(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体装置の製造方法、電源回路、及び、コンピュータ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/337 20060101AFI20230925BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20230925BHJP
H01L 29/808 20060101ALI20230925BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20230925BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20230925BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230925BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230925BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
H01L29/80 V
H01L29/80 H
H01L29/78 301B
H01L29/78 301V
H01L29/78 301W
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652H
H01L29/78 652K
H01L29/78 658A
H01L29/78 658F
(21)【出願番号】P 2020044568
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 達雄
(72)【発明者】
【氏名】中林 幸雄
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172108(JP,A)
【文献】国際公開第2019/097813(WO,A1)
【文献】特開2007-059508(JP,A)
【文献】特開2012-209561(JP,A)
【文献】特開2019-216275(JP,A)
【文献】特開2019-153726(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150467(WO,A1)
【文献】特開2008-227356(JP,A)
【文献】国際公開第2012/049892(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0110758(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/337
H01L 21/338
H01L 21/336
H01L 29/12
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
n型の第1の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するp型の第3の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟むp型の第4の窒化ガリウム領域と、
前記第3の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第5の窒化ガリウム領域と、
前記第4の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第5の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟み、前記第4の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第6の窒化ガリウム領域と、
前記第5の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、
前記第6の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、
前記第7の窒化ガリウム領域と前記第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第1の面を基準とする深さが、前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の前記第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、
を含む窒化物半導体層と、
前記トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、
前記トレンチの中に位置し、前記窒化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層を挟むゲート電極と、
前記窒化物半導体層の前記第1の面の側に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域、前記第4の窒化ガリウム領域、前記第7の窒化ガリウム領域、及び、前記第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、
前記窒化物半導体層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備
え、
前記トレンチの前記第1の面を基準とする深さが、前記第5の窒化ガリウム領域及び前記第6の窒化ガリウム領域の深さよりも浅い半導体装置。
【請求項2】
前記傾斜角度が20度以上70度以下である請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トレンチは、前記第5の窒化ガリウム領域と前記第6の窒化ガリウム領域との間に位置する請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
n型の第1の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するp型の第3の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟むp型の第4の窒化ガリウム領域と、
前記第3の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第5の窒化ガリウム領域と、
前記第4の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第5の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟み、前記第4の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第6の窒化ガリウム領域と、
前記第5の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、
前記第6の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、
前記第7の窒化ガリウム領域と前記第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第1の面を基準とする深さが、前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の前記第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、
を含む窒化物半導体層と、
前記トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、
前記トレンチの中に位置し、前記窒化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層を挟むゲート電極と、
前記窒化物半導体層の前記第1の面の側に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域、前記第4の窒化ガリウム領域、前記第7の窒化ガリウム領域、及び、前記第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、
前記窒化物半導体層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記窒化アルミニウム膜は、前記第2の窒化ガリウム領域、前記第5の窒化ガリウム領域、前記第6の窒化ガリウム領域、前記第7の窒化ガリウム領域、及び、前記第8の窒化ガリウム領域に接す
る半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート絶縁層は、前記窒化アルミニウム膜と前記ゲート電極との間に位置し、前記窒化アルミニウム膜と化学組成の異なる絶縁膜を含む請求項1ないし請求項
4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
n型の第1の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するp型の第3の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟むp型の第4の窒化ガリウム領域と、
前記第3の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第5の窒化ガリウム領域と、
前記第4の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第5の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟み、前記第4の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第6の窒化ガリウム領域と、
前記第5の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、
前記第6の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、
前記第7の窒化ガリウム領域と前記第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第1の面を基準とする深さが、前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の前記第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、
を含む窒化物半導体層と、
前記トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、
前記トレンチの中に位置し、前記窒化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層を挟むゲート電極と、
前記窒化物半導体層の前記第1の面の側に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域、前記第4の窒化ガリウム領域、前記第7の窒化ガリウム領域、及び、前記第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、
