(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】遮蔽扉ユニット、排熱分離装置及び電算機室空調システム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20230925BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20230925BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230925BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
H05K7/18 K
H05K7/20 U
F24F7/06 B
(21)【出願番号】P 2019213382
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 潤
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-171110(JP,A)
【文献】特開2006-097352(JP,A)
【文献】特開2004-184070(JP,A)
【文献】特開2014-052130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0260338(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/18
H05K 7/20
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、前記一対の架列の間に設けられる通路と、を備える排熱分離装置に用いられる遮蔽扉ユニットであって、
前記一対の架列の一方の第1架列における第1方向一方側の第1架列端部に取り付けられる第1部材と、
前記第1部材に取り付けられる第1扉部と、
前記一対の架列の他方の第2架列における第1方向一方側の第2架列端部に取り付けられる第2部材と、
前記第2部材に取り付けられる第2扉部と、
前記第1部材の第1上面と前記第2部材の第2上面との間に跨って取り付けられる連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記第1部材及び前記第2部材間に生じる変位に応じて変形する弾性体を含
み、
前記連結部材は、前記第1上面及び前記第2上面に固定される固定部と、前記第1上面及び前記第2上面間を跨ぐ上板部と、前記固定部及び前記上板部を接続する弾性板と、を有する
ことを特徴とする遮蔽扉ユニット。
【請求項2】
情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、前記一対の架列の間に設けられる通路と、を備える排熱分離装置に用いられる遮蔽扉ユニットであって、
前記一対の架列の一方の第1架列における第1方向一方側の第1架列端部に取り付けられる第1部材と、
前記第1部材に取り付けられる第1扉部と、
前記一対の架列の他方の第2架列における第1方向一方側の第2架列端部に取り付けられる第2部材と、
前記第2部材に取り付けられる第2扉部と、
前記第1部材の第1上面と前記第2部材の第2上面との間に跨って取り付けられる連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記第1部材及び前記第2部材間に生じる変位に応じて変形する弾性体を含み、
前記連結部材は、前記第1上面に固定される第1固定部と、前記第2上面に固定される第2固定部と、一端が前記第1固定部に固定される第1パネル部と、一端が前記第2固定部に固定される第2パネル部と、前記第1パネル部の他端と前記第2パネル部の他端とを接続する弾性部材と、を有する
ことを特徴とす
る遮蔽扉ユニット。
【請求項3】
情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、前記一対の架列の間に設けられる通路と、を備える排熱分離装置に用いられる遮蔽扉ユニットであって、
前記一対の架列の一方の第1架列における第1方向一方側の第1架列端部に取り付けられる第1部材と、
前記第1部材に取り付けられる第1扉部と、
前記一対の架列の他方の第2架列における第1方向一方側の第2架列端部に取り付けられる第2部材と、
前記第2部材に取り付けられる第2扉部と、
前記第1部材の第1上面と前記第2部材の第2上面との間に跨って取り付けられる連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記第1部材及び前記第2部材間に生じる変位に応じて変形する弾性体を含み、
前記連結部材は、前記第1上面に固定される第1固定部と、前記第2上面に固定される第2固定部と、前記第1固定部に一端が固定されるとともに前記第2固定部に他端が固定される弾性部材と、を有する
ことを特徴とす
る遮蔽扉ユニット。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記第1上面及び前記第2上面間を跨ぐ板状である
ことを特徴とする請求項
3に記載の遮蔽扉ユニット。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記第1上面及び前記第2上面間を跨ぐ帯状弾性部材を前記第1方向に複数並べて構成される
ことを特徴とする請求項
3に記載の遮蔽扉ユニット。
【請求項6】
情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、前記一対の架列の間に設けられる通路と、を備える排熱分離装置に用いられる遮蔽扉ユニットであって、
前記一対の架列の一方の第1架列における第1方向一方側の第1架列端部に取り付けられる第1部材と、
前記第1部材に取り付けられる第1扉部と、
