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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】アシストグリップ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/02 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
B60N3/02 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019165564
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021041835
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】永田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】梶尾 英樹
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤田 亮
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 祐希
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/037153(WO,A1)
【文献】実開昭60-084444(JP,U)
【文献】特開2017-043162(JP,A)
【文献】特開平10-081163(JP,A)
【文献】特開2012-222939(JP,A)
【文献】実開平05-040032(JP,U)
【文献】特開2000-272398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト・ナットを用いて車体パネルに締付固定されるアシストグリップにおいて、
グリップ本体と、
該グリップ本体の両端に設けた取付部の取付孔に挿通されるボルトと、
該ボルトに外嵌され、且つ該取付孔に挿通されるブッシュと、
を備え、
該取付部は、締付座面を設けた取付凹部を有し、
該ボルトは、該取付孔に緩く挿入可能であって、該締付座面に当接するフランジを頭部に有し、
該ブッシュは、末端にフランジを有して、該取付凹部の反対側から該取付孔に挿入され、
該取付孔に挿入された該ボルトの該フランジを所定位置に保持する係止保持部が、該取付凹部に設けられ、該ボルトに外嵌されたブッシュを、該取付孔内で保持する圧入保持部が設けられ、
該ボルトを該取付孔に挿入し、該取付凹部の反対側から該ブッシュを差し込んだ時、該ブッシュが該圧入保持部に保持され、該ボルトの該フランジが該係止保持部に保持されることを特徴とするアシストグリップ。
【請求項2】
前記係止保持部は、該取付凹部内に係止溝が設けられ、前記ボルトのフランジに切欠部が設けられ、該フランジの該切欠部の縁部が該係止溝に係止されて保持されることを特徴とする請求項1記載のアシストグリップ。
【請求項3】
前記取付部の取付孔は、前記ボルトが軸と直角方向で且つ長径方向に移動可能に、略小判形に形成され、前記係止保持部の前記係止溝は、前記締付座面と平行に設けられ、該ボルトのフランジが該締付座面を該長径方向に移動して該フランジが該係止溝に係止されることを特徴とする請求項2記載のアシストグリップ。
【請求項4】
前記係止溝の内側に微細凸部を設け、前記取付凹部内の締付座面に、前記ボルトのフランジの位置決めを行う位置決めリブを設けたことを特徴とする請求項3記載のアシストグリップ。
【請求項5】
前記ブッシュを圧入保持する前記圧入保持部は、前記取付部の取付孔の内周面に、複数の凸条リブが設けられたことを特徴とする請求項1記載のアシストグリップ。
【請求項6】
前記取付部の取付孔は、内側に平坦面を有し、前記ブッシュの外周部に、該取付孔の該平坦面に対応した平坦面が設けられ、該ブッシュは該取付孔に回転を阻止されて圧入されていることを特徴とする請求項1または5記載のアシストグリップ。
【請求項7】