前記窒化物半導体層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記窒化物半導体層は、前記第1の窒化ガリウム領域と前記第3の窒化ガリウム領域との間、及び、前記第1の窒化ガリウム領域と前記第4の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第1の窒化ガリウム領域よりもn型不純物濃度の高いn型の第9の窒化ガリウム領域を含
む半導体装置。
【請求項7】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
n型の第1の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するp型の第3の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟むp型の第4の窒化ガリウム領域と、
前記第3の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第5の窒化ガリウム領域と、
前記第4の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第5の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟み、前記第4の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第6の窒化ガリウム領域と、
前記第5の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、
前記第6の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、
前記第7の窒化ガリウム領域と前記第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第1の面を基準とする深さが、前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の前記第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、
を含む窒化物半導体層と、
前記トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、
前記トレンチの中に位置し、前記窒化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層を挟むゲート電極と、
前記窒化物半導体層の前記第1の面の側に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域、前記第4の窒化ガリウム領域、前記第7の窒化ガリウム領域、及び、前記第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、
前記窒化物半導体層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記窒化物半導体層は、前記第3の窒化ガリウム領域と前記第4の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域に接するp型の第10の窒化ガリウム領域を含
む半導体装置。
【請求項8】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
n型の第1の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するp型の第3の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟むp型の第4の窒化ガリウム領域と、
前記第3の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第5の窒化ガリウム領域と、
前記第4の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第5の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟み、前記第4の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第6の窒化ガリウム領域と、
前記第5の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、
前記第6の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、
前記第7の窒化ガリウム領域と前記第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第1の面を基準とする深さが、前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の前記第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、
を含む窒化物半導体層と、
前記トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、
前記トレンチの中に位置し、前記窒化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層を挟むゲート電極と、
前記窒化物半導体層の前記第1の面の側に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域、前記第4の窒化ガリウム領域、前記第7の窒化ガリウム領域、及び、前記第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、
前記窒化物半導体層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記第3の窒化ガリウム領域と前記第4の窒化ガリウム領域との間の第1の距離は、前記第5の窒化ガリウム領域と前記第6の窒化ガリウム領域との間の第2の距離よりも短
い半導体装置。
【請求項9】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
n型の第1の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するp型の第3の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟むp型の第4の窒化ガリウム領域と、
前記第3の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第5の窒化ガリウム領域と、
前記第4の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第5の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟み、前記第4の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第6の窒化ガリウム領域と、
前記第5の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、
前記第6の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、
前記第7の窒化ガリウム領域と前記第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第1の面を基準とする深さが、前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の前記第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、
を含む窒化物半導体層と、
前記トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、
前記トレンチの中に位置し、前記窒化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層を挟むゲート電極と、
前記窒化物半導体層の前記第1の面の側に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域、前記第4の窒化ガリウム領域、前記第7の窒化ガリウム領域、及び、前記第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、
前記窒化物半導体層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備え、
前記第2の窒化ガリウム領域のn型不純物濃度は、前記第1の窒化ガリウム領域のn型不純物濃度よりも高
い半導体装置。
【請求項10】
前記第1の面を基準とする前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域の深さは、1μm以下である請求項1ないし請求項
9いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第5の窒化ガリウム領域のp型不純物濃度は、前記第3の窒化ガリウム領域のp型不純物濃度よりも一桁以上低く、前記第6の窒化ガリウム領域のp型不純物濃度は、前記第4の窒化ガリウム領域のp型不純物濃度よりも一桁以上低い請求項1ないし請求項
10いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第3の窒化ガリウム領域のp型不純物濃度、及び、前記第4の窒化ガリウム領域のp型不純物濃度は、1×10
20cm
-3以上である請求項1ないし請求項
11いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項13】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
n型の第1の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、p型不純物濃度が1×10
20cm
-3以上であるp型の第3の窒化ガリウム領域と、
前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟み、p型不純物濃度が1×10
20cm
-3以上であるp型の第4の窒化ガリウム領域と、
前記第3の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、p型不純物濃度が1×10
20cm
-3以上であるp型の第5の窒化ガリウム領域と、
前記第4の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第5の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟み、p型不純物濃度が1×10
20cm
-3以上であるp型の第6の窒化ガリウム領域と、
前記第5の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、
前記第6の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、
前記第7の窒化ガリウム領域と前記第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第1の面を基準とする深さが、前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の前記第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、
