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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】放物線器具
(51)【国際特許分類】
   A61C 3/02 20060101AFI20230925BHJP
   A61C 8/00 20060101ALI20230925BHJP
   A61B 17/16 20060101ALI20230925BHJP
   B23B 51/00 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
A61C3/02 Z
A61C8/00 Z
A61B17/16
B23B51/00 K
B23B51/00 L
B23B51/00 V
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019505014
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 US2018024995
(87)【国際公開番号】W WO2018183590
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】62/478,350
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ボーク,エリック
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-544594(JP,A)
【文献】特表平09-501109(JP,A)
【文献】特表2015-534898(JP,A)
【文献】特許第5220979(JP,B2)
【文献】中国実用新案第201613382(CN,U)
【文献】実開昭63-004211(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 3/02
A61C 8/00
A61B 17/16
B23B 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンクおよび作業部を備える器具であって、前記作業部は先端を有し、かつ複数の溝は部分的円柱状部分を構成するランドマージンを有する少なくとも2つのランドによって画定されており、前記作業部は少なくとも2つの対向するランドマージン間に延在する対向する凸状表面を画定する放物線断面を有し、前記ランドマージンは、前記シャンクの直径と等しい直径を有することを特徴とする器具。
【請求項2】
少なくとも1つのランドマージンの幅Wがコアの厚さTよりも小さくなるように、各ランドマージンは前記幅Wによって画定され、かつ前記コアは前記厚さTによって画定されている、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
各ランドマージンの前記幅Wは前記コアの前記厚さTよりも小さい、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記幅Wは0.03mm~1.8mmの範囲である、請求項2に記載の器具。
【請求項5】
前記厚さTは約0.1mm~約2.0mmの範囲である、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記複数の溝の少なくとも1つは約15°~約50°の範囲のねじれ角を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記複数の溝はそれぞれ約15°~約50°の範囲のねじれ角を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
91°~179°の範囲の前記複数の溝の開き角φをさらに含み、前記開き角φは、直径基準線RL1が第1のランドの前縁領域と中心軸Aとの間に延在し、かつ直径基準線RL2が第2のランドの後縁領域と前記中心軸Aとの間に延在した状態で中心軸Aに垂直な1つの同じ平面に位置している2つの直径基準線RL1およびRL2の間で決定される、請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記器具はインプラントドリルである、請求項1に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この特許出願は、2017年3月29日に出願された米国仮出願第62/478,350号の利益および優先権を主張するものであり、その内容は全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はドリルビットの分野に関し、より詳細には医療用および/または歯科用ドリル/ファイルの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術のドリルビット設計ではドリルでの穴あけの間に溝の詰まりが生じることがある。