(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】統合型ひずみセンサを有する可撓性X線センサ
(51)【国際特許分類】
G01T 1/17 20060101AFI20230925BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20230925BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20230925BHJP
G01B 21/00 20060101ALI20230925BHJP
G01B 21/20 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
G01T1/17 G
G01T7/00 A
A61B6/00 300P
A61B6/00 300S
G01B21/00 A
G01B21/20
(21)【出願番号】P 2019209445
(22)【出願日】2019-11-20
【審査請求日】2022-11-11
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・エイ・バート
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エイ・ストリート
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・シー・ナイツ
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-070776(JP,A)
【文献】特開2011-072502(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03185045(EP,A1)
【文献】特開2012-047584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
A61B 6/00-6/14
G01B 21/00
G01B 21/20
G21K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲可能なデジタルX線検出器であって、
可撓性基板、前記可撓性基板上に形成された検出器バックプレーン、及び1つ以上のX線変換層
を備え、X線源の方向に向けられた第1の側及び前記X線源から離れる方向に向けられた第2の側を有する
、X線検出器と、
前記X線検出器に取り付けられた複数のひずみセンサの装置であって、前記複数のひずみセンサが前記X線検出器の裏側の表面全体に搭載されて、前記複数のひずみセンサの数に基づく数のデータ点を提供し、前記複数のひずみセンサは前記X線検出器の裏側に搭載され、前記複数のひずみセンサの前記装置は、空間分解能及び感度の両方を得るために使用される前記複数のひずみセンサの複数の列を含み、前記複数のひずみセンサのサイズは前記複数の列の各々について一定で、前記複数の列の中のある列の前記複数のひずみセンサのサイズは、前記複数の列の中の他の列の前記複数のひずみセンサのサイズよりも縮小されており、前記複数のひずみセンサの装置は、前記屈曲可能なデジタルX線検出器が、撮像される構造体又は物体に関する画像データを取得しているときに生じる屈曲の場所及び量に関するデータを提供する、複数のひずみセンサの装置と、を含む、屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項2】
前記複数のひずみセンサの前記装置が、画像が取得されたときに前記X線検出器の屈曲形状を抽出するため、画像取得と同時に測定されるように構成されている、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項3】
前記複数のひずみセンサの前記装置が、前記可撓性基板の縁部に配向された2つの直交軸に沿って位置付けられて、いずれか又は両方の軸に沿って前記X線検出器の屈曲形状を検出する、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項4】
様々なサイズの前記複数のひずみセンサの複数の列が、屈曲形状の感度及び分解能の両方を得るために使用される、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項5】
前記複数のひずみセンサが、画像取得を妨害しない位置で、前記X線検出器の前記第2の側に位置している、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項6】
前記複数のひずみセンサが、前記X線検出器上に位置付けられている、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項7】
前記複数のひずみセンサが、能動検出器撮像領域の外側の範囲にある前記検出器バックプレーンの前記第1の側に位置付けられている、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項8】
前記複数のひずみセンサが、能動検出器撮像領域の下にある前記検出器バックプレーンの前記第1の側に位置付けられている、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項9】
前記複数のひずみセンサが、前記検出器バックプレーンの前記第1の側に位置付けられ、能動検出器撮像領域内に点在している、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項10】
前記複数のひずみセンサが、前記X線検出器に提供される最大ひずみを経験するように垂直スタックアップ内の場所に位置付けられている、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項11】
前記複数のひずみセンサの前記場所が、前記X線検出器の支持層の外表面上である、請求項10に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項12】
TFTの第1のアレイは、前記検出器バックプレーンに関連付けられ、TFTの第2のアレイは、前記複数のひずみセンサに関連付けられ、TFTの前記第1のアレイ及びTFTの前記第2のアレイは、互いに分離している、請求項1に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項13】
