IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 未来工業株式会社の特許一覧

特許7354054形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造
<>
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図1
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図2
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図3
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図4
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図5
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図6
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図7
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図8
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図9
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図10
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図11
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図12
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図13
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図14
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図15
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図16
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図17
  • 特許-形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/18 20060101AFI20230925BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20230925BHJP
   H02G 3/30 20060101ALN20230925BHJP
   E04B 9/18 20060101ALN20230925BHJP
【FI】
F16B7/18 C
F16B1/00 A
H02G3/30
E04B9/18 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020088221
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021181819
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】岸 玄二
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-118104(JP,U)
【文献】特開2015-129530(JP,A)
【文献】実公昭43-021902(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0266729(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00- 7/22
F16B 1/00
E04B 9/18
H02G 3/30
H02G 3/04
E04B 1/58
F16B 2/00- 2/26
F16L 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向が水平方向を向くようにして設置された形鋼に取り付けられる、取付体であって、
前記形鋼を、その形鋼の長手方向に直交する左右で挟むように配置される一対の側壁と、前記形鋼の下方で前記一対の側壁の基端を繋ぐ繋ぎ部とを備え、
前記繋ぎ部には、前記形鋼に対する前記長手方向への取付体自身の移動を規制するようその形鋼の下面に引っ掛かる係止爪部が設けられ、
前記側壁には、前記形鋼の前記長手方向に延びる被掛かり部に上方から掛かって取付体自身の落下防止となる凸部が設けられ、その被掛かり部に掛かった状態で、前記係止爪部が、前記形鋼の下面に対して前記長手方向への取付体自身の移動を規制しない状態の位置にあり、
前記一対の側壁の各先端側には、前記形鋼に載せられる連接体に対し、その下側にあって、ボルトと雌ねじの締結により取付体自身を引き上げるようにして連結される連結部が設けられ、
前記ボルトと雌ねじの締結により、取付体自身が引き上げられて前記凸部が前記被掛かり部から上方に離間するとともに前記係止爪部が前記形鋼の下面に引っ掛かって取付体自身の前記長手方向への移動を規制する、形鋼への取付体。
【請求項2】
前記形鋼は、前記長手方向に延びる開口を水平方向を向くように設置された断面略C字状の形鋼からなり、
前記被掛かり部は、前記開口の下側縁によって構成され、
前記一対の側壁は、前記形鋼における前記開口を有する外面およびその開口とは反対側の外面にそれぞれ配置される、請求項1に記載の形鋼への取付体。
【請求項3】
前記係止爪部は、前記長手方向の一方側に先端を備える向きで、前記形鋼の下面に向けて傾斜している、請求項1または2に記載の形鋼への取付体。
【請求項4】
前記連結部は、前記一対の側壁の各先端側にあって、それら側壁の並び方向の外側に延びる延出部からなり、それら延出部に、前記ボルトが通るボルト挿通孔が形成されており、
前記凸部を前記被掛かり部に掛けた状態で、前記延出部の上面は、前記形鋼の上面よりも下がって位置する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の形鋼への取付体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の取付体と、前記連接体とからなる、取付体装置であって、
前記連接体は、前記連結部のそれぞれに対応して連結される被連結部を備え、
前記連接体には、各前記被連結部の並び方向に延び、前記形鋼の上面に当接する当接面が設けられている、取付体装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のずれか1項に記載の取付体と、前記連接体とからなる、取付体装置であって、
前記連接体は、前記連結部のそれぞれに対応して連結される被連結部と、それら被連結部間を越えて少なくとも一方の外側にまで延びる延長部を有し、その延長部に、吊ボルトを吊り下げ可能とするボルト吊下部が形成されている、取付体装置。
【請求項7】
取付体と連接体とからなって、前記取付体が、前記連接体とともに形鋼に取り付けられる、取付体装置であって、
前記取付体は、前記形鋼を、その形鋼の長手方向に直交する左右で挟むように配置される一対の側壁と、前記一対の側壁の基端を繋ぐ繋ぎ部とを備え、
前記繋ぎ部には、前記形鋼に対する前記長手方向への取付体自身の移動を規制するよう、前記形鋼の外面に圧接されてその外面に引っ掛かる係止爪部が設けられ、
前記連接体は、前記形鋼を間に置いて前記繋ぎ部と対向するように配置され、
前記一対の側壁の各先端側には、前記連接体に対し、ボルトと雌ねじの締結により前記繋ぎ部を前記形鋼へ向けて近接させるようにして連結される連結部が設けられ、
前記ボルトと雌ねじの締結により、前記繋ぎ部が前記形鋼に向けて近接して、前記係止爪部が前記形鋼の外面に圧接されてその外面に引っ掛かって取付体自身の前記長手方向への移動を規制する、取付体装置。
【請求項8】
請求項1ないし4に記載の取付体を用いた、吊ボルト設置構造であって、
前記連接体が、前記形鋼の上面に配置されて、前記取付体が、前記ボルトと雌ねじの締結により前記形鋼に取り付けられており、
前記連接体は、前記形鋼から離れた位置に、吊ボルトを吊り下げ可能とするボルト吊下部を有し、
前記ボルト吊下部に、吊ボルトが吊り下げられている、吊ボルト設置構造。
【請求項9】
前記形鋼は、平行位置するようにして複数設けられ、
