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特許7354007接地装置及びスイッチギヤ、接地操作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】接地装置及びスイッチギヤ、接地操作方法
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/16 20060101AFI20230925BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
H02B1/16 Z
H02B3/00 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020022047
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021129377
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 頌
(72)【発明者】
【氏名】平本 武
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-077008(JP,A)
【文献】特許第6625268(JP,B1)
【文献】特開2015-069955(JP,A)
【文献】実開昭58-057211(JP,U)
【文献】特開平09-163514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/16
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気機器に隣接させて配置され、配電時に電流が流れる主回路構造を接地する接地装置であって、
前記主回路構造が接地された入状態と、前記主回路構造が接地されない切状態とに切り換える接地装置本体と、
前記接地装置本体に対して取り外し可能に取り付けられる交換ユニットと、
前記交換ユニットを前記接地装置本体から取り外した状態において、前記交換ユニットが存在していた箇所に設けられ、前記電気機器に隣り合って構成されるスペースと、を有する接地装置。
【請求項2】
前記スペースは、前記交換ユニットの占有領域に対応し、有形物の介在しない3次元空間である請求項1に記載の接地装置。
【請求項3】
前記交換ユニットには、
前記接地装置本体を操作して、前記入状態及び前記切状態に切り換える入切操作機構と、
前記接地装置本体を、前記入切操作機構によって切り換えられた前記入状態及び前記切状態に保持する入切保持機構と、が含まれる請求項1に記載の接地装置。
【請求項4】
前記接地装置本体は、
予め設定された方向に移動させることで、前記主回路構造と電気的に接触する可動接触子と、
前記可動接触子に設けられ、前記入切操作機構が着脱可能に連結される第1連結部と、を有し、
前記入切操作機構は、
前記第1連結部に着脱可能に連結される第2連結部と、
前記第2連結部を前記可動接触子の移動方向に移動させる移動手段と、を有し、
前記交換ユニットを前記接地装置本体に取り付けた状態において、前記第1連結部と前記第2連結部とを相対的に接近させることで、前記第1連結部と前記第2連結部とが連結される請求項3に記載の接地装置。
【請求項5】
前記第1連結部及び前記第2連結部のいずれか一方は、予め設定された方向に突没自在に付勢された連結凸部を有し、
前記第1連結部及び前記第2連結部のいずれか他方は、前記連結凸部が嵌り込み可能な連結凹部と、前記連結凹部に向かって連続的に構成されたガイド部と、を有し、
前記第1連結部と前記第2連結部とを相対的に接近させることで、前記連結凸部が前記ガイド部に沿って案内されて、前記連結凹部に嵌り込む請求項4に記載の接地装置。
【請求項6】
前記スペースは、前記入状態において、前記交換ユニットを前記接地装置本体から取り外した際に構成される請求項1に記載の接地装置。
【請求項7】
配電時に電流が流れる主回路構造を収納した筐体を具備したスイッチギヤであって、
前記筐体の内部には、
請求項1~6のいずれか1項に記載の前記接地装置と、
前記接地装置に隣接させた少なくとも1つの電気機器と、が配置されているスイッチギヤ。
【請求項8】
前記筐体の内部を区画する仕切り壁と、
前記仕切り壁の一方側に設けられ、前記接地装置本体、及び、前記交換ユニットを含む操作構造と、
前記仕切り壁の他方側に設けられた前記主回路構造と、を有し、
前記仕切り壁の一方側において、前記交換ユニットは、前記接地装置本体に対して取り外し可能に取り付けられる請求項7に記載のスイッチギヤ。
【請求項9】
複数の電気機器に隣接させて配置され、配電時に電流が流れる主回路構造を接地する接地装置の接地操作方法であって、
前記接地装置が、
前記主回路構造が接地された入状態と、前記主回路構造が接地されない切状態とに切り換える接地装置本体と、
前記接地装置本体に対して取り外し可能に取り付けられる交換ユニットと、を有する場合において、
前記接地装置本体に前記交換ユニットが取り付けられた状態において、前記交換ユニットを前記接地装置本体から取り外す工程と、
前記交換ユニットを前記接地装置本体から取り外すことで、前記交換ユニットが存在していた箇所に、前記電気機器に隣り合うスペースを構成する工程と、を有する接地操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、接地装置及びスイッチギヤ、接地操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電用の開閉装置として、スイッチギヤが知られている。スイッチギヤは、例えば、ビルや大型施設に設けられ、事故電流の遮断や負荷電流の開閉を行うことで電力を安定して供給する。このため、スイッチギヤには、接地された金属製の筐体の内部に、例えば、遮断器、断路器、接地装置などの各種の電気機器が多段積みされて収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭58-57211号公報
【文献】特開平9-163514号公報
【文献】特開昭62-77008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スイッチギヤには、コストの低減や、筐体を大型化すること無く当該筐体内への収納機器数の向上などが求められている。これらの要求に応える方法としては、例えば、隣り合う2つ電気機器(遮断器、断路器)の相互間に接地装置を隣接させる配置形態が考えられる。この場合、接地装置は、配電時に電流が流れる主回路構造を接地(アース)するときにのみ稼働し、それ以外では稼働しないにも関わらず、常に筐体内に据え置かれた状態となる。
【0005】
しかし、このような配置形態によれば、筐体内への収納機器数の向上要求には応えられるものの、電気機器(遮断器、断路器)に対する作業スペース(例えば、点検を行うための3次元空間)を確保することが困難になってしまう。加えて、据え置かれる接地装置の数だけ筐体(スイッチギヤ)を大型化せざるをえず、その結果、筐体(スイッチギヤ)の製造に要するコストのみならず、接地装置の配置に要するコストが上昇してしまう。
