(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
B60J 3/02 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
B60J3/02 F
B60J3/02 A
B60J3/02 H
(21)【出願番号】P 2019212223
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原口 貴史
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01698500(EP,A1)
【文献】特開2018-177101(JP,A)
【文献】特開2009-248613(JP,A)
【文献】特開2001-171347(JP,A)
【文献】実開平07-013532(JP,U)
【文献】実開平07-015414(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用サンバイザであって、
厚み方向に重ねられた
平板状の第1構成部材と第2構成部材を具備するバイザ本体と、
前記バイザ本体を車室天井面に取付け、かつ、前記バイザ本体を使用位置と格納位置の間で回転可能に支持する支軸と、
前記第1構成部材に設けられ前記支軸を回転可能に支持する軸受部と、
前記第1構成部材に設けられミラーを収容する収容部と、
前記収容部と前記軸受部を連結するように前記支軸の長手方向に対して直交する方向に延出する連結リブを有し、
前記連結リブと前記軸受部と前記収容部の全てが前記第1構成部材に設けられ
ており、
前記第1構成部材と前記第2構成部材とは略全面で重なっており、
前記軸受部は、前記収容部に対向する底壁を有し、
前記軸受部の前記底壁は、前記支軸の長手方向において第1端縁と第2端縁とを有し、
前記連結リブは、前記底壁の前記第1端縁から延出する第1リブ部と、前記底壁の前記第2端縁から延出する第2リブ部とを含む車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サンバイザであって、
前記軸受部は、前記支軸が挿通される挿通孔が形成されかつ前記支軸の長手方向に並設された一対の保持壁と、前記一対の保持壁を連結しかつ前記保持壁と略同じ厚みを
有する
前記底壁を有し、
前記連結リブが前記底壁と前記収容部の間を直線状に延出し
、
前記収容部は、前記軸受部の前記底壁に対向する上壁を有し、
前記第1リブ部と前記第2リブ部とは前記上壁に連結される車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用サンバイザであって、
前記収容部と前記軸受部に跨って延出するリブと、前記第1構成部材と前記第2構成部材を結合するように前記第1構成部材または前記第2構成部材のいずれか一方に形成された複数の結合ピンと、他方に形成された複数のボス部とを有し、前記複数の結合ピンまたは前記複数のボス部の少なくとも1つが前記リブの途中に位置する車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両天井に設けられるサンバイザに関する。例えば板状のバイザ本体を有し、バイザ本体が車両のフロントガラスに沿う使用位置と天井に沿う格納位置との間で回転して使用されるサンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のサンバイザは、板状のバイザ本体と、バイザ本体に挿入されてバイザ本体を回転可能に支持する支軸を有する。支軸は、略L字状の棒であって、バイザ本体に挿入される横軸と、横軸の端部から横軸に対して略直交して延出する縦軸を有する。バイザ本体は、横軸周りに回転してフロントガラスに沿う使用位置と天井に沿う格納位置との間で角度調節され得る。バイザ本体の略中央にミラーユニットが設けられる。
【0003】
