(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】コンピュータシステムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/10 20060101AFI20230925BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
G05D1/10
B64C13/18 Z
(21)【出願番号】P 2019221786
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】秋元 大地
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 政宏
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-165930(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179404(WO,A1)
【文献】特開2017-210156(JP,A)
【文献】特開2018-180359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記少なくとも一つのプロセッサが、空中領域を示す空中要素と該空中領域の周辺環境との関連付けを示す空地図データと、該空中要素に位置する飛行体の影響範囲とに基づいて、該飛行体の飛行に関連する制御を実行
し、
前記影響範囲が3次元形状で表され、
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記影響範囲と、地上の前記周辺環境および空中の前記周辺環境の双方とに基づいて、前記制御を実行する、
コンピュータシステム。
【請求項2】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記影響範囲および前記周辺環境の位置関係に基づいて前記制御を実行する、
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記影響範囲が前記周辺環境に基づく注目領域と重なるか否かに基づいて前記制御を実行する、
請求項2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記空中要素の位置、風向、風速、前記飛行体の飛行速度、および前記飛行体の重量のうちの少なくとも一つに基づいて前記飛行体の影響範囲を算出する、
請求項1~
3のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
空中領域を示す空中要素と該空中領域の周辺環境との関連付けを示す空地図データと、該空中要素に位置する飛行体の影響範囲とに基づいて、該飛行体の飛行に関連する制御を実行するステップをコンピュータに実行させるプログラム
であって、
前記影響範囲が3次元形状で表され、
前記飛行に関連する制御を実行するステップでは、前記影響範囲と、地上の前記周辺環境および空中の前記周辺環境の双方とに基づいて、前記制御を実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面はコンピュータシステムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飛行体を制御するための技術が知られている。例えば、特許文献1には、飛行が制限されている飛行制限領域を検出し、該飛行制限領域から無人飛行機までの距離を算出し、無人飛行機の高度及び速度と算出した距離とに基づいて、無人飛行機が墜落した場合に飛行制限領域に着地するかどうかを判定する飛行制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一側面は、飛行を適切に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るコンピュータシステムは少なくとも一つのプロセッサを備える。
少なくとも一つのプロセッサは、空中領域を示す空中要素と該空中領域の周辺環境との関連付けを示す空地図データと、該空中要素に位置する飛行体の影響範囲とに基づいて、該飛行体の飛行に関連する制御を実行する。影響範囲は3次元形状で表される。少なくとも一つのプロセッサは、影響範囲と、地上の周辺環境および空中の周辺環境の双方とに基づいて、制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】空中要素と周辺環境との関連付けの一例を示す図である。
【
図2】周辺環境と飛行体の影響範囲との関係の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る経路管理システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】空地図データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】空地図データのデータ構造の別の例を示す図である。
【
図7】空地図データのデータ構造のさらに別の例を示す図である。
【
図8】空地図データのデータ構造のさらに別の例を示す図である。
【
図9】周辺環境を表現するデータ構造の一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る経路管理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0008】
[システムの概要]
