(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】電気回路
(51)【国際特許分類】
H02H 3/10 20060101AFI20230925BHJP
H02H 5/04 20060101ALI20230925BHJP
H02H 3/093 20060101ALI20230925BHJP
H02H 3/20 20060101ALI20230925BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230925BHJP
H02H 3/00 20060101ALI20230925BHJP
H01H 37/54 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
H02H3/10 D
H02H5/04 170
H02H3/093 D
H02H3/20 D
H02J1/00 301D
H02H3/00 D
H01H37/54 C
(21)【出願番号】P 2020113222
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390025140
【氏名又は名称】ボーンズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】公文 高博
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060659(JP,A)
【文献】特開2014-107175(JP,A)
【文献】特開2017-199641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/10
H02H 5/04
H02H 3/093
H02H 3/20
H02J 1/00
H02H 3/00
H01H 37/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、負荷とを含む電気回路であって、
前記電源からの電力を前記負荷に供給するためのパワーラインと、
前記パワーラインから電気的に独立し、熱源の温度を検出するためのモニターラインとを含み、
前記モニターラインには、
固定接点と、
可動接点を有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、
温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離隔するように前記可動片を作動させる熱応動素子とを備えた、
ブレーカーが直列に接続されている、
電気回路。
【請求項2】
前記パワーラインには、該パワーラインに過電流が流れたとき、該パワーラインを遮断する電流遮断デバイスが設けられている、請求項1に記載の電気回路。
【請求項3】
前記電流遮断デバイスは、前記ブレーカーの動作に基づいて、前記パワーラインを遮断する、請求項2に記載の電気回路。
【請求項4】
前記パワーラインに流れる電流に基づいて、前記電流遮断デバイスを制御する制御部を含む、請求項2に記載の電気回路。
【請求項5】
前記電源の両端電圧に基づいて、前記電流遮断デバイスを制御する制御部を含む、請求項2に記載の電気回路。
【請求項6】
前記熱源及び前記ブレーカーは複数存在し、
各熱源に対応する前記ブレーカーが設けられ、各ブレーカーは互いに直列に接続されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電気回路。
【請求項7】
前記固定接点から前記可動接点が離隔しているときの前記ブレーカーの両端抵抗は、1kΩ以上である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電気回路。
【請求項8】
前記固定接点に前記可動接点が接触しているときの前記ブレーカーの両端抵抗は、100mΩ以下である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電気回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源と、負荷とを含む電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーラインにブレーカーが直列に接続されている電気回路が知られている(例えば、特許文献1
図9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年の電気回路は、パワーラインに流れる電流が大きくなり、ブレーカーを大電流に対応させることが困難となっている。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、大電流のパワーラインの安全性を高めることができる電気回路を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電源と、負荷とを含む電気回路であって、前記電源からの電力を前記負荷に供給するためのパワーラインと、前記パワーラインから電気的に独立し、熱源の温度を検出するためのモニターラインとを含み、前記モニターラインは、固定接点と、可動接点を有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離隔するように前記可動片を作動させる熱応動素子とを備えた、ブレーカーが直列に接続されている。
【0007】
本発明に係る前記電気回路において、前記パワーラインには、該パワーラインに過電流が流れたとき、該パワーラインを遮断する電流遮断デバイスが設けられている、ことが望ましい。
【0008】
本発明に係る前記電気回路において、前記電流遮断デバイスは、前記ブレーカーの動作に基づいて、前記パワーラインを遮断する、ことが望ましい。
【0009】