サンバイザには、様々な要望がなされる。例えば車両走行時の衝突事故の際、車両が急停止する。乗員の体が慣性の法則に従って座席から前方に移動する。乗員がバイザ本体の下端部に衝突した際、サンバイザに衝撃が加わることがある。この状態を考慮してサンバイザは、バイザ本体が破損する前に支軸が破損する構造であることが要望される場合がある。そこで強度の高いバイザ本体が望まれるが、バイザ本体を軽量にしたいとの要望もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため軽量でかつ強度の強いバイザ本体を有する車両用サンバイザが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、バイザ本体とバイザ本体を車室天井面に取付ける支軸を有する。バイザ本体は、厚み方向に重ねられた第1構成部材と第2構成部材を具備する。支軸は、バイザ本体を使用位置と格納位置の間で回転可能に支持する。支軸は、第1構成部材に設けられる軸受によって回転可能に支持される。第1構成部材には、ミラーを収容する収容部が設けられる。収容部と軸受部は、支軸の長手方向に対して直交する方向に延出する連結リブによって連結される。連結リブと軸受部と収容部の全てが第1構成部材に設けられる。
【0007】
したがって強度の比較的強い軸受部と収容部がいずれも第1構成部材に設けられ、しかも軸受部と収容部が連結リブによって連結される。そのため第1構成部材の強度が高くなっている。かくしてバイザ本体に衝撃が加わった場合、例えば第1構成部材の収容部に衝撃が加わる。その衝撃は、連結リブと軸受部を経由して支軸に伝わる。かくしてバイザ本体が破損する前に支軸を破損させること等ができる。換言すると、本構造によってバイザ本体の破損を抑制できる。一方、第2構成部材には軸受部と収容部が設けられていない。そのため第2構成部材には強い強度が不要である。その結果、第2構成部材を簡易な構造とすることができ、バイザ本体全体を軽量にできる。
【0008】
本開示の他の1つの特徴によると、軸受部は、支軸の長手方向に並設された一対の保持壁と、一対の保持壁を連結する底壁を有する。一対の保持壁には、支軸が挿通される挿通孔が形成される。底壁は、保持壁と略同じ厚みを有して収容部に対向する。連結リブが底壁と収容部の間を直線状に延出する。したがってバイザ本体に衝撃が加わり、収容部が衝撃を受けると、連結リブが効率良く軸受部に衝撃を伝えることができる。
【0009】
本開示の他の1つの特徴によると、軸受部の底壁は、支軸の長手方向において第1端部と第2端部を有する。収容部は、軸受部の底壁に対向する上壁を有する。連結リブは、底壁の第1端部から延出して上壁に連結される第1リブ部と、底壁の第2端から延出して上壁に連結される第2リブ部を含む。したがってバイザ本体に衝撃が加わり、収容部が衝撃を受けると、第1リブ部と第2リブ部が軸受部に衝撃を伝える。第1リブ部と第2リブ部が軸受部の両端に位置するため、ねじれが発生し難く、効率良く衝撃が軸受に伝わる。更に、軸受部と第1リブ部及び第2リブ部と収容部とが、軸受部から対向するバイザ本体の他端部に向けて連なるように一体で形成されるため、バイザ本体が受けた衝撃が、より効率的に支軸に伝わる。
【0010】
本開示の他の1つの特徴によると、サンバイザは、収容部と軸受部に跨って延出するリブと、第1構成部材と第2構成部材を結合する複数の結合ピンと複数のボス部を有する。複数の結合ピンは、第1構成部材または第2構成部材のいずれか一方に形成され、複数のボス部は他方に形成される。複数の結合ピンまたはボス部の少なくとも1つがリブの途中に位置する。したがってバイザ本体は、リブと、リブの途中に位置する結合ピンまたはボス部によって強度が強くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】車両内部の一部と車両天井に取付けられたサンバイザの斜視図である。
【
図3】実施例に係るバイザ本体(表面側第一構成部材)の裏面図である。
【
図5】実施例に係るバイザ本体(裏面側第二構成部材)の表面図である。
【
図6】支軸とクリップと第1構成部材を示すサンバイザの分解斜視図である。
