(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】十字軸式自在継手の組み立て方法及び組み立て装置
(51)【国際特許分類】
F16D 3/41 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
F16D3/41 R
(21)【出願番号】P 2019185282
(22)【出願日】2019-10-08
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000167222
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトマシンシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001645
【氏名又は名称】弁理士法人谷藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 寛之
(72)【発明者】
【氏名】小山 剛司
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-309473(JP,A)
【文献】特開2007-321904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00- 9/10
F16C 35/00-35/078
B23P 19/04
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨークの一対のアームを一対のバックアップ治具により軸方向の内側からバックアップして、前記各アームの軸受孔と、前記各軸受孔内に挿入された十字軸との間に軸方向の外側からカップ軸受を圧入する十字軸式自在継手の組み立て方法において、
前記各バックアップ治具を介して前記各アームを軸方向の外側へと
第1拡張状態まで拡張させる
第1拡張工程と、
前記第1拡張状態の前記各アーム
に外側から前記各カップ軸受を圧入
する第1圧入工程と、
前記各カップ軸受の圧入後に前記各バックアップ治具を介して前記各アームを更に第2拡張状態まで拡張させる第2拡張工程と、
前記第2拡張状態の前記各アームを外側からカシメるカシメ工程と、
前記各カップ軸受を圧入してカシメた後に前記各バックアップ治具による前記アームの拡張を解除する拡張解除工程とを備えた
ことを特徴とする十字軸式自在継手の組み立て方法。
【請求項2】
前記
第1拡張工程
、前記第2拡張工程は、前記各バックアップ治具間に機械中心に配置された楔体を押し込んで前記各バックアップ治具を外側へと拡張方向に移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の十字軸式自在継手の組み立て方法。
【請求項3】
前記カシメ工程でのカシメ後に前記各バックアップ治具を介して前記各アームを更に第3拡張状態まで拡張させる第3拡張工程と、
前記第3拡張状態の前記各アームに前記各カップ軸受を圧入する第2圧入工程とを備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の十字軸式自在継手の組み立て方法。
【請求項4】
ヨークの一対のアームを軸方向の内側からバックアップする一対のバックアップ治具と、前記バックアップ治具によるバックアップ状態で前記各アームの軸受孔と十字軸の軸部との間に軸方向の外側からカップ軸受を圧入してカシメる圧入・カシメ手段とを備えた十字軸式自在継手の組み立て装置において、
前記各バックアップ治具間に機械中心に配置された楔体を押し込んで前記各バックアップ治具を介して前記各アームを軸方向の外側へと第1拡張状態まで拡張させる第1拡張手段と、
前記第1拡張状態の前記各アームに外側から前記各カップ軸受を圧入する第1圧入手段と、
前記各カップ軸受の圧入後に前記各バックアップ治具間に機械中心に配置された前記楔体を押し込んで前記各バックアップ治具を介して前記各アームを更に第2拡張状態まで拡張させる第2拡張手段と、
前記第2拡張状態の前記各アームを外側からカシメるカシメ手段と、
前記各カップ軸受を圧入してカシメた後に前記各バックアップ治具による前記アームの拡張を解除する拡張解除手段とを備えた
ことを特徴とす
る十字軸式自在継手の組み立て
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリング装置等に採用される十字軸式自在継手の組み立て方法及び組み立て装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には、
図17に示すように、伸縮自在に構成された伸縮軸1と、この伸縮軸1の両端に一対の十字軸式自在継手2を備えたステアリング装置が採用されている。伸縮軸1は、スプライン嵌合等により伸縮自在に嵌合された内軸3と外軸4とを同心状に備えている。各十字軸式自在継手2は、
