(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】携帯端末連動装置、携帯端末連動装置を備えたインターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20230925BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230925BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20230925BHJP
G06F 21/45 20130101ALI20230925BHJP
【FI】
H04L12/28 500D
H04Q9/00 301D
H04M9/00 D
G06F21/45
(21)【出願番号】P 2019212005
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 由晴
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-315068(JP,A)
【文献】特開2002-369266(JP,A)
【文献】特開2013-026979(JP,A)
【文献】特開2009-225357(JP,A)
【文献】特開2007-221643(JP,A)
【文献】特開2003-037880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04Q 9/00
H04M 9/00
G06F 21/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅に設置された家電機器に居住者が携帯する携帯端末を連動させる携帯端末連動装置であって、
前記携帯端末連動
装置が、前記携帯端末を認証するためのパスワードを管理するパスワード管理手段を備え、
前記パスワード管理手段が、前記パスワード有効期限を含
み、
前記携帯端末連動装置は、前記住宅に設置された無線LANルータと接続され、
前記携帯端末連動装置が、前記携帯端末による前記無線LANルータへのアクセスを検出するアクセス検出手段を含み、
前記パスワード管理手段が、前記パスワード有効期限を更新する有効期限更新手段を含み、
前記有効期限更新手段は、前記アクセス検出手段の検出結果に基づいて前記有効期限を更新することを特徴とする携帯端末連動装置。
【請求項2】
前記アクセス検出手段の検出結果が、アクセスの時間および/または回数を含み、
前記有効期限更新手段は、前記時間および/または回数が所定の閾値を超えた場合に、前記有効期限を更新する請求項
1に記載の携帯端末連動装置。
【請求項3】
来訪者が居住者を呼び出す玄関子機と、前記呼び出しに居住者が応答する居室親機と、を備え、
前記居室親機に請求項1
または2に記載の携帯端末連動装置を搭載したことを特徴とするインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅内の家電機器に携帯端末を連動させる携帯端末連動装置、および、携帯端末連動装置を備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅に設置されたエアコン、照明、テレビジョン受信機などの家電機器と、居住者の所持する携帯端末とを連動させ、携帯端末を用いて家電機器を遠隔操作できる技術が知られている。また、第三者の携帯端末から家電機器を遠隔操作されないよう、居住者の携帯端末を認証する技術も開示されている。例えば、特許文献1には、携帯端末(端末装置)の登録状況を確認し、未登録である場合には家電機器へのアクセスを拒否する連動装置(制御装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の連動装置によれば、一旦登録した情報は、誰かが削除するまで連動装置に保存されたままとなる。このため、居住者が転居などにより入れ替わった後も、旧居住者の登録情報が残存し、旧居住者が引き続き家電機器を遠隔操作できてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明の携帯端末連動装置は、(1)住宅に設置された家電機器に居住者が携帯する携帯端末を連動させる携帯端末連動装置であって、この携帯端末連動機器が、携帯端末を認証するためのパスワードを管理するパスワード管理手段を備え、パスワード管理手段が、パスワード有効期限を含むことを特徴とする。
【0006】
(2)携帯端末連動装置は、住宅に設置された無線LANルータと接続され、携帯端末連動装置が、携帯端末による無線LANルータへのアクセスを検出するアクセス検出手段を含み、パスワード管理手段が、パスワード有効期限を更新する有効期限更新手段を含み、有効期限更新手段は、アクセス検出手段の検出結果に基づいて有効期限を更新する。
【0007】
(3)アクセス検出手段の検出結果が、アクセスの時間および/または回数を含み、有効期限更新手段は、アクセスの時間および/または回数が所定の閾値を超えた場合に、前記有効期限を更新することとしても良い。
