。ついで、取り出しヘッドが下降すると、先ず、上記の斜め状態での下端部がサポート片から抜き取られる。すなわち、当該下端部は、上側の包装用袋の下面に沿ってずれて動き、しかも一旦しごいた状態になっているので、上側の包装用袋との密着は弱く、また包装用袋同士の間に空気が入りやすく、そのため容易に上側の包装用袋から離れる。取り出しヘッドは積層されている包装用袋に対して斜めになった状態で下降するから、一旦押し上げられた包装用袋の下面が、サポート片に引っ掛かっていた端部側からこれとは反対側の開口部側の端部に向けて次第に、スタッカの下端に接触し、その下降が阻止される。これに対して最下端の包装用袋は、取り出しヘッドに吸着されて引き下げられているから、最下端の包装用袋はその上側の包装用袋に対して、サポート片に引っ掛かっていた端部側からこれとは反対側の開口部側の端部に向けて次第に引き剥がされる。すなわち、包装用袋を上側の包装用袋に対して平行に一括して引き離さずに、両者をいわゆる引き裂くように離すので、両者の間に空気が入りやすく、迅速かつ容易に引き剥がすことができる。すなわち、いわゆる包装用袋の一枚取りを迅速かつ確実に行うことができる。
【0012】
また、取り出しヘッドが所定の下端部に戻った状態では、取り出しヘッドによって吸着されている包装用袋の開口側の端部が補助ヘッド上に載って吸着されている。したがって、その包装用袋は、取り出しヘッドと補助ヘッドとに真空吸着されて保持されている。その場合、補助ヘッドにおける傾斜部は、包装用袋の下面から下側に離れている。その傾斜部に向けて開口ヘッドが下降する。開口ヘッドは、ゴム製の蛇腹などの柔軟構造であり、したがって包装用袋は、その開口ヘッドと補助ヘッドの上面および傾斜部との間に挟み付けられ、かつ開口ヘッドによって上面が真空吸着される。そのため、包装用袋と開口ヘッドとの間に隙間が空くことがないので、包装用袋の開口側の端部は、補助ヘッドによって下面が、開口ヘッドによって上面が、それぞれ確実に吸着される。その状態で、開口ヘッドが斜め上方、すなわち傾斜部が向いている方向に上昇するので、包装用袋の上面と下面とを確実に引き離して包装用袋を開口させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の一実施例を説明するための概略的な構成図である。
図2】そのスタッカの平面図である。
図3図2のIII-III線矢視図である。
図4】保持ヘッドの平面視および側面視の各図である。
図5】最下端の袋が上側の袋から引き離される状況を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明に係る包装用袋の供給装置は、図1に模式的に示すように、包装用袋(以下、単に袋と記すことがある。)1を複数積層して収容するスタッカ2と、そのスタッカ2から袋1を1枚ずつ、下側に取り出す取り出しヘッド3とを備えている。
【0015】
先ず、そのスタッカ2の構造について説明すると、図2および図3はスタッカ2の一例を示しており、ここに示すスタッカ2は、袋1を載せるベース板4に、袋1の前後左右の位置を決めるガイド5を突き立てて構成されている。ベース板4の中央部には、矩形の開口部6が形成されており、この開口部6から袋1を下側に引き抜いて取り出すように構成されている。ベース板4は一方の端部が下がるように傾斜して配置されている。ここで「一方の端部」は、袋1で包装するサンドイッチなどの内容物(図示せず)の搬送方向での前方側であり、袋1にとっては開口側端部とは反対側の閉じた端部側である。
【0016】