前記一対の架列の他方の第2架列における第1方向一方側の第2架列端部に取り付けられる第2部材と、
前記第2部材に取り付けられる第2扉部と、
前記第1部材の第1上面と前記第2部材の第2上面との間に跨って取り付けられる連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記第1部材及び前記第2部材間に生じる変位に応じて変形する弾性体を含み、
前記第1部材及び前記第2部材の前記第1方向の幅は、前記複数の収容ラックの前記第1方向における最小幅よりも狭い
ことを特徴とす
る遮蔽扉ユニット。
【請求項7】
前記第1部材及び前記第2部材の前記第1方向の幅は、前記複数の収容ラックの前記第1方向における最小幅よりも狭い
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の遮蔽扉ユニット。
【請求項8】
情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、
前記一対の架列の間に設けられる通路と、
前記通路の前記第1方向の端部を覆うように設けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の遮蔽扉ユニットと、を備える
ことを特徴とする排熱分離装置。
【請求項9】
請求項8に記載の排熱分離装置と、
前記情報処理機器を冷却するための冷却空気を前記排熱分離装置に供給する空気調和装置と、を備える
ことを特徴とする電算機室空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽扉ユニット、排熱分離装置及び電算機室空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電算機室において、情報処理機器を収容した収容ラックの吸気面から冷却空気を収容ラック内に導入し、収容ラック内の情報処理機器を冷却した後の温熱空気を収容ラックの上面や背面に設けた排気出口から排出する電算機室空調システムが知られている。電算機室内では、例えば、複数の収容ラックを並べて配置した一対の架列が通路を挟んで吸気面を対向させるようにして配置され、空気調和装置から吹き出された冷却空気が通路を通って各収容ラックに供給されている。
【0003】
この種の電算機室空調システムにおいて、吸気面側への温熱空気の回り込みを招くことなく収容ラック内の情報処理機器を効率良く冷却するために、通路を遮蔽する排熱分離装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。上記排熱分離装置では、架列の端部に遮蔽扉を設置することで通路を遮蔽している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記排熱分離装置において、遮蔽扉を設置する作業は、収容ラックの高さや取付可能な位置などにより個別に対応する必要がある。また、電算機室空調システムでは、情報処理機器の増減や収容ラックの更改などの理由により、排熱分離装置における架列の構成を変更することがある。特に、遮蔽扉が設置された架列端部の構成を変更した場合、遮蔽扉を取り外した後、再度取り付ける必要があるため、非常に手間が掛かり、収容ラックのサイズや仕様が異なると再利用できないことがある。さらに、架列内に稼働中の情報処理機器が含まれる場合、効率的な冷却を維持するため、構成の変更と再遮蔽を短時間で実施する必要がある。そのため、遮蔽扉の設置又は取り外し再取付を容易にできる新たな技術の提供が望まれている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて、遮蔽扉の設置又は取り外しおよび再取付作業を容易にできる、遮蔽扉ユニット、排熱分離装置及び電算機室空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係る遮蔽扉ユニットは、情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、前記一対の架列の間に設けられる通路と、を備える排熱分離装置に用いられる遮蔽扉ユニットであって、前記一対の架列の一方の第1架列における第1方向一方側の第1架列端部に取り付けられる第1部材と、前記第1部材に取り付けられる第1扉部と、前記一対の架列の他方の第2架列における第1方向一方側の第2架列端部に取り付けられる第2部材と、前記第2部材に取り付けられる第2扉部と、前記第1部材の第1上面と前記第2部材の第2上面との間に跨って取り付けられる連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記第1部材及び前記第2部材間に生じる変位に応じて変形する弾性体を含み、前記連結部材は、前記第1上面及び前記第2上面に固定される固定部と、前記第1上面及び前記第2上面間を跨ぐ上板部と、前記固定部及び前記上板部を接続する弾性板と、を有することを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る遮蔽扉ユニットは、情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、前記一対の架列の間に設けられる通路と、を備える排熱分離装置に用いられる遮蔽扉ユニットであって、前記一対の架列の一方の第1架列における第1方向一方側の第1架列端部に取り付けられる第1部材と、前記第1部材に取り付けられる第1扉部と、前記一対の架列の他方の第2架列における第1方向一方側の第2架列端部に取り付けられる第2部材と、前記第2部材に取り付けられる第2扉部と、前記第1部材の第1上面と前記第2部材の第2上面との間に跨って取り付けられる連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記第1部材及び前記第2部材間に生じる変位に応じて変形する弾性体を含み、前記連結部材は、前記第1上面に