【0006】
本発明の目的は、複数の電気機器を隣接させた配置形態において、低コスト化並びに小型化を図りつつ、当該電気機器に隣り合って構成されるスペース(即ち、空間的な広がり)を確保することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、複数の電気機器に隣接させて配置され、配電時に電流が流れる主回路構造を接地する接地装置であって、主回路構造が接地された入状態と、主回路構造が接地されない切状態とに切り換える接地装置本体と、接地装置本体に対して取り外し可能に取り付けられる交換ユニットと、交換ユニットを接地装置本体から取り外した状態において、交換ユニットが存在していた箇所に設けられ、電気機器に隣り合って構成されるスペースと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るスイッチギヤの全体構成を示すブロック図。
図2】非接地操作状態に係る接地装置の斜視図。
図3】接地操作状態に係る接地装置の斜視図。
図4】入切操作機構の斜視図。
図5】接地装置本体の斜視図。
図6】接地装置本体の平面図。
図7】入切操作機構を接地装置本体に取り付けるための構成(第1連結部、第2連結部)を示す模式図。
図8】双方の連結部がガイド部に沿って案内されている状態を示す模式図。
図9】双方の連結部が連結された状態を示す模式図。
図10】入切保持機構の保持姿勢を示す斜視図。
図11】入切保持機構の中間姿勢を示す斜視図。
図12】入切保持機構の保持姿勢を示す正面図。
図13】入切保持機構の中間姿勢を示す正面図。
図14】入切保持機構により入(接地)状態に保持された接地装置本体の斜視図。
図15】入切保持機構により入(接地)状態に保持された接地装置本体の側面図。
図16】入切保持機構により切(非接地)状態に保持された接地装置本体の斜視図。
図17】入切保持機構により切(非接地)状態に保持された接地装置本体の側面図。
図18】スペースを構成する際の接地操作方法を示すフロー図。
図19】変形例に係る入切操作機構の斜視図。
図20】変形例に係る入切操作機構の斜視図。
図21】変形例に係る入切操作機構の斜視図。
図22図21の変形例において、入切操作機構と接地装置本体との脱着機構を示す部分断面図。
図23図1の第1遮断器の内部構成をその底面側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[一実施形態]
以下、実施形態に係るスイッチギヤ、並びに、スイッチギヤに搭載された接地装置、及び、接地装置の接地操作方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、添付図面に開示された実施形態は、あくまで一例に過ぎず、これにより発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、スイッチギヤ1の内部構成図である。スイッチギヤ1として、固体絶縁スイッチギヤ(SIS:Solid Insulated Switchgear)を想定する。スイッチギヤ1は、接地(アース)された金属製の筐体2を有し、当該筐体2の内部に、後述する各種の電気機器(例えば、遮断器、断路器、接地装置などの開閉器)が多段積みされて収納されている。
【0011】
図1に示すように、筐体2は、水平に配置された床2aと、床2aに対向した天井2bと、床2aと天井2bとの間の空間を囲むように介在させた側壁2cとを有している。筐体2の内部は、床2aと天井2bと側壁2cとで囲まれた空間領域として規定される。筐体2の内部は、仕切り壁3によって区画されている。仕切り壁3の一方側には、操作構造4が収納され、仕切り壁3の他方側には、配電時に電流が流れる主回路構造5が設けられている。
【0012】
スイッチギヤ1は、上記した筐体2の内部に、後述する各種の電気機器を支持する支持部6,7を有している。図1の例において、2つの支持部(第1支持部6、第2支持部7)が、主回路構造5の構成要素として、仕切り壁3の他方側に間隔を存して配置されている。なお、床2aから天井2bに向かう垂直方向で見て、第2支持部7は、第1支持部6よりも垂直上方に配置されている。
【0013】
先ず、第1支持部6は、3つの電気機器8,9,10を支持している。3つの電気機器8,9,10は、互いに隣接させて配置されている。これらの電気機器8,9,10には、第1断路器8と、第1接地装置9と、第1遮断器10とが含まれる。第1断路器8、第1接地装置9、第1遮断器10は、床2aから天井2bに向かう垂直方向で見て、この順番に並んで配置されている。換言すると、第1断路器8と第1遮断器10の間に第1接地装置9が隣接して配置されている。
【0014】
ここで、3つの電気機器8,9,10を互いに隣接させる態様としては、例えば、電気機器8,9,10を互いに隙間無く接触させる(密接させる)態様、電気機器8,9,10を互いに重なり合わせる(積層させる)態様、電気機器8,9,10を互いに寄せ集める(集中或いは集約させる)態様、3つの電気機器8,9,10によって占有する空間体積をコンパクト化させる態様、電気機器8,9,10を左右前後方向に一部ラップ(重合)させて配置させる態様などが含まれる。
【0015】
第1断路器8は、真空バルブ(図示しない)を備えた断路器本体8aと、真空バルブを開閉操作する断路器操作部8bと、を有している。断路器操作部8bは、仕切り壁3の一方側に設けられ、操作構造4の構成要素として第1支持部6に支持されている。断路器本体8aは、仕切り壁3の他方側に設けられ、主回路構造5の構成要素として第1支持部6に支持されている。断路器本体8aと第1支持部6は、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁材料によって、予め設定された形状にモールド成形されている。
【0016】
なお、断路器本体8a(真空バルブ)は、その固定側導体が接続導管11を介してケーブルヘッド12に電気的に接続され、ケーブルヘッド12には、電力ケーブル13が連結されている。断路器本体8a(真空バルブ)の可動側導体は、第1支持部6に内蔵された導電部21(図2参照)を介して、後述する遮断器本体10a(真空バルブ)の可動側導体に電気的に接続されている。
【0017】
図1に示すように、第1遮断器10は、真空バルブ(図示しない)を備えた遮断器本体10aと、真空バルブを開閉操作する遮断器操作部10bと、を有している。遮断器操作部10bは、仕切り壁3の一方側に設けられ、操作構造4の構成要素として第1支持部6に支持されている。遮断器本体10aは、仕切り壁3の他方側に設けられ、主回路構造5の構成要素として第1支持部6に支持されている。遮断器本体10aと第1支持部6は、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁材料によって、予め設定された形状にモールド成形されている。