ここで、袋1の形状を説明すると、図2に示すように、円弧の部分が角張ったほぼ扇状であって、要(かなめ)となる側の部分が直線状に切り落とされた形状をなしている。角張った幅の広い部分が開口側の端部1aであり、これとは反対側の要側の幅の狭い部分が閉じた端部1bである。ガイド5として、袋1の開口側端部1aを突き当ててその位置を規制する支柱5aと、その支柱5aに対向して配置されて前記閉じ側端部1bを突き当ててその位置を規制する支柱5bとが、ベース板4に垂直に立った状態に設けられている。さらに、これらの端部1a,1bの間の左右の側縁部1cを突き当ててその位置を規制するガイド板5cがガイド5として設けられている。このガイド板5cも支柱5a,5bと同様にベース板4に対して垂直に起立している。
【0017】
これらのガイド5は、姿勢を揃えて積層した複数(例えば数十枚)の袋1を1束とし、複数束を一定間隔で保持するいわゆる棚構造になっている。すなわち、開口側端部1aを突き当てる支柱5aには、袋1の中心側に僅かに突出した棚板7が上下方向に一定の間隔を空けて設けられている。それらの棚板7上の袋1を検出するセンサ8が、各棚板7ごとに設けられている。なお、ベース板4上の袋1を検出するセンサ(図示せず)が設けられている。
【0018】
さらに、各棚板7に対応してシャッタ9が設けられている。シャッタ9は棚板7と共に、袋1の束を支えるためのものであり、各棚板7と同一の高さの位置を、袋1の幅方向(各支柱5a,5bを結んだ線に直交する方向)に前後動するように設けられている。したがって、各ガイド板5cには、シャッタ9を通過させるための窓孔あるいは切り欠きが設けられている。なお、シャッタ9を前後動させるアクチュエータには、特には図示していないが、エアシリンダやモータなど必要に応じて適宜のアクチュエータを使用できる。シャッタ9とその上に載せられた袋1との摩擦を低減するための低摩擦材10がシャッタ9の上面に設けられている。低摩擦材10の素材は、袋1の材質との関係で適宜に選択でき、例えばポリエチレンなどの合成樹脂であってよい。また、低摩擦材10は袋1との接触面積を小さくするために、複数本のレールとしてシャッタ9の前後動の方向に沿わせて設けることが好ましい。したがって、シャッタ9を袋1の下側から引き抜いて袋1の束を落下させる場合、シャッタ9と袋1との摩擦力が小さくなるので、袋1の撓みや位置のずれなどを未然に回避できる。言い換えれば、シャッタ9の上に束にして載せる袋1の枚数を多くして、効率化を図ることができる。
【0019】
袋1における閉じ側端部1bを突き当てる支柱5bの下端に近い位置には、袋1側に突き出たサポート片11が設けられている。サポート片11は、上述した棚板7よりも幅および長さが短い板状の部材であって、ベース板4の表面から数mmの位置に設けられている。このサポート片11は、袋1における閉じ側端部1bを載せる(あるいは引っ掛ける)ための部材であり、袋1の束をベース板4の上に載せた場合に、閉じ側端部1bを引っ掛けて上側に撓ませることにより、閉じ側端部1bをいわゆるしごいた状態にするように構成されている。したがって、積層されている各袋1の閉じ側端部1bが袋1の表面に沿ってずれるので、袋1同士の密着が緩和される。特に、閉じ側端部1bは後述するように、最下端の袋1を下側に引き剥がす際の引き剥がしの開始端になるから、袋1のいわゆる1枚取りを確実に行うことができる。
【0020】
上記のスタッカ2は、袋1に入れられるサンドイッチなど商品(図示せず)の搬送ラインの上方に配置されている。そのスタッカ2から最下端の袋1を取り出す取り出しヘッド3が、商品の搬送ラインとスタッカ2との間で上下動(昇降)するように設けられている。取り出しヘッド3は、スタッカ2における開口部6の内部に挿入できる大きさの矩形状に形成されており、上側が開口した矩形のチャンバー12を、複数の吸引口が形成された吸着パッド13によって閉じた構造である。この取り出しヘッド3は、商品の搬送ライン上では、その搬送ラインに沿った水平状態となり、スタッカ2における最下端の袋1を吸着する場合には、ベース板4の傾斜角度より大きい角度で傾斜するように構成されている。すなわち、スタッカ2の下方に、前記搬送ラインに直交する水平軸線14を中心に回動する可動台15が設けられている。この可動台15には、エアシリンダなどの回動用アクチュエータ16が連結されており、その回動用アクチュエータ16のロッドが伸縮することにより、可動台15が水平軸線14を中心に回動するように構成されている。したがって、可動台15の回動角度は、回動用アクチュエータ16のロッドの伸縮量に応じた角度となる。