前記取付部の底面に取付凸部が突設され、該取付凸部の側端部に係止爪が設けられ、車体側に設けた被取付凹部に、該取付凸部を差し込んで取り付ける際、該被取付凹部に設けた係止部に、該係止爪が係止されて仮止めされることを特徴とする請求項1記載のアシストグリップ。
【請求項8】
前記取付凹部を覆うカバーが前記取付部に取り付けられ、前記グリップ本体及び該カバーの外周部分に、クッション材を介挿して表皮が巻き付けられたことを特徴とする請求項1記載のアシストグリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に装着されるアシストグリップに関し、特に、ボルト・ナットによる締付固定型で、組付け作業性に優れたアシストグリップに関する。
【背景技術】
【0002】
車室内には、乗員が必要時に把持して使用するアシストグリップが、各部位に取り付けられている。この種のアシストグリップとして、従来、例えば下記の特許文献1において、固定型のアシストグリップが提案されている。
【0003】
このアシストグリップは、グリップ本体の両端部に、取付孔を有した取付部が設けられ、この取付部に取付ボルトを挿通し、車室内の天井部或いは側壁部などに設けた車両パネルの取付孔に、ナットで締付固定される。アシストグリップを取り付ける場合、先ず、アシストグリップの両側の取付部を、車両パネルの取付孔に当て、表側(グリップ本体側)からボルトを、ブッシュ、ワッシャとともに取付孔に差し込み、ボルトの先端が裏側に突出した状態で、裏側からボルト先端にナットを捻じ込む。そして、ナットをボルトに対し締付固定し、アシストグリップが車室内の所定箇所に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-153287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このアシストグリップの取り付け時には、小部品のブッシュ及びワッシャをボルトに挿通させるとともに、表側(グリップ本体側)からボルトを取付孔に差し込み、ボルト先端が裏側に突出した状態で、裏側からナットをボルト先端に捻じ込み、締付固定する必要がある。
【0006】
このため、作業者は、アシストグリップを車体パネルに取り付ける場合、グリップ本体とは別の小部品である、ブッシュ、ワッシャを、ボルトに挿入し、ボルトの先端部を、表側からパネル取付孔に差し込み、且つナットを裏側からボルト先端部に捻じ込むという、煩雑な組付け作業を強いられ、作業効率が低下しやすいという課題があった。
【0007】
また、グリップ本体を射出成形するアシストグリップでは、グリップ本体の取付部に取付ボルトをインサート成形し、グリップ本体から取付ボルトを突出させて製造されるアシストグリップが知られている。取付ボルトをグリップ本体にインサート成形する構造のアシストグリップは、強度を出すためにグリップ内に芯材をインサート成形するが、この芯材に取付ボルトを溶接する必要があり、溶接コストが増大する。一方、グリップ本体の外観や握り心地の向上を目的として、表皮をグリップ本体の表面にインサート成形したアシストグリップも知られているが、その外観や握り心地には課題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、簡単な構成で、組付け作業性が良く、高い取付強度を得ることができ、さらに、デザイン性に優れ、握り心地を向上させることができるアシストグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るアシストグリップは、
ボルト・ナットを用いて車体パネルに締付固定されるアシストグリップにおいて、
グリップ本体と、
該グリップ本体の両端に設けた取付部の取付孔に挿通されるボルトと、
該ボルトに外嵌され、且つ該取付孔に挿通されるブッシュと、
を備え、
該取付部は、締付座面を設けた取付凹部を有し、
該ボルトは、該取付孔に緩く挿入可能であって、該締付座面に当接するフランジを頭部に有し、
該ブッシュは、末端にフランジを有して、該取付凹部の反対側から該取付孔に挿入され、