X線検出器が構造体又は物体の画像データを取得しているときに、屈曲可能なX線検出器の曲線を検出する方法であって、
屈曲可能なX線検出器を湾曲した位置に位置付けて、構造体又は物体の画像データを取得することと、
前記X線検出器の層に取り付けられた又は統合された複数のひずみセンサの装置からデータを読み出すことであって、前記データは、前記構造体又は物体の形状に対応する前記屈曲可能なX線検出器の屈曲によって前記複数のひずみセンサに生じるひずみの量に対応し、前記複数のひずみセンサが前記X線検出器の裏側の表面全体に搭載されて、前記複数のひずみセンサの数に基づく数のデータ点を提供し、前記複数のひずみセンサを前記X線検出器の裏側に搭載することによって、前記複数のひずみセンサの複数の列を含む前記複数のひずみセンサの前記装置が、空間分解能及び感度の両方を得るために使用され、前記複数のひずみセンサのサイズは前記複数の列の各々について一定で、前記複数の列の中のある列の前記複数のひずみセンサのサイズは、前記複数の列の中の他の列の前記複数のひずみセンサのサイズよりも縮小されていることと、を含む、方法。
【請求項14】
前記複数のひずみセンサの装置が、画像が取得されたときに前記X線検出器
の屈曲形状を抽出するために、前記X線検出器による画像取得と共に測定されるように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
同時測定が、前記複数のひずみセンサの抵抗変化を取得し、記録することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
屈曲可能なデジタルX線検出器であって、
可撓性基
板、前記可撓性基板上に形成された検出器バックプレーン、及び1つ以上のX線変換層
を備え、X線源の方向に向けられた第1の側及び前記X線源から離れる方向に向けられた第2の側を有する
、X線検出器と、
前記X線検出器に取り付けられた複数のひずみセンサの装置であって、前記複数のひずみセンサの装置は、前記屈曲可能なデジタルX線検出器が、撮像される構造体又は物体に関する画像データを取得しているときに生じる屈曲の場所及び量に関するデータを提供し、前記複数のひずみセンサの複数の列を含む前記複数のひずみセンサの前記装置が、空間分解能及び感度の両方を得るために使用される、複数のひずみセンサの装置と、を含み、前記複数のひずみセンサのサイズは前記複数の列の各々について一定で、前記複数の列の中のある列の前記複数のひずみセンサのサイズは、前記複数の列の中の他の列の前記複数のひずみセンサのサイズよりも縮小されている、屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項17】
前記複数のひずみセンサが、能動検出器撮像領域の外側の範囲にある前記検出器バックプレーンの前記第1の側に位置付けられ、次いで、前記複数のひずみセンサを有する領域が、死角を低減させるために折り重ねられる、請求項16に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【請求項18】
外部で製造された前記複数のひずみセンサが、前記検出器バックプレーンに接合される、請求項16に記載の
屈曲可能なデジタルX線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書ではX線イメージャとも呼ばれるデジタルX線検出器は、一般に、非晶質シリコン(a-Si)フォトダイオードのアレイをアドレス指定するa-Si薄膜トランジスタ(TFT)アレイを使用してガラス上に製造されている。このようなTFTアドレス指定型フォトダイオードアレイは、本明細書では時にはバックプレーンと称される。X線シンチレータは、バックプレーンと接触して配置され、X線をフォトダイオードによって検出され得る光にダウンコンバートする。シンチレータは、典型的には、Tbドープガドリニウムオキシスルフィド(GOS)又はヨウ化セシウム(CsI)のいずれかであるが、他の材料が使用されてもよい。GOSシンチレータは、バックプレーンに接合されてもよいが、GOSシンチレータはまた、バックプレーンに接合されず、代わりに押し込まれてバックプレーンと接触してもよい。CsIシンチレータはまた、バックプレーン上に直接堆積されてもよく、又は代替的に別個の層として形成され、接着接合されるか又は押し込まれて接触してもよい。別個のシンチレーション層の必要性を排除する代替的なアプローチは、セレンなどのX線光導電体を使用してフォトダイオードを形成することであり、フォトダイオードは、次いで、非常に類似したTFTアレイによってアドレス指定される。本開示は、いずれのタイプの構造体にも適用される。
【0002】
当該技術分野において既知のように、同じバックプレーン構造体をガラスの代わりにプラスチック/可撓性基板の上に堆積させることができる。可撓性基板上にバックプレーンを作製するための様々な方法が存在する。当該技術分野において既知の1つの手順は、従来のガラス基板上に薄いポリイミド(PI)層を形成することである。当該技術分野において既知の第2の方法は、PEN(ポリエチレンナフタレート)などのより厚いプラスチック基板をガラスキャリアに接着させることである。いずれの場合も、バックプレーンは、その後、薄い基板層を有さないガラス上にあった場合と同じプロセスで製造される。処理が完了した後、シンチレータを前面に接着又は堆積させて、薄い基板膜及びa-Siバックプレーン層を支持する。次いで、この組み合わせをガラス基板から剥離し、追加の保護のために裏当て層を裏側に接着させることができる。プラスチック基板、接着接合材料、及びGOSシンチレータの可撓性の性質により、X線検出器、つまりイメージャが屈曲可能となる。
【0003】
屈曲可能なX線検出器は、様々な分野で関心を呼ぶ。いくつかの例としては、パイプライン又は他の湾曲した物体を検査すること、剛性の平坦なX線検出器を導入できない限られた空間で物体を撮像すること、及び人体に適合して快適さと解像度を高めることが挙げられる。
【0004】
しかしながら、屈曲可能なX線検出器に関連付けられた問題は、屈曲可能なX線検出器が屈曲位置にあるとき(例えば、撮像される湾曲した物体又は構造体と接触している間)、得られた画像は、平坦かつ/又は剛性のX線検出器によって取り込まれた画像と比較して、異なる解像度又は倍率を有し、したがって異なる外観を有することになる、ということである。本出願は、この問題に対処することを目的とする。
