(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230925BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
H05K13/04 A
B25J19/06
(21)【出願番号】P 2019191337
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉永 雅
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-078292(JP,A)
【文献】特開2018-060956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
B25J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
前記電子部品を吸着するノズルと、
前記ノズルが着脱可能に取付けられるヘッドと、
前記ヘッドに取付けられた前記ノズルの周囲に配置され、前記ノズルと前記部品実装機の他の部材との干渉を防止する干渉防止機構であって、前記ヘッドに収容される第1位置から、その下端が前記ノズルの下端より下方に位置する第2位置まで突出可能な突出部を有している、前記干渉防止機構と、
前記突出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させるように制御する制御部と、
前記ノズルの上下方向の位置を検出する検出部と、
を備え
、
前記制御部は、前記部品実装機が停止すると共に、前記検出部が前記ノズルの位置が所定位置より下方であることを検出したときに、前記突出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させる、部品実装機。
【請求項2】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
前記電子部品を吸着するノズルと、
前記ノズルが着脱可能に取付けられるヘッドと、
前記ヘッドに取付けられた前記ノズルの周囲に配置され、前記ノズルと前記部品実装機の他の部材との干渉を防止する干渉防止機構であって、前記ヘッドに収容される第1位置から、その下端が前記ノズルの下端より下方に位置する第2位置まで突出可能な突出部を有している、前記干渉防止機構と、
前記突出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させるように制御する制御部と、
前記ノズルの上下方向の位置を検出する検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記部品実装機が停止すると共に、前記検出部が前記
ノズルの位置を検出しなかったときに、前記突出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させる
、部品実装機。
【請求項3】
前記突出部は、前記第2位置にあるときに、前記ノズルを周方向に全周に亘って覆うように構成されている、請求項1
又は2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記突出部は、前記第2位置にあるときに、前記ノズルの周方向の一部に配置されるように構成されている、請求項1
又は2に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電子部品を基板に実装する部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する部品実装機では、ノズルによって電子部品を吸着し、電子部品を基板上の所定の位置まで移動させ、電子部品を基板上に実装することがある。例えば、特許文献1には、ノズルと、ノズルを着脱可能に装着する装着部を有するヘッドと、ノズルが装着されるヘッドを覆うカバーと、を備える部品実装機が開示されている。特許文献1の部品実装機では、カバーを備えることによって、装着部に部品実装機内の他の部材や電子部品等が衝突することを回避し、装着部の欠損や損傷が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装機では、電子部品を基板上の所定の位置まで移動させるときにはヘッドは上昇した状態であり、電子部品を吸着するときと電子部品を基板上に配置するときにヘッドは下降する。このため、部品実装機が作動中に緊急停止したり、電源遮断されたりすると、ノズルが下降した状態で部品実装機が停止することがある。このような状態で、作業者がヘッドを手動で移動させると、ヘッドに装着されたノズルが部品実装機内の他の部材等に衝突し、ノズルが欠損したり損傷したりすることがある。しかしながら、特許文献1の部品実装機では、ノズルが装着される装着部はカバーに覆われているため保護されるが、ノズル自体はカバーで覆われていないため保護することができない。
【0005】