この問題は切削効率に起因するものではなく、骨片の除去のために利用可能な空間の欠如に直接相関している。これは、外科医がドリルでの穴あけを停止し、ドリルを外に出し、骨片を手で除去しなければならないことを意味している。また、ドリルでの穴あけの間に骨片を正確に除去しなければ、摩擦(トルク)がより重要になり、熱的影響も重要になる。その結果、骨壊死のリスクがより高くなり、かつインプラントの骨との一体化が損なわれる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記欠点のうちの少なくとも1つを実質的に克服するか少なくとも改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、シャンクおよび作業部を備える器具であって、作業部は先端を有し、かつ複数の溝はランドマージンを有する少なくとも2つのランドによって画定されており、作業部は少なくとも2つの対向するランドマージン間に延在する対向する凸状表面を画定する放物線断面を有することを特徴とする器具を提供する。
【0006】
さらに別の態様では、本発明の態様のいずれかは、以下の特徴のうちの1つまたは任意の組み合わせ:少なくとも1つのランドマージンの幅Wがコアの厚さTよりも小さくなるように、各ランドマージンは幅Wによって画定され、かつコアは厚さTによって画定されている;各ランドマージンの幅Wはコアの厚さTよりも小さい;幅Wは、0.03mm~1.8mmの範囲である;厚さTは約0.1mm~約2.0mmの範囲である;複数の溝の少なくとも1つは約15°~約50°の範囲のねじれ角を含む;複数の溝のそれぞれは約15°~約50°の範囲のねじれ角を含む;91°~179°の範囲の複数の溝の開き角φをさらに含む;開き角φは、RL1が第1のランドの前縁領域と中心軸Aとの間に延在し、かつRL2が第2のランドの後縁領域と中心軸Aとの間に延在した状態で中心軸Aに垂直な1つの同じ平面に位置している2つの直径基準線RL1およびRL2の間で決定される;器具はインプラントドリルである;あるいはそれらの任意の組み合わせによってさらに特徴づけることができる。
【0007】
実質的に任意の前記作業部断面において、前記凸状に湾曲したランド前縁領域は複数の不連続な面取り面によって画定されていてもよい。
【0008】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について単なる一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態の斜視図である。
図2図1に示されている第1の実施形態の別の斜視図である。
図3A図1に示されている第1の実施形態の部分図である。
図3B図1に示されている第1の実施形態の部分斜視図である。
図3C図1に示されている第1の実施形態の断面図である。
図3D図1に示されている第1の実施形態の別の断面図である。
図3E図1に示されている第1の実施形態の別の断面図である。
図3F図1に示されている第1の実施形態のシャンクの断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態の各種図を示す。
図5】本発明の第3の実施形態の断面図である。
図6A】先行技術のドリルの断面を示す。
図6B】先行技術のドリルの断面を示す。
図6C】先行技術のドリルの断面を示す。
図6D】先行技術のドリルの断面を示す。
図6E】先行技術のドリルの断面を示す。
図7A】本発明の第4の実施形態の断面図である。
図7B】本発明の第5の実施形態の断面図である。
図8A図6A図7Bに示されているドリルの最大フォースを比較するチャートである。
図8B図6A図7Bに示されているドリルの最大トルクを比較するチャートである。
図9】本発明の第6の実施形態の断面の開き角表示を示す。
図10A】本発明のさらなる実施形態を示す。
図10B】本発明のさらなる実施形態を示す。
図10C】本発明のさらなる実施形態を示す。
図10D】本発明のさらなる実施形態を示す。