【0018】
第1支持部6には、例えば、複数の操作ロッド(図示しない)が内蔵され、当該操作ロッドは、断路器操作部8bと断路器本体8aとの間、並びに、遮断器操作部10bと遮断器本体8aとの間を移動可能に構成されている。この構成によれば、断路器操作部8b及び遮断器操作部10bによって操作ロッドを移動させることで、断路器本体8a(真空バルブ)及び遮断器本体10a(真空バルブ)の可動側導体を開閉操作することができる。
【0019】
なお、遮断器本体10a(真空バルブ)は、その固定側導体がバイパス菅14に接続され、当該バイパス菅14から後述する第2支持部7に内蔵された導電部21(図2参照)を介して、後述する断路器本体18a(真空バルブ)の可動側導体に電気的に接続されている。
【0020】
図1に示すように、第1接地装置9は、接地装置本体15と、交換ユニット16と、を有している。接地装置本体15は、仕切り壁3の一方側に設けられ、操作構造4の構成要素として第1支持部6に支持されている。交換ユニット16は、仕切り壁3の一方側において、接地装置本体15に対して取り外し可能に取り付けられる。
【0021】
接地装置本体15は、主回路構造5が接地された入状態と、主回路構造5が接地されない切状態とに切り換えるための構成を有している。交換ユニット16は、接地装置本体15に対して取り外し可能に取り付けられるようになっている。なお、第1接地装置9(接地装置本体15、交換ユニット16)の具体的な構成については後述する。
【0022】
このような構成によれば、交換ユニット16を接地装置本体15から取り外した状態において、第1接地装置9には、交換ユニット16が存在していた箇所に、空間的な広がりを有するスペース(図示しない)が設けられる。スペースは、上記した2つの電気機器(第1断路器8、第1遮断器10)に隣り合って構成される。なお、第1接地装置9におけるスペースの態様については後述する。
【0023】
次に、第2支持部7は、2つの電気機器17,18を支持している。2つの電気機器17,18は、互いに隣接させて配置されている。これらの電気機器17,18には、第2接地装置17と、第2断路器18とが含まれる。第2接地装置17、第2断路器18は、床2aから天井2bに向かう垂直方向で見て、この順番に並んで配置されている。換言すると、第2断路器18の垂直下方に第2接地装置17が隣接して配置されている。
【0024】
ここで、2つの電気機器17,18を互いに隣接させる態様としては、例えば、電気機器17,18を互いに隙間無く接触させる(密接させる)態様、電気機器17,18を互いに重なり合わせる(積層させる)態様、電気機器17,18を互いに寄せ集める(集中或いは集約させる)態様、2つの電気機器17,18によって占有する空間体積をコンパクト化させる態様などが含まれる。
【0025】
第2断路器18は、真空バルブ(図示しない)を備えた断路器本体18aと、真空バルブを開閉操作する断路器操作部18bと、を有している。断路器操作部18bは、仕切り壁3の一方側に設けられ、操作構造4の構成要素として第2支持部7に支持されている。断路器本体18aは、仕切り壁3の他方側に設けられ、主回路構造5の構成要素として第2支持部7に支持されている。なお、断路器本体18aと第2支持部7は、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁材料によって、予め設定された形状にモールド成形されている。
【0026】
第2支持部7には、例えば、1つの操作ロッド(図示しない)が内蔵され、当該操作ロッドは、断路器操作部18bと断路器本体18aとの間を移動可能に構成されている。この構成によれば、断路器操作部18bによって操作ロッドを移動させることで、断路器本体18a(真空バルブ)の可動側導体を開閉操作することができる。
【0027】
なお、断路器本体18a(真空バルブ)は、その固定側導体が接続導管19を介して、母線20(隣接する盤との相互接続用電線)に電気的に接続されている。ここで、上記した第1接地装置9(或いは、後述する第2接地装置17)によって、主回路構造5が接地(アース)されない切状態になっているものとする。この状態において、外部の電力源から電源ケーブル13を介して供給された高電圧の電力は、主回路構造5で受電された後、当該主回路構造5を介して用途に応じた電圧に変換され、母線20を通って各所に配電される。
【0028】
第2接地装置17は、接地装置本体15と、交換ユニット16と、を有している。接地装置本体15は、仕切り壁3の一方側に設けられ、操作構造4の構成要素として第2支持部7に支持されている。交換ユニット16は、仕切り壁3の一方側において、接地装置本体15に対して取り外し可能に取り付けられる。
【0029】
接地装置本体15は、主回路構造5が接地された入状態と、主回路構造5が接地されない切状態とに切り換えるための構成を有している。交換ユニット16は、接地装置本体15に対して取り外し可能に取り付けられるようになっている。なお、第2接地装置17(接地装置本体15、交換ユニット16)の具体的な構成については後述する。
【0030】
このような構成によれば、交換ユニット16を接地装置本体15から取り外した状態において、第2接地装置17には、交換ユニット16が存在していた箇所に、空間的な広がりを有するスペース(図示しない)が設けられる。スペースは、上記した1つの電気機器(第2断路器18)に隣り合って構成される。なお、第2接地装置17におけるスペースの態様については後述する。
【0031】
ここで、上記した第1接地装置9及び第2接地装置17において、スペースの空間的な広がり態様は、例えば、スペースは、交換ユニット16の占有領域に対応し、有形物の介在しない3次元空間として規定することができる。3次元空間は、例えば、接地装置9,17に対向した電気機器8,10,18の対向面(水平方向に延在する水平面)から離間する方向に広がった空間領域のうち、後述する接地装置本体15を除いた空間領域として規定することができる。
【0032】
空間領域は、例えば、接地装置本体15により主回路構造5が接地された入状態において、交換ユニット16を接地装置本体15から取り外した際に構成される。具体的には、上記した空間領域(スペース、3次元空間)は、後述する可動接触子23を主回路構造5と電気的に接触させた後、交換ユニット16を接地装置本体15から取り外した状態において、当該接地装置本体15を回避した空間的広がりを指す。
【0033】
更に、上記した第1接地装置9及び第2接地装置17において、スペース(3次元空間、空間領域)の使用態様ないし用途としては、例えば、隣接した電気機器8,10,18に対して各種作業(点検、メンテナンスなど)を行うための作業スペース、或いは、隣接した電気機器8,10,18の空間接触面積を増加させて空冷効率を向上させるための空調スペースなどを想定することができる。なお、作業スペースとしての使用態様は、主回路構造5が接地(アース)された入状態で実行されることが好ましい。
【0034】