前記連接体は、平行位置するように配置された前記形鋼の上面に架け渡されており、
前記取付体が、各前記形鋼において前記連接体に、前記ボルトと雌ねじの締結により連結されており、
前記吊ボルトが、前記形鋼間で、前記連接体の前記ボルト吊下部に吊り下げられている、請求項8に記載の吊ボルト設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺体から照明器具を吊り下げるための吊り金具があった(例えば、特許文献1参照)。図18に示すように、この吊り金具22は、長尺体21を囲むように、上壁23と下壁24と両側壁25、25とから構成されていた。そして、下壁24には、孔24aがあけられ、その孔24aを通るビス26によって、照明器具27が、下壁24(ひいては、吊り金具22)に取り付けられた。また、側壁25、25には、内側に突出する突出部25a、25aが設けられ、それら突出部25a、25aによって、長尺体21が押圧されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-195517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の吊り金具22においては、側壁25に設けられた突出部25aで長尺体21を押圧するものの、その押圧だけでは、長尺体21の長手方向への吊り金具22の移動を阻止することは難しかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、本取付け前には、形鋼の長手方向へ移動させることができ、本取付けでは、形鋼の長手方向への移動を阻止することができる、形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る形鋼への取付体は、長手方向が水平方向を向くようにして設置された形鋼に取り付けられる、取付体である。この取付体は、前記形鋼を、その形鋼の長手方向に直交する左右で挟むように配置される一対の側壁と、前記形鋼の下方で前記一対の側壁の基端を繋ぐ繋ぎ部とを備える。ここで、前記繋ぎ部には、前記形鋼に対する前記長手方向への取付体自身の移動を規制するようその形鋼の下面に引っ掛かる係止爪部が設けられる。前記側壁には、前記形鋼の前記長手方向に延びる被掛かり部に上方から掛かって取付体自身の落下防止となる凸部が設けられ、その被掛かり部に掛かった状態で、前記係止爪部が、前記形鋼の下面に対して前記長手方向への取付体自身の移動を規制しない状態の位置にある。そして、前記一対の側壁の各先端側には、前記形鋼に載せられる連接体に対し、その下側にあって、ボルトと雌ねじの締結により取付体自身を引き上げるようにして連結される連結部が設けられる。そこで、前記ボルトと雌ねじの締結により、取付体自身が引き上げられて前記凸部が前記被掛かり部から上方に離間するとともに前記係止爪部が前記形鋼の下面に引っ掛かって取付体自身の前記長手方向への移動を規制する。
【0007】
この取付体によると、取付体の側壁に設けられた凸部が、形鋼の被掛かり部に上方から掛かることで、取付体の落下が防止されて、この取付体は、形鋼に仮取付けされ、この仮取付けの状態で、形鋼の下方で一対の側壁を繋ぐ繋ぎ部に設けられた係止爪部が、形鋼の下面に対して取付体の移動を規制しない状態の位置にあることから、取付体を形鋼の長手方向に移動させて、その位置を調節することができる。そして、ボルトと雌ねじの締結により、取付体を引き上げると、係止爪部が、形鋼の下面に引っ掛かって、取付体は、形鋼の長手方向への移動が規制され、よって、この取付体は、形鋼に本取付けされる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る形鋼への取付体は、請求項1に記載の取付体において、前記形鋼は、前記長手方向に延びる開口を水平方向を向くように設置された断面略C字状の形鋼からなり、前記被掛かり部は、前記開口の下側縁によって構成される。そして、前記一対の側壁は、前記形鋼における前記開口を有する外面およびその開口とは反対側の外面にそれぞれ配置される。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る形鋼への取付体は、請求項1または2に記載の取付体において、前記係止爪部は、前記長手方向の一方側に先端を備える向きで、前記形鋼の下面に向けて傾斜している。