図11A】2.2°の開き角φを有する先行技術のツイストドリルの断面図である。
図11B】2.2°の開き角φを有する本発明の放物線ツイストドリルの断面図である。
図11C】2.8°の開き角φを有する先行技術のツイストドリルの断面図である。
図11D】2.8°の開き角φを有する本発明の放物線ツイストドリルの断面図である。
図11E】4.2°の開き角φを有する先行技術のツイストドリルの断面図である。
図11F】4.2°の開き角φを有する本発明の放物線ツイストドリルの断面図である。
図12A図11A図11Fに示されているドリルの最大フォースを比較するチャートである。
図12B図11A図11Fに示されているドリルの最大トルクを比較するチャートである。
図12C図11A図11Fに示されているドリルの最大温度を比較するチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「放物線」器具(例えば、ドリルおよび/またはファイル)は、歯科用インプラントを配置する前に骨を成形および除去するために資格のある歯科医によって使用されることを目的としている。この器具は、高速度鋼、ステンレス鋼、ステンレス鋼+医療用コーティング(AlTiN、DLC、TiNなど)などの異なる材料で作られる。本発明の放物線/ウォームスパイラルドリルのために様々な種類のステンレス鋼を使用できることが分かっている。このプロジェクトの間に評価された切削性能によれば、これらのドリルは骨切り術にとって非常に良好な器具であることが分かった。この器具はインプラント学で使用される現在のハンドピース(コントラアングル)と共に機械的に使用することができる。本システムは、新しい適応症を包含したり、現在市販されている製品において使用されているもの以外のどんな新しい技術を使用したりするものではない。
【0011】
現在の市販されているドリルと比較して、本発明の放物線/ウォームスパイラルドリルの革新的な特徴としては、限定されるものではないが、著しく空の領域を増加させることによって空の領域と充満した領域との割合を変えることができる凸状ウェブおよび強ねじれ角が挙げられると考えられる。そのおかげで、骨片を除去するための多くの空間が利用可能となり、このようにして摩擦を制限する。その結果、スクリュー効果のリスクを減らし、ドリルでの穴あけの間の熱的影響を減らす。本発明の別の特徴としては、側面切削の影響を減らし、かつ骨切り術において所望される円柱形状を支持する強ねじれ角(高速スパイラル)が挙げられる。
【0012】
添付の図面の図1図2図4および図5を参照すると、第1の実施形態に係るドリルビット1は、ドリルビット1の対向する後端4bから延在するシャンク4と共に、ドリルビット1の前部動作端においてドリル先端3で終端している先細りの切削端2を有する。対向する後端4bは通常の方法でドリルのチャック内に受け入れられるように構成されていてもよい。ドリルビット1の作業部4aは切削端2とシャンク4との間に延在している。複数の溝5がドリルビット1内に形成されている。図示されている実施形態では、それぞれが作業部4aに沿って隣接するシャンク4から切削端2の中に螺旋状に延在する3つの溝5が存在しているが、ドリルビット1が2つのみの溝5または3つ以上の溝5を有し得ることが想定される。溝5のそれぞれがドリル先端3に向かって切削端2の中に延在しているが、切削端2を先細りにした結果としてドリル先端3のちょうど手前で終了している。
【0013】
図示されている実施形態では、ドリルビット1はドリルビット1の後部から見た場合に時計回りの方向に回転するように構成されている。本明細書全体を通して、ドリルビットの様々な特徴が「前」または「後」と称されているが、この用語はドリルビットが意図された方法で回転する際にそれぞれ前か後に位置する特徴を示す。溝5はそれぞれ、溝前方側壁6(意図される回転方向とは反対側に面する)および溝後方側壁7(意図される回転方向に面する)を有する。溝前方側壁6はその間に位置する溝基部8によって溝後方側壁7に結合されている。図5の断面図に最も良く示されているように、溝前方側壁6、溝基部8および溝後方側壁7は滑らかな連続的な表面を効果的に形成している。溝5はそれぞれ、少なくとも約15°、好ましくは少なくとも約20°、より好ましくは少なくとも約25°のねじれ角を有して形成されていてもよい。さらに、溝5はそれぞれ、最大で約50°、好ましくは最大で約45°、より好ましくは最大で約40°のねじれ角を有して形成されていてもよい。例えば溝5はそれぞれ、約15°~約50°、好ましくは約20°~約45°、より好ましくは約25°~約40°の範囲のねじれ角を有して形成されていてもよい。
