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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】接触防止コンタクト構成
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/44 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
H01R13/44 N
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019122672
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2020017522
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】10 2018 211 043.3
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンケル,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ルエリッヒ,アイク
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522550(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015107304(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02683036(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気プラグコネクタ(2)用の接触防止コンタクト構成(1)であって、
電気ピンコンタクト(4)が、2つの側部(12)およびその自由端(11)において、2つの脚部(8)および前記2つの脚部(8)を接続する接続部(10)を有する電気絶縁コンタクト保護体(5)により覆われ、
前記電気ピンコンタクト(4)の前記2つの側部(12)のそれぞれは、前記電気絶縁コンタクト保護体(5)の前記2つの脚部(8)のそれぞれの側方凹部(20)に少なくとも部分的に受け入れられているとともに、前記電気ピンコンタクト(4)の前記2つの側部(12)間でコンタクト面(14)が延びており、
前記側方凹部(20)の内幅が、少なくとも部分的に、前記接続部(10)から離れる方向で前記コンタクト面(14)に対して横断方向に増加する、
接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項2】
前記電気ピンコンタクト(4)の前記自由端(11)は、凸状のアーチに曲げられ、前記接続部(10)のくぼんだ凹部(34)に受け入れられる、請求項1に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項3】
前記接触防止コンタクト構成(1)は、前記電気ピンコンタクト(4)と前記電気絶縁コンタクト保護体(5)との間で前記コンタクト面(14)に対して横断方向に形状嵌合を有する、請求項1または2に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項4】
前記電気ピンコンタクト(4)は前記側方凹部(20)に相補的なキャビティ(26)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記キャビティ(26)が、前記自由端(11)および一方の前記側部(12)により形成される前記電気ピンコンタクト(4)の角部(18)に配置されている、請求項4に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項6】
前記電気ピンコンタクト(4)は、フラットコンタクトとして形成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記側方凹部(20)が、一方の前記脚部(8)の2つの側壁(22)間に配置され、前記2つの側壁(22)は他方の前記脚部(8)の方向に突出する、請求項1~6のいずれか一項に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項8】
