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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】水栓制御装置及びそれを用いた自動水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
E03C1/05
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020017723
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021123940
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成吾
(72)【発明者】
【氏名】片岡 健介
(72)【発明者】
【氏名】山口 真樹
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-135652(JP,A)
【文献】特開2014-118798(JP,A)
【文献】特開2004-92219(JP,A)
【文献】特開2007-315041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0069228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物の動きを検出するモーションセンサと、該モーションセンサからの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部と、を有する水栓制御装置であって、
前記モーションセンサが、複数の投光器と、前記複数の投光器から投光された光の反射光を受光する1つの受光器と、を有し、
前記吐水制御部が、前記複数の投光器から互いに異なるタイミングでパルス光を順番に出力させる分配出力手段と、前記受光器に受光される前記複数の投光器からの反射光の受光強度を投光の順番毎に時系列に並べて各々の受光強度の経時変化に基づき検出対象物の動きを特定する動き特定手段と、を有し、該動き特定手段により特定された検出対象物の動きに対して割り当てられた前記吐水状態の変更操作指示を出力する構成とされる水栓制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水栓制御装置であって、
前記複数の投光器が、同一平面上に配置され、
前記吐水制御部が、前記モーションセンサに対し前記複数の投光器が並ぶ平面と直交する方向に検出対象物が近づけられる動きにより、検出対象物の動きを検出しても前記吐水状態の変更操作指示を出力しない使用初期の変更操作無効モードから検出対象物の動きに応じて前記吐水状態の変更操作指示を出力する変更操作有効モードへと切り替えられる構成とされる水栓制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の水栓制御装置であって、
前記複数の投光器が、多角形の頂点に相当する位置に配置され、前記受光器が、前記多角形で囲まれた内側の位置に配置される水栓制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の水栓制御装置と、
吐水/止水の切替手段、吐水量の変更手段及び吐水温度の変更手段を備える吐水機構と、を有し、
前記吐水機構が、前記水栓制御装置から出力された前記吐水状態の変更操作指示に基づいて吐水状態を変更するように操作される構成とされる自動水栓。
【請求項5】
請求項4に記載の自動水栓であって、
前記複数の投光器が、水栓本体の上面に配置される自動水栓。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の自動水栓であって、
前記吐水制御部が、当該自動水栓の吐水口に検出対象物が差し出されたか否かを検出する吐止水センサからの検出信号に基づいて前記吐水/止水の切替手段を操作し、前記モーションセンサからの検出信号に基づいて前記吐水量の変更手段及び前記吐水温度の変更手段を操作する構成とされる自動水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓制御装置及びそれを用いた自動水栓に関する。詳しくは、検出対象物の動きを検出するモーションセンサと、モーションセンサからの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部と、を有する水栓制御装置及びそれを用いた自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水栓本体の天板上に、人体の動きを非接触で検知する人体検知センサが設けられた構成が開示されている。上記人体検知センサは、同一平面上に配置された3つの投光器と受光器との組み合わせから成る反射型の赤外線センサから構成される。上記人体検知センサは、各々の投光器と受光器との組み合わせから成る各検知エリアを使用者の手が通過する順序を読み取ることで人体の動きを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5909761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、各投光器から投光される赤外線の波長範囲が近似的である場合、対応する受光器以外の受光器が反射光を誤って受光するおそれがある。