(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】APOC-II模倣ペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 14/775 20060101AFI20230925BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230925BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230925BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230925BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230925BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230925BHJP
【FI】
C07K14/775 ZNA
A61K38/17
A61P43/00 111
A61P3/06
C12P21/02 C
C12N15/12
(21)【出願番号】P 2019539809
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(86)【国際出願番号】 US2018014532
(87)【国際公開番号】W WO2018136803
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514310730
【氏名又は名称】ジ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ リプリゼンティッド バイ ザ セクレタリー,デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシズ
(73)【特許権者】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リマリー,アラン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ,ソウミトラ,シャンカー
(72)【発明者】
【氏名】デバララジャ,マハブ,エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ロ,チー-フン
(72)【発明者】
【氏名】スビリドフ,デニス,オー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルスカ,アンナ
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0033518(US,A1)
【文献】The Journal of Clinical Investigation,1986年02月,77,520-527
【文献】The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,2015年02月,352,227-235
【文献】The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,2016年02月,356,341-353
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
A61K 38/17
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
50アミノ酸以下の単離されたapoC-II模倣ペプチドであって、N末端からC末端に向けて、第1のヘリックスドメイン、ヒンジ領域、及び第2のヘリックスドメインを含み、
第1のヘリックスドメインが両親媒性であり、模倣ペプチドが、配列番号9に示す配列からな
る、ペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項3】
皮下注射に適している、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のペプチド又は請求項2又は3に記載の医薬組成物を含む、患者の高トリグリセリド血症を治療するための医薬。
【請求項5】
高トリグリセリド血症が肥満に関連している、請求項4に記載の医薬。
【請求項6】
高トリグリセリド血症が糖尿病に関連している、請求項4に記載の医薬。
【請求項7】
高トリグリセリド血症がアルコール摂取に関連している、請求項4に記載の医薬。
【請求項8】
高トリグリセリド血症が投薬に関連している、請求項4に記載の医薬。
【請求項9】
高トリグリセリド血症がLPL欠損症によって引き起こされる、請求項4に記載の医薬。
【請求項10】
高トリグリセリド血症が家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症である、請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
LPL欠損症が、LPL遺伝子の変異によって引き起こされる、請求項9又は10に記載の医薬。
【請求項12】
変異がLPL酵素活性の低減をもたらす、請求項11に記載の医薬。
【請求項13】
変異がLPL酵素活性の欠如をもたらす、請求項11に記載の医薬。
【請求項14】
LPL欠損症が、患者の血清中のLPL活性の欠如によって診断される、請求項9又は10に記載の医薬。
【請求項15】
変異がDNA配列解析によって検出される、請求項11に記載の医薬。
【請求項16】
高トリグリセリド血症がapoC-II欠損症によって引き起こされる、請求項4に記載の医薬。
【請求項17】
高トリグリセリド血症がapoC-IIIの上昇によって引き起こされる、請求項4に記載の医薬。
【請求項18】
患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が150mg/dL~199mg/dLの間である、請求項4から10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項19】
患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が200mg/dL~499mg/dLの間である、請求項4から10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項20】
患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が500mg/dL~999mg/dLの間である、請求項4から10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項21】
患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が1000mg/dL~1999mg/dLの間である、請求項4から10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項22】
患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が2000mg/dL以上である、請求項4から10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項23】
患者が、急性膵炎を発症しているか又はそのリスクがある、請求項4から10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項24】
患者が、急性心血管疾患を発症しているか又はそのリスクがある、請求項4から10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項25】
請求項1に記載のペプチドを作製する方法であって、組換えによってペプチドを産生することを含む、方法。
【請求項26】
請求項1に記載のペプチドを作製する方法であって、化学合成によってペプチドを産生することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、保健福祉省の機関である国立衛生研究所との共同研究開発協定第HL-CR-16-005号の実施により作出された。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介して提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2018年月XX日に作成された前記ASCIIコピーは、XXXXXUS_sequencelisting.txtという名称であり、X,XXX,XXXバイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
高トリグリセリド血症は通常、150mg/dLを超える血清トリグリセリドレベルとして定義される(Berglundら、J. Clin. Endocrinol. Metab. 97:2969~2989ページ、2012)。トリグリセリドが中等度に増加している患者は、心血管疾患のリスクがある(Budoff、 Am J Cardiol 118:138~45ページ、2016)。重度の高トリグリセリド血症患者は、さらに急性膵炎のリスクがある(Viljoen及び Wierzbicki、Expert Rev Cardiovasc Ther 10:505~514, 2012)。
【0004】
高トリグリセリド血症は、最も一般的には肥満、真性糖尿病、妊娠、アルコール、及び多種多様な薬物に続発する(Andersonら、Pancreatology 9:252~257ページ、2009;Dominguez-Munoz ら、Int. J. Pancreatol. 10:261~267ページ、1991)。カイロミクロン及び超低密度リポタンパク質(VLDL)はトリグリセリドに富んでおり、リポタンパク質リパーゼ(LPL)による脂肪分解は、これらのトリグリセリドに富むリポタンパク質粒子の異化作用における重要なステップである。まれに、高トリグリセリド血症はLPL、若しくは、LPLの必須の活性化因子であるapoC-II(Fojoら、J. Intern. Med. 231:669~677ページ、1992)、又は他の遺伝子の遺伝子欠陥の結果である。
【0005】
魚油などのオメガ-3多価不飽和脂肪酸に富むフィブラート及びサプリメントは、高トリグリセリド血症の主な治療法である(Berglundら、J. Clin. Endocrinol. Metab. 97:2969~2989ページ、2012)。しかしながら、これらの薬剤が心血管疾患などのトリグリセリドの上昇に関連するリスクを低下させるのに有効であることは明確に証明されていない(Budoff、Am J Cardiol 118:138~45ページ、2016)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、一般的な形態の高トリグリセリド血症と遺伝的欠陥によって引き起こされる高トリグリセリド血症との両方の高トリグリセリド血症の治療のための新しい治療剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、インビトロとインビボとの両方でトリグリセリドレベルを低下させる能力を有するapoC-II模倣ペプチドを設計及び作製した。これらのペプチドは、高トリグリセリド血症の治療に使用することができる。
【0008】
典型的な実施形態では、apoC-II模倣ペプチドは、1つ以上のヘリックスドメインが両親媒性であり、ペプチドに脂質及び/又はリポタンパク質の表面に結合する能力を付与し、別のヘリックスドメインがLPLを活性化する、マルチヘリックスのペプチドである。ある特定の実施形態では、apoC-II模倣ペプチドは、N末端からC末端に向けて、順に、第1のヘリックスドメイン、ヒンジ領域、及び第2のヘリックスドメインを含み、第1のヘリックスドメインが両親媒性であり、第2のヘリックスドメインがLPLを活性化する、二ヘリックスの(bihelical)ペプチドである。本発明者らは、様々な両親媒性ヘリックスが適していることを見出し、そのいくつかはapoC-IIのような公知のアポリポタンパク質の両親媒性ヘリックスをモデルとしている。本発明者らはまた、ペプチドのトリグリセリドを低下させる能力はLPLの活性化に限定されず、LPLが減少又は存在しない障害におけるそれらの使用を可能にすること、及び、それらがリポタンパク質の表面からapoC-IIIを置き換えてそれらの使用を可能にし、apoC-IIIレベルが上昇している障害におけるそれらの使用を可能にすることを見出した。
【0009】
したがって、第1の態様では、50アミノ酸以下の単離されたapoC-II模倣ペプチドであって、N末端からC末端に向けて:第1のヘリックスドメイン、ヒンジ領域、及び第2のヘリックスドメインを含み、第1のヘリックスドメインが両親媒性であり、apoC-II模倣ペプチドが配列番号56のペプチドではない、ペプチドが本明細書において提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第1のドメインは、apoC-IIの天然のヘリックス1である。他のいくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第1のドメインは、apoC-IIのヘリックス1のバリアントである。いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第1のドメインはapoC-IIの天然のヘリックス2である。他のいくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第1のドメインはapoC-IIのヘリックス2のバリアントである。
【0011】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の伸長を含む。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において1~10アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において1アミノ酸伸長している。これらの実施形態のいくつかでは、アミノ酸はアスパラギン酸である。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において2アミノ酸伸長している。これらの実施形態のいくつかでは、アミノ酸は、N末端からC末端に向けてリジン及びアラニンである。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において5アミノ酸伸長している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIのヘリックス2は、ヒトapoC-IIの天然の上流アミノ酸配列、又はヒトapoC-IIの天然の上流アミノ酸配列の変異体によって伸長している。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは40位にアスパラギン酸を含む。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは41位にチロシン又はトリプトファンを含む。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは42位にロイシンを含む。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは43位にリジン又はアルギニンを含む。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは44位にアラニン又はグルタミン酸を含む。特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、40位にアスパラギン酸、41位にチロシン、42位にロイシン、43位にリジン、44位にグルタミン酸を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の短縮を含む。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~46が欠失している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~48が欠失している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~49が欠失している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~50が欠失している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~53が欠失している。
【0013】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の少なくとも1つの変異を含む。これらの実施形態のいくつかでは、変異はアミノ酸置換である。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸は天然アミノ酸で置換されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸は非天然アミノ酸で置換されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸はアミノ酸類似体で置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は45位にある。これらの実施形態のいくつかでは、45位のバリンがフェニルアラニンで置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は46位にある。これらの実施形態のいくつかでは、46位のアスパラギン酸がフェニルアラニンで置換されている。これらの実施形態のいくつかでは、46位のアスパラギン酸がリジンで置換されている。これらの実施形態のいくつかでは、46位のアスパラギン酸がアミノイソ酪酸で置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は48位にある。これらの実施形態のいくつかでは、48位のリジンがアルギニンで置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は49位にある。これらの実施形態のいくつかでは、49位のロイシンがリジンで置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は50位にある。これらの実施形態のいくつかでは、50位のアルギニンがリジンで置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は53位にある。これらの実施形態のいくつかでは、53位のチロシンがロイシンで置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は54位にある。これらの実施形態のいくつかでは、54位のセリンがグルタミン酸で置換されている。これらの実施形態のいくつかでは、54位のセリンがリジンで置換されている。これらの実施形態のいくつかでは、54位のセリンがアスパラギン酸で置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は55位にある。これらの実施形態のいくつかでは、55位のリジンがアルギニンで置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は56位にある。これらの実施形態のいくつかでは、56位のセリンがフェニルアラニンで置換されている。これらの実施形態のいくつかでは、56位のセリンがリジンで置換されている。これらの実施形態のいくつかでは、56位のセリンがアラニンで置換されている。これらの実施形態のいくつかでは、56位のセリンがアミノイソ酪酸で置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は57位にある。これらの実施形態のいくつかでは、57位のトレオニンがフェニルアラニンで置換されている。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは3つのアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は46位、54位、及び56位にある。これらの実施形態のいくつかでは、46位のアスパラギン酸はフェニルアラニンで置換され、54位のセリンはグルタミン酸で置換され、56位のセリンはフェニルアラニンで置換されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、少なくとも1つの化学修飾を含む。ある特定の実施形態では、化学修飾は脂肪酸の共有結合である。様々な実施形態では、脂肪酸は4~26個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は10個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は12個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は14個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は16個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は18個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は20個の炭素を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸は飽和している。いくつかの他の実施形態では、脂肪酸は不飽和である。ある特定の実施形態では、脂肪酸はN末端アミノ酸に連結している。ある特定の実施形態では、脂肪酸はアミノ酸側基に連結している。ある特定の実施形態では、脂肪酸はリジン残基のε-アミンに連結している。
【0015】
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドのヒンジ領域は、5~10アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は7アミノ酸を含む。具体的な実施形態では、ヒンジ領域はプロリンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、58位にプロリンを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ領域はアラニンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、58位にアラニンを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ領域はノルロイシンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、60位にノルロイシンを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ領域はリジンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、60位にリジンを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ領域はバリンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、60位にバリンを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ領域はロイシンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、60位にロイシンを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ領域はメチオニンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、60位にメチオニンを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は少なくとも1つの化学修飾を含む。ある特定の実施形態では、化学修飾は脂肪酸の共有結合である。様々な実施形態では、脂肪酸は4~26個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は10個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は12個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は14個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は16個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は18個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は20個の炭素を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸は飽和している。いくつかの他の実施形態では、脂肪酸は不飽和である。ある特定の実施形態では、脂肪酸はアミノ酸側基に連結している。ある特定の実施形態では、脂肪酸はリジン残基のε-アミンに結合している。
【0017】
様々な実施形態において、ヒンジ領域は、第1のヘリックスドメイン及び第2のヘリックスドメインがほぼ直線の高次構造を保持することを可能にし、第2のドメインは、約20°以下の角度で第1のドメインから離れて曲がっている。
【0018】
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第2のドメインは、apoC-IIの天然のヘリックス3である。他のいくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第2のドメインはapoC-IIのヘリックス3のバリアントである。
【0019】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の伸長を含む。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において1~10アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において4アミノ酸伸長している。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端からC末端に向けてアミノ酸リジン、グリシン、グルタミン酸、及びグルタミン酸で伸長している。
【0020】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の少なくとも1つの変異を含む。これらの実施形態のいくつかでは、変異はアミノ酸置換である。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸は天然アミノ酸で置換されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸は非天然アミノ酸で置換されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸はアミノ酸類似体で置換されている。具体的な実施形態では、アミノ酸置換は70位にある。これらの実施形態のいくつかでは、70位のグルタミンがアルギニンで置換されている。これらの実施形態のいくつかでは、70位のグルタミンがリジンで置換されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、少なくとも1つの化学修飾を含む。ある特定の実施形態では、化学修飾は脂肪酸の共有結合である。様々な実施形態では、脂肪酸は4~26個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は10個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は12個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は14個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は16個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は18個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は20個の炭素を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸は飽和している。いくつかの他の実施形態では、脂肪酸は不飽和である。ある特定の実施形態では、脂肪酸はC末端アミノ酸に連結している。ある特定の実施形態では、脂肪酸はアミノ酸側基に連結している。ある特定の実施形態では、脂肪酸はリジン残基のε-アミンに連結している。ある特定の実施形態では、C末端アミノ酸はC末端アミドで修飾されている。
【0022】
様々な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは精製タグをさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、精製タグはポリヒスチジンタグ、mycタグ、又はHAタグである。
【0023】
様々な実施形態では、apoC-II模倣ペプチドの第1のドメインはリポタンパク質への結合親和性を有する。様々な実施形態では、第2のドメインは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を活性化することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドはLPLによる脂肪分解を活性化することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドはリポタンパク質中のapoC-IIIを置き換えることができる。いくつかの実施形態では、ペプチドはインビボでトリグリセリド(TG)レベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは、LPL欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは、apoC-IIIの上昇によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは、apoC-II欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは食後の上昇したTGレベルを低減させることができる。
【0024】
具体的な実施形態では、ペプチドは配列番号6に示す配列を有する。
【0025】
具体的な実施形態では、ペプチドは配列番号9に示す配列を有する。
【0026】