【0021】
可動台15には、水平状態で上下に貫通するように、エアシリンダなどの昇降用アクチュエータ17が取り付けられており、その昇降用アクチュエータ17のロッドの先端部に取り出しヘッド3が可動台15と平行になるように取り付けられている。なお、取り出しヘッド3の下面には、昇降用アクチュエータ17と平行にガイドロッド18が取り付けられており、このガイドロッド18は可動台15に設けられたガイドスリーブ19に挿入されている。すなわち、これらガイドロッド18およびガイドスリーブ19によって可動台15を平行移動させるようになっている。可動台15は、取り出しヘッド3の上昇時に前記水平軸線14を中心に回動させられ、スタッカ2の開口部6に挿入される際には、その傾斜角度(水平線に対する傾斜角度)θ3がベース板4の傾斜角度(したがって袋1の傾斜角度)θ4より大きくなる。すなわち、取り出しヘッド3は、袋1における開口側端部1aを閉じ側端部1bより大きく押し上げるように構成されている。そのように袋1を押し上げた状態から取り出しヘッド3が下方に平行移動させられる。その結果、閉じ側端部1bが最初に上側の袋1から引き離される。詳細は後述する。
【0022】
袋1の長さ、すなわち開口側端部1aから閉じ側端部1bまでの寸法は、取り出しヘッド3の長さより長く、したがって取り出しヘッド3で吸着した袋1の開口側端部1aは取り出しヘッド3からはみ出している。そのはみ出した開口側端部1aを真空吸着して保持する補助ヘッド20が、商品の搬送ライン上で取り出しヘッド3に隣接して配置されている。すなわち、搬送ライン上に復帰して水平になっている取り出しヘッド3に対して商品の搬送方向で後方側(上流側)に補助ヘッド20が設けられている。
【0023】
この補助ヘッド20は、取り出しヘッド3からはみ出している開口側端部1aを載せて真空吸着するための部材であり、その位置および大きさは、対象とする袋1に応じて設定されている。なお、大きさの異なる袋1を対象とする場合には、取り出しヘッド3に対する補助ヘッド20の相対位置を、袋1の大きさに合わせて調整できるように構成してもよい。
【0024】
補助ヘッド20は、真空吸引される通気孔を形成したブロック21の上面に、前記通気孔に連通する吸引口22を開口させて設けた構造になっており、その吸引口22は、袋1の開口側端部1aの下面、特に開口側端部1aのエッジに可及的に近い箇所を確実に吸着できる位置に複数設けられている。すなわち、補助ヘッド20は開口側端部1aを構成している下片と上片とのうち下片を吸着して保持しておくためのものであり、これに対して上片を持ち上げて袋1を開口させるための開口ヘッド23が設けられている。
【0025】
開口ヘッド23は、吸引パイプ24の先端部に、ゴムなどの弾性材料からなる蛇腹状のサクションチップ25を取り付けたものであって、補助ヘッド20に対して上下動するように構成されている。その上下動の方向について説明すると、袋1の閉じ側端部1bは上片と下片とが接合されて上下には動かないから、開口側端部1aの上片が、閉じ側端部1bを中心にして円弧状に引き上げられて袋1が開口する。したがって、上片のこのような円弧を描くように開口ヘッド23は、補助ヘッド20に対して斜め上方に上昇し、また下降する。そのための機構は、必要に応じて適宜に構成すればよく、特には図示しないが、例えば、水平な軸線を中心に回転するアームを設け、そのアームに開口ヘッド23を取り付ければよい。