前記他方の脚部(8)の方向に突出する前記2つの側壁(22)は、前記接続部(10)および前記一方の脚部(8)により形成される角部(24)に配置されている、請求項7に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項9】
前記側方凹部(20)から離れた方を向く前記2つの側壁(22)のそれぞれの外面(32)が、前記コンタクト面(14)に位置合わせされている、請求項7または8に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項10】
前記2つの側壁(22)は、少なくとも部分的に前記接続部(10)と略同一平面上に配置されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項11】
前記側壁(22)の外面(32)間の内幅が、前記コンタクト面(14)に対して横断方向の前記一方の脚部(8)の壁厚さ(15)よりも小さい、請求項7~10のいずれか一項に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項12】
前記2つの側壁(22)は、前記電気ピンコンタクト(4)の断面を完成させて全断面を形成し、前記全断面は、前記電気ピンコンタクト(4)が前記2つの脚部(8)間に配置されるが前記側部(12)が前記側方凹部(20)に受け入れられていない領域にある、前記電気ピンコンタクト(4)の全断面に形状および大きさが対応する、請求項7~11のいずれか一項に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項13】
前記2つの側壁(22)は、前記コンタクト面(14)を少なくとも部分的に覆う、請求項7~12のいずれか一項に記載の接触防止コンタクト構成(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの接触防止コンタクト構成(1)を備える、高電流および/または高電圧プラグ用の電気プラグコネクタ(2)。
【請求項15】
前記電気絶縁コンタクト保護体(5)を一体に形成するハウジングを有する、請求項14に記載の電気プラグコネクタ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気プラグコネクタ用の接触防止コンタクト構成および電気プラグコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
接触防止コンタクト構成が従来技術から公知である。コンタクト構成は、例えば、自動車の電気システムをそのバッテリまたはアキュムレータに接続する役割を果たす電気プラグコネクタ(以下「プラグコネクタ」というときがある。)、特に高電流および/または高電圧プラグコネクタ用のピンコンタクト要素を有する。完全にまたは部分的に電流によって駆動される電気自動車またはハイブリッド車においては、非常に大きい電流および/または電圧が、プラグ要素、したがってそれに取り付けられたプラグコンタクトを介して伝送される。
【0003】
高電流および/または高電圧であることにより、プラグコネクタには特に高い安全要求事項が設定されている。したがって、例えば、コンタクト要素に人の指が接触しないよう保護しなければならないと規定されている。対応する試験のために、標準化した試験指が提供される。この試験指は、人の指先を模倣したものであり、プラグコネクタの部分または開口に対して規定の試験力により押し付けられる。電気ピンコンタクト(以下「ピンコンタクト」というときがある。)は、この部分または開口を介して指にアクセス可能であり、それゆえ、ピンコンタクトの通電部分に直接接触する試験指は必要ではない。したがって、電気ピンコンタクトは、ピンコンタクトの通電部分に指が直接アクセスすることを防ぐ電気絶縁コンタクト保護体を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特に堅牢な指保護体を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明による電気プラグコネクタ用の接触防止コンタクト構成であって、電気ピンコンタクトが、2つの側部およびその自由端において、2つの脚部および2つの脚部を接続する接続部を有する電気絶縁コンタクト保護体(以下「コンタクト保護体」というときがある。)により覆われ、ピンコンタクトの2つの側部は、コンタクト保護体の脚部の2つの側方凹部に少なくとも部分的に受け入れられている接触防止コンタクト構成によって解決される。
【0006】