【0008】
また、本発明のインターホンシステムは、来訪者が居住者を呼び出す玄関子機と、呼び出しに居住者が応答する居室親機と、を備え、居室親機に前記(1)~(3)のいずれか一つに記載の携帯端末連動装置を搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の携帯端末連動装置および該携帯端末連動装置を備えたインターホンシステムによれば、パスワードに有効期限を設けたため、旧居住者の登録情報が残存していた場合でも、自動的に家電機器を遠隔操作できなくなるという効果を奏する。また、アクセス検出手段を設けた場合には、住宅に設置した無線LANルータとのアクセス状況に基づいてパスワード有効期限を管理できるため、新居住者による遠隔操作を確保しつつ、旧居住者の遠隔操作を自動的に無効化できるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態を示す携帯端末連動装置を設置した住宅を示す概略図である。
【
図3】パスワード管理テーブルのテーブル構成を示す表である。
【
図4】パスワード管理テーブルのテーブル構成を示す表である。
【
図6】携帯端末連動装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の携帯端末連動装置およびインターホンシステムを具体化した実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、携帯端末連動装置1は、賃貸住宅などの住宅51に設置されたテレビジョン受信機、エアコン、照明、などの家電機器2に、居住者Pが携帯するスマートフォン、タブレットなどの携帯端末3を連動させる装置であって、ゲートウェイ5を介して公衆ネットワーク6に接続されている。また、携帯端末連動装置1は、住宅51に設置された無線LANルータ4とも接続されている。このとき、携帯端末連動装置1と家電機器2、携帯端末連動装置1とゲートウェイ5、携帯端末連動装置1と無線LANルータ4の接続は、有線または無線のいずれをも選択できる。
【0012】
在宅中の居住者Pの携帯端末3は、無線LANルータ4または公衆ネットワーク6を介して携帯端末連動装置1と接続され、一方、外出中の居住者Pの携帯端末3は、公衆ネットワークN、ゲートウェイ5を介して携帯端末連動装置1に接続されている。携帯端末連動装置1は、携帯端末3との間で音声・画像・制御信号などを送受信することにより、家電機器2に関するサービスを提供しており、居住者Pは、遠隔から家電機器2を操作したり、家電機器2の稼働状態を確認したりすることが可能となる。
【0013】
図2に示すように、携帯端末連動装置1は、携帯端末3を認証するためのパスワードを管理するパスワード管理部11と、携帯端末連動装置1を制御する制御部としてのCPU16と、家電機器2、携帯端末3、無線LANルータ4、ゲートウェイ5と各々接続されるためのインターフェース17から構成される。
【0014】
パスワード管理部11は、携帯端末3による無線LANルータ4へのアクセスを検出するアクセス検出部13と、パスワード有効期限を更新する有効期限更新部12と、パスワードを記憶する記憶部14を備える。
【0015】
記憶部14は、
図3に示すパスワード管理テーブルを記憶している。パスワード管理テーブルは、居住者Pごとに、居住者ID、パスワード、パスワード有効期限、無線LANルータ4へのアクセス履歴を記憶している。
【0016】
アクセス検出部13は、携帯端末3による無線LANルータ4へのアクセスを検出し、アクセス開始時刻を記憶部14のアクセス履歴に保存する。例えば、アクセス検出部13は、居住者ID「A001」が携帯する携帯端末3が、無線LANルータ4に「2019年8月20日 夕方6時」にアクセスしたことを検出した場合には、アクセス履歴の先頭に、「2019/08/20 18:00:00」と保存する。
【0017】
有効期限更新部12は、パスワード管理テーブルを参照し、所定のタイミングで、所定の条件に基づいてパスワード有効期限を更新する。例えば、有効期限更新部12は、パスワード有効期限が到来したタイミングで、パスワード管理テーブルのアクセス履歴を参照し、有効期限から過去1か月以内にアクセスがあった居住者IDのパスワード有効期限を1か月延長することとしても良い。具体的には、
図3(a)に示すように、パスワード有効期限「2019年9月30日 午後12時(2019/09/30 24:00:00)」の時点で、居住者ID「A001」のアクセス履歴は、直近でも「2019年8月20日の午後6時(2019/08/20 18:00:00)」であり、有効期限から過去1か月以内にアクセスがないから、有効期限更新部12は、パスワード有効期限を更新しない(
図3(b))。一方、居住者ID「B001」のアクセス履歴は、直近では「2019年9月30日の午後5時(2019/09/30 17:00:00)」であり、有効期限から過去1か月以内にアクセスがあるから、有効期限更新部12は、パスワード有効期限を1か月延長し、「2019年10月31日の午後12時(2019/10/31 24:00:00)」に更新する(