図18に示すように、一対のヨーク5と、この一対のヨーク5を屈曲自在に連結する十字軸6とを備えている。各ヨーク5は、
図18に示すように、筒状の基部7と、この基部7から突出する一対のアーム8とを備えている。一対のヨーク5の内、一方のヨーク5は基部7側が内軸3、外軸4等の軸に溶接等で固定され、また他方のヨーク5は基部7側が操舵軸等に連結ピン9を介して着脱自在に連結されている。
【0003】
十字軸6は、十字状に配置された一対の軸部10を備え、その一方の軸部10が一方のヨーク5の一対のアーム8に、他方の軸部10が他方のヨーク5の一対のアーム8に夫々カップ軸受11を介して回転自在に連結されている。カップ軸受11は、軸部10の外周に周方向に配置されたニードル12と、アーム8の軸受孔17内に圧入され且つニードル12を保持する軸受カップ13とを備えている。軸受カップ13は円筒部14と、円筒部14の外側に一体に形成された底部15と、底部15と反対側に円筒部14と一体に形成された外れ止め部16とを有し、円筒部14がアーム8の軸受孔17に嵌合されている。カップ軸受11は、アーム8の軸受孔17の軸方向外側に形成された周方向に複数のカシメ部18により離脱しないように固定されている。
【0004】
この種の十字軸式自在継手2において、十字軸6の振り分けはカップ軸受11の軸方向の圧入位置により決まり、圧入位置が軸方向にズレると、一対のヨーク5同士が干渉して所定の屈曲度を確保できなくなる。カップ軸受11の軸方向のズレを吸収するためには、大きめのヨーク5を製作することも考えられるが、近年の自動車部品は、燃費向上や環境負荷低減のために軽量化が進んでおり、年々小型化され小さくなる傾向にある。従って、ヨーク5を大型化することは近年の傾向に逆行することになり、ヨーク5を小さくしながら所定の屈曲度を得るためには、十字軸6をヨーク5の一対のアーム8間のアーム間中心に正確に配置することが求められる。
【0005】
一方、ヨーク5の製作上、ヨーク5の中心に対してアーム間中心が寸法上ズレるようなことがある。このような寸法上のバラツキがあれば、十字軸6がヨーク5の中心から軸方向にズレた状態で組み立てられることになるので、ヨーク5のアーム間中心を正確に把握して、そのアーム間中心に一致するように十字軸6を正確に組み立てる必要がある。
【0006】
そこで、従来では、バックアップ治具、圧入カシメ手段を備えた組み立て装置を用いて組み立てる際に、先ずヨーク5内に十字軸6を挿入した後、各バックアップ治具をバックアップ位置まで駆動してアーム8を軸方向の外側へと所定の押圧力でバックアップする一方、位置制御により、各サーボモータのパルス数から機械中心に対するアーム間中心のズレ量を求め、そのズレ量に応じて各圧入カシメ手段の指令位置を補正して、その補正位置に基づいて各圧入カシメ手段を制御して圧入、カシメを行う(特許文献1)。
【0007】
即ち、一対のバックアップ治具間の機械中心とヨーク5の中心とを一致させてヨーク5を組み立て装置上に配置した後、各サーボモータにより各バックアップ治具を機械中心から離れるように軸方向の外側に移動させて、各バックアップ治具が所定のバックアップ力で各アーム8を外側へと押圧するように、各バックアップ治具の外側面を各アーム8の内側面に当接させる。
【0008】
このとき各サーボモータのパルス数により、機械中心からバックアップ位置までの各バックアップ治具の送り量が判るので、そのパルス数から両アーム8間のアーム間中心を求め、機械中心に対するアーム間中心のズレ量を求める。
【0009】
そして、アーム間中心が機械中心から軸方向の一方側に所定量だけズレている場合には、他方の圧入カシメ手段の通常指令位置にズレ量を加えた補正位置に、逆に一方の圧入カシメ手段の通常指令位置からズレ量を引いた補正位置に夫々補正して、その各補正位置に基づいて圧入カシメ手段によりカップ軸受11をアーム8の軸受孔17内に圧入し、またカシメ部18をカシメて固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように従来は、機械中心に対するアーム間中心のズレ量を求めて、そのズレ量に応じて各圧入カシメ手段の指令位置を補正する位置制御によりカップ軸受11の圧入、カシメ等を行っているため、カップ軸受11の軸受カップ13の底部15と十字軸6の軸部10の外端面との間の軸方向の隙間にバラツキが生じ易くなり、その結果、異音の発生や操舵感が悪化する原因となっていた。
【0012】
また軸方向の間隙を詰めたために、圧入手段の圧入ピンを前進させすぎると、カップ軸受11の軸受カップ13のカップ割れが生じたり、軸受カップ13の底部15が十字軸6の軸部10の外端面に当接して、十字軸式自在継手2が十字軸6の軸部10廻りに揺動して屈折する際の揺動トルク(屈折トルク)が過大になる問題があった。
【0013】