該取付孔に挿入された該ボルトの該フランジを所定位置に保持する係止保持部が、該取付凹部に設けられ、該ボルトに外嵌されたブッシュを、該取付孔内で保持する圧入保持部が設けられ、
該ボルトを該取付孔に挿入し、該取付凹部の反対側から該ブッシュを差し込んだ時、該ブッシュが該圧入保持部に保持され、該ボルトの該フランジが該係止保持部に保持されることを特徴とする。
【0011】
この発明のアシストグリップによれば、グリップ本体の取付部の取付凹部に、予め、フランジ付きのボルトを取付孔に挿入し、取付凹部の反対側つまりボルトの先端側からブッシュを差し込むとともに圧入し、取付孔の圧入保持部にブッシュを保持させ、ボルトのフランジを係止保持部に保持させ、ボルトの先端側を取付部の底面側に突出させた状態としておくことができる。
【0012】
このため、車室内にアシストグリップの取付作業を行う作業者は、車体パネルの取付部位に、アシストグリップの取付部の底面側を当て、ボルトの先端を、車体パネルの取付孔に挿入し、パネル裏側からナットをボルト先端に捻じ込み、締め付けるのみの簡単な作業で、アシストグリップを効率良く、簡単に取り付けることができる。また、ボルトのフランジとブッシュのフランジで、グリップ本体の取付部と車体パネルを挟み込み、締付け固定するため、高い強度でアシストグリップを車体パネルに固定することができる。
【0013】
ここで、上記アシストグリップにおいて、係止保持部は、取付凹部内に係止溝が設けられ、上記ボルトのフランジに切欠部が設けられ、フランジの切欠部の縁部が係止溝に係止されて保持される構成とすることが好ましい。これにより、ボルトを取付孔に挿通した状態で、ボルトを定位置に簡単に仮止めすることができ、且つナットをボルトに捻じ込み締め付ける際、共回りを防止し、組付け時の作業効率を上げることができる。
【0014】
またここで、上記取付部の取付孔は、上記ボルトが軸と直角方向で且つ長径方向に移動可能に、略小判形に形成され、上記係止保持部の上記係止溝は、該取付部の取付凹部の締付座面と平行に設けられ、上記フランジが該締付座面を該長径方向に移動して該フランジが該係止溝に係止される構造とすることができる。
【0015】
これによれば、グリップ本体の取付部の取付凹部に、フランジ付きのボルトを取付孔に挿入し、ボルトのフランジをスライド移動させて、フランジを係止溝に簡単に係止させることができ、その状態で、ボルトの先端側からブッシュを差し込み、ボルトの先端側を取付部の底面側に突出させることができる。
【0016】
またここで、上記係止溝の内側に、微細凸部を設け、取付凹部内の締付座面には、ボルトのフランジの位置決めを行う位置決めリブを設けることが好ましい。これによれば、ボルトのフランジを係止溝内にスライド移動させたとき、定位置でボルトをガタツキなく安定して保持することができる。
【0017】
またここで、上記アシストグリップにおいて、ブッシュを圧入保持する上記圧入保持部は、上記取付部の取付孔の内周面に、複数の凸条リブが設けられた構成とすることができる。また、上記取付部の取付孔は、内側に平坦面を有し、ブッシュの外周部に、取付孔の平坦面に対応した平坦面が設けられ、ブッシュは取付孔に回転を阻止されて圧入された構成とすることができる。
【0018】
これによれば、ボルトとブッシュを取付部に仮止めする際、ブッシュをボルトに外嵌させながら取付孔内に圧入し、取付孔の中心位置に、ボルトを容易に止めることができる。また、最終的にナットを締め付けてアシストグリップを固定する際、ブッシュの共回りを防止して強固に締付固定することができる。
【0019】
またここで、上記取付部の底面に取付凸部が設けられ、取付凸部の側端部に係止爪が設けられ、車体側の被取付凹部に、取付凸部を差し込んで取り付ける際、被取付凹部に設けた係止部に、係止爪が係止されて仮止めされる構成とすることができる。これによれば、アシストグリップを車室内に取り付ける際、取付部の取付凸部を車体側の被取付凹部に挿入し、係止爪を被取付凹部の係止部に係止させて、アシストグリップを定位置に仮止めすることができ、その状態でボルトにナットを捻じ込み、簡単に締付固定することができる。
【0020】
