(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】回転電機システム
(51)【国際特許分類】
H02K 29/08 20060101AFI20230925BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20230925BHJP
【FI】
H02K29/08
H02K11/215
(21)【出願番号】P 2019206109
(22)【出願日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝典
(72)【発明者】
【氏名】石川 智也
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-102667(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122670(WO,A1)
【文献】特開2011-030314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 29/08
H02K 11/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機と、
制御装置と、
を備え、
前記回転電機は、
回転方向に沿って交互に異なる磁極を並べる複数のマグネットを有するロータと、
前記ロータを回転させる磁界を発生させるステータと、
前記複数のマグネットに向かい合う位置に配置され、前記複数のマグネットの各々の前記磁極に応じた信号を出力する複数の磁気センサと、
を備え、
前記複数のマグネットは、本体である主磁性部、及び前記主磁性部の磁気特性とは異なる磁気特性であるとともに前記回転方向の後方側における前記主磁性部の端面から前記回転方向の前方側にずれた位置に配置された異磁性部を有する異磁性マグネットを備え、
前記複数の磁気センサは、
前記異磁性マグネットの前記異磁性部の回転軌道に向かい合う位置に配置され、前記主磁性部の磁気特性に応じた信号及び前記異磁性部の磁気特性に応じた信号を出力する第1の磁気センサと、
前記主磁性部の回転軌道と向き合い、かつ前記異磁性部の回転軌道とは向かい合わない位置に配置され、前記異磁性部の磁気特性に応じた信号を出力せずに前記主磁性部の磁気特性に応じた信号を出力する少なくとも1つの第2の磁気センサと、
を備え
、
前記制御装置は、
前記第1の磁気センサから前記異磁性部の磁気特性に応じた信号の出力が開始された後に、前記第1の磁気センサから前記異磁性部の磁気特性に応じた信号の出力が終了するタイミングを検出準備開始タイミングとし、
前記検出準備開始タイミングの検知後に、前記第1の磁気センサから前記回転方向で隣り合う前記マグネット同士間の前記磁極の切り替わりに応じた信号が出力されたタイミングを絶対位置検出タイミングとし、
前記絶対位置検出タイミングに応じて前記ロータの絶対的な所定回転位置を取得する
ことを特徴とする回転電機
システム。
【請求項2】
前記主磁性部の磁極の向きと前記異磁性部の磁極の向きとは逆向きであることを特徴とする
請求項1に記載の回転電機
システム。
【請求項3】
前記主磁性部の材料と前記異磁性部の材料とは異なる
ことを特徴とする
請求項1に記載の回転電機
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、界磁用の複数のマグネットを有するロータと、回転磁界を発生させるコイルを有するステータと、ロータの回転位置を検出する複数のセンサとを備える回転電機が知られている。複数のセンサは、複数の第1のセンサと、1つの第2のセンサと、を備える。複数の第1のセンサは、ロータを回転駆動する際のステータのコイルに対する通電を制御するためにロータの複数の回転位置を検出する。第2のセンサは、ロータに連結された内燃機関を始動させるためなどにロータの絶対的な所定回転位置を検出する。第2のセンサは、ロータの複数のマグネットのうちマグネット本体に対して磁気特性が異なる一部の異磁性部を有する1つのマグネット(異磁性マグネット)を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような回転電機では、第2のセンサは異磁性マグネットの異磁性部の位置を検出することによって、ロータの絶対的な所定回転位置を検出する。ここで、例えば既に一方の磁性に着磁済みのマグネットに対し、その一部に後から他方の磁性を着磁して異磁性部を形成した場合、異磁性部の磁気特性の位置精度がなまり、第2のセンサの位置検出精度が第1のセンサの位置検出精度に比べて低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ロータの絶対的な所定回転位置の検出精度を向上させることができる回転電機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る回転電機システムは、回転電機と、制御装置と、を備え、前記回転電機は、回転方向に沿って交互に異なる磁極を並べる複数のマグネットを有するロータと、前記ロータを回転させる磁界を発生させるステータと、前記複数のマグネットに向かい合う位置に配置され、前記複数のマグネットの各々の前記磁極に応じた信号を出力する複数の磁気センサと、を備え、前記複数のマグネットは、本体である主磁性部、及び前記主磁性部の磁気特性とは異なる磁気特性であるとともに前記回転方向の後方側における