【0005】
屈曲可能なデジタルX線検出器は、可撓性基板と、可撓性基板上に形成された検出器バックプレーンと、1つ以上のX線変換層と、を含む。X線検出器は、X線源の方向に向けられた第1の側と、X線源から離れた方向に向けられた第2の側と、を有する。更に、複数のひずみセンサの装置がX線検出器に取り付けられ、複数のひずみセンサの装置は、屈曲可能なデジタルX線検出器が撮像される構造体又は物体に関する画像データを取得しているときに生じる屈曲の場所及び量に関するデータを提供する。
【0006】
X線検出器は、画像が取得されたときにX線検出器の屈曲形状を抽出するため、画像取得と同時に測定されるように構成されているひずみセンサの装置を含む。
【0007】
検出器は、基板の縁部に配向された2つの直交軸に沿って位置付けられて、いずれか又は両方の軸に沿って屈曲形状を検出する、ひずみセンサの装置を含む。
【0008】
X線検出器は、屈曲形状の高感度及び高解像度の両方を得るために使用される、様々なサイズの複数列のひずみセンサを含む。
【0009】
X線検出器は、画像取得を妨害しない位置に、検出器の第2の側に位置するひずみセンサを有する。
【0010】
X線検出器は、後続的に検出器上に製造されるひずみセンサを有する。
【0011】
X線検出器は、能動検出器撮像領域の外側の範囲にある検出器の第1の側に、検出器バックプレーン製造プロセスと同時に製造されるひずみセンサを有する。
【0012】
X線検出器は、能動検出器撮像領域の下に、検出器の第1の側に検出器バックプレーン製造プロセスと同時に製造されるひずみセンサを有する。
【0013】
X線検出器は、検出器の第1の側に検出器バックプレーン製造プロセスと同時に製造され、能動検出器撮像領域内に散在するひずみセンサを有する。
【0014】
X線検出器は、能動検出器撮像領域の外側の領域に、検出器の第1の側に検出器のバックプレーン製造プロセスと同時に製造されるひずみセンサを有し、次いで、ひずみセンサを有する領域は、死角を低減させるために折り重ねられる。
【0015】
X線検出器は、外部製造され、後続的に検出器に接合されるひずみセンサを有する。
【0016】
X線検出器は、X線検出器に提供される最大ひずみを経験するよう、垂直スタックアップ内の場所に位置付けられたひずみセンサを有する。
【0017】
X線検出器は、X線検出器の支持層の外表面上に、ひずみセンサの場所を有する。
【0018】
X線検出器は、検出器バックプレーンに関連付けられたTFTの第1のアレイと、ひずみセンサに関連付けられたTFTの第2のアレイと、を有し、TFTの第1のアレイ及びTFTの第2のアレイは、互いに分離している。
【0019】
X線検出器が構造体又は物体の画像データを取得しているときに、屈曲可能なX線検出器の曲線を検出する方法は、湾曲した位置に屈曲可能なX線検出器を位置付けて、構造体又は物体の画像データを取得することと、X線検出器の層に取り付けられた又は組み込まれた複数のひずみセンサの装置からデータを読み出すことと、を含み、このデータは、構造体又は物体の形状に対応する屈曲可能なX線検出器の屈曲によって、複数のひずみセンサに生じるひずみの量に対応する。
【0020】
この方法は、画像が取得されたときにX線検出器の屈曲形状を抽出するために、X線検出器によって画像取得と共に測定されるように構成された複数のひずみセンサの装置を有することを含む。
【0021】
この方法は、複数のひずみセンサの抵抗変化を取得し、記録することを含む同時測定を有することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】可撓性膜に堆積させ、後続的にシンチレータ及び下面保護層に接合させた後の屈曲可能なX線検出器構造体を示す。
【
図1B】複数のシンチレータ層を有する屈曲可能なX線検出器構造体を示す。
【
図1C】可撓性層に接合されていない屈曲可能なX線検出器構造体を示す。
【
図1D】複数の屈曲可能なX線検出器バックプレーンを有する屈曲可能なX線検出器構造体を示す。
【
図3】剛性かつ/又は平坦なX線検出器によって取り込まれた画像と比較して、物体の外観を歪ませる湾曲した物体を(発散X線を使用して)撮像するためのX線検出器の屈曲を示す。このタイプの歪みは、X線検出器の形状(相対屈曲位置)が既知であるときに補正され得る。
【
図4】剛性かつ/又は平坦なX線検出器によって取り込まれた画像と比較して、物体の外観を歪ませる湾曲した物体を(視準X線を使用して)撮像するためのX線検出器の屈曲を示す。このタイプの歪みは、X線検出器の形状(相対屈曲位置)が既知であるときに補正され得る。
【
図5】x方向及びy方向の両方における屈曲のひずみを測定するためのひずみ(ゲージ)センサの配置の一実施形態である。
【
図6】異なるサイズの蛇行ひずみ(ゲージ)センサの例を示す。
【
図7】x方向及びy方向の両方における屈曲のひずみを測定するためのひずみ(ゲージ)センサの配置の一実施形態である。
【
図8】x方向及びy方向の両方における屈曲のひずみを測定するためのひずみ(ゲージ)センサの配置の一実施形態である。
【
図9】x方向及びy方向の両方における屈曲のひずみを測定するためのひずみ(ゲージ)センサの配置を示し、入力/出力は、装置の2つの縁部で使用可能であり、他の2つ縁部は、X線検出器の入力/出力を提供している。
【
図10】X線検出器の製造/構成に用いられる製造/構成プロセスを使用して提供されるひずみ(ゲージ)センサを示す。
【
図11】折り畳み技術を使用した、x方向及びy方向の両方における屈曲に対応するひずみを測定するためのひずみ(ゲージ)センサの配置を示す。
【
図13】ひずみ(ゲージ)センサデータを読み出すための回路装置を示す。
【
図14】ひずみ(ゲージ)センサデータを読み出すための回路装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
