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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】犬の糞処理具
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
A01K23/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019215044
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021083373
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】599154490
【氏名又は名称】小林 聡子
(72)【発明者】
【氏名】小林聡子
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6827514(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3092658(JP,U)
【文献】特開2005-261372(JP,A)
【文献】実開昭59-139053(JP,U)
【文献】登録実用新案第3007450(JP,U)
【文献】特開2002-084915(JP,A)
【文献】特開2006-288212(JP,A)
【文献】特開2004-000105(JP,A)
【文献】特開2014-239662(JP,A)
【文献】米国特許第05584519(US,A)
【文献】米国特許第04875729(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の糞受け部と、
前記糞受け部に連設された持ち手部と、
を有する糞処理具であって、
前記糞受け部および持ち手部は、長手方向に伸びる中心軸線に沿って左右折り畳める一本の折り目を有し、
前記糞受け部における折り目の右側を右糞受け部、左側を左糞受け部、前記持ち手部における折り目の右側を右持ち手部、左側を左持ち手部とし、前記右糞受け部と前記左糞受け部とが、また、前記右持ち手部と前記左持ち手部とが、それぞれ前記折り目を介して直接つながっており、持ち手部を折り目に沿って折り畳んだ時に、糞受け部も折り目に沿って折り畳まれ、その際、右糞受け部と左糞受け部の少なくとも一方は、右糞受け部と左糞受け部の間に内部空間が形成されるように湾曲または屈曲するとともに湾曲または屈曲している右糞受け部または左糞受け部の幅方向外側の側縁近傍がすくい部を構成し、前記糞受け部を折り目に沿って折り畳んだ時に、前記右糞受け部と前記左糞受け部の折り目とは幅方向反対側の右糞受け部側縁と左糞受け部側縁が互いに、またはどちらか一方の側縁が他方の側縁の近傍に当接または近接し、かつ、前記内部空間の持ち手部とは反対側の先端側を塞ぐ蓋部が形成され、前記蓋部は、前記右糞受け部または左糞受け部もしくはその両方に連設されていることを特徴とする犬の糞処理具。
【請求項2】
前記右糞受け部および前記左糞受け部は、それぞれ湾曲または屈曲しており、前記右糞受け部は、その側縁近傍に右すくい部を、前記左糞受け部はその側縁近傍に左すくい部を有し、前記蓋部は、右糞受け部に連設された右蓋部を、左糞受け部に連設された左蓋部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の犬の糞処理具。
【請求項3】
前記右すくい部および前記左すくい部は、それぞれ前記右蓋部および前記左蓋部とに連設されていることを特徴とする請求項2記載の犬の糞処理具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬の散歩時に道路上や草むらを汚さないように袋状シート材、例えばビニール袋と水溶性紙袋が二重にセットされているペット用の糞処理袋に糞を受け取り、家庭に持ち帰って処理をしやすいよう糞処理袋上に受け取った糞を、手を汚さず容易に前記糞処理袋内に収納できる道具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