図2及び図3は、第1接地装置9及び第2接地装置17の配置構成図である。第1接地装置9及び第2接地装置17は、共に、接地装置本体15と、交換ユニット16とを有し、双方の接地装置本体15及び交換ユニット16は、互いに同一の構成を有している。更に、第1接地装置9を支持する第1支持部6に内蔵された導電部21、及び、第2接地装置17を支持する第2支持部7に内蔵された導電部21も、互いに同一の構成を有している。
【0035】
従って、以下では、一方の接地装置本体15、交換ユニット16、導電部21の説明にとどめる(図2及び図3参照)。なお、図2及び図3の例において、互いに非接触で配置された3つの導電部21が設けられ、各導電部21は、上記した主回路構造5に電気的に接続された板状を成し、後述する3つの可動接触子23が接触可能な3つの接点22(以下、導電接点と言う)を1つずつ有している。
【0036】
図2には、接地装置本体15によって、可動接触子23を導電部21の導電接点22から離間させた状態が示されている。このとき、主回路構造5(即ち、接地装置9,17)は、接地されない切(非接地、非アース)状態となる。この状態において、配電時に導電部を介して主回路構造5に電流が流れる。
【0037】
図3には、接地装置本体15によって、可動接触子23を導電部21の導電接点22に接触させた状態が示されている。このとき、主回路構造5(即ち、接地装置9,17)は、接地された入(接地、アース)状態となる。この状態において、後述する交換ユニット16(即ち、入切操作機構34)を接地装置本体15から取り外すことで、当該交換ユニット16が存在していた箇所に、スペース24(図5図23参照)が構成され、当該スペースを介して各種作業が可能となる。
【0038】
図2及び図3に示すように、上記した切状態と入状態との切り換えは、接地装置9,17に設けられた操作ハンドル25を回転することで行われる。例えば、操作ハンドル25を時計回りに回転(正転)することで、接地装置9,17(主回路構造5)が入状態に切り換わる(図3参照)。これに対して、操作ハンドル25を反時計回り回転(逆転)することで、接地装置9,17(主回路構造5)が切状態に切り換わる(図2参照)。
【0039】
このような切り換え操作を実現するために、接地装置9,17には、脱着機構26と、接地装置本体15と、交換ユニット16と、が設けられている。この場合、脱着機構26により交換ユニット16を接地装置本体15に取り付けた状態において、交換ユニット16によって接地装置本体16を操作することで、上記した切状態と入状態との切り換え操作が行われる。
【0040】
脱着機構26は、一対のサイドフレーム27と、取り付けフレーム28と、係合凸部29と、を有している。サイドフレーム27は、接地装置本体15を両側から囲むように互いに平行に配置され、その一端が仕切り壁3に取り付けられている。取り付けフレーム28は、サイドフレーム27の他端側の相互間に介在され、サイドフレーム27を相互に連結している。
【0041】
係合凸部29は、後述する入切操作機構34の本体部37を両側から支えるように配置されている。図2及び図3の例において、2つの係合凸部29が、取り付けフレーム28に設けられている。係合凸部29は、凸部本体29aと、凸部本体29aに対して突没自在に付勢されたプランジャ29bと、を備えている。凸部本体29aは、取り付けフレーム28から互いに平行に対向しつつ立ち上げられている。プランジャ29bは、凸部本体29aの相互間の空間領域に向けて常時付勢された状態に維持されている。この状態において、プランジャ29bのピン29p(図5及び図6参照)は、凸部本体29aから空間領域に向けて突出している。
【0042】
図2及び図3に示すように、接地装置本体15は、上記した導電接点22と、仕切り壁3に設けられた接点30(以下、支持接点と言う)と、磁気カップリング31と、支持ガイド32と、第1連結部33と、可動接触子23と、を有している。
【0043】
支持接点30は、仕切り壁3を貫通して設けられ、可動接触子23を支持しつつ挿通させることが可能に構成されている。磁気カップリング31、及び、支持ガイド32は、仕切り壁3の一方側に取り付けられ、後述する交換ユニット16(即ち、入切操作機構34)の各シャフト38,39を支持可能に構成されている。磁気カップリング31は、例えば、永久磁石の磁気力作用(吸引力、反発力)を利用し、相手方のシャフト38を非接触で回転可能に支持する。支持ガイド32は、例えば、中空円筒状を有し、相手方のシャフト39の端部を一部挿入しつつ支持する。
【0044】
第1連結部33は、可動接触子23に設けられ、後述する入切操作機構34が着脱可能に連結される。第1連結部33の形状や大きさは、ここでは一例として、矩形の立体的形状を有し、複数の可動接触子23を一括して支持可能な大きさに設定されている。なお、第1連結部33には、後述する入切操作機構34を連結するための連結孔33hが複数設けられている。
【0045】
可動接触子23は、真っ直ぐに延在し、かつ、全長に亘って同一直径を有する円柱形状を成している。可動接触子23は、互いに平行に等間隔で配置され、その一端が第1連結部33に支持されている。可動接触子23の他端は、自由端となっており、当該他端(自由端)側から支持接点30に挿通させることが可能に構成されている。
【0046】
このような構成によれば、交換ユニット16によって接地装置本体15を操作することで、可動接触子23を、支持接点30で支持しつつ当該支持接点30を通って、予め設定された方向(即ち、一方向)に移動させることができる。これにより、可動接触子23の他端(自由端)を、上記した導電部21の導電接点22に接触させることができる(図3参照)。このとき、可動接触子23が主回路構造5と電気的に接触する。この結果、主回路構造5が、接地(アース)状態となる。
【0047】
これに対して、交換ユニット16によって接地装置本体15を操作することで、可動接触子23を、支持接点30で支持しつつ当該支持接点30を通って、予め設定された方向(即ち、他方向)に移動させることができる。これにより、可動接触子23の他端(自由端)を、導電部21の導電接点22から離間させることができる(図2参照)。このとき、可動接触子23が主回路構造5と電気的に非接触となる。この結果、主回路構造5が、非接地(非アース)状態となる。
【0048】
図2及び図3の例において、交換ユニット16として、入切操作機構34が適用されている。入切操作機構34は、上記した脱着機構26を介して、接地装置本体15に取り外し可能に取り付けられている。この状態において、入切操作機構34によって接地装置本体15を操作することで、上記した切状態と入状態との切り換え操作が行われる。
【0049】
入切操作機構34は、移動手段35と、第2連結部36と、本体部37と、を有している。
移動手段35は、ねじシャフト38と、案内シャフト39と、操作ハンドル25と、を有している。ねじシャフト38は、真っ直ぐに延在し、その表面の全長に亘ってねじ(図示しない)が螺旋状に切られている。案内シャフト39は、真っ直ぐに延在し、その表面の全長に亘って凹凸の無い滑らかな円筒面状に構成されている。これら双方のシャフト38,39は、互いに平行に配置されている。