そこで、本発明は、検出対象物の動きをより適切に検知することのできる水栓制御装置及びそれを用いた自動水栓を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の水栓制御装置は次の手段をとる。すなわち、水栓制御装置は、検出対象物の動きを検出するモーションセンサと、モーションセンサからの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部と、を有する。モーションセンサが、複数の投光器と、複数の投光器から投光された光の反射光を受光する1つの受光器と、を有する。吐水制御部が、複数の投光器から互いに異なるタイミングでパルス光を順番に出力させる分配出力手段と、受光器に受光される複数の投光器からの反射光の受光強度を投光の順番毎に時系列に並べて各々の受光強度の経時変化に基づき検出対象物の動きを特定する動き特定手段と、を有し、動き特定手段により特定された検出対象物の動きに対して割り当てられた吐水状態の変更操作指示を出力する構成とされる。
【0006】
上記構成によれば、受光器が1つであっても、複数の投光器から投射される光の反射光の受光強度の経時変化を投光器毎に適切に検出することができる。したがって、各々の投光器からの反射光の受光強度の経時変化に基づいて、使用者がモーションセンサの前で手指等を動かした際の動作方向を適切に検知することができる。また、モーションセンサを、複数の投光器に対して受光器が1つとなる合理的な構成とすることができる。
【0007】
また、本発明の水栓制御装置は、更に次のように構成されていてもよい。複数の投光器が、同一平面上に配置される。吐水制御部が、モーションセンサに対し複数の投光器が並ぶ平面と直交する方向に検出対象物が近づけられる動きにより、検出対象物の動きを検出しても吐水状態の変更操作指示を出力しない使用初期の変更操作無効モードから検出対象物の動きに応じて吐水状態の変更操作指示を出力する変更操作有効モードへと切り替えられる構成とされる。
【0008】
上記構成によれば、使用者の意図しない手指等の動きにより吐水制御部が吐水状態の変更操作指示を誤出力することを抑制することができる。
【0009】
また、本発明の水栓制御装置は、更に次のように構成されていてもよい。複数の投光器が、多角形の頂点に相当する位置に配置される。また、受光器が、上記の多角形で囲まれた内側の位置に配置される。
【0010】
上記構成によれば、モーションセンサをよりコンパクトな構成とすることができる。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の自動水栓は次の手段をとる。すなわち、自動水栓は、上記水栓制御装置と、吐水/止水の切替手段、吐水量の変更手段及び吐水温度の変更手段を備える吐水機構と、を有する。吐水機構が、水栓制御装置から出力された吐水状態の変更操作指示に基づいて吐水状態を変更するように操作される構成とされる。
【0012】
上記構成によれば、上記水栓制御装置による検出対象物の動きの検知に基づいて、使用者がモーションセンサの前で手指等を動かすジェスチャにより、吐水/止水の切り替えや、吐水量の変更、吐水温度の変更等の吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【0013】
また、本発明の自動水栓は、更に次のように構成されていてもよい。複数の投光器が、水栓本体の上面に配置される。
【0014】
上記構成によれば、使用者が使用対象となる水栓本体の上面に手をかざすという直感的な操作により、吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【0015】
また、本発明の自動水栓は、更に次のように構成されていてもよい。吐水制御部が、自動水栓の吐水口に検出対象物が差し出されたか否かを検出する吐止水センサからの検出信号に基づいて吐水/止水の切替手段を操作し、モーションセンサからの検出信号に基づいて吐水量の変更手段及び吐水温度の変更手段を操作する構成とされる。
【0016】
上記構成によれば、比較的使用頻度の高い吐水/止水に関しては、使用者が特にモーションセンサの前でジェスチャを行うことなく、吐水口に手を差し出す/引っ込めるのみで、簡便に行うことができる。したがって、自動水栓の利便性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る水栓制御装置及び自動水栓の概略構成を表した模式図である。
図2】水栓制御装置の構成を表したブロック図である。
図3】自動水栓の使用方法を表した模式図である。
図4】各投光器から投光される光の反射光が受光器に受光される様子を表した模式図である。
図5】各投光器と受光器の処理の関係を表したタイムチャートである。
図6】各投光器毎の反射光の受光強度の経時変化を表したグラフである。
図7】水栓制御装置の処理手順を表したフローチャートである。
図8図7に示す初期化処理の詳細を表したフローチャートである。
図9図7に示す吐止水の入力信号処理の詳細を表したフローチャートである。
図10図7に示す変更操作の入力信号処理の詳細を表したフローチャートである。
図11】使用者が手をモーションセンサ上に上から近づける動きと変更操作との対応関係を表した模式図である。