固定される第1固定部と、前記第2上面に固定される第2固定部と、一端が前記第1固定部に固定される第1パネル部と、一端が前記第2固定部に固定される第2パネル部と、前記第1パネル部の他端と前記第2パネル部の他端とを接続する弾性部材と、を有することを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る遮蔽扉ユニットは、情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、前記一対の架列の間に設けられる通路と、を備える排熱分離装置に用いられる遮蔽扉ユニットであって、前記一対の架列の一方の第1架列における第1方向一方側の第1架列端部に取り付けられる第1部材と、前記第1部材に取り付けられる第1扉部と、前記一対の架列の他方の第2架列における第1方向一方側の第2架列端部に取り付けられる第2部材と、前記第2部材に取り付けられる第2扉部と、前記第1部材の第1上面と前記第2部材の第2上面との間に跨って取り付けられる連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記第1部材及び前記第2部材間に生じる変位に応じて変形する弾性体を含み、前記連結部材は、前記第1上面に固定される第1固定部と、前記第2上面に固定される第2固定部と、前記第1固定部に一端が固定されるとともに前記第2固定部に他端が固定される弾性部材と、を有することを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る遮蔽扉ユニットは、情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、前記一対の架列の間に設けられる通路と、を備える排熱分離装置に用いられる遮蔽扉ユニットであって、前記一対の架列の一方の第1架列における第1方向一方側の第1架列端部に取り付けられる第1部材と、前記第1部材に取り付けられる第1扉部と、前記一対の架列の他方の第2架列における第1方向一方側の第2架列端部に取り付けられる第2部材と、前記第2部材に取り付けられる第2扉部と、前記第1部材の第1上面と前記第2部材の第2上面との間に跨って取り付けられる連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記第1部材及び前記第2部材間に生じる変位に応じて変形する弾性体を含み、前記第1部材及び前記第2部材の前記第1方向の幅は、前記複数の収容ラックの前記第1方向における最小幅よりも狭いことを特徴とする。
【0008】
本態様に係る遮蔽扉ユニットによれば、通路の端部を遮蔽する遮蔽扉の設置又は取り外し作業を容易に行うことができる。また、例えば、地震等によって一対の架列間に生じる変位に応じて連結部材の弾性体が変形することで、連結部材の損傷を防ぐことができる。
【0009】
上記態様において、前記連結部材は、前記第1上面及び前記第2上面に固定される固定部と、前記第1上面及び前記第2上面間を跨ぐ上板部と、前記固定部及び前記上板部を接続する弾性板と、を有するのが好ましい。
この構成によれば、地震等によって一対の架列間に生じる変位に応じて弾性板が変形することで、連結部材の損傷を防ぐことができる。
【0010】
上記態様において、前記連結部材は、前記第1上面に固定される第1固定部と、前記第2上面に固定される第2固定部と、一端が前記第1固定部に固定される第1パネル部と、一端が前記第2固定部に固定される第2パネル部と、前記第1パネル部の他端と前記第2パネル部の他端とを接続する弾性部材と、を有するのが好ましい。
この構成によれば、地震等によって一対の架列間に生じる変位に応じて弾性部材が変形することで、連結部材の損傷を防ぐことができる。
【0011】
上記態様において、前記連結部材は、前記第1上面に固定される第1固定部と、前記第2上面に固定される第2固定部と、前記第1固定部に一端が固定されるとともに前記第2固定部に他端が固定される弾性部材と、を有するのが好ましい。
この構成によれば、地震等によって一対の架列間に生じる変位に応じて弾性部材が変形することで、連結部材の損傷を防ぐことができる。
【0012】
上記態様において、前記弾性部材は、前記第1上面及び前記第2上面間を跨ぐ板状であるのが好ましい。
この構成によれば、板状の弾性部材が変形することで一対の架列間に生じる振動を小さくできる。
【0013】
上記態様において、前記弾性部材は、前記第1上面及び前記第2上面間を跨ぐ帯状弾性部材を前記第1方向に複数並べて構成されるのが好ましい。
この構成によれば、複数の短冊状弾性部材が変形することで一対の架列間に生じる振動を小さくできる。また、何等かの原因によって通路の内外の圧力差が大きくなった際、帯状弾性部材が伸縮することで通路と外部とを連通させる隙間を生じさせて、通路の内外の圧力差を低減することができる。
【0014】
上記態様において、前記第1部材及び前記第2部材の前記第1方向の幅は、前記複数の収容ラックの前記第1方向における最小幅よりも狭いのが好ましい。
この場合、第1部材及び第2部材は収容ラックを模した薄い箱型部材、すなわち収容ラックとは別の構造物で構成される。
【0015】
本発明の第二態様に係る排熱分離装置は、情報処理機器を収容する複数の収容ラックを第1方向に沿って配置するとともに互いに対向配置される一対の架列と、前記一対の架列の間に設けられる通路と、前記通路の前記第1方向の端部を覆うように設けられる、上記第一態様の遮蔽扉ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0016】
本態様に係る排熱分離装置によれば、遮蔽扉ユニットを備えるので、通路の端部への遮蔽扉の設置又は取り外し作業が容易となる。また、一対の架列間が遮蔽扉ユニットによって連結されるため、耐震性を向上させることができる。
【0017】