前記主磁性部の端面から前記回転方向の前方側にずれた位置に配置された異磁性部を有する異磁性マグネットを備え、前記複数の磁気センサは、前記異磁性マグネットの前記異磁性部の回転軌道に向かい合う位置に配置され、前記主磁性部の磁気特性に応じた信号及び前記異磁性部の磁気特性に応じた信号を出力する第1の磁気センサと、前記主磁性部の回転軌道と向き合い、かつ前記異磁性部の回転軌道とは向かい合わない位置に配置され、前記異磁性部の磁気特性に応じた信号を出力せずに前記主磁性部の磁気特性に応じた信号を出力する少なくとも1つの第2の磁気センサと、を備え、前記制御装置は、前記第1の磁気センサから前記異磁性部の磁気特性に応じた信号の出力が開始された後に、前記第1の磁気センサから前記異磁性部の磁気特性に応じた信号の出力が終了するタイミングを検出準備開始タイミングとし、前記検出準備開始タイミングの検知後に、前記第1の磁気センサから前記回転方向で隣り合う前記マグネット同士間の前記磁極の切り替わりに応じた信号が出力されたタイミングを絶対位置検出タイミングとし、前記絶対位置検出タイミングに応じて前記ロータの絶対的な所定回転位置を取得することを特徴とする。
【0007】
上記構成では、前記主磁性部の磁極の向きと前記異磁性部の磁極の向きとは逆向きであってもよい。
【0008】
上記構成では、前記主磁性部の材料と前記異磁性部の材料とは異なってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のマグネットのうちで回転方向の後方側での主磁性部の端面から回転方向の前方側にずれた位置に配置された異磁性部を有する異磁性マグネットと、主磁性部及び異磁性部の各々に応じた信号を出力する第1の磁気センサとを備えることによって、ロータの絶対的な所定回転位置を精度良く検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態での回転電機及び回転電機システムの斜視図。
【
図2】本発明の実施形態での回転電機のロータを取り外した状態を回転軸方向から見た平面図。
【
図3】本発明の実施形態での回転電機のロータを回転軸方向と平行な平面で破断して回転軸方向の直交方向から見た側面図。
【
図4】本発明の実施形態での回転電機のステータの斜視図。
【
図5】本発明の実施形態での回転電機のロータの内周側を展開した図。
【
図6】本発明の実施形態での回転電機のロータの回転時に第1から第4のホールICから出力される信号の時間変化の例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態での回転電機のロータの回転時に異磁性マグネットの周辺で第1のホールICから出力される信号の時間変化の例を示す図。
【
図8】本発明の実施形態の比較例での回転電機のロータの回転時に異磁性マグネットの周辺で第1のホールICから出力される信号の時間変化の例を示す図。
【
図9】本発明の実施形態の第1変形例での回転電機のロータの回転時に異磁性マグネットの周辺で第1のホールICから出力される信号の時間変化の例を示す図。
【
図10】本発明の実施形態の第2変形例での回転電機のロータの内周側を展開した図。
【
図11】本発明の実施形態の第2変形例での回転電機のロータの回転時に第1から第4のホールICから出力される信号の時間変化の例を示す図。
【
図12】本発明の実施形態の第3変形例での回転電機のロータの内周側を展開した図。
【
図13】本発明の実施形態の第3変形例での回転電機のロータの回転時に第1から第4のホールICから出力される信号の時間変化の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施形態に係る回転電機及び回転電機システムについて、添付図面を参照しながら説明する。
【0013】
<回転電機>
図1は、回転電機1及び回転電機システム100の斜視図である。
図2は、回転電機1のロータ4を取り外した状態を回転軸方向Zから見た平面図である。
図3は、回転電機1のロータ4を回転軸方向Zと平行な平面で破断して回転軸方向Zの直交方向から見た側面面である。回転軸方向Zは回転電機1の回転軸線と平行な方向である。
実施形態の回転電機1及び回転電機システム100は、例えば、自動二輪車などの車両に搭載され、車両の内燃機関(図示せず)の始動及び内燃機関の動力による発電を行う。回転電機1は、3相ブラシレス型及びアウターロータ型の回転電機である。回転電機システム100は、回転電機1及び制御装置101を備える。
【0014】
図1、
図2及び
図3に示すように、回転電機1は、ステータ2と、ロータ4と、位置検出センサユニット6とを備える。ステータ2は、例えば内燃機関のクランクケース(図示せず)に固定されている。ロータ4は、例えば内燃機関のクランクシャフト(図示せず)に固定されている。位置検出センサユニット6は、ロータ4の回転位置を検出する。
以下の説明では、回転軸方向Zのうち軸方向内側(各図中に示すの内側)は、クランクシャフト(図示せず)が延びる側であり、クランクシャフトにロータ4が固定される側である。回転軸方向Zのうち軸方向外側(各図中に示す外側)は、軸方向内側とは反対側である。
【0015】
図4は、ステータ2の斜視図である。
図1から
図4に示すように、ステータ2は、ステータ鉄心2Aと、複数のコイル10と、を備える。
