(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】立体駐車システムおよび駐車車両充電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230925BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230925BHJP
H02J 9/04 20060101ALI20230925BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20230925BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20230925BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20230925BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/02 J
H02J9/04
B60L53/53
B60L53/67
B60L53/14
(21)【出願番号】P 2019236084
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】丸山 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】西尾 新一
(72)【発明者】
【氏名】沖宗 亮介
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-020106(JP,A)
【文献】特開2013-042634(JP,A)
【文献】特開2009-247090(JP,A)
【文献】特開平05-207668(JP,A)
【文献】特開2011-188657(JP,A)
【文献】特開平07-115732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 11/00
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体的に配置された複数の格納室に車両を格納する立体駐車システムであって、
電気自動車を充電可能な蓄電池を備えた、車両を搭載可能な複数の搬器と、
前記複数の搬器をそれぞれ搬送し、各搬器を前記複数の格納室のいずれかに格納する搬送手段と、
前記複数の格納室のうちの所定の格納室に格納された搬器と電気的に接続される給電部と、
前記搬送手段および給電部のそれぞれの動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記搬送手段により前記複数の搬器を選択的に前記所定の格納室に移動させて、前記給電部に前記蓄電池への充電を行わせ、
常用電源からの電力が遮断されると、前記給電部に前記蓄電池からの放電を行わせ、該蓄電池を非常用電源として用いることを特徴とする立体駐車システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の搬器のうち、前記蓄電池による電気自動車への充電が行われ、その後、前記給電部による前記蓄電池への充電が未だ行われていない未充電搬器を、前記搬送手段により前記所定の格納室に移動させる、請求項1に記載の立体駐車システム。
【請求項3】
前記給電部は、前記蓄電池を放電させることにより得られた電力を前記搬送手段の駆動電力に変換する、請求項1に記載の立体駐車システム。
【請求項4】
前記蓄電池を放電させることにより得られる電力を外部に出力する電力出力部を、さらに有する、請求項1または
3に記載の立体駐車システム。
【請求項5】
前記搬器は、
前記給電部に接続される第1のコネクタと、
前記電気自動車に接続される第2のコネクタと、
双方向DC/DCコンバータと、を有し、
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとを接続した接点が前記双方向DC/DCコンバータを介して前記蓄電池に接続されている、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の立体駐車システム。
【請求項6】
前記搬器は、
前記第1のコネクタと前記接点との間に設けられたスイッチと、
前記第2のコネクタと前記電気自動車との接続の有無を検知し、接続されていれば、前記スイッチをオフにし、接続されていなければ、前記スイッチをオンにする検知部と、をさらに有する、請求項
5に記載の立体駐車システム。
【請求項7】
前記搬器は、
前記第2のコネクタと前記接点との間に設けられたスイッチと、
前記第1のコネクタと前記給電部との接続の有無を検知し、接続されていれば、前記スイッチをオフにし、接続されていなければ、前記スイッチをオンにする検知部と、をさらに有する、請求項