別の態様では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントからなる、30アミノ酸以下の単離されたapoC-II模倣ペプチドが本明細書において提供される。
【0027】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の伸長を含む。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において1~10アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において6アミノ酸伸長している。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは60位にリジン又はメチオニンを含む。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において1~10アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において4アミノ酸伸長している。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端からC末端に向けてアミノ酸リジン、グリシン、グルタミン酸、及びグルタミン酸で伸長している。
【0028】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の少なくとも1つの変異を含む。これらの実施形態のいくつかでは、変異はアミノ酸置換である。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸は天然アミノ酸で置換されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸は非天然アミノ酸で置換されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸はアミノ酸類似体で置換されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、少なくとも1つの化学修飾を含む。ある特定の実施形態では、化学修飾は脂肪酸の共有結合である。様々な実施形態では、脂肪酸は4~26個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は10個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は12個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は14個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は16個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は18個の炭素を含む。具体的な実施形態では、脂肪酸は20個の炭素を含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸は飽和している。いくつかの他の実施形態では、脂肪酸は不飽和である。ある特定の実施形態では、脂肪酸はN末端アミノ酸に連結している。ある特定の実施形態では、脂肪酸はC末端アミノ酸に連結している。ある特定の実施形態では、脂肪酸はアミノ酸側基に連結している。ある特定の実施形態では、脂肪酸はリジン残基のε-アミンに連結している。
【0030】
様々な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは精製タグをさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、精製タグはポリヒスチジンタグ、mycタグ、又はHAタグである。
【0031】
様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントはリポタンパク質への結合親和性を有する。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を活性化することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドはLPLによる脂肪分解を活性化することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドはリポタンパク質中のapoC-IIIを置き換えることができる。いくつかの実施形態では、ペプチドはインビボでトリグリセリド(TG)レベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは、LPL欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは、apoC-IIIの上昇によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは、apoC-II欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは食後の上昇したTGレベルを低減させることができる。
【0032】
別の態様では、apoC-II模倣ペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は皮下注射に適している。
【0033】
別の態様では、患者の高トリグリセリド血症を治療する方法であって、有効量のapoC-II模倣ペプチド又はapoC-II模倣ペプチドを含む医薬組成物を患者に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、高トリグリセリド血症は肥満に関連している。いくつかの実施形態では、高トリグリセリド血症は糖尿病に関連している。いくつかの実施形態では、高トリグリセリド血症はアルコール摂取に関連している。いくつかの実施形態では、高トリグリセリド血症は投薬に関連している。
【0034】
いくつかの実施形態では、高トリグリセリド血症はLPL欠損症によって引き起こされる。ある特定の実施形態では、高トリグリセリド血症は家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症である。いくつかの実施形態では、LPL欠損症は、LPL遺伝子の変異によって引き起こされる。ある特定の実施形態では、変異はLPL酵素活性の低減をもたらす。ある特定の実施形態では、変異はLPL酵素活性の欠如をもたらす。いくつかの実施形態では、LPL欠損症は、患者の血清中におけるLPL活性の欠如によって診断される。いくつかの実施形態では、変異はDNA配列解析によって検出される。いくつかの実施形態では、高トリグリセリド血症はapoC-II欠損症によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、高トリグリセリド血症は上昇したapoC-IIIによって引き起こされる。
【0035】
ある特定の実施形態では、患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度は150mg/dL~199mg/dLである。ある特定の実施形態では、患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度は200mg/dL~499mg/dLである。ある特定の実施形態では、患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度は500mg/dL~999mg/dLである。ある特定の実施形態では、患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度は1000mg/dL~1999mg/dLである。ある特定の実施形態では、患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度は2000mg/dLであるか、又はそれよりも高い。
【0036】
具体的な実施形態では、患者は、急性膵炎を発症しているか、又はそのリスクがある。具体的な実施形態では、患者は急性心血管疾患を発症しているか又はそのリスクがある。
【0037】
別の態様では、組換えによってペプチドを産生することを含む、apoC-II模倣ペプチドを作製する方法も本明細書において提供される。
【0038】
さらに別の態様では、化学合成によってペプチドを産生することを含む、apoC-II模倣ペプチドを作製する方法も本明細書において提供される。
【0039】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、及び添付の図面に関してよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】成熟ヒトapoC-IIタンパク質のアミノ酸残基40~58の、様々な種にわたる相同性を示す図である。
【
図2】天然のapoC-II及びバリアントDelta4'のアミノ酸残基40~57のヘリカルホイールプロットを示す図であり、
図2Aは天然のapoC-IIを表し、
図2Bは、バリアントDelta4'を表す。ボールのサイズと色は、電荷と疎水性の程度を示す。ヘリカルホイールの中央にある1番目の数字は疎水性モーメントを示す。ヘリカルホイールの中央にある2番目の数字と矢印は、疎水性モーメントの角度を示す。
【
図3】天然のapoC-II及びバリアントDelta5'のアミノ酸残基40~57のヘリカルホイールプロットを示す図であり、
図3Aは天然のapoC-IIを表し、
図3Bは、バリアントDelta5'を表す。
【
図4】天然のapoC-II及びバリアントDelta6'のアミノ酸残基40~57のヘリカルホイールプロットを示す図であり、
図4Aは天然のapoC-IIを表し、
図4Bは、バリアントDelta6'を表す。
【
図5】バリアントDelta4'の化学修飾の例を示す図である。モノアシル-Delta4'は、ステアリン酸修飾N末端を含む。ジアシル-Delta4'は、ステアリン酸修飾N末端、及び49位のステアリン酸修飾ロイシン残基を含む。
【
図6】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、化学修飾を有する例示的なapoC-II模倣ペプチド及びバリアントのインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。天然の全長ヒトapoC-IIタンパク質を対照として使用した。
【
図7】基質としてイントラリピッドを使用した、化学修飾を有する例示的なapoC-II模倣ペプチド及びバリアントのインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。天然の全長ヒトapoC-IIタンパク質を対照として使用した。
【
図8】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta4、Delta4バリアント、及びapoC-IIの第3ヘリックスのバリアントのインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。
【
図9】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、apoC-IIの第3ヘリックスのバリアントのインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。
【
図10】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta4のバリアントのインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。
【
図11】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta4のバリアントのインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。
【
図12】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta4及びそのバリアントのインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。apoC-II模倣ペプチドの濃度は、100pM~10μMの範囲である。天然の全長ヒトapoC-IIタンパク質を対照として使用した。
【
図13】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta4の短縮バリアントのインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。apoC-II模倣ペプチドの濃度は、10pM~100μMの範囲である。
【
図14】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta5及び例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta6のバリアントのインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。apoC-II模倣ペプチドの濃度は、100pM~10μMの範囲である。
【
図15】基質として高トリグリセリド血症患者血清を使用した、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta6及びそのバリアントのインビトロLPLアッセイにおけるLPL活性のパーセンテージ変化を示す図である。
図15A、
図15B、
図15C、及び
図15Dにおける患者血清のトリグリセリド濃度は、それぞれ、1084mg/dL、1224mg/dL、1442mg/dL、及び1669mg/dLである。
【
図16】apoC-II模倣ペプチドDelta4の皮下注射後のapoC-IIノックアウトマウスの血清トリグリセリド(TG)レベルを示す図である。生理食塩水を対照として使用した。
【
図17】apoC-II模倣ペプチドDelta4の皮下注射後のapoC-IIノックアウトマウスの総コレステロール(TC)レベルを示す図である。生理食塩水を対照として使用した。
【
図18】apoC-II模倣ペプチドDelta4の腹腔内注射後のapoC-IIノックアウトマウスの血清トリグリセリド(TG)レベルを示す図である。生理食塩水を対照として使用した。
【
図19】apoC-II模倣ペプチドDelta4の腹腔内注射後のapoC-IIノックアウトマウスの総コレステロール(TC)レベルを示す図である。生理食塩水を対照として使用した。
【
図20】apoC-II模倣ペプチドの腹腔内注射の存在下又は非存在下での植物油強制飼養後の野生型マウスの血清トリグリセリド(TG)レベルのパーセンテージ変化を示す図である。試験されたapoC-II模倣ペプチドは、Delta4、Delta4b、及びDelta4b-3を含んだ。生理食塩水を対照として使用した。
【
図21】apoC-II模倣ペプチドDelta6の腹腔内注射後のapoC-IIノックアウトマウスの血清トリグリセリド(TG)レベルを示す図である。生理食塩水を対照として使用した。
【
図22】apoC-II模倣ペプチドDelta6の腹腔内注射後のapoC-IIノックアウトマウスの総コレステロール(TC)レベルを示す図である。生理食塩水を対照として使用した。
【
図23】異なる用量のapoC-II模倣ペプチドDelta6の腹腔内注射後のapoC-IIノックアウトマウスの血清トリグリセリド(TG)レベルを示す図である。生理食塩水を対照として使用した。注射時の血清TGレベルと比較した注射後の異なる時点での血清TGレベルのパーセンテージを計算した。
【
図24】Delta6バリアントの腹腔内注射後のapoC-IIノックアウトマウスの血清トリグリセリド(TG)のパーセンテージ変化を示す図である。生理食塩水を対照として使用した。注射時の血清TGと比較した血清TGのパーセンテージ変化を計算した。
【
図25】ヒト血漿から単離されたVLDL及びカイロミクロン中のapoC-II模倣ペプチドDelta6によるapoC-IIIの置き換えを示す図である。
【
図26】ヒト血漿から単離されたVLDL中のapoC-II模倣ペプチドDelta6のバリアントによるapoC-IIIの置き換えを示す図である。
【
図27】基質として高いapoC-IIIレベルを有する高トリグリセリド血症患者血清を使用したapoC-II模倣ペプチドDelta4及びDelta6のインビトロLPLアッセイの結果を示す図である。
【
図28】ヒト血漿(TG=291mg/dL)から単離されたVLDL中のapoC-II-aペプチドによるapoC-IIIの置き換えを示す図である。
【
図29】質量分析法(MALDI-TOF)によって分析されたapoC-II-aペプチドによるapoC-IIIの用量依存的な置き換えを示す図であり、
図29Aは、apoC-II-aがapoC-III及びapoC-Iを選択的に置き換えるがapoC-IIを置き換えないことを示し、
図29Bは、apoC-II-aペプチドのVLDLに対する結合がその濃度にほぼ比例することを示す。
【
図30】ヒト血漿から単離されたカイロミクロン中のapoC-II-aペプチドによるapoC-IIIの置き換えを示す図である。
【
図31】基質としてのイントラリピッド及び阻害剤としての組換えapoC-IIIを使用したLPL活性化アッセイの結果を示す図である。apoC-II-aペプチドはapoC-IIIによる阻害を克服する。
【
図32】基質としての高TGヒト血漿及び阻害剤としての組換えapoC-IIIを使用したLPL活性化アッセイの結果を示す図である。apoC-II-aペプチドはapoC-IIIによる阻害を克服する。
【
図33】基質としてapoC-IIIトランスジェニック(tg)マウス血漿を使用したLPL活性化アッセイの結果をグラフ化する図である。apoC-III tg1、apoC-III tg2、及びapoC-III tg3マウスのTG濃度は、それぞれ323mg/dL、497mg/dL、及び478mg/dLである。apoC-II-aペプチドは、3つ全てのトランスジェニックマウスの血漿試料におけるapoC-IIIの発現上昇による阻害効果を克服する。
【
図34A】LPL阻害剤Triton WR1339の存在下又は非存在下、及びapoC-II-aペプチドの存在下又は非存在下での植物油を用いた強制経口投与後のマウスにおける24時間の食後血清TGレベルを示す図であり、
図34Aは、0~100mg/dLのTG濃度範囲に焦点を当て、
図34Bは、0~4500mg/dLのTG濃度範囲を示す。
【
図35】LPL阻害剤Tritonの存在下又は非存在下でのDelta6PVペプチドの腹腔内注射を伴う又は伴わないイントラリピッド注射後の野生型マウスの血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す図であり、
図35Aは注射のタイムラインを示し、
図35BはTritonの存在下又は非存在下でのDelta6PVの腹腔内注射後の血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す。生理食塩水を対照として使用した。
【
図36】apoC-II模倣ペプチドDelta6PVの注射後のapoC-IIノックアウトマウスの血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す図であり、
図36Aは注射のタイムラインを示し、
図36BはDelta6PVの腹腔内注射後の血清TGレベルのパーセンテージ変化を示し、
図36CはDelta6PVの皮下注射後の血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す。生理食塩水を対照として使用した。SMは、Delta6PVが細胞膜の成分であるスフィンゴミエリン(SM)と混合された条件を表す。
【
図37】Delta6PVペプチドの腹腔内注射を伴うか又は伴わないイントラリピッド注射後のapoC-IIノックアウトマウスの血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す図であり、
図37Aは注射のタイムラインを示し、
図37Bは、5μmole/kg及び10μmole/kg(B.W.)でのDelta6PVの腹腔内注射後の血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す。生理食塩水を対照として使用した。
【
図38】apoC-II模倣ペプチドDelta6PVの注射後のapoC-IIIトランスジェニックマウスの血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す図であり、
図38Aは注射のタイムラインを示し、
図38Bは、1μmole/kg、5μmole/kg、及び10μmole/kg(B.W.)でのDelta6PVの腹腔内注射後の血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す。生理食塩水を対照として使用した。
【
図39】5μmole/kg及び10μmole/kg(B.W.)のDelta6PVペプチドの腹腔内注射を伴うか又は伴わないイントラリピッド注射後のapoC-IIIトランスジェニックマウスの血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す図である。生理食塩水を対照として使用した。
【
図40】0.25μmole/kg及び1μmole/kg(B.W.)でのapoC-II模倣ペプチドDelta6PVの複数回注射後のapoC-IIノックアウトマウスの血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す図である。矢印はDelta6PV注射の時点を示す。生理食塩水を対照として使用した。
【
図41】1μmole/kg(B.W.)のDelta6PV投与apoC-IIノックアウトマウスにおける様々な脂質画分のSEC-FPLC分離の結果を示す図である。リポタンパク質粒子のレベルはリン脂質によって表される。
【
図42】1μmole/kgのDelta6PV投与apoC-IIノックアウトマウスにおける様々な脂質画分のSEC-FPLC分離の結果を示す図である。リポタンパク質粒子のレベルはTGによって表される。
【
図43】apoC-II模倣ペプチドDelta6PVの複数回注射後のapoC-IIIトランスジェニックマウスの血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す図であり、
図43Aは注射のタイムラインを示し、
図43Bは、5μmole/kg(B.W.)でのDelta6PVの腹腔内注射後の血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す。矢印はDelta6PV注射の時点を示す。生理食塩水を対照として使用した。
【
図44】5μmole/kg(B.W.)でのapoC-II模倣ペプチドDelta6PVの複数回注射後のapoC-IIIトランスジェニックマウスの血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す図である。矢印はDelta6PV注射の時点を示す。生理食塩水を対照として使用した。
【
図45A】ELISAによって測定された、apoC-IIIトランスジェニックマウスにおけるDelta6PV注射後のapoC-IIIレベルを示す図であり、
図45Aは、1日目及び5日目の注射前並びに注射後3時間のVLDL粒子中のapoC-IIIレベルを示し、
図45Bは、1日目及び5日目の注射前並びに注射後3時間のHDL粒子中のapoC-IIIレベルを示す。
【
図46】Delta6PVペプチドの複数回腹腔内注射を伴うか又は伴わないイントラリピッド注射後の野生型マウスの血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す図であり、
図46Aは注射のタイムラインを示し、
図46Bは、0.25μmole/kg及び1μmole/kg(B.W.)でのDelta6PVの腹腔内注射後の血清TGレベルのパーセンテージ変化を示す。生理食塩水を対照として使用した。
【
図47】ベースラインレベルと比較した、1mg/kg及び5mg/kg(B.W.)でのDelta6PVペプチドの静脈内注射を伴うか又は伴わない肥満サルモデルにおける血清TGの比率を示す図である。生理食塩水を対照として使用した。
【
図48】ベースラインレベルと比較した、1mg/kg及び5mg/kg(B.W.)でのDelta6PVペプチドの静脈内注射を伴うか又は伴わない肥満サルモデルにおけるVLDL、LDL、及びHDLのパーセンテージを示す図であり、
図48Aは、ベースラインレベルと比較した、肥満サルモデルにおけるVLDLのパーセンテージを示し、
図48Bは、ベースラインレベルと比較した、肥満サルモデルにおけるLDLのパーセンテージを示し、
図48Cは、ベースラインレベルと比較した、肥満サルモデルにおけるHDLのパーセンテージを示す。
【
図49】ヒト血漿から単離されたVLDL中のDelta6PVペプチドによるapoC-IIIの置き換えを示す図である。
【
図50】基質としての高TGヒト血漿及び阻害剤としての組換えapoC-IIIを使用したLPL活性化アッセイの結果を示す図である。Delta6PVペプチドは、apoC-IIIの阻害を克服する。
【
図51】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、Delta6及びDelta6PVペプチドのインビトロLPLアッセイの結果を表す図である。
【
図52】基質としてapoC-II欠損患者血清を使用した、apoC-II模倣ペプチドDelta6PV、Delta6-T18F-PV、Delta6-T18F-PV-AIB7、17及びDelta13-31-PVのインビトロLPLアッセイの結果を表す図である。
【
図53】Delta6バリアント、Delta6PV、及びDelta6-T18F-PVの腹腔内注射後のapoC-IIノックアウトマウスの血清TGのパーセンテージ変化を示す図である。生理食塩水を対照として使用した。注射時の血清TGと比較した血清TGのパーセンテージ変化を計算した。
【
図54】apoC-II模倣ペプチド、apoC-II-aのヘリカルホイール及びネットプロットを示す図である。
図54Aは、18Aへリックスのヘリカルホイールプロットである。ボールのサイズと色は、電荷と疎水性の程度を示す(黄色、無極性;緑色、極性/非帯電;ピンク、酸性;青色、塩基性)。
図54Bは、apoC-IIの第3のへリックスのヘリカルホイールプロットである。
図54Cは、apoC-II-aペプチドのヘリカルネットプロットである。apoC-II-aは、DWLKAFYDKVAEKLKEAFPAMSTYTGIFTDQVLSVLKGEE(配列番号56)の配列を有する。中央領域は、疎水性面の位置を示す。
【
図55】マウスにおける食後高トリグリセリド血症を試験するための試験デザインを示す図である。
【
図56】LPL阻害剤の存在下でマウスにおける食後高トリグリセリド血症を試験するための試験デザインを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
定義
別途定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の関連する技術分野における当業者によって一般に理解される意味を有する。
【0042】
「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及びアミノ酸類似体を指す。特記しない限り、「アミノ酸」という用語は、それぞれの構造がそのような立体異性体形態を可能にする場合、D立体異性体とL立体異性体の両方を含む。
【0043】
天然アミノ酸には、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リジン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、トレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)、及びバリン(Val又はV)が含まれる。
【0044】
非天然(unnatural)アミノ酸、又は非天然(non-natural)アミノ酸には、アゼチジンカルボン酸、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、ベータ-アラニン、ナフチルアラニン(「naph」)、アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、第三ブチルグリシン(「tBuG」)、2,4-ジアミノイソ酪酸、デスモシン、2,2'-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ホモプロリン(「hPro」又は「homoP」)、ヒドロキシリジン、アロ-ヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン(「3Hyp」)、4-ヒドロキシプロリン(「4Hyp」)、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルアラニン(「MeAla」又は「Nime」)、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシンを含むNアルキルグリシン(「NAG」)、N-メチルペンチルグリシンを含むN-アルキルペンチルグリシン(「NAPG」)、N-メチルバリン、ナフチルアラニン、ノルバリン(「Norval」)、ノルロイシン(「Norleu」)、オクチルグリシン(「OctG」)、オルニチン(「Orn」)、ペンチルグリシン(「pG」又は「PGly」)、ピペコリン酸、チオプロリン(「ThioP」又は「tPro」)、ホモリジン(「hLys」)、及びホモアルギニン(「hArg」)が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