さらに、この課題は、本発明による少なくとも1つの接触防止コンタクト構成を備える、本発明による高電流および/または高電圧プラグ用の電気プラグコネクタによって解決される。
【0007】
これらの解決策は、ピンコンタクトがコンタクト保護体により囲まれることによって、ピンコンタクトの側部および自由端に指が接触しないように保護するという利点を有する。ピンコンタクトの側部が、コンタクト保護体の脚部の2つの側方凹部に少なくとも部分的に受け入れられるため、コンタクト保護体とピンコンタクトとの間に高い重なりを達成することができる。したがって、本発明による接触防止コンタクト構成は、高い堅牢性を有する。従来技術とは対照的に、ピンコンタクトをコンタクト保護体にしっかりと保持するために、ピンコンタクトの自由端と接続部との間に高い重なりは必要ない。これにより、接続部を最適化し、より堅牢にすることができる。
【0008】
以下で、本発明のさらなる発展を例示する。個々のさらなる発展を互いに独立して組み合わせることができ、各々を単独で検討する。
【0009】
電気ピンコンタクトは、好ましくは、フラットコンタクトであってよい。フラットコンタクトは、通常、2つの異なるプラグイン方向で、言い換えると、角度付きの(90°)および直線的な(180°)プラグコネクタと共に挿入することができるという利点を有する。
【0010】
ピンコンタクトの2つの側部を、互いに対向して、好ましくは互いに平行に配置してもよい。これにより、ピンコンタクトは、例えば矩形の対称設計を有する。この場合、コンタクト保護体は、略U字形の輪郭を有することができ、ピンコンタクトの自由端と、自由端から自由端の反対側の基部までの側部とを囲むことができる。
【0011】
コンタクト保護体は、ピンコンタクト上に、例えば成形、鋳造、または他の方法で形成することができる。
【0012】
代替構成によれば、コンタクト保護体とピンコンタクトとを互いに解放可能に接続してもよい。
【0013】
電気ピンコンタクトを、コンタクト保護体の脚部の2つの側方凹部内へプラグイン方向に押し込むことができ、これにより、凹部はピンコンタクトのガイドとして作用して、ピンコンタクトとコンタクト保護体との接続を容易にする。
【0014】
ピンコンタクトとコンタクト保護体とを、好ましくは、互いに相補的に構成することができる。これにより、ピンコンタクトをコンタクト保護体によって形状嵌合するように受け入れることができ、コンタクト保護体とピンコンタクトとの間に大きな間隔が生じない。
【0015】
さらに有利な構成によれば、ピンコンタクトの自由端を、略凸状のアーチに曲げて、接続部の略くぼんだ、特に相補的な凹部に受け入れるかつ/または押し込むことができる。凸状のアーチにより、ピンコンタクトの自由端が鈍角のテーパになる。アーチは、ピンコンタクトの側部の、互いに離れた方を向く側面に平行に延びていてもよい。鈍角の自由端により、ピンコンタクトを接続部の凹部によって小さい重なりで受け入れることができる。側部を側方凹部で少なくとも部分的に受け入れることにより、コンタクト保護体とピンコンタクトとの間に特に堅牢な接続を既に形成することができる。したがって、自由端と接続部との高い重なりを生じさせる必要はない。自由端は、接続部のレセプタクルに深く入り込む必要はなく、突出縁部がピンコンタクトと接続部との間でプラグイン方向に対して横断方向に延びることを防ぐことができる。
【0016】
凸状のアーチは、鈍角で延びるテーパにより生じさせることができる。
【0017】
ピンコンタクトの自由端の凸状のアーチと、接続部の相補的なくぼんだ凹部とにより、ピンコンタクトをできるだけぴったりと凹部に差し込むことができる。自由端と、接続部の凹部の、自由端に対向する面との間隔は、0.4mm未満、特に0.2mm未満であってよい。したがって、特にプラグイン方向に対して横断方向に突出する縁部は、ピンコンタクトと接続部との間で、ピンコンタクトに相補的な相手側コンタクトが差込みおよび/または引抜き中に擦れて損傷する可能性があるが、生じることがない。
【0018】
さらに有利な構成において、接触防止コンタクト構成は、ピンコンタクトとコンタクト保護体との間でコンタクト面に対して横断方向の形状嵌合を有することができ、前記コンタクト面はピンコンタクトの側部間で延びる。形状嵌合により、堅牢かつ安全な接続がピンコンタクトとコンタクト保護体との間に形成され、これにより、例えばコンタクト面に対して横断方向の力の作用によりコンタクト保護体がピンコンタクトから滑り落ちるのを防ぐことができる。
【0019】