5に記載の立体駐車システム。
【請求項8】
前記搬器は、
前記第1のコネクタと前記接点との間に設けられたスイッチと、
前記第2のコネクタと前記電気自動車との接続の有無を検知する検知部と、
前記蓄電池の残量を検出する残量検出部と、をさらに有し、
前記検知部は、
前記第2のコネクタが前記電気自動車に接続されている場合は、前記スイッチをオフにし、
前記第2のコネクタが前記電気自動車に接続されていない状態で、前記残量検出部の検出値が閾値以下の場合に、前記スイッチをオンにし、前記残量検出部の検出値が前記閾値より大きい場合には、前記スイッチをオフにする、請求項
5に記載の立体駐車システム。
【請求項9】
立体的に配置された複数の格納室に車両を格納する立体駐車システムの駐車車両充電方法であって、
蓄電池を備えた搬器を用いて電気自動車を搬送して前記複数の格納室のいずれかに格納するとともに、前記蓄電池で前記電気自動車を充電し、
前記蓄電池による電気自動車への充電が行われ、その後、前記蓄電池への充電が未だ行われていない未充電搬器を、前記複数の格納室のうちの給電部への接続が可能な所定の格納室に移動させ、前記給電部に該未充電搬器の前記蓄電池を充電させ、
常用電源からの電力が遮断されると、前記給電部に前記蓄電池からの放電を行わせ、該蓄電池を非常用電源として用いることを特徴とする、駐車車両充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車システムおよび駐車車両充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駐車中の電気自動車に対して充電サービスを提供する立体駐車場用電気自動車充電システムが記載されている。このシステムは、充電設備を備えた複数のパレット(搬器)と、充電設備を備えていない複数のパレットと、駐車自動車に対する充電制御を行うローカルマネジメント装置と、を有する。充電設備は、充電装置又は電源コンセントである。利用者は、電気自動車を充電設備付きパレットに搭載し、駐車中に、充電設備を利用して電気自動車を充電することができる。全パレットに対する充電設付きのパレットの割合は適宜に決定できる。
【0003】
ローカルマネジメント装置は、自動車を入出庫させる際は、充電中の少なくとも1台の駐車自動車に対する充電を一時中断し、入出庫後に、中断した充電を再開させる。これにより、駐車場の契約電力内で充電サービスを提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムには、以下のような問題がある。
充電装置や電源コンセントの充電設備は、電力供給線を介してパレット外の電源に接続される。このような充電設備を移動可能な複数のパレットに設けることは、装置が大掛かりになり、コストも増大する。なお、低コスト化のために充電設備付きパレットの数を減らすと、充電設備を利用できる利用者数が制限され、利便性を損なう。
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解決し、駐車車両の充電が可能な、利便性に優れた立体駐車システムおよび駐車車両充電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の立体駐車システムは、立体的に配置された複数の格納室に車両を格納する立体駐車システムであって、電気自動車を充電可能な蓄電池を備えた、車両を搭載可能な複数の搬器と、前記複数の搬器をそれぞれ搬送し、各搬器を前記複数の格納室のいずれかに格納する搬送手段と、前記複数の格納室のうちの所定の格納室に格納された搬器と電気的に接続される給電部と、前記搬送手段および給電部のそれぞれの動作を制御する制御部と、を有する。前記制御部は、前記搬送手段により前記複数の搬器を選択的に前記所定の格納室に移動させて、前記給電部に前記蓄電池への充電を行わせる。
【0008】
本発明の駐車車両充電方法は、立体的に配置された複数の格納室に車両を格納する立体駐車システムの駐車車両充電方法であって、蓄電池を備えた搬器を用いて電気自動車を搬送して前記複数の格納室のいずれかに格納するとともに、前記蓄電池で前記電気自動車を充電することと、前記蓄電池による電気自動車への充電が行われ、その後、前記蓄電池への充電が未だ行われていない未充電搬器を、前記複数の格納室のうちの給電部への接続が可能な所定の格納室に移動させ、前記給電部に該未充電搬器の前記蓄電池を充電させることとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置が大掛かりになったり、コストが増大したりすることを防ぐことができ、駐車車両を充電する際の利便性が向上するという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