理解されるように、本出願は、屈曲可能なデジタルX線検出器(本明細書ではX線イメージャとも呼ばれる)に関する問題を対象とする。X線イメージャをX線源と共に使用して、物体のX線吸収画像を取り込む。撮像対象の物体は、X線検出器とX線源との間に配置される。X線源は、物体を通過し、物体内の材料の厚さ及びX線減衰係数に指数関数的に依存する速度で物体によって吸収される、X線照射を放射する。X線照射のこの強度変化は、検出器のX線変換層に衝突し、X線変換層が光導電体(Se又はHgI2など)であるときは直接的に電荷キャリアに変換されるか、又は変換器層がシンチレータであり、検出器バックプレーンがフォトダイオードのアレイを含むときは、間接的に電荷キャリアに変換されるか、のいずれかとなる。本発明は、直接検出及び間接検出の両方の検出器に適用される。蓄積された電荷は、アナログ-デジタル変換器によってデジタル化され、コンピューティングデバイスによってデジタル画像に組み込まれる電荷増幅器によって測定され得る。
【0024】
このような装置をより詳細に説明するために、本開示に適切な屈曲可能なデジタル多層X線検出器100の非限定的な説明を示す
図1Aに注目する。より具体的には、
図1Aは、屈曲又は湾曲したときの間接的検出の多層X線検出器100の層を示す。多層X線検出器100は、シンチレータX線変換層102(例えば、GOS、CsI、又は他の適切な材料)、a-Si検出器バックプレーン104(例えば、非晶質シリコン(a-Si)薄膜トランジスタ(TFT)アレイ装置、及び対応するa-Siフォトダイオードアレイ装置と、それに伴う関連する金属電極、相互接続線及び接触線と、を含む)、X線検出器基板であると理解される基板層106(例えば、PI基板)、及び任意の下面保護層108(例えば、ポリカーボネート、又は他のポリマーなどであるが、これらに限定されない可撓性プラスチック材料)を含む。本概念を更に説明するために、
図1Aには、上記の層の少なくとも一部が製造プロセス中に堆積され、その後、そのような層が剥離される、ガラス製造基板110(又は他の適切な材料)も示されている。ガラス製造基板110からの剥離前に、堆積層は実質的に平面又は平坦であり、剥離後は、外力による何らかの作用がなされるまで平坦なままであり得ることが理解される。
【0025】
図1Aはまた、X線検出器100によって生成されたデータをコンピューティングデバイス114に供給するデータ出力線112を示している。コンピューティングデバイス114は、スタンドアロンコンピュータ、X線検出器100に統合されたコンピューティングデバイス、又は取り込まれた画像を生成し、保存するのに適切なソフトウェアが搭載された任意の他のタイプのコンピューティングデバイスであることが理解される。生成される画像は、コンピューティングデバイスの一部である及び/又はそれとは別のディスプレイ116上に表示され得る形態である。
【0026】
図1Bを参照すると、本発明の概念が適用可能な別の多層X線検出器構造体が例示されている。より具体的には、
図1Bの多層デジタルX線検出器構造体120は、検出器構造体120の両側にシンチレータ層122、124を含み、また、検出器バックプレーン層126及び装置基板128(例えば、PI基板)を含む。この構成は、単一のシンチレータ装置と比較して、特定の空間分解能のために増大した全シンチレータ厚さ、ひいてはより高い感度を提供する。ガラス製造基板130も示されている。
【0027】
図1Cを参照すると、本開示による多層デジタルX線検出器構造体140の別の実施形態が例示されている。この構成では、可撓性又は屈曲可能な装置基板146と別の可撓性層又は膜148との間に位置付けられた検出器バックプレーン144と、シンチレータ150と、を含む多層装置142が形成される。多層装置142が形成される一時的な製造ガラス基板152から基板146を除去する前に、シンチレータ150は可撓性層148(例えば、PI層又は膜)に接合されていないことが示されている。代わりに、この実施形態では、基板146及び検出器バックプレーン層144が形成されると(一時的構築基板152に取り付けられている間)、他の層148は、検出器バックプレーン層144の前側にあるこの構成体に堆積される。次いで、シンチレータ150を移動させて(154)、可撓性層148と接触させる。
【0028】
図1Dを参照すると、本開示の別の実施形態は、エネルギー分解能を可能にするように配置された屈曲可能なX線検出器バックプレーン162、164を含む、多層デジタルX線検出器構造体160によって示されている。X線がシンチレータ166を通過するとき、一部は吸収され、一部は透過される。一般に、より高いエネルギーX線は優先的に透過されるが、これは、典型的には特定のエネルギーで最大吸収(k吸収端)を有する特定のシンチレータに依存する。したがって、装置160によって示されるように、第1のX線検出器バックプレーン162の裏側に配置された第2のX線検出器バックプレーン164は、異なるX線エネルギー分布を検出する。更に、吸収材料168は、任意選択的に、2つの検出器バックプレーン162、164の間に配置され、ある範囲のX線エネルギーを遮断する。検出器バックプレーン及び第2の検出器バックプレーン装置は、エネルギー分解能情報を提供するX線遮蔽を含む。基板170及び下面保護層172も含まれる。
【0029】
本出願の教示は、
図1A~
図1Dのイメージャの実施形態によって限定されないことが理解される。特に、
図1Aを一例とするより一般的なレベルでは、シンチレータ層102は、異なる種類の層として構成されてもよく、同様に基板層106は、また、基板層とは異なる層としてより一般的なレベルで考慮され得る。したがって、そのような層は、検出器バックプレーン104に関連付けられた装置又は装置層と呼ばれることもあり、それ自体は、ある特定の実施形態では、a-Si検出器とは異なり得る。加えて、
図1A~
図1D(及び残りの図、例えば、
図2~
図14)では、様々に記載されたX線検出器は、X線源(
図1A~
図1Dには図示されていないが、
図2~
図4に示図示されている)の方向に向けられた第1の側と、X線源から離れる方向に向けられた第2の側と、を有する。
【0030】
このような屈曲可能なX線検出器(及び他の関連して設計されたX線検出器)100に関連する問題は、そのようなX線検出器100の屈曲(例えば、湾曲した構造体又は物体が撮像されている間)は、平坦かつ/又は剛性の検出器によって取り込まれた画像と比較して、湾曲した構造体又は物体の外観の歪みをもたらすことである。湾曲したイメージャによって達成される密着は、画像内の特徴の改善された解像度及び倍率をもたらすが、剛性の平坦なパネル検出器で訓練されたユーザーは、剛性の平坦なパネル上に取り込まれた画像を、それらの関連する歪み(以下に説明する)と共に解釈することを好むか又はそれに慣れている場合がある。湾曲した設計の画像歪みは、X線検出器の形状(すなわち、相対屈曲位置又は屈曲量)が既知である場合、画像生成に使用されるソフトウェアなどによって補正され得る。したがって、画像に対する幾何学的修正を適用して、平坦なパネルイメージャを模倣し得るよう、可撓性イメージャの屈曲位置を記録することが望ましい。このことは、ユーザーに、可撓性パネルによって有効化される補間解像度へのアクセスを与えると共に、なお、ユーザーが解釈することに慣れている画像を生成する能力を提供する。