ピンコンタクトとコンタクト保護体との形状嵌合は、接続部とピンコンタクトとの間のピンコンタクトの自由端および/または角部に配置することができる。形状嵌合は、好ましくは、側方凹部に受け入れられるピンコンタクトの側部の部分により形成することができる。この場合、形状嵌合は、ばね-溝接続、特に舌-溝接合の形で形成することができ、側方凹部に受け入れられる側部の部分は、側方凹部に相補的な輪郭を備える。
【0020】
側方凹部を、接続部およびそれぞれの脚部により形成される角部に配置することができる。これにより、コンタクト保護体とピンコンタクトとの間に堅牢な接続を形成することができる。この場合、コンタクト保護体が、コンタクト面に対して横断方向の応力によりピンコンタクトから滑り落ちることを防ぎ、ピンコンタクトの導電性コンタクト要素の接触防止機能がなくなることを防ぐ。
【0021】
接続部およびそれぞれの脚部により形成される角部の有利な構成によれば、側方凹部は、脚部に沿って接続部から離れて延びることができる。側方凹部は、接続部から離れた脚部の端部まで延びることができる。側方凹部の長さが増加すると、コンタクト保護体とピンコンタクトとの重なりが増加することができ、これにより、機械的に堅牢な接続がコンタクト保護体とピンコンタクトとの間に形成される。
【0022】
しかしながら、側方凹部を、好ましくは、接続部およびそれぞれの脚部により形成される角部に配置し、接続部から離れた脚部の端部まで延びないようにしてもよい。この場合、側方レセプタクルにおける重なりは、コンタクト保護体が少なくとも30Nの試験力に耐え、したがって自動車の高電圧接触の試験基準、例えば厳しい要件を有するLV-215の規定を満たすのに十分な大きさであってよい。さらに、これにより、コンタクト保護体とピンコンタクトとの重なりが大きくなりすぎて、ピンコンタクトに適合する相手側プラグとの差込み中に、相手側プラグがコンタクト保護体に大きく当たり過ぎることによって、ピンコンタクトのコンタクト面に十分に接触しなくなることを防ぐことができる。
【0023】
さらに有利な構成によれば、少なくとも1つの側方凹部を、他方の脚部の方向に突出する、脚部の2つの側壁間に配置してもよい。
【0024】
側壁を、接続部および脚部により形成される角部に配置された肩部によって特に形成することができ、この肩部は脚部に平行に延びる溝を備える。したがって、ピンコンタクトの側部を側方凹部に少なくとも部分的に押し込むかつ/または受け入れることのできる、実現が簡単な設計が可能になる。
【0025】
他方の脚部および/または肩部の方向に突出する側壁を、脚部にしっかりと、またはさらには実質的に結合して接続してもよい。好ましくは、側壁および/または肩部を脚部に一体に接続することができる。一体構成は、側壁および/または肩部を脚部と共に1つの作業工程で形成、例えば射出成形することができるという利点を有する。
【0026】
さらに有利な構成によれば、コンタクト保護体を一体に構成して、できるだけ簡単かつ迅速な製造を保証することができる。
【0027】
しかしながら、コンタクト保護体を別個の部品からモジュール構成してもよく、例えば、脚部は接続部から取外し可能であって、損傷した場合に、コンタクト保護体を再び迅速かつ簡単に修理できるようにする。
【0028】
好ましい構成によれば、いずれの場合にも、側方凹部から離れた方を向く側壁の外面を、コンタクト面に位置合わせすることができる。好ましくは、外面をそれぞれのコンタクト面と同一平面にすることができる。これにより、接触防止コンタクト構成が平面状に配置されることが保証されるため、ピンコンタクトに相補的な相手側コンタクトが、側面によってコンタクト面から離れて持ち上げられることがなく、コンタクト面は最適な接触を行うことができる。さらに、相手側コンタクトを引き抜くときに、相手側コンタクトが側面の縁部に擦れて、相手側コンタクトの被覆および側壁が損傷することを防止できる。したがって、耐摩耗性の接触防止コンタクト構成を製造することができる。
【0029】
さらに有利な構成において、2つの側壁を、少なくとも部分的に接続部と略同一平面上に配置することができる。これにより、相手側コンタクトの差込みまたは引抜き中に克服すべき、コンタクト保護体における縁部の存在を防ぐことができる。したがって、例えばコンタクトばねを含む相手側コンタクトは、相手側コンタクトに損傷を与えて相手側コンタクトの被覆を擦るおそれのある深刻な抵抗を受けることがない。
【0030】
