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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020023981
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021126429
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】中井 淳
(72)【発明者】
【氏名】樋口 治郎
(72)【発明者】
【氏名】嶺 喜隆
(72)【発明者】
【氏名】中内 章一
(72)【発明者】
【氏名】菊地 紀久
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-159027(JP,A)
【文献】特表2019-503268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0215841(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0252002(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0190981(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームによって位置が制御される超音波プローブの位置に関する情報と前記超音波プローブによる超音波の送受信に関するスキャン条件とを含み、かつ、被検体の体表に配置された識別情報を取得する取得部と、
前記識別情報に基づいて、前記超音波プローブの位置の制御及び当該超音波プローブによる超音波の送受信の制御を実行する制御部と、
を備える、超音波診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記識別情報が配置された前記被検体の体表の位置をスキャン開始位置として前記スキャン条件に基づくスキャンを実行するように、前記ロボットアームによる前記超音波プローブの位置の制御及び当該超音波プローブによる超音波の送受信の制御を実行する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記被検体に配置された複数の識別情報について、識別情報ごとの対応するスキャン条件に切り替えながら、前記被検体に対する一連のスキャンを実行するように制御する、請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被検体に対する一連のスキャンにおいて、種別の異なる超音波プローブを切り替えながら、スキャンを実行するように制御する、請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
スキャンプロトコルに含まれる複数のスキャンのスキャン条件が、複数の前記識別情報に対応付けられ、
前記制御部は、前記識別情報に基づくスキャンを実行することで、前記スキャンプロトコルに連動したスキャンを実行するように制御する、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記スキャン条件は、深度、スキャン範囲、スキャンモード、前記超音波プローブの向き、圧迫の有無を含む、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記スキャン条件に含まれる走査角度に加え、異なる走査角度でのスキャンを更に実行するように制御する、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記被検体の位置ずれを検出し、検出した位置ずれを補正する、請求項1乃至7のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記ロボットアームによる前記被検体に対するスキャン結果を通知する通知部をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項10】
被検体の体表に配置された識別情報を取得する取得部と、
前記識別情報に対応するスキャン条件に基づいて、超音波プローブを保持するロボットアームによる前記被検体に対するスキャンを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記被検体に配置された複数の識別情報について、識別情報ごとの対応するスキャン条件に切り替え、かつ、種別の異なる超音波プローブを切り替えながら、前記被検体に対する一連のスキャンを実行するように制御する、超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下肢血管(例えば、下肢静脈など)においては、エコノミック症候群、下肢静脈瘤などの疾患があり、下肢血管検査の重要性が認識されている。例えば、超音波診断装置を用いた下肢血管検査では、下肢全体を網羅的にスキャンして、診断を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2007-508913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、検査に係る負荷を低減することである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本明細書等に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の超音波診断装置は、取得部と、制御部とを備える。取得部は、被検体の体表に配置された識別情報を取得する。制御部は、前記識別情報に対応するスキャン条件に基づいて、超音波プローブを保持するロボットアームによる前記被検体に対するスキャンを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係る超音波診断システムの一例を模式的に示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るロボットスキャンシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るアームの一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る被検体の位置情報の取得と識別情報の載置の例を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る2次元コードの作成の一例を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る2次元コードによる超音波プローブの向きの制御の一例を説明するための図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る複数の走査角度によるスキャンの一例を説明するための図である。
図9図9は、第1の実施形態に係るスキャンプロトコルに沿ったスキャンの一例を説明するための図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本願に係る超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本願に係る超音波診断装置は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、本願に係る超音波診断装置を含む超音波診断システムについて説明する。超音波診断システムは、超音波診断装置とロボットスキャンシステムとを含み、ロボットスキャンシステムが保持した超音波プローブを超音波診断装置の制御によって調整する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断システムの一例を模式的に示す図である。例えば、図に示すように、超音波診断システムは、超音波診断装置100と、ロボットスキャンシステム200とを含み、被検体に対する超音波走査を制御する。
【0009】
超音波診断装置100は、超音波プローブ12a及び超音波プローブ12bを有し、超音波プローブ12a又は超音波プローブ12bによって送受信される超音波に基づいて超音波画像を生成する。例えば、超音波診断装置100は、超音波プローブ12a又は超音波プローブ12bによってスキャンされた被検体の部位の超音波画像を生成する。ここで、超音波プローブ12a及び超音波プローブ12bは、種別の異なる超音波プローブである。