実施形態に係る経路管理システム1は、飛行体の飛行に関連する制御を実行するコンピュータシステムである。飛行に関連する制御は限定されず、例えば、飛行体のための経路の制御でもよいし、飛行体と他の物体との衝突の判定でもよい。飛行体とは、空中を移動することが可能な人工物のことをいう。飛行体の種類は限定されず、例えば有人航空機でもよいし無人航空機(ドローン)でもよい。「飛行体のための経路」とは、飛行体が通る可能性がある経路、すなわち空ネットワークと、飛行体が実際に通る経路、すなわち飛行経路との少なくとも一方を含み得る。したがって、飛行体のための経路の制御は、空ネットワークに関する制御と飛行経路に関する制御との少なくとも一方を含み得る。以下では、飛行体のための経路を単に「経路」ともいう。経路の制御とは、経路を管理するための処理のことをいい、例えば、経路の生成、経路の設定、経路の探索、および経路の選択のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0009】
経路管理システム1は、空中領域を示す空中要素と該空中領域の周辺環境との関連付けに基づいて飛行に関連する制御を実行する。
【0010】
空中要素とは、空中領域の特定の部分を空中領域の他の部分と区別して示すための仮想的な要素のことをいう。空中要素の表現方法は限定されず、例えば、空中要素は3次元ブロックによって表されてもよいし、ノードおよびリンクによって表されてもよい。3次元ブロックとは、空中領域の特定の部分を空中領域の他の部分と区別して示すための仮想的な3次元領域のことをいう。3次元ブロックの形状は限定されず、例えば直方体または立方体でもよいし、他の任意の形状でもよい。3次元ブロックの寸法も限定されず、その寸法は統一されてもされなくてもよい。ノードとは飛行体が通過する地点のことをいう。飛行体の飛行は、その地点を通過するように制御され、具体的には、飛行体の移動方法(例えば方向、速度など)を変えるように制御が実行される。なお、飛行体の移動方法はノード以外の場所で変更される。リンクとは、飛行体の飛行経路を示すために設定される仮想的な線のことをいい、隣接するノード間を結ぶ。リンクの形状は直線でも曲線でもよく、あるいは、直線と曲線との組合せでもよい。
【0011】
周辺環境とは、空中要素の周辺を取り巻く要素または状況のことをいう。周辺環境は空中の要素または状況である空中環境と、地上またはその周辺を取り巻く要素または状況である地上環境とのうちの少なくとも一つを含む。周辺環境は有体物および無体物の少なくとも一方を含む。周辺環境(地上環境)は地物を含んでもよい。地物とは、地上に存在する任意の有体物または無体物である。地物は自然物でも人工物でもよい。例えば、地物は、山地、農地、住宅地、更地、河川、湖、海、観光地、道路、鉄道、建物、公園、塔、信号機、踏切、横断歩道、歩道橋、浮標などを含み得る。無体物である地物の例として、任意の目的で設定された区域(例えば、撮影禁止区域、一時的な進入禁止区域など)、イベントが開催される区域、集合場所、撮影スポットなどが挙げられる。当然ながら、地物の種類はこれらに限定されない。空中環境および地上環境は、電波、光、X線などの電磁波に関する状況を含んでもよいし、天気、温度、湿度、風向、風速、降水などの気象を含んでもよい。地上環境と同様に、空中環境も、任意の目的で設定された区域(例えば、撮影禁止区域、一時的な進入禁止区域など)、イベントが開催される区域などを含み得る。これらの様々な周辺環境はいずれも、飛行のコストを計算するために用いられる情報を示し得る。
【0012】
空中要素と周辺環境との関連付けとは、空中要素と周辺環境との対応関係のことをいう。空中要素と周辺環境とが互いに関連付けられることで、或る一つの空中要素に対応する周辺環境がどのようなものであるかを特定することと、或る特定の周辺環境がどの空中要素に対応するかを特定することとが可能になる。
【0013】
図1は空中要素の一例である3次元ブロックと、周辺環境の一例である地上環境との関連付けの一例を示す図である。この例では、16個(=2×4×2)の3次元ブロックを示すと共に、河川201および道路202を含む地上に設定された24個(=4×6)の地上セルを示す。河川201および道路202は地物の例であり、したがって、周辺環境および地上環境の例である。地上セルとは、地上の特定の部分を地上の他の領域と区別して示すための仮想的な2次元領域のことをいう。地上セルの形状は限定されず、例えば長方形または正方形でもよいし、他の任意の形状でもよい。地上セルの寸法も限定されず、その寸法は統一されてもされなくてもよい。この例は、できるだけ河川201の上を通るように設定された幾つかの経路を示す。経路301は、それぞれが河川201を含む4個のセル211,212,213,214に対応する4個のブロック401,402,403,404をこの順に通る。経路302は、それぞれが河川201を含む2個のセル211,215に対応するブロック401,405をこの順に通る。途中で高度が変わる経路303は、それぞれが河川201を含む4個のセル211,212,213,214に対応する5個のブロック401,402,403,406,407をこの順に通る。
【0014】
経路の設定方法は限定されない。経路管理システム1は河川以外の特定の1種類以上の地物に沿って経路を設定してもよいし、特定の1種類以上の地物の上を通らないように経路を設定してもよい。経路管理システム1が経路をどのように制御するかは、飛行の目的、飛行体の性能などのような飛行に関する様々な要因と、地物の配置、電波の状況、天候などの周辺環境とによって変わり得る。経路管理システム1は、空中領域を示す空中要素と周辺環境との関連付けに基づいて飛行に関連する制御を実行する。したがって、周辺環境を考慮して飛行を適切に管理することができる。
【0015】