【0031】
可撓性の湾曲したパネルと剛性の平坦なパネルとの間の画像歪みは、物体と検出パネルとの間の非ゼロ距離によって生じ、発散X線源又は視準X線源が使用されるかどうかに応じて異なる影響を有することになる。
【0032】
ほとんどのX線源は点状ではなく、代わりに、有限の源域から延びる発散放射線ビームを生成する。このタイプの源を剛性の平坦なパネル検出器と共に使用して湾曲した物体を撮像する場合、例えば、得られる画像は幾何学的不鮮鋭度に悩まされる。幾何学的不鮮明度とは、放射線撮像設定における幾何学的要因に起因する鮮明度の喪失、つまりぼやけを指す。源域内の異なる点から延びるX線は、物体内の同じ点を通過するが、異なる点でイメージャに衝突して画像をぼやかし得る。幾何学的不鮮明度Ugは、式
【0033】
【0034】
を使用して計算することができ、式中、fは、X線源の直径であり、bは、物体と検出器との間の距離であり、aは、物体とX線源との間の距離である。
【0035】
前述の「不鮮明度」という概念は、例えば、
図2に示されるシステム200によって例示されている。拡張光源(又は発散光源)202は、異なる点から放射される光ビーム204を生成し、それによって光ビーム204は斜めに(すなわち、非平行)で延在する。このようにして、ビーム204が延在すると、2つのビームは、同じ点で物体206を通過し得るが、異なる移動角度により、ビームは、異なる場所でイメージャ又は検出器208に遭遇又は衝突して、画像をぼやけさせる。光ビームの一部は、イメージャ又は検出器208に遭遇せず、むしろ半影210を形成する。明確にするため、ビームの小さいサンプリングのみが示されていることが理解される。
【0036】
屈曲可能なX線検出器を使用することの利点は、X線検出器を撮像される湾曲した物体と直接接触させ得ることである。イメージャを物体と接触させることにより、剛性の平坦なパネルイメージャを用いて湾曲した物体を撮像することに関連付けられる幾何学的不鮮鋭度が大幅に低減する。屈曲可能な検出器を使用することにより、bを材料の厚さまで低減させ、幾何学的不鮮鋭度を最小化することができる。
【0037】
上述したように、拡張光源(又は発散光源)は、物体の吸収画像を生成するために一般的に使用される。発散光源は、
図2のビーム204によって例示される、互いに対して非平行なX線を生成する。発散源を使用して円筒形の物体を撮像するとき、画像歪みは、撮像される円筒の中心と入射するX線との間の角度によって異なる幾何学的拡大として明示される。
【0038】
この歪み概念を例示するために、
図3のシステム300に注目する。この図は、パイプ312、平坦なX線検出器314、及びX線316を描写する副画像310と、パイプ312、湾曲した(屈曲可能な)X線検出器324、及びX線326を描写する副画像320と、パイプ312、平坦なX線検出器314、及び湾曲したX線検出器324、並びに平坦なパネルl
1及び屈曲可能な検出器l
2上でのパイプの特徴を示す画像の相対的な場所を記述する式を描写する副画像330と、を含む。
【0039】
湾曲したX線検出器324がパイプ312の周囲で屈曲されている副画像320に従って生成されたパイプ画像は、平坦なX線検出器314がパイプ312の接線に配置されている副画像310の平坦なX線検出器314を使用して撮像された、同じパイプ312よりも大きく見えることになる。
【0040】
副画像330に示されている式は、パイプ312の同じ部分を通過するX線光子が、平坦なX線検出器314及び湾曲したX線検出器324上の異なる位置に衝突するという事実によって、この拡大効果が生じることを実証している。これらの位置は、平坦なX線検出器314に対してl1、湾曲したX線検出器324に対してl2と標識化され、X線検出器の曲率半径rによって設定される。この式は、l2が常にl1以上であり、これは、湾曲したX線検出器324では、平坦なX線検出器314より多くのバックプレーンアレイ画素(例えば、フォトダイオードアレイ)が、同じ長さのパイプを撮像するのに使用され、撮像される構造体又は物体の拡大を生じさせることを意味する。画像センサの曲率は、位置感知装置を使用して測定され得る。ひずみセンサ装置を使用して実装されるこのような位置感知設計の非限定的な例は、本明細書で詳述される。
【0041】
このように、発散源を使用したときの幾何学的不鮮明度を軽減させる場合、この拡大効果は、物体の周囲で屈曲可能なX線検出器324を屈曲させる利点である。このように、屈曲は、屈曲可能なX線検出器324の分解能を効果的に高め、画像内の特徴を効果的に大きくする。
【0042】
視準X線はまた、物体の吸収画像を生成するのに使用され得る。発散源とは異なり、視準X線源は、
図4の416及び426によって示される、互いに実質的に平行なX線を生成する。上述のように、視準源を使用して円筒形の物体を撮像するとき、画像歪みは、同様に、撮像される円筒の中心と入射する視準X線との間の角度によって異なる幾何学的拡大として明示される。
【0043】
この歪み概念を例示するために、
図4のシステム400に注目する。この図は、パイプ412、平坦なX線検出器414、及びX線416を描写する副画像410と、パイプ412、湾曲した(屈曲可能な)X線検出器424、及びX線426を描写する副画像420と、パイプ412、平坦なX線検出器414、及び湾曲したX線検出器424、並びに平坦なパネルl
1及び屈曲可能な検出器l
2上でのパイプの特徴を示す画像の相対的な場所を記述する式を描写する副画像430と、を含む。
【0044】
湾曲したX線検出器424がパイプ412の周囲で屈曲されている副画像420に従って生成されたパイプ画像は、平坦なX線検出器414がパイプ412の接線に配置されている副画像410の平坦なX線検出器414を使用して撮像された、同じパイプ412よりも大きく見えることになる。
【0045】