本発明の第三態様に係る電算機室空調システムは、上記第二態様の排熱分離装置と、前記情報処理機器を冷却するための冷却空気を前記排熱分離装置に供給する空気調和装置と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本態様に係る電算機室空調システムによれば、遮蔽扉の設置又は取り外しおよび再取付作業を容易とする排熱分離装置を備えるため、一対の架列の構成変更を短時間で行うことができる。また、排熱分離装置に対する遮蔽扉の設置が容易であるため、電算機室空調システムの組み立て時間を短縮することができる。また、耐震性の高い排熱分離装置を備えるため、電算機室空調システム自体の耐震性を向上できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、通路の端部を遮蔽する遮蔽扉の設置又は取り外しおよび再取付作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係る電算機室空調システムの全体構成を示す図である。
【
図2】電算機室空調システムの模式的な断面を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る連結部材の要部構成を示す断面図である。
【
図6】第3実施形態に係る連結部材の要部構成を示す断面図である。
【
図7】第4実施形態に係る連結部材の要部構成を示す断面図である。
【
図8】変形例に係る遮蔽扉ユニットの要部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。説明で使用する図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系においてZ軸方向は、+Z側を「上側」とし、-Z側を「下側」とする上下方向(鉛直方向)である。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、複数の収容ラックを配置する方向(第1方向)であって、+X側を「前側」とし、-X側を「後側」とする前後方向(第1方向)である。また、Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向と直交する方向であって、一対の架列が互いに向き合う方向であって、+Y側を「右側」とし、-Y側を「左側」とする左右方向である。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る電算機室空調システム100の全体構成を示す図であり、
図2は、電算機室空調システム100の模式的な断面を示す図である。
図1、
図2に示すように、電算機室空調システム100は、例えば略箱状に形成された電算機室101内において利用されるものである。電算機室空調システム100は、排熱分離装置10と、排熱分離装置10に冷却空気を供給する空気調和装置11と、を備える。電算機室101は、床1と図示しない壁と天井とで囲まれており、床1から上方に離間して二重床2が設けられている。
【0023】
排熱分離装置10は、一対の架列Rと、通路4と、複数の遮蔽パネル20と、一対の遮蔽扉ユニット70と、を備えている。
【0024】
一対の架列Rは第1架列R1と第2架列R2とを含む。第1架列R1及び第2架列R2は二重床2上において互いが対向するように設置されている。第1架列R1及び第2架列R2は、X軸方向に沿って並べて配置した複数の収容ラック3で構成される。収容ラック3における横幅(X軸方向の幅)は、例えば、600~900mm程度に設定される。なお、
図1では、X軸方向に沿って収容ラック3を3個ずつ配置しているが、収容ラック3の数は適宜変更可能である。
【0025】
通路4は、第1架列R1及び第2架列R2の間に設けられた二重床2上に形成されている。第1架列R1はX軸方向に沿って延びる通路4の左側に位置し、第2架列R2はX軸方向に沿って延びる通路4の右側に位置する。二重床2の下には内部空間5が設けられ、内部空間5に各収容ラック3の電気配線などが収容されている。
【0026】
また、通路4上には多数の吹き出し孔8が形成されていている。二重床2の下の内部空間5と通路4とは、これら複数の吹き出し孔8を介して通気可能に連通している。
【0027】
複数の遮蔽パネル20は、通路4を挟んで対向して配列された収容ラック3の上面間に跨るように設けられている。各遮蔽パネル20は、通路4内の冷却空気の流通部を、収容ラック3よりも上方側の温熱空気の流通部と分離する。
【0028】
各遮蔽パネル20は、一端側(例えば、右端側)が収容ラック3の上面に固定端として取り付けられるとともに、他端側(例えば、左端側)が収容ラック3の上面に固定されない自由端として設置される。
【0029】
本実施形態の電算機室空調システム100においては、遮蔽パネル20の一端側を固定構造物(収容ラック3)に連結する固定端とし、遮蔽パネル20の他端側を固定構造物(収容ラック3)に連結しない自由端として配置している。そのため、例えば、地震の発生時には、遮蔽パネル20が自由端側で振れることで収容ラック間の変位に追随し、遮蔽パネル20の損傷を防止できる。
【0030】
従来、電算機室空調システムにおいては、用途に応じて排熱分離装置における一対の架列の構成が変更される。一対の架列の構成を変更する場合、架列の端部を覆う遮蔽扉を一旦取り外し、架列の構成変更(例えば、収容ラック3の増設等)を行った後、架列の端部に遮蔽扉を再び設置する必要がある。従来、このような遮蔽扉の設置には非常に手間が掛かるという問題があった。
【0031】
これに対し、本実施形態の電算機室空調システム100では、通路4の前後方向(Y軸方向)の両端部を一対の遮蔽扉ユニット70で覆った排熱分離装置10を採用している。これにより、本実施形態の電算機室空調システム100では、遮蔽扉の設置作業又は取り外し作業を容易に行うことを可能としている。
【0032】