より具体的には、経路管理システム1は空中要素と周辺環境との関連付けを参照する。加えて、経路管理システム1はその空中要素に位置する飛行体の影響範囲を算出する。周辺環境は地上に存在してもよいし空中に存在してもよい。飛行体の影響範囲とは、空中要素に位置する飛行体が不慮の事態(地上への落下等)によって進入する可能性がある地理的範囲のことをいう。影響範囲の位置または大きさは、飛行体の重量、速度、および高度のうちの少なくとも一つによって変わり得るし、風などの気象によっても変わり得る。経路管理システム1は、影響範囲および周辺環境に基づいて、飛行体の飛行に関連する制御を実行する。
【0016】
一例では、経路管理システム1は、影響範囲および周辺環境の位置関係に基づいて、飛行体の飛行に関連する制御を実行する。影響範囲および周辺環境の位置関係は、双方の間の距離を用いて表されてもよいし、影響範囲と周辺環境に基づく注目領域とが重なるか否かによって表されてもよい。注目領域とは、飛行体の影響範囲と比較される地理的範囲のことをいう。
図2は、周辺環境と飛行体の影響範囲との位置関係の一例を示す図である。この例では、河川501の両側が注目領域502であるとする。経路管理システム1はその河川501に沿って経路を設定する。経路の候補として、ノード601,602,603をこの順に通る経路611と、ノード604,605,606,607をこの順に通る経路612とを考える。経路611では、飛行体の影響範囲621が注目領域502と重複しない。一方、経路612では、ノード604からノード606までの範囲において飛行体の影響範囲622が注目領域502と重複する箇所が存在する。したがって、経路管理システム1は、飛行体が経路612ではなく経路611を通るように、飛行に関連する制御を実行する。
【0017】
[システムの構成]
図3は、経路管理システム1の機能構成の一例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態では、経路管理システム1はサーバ10およびデータベース20を備える。サーバ10は飛行に関連する制御を実行するためのコンピュータである。データベース20はその制御のために用いられる空地図データ21を記憶する装置である。空地図データとは、空中領域を示す空中要素と周辺環境との関連付けを示す電子データのことをいう。サーバ10およびデータベース20は有線または無線の通信ネットワークを介してデータを送受信することができる。例えば、サーバ10は通信ネットワークを介して、データベース20から空地図データ21を読み出すことができる。
【0018】
サーバ10は機能モジュールとして要求取得部11、探索部12、および出力部13を備える。要求取得部11は飛行に関連する制御の要求を取得する機能モジュールである。探索部12は、その要求に応答して、空地図データ21に基づいて飛行に関連する制御を実行する機能モジュールである。出力部13は、その制御に関するデータを経路データとして出力する機能モジュールである。
【0019】
経路データとは、飛行に関連する制御を実行するための電子データのことをいう。一例では、経路データは飛行体のための経路を少なくとも示す電子データである。経路データは、飛行体を制御するための情報、および飛行体の制御を支援するための情報のうちの少なくとも一つをさらに含んでもよい。「飛行体の制御」は、飛行体の移動の制御と、飛行体に搭載された機器(例えばカメラ)の制御との少なくとも一方を含んでもよい。飛行体の制御の具体的な手法は限定されない。例えば、経路管理システム1は飛行体の進行方向または速度を変更してもよいし、飛行体を離着陸させてもよいし、飛行体を空中で停止させてもよいし、飛行体の飛行経路を決定してもよいし、決定された飛行経路を飛行体の移動中に変更してもよい。
【0020】
図4は、サーバ10のハードウェア構成の一例を示す。例えば、サーバ10は制御回路100を有する。一例では、制御回路100は、一つまたは複数のプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信ポート104と、入出力ポート105とを有する。プロセッサ101はオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。ストレージ103はハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、または取り出し可能な媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスクなど)の記憶媒体で構成され、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、ストレージ103からロードされたプログラム、またはプロセッサ101による演算結果を一時的に記憶する。一例では、プロセッサ101は、メモリ102と協働してプログラムを実行することで、上記の各機能モジュールとして機能する。通信ポート104は、プロセッサ101からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して他の装置との間でデータ通信を行う。入出力ポート105は、プロセッサ101からの指令に従って、キーボード、マウス、モニタなどの入出力装置(ユーザインタフェース)との間で電気信号の入出力を実行する。
【0021】
サーバ10は一つまたは複数のコンピュータにより構成され得る。複数のコンピュータが用いられる場合には、通信ネットワークを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで論理的に一つのサーバ10が構成される。
【0022】