【0050】
ねじシャフト38の一端は、本体部37に回転可能に支持されている。案内シャフト39の一端は、本体部37に支持されている。操作ハンドル25は、本体部37を通って、ねじシャフト38の一端に連結されている。操作ハンドル25を回転することで、これに追従して、ねじシャフト38を回転させることができる。
【0051】
なお、ねじシャフト38の他端には、磁気カップリング40が設けられている。案内シャフト39の他端は、自由端となっている。このような構成によれば、上記した脱着機構26を介して、入切操作機構34を接地装置本体15に取り付けた状態において、ねじシャフト38の他端(即ち、磁気カップリング40)は、仕切り壁3に設けられた磁気カップリング31と非接触に対向し、上記した磁気力作用により回転可能に支持される。同時に、案内シャフト39の他端は、仕切り壁3に設けられた支持ガイド32に挿入されて支持される。
【0052】
第2連結部36は、上記した第1連結部33に対して着脱可能に連結される。第2連結部36は、連結部材41と、ナットブロック42と、スライドブロック43と、を有している。
連結部材41は、互いに平行に配置された2つの連結プレート41pを有している。これら2つの連結プレート41pは、ナットブロック42及びスライドブロック43を両側から挟み込むように、当該ナットブロック42及びスライドブロック43に固定されている。かくして、ナットブロック42とスライドブロック43とは、連結部材41(連結プレート41p)を介して、相互に連結されている。
【0053】
ナットブロック42は、ナット部42pを有し、ナット部42pは、ナットブロック42を貫通して構成されている。ナット部42pには、上記したねじシャフト38が螺合している。ねじシャフト38を回転することで、ナットブロック42を、ねじシャフト38に沿って移動させることができる。
【0054】
スライドブロック43は、スライダ部43pを有し、スライダ部43pは、スライドブロック43を貫通して構成されている。スライダ部43pには、上記した案内シャフト39が挿通している。スライダ部43pを案内シャフト39に沿ってスライドさせることで、スライドブロック43を、案内シャフト39に沿って移動させることができる。
【0055】
本体部37は、矩形の直方体形状を有し、上記した移動手段35を支持可能に構成されている。本体部には、その長手方向両側に1つずつ係合凹部37p(図4参照)が設けられている。係合凹部37pは、本体部37を一部窪ませた脱着孔として構成されている。これら係合凹部37p(脱着孔)には、上記した脱着機構26の一部(即ち、プランジャ29bのピン29p(図5及び図6参照))が取り外し可能に係合する。このとき、図2及び図3に示すように、移動手段35並びに第2連結部36と共に、本体部37が、脱着機構26を介して接地装置本体15に支持される。かくして、入切操作機構34が、接地装置本体15に取り付けられる。
【0056】
なお、入切操作機構34が、接地装置本体15に取り付けられた状態において、操作ハンドル25を回すと、これに伴って、ねじシャフト38が回転する。ねじシャフト38の回転に従って、ナットブロック42が、ねじシャフト38に沿って移動する。このときの移動力は、連結部材41(連結プレート41p)を介して、ナットブロック42からスライドブロック43に伝達される。これにより、スライドブロック43が、案内シャフト39に沿って移動する。かくして、双方のブロック42,43(第2連結部36)を、同一タイミング(速度)で同一方向(即ち、上記した可動接触子23の移動方向)に沿って移動させることができる。
【0057】
ここで、脱着機構26により入切操作機構34(交換ユニット16)を接地装置本体15に取り付けるプロセスの一例について、図4図6を参照して説明する。図4は、接地装置本体15から取り外された入切操作機構34の全体図である。図5及び図6は、入切操作機構34が取り外された接地装置本体15の入状態図である。
【0058】
図4図6に示すように、先ず、ねじシャフト38の他端(磁気カップリング40)、及び、案内シャフト39の他端(自由端)を、第1連結部33の2つの連結孔33hに1つずつ挿通させる。
次に、ねじシャフト38の他端(磁気カップリング40)を、仕切り壁3に設けられた磁気カップリング31に非接触で対向させる。案内シャフト39の他端(自由端)を、仕切り壁3に設けられた支持ガイド32に挿入させる。
【0059】
このとき、ねじシャフト38の磁気カップリング40と、仕切り壁3の磁気カップリング31との間には、永久磁石の磁気力作用(吸引力、反発力)が働く。これにより、ねじシャフト38が、回転可能に支持される。一方、案内シャフト39の自由端は、仕切り壁3の支持ガイド32に支持される。
【0060】
続いて、プランジャ29bのピン29pを引っ込めた状態において、本体部37を係合凸部29の相互間に配置する。そして、ピン29pの引っ込め力を解放する。このとき、付勢力が作用し、ピン29pが凸部本体29aから突出する。突出したピン29pが、本体部37の係合凹部37p(脱着孔)に係合する。
【0061】
これにより、本体部37は、その両側が係合凸部29によって支持される。この結果、上記した移動手段35並びに第2連結部36と共に、本体部37が、脱着機構26を介して接地装置本体15に支持される。かくして、入切操作機構34が、接地装置本体15に取り付けられる。
【0062】
この後、入切操作機構34を接地装置本体15に取り付けた状態において、第1連結部33と第2連結部36とを相対的に接近させることで、第1連結部33と第2連結部36とを連結させる。なお、第1連結部33と第2連結部36とを連結する方法としては、例えば、上記した操作ハンドル25を回して、第2連結部36を第1連結部33に接近させればよい。
【0063】
接地装置9,17には、かかる連結プロセスを実行するために、連結機構が設けられている。連結機構は、連結凸部44と、連結凹部45と、ガイド部46と、を有している。
連結凸部44は、第1連結部33及び第2連結部36のいずれか一方に設けることができる。連結凸部44は、予め設定された方向に(例えば、後述する連結孔33hに向けて)突没自在に付勢されたプランジャ44aを備えている。
【0064】
図5及び図6の例において、連結凸部44は、第1連結部33に設けられ、1つの連結孔33hに対して2つのプランジャ44aが配置されている。このとき、プランジャ44aのピン44p(図7図9参照)は、連結孔33hの空間領域に向けて常時付勢された状態に維持されている。この状態において、プランジャ44aのピン44pは、連結孔33hから空間領域に向けて突出している。
【0065】
更に、図4図6に示すように、連結凹部45は、第1連結部33及び第2連結部36のいずれか他方に設けることができる。図5及び図6の例において、連結凹部45は、第2連結部36に設けられ、連結凸部44(即ち、プランジャ44aのピン44p)が嵌り込み可能に構成されている。連結凹部45としては、プランジャ44aのピン44pが挿入可能な挿入孔を適用することができる。