本実施形態の排熱分離装置10において、一対の遮蔽扉ユニット70の一方は、通路4の前側(第1方向一方側)を覆い、一対の遮蔽扉ユニット70の他方は、通路4の後側(第1方向他方側)を覆う。
【0033】
一対の遮蔽扉ユニット70は、通路4内の冷却空気の流通部を、通路4の外側の温熱空間の流通部と分離する。本実施形態においては、通路4は、二重床2上において、第1架列R1及び第2架列R2と複数の遮蔽パネル20と一対の遮蔽扉ユニット70とに囲まれた閉鎖空間Sで構成される。
【0034】
空気調和装置11は、通路4の外側の二重床2上に設置されている。空気調和装置11は、収容ラック3から排気された温熱空気を吸込口11aから吸い込んで冷却し、空気調和装置11内で冷却された空気(冷却空気)を底面の吹出口11bから内部空間5内に送り出す。
【0035】
空気調和装置11から内部空間5に供給された冷却空気は吹き出し孔8を通して通路4内に給気される。各収容ラック3は箱状に形成され、内部に電子計算機や通信機器等の情報処理機器7が収容されている。各収容ラック3は、表面側に吸気面3bが設けられ、背面側に排気面3cが設けられている。収容ラック3に収容された情報処理機器7は内蔵された排気ファンによって通路4側から冷却空気を吸気し、その冷却空気によって情報処理機器7を冷却する。情報処理機器7を冷却した冷却空気は温熱空気となって排気面3cから外部に排出される。
【0036】
続いて、遮蔽扉ユニット70の構成について説明する。
図3は遮蔽扉ユニット70の構成を示す図である。
図3では架列R1,R2の前側端部R1a,R2aに取り付けられた遮蔽扉ユニット70を図示している。
図3に示すように、遮蔽扉ユニット70は通路4の前側端部を覆い、前後方向に直交する左右方向に沿ってスライドするスライド扉である。遮蔽扉ユニット70は、第1部材71と、第2部材72と、第1扉部73と、第2扉部74と、連結部材75とを備えている。
【0037】
第1部材71は第1扉部73を支持する部材である。第1扉部73は、第1部材71に取り付けられる。第1扉部73は、第1レール部73aと第1扉73bとを有する。
【0038】
第1レール部73aは第1扉73bをスライド可能に支持する。第1扉73bは、例えば、その上端部に取り付けられたローラー部を第1レール部73a内で回転させることで第1レール部73aに沿ってスライド可能である。第1レール部73aに対する第1扉部73のスライド動作は電動操作又は手動操作のいずれで行ってもよい。
【0039】
第1部材71は、所定の剛性を有する例えば金属等で構成される。第1部材71は、第1架列R1の前側端部(第1方向一方側)R1aに取り付けられる。具体的に第1部材71は、前側端部R1aに位置する第1収容ラック51の側面51bに接触した状態で取り付けられる。なお、第1部材71の下部は、収容ラック3と同様、床2に対してボルト(不図示)で固定される。
【0040】
第1部材71は、第1収容ラック51に取り付けられるための取付金具76を含む。
第1部材71は、第1収容ラック51の上面51aにねじ部材19を介して取付金具76を固定することで、第1収容ラック51に取り付けられる。
【0041】
第1部材71の横幅(X軸方向の幅)は例えば100~200mm程度に設定される。すなわち、第1部材71の横幅は、架列R1,R2を構成する複数の収容ラック3の最小幅(600mm)よりも狭い。本実施形態において、第1部材71は収容ラック3を模した薄い箱型部材、すなわち収容ラック3とは別の構造物で構成されている。また、第1部材71の奥行幅(Y方向の幅)は例えば600mm程度に設定される。
【0042】
第1扉部73の第1レール部73aは、第1部材71に取り付けられるための取付金具77を含む。取付金具77は第1レール部73aと一体又は別体で構成される。
【0043】
第1扉部73の第1レール部73aは、取付金具77を介して第1部材71の上面71aに取り付けられる。取付金具77は第1部材71の上面71aにねじ部材(不図示)で固定される。
【0044】
以上のようにして、第1扉部73を支持した第1部材71は、第1収容ラック51に取り付けられる。第1扉部73は、第1レール部73aに沿って第1扉73bをスライドさせることで通路4の左半分を隙間なく覆うことができる。
【0045】
第2部材72は第2扉部74を支持する部材である。第2部材72及び第2扉部74は、第1部材71及び第1扉部73と同様の構成を有する。第2扉部74は、第2レール部74aと第2扉74bとを有する。
【0046】
第2部材72は、第2架列R2の前側端部(第1方向一方側)R2aに取り付けられる。具体的に第2部材72は、前側端部R2aに位置する第2収容ラック52の側面52bに接触した状態で取り付けられる。なお、第2部材72の下部は、収容ラック3と同様、床1に対してボルト(不図示)で固定される。
【0047】
第2部材72は、第2収容ラック52に取り付けられるための取付金具76を含む。
第2部材72は、第2収容ラック52の上面52aにねじ部材19を介して取付金具76を固定することで、第2収容ラック52に取り付けられる。
【0048】
第2部材72は、第1部材71と同様、架列R1,R2を構成する複数の収容ラック3の最小幅(600mm)よりも狭い横幅を有している。第2部材72は収容ラック3を模した薄い箱型部材、すなわち収容ラック3とは別の構造物で構成されている。
【0049】
第2扉部74の第2レール部74aは、取付金具76を介して第2部材72の上面72aに取り付けられる。取付金具76は第2部材72の上面72aにねじ部材(不図示)で固定される。
【0050】
以上のようにして、第2扉部74を支持した第2部材72は、第2収容ラック52に取り付けられる。第2扉部74は、第2レール部74aに沿って第2扉74bをスライドさせることで通路4の右半分を隙間なく覆うことができる。
【0051】