図12】使用者が手をモーションセンサ上で左から右へと移動させる動きと変更操作との対応関係を表した模式図である。
図13】使用者が手をモーションセンサ上で右から左へと移動させる動きと変更操作との対応関係を表した模式図である。
図14】使用者が手をモーションセンサ上で手前から奥へと移動させる動きと変更操作との対応関係を表した模式図である。
図15】使用者が手をモーションセンサ上で奥から手前へと移動させる動きと変更操作との対応関係を表した模式図である。
図16】予め記憶された使用者の手の動きと吐水状態の変更操作との関連情報を表した表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
《第1の実施形態》
(水栓制御装置10及びそれを用いた自動水栓1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る水栓制御装置10及びそれを用いた自動水栓1の構成について、図1図16を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。すなわち、使用者が自動水栓1の正面に立った位置から自動水栓1を見た方向を基準に、自動水栓1の手前、奥、左右及び上下の各方向を指すものとする。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る自動水栓1は、キッチンカウンタKにおけるシンクSの奥側の天板上に取り付けられている。上記自動水栓1は、その天板上から延び出る水栓本体2が、シンクS内側に向かってグースネック状に曲げられた形状とされ、その先の吐水口2Aから湯水を吐水する構成とされる。
【0021】
上記自動水栓1は、使用者が吐水口2Aの下方に手や食器等の物体(検出対象物)を差し出すことにより、吐水口2Aの近傍に設けられた吐止水センサ11により物体を検知して、吐水口2Aから自動で湯水を吐水する自動吐水機能を備える。また、上記自動水栓1は、使用者が水栓本体2の上面2Bに手や食器等の物体(検出対象物)をかざして所定のジェスチャを行うことにより、同上面2Bに設けられたモーションセンサ12により物体の様々な動きを検知して、吐水する湯水の温度や流量等を調整することのできる設定機能を備える。
【0022】
上記各機能は、自動水栓1に設けられた水栓制御装置10と、水栓制御装置10からの指示により吐水状態、すなわち吐水/止水の切り替えや吐水温度・吐水流量の変更を行う吐水機構20と、の協働により実行される。なお、図1において、各構成要素間を繋ぐ実線は、湯水の流れる配管を模式的に示したものであり、一点鎖線は、電気的な接続を模式的に示したものである。以下、水栓制御装置10及び吐水機構20の各部の具体的な構成について詳しく説明する。
【0023】
(水栓制御装置10の構成について)
図2に示すように、水栓制御装置10は、吐止水センサ11、モーションセンサ12及び吐水制御部13から成る。吐止水センサ11及びモーションセンサ12は、それぞれ、赤外線センサから成る。吐止水センサ11は、図3に示すように、吐水口2Aの近傍に設けられ、吐水口2Aの下方に使用者の手や食器等の物体(検出対象物)が差し出されたか否かを非接触で検出することができる構成とされる。
【0024】
モーションセンサ12は、図2に示すように、3つの投光器12A,12B,12Cと、各投光器12A,12B,12Cから投射された光の反射光を受光する1つの受光器12Dと、を有する構成とされる。上記モーションセンサ12は、図3に示すように、水栓本体2の上面2Bに設けられ、同上面2Bに使用者の手や食器等の物体(検出対象物)がかざされて何らかの動作が行われた場合に、その動作を非接触で検出することができる構成とされる。
【0025】
吐水制御部13は、図2に示すように、例えばマイコンで構成されており、CPU13A、分配器13B、FlashROM等の記憶装置13C、タイマ13D及び動き特定部13E等の機能部を備える。ここで、分配器13Bが、本発明の「分配出力手段」に相当する。また、動き特定部13Eが、本発明の「動き特定手段」に相当する。
【0026】
上記吐水制御部13は、吐止水センサ11及びモーションセンサ12と電気的に接続されている。上記吐水制御部13は、電源が投入され機能を開始されると、吐止水センサ11とモーションセンサ12とにそれぞれ所定の検出時間長さと時間間隔(例えば0.015秒)とをもって順に検出指示を出し、これらをシーケンシャルに作動させる。
【0027】
具体的には、吐水制御部13は、分配器13Bにより、モーションセンサ12の各投光器12A,12B,12Cから互いに異なるタイミングでパルス光を順番に出力させるようになっている。そして、吐水制御部13は、受光器12Dにおいて受光した各投光器12A,12B,12Cからの反射光の受光強度に関する信号を受信する。そして、吐水制御部13は、動き特定部13Eにより、上記処理の繰り返しによって得られた各投光器12A,12B,12Cからの反射光の受光強度を、投光の順番毎に時系列に並べて、各々の受光強度の経時変化に基づいて手や食器等の物体(検出対象物)の動き(動作方向)を特定する。
【0028】