を含む窒化物半導体層と、
前記トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、
前記トレンチの中に位置し、前記窒化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層を挟むゲート電極と、
前記窒化物半導体層の前記第1の面の側に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域、前記第4の窒化ガリウム領域、前記第7の窒化ガリウム領域、及び、前記第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、
前記窒化物半導体層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、
を備える半導体装置。
【請求項14】
前記傾斜角度が20度以上70度以下である請求項
13記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第3の窒化ガリウム領域、前記第4の窒化ガリウム領域、前記第5の窒化ガリウム領域、及び、前記第6の窒化ガリウム領域のp型不純物濃度が略同一である請求項
13又は請求項
14記載の半導体装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項
15いずれか一項記載の半導体装置を備える電源回路。
【請求項17】
請求項1ないし請求項
15いずれか一項記載の半導体装置を備えるコンピュータ。
【請求項18】
窒化物半導体層の上に窒化アルミニウム膜を形成し、
前記窒化アルミニウム膜の上に酸化シリコン膜を形成し、
水素を含む雰囲気中で第1の熱処理を行い、
NO又はN
2Oを含む雰囲気中で第2の熱処理を行
い、
前記第1の熱処理の温度は600℃以上1050℃以下である半導体装置の製造方法。
【請求項19】
窒化物半導体層の上に窒化アルミニウム膜を形成し、
前記窒化アルミニウム膜の上に酸化シリコン膜を形成し、
水素を含む雰囲気中で第1の熱処理を行い、
NO又はN
2
Oを含む雰囲気中で第2の熱処理を行い、
前記第2の熱処理の温度は600℃以上900℃以下であ
る半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記窒化物半導体層は窒化ガリウムを含む請求項
18又は請求項19記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記第2の熱処理の後に、前記酸化シリコン膜の上にゲート電極を形成する請求項
18ないし請求項
20いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、電源回路、及び、コンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源回路やインバータ回路などの回路には、トランジスタやダイオードなどの半導体素子が用いられる。これらの半導体素子には高耐圧及び低オン抵抗が求められる。そして、耐圧とオン抵抗の関係には、素子材料で決まるトレードオフ関係がある。
【0003】
技術開発の進歩により、半導体素子は、主たる素子材料であるシリコンの限界近くまで低オン抵抗が実現されている。耐圧を更に向上させたり、オン抵抗を更に低減させたりするには、素子材料の変更が必要である。窒化ガリウムなどの窒化物半導体を半導体素子の素子材料として用いることで、素子材料で決まるトレードオフ関係を改善できる。このため、半導体素子の飛躍的な高耐圧化や低オン抵抗化が可能である。
【0004】
オン抵抗を低減するために、ゲート電極をトレンチの中に設けた縦型のトレンチゲート構造のトランジスタが検討されている。トレンチゲート構造のトランジスタでは、トレンチ底部のゲート絶縁層に電界が集中するため、ゲート絶縁層の信頼性が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ゲート絶縁層の信頼性が向上する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体装置は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、n型の第1の窒化ガリウム領域と、前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するp型の第3の窒化ガリウム領域と、前記第1の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟むp型の第4の窒化ガリウム領域と、前記第3の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第5の窒化ガリウム領域と、前記第4の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置し、前記第5の窒化ガリウム領域との間に前記第2の窒化ガリウム領域を挟み、前記第4の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第6の窒化ガリウム領域と、前記第5の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、前記第6の窒化ガリウム領域と前記第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、前記第7の窒化ガリウム領域と前記第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、前記第1の面を基準とする深さが、前記第3の窒化ガリウム領域及び前記第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の前記第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、を含む窒化物半導体層と、前記トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、前記トレンチの中に位置し、前記窒化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層を挟むゲート電極と、前記窒化物半導体層の前記第1の面の側に位置し、前記第3の窒化ガリウム領域、前記第4の窒化ガリウム領域、前記第7の窒化ガリウム領域、及び、前記第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、前記窒化物半導体層の前記第2の面の側に位置する第2の電極と、を備え、前記トレンチの前記第1の面を基準とする深さが、前記第5の窒化ガリウム領域及び前記第6の窒化ガリウム領域の深さよりも浅い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第1の実施形態の半導体装置の一部の拡大模式断面図。
【
図3】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図4】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図5】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図10】第5の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図11】第6の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材についてはその説明を省略する場合がある。
【0010】
本明細書中、「窒化物半導体」は「GaN系半導体」を含む。「GaN系半導体」とは、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)及びそれらの中間組成を備える半導体の総称である。
【0011】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する場合がある。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0012】
また、以下の説明において、n+、n、n-及び、p+、p、p-の表記がある場合は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちn+はnよりもn型不純物濃度が相対的に高く、n-はnよりもn型不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p+はpよりもp型不純物濃度が相対的に高く、p-はpよりもp型不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n+型、n-型を単にn型、p+型、p-型を単にp型と記載する場合もある。各領域の不純物濃度は、別段の記載がある場合を除き、例えば、各領域の中央部の不純物濃度の値で代表させる。
【0013】
半導体装置の構成要素に含まれる元素の種類、又は、元素濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)により測定することが可能である。また、元素濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、半導体装置における深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。半導体装置における深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SCM像とアトムプローブ像との比較画像からも求めることが可能である。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有し、n型の第1の窒化ガリウム領域と、第1の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、第1の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置するp型の第3の窒化ガリウム領域と、第1の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、第3の窒化ガリウム領域との間に第2の窒化ガリウム領域を挟むp型の第4の窒化ガリウム領域と、第3の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、第3の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第5の窒化ガリウム領域と、第4の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、第5の窒化ガリウム領域との間に第2の窒化ガリウム領域を挟み、第4の窒化ガリウム領域よりもp型不純物濃度の低いp型の第6の窒化ガリウム領域と、第5の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、第6の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、第7の窒化ガリウム領域と第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、第1の面を基準とする深さが、第3の窒化ガリウム領域及び第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、を含む窒化物半導体層と、トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、トレンチの中に位置し、窒化物半導体層との間にゲート絶縁層を挟むゲート電極と、窒化物半導体層の第1の面の側に位置し、第3の窒化ガリウム領域、第4の窒化ガリウム領域、第7の窒化ガリウム領域、及び、第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、窒化物半導体層の第1の面の側に位置する第2の電極と、を備える。