「アミノ酸類似体」という用語は、C末端カルボキシ基、N末端アミノ基及び側鎖官能基の1つ以上が化学的に、可逆的に又は不可逆的にブロックされている、あるいはそうでない場合には別の官能基に修飾されている、天然又は非天然アミノ酸を指す。例えば、アスパラギン酸-(ベータ-メチルエステル)はアスパラギン酸のアミノ酸類似体であり、N-エチルグリシンはグリシンのアミノ酸類似体であり、アラニンカルボキサミドはアラニンのアミノ酸類似体である。他のアミノ酸類似体には、メチオニンスルホキシド、メチオニンスルホン、S-(カルボキシメチル)-システイン、S-(カルボキシメチル)システインスルホキシド、及びS-(カルボキシメチル)-システインスルホンが含まれる。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって一緒に連結したアミノ酸の短いポリマーを指す。他のアミノ酸ポリマー(例えば、タンパク質、ポリペプチドなど)とは対照的に、ペプチドは約75アミノ酸長以下である。ペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、及び/又は修飾アミノ酸を含み得る。ペプチドは、天然に存在するタンパク質の部分配列又は非天然(合成)配列であり得る。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「変異体ペプチド」という用語は、「野生型」配列と呼ばれる、天然に存在する最も一般的なバリアントとは異なるアミノ酸配列を有するペプチドのバリアントを指す。変異体ペプチドは、野生型配列と比較して、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、又は挿入を含み得る。変異体ペプチドは、変異体タンパク質又はポリペプチドの部分配列(例えば、天然で最も一般的な配列ではない天然に存在するタンパク質の部分配列)、又は天然に存在するタンパク質又はポリペプチドの部分配列ではないペプチドであり得る。例えば、「変異体apoC-IIペプチド」は、変異型のapoC-IIの部分配列であり得るか、又は天然に存在するapoC-IIタンパク質には見られない異なる配列であり得る。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「合成ペプチド」という用語は、天然のペプチド及び/又はタンパク質に見られるものとは異なるアミノ酸配列を有するペプチドを指す。合成タンパク質は、野生型(すなわち、最も豊富に存在する)又はその変異型のいずれかの、天然に存在するタンパク質の部分配列ではない。例えば、「合成apoC-IIペプチド」は、天然に存在するapoC-IIの部分配列ではない。本明細書で使用されるとき、「合成ペプチド」は、任意の適切な方法(例えば、組換え発現、化学合成、酵素合成など)によって産生又は合成され得る。
【0049】
「ペプチドの模倣物」又は「ペプチド模倣物」という用語は、タンパク質又はペプチドに由来する配列を模倣するペプチド様分子を指す。ペプチドの模倣物又はペプチド模倣物は、アミノ酸及び/又は非アミノ酸成分を含み得る。ペプチド模倣物の例には、化学修飾ペプチド、ペプトイド(側基がα-炭素ではなくペプチド骨格の窒素原子に付加されている)、β-ペプチド(アミノ基がα-炭素ではなくβ炭素に結合している)などが含まれる。化学修飾は、アミノ酸側基、α-炭素原子、末端アミン基、又は末端カルボキシ基における1つ以上の修飾を含む。化学修飾は、化学部分を付加すること、新しい結合を作出すること、又は化学部分を除去することであり得る。アミノ酸側基における修飾には、非限定的に、リジンε-アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、又はリジンのN-アルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸のカルボン酸基のアルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸側基カルボキシル基とリジンε-アミノ基の環化によるラクタム形成、炭化水素の「ステープル留め」(例えば、アルファ-へリックス高次構造を安定化させるもの)、及びグルタミン又はアスパラギンの脱アミド化が含まれる。末端アミン基の修飾には、非限定的に、デスアミノ、N-低級アルキル、N-ジ-低級アルキル、拘束アルキル(例えば分枝状、環状、縮合、アダマンチル)、及びN-アシル修飾が含まれる。末端カルボキシ基の修飾としては、非限定的に、アミド、低級アルキルアミド、拘束アルキル(例えば、分岐状、環状、縮合、アダマンチル)アルキル、ジアルキルアミド、及び低級アルキルエステル修飾が含まれる。低級アルキルは、C1~C4アルキルである。さらに、1つ以上の側基、又は末端基は、当業者のペプチド化学者に公知の保護基によって保護することができる。アミノ酸のα-炭素は、モノメチル化又はジメチル化されていてもよい。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「保存的」アミノ酸置換は、ペプチド又はポリペプチド中のアミノ酸の、サイズ又は電荷などの類似の化学的特性を有する別のアミノ酸による置換を指す。本開示の目的のために、以下の8個の群の各々は、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)及びグリシン(G)、
2)アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)、
3)アスパラギン(N)及びグルタミン(Q)、
4)アルギニン(R)及びリジン(K)、
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、及びバリン(V)、
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)、
7)セリン(S)及びトレオニン(T)、並びに
8)システイン(C)及びメチオニン(M)。
【0051】
天然に存在する残基は、共通の側基の特性に基づいて、例えば以下のようなクラスに分類することができる:極性正電荷(ヒスチジン(H)、リジン(K)、及びアルギニン(R))、極性負電荷(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E))、極性中性(セリン(S)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q))、非極性脂肪族(アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M))、非極性芳香族(フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W))、プロリン及びグリシン、並びにシステイン。本明細書で使用されるとき、「半保存的」アミノ酸置換は、ペプチド又はポリペプチド中のアミノ酸の、同じクラス内の別のアミノ酸による置換を指す。
【0052】
いくつかの実施形態では、別段の定めがない限り、保存的又は半保存的アミノ酸置換はまた、天然の残基と同様の化学的特性を有する天然に存在しないアミノ酸残基も包含し得る。これらの非天然の残基は、典型的には生物系における合成よりもむしろ化学的ペプチド合成によって組み込まれる。これらには、ペプチド模倣物及び他の逆又は逆の形態のアミノ酸部分が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における実施形態は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及びアミノ酸類似体を含む。例えば、ノル-ロイシンをメチオニンの代わりに使用することができる。
【0053】
非保存的置換は、あるクラスのメンバーの別のクラスからのメンバーへの交換を含み得る。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「配列同一性」という用語は、2つのポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸など)がモノマーサブユニットの同じ連続組成を有する程度を指す。「配列類似性」という用語は、2つのポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸など)が保存的及び/又は半保存的アミノ酸置換によってのみ異なる程度を指す。「配列同一性パーセント」(又は「配列類似性パーセント」)は、以下によって計算される。(1)比較のウインドウ(例えば、より長い配列の長さ、より短い配列の長さ、指定されたウインドウなど)にわたって2つの最適にアラインされた配列を比較すること、(2)一致する位置の数を得るために、同一(又は類似)のモノマーを含む(例えば、同じアミノ酸が両方の配列に存在する、類似のアミノ酸が両方の配列に存在する)位置の数を決定すること、(3)一致した位置の数を比較ウインドウ(例えば、より長い配列の長さ、より短い配列の長さ、指定されたウインドウ)内の位置の総数で割ること、及び(4)結果に100を掛けて、配列同一性パーセント又は配列類似性パーセントを得ること。例えば、ペプチドAとBが両方とも20アミノ酸長であり、1つの位置を除いて全く同一のアミノ酸を有する場合、ペプチドAとペプチドBは95%の配列同一性を有する。同一でない位置のアミノ酸が同じ生物物理学的特徴を共有していた(例えば、両方とも酸性であった)場合、ペプチドAとペプチドBは100%の配列類似性を有するであろう。別の例として、ペプチドCが20アミノ酸長であり、ペプチドDが15アミノ酸長であり、そしてペプチドD中の15アミノ酸のうち14アミノ酸がペプチドCの一部のそれらと同一である場合、ペプチドCとDは、70%の配列同一性を有するが、ペプチドDは、ペプチドCの最適な比較ウインドウに対して、93.3%の配列同一性を有する。本明細書中の「配列同一性パーセント」(又は「配列類似性パーセント」)を計算する目的のために、アラインされた配列中のあらゆるギャップはその位置でのミスマッチとして扱われる。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「グループ化された残基」という用語は、三次元空間において物理的に一緒に配置されているペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質内の一組のアミノ酸を指す。グループ化された残基は、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の一次配列において連続していてもいなくてもよい。残基は、球状ドメイン中にグループ化され得るか、同じ表面上に存在し得るか、あるいはペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質内の二次構造(例えば、アルファヘリックス)又は三次構造の同じ末端若しくは同じ側に提示され得る。いくつかの実施形態では、物理的に一緒に配置されることに加えて、グループ化された残基はまた、残基の特性(例えば、サイズ、極性電荷など)においてある程度の類似性を示す。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「疎水性モーメント(μH)」は、ヘリックスの両親媒性の尺度を指す。マルチドメインペプチド又はペプチド類似体における両親媒性の程度(すなわち、疎水性の非対称性の程度)は、両親媒性αヘリックスドメインの各々の疎水性モーメント(μH)を計算することによって定量化することができる。特定のペプチド配列についてμHを計算する方法は当技術分野において周知であり、例えば、Eisenbergら、Faraday Symp. Chem. Soc.17: 109~120ページ、1982;Eisenbergら、PNAS 81:140~144、1984;及び Eisenbergら、J. Mal. Biol. 179:125~142、1984に記載されている。特定のペプチド配列について得られる実際のμHは、ペプチドを構成するアミノ酸残基の総数に依存する。異なる長さのペプチドの両親媒性は、平均疎水性モーメントによって直接比較することができる。残基当たりの平均疎水性モーメントは、μHをペプチド中の残基の数で割ることによって得ることができる。
【0057】
別段の定めがない限り、「apoC-II」(同義語でapoC2」)はヒトアポリポタンパク質C-IIを指す。残基は、本明細書では、シグナル配列の切断後のヒトapoC-IIタンパク質の成熟79アミノ酸形態におけるそれらの位置に従って付番する。成熟アポリポタンパク質C-IIタンパク質は、3つのヘリックス:ヘリックス1、残基17~38、ヘリックス2、残基45~57、及びヘリックス3、残基65~74/75、を含む79アミノ酸タンパク質である(Zdunekら、Biochemistry 42: 1872~1889ページ、2003)。apoC-IIのリパーゼ活性化領域は、これまでに、約残基56から、配列のC末端ドメインに局在化されており、一方で、配列のN末端ドメイン(残基1~50)は脂質結合に関与している。様々な種由来のapoC-IIオーソログの核酸及びタンパク質配列は、公的に入手可能である。ヒトapoC-II前駆体に対するGenBank NCBI受託番号は、NP_000474である。成熟ヒトapoC-II、ヒトapoC-IIのアミノ酸残基40~79、及びヒトapoC-IIの天然ヘリックス1~3のアミノ酸配列を以下の表1に示す。
【0058】
【0059】
別段の定めがない限り、「LPL」は、リポタンパク質リパーゼを指す。ヒトLPLタンパク質に対するGenBank NCBI受託番号は、NP_000228である。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は、ヒト及び非ヒト動物(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、家禽、魚類、甲殻類など)を含むがこれらに限定されない任意の動物を広く指す。本明細書で使用されるとき、「患者」という用語は、通常、疾患又は状態について治療を受けている対象を指す。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「有効量」という用語は、有益な効果又は所望の結果をもたらすのに十分な組成物(例えば、合成ペプチド)の量を指す。有効量は、1以上の投与、適用又は投与量で投与することができ、特定の製剤又は投与経路に限定されることを意図しない。
【0062】
本明細書で使用されるとき、用語「投与」及び「投与すること」は、薬物、プロドラッグ、又は他の薬剤、又は治療的処置(例えば、合成ペプチド)を対象、又はインビボ、インビトロ若しくはエクスビボの細胞、組織、及び臓器に与える行為を指す。人体への例示的な投与経路は、脳又は脊髄のくも膜下の空間(髄腔内)、眼(眼内)、口(経口)、皮膚(局所又は経皮)、鼻(鼻内)、肺(吸入)、口腔粘膜(頬側又は舌側)、耳、直腸、膣内、注射(例えば、静脈内、皮下、腫瘍内、腹腔内など)などによるものであり得る。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「共投与」及び「共投与すること」という用語は、少なくとも2つの薬剤 (例えば、複数の合成ペプチド又は合成ペプチドと別の治療剤)又は療法の、対象に対する投与を指す。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤又は療法の共投与は同時である。他の実施形態では、第1の薬剤/療法は、第2の薬剤/療法より前に投与される。当業者は、使用される様々な薬剤又は療法の製剤及び/又は投与経路が変動し得ることを理解するであろう。共投与のための適切な投与量は、当業者によって容易に決定され得る。いくつかの実施形態では、薬剤又は療法が共投与されるとき、それぞれの薬剤又は療法はそれらの単独投与に適した量よりも低い投与量で投与される。したがって、共投与は、薬剤又は療法の共投与が、潜在的に有害な(例えば毒性の)薬剤(複数可)の必要投与量を低下させる実施形態で、及び/又は2つ以上の薬剤の共投与が、他の薬剤の共投与により、薬剤のうちの一方の有益な効果に対する対象の感受性化をもたらすときに、特に望ましい。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「治療」という用語は、有益な又は意図された臨床結果を得るためのアプローチを意味する。有益な又は意図された臨床結果は、症状の軽減、疾患の重症度の低減、疾患若しくは状態の根本的な原因の阻害、進行していない状態での疾患の安定化、疾患の進行の遅延、及び/又は疾患状態の改善若しくは軽減を含み得る。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「医薬組成物」という用語は、活性剤(例えば、apoC-II模倣ペプチド)と不活性又は活性の担体との組合せを指し、組成物をインビトロ、インビボ、又はエクスビボでの治療又は診断の用途に特に適したものにする。
【0066】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」という用語は、本明細書で使用されるとき、対象に投与したときに、有害な反応、例えば毒性、アレルギー、又は免疫学的反応を実質的に生じない組成物を指す。
【0067】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルション(例えば、油/水又は水/油エマルションなど)、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン及びそれらの混合物などの非プロトン性溶媒、並びに各種の湿潤剤、可溶化剤、抗酸化剤、増量剤、アルブミンなどのタンパク質担体、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、ラウリル硫酸ナトリウム、等張化剤及び吸収遅延剤、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン又はスターチグリコール酸ナトリウム)などを含むがこれらに限定されない、任意の標準的な薬学的な担体を指す。組成物は、安定剤及び保存剤も含み得る。担体、安定化剤、及びアジュバントの例としては、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences、第21版、Mack Publ. Co.、 Easton、Pa. (2005)を参照されたい。
【0068】
1.1.ApoC-II模倣ペプチド
第1の態様では、本明細書において、単離されたapoC-II模倣ペプチドが開示される。
【0069】
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、複数のヘリックスドメインを含むマルチヘリックスのペプチドである。いくつかのマルチヘリックスの実施形態では、1つ以上のヘリックスドメインは両親媒性であり、脂質及び/又はリポタンパク質の表面に結合することができる。ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、2つのヘリックスドメインを含む二ヘリックスのペプチドである。いくつかの二ヘリックスの実施形態では、少なくとも1つのヘリックスドメインは両親媒性である。いくつかの二ヘリックスの実施形態では、一方のヘリックスドメインは両親媒性であり、他方のヘリックスドメインは球状タンパク質に見られるタイプGのヘリックスである。
【0070】
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、単一ヘリックスのペプチドである。これらの実施形態のいくつかでは、ヘリックスドメインは両親媒性である。これらの実施形態の他のいくつかでは、ヘリックスドメインはタイプGのヘリックスである。
【0071】
様々な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは75アミノ酸以下である。ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは70アミノ酸以下である。ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは60アミノ酸以下である。ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは50アミノ酸以下である。ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは40アミノ酸以下である。ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは30アミノ酸以下である。ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは20アミノ酸以下である。
【0072】
典型的な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、第1のヘリックスドメイン、ヒンジ領域、及び第2のヘリックスドメインを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、N末端からC末端に向けて、順に、第1のヘリックスドメイン、ヒンジ領域、及び第2のヘリックスドメインを含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1のヘリックスドメインは両親媒性である。これらの実施形態のいくつかでは、第2のヘリックスドメインは球状ヘリックスを形成する。これらの実施形態のうちのある特定のものでは、第1のヘリックスドメインは両親媒性であり、第2のヘリックスドメインは球状ヘリックスを形成する。
【0074】
いくつかの実施形態では、第1のドメインはリポタンパク質への結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第2のドメインは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を活性化することができる。ある特定の実施形態では、第1のドメインはリポタンパク質への結合親和性を有し、第2のドメインはリポタンパク質リパーゼ(LPL)を活性化することができる。
【0075】
ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、LPLによる脂肪分解を活性化することができる。ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、リポタンパク質からapoC-IIIを置き換えることができる。
【0076】
様々な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドはインビボでトリグリセリド(TG)レベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは、LPL欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは、apoC-IIIの上昇によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる。これらの実施形態のいくつかでは、ペプチドは、apoC-II欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる。これらの実施形態のさらなるいくつかでは、ペプチドは食後の上昇したTGレベルを低減させることができる。
【0077】
様々な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、配列番号6~52(表2)のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、配列番号6~52のいずれか1つに示すアミノ酸配列に対して、90%の配列類似性を有する。いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、配列番号6~52のいずれか1つに示すアミノ酸配列に対して、91%、92%、93%、94%、又は95%の配列類似性を有する。いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、配列番号6~52のいずれか1つに示すアミノ酸配列に対して、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性を有する。
【0078】
1.1.1.第1のヘリックスドメイン
様々な実施形態では、第1のヘリックスドメインは、リポタンパク質への結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、第1のヘリックスドメインは両親媒性である。これらの実施形態のある特定のものでは、ヘリックスドメインは、約6~約15、例えば、約7~約15、約8~約15、約9~約15、約10~約15、約11~約15、約12~約15、約13~約15、約14~約15、約8~約14、約9~約14、約10~約14、約11~約14、約12~約14、約13~約14、約8~約13、約9~約13、約10~約13、約11~約13、約12~約13、約8~約12、約9~約12、約10~約12、約11~約12、約8~約11、約9~約11、約10~約11、約8~約10、約9~約10、又は約8~約9の疎水性モーメントスコアを有する。ペプチドの疎水性モーメントは、rzlab.ucr.edu/scripts/wheel/wheel.cgiなどのオンラインツールで計算することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第1のヘリックスドメインは、apoC-IIタンパク質の天然のヘリックス1である。apoC-IIタンパク質のヘリックス1は、成熟79アミノ酸apoC-IIタンパク質のそれらの位置に従って付番された、アミノ酸残基17~38(配列番号3)からなる。他のいくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第1のヘリックスドメインは、apoC-IIタンパク質のヘリックス1のバリアントである。
【0080】
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第1のヘリックスドメインは、apoC-IIタンパク質の天然のヘリックス2である。apoC-IIタンパク質のヘリックス2は、成熟79アミノ酸apoC-IIタンパク質のそれらの位置に従って付番された、アミノ酸残基45~57(配列番号4)からなる。他のいくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第1のヘリックスドメインは、apoC-IIタンパク質のヘリックス2のバリアントである。ある特定の実施形態では、apoC-IIタンパク質のヘリックス2のバリアントは、apoC-IIタンパク質の天然のヘリックス2の少なくとも1つの修飾を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIタンパク質のヘリックス2のバリアントは、apoC-IIタンパク質の天然のヘリックス2の複数の修飾を含む。様々な実施形態では、各修飾は、伸長、短縮、変異、及び/又は化学修飾から独立して選択される。
【0081】
他のいくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第1のヘリックスドメインは、apoC-II以外のアポリポタンパク質上に、又は脂質に結合することができる他のタンパク質から見出される両親媒性ヘリックスのバリアントである。
【0082】
1.1.1.1.ApoC-IIのヘリックス2の伸長
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の伸長を含む。様々な実施形態では、伸長は、apoC-IIの天然のヘリックス2と比較して、apoC-IIのヘリックス2のバリアントの両親媒性を増加させる。いくつかの実施形態では、伸長は、apoC-IIのヘリックス2のバリアントのリポタンパク質への結合親和性を増加させる。
【0083】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において伸長している。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において1~20アミノ酸伸長している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において1~10アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において1アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において2アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において3アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において4アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において5アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において6アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において7アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において8アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において9アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において10アミノ酸伸長している。
【0084】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2がN末端において1アミノ酸伸長しているとき、伸長しているアミノ酸はアスパラギン酸である。
【0085】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2がN末端において2アミノ酸伸長しているとき、伸長しているアミノ酸は、N末端からC末端に向けて、リジン及びアラニンである。
【0086】
典型的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において5アミノ酸伸長している。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、ヒトapoC-IIの天然の上流アミノ酸配列によって伸長している。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、ヒトapoC-IIの天然の上流アミノ酸配列の変異体によって伸長している。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、成熟79アミノ酸ヒトapoC-IIタンパク質中のそれらの位置に従って付番されて、40~44位にある。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは40位にアスパラギン酸を含む。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは41位にチロシン又はトリプトファンを含む。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは42位にロイシンを含む。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは43位にリジン又はアルギニンを含む。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは44位にアラニン又はグルタミン酸を含む。
【0087】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2がN末端において5アミノ酸伸長しているとき、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、40位にアスパラギン酸、41位にチロシン、42位にロイシン、43位にリジン、44位にグルタミン酸を含む。