ステータ鉄心2Aは、例えば積層された電磁鋼板によって形成されている。ステータ鉄心2Aは、本体部2aと、複数のティース部2bとを備える。本体部2aの外形は、例えば円環状である。複数のティース部2bは、本体部2aの外周面から径方向外側に向かって放射状に突出している。各ティース部2bは、突出方向の先端部から円周方向両側に張り出す爪片3を備える。爪片3の外形は、例えばT字状である。複数のティース部2bは、例えば12極18スロットの回転電機1の場合、18個のティース部2bである。
【0016】
複数のティース部2bのうち一部のティース部2bの爪片3には1つ又は2つの切欠き部7が形成されている。切欠き部7は、例えば、爪片3の円周方向での端部のうち回転軸方向Zでの中央部から軸方向外側端に至る部分が切り欠けられるように形成されている。
円周方向で隣り合う一部のティース部2b同士に対し、円周方向で隣り合うように対を成す切欠き部7は、円周方向で隣接する2つの爪片3に跨って長方形状の溝部8を形成する。円周方向に連続的に並ぶように形成された3対の切欠き部7は、円周方向に連続的に並ぶような3つの溝部8を形成する。
3対の切欠き部7による3つの溝部8には、後述する位置検出センサユニット6の第1の脚部61a、第2の脚部61b及び第3の脚部61cが配置されている。
【0017】
複数のコイル10は、複数のティース部2bにインシュレータ(図示せず)を介して巻き付けられるように装着されている。
図1及び
図2に示すように、複数のコイル10の端末部は、複数のリード線21aの第1端に接続されている。複数のリード線21aは、例えば、3相のU相、V相及びW相に対応付けられた3つのリード線21aである。複数のリード線21aは、保護チューブ22aによって束ねられ、ステータ2の軸方向外側端でステータ2の円周方向に沿うように円弧状に配置されている。複数のリード線21aの第2端は、内燃機関のクランクケース(図示せず)に設けられたグロメット23を介してクランクケースの外部に引き出され、制御装置101に接続されている。複数のコイル10は、例えば12極18スロットの回転電機1の場合、18個のコイル10である。
【0018】
ステータ2の軸方向外側端には、後述するセンサケース30から引き出された複数のセンサ線21bが保護チューブ22bによって束ねられ、ステータ2の円周方向に沿うように円弧状に引き回されている。複数のセンサ線21bは、後述するセンサケース30の内部空間で第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dに接続されている。複数のセンサ線21bは、内燃機関のクランクケース(図示せず)に設けられたグロメット24を介してクランクケースの外部に引き出され、制御装置101に接続されている。
ステータ2の軸方向外側端に配置された複数のリード線21a及びセンサ線21bは、クリップ25を介してステータ鉄心2Aの軸方向外側端に保持されている。
【0019】
図5は、ロータ4の内周側を展開した図である。
図6は、12極18スロットの回転電機1でのロータ4の回転時に第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dから出力される信号の時間変化の例を示す図である。
図7は、ロータ4の回転時に異磁性マグネット16cの周辺で第1のホールIC38aから出力される信号の時間変化の例を示す図である。
図1、
図3及び
図5に示すように、ロータ4は、ロータヨーク12と、ボス部14とを備える。ロータヨーク12の外形は、例えば有底円筒状である。ロータヨーク12は、磁性材料によって形成されている。ボス部14は、ロータヨーク12の底壁12aに同軸に固定されている。ボス部14は、内燃機関のクランクシャフトと連結されて、クランクシャフトと一体的に回転する。
【0020】
ロータ4は、ロータヨーク12の内周面に取り付けられた複数のマグネット16を備える。複数のマグネット16は、ロータヨーク12の円周方向に沿って等間隔に配置されている。各マグネット16の外形は、例えばロータヨーク12の円周方向に沿って湾曲した板状のセグメント型又は矩形板状の角型等である。セグメント型又は角型等の各マグネット16の厚さ方向の少なくとも一部はロータヨーク12の径方向と平行である。各マグネット16の磁化方向は厚さ方向と平行である。複数のマグネット16のうち円周方向で隣り合うマグネット16同士の磁化方向は反転している。つまり円周方向で隣り合う2つのマグネット16同士では、磁極の向きが逆向きである。
【0021】
例えば、ロータ4の内周側がN極及び外周側がS極に着磁されたマグネット16をN極マグネット16aとし、ロータ4の内周側がS極及び外周側がN極に着磁されたマグネット16をS極マグネット16bとした場合、複数のN極マグネット16a及びS極マグネット16bは、円周方向に交互に配置されている。複数のマグネット16は、例えば12極18スロットの回転電機1の場合、12個のマグネット16である。
【0022】
複数のマグネット16のうち所定の1つのマグネット16は、主要部に対して一部の磁気特性が異なるように、主磁性部18及び異磁性部19を備える異磁性マグネット16cである。異磁性部19は、主磁性部18の磁化方向と反対の磁化方向を有する又は主磁性部18の材料と異なる材料で形成されることによって、主磁性部18の磁気特性と異なる磁気特性を有する。
【0023】