さらに有利な構成によれば、2つの側壁の外面間の内幅は、コンタクト面に垂直な脚部の壁厚さよりも小さくてよい。これにより、コンタクト面に対して横断方向の弾性変形にもかかわらず、脚部がピンコンタクトの側部を囲み続けることを保証できる。
【0031】
側壁は、断面、特にピンコンタクトのコンタクト面に垂直な断面を完成させて全断面を形成することができる。この全断面は、ピンコンタクトが脚部間に配置されるが側部が側方凹部に受け入れられていない領域にある、ピンコンタクトの全断面に形状および大きさが対応し、これにより、接触防止コンタクト構成の簡単な形状が保証される。
【0032】
さらに有利な構成によれば、側壁は、コンタクト面を少なくとも部分的に覆うことができる。これにより、側壁とピンコンタクトとの間に高い重なり領域が生じるため、接触防止コンタクト構成において高い剛性を達成することができる。例えば、試験指を接触保護体に置いて曲げ力を加える場合に、接触防止コンタクト構成の剛性ができるだけ高いと、弾性変形を避ける助けになる。接触防止コンタクト構成の剛性ができるだけ高いことは、接触防止コンタクト構成を含むプラグコネクタが、コンタクト保護体に関して想定される寸法および公差に適合することに寄与する。
【0033】
さらに有利な構成によれば、ピンコンタクトは、側方凹部に相補的なキャビティを有していてもよい。キャビティは、少なくとも1つの側部に、好ましくは各側部に配置することができ、例えば整形、フライス加工などにより形成することができる。側方凹部は、例えば、V字形の溝を有していてもよく、相補的なキャビティは弾性手段として機能して、コンタクト保護体とピンコンタクトとの間にコンタクト面に対して横断方向の形状嵌合を形成することができる。キャビティは、好ましくは、自由端および側部により形成される角部に配置することができ、自由端から離れて側方凹部に平行に延びることができる。
【0034】
さらに有利な構成によれば、特に2つの側壁間の側方凹部の内幅は、少なくとも部分的に、接続部から離れる方向に増加していてもよい。これにより、ガイドを形成することができ、このガイドを用いて、ピンコンタクトを押し込むときに側方凹部内に案内する。したがって、押込み中にコンタクト保護体に対するピンコンタクトの向きの偏位を補償することができる。
【0035】
さらに有利な構成によれば、本発明による電気プラグコネクタは、コンタクト保護体にしっかりと、またはさらには実質的に結合して接続されたハウジングを有していてもよい。好ましい構成において、コンタクト保護体とハウジングとは互いに一体に接続されていてもよい。これにより、コンタクト保護体とハウジングとを1つの作業工程で略同時に形成、例えば射出成形することができる。
【0036】
これの代替例として、コンタクト保護体は、使用時にピンコンタクトに差込み可能な別個の部品であってもよい。このために、コンタクト保護体は少なくとも1つの捕捉手段を有していてもよく、この捕捉手段は、ピンコンタクトの少なくとも1つの相補的な捕捉開口において捕捉することができ、プラグイン方向に平行および/または非平行な動きを防ぐ。別個の構成であれば、損傷の場合にコンタクト保護体を容易かつ迅速に交換することができる。
【0037】
以下で、添付図面を参照しながら、例示的な実施形態を用いて、本発明を例としてより詳細に説明する。図面において、設計および/または機能が互いに対応する要素は、同一の参照符号で示す。
【0038】
個々の例示的な実施形態と共に図示し記載する特徴の組合せは、単独で説明の目的を果たす。上記の説明に従って、例示的な実施形態の特徴は、その技術的効果が特定の適用において重要でない場合には省略することができる。逆に、上記の説明に従って、技術的効果が特定の適用において有利または必要である場合には、さらなる特徴を例示的な実施形態に追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明によるプラグコネクタの概略斜視図である。
図2】本発明による接触防止コンタクト構成の概略断面図である。
図3図2の本発明による接触防止コンタクト構成のさらなる概略断面図である。
図4】本発明による接触防止コンタクト構成のコンタクト保護体の概略斜視図である。
図5】本発明による接触防止コンタクト構成のピンコンタクトの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
最初に、図1を参照しながら、本発明による接触防止コンタクト構成1を備えたプラグコネクタ2について説明する。
【0041】
プラグコネクタ2は、ピントレイのように構成されたハウジング3を有する。
【0042】