【0015】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図2は、第1の実施形態の半導体装置の一部の拡大模式断面図である。
図2は、
図1の一部を拡大した図である。
【0016】
第1の実施形態の半導体装置は、GaN系半導体を用いたMIS構造のHigh Electron Mobility Transistor(HEMT)100である。HEMT100は、窒化物半導体層の上下に電極を有する縦型トランジスタである。HEMT100は、ゲート電極がトレンチの中に設けられるトレンチゲート構造を備える。
【0017】
HEMT100は、窒化物半導体層10、第1のソース電極12a(第1の電極)、第2のソース電極12b(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18を備える。ゲート絶縁層16は、窒化アルミニウム膜16aと酸化シリコン膜16b(絶縁膜)を含む。
【0018】
窒化物半導体層10は、ドレイン領域20、ドリフト領域22(第1の窒化ガリウム領域)、JFET領域24(第2の窒化ガリウム領域)、第1の電界緩和領域26a(第3の窒化ガリウム領域)、第2の電界緩和領域26b(第4の窒化ガリウム領域)、第1のベース領域28a(第5の窒化ガリウム領域)、第2のベース領域28b(第6の窒化ガリウム領域)、第1のソース領域30a(第7の窒化ガリウム領域)、第2のソース領域30b(第8の窒化ガリウム領域)、トレンチ32を含む。
【0019】
窒化物半導体層10は、第1の面P1と第2の面P2とを有する。第1の面P1と第2の面P2とは対向する。第1の面P1は、第1のソース領域30a、及び、第2のソース領域30bの表面を含む平面である。
【0020】
窒化物半導体層10の第1の面P1は、例えば、(0001)面、すなわち、ガリウム面である。
【0021】
窒化物半導体層10は、窒化ガリウム(GaN)で形成される。窒化物半導体層10は、窒化ガリウムの単結晶である。
【0022】
ドレイン領域20は、窒化物半導体層10の第2の面P2の側に設けられる。ドレイン領域20は、n+型の窒化ガリウムである。
【0023】
ドレイン領域20は、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。ドレイン領域20のn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下である。
【0024】
ドリフト領域22は、ドレイン領域20と第1の面P1との間に設けられる。ドリフト領域22は、n-型の窒化ガリウムである。ドリフト領域22は、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。
【0025】
ドリフト領域22のn型不純物濃度は、ドレイン領域20のn型不純物濃度よりも低い。ドリフト領域22は、ドレイン領域20よりも比抵抗が高い。ドリフト領域22のn型不純物濃度は、例えば、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0026】
JFET領域24は、ドリフト領域22と第1の面P1との間に設けられる。JFET領域24は、ドリフト領域22の上に設けられる。JFET領域24は、n-型の窒化ガリウムである。JFET領域24は、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。
【0027】
JFET領域24のn型不純物濃度は、例えば、ドリフト領域22のn型不純物濃度よりも高い。JFET領域24は、例えば、ドリフト領域22よりも比抵抗が低い。ドリフト領域22のn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上1×1019cm-3以下である。
【0028】
第1の電界緩和領域26aは、ドリフト領域22と第1の面P1との間に設けられる。第1の電界緩和領域26aは、p+型の窒化ガリウムである。第1の電界緩和領域26aは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。第1の電界緩和領域26aのp型不純物濃度は、例えば、1×1020cm-3以上1×1022cm-3以下である。
【0029】
第1の面P1を基準とする第1の電界緩和領域26aの深さ(
図2中のd1)は、例えば、0.6μm以上1.0μm以下である。
【0030】
以下、本明細書中、「深さ」とは、第1の面P1を基準とする深さを意味する。
【0031】
第2の電界緩和領域26bは、ドリフト領域22と第1の面P1との間に設けられる。第2の電界緩和領域26bは、p+型の窒化ガリウムである。
【0032】
第2の電界緩和領域26bは、第1の電界緩和領域26aと離間する。JFET領域24の一部は、第1の電界緩和領域26aと第2の電界緩和領域26bとの間に挟まれる。
【0033】
第2の電界緩和領域26bは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。第2の電界緩和領域26bのp型不純物濃度は、例えば、1×1020cm-3以上1×1022cm-3以下である。
【0034】
第1の電界緩和領域26aの深さと、第2の電界緩和領域26bの深さとは略同一である。第1の面P1を基準とする第2の電界緩和領域26bの深さは、例えば、0.6μm以上1.0μm以下である。
【0035】
第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bは、HEMT100のオフ動作時に、JFET領域24に空乏層を伸ばすことにより、ゲート絶縁層16に印加される電界強度を低減する機能を有する。
【0036】
第1のベース領域28aは、第1の電界緩和領域26aと第1の面P1との間に設けられる。第1のベース領域28aは、p型の窒化ガリウムである。第1のベース領域28aは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。
【0037】
第1のベース領域28aのp型不純物濃度は、第1の電界緩和領域26aのp型不純物濃度よりも低い。第1のベース領域28aのp型不純物濃度は、第1の電界緩和領域26aのp型不純物濃度よりも、例えば、一桁以上低い。第1のベース領域28aのp型不純物濃度は、例えば、5×1015cm-3以上1×1020cm-3以下である。1×1016cm-3以上1×1019cm-3以下がより好ましい。
【0038】
第2のベース領域28bは、第2の電界緩和領域26bと第1の面P1との間に設けられる。第2のベース領域28bは、第1のベース領域28aと離間する。
【0039】
第2のベース領域28bは、p型の窒化ガリウムである。第2のベース領域28bは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。
【0040】
第2のベース領域28bのp型不純物濃度は、第2の電界緩和領域26bのp型不純物濃度よりも低い。第2のベース領域28bのp型不純物濃度は、第2の電界緩和領域26bのp型不純物濃度よりも、例えば、一桁以上低い。第2のベース領域28bのp型不純物濃度は、例えば、5×1015cm-3以上1×1020cm-3以下である。1×1016cm-3以上1×1019cm-3以下がより好ましい。
【0041】
第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bは、HEMT100のオン動作時に、電子が流れるチャネル領域として機能する。
【0042】
第1のソース領域30aは、第1のベース領域28aと第1の面P1との間に設けられる。第1のソース領域30aは、n+型の窒化ガリウムである。
【0043】
第1のソース領域30aは、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。第1のソース領域30aのn型不純物濃度は、例えば、ドリフト領域22のn型不純物濃度よりも高い。第1のソース領域30aのn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下である。
【0044】
第2のソース領域30bは、第2のベース領域28bと第1の面P1との間に設けられる。第2のソース領域30bは、第1のソース領域30aと離間する。第2のソース領域30bは、n+型の窒化ガリウムである。
【0045】
第2のソース領域30bは、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。第2のソース領域30bのn型不純物濃度は、例えば、ドリフト領域22のn型不純物濃度よりも高い。第2のソース領域30bのn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下である。
【0046】
第1のソース領域30a及び第2のソース領域30bは、HEMT100のオン動作時に、電子の供給源として機能する。
【0047】
トレンチ32は、窒化物半導体層10の第1の面P1の側に形成される。トレンチ32は、窒化物半導体層10に形成された凹部である。トレンチ32は、窒化物半導体層10の一部である。
【0048】
トレンチ32は、第1のソース領域30aと第2のソース領域30bとの間に挟まれる。トレンチ32は、第1のベース領域28aと第2のベース領域28bとの間に挟まれる。
【0049】
トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、第1の電界緩和領域26aの深さ(
図2中のd1)よりも浅い。トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、第2の電界緩和領域26bの深さよりも浅い。トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、例えば、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bの深さよりも0.1μm以上浅い。
【0050】
トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、例えば、第1のベース領域28aの深さ(
図2中のd3)よりも浅い。トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、例えば、第2のベース領域28bの深さよりも浅い。
【0051】
トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、第1のソース領域30aの深さ(
図2中のd4)よりも深い。トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、例えば、第2のソース領域30bの深さよりも深い。
【0052】
トレンチ32の底面は、JFET領域24に位置する。
【0053】
トレンチ32の側面は順テーパを有する。トレンチ32の側面は第1の面P1に対して傾斜する。トレンチ32の側面の第1の面P1に対する傾斜角度(