本明細書は、ノズルを適切に保護可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、電子部品を吸着するノズルと、ノズルが着脱可能に取付けられるヘッドと、ヘッドに取付けられたノズルの周囲に配置され、ノズルと部品実装機の他の部材との干渉を防止する干渉防止機構であって、ヘッドに収容される第1位置から、その下端がノズルの下端より下方に位置する第2位置まで突出可能な突出部を有している、干渉防止機構と、を備える。
【0007】
上記の部品実装機では、突出部はヘッドに収容される第1位置から下降した第2位置に移動できる。例えば、突出部を第1位置に配置することにより、部品実装機による実装作業を適切に行うことができる。また、例えば、突出部を第2位置に配置することにより、ヘッドが降下している状態で作業者がヘッドを手動で移動させたとしても、突出部が部品実装機内の他の部材に事前に衝突することで、他の部材がノズルに衝突し難くなる。このため、ノズルの欠損や損傷を抑制することができる。このように、突出部の位置を第1位置と第2位置との間で適宜移動させることにより、実装作業を適切に行いつつノズルを適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1に係る部品実装機の概略構成を示す図。
【
図3】
図1の要部IIIを示す拡大図であり、(a)は突出部が第1位置に位置するときを示し、(b)は突出部が第2位置に位置するときを示す。
【
図4】部品実装機の制御装置の機能を示すブロック図。
【
図5】部品実装機の作動が停止したときの処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】実施例2における突出部の概略構成を示す図であり、突出部が第2位置に位置するときを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1)本明細書に開示する部品実装機は、突出部を第1位置から第2位置に移動させるように制御する制御部と、ヘッドの上下方向の位置を検出する検出部と、をさらに備えていてもよい。制御部は、部品実装機が停止すると共に、検出部がヘッドの位置が所定位置より下方であることを検出したときに、突出部を第1位置から第2位置に移動させてもよい。このような構成によると、部品実装機が停止したときにヘッドが所定位置より下方に位置した場合に、突出部が第1位置から第2位置に移動する。すなわち、ヘッドが所定位置より下方に位置する状態で停止した場合には突出部は下方に移動し、ヘッドが下方に位置していない状態で停止した場合には突出部は下方に移動しない。ノズルが所定位置より上方に位置している状態で停止したときは、ヘッドを手動で移動させてもノズルが他の部材に衝突しないため、突出部を第2位置に移動する必要がない。一方、ノズルが所定位置より下方に位置している状態で停止したときには、ヘッドを手動で移動させるとノズルが他の部材に衝突する虞がある。このような場合に突出部を第2位置に移動させることにより、突出部によりノズルを部品実装機内の他の部材から保護することができる。このように、ノズルを保護する必要がある場合にのみ突出部を移動させることができる。
【0011】
(特徴2)本明細書に開示する部品実装機では、制御部は、部品実装機が停止すると共に、検出部がヘッドの位置を検出しなかったときに、突出部を第1位置から第2位置に移動させてもよい。検出部によりヘッドの位置を検出できない場合、部品実装機が停止したときのヘッドが上下方向のどの位置にあるのかがわからない。このような場合に突出部を第2位置に移動させることによって、ヘッドが下方に位置している状態で停止した場合に備えることができる。これにより、安全性を確保することができる。
【0012】
(特徴3)本明細書に開示する部品実装機では、突出部は、第2位置にあるときに、ノズルを周方向に全周に亘って覆うように構成されていてもよい。このような構成によると、ヘッドを手動でどのような方向に移動させても、突出部によりノズルが他の部材に衝突することを回避させることができる。
【0013】
(特徴4)本明細書に開示する部品実装機では、突出部は、第2位置にあるときに、ノズルの周方向の一部に配置されるように構成されていてもよい。このような構成によると、突出部が第2位置にあっても、ノズルが突出部により全周に亘って覆われない。このため、作業者がノズルを目視し易くなる。
【実施例】
【0014】
(実施例1)
以下、実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、センサユニット30と、装着ヘッド16とセンサユニット30を移動させる移動装置18と、基板コンベア20と、制御装置22と、タッチパネル24を備える。部品実装機10の外部には、部品実装機10と通信可能に構成されたPC8が配置されている。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ上に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0016】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。