副画像430に示されている式は、パイプ412の同じ部分を通過するX線光子が、平坦なX線検出器214及び湾曲したX線検出器424上の異なる位置に衝突するという事実によって、この拡大効果が生じることを実証している。これらの位置は、同じく、平坦なX線検出器414に対してl1、湾曲したX線検出器424に対してl2と標識化され、X線検出器の曲率半径rによって設定される。この式は、l2が常にl1以上であり、これは、湾曲したX線検出器424では、平坦なX線検出器414より多くのバックプレーンアレイ画素(例えば、フォトダイオードアレイ)が、同じ長さのパイプを撮像するのに使用され、撮像される構造体又は物体の拡大を生じさせることを意味する。画像センサの曲率は、位置感知装置を使用して測定され得る。ひずみセンサ装置を使用して実装されるこのような位置感知設計の非限定的な例は、本明細書で詳述される。
【0046】
発散源を使用したときの幾何学的不鮮明度を軽減させる場合と同様に、視準源を使用したときのこの拡大効果は、物体の周囲で屈曲可能なX線検出器424を屈曲させる利点である。このように、屈曲は、屈曲可能なX線検出器424の分解能を効果的に高め、画像内の特徴を効果的に大きくする。
【0047】
拡張(発散)光源又は視準光源を使用するシステムでは、屈曲可能なX線検出器を屈曲させるときに考慮する必要がある態様は、撮像操作で画像を取り込んだ後、画像を検査するだけでは、画像取り込み操作中の屈曲可能なX線検出器の形状を判定することが多くの場合は困難であるということである。結果として、ユーザーは、画素が屈曲の量又は湾曲した位置によってどのように歪んでいるかを知ることができず、平坦かつ/又は剛性のパネルでの作業に慣れているユーザーにとって、画像の解釈が困難になる。
【0048】
本明細書には、ひずみ(ゲージ)センサを屈曲可能なX線検出器バックプレーンに取り付けて、及び/又は統合して、画像取り込み中、すなわち、画像取り込み時に同時に又は実質的に同時に、ひずみセンサ曲率を記録することによる、画像歪みの問題に対する解決策が開示される。次いで、既知の曲率を使用して、X線検出器の曲率によって作製された画像内の歪みの補正及び/又は標識化のいずれかを行うことができる。これは、位置に固定されていないが、X線取り込み画像ごとに自由に位置付けられ得る、自由に可撓性のX線検出器に特に有用である。
【0049】
説明される実施形態では、複数のひずみセンサを使用して、X線検出器の長さ及び幅(例えば、x軸及びy軸の位置)に沿った離散化したひずみ測定が提供される。可撓性X線検出器は、屈曲可能であるが伸縮可能ではなく、したがって、X線検出器は、一度に1つの軸に沿ってのみ屈曲され得、その曲げ半径は、屈曲方向に垂直な方向に沿って一定となる。結果として、X線(イメージャ)検出器の屈曲位置(例えば、屈曲の場所及び量)を記録するために、2列の目立たないひずみセンサのみが必要とされる。
【0050】
前述の考察をより具体的にするため、ここでは
図5の装置500に注目する。ひずみセンサ502の水平線及びひずみセンサ504の垂直線は、(基板又は層の)実質的に平面の表面506に取り付けられるか、又は統合される。あるいは、ひずみセンサの装置は、基板又は層の縁部に配向された2つの直交軸に沿って画素化されて、いずれか又は両方の軸に沿って屈曲形状を検出する。非限定的な一実施形態では、表面506は、可撓性X線検出構造体の底部支持層である(例えば、
図1の層108を参照されたい)。
【0051】
したがって、この非限定的な例では、ひずみセンサは、可撓性X線検出器構造体の最外層(すなわち、同じく
図1のX線検出器100の層108)に配置される。この場所を使用することによって、ひずみセンサ502、504は、常に最大ひずみを経験するはずである。加えて、ひずみセンサをX線検出器バックプレーン(例えば、
図1のa-Si検出器バックプレーン104)の裏側に配置することによって、ひずみセンサを、X線吸収を妨害することなく、基板506の表面上の任意の場所に位置付けることができる。
【0052】
使用され得る個々のひずみセンサに注意しながら、個々の異なるサイズのひずみセンサ610及び620を示す
図6の装置600に注目する。非限定的な例として、ひずみセンサ610、620は、当該技術分野において周知である蛇行ひずみ(ゲージ)センサとして描写されている。これらは、可撓性基板614、624上に製造された金属ワイヤ612、622からなる。基板614、624が屈曲されると、ワイヤ612、622の全長及び幅が変化して、抵抗(及び/又は電圧若しくは電流)の測定可能な変化をもたらす。抵抗(及び/又は電圧若しくは電流)の変化を記録し、ひずみセンサのゲージ率を知ることによって、ひずみセンサ上のひずみが決定され得る。特定されたひずみから、局所的曲率半径が決定され得る。異なるサイズであることに加え、本明細書で使用されるひずみセンサは、異なる感度を有し得ることが理解される。特定のひずみセンサ上で測定されたひずみは、製造中に、ひずみセンサが屈曲された度合いに抵抗(及び/又は電圧若しくは電流)変化を相関させるように較正されることも知られている。
【0053】
図5の装置500を使用した(すなわち、全て同じサイズ、ゆえに同じ感度のひずみセンサ又は異なる混合センサを有する)X線(イメージャ)検出器の実際の実装では、ひずみセンサ装置のサイズ選択のため、分解能と感度との間にトレードオフが存在する。小さいセンサ装置ほど、良好な分解能を提供するが、感度は下がる。
【0054】
この感度/分解能トレードオフに対処するための特定の非限定的な方法は、X線検出器(例えば、
図1のX線検出器又はイメージャ100)に取り付けられた/統合された、最小の2列を超えるひずみセンサを含む、
図7の装置700によって示されている。むしろ装置700によって示されるように、ひずみセンサの複数の水平列702、704及び異なる長さを有するひずみセンサの複数の垂直列706、708は、基板又は層710の表面(例えば、
図5の基板又は層506の表面など、又はそれと同様のもの)に取り付けられ/統合され、使用されるひずみセンサの増加によって前述のトレードオフを軽減するために使用される。また前述のように、バックプレーン(例えば、
図1の104)の裏側にひずみセンサを取り付ける及び/又は統合することにより、ひずみセンサが画像取得を妨害しないように、ひずみセンサの自在な配置を可能にする。
【0055】
別の実施例について、
図8の装置800に注目する。この実施形態では、複数のひずみセンサ装置802が表面804全体に搭載されて、追加のデータ点が提供される。また、前述のように、バックプレーン(例えば、