そして、吐水制御部13は、上記動き特定部13Eにより特定された手や食器等の物体(検出対象物)の動きと、記憶装置13Cに予め記憶された変更操作にまつわる物体の動きのパターン(図16参照)と、を照合し、特定された物体の動きが変更操作としての動きか否かを判断する。そして、吐水制御部13は、上記物体の動きが変更操作としての動きであると判断した場合、その動きに割り当てられた変更操作に関する指示信号(吐水温度・吐水流量等の水栓状態を変更する信号)を吐水機構20に出力し、吐水機構20を指示信号に基づいて動作させる。
【0029】
(モーションセンサ12の配置について)
次に、上記モーションセンサ12を用いた物体の動きの検出から動きの特定までの流れについて、具体例を挙げて詳しく説明する。図3に示すように、上記モーションセンサ12を構成する3つの投光器12A,12B,12C及び1つの受光器12Dは、水栓本体2の上面2Bに次のように配置されている。すなわち、3つの投光器12A,12B,12Cは、水栓本体2の上面2Bに、三角形の頂点に相当する位置に配置されている。そして、受光器12Dは、上記3つの投光器12A,12B,12Cを結ぶ仮想三角形で囲まれた内側の位置に配置されている。
【0030】
詳しくは、3つの投光器12A,12B,12Cは、投光器12A,12Bが左右に横並び状に配置され、投光器12Cが投光器12A,12Bを結ぶ仮想線分の垂直二等分線上の奥側の位置に配置された構成とされる。そして、受光器12Dは、投光器12A,12Bを結ぶ仮想線分の中点位置に配置されている。上記各投光器12A,12B,12Cは、それぞれ、水栓本体2の上方に光を拡散投射させるようになっている。そして、受光器12Dは、各投光器12A,12B,12Cから投射された光の一部が手や食器等の物体(検出対象物)に当たって拡散反射された反射光の一部を受光する構成とされる。
【0031】
したがって、モーションセンサ12は、図4に示すように、3つの投光器12A,12B,12Cのうちのいずれかに物体が近づけられると、その動きに伴って受光器12Dにて受光される反射光の受光強度が次第に強くなっていく。例えば、図4に示すように、使用者が左側の投光器12Aの左側から右側の投光器12Bに向かって手を右側へ振るようなジェスチャを行った場合、その時間経過と共に、先ず、左側の投光器12Aから投射された光の反射光が受光器12Dに受光され、時間経過と共に受光強度が高くなっていく。
【0032】
そして、更に時間が経過すると、投光器12Aの右側に位置する投光器12Bから投射される光の反射光も受光器12Dに受光されるようになり、時間経過と共に受光強度が高くなっていく。ここで、図5には、使用者の手が左側から右側へ振られた場合の、各投光器12A,12B,12C毎の反射光の受光強度の経時変化を表したタイムチャートが示されている。このタイムチャートに示すように、使用者の手がモーションセンサ12上を左側から右側へと振られると、先ず、投光器12Aから投射された光の反射光が受光器12Dにおいて低い受光強度で受光される。
【0033】
そして、時間の経過と共に使用者の手が徐々に右側へ振られていくと、投光器12Aからの反射光の受光強度が次第に高くなっていく。更に、投光器12Aに加え、投光器12Aと投光器12Bとの間の奥側に位置する投光器12Cから投射された光の反射光も受光器12Dにおいて低い受光強度で受光されるようになる。
【0034】
そして、更に使用者の手が右側に振られていくと、投光器12Cからの反射光の受光強度が次第に高くなっていく。更に、一番右側に位置する投光器12Bから投射された光の反射光も受光器12Dにおいて低い受光強度で受光されるようになる。そして、更に使用者の手が右側に振られていくと、投光器12Bからの反射光の受光強度が次第に高くなっていく。
【0035】
上記処理の繰り返しによって得られた各投光器12A,12B,12Cからの反射光の受光強度は、吐水制御部13の動き特定部13Eにおいて図6に示すように投光の順番毎に時系列に並べられる。そして、動き特定部13Eにおいて、各々の受光強度の経時変化に基づき物体の動き(動作方向)が特定される。すなわち、上記のように使用者の手が左側から右側に振られた場合には、その検出開始からの時間経過に伴って、受光強度のピークが投光器12Aから投光器12C、投光器12Bの順で現れる。
【0036】
そのことでもって、動き特定部13Eでは、使用者の手が投光器12Aの左側から投光器12A、投光器12C及び投光器12Bの順に通過したこと、すなわち、モーションセンサ12上を左側から右側へ動いたことが特定される。同様に、使用者がモーションセンサ12上で手を右側から左側へ振る動きや、手前側から奥側へ振る動き、そして奥側から手前側へ振る動きについても、検出された受光強度のピークが現れる順でもって特定される。
【0037】
具体的には、使用者がモーションセンサ12上で手を右側から左側へ振るジェスチャを行った場合、受光強度のピークは、投光器12Bから投光器12C、投光器12Aの順で現れる。また、使用者がモーションセンサ12上で手を手前側から奥側へ振るジェスチャを行った場合、受光強度のピークは、投光器12A又は投光器12Bから投光器12Cの順で現れる。また、使用者がモーションセンサ12上で手を奥側から手前側へ振るジェスチャを行った場合、受光強度のピークは、投光器12Cから投光器12A又は投光器12Bの順で現れる。
【0038】
また、使用者がモーションセンサ12上に手を上側から下側に近づけるジェスチャを行った場合、各投光器12A,12B,12Cからの反射光の受光強度が時間経過と共に一斉に高くなっていく形となって現れる。また、使用者がモーションセンサ12上にかざした手を上側に遠ざけるジェスチャを行った場合、各投光器12A,12B,12Cからの反射光の受光強度が時間経過と共に一斉に低くなっていく形となって現れる。