更に各バックアップ治具により各アーム8を軸方向の外側に押圧してバックアップしているが、定量的なアーム8の拡張では、アーム8のスプリングバック量にバラツキが生じ、軸方向の隙間が生じたり、圧入量が過大になって揺動トルクが過大になる等の問題があった。
【0014】
本発明は、このような従来の課題に鑑み、アームのスプリングバックを利用してカップ軸受を適正位置に容易且つ確実に固定できる十字軸式自在継手の組み立て方法及び組み立て装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る十字軸式自在継手の組み立て方法は、ヨークの一対のアームを一対のバックアップ治具により軸方向の内側からバックアップして、前記各アームの軸受孔と、前記各軸受孔内に挿入された十字軸との間に軸方向の外側からカップ軸受を圧入する十字軸式自在継手の組み立て方法において、前記各バックアップ治具を介して前記各アームを軸方向の外側へと第1拡張状態まで拡張させる第1拡張工程と、前記第1拡張状態の前記各アームに外側から前記各カップ軸受を圧入する第1圧入工程と、前記各カップ軸受の圧入後に前記各バックアップ治具を介して前記各アームを更に第2拡張状態まで拡張させる第2拡張工程と、前記第2拡張状態の前記各アームを外側からカシメるカシメ工程と、前記各カップ軸受を圧入してカシメた後に前記各バックアップ治具による前記アームの拡張を解除する拡張解除工程とを備えたものである。
【0016】
前記第1拡張工程、前記第2拡張工程は、前記各バックアップ治具間に機械中心に配置された楔体を押し込んで前記各バックアップ治具を外側へと拡張方向に移動させてもよい。前記カシメ工程でのカシメ後に前記各バックアップ治具を介して前記各アームを更に第3拡張状態まで拡張させる第3拡張工程と、前記第3拡張状態の前記各アームに前記各カップ軸受を圧入する第2圧入工程とを備えてもよい。
【0017】
本発明に係る十字軸式自在継手の組み立て装置は、ヨークの一対のアームを軸方向の内側からバックアップする一対のバックアップ治具と、前記バックアップ治具によるバックアップ状態で前記各アームの軸受孔と十字軸の軸部との間に軸方向の外側からカップ軸受を圧入してカシメる圧入・カシメ手段とを備えた十字軸式自在継手の組み立て装置において、前記各バックアップ治具間に機械中心に配置された楔体を押し込んで前記各バックアップ治具を介して前記各アームを軸方向の外側へと第1拡張状態まで拡張させる第1拡張手段と、前記第1拡張状態の前記各アームに外側から前記各カップ軸受を圧入する第1圧入手段と、前記各カップ軸受の圧入後に前記各バックアップ治具間に機械中心に配置された前記楔体を押し込んで前記各バックアップ治具を介して前記各アームを更に第2拡張状態まで拡張させる第2拡張手段と、前記第2拡張状態の前記各アームを外側からカシメるカシメ手段と、前記各カップ軸受を圧入してカシメた後に前記各バックアップ治具による前記アームの拡張を解除する拡張解除手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アームのスプリングバックを利用してカップ軸受を適正位置に容易且つ確実に固定できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示す組み立て装置の構成図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態を例示する構成図である。
【
図17】ステアリング装置の中間軸の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、
図17~
図19に記載の十字軸式自在継手2等と同一名称物については同一符号を付して、その説明を簡略化する。
【0021】
図1~
図15は本発明に係る十字軸式自在継手の組み立て方法及び組み立て装置の第1の実施形態を例示する。組み立て装置30は、
図1に示すように、第1案内手段(図示省略)により左右方向(軸方向)に移動自在に支持された左右一対のバックアップ治具31と、この各バックアップ治具31を第1案内手段に沿って左右方向に駆動するための左右一対のエアシリンダ(第1駆動手段)32と、組み立て装置30の左右方向の機械中心O上に配置され且つ第2案内手段(図示省略)により機械中心O上を上下方向に移動自在に支持された楔体33と、この楔体33を第2案内手段に沿って上下方向に駆動するためのサーボモータ(第2駆動手段)34と、各アーム8の軸受孔17と十字軸6の軸部10との間に挿入されたカップ軸受11を圧入して、カシメ部18を形成する左右一対の圧入カシメ手段35とを備えている。
【0022】
楔体33は各バックアップ治具31に対応して左右一対の傾斜部36を備えている。各傾斜部36は両者で下狭まりのテーパを構成するように左右同一角度で傾斜しており、バックアップ治具31間の上側に配置されている。サーボモータ34は楔体33の上側に設けられ、ねじ軸等の伝導機構を介して楔体33を上下方向に駆動するようになっている。