第1収容ラック51及び第2収容ラック52の下端には一対のガイド部材44が設けられている。一対のガイド部材44は第1扉73b及び第2扉74bのスライド移動をそれぞれガイドする。各ガイド部材44は上下方向に延びるピン部材を有し、例えば、ピン部材を対応する扉の下面に形成された溝(不図示)に上記ピン部材を嵌合させることで、第1扉73b又は第2扉74bのスライド移動をガイドする。このようにして、一対のガイド部材44は第1扉部73及び第2扉部74に生じる前後方向(X軸方向)の振れを抑制する。
【0052】
本実施形態の遮蔽扉ユニット70では、第1部材71及び第2部材72に取り付けられた第1扉部73及び第2扉部74の端部同士を突き合わせた状態で通路4を遮蔽することができる。よって、遮蔽扉ユニット70は通路4の端部を隙間なく覆うことができる。
【0053】
連結部材75は、第1部材71の上面(第1上面)71aと第2部材72の上面(第2上面)72aとの間に跨って取り付けられる。
【0054】
図4は連結部材75の要部構成を示す断面図である。
図4に示すように、連結部材75は、固定部80と、上板部81と、弾性板82と、を有する。
固定部80は、第1部材71の上面71a及び第2部材72の上面72aに固定される。固定部80は、一対の固定部材80aを含む。固定部材80aの一方はねじ部材83を介して第1部材71の上面71aに固定され、固定部材80aの他方はねじ部材83を介して第2部材72の上面72aに固定される。
【0055】
上板部81は、上面71a及び上面72a間を跨ぐ部材である。上板部81は、所定の強度を有する金属製の板状部材で構成される。弾性板82は、固定部80及び上板部81を接続する部材である。弾性板82は、一対のゴム板82aを含む。本実施形態において、弾性板82は第1部材71及び第2部材72間に生じる変位に応じて変形する弾性体として機能する。
【0056】
ゴム板82aの一方は、一方の固定部材80aの側面80b及び上板部81の側面81aに跨るように取り付けられる。ゴム板82aの一方は、固定部材80aの側面80b及び上板部81の側面81aにねじ部材86を介して固定される。ゴム板82aの他方は、他方の固定部材80aの側面80b及び上板部81の側面81aに跨るように取り付けられる。ゴム板82aの他方は、固定部材80aの側面80b及び上板部81の側面81aにねじ部材86を介して固定される。すなわち、本実施形態の連結部材75においては、固定部80及び上板部81が弾性板82を介して接続されており、固定部80及び上板部81は直接固定されていない。
【0057】
本実施形態の排熱分離装置10においては、連結部材75の上板部81の高さは、連結部材75に隣接して配置される遮蔽パネル20の高さよりも低い。そのため、例えば、遮蔽パネル20の自由端が水平方向に揺動した場合でも、遮蔽パネル20が連結部材75の上板部81に接触することがない。
【0058】
ここで、遮蔽扉ユニット70の作用について説明する。
本実施形態の連結部材75は、第1部材71及び第2部材72間に生じる変位に応じて変形する弾性体を含んでいる。例えば、地震等によって各架列R1,R2間に変位が生じた場合、第1部材71の上面71a及び第2部材72の上面72aに固定された一対の固定部材80a間の距離が変化する。このとき、固定部80及び上板部81同士を接続するゴム板82aが変形することで各架列R1,R2間に生じる変位差による連結部材75の損傷を防ぐことができる。よって、本実施形態の連結部材75によれば、固定部80及び上板部81同士を剛体で固定した構造に比べて、ゴム板82aの弾性変形を利用することで各架列R1,R2間に生じる振動および変位に対して耐震性を有している。
【0059】
以上のように本実施形態の遮蔽扉ユニット70によれば、架列R1,R2の端部(前側端部R1a,R2a)に位置する第1収容ラック51及び第2収容ラック52に対してねじ部材19を用いたねじ固定で容易に設置或いは取り外しを行うことができる。よって、本実施形態の遮蔽扉ユニット70によれば、通路4の端部を遮蔽する遮蔽扉の設置又は取り外しおよび再取付作業を容易に行うことができる。
したがって、本実施形態の排熱分離装置10によれば、通路4の端部を遮蔽する遮蔽扉ユニット70の設置又は取り外し作業が容易となる。また、本実施形態の排熱分離装置10においては、遮蔽扉ユニット70により通路4の前後方向の両端を隙間なく覆うので、通路4内の冷却空気の流通部と通路4の外側の温熱空間の流通部とを良好に分離することができる。
【0060】
また、地震時に架列R1,R2間に生じる変位に応じて弾性板82が変形することで、連結部材75が損傷することなく、弾性板82の自己復旧作用により地震後でも密閉状態を維持することができる。
【0061】
したがって、本実施形態の電算機室空調システム100によれば、遮蔽扉の設置又は取り外しを容易とする排熱分離装置10を備えるため、架列R1,R2の構成変更を短時間で行うことができる。また、排熱分離装置10に対する遮蔽扉の設置が容易であるため、電算機室空調システム100の組み立て時間を短縮することができる。また、耐震性の高い排熱分離装置10を備えるため、電算機室空調システム100自体の耐震性を確保できる。
【0062】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る遮蔽扉ユニットの構成について説明する。第1実施形態と本実施形態との違いは連結部材の構成である。そのため、以下の説明では第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0063】
図5は本実施形態の連結部材175の要部構成を示す断面図である。
図5に示すように、連結部材175は、第1固定部180aと、第2固定部180bと、第1パネル部181aと、第2パネル部181bと、弾性部材182と、を有する。
第1固定部180aは、ねじ部材183を介して第1部材71の上面71aに固定される。第2固定部180bはねじ部材183を介して第2部材72の上面72aに固定される。