【
図7】本開示に係るサンバイザ本体と従来品のサンバイザ本体の剛性及び重量を比較した表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1つの実施形態について
図1~
図7を用いて説明する。
図1に示すように車両用サンバイザ1は、車室内においてフロントガラス21近傍の天井面20に装着される。車両用サンバイザ1は、バイザ本体1aと、バイザ本体1aの表側に設けられたミラーユニット9を有する。
【0013】
図1に示すようにバイザ本体1aは、略長方形状を有し、厚み方向に重ねられた平板状の第1構成部材2と、第2構成部材3とを備える。バイザ本体1aの表面には表皮13が被せられる。支軸8は、略L字状の棒であって、縦軸8bは、横軸8aの先端から上方に、横軸8aに対して略直交して延出する。縦軸8bの先端にブラケット12が装着され、ブラケット12が車室の天井面20に取付けられる。バイザ本体1aを回動可能に支持する支軸8が、軸受部5に組み付けられたクリップ7を介してバイザ本体1aに装着される。
【0014】
図1,
図2に示すようにミラーユニット9は、ミラー枠9bとミラー9aとスライド式のミラー蓋9cを有する。ミラー枠9bは、
図4に示すバイザ本体1aの第1構成部材2の開口部2gの縁に沿う矩形状を有する。軸受部5の底壁5dは、ミラー収容部6の表面6iと略同一平面上に位置し、かつ、表面6iと連続する面を有する。ミラー9aは、ミラー枠9bに取付けられて、第1構成部材2の開口部2gに位置する。ミラー蓋9cは、ミラー枠9bにスライド可能に取り付けられる。ミラー蓋9cは、使用位置においてミラー9aを覆う。ミラー蓋9cは、使用位置から閉じ位置へスライドして、バイザ本体1aの内部へ移動する。これによりミラー9aを露出する。
【0015】
図1,
図2に示すようにシャフト15は、天井面20に固定されたフック10に取外し可能に保持される。シャフト15がフック10に取付けられることで、バイザ本体1aがシャフト15と横軸8aを中心としてフロントガラス21に沿う使用位置Pと、天井面20に沿う格納位置Kとの間で回転する。
【0016】
図3,
図6に示すように第1構成部材2は、略長方形状を有する。第1構成部材2は、例えば樹脂で形成される。第1構成部材2の上辺2cには、左凹部2aと右凹部2bが設けられる。右凹部2bの左側には、横軸8aを回転可能に保持する軸受部5が設けられる。軸受部5の下側にミラーユニット9が収容されるミラー収容部6が設けられる。第1構成部材2の内面2fには、第1構成部材2の内側の輪郭に沿って結合ピン11(11a~11k)が形成される。各結合ピン11は、略円筒形状を有する。各結合ピン11と第1構成部材2の縁部の間に外縁部2dが設けられている。
【0017】
図3に示すように第1構成部材2の内面2fには、上下左右斜め方向に延出する複数のリブ14が設けられる。リブ14は、第1構成部材2の強度を高める。リブ14は略板状であり、リブ14a~14hを含む。軸受部5の保持壁5aの左右方向の外側面(左面)5mから結合ピン11kにかけてリブ14aが左方向に延出する。結合ピン11kからミラー収容部6の上壁6aにかけてリブ14fが下方に延出する。
【0018】
図3に示すように右壁6cの上端から右方向にリブ14gが延出する。リブ14gは、上壁6aから延長するように右壁6cの右側に起立する結合ピン11aまで延出する。右壁6cの下端から略L字状にリブ14hが延出する。リブ14hは、下壁6bから延長するように右壁6cから右方向に延出する。リブ14hは、右端から上方に右壁6cの右側に起立する結合ピン11bまで延出する。下壁6bの下左領域と下右領域のそれぞれに結合ピン11c,11dが起立する。結合ピン11c,11dを連結するように左右方向にリブ14bが延出する。リブ14bと下壁6bは、複数本、例えば2本のリブ14cによって連結される。リブ14cは、上下方向に直線状に延出する。
【0019】