【0039】
このように、各投光器12A,12B,12C毎の反射光の受光強度の経時変化に基づいて、使用者の手や食器等の物体(検出対象物)がモーションセンサ12上でどの方向に動かされたのかを特定することができる。上記吐水制御部13は、上記動き特定部13Eにより物体の動きを特定した後、その動きが変更操作としての動きであると判断した場合には、吐水機構20に変更操作に関する指示信号(吐水温度・吐水流量等の水栓状態を変更する信号)を出力し、吐水機構20を指示信号に基づいて動作させる。具体的な変更操作については、後述する。
【0040】
(吐水機構20の構成について)
次に、図1を参照しながら、吐水機構20の具体的な構成について説明する。吐水機構20は、自動水栓1に水を供給する給水管21及び湯を供給する給湯管22と、供給された湯水を内部で混合する混合弁23と、吐水口2Aからの吐水/止水を切り替える開閉弁24と、吐水時の吐水流量を調整する流量調整弁25と、を有する。ここで、混合弁23が、本発明の「吐水温度の変更手段」に相当する。また、開閉弁24が、本発明の「吐水/止水の切替手段」に相当する。また、流量調整弁25が、本発明の「吐水量の変更手段」に相当する。
【0041】
混合弁23は、給水管21、給湯管22及び開閉弁24へと繋がる配管と繋がれた電動式の三方弁から成る。上記混合弁23は、吐水制御部13と電気的に接続された電動モータ23Aにより、給水管21及び給湯管22との接続口の開度が調整されて、内部に流れ込む湯水の混合割合、すなわち吐水温度が調整される構成とされる。上記混合弁23は、開閉弁24へと繋がる配管経路に設けられた温度センサ23Bの検知信号に基づいて、吐水制御部13により電動モータ23Aが操作されて、吐水温度が設定温度となるように変更操作される構成とされる。
【0042】
開閉弁24は、吐水制御部13と電気的に接続された電磁弁から成る。上記開閉弁24は、吐水制御部13により開弁/閉弁を切り替えるように変更操作される構成とされる。上記開閉弁24が閉弁状態に切り替えられることで、吐水口2Aからの吐水が完全に止められる。また、開閉弁24が開弁状態に切り替えられることで、吐水口2Aから湯水が吐水される。
【0043】
流量調整弁25は、開閉弁24から吐出された湯水の吐水流量を変更可能な制御弁から成る。上記流量調整弁25は、吐水制御部13と電気的に接続された電動モータ25Aにより、水栓本体2の吐水口2Aへと繋がる配管との接続口の開度が調整されて、吐水口2Aから吐水する湯水の吐水流量が調整される構成とされる。上記流量調整弁25は、その上流側の開閉弁24とを繋ぐ配管経路に設けられた流量センサ25Bの検知信号に基づいて、吐水制御部13により電動モータ25Aが操作されて、吐水流量が設定流量となるように変更操作される構成とされる。
【0044】
(水栓制御装置10の処理手順について)
続いて、図7を参照しながら、水栓制御装置10の処理手順について説明する。すなわち、水栓制御装置10は、電源が投入され機能を開始されると、吐水制御部13がステップS100へと処理を進め、「初期化処理」を実行する。次に、吐水制御部13は、ステップS200へと処理を進め、処理タイミングであるか否かを判定する。処理タイミングとは、例えば、図2で前述した吐止水センサ11やモーションセンサ12に検出指示を出す処理のタイミングのことであり、適宜に設定されるものである。
【0045】
図7に戻って、吐水制御部13は、ステップS200において処理タイミングでないと判定した場合(No)、処理をステップS200へと戻す。一方、吐水制御部13は、ステップS200において処理タイミングであると判定した場合(Yes)、ステップS300へと処理を進め、「吐止水の入力信号処理」を実行する。そして、吐水制御部13は、続いてステップS400へと処理を進め、「変更操作の入力信号処理」を実行する。そして、吐水制御部13は、ステップS400を処理した後、処理をステップS200へと戻す。
【0046】
(「初期化処理」について)
次に、図8を参照しながら、図7で示したステップS100の「初期化処理」について詳しく説明する。吐水制御部13は、ステップS100の「初期化処理」に入ると、ステップS101へと処理を進める。このステップS101において、吐水制御部13は、設定モードをOFF、すなわち使用者により吐水温度や吐水流量等の水栓状態を変更するジェスチャが行われても、その変更操作に関する指示を出力しない「変更操作無効モード」にセットされる。
【0047】
また、吐水制御部13は、図1で前述した吐水機構20の各電動モータ23A,25Aを予め設定された基準位置へとセットする。更に、吐水制御部13は、開閉弁24を閉弁状態にセットする。そして、吐水制御部13は、処理を図7で示したステップS200(処理タイミングの判定)へとリターンする。
【0048】
(「吐止水の入力信号処理」について)
次に、図9を参照しながら、図7で示したステップS300の「吐止水の入力信号処理」について詳しく説明する。吐水制御部13は、ステップS300の「吐止水の入力信号処理」に入ると、ステップS301へと処理を進める。このステップS301において、吐水制御部13は、吐止水センサ11に所定の検出時間長さと所定の時間間隔(例えば0.015秒)とをもって検出指示を出し、反射光の検出信号を受信する。