図1の104)の裏側にひずみセンサを取り付けることによって、完全に自由な配置が提供される。前出の実施例は、X線検出器又はイメージャにわたる高空間分解能及び高感度の両方を得るため、縮小サイズの複数の列を含むことによって、ひずみセンサの画素化の概念を例示している。
【0056】
図5、
図7、及び
図8に示されるひずみセンサ装置によって収集されたデータを読み取る/ダウンロードするために使用される接続部又は取り付け部は、既知のデータ通信スキームを使用して、基板表面(例えば、506、710、804)の縁部に作製されることが理解される。例えば、4本のワイヤがそれぞれ個々のひずみセンサから出ている4点プローブ測定装置を使用してもよい。当該ひずみセンサにわたる測定(例えば、電圧)が可能になる。このような読み出しは、特定の実施形態では、本明細書で論じられる、当該技術分野において既知の他の装置の中でも、マイクロコントローラ、マルチプレクサを使用して実現され得る。
【0057】
また、基板又は層506、710、及び804の表面は、底部支持層(例えば、
図1の下面保護層108)であると記載されているが、そのような層の外側にひずみセンサ装置が取り付けられるか又は統合されることも理解される。ひずみセンサ装置は、他の場所の中でも、底部支持層の内側、
図1の基板106の外表面又は内表面などの他の場所に取り付けられてもよく、又は統合されてもよい。
【0058】
また、
図5、
図7、及び
図8の配列に関して、ひずみセンサは、
図1のバックプレーン104とは完全に異なる層上に位置することが言及されている。当然のことながら、ひずみセンサの特定の場所を決定する際には、画像の生成及び取り込みを妨害することを回避する要望を考慮するであろう。
【0059】
ここで、本明細書の別の実施形態を参照すると、ひずみセンサ構造体は、多くの場合、抵抗を読み取るための接触点を有する金属線である。この構造体は、X線イメージャ又は検出器を製造するために既に採用されているTFTバックプレーン製造プロセスに組み込まれるのに十分に単純である。そのため、同じプロセスを同時に(例えば、一斉に)使用して、例えば、
図1の底部支持層などの、ただしこれらに限定されない、X線検出器のバックプレーン又は他の層の縁部の周囲にひずみセンサを追加することができる。
【0060】
バックプレーン上のひずみセンサの統合を参照すると、ゲート及びデータ線をバックプレーンのフォトダイオードに関連付けるための標準的なTFTバックプレーンプロセスにおいて、既に少なくとも2つの金属層が存在している。これらの金属層は、典型的にはAl又はMoCrである。この実施形態では、
図9の装置900によって示されるように、ひずみセンサ902、904からデータを読み出すために、2列のひずみセンサ902、904が、基板又は層910上の2つの側(例えば、矢印906、908によって表される複数のデータ読み出し接点に対応する)に沿って追加されている。このようなプロセスは、前述のように、及び/又は適切である場合はTFTアレイを使用するなど、データ読み出しの何らかの方法を使用し得る。また、
図9に表わされているバックプレーン912は、接続領域(矢印914、916によって表わされるデータ読み出し接点)を有するフォトダイオード/TFTアレイを含む。
【0061】
上記の構成は、付加的な製造工程を追加することなく、ひずみセンサがX線検出器に自動的に統合されることを意味する。しかしながら、いくつかの潜在的な問題もある。1)X線イメージャ又は検出器構造体が、TFTバックプレーンが中立面に設置されるように設計されている場合(米国特許出願第15/951,407号に記載されているとおり)、これらのひずみセンサは、センサ曲率を測定することができない。2)ひずみ(ゲージ)センサを製造するために既に存在する金属層を利用することは、金属層内の他の構造体への短絡を防止するために、ひずみセンサをバックプレーンから離した、ゲート及びデータ接点の反対側に製造することを必要とする。アレイの2つの非接触面上のこれらの余分な非撮像構造体は、X線検出器又はイメージャと基板の縁部との間の非撮像死角領域となる最小縁部の側面を増加させる。
【0062】
これらの問題を軽減するために、少なくとも2つの方法が存在する。まず、
図10の装置1000に示されるように、ひずみセンサ1002を、バックプレーン構造体1006の下の第3の金属層1004上に製造することができる。
図10の設計を使用して、ひずみセンサ1002を層1004全体に置くことができる。この設計はまた、X線検出器及びひずみセンサの入力/出力、並びにそれらの入力及び出力を分離する。しかしながら、
図10の実施形態は、別のパターニング層を追加することによって製造プロセスの複雑さを増加させる。
【0063】
代替的な選択肢は、
図11及び
図12に示されるような折り畳み領域を有する構造体を作製することである。この折り畳みは、(
図1の)基板106の可撓性の性質によって可能である。より具体的には、
図11の装置1100に例示されるように、基板1102は、その上に水平ひずみセンサ1104及び垂直ひずみセンサ1106を、バックプレーン(例えば、フォトダイオード/TFTアレイ)1108と共に形成している。水平折り線1110及び垂直折り線1112も描写されている。
図12に関連して説明されるように、プロセスは、バックプレーン(例えば、フォトダイオード/TFTアレイ)下にひずみセンサを有する基板1102の一部を折り畳み、最小縁部を覆い直すことを含む。死角領域を減少させるためのこの緩和戦略は、ひずみセンサをTFTバックプレーンの平面から外に移動させる追加の態様を有するため、イメージャスタックアップが、バックプレーンを中立面に設置するように設計されている場合でも、ひずみセンサは、屈曲されたときに依然としてひずみを経験することになる。基板106(
図1)は、ひずみセンサ上のひずみを更に増加させるよう、補強層108(
図1)の縁部の周囲でなお屈曲され得る。
【0064】
図12は、垂直ひずみセンサ1106の観点から上述した(
図11の)折り畳み概念の一実施例の側面
図1210、1220、1230を例示している。最初に、側面
図1210では、折り線1112が、垂直ひずみセンサ1106を搭載する基板1102の部分とバックプレーン(例えば、フォトダイオード/TFT装置)1108との間を区別している。次の側面
図1220は、垂直ひずみセンサ1106を搭載する基板1102の部分が下向きに折り畳まれ始めており、バックプレーン1108を搭載する基板1102の部分は同じ位置に留まっていることを示している。最後に、側面