犬は散歩の途中で糞を排泄することが多い。排泄前には必ず踏ん張るような動作をするので、その時に糞の落下地点を予測し、糞を受け取る道具などがある。また、落ちてしまった糞を拾い取るための道具がある。技術分野で述べたペット用の糞処理袋は、ビニール袋部分に手を入れて、落ちた糞を水溶性紙袋の面で掴み拾いあげ、糞を手で掴みながらビニール袋部分を反転させることにより前記水溶性紙袋に包まれた糞をビニール袋の中に収納するためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-105号公報
【文献】特開2005-261372号公報
【文献】特開2015-80474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
犬の排泄前の行動から排泄を察知したときに、糞を地面に落ちる前に受け取り、持ち帰りやすく道具がある。
【0005】
特許文献1は、長尺な本体全体を覆うようにビニール袋をかぶせ、糞を受けた後には持ち手部分と糞受け部分が合わさるように二つ折りにし、糞を挟んでいる。糞が間に挟まれている状態を保持するためには、片手ではやりにくく、糞受け部分を触らないとならないので、手を汚さないか心配がある。
【0006】
特許文献2は、長尺の長手方向に二つ折りにするので、糞から遠い部分を持つことができる。しかし、二つ折りにしたときに糞を受けた対向の角をつまむしかできない形状であり、折り畳んだ平板の全体を押さえる力が及びにくい。また、糞を受けた後にビニール袋を反転させるためのすべり止めとしてのゴム体があるが、それはゴムの摩擦力により保持されるので、前述のようにつまんだ時の力がビニール袋を押さえるために及ばないと、袋を反転させることが難しくなる。また、ゴム体の摩擦力は接しているビニール袋だけに強く働くので、袋を重ねて使うときにはゴム体と接してない面の袋に対して保持力が少なく、袋を反転させることが難しくなる。また、糞を受け取る機能のみである。
【0007】
特許文献3は、主に枠体が閉じる構造であり、二つ折り状態を保持するために小さなつまみがある。持ち方としては親指と人差し指でつまむような持ち方であり、時間が長くなると手が疲労する。袋の底部分を下側に向けたときに落下しないよう仮保持する機能はあるが、袋を反転させて糞を入れるほどの保持力はない。また、いずれの特許文献でも、糞が地面に落ちる前に受け取るためのものであり、落ちた糞を拾うことには適していない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記欠点を解決するために本発明の犬の糞処理具は、
ビニール袋またはペット用糞処理袋をかぶせることが可能な薄板状の糞受け部と、
前記糞受け部に連設された持ち手部を有する糞受け具であって、
前記糞受け部および持ち手部は、長手方向に伸びる中心軸線に沿って左右折り畳める折り目を有し、
前記糞受け部における折り目の右側を右糞受け部、左側を左糞受け部、前記持ち手部における折り目の右側を右持ち手部、左側を左持ち手部とし、持ち手部を折り目に沿って折り畳んだ時に、糞受け部も折り目に沿って折り畳まれ、その際、右糞受け部と左糞受け部の少なくとも一方は、右糞受け部と左糞受け部の間に内部空間が形成されるように湾曲または屈曲するとともに湾曲または屈曲している右糞受け部または左糞受け部の幅方向外側の側縁近傍がすくい部を構成しており、
前記糞受け部を折り目に沿って折り畳んだ時に、前記右糞受け部と前記左糞受け部の折り目とは幅方向反対側の右糞受け部側縁と左糞受け部側縁が互いに、またはどちらか一方の側縁が他方の側縁の近傍に当接または近接し、かつ、前記内部空間の持ち手部とは反対側の先端側を塞ぐ蓋部が形成され、前記蓋部は、前記右糞受け部または左糞受け部もしくはその両方に連設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の犬の糞処理具は、犬が糞をする時にビニール袋をかぶせた糞受け部に受け取ることができ、その糞を手や本体に触れずにビニール袋の中に収納することができる。また、落ちている糞も容易に拾うことができ、その場合も前記同様に、糞をビニール袋の中に収納することができる。また、ビニール袋だけでなく、水溶性の紙部分とビニール袋の二重構造になっているペット用糞処理袋でも同様に使うことができる。
【0010】
本発明の犬の糞処理具を使う時には、糞受け部の先端方向からビニール袋をかぶせ、ビニール袋の開口部の一部分を持ち手部にて一緒に持つことで、本体からビニール袋が脱落しないようにする。ペット用糞処理袋を使う場合も同様である。
【0011】