態による立体駐車システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による立体駐車システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による立体駐車システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態による立体駐車システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態による立体駐車システムで使用する搬器の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第6の実施形態による立体駐車システムで使用する搬器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による立体駐車システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の立体駐車システムは、立体的に配置された複数の格納室30に車両を格納するように構成されている。本実施形態の立体駐車システムは、制御部10、給電部11、操作部12、搬送手段13、及び、車両を搭載可能な複数の搬器20を有する。車両は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)やガソリン車などである。各搬器20は、EV40を充電可能な蓄電池21を備える。蓄電池21は、例えば、全樹脂電池よりなる。全樹脂電池は、活物質の粉末を電解液に混ぜ込んだペーストが塗布された樹脂フィルムをセパレータとともに積層したものである。例えば、正極と負極で異なる樹脂材料が用いられたバイポーラ構造の全樹脂電池が提供されている。
【0012】
搬送手段13は、複数の搬器20をそれぞれ搬送し、各搬器20を複数の格納室30のいずれかに格納する。搬送手段13は、入出庫室31及び各格納室30の間の搬器20の移動が可能である。給電部11は、複数の格納室30のうちの所定の格納室30に格納された搬器20と電気的に接続される。給電部11は、少なくとも充電機能を備えており、所定の格納室30に格納された搬器20の蓄電池21を充電することができる。ここでは、所定の格納室30の数は1つであるが、これに限定されない。所定の格納室30の数は2以上であってもよい。
【0013】
入出庫室31にて、車両の入庫及び出庫が行われる。操作部12は、例えば、入出庫室31の近傍に設置されている。操作部12は、情報を入力するための操作キーや表示機能を備える。利用者は、操作部12を用いて搬器20の搬送/移動に必要な情報や、EV40や蓄電池21を充電するのに必要な情報などを入力することができる。操作部12は、入力操作に応じた操作信号(入力情報を含む)を制御部10に供給する。入力情報は、未充電搬器20を判別することができる情報を含む。未充電搬器20は、例えば、複数の搬器20のうち、蓄電池21によるEV40への充電が行われ、その後、給電部11による蓄電池21への充電が未だ行われていない搬器20である。
【0014】
制御部10は、操作信号に応じて、搬器20の搬送/移動動作や給電部11の充電動作などを制御する。制御部10は、搬送手段13により複数の搬器20を選択的に所定の格納室30に移動させて、給電部11に蓄電池21への充電を行わせる。例えば、制御部10は、複数の搬器20のうち、蓄電池21によるEV40への充電が行われ、その後、給電部11による蓄電池21への充電が未だ行われていない未充電搬器20を、搬送手段13により所定の格納室30に移動させる。制御部10は、操作部12を介して取得した情報に基づいて、複数の搬器20から未充電搬器20を判別することができる。
【0015】
本実施形態の立体駐車システムによれば、以下のような作用効果を奏する。
給電装置が予め定められた場所に設置される立体駐車システムでは、利用者が給電装置を用いてEVを充電している期間は、他の利用者はEVを充電することができない。これに対して、本実施形態の立体駐車システムでは、各搬器20はEV40を充電可能な蓄電池21を搭載しているので、利用者は、EV40を搬器20に搭載し、駐車中に蓄電池21を用いてEV40を充電することができる。このように、各利用者は、他の利用者による充電作業状況に関係なく、いつでも自身のEV40を充電することができるので、利便性が向上するという効果がある。
【0016】
特許文献1に記載のシステムでは、電力供給線を介して外部電源に接続される充電設備(充電装置や電源コンセント)を複数のパレットに設けるために、装置が大掛かりになり、コストが増大する。これに対して、本実施形態の立体駐車システムでは、外部電源に接続することなく、搬器20毎にEV40の充電を完了させることができる。この構成によれば、外部電源に接続される充電設備や電力供給線を搬器20に取り付ける必要がないので、装置が大掛かりになったり、コストが増大したりすることを防ぐことができる。