【0010】
ロボットスキャンシステム200は、例えば、ロボットアーム制御装置21と、アーム22aと、アーム22bと、アーム22cと、アーム22dとを有する。アーム22aは、コードリーダー31を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて位置を変化させることで、コードリーダー31による2次元コードの読み取りを制御する。アーム22bは、音響媒体32を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて位置を変化させたり、被検体の体表に対して音響媒体32を載置したりする。アーム22cは、超音波プローブ12aを保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて、位置を変化させることで、被検体に対する超音波スキャンを実行させる。アーム22dは、超音波プローブ12bを保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて、位置を変化させることで、被検体に対する超音波スキャンを実行させる。
【0011】
ロボットアーム制御装置21は、アーム22a、アーム22b、アーム22c及びアーム22dの位置を移動させることで、被検体に対するコードリーダー31、音響媒体32、超音波プローブ12a及び超音波プローブ12bの位置を調整する。ここで、ロボットアーム制御装置21は、超音波診断装置から受信する制御信号に基づいて、アーム22a、アーム22b、アーム22c及びアーム22dの位置を制御することができる。すなわち、ロボットアーム制御装置21は、超音波診断装置から受信した制御信号に含まれるアームの移動量に基づいて、アーム22a、アーム22b、アーム22c及びアーム22dを移動させる。なお、アーム22a、アーム22b、アーム22c及びアーム22dと被検体との位置関係は、被検体に取り付けられた位置センサによって取得される位置情報に基づいて把握することが可能である。
【0012】
超音波診断装置100は、ロボットスキャンシステム200に対して制御信号を送信することで、ロボットスキャンシステム200のアーム22a及びアーム22bの位置を調整して、コードリーダー31による2次元コードの読み取り、被検体の体表に対する音響媒体32の載置を制御する。また、超音波診断装置100は、ロボットスキャンシステム200に対して制御信号を送信することで、ロボットスキャンシステム200のアーム22c及びアーム22dの位置を調整して、被検体のスキャン位置に超音波プローブ12a及び超音波プローブ12bを移動させる。また、超音波診断装置100は、超音波プローブ12a及び超音波プローブ12bによるスキャンを制御する。
【0013】
ここで、本願に係る超音波診断装置100は、検査に係る負荷を低減することができる。上述したように、例えば、超音波診断装置を用いた下肢血管検査では、下肢全体を網羅的に検査することから、他の部位に対する検査と比較すると、時間を要する。すなわち、スキャン対象となる部位が多いため、スキャンに係る時間が長くなり、さらに、各スキャン位置に関する情報の記録に係る時間が長くなるため、検査全体で時間を要することとなる。また、下肢全体という広い範囲に対して超音波プローブによる走査を行うため、検査技師などの操作者は、様々な姿勢でスキャンを行うこととなり、身体的な負担が大きい。そこで、本願に係る超音波診断装置100は、スキャン範囲が広範囲に及ぶ下肢血管検査などを、ロボットスキャンシステム200によって実行することで、検査に係る負荷を低減することを可能にする。
【0014】
以下、本願の第1の実施形態の詳細について説明する。図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ12aと、超音波プローブ12bと、ディスプレイ13と、入力インターフェース14と、装置本体15とを有する。また、超音波診断装置100は、超音波プローブ12aと、超音波プローブ12bと、ディスプレイ13と、入力インターフェース14とが装置本体15と通信可能に接続される。そして、本実施形態に係る超音波診断装置100は、さらに、ロボットスキャンシステム200及び端末装置300と通信可能に接続される。
【0015】
端末装置300は、超音波診断装置100による検査が実行される検査室とは異なる部屋に配置され、医師などによって操作される。例えば、端末装置300は、超音波診断装置100によるスキャン結果などが表示される。
【0016】
また、超音波診断装置100は、位置センサ61a、位置センサ61b、位置センサ61c、位置センサ61d、位置センサ61e、トランスミッタ61fと接続される。
【0017】
位置センサ61aは、例えば、磁気センサであり、コードリーダー31に取り付けられる。位置センサ61bは、例えば、磁気センサであり、アーム22bに取り付けられる。位置センサ61cは、例えば、磁気センサであり、超音波プローブ12aに取り付けられる。位置センサ61dは、例えば、磁気センサであり、超音波プローブ12bに取り付けられる。位置センサ61eは、例えば、磁気センサであり、被検体に取り付けられる。トランスミッタ61fは、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する装置であり、装置本体15の近傍の任意の位置に配置される。位置センサ61a、位置センサ61b、位置センサ61c、位置センサ61d、位置センサ61e及びトランスミッタ61fは、コードリーダー31の位置情報と、音響媒体32の位置情報と、超音波プローブ12a及び超音波プローブ12bの位置情報と、被検体の位置情報とを検出するための位置検出システムである。
【0018】
位置センサ61a、位置センサ61b、位置センサ61c、位置センサ61dは、トランスミッタ61fによって形成された3次元の磁場の強度と傾きとを検出する。そして、位置センサ61a、位置センサ61b、位置センサ61c、位置センサ61dは、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ61fを原点とする空間における自装置の位置(座標及び角度)を算出し、算出した位置を装置本体15に送信する。
【0019】
ここで、位置センサ61aは、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、コードリーダー31の3次元位置情報として、装置本体15に送信する。これにより、装置本体15は、トランスミッタ61fを原点とする空間におけるコードリーダー31の位置を算出することができる。
【0020】
また、位置センサ61bは、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、音響媒体32の3次元位置情報として、装置本体15に送信する。装置本体15は、位置センサ61bのアーム22bにおける取り付け位置とアーム22bによって把持された音響媒体32との位置関係から、トランスミッタ61fを原点とする空間における音響媒体32の位置を算出することができる。
【0021】
また、位置センサ61cは、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、超音波プローブ12aの3次元位置情報として、装置本体15に送信する。これにより、装置本体15は、トランスミッタ61fを原点とする空間における、超音波プローブ12aによって収集された超音波画像の位置を算出することができる。
【0022】
また、位置センサ61dは、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、超音波プローブ12bの3次元位置情報として、装置本体15に送信する。これにより、装置本体15は、トランスミッタ61fを原点とする空間における、超音波プローブ12bによって収集された超音波画像の位置を算出することができる。
【0023】