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る形鋼への取付体は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の取付体において、前記連結部は、前記一対の側壁の各先端側にあって、それら側壁の並び方向の外側に延びる延出部からなり、それら延出部に、前記ボルトが通るボルト挿通孔が形成されている。そして、前記凸部を前記被掛かり部に掛けた状態で、前記延出部の上面は、前記形鋼の上面よりも下がって位置する。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る取付体装置は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の取付体と、前記連接体とからなる。ここで、前記連接体は、前記連結部のそれぞれに対応して連結される被連結部を備える。そして、前記連接体には、各前記被連結部の並び方向に延び、前記形鋼の上面に当接する当接面が設けられている。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る取付体装置は、請求項1ないし4のずれか1項に記載の取付体と、前記連接体とからなる。ここで、前記連接体は、前記連結部のそれぞれに対応して連結される被連結部と、それら被連結部間を越えて少なくとも一方の外側にまで延びる延長部を有し、その延長部に、吊ボルトを吊り下げ可能とするボルト吊下部が形成されている。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る取付体装置は、取付体と連接体とからなって、前記取付体が、前記連接体とともに形鋼に取り付けられる、取付体装置である。ここで、前記取付体は、前記形鋼を、その形鋼の長手方向に直交する左右で挟むように配置される一対の側壁と、前記一対の側壁の基端を繋ぐ繋ぎ部とを備える。前記繋ぎ部には、前記形鋼に対する前記長手方向への取付体自身の移動を規制するよう、前記形鋼の外面に圧接されてその外面に引っ掛かる係止爪部が設けられる。前記連接体は、前記形鋼を間に置いて前記繋ぎ部と対向するように配置される。そして、前記取付体の前記一対の側壁の各先端側には、前記連接体に対し、ボルトと雌ねじの締結により前記繋ぎ部を前記形鋼へ向けて近接させるようにして連結される連結部が設けられる。そこで、前記ボルトと雌ねじの締結により、前記繋ぎ部が前記形鋼に向けて近接して、前記係止爪部が前記形鋼の外面に圧接されてその外面に引っ掛かって取付体自身の前記長手方向への移動を規制する。
【0014】
この取付体装置によると、ボルトと雌ねじの締結により、取付体の繋ぎ部を形鋼に向けて近接させると、係止爪部が、形鋼の外面に圧接されてその外面に引っ掛かって、取付体は、形鋼の長手方向への移動が規制され、よって、この取付体は、形鋼に本取付けされる。そして、本取付け前の、ボルトと雌ねじ部が仮締結された状態では、形鋼への係止爪部の圧接が弱く、あるいは圧接がなく、取付体を、連接体とともに形鋼の長手方向に移動させて、その位置を調節することができる。
【0015】
また、請求項8に記載の発明に係る吊ボルト設置構造は、請求項1ないし4に記載の取付体を用いた、吊ボルト設置構造である。この吊ボルト設置構造は、前記連接体が、前記形鋼の上面に配置されて、前記取付体が、前記ボルトと雌ねじの締結により前記形鋼に取り付けられている。ここで、前記連接体は、前記形鋼から離れた位置に、吊ボルトを吊り下げ可能とするボルト吊下部を有し、そのボルト吊下部に、吊ボルトが吊り下げられている。
【0016】
また、請求項9に記載の発明に係る吊ボルト設置構造は、請求項8に記載の吊ボルト設置構造において、前記形鋼は、平行位置するようにして複数設けられ、前記連接体は、平行位置するように配置された前記形鋼の上面に架け渡されている。そして、前記取付体が、各前記形鋼において前記連接体に、前記ボルトと雌ねじの締結により連結されている。そこで、前記吊ボルトが、前記形鋼間で、前記連接体の前記ボルト吊下部に吊り下げられている。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造によれば、本取付け前には、取付体を形鋼の長手方向へ移動させてその位置を調節することができ、ボルトと雌ねじの締結による本取付けでは、形鋼に引っ掛かる係止爪部により、形鋼の長手方向への取付体の移動を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の一実施の形態の、取付体の斜視図である。