図1230に例示されるように、垂直ひずみセンサ1106は、バックプレーン1108を搭載する基板1102の部分の下に折り畳まれたものとして描写されている。
【0065】
便宜上、水平に搭載されたひずみセンサ1104を有する縁部は示されていない。しかしながら、同様の動作が水平ひずみセンサに適用されることが理解される。また、一部の状況では、2組のひずみセンサ間の折り線の領域は、折り畳み操作の効率を高めるために切断されてもよい。加えて、基板1102は、より多くのひずみセンサを上に配置し、上述のように下側に折り畳むことができるように、大きめに作製されてもよい。なお更に、特定の実施形態では、絶縁層が提供され、折り畳まれていない部分の裏側と折り畳まれている部分の裏側との間に配置されてもよい。
【0066】
当該技術分野において理解されるように、バックプレーンからの(例えば、フォトダイオード/ピクセル及びTFTからの)データ読出しは、TFTのマトリックスを採用して、フォトダイオードのアレイの特定のフォトダイオードからデータを得ることができる。この実施形態では、(バックプレーンに関連付けられたTFTとは明確に別個の)TFTの第2のマトリックスは、ひずみセンサに接続されて、画像データを(例えば、フォトダイオードから)読み出すために使用されるTFTのマトリックスと類似しているがやはり別個の、ひずみセンサのための多重化統合読み出しスキームを提供する。
【0067】
X線検出器動作と同様に、ひずみセンサに関連付けられたTFTは、それぞれのひずみセンサをアドレス指定し、そこからデータを順次読み出すために使用される。ひずみセンサに関連付けられたTFTは、同じ制御シーケンス、及び特定の実施形態では、画像フォトダイオード/画素に使用されるものと同じ外部ハードウェア(ただし、TFTではない)によってアドレス指定され得る。これは、少なくとも次の2つの利点を有する。1)湾曲X線検出器の同時測定及び光学画像測定を保証し、2)ひずみセンサデータを、簡略化したデジタル処理及び補正のため、光学画像と同じデータ構造の追加データとして容易に記録され得ることを可能にする。マトリックス型読出しの使用(X線イメージャデータ読出しのマトリックス設計と同様)は、多数のひずみセンサが採用されているときに特に有用であり得る。
【0068】
図13及び
図14を参照すると、上述のように、ひずみセンサからのデータ読み出しに使用される回路設計が例示されている。
【0069】
図13は、ブリッジ測定構成1300を例示している。回路1300において、抵抗ブリッジ回路1304内のひずみセンサ1302は、電源1306及び読み出し用TFT1308、1310と関連付けられている。TFTは、関連するひずみセンサ1302からデータを選択し、読み出すためのゲート線1312及びデータ線1314、1316に接続されている。ゲート線1312及びデータ線1314、1316は、複数の同様に配置された相互接続のブリッジ測定構成を含む、より大きいマトリックス回路装置の一部であることが理解される。
【0070】
図14を参照すると、分割器測定構成1400が例示されている。回路1400において、抵抗分割器回路1404内のひずみセンサ1402は、電源1406及び読み出し用TFT1408と関連付けられている。TFT1408は、関連するひずみセンサ1402からデータを選択し、読み出すためのゲート線1412及びデータ線1414に接続されている。ゲート線1412及びデータ線1414は、複数の同様に配置された相互接続の分割器測定構成を含む、より大きいマトリックス回路装置の一部であることが理解される。
【0071】
ある領域上のひずみを測定するため、本開示にあるようにひずみセンサを追加した可撓性X線検出器を扱う場合、受信したデータを使用して、画像が取り込まれたときのイメージャ上のそれぞれの点における正確な曲げ半径を戻すことができ、それにより、そのような情報を直接ユーザーに提示することができるか、又はその情報を使用して、画像が平坦/剛性の検出器から得たものと同様に見えるよう、画像を変更/調整することができる。例えば、特定のひずみセンサ上で測定されたひずみは、製造中に、電圧(及び/又は抵抗若しくは電流)の変化をひずみセンサの屈曲度に相関させるように較正されることが知られている。したがって、一実施例では、撮像される構造体は、(個々に又は何らかの所定のサブグループのいずれかで)ひずみセンサのそれぞれによって画定されるセグメントに分割される。これにより、ひずみセンサから出力された測定データに基づいて局所ひずみを決定することが可能になり、屈曲可能なX線検出器の形状を決定することが可能になる。すなわち、X線検出器の特定された屈曲量は、X線検出器の既知の屈曲していない位置と比較され、これを使用して、屈曲、ゆえに現在のX線検出器の形状が決定される。このように、屈曲可能/可撓性X線検出器へのひずみセンサの取り付け及び/又は統合は、画像が取得される時点でのX線検出器形状の決定を可能にする。
【0072】
取得した情報から、湾曲したX線検出器を使用して得た構造体の画像を再構成して、平坦/剛性のX線検出器が使用された場合に見られる表示と一致させてもよい。画像取得時の屈曲可能なX線検出器の形状を決定し、この情報を使用して、平坦/剛性の検出器の表示に対応する画像情報を変更/再調整することは、例えば、
図1のコンピューティングデバイス114にロードされたソフトウェアによって実現され得、この撮像ソフトウェアは、屈曲可能なX線検出器の屈曲によって生じる画像歪みを補正及び/又は標識化することができる。
【0073】
図1のX線イメージャの装置は、単一の検出器構成である。本明細書に記載される材料はまた、米国特許出願第15/951,407号に記載されているようなマルチスタック(又はスタックアップ)X線検出器で使用されてもよいことを理解されたい。このタイプの使用では、ひずみセンサ装置は、画像検出を妨害しないよう、最終検出器層の後に位置付けられ、したがってマルチスタック(又はスタックアップ)用に1つのひずみセンサ装置を有することになる。
【0074】
可撓性X線検出器にひずみセンサを組み込むことにより、画像が撮影されるときと同時に、可撓性X線検出器の局所的な屈曲を記録することが可能になる。この形状情報を使用して、検出器を屈曲させることによって生じる画像歪みの標識化又は補正のいずれかを行い、平坦な剛性検出器によって生成された画像を閲覧することにより慣れているユーザーを補助することが可能である。