また、位置センサ61eは、被検体上に複数配置され、トランスミッタ61fによって形成された3次元の磁場の強度と傾きとを検出する。そして、位置センサ61eは、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ61fを原点とする空間における自装置の位置(座標及び角度)を算出し、算出した位置を装置本体15に送信する。ここで、位置センサ61eは、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、被検体の3次元位置情報として、装置本体15に送信する。装置本体15は、複数の位置センサ61eからそれぞれ受信した被検体の3次元位置情報(被検体における各位置センサ61eが取り付けられた位置の3次元位置情報)と、予め入力された被検体の形状及びサイズの情報とから、トランスミッタ61fを原点とする空間における被検体の各位置を算出することができる。
【0024】
なお、本実施形態は、上記の位置検出システム以外のシステムにより、超音波プローブ12及び被検体の位置情報を取得する場合であっても適用可能である。例えば、本実施形態は、ジャイロセンサや加速度センサ等を用いて、コードリーダー31、音響媒体32、超音波プローブ12a、超音波プローブ12b及び被検体の位置情報を取得する場合でも良い。
【0025】
超音波プローブ12a(及び超音波プローブ12b)は、装置本体15に含まれる送受信回路151に接続される。超音波プローブ12a(及び超音波プローブ12b)は、例えば、プローブ本体に複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、送受信回路151から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ12a(及び超音波プローブ12b)は、被検体からの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ12a(及び超音波プローブ12b)は、プローブ本体において、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ12a(及び超音波プローブ12b)は、装置本体15と着脱自在に接続される。例えば、超音波プローブ12a(及び超音波プローブ12b)は、セクタ型、リニア型又はコンベックス型などの超音波プローブである。なお、超音波プローブ12a及び超音波プローブ12bは、種別が異なるプローブである(一方がリニア型であり、他方がコンベックス型であるなど)。
【0026】
超音波プローブ12a(及び超音波プローブ12b)から被検体に超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体の体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ12a(及び超音波プローブ12b)が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0027】
なお、超音波プローブ12a(及び超音波プローブ12b)は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブであってもよく、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブであってもよく、或いは、複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブであってもよい。
【0028】
ディスプレイ13は、超音波診断装置100の操作者が入力インターフェース14を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体15において生成された超音波画像等を表示したりする。また、ディスプレイ13は、装置本体15の処理状況や処理結果を操作者に通知するために、各種のメッセージや表示情報を表示する。また、ディスプレイ13は、スピーカーを有し、音声を出力することもできる。
【0029】
入力インターフェース14は、所定の位置(例えば、関心領域等)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチモニタ、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース14は、後述する処理回路155に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路155へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース14は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路155へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0030】
装置本体15は、送受信回路151と、Bモード処理回路152と、ドプラ処理回路153と、メモリ154と、処理回路155と、通信インターフェース156とを有する。図2に示す超音波診断装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ154へ記憶されている。送受信回路151、Bモード処理回路152、ドプラ処理回路153、及び、処理回路155は、メモリ154からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0031】
送受信回路151は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波プローブ12に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ12から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ12に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0032】
なお、送受信回路151は、後述する処理回路155の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0033】
また、送受信回路151は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延回路、加算器等を有し、超音波プローブ12が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0034】
Bモード処理回路152は、送受信回路151から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0035】
ドプラ処理回路153は、送受信回路151から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。例えば、移動体は、血管内を流動する血液や、リンパ管内を流動するリンパ液等の流体である。
【0036】
なお、Bモード処理回路152及びドプラ処理回路153は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理回路152は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路153は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。3次元のBモードデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに位置する反射源の反射強度に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。また、3次元のドプラデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに、血流情報(速度、分散、パワー)の値に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。
【0037】
また、Bモード処理回路152及びドプラ処理回路153は、複数の2次元の反射波データを合成して3次元の反射波データを生成し、生成した反射波データから3次元のデータを生成することもできる。例えば、Bモード処理回路152は、複数の2次元の反射波データを合成して3次元の反射波データを生成し、生成した3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路153は、複数の2次元の反射波データを合成して3次元の反射波データを生成し、生成した3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0038】