サーバ10として機能するコンピュータは限定されない。例えば、サーバ10は業務用サーバなどの大型のコンピュータで構成されてもよいし、パーソナルコンピュータ、携帯端末(例えばスマートフォン、タブレット端末など)などの小型のコンピュータで構成されてもよい。
【0023】
[空地図データのデータ構造]
サーバ10により参照される空地図データ21は、空中領域を示す空中要素と周辺環境との関連付けを示す。空中要素と周辺環境とが互いに関連付ける限り、空地図データ21の具体的なデータ構造は限定されず、そのデータ構造は任意の手法で実装されてよい。例えば、空地図データ21は、空中要素が直接に周辺環境と関連付けられるように定義されてもよい。あるいは、空地図データ21は、空中要素が他の1以上のデータ構成要素(例えば、車両のナビゲーションに利用する道路ネットワークデータ)を介して間接的に周辺環境と関連付けられるように定義されてもよい。一部の空中要素が周辺環境と関連付けられなくてもよい。また、或る特定の周辺環境が空中要素と関連付けられなくてもよい。
【0024】
図5は空地図データ21のデータ構造の一例を示す図である。この例での空地図データ21は、空中要素の一例である一つの3次元ブロックに関し、ブロックID、中心座標、サイズ、および周辺環境を含む。
【0025】
ブロックID、中心座標、およびサイズは、3次元ブロックに関する情報の一例である。ブロックIDは3次元ブロックを一意に特定する識別子である。中心座標は3次元ブロックの中心の座標である。サイズは3次元ブロックの寸法を示す。
【0026】
周辺環境は、特定の地物などのような環境の種別と、その種別で示される対象物と3次元ブロックとの間の距離との組合せで表される。その距離を定義するための3次元ブロック側の端点は3次元ブロックの外縁に設定されてもよいし、3次元ブロックの内側(例えば中心)に設定されてもよい。距離を定義するための地物側の端点は地物の外縁に設定されてもよいし、地物の内側(例えば中心)に設定されてもよい。その距離は対象物への最短距離を得るために用いられる情報である。距離は任意の手法で定義されてよい。例えば、距離は鉛直方向に沿った長さで、または水平方向に沿った長さで、あるいはこれら二つの長さの組合せによって表現されてもよい。
図5の例では、周辺環境の一つとして、飛行体が飛行できる地理的範囲を意味する飛行可能領域が定義されている。種別[0]の飛行可能領域は、後述するように要求取得部11が飛行に関連する制御の要求を取得して設定される領域ではなく、空地図データ21を整備する事業者が予め設定した領域である。例えば、原子力発電所以外の領域が種別[0]の飛行可能領域として設定される。種別[1]の河川、および種別[2]の道路は、後述するように、要求取得部11が飛行に関連する制御の要求を取得して選択的に設定されるものである。なお、飛行可能領域は空地図データ21の必須の要素ではないので、省略可能である。上述したように地物は限定されないので、河川および道路以外の地物(例えば建物)が周辺環境の一要素として定義されてもよい。地物も空地図データ21の必須の要素ではないので、省略可能である。
【0027】
図6は空地図データ21のデータ構造の別の例を示す図である。この例では、空地図データ21は3次元ブロック情報221、地上セル情報222、および地物情報223を含んで構成される。
【0028】
3次元ブロック情報221は3次元ブロックに関する情報の一例である。一例では、一つの3次元ブロックに関する3次元ブロック情報221はブロックID、中心座標、サイズ、および関連セルIDを含む。関連セルIDは、3次元ブロックに関連付けられる地上セルのセルIDである。
【0029】
地上セル情報222は周辺環境に関する情報の一例であり、より具体的には、地上セルに関する情報である。一例では、一つの地上セルに関する地上セル情報222はセルID、中心座標、サイズ、および関連地物IDを含む。セルIDは地上セルを一意に特定する識別子である。中心座標は地上セルの中心の座標である。サイズは地上セルの寸法を示す。関連地物IDは、地上セルに関連付けられる地物の地物IDである。
【0030】
地物情報223は周辺環境に関する情報の一例であり、より具体的には、地物に関する情報である。一例では、一つの地物に関する地物情報223は地物ID、種別、及び領域情報を含む。地物IDは地物を一意に特定する識別子である。種別は地物の種類を示す。領域情報は地物の地理的範囲を示し、例えば、1以上の座標を用いて表現されてもよい。
【0031】
3次元ブロック情報221が関連セルIDを含み、地上セル情報222が関連地物IDを含むことで、3次元ブロックと周辺環境(より具体的には、地上環境)との関連付けが実現される。経路管理システム1は、3次元ブロック情報を参照することで関連セルIDを特定する。続いて、経路管理システム1はその関連セルIDで識別される地上セル情報222を参照することで関連地物IDを特定する。そして、経路管理システム1はその関連地物IDで識別される地物情報223を参照することで地物を特定する。この一連の処理により、経路管理システム1は、3次元ブロックに対応する周辺環境(より具体的には、地物)を特定することができる。
図6の例では、経路管理システム1は3次元ブロック「v0」に対応する地上セル「c0」および地物「obj001」を特定することができる。
【0032】
図7は空地図データ21のデータ構造のさらに別の例を示す図である。この例では、空地図データ21は3次元ブロック情報231および地物情報232を含んで構成される。
【0033】
3次元ブロック情報231は3次元ブロックに関する情報の一例である。一例では、一つの3次元ブロックに関する3次元ブロック情報231はブロックID、中心座標、サイズ、および関連地物IDを含む。関連地物IDは、3次元ブロックに関連付けられる地物の地物IDである。