【0088】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2がN末端において5アミノ酸伸長しているとき、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、40位にアスパラギン酸、41位にチロシン、42位にロイシン、43位にリジン、44位にアラニンを含む。
【0089】
1.1.1.2.ApoC-IIのヘリックス2の短縮
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の短縮を含む。様々な実施形態では、短縮は、apoC-IIの天然のヘリックス2と比較して、apoC-IIのヘリックス2のバリアントの両親媒性を増加させる。いくつかの実施形態では、短縮は、apoC-IIのヘリックス2のバリアントのリポタンパク質への結合親和性を増加させる。
【0090】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において短縮されている。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において1~12アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において1アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において2アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において3アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において4アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において5アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において6アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において7アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において8アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において9アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において10アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において11アミノ酸短縮されている。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2は、N末端において12アミノ酸短縮されている。
【0091】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2がN末端において2アミノ酸短縮されているとき、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~46が欠失している。
【0092】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2がN末端において4アミノ酸短縮されているとき、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~48が欠失している。
【0093】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2がN末端において5アミノ酸短縮されているとき、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~49が欠失している。
【0094】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2がN末端において6アミノ酸短縮されているとき、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~50が欠失している。
【0095】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2がN末端において9アミノ酸短縮されているとき、apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~53が欠失している。
【0096】
1.1.1.3.ApoC-IIのヘリックス2の変異
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の少なくとも1つの変異を含む。様々な実施形態では、変異は、apoC-IIの天然のヘリックス2と比較して、apoC-IIのヘリックス2のバリアントの両親媒性を増加させる。いくつかの実施形態では、変異は、apoC-IIのヘリックス2のバリアントのリポタンパク質への結合親和性を増加させる。
【0097】
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の1つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の2つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の3つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の4つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の5つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、apoC-IIのヘリックス2の5つを超える変異を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、変異はアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、変異はアミノ酸挿入である。いくつかの実施形態では、変異はアミノ酸欠失である。
【0099】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸は天然アミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸は非天然アミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸はアミノ酸類似体で置換されている。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸は化学修飾されたアミノ酸で置換されている。
【0100】
様々な実施形態では、アミノ酸置換は保存的置換又は半保存的置換である。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、得られるペプチドの活性及び/又は構造に最小限の影響しか及ぼさない。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は、例えば、ヘリックス高次構造として、置換領域のペプチド骨格の構造を維持する。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は標的部位における分子の電荷又は疎水性を維持する。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は、アミノ酸側基の嵩を維持する。
【0101】
様々な実施形態では、アミノ酸置換は非保存的置換である。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換はペプチド特性に有意な変化をもたらす。ある特定の実施形態では、親水性残基は疎水性残基で置換されている。他のある特定の実施形態では、疎水性残基は親水性残基で置換されている。ある特定の実施形態では、システイン又はプロリンは別の残基によって置換されている。ある特定の他の実施形態では、非システイン又は非プロリンはシステイン又はプロリンによって置換されている。ある特定の実施形態では、正電荷の側基を有する残基は、負電荷の残基によって置換されている。ある特定の他の実施形態では、負電荷の側基を有する残基は、正電荷の残基によって置換されている。ある特定の実施形態では、嵩高い側基を有する残基は、側基を有さない残基によって置換されている。ある特定の他の実施形態では、側基を有さない残基は、嵩高い側基を有する残基によって置換されている。
【0102】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は45位にある。いくつかの実施形態では、45位のバリンがフェニルアラニンで置換されている。
【0103】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は46位にある。いくつかの実施形態では、46位のアスパラギン酸がフェニルアラニンで置換されている。いくつかの実施形態では、46位のアスパラギン酸がリジンで置換されている。いくつかの実施形態では、46位のアスパラギン酸がアミノイソ酪酸で置換されている。
【0104】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は47位にある。
【0105】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は48位にある。いくつかの実施形態では、48位のリジンがアルギニンで置換されている。
【0106】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は49位にある。いくつかの実施形態では、49位のロイシンがリジンで置換されている。これらの実施形態のいくつかでは、リジンは脂肪酸で修飾されている。
【0107】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は50位にある。いくつかの実施形態では、50位のアルギニンがリジンで置換されている。
【0108】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は51位にある。
【0109】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は52位にある。
【0110】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は53位にある。いくつかの実施形態では、53位のチロシンがロイシンで置換されている。
【0111】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は54位にある。いくつかの実施形態では、54位のセリンがグルタミン酸で置換されている。いくつかの実施形態では、54位のセリンがリジンで置換されている。いくつかの実施形態では、54位のセリンがアスパラギン酸で置換されている。
【0112】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は55位にある。いくつかの実施形態では、55位のリジンがアルギニンで置換されている。
【0113】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は56位にある。いくつかの実施形態では、56位のセリンがフェニルアラニンで置換されている。いくつかの実施形態では、56位のセリンがリジンで置換されている。いくつかの実施形態では、56位のセリンがアラニンで置換されている。いくつかの実施形態では、56位のセリンがアミノイソ酪酸で置換されている。
【0114】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は57位にある。いくつかの実施形態では、57位のトレオニンがフェニルアラニンで置換されている。
【0115】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは2個のアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は46位及び56位にある。これらの実施形態のいくつかでは、46位のアスパラギン酸はフェニルアラニンで置換され、56位のセリンはフェニルアラニンで置換されている。
【0116】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは3個のアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は46位、54位、及び56位にある。これらの実施形態のいくつかでは、46位のアスパラギン酸はフェニルアラニンで置換され、54位のセリンはグルタミン酸で置換され、56位のセリンはフェニルアラニンで置換されている。
【0117】
1.1.1.4.ApoC-IIのヘリックス2のバリアントの化学修飾
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス2のバリアントは、少なくとも1つの化学修飾を含む。様々な実施形態では、化学修飾は、apoC-IIの天然のヘリックス2と比較して、apoC-IIのヘリックス2のバリアントの両親媒性を増加させる。いくつかの実施形態では、化学修飾は、apoC-IIのヘリックス2のバリアントのリポタンパク質への結合親和性を増加させる。
【0118】
いくつかの実施形態では、化学修飾は、第1のドメインのN末端においてである。様々な実施形態では、N末端のアミノ終端は、様々な官能基とのコンジュゲーションによって修飾することができる。アポリポタンパク質の合成ペプチド模倣物の末端電荷の中和は、それらの脂質親和性を増加させることが示されている(Yanceyら、Biochem. 34:7955~7965ページ、1995;Venkatachalapathiら、Protein: Structure, Function and Genetics 15:349~359ページ、1993)。例えば、両親媒性ペプチドのアミノ末端のアセチル化はペプチドの脂質親和性を増加させる(Mishraら、J. Biol. Chem. 269:7185~7191ページ、1994)。他の可能な末端修飾は、例えば、Brouilletteら、Biochem. Biophys. Acta 1256: 103~129ページ、1995;Mishraら、J. Biol. Chem. 269:7185~7191ページ、1994;及びMishraら、J. Biol. Chem. 270:1602~1611ページ、1995に記載されている。
【0119】
いくつかの実施形態では、化学修飾は第1のドメインのアミノ酸側基においてである。アミノ酸側基における修飾には、非限定的に、リジンε-アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、又はリジンのN-アルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸のカルボン酸基のアルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸側基カルボキシル基とリジンε-アミノ基の環化によるラクタム形成、炭化水素の「ステープル留め」(例えば、アルファ-へリックス高次構造を安定化させるもの)、及びグルタミン又はアスパラギンの脱アミド化が含まれる。いくつかの実施形態では、第1のドメインは、アルキル、低級アルキル、環式4、5、6~7員アルキル、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、及びそれらの低級エステル誘導体のような他の側基、並びに4、5、6~7員複素環で1つ以上の側基を置換することによって修飾されている。例えば、プロリン残基の環サイズが5員環から4、6、又は7員環に変化しているプロリン類似体を作製することができる。環式基は、飽和又は不飽和であり得、不飽和の場合、芳香族又は非芳香族であり得る。複素環基は、1個以上の窒素、酸素、及び/又は硫黄のヘテロ原子を含有し得る。そのような基の例には、フラザニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル(例えば、モルホリノ)、オキサゾリル、ピペラジニル(例えば、1-ピペラジニル)、ピペリジル(例えば、1-ピペリジル、ピペリジノ)、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル)、ピロリニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル(例えば、チオモルホリノ)、及びトリアゾリル基が含まれる。これらの複素環基は置換されていても非置換でもよい。基が置換されている場合、置換基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素、又は置換若しくは非置換のフェニルであり得る。米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号、及び米国特許第4,179,337号に記載されているように、ペプチド、並びにペプチド類似体及び模倣物はまた、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルケンなどの1つ以上の様々な非タンパク質性ポリマーに共有結合され得る。
【0120】
ある特定の実施形態では、化学修飾は非共有結合修飾である。ある特定の他の実施形態では、化学修飾は修飾アミノ酸に共有結合している。様々な実施形態では、化学修飾はリン酸化、グリコシル化、又は脂質化であり得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、化学修飾は脂肪酸の共有結合である。ある特定の実施形態では、脂肪酸は飽和している。ある特定の他の実施形態では、脂肪酸は不飽和である。
【0122】
様々な実施形態では、脂肪酸は2~30個の炭素、例えば、4~26個の炭素、6~24個の炭素、10~20個の炭素、12~18個の炭素、及び14~16個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は6個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は7個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は8個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は9個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は10個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は11個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は12個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は13個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は14個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は15個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は16個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は17個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は18個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は19個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は20個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は21個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は22個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は23個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は24個の炭素を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸は、1、2、3、4、5、又は6個の二重結合を有する。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はアラキドン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はリノール酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はオレイン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はパルミトレイン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はリノレン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はドコサヘキサエン酸である。
【0124】
具体的な実施形態では、脂肪酸はパルミチン酸である。具体的な実施形態では、脂肪酸はステアリン酸である。
【0125】
ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、N末端アミノ酸に共有結合しているステアリン酸を含む。これらの実施形態のいくつかでは、N末端アミノ酸はアスパラギン酸である。
【0126】
ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、リジン残基の側基に共有結合しているステアリン酸を含む。具体的な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドが46位にリジンを含むとき、ステアリン酸は46位のリジン残基に共有結合している。具体的な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドが49位にリジンを含むとき、ステアリン酸は49位のリジン残基に共有結合している。具体的な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドが56位にリジンを含むとき、ステアリン酸は56位のリジン残基に共有結合している。
【0127】
1.1.2.ヒンジ領域
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、第1のヘリックスドメインと第2のヘリックスドメインとをつなぐヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は、第1のヘリックスドメインと第2のヘリックスドメインとを機能的に分離する。様々な実施形態において、ヒンジ領域は、LPL活性化活性を有する第2のドメインがそれ自体をリポタンパク質のミセル表面に結合するのを助ける。ある特定の実施形態において、ヒンジ領域は、第1のヘリックスドメイン及び第2のヘリックスドメインがほぼ直線の高次構造を保持することを可能にし、第2のドメインは、約20°以下の角度、例えば、約15°以下、約10°以下、又は約5°以下の角度で第1のドメインから離れて曲がっている。
【0128】
1.1.2.1.ヒンジ領域のアミノ酸組成
様々な実施形態では、ヒンジ領域は、3~15アミノ酸、例えば、4~12アミノ酸、5~10アミノ酸、6~9アミノ酸、又は7~8アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は3アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は4アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は5アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は6アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は7アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は8アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は9アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は10アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は11アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は12アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は13アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は14アミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は15アミノ酸を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は天然アミノ酸を含む。いくつかの実施形態ではヒンジ領域は非天然アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域はアミノ酸類似体を含む。
【0130】
様々な実施形態では、ヒンジ領域はプロリンを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域はヒドロキシルプロリンを含む。2つのヘリックスドメインを機能的に分離する他の適切なアミノ酸(例えば、グリシン、セリン、トレオニン、及びアラニン)もまた使用され得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、ヒンジ領域はプロリンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、58位にプロリンを含む。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域はアラニンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、58位にアラニンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、59位にアラニンを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域はノルロイシンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、60位にノルロイシンを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域はリジンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、60位にリジンを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域はメチオニンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、60位にメチオニンを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域はセリンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、61位にセリンを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域はトレオニンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、62位にトレオニンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、64位にトレオニンを含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域はチロシンを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒンジ領域は、63位にチロシンを含む。
【0132】
1.1.2.2.ヒンジ領域の化学修飾
ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は少なくとも1つの化学修飾を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、化学修飾はヒンジ領域のアミノ酸側基においてである。アミノ酸側基における修飾には、非限定的に、リジンε-アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、又はリジンのN-アルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸のカルボン酸基のアルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸側基カルボキシル基とリジンε-アミノ基の環化によるラクタム形成、炭化水素の「ステープル留め」(例えば、アルファ-へリックス高次構造を安定化させるもの)、及びグルタミン又はアスパラギンの脱アミド化が含まれる。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、アルキル、低級アルキル、環式4、5、6~7員アルキル、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、及びそれらの低級エステル誘導体のような他の側基、並びに4、5、6~7員複素環で1つ以上の側基を置き換えることによって修飾されている。例えば、プロリン残基の環サイズが5員環から4、6、又は7員環に変化しているプロリン類似体を作製することができる。環式基は、飽和又は不飽和であり得、不飽和の場合、芳香族又は非芳香族であり得る。複素環基は、1個以上の窒素、酸素、及び/又は硫黄のヘテロ原子を含有し得る。そのような基の例には、フラザニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル(例えば、モルホリノ)、オキサゾリル、ピペラジニル(例えば、1-ピペラジニル)、ピペリジル(例えば、1-ピペリジル、ピペリジノ)、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル)、ピロリニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル(例えば、チオモルホリノ)、及びトリアゾリル基が含まれる。これらの複素環基は置換されていても非置換でもよい。基が置換されている場合、置換基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素、又は置換若しくは非置換のフェニルであり得る。米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号、及び米国特許第4,179,337号に記載されているように、ペプチド、並びにペプチド類似体及び模倣物はまた、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルケンなどの1つ以上の様々な非タンパク質性ポリマーに共有結合され得る。