【0049】
次に、吐水制御部13は、ステップS302へと処理を進め、吐止水センサ11により検出対象物(使用者の手や食器等の物体)が検出されたか否かを判定する。検出対象物が検出されたと判定した場合(Yes)、吐水制御部13は、ステップS303へと処理を進める。このステップS303において、吐水制御部13は、吐止水用タイマを起動する。この時、吐水制御部13は、全体処理の繰り返しによって吐止水用タイマが既に起動している場合には、吐止水用タイマを再起動(リセット)する。
【0050】
次に、吐水制御部13は、ステップS304へと処理を進める。なお、吐水制御部13は、ステップS302において検出対象物が検出されなかったと判定した場合(No)には、ステップS303をスキップして、ステップS304へと処理を進める。このステップS304において、吐水制御部13は、吐止水用タイマが起動しており、かつ、予め設定された所定時間内であるか否かを判定する。
【0051】
吐止水用タイマが起動しており、かつ、所定時間内であると判定した場合(Yes)、吐水制御部13は、ステップS305へと処理を進め、吐水処理、すなわち開閉弁24を開弁する処理を実行する。そうでない場合(No)、すなわち吐止水用タイマが起動していなかったり所定時間を経過したりしていると判定した場合には、吐水制御部13は、ステップS306へと処理を進め、止水処理、すなわち開閉弁24を閉弁する処理を実行する。そして、吐水制御部13は、処理を図7で示したステップS400(「変更操作の入力信号処理」)へとリターンする。
【0052】
(「変更操作の入力信号処理」について)
次に、図10を参照しながら、図7で示したステップS400の「変更操作の入力信号処理」について詳しく説明する。吐水制御部13は、ステップS400の「変更操作の入力信号処理」に入ると、ステップS401へと処理を進める。このステップS401において、吐水制御部13は、モーションセンサ12に所定の検出時間長さと所定の時間間隔(例えば0.015秒)とをもって検出指示を出し、反射光の検出信号を受信する。
【0053】
次に、吐水制御部13は、ステップS402へと処理を進め、各投光器12A,12B,12C毎の反射光の受光強度の合成(投光の順番毎に時系列に並べる処理)を行う。次に、吐水制御部13は、ステップS403へと処理を進め、上記合成した受光強度の経時変化に基づいて、検出対象物の動きが特定の動きであるか否かを判定する。検出対象物の動きが特定の動きであると判定した場合(Yes)、吐水制御部13は、ステップS404へと処理を進める。このステップS404において、吐水制御部13は、設定用タイマを起動する。この時、吐水制御部13は、全体処理の繰り返しによって設定用タイマが既に起動している場合には、設定用タイマを再起動(リセット)する。
【0054】
次に、吐水制御部13は、ステップS405へと処理を進める。なお、吐水制御部13は、ステップS403において検出対象物の動きが特定の動きではないと判定した場合(No)には、ステップS404をスキップして、ステップS405へと処理を進める。このステップS405において、吐水制御部13は、設定用タイマが起動しており、かつ、予め設定された所定時間内であるか否かを判定する。
【0055】
設定用タイマが起動していなかったり所定時間を経過したりしていると判定した場合(No)には、吐水制御部13は、ステップS407へと処理を進める。このステップS407では、吐水制御部13は、設定モードをOFFにする処理を実行する。そして、吐水制御部13は、処理を図7で示したステップS200(処理タイミングの判定)へとリターンする。
【0056】
一方、設定用タイマが起動しており、かつ、所定時間内であると判定した場合(Yes)、吐水制御部13は、ステップS406へと処理を進める。このステップS406では、吐水制御部13は、上記特定された動きが設定モードをONにする動きであるか否かを判定する。上記特定された動きが設定モードをONにする動きであると判定した場合(Yes)、吐水制御部13は、ステップS408へと処理を進め、設定モードをON、すなわち使用者により吐水温度や吐水流量等の水栓状態を変更するジェスチャが行われたら、その変更操作に関する指示を出力する「変更操作有効モード」にセットされる。そして、吐水制御部13は、処理を図7で示したステップS200(処理タイミングの判定)へとリターンする。
【0057】
一方、ステップS406において、上記特定された動きが設定モードをONにする動きではないと判定した場合(No)、吐水制御部13は、ステップS409へと処理を進め、設定モードがONであるか否かを判定する。この時点で設定モードがONではない場合(No)、吐水制御部13は、処理を図7で示したステップS200(処理タイミングの判定)へとリターンする。
【0058】
一方、ステップS409において、設定モードがONである場合(Yes)、吐水制御部13は、ステップS410へと処理を進める。このステップS410では、吐水制御部13は、上記特定された動きが設定内容、すなわち吐水温度や吐水流量等の水栓状態を変更する動きであるか否かを判定する。上記特定された動きが設定内容を変更する動きではないと判定した場合(No)、吐水制御部13は、処理を図7で示したステップS200(処理タイミングの判定)へとリターンする。
【0059】