図3に示すように結合ピン11dの左方向に結合ピン11e,11fが直線上に並ぶように配置される。下壁6bと結合ピン11cとを連結するように、リブ14dが上下方向に延出する。下壁6bと結合ピン11dを連結するようにリブ14eが上下方向に延出する。
【0020】
図3に示すようにミラー収容部6は、第1構成部材2の右半分の上下略中央領域に位置する。ミラー収容部6には、ミラー収容部6の裏面6jにミラーユニット9が嵌め込まれて保持される(
図4参照)。ミラー収容部6は、第1構成部材2の裏面6jから表側に突出し、矩形状に配設された上壁6a、下壁6b、右壁6c、左壁6dを有する。上壁6aは、左右方向に延出し、軸受部5の底壁5dに対向する。下壁6bは、上壁6aより下方に位置し、上壁6aと平行に延出する。右壁6cが上壁6aの右端と下壁6bの右端を連結する。左壁6dが上壁6aの左端と下壁6bの左端を連結する。
【0021】
図3,
図6に示すように軸受部5は、支軸8の横軸8aが挿入される一対の保持壁5a,5bを有する。保持壁5a,5bの下部は、基部5cによって連結される。保持壁5a,5bは、第1構成部材2の長手方向に間隔を有して位置する。
図6に示すように各保持壁5a,5bには略円形の開口部5e,5fが形成される。基部5cは、下端に底壁5dを有する。保持壁5a(又は5b)と底壁5dとは、略同じ厚みを有する。基部5cの上側には後壁部5lが設けられる。軸受部5にクリップ7が設置され、保持壁5a,5bと基部5cがクリップ7を保持する。
【0022】
図6に示すようにクリップ7は、支軸8の横軸8aを弾性的に挟むために囲み部7aとU字バネ部7bを一部材として有する。クリップ7は、弾性変形に富む金属材料から形成される。囲み部7aの内側には開口部7cが形成される。クリップ7が軸受部5に装着された後、横軸8aが保持壁5a,5bの開口部5e,5fと、囲み部7aの開口部7cとに貫通される。かくして横軸8aとクリップ7が第1構成部材2の軸受部5に装着される。
【0023】
図3,
図6に示すように軸受部5とミラー収容部6の間には、連結リブ4が設けられる。軸受部5の底壁5dとミラー収容部6の上壁6aは、連結リブ4によって連結される。連結リブ4は、底壁5dの左端からミラー収容部6の上壁6aに直線状に延出する第1リブ部4aと、底壁5dの右端からミラー収容部6の上壁6aに直線状に延出する第2リブ部4bとを有する。第1リブ部4aと第2リブ部4bは、互いに平行である。
【0024】
図3,
図6に示すように連結リブ4は、第1リブ部4aと第2リブ部4bの間に、底壁5dと上壁6aを連結する補助リブ4cを複数本、例えば3本有する。各補助リブ4cは、直線状に延出する。例えば各補助リブ4cは、第1リブ部4a及び第2リブ部4bと平行である。各補助リブ4cの左右幅は、第1リブ部4aと第2リブ部4bの左右幅より細い。各補助リブ4cは、軸受部5とミラー収容部6の連結を強化することで、ミラー収容部6から受けた衝撃を軸受部5に効率良く伝達する。第1リブ部4aと第2リブ部4bと補助リブ4cの各々の第2構成部材3と対向する側の端部は、ミラー収容部6の表面6iと略同一平面上に位置する。このため連結リブ4は、ミラー収容部6から受けた衝撃を短い距離にて軸受部5に伝達できる。
【0025】
例えば
図2に示すように矢印方向からバイザ本体1aに衝撃が加わった場合、その衝撃は第1構成部材2のミラー収容部6に伝わる。その衝撃は、ミラー収容部6からミラーユニット9と連結リブ4と軸受部5を経由して支軸8に伝わる。かくしてバイザ本体1aが衝撃によって破損する前に、その衝撃は支軸8に伝えられ、その結果、支軸8が破損する。
【0026】
図5に示すように第2構成部材3は、略長方形状を有する。第2構成部材3は、例えば樹脂で形成される。第2構成部材3の上縁3jには、右凹部3aと左凹部3bが設けられる。右凹部3aの左側には、第1構成部材2の軸受部5が収容される軸受収容部3cが形成される。第1構成部材2に第2構成部材3を重ね合わせるとき、第1構成部材2の左凹部2aが、第2構成部材3の左凹部3bと対向する。さらに第1構成部材2の右凹部2bが、第2構成部材3の右凹部3aと対向する。