メモリ154は、処理回路155が生成した表示用の画像データを記憶する。また、メモリ154は、Bモード処理回路152やドプラ処理回路153が生成したデータを記憶することも可能である。また、メモリ154は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、スキャンプロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、メモリ154は、位置センサ61a、位置センサ61b、位置センサ61c、位置センサ61d、位置センサ61eから受信した各種情報を記憶する。また、メモリ154は、識別情報に対応付けられたスキャン条件を記憶する。
【0039】
通信インターフェース156は、処理回路155に接続されており、超音波診断装置100と各装置との間で行われる通信を制御する。具体的には、通信インターフェース156は、各装置から各種の情報を受信し、受信した情報を処理回路155に出力する。例えば、通信インターフェース156は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。例えば、通信インターフェース156は、処理回路155から受け付けた制御信号をロボットスキャンシステム200に対して送信する。また、通信インターフェース156は、スキャン結果を端末装置300に対して送信する。
【0040】
処理回路155は、超音波診断装置100の処理全体を制御する。具体的には、処理回路155は、図2に示す制御機能155a、画像生成機能155b、検出機能155c、取得機能155d、アーム制御機能155e、表示制御機能156fに対応するプログラムをメモリ154から読み出して実行することで、種々の処理を行う。例えば、処理回路155は、各プログラムをメモリ154から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路155は、図2の処理回路155内に示された各機能を有することとなる。
【0041】
ここで、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、制御部の一例である。取得機能155dは、取得部の一例である。また、表示制御機能156fは、通知部の一例である。なお、本実施形態においては、単一の処理回路155にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0042】
制御機能155aは、入力インターフェース14を介して操作者から入力された各種設定要求や、メモリ154から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路151、Bモード処理回路152、ドプラ処理回路153の処理を制御する。また、制御機能155aは、取得機能155dによって取得された識別情報に対応するスキャン条件に基づいて、送受信回路151、Bモード処理回路152、ドプラ処理回路153の処理を制御する。
【0043】
画像生成機能155bは、Bモード処理回路152及びドプラ処理回路153が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成機能155bは、Bモード処理回路152が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。Bモード画像データは、超音波走査された領域内の組織形状が描出されたデータとなる。また、画像生成機能155bは、ドプラ処理回路153が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。ドプラ画像データは、超音波走査された領域内を流動する流体に関する流体情報を示すデータとなる。
【0044】
ここで、画像生成機能155bは、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成機能155bは、超音波プローブ12による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成機能155bは、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成機能155bは、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0045】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成機能155bが生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
【0046】
更に、画像生成機能155bは、Bモード処理回路152が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像データを生成する。また、画像生成機能155bは、ドプラ処理回路153が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のドプラ画像データを生成する。すなわち、3次元のBモードデータ及び3次元のドプラデータは、スキャンコンバート処理前のボリュームデータであり、3次元のBモード画像データ及び3次元のドプラ画像データは、スキャンコンバート後のボリュームデータである。
【0047】
更に、画像生成機能155bは、ボリュームデータをディスプレイ13にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なうことができる。
【0048】
検出機能155cは、位置センサ61aによって取得されたコードリーダー31の3次元位置情報を取得する。また、検出機能155cは、位置センサ61bによって取得された音響媒体32の3次元位置情報を取得する。また、検出機能155cは、位置センサ61cによって取得された超音波プローブ12aの3次元位置情報を取得する。また、検出機能155cは、位置センサ61dによって取得された超音波プローブ12bの3次元位置情報を取得する。また、取得機能155dは、複数の位置センサ61eによって取得された被検体の3次元位置情報をそれぞれ取得する。
【0049】
アーム制御機能155eは、識別情報に対応するスキャン条件に基づいて、超音波プローブ12a及び超音波プローブ12bを保持するロボットスキャンシステム200を制御する。具体的には、アーム制御機能155eは、まず、被検体の位置情報に基づいて、被検体上に配置された識別情報を取得するように、ロボットスキャンシステム200に対して制御信号を送信する。そして、アーム制御機能155eは、取得した識別情報に対応するスキャン条件に基づくスキャンを実行させるように、ロボットスキャンシステム200に対して制御信号を送信する。
【0050】
表示制御機能155fは、メモリ154が記憶する表示用の超音波画像データ(以下、超音波画像とも記す)をディスプレイ13にて表示するように制御する。また、表示制御機能155fは、処理結果をディスプレイ13にて表示するように制御する。また、表示制御機能155fは、入力インターフェース14のタッチモニタにおける種々の情報の表示を制御する。また、表示制御機能155fは、超音波画像などのスキャン結果を端末装置300に送信することで、端末装置300のディスプレイにてスキャン結果を表示するように制御する。
【0051】
図3は、第1の実施形態に係るロボットスキャンシステム200の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係るロボットスキャンシステム200は、ロボットアーム制御装置21と、アーム22aと、アーム22bと、アーム22cと、アーム22dとを有する。また、ロボットスキャンシステム200は、アーム22bに、位置センサ61bが備えられる。そして、本実施形態に係るロボットスキャンシステム200は、さらに、超音波診断装置100と通信可能に接続される。
【0052】
なお、図3においては、アーム22a、アーム22b、アーム22c、アーム22dの4本のアームを有するロボットスキャンシステム200を示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、アームの本数は任意である。例えば、超音波プローブを保持するアームを3本以上有する場合でもよい。
【0053】