図3(b))。
【0018】
その他の例として、
図4に示すように、パスワード管理テーブルのアクセス履歴として、パスワード有効期限から過去1か月分のアクセス時間やアクセス回数を記憶するように構成しても良い。この場合には、有効期限更新部12は、パスワード管理テーブルのアクセス履歴を参照し、有効期限から過去1か月以内にアクセスした時間および/または回数の合計が所定の閾値を超えた場合に、当該アクセスに紐づく居住者IDのパスワード有効期限を延長することとしても良い。具体的には、
図4(a)に示すように、パスワード有効期限「2019年9月30日 午後12時(2019/09/30 24:00:00)」の時点で、居住者ID「A001」のアクセス履歴は、アクセス時間「5分(00:05:00)」、アクセス回数「3回」であり、閾値であるアクセス時間「60分」、アクセス回数「15回」に満たないから、有効期限更新部12は、パスワード有効期限を更新しない(
図4(b))。一方、居住者ID「B001」のアクセス履歴は、アクセス時間「50時間(50:00:00)」、アクセス回数「30回」であり、閾値であるアクセス時間「60分」、アクセス回数「15回」を超えたから、有効期限更新部12は、パスワード有効期限を1か月延長し、「2019年10月31日の午後12時(2019/10/31 24:00:00)」に更新する(
図4(b))。なお、このとき、居住者ID「A001」の人物のように、仮に住宅51の付近を通過することによって短時間かつ少ない回数のアクセス「5分(00:05:00)、3回」が発生した場合でも、閾値以下となるため、パスワード有効期限の延長を防止することが可能である。このように、閾値を調整することで、細やかにパスワード有効期限の更新を制御することが可能である。また、この例では、アクセス時間およびアクセス回数の双方で判断したが、どちらか一方の条件で判断することとしても良い。
【0019】
図5に示すように、居室親機23に携帯端末連動装置1を搭載し、玄関子機22を備えたインターホンシステム21を構成しても良い。
【0020】
続いて、本願発明の携帯端末連動装置1およびインターホンシステム21の動作を、
図6に基づいて説明する。まず、携帯端末連動装置1のパスワード管理部11に含まれるアクセス検出部13は、居住者Pの携帯端末3による無線LANルータ4へのアクセスを検出し(S1)、記憶部14に保存する(S2)。パスワード有効期限を更新するタイミングが到来するまでは、S1~S2の処理が繰り返される(S3:No)。パスワード有効期限を更新するタイミングが到来すると(S3:Yes)、パスワード管理部11の有効期限更新部12は、記憶部14のパスワード管理テーブルを参照し、対象の居住者IDに紐づくアクセス履歴を読み出す。そして、例えば、パスワード有効期限前1か月以内にアクセス履歴が存在しない場合は(S4:No)、処理は、普段のアクセスを検出する処理(S1)に戻る。一方、パスワード有効期限前1か月以内にアクセス履歴が存在する場合は(S4:Yes)、対象の居住者IDに紐づくパスワード有効期限を所定の期間延長する(S5)。
【0021】
以上の構成の携帯端末連動装置1およびインターホンシステム21によれば、携帯端末3から住宅51に設置された無線LANルータ4にアクセスがあった場合に、携帯端末3に紐づけられたパスワード有効期限を更新する。このため、頻繁に無線LANルータ4を利用する居住者Pの携帯端末3については、随時パスワード有効期限が更新され、居住者Pの携帯端末3による家電機器2の遠隔操作は確保される。一方、無線LANルータを利用しない転居後の旧居住者P’の携帯端末3’については、パスワード有効期限が更新されず、旧居住者P’による家電機器2の遠隔操作のみを自動的に無効化できるという効果を有する。この効果は、特に、入れ替わりの多い賃貸住宅など、旧居住者が登録情報が残存してしまう可能性の高い場合により顕著である。
【0022】
その他、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を任意に変更して実施することも可能である。例えば、以下(1)~(3)の数値は、状況に応じて好ましい期間や数値を適宜選択可能である。
(1)パスワード有効期限の更新タイミング
(2)アクセスの有無、アクセス時間、アクセス回数を判断するための期間
(3)パスワード有効期限の延長期間
特に、(1)については、アクセスを検出したタイミングや、アクセス時間やアクセス回数が所定の閾値を超えたタイミングでパスワード有効期限を更新するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 携帯端末連動装置
2 家電機器
3 携帯端末
4 無線LANルータ
5 ゲートウェイ
11 パスワード管理部
12 有効期限更新部
13 アクセス検出部
14 記憶部
16 CPU
17 インターフェース
21 インターホンシステム
22 玄関子機
23 居室親機
51 住宅
P 居住者
N 公衆ネットワーク