【0034】
地物情報232は周辺環境に関する情報の一例であり、より具体的には、地物に関する情報である。一例では、一つの地物に関する地物情報232は地物ID、種別、及び領域情報を含む。したがって、地物情報232の構成は上記の地物情報223と同じである。
【0035】
3次元ブロック情報231が関連地物IDを含むことで、3次元ブロックと周辺環境(より具体的には、地上環境)との関連付けが実現される。経路管理システム1は、3次元ブロック情報を参照することで関連地物IDを特定する。そして、経路管理システム1はその関連地物IDで識別される地物情報232を参照することで地物を特定する。この一連の処理により、経路管理システム1は、3次元ブロックに対応する周辺環境(より具体的には、地物)を特定することができる。
図7の例では、経路管理システム1は3次元ブロック「v0」に対応する地物「obj001」および地物「obj002」を特定することができる。
【0036】
図8は空地図データ21のデータ構造のさらに別の例を示す図である。この例では、空地図データ21は3次元ブロック情報241および地物情報242を含んで構成される。
【0037】
3次元ブロック情報241は3次元ブロックに関する情報の一例である。一例では、一つの3次元ブロックに関する3次元ブロック情報241はブロックID、中心座標、サイズ、および対応範囲を含む。対応範囲とは、3次元ブロックに対応する地表面の地理的範囲のことをいう。例えば、この対応範囲は、鉛直方向に沿って3次元ブロックを地表面に投影したと仮定した場合の地表上の投影面の中心を基準に規定されてよい。
図8の例では、その中心の座標は(Xv0,Yv0)であり、対応範囲は、その中心から東西南北にそれぞれ30mまでの区画である。対応範囲の表現方法はこの例に限定されず、例えば、対応範囲は投影面の中心と半径とによって規定される円で表現されてもよい。
【0038】
地物情報242は周辺環境に関する情報の一例であり、より具体的には、地物に関する情報である。一例では、一つの地物に関する地物情報242は地物ID、種別、及び領域情報を含む。したがって、地物情報242の構成も上記の地物情報223と同じである。
【0039】
3次元ブロック情報241が対応範囲を含むことで、その対応範囲によって示される地理的範囲と、地物情報の領域情報により示される地理的範囲との重なりの有無を特定することができる。双方の地理的範囲が重なるということは、3次元ブロックと地物とが互いに関連付けられるということを意味する。経路管理システム1は、3次元ブロック情報を参照することで、対応範囲を特定する。そして、経路管理システム1はその対応範囲と、地物情報の領域情報で示される地理的範囲とを比較することで、地理的範囲がその対応範囲と重なる地物(周辺環境)を特定する。この一連の処理により、経路管理システム1は、3次元ブロックに対応する地物(周辺環境)を特定することができる。
【0040】
図9は、周辺環境を表現するデータ構造の一例を示す図である。この例では、周辺環境は地物情報251および交通情報252によって表現される。
【0041】
地物情報251は周辺環境に関する情報の一例であり、より具体的には、地物に関する情報である。一例では、一つの地物に関する地物情報251は地物ID、種別、及び領域情報を含む。したがって、地物情報251の構成も上記の地物情報23と同じである。
【0042】
交通情報252も周辺環境に関する情報の一例であり、地物に関する情報の一例でもある。一例では、交通情報252は交通情報ID、地物ID、および交通量を含む。交通情報IDは、個々の交通情報を一意に特定するための識別子である。この例では、交通量は所与の時間帯毎に設定されている。交通量は統計値でもよいしリアルタイムの値でもよい。地物情報251および交通情報252は地物IDによって互いに関連付けられる。
【0043】
図9の例のように、周辺環境を示す情報は2種類以上の情報によって表現されてもよい。いずれにせよ、周辺環境を示す情報は、3次元ブロックなどの空中要素を示す情報と関連付けられる。
【0044】
空地図データ21を構成する情報は静的に設定されてもよいし、動的に設定されてもよい。「静的に設定される」とは、情報が予め設定され、人手の介入がない限りはその設定が変更されないことをいう。一方、「動的に設定される」とは、情報が任意の事象に応じて人手の介入無しに変更され得ることをいう。動的な設定は、情報を制御するプログラムが所定のコンピュータ上で実行されることで実現される。動的な設定は経路管理システム1により実行されてもよいし、別のコンピュータシステムにより実行されてもよい。例えば、交通情報、電磁波に関する情報、および気象情報は動的に設定されてもよい。上述した3次元ブロック情報241の対応範囲は風向または風速に基づいて動的に設定されてもよい。
【0045】
図5~
図9では空中要素の例として3次元ブロックを示すが、上述したように空中要素の表現方法は限定されない。例えば、空地図データ21は、ノードと周辺環境との関連付けを示してもよいし、リンクと周辺環境との関連付けを示してもよい。ノードに関する情報は、例えば、ノードを一意に特定する識別子であるノードIDと、ノードの地理的位置を示す座標とを含んで構成されてよい。リンクに関する情報は、例えば、リンクを一意に特定する識別子であるリンクIDと、リンクの両端を構成する2ノードのノードIDとを含んで構成されてよい。
【0046】
[システムでの処理手順]
図10を参照しながら、経路管理システム1の動作を説明するとともに本実施形態に係る経路管理方法を説明する。
図10は、経路管理システム1の動作の一例を処理フローS1として示すフローチャートである。
【0047】