しかし、ステップS410において、上記特定された動きが設定内容を変更する動きであると判定した場合(Yes)、吐水制御部13は、ステップS411へと処理を進める。このステップS411では、吐水制御部13は、上記動きに対して割り当てられた吐水状態の変更操作指示を出力する。そして、吐水制御部13は、処理を図7で示したステップS200(処理タイミングの判定)へとリターンする。以上が、水栓制御装置10の全体処理にまつわる手順である。
【0060】
(検出対象物の動きと変更操作との対応関係について)
次に、図11図16を参照しながら、検出対象物(使用者の手や食器等の物体)の動きと変更操作との対応関係について説明する。図11図15には、検出対象物の動きと吐水状態の変更操作との対応関係が示されている。図16には、図2で前述した記憶装置13Cに予め記憶されている吐水状態の変更操作にまつわる検出対象物の動きのパターンが示されている。
【0061】
図11は、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ12上に上から近づける動きを示している。このような動きが行われた場合、吐水制御部13は、図16の表の情報に基づいて、上記特定された検出対象物の動きが設定モードをONにする動きであると判断する。
【0062】
図12は、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ12上で左から右へと移動させる動きを示している。このような動きが行われた場合、吐水制御部13は、図16の表の情報に基づいて、上記特定された検出対象物の動きが吐水流量を増やす動きであると判断する。
【0063】
図13は、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ12上で右から左へと移動させる動きを示している。このような動きが行われた場合、吐水制御部13は、図16の表の情報に基づいて、上記特定された検出対象物の動きが吐水流量を減らす動きであると判断する。
【0064】
図14は、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ12上で手前から奥へと移動させる動きを示している。このような動きが行われた場合、吐水制御部13は、図16の表の情報に基づいて、上記特定された検出対象物の動きが吐水温度を上げる動きであると判断する。
【0065】
図15は、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ12上で奥から手前へと移動させる動きを示している。このような動きが行われた場合、吐水制御部13は、図16の表の情報に基づいて、上記特定された検出対象物の動きが吐水温度を下げる動きであると判断する。
【0066】
なお、吐水制御部13は、上記以外の動きを特定した場合には、図16の表の情報に基づいて、特定された検出対象物の動きが設定モードをONにする操作や吐水状態の変更操作としての動きではないと判断する。
【0067】
(まとめ)
以上をまとめると、第1の実施形態に係る水栓制御装置10及びそれを用いた自動水栓1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0068】
すなわち、水栓制御装置(10)は、検出対象物の動きを検出するモーションセンサ(12)と、モーションセンサ(12)からの検出信号に基づいて吐水状態の変更操作指示を出力する吐水制御部(13)と、を有する。モーションセンサ(12)が、複数の投光器(12A,12B,12C)と、複数の投光器(12A,12B,12C)から投光された光の反射光を受光する1つの受光器(12D)と、を有する。
【0069】
吐水制御部(13)が、複数の投光器(12A,12B,12C)から互いに異なるタイミングでパルス光を順番に出力させる分配出力手段(13B)と、受光器(12D)に受光される複数の投光器(12A,12B,12C)からの反射光の受光強度を投光の順番毎に時系列に並べて各々の受光強度の経時変化に基づき検出対象物の動きを特定する動き特定手段(13E)と、を有し、動き特定手段(13E)により特定された検出対象物の動きに対して割り当てられた吐水状態の変更操作指示を出力する構成とされる。
【0070】
上記構成によれば、受光器(12D)が1つであっても、複数の投光器(12A,12B,12C)から投射される光の反射光の受光強度の経時変化を投光器(12A,12B,12C)毎に適切に検出することができる。したがって、各々の投光器(12A,12B,12C)からの反射光の受光強度の経時変化に基づいて、使用者がモーションセンサ(12)の前で手指等を動かした際の動作方向を適切に検知することができる。また、モーションセンサ(12)を、複数の投光器(12A,12B,12C)に対して受光器(12D)が1つとなる合理的な構成とすることができる。
【0071】
また、複数の投光器(12A,12B,12C)が、同一平面上に配置される。吐水制御部(13)が、モーションセンサ(12)に対し複数の投光器(12A,12B,12C)が並ぶ平面と直交する方向に検出対象物が近づけられる動きにより、検出対象物の動きを検出しても吐水状態の変更操作指示を出力しない使用初期の変更操作無効モードから検出対象物の動きに応じて吐水状態の変更操作指示を出力する変更操作有効モードへと切り替えられる構成とされる。上記構成によれば、使用者の意図しない手指等の動きにより吐水制御部(13)が吐水状態の変更操作指示を誤出力することを抑制することができる。