【0017】
装着ヘッド16は、電子部品4を吸着するノズル6と、干渉防止機構26(
図3参照)を有する。ノズル6は、装着ヘッド16に着脱可能に取り付けられている。装着ヘッド16は、ノズル6をZ方向(ここでは鉛直方向)に移動可能であり、部品フィーダ12や回路基板2に対して、ノズル6を接近及び離反させる。装着ヘッド16は、部品フィーダ12から電子部品4をノズル6によって吸着すると共に、ノズル6に吸着された電子部品4を回路基板2上に装着することができる。なお、装着ヘッド16は、単一のノズル6を有するものに限られず、複数のノズル6を有するものであってもよい。
【0018】
干渉防止機構26は、ノズル6が部品実装機10内の他の部材と干渉することを防止するように構成されている。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、干渉防止機構26は、上方の第1位置(
図3(a)参照)と下方の第2位置(
図3(b)参照)の上下方向(Z方向)に移動可能な突出部28と、突出部28を上下方向に移動させるアクチュエータ(図示省略)を備えている。アクチュエータを駆動することで、突出部28が第1位置から第2位置に、また、第2位置から第1位置に移動する。
【0019】
突出部28は、筒状であり、その外周が装着ヘッド16の外周と略一致している。また、突出部28は、装着ヘッド16を下方からみたときに、その内周より内側にノズル6が位置するように構成されている。突出部28の高さ方向(Z方向)の寸法は、ノズル6が装着ヘッド16から突出する寸法より大きくされている。突出部28が第2位置(突出する位置)に位置すると、突出部28はノズル6全体を周方向に覆う。例えば、部品実装機10の停止中に、作業者が手動で装着ヘッド16を移動させることがある。このような場合に、突出部28を第2位置に位置させることによって、突出部28が部品実装機10内の他の部材と衝突することはあっても、ノズル6が他の部材と衝突することを回避できる。
【0020】
また、突出部28は、第1位置に位置するとき、その下端が装着ヘッド16の下端と略一致するように装着ヘッド16内に収容される。部品実装機10の作動中に突出部28を第1位置に位置させることによって、実装作業時のノズル6の動作(例えば、電子部品4の吸着等)を妨げることを回避できる。
【0021】
また、突出部28は、金属部28aと樹脂部28bによって構成されている。金属部28aは、突出部28の大部分を占めており、例えば、ステンレス、アルミニウム又は鉄等の金属で形成されている。なお、金属部28aを形成する金属の種類は、特に限定されない。突出部28の大部分が金属部28aであることにより、突出部28に部品実装機10内の他の部材が衝突しても、突出部28は破損し難くなる。これにより、突出部28の内側に位置するノズル6が欠損したり損傷したりすることを抑制できる。
【0022】
樹脂部28bは、金属部28aの下方に配置されており、金属部28aの下端を覆っている。樹脂部28bは、例えば、ゴムやウレタン等の樹脂で形成されているが、樹脂の種類は特に限定されない。突出部28を第1位置から第2位置に移動させると、突出部28が、突出部28の下方に位置する回路基板2やカメラ(図示省略)等の部材に衝突することがある。金属部28aの下端が樹脂部28bで覆われていることによって、突出部28を第1位置から第2位置に移動させたときに、突出部28が下方に位置する部材に損傷を与える可能性を低減することができる。
【0023】
図1に示すように、センサユニット30は、移動ベース18aに固定されており、移動ベース18aと一体的に移動する。センサユニット30は、センサ支持部32と、センサ34を備える。センサ支持部32は、移動ベース18aに固定されている。センサ34は、センサ支持部32の下方に固定されている。センサ34は、光学式のセンサであり、受光面がノズル6の側面に向かうように配置されている。センサ34は、ノズル6の先端の位置を検出する。センサ34によって検出された情報(ノズル6の先端の位置)は、制御装置22のメモリ(図示省略)に出力される。なお、本実施例では、光学式のセンサ34を用いているが、センサは、ノズル6の先端の位置を検出できればよく、その種類は特に限定されない。また、センサ34は、「検出部」の一例である。
【0024】
移動装置18は、部品フィーダ12と回路基板2との間で装着ヘッド16及びセンサユニット30を移動させる。一例ではあるが、本実施例の移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットであり、移動ベース18aに対して装着ヘッド16及びセンサユニット30が固定されている。なお、装着ヘッド16は、移動ベース18aに固定されるものに限られず、移動ベース18aに着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