【0026】
ここで説明している具体例では、開口ヘッド23が円弧状に上下動する際の円弧の中心が、前述した搬送ラインより下側に設定されている。したがって、サクションチップ25が補助ヘッド20の上面に対して斜めに(水平線に対して傾斜して)接触するようになっている。これに対して、補助ヘッド20の上面には、図4に示すように、水平部(吸着平面)20aと傾斜部20bとが形成されている。水平部20aは、前述した搬送方向で後方側に形成され、その水平部20aから取り出しヘッド3側に続く部分が傾斜部20bとなっており、その傾斜部20bは、サクションチップ25が垂直に押し付けられる傾斜角度になっている。また、水平部20aと傾斜部20bとの境界部がサクションチップ25のほぼ中央部に一致するように設定されており、したがってサクションチップ25が水平部20aと傾斜部20bとに跨がって接触するようになっている。
【0027】
そのサクションチップ25は、前述したように、弾性材料で蛇腹状に構成されているから、サクションチップ25の先端部は、補助ヘッド20に押し付けられることにより、水平部20aおよび傾斜部20bに倣うように弾性変形し、袋1の開口側端部1aを挟んだ状態で水平部20aおよび傾斜部20bに密着する。したがって、袋1の開口側端部1aは、補助ヘッド20および開口ヘッド23のそれぞれに隙間を生じることなく密着し、その結果、開口側端部1aの下片が補助ヘッド20によって確実に吸着されて保持され、また上片が開口ヘッド23によって確実に吸着されて保持される。開口ヘッド23はこの状態で上昇するので、開口側端部1aの上片が下片から引き離されて引き上げられ、こうして袋1が開口させられる。
【0028】
なお、補助ヘッド20の上面には、溝(凹部)26を形成しておくことが好ましい。サクションチップ25の先端部を補助ヘッド20に押し付けた場合、袋1の開口側端部1aは溝26の内部に押されて部分的に撓む。そのため、下片と上片とのずれが助長されるので、上片が下片から剥がれ易くなり、開口ヘッド23を急速に上昇させても、袋1を確実に開口させやすくなる。
【0029】
つぎに上述した装置の作用について説明する。スタート状態では、取り出しヘッド3は搬送ラインに沿う水平状態に復帰している。また、スタッカ2においては、各棚板7およびシャッタ9の上に所定数の袋1が積層されて載せられている。また、ベース板4の上にも同様に、複数枚の袋1が積層されて載せられている。そのベース板4上においては、閉じ側端部1bがサポート片11に引っ掛かっているので、積層された袋1の閉じ側端部1bは相互に斜めにずれるように、いわゆるしごかれた状態になっている。装置を起動すると、先ず、回動用アクチュエータ16のロッドが延びて、可動台15が水平軸線14を中心に回動する。昇降用アクチュエータ17およびガイドロッド18を介して可動台15に保持されている取り出しヘッド3の傾斜角度θ3が、ベース板4あるいはスタッカ2に収容されている袋1の傾斜角度θ4より大きくなっている状態で、昇降用アクチュエータ17のロッドが延びて取り出しヘッド3が上昇し、ベース板4に形成されている開口部6からスタッカ2の内部に入り込む。その場合、取り出しヘッド3の傾斜角度θ3がベース板4の傾斜角度θ4より大きいので、積層されている袋1は、閉じ側端部1bに対して開口側端部1aが大きく押し上げられる。なお、その場合、取り出しヘッド3の上昇量は、袋1の閉じ側端部1bを押し上げない程度に設定することが好ましい。前述したいわゆるしごいた状態を維持するためである。
【0030】