上記のようにセッティングされた本体を広げて、糞受け部上にかぶさっているビニール袋の上に犬の糞を受け取る。犬が糞をしたら、糞を挟むように持ち手部を二つ折りにすると、右持ち手部、左持ち手部とそれぞれ連設された右糞受け部、左糞受け部が一体的に畳まれる。この時、右糞受け部と左糞受け部の少なくとも一方が、湾曲または屈曲しているため、閉じた時に、内部空間が形成される。また、閉じたとき、右糞受け部側縁と左糞受け部側縁が互いに、またはどちらか一方の側縁が他方の側縁の近傍に当接または近接するが、内部空間が形成されるため、立体的な糞でも無理なく収められる。またこのとき、糞受け部の前方は蓋部により塞がれる。
【0012】
糞を処理するときには、持ち手部を二つ折りにして持ち、右糞受け部と左糞受け部とを閉じている状態にしながら、ビニール袋の開口部を糞受け部前方方向に裏返していく。このとき、前記内部空間内でビニール袋に挟まれた状態の糞は、ビニール袋の可動方向に対して内部空間が塞がれているため、中の糞のみが引っ掛かり飛び出すことがない。前記糞受け部が閉じられたときの隙間からビニール袋だけが引っ張り出されて反転し、糞は裏表が反転して裏返った袋の中に収納される。持ち手部を開けば糞受け部も開くので、前記糞が入っているビニール袋を取り外すことができる。水溶性の紙袋とビニール袋が二重になっているペット用糞処理袋を使用すれば、糞は水溶性の紙部分にくるまれて、反転したビニール袋の中に入っている。この場合、糞は紙にくるまれているので容易にトイレに流すなり、ビニール袋を分別して捨てることができる。
【0013】
また、糞を受け取れずに地面にしてしまった場合、持ち手部を手で開閉動作することで左右の糞受け部の少なくとも一方が湾曲または屈曲しており、糞受け部幅方向外側の側縁近傍が糞をすくう、すくい部となって、落ちた糞をすくい上げるとともに左右の糞受け部の間にその糞を挟み、内部空間に拾いあげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施例の斜視図
図2】第1実施例のセッティング状態を示す斜視図
図3】第1実施例の使用状態を示す斜視図
図4】第1実施例の使用状態を示す斜視図
図5】第1実施例の他の使用状態を示す斜視図
図6】第2実施例の斜視図
図7】第2実施例の斜視図
図8】第3実施例の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の犬の糞処理具の第1の実施例を、図1ないし図5を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施例の本体(1)は長手方向に伸びる中心軸線となる折り目(4)を介し、糞受け部(2)における右側を右糞受け部(2a)、左側を左糞受け部(2b)とし、持ち手部(3)における右側を右持ち手部(3a)、左持ち手部(3b)とし、それぞれ右糞受け部(2a)と右持ち手部(3a)が、左糞受け部(2b)と左持ち手部(3b)は一体的に連設されている。そのため、折り目(4)に沿って持ち手部(3)を折り畳んだときに、糞受け部(2)も折り目(4)に沿って折り畳まれる。
【0016】
さらに右糞受け部(2a)の幅方向の右糞受け部側縁(2c)側の一部に右すくい部(6a)、左糞受け部(2b)の幅方向の左糞受け部側縁(2d)側の一部に左すくい部(6b)がそれぞれ屈曲して形成されている。また、右糞受け部(2a)と左糞受け部(2b)の持ち手(3)側とは反対方向先端にはそれぞれ右蓋部(7a)と左蓋部(7b)が形成されている。
【0017】
図2に示すように、糞受け部(2)は、折り目(4)を開いた状態でビニール袋(8)やペット用糞処理袋部を糞受け部(2)の先端側からかぶせることが可能な大きさと厚みである。持ち手部(3)は折り畳んだ時に片手で握ることの出来る幅となっている。
【0018】
本体(1)は、たとえばプラスチックで一体成形されたものが適している。
【0019】
図に3示すように、本体(1)にビニール袋(8)をかぶせた状態で糞受け部(2)を開くと、糞受け部(2)が広く開く。犬が糞をするタイミングで本体(1)を広げる、もしくはL字のように半折りにし糞(9)を受け取る。これを持ち手部(3)で二つ折りにたたむと糞受け部(2)も折り目(4)に沿って畳まれ、右糞受け部側縁(2c)と左糞受け部側縁(2d)が互いに当接または近接して内部空間が形成され、かつ前記内部空間の持ち手部(3)とは反対側の先端には右蓋部(7a)と左蓋部(7b)にて蓋部(7)が形成される。
【0020】