【0017】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態による立体駐車システムの構成を示すブロック図である。給電部11、搬器20及び記憶部14の部分以外は、第1の実施形態と同じである。ここでは、給電部11、搬器20及び記憶部14の部分の構成を詳細に説明し、それ以外の構成の説明は省略する。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の立体駐車システムでは、常用電源(商用電源)である交流電源50が給電部11及び搬送手段13に電力を供給する。交流電源50と給電部11とを接続する電力供給線は接点N2で分岐し、分岐した電力供給線が搬送手段13に接続されている。給電部11は、双方向AC/DCコンバータ11aとコネクタ11bを有する。双方向AC/DCコンバータ11aは、交流電源50からの電力をAC/DC変換する。双方向AC/DCコンバータ11aは、AC/DC変換した電力をコネクタ11bに出力する。コネクタ11bは、所定の格納室30に格納された搬器20と電気的に接続される。
【0019】
搬器20は、蓄電池21、双方向DC/DCコンバータ22及びコネクタ23、24を有する。搬器20が所定の格納室30に格納された状態で、コネクタ23は給電部11のコネクタ11bと電気的に接続される。コネクタ24は、EV40を充電するために使用されるものであって、例えば、充電ケーブルと一体的に形成されている。コネクタ23とコネクタ24は接点N1で互いに接続され、接点N1が双方向DC/DCコンバータ22を介して蓄電池21に接続されている。
搬器20が所定の格納室30に格納されると、搬器20のコネクタ23と給電部11のコネクタ11bとが電気的に接続される。双方向DC/DCコンバータ22は、コネクタ11b、23及び双方向DC/DCコンバータ22を介して電力を蓄電池21に供給する。これにより、蓄電池21が充電される。
【0020】
記憶部14は、管理テーブル14aを格納する。利用者は、操作部12を用いて利用情報を入力する。利用情報は、例えば、入出庫のための情報、搬器20を識別するための搬器識別情報、EV40の充電状況を管理するための充電情報、ユーザ識別情報などを含む。充電情報は、例えば、充電の開始時刻(入力時刻)やEV40のバッテリー容量などを含む。制御部10は、操作部16を介して入力操作を受け付け、利用者が入力した利用情報を管理テーブル14aに登録する。管理テーブル14aには、利用情報が搬器識別情報毎に格納される。
【0021】
本実施形態の立体駐車システムでは、利用者は、入出庫室31でEV40を搬器20に搭載し、コネクタ24をEV40に接続する。その後、利用者は、操作部12を用いて利用情報を入力する。
制御部10は、利用者が入力した利用情報を管理テーブル14aに登録する。そして、制御部10は、管理テーブル14aを参照して、搬送手段13によりEV40を搭載した搬器20を格納室30に格納させる。また、制御部10は、管理テーブル14aを参照して、複数の搬器20のうち、蓄電池21によるEV40への充電が行われ、その後、給電部11による蓄電池21への充電が未だ行われていない未充電搬器20を特定する。
【0022】
例えば、制御部10は、入出庫時刻と充電開始時刻とに基づいて、充電後に出庫したEV40を特定し、このEV40を搭載していた搬器20を未充電搬器20に決定してもよい。また、制御部10は、充電開始時刻(入力時刻)から所定時間が経過した搬器20を未充電搬器20に決定してもよい。ここで、所定時間は、蓄電池21を用いてEV40を充電するのに要する時間である。なお、EV40のバッテリー容量は車種によって異なる。このため、制御部10は、例えば、利用者が入力したEV40のバッテリー容量と給電部11の充電性能とに基づいて、EV40の満充電に要する時間を算出し、この算出した時間を所定時間として用いてもよい。
【0023】
本実施形態の立体駐車システムによれば、第1の実施形態で説明した効果に加えて、未充電搬器20を確実に特定することができるので、各搬器20の蓄電池21をより効率良く充電することができる。
【0024】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態による立体駐車システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の立体駐車システムは、非常用電源として蓄電池21を用いる点で第2の実施形態と異なり、それ以外は、第2の実施形態と同じである。ここでは、蓄電池21を非常用電源として用いる構成を詳細に説明し、それ以外の構成の説明は省略する。