図2中のθ)は、90度未満である。トレンチ32の側面の第1の面P1に対する傾斜角度(
図2中のθ)は、例えば、20度以上70度以下である。
【0054】
ゲート絶縁層16は、トレンチ32の中に設けられる。ゲート絶縁層16は、窒化物半導体層10とゲート電極18との間に設けられる。
【0055】
ゲート絶縁層16は、窒化アルミニウム膜16aと酸化シリコン膜16bを含む。酸化シリコン膜16bは、窒化アルミニウム膜16aとゲート電極18との間に設けられる。酸化シリコン膜16bは、窒化アルミニウム膜16aと化学組成の異なる絶縁膜の一例である。酸化シリコン膜16bは、非晶質の膜である。
【0056】
窒化アルミニウム膜16aは、JFET領域24、第1のベース領域28a、第2のベース領域28b、第1のソース領域30a、及び、第2のソース領域30bと接する。窒化アルミニウム膜16aは、結晶質の膜である。
【0057】
窒化アルミニウム膜16aと窒化物半導体層10との間は、ヘテロ接合界面となる。窒化アルミニウムのバンドギャップは、窒化ガリウムより広い。窒化アルミニウム膜16aと窒化ガリウムである窒化物半導体層10との界面には、2次元電子ガス(2DEG)が形成される。2次元電子ガス(2DEG)は、HEMT100のキャリアとなる。
【0058】
窒化アルミニウム膜16aの厚さは、例えば、10nm以上100nm以下である。酸化シリコン膜16bの厚さは、例えば、10nm以上100nm以下である。ゲート絶縁層16のSiO2換算膜厚は、例えば、10nm以上100nm以下である。ゲート絶縁層16のSiO2換算膜厚は、10nm以上50nm以下であることが好ましい。
【0059】
ゲート電極18は、トレンチ32の中に設けられる。ゲート電極18は、窒化物半導体層10との間にゲート絶縁層16を挟む。ゲート電極18は、ゲート絶縁層16の上に設けられる。
【0060】
ゲート電極18は、例えば、金属又は半導体である。ゲート電極18は、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、又は多結晶シリコンである。
【0061】
第1のソース電極12aは、窒化物半導体層10の第1の面P1の側に設けられる。第1のソース電極12aは、第1の電界緩和領域26a、及び、第1のソース領域30aに接する。第1のソース電極12aは、第1の電界緩和領域26a、及び、第1のソース領域30aに電気的に接続される。第1のソース電極12aと第1の電界緩和領域26a、及び、第1のソース電極12aと第1のソース領域30aの間は、オーミック接続である。
【0062】
第2のソース電極12bは、窒化物半導体層10の第1の面P1の側に設けられる。第2のソース電極12bは、第2の電界緩和領域26b、及び、第2のソース領域30bに接する。第2のソース電極12bは、第2の電界緩和領域26b、及び、第2のソース領域30bに電気的に接続される。第2のソース電極12bと第2の電界緩和領域26b、及び、第2のソース電極12bと第2のソース領域30bの間は、オーミック接続である。
【0063】
第1のソース電極12aと第2のソース電極12bは、電気的に接続されている。第1のソース電極12aと第2のソース電極12bは、物理的に接続されていても構わない。
【0064】
第1のソース電極12a及び第2のソース電極12bは、例えば、金属である。第1のソース電極12a及び第2のソース電極12bは、例えば、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
【0065】
ドレイン電極14は、窒化物半導体層10の第2の面P2の側に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域20に接する。ドレイン電極14とドレイン領域20との間は、オーミック接続である。
【0066】
ドレイン電極14は例えば、金属である。ドレイン電極14は、例えば、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
【0067】
HEMT100のオフ動作時には、p型の第1のベース領域28aがゲート絶縁層16と接する部分、及び、p型の第2のベース領域28bがゲート絶縁層16と接する部分の2次元電子ガスが消滅する。したがって、ノーマリーオフ動作するHEMT100が実現できる。
【0068】
HEMT100のオン動作時には、p型の第1のベース領域28aがゲート絶縁層16と接する部分、及び、p型の第2のベース領域28bがゲート絶縁層16と接する部分にチャネルが形成される。電子が、第1のソース電極12aから、第1のソース領域30a、第1のベース領域28a、JFET領域24、ドリフト領域22、及び、ドレイン領域20を通って、ドレイン電極14に流れる。同様に、電子が、第2のソース電極12bから、第2のソース領域30b、第2のベース領域28b、JFET領域24、ドリフト領域22、及び、ドレイン領域20を通って、ドレイン電極14に流れる。
【0069】
HEMT100のオン動作時には、ドレイン領域20から、第1のソース電極12a及び第2のソース電極12bに電流が流れる。
【0070】
次に、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
図3、
図4、
図5、
図6は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
【0071】
最初に、窒化物半導体層10を準備する(
図3)。窒化物半導体層10は、第1の面P1と第2の面P2とを有する。
【0072】
窒化物半導体層10は、n+型の窒化ガリウム基板50の上に、n-型の第1の窒化ガリウム膜51、p+型の第2の窒化ガリウム膜52、p型の第3の窒化ガリウム膜53、及び、n+型の第4の窒化ガリウム膜54が形成されている。第1の窒化ガリウム膜51、第2の窒化ガリウム膜52、第3の窒化ガリウム膜53、及び、第4の窒化ガリウム膜54は、窒化ガリウム基板50の上に、エピタキシャル成長により形成される。
【0073】
n+型の窒化ガリウム基板50は、最終的に、HEMT100のドレイン領域20となる。p+型の第2の窒化ガリウム膜52は、最終的に、HEMT100の第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bとなる。p型の第3の窒化ガリウム膜53は、最終的に、HEMT100の第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bとなる。また、n+型の第4の窒化ガリウム膜54は、最終的に、HEMT100の第1のソース領域30a及び第2のソース領域30bとなる。
【0074】
次に、窒化物半導体層10の第1の面P1に第1のマスク材60を形成する。第1のマスク材60は、例えば、酸化シリコンである。
【0075】
次に、第1のマスク材60をマスクにシリコン(Si)を、窒化物半導体層10にイオン注入する(
図4)。シリコンは、n型不純物である。
【0076】
シリコンが、p+型の第2の窒化ガリウム膜52を超える位置まで達するように、イオン注入の加速エネルギーを設定する。また、シリコンが導入されたp+型の第2の窒化ガリウム膜52が、n型に変わるだけのドーズ量を設定する。
【0077】
シリコンのイオン注入により、n型のJFET領域24が形成される。p+型の第2の窒化ガリウム膜52がJFET領域24に分断されて、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bが形成される。p型の第3の窒化ガリウム膜53がJFET領域24に分断されて、第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bが形成される。
【0078】
第1のマスク材60を除去した後、窒化物半導体層10の第1の面P1に第2のマスク材62を形成する。第2のマスク材62は、例えば、酸化シリコンである。
【0079】
次に、第2のマスク材62をマスクにトレンチ32を形成する(
図5)。トレンチ32は、例えば、反応性イオンエッチング法(RIE法)により形成する。
【0080】
トレンチ32の側面が順テーパとなるように、トレンチ32を形成する。トレンチ32の深さが、p+型の第2の窒化ガリウム膜52の深さを超えないように、トレンチ32を形成する。
【0081】
n+型の第4の窒化ガリウム膜54がトレンチ32により分断されて、第1のソース領域30a及び第2のソース領域30bが形成される。
【0082】
第2のマスク材62を除去した後、ゲート絶縁層16及びゲート電極18をトレンチ32の中に形成する(
図6)。
【0083】
まず、ゲート絶縁層16の窒化アルミニウム膜16aを形成する。窒化アルミニウム膜16aは、例えば、Atomic Layer Deposition法(ALD法)により形成する。次に、窒化アルミニウム膜16aの上に、酸化シリコン膜16bを形成する。酸化シリコン膜16bは、例えば、Chemical Vapor Deposition法(CVD法)により形成する。その後、窒化アルミニウム膜16aを結晶化させる熱処理を行う。
【0084】
結晶化の熱処理は、例えば、600℃以上1050℃以下の水素雰囲気中でのアニールである。このアニールにより、窒化ガリウムと窒化アルミニウム膜16aの大きな格子定数差による制限を超えた膜厚の結晶性の窒化アルミニウム膜16aの形成が可能となる。つまり、格子定数のミスフィットが起きても、従来よりも厚い結晶性の窒化アルミニウム膜16aの形成が可能である。雰囲気中に水素が無いと、窒化アルミニウム膜16aの膜厚が10nm以上では、大量のミスフィット欠陥が走り、大量の界面欠陥が発生する。しかし、水素雰囲気中のアニールとすることで、格子歪を保った形で、厚い結晶性の窒化アルミニウム膜16aが形成される。
【0085】
水素雰囲気中でのアニールに続き、例えば、600℃以上900℃以下の、N2Oアニール、又はNOアニールを行う。N2Oアニール、又は、NOアニールでは、窒化アルミニウム膜16aと酸化シリコン膜16bとの界面で、窒素と酸素が解離して、窒化アルミニウム膜16aの膜側の窒素欠損を窒素にて埋め、酸化シリコン膜16b中の酸素欠損を酸素で埋めるという効果がある。これは、窒化膜/酸化膜界面において起こる、第一原理計算により判明した新しい現象である。その結果、窒化アルミニウム膜16aの結晶性が大きく向上し、アモルファス状態の酸化シリコン膜16bが緻密化される。窒化アルミニウム膜16aの結晶性の向上は、十分な二次元電子ガスを発現させるために重要である。
【0086】
次に、ゲート絶縁層16の上に、ゲート電極18を形成する。ゲート電極18は、例えば、CVD法又はスパッタ法により形成する。
【0087】
次に、公知のプロセス技術を用いて、第1のソース電極12a、第2のソース電極12b、及び、ドレイン電極14を形成する。ドレイン電極14を形成する前に、例えば、バックグラインディングにより、n+型の窒化ガリウム基板50の厚さを薄くしても構わない。
【0088】
以上の製造方法により、
図1に示すHEMT100が形成される。
【0089】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0090】
オン抵抗を低減するために、ゲート電極をトレンチの中に設けた縦型のトレンチゲート構造のトランジスタが検討されている。トレンチゲート構造を採用することにより、半導体チップの単位面積当たりのチャネル領域が増加し、オン抵抗が低減する。
【0091】
トレンチゲート構造のトランジスタでは、トレンチ底部のゲート絶縁層に電界が集中するため、ゲート絶縁層の信頼性が問題となる。
【0092】