例えば、異磁性マグネット16cは、相互の磁化方向が異なる主磁性部18及び異磁性部19を備える。異磁性マグネット16cは、円周方向の両側でN極マグネット16aに隣り合う。主磁性部18は、S極マグネット16bと同様にロータ4の内周側がS極及び外周側がN極に着磁されていることに対して、異磁性部19は、ロータ4の内周側がN極及び外周側がS極に着磁されている。これにより、ロータ4では、円周方向に並ぶ特定の1組のN極マグネット16a,16aの間に異磁性マグネット16cが配置され、円周方向に他の組み合わせで並ぶN極マグネット16a,16a間に、S極マグネット16bが配置されている。
【0024】
図5及び
図7に示すように、異磁性マグネット16cの異磁性部19は、異磁性マグネット16cの厚さ方向の内周側及び外周側のうち内周側の端部に設けられている。異磁性部19は、異磁性マグネット16cの内周側の端面(内周面)16Aから内周側に露出している。
異磁性部19は、ロータ4の回転方向(つまり複数のマグネット16の回転方向)RDの前方側及び後方側のうち後方側での異磁性マグネット16cの端面(後方側端面)16Bから回転方向RDの前方側に離れて設けられている。これにより、異磁性マグネット16cの後方側端面16Bは、回転方向RDの後方側での主磁性部18の端面(後方側端面)18Aと同一である。異磁性部19の後方側端面19Aは、異磁性マグネット16cの後方側端面16B及び主磁性部18の後方側端面18Aから回転方向RDの前方側に離れている。
【0025】
例えば、異磁性部19は、回転方向RDの前方側での異磁性マグネット16cの端部及び回転軸方向Zの軸方向内側及び軸方向外側のうち軸方向外側での異磁性マグネット16cの端部に設けられている。異磁性部19は、回転方向RDの前方側での異磁性マグネット16cの端面(前方側端面)16C及び回転軸方向Zの軸方向外側での異磁性マグネット16cの端面(軸方向外側端面)16Dの各々から露出している。
【0026】
ロータ4の径方向の内方から外方に向かって内周側の複数のマグネット16を見た場合、回転軸方向Zの軸方向外側以外では、N極とS極が円周方向に交互に並んで配置されている。一方、軸方向外側では、異磁性マグネット16cの異磁性部19及び回転方向RDの前方側で異磁性マグネット16cに連続して並ぶ1つのマグネット16(例えば、N極マグネット16a)の分だけ同じ磁極(例えば、N極)が連続的に配置されている。
複数のマグネット16の内周側及び軸方向外側の領域は、ロータ4の絶対的な所定回転位置に対応付けられた内燃機関の点火タイミングを規定するための領域である。複数のマグネット16の内周側及び軸方向外側以外の他の領域は、主に、コイル10に対する通電の転流タイミングを規定する検出するための領域である。
【0027】
<位置検出センサユニット>
図1から
図3に示すように、位置検出センサユニット6は、センサケース30と、第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dとを備える。
センサケース30は、ステータ鉄心2Aの軸方向外側に配置されている。センサケース30は、樹脂材料によって形成されている。センサケース30は、第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dが実装された複数の回路基板(図示せず)を収容する。
【0028】
センサケース30は、外枠部材60と、第1から第3の脚部61a,61b,61cとを備える。
外枠部材60の外形は、例えばステータ鉄心2Aの外周に沿うように湾曲した有底筒状である。外枠部材60は、径方向内方に向かって延び出るように一体に設けられた配線ガイド68を備える。配線ガイド68は、外枠部材60から引き出された複数のセンサ線21bを束ねる。配線ガイド68は径方向内側にボルト座69を備える。配線ガイド68は、ボルト座69に形成されたボルト孔(図示せず)に挿入されるボルト71による締結などによってステータ鉄心2Aに固定されている。
外枠部材60は、径方向外方に突出する舌片部73を備える。外枠部材60は、舌片部73に形成されたボルト孔73aに挿入されるボルト(図示せず)による締結などによって内燃機関のクランクケース(図示せず)に固定されている。
【0029】
第1から第3の脚部61a,61b,61cは、外枠部材60から軸方向内側に向かって突出するように一体に設けられている。各脚部61a,61b,61cの外形は、例えば有底角筒状である。第1から第3の脚部61a,61b,61cは、ステータ2の3対の切欠き部7によって形成された3つの溝部8に挿入されている。第1から第3の脚部61a,61b,61cの各々の径方向外側の表面は、ステータ2の爪片3の径方向外側の表面に対して面一に配置されている。
【0030】
第1から第3の脚部61a,61b,61cは、ロータ4の回転方向RDの後方側から前方側に向かって円周方向に沿って順次に配置されている。第1の脚部61aの内部空間には、第1のホールIC38a及び第2のホールIC38bが実装された回路基板(図示せず)が収容されている。例えば、第1のホールIC38a及び第2のホールIC38bは、回転軸方向Zに沿って配置されている。第1のホールIC38aは、第2のホールIC38bよりも軸方向外側に配置されている。
【0031】
第2の脚部61bの内部空間には、第3のホールIC38cが実装された回路基板(図示せず)が収容されている。第3の脚部61cの内部空間には、第4のホールIC38dが実装された回路基板(図示せず)が収容されている。例えば、第3のホールIC38c及び第4のホールIC38dは、回転軸方向Zに第2のホールIC38bと同一の位置に配置されている。