【0023】
各バックアップ治具31はカップ軸受11を圧入する際、及びカシメ部18を形成する際に左右方向の内側から各アーム8をバックアップするためのものであって、各アーム8の内側面に左右方向の内側から接触可能な接触部37と、楔体33の傾斜部36に左右方向の外側から当接可能な当接部38とを有する。
【0024】
各接触部37はバックアップ治具31の内端側から下方に突出している。各当接部38はバックアップ治具31上に固定された当接板39の内端側に設けられており、楔体33の傾斜部36に対して面接触するように傾斜部36と略同一角度で傾斜している。傾斜部36、当接部38は、バックアップ治具31側からの反力に対して楔体33が十分に抗し得るように傾斜角が小さくなっている。また各バックアップ治具31と楔体33とにより、ヨーク5の各アーム8を拡張させる拡張手段が構成されている。なお、当接部38は当接板39を省略してバックアップ治具31に設けてもよい。
【0025】
圧入カシメ手段35は、左右方向に配置された圧入ピン40と、この圧入ピン40の外周側に設けられたカシメパンチ41とを内外同心状に備えている。なお、圧入ピン40、カシメパンチ41は、図外の駆動手段により別々に駆動され、カップ軸受11の圧入とカシメ部18のカシメとを別々に行うようになっている。
【0026】
十字軸式自在継手2の組み立て作業は、
図2に示すように、組み立て装置30上にヨーク5、十字軸6を配置し仮クランプする等の準備工程45と、ヨーク5の各アーム8を左右方向の両側へと第1拡張状態Q1(
図12参照)まで拡張させて、そのアーム間中心Pを組み立て装置30上の機械中心Oと一致させる芯出しを行う芯出し工程46と、第1拡張状態Q1まで拡張した状態の各アーム8の軸受孔17と十字軸6の軸部10との間に挿入されたカップ軸受11を左右方向の外側から第1圧入する第1圧入工程48と、カップ軸受11の第1圧入後に各アーム8を左右方向の両側へと更に第2拡張状態Q2(
図12参照)まで拡張させる第2拡張工程49と、第2拡張状態Q2まで拡張した状態の各アーム8をカシメてカシメ部18を形成するカシメ工程50と、カシメ部18の形成後に各アーム8を左右方向の両側へと更に第3拡張状態Q3(
図12参照)まで拡張させる第3拡張工程51と、第3拡張状態Q3の各アーム8の軸受孔17内のカップ軸受11を第2圧入する第2圧入工程52と、カップ軸受11の第2圧入後に各アーム8の拡張を解除して各アーム8をスプリングバックさせる拡張解除工程53とを経て行う。
【0027】
即ち、準備工程45では、組み立て装置30上にヨーク5、十字軸6等をセットする。十字軸6はその軸部10をヨーク5の軸受孔17に挿入しておく。またヨーク5は仮クランプされており、左右方向に移動できる状態にある。
【0028】
芯出し工程46では、組み立て装置30上に仮止めされたヨーク5の各アーム8を左右方向の両側へと第1拡張状態Q1まで拡張させて、ヨーク5のアーム間中心Pを組み立て装置30上の機械中心Oと一致させる芯出しを行う(
図1、
図3~
図5参照)。
【0029】
この芯出し工程46は、各バックアップ治具31の当接部38を楔体33の各傾斜部36に左右方向の外側から当接させて各バックアップ治具31を機械基準の基準位置Rに合わせる基準工程54(
図1参照)と、基準工程54後の各バックアップ治具31の各接触部37を各アーム8の先端部の内側面に接触させてゼロタッチ位置S(接触位置)を取得するゼロタッチ工程55(
図3参照)と、ゼロタッチ位置Sにある各バックアップ治具31間に楔体33を挿入して各バックアップ治具31を介して各アーム8を左右方向の外側へと拡張させてアーム間中心Pを機械中心Oに合わせる拡張芯出し工程56(
図4、
図5参照)とを備え、その基準工程54、ゼロタッチ工程55及び拡張芯出し工程56を経てヨーク5の芯出しを行う。
【0030】
先ず基準工程54では、各エアシリンダ32の駆動により各バックアップ治具31を左右方向の内側へと
図1の矢印方向に移動させて、各バックアップ治具31の当接部38を機械中心Oにある楔体33に左右両側から当接させる(
図1参照)。このとき各バックアップ治具31は、その当接部38が楔体33の傾斜部36に当接すれば停止する。
【0031】
そして、各バックアップ治具31の当接部38が
図1に示すように楔体33の傾斜部36に当接すると、両バックアップ治具31間の中心が機械中心Oに一致するため、各バックアップ治具31を機械基準の基準位置Rに合わせることができる。このときの各バックアップ治具31の位置を変位計で計測し読み込んで、それを各バックアップ治具31の基準位置Rとして記憶する。
【0032】
ゼロタッチ工程55では、エアシリンダ32の逆方向への駆動により各バックアップ治具31を左右方向の外側へと
図3の矢印方向に移動させて、各バックアップ治具31の接触部37を組み立て装置30上のヨーク5の各アーム8の内側面に接触させる。このとき各バックアップ治具31はその接触部37が各アーム8の内側面に夫々接触すると停止する。