アーム22aは、コードリーダー31を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、コードリーダー31を移動させる。具体的には、アーム22aは、コードリーダー31を保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22aは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持するコードリーダー31を所望の位置に移動させる。ここで、アーム22aは、被検体に対して3次元の任意の位置にコードリーダー31を配置することが可能となるように構成される。
【0054】
アーム22bは、音響媒体32を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、音響媒体32を移動させる。具体的には、アーム22bは、音響媒体32を保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22bは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持する音響媒体32を所望の位置に移動させ、被検体の体表上に音響媒体32を載置する。ここで、アーム22bは、被検体に対して3次元の任意の位置に音響媒体32を載置することが可能となるように構成される。
【0055】
アーム22cは、超音波プローブ12aを保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、超音波プローブ12aを移動させる。具体的には、アーム22cは、超音波プローブ12aを保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22cは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持する超音波プローブ12aを所望の位置に移動させる。ここで、アーム22cは、被検体に対して3次元の任意の位置に超音波プローブ12aを配置することが可能となるように構成される。
【0056】
アーム22dは、超音波プローブ12bを保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、超音波プローブ12bを移動させる。具体的には、アーム22dは、超音波プローブ12bを保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22dは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持する超音波プローブ12bを所望の位置に移動させる。ここで、アーム22dは、被検体に対して3次元の任意の位置に超音波プローブ12bを配置することが可能となるように構成される。
【0057】
図4は、第1の実施形態に係るアームの一例を示す図である。ここで、図4においては、超音波プローブ12aを保持するアーム22cを示す。例えば、図5に示すように、アーム22cは、先端側に超音波プローブ12aを保持する。そして、アーム22cは、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、アームの駆動機構が駆動することで、超音波プローブ12aをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる。さらに、アーム22cは、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、保持部の駆動機構が駆動することで、超音波プローブ12aを矢印41~43の方向に回転させ、超音波プローブ12の向きを変化させる。
【0058】
ここで、アーム22cの保持部は、さらに、保持する超音波プローブ12aを自動で開放することができる。例えば、アーム22cの保持部は、圧力センサを有し、保持部に対して閾値以上の圧力がかかった場合に、保持する超音波プローブ12aを自動で開放する。これにより、例えば、超音波スキャンの状態が悪い場合に、術者が超音波プローブ12aをつかみいずれかの方向に力を加えることで、超音波プローブ12aを容易に外すことができる。
【0059】
また、アーム22cの保持部は、さらに、自動で超音波プローブ12aを保持するように構成することもできる。具体的には、術者が超音波プローブ12aを保持部に近づけることで、アーム22cの保持部は、超音波プローブ12aを掴んで保持する。かかる場合には、例えば、アーム22cの保持部が非接触式のセンサなどを備え、非接触式のセンサからの信号に応じて、制御機能213aが、アーム22cの保持部を動かす。なお、アーム22a、アーム22b、アーム22dも、上記したアーム22cと同様の構成を有することができる。
【0060】
図3に戻って、コードリーダー31は、被検体に体表上に配置された識別情報を読み取る。例えば、コードリーダー31は、被検体に体表上に配置された2次元コードを読み取る。ここで、2次元コードは、被検体の位置ごとに設定されたスキャン条件が埋め込まれる。コードリーダー31は、超音波診断装置100の取得機能155dの制御に応じて、被検体上の2次元コードを読み取り、読み取った情報を取得機能155dに送信する。
【0061】
音響媒体32は、例えば、ゼリーや、ゼリーと同等の効果を有するパッドなどであり、アーム22bによって把持され、被検体のスキャン位置に対して載置される。
【0062】
ロボットアーム制御装置21は、通信インターフェース211と、入力インターフェース212と、処理回路213とを有する。
【0063】
通信インターフェース211は、処理回路213に接続されており、ロボットアーム制御装置21と各装置との間で行われる通信を制御する。具体的には、通信インターフェース211は、各装置から各種の情報を受信し、受信した情報を処理回路213に出力する。例えば、通信インターフェース211は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。例えば、通信インターフェース211は、超音波診断装置100から制御信号を受け付け、受け付けた制御信号を処理回路213に対して出力する。
【0064】
入力インターフェース212は、各種設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチモニタ、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース212は、処理回路213に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路213へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース212は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路213へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0065】
処理回路213は、ロボットアーム制御装置21の処理全体を制御する。具体的には、処理回路213は、図3に示す制御機能213a、演算機能213bに対応するプログラムを図示しないメモリから読み出して実行することで、種々の処理を行う。例えば、処理回路213は、各プログラムを図示しないメモリから読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路213は、図3の処理回路213内に示された各機能を有することとなる。
【0066】
なお、本実施形態においては、単一の処理回路213にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0067】
制御機能213aは、アーム22a、アーム22b、アーム22c及びアーム22dの駆動機構に対して制御信号を送信することで、アーム22a、アーム22b、アーム22c及びアーム22dの駆動を制御する。具体的には、制御機能213aは、演算機能213bから受け付けたアームの移動情報(移動方向及び移動量)に基づく制御信号を駆動機構に送信することで、各アームを移動させる。また、制御機能213aは、通信インターフェース211を介して超音波診断装置100から受け付けたアームの移動情報に基づく制御信号を駆動機構に送信することで、各アームを移動させる。
【0068】