本実施形態の立体駐車システムは、電力遮断検知部51を有する。電力遮断検知部51は、交流電源50からの電力供給の有無を検出し、検出結果を制御部10に供給する。制御部10は、電力遮断検知部51の検出結果に基づき、交流電源50が電力を供給している期間を判断することができる。
【0025】
給電部11は、充放電機能を備える。具体的には、
図3に示すように、給電部11は、双方向AC/DCコンバータ11aと複数のコネクタ11bを有する。コネクタ11bの数は、立体駐車システムを動作させるに必要な電力に基づいて設定することが望ましい。立体駐車システムを動作させることができるのであれば、コネクタ11bの数は1つであってもよい。コネクタ11bは、所定の格納室30毎に設けられ、所定の格納室30に格納された搬器20と電気的に接続される。
【0026】
給電部11が蓄電池21を充電する。この充電動作において、双方向AC/DCコンバータ11aが、交流電源50から供給された電力(交流)をAC/DC変換する。AC/DC変換した電力(直流)が、コネクタ11b、コネクタ23及び双方向DC/DCコンバータ22を介して蓄電池21に供給される。
また、給電部11は蓄電池21を放電させる。この放電動作において、蓄電池21を放電させることで得られた電力(直流)が、双方向DC/DCコンバータ22、コネクタ23及びコネクタ11bを介して双方向AC/DCコンバータ11aに供給される。双方向AC/DCコンバータ11aは、コネクタ11bを介して供給された電力(直流)をAC/DC変換する。双方向AC/DCコンバータ11aは、交流電源50が接続された電力供給線にAC/DC変換した電力(交流)を出力する。
【0027】
交流電源50が電力を供給している期間は、制御部10は、給電部11に充電動作を行わせる。停電等のために交流電源50からの電力が遮断されると、制御部10は、給電部11に蓄電池21の放電を行わせ、蓄電池21を非常用電源として用いる。この場合、給電部11は、蓄電池21を放電することで得られた電力を搬送手段13の駆動電力に変換する。具体的には、双方向AC/DCコンバータ11aが、コネクタ11bを介して供給された電力(直流)を搬送手段13用の駆動電力(交流)に変換する。駆動電力(交流)は、接点N2を介して搬送手段13に供給される。
【0028】
本実施形態の立体駐車システムによれば、第1および第2の実施形態で説明した効果に加えて、蓄電池21を非常用電源として用いることができるので、例えば、停電時でも、車両の入出庫が可能である。
なお、停電等のために交流電源50からの電力が遮断された際に、例えば、バックアップ電源を一時的に使用して、電力遮断検知部51及び制御部10を動作させてもよい。バックアップ電源として、搬器20に搭載されている蓄電池21を用いてもよい。
【0029】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態による立体駐車システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の立体駐車システムは、外部設備の非常用電源として蓄電池21を用いる点で第3の実施形態と異なり、それ以外は、第3の実施形態と同じである。ここでは、外部設備の非常用電源として蓄電池21を用いる構成を詳細に説明し、それ以外の構成の説明は省略する。
【0030】
図4に示すように、本実施形態の立体駐車システムは、スイッチ60と電力出力部61を有する。スイッチ60は、入力端子と2つの出力端子を有する。入力端子は、交流電源50と給電部11とを接続する電源供給線と接点N2で接続されている。第1の出力端子は搬送手段13に接続され、第2の出力端子は電力出力部61に接続されている。
交流電源50が電力を供給している期間は、制御部10は、給電部11に充電動作を行わせるとともに、スイッチ60にて第1の出力端子を選択させる。給電部11の充電動作は第3の実施形態と同じである。交流電源50は、接点N2及びスイッチ60を介して搬送手段13に駆動電力(交流)を供給する。
【0031】
停電等のために交流電源50からの電力が遮断されると、制御部10は、給電部11に放電動作を行わせ、蓄電池21を非常用電源として用いる。給電部11の放電動作は第3の実施形態と同じである。
蓄電池21を非常用電源として用いる期間において、制御部10は、通常、スイッチ60に第1の出力端子を選択させる。この場合、給電部11は、蓄電池21から供給された直流電力を交流電力に変換し、接点N2及びスイッチ60を介して搬送手段13に交流電力を供給する。