第1の実施形態のHEMT100は、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bをトレンチ32の両側に備える。
【0093】
HEMT100のオフ動作時に、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bから、JFET領域24に空乏層が伸びる。したがって、ゲート絶縁層16に印加される電界強度が低減する。特に、トレンチ32の底部の角部に位置するゲート絶縁層16に印加される電界強度が低減する。よって、ゲート絶縁層16の信頼性が向上する。
【0094】
トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、第1の電界緩和領域26aの深さ(
図2中のd1)よりも浅い。トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、第2の電界緩和領域26bの深さよりも浅い。
【0095】
ゲート絶縁層16に印加される電界強度を低減させる観点から、トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、例えば、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bの深さよりも0.1μm以上浅いことが好ましく、0.2μm以上浅いことが更に好ましい。
【0096】
ゲート絶縁層16に印加される電界強度を低減させる観点から、トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、第1のベース領域28aの深さ(
図2中のd3)よりも浅いことが好ましい。また、トレンチ32の深さ(
図2中のd2)は、第2のベース領域28bの深さよりも浅いことが好ましい。
【0097】
ゲート絶縁層16に印加される電界強度を低減させる観点から、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bのp型不純物濃度は、1×1020cm-3以上であることが好ましく、5×1020cm-3以上であることがより好ましく、1×1021cm-3以上であることが更に好ましい。
【0098】
トレンチ32の底部の角部の角度を大きくし、ゲート絶縁層16に印加される電界強度を低減させる観点から、トレンチ32の側面の第1の面P1に対する傾斜角度(
図2中のθ)は、70度以下であることが好ましく、60度以下であることがより好ましく、50度以下であることが更に好ましい。
【0099】
トレンチ32の側面の第1の面P1に対する傾斜角度(
図2中のθ)が大きくなると、ヘテロ接合界面における分極量が低下し、2次元電子ガスの密度が低下する。したがって、オン抵抗が増加する。2次元電子ガスの密度を高くし、オン抵抗を低減する観点から、トレンチ32の側面の第1の面P1に対する傾斜角度(
図2中のθ)は、70度以下であることが好ましく、60度以下であることがより好ましく、50度以下であることが更に好ましい。
【0100】
一方、トレンチ32の側面の第1の面P1に対する傾斜角度(
図2中のθ)が小さくなると、半導体チップの単位面積当たりのチャネル領域が低減し、オン抵抗が増加する。単位面積当たりのチャネル領域を増加させ、オン抵抗を低減する観点から、トレンチ32の側面の第1の面P1に対する傾斜角度(
図2中のθ)は、20度以上であることが好ましく、30度以上であることがより好ましく、40度以上であることが更に好ましい。
【0101】
JFET領域24の抵抗が低くなると、HEMT100のオン抵抗が低減する。HEMT100のオン抵抗を低減させる観点から、JFET領域24のn型不純物濃度は、ドリフト領域22のn型不純物濃度よりも高いことが好ましい。
【0102】
第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bのp型不純物濃度が高くなりすぎると、HEMT100の閾値電圧が高くなりすぎ、オン動作が困難になるおそれがある。閾値電圧を適正化させる観点から、第1のベース領域28aのp型不純物濃度は、第1の電界緩和領域26aのp型不純物濃度よりも一桁以上低く、第2のベース領域28bのp型不純物濃度は、第2の電界緩和領域26bのp型不純物濃度よりも一桁以上低いことが好ましい。
【0103】
第1の実施形態のHEMT100は、内蔵ダイオードとして、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bと、ドリフト領域22との間のpn接合を含むpnダイオードを備える。このpnダイオードを還流ダイオードとして機能させることができる。したがって、HEMT100により、トランジスタと還流ダイオードがワンチップ化された半導体素子が実現できる。
【0104】
第1の実施形態のHEMT100は、窒化物半導体層10の材料が、すべて窒化ガリウムで構成されている。したがって、HEMT100の製造が容易である。
【0105】
第1の面P1を基準とする第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bの深さは、1μm以下であることが好ましい。HEMT100を製造する際に、p+型の第2の窒化ガリウム膜52をJFET領域24で分断して、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bが形成することが容易になる。第1の面P1を基準とする第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bの深さが深すぎると、シリコンのイオン注入により、第2の窒化ガリウム膜52を分断することが困難になる。
【0106】
以上、第1の実施形態によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上する半導体装置が実現できる。
【0107】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、窒化物半導体層は、第1の窒化ガリウム領域と第3の窒化ガリウム領域との間、及び、第1の窒化ガリウム領域と第4の窒化ガリウム領域との間に位置し、第1の窒化ガリウム領域よりもn型不純物濃度の高いn型の第9の窒化ガリウム領域を含む点で、第1の実施形態の半導体装置と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0108】
図7は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0109】
第2の実施形態の半導体装置は、GaN系半導体を用いたMIS構造のHEMT200である。HEMT200は、窒化物半導体層の上下に電極を有する縦型トランジスタである。HEMT200は、ゲート電極がトレンチ内に設けられるトレンチゲート構造を備える。
【0110】
HEMT200は、窒化物半導体層10、第1のソース電極12a(第1の電極)、第2のソース電極12b(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18を備える。ゲート絶縁層16は、窒化アルミニウム膜16aと酸化シリコン膜16b(絶縁膜)を含む。
【0111】
窒化物半導体層10は、ドレイン領域20、ドリフト領域22(第1の窒化ガリウム領域)、JFET領域24(第2の窒化ガリウム領域)、第1の電界緩和領域26a(第3の窒化ガリウム領域)、第2の電界緩和領域26b(第4の窒化ガリウム領域)、第1のベース領域28a(第5の窒化ガリウム領域)、第2のベース領域28b(第6の窒化ガリウム領域)、第1のソース領域30a(第7の窒化ガリウム領域)、第2のソース領域30b(第8の窒化ガリウム領域)、トレンチ32を含む。窒化物半導体層10は、更に、CSL領域34(第9の窒化ガリウム領域)を含む。
【0112】
CSL領域34は、ドリフト領域22と第1の電界緩和領域26aとの間に設けられる。CSL領域34は、ドリフト領域22と第2の電界緩和領域26bとの間に設けられる。
【0113】
CSL領域34は、n型の窒化ガリウムである。CSL領域34は、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。
【0114】
CSL領域34のn型不純物濃度は、ドリフト領域22のn型不純物濃度よりも高い。CSL領域34は、ドリフト領域22よりも比抵抗が低い。CSL領域34のn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上1×1019cm-3以下である。
【0115】
CSL領域34は、いわゆるCharge Spreading Layerである。HEMT200のオン動作時に、JFET領域24からドリフト領域22に向かう電子が、低抵抗のCSL領域34で横方向に広がる。したがって、HEMT200のオン抵抗が低減する。
【0116】
以上、第2の実施形態によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上する半導体装置が実現できる。また、オン抵抗が低減する半導体装置が実現できる。
【0117】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、窒化物半導体層は、第3の窒化ガリウム領域と第4の窒化ガリウム領域との間に位置し、第3の窒化ガリウム領域及び第4の窒化ガリウム領域に接するp型の第10の窒化ガリウム領域を含む点で、第1の実施形態の半導体装置と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0118】
図8は、第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0119】
第3の実施形態の半導体装置は、GaN系半導体を用いたMIS構造のHEMT300である。HEMT300は、窒化物半導体層の上下に電極を有する縦型トランジスタである。HEMT300は、ゲート電極がトレンチ内に設けられるトレンチゲート構造を備える。
【0120】
HEMT300は、窒化物半導体層10、第1のソース電極12a(第1の電極)、第2のソース電極12b(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18を備える。ゲート絶縁層16は、窒化アルミニウム膜16aと酸化シリコン膜16b(絶縁膜)を含む。
【0121】
窒化物半導体層10は、ドレイン領域20、ドリフト領域22(第1の窒化ガリウム領域)、JFET領域24(第2の窒化ガリウム領域)、第1の電界緩和領域26a(第3の窒化ガリウム領域)、第2の電界緩和領域26b(第4の窒化ガリウム領域)、第1のベース領域28a(第5の窒化ガリウム領域)、第2のベース領域28b(第6の窒化ガリウム領域)、第1のソース領域30a(第7の窒化ガリウム領域)、第2のソース領域30b(第8の窒化ガリウム領域)、トレンチ32を含む。窒化物半導体層10は、更に、接続領域36(第10の窒化ガリウム領域)を含む。
【0122】
接続領域36は、第1の電界緩和領域26aと第2の電界緩和領域26bとの間の一部に設けられる。接続領域36は、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bに接する。
【0123】
例えば、
図8の紙面の奥行方向では、第1の電界緩和領域26aと第2の電界緩和領域26bとの間に、接続領域36が存在しない部分がある。言い換えれば、
図8の紙面の奥行方向では、HEMT300は、
図1と同様の断面構造を有する部分がある。接続領域36は、
図8の紙面の奥行方向にJFET領域24を挟んで繰り返し配置される。