またここで、上記取付凹部を覆うカバーが上記取付部に取り付けられ、グリップ本体及びカバーの外周部分に、クッション材を介挿して表皮を巻き付けた構成とすることができる。これによれば、取付部にカバーを設ける構造であっても、表皮を巻き付けた製品状態で、取付部及びカバーを含むグリップ全体が表皮で被覆されるため、カバーのアウトラインが現れず、アシストグリップの意匠性を向上させ、高級感を出すことができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明のアシストグリップによれば、組付け作業性が良く、高い取付強度を得ることができ、さらにデザインの自由度が高く、従来必要とされていた、金属芯材に取付ボルトを溶接する溶接工程が不要となり、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態を示すアシストグリップの正面図である。
図2】同アシストグリップの左側面図である。
図3】同アシストグリップの斜視図である。
図4】同アシストグリップの別の角度から見た斜視図である。
図5】アシストグリップの分解斜視図である。
図6】クッション材及び表皮を外した状態のアシストグリップの斜視図である。
図7】一方の取付部の分解斜視図である。
図8】見る角度を変えた取付部の分解斜視図である。
図9】Aはボルトの側面図,Bはボルトの斜視図,C見る角度を変えたボルトの斜視図である。
図10】Aはブッシュの側面図,Bはブッシュの斜視図,C見る角度を変えたブッシュの斜視図である。
図11】Aはカバーの側面図,Bはカバーの斜視図,C裏面側から見たカバーの斜視図である。
図12】Aはボルトのフランジのスライド移動を示す平面説明図,Bはボルトのフランジを定位置に動かしたときの平面説明図である。
図13】係止溝の微細凸部を示す部分拡大斜視図である。
図14】ボルトのスライド移動を示す部分断面説明図である。
図15】ボルトをスライド移動させ、ブッシュを嵌め込み、カバーを被せた状態の断面説明図である。
図16】車体パネルに取り付けた状態のアシストグリップの部分断面図である。
図17】同アシストグリップにおける、取付部の短手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1図5は車室内に、ボルト・ナットを用いて車体パネルに締付固定される、固定式のアシストグリップを示している。
【0024】
このアシストグリップは、図5に示す如く、乗員が把持する部分となるグリップ本体1と、グリップ本体1の両端に設けた取付部2の取付孔5に挿通されるボルト6と、ボルト6と取付孔5との間に挿入されるブッシュ7と、を備える。両端の取付部2には取付凹部3が設けられ、その取付凹部3に、カバー9が被せられる。カバー9を含むグリップ本体1の全体に、クッション材18を介して表皮19が巻き付けられる。
【0025】
グリップ本体1は、例えばガラス繊維強化合成樹脂により、両側の取付部2の取付凹部3、その内側の取付孔5、底部の取付凸部4とともに一体成形される。グリップ本体1が繊維強化合成樹脂により、一体成形されるため、従来の金属芯材をインサートとしてインサート成形する場合に比して、グリップ本体1の形状を、例えばグリップ部を両側の取付部2に対し図2等に示す如く、より低い傾斜角度で設けることができる。これにより、アシストグリップの設計の自由度を上げることができる利点がある。
【0026】
なお、両端に設けた取付凹部3、取付孔5、取付凸部4及びカバー9を含む取付部2の構成は、上下対称形(両端を左右配置した場合、左右対称形)であり、両側で同じ形状の部分については、同じ名称とし、図面に同じ符号を付して説明する。
【0027】
図7,8に示す如く、両側の取付部2の取付凹部3内には、締付座面31が設けられ、締付座面31と垂直方向に取付孔5が締付座面31の略中央に設けられる。締付座面31は、アシストグリップを車体パネルBP(図16)に取り付けたとき、車体パネルBPの被取付面と略平行に位置するように設けられる。取付孔5は、取付部2の底面側に突設された取付凸部4内に、貫通して穿設される。取付凸部4は、図16に示すように、車体パネルBPの外側で、車室内の装飾トリムに設けた被取付凹部に嵌入されて取り付けられる。
【0028】