【0014】
溝基部8は延在して、少なくとも約0.1mm、好ましくは少なくとも約0.4mm、好ましくは少なくとも約0.7mmのウェブ厚T(例えば、コア13の直径)を有するコア13を画定している。さらに、コア13は最大で約2.0mm、好ましくは最大で約1.7mm、より好ましくは最大で約1.4mmのウェブ厚を有していてもよい。例えばコア13は、約0.1mm~約2.0mm、好ましくは約0.4mm~約1.7mm、より好ましくは約0.7mm~約1.4mmの範囲のウェブ厚Tを有していてもよい。コア13は、一定のウェブ厚T(例えば、円柱状および/または平行なウェブ)を有する中心軸Aに沿って延在しているか、ドリルビットの中心軸Aに対して約1°の僅かなテーパ(例えば、先細りのウェブ)を含んで、溝5の深さをシャンク4または先端3に向かって増減させてもよい。典型的なテーパ角は0°~5°の間である。このテーパは一定であっても可変であってもよい。
【0015】
ランド9は溝5のそれぞれの間に画定されている。図5の断面図に最も良く示されているように、各ランド9は、ランド9のすぐ前に位置する隣接する溝5の隣接する溝後方側壁7に隣接するランド前縁領域11であってもよい。ランドマージン10は、ランド前縁領域11に隣接してその後ろに位置して画定されている。さらに、前縁領域11は前方側壁7の切削/削取縁であってもよい。
【0016】
前方側壁6および/または後方側壁7は、壁全体(例えば、後縁領域12と基部8と前縁部分11との間に延在する前方側壁6および後方側壁7)がほぼ凸状の構成を画定するように、基部8と対向するランドマージン10のそれぞれの後縁領域12および/または前縁領域11との間に真っ直ぐまたは弓状に延在していてもよい。図5に示すように、前方側壁6および後方側壁7はそれぞれ、ほぼ真っ直ぐな側壁区画を画定しているが、まとめて(例えば、後縁領域12と基部8と前縁部分11との間に延在して)、ほぼ凸状の断面が画定されていてもよい。これは、各ランドの前縁と隣接する溝後方側壁との間の交点において凹状に湾曲した縁部を画定する典型的な先行技術のドリルビットとは対照的であってもよい。
【0017】
図10A図10Dに示すように、本発明の改良された放物線設計を含む3種類の2つの溝付きツイストドリル間で熱的研究を行った。本発明の凸状ウェブおよび/または強ねじれ角により、「空」の領域を著しく増加させることによって「充満」した領域/空間(例えば、ランドおよびコアの領域)に対する「空」の領域/空間(例えば、溝の領域)の割合における変化を可能にしてもよい。「空」の領域を増加させることによって、骨または歯の中に穴が形成される際にさらなる骨片または歯片をより容易に除去し、それにより摩擦を減少/制限してもよい。その結果、スクリュー効果のリスクを減らし、ドリルでの穴あけの間の熱的影響を減らす。
【0018】
以下にさらに詳細に説明するように、ドリルビット1の作業部4aにはどんな補助的切削縁も設けられていなくてもよく、それにより切削動作全体を切削端2に委ねる。その結果、オペレータがドリルでの穴あけプロセスの間にドリルビットを中心を外して動かした場合に、鋭い補助的切削縁が作業部に設けられている場合と比較してドリルビットの不正確に位置合わせされた作業部によってドリル穴が切削されて広げられる傾向が少なくなる。歯科/医療用途において軟組織が損傷される可能性も少なくなり、それによりドリルビットの作業部が軟組織の中に食い込んで軟組織が作業部の周りに絡んで巻き付く可能性を減らす。各ランドにほぼ鈍形のランド前縁領域を設けることにより、ドリルビットの動作の滑らかさも高め、これによりドリルビットが積極的に絡むのを減らし、低トルク下での滑らかな切削プロセスの提供を可能にする。これらの利点はドリルビットの構造的完全性に悪影響を与えずに達成することができ、補助的切削縁をなめらかにするための溝後面とランドとの間のより大きな角度に対応するために全径においてドリルビットの作業部の材料の量を減らすことを必要とせずにドリルビットの大きな慣性モーメントを維持する。ランド前縁領域11の凸状の曲率は連続的な曲線ではなく複数の不連続な面取り面により達成してもよい。
【0019】
ドリルビット1の作業部4aは典型的には少なくとも1.0mm、好ましくは少なくとも2.2mm、より好ましくは少なくとも3.4mmの全径を有していてもよい。さらに、作業部4aは典型的には最大で8.0mm、好ましくは最大で6.8mm、より好ましくは最大で5.6mmの全径を有していてもよい。例えば、ドリルビットは典型的には1.0mm~8.0mm、好ましくは2.2mm~6.8mm、より好ましくは3.4mm~5.6mmの全径を有していてもよい。各ランドのために、ランド前縁領域11および後縁領域12は典型的には、少なくとも0.5mmであって最大で4.0mmの平均半径を有していてもよい。