【0064】
第1パネル部181aは金属板で構成され、一端181a1が第1固定部180aに固定される。第2パネル部181bは金属板で構成され、一端181b1が第2固定部180bに固定される。例えば、第2パネル部181bの一端181b1は取付板185及びねじ部材184を介して第2固定部180bに固定される。取付板185は、第2パネル部181bの側面186及び第2固定部180bの側面180b1にねじ部材184を介して固定される。同様に、第1パネル部181aの一端181a1は不図示の取付板185及びねじ部材184を介して第1固定部180aに固定される。取付板185は、第1パネル部181aの側面及び第1固定部180aの側面にねじ部材184を介して固定される。
【0065】
弾性部材182は、第1パネル部181aの他端181a2と第2パネル部181bの他端181b2とを接続する。なお、第1パネル部181a及び第2パネル部181bと弾性部材182とは接着固定でもよいし、ねじ固定でもよい。本実施形態において、弾性部材182は第1部材71及び第2部材72間に生じる変位に応じて変形する弾性体として機能する。
【0066】
続いて、本実施形態の連結部材175の作用について説明する。
例えば、地震等によって各架列R1,R2間に変位が生じた場合、第1部材71の上面71a及び第2部材72の上面72aに固定された第1固定部180a及び第2固定部180b間の距離も変化する。このとき、第1固定部180aに固定された第1パネル部181aと第2固定部180bに固定された第2パネル部181bとを接続する弾性部材182が変形することにより、各架列R1,R2間に生じる変位差による連結部材175の損傷を防ぐことができる。よって、本実施形態の連結部材175によれば、各架列R1,R2間に生じた変位に応じて弾性部材182が変形するため、各架列R1,R2間に生じる振動および変位に対して耐震性を有している。
【0067】
本実施形態の連結部材175においても、各架列R1,R2間に生じる変位を弾性部材182の変形によって吸収することができる。よって、連結部材175を用いた遮蔽扉ユニットにおいても排熱分離装置における耐震性を確保することができる。
【0068】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る遮蔽扉ユニットの構成について説明する。第1実施形態と本実施形態との違いは連結部材の構成である。そのため、以下の説明では第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0069】
図6は本実施形態の連結部材275の要部構成を示す断面図である。
図6に示すように、連結部材275は、第1固定部280aと、第2固定部280bと、弾性部材281と、を有する。第1固定部280aは、ねじ部材283を介して第1部材71の上面71aに固定される。第2固定部280bはねじ部材283を介して第2部材72の上面72aに固定される。
【0070】
本実施形態の弾性部材281は、第1部材71の上面71a及び第2部材72の上面72a間を跨ぐ板状である。弾性部材281は、例えばゴム板で構成される。弾性部材281の一端281aは例えばねじ部材282により第1固定部280aに固定され、弾性部材281の他端281bは例えばねじ部材282により第2固定部280bに固定される。例えば、弾性部材281の他端281bは取付板284及びねじ部材282を介して第2固定部280bに固定される。取付板284は、弾性部材281の側面285及び第2固定部280bの側面180b1にねじ部材282を介して固定される。同様に、弾性部材281の一端281aは不図示の取付板284及びねじ部材282を介して第1固定部280aに固定される。取付板284は、弾性部材281の側面及び第1固定部280aの側面にねじ部材282を介して固定される。
本実施形態において、弾性部材281は第1部材71及び第2部材72間に生じる変位に応じて変形する弾性体として機能する。
【0071】
続いて、本実施形態の連結部材275の作用について説明する。
例えば、地震等によって各架列R1,R2間に変位が生じると、第1部材71の上面71a及び第2部材72の上面72aに固定された第1固定部280a及び第2固定部280b間の距離も変化する。このとき、第1固定部280a及び第2固定部280bに両端を固定された弾性部材281が変形することにより、各架列R1,R2間に生じる変位差による連結部材275の損傷を防ぐことができる。
したがって、本実施形態の連結部材275によれば、各架列R1,R2間に生じた変位に応じて弾性部材281が変形するため、各架列R1,R2間に生じる振動および変位に対して耐震性を有している。
【0072】
本実施形態の連結部材275においても、各架列R1,R2間に生じる変位を弾性部材281の変形によって吸収することができる。よって、連結部材275を用いた遮蔽扉ユニットにおいても排熱分離装置における耐震性を確保することができる。
【0073】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態に係る遮蔽扉ユニットの構成について説明する。第1実施形態と本実施形態との違いは連結部材の構成である。そのため、以下の説明では第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0074】
図7は本実施形態の連結部材375の要部構成を示す断面図である。
図7に示すように、連結部材375は、第1固定部380aと、第2固定部380bと、弾性部材381と、を有する。第1固定部380aは、ねじ部材383を介して第1部材71の上面71aに固定される。第2固定部380bはねじ部材383を介して第2部材72の上面72aに固定される。
【0075】
本実施形態の弾性部材381は、上面71a及び上面72a間を跨ぐように延びる複数の帯状弾性部材382を前後方向(