図7,8に示すように、取付孔5には、フランジ61を頭部に設けたボルト6が、取付凹部3の上から挿入される。取付孔5は、ボルト6が軸と直角方向で且つ長径方向に移動可能に、略小判形に形成される。ボルトは、取付孔5に緩く挿入可能であって、ボルト6のフランジ61が締付座面31上に当接し、挿入位置から奥に向けて摺動可能である。
【0029】
取付孔5に挿入されたボルト6を所定位置に保持する係止保持部10が、取付凹部3内に設けられる。ボルト6のフランジ61が締付座面31上に位置し摺動可能となるため、係止保持部10は、フランジ61の位置を所定位置で係止して保持するように、取付凹部3内両側に係止凸部11が設けられ、その係止凸部11の内側に係止溝12が設けられる。係止凸部11は、内側に係止溝12を有し、取付凹部3の上方から見た場合、オーバーハングして設けられることとなる。
【0030】
係止保持部10となる係止溝12は、取付凹部3の締付座面31と平行に設けられ、ボルト6のフランジ61が締付座面31を長径方向に移動してフランジ61が係止溝12に係止される構造である。このために、図9に示す如く、ボルト6のフランジ61の両側に、長方形状に切り欠いた切欠部62が設けられ、切欠部62の縁部63が係止凸部11に係止される。
【0031】
つまり、ボルト6が取付孔5内に上から挿入され、奥側(位置決めリブ32側)に摺動されたとき、フランジ61の切欠部62の縁部63が係止溝12に係止されて、ボルト6は定位置に保持されることとなる。また、図12Aに示す如く、取付凹部3内の締付座面31には、ボルト6のフランジ61の位置決めを行う位置決めリブ32が設けられる。ボルト6のフランジ61は、締付座面31上で内側にスライドして図12A、Bのようになったとき、位置決めリブ32に当接し、位置決めされる。
【0032】
また、図13に示す如く、係止溝12の内側に、微細凸部12aが設けられる。この微細凸部12aは、フランジ61の縁部63が係止溝12に進入し係止されるとき、押し潰しが可能である。これにより、フランジ61や係止溝12に寸法公差内の寸法のバラつきがあった場合でも、ボルト6のフランジ61を定位置に、ガタツキなく安定して保持することができる。
【0033】
図7、8に示すように、ブッシュ7が、取付凹部3の反対側から取付孔5に挿入される。ブッシュ7は、ボルト6と取付孔5の内周壁との間に介挿されるように、挿入され、ボルト6の外側に外嵌されて、取付孔5内に保持される。ブッシュ7は、図10に示すように、円筒状本体の外周部の両側に、フラットな平坦面72が軸方向と平行に設けられ、ブッシュ7は、同様な形状の取付孔5内に密に差し込み可能に形成される。
【0034】
また、図7に示す如く、取付孔5内には圧入保持部13が設けられ、圧入保持部13として、取付孔5の内周壁に、複数の凸条リブ13aが軸方向と平行に設けられる。これにより、ブッシュ7を、ボルト6と取付孔5の内周壁間に圧入したとき、凸条リブ13aが潰され、ブッシュ7が取付孔5の軸芯位置に保持される。これにより、ボルト6が取付孔5の中央位置に、且つ締付座面31上で垂直に保持されることとなる。また、製造時、製品ごとの取付孔5の内径に、寸法公差内のバラツキが生じた場合でも、この寸法のバラツキを吸収し、ブッシュ7を簡単に、取付孔5内に圧入することができる。
【0035】
取付凹部3の上には、図7,8に示すように、ボルト6を挿入した状態で、カバー9が被嵌される。図11に示す如く、カバー9の四隅に、係止爪91が設けられ、図6に示す如く、取付凹部3の側壁部に設けた4個の係止爪受14に、係止爪91が係止され、カバー9は取付凹部3に被せられ、固定される。カバー9を含むグリップ本体1の全体には、図5に示すように、最終的に、クッション材18を介して表皮19が被覆され、カバー9の外観がアシストグリップの外観に現れないようになっている。
【0036】
上記構成のアシストグリップは、製造時、以下のように組み立てられる。図7,8に示すように、グリップ本体1の両端の取付凹部3に、各々、フランジ付きのボルト6が図の上方から、凹部内の取付孔5に挿入される。このとき、内側に係止溝12を有する係止凸部11はオーバーハングして設けられるから、ボルト6のフランジ61は、図12Aに示すように、取付凹部3内の外側(反中央側)にシフトして挿入され、フランジ61の両側の切欠部62は、係止凸部11内の係止溝12を臨む位置に挿入される(図14上側)。