演算機能213bは、アーム22a、アーム22b、アーム22c及びアーム22dの現在の位置(3次元座標)と、移動先の位置(3次元座標)とからアームの移動情報を算出して、算出したアームの移動情報を制御機能213aに送信する。例えば、演算機能213bは、各アームの現在の位置と、入力インターフェース212を介して入力された移動先の位置とから移動方向及び移動量を算出して、制御機能213aに送信する。また、例えば、演算機能213bは、各アームの現在の位置と、通信インターフェース211を介して超音波診断装置100から受け付けた移動先の位置とから移動方向及び移動量を算出して、制御機能213aに送信することもできる。
【0069】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断システムの全体構成について説明した。次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の詳細について説明する。本実施形態に係る超音波診断装置100は、被検体の体表に配置された識別情報に基づいてスキャンを実行する。具体的には、超音波診断装置100は、まず、ロボットスキャンシステム200におけるアーム22aを制御して、被検体の体表上に配置された識別情報(例えば、2次元コード)を読み取る。そして、超音波診断装置100は、アーム22bを制御して、識別情報を読み取った位置に対して音響媒体32を載置する。そして、超音波診断装置100は、識別情報を読み取った位置をスキャン開始位置として、当該識別情報に対応するスキャン条件に沿ったスキャンを実行するように、アーム22c及び超音波プローブ12a(或いは、アーム22d及び超音波プローブ12b)を制御する。
【0070】
ここで、上記した制御を実行するにあたり、まず、超音波の走査空間における被検体の位置情報が取得され、当該被検体の体表上に識別情報が載置される。図5は、第1の実施形態に係る被検体の位置情報の取得と識別情報の載置の例を説明するための図である。なお、図5においては、下肢血管検査を実行する場合の例を示す。
【0071】
例えば、被検体が検査室内の寝台上に横臥すると、図5の上段の図に示すように、複数の位置センサ61eが下肢に配置される。ここで、位置センサ61eが配置される位置は、下肢において形態的な特徴を有する特徴位置に配置される。これにより、位置センサ61eによって取得される位置情報が、トランスミッタ61fによって形成される3次元空間(超音波の走査空間)における下肢の特徴位置の座標となる。
【0072】
ここで、各位置センサ61eによって取得される位置情報は、配置された下肢の特徴位置の情報が対応付けられる。具体的には、検出機能155cは、各位置センサ61eによって取得された位置情報に対して、各位置センサ61eが配置された下肢の特徴位置の情報を対応付けて、アーム制御機能155eに送信する。アーム制御機能155eは、下肢における複数の特徴位置に配置された各位置センサ61eによって取得される位置情報及び当該位置情報に対応付けられた特徴位置の情報と、下肢全体の一般的な形状を示す形状情報とに基づいて、超音波の走査空間における下肢表面全体の座標を推定する。
【0073】
なお、被検体が横臥する寝台は、下肢を常に略同一位置に載置することができるように、凹凸が設けられてもよい。例えば、スキャン位置に対しては超音波プローブ12a(及び、超音波プローブ12b)がアクセスしやすく、かつ、載置した下肢の動きを固定するように、寝台に凹凸が設けられてもよい。
【0074】
上述したように、超音波の走査空間における下肢表面全体の座標が推定されると、例えば、図5の下段の図に示すように、下肢におけるスキャン位置に2次元コードが配置される。ここで、2次元コードは、検査オーダや被検体情報に基づいて、作成される。具体的には、各2次元コードは、それぞれにスキャン条件が埋め込まれる。
【0075】
図6は、第1の実施形態に係る2次元コードの作成の一例を説明するための図である。図6においては、下肢血管検査における2次元コードの作成の例を示す。例えば、検査技師などの2次元コード作成者は、検査オーダ及び被検体情報に基づく検査内容を、担当医師と確認した後、図6に示す(1)~(14)の部位でスキャンを行うための2次元コードを作成する。すなわち、2次元コード作成者は、(1)~(14)の部位ごとの2次元コードを作成する。
【0076】
ここで、(1)~(14)の部位ごとの2次元コードには、それぞれのスキャン条件が埋め込まれる。例えば、(1)の下大静脈をスキャンするためのスキャン条件が、(1)に配置される2次元コードに埋め込まれる。スキャン条件は、例えば、深度、スキャン範囲、スキャンモード、超音波プローブの向き、圧迫の有無を含む。
【0077】
2次元コード作成者は、(1)~(14)に配置する2次元コードについて、上記したスキャン条件をそれぞれ埋め込んで作成する。そして、検査技師は、作成された2次元コードを被検体の下肢の各位置に配置する。例えば、2次元コードは、シールで作成され、被検体に貼られる。なお、2次元コードが誤った位置に配置されることを防ぐため、各2次元コードに配置位置を示す情報が記載される場合でもよい。
【0078】
上述したように、2次元コードは、それぞれにスキャン条件が埋め込まれて、被検体上に配置される。ここで、2次元コードは、コードの向きが超音波プローブの向きに対応付けられる場合でもよい。図7は、第1の実施形態に係る2次元コードによる超音波プローブの向きの制御の一例を説明するための図である。
【0079】
例えば、超音波プローブにおけるXYZ座標と2次元コードのXYZ座標とが、図7に示すように対応付けられる。これにより、2次元コードを配置する向きで超音波プローブの向きを制御することができる。例えば、アーム制御機能155eは、超音波プローブのX軸、Y軸、Z軸を、2次元コードのX軸、Y軸、Z軸にそれぞれ合うようにアームの位置を制御する。
【0080】
上述したように2次元コードが配置されると、アーム制御機能155eは、まず、アーム22aを制御して、コードリーダー31を移動させ、体表上の2次元コードを読み出すように制御する。例えば、アーム制御機能155eは、超音波の走査空間における下肢表面全体の座標に基づいて、コードリーダー31を下肢に沿って移動させるように、アーム22aを制御する。すなわち、アーム制御機能155eは、アーム22aを制御して、コードリーダー31を下肢全体の表面上を網羅的に移動させることで、体表上の全ての2次元コードを読み取らせる。
【0081】
取得機能155dは、被検体の体表に配置された識別情報を取得する。具体的には、取得機能155dは、アーム制御機能155eの制御によって移動されたコードリーダー31が読み取った識別情報を取得する。ここで、取得機能155dは、コードリーダー31が読み取った識別情報を、読み取り位置(超音波の走査空間における座標)と対応付けてメモリ154に格納する。取得機能155dは、体表上の全ての2次元コードについて、コードリーダー31が読み取った識別情報と読み取り位置とを対応付けてメモリ154に格納する。
【0082】
なお、2次元コードの読み出しは、上記した網羅的な手法に限られず、例えば、検査技師が、2次元コードを配置した位置にコードリーダー31を手動で移動させることで、実行される場合でもよい。この場合も上記と同様に、取得機能155dは、コードリーダー31が読み取った識別情報と読み取り位置とを対応付けてメモリ154に格納する。
【0083】
取得機能155dによって2次元コードの情報が取得されると、制御機能155a及びアーム制御機能155eが、識別情報に対応するスキャン条件に基づいて、超音波プローブを保持するロボットアームによる被検体に対するスキャンを制御する。具体的には、制御機能155a及びアーム制御機能155eが、識別情報が配置された被検体の体表の位置をスキャン開始位置としてスキャン条件に基づくスキャンを実行するように、ロボットアームによる超音波プローブの位置の制御及び当該超音波プローブによる超音波の送受信の制御を実行する。
【0084】
例えば、まず、アーム制御機能155eが、アーム22bを制御して、音響媒体32を載置するとともに、アーム22c(或いは、アーム22d)を制御して、超音波プローブ12a(或いは、超音波プローブ12b)をスキャン位置に移動させる。そして、制御機能155aが、スキャン位置でスキャン条件に沿ったスキャンを実行する。
【0085】