【0066】
ガイド部46は、連結凹部45に向かって連続的に構成されている。ガイド部46は、連結凹部45に向かって勾配を有した傾斜面を有している。ガイド部46(傾斜面)は、凹凸の無い滑らかな面に構成されている。勾配の向き(傾き)としては、例えば、上り勾配(傾斜)、並びに、下り勾配(傾斜)に設定することができる。図5及び図6の例において、ガイド部46(傾斜面)は、上り勾配(傾斜)に設定されている。上記した連結凹部45(挿入孔)は、上り勾配(傾斜)のガイド部46(傾斜面)の頂上に配置されている。
【0067】
図7図9は、第1連結部33と第2連結部36との連結に際し、連結凸部44が連結凹部45に嵌り込むプロセス図である。即ち、上記した操作ハンドル25を回して、第2連結部36を第1連結部33に接近させる。このとき、第1連結部33の連結凸部44が、第2連結部36のガイド部46及び連結凹部45に接近する(図7参照)。
【0068】
続いて、操作ハンドル25を回すと、連結凸部44(プランジャ44a)が、ガイド部46(傾斜面)に差し掛かる。このとき、プランジャ44aのピン44pは、ガイド部46(傾斜面)に沿って案内されつつ、ガイド部46(傾斜面)からの反力を受ける。これにより、プランジャ44aのピン44pが、付勢力に抗して引っ込む(図8参照)。
【0069】
更に、操作ハンドル25を回すと、プランジャ44aのピン44pが、ガイド部46(傾斜面)を通過して、連結凹部45(挿入孔)に位置付けられる。このとき、プランジャ44aのピン44pは、付勢力によって、連結凹部45(挿入孔)の方向に押圧され、当該連結凹部45(挿入孔)に嵌り込む(図9参照)。
【0070】
これにより第1連結部33と第2連結部36とが、相互に連結される。この状態において、入切操作機構34によって接地装置本体15を操作することで、上記した切(非接地、非アース)状態と、入(接地、アース)状態との切り換え操作が行われる。即ち、操作ハンドル25を時計回りに回転(正転)することで、接地装置9,17(主回路構造5)が入状態に切り換わる(図3参照)。一方、操作ハンドル25を反時計回り回転(逆転)することで、接地装置9,17(主回路構造5)が切状態に切り換わる(図2参照)。
【0071】
更に、接地装置9,17には、上記した入切操作機構34によって切り換えられた入状態及び切状態に保持する入切保持機構47が、交換ユニット16として着脱可能に設けられている。入切保持機構47は、入切操作機構34を接地装置本体15から取り外した後、その接地装置本体15に取り外し可能に取り付けられる。
【0072】
なお、入切操作機構34を接地装置本体15から取り外す方法としては、例えば、プランジャ44aのピン44pが連結凹部45(挿入孔)に嵌り込んだ状態において(図9参照)、プランジャ44aを引っ張り上げる。このとき、連結凹部45(挿入孔)からピン44pが引き抜かれる。この状態を維持しつつ、操作ハンドル25を反時計回り回転(逆転)する。これにより、第1連結部33と第2連結部36との連結状態が解除される。この結果、入切操作機構34を接地装置本体15から取り外すことが可能となる。
【0073】
図10図17には、交換ユニット16として、入切保持機構47の配置構成が示されている。図10及び図12は、入切保持の姿勢図であり、図11及び図13は、入切交換時の姿勢図である。そして、図14及び図15は、入状態保持に係る入切保持機構47の配置構成図であり、図16及び図17は、切状態保持に係る入切保持機構47の配置構成図である。
【0074】
図10図13に示すように、入切保持機構47は、入状態保持部48と、切状態保持部49と、入切操作部50と、入切支持部51と、を有している。
入状態保持部48は、入(接地、アース)状態における第1連結部33の一端面に接触し、その状態を保持可能に構成されている。入状態保持部48は、第1連結部33の一端面に対して均一に接触可能な表面輪郭に設定されている。図10図13の例において、入状態保持部48は、長方形の板状輪郭を有している。
【0075】
入状態保持部48の一端は、第1連結部33に向けて折り返されている。入状態保持部48の他端は、連結部材52を介して、切状態保持部49に連結されている。入状態保持部48は、一端と他端との間において回転シャフト53に支持され、当該回転シャフト53を中心に回転させることができる。
【0076】
切状態保持部49は、切(非接地、非アース)状態における第1連結部33の他端面(一端面の反対側)に接触し、その状態を保持可能に構成されている。切状態保持部49は、第1連結部33の他端面に対して均一に接触可能な表面輪郭に設定されている。図10図13の例において、切状態保持部49は、長方形の板状輪郭を有している。
【0077】
切状態保持部49は、その一端側において回転シャフト53に支持され、当該回転シャフト53を中心に回転させることができる。切状態保持部49の他端は、連結部材52を介して、上記した入状態保持部48の他端に連結されている。これにより、回転シャフト53の回転に伴って、入状態保持部48及び切状態保持部49は、同一タイミング(速度)で同一方向に回転する。
【0078】
入切操作部50は、2つの回転シャフト53を備え、それぞれ、上記と同様の構成を有している。入切操作部50には、双方の回転シャフト53を同時に回転させる回転構造54を有している。回転構造54は、入切支持部51に支持されている。なお、入切支持部51は、長方形の板状輪郭を有し、その両側が、上記した脱着機構26の一対のサイドフレーム27の他端に対して、取り外し可能に取り付けられる。
【0079】
2つの回転シャフト53は、ガイドブッシュ55を介して、入切支持部51に回転可能に支持されている。回転構造54は、ガイドブッシュ55(回転シャフト53)相互間において、入切支持部51に支持されている。回転構造54は、1つの主リンク56と、2つの従リンク57と、操作ピン58と、ガイドピン59と、を有している。
【0080】
入切支持部51には、ガイドブッシュ55(回転シャフト53)相互間に、3つのガイド溝60が設けられている。3つのガイド溝60は、入切支持部51を貫通して構成され、互いに平行かつ等間隔に配置されている。中央のガイド溝60には、操作ピン58が挿通され、操作ピン58は、当該ガイド溝60に沿って移動可能に構成されている。両側のガイド溝60には、ガイドピン59が1つずつ挿通され、当該ガイドピン59は、ガイド溝60に沿って移動可能に構成されている。
【0081】
主リンク56は、ガイドブッシュ55相互間に亘って延在し、上記した操作ピン58と、その両側のガイドピン59が連結されている。この構成によれば、操作ピン58をガイド溝60に沿って上下動すると、主リンク56は、ガイド溝60に沿って移動するガイドピン59によって支持されつつ、一定の姿勢を保持しながら上下動する。
【0082】