図2】同じく、正面図である。
図3】同じく、平面図である。
図4】同じく、図2におけるA-A線による断面図である。
図5】同じく、取付体を形鋼に仮取付けした状態を示す、斜視図である。
図6】同じく、正面図である。
図7】同じく、図6における要部拡大図である。
図8】同じく、図7におけるB-B線による断面図である。
図9】同じく、取付体を形鋼に本取付けした状態を示す、斜視図である。
図10】同じく、正面図である。
図11】同じく、図10における要部拡大図である。
図12】同じく、図11におけるC-C線による断面図である。
図13】同じく、形鋼に吊ボルトを取り付けた、斜視図である。
図14】この発明の他の実施の形態の、図13相当図である。
図15】取付体の別の使用例を示す、斜め上から見た斜視図である。
図16】同じく、斜め下から見た斜視図である。
図17】同じく、正面図である。
図18】従来の吊り金具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に係る形鋼への取付体、取付体装置、および吊ボルト設置構造を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1図13は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、形鋼を示し、この形鋼1は、長手方向1aが水平方向を向くようにして設置される。2は、連接体を示す。3は、前記連接体2とともに前記形鋼1に取り付けられる取付体を示す。4は、前記取付体3と前記連接体2とからなる取付体装置を示す。5は、前記取付体3を用いた吊ボルト設置構造を示す。
【0021】
取付体3は、形鋼1を、その形鋼1の長手方向1aに直交する左右で挟むように配置される一対の側壁3a、3aと、形鋼1の下方で一対の側壁3a、3aの基端を繋ぐ繋ぎ部3bとを備える。ここで、繋ぎ部3bには、形鋼1に対する前記長手方向1aへの取付体3自身の移動を規制するようその形鋼1の下面1bに引っ掛かる(詳しくは、形鋼1の下面1b(外面)に圧接されてその下面1b(外面)に食い込むあるいは傷付けるようにして引っ掛かる)係止爪部3cが設けられる。その一方で、側壁3aには、形鋼1の前記長手方向1aに延びる被掛かり部1cに上方から掛かって取付体3自身の落下防止となる凸部3dが設けられ、その凸部3dが被掛かり部1cに掛かった状態で、係止爪部3cが、形鋼1の下面1bに対して前記長手方向1aへの取付体3自身の移動を規制しない状態の位置にある(図5図8参照)。そして、一対の側壁3a、3aの各先端側には、形鋼1に載せられる連接体2に対し(つまり、形鋼1を間に置いて繋ぎ部3bと対向するように配置される連接体2に対し)、その下側にあって、ボルト6と雌ねじ7の締結により取付体3自身を引き上げるようにして(つまり、繋ぎ部3bを形鋼1に向けて近接させるようにして)連結される連結部3eが設けられ、それら取付体3と連接体2とで形鋼1を取り囲む。そこで、前記ボルト6と雌ねじ7の締結により、取付体3自身が引き上げられて(つまり、繋ぎ部3bが形鋼1に向けて近接して)、前記凸部3dが形鋼1の被掛かり部1cから上方に離間するとともに取付体3の係止爪部3cが形鋼1の下面1bに引っ掛かって(詳しくは、形鋼1の下面1b(外面)に圧接されてその下面1b(外面)に食い込むあるいは傷付けるようにして引っ掛かって)取付体3自身の前記長手方向1aへの移動を規制する(図9図12参照)。
【0022】
連接体2は、取付体3の連結部3e、3eのそれぞれに対応して連結される被連結部2a、2aを備える。そして、連接体2には、各被連結部2aの並び方向に延び、形鋼1の上面1dに当接する当接面2bが設けられている。詳細には、連接体2は、前記被連結部2a、2aと、それら被連結部2a、2a間を越えて少なくとも一方(図示実施の形態においては、両方)の外側にまで延びる延長部2cを有し、その延長部2cに、吊ボルト8を吊り下げ可能とするボルト吊下部2dが形成されている。
【0023】