【0037】
この状態で、ボルト6のフランジ61は、取付凹部3内の締付座面31に当接しており、その状態で、ボルト6を図12A,Bの下側にスライドさせる(図14下側)。これにより、フランジ61は、図12Aのように、その両側の切欠部62の縁部63が係止溝12内に進入する。このとき、係止溝12内の上面に、微細凸部12a(図13)があるため、寸法公差内の寸法のバラツキがあっても、フランジ61の切欠部62の縁部63はガタツキなく係止溝12内に係止される。これにより、図12B図14の如く、ボルト6は、取付凹部3の取付孔5内に、正確に安定して保持されることとなる。
【0038】
そして、この状態で、図14の下側から、ブッシュ7がボルト6と取付孔5の間に圧入される。この後、図15に示すように、取付凹部3に、カバー9が被せられ、その四隅の係止爪91が取付凹部3の係止爪受14に係止され、取付凹部3は図15に示すように閉じられる。この状態で、図6に示す如く、グリップ本体1の両端の取付部2には、ボルト6の先端が、取付凸部4のブッシュ7から背面側に突出し、定位置に保持される。
【0039】
この後、グリップ本体1の外周部に、クッション材18を介して表皮19が巻き付けられ、表皮19の合わせ部は、ステッチが施されて縫合され、図1図5に示す如く、皮巻き型のアシストグリップが完成する。
【0040】
このアシストグリップは、両端の取付部2にカバー9を設けているものの、カバー9を含むグリップ本体1の全体が表皮で被覆されるため、カバー9の輪郭が表面に現れず、アシストグリップの意匠性、デザイン性を向上させることができる。
【0041】
この後、アシストグリップは、車両の組立工程に送られ、車室内に設けた所定の取付位置に、取り付けられる。図16、17に示す如く、車室内の側壁トリムやルーフトリムなどの取付位置に、被取付凹部21が設けられ、被取付凹部21内には、係止部23が設けられる。
【0042】
このため、アシストグリップを取り付ける際、両端の取付凸部4を、被取付凹部21に差し込むと、車体パネルBPの取付孔22にボルト6の先端が差し込まれた状態で、取付凸部4の係止爪41が被取付凹部21の係止部23に係止され、アシストグリップは取付位置に仮止めされる。
【0043】
したがって、この後、車体パネルBPの裏側からナット8を、ボルト6の先端に捻じ込み、締め付ければ、アシストグリップを簡単に締付固定することができる。また、ナット8を締め付ける際、ボルト6のフランジ61の切欠部62が係止溝12に係止されるため、ボルト6の抜けや空転は防止され、効率良く簡単に取付作業を行うことができる。
【0044】
このように、アシストグリップの取付作業を行う際、車体パネルBPの取付部位に、アシストグリップの取付部2の底面側を当て、ボルト6の先端を、車体パネルBPの取付孔22に挿入して仮止めし、パネル裏側からナット8をボルト先端に捻じ込み、締め付けるのみの簡単な作業で、アシストグリップを効率良く、簡単に取り付けることができる。また、ボルト6のフランジ61とブッシュ7のフランジ71で、グリップ本体1の取付部2と車体パネルを挟み込み、締付け固定するため、高い強度でアシストグリップを車体パネルBPに固定することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 グリップ本体
2 取付部
3 取付凹部
4 取付凸部
5 取付孔
6 ボルト
7 ブッシュ
8 ナット
9 カバー
10 係止保持部
11 係止凸部
12 係止溝
12a 微細凸部
13 圧入保持部
13a 凸条リブ
14 係止爪受
18 クッション材
19 表皮
21 被取付凹部
22 取付孔
23 係止部
31 締付座面
32 位置決めリブ
41 係止爪
61 フランジ
62 切欠部
63 縁部
71 フランジ
72 平坦面
91 係止爪
BP 車体パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17