取り出しヘッド3の上面は吸引口を設けた吸着パッド13となっているから、スタッカ2内の袋1を押し上げた最下端の袋1の下面に吸着パッド13が密着することにより、最下端の袋1が吸着パッド13に真空吸着する。この状態で取り出しヘッド3が下降し始めると、取り出しヘッド3によって押し上げられている袋1の束が取り出しヘッド3と共に下降し始めるが、閉じ側端部1bは押し上げられていないので、最下端の袋1の閉じ側端部1bが上側の袋1から引き剥がされて下方に引っ張られる。その場合、閉じ側端部1bは、前述したように、サポート片11によっていわゆるしごいた状態になっていて袋1同士の密着が解消もしくは緩和されている。それに伴って袋1同士の間に空気が入りやすくなっている。そのため、取り出しヘッド3を急速に下降させても、すなわち最下端の袋1を急速に引き抜いても、上側の袋1を引き連れることなく、最下端の1枚の袋1のみを引き下げることができる。
【0031】
取り出しヘッド3が更に下降すると、取り出しヘッド3は傾斜状態を維持したまま下降するので、取り出しヘッド3によって押し上げられていた袋1は閉じ側端部1bから開口側端部1aに向けて順次、ベース板4にまで下降してベース板4に接触する。こうして接触した箇所は、それ以上には下がらないのに対して取り出しヘッド3に吸着されている袋1は更に引き下げられるので、ベース板4に接触した箇所を分離点として、最下端の袋1がスタッカ2から引き抜かれる。このような最下端の袋1が、上側の袋1の束から引き剥がされる状況を図5に模式的に示してある。図5に示すように、取り出しヘッド3は吸着した袋1を上側の袋1に対して平行に引き剥がすのではなく、斜めに引き剥がすので、上側の袋1を引き連れることなく最下端の袋1をスタッカ2から取り出すことができる。したがって、スタッカ2からの袋1のいわゆる1枚取りを高速化することができる。
【0032】
取り出しヘッド3が商品の搬送ライン上に復帰する過程で、可動台15が水平に戻され、したがって袋1を1枚吸着している取り出しヘッド3は、搬送ライン上に復帰した状態では水平になっている。吸着されている袋1の開口側端部1aは、取り出しヘッド3からはみ出しているので、その開口側端部1aは取り出しヘッド3が水平状態に復帰した際に、取り出しヘッド3に隣接して配置されている補助ヘッド20の上に載る。補助ヘッド20に形成されている吸引口22を開口側端部1aが閉じるので、開口側端部1aが補助ヘッド20によって吸着されて保持される。補助ヘッド20における傾斜部20bは、取り出しヘッド3側に向けて下がっているので、取り出しヘッド3および補助ヘッド20によって保持されている袋1は、傾斜部20bから浮き上がった状態になっている。
【0033】
このように取り出しヘッド3と補助ヘッド20とによって保持されている袋1に向けて開口ヘッド23が下降する。開口ヘッド23は前述したように円弧を描いて下降するから、その先端部のサクションチップ25が補助ヘッド20に対して斜めに接触する。サクションチップ25は、柔軟な構造であるために、補助ヘッド20における水平部20aおよび傾斜部20bに倣って弾性変形し、それぞれとの間に開口側端部1aを挟み込む。したがって袋1の開口側端部1aは、補助ヘッド20の水平部20aおよび傾斜部20bの両方に密着し、またサクションチップ25の開口端に密着する。すなわち、袋1の開口側端部1aと補助ヘッド20および開口ヘッド23との間に隙間が生じないので、開口側端部1aにおける下片が開口ヘッド23によって確実に吸着されて保持され、また上片が開口ヘッド23によって確実に吸着されて保持される。
【0034】
また、サクションチップ25が下降して傾斜部20bに当接する場合、傾斜部20bから浮き上がっていた開口側端部1aを撓ませて傾斜部20bに押し付けるので、開口側端部1aにおける下片と上片とに僅かなずれが生じ、そのため下片と上片とが剥がれ易くなる。また、サクションチップ25は、袋1の開口側端部1aを補助ヘッド20に形成されている溝26にも押し込むので、開口側端部1aに歪みが生じ、この点においても下片と上片とが剥がれ易くなる。したがって袋1の開口操作を高速化することができる。