第1のホールIC38a及び第2のホールIC38bと、第3のホールIC38cと、第4のホールIC38dとは、円周方向に電気角120°の間隔で配置されている。
【0032】
図5に示すように、各ホールIC38a,38b,38c,38dは、ロータ4の各マグネット16と対向するように配置されている。第1のホールIC38aは、径方向で異磁性マグネット16cの異磁性部19と対向する回転軸方向Zの第1位置M1に配置されている。回転軸方向Zの第1位置M1は、ロータ4の回転に伴う異磁性部19の回転軌道の一部に径方向で向かい合う位置である。第2から第4のホールIC38b,38c,38dは、径方向で異磁性マグネット16cの異磁性部19と対向しない回転軸方向Zの第2位置M2に配置されている。回転軸方向Zの第2位置M2は、例えば、ロータ4の回転に伴う各マグネット16の中央部の回転軌道及び異磁性マグネット16cの主磁性部18の回転軌道の各一部に径方向で向かい合う位置である。
【0033】
第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dは、センサケース30の内部空間で複数の回路基板(図示せず)を介して複数のセンサ線21bに接続されている。
図1及び
図2に示すように、第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dが実装された複数の回路基板(図示せず)を収容するセンサケース30の内部空間には、充填剤90が充填されている。充填剤90は、センサケース30の内部空間を封止する。
【0034】
<ロータの回転位置の検出>
図6及び
図7に示すように、第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dの各々は、径方向で対向する各マグネット16の部位の磁極に応じて「1」又は「0」の信号を出力する。例えば、各ホールIC38a,38b,38c,38dは、径方向でN極の部位に対向する場合に「1」の信号を出力し、径方向でS極の部位に対向する場合に「0」の信号を出力する。
【0035】
第1のホールIC38aは、異磁性マグネット16cの主磁性部18及び異磁性部19を含む全てのマグネット16の磁極に応じた第1信号Pを出力する。第2から第4のホールIC38b,38c,38dは、順次にU相、V相及びW相の3相に対応付けられ、全てのマグネット16のうち異磁性マグネット16cの異磁性部19以外の部位の磁極に応じた第2信号U、第3信号V及び第4信号Wを出力する。第1のホールIC38a及び第2のホールIC38bは回転軸方向Zに沿って配置されていることによって、第1のホールIC38aから出力される第1信号Pと第2のホールIC38bから出力される第2信号Uとは、全てのマグネット16のうち異磁性マグネット16cの異磁性部19以外の部位に対して同一である。
【0036】
制御装置101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPU等のプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)及びタイマー等の電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。なお、制御装置101の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路であってもよい。
【0037】
制御装置101は、第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dから出力される各信号P,U,V,Wに基づいてロータ4の回転を制御する。制御装置101は、各信号P,U,V,Wをロータ4の回転位置を把握するための回転位置信号として受け取る。制御装置101は、第2から第4のホールIC38b,38c,38dから出力される第2信号U、第3信号V及び第4信号Wによって3相のコイル10の通電に対する転流タイミングを制御する。制御装置101は、第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dから出力される第1信号P、第2信号U、第3信号V及び第4信号Wによって内燃機関の始動時の点火タイミング及び燃料噴射タイミングを制御する。
【0038】
例えば、制御装置101は、ロータ4の回転駆動時に第1信号P、第2信号U、第3信号V及び第4信号Wの組み合わせによる信号群S(P,U,V,W)によって、クランクシャフトの所定状態又はクランクシャフトに連結されたピストン(図示せず)の所定位置(例えば、上死点など)と対応付けられているロータ4の絶対的な所定回転位置を把握する。
【0039】
図5、
図6及び
図7に示すように、先ず、第1のホールIC38aと第2のホールIC38bとを回転軸方向Zに揃えて配置した場合、第1のホールIC38aが異磁性部19を検出していない領域においては、第1のホールIC38aの第1信号Pと第2のホールIC38bの第2信号Uが一致する。一方、第1のホールIC38aが異磁性部19を検出する領域では、第1のホールIC38aの第1信号Pと第2のホールIC38bの第2信号Uとが異なる。これにより、第1のホールIC38aが異磁性部19と対向するタイミングを検出することができる。
【0040】