【0033】
各バックアップ治具31は既に機械中心Oに対して左右対称に位置しており、その左右対称に位置する各バックアップ治具31の接触部37が各アーム8に接触する。そのため各バックアップ治具31の接触部37を各アーム8に夫々接触させることにより、ヨーク5の各アーム8のアーム間中心Pを機械中心Oに略一致させることができる。このときの各バックアップ治具31の位置を変位計で計測し読み込んで、それを各バックアップ治具31のゼロタッチ位置Sとして記憶する。
【0034】
各バックアップ治具31を左右方向の外側へと
図3の矢印方向に移動させて接触部37を各アーム8の内側面に接触させる場合、
図14(C)に示すようにヨーク5のアーム間中心Pが機械中心Oと略一致した状態であれば、各バックアップ治具31の接触部37が各アーム8に対して略同時に接触する。
【0035】
しかし、組み立て装置30上に配置されたヨーク5の殆どは、アーム間中心Pが機械中心Oから左右方向の何れかにズレた状態にある。例えば、ヨーク5のアーム間中心Pが
図14(A)に示すように左側にズレた状態にある場合には、各バックアップ治具31を左右方向の外側へと移動させると、先ず右側のバックアップ治具31の接触部37が右側のアーム8に接触し、この右側のバックアップ治具31と共にヨーク5が右側方向へと移動する。
【0036】
各バックアップ治具31は左右逆方向に移動するが、右側のバックアップ治具31の接触部37が右側のアーム8に接触した時点において、左側のバックアップ治具31の接触部37と左側のアーム8との間隔は2αである。その後、
図14(B)に示すように、右側のバックアップ治具31、ヨーク5の移動と共に、逆方向に移動する左側のバックアップ治具31の接触部37とヨーク5の左側のアーム8との間隔が小さくなる。
【0037】
そして、ヨーク5のアーム間中心Pが機械中心Oと一致すると、
図14(C)に示すように、左側のバックアップ治具31の接触部37が左側のアーム8の内側面に接触する。そして、各バックアップ治具31の接触部37が各アーム8に夫々接触すれば、各バックアップ治具31は基準位置Rから等距離のゼロタッチ位置Sに停止する(
図3参照)。
【0038】
なお、エアシリンダ32は、基準工程54において各バックアップ治具31の当接部38が楔体33の各傾斜部36に当接し、またゼロタッチ工程55において各バックアップ治具31の接触部37がヨーク5の各アーム8と接触するか、又はズレ位置に配置されたヨーク5を左右方向の何れか一方に移動させてズレを修正するに必要な低圧用であって、当接部38が傾斜部36に当接し、又は接触部37がアーム8に接触してから駆動を停止、或いは接触してから所定時間後に駆動を停止するようになっている。各アーム8を拡張するだけの駆動力はない。
【0039】
このようにして基準工程54で基準位置Rを取得でき、またゼロタッチ工程55でゼロタッチ位置Sを取得できれば、接触部37と当接部38との左右方向の間隔が既知であるため、それら基準位置R、ゼロタッチ位置S等に基づいてヨーク5のアーム間寸法を算出することができる。
【0040】
各バックアップ治具31をゼロタッチ位置Sまで移動させた場合、各バックアップ治具31の当接部38と楔体33の傾斜部36との間には、基準工程54での基準位置Rからゼロタッチ工程55でのゼロタッチ位置Sまでの移動量に見合う隙間ができる(
図3参照)が、基準位置R、ゼロタッチ位置S及び傾斜部36の勾配等が判れば、楔体33が
図3の位置から、楔体33の各傾斜部36が各バックアップ治具31の当接部38に当接する拡張開始位置T(
図4参照)までに要する楔体33の上下方向の移動量を算出することができる。
【0041】
またヨーク5のアーム間寸法を算出できれば、傾斜部36の勾配等に基づいて、拡張開始位置Tから第1拡張状態Q1に対応する第1拡張位置までの楔体33の移動量、第1~第3拡張状態Q1~Q3に対応する各第1~第3拡張位置相互間の楔体33の移動量を夫々算出することができる。
【0042】
拡張芯出し工程56は、楔体33を下降させてゼロタッチ位置Sにある各バックアップ治具31の当接部38に接触する拡張開始位置Tまで移動させる拡張開始位置移動工程57(
図4参照)と、拡張開始位置Tから楔体33を第1拡張位置まで下降させて拡張開始位置Tにある各バックアップ治具31の当接部38間に挿入して第1拡張状態Q1へと拡張させる第1拡張工程47(
図5参照)とを備えている。
【0043】
この実施形態では、芯出し工程46の第1拡張工程47でアーム8間を第1拡張状態Q1まで拡張することにより、ヨーク5の芯出しを行うと当時に、第1圧入工程48前のアーム8の拡張を行うようにしている。
【0044】
しかし、第1圧入工程48前のアーム8の拡張量に比較して芯出し時の拡張量が小さい場合には、芯出し時拡張工程と第1圧入前拡張工程とを別々にして、先ず芯出し時の拡張を行い、その後に第1圧入前の拡張を行うようにしてもよい。