【0020】
溝5sの開き角φ(ファイ)は半径方向であり、すなわちRL1が前縁領域11と中心軸Aとの間に延在し、かつRL2が後縁領域12と中心軸Aとの間に延在している状態で中心軸Aに垂直な1つの同じ平面に位置している2つの直径基準線RL1およびRL2の間で決定される。開き角φは91°~179°、好ましくは125°~170°、より好ましくは140°~155°の範囲であってもよい。
【0021】
開き角はコアの形状に直接相関している。それによりコアの形状を構築および決定することが可能になる。開き角が90°~178°の間にない場合、平らなコア、U字部分(図6A図6Cおよび図6E)またはJ字部分(図6D)を有することなる。強ねじれ角により骨片の除去を容易にすることが可能になり、かつドリルの耐屈曲性を向上させることが可能になる。この強ねじれ角がなければ、コアの減少により改善された特性を達成することは難しくなる場合がある。両方(強ねじれ角および/または開き角)により、溝付きランドの幅の減少が可能になる。
【0022】
ランドマージン10は、そこからドリルビット1が形成される円柱状シャフト(シャンク4)から削り取られていないランド9の部分的円柱状部分を構成する。ランドマージン10は、少なくとも0.03mm、好ましくは少なくとも0.4mm、より好ましくは少なくとも0.7mmの幅W(軸Aに対して断面で測定)を有する。さらに、各ランドマージン10は典型的には最大で1.8mm、好ましくは最大で1.5mm、より好ましくは最大で1.2mmの平均幅Wを有し得ることが分かっている。例えば、各ランドマージン10は典型的には0.03mm~1.8mm、好ましくは0.4mm~1.5mm、より好ましくは0.7mm~1.2mmの範囲の平均幅Wを有していてもよい。ランドマージン10はそれぞれ、中心軸Aの周りに延在し、かつドリルビットの全径と等しい(図示されている実施形態ではシャンク4の直径にほぼ等しい)直径を有する円Bの上にある。幅Wは各ランドマージン10において同じであっても異なっていてもよい。
【0023】
好ましい一実施形態では、ランドマージン10の幅Wは、中心軸Aに垂直に延在する断面で測定した場合にコア13の厚さTよりも小さくてもよい。
【0024】
先細りの切削端2は従来の構成であってもよい。あるいは、切削端2は有利には添付の図面に示されている特定の形態のいずれかであってもよい。
【0025】
図6A図8Bおよび図11A図11F図6A図6E図11A図11Cおよび図11Eは先行技術のドリルの断面であり、図7A図7B図11B図11Dおよび図11Fは本発明の放物線ドリルの断面である)に示されている試験の間に使用された卓上試験は送り速度に依存し、これは送り速度がドリルでの穴あけの間に一定であることを意味する。一般に、トルクおよび負荷をドリルでの穴あけの間に記録し、回転速度は約800rpmである。図8A図8Bおよび図12A図12Cは、図6A図8Bおよび図11A図11Fに示されているデータを表すチャートを示す。
【0026】
有利には、本発明の凸状ウェブ設計は先行技術の器具/ドリルに関連する熱的影響を減らすことができる。熱的影響は、外科手術における骨処理の間に金属と骨との界面から生じる熱である。ドリルでの穴あけの間に生じる熱は、切削具の工作物の界面に対する摩擦により生じ、印加された切削エネルギーは骨組織の壊死および火傷を引き起こす熱エネルギーに変換される。
【0027】
骨移植中のドリルでの穴あけ動作および熱損傷を調査し、ドリルの力により温度の上昇が生じることが観察された(例えば、骨片が正確に除去されないために(摩擦により)ドリルでの穴あけの間にドリルが詰まった場合または切削縁が損傷された場合に、ドリルの力は上昇する)。
【0028】
熱的影響の上昇に伴い骨壊死のリスクが高くなり、これによりインプラントの骨一体化が損なわれる結果となり得ると考えられる。
【0029】
上記ドリルビットは、歯科用/医療用ドリルビットとして使用されるように構成されている場合には典型的にはステンレス鋼で形成されているが、所望どおりに他の好適な高強度の金属製材料を使用して様々な用途に合わせてもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A
図12B
図12C