ここで、制御装置101は、第1のホールIC38aによって異磁性マグネット16cの異磁性部19の検出が開始された後に、異磁性部19の検出が終了するタイミングを検出準備開始タイミングPD0とする。検出準備開始タイミングPD0は、例えば、信号群S(P,U,V,W)が第1の信号群S1(P,U,V,W)=(1,0,1,1)から第2の信号群S2(P,U,V,W)=(0,0,0,1)に切り替わるタイミングである。
【0041】
次に、制御装置101は、検出準備開始タイミングPD0の検知後に、第1のホールIC38aによって円周方向で隣り合うマグネット16同士間の磁極の切り替わりが検出されたタイミングを絶対位置検出タイミングPDとする。絶対位置検出タイミングPDは、例えば、信号群S(P,U,V,W)が第2の信号群S2(P,U,V,W)=(0,0,0,1)から第3の信号群S3(P,U,V,W)=(1,1,0,1)に切り替わるタイミングである。
そして、制御装置101は、内燃機関の始動時に絶対位置検出タイミングPDに応じて内燃機関の点火タイミング及び燃料噴射タイミングを設定する。
【0042】
図7に示すように、制御装置101は、異磁性マグネット16cの異磁性部19に起因する検出準備開始タイミングPD0の検知後に、円周方向で隣り合うマグネット16同士間の磁極の切り替わりに起因する絶対位置検出タイミングPDを検知する。これにより、例えば異磁性部19の磁気特性の位置精度が、異磁性マグネット16c以外の他のマグネット16の磁気特性の位置精度に比べて低い場合であっても、ロータ4の絶対的な所定回転位置を精度良く把握することができる。
例えば異磁性マグネット16cの異磁性部19が、既に着磁済みの主磁性部18に対して、その一部に後から着磁されることなどによって形成されることによって、異磁性部19の磁気特性の位置精度が低下して、検出準備開始タイミングPD0の誤差dPD0が増大する場合であっても、絶対位置検出タイミングPDをより小さな誤差で精度良く検知することができる。
【0043】
制御装置101は、内燃機関の始動後に回転電機1を発電機として作動させる場合には、ロータ4の回転に伴う発電電力をバッテリ(図示せず)に充電又は直接的に各種機器(図示せず)に供給する。例えば、制御装置101は、第2信号U、第3信号V及び第4信号Wの組み合わせに応じて、回転電機1に接続されたインバータ(図示せず)の通電切替タイミングを制御することによって、インバータに接続されたバッテリを充電する。
【0044】
<回転電機の比較例>
図8は、実施形態の比較例での回転電機1Aのロータ4Aの回転時に異磁性マグネット16dの周辺で第1のホールIC38aから出力される信号の時間変化の例を示す図である。
比較例での回転電機1Aと実施形態での回転電機1とで異なる点は、所定の1つのマグネット16での異磁性部19の位置である。比較例での回転電機1Aは、実施形態での回転電機1の異磁性マグネット16cを有するロータ4の代わりに、異磁性マグネット16dを有するロータ4Aを備える。比較例の異磁性マグネット16dは、ロータ4Aの回転方向(つまり複数のマグネット16の回転方向)RDの前方側及び後方側のうち前方側での異磁性マグネット16dの端面(前方側端面)16Cから回転方向RDの後方側に離れて設けられた異磁性部19を備える。これにより、比較例の異磁性マグネット16dの前方側端面16Cは、回転方向RDの前方側での主磁性部18の端面(前方側端面)18Bと同一である。異磁性部19の前方側端面19Bは、例えば主磁性部18の前方側端面18Bから回転方向RDの後方側に離れている。異磁性部19の後方側端面19Aは、異磁性マグネット16dの後方側端面16Eと面一である。
【0045】
比較例の場合、異磁性マグネット16dの異磁性部19と、異磁性マグネット16dに回転方向RDの後方側で隣り合うマグネット16とでは、第1のホールIC38aによって同一磁極が検出される。これにより、比較例では、回転方向RDの前方側の異磁性部19の前方側端面19Bでの磁極の切り替わりによって絶対位置検出タイミングPDが検知される。上述したように、異磁性部19の境界によって絶対位置検出タイミングPDを検知する場合、例えば異磁性マグネット16dの異磁性部19が、既に着磁済みの主磁性部18に対して、その一部に後から着磁されることなどによって形成されることによって、異磁性部19の磁気特性の位置精度が低下して、絶対位置検出タイミングPDの誤差dPDが増大するおそれがある。
【0046】
これに対して、実施形態では、異磁性部19の境界によって検出準備開始タイミングPD0を検知した後に、より磁気特性の位置精度が高い異磁性マグネット16c以外の他のマグネット16の境界によって絶対位置検出タイミングPDを検知するので、ロータ4の絶対的な所定回転位置をより精度良く検知することができる。
【0047】
以上説明したように、実施形態の回転電機1によれば、異磁性マグネット16cの異磁性部19は、回転方向RDの後方側での異磁性マグネット16c及び主磁性部18の端面(後方側端面)16B,18Aから回転方向RDの前方側に離れて設けられている。そして、主磁性部18及び異磁性部19の各々に応じた第1信号Pを出力する第1のホールIC38aは、先ず、異磁性部19の検出後に異磁性部19の検出停止に応じた第1信号Pを出力する。次に、第1のホールIC38aは、異磁性部19の検出停止後に回転方向RDで隣り合うマグネット16同士間の磁極の切り替わりに応じた第1信号Pを出力する。
これにより、異磁性部19に応じた第1信号Pに比べて、より高い位置精度を有するマグネット16同士間の磁極の切り替わりに応じた第1信号Pを、異磁性部19に対応付けられたロータ4の絶対的な所定回転位置を把握するための情報として得ることができ、ロータ4の位置検出精度を向上させることができる。