プラグコネクタ2は、互いに隣接して配置された2つのコンタクト構成1と、いわゆるフラットコンタクトとして形成されたピンコンタクト4と、例えば射出成形により一体部品としてハウジング3と一体に形成されたコンタクト保護体5とを備える。
【0043】
ハウジング3はスロット開口部6を備え、このスロット開口部6を通してピンコンタクト4をプラグイン方向Sに押し込むことができる。
【0044】
コンタクト保護体5は、2つの脚部8が接続部10により互いに接続された略U字形に形成される。
【0045】
脚部8は、接続部10から離れた方を向く端部によりハウジング3に接続され、スロット開口部6を側部に画定し、ピンコンタクト4が差し込まれたときに、自由端11と自由端11からスロット開口部6まで延びる側部12とがコンタクト保護体5により覆われるようになっている。
【0046】
ハウジング3は、いずれの場合にも、コンタクト構成1を囲むカラー13をさらに有する。このカラー13は電気絶縁材料から形成され、コンタクト構成1を越えて突出し、スロット開口部6、自由端11、および側部12により画定されたピンコンタクト4の導電性コンタクト面14(以下「コンタクト面14」というときがある。)に人の指が接触することを防ぐ。
【0047】
以下で、図2図5を参照しながら、本発明による接触防止コンタクト構成1についてより詳細に説明する。
【0048】
図2および図3は各々、接触防止コンタクト構成1の概略断面図である。図4および図5は、本発明によるコンタクト構成1のコンタクト保護体5またはピンコンタクト4の概略斜視図である。
【0049】
接触防止コンタクト構成1は、共にデカルト座標系に広がる長手方向X、横断方向Y、および上下方向Zに延びている。上下方向Zでは、接触防止コンタクト構成1を相手側コンタクト(図示せず)にプラグイン方向Sに差し込むことができる。
【0050】
コンタクト構成1は、電気絶縁コンタクト保護体5と、フラットコンタクトの形のピンコンタクト4とを有する。ピンコンタクト4を長手方向Xに画定する側部12および上下方向Zに位置する自由端11において、ピンコンタクト4はコンタクト保護体5により覆われる。ピンコンタクト4の側部12は各々、1つの脚部8により覆われる。自由端11は、脚部8を接続する接続部10により覆われる。
【0051】
ピンコンタクト4は、互いに平行に配置され、かつ側部12間で上下方向Zおよび長手方向Xに沿って延びるコンタクト面14を備え、これらのコンタクト面14に、ピンコンタクト4に適合する相手側コンタクトが接触することができる。
【0052】
コンタクト保護体5により、ピンコンタクト4の導電性接点に人の指が意図せず接触できないようにする。
【0053】
また、コンタクト保護体5および/またはピンコンタクト4に力が加わったときにコンタクト保護体5が側部12を覆わなくなることを防ぐために、脚部8は、コンタクト面14に対して横断方向の壁厚さ15を有し、これはピンコンタクト4の横断方向Yの幅よりも大きい。
【0054】
コンタクト構成1が高い機械的剛性を有して、例えば、曲げ力がコンタクト保護体5に加わってコンタクト構成1に曲げ力を及ぼす場合に、コンタクト構成1の弾性変形を防ぐことが必要である。このために、側部12は、自由端11およびそれぞれの側部12により形成される角部18で、コンタクト保護体5の側方凹部20に受け入れられるかつ/または押し込まれる。
【0055】
側方凹部20は、対向する脚部8の方向に突出し、かつ側方凹部20を横断方向Yに画定する側壁22により形成される。側壁22は、接続部10およびそれぞれの脚部8により形成される角部24に配置される。
【0056】
側方凹部20は、略V字形の溝の形状を有し、これは、ピンコンタクト4の側部12のキャビティ26に対して略相補的に形成されている。側方凹部20により、コンパクトに配置された接触防止コンタクト構成1と共に、コンタクト保護体5とピンコンタクト4との高い重なり28が生じる。
【0057】
したがって、コンタクト構成1は、ピンコンタクト4とコンタクト保護体5との間に、コンタクト面14に対して横断方向の舌-溝接合の形の形状嵌合を有し、ピンコンタクト4の側部12のキャビティ26およびコンタクト保護体の側方凹部20の溝により、弾性手段が形成される。
【0058】
ピンコンタクト4を、略U字形断面を有するコンタクト保護体5にプラグイン方向Sに押し込むことができる。ここで、キャビティ26はそれぞれの側方凹部20に押し込まれ、受け入れられる。押込み中にピンコンタクト4を案内し方向付けするために、側方凹部20は、接続部10から離れた方を向く端部で長手方向Xに徐々に広がる。これにより形成されるガイド30において、キャビティ26をプラグイン方向Sに押し込みながら中央に配置することができ、不正確な差込みが避けられる。