【0045】
各アーム8を左右に拡張する際の第1~第3拡張状態Q1~Q3は、ヨーク5の寸法、材質等により予め決められており、
図12に示すようにアーム8の通常位置Q0から外側に所定量拡張した第1拡張状態Q1から順次第2拡張状態Q2、第3拡張状態Q3へと拡張量が大になるように設定されている。
【0046】
なお、各拡張状態Q1~Q3の拡張量は、各アーム8が塑性変形せずに弾性変形可能な範囲内であることは云うまでもない。また各拡張状態Q1~Q3相互の拡張量の違いは極僅かでもよい。芯出し時拡張と第1圧入前拡張とを別々に行う場合には、アーム8の通常状態Qと第1拡張状態Q1との間に芯出し拡張状態Q01を設ければよい。
【0047】
拡張開始位置移動工程57では、拡張開始位置Tに基づいて、サーボモータ34が楔体33を下降方向に作動させて、算出した移動量分だけ楔体33を下降方向に移動させる(
図4参照)。そして、楔体33が拡張開始位置Tまで下降して、楔体33の各傾斜部36が各バックアップ治具31の当接部38間に接触すると、サーボモータ34を停止させて楔体33を止める。このときの楔体33の拡張開始位置Tへの下降量は変位計で測定して管理する。
【0048】
第1拡張工程47では、拡張開始位置Tからサーボモータ34を下降方向に作動させて、算出した第2移動量分だけ楔体33を下降方向に移動させる。そして、楔体33が第1拡張位置まで下降して、楔体33を各バックアップ治具31の当接部38間に挿入して行くと(
図5参照)、楔体33の傾斜部36の勾配に応じた押圧力で楔体33が各バックアップ治具31の当接部38を押圧する。このため楔体33の楔作用により、各バックアップ治具31を左右方向の外側へと強大な拡張力が発生し、各アーム8を第1拡張状態Q1まで押し広げて拡張させて行く。このときの楔体33の下降量は変位計で測定して管理する。またアーム8の実際の拡張量も変位計で測定して管理する。
【0049】
各アーム8の第1拡張時には、
図5に示すように、楔体33は機械中心Oを保ちながら下降するため、各傾斜部36を介して各バックアップ治具31が左右方向の外側へと同一量だけ移動する。また楔体33の傾斜部36と各バックアップ治具31の当接部38との当接部分、各バックアップ治具31の接触部37と各アーム8との当接部分には、強大な力が加わるので、各当接部分相互はその強大な拡張力を受けて均一にバラツキなく当接することとなる。
【0050】
従って、所定の第1拡張状態Q1までアーム8を拡張させることにより、ヨーク5のアーム間中心Pを機械中心Oに正確且つ確実に一致させる芯出しを自動的に行うことができる。
【0051】
因みに拡張前のゼロタッチ工程55の時点でも、ヨーク5のアーム間中心Pを機械中心Oに一応一致させることができるが、この時点では各当接部分が単に当接したに過ぎず、各当接部分相互で当接状態にバラツキがあるため、ヨーク5の芯出し精度を十分に確保することができない。しかし、第1拡張状態Q1までアーム8を拡張させることにより、各当接部分相互の当接状態のバラツキを解消できるため、ヨーク5を自動的に正確且つ確実に高精度に芯出しすることが可能である。
【0052】
しかも、各アーム8を拡張させることにより、ヨーク5の芯出しが可能であるため、ヨーク5の芯出し精度が高精度であるにも拘わらず、芯出し工程46での作業が容易であり、ヨーク5の芯出し作業自体を自動的に能率的に行うことができる。特にヨーク5の左右のアーム8を拡張させてヨーク5の芯出しを行うため、ヨーク5の左右のアーム8の寸法精度にズレがある場合にも、その左右のアーム8のズレ量を判断して補正する必要がなく、芯出し作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0053】
楔体33が拡張開始位置Tから第1拡張位置まで所定の移動量分だけ下降して各アーム8が第1拡張状態Q1まで拡張すると、各アーム8の拡張時にヨーク5の芯出しが完了するため、圧入カシメ手段35の圧入ピン40を作動させて、十字軸6の各軸部10と各アーム8の軸受孔17との間のカップ軸受11を左右両側から略同時に圧入するか、又は片側ずつ順次圧入する(第1圧入工程48)(
図6参照)。この後、第2拡張工程49、第3拡張工程51で各アーム8を拡張させた場合にも、ヨーク5は芯出し状態を維持することができる。
【0054】
カップ軸受11の圧入に際しては、圧入ピン40によりカップ軸受11の底部15側を左右方向の内側へと押圧して、その圧入ピン40が所定の位置に達するまで行う。このときの圧入荷重は、
図13に示すように、カップ軸受11の位置に応じて変化する。これはカップ軸受11の圧入位置により、カップ軸受11とアーム8の軸受孔17との左右方向の嵌め合い量が変化するためである。
【0055】
即ち、第1圧入工程48において、カップ軸受11を