【0124】
HEMT300は、接続領域36を設けることで、オフ動作時に、接続領域36からも、JFET領域24に空乏層が伸びる。したがって、ゲート絶縁層16に印加される電界強度が更に低減する。特に、トレンチ32の底部の角部に位置するゲート絶縁層16に印加される電界強度が更に低減する。よって、ゲート絶縁層16の信頼性が更に向上する。
【0125】
また、HEMT300に接続される負荷が短絡したような場合、ドレイン電極14と、第1のソース電極12a及び第2のソース電極12bとの間に、大きな短絡電流が流れるおそれがある。HEMT300では、隣り合う接続領域36で、JFET領域24が狭窄されている。したがって、大きな短絡電流が流れることが抑制される。よって、HEMT300の短絡耐量が向上する。
【0126】
以上、第3の実施形態によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上する半導体装置が実現できる。また、短絡耐量が向上する半導体装置が実現できる。
【0127】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置は、第3の窒化ガリウム領域と第4の窒化ガリウム領域との間の第1の距離は、第5の窒化ガリウム領域と第6の窒化ガリウム領域との間の第2の距離よりも短い点で、第1の実施形態の半導体装置と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0128】
図9は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0129】
第4の実施形態の半導体装置は、GaN系半導体を用いたMIS構造のHEMT400である。HEMT400は、窒化物半導体層の上下に電極を有する縦型トランジスタである。HEMT400は、ゲート電極がトレンチ内に設けられるトレンチゲート構造を備える。
【0130】
HEMT400は、窒化物半導体層10、第1のソース電極12a(第1の電極)、第2のソース電極12b(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18を備える。ゲート絶縁層16は、窒化アルミニウム膜16aと酸化シリコン膜16b(絶縁膜)を含む。
【0131】
窒化物半導体層10は、ドレイン領域20、ドリフト領域22(第1の窒化ガリウム領域)、JFET領域24(第2の窒化ガリウム領域)、第1の電界緩和領域26a(第3の窒化ガリウム領域)、第2の電界緩和領域26b(第4の窒化ガリウム領域)、第1のベース領域28a(第5の窒化ガリウム領域)、第2のベース領域28b(第6の窒化ガリウム領域)、第1のソース領域30a(第7の窒化ガリウム領域)、第2のソース領域30b(第8の窒化ガリウム領域)、トレンチ32を含む。
【0132】
第1の電界緩和領域26aと第2の電界緩和領域26bとの間の第1の距離(
図9中のdx)は、第1のベース領域28aと第2のベース領域28bとの間の第2の距離(
図9中のdy)よりも短い。
【0133】
HEMT400は、第1の電界緩和領域26aと第2の電界緩和領域26bとの間の第1の距離が短くなることで、オフ動作時に、JFET領域24に空乏層が伸びやすくなる。したがって、ゲート絶縁層16に印加される電界強度が更に低減する。特に、トレンチ32の底部の角部に位置するゲート絶縁層16に印加される電界強度が更に低減する。よって、ゲート絶縁層16の信頼性が更に向上する。
【0134】
以上、第4の実施形態によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上する半導体装置が実現できる。
【0135】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体装置は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有し、n型の第1の窒化ガリウム領域と、第1の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、第1の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、p型不純物濃度が1×1020cm-3以上であるp型の第3の窒化ガリウム領域と、第1の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、第3の窒化ガリウム領域との間に第2の窒化ガリウム領域を挟み、p型不純物濃度が1×1020cm-3以上であるp型の第4の窒化ガリウム領域と、第3の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、p型不純物濃度が1×1020cm-3以上であるp型の第5の窒化ガリウム領域と、第4の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、第5の窒化ガリウム領域との間に第2の窒化ガリウム領域を挟み、p型不純物濃度が1×1020cm-3以上であるp型の第6の窒化ガリウム領域と、第5の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置するn型の第7の窒化ガリウム領域と、第6の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置するn型の第8の窒化ガリウム領域と、第7の窒化ガリウム領域と第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、第1の面を基準とする深さが、第3の窒化ガリウム領域及び第4の窒化ガリウム領域の深さよりも浅く、側面の第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、を含む窒化物半導体層と、トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、トレンチの中に位置し、窒化物半導体層との間にゲート絶縁層を挟むゲート電極と、窒化物半導体層の第1の面の側に位置し、第3の窒化ガリウム領域、第4の窒化ガリウム領域、第7の窒化ガリウム領域、及び、第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、窒化物半導体層の第2の面の側に位置する第2の電極と、を備える。
【0136】
第5の実施形態の半導体装置は、第5の窒化ガリウム領域と第6の窒化ガリウム領域のp型不純物濃度が高い点で、第1の実施形態の半導体装置と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0137】
図10は、第5の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0138】
第5の実施形態の半導体装置は、GaN系半導体を用いたMIS構造のHEMT500である。HEMT500は、窒化物半導体層の上下に電極を有する縦型トランジスタである。HEMT500は、ゲート電極がトレンチ内に設けられるトレンチゲート構造を備える。
【0139】
HEMT500は、窒化物半導体層10、第1のソース電極12a(第1の電極)、第2のソース電極12b(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18を備える。ゲート絶縁層16は、窒化アルミニウム膜16aと酸化シリコン膜16b(絶縁膜)を含む。
【0140】
窒化物半導体層10は、ドレイン領域20、ドリフト領域22(第1の窒化ガリウム領域)、JFET領域24(第2の窒化ガリウム領域)、第1の電界緩和領域26a(第3の窒化ガリウム領域)、第2の電界緩和領域26b(第4の窒化ガリウム領域)、第1のベース領域28a(第5の窒化ガリウム領域)、第2のベース領域28b(第6の窒化ガリウム領域)、第1のソース領域30a(第7の窒化ガリウム領域)、第2のソース領域30b(第8の窒化ガリウム領域)、トレンチ32を含む。
【0141】
第1の電界緩和領域26aは、ドリフト領域22と第1の面P1との間に設けられる。第1の電界緩和領域26aは、p+型の窒化ガリウムである。第1の電界緩和領域26aは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。第1の電界緩和領域26aのp型不純物濃度は、1×1020cm-3以上である。
【0142】
第2の電界緩和領域26bは、ドリフト領域22と第1の面P1との間に設けられる。第2の電界緩和領域26bは、p+型の窒化ガリウムである。第2の電界緩和領域26bは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。第2の電界緩和領域26bのp型不純物濃度は、1×1020cm-3以上である。
【0143】
第1のベース領域28aは、第1の電界緩和領域26aと第1の面P1との間に設けられる。第1のベース領域28aは、p+型の窒化ガリウムである。第1のベース領域28aは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。
【0144】
第1のベース領域28aのp型不純物濃度は、例えば、第1の電界緩和領域26aのp型不純物濃度と略同一である。第1の電界緩和領域26aのp型不純物濃度は、1×1020cm-3以上である。
【0145】
第2のベース領域28bは、第2の電界緩和領域26bと第1の面P1との間に設けられる。第2のベース領域28bは、第1のベース領域28aと離間する。
【0146】
第2のベース領域28bは、p+型の窒化ガリウムである。第1のベース領域28aは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。
【0147】
第2のベース領域28bのp型不純物濃度は、例えば、第2の電界緩和領域26bのp型不純物濃度と略同一である。第2のベース領域28bのp型不純物濃度は、1×1020cm-3以上である。
【0148】
第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bは、例えば、ゲート絶縁層16と離間する。第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bのp型不純物濃度を高くすることで、第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bがゲート絶縁層16と離間しても、HEMT500の閾値電圧を高くすることが可能となる。チャネルにp型領域が接触していなくても、2DEGの感じるポテンシャルを上げることで、ノーマリーオフが実現している。
【0149】
第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bのp型不純物濃度を高くすることで、HEMT500のオフ動作時に、JFET領域24に空乏層が伸びやすくなる。したがって、第1の実施形態のHEMT100と比較して、JFET領域24のn型不純物濃度を高くすることが可能となる。よって、HEMT500のオン抵抗が低減する。濃度を上げたことで、バルク抵抗が下がるだけでなく、ゲート絶縁層16との界面に発現する2DEG密度も増加するためである。
【0150】
例えば、第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bのp型不純物濃度を、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bのp型不純物濃度と略同一にすることで、第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bと、第1の電界緩和領域26a及び第2の電界緩和領域26bとを同時形成することが可能となる。よって、HEMT500の製造が容易になる。