【0025】
基板コンベア20は、回路基板2の搬入、位置決め、及び搬出を行う装置である。一例ではあるが、本実施例の基板コンベア20は、一対のベルトコンベアと、回路基板2を下方から支持する支持装置(図示省略)とを有する。
【0026】
制御装置22は、メモリとCPUを含むコンピュータを用いて構成されている。
図4に示すように、制御装置22は、突出部28と接続しており、突出部28を制御している。具体的には、制御装置22は、突出部28を第1位置と第2位置との間で移動させる。また、制御装置22は、センサ34と接続されており、センサ34で検出されたノズル6の先端の位置が入力される。タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。
【0027】
図5を参照して、部品実装機10の作動を停止させるときの処理について説明する。部品実装機10は、生産プログラムに従った作動停止(生産終了)の他に、何らかの不具合により緊急停止したり、予期せぬ電源遮断が生じたりして、作動が停止することがある。生産プログラムに従って作動を停止した際には、ノズル6は上方に位置した状態にされるが、緊急停止等の場合には、ノズル6は、上方に位置しているとは限らず、下方に位置していることもあれば、昇降の途中の状態となっていることもある。ノズル6が上方に位置していない状態で、作業者が装着ヘッド16を手動で移動させると、ノズル6が部品実装機10内の他の部材に衝突し、欠損したり損傷したりすることがある。以下に、部品実装機10が緊急停止したり電源遮断されたりして作動が停止するときに、突出部28を降下させる処理について説明する。なお、本実施例では、部品実装機10が停止する前には、部品実装機10は生産プログラムに従い作動している。このため、突出部28が第1位置に位置している状態で、以下の処理が開始される。
【0028】
図5に示すように、まず、制御装置22は、部品実装機10の作動を停止させるか否かを判定する(S12)。部品実装機10の作動を停止させる異常が生じていない場合は、部品実装機10の作動を停止させる必要がないため(ステップS12でNO)、ステップS14以降の処理をスキップして、そのまま処理を終了する。一方、部品実装機10の作動を停止させる場合(ステップS12でYES)、制御装置22は、その作動の停止が正常な停止であるか否かを判定する(S14)。例えば、制御装置22は、生産プログラムに従い作動が終了するときには、部品実装機10が生産プログラムを最後まで実行したか否かを判断し、また、部品実装機10を緊急停止させるときは、予め定められた緊急停止させる異常(例えば、センサによる異常検知、停電等による外部電源からの電源供給の遮断等)が発生したか否かを判断する。部品実装機10の作動を正常停止する場合(ステップS14でYES)、部品実装機10の各部を予め定められた初期位置に移動させて作動を停止させ(S16)、処理を終了する。なお、停電等により外部電源から部品実装機10への電源供給が遮断されたときも、コンデンサ等の補助電源に蓄えられた電荷によって、制御装置22は、
図5に示す処理を実行可能に構成されている。
【0029】
一方、部品実装機10の作動を正常停止しない場合(ステップS14でNO)、すなわち、部品実装機10の作動を緊急停止する場合は、制御装置22は、まず、部品実装機10の可動部(装着ヘッド16、部品フィーダ12、移動装置18、基板コンベア20等)の動作を停止し、次いで、センサ34からノズル6の位置に関する情報を取得可能であるか否かを判定する(S18)。例えば、緊急停止する異常が検知されて部品実装機10の作動を停止する場合、外部電源から部品実装機10への電源供給は遮断されていないため、制御装置22は、センサ34からの情報を取得することができる。一方で、例えば、停電等の電流遮断により部品実装機10を停止する場合、センサ34からの情報の入力も遮断される。この場合には、制御装置22は、ノズル6が上下方向(Z方向)のどの位置で停止しているのかを特定できない。このため、センサ34からの情報が取得できない場合(ステップS18でNO)、ステップS20の処理をスキップし、制御装置22は、突出部28を第1位置から第2位置に移動させる(S22)。これにより、ノズル6が下方に位置している状態で停止した場合に備え、突出部28をノズル6の周囲に配置することができる。
【0030】
センサ34からの情報を取得した場合(ステップS18でYES)、制御装置22は、ステップS18でセンサ34から取得した情報に基づいてノズル6の上下方向(Z方向)に位置を特定する。そして、制御装置22は、特定したノズル6の位置が所定の位置より下方であるか否かを判定する(S20)。所定の位置は、予め制御装置22のメモリ(図示省略)に記憶されている。
【0031】