図1に示したX軸方向)に並べて構成される。各帯状弾性部材382は例えば糸とゴムとを編み込んで形成された輪状のベルト部材で構成される。弾性部材381(複数の帯状弾性部材382)は一対の金具384間に掛け渡されるように設けられている。本実施形態において、弾性部材381は第1部材71及び第2部材72間に生じる変位に応じて変形する弾性体として機能する。
【0076】
弾性部材381の一端381aに設けられた金具384は第1固定部380aに固定され、弾性部材381の他端381bに設けられた金具384は第2固定部380bに固定される。例えば、一方の金具384はねじ部材385及び取付板386を介して第2固定部380bに固定される。取付板386は、一方の金具384の側面384a及び第2固定部380bの側面380b1にねじ部材385を介して固定される。同様に、他方の金具384は不図示のねじ部材385及び取付板386を介して第1固定部380aに固定される。取付板386は、他方の金具384の側面384a及び第1固定部380aの側面380a1にねじ部材385を介して固定される。
【0077】
続いて、本実施形態の連結部材375の作用について説明する。
例えば、地震等によって各架列R1,R2間に変位が生じると、第1部材71の上面71a及び第2部材72の上面72aに固定された第1固定部380a及び第2固定部380b間の距離も変化する。このとき、第1固定部380a及び第2固定部380bに両端を固定される弾性部材381(複数の帯状弾性部材382)が変形する。弾性部材381は、各架列R1,R2間に生じる変位差による連結部材375の損傷を防ぐことができる。
よって、本実施形態の連結部材375によれば、各架列R1,R2間に生じた変位に応じて弾性部材381が変形するため、各架列R1,R2間に生じる振動および変位に対して耐震性を有している。
【0078】
また、本実施形態の連結部材375においては、弾性部材381が複数の帯状弾性部材382で構成されている。そのため、例えば、何等かの原因によって通路4の内外の圧力差が大きくなった際、帯状弾性部材382が伸縮することで隣接する帯状弾性部材382間に通路4と外部とを連通させる隙間が生じる。これにより、通路4内の空気が隙間を通して外部に逃げる或いは隙間を通して外部の空気が通路4内に流れ込むので、通路4の内外の圧力差を低減することができる。
【0079】
本実施形態の連結部材375においても、各架列R1,R2間に生じる変位差による連結部材375の損傷を防ぐことができる。よって、連結部材375を用いた遮蔽扉ユニットにおいても排熱分離装置における耐震性を確保することができる。
【0080】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0081】
図8は変形例に係る遮蔽扉ユニット470の要部構成を示す断面図である。
図8に示す遮蔽扉ユニット470は第1実施形態の遮蔽扉ユニット70の変形例である。なお、
図8では説明に関係のない部材については図示を省略している。
図8に示すように、本変形例の遮蔽扉ユニット470は、第1部材71に設けられた複数のファン61と、制御部62とをさらに備える。複数のファン61は、第1部材71の通路4に面する内面部分71bに上下方向に並んで設けられている。第1部材71の内面部分71b及び該内面部分71bに対向する外面部分71cはメッシュ部材で構成されている。このような構成に基づき、本変形例の遮蔽扉ユニット470は、ファン61の回転によって内面部分71b及び該内面部分71bを介して通路4に吸気或いは排気することができる。
【0082】
制御部62は、通路4内に設置した不図示の圧力センサーの出力結果に基づいてファン61の駆動を制御する。具体的に、制御部62は、通路4の内外の圧力差をなくすようにファン61の回転を制御する。本変形例の遮蔽扉ユニット470によれば、ファン61の回転を制御することで通路4の内外の圧力差を小さくできる。
なお、第2部材72の通路4に面する部分に開口部を形成し、開口部内にファン61を設置することで通路4の内外の圧力差をなくすようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態においては、空気調和装置11から吹出された冷却空気を二重床2の下方の内部空間5を介して通路4内に導入する場合を例に挙げたが、空気調和装置11からの冷却空気を排熱分離装置10の外部(電算機室101内)に供給し、収容ラック3から排気された温熱空気を通路4内に導入してもよい。
【0084】
また、上記実施形態の電算機室空調システム100においては、情報処理機器7を冷却した温熱空気を収容ラック3の背面に設けた排気面3cから排出する背面排気方式を例に挙げたが、収容ラック3の上面3aに排気面3cを設ける上面排気方式を採用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
3…収容ラック、4…通路、6,11…空気調和装置、7…情報処理機器、10…排熱分離装置、70,170,270,370,470…遮蔽扉ユニット、71…第1部材、71a,72a…上面、71a…上面(第1上面)、72…第2部材、72a…上面(第2上面)、73…第1扉部、73b…第1扉、74…第2扉部、74b…第2扉、75,175,275,375…連結部材、80…固定部、81…上板部、82…弾性板、100…電算機室空調システム、101…電算機室、180a,280a,380a…第1固定部、180b,280b,380b…第2固定部、181a…第1パネル部、181b…第2パネル部、182,281,381…弾性部材、281a,381a,181a1,181b1…一端、281b,381b,181a2,181b2…他端、382…帯状弾性部材、R,R1…架列、R1…第1架列、R2…第2架列、R1a,R2a…前側端部(第1方向一方側)。