主リンク56の両側には、長孔56hが貫通して構成され、長孔56hには、ピン61が挿通されている。従リンク57は、その一端にピン61が連結され、その他端に回転シャフト53が連結されている。この構成によれば、操作ピン58の上下運動は、主リンク56から従リンク57を介して回転シャフト53に伝達され、回転シャフト53を回転させる。これにより、入状態保持部48及び切状態保持部49の姿勢を、入切保持姿勢(図10図12参照)と、入切交換時姿勢(図11図13参照)とに切り換えることができる。
【0083】
ここで、上記した操作ハンドル25を時計回りに回転(正転)して、接地装置9,17(主回路構造5)を入状態に切り換えた状態(図3参照)において、図14及び図15では、入切操作機構34が取り外された接地装置本体15に対して、入切保持機構47が取り付けられている。
【0084】
即ち、上記した操作ピン58を下げて、入状態保持部48及び切状態保持部49の姿勢を入切保持姿勢(図10図12参照)にした状態において、入切支持部51の両側をサイドフレーム27の他端に取り付ける。このとき、入切保持姿勢の入状態保持部48が、第1連結部33の一端面に対して均一に接触する。これにより、接地装置9,17(主回路構造5)が入状態に保持される。
【0085】
これに対して、操作ハンドル25を反時計回り回転(逆転)して、接地装置9,17(主回路構造5)が切状態に切り換えた状態(図2参照)において、図16及び図17では、入切操作機構34が取り外された接地装置本体15に対して、入切保持機構47が取り付けられている。
【0086】
即ち、操作ピン58を上げて、入状態保持部48及び切状態保持部49の姿勢を入切交換時姿勢(図11図13参照)にした状態において、当該入状態保持部48及び切状態保持部49を、回転シャフト53と共に、第1連結部33の2つの連結孔33hに挿通させる。この後、操作ピン58を下げて、入状態保持部48及び切状態保持部49の姿勢を入切保持姿勢(図10図12参照)にした状態において、入切支持部51の両側をサイドフレーム27の他端に取り付ける。このとき、入切保持姿勢の切状態保持部49が、第1連結部33の他端面(一端面の反対側)に対して均一に接触する。これにより、接地装置9,17(主回路構造5)が切状態に保持される。
【0087】
図18は、上記したスペース24(図6参照)を構成するプロセス図である。ここでは一例として、隣接した電気機器に対して各種作業(点検、メンテナンスなど)を行うための作業スペースを想定する。
先ず、当該スペースの要否を確認する(S1)。
【0088】
このとき、スペースが必要であれば(S2)、現在、入切操作機構34が接地装置本体15に取り付けられているか(S3)、或いは、入切保持機構47が接地装置本体15に取り付けられているか(S4)、判定を行う。
【0089】
そして、これらの交換ユニット16(入切操作機構34、入切保持機構47)のいずれかが接地装置本体15に取り付けられている状態において、接地装置9,17(主回路構造5)が切(非接地)状態にあるのか(S5)、或いは、接地装置9,17(主回路構造5)が入(接地)状態にあるのか(S6)、判定を行う。
【0090】
ここで、接地装置9,17(主回路構造5)が、切(非接地)状態にあるとき(換言すると、入(接地)状態にないとき)、スイッチギヤ1は、稼働可能な状態にある(S7)。
一方、接地装置9,17(主回路構造5)が、切(非接地)状態にないとき(換言すると、入(接地)状態にあるとき)、接地装置9,17(主回路構造5)は、接地(アース)された状態にある(S8)。
【0091】
このとき、交換ユニット16(入切操作機構34、入切保持機構47)を、接地装置本体15から取り外す(S9)。この状態において、交換ユニット16が存在していた箇所に、空間的な広がりを有するスペース24(図6参照)が構成される(S10)。このとき、当該スペース24は、上記した電気機器に隣り合って構成される。
【0092】
この後、当該スペース24を介して、隣接した電気機器に対して各種作業(点検、メンテナンスなど)を行うことができる(S11)。
【0093】
以上、本実施形態によれば、交換ユニット16(入切操作機構34、入切保持機構47)を、接地装置本体15から取り外すことで、スペースを、電気機器に隣り合って構成することができる。これにより、隣り合う2つ電気機器(遮断器、断路器)の相互間に接地装置9,17を隣接させることができる。この場合、スイッチギヤ1(筐体2)を大型化すること無く、当該筐体2内に空きスペースを確保することができる。この結果、筐体2内への収納機器数を向上させることができる。
【0094】
本実施形態によれば、電気機器(遮断器、断路器)に隣接して複数の接地装置9,17を配置する場合でも、各所には、接地装置本体15のみを配置すればよい。この場合、それぞれの接地装置本体15に対して、1つの交換ユニット16(入切操作機構34、入切保持機構47)を流用することができる。これにより、筐体2(スイッチギヤ1)の製造に要するコストのみならず、接地装置9,17の配置に要するコストを大幅に削減することができる。
【0095】
本実施形態によれば、入(接地、アース)状態において、交換ユニット16(入切操作機構34、入切保持機構47)を取り外すことで、有形物の介在しない3次元空間としてスペースを構成することができる。これにより、当該スペースを介して、各種作業(点検、メンテナンスなど)を安全確実に行うことができる。
【0096】
本実施形態によれば、特に、入切操作機構34(交換ユニット16)を接地装置本体15に取り付ける際、上記した第1連結部33と第2連結部36とを相対的に接近させるだけで、当該入切操作機構34(交換ユニット16)を接地装置本体15に対してワンタッチで取り付けることができる。これにより、取り付け性に優れた接地装置9,17を実現することができる。
【0097】
[変形例]
図19及び図20は、入切操作機構34の回転構造54の改良に係り、本変形例において、本体部37には、案内シャフト39とスライドブロック43の代わりに、ねじシャフト38とナットブロック42(図示しない)の組み合わせが2つ設けられている。この場合、操作ハンドル25の回転運動を、双方のねじシャフト38に伝える構成が適用されている。
【0098】
図19の構成において、双方のねじシャフト38の一端には、1つずつメインギヤ62が取り付けられている。双方のメインギヤ62の相互間には、中継ギヤ63が介在されている。中継ギヤ63は、本体部37に対して回転可能に支持されている。中継ギヤ63は、双方のメインギヤ62に歯合している。
【0099】
図19の構成によれば、操作ハンドル25の回転運動は、一方のメインギヤ62から中継ギヤ63を介して、他方のメインギヤ62に伝達される。これにより、双方のメインギヤ62を、同一タイミング(速度)で同一方向に回転させることができる。かくして、操作ハンドル25を回転することで、上記した切状態と入状態との切り換えを行うことができる。
【0100】
図20の構成において、双方のねじシャフト38の一端には、1つずつプーリ64が取り付けられている。双方のプーリ64の相互間には、無端ベルト65が掛け渡されている。