例えば、アーム制御機能155eは、メモリ154に記憶された識別情報と読み取り位置との対応情報に基づいて、読み取り位置に音響媒体32を載置するようにアーム22bを制御する。例えば、アーム制御機能155eは、読み取り位置に音響媒体のパッドを載置するように、アーム22bを制御する。
【0086】
そして、アーム制御機能155eは、読み取り位置に対応付けられた識別情報におけるスキャン条件に基づいて使用する超音波プローブを特定し、特定した超音波プローブを保持するアームを特定する。例えば、スキャン条件に対応する超音波プローブが超音波プローブ12aの場合、アーム制御機能155eは、アーム22cを制御して、超音波プローブ12aを2次元コードの読み取り位置に移動させるように制御する。すなわち、アーム制御機能155eは、超音波プローブ12aに備えられた位置センサ61cによって取得される位置情報に基づいて、超音波プローブ12aを2次元コードの読み取り位置に移動させる。ここで、2次元コードの向きと超音波プローブ12aの向きとが対応付けられている場合には、アーム制御機能155eは、超音波プローブ12aのX軸、Y軸、Z軸が、2次元コードのX軸、Y軸、Z軸にそれぞれ合うようにアーム22cの位置を制御する。
【0087】
アーム制御機能155eの制御によって超音波プローブ12aが移動されると、制御機能155aは、2次元コードから読み取ったスキャン条件に沿ったスキャンを実行する。例えば、制御機能155aは、深度、スキャン範囲、スキャンモード(例えば、カラードプラなど)、圧迫の有無について、2次元コードから読み取った条件でスキャンを実行するように、超音波プローブ12aによる超音波の送受信などを制御する。
【0088】
制御機能155a及びアーム制御機能155eは、被検体に配置された複数の識別情報について、識別情報ごとの対応するスキャン条件に切り替えながら、被検体に対する一連のスキャンを実行するように制御する。例えば、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、体表上の2次元コードが読み取られるごとに、2次元コードに対応するスキャン条件に切り替えながら、スキャンを実行するように制御する。
【0089】
ここで、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、被検体に対する一連のスキャンにおいて、種別の異なる超音波プローブを切り替えながら、スキャンを実行するように制御する。例えば、下肢血管検査の場合、位置(例えば、図6の(1)~(14)の各位置)によって異なる超音波プローブを用いる場合がある。これらの情報はスキャン条件に含まれる。制御機能155a及びアーム制御機能155eは、読み取ったスキャン条件に応じて、超音波プローブを切り替えながら、スキャンを実行する。
【0090】
ここで、ロボットスキャンシステム200を用いたスキャンでは、スキャン条件に沿ってスキャンを行った場合でも被検体の体動などにより、所望の超音波画像が収集できないおそれがある。そこで、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、スキャン条件に含まれる走査角度に加え、異なる走査角度でのスキャンを更に実行するように制御する。すなわち、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、1つのスキャン位置において複数の走査角度で超音波画像を収集することで、所望の超音波画像が収集されるように、制御する。
【0091】
図8は、第1の実施形態に係る複数の走査角度によるスキャンの一例を説明するための図である。例えば、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、図8に示すように、スキャンの対象部位の血管(血流)に対する走査角度を変えた3種の超音波画像を収集する。これにより、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、例えば、正確な血流情報が示された超音波画像が収集されていないという状況を回避することができる。
【0092】
また、超音波診断装置100は、検査ごとのスキャンプロトコルを有している。制御機能155a及びアーム制御機能155eは、当該スキャンプロトコルに連動したスキャンを制御することもできる。かかる場合には、まず、スキャンプロトコルに含まれる複数のスキャンのスキャン条件が、複数の識別情報に対応付けられる。制御機能155a及びアーム制御機能155eは、識別情報に基づくスキャンを実行することで、スキャンプロトコルに連動したスキャンを実行するように制御する。
【0093】
図9は、第1の実施形態に係るスキャンプロトコルに沿ったスキャンの一例を説明するための図である。図9に示すように、スキャンプロトコルに8つステップが含まれ、各ステップにおいてそれぞれスキャン条件が設定される場合、各ステップに対応する2次元コードが作成される。そして、作成された2次元コードが被検体に配置され、制御機能155a及びアーム制御機能155eが、2次元コードに基づくスキャンを実行することで、スキャンプロトコルに連動したスキャンを実行する。
【0094】
表示制御機能155fは、図9に示すように、スキャンプロトコルの各ステップをディスプレイ13に表示させる。ここで、表示制御機能155fは、スキャン実行済みのステップに対して、実行済みを示す表示を行うことができる、これにより、検査技師は、スキャンの進捗を把握することができる。
【0095】
さらに、表示制御機能155fは、被検体に対して音声による補助を行うことができる。例えば、表示制御機能155fは、スキャンプロトコルにおける各ステップの情報に基づいて、被検体に対して、次にスキャンする部位に関する情報を通知したり、体を動かさないように注意喚起したりする。
【0096】
また、表示制御機能155fは、ロボットスキャンシステム200による被検体に対するスキャン結果を通知することができる。具体的には、表示制御機能155fは、端末装置300のディスプレイにおいてスキャン結果を表示させる。例えば、表示制御機能155fは、2次元コードに対応するスキャンを実行するごとに、スキャン結果を端末装置300に送信して、スキャン結果を表示させるように制御する。これにより、例えば、医師や検査技師が、ロボットスキャンシステム200によるスキャンの状況を常に確認するこができる。
【0097】
アーム制御機能155eは、被検体の位置ずれを検出し、検出した位置ずれを補正することができる。上述したように、被検体の体表には位置センサ61eが配置されている。そこで、アーム制御機能155eは、検出機能155cによって検出される位置センサ61eの位置情報に基づいて、被検体の位置ずれを検出する。例えば、アーム制御機能155eは、検出機能155cによって検出される位置センサ61eの位置情報が、所定の閾値を超えて変化した場合に、被検体の位置がずれたと判定する。
【0098】
そして、アーム制御機能155eは、各位置センサ61eによって取得された位置情報及び当該位置情報に対応付けられた特徴位置の情報と、下肢全体の一般的な形状を示す形状情報とに基づいて、超音波の走査空間における下肢表面全体の座標を再推定することで、位置ずれを補正する。
【0099】
次に、図10を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の処理について説明する。図10は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の処理の手順を説明するためのフローチャートである。ここで、図10に示すステップS101~ステップS104は、超音波診断装置100の処理前に検査技師などによって実施される手順を示す。
【0100】
ステップS105、S108、S109は、処理回路155がメモリ154から検出機能155c及びアーム制御機能155eに対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS106は、処理回路155がメモリ154から取得機能155d及びアーム制御機能155eに対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS107、S110は、処理回路155がメモリ154から制御機能155a及びアーム制御機能155eに対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
【0101】