【0151】
以上、第5の実施形態によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上する半導体装置が実現できる。また、オン抵抗が低減する。
【0152】
(第6の実施形態)
第6の実施形態の半導体装置は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有し、n型の第1の窒化ガリウム領域と、第1の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置するn型の第2の窒化ガリウム領域と、第1の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、p型不純物濃度が1×1020cm-3以上であるp型の第3の窒化ガリウム領域と、第1の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、第3の窒化ガリウム領域との間に第2の窒化ガリウム領域を挟み、p型不純物濃度が1×1020cm-3以上であるp型の第4の窒化ガリウム領域と、第3の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置するn型の第5の窒化ガリウム領域と、第4の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、第5の窒化ガリウム領域との間に第2の窒化ガリウム領域を挟むn型の第6の窒化ガリウム領域と、第5の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、第5の窒化ガリウム領域よりもn型不純物濃度の高いn型の第7の窒化ガリウム領域と、第6の窒化ガリウム領域と第1の面との間に位置し、第6の窒化ガリウム領域よりもn型不純物濃度の高いn型の第8の窒化ガリウム領域と、第7の窒化ガリウム領域と第8の窒化ガリウム領域との間に位置し、第1の面を基準とする深さが、第3の窒化ガリウム領域及び第4の窒化ガリウム領域よりも浅く、側面の第1の面に対する傾斜角度が90度未満であるトレンチと、を含む窒化物半導体層と、トレンチの中に位置し、窒化アルミニウム膜を含むゲート絶縁層と、トレンチの中に位置し、窒化物半導体層との間にゲート絶縁層を挟み、p型の窒化物半導体を含むゲート電極と、窒化物半導体層の第1の面の側に位置し、第3の窒化ガリウム領域、第4の窒化ガリウム領域、第7の窒化ガリウム領域、及び、第8の窒化ガリウム領域に接する第1の電極と、窒化物半導体層の第2の面の側に位置する第2の電極と、を備える。
【0153】
第6の実施形態の半導体装置は、第5の窒化ガリウム領域と第6の窒化ガリウム領域がn型である点で、第1の実施形態の半導体装置と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0154】
図11は、第6の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0155】
第6の実施形態の半導体装置は、GaN系半導体を用いたMIS構造のHEMT600である。HEMT600は、窒化物半導体層の上下に電極を有する縦型トランジスタである。HEMT600は、ゲート電極がトレンチ内に設けられるトレンチゲート構造を備える。
【0156】
HEMT600は、窒化物半導体層10、第1のソース電極12a(第1の電極)、第2のソース電極12b(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート絶縁層16、ゲート電極18を備える。ゲート絶縁層16は、窒化アルミニウム膜16aと酸化シリコン膜16b(絶縁膜)を含む。
【0157】
窒化物半導体層10は、ドレイン領域20、ドリフト領域22(第1の窒化ガリウム領域)、JFET領域24(第2の窒化ガリウム領域)、第1の電界緩和領域26a(第3の窒化ガリウム領域)、第2の電界緩和領域26b(第4の窒化ガリウム領域)、第1のベース領域28a(第5の窒化ガリウム領域)、第2のベース領域28b(第6の窒化ガリウム領域)、第1のソース領域30a(第7の窒化ガリウム領域)、第2のソース領域30b(第8の窒化ガリウム領域)、トレンチ32を含む。
【0158】
第1の電界緩和領域26aは、ドリフト領域22と第1の面P1との間に設けられる。第1の電界緩和領域26aは、p+型の窒化ガリウムである。第1の電界緩和領域26aは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。第1の電界緩和領域26aのp型不純物濃度は、例えば、1×1020cm-3以上1×1022cm-3以下である。
【0159】
第2の電界緩和領域26bは、ドリフト領域22と第1の面P1との間に設けられる。第2の電界緩和領域26bは、p+型の窒化ガリウムである。
【0160】
第2の電界緩和領域26bは、第1の電界緩和領域26aと離間する。JFET領域24の一部は、第1の電界緩和領域26aと第2の電界緩和領域26bとの間に挟まれる。
【0161】
第2の電界緩和領域26bは、例えば、マグネシウム(Mg)をp型不純物として含む。第2の電界緩和領域26bのp型不純物濃度は、例えば、1×1020cm-3以上1×1022cm-3以下である。
【0162】
第1のベース領域28aは、第1の電界緩和領域26aと第1の面P1との間に設けられる。第1のベース領域28aは、n型の窒化ガリウムである。第1のベース領域28aは、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。第1のベース領域28aのn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0163】
第2のベース領域28bは、第2の電界緩和領域26bと第1の面P1との間に設けられる。第2のベース領域28bは、第1のベース領域28aと離間する。
【0164】
第2のベース領域28bは、n型の窒化ガリウムである。第2のベース領域28bは、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。第2のベース領域28bのn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0165】
第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bは、HEMT600のオン動作時に、電子が流れるチャネル領域として機能する。
【0166】
第1のソース領域30aは、第1のベース領域28aと第1の面P1との間に設けられる。第1のソース領域30aは、n+型の窒化ガリウムである。
【0167】
第1のソース領域30aは、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。第1のソース領域30aのn型不純物濃度は、第1のベース領域28aのn型不純物濃度よりも高い。第1のソース領域30aのn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下である。
【0168】
第2のソース領域30bは、第2のベース領域28bと第1の面P1との間に設けられる。第2のソース領域30bは、第1のソース領域30aと離間する。第2のソース領域30bは、n+型の窒化ガリウムである。
【0169】
第2のソース領域30bは、例えば、シリコン(Si)をn型不純物として含む。第2のソース領域30bのn型不純物濃度は、第2のベース領域28bのn型不純物濃度よりも高い。第2のソース領域30bのn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下である。
【0170】
ゲート電極18は、トレンチ32の中に設けられる。ゲート電極18は、窒化物半導体層10との間にゲート絶縁層16を挟む。ゲート電極18は、ゲート絶縁層16の上に設けられる。
【0171】
ゲート電極18は、p型の窒化ガリウムである。ゲート電極18をp型の窒化ガリウムとすることで、HEMT600のオフ動作時に、第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bのポテンシャルを持ち上げることができる。したがって、第1のベース領域28a及び第2のベース領域28bがn型であっても、ノーマリーオフ動作するHEMT600が実現できる。
【0172】
以上、第6の実施形態によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上する半導体装置が実現できる。
【0173】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の電源回路及びコンピュータは、第1ないし第6の実施形態のHEMTを有する。
【0174】
図12は、第7の実施形態のコンピュータの模式図である。第7の実施形態のコンピュータは、例えば、サーバ700である。
【0175】
サーバ700は筐体160内に電源回路162を有する。サーバ700は、サーバソフトウェアを稼働させるコンピュータである。電源回路162は、例えば、第1の実施形態のHEMT100を有する。
【0176】
電源回路162は、トランジスタ特性の向上したHEMT100を有することにより、安定した動作が実現される。また、サーバ700は、電源回路162を有することにより、安定した動作が実現される。
【0177】
第7の実施形態によれば、安定した動作が実現される電源回路及びコンピュータが実現できる。
【0178】
また、第1ないし第6の実施形態では、ゲート絶縁層16が、窒化アルミニウム膜16aと化学組成の異なる絶縁膜を含む場合を例に説明したが、ゲート絶縁層16は窒化アルミニウム膜16a単層であっても構わない。
【0179】
また、第1ないし第6の実施形態では、窒化アルミニウム膜16aと化学組成の異なる絶縁膜として酸化シリコン膜16bを例に説明したが、絶縁膜は、その他の化学組成の膜、あるいは、複数の膜の積層膜であっても構わない。
【0180】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0181】
10 窒化物半導体層
12a 第1のソース電極(第1の電極)
12b 第2のソース電極(第1の電極)
14 ドレイン電極(第2の電極)
16 ゲート絶縁層
16a 窒化アルミニウム膜
16b 酸化シリコン膜(絶縁膜)
18 ゲート電極
22 ドリフト領域22(第1の窒化ガリウム領域)
24 JFET領域(第2の窒化ガリウム領域)
26a 第1の電界緩和領域(第3の窒化ガリウム領域)
26b 第2の電界緩和領域(第4の窒化ガリウム領域)
28a 第1のベース領域(第5の窒化ガリウム領域)
28b 第2のベース領域(第6の窒化ガリウム領域)
30a 第1のソース領域(第7の窒化ガリウム領域)
30b 第2のソース領域(第8の窒化ガリウム領域)
32 トレンチ
34 CSL領域(第9の窒化ガリウム領域)
36 接続領域(第10の窒化ガリウム領域)
100 HEMT(半導体装置)
162 電源回路
200 HEMT(半導体装置)
300 HEMT(半導体装置)
400 HEMT(半導体装置)
500 HEMT(半導体装置)
600 HEMT(半導体装置)
700 サーバ(コンピュータ)
P1 第1の面
P2 第2の面
dx 第1の距離
dy 第2の距離