【0134】
ある特定の実施形態では、化学修飾は非共有結合修飾である。ある特定の他の実施形態では、化学修飾は共有結合している。様々な実施形態では、化学修飾はリン酸化、グリコシル化、又は脂質化であり得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、化学修飾は脂肪酸の共有結合である。ある特定の実施形態では、脂肪酸は飽和している。ある特定の他の実施形態では、脂肪酸は不飽和である。
【0136】
様々な実施形態では、脂肪酸は2~30個の炭素、例えば、4~26個の炭素、6~24個の炭素、10~20個の炭素、12~18個の炭素、及び14~16個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は6個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は7個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は8個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は9個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は10個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は11個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は12個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は13個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は14個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は15個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は16個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は17個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は18個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は19個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は20個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は21個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は22個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は23個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は24個の炭素を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸は、1、2、3、4、5、又は6個の二重結合を有する。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はアラキドン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はリノール酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はオレイン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はパルミトレイン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はリノレン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はドコサヘキサエン酸である。
【0138】
具体的な実施形態では、脂肪酸はパルミチン酸である。具体的な実施形態では、脂肪酸はステアリン酸である。
【0139】
ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、リジン残基の側基に共有結合しているパルミチン酸を含む。具体的な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドが60位にリジンを含むとき、パルミチン酸は60位のリジン残基に共有結合している。
【0140】
1.1.3.第2のヘリックスドメイン
いくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第2のヘリックスドメインは、apoC-IIタンパク質の天然のヘリックス3である。apoC-IIタンパク質のヘリックス3は、成熟79アミノ酸apoC-IIタンパク質のそれらの位置に従って付番された、アミノ酸残基65~74/75(配列番号5)からなる。他のいくつかの実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドの第2のヘリックスドメインは、apoC-IIタンパク質のヘリックス3のバリアントである。
【0141】
ある特定の実施形態では、apoC-IIタンパク質のヘリックス3のバリアントは、apoC-IIタンパク質の天然のヘリックス3の修飾を含む。様々な実施形態では、修飾は、伸長、短縮、変異、及び化学修飾を含む。
【0142】
1.1.3.1.ApoC-IIのヘリックス3の伸長
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の伸長を含む。いくつかの実施形態では、伸長は、LPLによる脂肪分解を活性化するapoC-IIのヘリックス3のバリアントの能力を向上させる。
【0143】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において伸長している。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において1~20アミノ酸伸長している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において1~10アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において1アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において2アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において3アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において4アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において5アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において6アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において7アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において8アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において9アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において10アミノ酸伸長している。
【0144】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3がC末端において4アミノ酸伸長しているとき、アミノ酸は、N末端からC末端に向けて、リジン、グリシン、グルタミン酸、及びグルタミン酸である。
【0145】
具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3がC末端において4アミノ酸伸長しているとき、アミノ酸は、N末端からC末端に向けて、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、及びグルタミン酸である。
【0146】
1.1.3.2.ApoC-IIのヘリックス3の変異
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の少なくとも1つの変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、LPLによる脂肪分解を活性化するapoC-IIのヘリックス3のバリアントの能力を向上させる。
【0147】
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の1つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の2つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の3つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の4つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の5つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の5つを超える変異を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、変異はアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、変異はアミノ酸挿入である。いくつかの実施形態では、変異はアミノ酸欠失である。
【0149】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸は天然アミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸は非天然アミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸はアミノ酸類似体で置換されている。
【0150】
様々な実施形態では、アミノ酸置換は保存的置換又は半保存的置換である。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、得られるペプチドの活性及び/又は構造に最小限の影響しか及ぼさない。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は、例えば、ヘリックス高次構造として、置換領域のペプチド骨格の構造を維持する。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は標的部位における分子の電荷又は疎水性を維持する。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は、アミノ酸側基の嵩を維持する。
【0151】
様々な実施形態では、アミノ酸置換は非保存的置換である。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換はペプチド特性に有意な変化をもたらす。ある特定の実施形態では、親水性残基は疎水性残基で置換されている。ある特定の他の実施形態では、疎水性残基は親水性残基で置換されている。ある特定の実施形態では、システイン又はプロリンは別の残基によって置換されている。ある特定の他の実施形態では、非システイン又は非プロリンはシステイン又はプロリンによって置換されている。ある特定の実施形態では、正電荷の側基を有する残基は、負電荷の残基によって置換されている。ある特定の他の実施形態では、負電荷の側基を有する残基は、正電荷の残基によって置換されている。ある特定の実施形態では、嵩高い側基を有する残基は、側基を有さない残基によって置換されている。ある特定の他の実施形態では、側基を有さない残基は、嵩高い側基を有する残基によって置換されている。
【0152】
ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は70位にある。これらの実施形態のいくつかでは、70位のグルタミンがアルギニンで置換されている。これらの実施形態の他のいくつかでは、70位のグルタミンがリジンで置換されている。
【0153】
1.1.3.3.ApoC-IIのヘリックス3のバリアントの化学修飾
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、少なくとも1つの化学修飾を含む。いくつかの実施形態では、化学修飾は、LPLによる脂肪分解を活性化するヘリックス3のバリアントの能力を向上させる。
【0154】
いくつかの実施形態では、化学修飾は、第2のドメインのC末端においてである。様々な実施形態では、C末端のカルボキシル終端は、様々な官能基とのコンジュゲーションによって修飾することができる。アポリポタンパク質の合成ペプチド模倣物の末端電荷の中和は、それらの脂質親和性を増加させることが示されている(Yanceyら、Biochem. 34:7955~7965、1995;Venkatachalapathiら、Protein: Structure, Function and Genetics 15:349~359、1993)。例えば、両親媒性ペプチドのアミノ末端のアセチル化はペプチドの脂質親和性を増加させる(Mishraら、J. Biol. Chem. 269:7185~7191、1994)。他の可能な末端修飾は、例えば、Brouilletteら、Biochem. Biophys. Acta 1256: 103~129ページ、1995;Mishraら、J. Biol. Chem. 269:7185~7191、1994;及びMishraら、J. Biol. Chem. 270:1602~1611、1995に記載されている。
【0155】
いくつかの実施形態では、化学修飾は第2のドメイン内のアミノ酸のアミノ酸側基においてである。アミノ酸側基における修飾には、非限定的に、リジンε-アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、又はリジンのN-アルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸のカルボン酸基のアルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸側基カルボキシル基とリジンε-アミノ基の環化によるラクタム形成、炭化水素の「ステープル留め」(例えば、アルファ-へリックス高次構造を安定化させるもの)、及びグルタミン又はアスパラギンの脱アミド化が含まれる。いくつかの実施形態では、第2のドメインは、アルキル、低級アルキル、環式4、5、6~7員アルキル、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、及びそれらの低級エステル誘導体のような他の側基、並びに4、5、6~7員複素環で1つ以上の側基を置き換えることによって修飾されている。例えば、プロリン残基の環サイズが5員環から4、6、又は7員環に変化しているプロリン類似体を作製することができる。環式基は、飽和又は不飽和であり得、不飽和の場合、芳香族又は非芳香族であり得る。複素環基は、1個以上の窒素、酸素、及び/又は硫黄のヘテロ原子を含有し得る。そのような基の例には、フラザニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル(例えば、モルホリノ)、オキサゾリル、ピペラジニル(例えば、1-ピペラジニル)、ピペリジル(例えば、1-ピペリジル、ピペリジノ)、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル)、ピロリニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル(例えば、チオモルホリノ)、及びトリアゾリル基が含まれる。これらの複素環基は置換されていても非置換でもよい。基が置換されている場合、置換基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素、又は置換若しくは非置換のフェニルであり得る。米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号、及び米国特許第4,179,337号に記載されているように、ペプチド、並びにペプチド類似体及び模倣物はまた、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルケンなどの1つ以上の様々な非タンパク質性ポリマーに共有結合され得る。
【0156】
ある特定の実施形態では、化学修飾は非共有結合修飾である。ある特定の他の実施形態では、化学修飾は共有結合している。様々な実施形態では、化学修飾はリン酸化、グリコシル化、又は脂質化であり得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、化学修飾は脂肪酸の共有結合である。ある特定の実施形態では、脂肪酸は飽和している。ある特定の他の実施形態では、脂肪酸は不飽和である。
【0158】
様々な実施形態では、脂肪酸は2~30個の炭素、例えば、4~26個の炭素、6~24個の炭素、10~20個の炭素、12~18個の炭素、及び14~16個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は6個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は7個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は8個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は9個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は10個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は11個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は12個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は13個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は14個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は15個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は16個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は17個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は18個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は19個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は20個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は21個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は22個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は23個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は24個の炭素を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸は、1、2、3、4、5、又は6個の二重結合を有する。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はアラキドン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はリノール酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はオレイン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はパルミトレイン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はリノレン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はドコサヘキサエン酸である。
【0160】
具体的な実施形態では、脂肪酸はパルミチン酸である。具体的な実施形態では、脂肪酸はステアリン酸である。
【0161】
ある特定の実施形態では、C末端アミノ酸はC末端アミドで修飾されている。これらの実施形態のいくつかでは、C末端アミノ酸はグルタミン酸である。
【0162】
1.1.4.単一ドメインのApoC-II模倣ペプチド
いくつかの実施形態では、apoC-II模倣ペプチドは、1つのヘリックスドメインからなる。これらの実施形態のいくつかでは、ヘリックスドメインは両親媒性である。これらの実施形態の他のいくつかでは、ヘリックスドメインは球状ヘリックスである。ある特定の実施形態では、apoC-II模倣ペプチドはapoC-IIタンパク質の天然のヘリックス3である。apoC-IIタンパク質のヘリックス3は、成熟79アミノ酸apoC-IIタンパク質のそれらの位置に従って付番された、アミノ酸残基65~74/75(配列番号5)からなる。ある特定の他の実施形態では、apoC-II模倣ペプチドはapoC-IIのヘリックス3のバリアントである。
【0163】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、40アミノ酸以下、例えば、30アミノ酸以下、又は20アミノ酸以下である。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIの天然のヘリックス3の修飾を含む。様々な実施形態では、修飾は、伸長、短縮、変異、及び化学修飾を含む。
【0164】
1.1.4.1.ApoC-IIのヘリックス3の伸長
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の伸長を含む。いくつかの実施形態では、伸長は、ヘリックス3のバリアントのリポタンパク質への結合親和性を増加させる。いくつかの実施形態では、伸長は、LPLによる脂肪分解を活性化するapoC-IIのヘリックス3のバリアントの能力を向上させる。
【0165】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において伸長している。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において1~20アミノ酸伸長している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において1~10アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において1アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において2アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において3アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において4アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において5アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において6アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において7アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において8アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において9アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において10アミノ酸伸長している。
【0166】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において伸長している。様々な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において1~20アミノ酸伸長している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において1~10アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において1アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において2アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において3アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において4アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において5アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において6アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において7アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において8アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において9アミノ酸伸長している。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、C末端において10アミノ酸伸長している。
【0167】
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端とC末端との両方において伸長している。具体的な実施形態では、apoC-IIのヘリックス3は、N末端において6アミノ酸、C末端において4アミノ酸伸長している。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIのヘリックス3がC末端において4アミノ酸伸長しているとき、アミノ酸は、N末端からC末端に向けて、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、及びグルタミン酸である。これらの実施形態のいくつかでは、apoC-IIのヘリックス3がN末端において6アミノ酸伸長しているとき、アミノ酸は、N末端からC末端に向けて、アラニン、メチオニン、セリン、トレオニン、チロシン、及びトレオニンである。これらの実施形態の他のいくつかでは、apoC-IIのヘリックス3がN末端において6アミノ酸伸長しているとき、アミノ酸は、N末端からC末端に向けて、アラニン、リジン、セリン、トレオニン、チロシン、及びトレオニンである。
【0168】
1.1.4.2.ApoC-IIのヘリックス3の変異
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の少なくとも1つの変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、ヘリックス3のバリアントのリポタンパク質への結合親和性を増加させる。いくつかの実施形態では、変異は、LPLによる脂肪分解を活性化するapoC-IIのヘリックス3のバリアントの能力を向上させる。
【0169】
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の1つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の2つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の3つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の4つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の5つの変異を含む。ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、apoC-IIのヘリックス3の5つを超える変異を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、変異はアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、変異はアミノ酸挿入である。いくつかの実施形態では、変異はアミノ酸欠失である。
【0171】
いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸は天然アミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸は非天然アミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸はアミノ酸類似体で置換されている。
【0172】
様々な実施形態では、アミノ酸置換は保存的置換又は半保存的置換である。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、得られるペプチドの活性及び/又は構造に最小限の影響しか及ぼさない。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は、例えば、ヘリックス高次構造として、置換領域のペプチド骨格の構造を維持する。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は標的部位における分子の電荷又は疎水性を維持する。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は、アミノ酸側基の嵩を維持する。
【0173】