【0027】
図5に示す軸受収容部3cは、左右方向に間隔を空けて併設される一対の縦壁3d,3eを有する。第1構成部材2に第2構成部材3が重ね合わされるとき、縦壁3d,3eの間に軸受部5が設置される。これにより
図3に示す軸受部5の保持壁5a,5bの左右方向外側面5m,5nが、軸受収容部3cの縦壁3d,3eの左右方向内側面3q,3rと対向する。
【0028】
図5に示す第2構成部材3の上縁3jと下縁3kは、湾曲形状を有する。上縁3jと下縁3kの間の領域3iは、略平坦面である。第2構成部材3の内面3nには、第2構成部材3の内周に沿って配置されるボス部3pが複数設けられる。ボス部3pの配置は、第1構成部材2の結合ピン11の位置に対応する。ボス部3pは、第2構成部材3の内面3nから略垂直に突出する。各ボス部3pには、第1構成部材2に第2構成部材3が重ね合わされるとき、
図3に示す第1構成部材2の内面2fに設けられる結合ピン11が挿入される。
【0029】
第1構成部材2と第2構成部材3の断面2次モーメントを計算し、重量を測定し、
図7の表にまとめた。比較対象である従来型のバイザ本体の第1構成部材2と第2構成部材3の断面2次モーメントを計算し、重量を測定し、同様に
図7の表にまとめた。従来型のバイザ本体は、ミラー収容部が設けられた第1構成部材2と、軸受部が設けられた第2構成部材3とからなる。従来型の第1構成部材2と第2構成部材3は、いずれも高い強度を有する。すなわち従来型の第1構成部材2と第2構成部材3は、衝撃を受けたときに、バイザ本体が破損する前に支軸が破損する程度の強度を有する。
【0030】
この表から第1構成部材2の断面2次モーメントは、従来品の第1構成部材2と略同じであることがわかった。すなわち第1構成部材2の強度は、衝撃を受けた際に軸受部5に力を伝達し、支軸8が破損し得る程度に十分に高い。これは本実施形態の第1構成部材2が、軸受部5、ミラー収容部6を有するためである。または軸受部5とミラー収容部6を連結リブ4によって連結するためである。またはこれらの組合せを有するためであると考えられる。
【0031】
一方、第2構成部材3の断面2次モーメントは、従来品の第2構成部材の約7分の1である。しかもバイザ本体1aの重量が従来品と比べて約6.3%軽量化されることがわかった。これは本実施形態のバイザ本体1aに剛性の高い構造体を集約させたためと考えられる。
【0032】
上述するように
図1~8に示すように、車両用サンバイザ1は、バイザ本体1aとバイザ本体1aを車室天井面20に取付ける支軸8を有する。バイザ本体1aは、厚み方向に重ねられた第1構成部材2と第2構成部材3を具備する。支軸8は、バイザ本体1aを使用位置Pと格納位置Kの間で回転可能に支持する。支軸8は、第1構成部材2に設けられる軸受部5によって回転可能に支持される。第1構成部材2には、ミラー9aを収容する収容部6が設けられる。収容部6と軸受部5は、支軸8の長手方向に対して直交する方向に延出する連結リブ4によって連結される。連結リブ4と軸受部5と収容部6の全てが第1構成部材2に設けられる。
【0033】
したがって強度の比較的強い軸受部5と収容部6がいずれも第1構成部材2に設けられ、しかも軸受部5と収容部6が連結リブ4によって連結される。そのため第1構成部材2の強度が高くなっている。かくしてバイザ本体1aに衝撃が加わった場合、例えば第1構成部材2の収容部6に衝撃が加わる。その衝撃は、連結リブ4と軸受部5を経由して支軸8に伝わる。かくしてバイザ本体1aが破損する前に支軸8を破損させること等ができる。換言すると、本構造によってバイザ本体1aの破損を抑制できる。一方、第2構成部材3には軸受部5と収容部6が設けられていない。そのため第2構成部材3には強い強度が不要である。その結果、第2構成部材3を簡易な構造とすることができ、
図7に示すようにバイザ本体全体を軽量にできる。
【0034】
図3~