【0059】
側壁22は、コンタクト面14に対して横断方向のキャビティ26の領域でピンコンタクト4を覆い、側方凹部20から離れた方を向く側壁22の外面32をコンタクト面14に位置合わせする。外面32を、好ましくは、コンタクト面14と同一平面上に配置することができる。これにより、相手側コンタクトは、差込みおよび/または引抜き中に、プラグイン方向Sに対して横断方向に延びる側壁22の縁部で抵抗を受けることがなく、結果として損傷することがない。
【0060】
ピンコンタクト4の自由端11は、凸状のアーチに曲げられて、互いに対向する脚部8の側部間で接続部10に沿って延びる略相補的なくぼんだ凹部34に受け入れられる。凸状のアーチに曲げられた自由端11は、鈍角の斜面により形成され、この斜面は、長手方向Xおよび横断方向Yに広がる平面に位置する平面状の前面40に開いている。
【0061】
ピンコンタクト4が側方凹部20に受け入れられ、これによりコンタクト構成1の必要な剛性が既に保証されるため、自由端11を接続部10に押し込む必要がなくなる。したがって、ピンコンタクト4を、理想的には、接続部10の凹部34にぴったりと、または少なくとも自由端11と凹部34の壁との間に0.4mm未満、特に0.2mm未満の小さい間隔を有して押し込むことができる。したがって、コンタクト面14と接続部10との移行部において、差込みおよび/または引抜き中に相手側コンタクトが擦れる縁部35がコンタクト面14から横断方向に突出することを防ぐ。この有利な構成によれば、コンタクト面14と凹部34との間隙36は、ピンコンタクト4から接続部10へのプラグイン方向Sの移行部において無視できるほど横断方向Yに小さいため、相手側コンタクトが損傷することはない。
【0062】
ピンコンタクト4とコンタクト保護体5との形状嵌合が接続部10に形成される公知の接触防止コンタクト構成1とは対照的に、本発明による接触防止コンタクト構成1の場合の自由端11は、接続部10と大きく重なる必要がない。したがって、自由端11および凹部34の上下方向Zの大きさを小さくすることができる。公知の接触防止コンタクト構成1では、自由端11が鋭角にテーパになっているため、自由端11は接続部10の凹部34に深く入り込むことができ、したがって、ピンコンタクト4とコンタクト保護体5との間により強い形状嵌合が形成される。この欠点は、とりわけ、間隙36がより大きく、差込みおよび/または引抜き中に相手側コンタクトが縁部35で摩耗することである。その結果、可能な差込みサイクルの数が低下し、プラグコネクタおよび相手側コンタクトの摩耗が大きくなる。
【0063】
側壁22の外面32は、凹部34から横断方向Yに離れた方を向く接続部10のそれぞれの外面38と同一平面上に配置され、コンタクト面14に位置合わせされる。その結果、ピンコンタクト4とコンタクト保護体5との間の移行部において、差込みおよび/または引抜き中に相手側コンタクトが擦れるおそれのある縁部が突出しなくなる。
【0064】
さらに、側壁22は、ピンコンタクトの断面を完成させて全断面を形成する。この全断面は、上下方向Zでより深い位置にあり、ピンコンタクト4が脚部8間に配置されるが側部12が側方凹部20に配置されない領域にある、ピンコンタクト4の全断面41に形状および大きさが対応する。
【0065】
したがって、本発明による接触防止コンタクト構成1により、大きい曲げ力に耐えることができ、コンタクト構成1および相手側プラグの摩耗を避けることのできる、堅牢な接触防止コンタクト構成1を備えるプラグコネクタを形成することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 コンタクト構成
2 プラグコネクタ
3 ハウジング
4 ピンコンタクト
5 コンタクト保護体
6 スロット開口部
8 脚部
10 接続部
11 自由端
12 側部
13 カラー
14 コンタクト面
15 壁厚さ
18 ピンコンタクトの角部
20 側方凹部
22 側壁
24 角部
26 キャビティ
28 重なり
30 ガイド
32 外面
34 凹部
35 縁部
36 間隙
38 外面
40 前面
41 全断面

S プラグイン方向
X 長手方向
Y 横断方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5