図13の第1位置X1、第2位置X2、第3位置X3を経て第4位置X4へと圧入する場合には、圧入開始後の第1位置X1から第2位置X2を経て第3位置X3へと軸受カップ13と軸受孔17との左右方向の嵌め合い量が増えるに従って圧入荷重が高くなる。そして、軸受カップ13と軸受孔17との嵌め合い量が最大の第3位置X3を越えると、両者の嵌め合い量が徐々に少なくなり、第4位置X4を経て第1圧入の完了へと圧入荷重が低下する。
【0056】
なお、第4位置X4までカップ軸受11を圧入したとき(又は第1圧入の完了位置までカップ軸受11を圧入した時点)の圧入荷重は、
図13に示すように圧入開始時点よりも高くなっている。
【0057】
カップ軸受11の第1圧入が完了すれば、第2拡張工程に49おいて、サーボモータ34の駆動により楔体33を更に下降させて楔体33を挿入し、各バックアップ治具31を介して芯出し状態を維持しながら各アーム8を第2拡張状態Q2まで拡張させる(第2拡張工程49)(
図7参照)。
【0058】
なお、
図7では、圧入ピン40による第1圧入状態を維持したままでアーム8を左右に拡張させているが、アーム8の拡張前に第1圧入を解除して拡張するか、第1圧入の解除と略同時にアーム8を拡張してもよい。
【0059】
各アーム8が第2拡張状態Q2まで拡張すれば、圧入ピン40による第1圧入状態のままで、各カシメパンチ41を各アーム8の軸受孔17に左右方向の外側から挿入して、カップ軸受11の外端側に近接して軸受孔17の内周にカシメ部18を形成し、このカシメ部18によりカップ軸受11の抜け止めを行う(カシメ工程50)(
図8参照)。
【0060】
このカシメに際して、各アーム8を第1拡張状態Q1から第2拡張状態Q2まで拡張するのは、カシメパンチ41によるカシメ荷重が圧入ピン40による圧入荷重よりも大きいためである。このように第2拡張状態Q2まで拡張させれば、大きなカシメ荷重が加わった場合にも、その第2拡張時の拡張荷重によってカシメ荷重に十分に対向することができる。そのため各アーム8の第2拡張状態Q2でカシメ部18を形成することにより、カップ軸受11を確実に抜け止めすることができる。
【0061】
第1拡張状態Q1から第2拡張状態Q2までの拡張量は、圧入荷重とカシメ荷重との違いを考慮して決定すればよい。従って、圧入荷重とカシメ荷重との差が小さければ、第2拡張状態Q2への拡張量は小さくすることも可能である。
【0062】
なお、第1拡張状態Q1での各アーム8の拡張荷重が十分に大であるか、又は楔体33の各傾斜部36の勾配が小さくカシメ荷重に十分に抗し得る程度であれば、第2拡張状態Q2への各アーム8の拡張は省略することもできる。
【0063】
カシメ工程50が完了すると、サーボモータ34の駆動により楔体33を更に下降させて、楔体33により各バックアップ治具31を介して芯出し状態を維持しながら各アーム8を第3拡張状態Q3まで拡張させる(第3拡張工程51)(
図9参照)。そして、各アーム8が第3拡張状態Q3まで拡張すれば、各圧入ピン40を各アーム8の軸受孔17に左右方向の外側から挿入して、所定の圧入荷重になるまでカップ軸受11の第2圧入を行う(第2圧入工程52)(
図10参照)。
【0064】
なお、第2拡張状態Q2から第3拡張状態Q3までの拡張量は、カシメ荷重と第2圧入荷重との違いを考慮して決定すればよい。従って、カシメ荷重と第2圧入荷重との差が小さければ、第3拡張状態Q3への拡張量は小さくすることも可能である。
【0065】
第2拡張状態Q2での各アーム8の拡張荷重が十分に大であるか、又は楔体33の各傾斜部36の勾配が小さくカシメ荷重に十分に抗し得る程度であれば、第3拡張状態Q3への拡張は省略することもできる。
【0066】
第2圧入工程52での第2圧入では、圧入ピン40を低速で圧入方向に移動させて、カップ軸受11の軸受カップ13の底部15側の凸部15aを軸部10の外端面側へと低速で押し付ける。そのため第2圧入時の圧入荷重は、
図13に示すように第1圧入後の圧入荷重から高圧入荷重へと押し付け荷重分だけ上昇させながら、カップ軸受11を所定圧入位置へと確実に圧入することができる。また第2圧入時の圧入荷重が大になるが、各アーム8を第2拡張状態Q2から第3拡張状態Q3まで拡張しているので、その第3拡張状態Q3の拡張荷重によって十分に抗することができる。
【0067】
カップ軸受11の第2圧入時の圧入荷重が所定値に達すれば圧入完了となり、サーボモータ34の逆転駆動により楔体33を上昇させて、各アーム8の第3拡張状態Q3を解除する(拡張解除工程53)(
図11参照)。そして、その後、各バックアップ治具31、楔体33等を元に戻して終了する。
【0068】
拡張解除工程53で第3拡張状態Q3の各アーム8に対する拡張を開放した場合には、各アーム8のスプリングバックにより、各アーム8とカップ軸受11との間の隙間が相殺されるので、各アーム8の軸受孔17内のカップ軸受11をガタツキなく固定することができる。
【0069】