図6に示すように、軸受部5は、支軸8の長手方向に並設された一対の保持壁5a,5bと、一対の保持壁5a,5bを連結する底壁5dを有する。一対の保持壁5a,5bには、支軸8が挿通される挿通孔(開口部)5e,5fが形成される。底壁5dは、保持壁5a,5bと略同じ厚みを有して収容部6に対向する。連結リブ4が底壁5dと収容部6の間を直線状に延出する。したがってバイザ本体1aに衝撃が加わり、収容部6が衝撃を受けると、連結リブ4が効率良く軸受部5に衝撃を伝えることができる。
【0035】
図3~
図6に示すように、軸受部5の底壁5dは、支軸8の長手方向において第1端部と第2端部を有する。収容部6は、軸受部5の底壁5dに対向する上壁6aを有する。連結リブ4は、底壁5dの第1端部から延出して上壁6aに連結される第1リブ部4aと、底壁5dの第2端部から延出して上壁6aに連結される第2リブ部4bを含む。したがってバイザ本体1aに衝撃が加わり、収容部6が衝撃を受けると、第1リブ部4aと第2リブ部4bが軸受部5に衝撃を伝える。第1リブ部4aと第2リブ部4bが軸受部5の両端に位置するため、ねじれが発生し難く、効率良く衝撃が軸受部5に伝わる。更に、軸受部5と第1リブ部4a及び第2リブ部4bと収容部6とが、軸受部5から対向するバイザ本体1aの他端部に向けて連なるように一体で形成されるため、バイザ本体1aが受けた衝撃が、より効率的に支軸8に伝わる。
【0036】
図3~
図6に示すように、サンバイザ1は、収容部6と軸受部5に跨って延出するリブ14と、第1構成部材2と第2構成部材3を結合する複数の結合ピン11と複数のボス部3pを有する。複数の結合ピン11は、第1構成部材2または第2構成部材3のいずれか一方に形成され、複数のボス部3pは他方に形成される。複数の結合ピン11またはボス部3pの少なくとも1つがリブ14の途中に位置する。したがってバイザ本体1aは、リブ14と、リブ14の途中に位置する結合ピン11またはボス部3pによって強度が強くなる。
【0037】
本開示は、上述した実施形態で説明した外観、構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0038】
例えば、
図3に示すように連結リブ4の第1リブ部4aと第2リブ部4bが、収容部6と軸受部5を連結するように支軸8の長手方向に対して直交する方向に延出する。これに代えて第1リブ部4aと第2リブ部4bが互いに交差するように斜め方向に延出していてもよい。
【0039】
図3に示すように連結リブ4と軸受部5と収容部6の全てが第1構成部材2に設けられる。これに代えて、連結リブ4と軸受部5と収容部6の少なくとも1つが第2構成部材3に設けられるか、または別体として設けられても良い。
【0040】
図3,
図4に示すように軸受部5の保持壁5a,5bと底壁5dとが略同じ厚みを有する。これに代えて、保持壁5a,5bと底壁5dの厚みは異なっていても良い。例えば保持壁5a,5bの厚みが底壁5dの厚みよりも薄くてもよいし、その反対でもよい。
【0041】
図3に示すように連結リブ4は、第1リブ部4aと第2リブ部4bを含む。これに代えて連結リブ4は1つまたは3つ以上のリブ部を有していても良い。例えば連結リブ4は、第1リブ部4aと第2リブ部4bに加えて補助リブ4cを複数有していても良い。
【0042】
図3に示すように第1構成部材2に複数の結合ピン11が形成される。これに代えて第1構成部材2に複数のボス部3pが形成され、第2構成部材3に複数の結合ピン11が形成されていても良い。また第1構成部材2と第2構成部材3の結合が、結合ピン11とボス部3pによる結合以外の、例えば爪形状による、係合片と被係合部により係合される手段でなされてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 車両用サンバイザ
1a バイザ本体
2 第1構成部材
3 第2構成部材
3p ボス部
4 連結リブ
4a 第1リブ部
4b 第2リブ部
5 軸受部
5a,5b 保持壁
5d 底壁
5e,5f 挿通孔(開口部)
6 収容部(ミラー収容部)
6a 上壁
8 支軸
9a ミラー
11 結合ピン
14 リブ