ノズル6が所定の位置より下方に位置している場合(ステップS20でYES)、制御装置22は、突出部28を第1位置から第2位置に移動させる(S22)。部品実装機10内の比較的低い位置には、他の部材が多く配置されている。このため、ノズル6が低い位置で停止したときに、作業者が手動で装着ヘッド16を移動させると、ノズル6が部品実装機10内の他の部材に衝突する可能性がある。ノズル6が所定の位置より下方に位置しているときに突出部28を第1位置から第2位置に移動させることによって、ノズル6が他の部材に衝突することを回避できる。
【0032】
一方、ノズル6が所定の位置より下方に位置していない場合(ステップS20でNO)、ノズル6は比較的高い位置にあるため、作業者が手動で装着ヘッド16を移動させても、ノズル6が部品実装機10内の他の部材に衝突し難い。この場合には、突出部28を第2位置に移動させる必要がないため、ステップS22をスキップし、処理を終了する。このように、部品実装機10の作動が停止したときのノズル6の先端の位置が、所定の位置より下方にあるか否かを判定することによって、ノズル6を保護する必要があるとき(ノズル6が低い位置にある状態で停止しているとき)にのみ突出部28を第2位置に移動することができる。
【0033】
(実施例2)
上記の実施例1では、突出部28は、第2位置に位置するときにノズル6全体を周方向に覆う形状であったが、このような構成に限定されない。突出部は、ノズル6が部品実装機10内の他の部材と衝突することを抑制するように構成されていればよい。例えば、突出部128は、第2位置に位置するときにノズル6の周方向の一部に配置される形状であってもよく、
図6に示すように、柱状であってもよい。なお、本実施例の部品実装機は、突出部128が実施例1の突出部28と相違しており、その他の構成については略同一となっている。そこで、実施例1の部品実装機10と同一の構成については、その説明を省略する。
【0034】
突出部128は、柱状であり、装着ヘッド16の外周に沿う位置に配置されている。具体的には、突出部128は、矩形の装着ヘッド16を下方から見たときに、装着ヘッド16の角部と略一致する位置に配置されている。本実施例では、装着ヘッド16には、4つの突出部128が配置されており、4つの突出部128は、装着ヘッド16の各角部に配置されている。突出部128の高さ方向(Z方向)の寸法は、ノズル6が装着ヘッド16から突出する寸法より大きくされている。また、突出部128は、金属部128aと樹脂部128bによって構成されている。なお、金属部128a及び樹脂部128bは、実施例1の金属部28a及び樹脂部28bと略同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0035】
突出部128は、制御装置22により制御されており、制御装置22がアクチュエータを駆動することで、装着ヘッド16に収容される第1位置と、装着ヘッド16から下方に突出する第2位置との間で移動可能となっている。4つの突出部128が第2位置に位置すると、4つの突出部128は、ノズル6の周方向の一部に配置される。この状態で作業者が手動で装着ヘッド16を移動させると、突出部128が部品実装機10内の他の部材と衝突することにより、ノズル6が他の部材と衝突し難くなる。本実施例では、4つの突出部128はノズル6の周方向の一部のみに配置されるため、部品実装機10内の他の部材は、ノズル6に衝突し難くなるものの、突出部128間を通ってノズル6と衝突することもあり得る。一方で、4つの突出部128を第2位置に移動しても、ノズル6の周方向全体が覆われることがないため、作業者がノズル6を目視し易くなる。このように、突出部128をノズル6の周方向の一部に設けることにより、ノズル6の欠損や損傷を抑制することができると共に、作業者にノズル6を視認し易くすることができる。
【0036】
なお、本実施例の突出部128は、装着ヘッド16の4つの角部と対応する位置に4つ配置されていたが、このような構成に限定されない。突出部は、装着ヘッド16の外周に沿う位置に配置されていればよく、装着ヘッド16の角部と対応する4箇所のうちの3箇所以下の位置に配置されていてもよい。また、突出部は、装着ヘッド16の角部と対応する位置だけでなく、装着ヘッド16の外周側の2つの角部の間に配置してもよい。ただし、突出部は、部品実装機10の奥側(
図6の+Y方向側)より手前側(
図6の-Y方向側)に配置したほうがよい。作業者は、装着ヘッド16を手動で移動させる際には、前後左右(X方向及びY方向)のいずれにも移動させる可能性があるが、特に、装着ヘッド16を作業者に近づけるために、奥側から手前側に移動させることが多い。このため、特に、突出部を手前側(-Y方向側)に配置することによって、ノズル6の欠損や損傷を好適に抑制することができる。
【0037】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0038】
2:回路基板
4:電子部品
6:ノズル
8:PC
10:部品実装機
12:部品フィーダ
14:フィーダ保持部
18:移動装置
20:基板コンベア
22:制御装置
24:タッチパネル
26:干渉防止機構
28:突出部
28a:金属部
28b:樹脂部
30:センサユニット
34:センサ