【0048】
上述したように、実施形態の回転電機システム100によれば、異磁性部19の境界によって検出準備開始タイミングPD0を検知した後に、より磁気特性の位置精度が高い異磁性マグネット16c以外の他のマグネット16の境界によって絶対位置検出タイミングPDを検知するので、ロータ4の絶対的な所定回転位置をより精度良く検知することができる。これにより、クランクシャフトの所定状態又はクランクシャフトに連結されたピストン(図示せず)の所定位置(例えば、上死点など)と対応付けられているロータ4の絶対的な所定回転位置に基づいて、内燃機関の点火タイミング及び燃料噴射タイミングを精度良く設定することができる。
【0049】
(変形例)
以下、実施形態の変形例について説明する。
【0050】
<第1変形例>
上述した実施形態では、異磁性マグネット16cの異磁性部19は、回転方向RDの前方側での異磁性マグネット16cの端部及び回転軸方向Zの軸方向外側での異磁性マグネット16cの端部に設けられているとしたが、これに限定されない。異磁性部19は、回転方向RDに異磁性マグネット16cの両端面(後方側端面16B及び前方側端面16F)から離れた位置に配置されてもよい。異磁性部19は、回転軸方向Zの適宜の位置に配置されてもよい。回転軸方向Zの適宜の位置は、第1のホールIC38aと径方向で対向する位置である。
【0051】
図9は、実施形態の第1変形例での回転電機1Bのロータ4Bの回転時に異磁性マグネット16eの周辺で第1のホールIC38aから出力される信号の時間変化の例を示す図である。
図9に示すように、第1変形例の回転電機1Bと実施形態での回転電機1とで異なる点は、所定の1つのマグネット16での異磁性部19の位置である。第1変形例での回転電機1Bは、実施形態での回転電機1の異磁性マグネット16cを有するロータ4の代わりに、異磁性マグネット16eを有するロータ4Bを備える。
【0052】
第1変形例の異磁性マグネット16eは、ロータ4Bの回転方向(つまり複数のマグネット16の回転方向)RDでの前方側端面16Cから後方側及び後方側端面16Bから前方側に離れて設けられた異磁性部19を備える。これにより、異磁性マグネット16eの後方側端面16Bと主磁性部18の後方側端面18Aとは同一であり、異磁性マグネット16eの前方側端面16Cと主磁性部18の前方側端面18Bとは同一である。異磁性部19の後方側端面19Aは、異磁性マグネット16eの後方側端面16B及び主磁性部18の後方側端面18Aから回転方向RDの前方側に離れている。
【0053】
第1変形例では実施形態と同様に、制御装置101は、異磁性マグネット16eの異磁性部19に起因する検出準備開始タイミングPD0の検知後に、円周方向で隣り合うマグネット16同士間の磁極の切り替わりに起因する絶対位置検出タイミングPDを検知する。これにより、例えば異磁性部19の境界での磁気特性の位置精度が、異磁性マグネット16e以外の他のマグネット16の磁気特性の位置精度に比べて低い場合であっても、ロータ4の絶対的な所定回転位置を精度良く把握することができる。
【0054】
<第2変形例>
上述した実施形態では、第1のホールIC38a及び第2のホールIC38bは、第1の脚部61aの内部空間で回転軸方向Zに沿って配置されているとしたが、これに限定されない。例えば第1のホールIC38aは、第1から第3の脚部61a,61b,61cとは異なる第4の脚部の内部空間に配置されることなどによって、第2のホールIC38bに対して円周方向にずれて配置されてもよい。
【0055】
図10は、第2変形例でのロータ4の内周側を展開した図である。
図11は、第2変形例の12極18スロットの回転電機1Cでのロータ4の回転時に第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dから出力される信号の時間変化の例を示す図である。
第2変形例では、第1のホールIC38aと、第2のホールIC38bと、第3のホールIC38cと、第4のホールIC38dとは、ロータ4の回転方向RDの後方側から前方側に向かって、円周方向に電気角120°の間隔で配置されている。
【0056】
第1のホールIC38a及び第4のホールIC38dは電気角360°の間隔で配置されていることによって、第1のホールIC38aから出力される第1信号Pと第4のホールIC38dから出力される第4信号Wとは、全てのマグネット16のうち異磁性マグネット16cの異磁性部19以外の部位に対して同一である。第1のホールIC38aと第4のホールIC38dとを電気角360°の間隔で配置した場合、第1のホールIC38aが異磁性部19を検出していない領域においては、第1のホールIC38aの第1信号Pと第4のホールIC38dの第4信号Wが一致する。一方、第1のホールIC38aが異磁性部19を検出する領域では、第1のホールIC38aの第1信号Pと第4のホールIC38dの第4信号Wとが異なる。これにより、第1のホールIC38aが異磁性部19と対向するタイミングを検出することができる。
【0057】
ここで、制御装置101は、第1のホールIC38aによって異磁性マグネット16cの異磁性部19の検出が開始された後に、異磁性部19の検出が終了するタイミングを検出準備開始タイミングPD0とする。検出準備開始タイミングPD0は、例えば、信号群S(P,U,V,W)が第4の信号群S4(P,U,V,W)=(1,1,1,0)から第5の信号群S5(P,U,V,W)=(0,0,1,0)に切り替わるタイミングである。