図10に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100では、検査技師が検査オーダを受領して、検査日時、患者情報を把握する(ステップS101)。そして、検査技師は、患者の年齢、体重、身長、症状などの患者情報と、検査情報とに基づいて、2次元コードを作成する(ステップS102)。その後、検査技師は、被検体を寝台に誘導して(ステップS103)、2次元コードを被検体に貼り付ける(ステップS104)。
【0102】
さらに、被検体に対して位置センサ61eが取り付けられると、処理回路155が、位置センサ61eの位置情報に基づいて、位置合わせを実行する(ステップS105)。そして、処理回路155は、被検体上の2次元コードを検出して(ステップS106)、2次元コードに対応するスキャン条件でスキャンを実行する(ステップS107)。
【0103】
さらに、処理回路155は、位置ずれがあるか否かを判定する(ステップS108)。ここで、位置ずれがある場合には(ステップS108、肯定)、処理回路155は、位置ずれを修正する(ステップS109)。
【0104】
ステップS108の判定において、位置ずれがない場合(ステップS108、否定)及びステップS109において位置ずれが修正された場合、処理回路155は、検査が終了したか否かを判定する(ステップS110)。
【0105】
ここで、検査が終了していない場合には(ステップS110、否定)、処理回路155は、ステップS106に戻って、2次元コードの検出を行う。一方、検査が終了した場合には(ステップS110、肯定)、処理回路155は、処理を終了する。
【0106】
上述したように、第1の実施形態によれば、取得機能155dは、被検体の体表に配置された識別情報を取得する。制御機能155a及びアーム制御機能155eは、識別情報に対応するスキャン条件に基づいて、超音波プローブを保持するロボットアームによる被検体に対するスキャンを制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、体表上の識別情報を用いてロボットアームによるスキャンを実行することができ、検査に係る負荷を低減することを可能にする。例えば、超音波診断装置100は、検査技師の身体的な負担を軽減することを可能にする。また、超音波診断装置100は、ロボットスキャンシステム200によってスキャンを実行することができ、検査コストを低減することを可能にする。また、超音波診断装置100は、スキャン結果の登録を自動で行うことができ、検査時間を短縮することを可能にする。その結果、超音波診断装置100は、被検体に係る負担を低減することを可能にする。
【0107】
また、第1の実施形態によれば、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、識別情報が配置された被検体の体表の位置をスキャン開始位置としてスキャン条件に基づくスキャンを実行するように、ロボットアームによる超音波プローブの位置の制御及び当該超音波プローブによる超音波の送受信の制御を実行する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、体表の位置ごとのスキャンをロボットアームで実現することを可能にする。
【0108】
また、第1の実施形態によれば、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、被検体に配置された複数の識別情報について、識別情報ごとの対応するスキャン条件に切り替えながら、被検体に対する一連のスキャンを実行するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、位置ごとに検査内容が異なる場合でも、適切に対応することを可能にする。
【0109】
また、第1の実施形態によれば、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、被検体に対する一連のスキャンにおいて、種別の異なる超音波プローブを切り替えながら、スキャンを実行するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、異なる超音波プローブを用いた検査にも対応することを可能にする。
【0110】
また、第1の実施形態によれば、スキャンプロトコルに含まれる複数のスキャンのスキャン条件が、複数の識別情報に対応付けられる。制御機能155a及びアーム制御機能155eは、識別情報に基づくスキャンを実行することで、スキャンプロトコルに連動したスキャンを実行するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、スキャンプロトコルに沿ったスキャンをロボットアームによって実現することを可能にする。
【0111】
また、第1の実施形態によれば、スキャン条件は、深度、スキャン範囲、スキャンモード、超音波プローブの向き、圧迫の有無を含む。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、種々のスキャンに対応することを可能にする。
【0112】
また、第1の実施形態によれば、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、スキャン条件に含まれる走査角度に加え、異なる走査角度でのスキャンを更に実行するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、所望の超音波画像が収集されていない状況を回避することを可能にする。
【0113】
また、第1の実施形態によれば、制御機能155a及びアーム制御機能155eは、被検体の位置ずれを検出し、検出した位置ずれを補正する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、検査中の種々の状況に対応することを可能にする。
【0114】
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能155fは、ロボットアームによる被検体に対するスキャン結果を通知する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、スキャン状況を容易に確認することを可能にする。
【0115】
(その他の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0116】
上述した実施形態では、識別情報として2次元コードを用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、識別可能な情報であればどのような情報が用いられる場合でもよい。例えば、スキャン位置ごとに番号が割り当て、番号を示すシールが被検体に貼り付けられてもよい。かかる場合には、各番号にスキャン条件が対応付けられて、メモリ154に記憶される。
【0117】
取得機能155dは、被検体上の番号を読み取り、読み取った番号を制御機能155a及びアーム制御機能155eに送信する。制御機能155a及びアーム制御機能155eは、受信した番号に対応するスキャン条件をメモリ154から読み出して、読み出したスキャン条件に対応する制御を実行する。
【0118】
また、上述した実施形態では、2次元コードを読み取る装置としてコードリーダー31を用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、カメラが用いられる場合でもよい。
【0119】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0120】
なお、上記の実施形態の説明で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0121】
また、上述した実施形態で説明した制御方法は、あらかじめ用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0122】
以上、説明したとおり、実施形態によれば、検査に係る負荷を低減することを可能にする。
【0123】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0124】
100 超音波診断装置
155 処理回路
155a 制御機能
155d 取得機能
155e アーム制御機能
155f 表示制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10