図15(A)~(C)は各アーム8のスプリングバック時の概念図を示す。第3拡張状態Q3の各アーム8に対してカップ軸受11を第2圧入した時点の状態は、
図15(A)に示す通りである。この第3拡張状態Q3において、圧入ピン40を抜いて圧入を解除すれば、
図15(B)に示すように十字軸6の軸部10の端面と軸受カップ13の底部15側が戻り、軸部10の端面と軸受カップ13の底部15の凸部15aとの間に隙間ができる。その後、
図15(C)に示すように、各アーム8が左右方向の内側へとスプリングバックし、これによって各カップ軸受11が各アーム8と一緒に左右方向の内側へと移動する。そのため左右両側のカップ軸受11間の間隔が狭くなり、その狭くなった左右両側のカップ軸受11により十字軸6に一方の軸部10を支持することができる。
【0070】
従って、カップ軸受11と十字軸6の軸部10との間の左右方向のガタツキがなくなり、十字軸6の軸方向の動きによる異音の発生を防止することができる。またヨーク5の左右のアーム8で十字軸6が軸方向に動く隙間がなくなるため、水やゴミ等の進入を防止することができる。
【0071】
また組み立ての都度、その基準位置R等を変位計で測定するため、各楔体33の傾斜部36と各バックアップ治具31の当接部38との接触部分等の接触箇所に摩耗等があっても、その摩耗等による組み立て精度の低下を防止することができる。
【0072】
図16は本発明の第2の実施形態を例示する。第2拡張工程49とカシメ工程50とを行う場合には、
図16に示すように、両者を略同時に行うか、又は第2拡張工程49に続いて僅かな時間差で直ちにカシメ工程50を実行することも可能である。即ち、楔体33を下降させて各バックアップ治具31を介して各アーム8を左右に第2拡張する一方、この第2拡張と略同時にカシメパンチ41により左右両側から各アーム8をカシメるか、第2拡張に続いて僅かな時間差でカシメパンチ41により各アームをカシメることも可能である。
【0073】
この場合にも、カシメパンチ41による各アーム8のカシメ中は、各アーム8に第2拡張時の拡張力が加わっているので、それによってカシメ時の大きなカシメ荷重に十分に抗することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その趣旨が逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。実施形態の組み立て装置30では、各バックアップ治具31に対して楔体33が上側にあり、その楔体33を上側のサーボモータ34により駆動するようにしているが、バックアップ治具31、楔体33、サーボモータ34は上下逆向きに配置してもよい。また左右方向に移動する各バックアップ治具31に対して楔体33は前後方向に移動するように配置する等、種々の変更が可能である。
【0075】
実施形態では、基準位置R、ゼロタッチ位置S等からアーム間寸法を算出して、そのアーム間寸法に基づいてその後の拡張状態の各アーム8の拡張位置を算出することとしているが、アーム間寸法のバラツキが少ない等の事情がある場合には、予め拡張位置を設定しておき、それに従って各工程を実行するようにしてもよい。また実施形態では、拡張開始位置で一旦停止し、その拡張開始位置から拡張位置へと拡張させていくようにしているが、拡張開始位置での停止は省略してもよい。
【0076】
実施形態では、ヨーク5の芯出し工程46における各アーム8の芯出し拡張工程58と、その後のカップ軸受11の圧入工程前の各アーム8の第1拡張工程47とを一工程で共通に行う場合を例示しているが、芯出し工程46における各アーム8の芯出し拡張工程58とカップ軸受11の第1圧入工程48前の各アーム8の第1拡張工程47は別々に行うようにしてもよい。
【0077】
その場合、芯出し工程46では、ヨーク5の芯出しに必要な範囲で各アーム8の拡張を行い、カップ軸受11の第1圧入工程48前の各アーム8の第1拡張工程47では、カップ軸受11の圧入に必要な範囲で芯出し拡張状態から第1拡張状態Q1までの拡張を行うようにしてもよい。
【0078】
また第1拡張工程47での各アーム8の拡張量が圧入、カシメに十分抗し得る程度であれば、第1拡張状態のままでカップ軸受11の第1圧入とカシメとを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
2 十字軸式自在継手
5 ヨーク
6 十字軸
8 アーム
11 カップ軸受
17 軸受孔
30 組み立て装置
31 バックアップ治具
32 エアシリンダ(第1駆動手段)
33 楔体
34 サーボモータ(第2駆動手段)
35 圧入カシメ手段
36 傾斜部
37 接触部
38 当接部
46 芯出し工程
47 第1拡張工程
48 第1圧入工程
49 第2拡張工程
50 カシメ工程
51 第3拡張工程
52 第2圧入工程
53 拡張解除工程
54 基準工程
55 ゼロタッチ工程
56 拡張芯出し工程