図20の構成によれば、操作ハンドル25の回転運動は、一方のプーリ64から無端ベルト65を介して、他方のプーリ64に伝達される。これにより、双方のプーリ64を、同一タイミング(速度)で同一方向に回転させることができる。かくして、操作ハンドル25を回転することで、上記した切状態と入状態との切り換えを行うことができる。
【0101】
図21及び図22は、入切操作機構34の改良に係り、本変形例において、上記した脱着機構26の一部の構成(例えば、一対のサイドフレーム27)が、予め、入切操作機構34の本体部37の両側に取り付けられている。なお、取り付け方法としては、例えば、ねじ止め、接着、溶接など既存の方法を適用することができる。
【0102】
本変形例において、予め入切操作機構34が取り付けられたサイドフレーム27の一端を、仕切り壁3に取り外し可能に取り付ける。これにより、接地装置本体15に対して、入切操作機構34が取り外し可能に取り付けられる。図21及び図22の例において、サイドフレーム27の一端と、仕切り壁3とに、取り付け構造が施されている。
【0103】
かかる取り付け構造において、サイドフレーム27の一端には、2つの取り付け開口66と、これら取り付け開口66の相互間に介在させたロックピン67とが設けられている。一方、仕切り壁3には、2つの取り付けピン68と、取り付けピン68の相互間に介在させたブッシュ69とが設けられている。
【0104】
ここで、サイドフレーム27の一端を仕切り壁3に取り付ける際、2つの取り付け開口66に対して2つの取り付けピン68が1つずつ対向し、ロックピン67に対してブッシュ69が対向する。この場合、例えば、取り付け開口66に取り付けピン68を挿通しつつ、ボタン67pを押圧しながらロックピン67をブッシュ69に押し込む。そして、ボタン67pの押圧を解除する。
【0105】
このとき、ロックピン67のボール67sがブッシュ69の段差部69pに嵌り込んで固定される。これにより、サイドフレーム27の一端が、仕切り壁3に取り付けられる。かくして、入切操作機構34が、接地装置本体15に取り付けられる。
【0106】
一方、かかる状態において、ロックピン67のボタン67pを押圧する。そうすると、ブッシュ69(段差部69p)とボール67sとの嵌合が解除される。その結果、入切操作機構34が、接地装置本体15から取り外し可能となる。
【0107】
なお、ロックピン67とブッシュ69の組み合わせの代わりに、特に図示しないが、クランパとクランパピンの組み合わせを用いてもよい。
【0108】
図23は、上記した第1遮断器10(図1参照)の内部構成の一例に係り、本変形例において、第1遮断器10には、電極付勢機構70が設けられている。電極付勢機構70は、主回路構造5の領域内に配置された2つ電極(対向電極71、可動電極72)を、最適な押圧力で相互に接触させることが可能に構成されている。
【0109】
なお、第1遮断器10は、床2aから天井2bに向かう垂直方向で見て、その底面(床2aに対向する面)に底面蓋(図示しない)を備えている。底面蓋は、例えば、2つのねじ73で第1遮断器10に着脱自在に取り付けられている。2つのねじ73は、第1遮断器10の底面隅部に配置されている。図23の例では、この底面蓋が取り外された状態において、第1遮断器10の底面側から見た電極付勢機構70の一部が示されている。
【0110】
図23に示された電極付勢機構70において、対向電極71は、固定部材74を介して、主回路構造5の所定位置に固定されている。可動電極72は、対向電極71に平行に対峙して配置され、操作ロッド75の先端に設けられている。操作ロッド75は、真っ直ぐに延在した棒状を成し、当該操作ロッド75の基端(先端の反対側)は、上記した仕切り壁3を通って第1遮断器10の内部に達している。
【0111】
操作ロッド75の基端には、ばね当接部76が設けられ、ばね当接部76は、後述する付勢手段77からの押圧力(弾性力、付勢力)を受けることが可能に構成されている。操作ロッド75は、付勢手段77からの押圧力(弾性力、付勢力)を受けることで、予め設定された方向に移動可能に構成されている。なお、付勢手段77は、図示しない支持機構によって、第1遮断器10の内部の所定位置に支持されている。
【0112】
図23の例において、付勢手段77は、ばねガイド78と、ばね係止部79と、締結機構80と、コイルばね81と、を有している。ばねガイド78は、両端(一端、他端)を有する棒状を成し、操作ロッド75の移動方向に対して平行に配置されている。ばねガイド78の一端は、上記したばね当接部76に対峙して配置されている。ばねガイド78の他端には、ばね係止部79が移動可能に外装され、当該ばね係止部79の外側に締結機構80(例えば、ナット)が設けられている。
【0113】
コイルばね81は、ばね当接部76とばね係止部79との間に介在され、ばねガイド78の外周に沿って螺旋状に配置されている。コイルばね81は、その一端がばね係止部79に接触し、その他端がばね当接部76に接触している。
【0114】
このような構成において、ナット(締結機構)80を捩じ込むと、その捩じ込み量に応じてコイルばね81の圧縮状態が調整される。これにより、付勢手段77からばね当接部76に作用させる押圧力(弾性力、付勢力)が設定される。このとき、ばね当接部76と共に、操作ロッド75が移動する。かくして、操作ロッド75の先端の可動電極72が対向電極71に最適な押圧力で接触する。
【0115】
ここで、上記したスペース24(図5図6参照)の3次元空間的な広がり(範囲)について、床2aから天井2bに向かう垂直方向と、当該垂直方向に直交する水平方向とに分けて考察する。この場合、スペース24の水平方向の広がりは、図23に示すように、上記した付勢手段77(ばねガイド78、ばね係止部79、締結機構80、コイルばね81)と、2つのねじ73とが一括して含まれる範囲に設定される。一方、スペース24の垂直方向の広がりは、特に図示しないが、第1遮断器10の高さの1/4~1/2程度(例えば、150mm程度)の範囲に設定される。これにより、当該スペース24は、例えば、人の掌が入る大きさを有して構成される。かくして、例えば、点検を行うための作業スペース24を確保することができる。
【0116】
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0117】
1…スイッチギヤ、2…筐体、3…仕切り壁、4…操作構造、5…主回路構造、6…第1支持部、7…第2支持部、8…第1断路器、9…第1接地装置、10…第1遮断器、15…接地装置本体、16…交換ユニット、17…第2接地装置、18…第2断路器、21…導電部、24…スペース、25…操作ハンドル、26…脱着機構、33…第1連結部、34…入切操作機構、36…第2連結部、37…本体部、38…ねじシャフト、39…案内シャフト、42…ナットブロック、43…スライドブロック、44…連結凸部、45…連結凹部、46…ガイド部、47…入切保持機構。
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