ステップS11では、要求取得部11が飛行に関連する制御の要求を取得する。要求の種類は限定されず、例えば、要求取得部11は飛行体の飛行経路を探索するための要求を取得してもよいし、空ネットワークを作成するための要求を取得してもよい。要求の取得方法も限定されず、例えば、要求取得部11はユーザにより入力された要求を受け付けてもよいし、他のコンピュータから要求を受信してもよいし、経路管理システム1の他の機能モジュールから入力された要求を取得してもよい。要求は任意のデータ項目を含んでよく、例えば、出発地および目的地の情報と、飛行体に関する情報と、飛行経路に関する条件(飛行条件)と、ユーザが飛行させたい領域を要求する飛行要求領域としての河川(
図5における種別[1]の河川)の情報とのうちの少なくとも一つを含んでよい。飛行体を道路上の空間で飛行させたい場合には、飛行要求領域は、河川ではなく道路(
図5における種別[2]の道路)の情報を示してもよい。要求は、ユーザが飛行させたくない領域として、例えば河川(
図5における種別[1]の河川)の情報を示してもよい。この場合には、要求されなかった領域である道路(
図5における種別[2]の道路)が飛行要求領域として処理される。
【0048】
ステップS12では、探索部12が、探索する一つの空中要素を選択する。探索部12は任意の手法によって空中要素を選択してよく、例えば、経路探索方法に応じた手法によって空中要素を選択してもよい。一例として、経路探索方法としてダイクストラ法が採用された場合には、探索部12は、現在の空中要素から隣の空中要素に探索枝を伸ばすことで、該隣の空中要素を選択してもよい。
【0049】
ステップS13では、探索部12が、選択された空中要素に位置する飛行体の影響範囲を算出する。「空中要素に位置する飛行体の影響範囲」とは、空中要素に飛行体が位置すると仮定した場合の影響範囲を意味してもよいし、空中要素に対応する地理的範囲に飛行体が実際に位置している場合の影響範囲を意味してもよい。影響範囲の計算方法は限定されない。例えば、探索部12は空中要素の位置、風向、風速、飛行体の飛行速度、および飛行体の重量のうちの少なくとも一つを所定のアルゴリズムに適用することで飛行体の影響範囲を算出してもよい。算出される影響範囲は2次元形状で表されてもよいし3次元形状で表されてもよい。
図11は飛行体の影響範囲の例を示す図である。この図に示す例(a),(b)はいずれも、空中要素の一例である3次元ブロック701に位置する飛行体の影響範囲の一例を示す。例(a)に示す影響範囲711は地上Gの一部を覆う2次元形状で表されるのに対して、例(b)に示す影響範囲712は3次元ブロック701と地上Gとの間に形成される3次元形状で表される。
【0050】
ステップS14では、探索部12が、算出された影響範囲と、選択された空中要素に対応する周辺環境とに基づいて、飛行体の飛行に関連する制御を実行する。探索部12はデータベース20にアクセスして、選択された空中要素の識別子に対応する情報を取得し、その取得した情報に基づいて、該空中要素に関連付けられた周辺環境に関する情報を取得する。選択された空中要素から、対応する周辺環境の情報を取得する具体的な手順は、
図5~
図9を参照しながら上述したように、空地図データ21のデータ構造によって変わり得る。3次元形状の影響範囲(例えば、上記の影響範囲712)を算出した場合には、探索部12はその影響範囲と、地上の周辺環境および空中の周辺環境の双方とに基づいて、飛行に関連する制御を実行してもよい。
【0051】
一例では、探索部12は、算出された影響範囲と周辺環境との位置関係に基づいて、飛行体の飛行に関連する制御を実行してもよい。より具体的な例として、探索部12は影響範囲が注目領域と重なるか否かに基づいて、飛行に関連する制御を実行してもよい。注目領域を設定する手法は限定されない。探索部12は周辺環境の一例である飛行可能領域(空地図データ21の要素の一つとして飛行可能領域が存在する場合)に基づいて注目領域を設定してもよいし、上記のステップS11で取得された要求(飛行要求領域)にさらに基づいて注目領域を設定してもよい。例えば、特定された周辺環境が飛行可能領域を示す場合には、探索部12はその飛行可能領域以外の地理的範囲を注目領域として設定してもよい。あるいは、探索部12は飛行可能領域以外の地理的範囲と飛行要求領域以外の地理的範囲とを注目領域として設定してもよい。飛行可能領域が存在しない場合には、探索部12は飛行要求領域以外の地理的範囲を注目領域として設定してもよい。
【0052】
影響範囲が注目領域と重ならない場合には、探索部12は選択された空中要素を飛行体が通過できると判定する。探索部12はこの判定に基づいて、選択された空中要素を経路(空ネットワークまたは飛行経路)の一部として設定してもよい。探索部12はさらに、選択された空中要素でのコストを計算してもよい。コストとは、経路が条件をどの程度満たすかを示す指数であり、「飛行のコスト」ともいうこともできる。例えば、コストは、飛行体が経路を飛行する際に掛かる負荷の大きさ(すなわち、飛行に掛かる負荷の大きさ)を示し、この場合には、コストが低い経路ほど、より飛行に適するということができる。「空中要素でのコスト」とは、飛行体が空中要素を移動する際に掛かるコストのことをいう。コストの計算方法は限定されない。一例では、探索部12は、空中要素と周辺環境または注目領域との間の距離に基づいてコストを設定してもよく、例えば、その距離が短いほどコストを高くしてもよい。空中要素と周辺環境または注目領域との間の距離を考慮することで、飛行体が空中要素を通過する際の安全の度合いをコストとして表現することができる。あるいは、探索部12はその距離に加えて、飛行体の進行方向、速度、および高度のうちの少なくとも一つにさらに基づいてコストを算出してもよい。
【0053】