【0035】
開口ヘッド23が開口側端部1aの上面に密着して上片を吸着すると開口ヘッド23が上昇する。したがって、下片が補助ヘッド20によって保持されている状態で上片が開口ヘッド23によって引き上げられるので、下片と上片とが離れて袋1が開口する。開口ヘッド23は、前述したように円弧を描くように上昇し、袋1の開口部の大きさに応じた位置まで上昇して停止する。その場合、サクションチップ25の先端部すなわち吸着されている開口側端部1aは、閉じ側端部1b側が低くなるように傾斜する。したがって、サクションチップ25から外れていることによりサクションチップ25によって積極的には吸引されていない端縁部があるとしても、当該端縁部は斜め上方に向けて保持されることになるので、当該端縁部が垂れ下がったり、そのために商品を袋1に入れる際に端縁部が障害になったりすることを回避することができる。
【0036】
こうして開口している袋1に搬送方向での上流側から商品が送られて袋1の内部に予め決めた姿勢で挿入される。その後、取り出しヘッド3および補助ヘッド20による吸着が解消され、あるいは弱められて、商品の入った袋1が搬送方向での下流側に送られる。以降、上述した動作が繰り返し行われる。
【0037】
スタッカ2から順次、袋1を取り出すことによりベース板4上の袋1の量が少なくなると、センサが袋1の減少を検出し、その検出信号に基づいて、下から1番目のシャッタ9が引き抜かれる。その結果、当該シャッタ9上の袋1の束が、ベース板4上の袋1に載るように落下する。このようにシャッタ9を引き抜く場合、袋1の下面とシャッタ9とが摩擦するが、シャッタ9には低摩擦材10を設けてあるので、シャッタ9上の袋1の束の向きや姿勢が特には変化することがない。そのため、取り出しヘッド3で最下端の袋1を確実に吸着でき、その他、取り出しヘッド3によって袋1をスタッカ2から取り出す作業に支障が生じることがない。
【0038】
こうして袋1の束を落下させたシャッタ9がスタッカ2の内部に戻った後、その上側のシャッタ9が引き抜かれ、その上の袋1の束を下側のシャッタ9の上に落下させる。以降、順次、下側のシャッタ9から上側のシャッタ9の順に、スタッカ2からの引き抜き、および復帰が行われ、それぞれのシャッタ9の上に載っていた袋1の束が、下側のシャッタ9の上に載せ替えられる。
【0039】
以上、この発明を具体化した場合の一例を説明したが、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、上述した補助ヘッド20を設けない構成とすることができ、また補助ヘッド20を設けるとしても傾斜部20bのない補助ヘッド20を用いることもできる。さらに、補助ヘッド20には上記の溝26あるいは凹部を設けない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…包装用袋、 1a…開口側端部、 1b…閉じ側端部、 1c…側縁部、 2…スタッカ、 3…取り出しヘッド、 4…ベース板、 5…ガイド、 5a,5b…支柱、 5c…ガイド板、 6…開口部、 7…棚板、 8…センサ、 9…シャッタ、 10…低摩擦材、 11…サポート片、 12…チャンバー、 13…吸着パッド、 14…水平軸線、 15…可動台、 16…回動用アクチュエータ、 17…昇降用アクチュエータ、 18…ガイドロッド、 19…ガイドスリーブ、 20…補助ヘッド、 20a…水平部、 20b…傾斜部、 21…ブロック、 22…吸引口、 23…開口ヘッド、 24…吸引パイプ、 25…サクションチップ、 26…溝。
図1
図2
図3
図4
図5