【0072】
また、複数の投光器(12A,12B,12C)が、多角形の頂点に相当する位置に配置される。また、受光器(12D)が、上記の多角形で囲まれた内側の位置に配置される。上記構成によれば、モーションセンサ(12)をよりコンパクトな構成とすることができる。
【0073】
また、自動水栓(1)は、上記水栓制御装置(10)と、吐水/止水の切替手段(24)、吐水量の変更手段(25)及び吐水温度の変更手段(23)を備える吐水機構(20)と、を有する。吐水機構(20)が、水栓制御装置(10)から出力された吐水状態の変更操作指示に基づいて吐水状態を変更するように操作される構成とされる。上記構成によれば、上記水栓制御装置(10)による検出対象物の動きの適切な検知に基づいて、使用者がモーションセンサ(12)の前で手指等を動かすジェスチャにより、吐水/止水の切り替えや、吐水量の変更、吐水温度の変更等の吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【0074】
また、複数の投光器(12A,12B,12C)が、水栓本体(2)の上面(2B)に配置される。上記構成によれば、使用者が使用対象となる水栓本体(2)の上面(2B)に手をかざすという直感的な操作により、吐水状態の変更操作を簡便に行うことができる。
【0075】
また、吐水制御部(13)が、自動水栓(1)の吐水口(2A)に検出対象物が差し出されたか否かを検出する吐止水センサ(11)からの検出信号に基づいて吐水/止水の切替手段(24)を操作し、モーションセンサ(12)からの検出信号に基づいて吐水量の変更手段(25)及び吐水温度の変更手段(23)を操作する構成とされる。上記構成によれば、比較的使用頻度の高い吐水/止水に関しては、使用者が特にモーションセンサ(12)の前でジェスチャを行うことなく、吐水口(2A)に手を差し出す/引っ込めるのみで、簡便に行うことができる。したがって、自動水栓(1)の利便性を更に向上させることができる。
【0076】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0077】
1.モーションセンサに対する検出対象物の動きと吐水状態の変更操作との対応関係は、上記実施形態で示した対応関係に限らず、上記とは異なる対応関係となっているものであっても良い。例えば、使用者が手(検出対象物)をモーションセンサ上に上から近づける動きが、吐水/止水を切り替える動きとして特定されるものであっても良い。また、検出対象物の動きは、上記実施形態で示したパターンに限らず、斜めの動きやモーションセンサ上から手(検出対象物)を上に遠ざける動きを吐水状態の変更操作の動きとして特定するものであっても良い。
【0078】
2.モーションセンサは、水栓本体の手前側面等の上面以外の箇所に設置されていても良い。また、モーションセンサは、水栓本体にではなく、キッチンカウンタの天板等の水栓本体から離れた箇所に設置されていても良い。
【0079】
3.モーションセンサに設けられる投光器は、2つ又は4つ以上であっても良い。また、複数の投光器の配列は、投光器の設けられる数に応じた多角形の頂点に相当する位置に設ける配列の他、多角形の頂点に加えて多角形の辺に相当する位置に設ける配列であっても良い。また、複数の投光器は、必ずしも同一平面上に配置されていなくても良く、例えば、水栓本体の角度の付いた面に分かれて設けられるものや、水栓本体の手前側面と上面とに分かれて設けられる構成であっても良い。
【0080】
また、受光器は、投光器の配列される多角形で囲まれた内側・外側のどちらの位置に配置されていても良い。内側に配置されている方が、モーションセンサとしての構成をコンパクトに収めることができる。
【0081】
4.水栓制御装置は、吐水/止水の切り替えを、モーションセンサによる動きの検知によって行う構成であっても良い。自動水栓は、キッチンの他、洗面台や浴室や屋外で使用される水栓にも適用可能である。自動水栓は、温度調整可能な混合水栓の他、温度調整不能な単水栓であっても良い。
【0082】
5.分配出力手段が複数の投光器からパルス光を出力させる順番は、どのような順番であっても構わない。吐水制御部は、常時、変更操作有効モードとされる構成であっても構わない。吐水制御部を使用初期の変更操作無効モードから変更操作有効モードへと切り替えられる検出対象物の動きは、複数の投光器上に検出対象物を一定時間かざす動き等、接近動作以外の動きに設定されていても良い。
【符号の説明】
【0083】
1 自動水栓
2 水栓本体
2A 吐水口
2B 上面
10 水栓制御装置
11 吐止水センサ
12 モーションセンサ
12A 投光器
12B 投光器
12C 投光器
12D 受光器
13 吐水制御部
13A CPU
13B 分配器(分配出力手段)
13C 記憶装置
13D タイマ
13E 動き特定部(動き特定手段)
20 吐水機構
21 給水管
22 給湯管
23 混合弁(吐水温度の変更手段)
23A 電動モータ
23B 温度センサ
24 開閉弁(吐水/止水の切替手段)
25 流量調整弁(吐水量の変更手段)
25A 電動モータ
25B 流量センサ
K キッチンカウンタ
S シンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16