吊ボルト設置構造5においては、連接体2が、形鋼1の上面1dに配置されて、取付体3が、ボルト6と雌ねじ7の締結により形鋼1に取り付けられている。そこで、連接体2は、形鋼1から離れた位置に、吊ボルト8を吊り下げ可能とするボルト吊下部2dを有し、そのボルト吊下部2dに、吊ボルト8が吊り下げられている(図13参照)。
【0024】
具体的には、形鋼1は、その形鋼1の長手方向1aに延びる開口1eを水平方向を向くように設置された断面略C字状の形鋼(図示実施の形態においては、リップ溝形鋼)からなり、前記被掛かり部1cは、前記開口1eの下側縁によって構成される。そこで、取付体3における一対の側壁3a、3aは、形鋼1における前記開口1eを有する外面1fおよびその開口1eとは反対側の外面1gにそれぞれ配置される。
【0025】
取付体3の本体は、一対の側壁3a、3aと繋ぎ部3bとで、断面略コ字状に形成される。この取付体3の連結部3eは、一対の側壁3a、3aの各先端側にあって、それら側壁3a、3aの並び方向の外側に延びる延出部3fからなり、その延出部3fに、前記ボルト6が通るボルト挿通孔3g(図示実施の形態においては、その延出部3fの延びる方向を長手とする長孔)が形成されている。そして、側壁3aに設けられた凸部3dを形鋼1の被掛かり部1cに掛けた状態で、延出部3fの上面3hは、形鋼1の上面1dよりも下がって位置する。また、凸部3dは、側壁3aを形成する板材が打ち出されるようにして形成され、図示実施の形態においては、凸部3dは、四角錐台状に突出している。
【0026】
繋ぎ部3bに設けられた係止爪部3cは、前記長手方向1aの一方側に先端を備える向きで、形鋼1の下面1bに向けて傾斜している。詳細には、繋ぎ部3bには、両側(詳しくは、前記長手方向1aの両側)に切欠き3iが設けられ、係止爪部3cは、その切欠き3iの底面から先端ほど細くなる三角状に、複数突出して形成される。そして、繋ぎ部3bのそれぞれの側にある係止爪部3c、3cは、前記長手方向1aにおいて、互いに逆側を向いている。
【0027】
連接体2は、断面L字状であって一方向に延びて形成され、その延びる方向が水平方向を向き、かつ、断面L字を形成する一方の片2eが水平面を形成し、他方の片2fが一方の片2eから起立して垂直面を形成する。そして、この連接体2が、形鋼1の上面1dに直交配置される。そこで、この連接体2の前記一方の片2eの下面の一部が、前述した、形鋼1の上面1dに当接する当接面2bとなる。そして、この連接体2の前記一方の片2eには、上下に貫通する孔2g(図示実施の形態においては、連接体2の延びる方向を長手とする長孔)が、複数、連接体2の延びる方向に規則的に並んであけられている。また、この一方の片2eに、前述の被連結部2aが設けられ、その被連結部2aにあけられた孔2g(図示実施の形態においては、一対の側壁3a、3aの並び方向に延びる貫通孔)を前記ボルト6が通ることとなる。つまり、被連結部2aは、その孔2g(貫通孔)と取付体3のボルト挿通孔3gとを通るボルト6と、そのボルト6に螺合する雌ねじ7によって、連結部3eに連結される。
【0028】
そして、連接体2は、前述の延長部2cを両側に有し、その延長部2cにおける前記一方の片2eに、前述のボルト吊下部2dが設けられる。図示実施の形態においては、ボルト吊下部2dは、孔2gを有している。そこで、吊ボルト8は、その孔2gを通り、その吊ボルト8に螺合するナット9を用いて、ボルト吊下部2dに取り付けられる。そして、この吊ボルト8によって、空調設備とか冷暖房設備等の機器(図示せず)が吊り下げられる。
【0029】
ボルト6と雌ねじ7の締結に関しては、雌ねじ7は、ナット701のねじ孔からなり、ボルト6の頭部6aとナット701とで、連接体2の被連結部2aと取付体3の連結部3eとを挟みつける。図示実施の形態においては、ボルト6の頭部6aが被連結部2a側に設けられ、ナット701が連結部3e側に設けられるが、その設けられる側が、反対であってもよい。また、ナット701は、連結部3eあるいは被連結部2aに溶接等によって固定されていてもよい。また、ナット701に替えて、連結部3eあるいは被連結部2aに雌ねじ7が形成されてもよい。
【0030】