蓄電池21を非常用電源として用いる期間において、操作部12にて電力を外部に出力するための操作が行われると、制御部10は、スイッチ60に第2の出力端子を選択させる。この場合、給電部11は、蓄電池21から供給された直流電力を交流電力に変換し、接点N2及びスイッチ60を介して電力出力部61に交流電力を供給する。電力出力部61は、給電部11から供給された交流電力を外部に出力する。
【0032】
本実施形態の立体駐車システムによれば、第1乃至第3の実施形態で説明した効果に加えて、例えば、停電時に、蓄電池21を非常用電源として用いて他の設備を稼働させることができる。
【0033】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態による立体駐車システムで使用する搬器の構成を示すブロック図である。本実施形態の立体駐車システムは、第1乃至第4の実施形態のいずれかの構成を備えるが、搬器20が第1乃至第4の実施形態と異なる。
図5に示すように、搬器20は、蓄電池21、双方向DC/DCコンバータ22、コネクタ23、24、スイッチ25及び検知部26を有する。蓄電池21、双方向DC/DCコンバータ22及びコネクタ23、24は、第2の実施形態で説明したものと同じであるので、ここではそれらの構成の説明を省略する。
【0034】
スイッチ25は、コネクタ23と接点N1との間に設けられている。検知部26は、コネクタ24とEV40との接続の有無を検知する。コネクタ24がEV40に接続されていれば、検知部26は、スイッチ25をオフにする。コネクタ24がEV40に接続されていない場合は、検知部26は、スイッチ25をオンにする。
【0035】
本実施形態の立体駐車システムによれば、第1乃至第4の実施形態で説明した効果に加えて、以下のような効果を奏する。
コネクタ24がEV40に接続された状態で、コネクタ23が給電部11のコネクタ11bに接続されると、蓄電池21だけでなく、EV40も給電部11に接続される。この状態で充電動作が行われると、給電部11は蓄電池21及びEV40の両方に電力を供給するため、蓄電池21の充電に時間を要したり、蓄電池21を十分に充電することができなかったりする場合がある。
また、コネクタ24がEV40に接続された状態で放電動作が行われると、蓄電池21だけでなく、EV40も放電することになる。その結果、出庫したEV40が走行できなくなる場合がある。
本実施形態の立体駐車システムによれば、コネクタ24がEV40に接続されている場合は、検知部26がスイッチ25をオフにするので、蓄電池21の充放電が行われることはない。
【0036】
なお、本実施形態の立体駐車システムにおいて、スイッチ25は、接点N1とコネクタ24との間に設けられてもよい。この場合は、検知部26は、コネクタ11bとコネクタ23との接続の有無を検知する。コネクタ23がコネクタ11bに接続されていれば、検知部26は、スイッチ25をオフにする。コネクタ23がコネクタ11bに接続されていない場合は、検知部26は、スイッチ25をオンにする。この構成によっても、コネクタ24がEV40に接続された状態で、蓄電池21の充放電が行われることはない。
【0037】
(第6の実施形態)
図6は、本発明の第6の実施形態による立体駐車システムで使用する搬器の構成を示すブロック図である。
本実施形態の立体駐車システムは、搬器20が残量検出部27を有する点で第5の実施形態と異なり、それ以外は、第5の実施形態と同じである。ここでは、残量検出部27に関連する部分を詳細に説明し、それ以外の構成の説明は省略する。
【0038】
図6を参照すると、残量検出部27は、蓄電池21の残量を検出し、その検出結果を検知部26に供給する。検知部26は、コネクタ24がEV40に接続されている場合は、スイッチ25をオフにする。コネクタ24がEV40に接続されていない場合は、検知部26は、蓄電池21の残量に応じてスイッチ25のオン/オフを制御する。
具体的には、コネクタ24がEV40に接続されていない状態で、残量検出部27の検出値が閾値以下の場合は、検知部26はスイッチ25をオンにする。一方、コネクタ24がEV40に接続されていない状態で、残量検出部27の検出値が閾値より大きい場合は、検知部26はスイッチ25をオフにする。
【0039】
本実施形態の立体駐車システムによれば、第1乃至第5の実施形態で説明した効果に加えて、残量が閾値以下の蓄電池21を対象に充電が行われるので、蓄電池21をより効率的に充電することができる。
【0040】
以上説明した本発明の立体駐車システムは、立体的に配置された複数の格納室に車両を格納する既存の立体駐車場のシステムに適用することができる。例えば、本発明の立体駐車システムは、エレベータ方式、昇降横行式や垂直循環式などの機械式立体駐車場システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 制御部
11 給電部
12 操作部
13 搬送手段
20 搬器
21 蓄電池
30 格納室