【0058】
次に、制御装置101は、検出準備開始タイミングPD0の検知後に、第1のホールIC38aによって円周方向で隣り合うマグネット16同士間の磁極の切り替わりが検出されたタイミングを絶対位置検出タイミングPDとする。絶対位置検出タイミングPDは、例えば、信号群S(P,U,V,W)が第5の信号群S5(P,U,V,W)=(0,0,1,0)から第6の信号群S6(P,U,V,W)=(1,0,1,1)に切り替わるタイミングである。
そして、制御装置101は、内燃機関の始動時に絶対位置検出タイミングPDに応じて内燃機関の点火タイミング及び燃料噴射タイミングを設定する。
【0059】
第2変形例では実施形態と同様に、制御装置101は、異磁性マグネット16cの異磁性部19に起因する検出準備開始タイミングPD0の検知後に、円周方向で隣り合うマグネット16同士間の磁極の切り替わりに起因する絶対位置検出タイミングPDを検知する。これにより、例えば異磁性部19の境界での磁気特性の位置精度が、異磁性マグネット16e以外の他のマグネット16の磁気特性の位置精度に比べて低い場合であっても、ロータ4の絶対的な所定回転位置を精度良く把握することができる。
【0060】
<第3変形例>
上述した実施形態では、回転電機1は12極18スロットであるとしたが、これに限定されない。例えば回転電機1は、14極12スロット等の他の極数及びスロット数であってもよい。
図12は、第3変形例でのロータ4Dの内周側を展開した図である。
図13は、第3変形例の14極の回転電機1Dでのロータ4Dの回転時に第1から第4のホールIC38a,38b,38c,38dから出力される信号の時間変化の例を示す図である。
【0061】
第3変形例では、先ず、制御装置101は、第1のホールIC38aによって異磁性マグネット16cの異磁性部19の検出が開始された後に、異磁性部19の検出が終了するタイミングを検出準備開始タイミングPD0とする。検出準備開始タイミングPD0は、例えば、信号群S(P,U,V,W)が第7の信号群S7(P,U,V,W)=(1,1,1,0)から第8の信号群S8(P,U,V,W)=(0,1,0,0)に切り替わるタイミングである。
【0062】
次に、制御装置101は、検出準備開始タイミングPD0の検知後に、第1のホールIC38aによって円周方向で隣り合うマグネット16同士間の磁極の切り替わりが検出されたタイミングを絶対位置検出タイミングPDとする。絶対位置検出タイミングPDは、例えば、信号群S(P,U,V,W)が第8の信号群S8(P,U,V,W)=(0,1,0,0)から第9の信号群S9(P,U,V,W)=(1,0,0,1)に切り替わるタイミングである。
そして、制御装置101は、内燃機関の始動時に絶対位置検出タイミングPDに応じて内燃機関の点火タイミング及び燃料噴射タイミングを設定する。
【0063】
第3変形例では実施形態と同様に、制御装置101は、異磁性マグネット16cの異磁性部19に起因する検出準備開始タイミングPD0の検知後に、円周方向で隣り合うマグネット16同士間の磁極の切り替わりに起因する絶対位置検出タイミングPDを検知する。これにより、例えば異磁性部19の境界での磁気特性の位置精度が、異磁性マグネット16e以外の他のマグネット16の磁気特性の位置精度に比べて低い場合であっても、ロータ4の絶対的な所定回転位置を精度良く把握することができる。
【0064】
<他の変形例>
上述した実施形態では、第2のホールIC38bと、第3のホールIC38cと、第4のホールIC38dとは、円周方向に電気角120°の間隔で配置されているとしたが、これに限定されない。例えば、円周方向に電気角60°の間隔で配置されてもよい。この場合、制御装置101は、例えば、第3のホールIC38c及び第4のホールIC38dから出力される信号を反転させることによって第3信号V及び第4信号Wとしてもよい。
【0065】
上述した実施形態では、第2から第4のホールIC38b,38c,38dは回転軸方向Zの第2位置M2に配置されるとしたが、これに限定されず、回転軸方向Zでの異なる位置に配置されてもよい。
上述した実施形態では、各ホールIC38a,38b,38c,38dを備えるとしたが、これに限定されず、他の磁気センサを備えてもよい。
【0066】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上述の実施の形態では、回転電機1は、自動二輪車等の車両用内燃機関の始動発電機であるとしたが、これに限定されず、各種の用途に適用されてもよい。例えば、回転電機1は単に発電機であってもよいし、単に電動モータであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B,1C,1D…回転電機、2…ステータ、4,4A,4B,4D…ロータ、6…位置検出センサユニット、16…マグネット、16a…N極マグネット、16b…S極マグネット、16c,16d,16e…異磁性マグネット、18…主磁性部、18A…後方側端面、19…異磁性部、38a…第1のホールIC(磁気センサ、第1の磁気センサ)、38b…第2のホールIC(磁気センサ、第2の磁気センサ)、38c…第3のホールIC(磁気センサ、第2の磁気センサ)、38d…第4のホールIC(磁気センサ、第2の磁気センサ)、100…回転電機システム、101…制御装置