次に、以上の構成からなる取付体3、取付体装置4、および吊ボルト設置構造5の作用効果について説明する。図5図8に示すように、取付体3の側壁3aに設けられた凸部3dが、形鋼1の被掛かり部1cに上方から掛かることで、取付体3の落下が防止されて、この取付体3は、形鋼1に仮取付けされ、この仮取付けの状態で、形鋼1の下方で一対の側壁3a、3aを繋ぐ繋ぎ部3bに設けられた係止爪部3cが、形鋼1の下面1bに対して取付体3の移動を規制しない状態の位置にある。これにより、この仮取付けの状態で、取付体3を形鋼1の長手方向1aに移動させて、その位置を調節することができる。そして、図9図12に示すように、ボルト6と雌ねじ7の締結により、取付体3を引き上げると(つまり、取付体3の繋ぎ部3bを形鋼1に向けて近接させると)、係止爪部3cが、形鋼1の下面1bに引っ掛かって(つまり、形鋼1の下面1b(外面)に圧接されてその下面1b(外面)に引っ掛かって)、取付体3は、形鋼1の長手方向1aへの移動が規制され、よって、この取付体3は、形鋼1に本取付けされる。すなわち、本取付け前の仮取付けでは、取付体3の落下を防止しつつ、その取付体3を形鋼1の長手方向1aへ移動させてその位置を調節することができ、ボルト6と雌ねじ7の締結による本取付けでは、形鋼1の下面1bに引っ掛かる係止爪部3cにより、形鋼1の長手方向1aへの取付体3の移動を阻止することができる。また、このように取付体3の移動を阻止することで、取付体3および連接体2、さらには、吊ボルト8を、形鋼1にしっかりと固定することができる。
【0031】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、連接体2は、延長部2cを両側に有するが、その延長部2cを片側にのみ有して、その延長部2cに、ボルト吊下部2dが形成されてもよい。また、ボルト吊下部2dは、一側の延長部2cにつき、一箇所に設けられるだけでなく、複数箇所に設けられてもよい。また、連接体2は、延長部2cを有することなく、取付体3の側壁3aや繋ぎ部3bとか、連接体2とかが、被取付物を取り付ける取付部を有していたり、その被取付物に相当する部分を初めから有していてもよく、これによって、その被取付物とか、被取付物に相当する部分を、形鋼1にしっかりと固定することができる。
【0032】
また、図14に示すように、吊ボルト設置構造5において、形鋼1は、平行位置するようにして複数設けられてもよい。このとき、連接体2は、平行位置するように配置された形鋼1、1の上面1d、1dに架け渡され、取付体3が、各形鋼1において連接体2に、ボルト6と雌ねじ7(図示実施の形態においては、雌ねじ7を有するナット701)の締結により連結される。そして、吊ボルト8が、形鋼1、1間で、連接体2のボルト吊下部2dに吊り下げられる。つまり、連接体2は、一方の取付体3の連結部3e、3eのそれぞれに対応して連結される被連結部2a、2a間を越えて外側に延びる延長部2cを有し、その延長部2cに、ボルト吊下部2dが設けられることとなる。また、このボルト吊下部2dは、前述の例と同様に、一箇所に設けられるだけでなく、複数箇所に設けられてもよい。
【0033】
また、取付体3の凸部3dが形鋼1の被掛かり部1cに掛かった仮取付けでは、係止爪部3cは、形鋼1の下面1bに対して前記長手方向1aへの取付体3自身の移動を規制しない状態の位置(つまり、移動を許容する状態の位置)にあればよく、形鋼1の下面1bに対して、係止爪部3cが、取付体3自身の移動を妨げない程度で接触していてもよく、また、接触せず離れていてもよい。
【0034】
また、係止爪部3cは、形鋼1の下面1bに向けて傾斜しているが、形鋼1の下面1bに向けて起立していてもよい。また、この係止爪部3cは、ボルト6と雌ねじ7とを締結した際、その係止爪部3cの形状を保ったまま形鋼1の下面1bに引っ掛かるものであってもよく、また、押し広げられつつ形鋼1の下面1bに引っ掛かるものであってもよい。
【0035】
また、形鋼1は、断面略C字状の形鋼からなるが、この形鋼は、リップ溝形鋼に限らず、チャンネル鋼(溝形鋼)であってもよい。また、形鋼1は、断面略C字状の形鋼からならなくても、その他の断面形状からなる形鋼、例えば、ジョイスト鋼(アイビーム・ジョストン)等の形鋼からなってもよい。
【0036】