様々な実施形態では、アミノ酸置換は非保存的置換である。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換はペプチド特性に有意な変化をもたらす。ある特定の実施形態では、親水性残基は疎水性残基で置換されている。ある特定の他の実施形態では、疎水性残基は親水性残基で置換されている。ある特定の実施形態では、システイン又はプロリンは別の残基によって置換されている。ある特定の他の実施形態では、非システイン又は非プロリンはシステイン又はプロリンによって置換されている。ある特定の実施形態では、正電荷の側基を有する残基は、負電荷の残基によって置換されている。ある特定の他の実施形態では、負電荷の側基を有する残基は、正電荷の残基によって置換されている。ある特定の実施形態では、嵩高い側基を有する残基は、側基を有さない残基によって置換されている。ある特定の他の実施形態では、側基を有さない残基は、嵩高い側基を有する残基によって置換されている。
【0174】
1.1.4.3.ApoC-IIのヘリックス3のバリアントの化学修飾
ある特定の実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、少なくとも1つの化学修飾を含む。いくつかの実施形態では、化学修飾は、ヘリックス3のバリアントのリポタンパク質への結合親和性を増加させる。いくつかの実施形態では、化学修飾は、LPLによる脂肪分解を活性化するヘリックス3のバリアントの能力を向上させる。
【0175】
いくつかの実施形態では、化学修飾は、apoC-IIのヘリックス3のバリアントのN末端においてである。いくつかの実施形態では、化学修飾は、apoC-IIのヘリックス3のバリアントのC末端においてである。様々な実施形態では、N末端のアミノ終端及び/又はC末端のカルボキシル終端は、様々な官能基とのコンジュゲーションによって修飾することができる。アポリポタンパク質の合成ペプチド模倣物の末端電荷の中和は、それらの脂質親和性を増加させることが示されている(Yanceyら、Biochem. 34:7955~7965ページ、1995;Venkatachalapathiら、Protein: Structure, Function and Genetics 15:349~359ページ、1993)。例えば、両親媒性ペプチドのアミノ末端のアセチル化はペプチドの脂質親和性を増加させる(Mishraら、J. Biol. Chem. 269:7185~7191ページ、1994)。他の可能な末端修飾は、例えば、Brouilletteら、Biochem. Biophys. Acta 1256: 103~129ページ、1995;Mishraら、J. Biol. Chem. 269:7185~7191、1994;及びMishraら、J. Biol. Chem. 270:1602~1611ページ、1995に記載されている。
【0176】
いくつかの実施形態では、化学修飾は、apoC-IIのヘリックス3のバリアントのアミノ酸側基においてである。アミノ酸側基における修飾には、非限定的に、リジンε-アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、又はリジンのN-アルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸のカルボン酸基のアルキル化、グルタミン酸又はアスパラギン酸側基カルボキシル基とリジンε-アミノ基の環化によるラクタム形成、炭化水素の「ステープル留め」(例えば、アルファ-へリックス高次構造を安定化させるもの)、及びグルタミン又はアスパラギンの脱アミド化が含まれる。いくつかの実施形態では、apoC-IIのヘリックス3のバリアントは、アルキル、低級アルキル、環式4、5、6~7員アルキル、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、及びそれらの低級エステル誘導体のような他の側基、並びに4、5、6~7員複素環で1つ以上の側基を置き換えることによって修飾されている。例えば、プロリン残基の環サイズが5員環から4、6、又は7員環に変化しているプロリン類似体を作製することができる。環式基は、飽和又は不飽和であり得、不飽和の場合、芳香族又は非芳香族であり得る。複素環基は、1個以上の窒素、酸素、及び/又は硫黄のヘテロ原子を含有し得る。そのような基の例には、フラザニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル(例えば、モルホリノ)、オキサゾリル、ピペラジニル(例えば、1-ピペラジニル)、ピペリジル(例えば、1-ピペリジル、ピペリジノ)、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル)、ピロリニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル(例えば、チオモルホリノ)、及びトリアゾリル基が含まれる。これらの複素環基は置換されていても非置換でもよい。基が置換されている場合、置換基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素、又は置換若しくは非置換のフェニルであり得る。米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号、及び米国特許第4,179,337号に記載されているように、ペプチド、並びにペプチド類似体及び模倣物はまた、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルケンなどの1つ以上の様々な非タンパク質性ポリマーに共有結合され得る。
【0177】
ある特定の実施形態では、化学修飾は非共有結合修飾である。ある特定の他の実施形態では、化学修飾は共有結合である。様々な実施形態では、化学修飾はリン酸化、グリコシル化、又は脂質化であり得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、化学修飾は脂肪酸の共有結合である。ある特定の実施形態では、脂肪酸は飽和している。ある特定の他の実施形態では、脂肪酸は不飽和である。
【0179】
様々な実施形態では、脂肪酸は2~30個の炭素、例えば、4~26個の炭素、6~24個の炭素、10~20個の炭素、12~18個の炭素、及び14~16個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は6個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は7個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は8個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は9個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は10個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は11個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は12個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は13個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は14個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は15個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は16個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は17個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は18個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は19個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は20個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は21個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は22個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は23個の炭素を含む。ある特定の実施形態では、脂肪酸は24個の炭素を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸は、1、2、3、4、5、又は6個の二重結合を有する。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はアラキドン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はリノール酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はオレイン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はパルミトレイン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はリノレン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸である。ある特定の実施形態では、不飽和脂肪酸はドコサヘキサエン酸である。
【0181】
具体的な実施形態では、脂肪酸はパルミチン酸である。具体的な実施形態では、脂肪酸はステアリン酸である。
【0182】
ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、N末端アミノ酸に共有結合しているステアリン酸を含む。これらの実施形態のいくつかでは、N末端アミノ酸はアラニンである。
【0183】
ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、リジン残基の側基に共有結合しているステアリン酸を含む。具体的な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドが60位にリジンを含むとき、ステアリン酸はリジン残基に共有結合している。具体的な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドが76位にリジンを含むとき、ステアリン酸はリジン残基に共有結合している。
【0184】
1.1.5.ApoC-II模倣ペプチドの調製
本明細書では、単離されたapoC-II模倣ペプチドを産生する方法もまた開示される。
【0185】
1.1.5.1.組換え合成
ある特定の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは、例えば細菌、酵母、又は真核生物発現系を使用して組換えによって産生される。
【0186】
組換え産生のためには、単一ドメイン又はマルチドメインペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、適当な発現ビヒクル、すなわち挿入されたコード配列の転写及び翻訳に必要なエレメント、又はRNAウイルスベクターの場合には、複製及び翻訳に必要なエレメントを含有するベクターに挿入する。次いで、発現ビヒクルを、単一ドメイン又はマルチドメインペプチドを発現するであろう適切な標的細胞にトランスフェクトする。使用される発現系に応じて、発現されたペプチドはその後当技術分野でよく確立されている手順により単離される。組換えタンパク質及びペプチド産生の方法は当技術分野において周知である。
【0187】
生産効率を増大するために、ポリヌクレオチドは、酵素切断部位によって分離された単一ドメイン又はマルチドメインのペプチドの複数のユニットをコードするように設計することができる。得られたポリペプチドは、ペプチド単位を回収するために、(例えば適切な酵素での処理により)切断することができる。これは、単一のプロモーターによって駆動されるペプチドの収率を増加させることができる。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性ポリヌクレオチドは、各コード領域がキャップ非依存性翻訳制御配列、例えば配列内リボソーム進入部位(IRES)に作動可能に連結された、複数のペプチドをコードする単一のmRNAが転写されるように設計することができる。適切なウイルス発現系において使用されるとき、mRNAによってコードされる各ペプチドの翻訳は、転写物の内部で、例えばIRESによって指示される。したがって、ポリシストロン性構築物は、単一の大きなポリシストロン性mRNAの転写を指示し、それは次に複数の個々のペプチドの翻訳を指示する。このアプローチは、ポリペプチドの産生及び酵素的プロセシングを排除し、単一のプロモーターによって駆動されるペプチドの収率を顕著に増加させ得る。
【0188】
本明細書に記載のペプチドを発現させるために様々な宿主-発現ベクター系を利用することができる。これらには、適切なコード配列を含む組換えバクテリオファージDNA又はプラスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌のような微生物、適切なコード配列を含む組換え酵母又は真菌発現ベクターで形質転換された酵母又は糸状菌、適切なコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系、適切なコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)若しくはタバコモザイクウイルス(TMV))に感染したか、又は適切なコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系、あるいは動物細胞系が含まれるが、これらに限定されない。
【0189】
発現系の発現エレメントは、それらの強さ及び特異性において変動する。利用される宿主/ベクター系に応じて、構成的プロモーター及び誘導性プロモーターを含む任意の多数の適切な転写及び翻訳エレメントを発現ベクターに使用することができる。例えば、細菌系でクローニングするとき、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-lacハイブリッドプロモーター)などのような誘導性プロモーターを使用することができる。昆虫細胞系でクローニングするとき、バキュロウイルスポリヘドリンプロモーターなどのプロモーターを使用することができる。植物細胞系でクローニングするとき、植物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、ヒートショックプロモーター、RUBISCOの小サブユニットのプロモーター、クロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーター)、又は植物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、CaMVの35S RNAプロモーター、TMVのコートタンパク質プロモーター)を使用することができる。哺乳動物細胞系でクローニングするとき、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)、又は哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を使用することができる。
【0190】
1.1.5.2.化学合成
ある特定の他の実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは化学合成によって産生される。いくつかの実施形態では、ペプチドは液相ペプチド合成技術を使用して産生される。他のいくつかの実施形態では、ペプチドは固相ペプチド合成技術を使用して産生される。
【0191】
D配置又はL配置のいずれかを有するペプチドは、当技術分野で周知の自動化固相手順により合成され得る。適切な合成は、「Boc」又は「Fmoc」手順を利用して実行できる。固相合成の技術及び手順は、当技術分野で周知である。単一ドメイン及びマルチドメインのペプチドは、例えば、Liuら、Tetrahedron Lett. 37:933~936ページ、1996;Bacaら、J. Am. Chem. Soc.117: 1881~1887ページ、1995;Tamら、Int. J. Peptide Protein Res. 45:209~216ページ、1995;Schnolzer及びKent、Science 256:221-225ページ、1992;Liu及びTam、J. Am. Chem. Soc. 116:4149~4153ページ、1994;Liu及び Tam、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6584~6588ページ、1994;並びにYamashiro及び Li、Int. J. Peptide Protein Res.31:322~334ページ、1988に記載されるように、セグメント縮合によって調製することもできる。これは、特にグリシン含有ペプチドの場合である。本開示の単一ドメイン及びマルチドメインのペプチドの合成に有用な他の方法は、Nakagawaら、J. Am. Chem. Soc. 107:7087~7092ページ、1985に記載される。
【0192】
ペプチド及びペプチド類似体合成の当業者に公知のさらなる例示的な技術は、Bodanszky, M.及び Bodanszky, A.、 The Practice of Peptide Synthesis、Springer Verlag、New York、1994;及びJones, J.、 Amino Acid and Peptide Synthesis、第2版、Oxford University Press、2002によって教示されている。Bodanszky及び Jonesの参考文献には、アミノ酸及びアミノ酸誘導体を活性化及びカップリングするためのパラメーターと技術の詳細が記載されている。さらに、参考文献は、様々な有用な官能基及び保護基を選択、使用、及び除去する方法を教示している。
【0193】
D配置又はL配置のいずれかを有するペプチドは、合成ペプチドの商業的供給業者から購入することもできる。そのような供給業者には、例えば、Advanced ChemTech (Louisville、KY)、Applied Biosystems (Foster City、CA)、Bachem (Torrance、CA)、Anaspec (San Jose、CA)、及びCell Essentials (Boston、MA)が含まれる。
【0194】
1.1.6.ApoC-II模倣ペプチドの精製
本開示のペプチド又はペプチド類似体は、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル電気泳動などのような当技術分野で周知の多くの技術により精製することができる。特定の単一ドメイン若しくはマルチドメインのペプチド又はペプチド類似体を精製するために使用される実際の条件は、一部では合成戦略、及び正味電荷、疎水性、親水性などの要因に依存し、当業者には明らかであろう。
【0195】
様々な実施形態では、単離されたapoC-II模倣ペプチドは精製タグをさらに含む。いくつかの実施形態では、精製タグはポリヒスチジンタグ、mycタグ、又はHAタグである。
【0196】
1.2.医薬組成物
本明細書に記載される1つ以上の単離されたapoC-II模倣ペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物も本明細書において提供される。
【0197】
活性ペプチドを(例えば、担体内のペプチドを破壊又は損傷することなく)供給することができる任意の担体が適切な担体であり、そのような担体は当技術分野で周知である。apoC-II模倣ペプチドは、例えば、インスリン、GLP-1アゴニスト、及びFDA承認済み治療用ペプチド及びタンパク質のTHPdbデータベース(crdd.osdd.net/raghava/thpdb/)に開示されている全ての承認済みペプチドなど、他の治療用ペプチドの製剤化に現在使用されている任意の製剤を使用して製剤化することができる。
【0198】
apoC-II模倣ペプチドベースの医薬組成物は、散剤、液剤、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、クリーム剤、ドロップ剤、ペースト剤、及びスプレー剤などの固体、半固体又は液体の剤形の形態であり得る。当業者が認識できるように、選択された投与経路に応じて、組成物の形態が決定される。
【0199】
いくつかの実施形態では、組成物は、経口(例えば、錠剤、カプセル剤、顆剤若しくは散剤の形態など)、舌下、頬内、非経口(皮下、静脈内、筋肉内、皮内、若しくは胸骨内注射又は注入(例えば、滅菌済みの注射可能な水性若しくは非水性の溶液剤又は懸濁剤など))、経鼻(吸入スプレー剤などによる鼻膜への投与を含む)、局所(クリーム剤又は軟膏の形態など)、経皮(経皮パッチ剤など)、直腸(座剤の形態など)、又は特定の部位への外科的移植などを含むが、これらに限定されない任意の適切な経路による投与のために製剤化される。
【0200】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、皮下注射に適するように製剤化される。
【0201】
1.3.治療方法
本明細書では、高脂血症、高リポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、HDL欠損症、冠動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、血栓性脳卒中、末梢血管疾患、再狭窄、急性冠動脈症候群、及び心筋再潅流傷害を含むがこれらに限定されない脂質異常症及び血管障害を治療する方法もまた提供される。
【0202】
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載されるペプチド又は医薬組成物を高トリグリセリド血症の患者に投与することを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、患者は高トリグリセリド血症を発症するリスクがある。
【0204】
様々な実施形態では、患者は、ある特定のレベルを超える空腹時の血漿又は血清のTG濃度に基づいて、高トリグリセリド血症を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が150mg/dL~199mg/dLの間であると定義される軽度の高トリグリセリド血症を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が200mg/dL~999mg/dLの間、例えば200mg/dL~499mg/dLの間、及び500mg/dL~999mg/dLの間であると定義される中程度の高トリグリセリド血症を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が1000mg/dL~1999mg/dLの間であると定義される重度の高トリグリセリド血症を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が2000mg/dL以上であると定義される非常に重度の高トリグリセリド血症を有する。
【0205】
いくつかの実施形態では、患者は、正常を超えるLDL-cレベルを有する。他のいくつかの実施形態では、患者は、正常未満のHDL-cレベルを有する。
【0206】
ある特定の実施形態では、高トリグリセリド血症はLPL欠損症によって引き起こされる。これらの実施形態のいくつかでは、患者の高トリグリセリド血症は家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症である。
【0207】
いくつかの実施形態では、LPL欠損症は遺伝子変異によって引き起こされる。これらの実施形態のいくつかでは、遺伝子変異はDNA配列解析によって検出される。様々な実施形態では、LPL欠損症は、LPL、APOC2、APOA5、GPIHBP1、又はLMF1遺伝子の変異によって引き起こされる。
【0208】
ある特定の実施形態では、LPL欠損症は、LPL遺伝子の変異によって引き起こされる。これらの実施形態のいくつかでは、変異はLPL酵素活性の低減をもたらす。これらの実施形態のいくつかでは、変異はLPL酵素活性の欠如をもたらす。
【0209】
ある特定の実施形態では、患者の高トリグリセリド血症は、単一遺伝子性である。ある特定の他の実施形態では、患者の高トリグリセリド血症は、多遺伝子性である。ある特定の実施形態では、変異はホモ接合状態で存在する。ある特定の実施形態では、変異はヘテロ接合状態で存在する。
【0210】
いくつかの実施形態では、LPL欠損症は、患者の血清中におけるLPL活性の欠如によって診断される。
【0211】
ある特定の実施形態では、高トリグリセリド血症はapoC-II欠損症によって引き起こされる。ある特定の実施形態では、高トリグリセリド血症は上昇したapoC-IIIによって引き起こされる。
【0212】
いくつかの実施形態では、患者は糖尿病を有する。いくつかの実施形態では、患者はメタボリックシンドロームを有する。これらの実施形態のいくつかでは、メタボリックシンドロームは肥満症である。いくつかの実施形態では、患者は膵炎を有する。これらの実施形態のいくつかでは、患者は急性膵炎を有する。いくつかの実施形態では、患者は脂肪症又は脂肪性肝炎を有する。これらの実施形態のいくつかでは、脂肪症又は脂肪性肝炎はアルコール関連である。これらの実施形態のいくつかでは、脂肪症又は脂肪性肝炎は非アルコール性である。いくつかの実施形態では、患者は心血管疾患を有する。これらの実施形態のいくつかでは、患者は急性心血管疾患を有する。いくつかの実施形態では、患者は関節硬化症を有する。いくつかの実施形態では、患者は、高トリグリセリド血症を引き起こす可能性のある薬を服用している。
【0213】
ある特定の実施形態では、患者は成人である。ある特定の他の実施形態では、患者は小児である。
【0214】
様々な実施形態では、ペプチド又は医薬組成物は、患者の血中トリグリセリドレベルを低減させるのに十分な量、十分なスケジュール、及び十分な期間で投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、トリグリセリドレベルを、治療の開始直前のレベルと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、又はそれ以上減少させるのに十分な量、十分なスケジュール、及び十分な期間で投与される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、トリグリセリドレベルを少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、又はそれ以上減少させるのに十分な量、十分な投与スケジュール、及び十分な期間で投与される。特定の実施形態では、ポリペプチドは、トリグリセリドレベルを少なくとも55%、60%、65%、70%、又はそれ以上低減させるのに十分な量、十分なスケジュール、及び十分な時間で投与される。
【0215】
治療は、単回投与又は一定期間にわたる複数回投与からなり得る。
【実施例】
【0216】
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の例である。実施例は、例示の目的のためにのみ提供され、いかなる意味でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。使用される数字(例えば、量、温度等)に関して正確さを確実にするための努力がなされたが、いくらかの実験誤差及び偏差が当然に考慮されるべきである。
【0217】
本発明の実施は、別途示されない限り、当技術分野の範囲内のタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、及び薬理学の従来の方法を用いる。そのような技術は、文献で完全に説明されている。
【0218】
方法
LPLアッセイ
LPLの調製:0.5mg/mLのウシLPLの凍結ストック10μLを使用し、1:100に希釈した(10μL+990μLのPBS)。
【0219】
20%イントラリピッドの調製:2000mg/dLのTGイントラリピッドを使用して、1.5μLのストックを998.5μLのPBSで希釈することによって、又は最初にストックを1:10で希釈し、ついて15μLの希釈したストックを985μLのPBSと混合することによって、3mg/dLのTGイントラリピッドを調製した。apoC-II欠損ヒト血清が基質として使用されたとき、1711mg/dL(TG)の凍結10μLのアリコートを、990μLのPBSを添加することによって希釈した(1:100希釈)。
【0220】
遊離脂肪酸(NEFA)アッセイの調製: NEFA試薬をWako Diagnostics, Wako Life Sciences, Inc.から購入した。試薬Aは、Coloring Reagent AとSolvent Aとを混合することによって調製した(225μL/ウェル)。試薬Bは、Coloring Reagent BとSolvent Bとを混合することによって調製した(75μL/ウェル)。5nmolのオレイン酸標準液は、20μLの1mMのオレイン酸ストック(WAKO NEFA standard solution)を180μLの0.2%BSAで希釈することによって調製した。
【0221】
LPL活性アッセイ:10μLのイントラリピッド、ヒト血漿試料、又はマウス血漿試料を、リピーターピペットを使用して各ウェルに添加した。10μL(又は、LPL対照を含まないウェルでは15μL)のPBSと、10μLの1%BSAを、リピーターピペットを使用して各ウェルに添加した。10μLのペプチドを対応するウェルに、垂直方向に3連で添加した(最低濃度は左側、最高濃度は右側)。プレートを1000RPMで10秒間スピンダウンして混合し、各ウェルの壁から溶液を除去した。プレートを氷上に置き、リピーターピペットを使用して5μLのLPLを添加した。プレートを再度、1000RPMで10秒間スピンダウンした。プレートを覆い、氷上に戻して30分間インキュベートした。次いで、プレートを37℃に移し、1時間インキュベートした。
【0222】
遊離脂肪酸(NEFA)アッセイ:45μLの5nmol標準と0nmol対照(0.2%BSA)を対応するウェルに添加した。225μLの試薬Aを試薬トレイ及び12チャネルピペットを使用して各ウェルに添加した。プレートを10分間インキュベートし、75μLの試薬Bを試薬トレイ及び12チャネルピペットを使用して各ウェルに添加した。高体積のため、プレートは覆わなかった。550nm及び660nmでの吸光度を測定した。
【0223】
ApoC-III置き換え試験
ヒト血漿より単離したVLDL又はカイロミクロンは、apoC-II模倣ペプチドと共に1時間37℃でインキュベートし、100kDaカットオフメンブレンを有するスピンフィルターを使用して、PBSで3回洗浄した。上清をPBSで元の体積に戻し、4~12% Bis-TRIS SDS PAGEゲルにロードした。apoC-I、apoC-II、apoC-III、及びapoEのバンドは、それらの対応するサイズによって特定された。