影響範囲が注目領域と重なる場合には、探索部12は選択された空中要素を飛行体が通過できないと判定する。探索部12はこの判定に基づいて、選択された空中要素を経路(空ネットワークまたは飛行経路)の一部として設定しない。探索部12はその空中要素を飛行禁止領域として設定してもよい。探索部12は、影響範囲が注目領域と重ならない場合にはその空中要素でのコストを低く設定し、影響範囲が注目領域と重なる場合にはその空中要素でのコストを高く設定してもよい。それにより、通常は、探索部12は、影響範囲が注目領域と重ならない地点の空中要素を飛行体が通過するような経路を探索するが、所定の状況(例えば、その空中要素に何らかの障害物が発生した場合)では、影響範囲が注目領域と重なる空中要素を通過するような経路を探索できる。すなわち、探索部12は、影響範囲が周辺環境に基づく注目領域と重ならない場合には、影響範囲が注目領域と重なる場合よりも高い確率で、空中要素を飛行体の経路の一部として設定するようになる。
【0054】
探索部12は、算出された影響範囲と、取得された周辺環境との間の距離に基づいて、飛行体の飛行に関連する制御を実行してもよい。例えば、探索部12は、その距離が所与の閾値以上である場合には、選択された空中要素を飛行体が通過できると判定して、その空中要素を経路の一部として設定してもよい。一方、その距離が該閾値未満である場合には、探索部12は選択された空中要素を飛行体が通過できないと判定して、その空中要素を経路の一部として設定しない。探索部12は、その距離が所与の閾値以上である場合にはその空中要素でのコストを低く設定し、その距離が該閾値未満である場合にはそのコストを高く設定してもよい。それにより、探索部12は通常は、その距離が所与の閾値以上である地点の空中要素を飛行体が通過するような経路を探索するが、所定の状況(例えば、その空中要素に何らかの障害物が発生した場合)では、その距離が所与の閾値未満である地点の空中要素を通過するような経路を探索できる。すなわち、探索部12は、その距離が所与の閾値以上である場合には、その距離が所与の閾値未満であるよりも高い確率で、空中要素を飛行体の経路の一部として設定するようになる。
【0055】
ステップS15では、探索部12が、処理すべき空中要素をすべて処理したか否かを判定する。未処理の空中要素が存在する場合には(ステップS15においてNO)、処理はステップS12に戻る。ステップS12では探索部12が、次に処理する一つの空中要素を選択し、その空中要素についてステップS13,S14の処理を実行する。処理すべき空中要素をすべて処理した場合には(ステップS15においてYES)、処理はステップS16に進む。
【0056】
ステップS16では、出力部13が経路データを出力する。出力部13は各空中要素のコストに基づいて経路を決定し、その経路を示す経路データを生成し、その経路データを出力してもよい。あるいは、出力部13は空ネットワーク(すなわち、飛行体が通る可能性がある経路の集合。ユーザはその空ネットワークの中から所望の経路を選択できる)を示す経路データを出力してもよい。あるいは、出力部13は、飛行体が現在位置する空中要素が飛行禁止領域に対応すると判定されたことに応答して、飛行体を飛行可能領域および飛行要求領域の少なくとも一方に誘導するかまたはユーザにアラートを通知するための経路データを生成および出力してもよい。経路データの具体的な内容およびデータ構造は何ら限定されず、任意の方針で設計されてよい。例えば、経路データは、個々の空中要素でのコスト(例えば、安全の度合い)を示す情報を含んでもよく、この場合には、個々の空中要素のコストをヒートマップなどの形式で可視化することができる。
【0057】
経路データの出力先は限定されない。例えば、出力部13は経路データを、モニタ上に表示してもよいし、所定のメモリに格納してもよいし、飛行体に直接に送信してもよいし、飛行体以外の任意のコンピュータに送信してもよい。飛行体が経路データを受信した場合には、飛行体の制御回路は、その経路データを処理することで飛行体の動力、舵、または搭載機器を制御してもよい。あるいは、飛行体以外のコンピュータ(例えばリモートコントローラ)が経路データに基づく信号を飛行体に送信し、飛行体の制御回路がその信号に基づいて飛行体の動力、舵、または搭載機器を制御してもよい。
【0058】
周辺状況の情報は、
図5に示す空地図データ21のように予め記憶されてもよいし、処理フローS1の任意の段階で、
図6~
図9のいずれかに示す空地図データ21の3次元ブロック情報および地物情報から算出されてもよい。例えば、
図5に示す種別[0](飛行可能領域)、距離[0](10(m))、種別[1](河川)、距離[1](15(m))などの情報が処理フローS1の任意の段階で算出されてもよい。
【0059】
[プログラム]
コンピュータをサーバ10として機能させるためのプログラムは、該コンピュータを要求取得部11、探索部12、および出力部13として機能させるためのプログラムコードを含む。このプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、プログラムは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。提供されたプログラムはストレージ103に記憶され、プロセッサ101がメモリ102と協働してそのプログラムを実行することで上記の各機能モジュールが実現する。
【0060】
[効果]
以上説明したように、本開示の一側面に係るコンピュータシステムは少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、空中領域を示す空中要素と該空中領域の周辺環境との関連付けを示す空地図データと、該空中要素に位置する飛行体の影響範囲とに基づいて、該飛行体の飛行に関連する制御を実行する。