また、取付体3は、凸部3dが形鋼1の被掛かり部1cに上方から掛かることで、仮取付けされるが、図15図17に示すように、この取付体3を反転して、繋ぎ部3b(詳しくは、繋ぎ部3bに設けられた係止爪部3c)が形鋼1の上面1dに載るようにして、取付体が形鋼に取り付けられてもよいし、形鋼1が、その長手方向1aが水平方向を向くことなく、鉛直方向を向くようにして設置されたり、傾斜するようにして設置されたりして、その形鋼1に対し、取付体3が取り付けられてもよい。この場合、取付体3と連接体2とで形鋼1を取り囲むように、連接体2を、形鋼1の外面(図示実施の形態においては、下面1b)に宛がい、ボルト6と雌ねじ7(図示実施の形態においては、雌ねじ7を有するナット701)の締結により、取付体3と連接体2とで形鋼1を挟み込むようにして、取付体3を連接体2とともに形鋼1に取り付ける。すなわち、取付体3は、形鋼1を、その形鋼1の長手方向に直交する左右で挟むように配置される一対の側壁3a、3aと、それら一対の側壁3a、3aの基端を繋ぐ繋ぎ部3bとを備えている。この繋ぎ部3bには、形鋼1に対する前記長手方向1aへの取付体3自身の移動を規制するよう、形鋼1の外面に圧接されてその外面に引っ掛かる係止爪部3cが設けられる。そして、連接体2は、形鋼1を間に置いて取付体3の繋ぎ部3bと対向するように配置されるが、取付体3の一対の側壁3a、3aの各先端側には、連接体2に対し、ボルト6と雌ねじ7の締結により繋ぎ部3bを形鋼1へ向けて近接させるようにして連結される連結部3eが設けられる。そこで、ボルト6と雌ねじ7の締結により、繋ぎ部3bが形鋼1に向けて近接して、係止爪部3cが形鋼1の外面に圧接されてその外面に引っ掛かって取付体3自身の前記長手方向1aへの移動を規制する。
【0037】
こうして、ボルト6と雌ねじ7の締結により、取付体3の繋ぎ部3bを形鋼1に向けて近接させると、係止爪部3cが、形鋼1の外面に圧接されてその外面に引っ掛かって、取付体3は、形鋼1の長手方向1aへの移動が規制され、この取付体3は、形鋼1に本取付けされる。そして、本取付け前の、ボルト6と雌ねじ部7が仮締結された状態(つまり、緩く螺合した状態)では、形鋼1への係止爪部3cの圧接が弱く、あるいは圧接がなく、取付体3を、連接体2とともに形鋼1の長手方向1aに移動させて、その位置を調節することができる。すなわち、本取付け前には、取付体3を形鋼1の長手方向1aへ移動させてその位置を調節することができ、ボルト6と雌ねじ7の締結による本取付けでは、形鋼1に引っ掛かる係止爪部3cにより、形鋼1の長手方向1aへの取付体3の移動を阻止することができる。そして、取付体3の移動を阻止することで、取付体3および連接体2、さらには、吊ボルト8を、形鋼1にしっかりと固定することができる。また、この実施例にあっては、取付体3の側壁3aに設けられる凸部3dとか、形鋼1の被掛かり部1cは、必ずしも必要ではないが、前記凸部3dに代えて、あるいは前記凸部3dに加えて、形鋼1の外面を押圧するような凸部を、側壁3aとか繋ぎ部3bに設けて、その凸部を取付体3の簡易的な移動阻止に寄与させるように作用させてもよい。
【0038】
また、これら図15図17においては、連接体2として、リップ溝形鋼が用いられ、そのリップ溝形鋼が、その溝2hが下を向くように配置される。そして、ボルト6と雌ねじ7の締結においては、リップ溝形鋼からなる連接体2のリップ部2iに、当て板10が宛がわれる。
【0039】
また、連接体2は、断面L字状の部材からなったり、リップ溝形鋼とか溝形鋼からなったり、その形状は特に問わない。また、ボルト吊下部2dは、孔2gによるものでなくても、リップ溝形鋼の溝のような、連接体2の延びる方向に延びる溝によって形成されてもよく、溝の開口を形成するリップ部の内側に配される止め金具(図示せず)によって、連接体2の延びる方向の任意の位置に吊ボルト8を吊り下げ可能となる。もっとも、連接体2がリップ溝形鋼からなる場合であっても、リップ部に対向する上壁に形成された孔を用いて吊ボルト8を吊り下げてもよいのは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1 形鋼
1a 長手方向
1b 下面
1c 被掛かり部
1d 上面
1e 開口
1f 外面
1g 外面
2 連接体
2a 被連結部
2b 当接面
2c 延長部
2d ボルト吊下部
3 取付体
3a 側壁
3b 繋ぎ部
3c 係止爪部
3d 凸部
3e 連結部
3f 延出部
3g ボルト挿通孔
3h 上面
4 取付体装置
5 吊ボルト設置構造
6 ボルト
7 雌ねじ
8 吊ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18