【0224】
ApoC-III阻害試験
LPLアッセイは、イントラリピッド、高TGヒト血漿(1:50希釈)、又はapoC-IIIトランスジェニックマウス血漿(1:50希釈)を使用して実施した。イントラリピッドを基質として使用したとき、25又は50μMの組換えapoC-IIIを阻害剤として添加した。高TGヒト血漿を基質として使用したとき、25又は50μMの組換えapoC-IIIを、37℃で1時間のプレインキュベーションを伴って、又は伴わず、阻害剤として添加した。apoC-II模倣ペプチドを様々な濃度で添加した。
【0225】
インビボ試験
C57Bl/6マウス(野生型)、apoC-IIノックアウト(apoC-II KO)マウス、及びapoC-IIIトランスジェニックマウスを、インビボ試験のために使用した。C57Bl/6マウス(野生型)はTaconic Biosciences Inc.より購入した。apoC-II KOマウスは、Sakuraiら、J Pharmacol Exp Ther 356:341~353ページ、2016に記載されるように作出した。apoC-IIIトランスジェニックマウスは、C57Bl/6マウスにおいてヒトapoC-IIIを過剰発現させることによって作製した。Quら、J. Lipid Res. 48:1476~1487ページ、2007を参照されたい。
【0226】
マウスを試験の前に一晩(約12時間)、及び翌日の試験中に6時間、絶食させた。apoC-II模倣ペプチドは合成的に産生され、生物学的汚染はなかった(FDAの承認済み化合物/処置として利用可能ではない)。Sakuraiら、J Pharmacol Exp Ther 356:341~353ページ、2016に記載されるように、ペプチドを産生し、滅菌状態で使用し、0.2nmフィルターで濾過して、皮下注射(S.Q.又は S.C.)、腹腔内注射(I.P.)、又は静脈内注射(I.V.)のいずれかで、1~10μモル/kg体重(B.W.)を単回投与した(200μL以下の体積の滅菌医薬品グレードPBS溶液中で)。
【0227】
インビボイントラリピッド試験
いくつかの実験では、各動物は、20%のイントラリピッド(FDA承認済み、Fresenius Kabi、Uppsala、Sweden)を、10~20μL/グラム体重(B.W.)の用量での(特別な滅菌済み使い捨ての非毒性動物給餌針を使用する)強制経口投与(Tuzcuら、Drug Chem Toxicol 37: 261~267ページ、2014;Kusminskiら Nature Medicine 18: 1539~1549ページ、2012)、又は、0.1~1.0mLの単回ボーラスでの腹腔内注射(Mahaderoら、American J Surgery 164: 45~50ページ、1992)、又は、10~20μL/g体重の単回投与での市販の栄養食用液体油(食品グレードの植物油、コーン油、大豆油、又はオリーブ油)の胃内投与のいずれかで、単回投与された。これらの油はTGの供給源であった。吸収されたTGは3時間以内に分解される傾向がある(30分でピークになる)(Kritchevsky Nutritional Biochemistry 6:172~178ページ、1995)。血液試料(20~30μL)は、脂質測定のために、以下の時点で眼窩後叢から採取された:-1時間、0時間、1時間、3時間、6時間、及び24時間。6時間の時点の後、マウスを食物が戻された代謝ケージに戻した。試験が完了したら(脂肪投与から24時間後)、マウスを安楽死させ、臓器を採取した。
【0228】
場合によっては、マウスは通常のケージに戻され、完全に回復するまでさらに2~3週間飼育された後、別の実験で試験された。ペプチドの代わりに滅菌済み医薬品グレードの生理食塩水を投与された1つの対照群があった。
【0229】
【0230】
インビボTriton WR1339試験
20%のイントラリピッドによってもたらされる高TGの存在下で、LPL阻害剤、チロキサポールで処置されたマウスの高トリグリセリド血症を正常化するアポリポタンパク質模倣ペプチドの能力を評価した。
【0231】
マウスを試験の前に一晩(約12時間)、及び翌日の試験中に6時間、絶食させた。apo模倣ペプチドは合成的に産生され、生物学的汚染はなかった(FDAの承認済み化合物/処置として利用可能ではない)。ペプチドを産生して滅菌状態で使用し、0.2nmフィルターで濾過して、S.C.、又はI.P.、又はI.V.のいずれかで、1~5μmol/kg B.Wの単回投与で注射した(200μL以下の体積の滅菌医薬品グレードPBS溶液中で)。次に、10%チロキサポール(Triton WR-1339、T-0307、Sigma-Aldrich)を以前に記載された(Zhang Y.L.ら、 J Biol Chem. 279: 19362~19374、2004;Abe C.ら、 J. Nutr. 137: 345~350ページ、2007)ように、5μL/グラムB.W.の単回投与でI.V.注射した。チロキサポールは、LPL、したがって血清からのトリグリセリドのクリアランスを阻害する非イオン性洗剤である(Rasouli M.ら、 J Clin. Diagn. Research. 10: BF01-BF05、2016)。最終的に、各動物は、20%のイントラリピッド(FDA承認済み、Fresenius Kabi、Uppsala、Sweden)を、10~20μL/グラム体重(B.W.)の用量での(特別な滅菌済み使い捨ての非毒性動物給餌針を使用する)強制経口投与(Tuzcu K.ら、 Drug Chem Toxicol.、 37: 261~267ページ、2014;Kusminski C.ら、 Nature Medicine. 18: 1539~1549ページ、2012)、又は、0.1~1.0mLの単回ボーラスでの腹腔内注射(Mahadero G.ら、 American J Surgery. 164: 45~50ページ、1992)のいずれかで、単回投与された。血液試料(20~30μL)は、脂質測定のために、以下の時点で眼窩後叢から採取された:-1時間、0時間、1時間、3時間、6時間、及び24時間。6時間の時点の後、マウスを食物が戻された代謝ケージに戻した。試験が完了したら(イントラリピッド投与から24時間後)、マウスを安楽死させ、臓器を採取した。
【0232】
場合によっては、マウスは通常のケージに戻され、完全に回復するまでさらに2~3週間飼育された後、別の実験で試験された。2つの対照群が存在し、両方ともペプチド又はTriton WR1339の代わりに滅菌済み医薬品グレードの生理食塩水を投与された。
【0233】
【0234】
肥満サルモデルのインビボ試験
2mmol/Lを超えるTGレベルのサルを選択、訓練し、3つの群に割り当てた(対照、1mg/kgのDelta6PV、及び5mg/kgのDelta6PV)。0時間の時点で、所望の用量を動物に静脈内注射した。サルは72時間にわたってモニタリングされ、バイオマーカー分析のために異なる時点で血液試料が採取された。
【0235】
[実施例1]
ペプチド設計
アポリポタンパク質C-II(apoC-II)は、リポタンパク質リパーゼ(LPL)の生理的活性化剤であり、リポタンパク質中のトリグリセリドの加水分解を促進することができる。機能的なapoC-IIの欠損は、LPLの遺伝的欠損で見られるものと類似の、重度の高トリグリセリド血症をもたらす(Breckenridgeら、N Engl J Med. 298: 1265~1273ページ、1978)。
【0236】
ヒトapoC-IIの成熟型は、79アミノ酸残基からなる。apoC-IIの二次構造は、様々な手段によって決定されており、残基17~38はヘリックス1とされ、残基45~57はヘリックス2とされ、残基65~74/75はヘリックス3とされている(Zdunekら、Biochemistry 42: 1872~1889ページ、2003)。LPLの活性化に必要なapoC-IIのC末端側の3分の1は、脂質結合に必要なapoC-IIのN末端側の3分の2と比べて、異なる種間でより保存されている(Shenら、Gene 254:189~198ページ、2000)。成熟ヒトapoC-IIタンパク質のアミノ酸残基40~58の、様々な種にわたる相同性を
図1に示す。
【0237】
臨床的に有用なLPL活性化ペプチドを作製するために、本発明者らは、単一ヘリックス及び二ヘリックスのapoC-II模倣ペプチドを設計した。本発明者らは、天然のヒトapoC-IIタンパク質のヘリックスに、伸長、短縮、変異、化学修飾などの様々な修飾を導入した。
【0238】
アミノ酸置換などのいくつかの修飾により、apoC-IIの天然アミノ酸配列の疎水性モーメントが増加した。例えば、
図2A及び
図2Bに示すように、40位でのTからDへの置換、43位でのPからKへの置換、46位でのDからFへの置換、及び56位でのSからFへの置換は、アミノ酸残基40~57の疎水性モーメントを6.04から9.62に増加させた。
図3A及び
図3Bに示すように、40位でのTからDへの置換、43位でのPからKへの置換、44位でのAからEへの置換、46位でのDからFへの置換、及び56位でのSからFへの置換は、アミノ酸残基40~57の疎水性モーメントを6.04から11.08に増加させた。
図4A及び
図4Bは、40位でのTからDへの置換、43位でのPからKへの置換、44位でのAからEへの置換、46位でのDからFへの置換、54位でのSからEへの置換、及び56位でのSからFへの置換は、アミノ酸残基40~57の疎水性モーメントを6.04から12.48に増加させたことを示す。
【0239】
化学修飾もまた導入され、脂質粒子に対するapoC-II模倣ペプチドの会合が増加し、細胞透過性の増加及び/又は生物学的半減期の延長など、apoC-II模倣ペプチドの他の治療特性を増強した。
図5は、ステアリン酸で修飾されたapoC-II模倣ペプチドの例を示す。
【0240】
apoC-II模倣ペプチドとその配列の一覧を以下の表2に示し、「nL」はノルロイシンを示し、「Aib」はアミノイソ酪酸を示す。
【0241】
【0242】
[実施例2]
アミノ酸置換を有する例示的なapoC-II模倣ペプチドは、インビトロでTG加水分解を促進する
TGの加水分解に対するapoC-II模倣ペプチドの起こり得る影響を判定するために、本発明者らは、インビトロ脂肪分解アッセイを使用してペプチドの効果を評価した。
【0243】
apoC-II欠損患者血清を用いたLPLアッセイにより、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta4、Delta5、及びDelta6、並びにDelta4バリアント、モノアシル-Delta4及びビアシル-Delta4が、LPLの存在下でTG加水分解を促進できることが示された。低濃度では、Delta4、Delta5、及びDelta6などの試験された模倣ペプチドのほとんどが、天然のapoC-IIタンパク質よりも効率的に機能した(
図6)。
【0244】
基質としてイントラリピッドを使用するLPLアッセイにより、試験された全てのapoC-II模倣ペプチドがLPLの存在下でTG加水分解を促進できることが確認された。apoC-II模倣ペプチドDelta4及びDelta5は、約1nM~約10μMの間の濃度で天然のapoC-IIタンパク質よりも効率的に機能した(
図7)。
【0245】
これらの結果は、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta4、Delta5、及びDelta6が、インビトロでTG加水分解を促進することができることを示す。
【0246】
[実施例3]
Delta4のバリアントとapoC-IIの第3のヘリックスは、インビトロでのTG加水分解を促進する
apoC-IIタンパク質のヘリックス2とヘリックス3との間のヒンジ領域により、2つのヘリックスが比較的直線である高次構造を保持することができる。ヘリックス3は、約20°以下の角度で異なる方向に均一にヘリックス2から離れて曲がっている。この高次構造は、LPL活性化ドメインを含有するヘリックス3がリポタンパク質のミセル表面に結合するのを助けると考えられる。ヒンジドメインの58位にプロリンを組み込むと、高次構造が保持され、増強される。Delta4b、Delta4b-1、及びDelta4b S54EなどのDelta4のバリアントは、58位にプロリンを含む。
【0247】
apoC-II模倣ペプチドC2thirdhelixは、apoC-IIタンパク質のアミノ酸残基59~79を含む。C2thirdhelixStearylpos1、C2thirdhelixStearylpos2、及びC2thirdhelixStearylpos17は、異なるアミノ酸残基でのC2thirdhelixのステアリン酸修飾を含む。
【0248】
図8に示すように、上述のapoC-II模倣ペプチドのほとんどは、apoC-II欠損患者血清を基質として使用したとき、LPLの存在下でTG加水分解を促進する能力を示した。C2thirdhelix、C2thirdhelixStearylpos1、C2thirdhelixStearylpos2、及びC2thirdhelixStearylpos17の結果をよく見ると、脂質化がTG加水分解を促進するC2thirdhelixの能力を増強したことが明らかになった(
図9)。apoC-II模倣ペプチドのDelta4、Delta4b、及びDelta4b-3の比較により、58位のプロリンの組み込み及び56位のリジン残基のステアリン酸修飾により、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta4のTGクリアランス能力が強化したことが明らかになった(
図10)。
図11により、apoC-II模倣ペプチドDelta4bの脂質化が、特に低濃度で脂肪分解を強化する能力を増強したことが確認された。
【0249】
さらに、本発明者らは、100pM~10μMの幅広い濃度範囲でapoC-II模倣ペプチドを試験した。apoC-II模倣ペプチド、Delta4b-1、Delta4b-2、Delta4b-3、Delta4b、Delta4b T57F、及びDelta4は、用量依存的にTG加水分解を促進した。この実験で試験したapoC-II模倣ペプチドは全て、全長のapoC-IIタンパク質よりも効率的に機能した(
図12)。
【0250】
Delta4cペプチドは、60位にパルミチン酸修飾リジン(K)を含み、その誘導体には、C末端における3、4、7、10、11、又は14アミノ酸の短縮が含まれていた。基質としてapoC-II欠損患者血清を用い、10pM~100μMの範囲のペプチド濃度にわたるLPLアッセイにおいて、Delta4c及びその短縮バリアントはTG加水分解を促進した(
図13)。
【0251】
まとめると、これらの結果は、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta4のバリアントとapoC-IIの第3のヘリックスのバリアントとがインビトロでTG加水分解を促進できることを示す。
【0252】
[実施例4]
Delta5のバリアントは、インビトロでのTG加水分解を促進する
58位のプロリン及び60位のメチオニンを含むapoC-II模倣ペプチドDelta5bに対して追加のアミノ酸置換を行った。
【0253】
LPLアッセイは、apoC-II欠損患者血清を基質として使用して実施した。ペプチドは、100pM~10nMの濃度範囲で試験された。
図14に示すように、示されたアミノ酸置換を有するDelta5及びDelta6の全てのバリアントは、用量依存的にTG加水分解を促進する能力を示した。
【0254】
これらの結果は、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta5のバリアントが、インビトロでTG加水分解を促進することができることを示す。
【0255】
[実施例5]
Delta6のバリアントは、インビトロでのTG加水分解を促進する
例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta6は、組換え発現により適しているようにさらに修飾された。Delta6Lは、60位にロイシン(L)残基を含む。Delta6PVは58位にプロリン(P)、及び60位にバリン(V)を含む。Delta6PVは58位にプロリン(P)、及び60位にロイシン(V)を含む。Delta6T18F-PVは、Delta6PVと比較して、57位にフェニルアラニン(F)をさらに含む。Delta6T18F-PV-AIB7、17は、Delta6PVと比較して、46位及び56位にアミノイソ酪酸(Aib)、並びに57位にフェニルアラニン(F)をさらに含む。
【0256】
図15A~Dに示すように、Delta6ペプチドとそのバリアント、Delta6L、Delta6PV、及びDelta6PLは、高トリグリセリド血症患者の血清を基質として使用したとき、インビトロでLPLを活性化した。患者血清のトリグリセリド濃度は、約1000mg/dL~約1700mg/dLの範囲であった。
【0257】
本発明者らは、10pM~10μMの幅広い濃度範囲で、Delta6ペプチドとそのバリアントDelta6PVの活性をさらに試験した。apoC-II欠損患者血清を基質として使用した。
図51に示すように、Delta6及びDelta6PVは、全長apoC-IIタンパク質よりも効率的にインビトロでLPLを活性化した。
【0258】
さらに、Delta6バリアントDelta6PV、Delta6T18F-PV、及びDelta6T18F-PV-AIB7、17は、apoC-II欠損患者由来の血清試料を用いて、インビトロでLPLを活性化した(
図52)。
【0259】
本発明者らは、apoC-IIのヘリックス1のバリアントを含む、apoC-II模倣ペプチド、Delta13-31-PVを生成した。Delta13-31-PVは、
DKVKE
FLS
EYWE
KAK
EFAPAVSTYTGIFTDQVLSVLKGEE(配列番号55)の配列を有し、apoC-IIのヘリックス1へのアミノ酸置換に下線を付す。Delta13-31-PVペプチドは、インビトロで用量依存的にTG加水分解を促進した(
図52)。
【0260】
これらの結果は、例示的なapoC-II模倣ペプチドDelta6のバリアント及びapoC-IIのヘリックス1のバリアントを含むapoC-II模倣ペプチドが、インビトロでTG加水分解を促進することができることを示す。
【0261】
[実施例6]
Delta4及びそのバリアントは、インビボ脂肪分解を増強した
apoC-IIは、トリグリセリドを加水分解する酵素であるリポタンパク質リパーゼの補因子である。apoC-II欠損症は、ヒト対象に高トリグリセリド血症をもたらす。Sakuraiら、J Pharmacol Exp Ther 356:341~353ページ、2016に記載されるように、本発明者らは、血漿TGが高いapoC-IIノックアウトマウスを作出した。
【0262】
apoC-II模倣ペプチドDelta4をapoC-IIノックアウトマウスに皮下注射し、血漿脂質を経時的にモニタリングした(
図16)。Delta4の注射により、血漿TGが急速かつ著しく低減した。Delta4の皮下注射はまた、総コレステロールレベルの減少をもたらした(
図17)。
【0263】
また、apoC-IIノックアウトマウスに、Delta4ペプチドを腹腔内注射した(
図18及び
図19)。同様に、Delta4注射により、血漿TGが著しく低減し、約3時間後に最大に減少した。腹腔内注射はまた、総コレステロールレベルの減少をもたらした。
【0264】
Delta4誘導体Delta4b及びDelta4b-3もまた、インビボでのTG加水分解を促進するそれらの能力について試験された(
図20)。植物油を用いた強制経口投与後、C57BL/6マウスの血清TGは3時間で約4.5倍に増加した。強制飼養の30分前に、マウスにapoC-II模倣ペプチドDelta4、Delta4b、又はDelta4b-3を腹腔内注射すると、TGの増加は著しく低減した。
【0265】
これらの結果は、apoC-II模倣ペプチドDelta4とそのバリアントがインビボ脂肪分解を増強する能力を有することを示す。
【0266】
[実施例7]
Delta6とそのバリアントは、インビボ脂肪分解を増強した
apoC-II模倣ペプチドDelta6をapoC-IIノックアウトマウスに腹腔内注射し、血漿脂質を経時的にモニタリングした(
図21)。Delta6の注射により、血漿TGが急速かつ著しく低減した。Delta6の腹腔内注射はまた、総コレステロールレベルの減少をもたらした(
図22)。
【0267】
図23に示すように、3つの異なる用量のDelta6ペプチド(0.25、0.5、及び1μmol/kg体重)をapoC-IIノックアウトマウスに腹腔内注射し、血漿TGを経時的にモニタリングした。全ての用量のDelta6は、血漿TGの急速かつ著しい低減をもたらした。
【0268】
Delta6のバリアント、Delta6b-A、Delta6b-P、及びDelta6-NHもまた、0.25μmol/kg体重の濃度でインビボ脂肪分解を促進するそれらの能力について試験された。全てのDelta6バリアントは、apoC-IIノックアウトマウスへの腹腔内注射後に血漿TGの顕著な低減をもたらした(
図24)。
【0269】
図53に示すように、Delta6バリアントDelta6PV及びDelta6-T18F-PVを0.1μmol/kg体重でapoC-IIノックアウトマウスに腹腔内注射し、血漿TGを経時的にモニタリングした。Delta6PVとDelta6-T18F-PVとの両方により、apoC-IIノックアウトマウスの血漿TGが急速に低減し、ペプチド注射後約6時間で最大に低減した。
【0270】
これらの結果は、apoC-II模倣ペプチドDelta6とそのバリアントとがインビボ脂肪分解を増強する能力を有することを示す。
【0271】
[実施例8]
apoC-II模倣ペプチドによるApoC-IIIの置き換え
apoC-IIIは通常、トリグリセリドに富むリポタンパク質と会合しており、血漿TGレベルの強力なモジュレーターとして同定されている。apoC-IIIは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)活性の抑制及びTGクリアランスに対するLPL非依存性効果を含む、様々な機序を通じて血漿TGレベルを調節する。本発明者らは、apoC-IIIの置き換えに対するapoC-II模倣ペプチドの効果を調査した。
【0272】
ヒト血漿から単離されたVLDL及びカイロミクロンの、異なる濃度のapoC-II模倣ペプチドDelta6とのインキュベーションにより、Delta6がアポリポタンパク質よりもVLDL及びカイロミクロンに対してより高い親和性を有することが示された(
図25)。同様に、ヒト血漿から単離されたVLDLの、Delta6並びにその誘導体Delta6-A、Delat6-P、及びDelta6-NHとのインキュベーションにより、Delta6及び誘導体がapoC-IIIを置き換えることができることが示された(
図26)。
【0273】
図27に示すように、インビトロLPLアッセイを高トリグリセリド血症患者の血清を用いて実施した。apoC-II模倣ペプチドDelta4及びDelta6は、高レベルのapoC-IIIタンパク質を有する患者のLPL活性を増加させた。
【0274】
これらの結果は、apoC-II模倣ペプチドDelta4、Delat6、及びそれらのバリアントが、apoC-IIIを置き換え、高apoC-IIIタンパク質を有する患者血清でのインビトロ脂肪分解を促進することができることを示す。
【0275】
[実施例9]
ApoC-II-aペプチドによるApoC-IIIの置き換え
本発明者らは、apoC-IIIの置き換えに対するapoC-II-aペプチドの効果を調査した。
【0276】
ヒト血漿から単離されたVLDLの、外因性apoC-II-aペプチドとのインキュベーションにより、apoC-II-aがアポリポタンパク質よりもVLDLに対してより高い親和性を有することが示された(
図28)。MALDI-TOF質量分析の分析により、apoC-II-aペプチドがapoC-IIIとapoC-Iを選択的に置き換えたが、apoC-IIは置換しなかったことが示された(
図29A)。興味深いことに、apoC-II-aペプチドのVLDLへの結合は、その濃度にほぼ比例する(
図29B)。
【0277】
ヒト血漿から単離されたカイロミクロンの、外因性apoC-II-aペプチドとのインキュベーションにより、apoC-II-aがアポリポタンパク質よりもカイロミクロンに対してより高い親和性を有することが示された(
図30)。
【0278】
基質としてイントラリピッドを使用して、LPLアッセイを実施した。
図31に示すように、apoC-IIIは、遊離脂肪酸(NEFA)の産生を阻害した。apoC-II-aペプチドの添加は、apoC-IIIの阻害効果を克服し、用量依存的に脂肪分解を促進した。
【0279】
LPLアッセイはまた、基質として高TGヒト血漿を1:50希釈で使用して実施した。結果を
図32に示す。50μMのapoC-III組換えタンパク質を添加すると、遊離脂肪酸(NEFA)の産生が約3.2μMから約1.7μMに低下した。apoC-II-aペプチドを様々な濃度で添加した。0.01μMの濃度で、脂肪分解に影響を与え始めた。約0.2μMの濃度で、apoC-IIIの阻害効果を克服した。より高い濃度のapoC-II-aは、脂肪分解をさらに促進した。apoC-IIIの、ヒト血漿とのプレインキュベーションは、apoC-II-aペプチドの効果を変化させなかった。
【0280】
本発明者らは、ヒトapoC-IIIを過剰発現するトランスジェニックマウス由来の血漿もまた試験した。血漿中のapoC-IIIは脂肪分解を抑制し、高濃度のapoC-IIIが、高トリグリセリド血症を引き起こすという公知の能力と一致した。apoC-IIIトランスジェニックマウス由来の血漿を使用するLPLアッセイでは、apoC-II-aペプチドは、3匹全てのトランスジェニックマウス血漿試料でapoC-IIIの発現上昇の阻害効果を克服した(
図33)。
【0281】
[実施例10]
ApoC-II-aは、リポタンパク質リパーゼ活性化に追加された機序により、マウスにおける食後高トリグリセリド血症を鈍らせる
食後の高トリグリセリド血症は、重要な心血管疾患(CVD)の危険因子である。本発明者らは、最近、apoC-II-KOマウスでLPLを活性化し、血清TGを低下させるapoC-II模倣ペプチド(apoC-II-a)について記載した。食後の高トリグリセリド血症の療法としてのapoC-II-aを調査するために、脂肪負荷試験後のいくつかのマウスモデルに対するその効果を調査した。
【0282】
植物油(10μL/グラム)の強制経口投与後、C57BL/6マウスにおいて血清TGが3時間までに少なくとも5倍増加したが、強制経口投与の30分前にマウスにapoC-II-aを注射したとき(1μmol/kg、IP又はSQ)、食後のTG上昇はほぼ完全に鈍化した。マウス血清中の食後のTGレベルを
図34A及び34Bに示す。同様の結果がapoE-KOマウスで見出され、apoC-II-aの効果はapoEに非依存性であることを示している(図示せず)。apoC-II-aは、TG吸収レベルでは機能しないように見えたが、これは、20%イントラリピッドのIP注射後、TGの血清クリアランスも急速に加速したためであった。イントラリピッドをIP注射した後に採取した血清試料に外因性LPLを添加すると、apoC-II-aで処置したマウス由来のリポタンパク質粒子がLPLのより良い基質であることが明らかになった。
【0283】
イントラリピッドのIP注射後の血清TGの上昇は、マウスにLPL阻害剤Triton WR1339を共注射したとき、約50%だけ部分的に遮断され、apoC-II-aが、LPLに非依存性の機序によってさらに作用することを示している。
図34A及び34Bは、Triton共注射を伴うか又は伴わないマウス血清における食後TGの比較を示す。マウスにおいてインビボで達成された用量に匹敵する用量の外因性apoC-II-aとのヒト血清のインキュベーションにより、apoC-II-aがHDLを含む全てのリポタンパク質に結合し、apoC-IとapoC-IIIの置き換えを引き起こすことを示した。さらに、外因性のapoC-IIIの添加によるLPLのインビトロでの阻害は、apoC-IIIと比較して少なくとも1:10のモル比でapoC-II-aを添加することにより克服することができた。
【0284】
要約すると、比較的低用量でのapoC-II-a模倣ペプチドは、脂肪負荷後の食後TGのクリアランスを加速することができる。予想どおり、LPLを活性化することによって部分的にそのようにする。しかし、予期せぬことに、本発明者らは、apoC-II-aはまた、apoC-IIIによるLPLの阻害を緩和することによって、また場合によってはTGの食後クリアランスの遅延におけるapoC-III、及びおそらくはapoC-Iの他の既知のLPLに非依存性の効果を遮断することによって、トリグリセリドレベルを低減させることを見出した。
【0285】
[実施例11]
Delta6PVは、マウスモデルでのインビボ脂肪分解を増強した(単回投与試験)
Delta6PVペプチドのインビボでの脂肪分解に対する効果を、野生型、apoC-IIノックアウト、及びapoC-IIIトランスジェニックマウスにおいて、単回投与試験で調べた。
【0286】
イントラリピッドの腹腔内注射後、血清TGは野生型マウスで顕著に増加した。LPL阻害剤Tritonの共注射は、血清TGレベルを6時間の時点で1000倍を超えてさらに増加させた。マウスにapoC-II模倣ペプチドDelta6PVを腹腔内注射すると、TGの増加は顕著に低減した(
図35B)。Delta6PVペプチドは、TritonによるLPLの阻害を逆転させた。
【0287】
apoC-II模倣ペプチドDelta6PVを、apoC-IIノックアウトマウスに腹腔内(
図36B)又は皮下(
図36C)注射し、血漿TGレベルを経時的にモニタリングした。Delta6PVの注射により、血漿TGが急速かつ著しく低減した。
【0288】
イントラリピッドの腹腔内注射後、血清TGは、apoC-IIノックアウトマウスで注射後6時間で約7倍に増加した。イントラリピッドの注射の1時間後にマウスにDelta6PVペプチドを腹腔内注射すると、TGの増加は顕著に低減した(
図37B)。
【0289】
Delta6PVペプチドをapoC-IIIトランスジェニックマウスに腹腔内注射し、血漿TGレベルを経時的にモニタリングした。Delta6PVの注射は、血漿TGの急速かつ著しい低減をもたらし、注射約6時間後に最大の減少であった(
図38B)。
【0290】
イントラリピッドの腹腔内注射後、血清TGは、apoC-IIIトランスジェニックマウスで注射後6時間で約4倍に増加した。イントラリピッドの注射の1時間後にマウスにDelta6PVペプチドを腹腔内注射すると、TGの増加は顕著に減少した(
図39)。
【0291】
単回投与試験は、apoC-II模倣ペプチドDelta6PVがマウスモデルのインビボ脂肪分解を増強する能力を有することを示す。
【0292】
[実施例12]
Delta6PVは、マウスモデルでのインビボ脂肪分解を増強した(反復投与試験)
野生型マウス、apoC-IIノックアウトマウス、及びapoC-IIIトランスジェニックマウスに、apoC-II模倣ペプチドDelta6PVを腹腔内注射により複数回注射した。
【0293】