図4に示すように、持ち手部(3)を二つ折りにし握ると右糞受け部側縁(2c)と左糞受け部側縁(2d)は互いに当接される。また同時に右蓋部(7a)、左蓋部(7b)も閉じられる。このように、地面に落ちている糞でも、右糞受け部側縁(2c)と左糞受け部側縁(2d)が地面に接しながら、糞(9)が右すくい部(6a)と左すくい部(6b)の上に乗り、内部空間に収めることができる。また、右糞受け部側縁(2c)と左糞受け部側縁(2d)部分が左右からすくいとるように動くので、柔らかい糞(9)でも形状を崩さずにすくいとることができる。さらに、草の上など、平面でないところの糞(9)でも形状を崩すことなくすくい上げることができるので、糞(9)が崩れて、かけらを取り残してしまうといったことが少なくなる。
【0021】
前記段落[0019][0020]で糞受け部(2)の内部空間に収められた糞(9)は、ビニール袋(8)に挟まれている状態となっている。図5に示すように、ビニール袋(8)の開口部を持ち手部(3)側から折り目先端部(5)に向けて反転しながら引っ張っていく。すると、内部空間内の糞(9)は蓋部(7)に塞き止められているので飛び出すことはなく、ビニール袋(8)のみが右糞受け部側縁(2c)と左糞受け部側縁(2d)の当接された隙間を通り、糞(9)は反転されたビニール袋(8)の中に入っている。持ち手部(3)を開くことで糞受け部(2)も開き、糞(9)が入った裏表が反転されたビニール袋(8)を取り外すことができる。このとき内部空間は完全に周囲を閉じている必要はなく、ビニール袋(8)を反転する際に糞(9)が飛びださない程度に右すくい部(6a)と左すくい部(6b)や右蓋部(7a)と左蓋部(7b)に糞(9)の一部が抑えられればよい。すなわち、内部空間よりも大きい糞でも同様に使用することができる。
【0022】
本発明の糞処理具の第2の実施例を図6及び図7を参照して説明する。本実施例においては、図6に示すように、左糞受け部(2b)の左糞受け部側縁(2d)に湾曲された左すくい部(6b)が設けられ、左糞受け部(2b)の先端側に左蓋部(7b)が設けられている。右糞受け部(2a)には湾曲部分または屈曲部分、さらにはすくい部が形成されていない。本実施例にあっては、図7に示すように、二つ折りにしたときには左糞受け部側縁(2d)と右糞受け部側縁(2c)は当接または近接し、糞受け部(2)先端側も左蓋部(7b)にて塞がれる。本実施例にあっては、左糞受け部(2b)のみに蓋部とすくい部を設けているが、逆に、右糞受け部(2a)のみに蓋部とすくい部を設けてもよい。
【0023】
図8は、本発明の犬の糞処理具の第3の実施例を図示している。第3の実施例は第1の実施例の変形例であって、第1の実施例の糞受け部(2)に紙留め部(10)として舌片状の切り込みを形成したものである。ビニール袋(9)にトイレットペーパーを巻き付けて、市販のペット用糞処理袋の代用に使うときなど、トイレットぺーパーの巻き終わり部分をこの紙留め部(10)に挟みこみ、トイレットペーパーが本体(1)から外れないようにしてこの糞処理具を使うことができる。この紙留め部(10)は、本発明のどのような実施例にも適用することができる。
【0024】
さらに、本発明の糞処理具にあっては、右糞受け部側縁(2c)と左糞受け部側縁(2d)とが互いに当接または近接することが好ましいが、左右の側縁のうち、一方の側縁が他方の側縁にぴたりと当接または近接する必要はなく、一方の側縁が他方の側縁の近傍の糞受け部内側面に当接または近接することでもよい。
【0025】
本発明品を使用することにより、犬が排泄する前に糞を受け取ることによって草やアスファルトを汚さずに済む。ゆるい糞だと、草やアスファルトに入り込んでしまい、きれいに取り除くことが難しい。
【0026】
糞受け部(2)に糞(8)を挟んだまま、それほど臭いを拡散せずに持ち歩くことも可能あり、開閉が簡単なので2回目や多頭での排泄の時にも対応することができる。またセッティングは袋をかぶせるだけなので、素早くセッティングして使うことができる。
【符号の説明】
【0027】
1 本体
2 糞受け部
2a 右糞受け部
2b 左糞受け部
2c 右糞受け部側縁
2d 左糞受け部側縁
3 持ち手部
3a 右持ち手部
3b 左持ち手部
4 折り目
5 折り目先端部
6a 右すくい部
6b 左すくい部
7 蓋部
7a 右蓋部
7b 左蓋部
8 ビニール袋
9 糞
10 紙留め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8