【0061】
本開示の一側面に係るプログラムは、空中領域を示す空中要素と該空中領域の周辺環境との関連付けを示す空地図データと、該空中要素に位置する飛行体の影響範囲とに基づいて、該飛行体の飛行に関連する制御を実行するステップをコンピュータに実行させる。
【0062】
このような側面においては、空中要素の周辺環境と、その空中要素に位置する飛行体の影響範囲との双方が考慮されるので、飛行を適切に管理することができる。例えば、飛行体のための経路を適切に管理することが可能になる。
【0063】
他の側面に係るコンピュータシステムでは、少なくとも一つのプロセッサが、影響範囲および周辺環境の位置関係に基づいて制御を実行してもよい。このような位置関係を考慮することで、飛行をより適切に管理することができる。
【0064】
他の側面に係るコンピュータシステムでは、少なくとも一つのプロセッサが、影響範囲が周辺環境に基づく注目領域と重なるか否かに基づいて制御を実行してもよい。影響範囲と注目領域との重なりを考慮することで、飛行をより適切に管理することができる。
【0065】
他の側面に係るコンピュータシステムでは、影響範囲が3次元形状で表されてもよい。少なくとも一つのプロセッサは、影響範囲と、地上の周辺環境および空中の周辺環境の双方とに基づいて、制御を実行してもよい。この場合には、影響範囲と周辺環境との関係を3次元で捉えることができるので、飛行をより適切に管理することができる。
【0066】
他の側面に係るコンピュータシステムでは、少なくとも一つのプロセッサが、空中要素の位置、風向、風速、飛行体の飛行速度、および飛行体の重量のうちの少なくとも一つに基づいて飛行体の影響範囲を算出してもよい。この計算方法によって影響範囲を正確に算出することが可能になる。
【0067】
[変形例]
以上、本開示をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0068】
上記実施形態では、特定された周辺環境が飛行可能領域および飛行要求領域を示す場合には、探索部12はその飛行可能領域および飛行要求領域以外の地理的範囲を注目領域として設定し得る。しかし、探索部12は、その飛行可能領域および飛行要求領域の地理的範囲を注目領域として設定してもよい。この場合、探索部12は、影響範囲が注目領域と重なる場合には、選択された空中要素を飛行体が通過できると判定し、影響範囲が注目領域と重ならない場合には、探索部12は選択された空中要素を飛行体が通過できないと判定する。探索部12は、影響範囲が注目領域と重なる場合にはその空中要素でのコストを低く設定し、影響範囲が注目領域と重ならない場合にはその空中要素でのコストを高く設定してもよい。すなわち、探索部12は、影響範囲が周辺環境に基づく注目領域と重なる場合には、影響範囲が注目領域と重ならない場合よりも高い確率で、空中要素を飛行体の経路の一部として設定するようになる。
【0069】
経路を管理するためのシステム構成は限定されない。例えば、サーバ10がデータベース20を備えてもよい。飛行体がサーバ10の機能を備えてもよく、この場合には、飛行体は通信ネットワークを介してデータベース20にアクセスすることで制御データを読み出す。あるいは、飛行体がサーバ10およびデータベース20の双方の機能を備えてもよく、この場合には、飛行体はあたかもスタンドアロンマシンのように、他の情報処理装置に頼ることなく経路を設定して該経路を飛行することができる。
【0070】
本開示において、「少なくとも一つのプロセッサが、第1の処理を実行し、第2の処理を実行し、…第nの処理を実行する。」との表現、またはこれに対応する表現は、第1の処理から第nの処理までのn個の処理の実行主体(すなわちプロセッサ)が途中で変わる場合を含む概念を示す。すなわち、この表現は、n個の処理のすべてが同じプロセッサで実行される場合と、n個の処理においてプロセッサが任意の方針で変わる場合との双方を含む概念を示す。
【0071】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正又は削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0072】
コンピュータシステムまたはコンピュータ内で二つの数値の大小関係を比較する際には、「以上」および「よりも大きい」という二つの基準のどちらを用いてもよく、「以下」および「未満」という二つの基準のうちのどちらを用いてもよい。このような基準の選択は、二つの数値の大小関係を比較する処理についての技術的意義を変更するものではない。
【0073】
以上の実施形態の全部または一部に記載された態様は、飛行の適切な管理、飛行体の適切な制御、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上または適切な機能の提供その他の機能向上または適切な機能の提供、データおよび/またはプログラムの容量の削減、装置および/またはシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置および/またはシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置またはシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置および/またはシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0074】
1…経路管理システム、10…サーバ、11…要求取得部、12…探索部、13…出力部、20…データベース、21…空地図データ。