Delta6PVペプチドをapoC-IIノックアウトマウスに24時間間隔で6日間腹腔内注射し、1日目の0時間、3時間、及び6時間、並びに6日目の0時間、3時間、及び6時間に血漿TGレベルを測定した。Delta6PVの反復注射は、血漿TGの著しくかつ持続的な低減をもたらした(
図40)。SEC-FPLC(サイズ排除クロマトグラフィー-高速タンパク質液体クロマトグラフィー)を、1μモル/kg(B.W.)のDelta6PVペプチドで処置したマウスから、1日目の0時間及び6時間、並びに6日目の0時間及び6時間のプールした血漿試料で実行した。
図41に示すように、リン脂質レベルによって測定すると、VLDLのレベルはDelta6PVペプチドの注射の6時間後に減少したが、一方でHDLのレベルは増加した。TGのレベルもプールしたVLDLで減少した(
図42)。
【0294】
Delta6PVペプチドを、24時間間隔で5日間、apoC-IIIトランスジェニックマウスに腹腔内注射し、
図43Aに示すように、1日目及び5日目に血漿脂質をモニタリングした。Delta6PVの反復注射により、対照条件と比較して、1日目と5日目のペプチド注射の1時間後、3時間後、及び6時間後に血漿TGが低下した(
図43B及び
図44)。5μmole/kg(B.W.)のDelta6PVペプチドで処置したマウス由来の1日目と5日目の0時間と3時間の血漿試料をSEC-FPLCに適用して、VLDLとHDLの集団を分離した。VLDL及びHDL上のapoC-IIIのレベルは、ELISAによって測定された。Delta6PV処置マウスでは、VLDLとHDLの両方でapoC-IIIが減少した(
図45A及び
図45B)。この結果は、Delta6PVが置き換えによってVLDL及びHDLのapoC-IIIレベルを低減させたことを示す。
【0295】
イントラリピッドの腹腔内注射後、血清TGは、注射後3時間までに野生型マウスで40倍を超えて増加した。イントラリピッドの注射の1時間後にマウスにDelta6PVペプチドを腹腔内注射すると、TGの増加は顕著に低減した(
図46B)。
【0296】
反復投与試験は、apoC-II模倣ペプチドDelta6PVがマウスモデルのインビボ脂肪分解を増強する能力を有することを示す。
【0297】
[実施例13]
Delta6PVは、肥満サルモデルのインビボ脂肪分解を増強した
apoC-II模倣ペプチドDelta6PVを、2mmol/Lを超える血漿TGレベルを有する肥満サルに静脈内注射し、血漿脂質を経時的にモニタリングした。Delta6PVペプチドの単回注射は、注射後24時間、48時間、及び72時間で測定された血漿TGレベルの顕著な低減をもたらした(
図47)。肥満サルモデルにおけるDelta6PVペプチドの効果は、用量依存的である。
【0298】
Delta6PVペプチドの注射はまた、VLDLレベルの著しい低減をもたらした(
図48A)が、LDL及びHDLのレベルは有意に変化しなかった(
図48B及び
図48C)。
【0299】
要約すると、apoC-II模倣ペプチドDelta6PVは、肥満サルモデルのインビボ脂肪分解を増強し、VLDLレベルを低減させる能力を有する。
【0300】
[実施例14]
Delta6PVペプチドによるApoC-IIIの置き換え
本発明者らは、apoC-IIIの置き換えに対するDelta6PVペプチドの効果を調査した。
【0301】
ヒト血漿から単離されたVLDLの、Delta6PVペプチドとのインキュベーションにより、Delta6PVペプチドがアポリポタンパク質よりもVLDLに対してより高い親和性を有することが示された。
図49に示すように、Delta6PVペプチドは、用量依存的にapoC-IIIを置き換えた。VLDL中のapoC-IIもDelta6PVペプチドによって置き換えられた。
【0302】
基質としてヒトapoC-II欠損血漿を使用したLPLアッセイも実施した。結果を
図50に示す。25μMのapoC-III組換えタンパク質を添加すると、遊離脂肪酸(NEFA)の産生が約1.5μMから約0.8μMに低下した。Delta6及びDelta6PVペプチドを様々な濃度で添加した。Delta6及びDelta6PVペプチドの添加は、apoC-IIIの阻害効果を克服し、脂肪分解を促進した。
【0303】
これらの結果は、Delta6PVペプチドがapoC-IIIを置き換え、インビトロ脂肪分解を増強することができることを示す。
【0304】
本発明を好ましい実施形態及び様々な代替的な実施形態を参照して具体的に示し説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細に様々な変更を加えることができることは当業者には理解されよう。
【0305】
本明細書の本文内で引用された全ての参考文献、発行された特許及び特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、以下を提供する。
(1)50アミノ酸以下の単離されたapoC-II模倣ペプチドであって、N末端からC末端に向けて、第1のヘリックスドメイン、ヒンジ領域、及び第2のヘリックスドメインを含み、
第1のヘリックスドメインが両親媒性であり、apoC-II模倣ペプチドが、配列番号56のペプチドではない、ペプチド。
(2)第1のドメインがapoC-IIの天然のヘリックス1である、上記(1)に記載のペプチド。
(3)第1のドメインがapoC-IIのヘリックス1のバリアントである、上記(1)に記載のペプチド。
(4)第1のドメインがapoC-IIの天然のヘリックス2である、上記(1)に記載のペプチド。
(5)第1のドメインがapoC-IIのヘリックス2のバリアントである、上記(1)に記載のペプチド。
(6)apoC-IIのヘリックス2のバリアントがapoC-IIのヘリックス2の伸長を含む、上記(5)に記載のペプチド。
(7)apoC-IIのヘリックス2が、N末端において1~10アミノ酸伸長している、上記(6)に記載のペプチド。
(8)apoC-IIのヘリックス2が、N末端において1アミノ酸伸長している、上記(7)に記載のペプチド。
(9)上記アミノ酸がアスパラギン酸である、上記(8)に記載のペプチド。
(10)apoC-IIのヘリックス2が、N末端において2アミノ酸伸長している、上記(7)に記載のペプチド。
(11)上記アミノ酸が、N末端からC末端に向けてリジン及びアラニンである、上記(10)に記載のペプチド。
(12)apoC-IIのヘリックス2が、N末端において5アミノ酸伸長している、上記(7)に記載のペプチド。
(13)apoC-IIのヘリックス2が、ヒトapoC-IIの天然の上流アミノ酸配列、又はヒトapoC-IIの天然の上流アミノ酸配列の変異体によって伸長している、上記(12)に記載のペプチド。
(14)apoC-IIのヘリックス2のバリアントが、40位にアスパラギン酸を含む、上記(12)又は(13)に記載のペプチド。
(15)apoC-IIのヘリックス2のバリアントが、41位にチロシン又はトリプトファンを含む、上記(12)から(14)のいずれかに記載のペプチド。
(16)apoC-IIのヘリックス2のバリアントが、42位にロイシンを含む、上記(12)から(15)のいずれかに記載のペプチド。
(17)apoC-IIのヘリックス2のバリアントが、43位にリジン又はアルギニンを含む、上記(12)から(16)のいずれかに記載のペプチド。
(18)apoC-IIのヘリックス2のバリアントが、44位にアラニン又はグルタミン酸を含む、上記(12)から(17)のいずれかに記載のペプチド。
(19)apoC-IIのヘリックス2のバリアントが、40位にアスパラギン酸、41位にチロシン、42位にロイシン、43位にリジン、44位にグルタミン酸を含む、上記(12)から(18)のいずれかに記載のペプチド。
(20)apoC-IIのヘリックス2のバリアントがapoC-IIのヘリックス2の短縮を含む、上記(5)に記載のペプチド。
(21)apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~46が欠失している、上記(20)に記載のペプチド。
(22)apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~48が欠失している、上記(20)に記載のペプチド。
(23)apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~49が欠失している、上記(20)に記載のペプチド。
(24)apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~50が欠失している、上記(20)に記載のペプチド。
(25)apoC-IIの天然のヘリックス2のアミノ酸残基45~53が欠失している、上記(20)に記載のペプチド。
(26)apoC-IIのヘリックス2のバリアントがapoC-IIのヘリックス2の少なくとも1つの変異を含む、上記(5)から(25)のいずれかに記載のペプチド。
(27)変異がアミノ酸置換である、上記(26)に記載のペプチド。
(28)apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸が天然アミノ酸で置換されている、上記(27)に記載のペプチド。
(29)apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸が非天然アミノ酸で置換されている、上記(27)に記載のペプチド。
(30)apoC-IIのヘリックス2の元のアミノ酸がアミノ酸類似体で置換されている、上記(27)に記載のペプチド。
(31)アミノ酸置換が45位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(32)45位のバリンがフェニルアラニンで置換されている、上記(31)に記載のペプチド。
(33)アミノ酸置換が46位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(34)46位のアスパラギン酸がフェニルアラニンで置換されている、上記(33)に記載のペプチド。
(35)46位のアスパラギン酸がリジンで置換されている、上記(33)に記載のペプチド。
(36)46位のアスパラギン酸がアミノイソ酪酸で置換されている、上記(33)に記載のペプチド。
(37)アミノ酸置換が48位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(38)48位のリジンがアルギニンで置換されている、上記(37)に記載のペプチド。
(39)アミノ酸置換が49位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(40)49位のロイシンがリジンで置換されている、上記(39)に記載のペプチド。
(41)アミノ酸置換が50位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(42)50位のアルギニンがリジンで置換されている、上記(41)に記載のペプチド。
(43)アミノ酸置換が53位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(44)53位のチロシンがロイシンで置換されている、上記(43)に記載のペプチド。
(45)アミノ酸置換が54位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(46)54位のセリンがグルタミン酸で置換されている、上記(45)に記載のペプチド。
(47)54位のセリンがリジンで置換されている、上記(45)に記載のペプチド。
(48)54位のセリンがアスパラギン酸で置換されている、上記(45)に記載のペプチド。
(49)アミノ酸置換が55位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(50)55位のリジンがアルギニンで置換されている、上記(49)に記載のペプチド。
(51)アミノ酸置換が56位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(52)56位のセリンがフェニルアラニンで置換されている、上記(51)に記載のペプチド。
(53)56位のセリンがリジンで置換されている、上記(51)に記載のペプチド。
(54)56位のセリンがアラニンで置換されている、上記(51)に記載のペプチド。
(55)56位のセリンがアミノイソ酪酸で置換されている、上記(51)に記載のペプチド。
(56)アミノ酸置換が57位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(57)57位のトレオニンがフェニルアラニンで置換されている、上記(56)に記載のペプチド。
(58)apoC-IIのヘリックス2のバリアントが3つのアミノ酸置換を含み、該アミノ酸置換が46位、54位、及び56位にある、上記(27)から(30)のいずれかに記載のペプチド。
(59)46位のアスパラギン酸がフェニルアラニンで置換され、54位のセリンがグルタミン酸で置換され、56位のセリンがフェニルアラニンで置換されている、上記(58)に記載のペプチド。
(60)apoC-IIのヘリックス2のバリアントが少なくとも1つの化学修飾を含む、上記(5)から(59)のいずれかに記載のペプチド。
(61)化学修飾が脂肪酸の共有結合である、上記(60)に記載のペプチド。
(62)脂肪酸が4~26個の炭素を含む、上記(61)に記載のペプチド。
(63)脂肪酸が10個の炭素を含む、上記(62)に記載のペプチド。
(64)脂肪酸が12個の炭素を含む、上記(62)に記載のペプチド。
(65)脂肪酸が14個の炭素を含む、上記(62)に記載のペプチド。
(66)脂肪酸が16個の炭素を含む、上記(62)に記載のペプチド。
(67)脂肪酸が18個の炭素を含む、上記(62)に記載のペプチド。
(68)脂肪酸が20個の炭素を含む、上記(62)に記載のペプチド。
(69)脂肪酸が飽和している、上記(61)から(68)のいずれかに記載のペプチド。
(70)脂肪酸が不飽和である、上記(61)から(68)のいずれかに記載のペプチド。
(71)脂肪酸がN末端アミノ酸に連結している、上記(61)から(70)のいずれかに記載のペプチド。
(72)脂肪酸がアミノ酸側基に連結している、上記(61)から(71)のいずれかに記載のペプチド。
(73)脂肪酸がリジン残基のε-アミンに連結している、上記(72)に記載のペプチド。
(74)ヒンジ領域が5~10アミノ酸を含む、上記(1)から(73)のいずれかに記載のペプチド。
(75)ヒンジ領域が7アミノ酸を含む、上記(74)に記載のペプチド。
(76)ヒンジ領域がプロリンを含む、上記(74)に記載のペプチド。
(77)ヒンジ領域が58位にプロリンを含む、上記(76)に記載のペプチド。
(78)ヒンジ領域がアラニンを含む、上記(74)に記載のペプチド。
(79)ヒンジ領域が58位にアラニンを含む、上記(78)に記載のペプチド。
(80)ヒンジ領域がノルロイシンを含む、上記(74)に記載のペプチド。
(81)ヒンジ領域が60位にノルロイシンを含む、上記(80)に記載のペプチド。
(82)ヒンジ領域がリジンを含む、上記(74)に記載のペプチド。
(83)ヒンジ領域が60位にリジンを含む、上記(82)に記載のペプチド。
(84)ヒンジ領域がバリンを含む、上記(74)に記載のペプチド。
(85)ヒンジ領域が60位にバリンを含む、上記(84)に記載のペプチド。
(86)ヒンジ領域がロイシンを含む、上記(74)に記載のペプチド。
(87)ヒンジ領域が60位にロイシンを含む、上記(86)に記載のペプチド。
(88)ヒンジ領域がメチオニンを含む、上記(74)に記載のペプチド。
(89)ヒンジ領域が60位にメチオニンを含む、上記(88)に記載のペプチド。
(90)ヒンジ領域が少なくとも1つの化学修飾を含む、上記(74)から(89)のいずれかに記載のペプチド。
(91)化学修飾が脂肪酸の共有結合である、上記(90)に記載のペプチド。
(92)脂肪酸が4~26個の炭素を含む、上記(91)に記載のペプチド。
(93)脂肪酸が10個の炭素を含む、上記(92)に記載のペプチド。
(94)脂肪酸が12個の炭素を含む、上記(92)に記載のペプチド。
(95)脂肪酸が14個の炭素を含む、上記(92)に記載のペプチド。
(96)脂肪酸が16個の炭素を含む、上記(92)に記載のペプチド。
(97)脂肪酸が18個の炭素を含む、上記(92)に記載のペプチド。
(98)脂肪酸が20個の炭素を含む、上記(92)に記載のペプチド。
(99)脂肪酸が飽和している、上記(91)から(98)のいずれかに記載のペプチド。
(100)脂肪酸が不飽和である、上記(91)から(98)のいずれかに記載のペプチド。
(101)脂肪酸がアミノ酸側基に連結している、上記(91)から(100)のいずれかに記載のペプチド。
(102)脂肪酸がリジン残基のε-アミンに連結している、上記(101)に記載のペプチド。
(103)ヒンジ領域が、第1のヘリックスドメイン及び第2のヘリックスドメインがほぼ直線の高次構造を保持することを可能にし、第2のドメインが、約20°以下の角度で第1のドメインから離れて曲がっている、上記(1)から(102)のいずれかに記載のペプチド。
(104)第2のドメインがapoC-IIの天然のヘリックス3である、上記(1)から(103)のいずれかに記載のペプチド。
(105)第2のドメインがapoC-IIのヘリックス3のバリアントである、上記(1)から(103)のいずれかに記載のペプチド。
(106)apoC-IIのヘリックス3のバリアントがapoC-IIのヘリックス3の伸長を含む、上記(105)に記載のペプチド。
(107)apoC-IIのヘリックス3が、C末端において1~10アミノ酸伸長している、上記(106)に記載のペプチド。
(108)apoC-IIのヘリックス3が、C末端において4アミノ酸伸長している、上記(107)に記載のペプチド。
(109)apoC-IIのヘリックス3が、N末端からC末端に向けてアミノ酸リジン、グリシン、グルタミン酸、及びグルタミン酸で伸長している、上記(108)に記載のペプチド。
(110)apoC-IIのヘリックス3のバリアントがapoC-IIのヘリックス3の少なくとも1つの変異を含む、上記(105)から(109)のいずれかに記載のペプチド。
(111)変異がアミノ酸置換である、上記(110)に記載のペプチド。
(112)apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸が天然アミノ酸で置換されている、上記(111)に記載のペプチド。
(113)apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸が非天然アミノ酸で置換されている、上記(111)に記載のペプチド。
(114)apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸がアミノ酸類似体で置換されている、上記(111)に記載のペプチド。
(115)アミノ酸置換が70位にある、上記(111)から(114)のいずれかに記載のペプチド。
(116)70位のグルタミンがアルギニンで置換されている、上記(115)に記載のペプチド。
(117)70位のグルタミンがリジンで置換されている、上記(115)に記載のペプチド。
(118)apoC-IIのヘリックス3のバリアントが少なくとも1つの化学修飾を含む、上記(105)から(117)のいずれかに記載のペプチド。
(119)化学修飾が脂肪酸の共有結合である、上記(118)に記載のペプチド。
(120)脂肪酸が4~26個の炭素を含む、上記(119)に記載のペプチド。
(121)脂肪酸が10個の炭素を含む、上記(120)に記載のペプチド。
(122)脂肪酸が12個の炭素を含む、上記(120)に記載のペプチド。
(123)脂肪酸が14個の炭素を含む、上記(120)に記載のペプチド。
(124)脂肪酸が16個の炭素を含む、上記(120)に記載のペプチド。
(125)脂肪酸が18個の炭素を含む、上記(120)に記載のペプチド。
(126)脂肪酸が20個の炭素を含む、上記(120)に記載のペプチド。
(127)脂肪酸が飽和している、上記(119)から(126)のいずれかに記載のペプチド。
(128)脂肪酸が不飽和である、上記(119)から(126)のいずれかに記載のペプチド。
(129)脂肪酸がC末端アミノ酸に連結している、上記(119)から(128)のいずれかに記載のペプチド。
(130)脂肪酸がアミノ酸側基に連結している、上記(119)から(129)のいずれかに記載のペプチド。
(131)脂肪酸がリジン残基のε-アミンに連結している、上記(130)に記載のペプチド。
(132)C末端アミノ酸がC末端アミドで修飾されている、上記(119)から(131)のいずれかに記載のペプチド。
(133)単離されたapoC-II模倣ペプチドが、精製タグをさらに含む、上記(1)から(132)のいずれかに記載のペプチド。
(134)精製タグがポリヒスチジンタグ、mycタグ、又はHAタグである、上記(133)に記載のペプチド。
(135)第1のドメインが、リポタンパク質への結合親和性を有する、上記(1)から(134)のいずれかに記載のペプチド。
(136)第2のドメインが、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を活性化することができる、上記(1)から(135)のいずれかに記載のペプチド。
(137)LPLによる脂肪分解を活性化することができる、上記(135)又は(136)に記載のペプチド。
(138)リポタンパク質中のapoC-IIIを置き換えることができる、上記(135)又は(136)に記載のペプチド。
(139)インビボでトリグリセリド(TG)レベルを低減させることができる、上記(1)から(138)のいずれかに記載のペプチド。
(140)LPL欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる、上記(139)に記載のペプチド。
(141)apoC-IIIの上昇によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる、上記(139)に記載のペプチド。
(142)apoC-II欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる、上記(139)に記載のペプチド。
(143)食後の上昇したTGレベルを低減させることができる、上記(139)に記載のペプチド。
(144)配列番号6に示す配列を有する、上記(1)に記載の単離されたapoC-II模倣ペプチド。
(145)配列番号9に示す配列を有する、上記(1)に記載の単離されたapoC-II模倣ペプチド。
(146)apoC-IIのヘリックス3のバリアントからなる、30アミノ酸以下の単離されたapoC-II模倣ペプチド。
(147)apoC-IIのヘリックス3のバリアントがapoC-IIのヘリックス3の伸長を含む、上記(146)に記載のペプチド。
(148)apoC-IIのヘリックス3が、N末端において1~10アミノ酸伸長している、上記(147)に記載のペプチド。
(149)apoC-IIのヘリックス3が、N末端において6アミノ酸伸長している、上記(148)に記載のペプチド。
(150)apoC-IIのヘリックス3のバリアントが、60位にリジン又はメチオニンを含む、上記(149)に記載のペプチド。
(151)apoC-IIのヘリックス3が、C末端において1~10アミノ酸伸長している、上記(147)から(150)のいずれかに記載のペプチド。
(152)apoC-IIのヘリックス3が、C末端において4アミノ酸伸長している、上記(151)に記載のペプチド。
(153)apoC-IIのヘリックス3が、N末端からC末端に向けてアミノ酸リジン、グリシン、グルタミン酸、及びグルタミン酸で伸長している、上記(152)に記載のペプチド。
(154)apoC-IIのヘリックス3のバリアントがapoC-IIのヘリックス3の少なくとも1つの変異を含む、上記(146)から(153)のいずれかに記載のペプチド。
(155)変異がアミノ酸置換である、上記(154)に記載のペプチド。
(156)apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸が天然アミノ酸で置換されている、上記(155)に記載のペプチド。
(157)apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸が非天然アミノ酸で置換されている、上記(155)に記載のペプチド。
(158)apoC-IIのヘリックス3の元のアミノ酸がアミノ酸類似体で置換されている、上記(155)に記載のペプチド。
(159)apoC-IIのヘリックス3のバリアントが少なくとも1つの化学修飾を含む、上記(146)から(158)のいずれかに記載のペプチド。
(160)化学修飾が脂肪酸の共有結合である、上記(159)に記載のペプチド。
(161)脂肪酸が4~26個の炭素を含む、上記(160)に記載のペプチド。
(162)脂肪酸が10個の炭素を含む、上記(161)に記載のペプチド。
(163)脂肪酸が12個の炭素を含む、上記(161)に記載のペプチド。
(164)脂肪酸が14個の炭素を含む、上記(161)に記載のペプチド。
(165)脂肪酸が16個の炭素を含む、上記(161)に記載のペプチド。
(166)脂肪酸が18個の炭素を含む、上記(161)に記載のペプチド。
(167)脂肪酸が20個の炭素を含む、上記(161)に記載のペプチド。
(168)脂肪酸が飽和している、上記(160)から(167)のいずれかに記載のペプチド。
(169)脂肪酸が不飽和である、上記(160)から(167)のいずれかに記載のペプチド。
(170)脂肪酸がN末端アミノ酸に連結している、上記(160)から(169)のいずれかに記載のペプチド。
(171)脂肪酸がC末端アミノ酸に連結している、上記(160)から(169)のいずれかに記載のペプチド。
(172)脂肪酸がアミノ酸側基に連結している、上記(160)から(171)のいずれかに記載のペプチド。
(173)脂肪酸がリジン残基のε-アミンに連結している、上記(172)に記載のペプチド。
(174)単離されたapoC-II模倣ペプチドが、精製タグをさらに含む、上記(146)から(173)のいずれかに記載のペプチド。
(175)精製タグがポリヒスチジンタグ、mycタグ、又はHAタグである、上記(174)に記載のペプチド。
(176)apoC-IIのヘリックス3のバリアントが、リポタンパク質への結合親和性を有する、上記(146)から(175)のいずれかに記載のペプチド。
(177)apoC-IIのヘリックス3のバリアントが、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を活性化することができる、上記(146)から(176)のいずれかに記載のペプチド。
(178)LPLによる脂肪分解を活性化することができる、上記(176)又は(177)に記載のペプチド。
(179)リポタンパク質中のapoC-IIIを置き換えることができる、上記(176)又は(177)に記載のペプチド。
(180)インビボでトリグリセリド(TG)レベルを低減させることができる、上記(146)から(179)のいずれかに記載のペプチド。
(181)LPL欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる、上記(180)に記載のペプチド。
(182)apoC-IIIの上昇によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる、上記(180)に記載のペプチド。
(183)apoC-II欠損症によって引き起こされる上昇したTGレベルを低減させることができる、上記(180)に記載のペプチド。
(184)食後の上昇したTGレベルを低減させることができる、上記(180)に記載のペプチド。
(185)上記(1)から(184)のいずれかに記載のペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
(186)皮下注射に適している、上記(185)に記載の医薬組成物。
(187)患者の高トリグリセリド血症を治療する方法であって、上記(1)から(186)のいずれかに記載のペプチド又は医薬組成物の有効量を患者に投与することを含む、方法。
(188)高トリグリセリド血症が肥満に関連している、上記(187)に記載の方法。
(189)高トリグリセリド血症が糖尿病に関連している、上記(187)に記載の方法。
(190)高トリグリセリド血症がアルコール摂取に関連している、上記(187)に記載の方法。
(191)高トリグリセリド血症が投薬に関連している、上記(187)に記載の方法。
(192)高トリグリセリド血症がLPL欠損症によって引き起こされる、上記(187)に記載の方法。
(193)高トリグリセリド血症が家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症である、上記(192)に記載の方法。
(194)LPL欠損症が、LPL遺伝子の変異によって引き起こされる、上記(192)又は(193)に記載の方法。
(195)変異がLPL酵素活性の低減をもたらす、上記(194)に記載の方法。
(196)変異がLPL酵素活性の欠如をもたらす、上記(194)に記載の方法。
(197)LPL欠損症が、患者の血清中のLPL活性の欠如によって診断される、上記(192)から(196)のいずれかに記載の方法。
(198)変異がDNA配列解析によって検出される、上記(194)から(196)のいずれかに記載の方法。
(199)高トリグリセリド血症がapoC-II欠損症によって引き起こされる、上記(187)に記載の方法。
(200)高トリグリセリド血症がapoC-IIIの上昇によって引き起こされる、上記(187)に記載の方法。
(201)患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が150mg/dL~199mg/dLの間である、上記(187)から(200)のいずれかに記載の方法。
(202)患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が200mg/dL~499mg/dLの間である、上記(187)から(200)のいずれかに記載の方法。
(203)患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が500mg/dL~999mg/dLの間である、上記(187)から(200)のいずれかに記載の方法。
(204)患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が1000mg/dL~1999mg/dLの間である、上記(187)から(200)のいずれかに記載の方法。
(205)患者の治療前の血清トリグリセリド(TG)濃度が2000mg/dL以上である、上記(187)から(200)のいずれかに記載の方法。
(206)患者が、急性膵炎を発症しているか又はそのリスクがある、上記(187)から(205)のいずれかに記載の方法。
(207)患者が、急性心血管疾患を発症しているか又はそのリスクがある、上記(187)から(206)のいずれかに記載の方法。
(208)上記(1)から(184)のいずれかに記載のペプチドを作製する方法であって、組換えによってペプチドを産生することを含む、方法。
(209)上記(1)から(184)のいずれかに記載のペプチドを作製する方法であって、化学合成によってペプチドを産生することを含む、方法。
【配列表】