本発明に係る前記電気回路において、前記パワーラインに流れる電流に基づいて、前記電流遮断デバイスを制御する制御部を含む、ことが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記電気回路において、前記電源の両端電圧に基づいて、前記電流遮断デバイスを制御する制御部を含む、ことが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記電気回路において、前記熱源及び前記ブレーカーは複数存在し、各熱源に対応する前記ブレーカーが設けられ、各ブレーカーは互いに直列に接続されている、ことが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記電気回路において、前記固定接点から前記可動接点が離隔しているときの前記ブレーカーの両端抵抗は、1kΩ以上である、ことが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記電気回路において、前記固定接点に前記可動接点が接触しているときの前記ブレーカーの両端抵抗は、100mΩ以下である、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の前記電気回路は、前記パワーラインから電気的に独立した前記モニターラインに前記ブレーカーが設けられるので、前記ブレーカーに前記パワーラインの大電流が流れ込むことがない。従って、大電流に対応する高容量の前記ブレーカーを用いることなく、前記熱源の前記温度を検出でき、前記パワーラインの安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による電気回路を示す回路図。
【
図2】本発明の一実施形態によるブレーカーの概略構成を示す組み立て前の斜視図。
【
図3】通常の充電又は放電状態における上記ブレーカーを示す断面図。
【
図4】過充電状態又は異常時などにおける上記ブレーカーを示す断面図。
【
図5】電池セルが異常に発熱したときの電気回路の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態によるコネクタについて図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の電気回路100の概略構成を示している。
【0017】
本実施形態の電気回路100は、例えば、モーターにて走行可能な電気自動車や家庭用の蓄電池に用いて好適な回路である。電気回路100は、電源11と、負荷12とを含んでいる。
【0018】
電源11は、負荷12に電力を供給する。本実施形態の電源11は、電荷を蓄える複数の電池セル111を含んでいる。各電池セル111は、直列に接続されている。なお、各電池セル111は、並列(並列かつ直列)に接続されていてもよい。また、電池セル111は単数であってもよい。
【0019】
負荷12は、電源11から供給された電力を消費して、各種の動作を実行する。本実施形態の負荷12は、モータージェネレーター120を含んでいる。モータージェネレーター120は、駆動力を発生するモーターとして機能する他、回生発電を行うジェネレーターとしても機能する。すなわち、モーターとして機能するモータージェネレーター120は、電池セル111の放電に伴い供給された電気エネルギーを運動エネルギーに変換し、車両を走行させる。一方、ジェネレーターとして機能するモータージェネレーター120は、車両等の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することにより発電し、電池セル111を充電する。
【0020】
電気回路100は、パワーライン13と、モニターライン14とを含んでいる。
【0021】
パワーライン13は、電源11からの電力を負荷12に供給するためのラインである。すなわち、負荷12は、パワーライン13を介して電源11と接続されている。一般に、パワーライン13は、負荷12を駆動するための大電流に対応して、低抵抗に設計されている。
【0022】
モニターライン14は、熱源の温度を検出するためのラインである。電気回路100内の熱源としては、電源11(本実施形態では、後述する電池セル111)及び負荷12が挙げられる。
図1のモニターライン14は、電源11の温度を検出する。
【0023】
モニターライン14は、パワーライン13から電気的に独立している。すなわち、パワーライン13とモニターライン14とは、それぞれ異なる回路を構成する。従って、モニターライン14には、熱源の温度を検出するために必要な小電流(例えば、数百mA)のみが流れる。
【0024】
モニターライン14には、熱源の温度変化に伴って電流を遮断する電流遮断デバイス141が設けられている。本電気回路100では、電流遮断デバイス141として後述するブレーカー1が適用されている。ブレーカー1は、熱源の温度変化に敏感に追従できるように、熱源に隣接して設けられるのが望ましい。ブレーカー1の動作に伴いモニターライン14の電流が変動する。従って、モニターライン14の電流を監視することにより、熱源の異常な発熱が検出される。
【0025】
ブレーカー1は、熱源の数に応じて複数個備えることができる。例えば、
図1に示される電気回路100では、複数の電池セル111のそれぞれに対応するブレーカー1が設けられている。各ブレーカー1は、モニターライン14上に直列に接続されている。これにより、単一のモニターライン14で複数の熱源の温度を監視できる。
【0026】
図2ないし
図4は、ブレーカー1の構成を示している。ブレーカー1は、温度上昇に反応し、瞬時に電流を遮断する素子である。
【0027】
ブレーカー1は、固定接点21を有する固定片2と、先端部に可動接点41を有する可動片4と、温度変化に伴って変形する熱応動素子5と、固定片2、可動片4及び熱応動素子5を収容するケース9等によって構成されている。ケース9は、ケース本体(第1ケース)7とケース本体7の上面に装着される蓋部材(第2ケース)8等によって構成されている。
【0028】
固定片2には、ケース9から露出する端子22が形成されている。ケース9から露出する可動片4には、端子42が形成されている。
【0029】
固定片2は、例えば、銅等を主成分とする板状の金属材料(この他、銅-チタニウム合金、洋白、黄銅などの金属板)をプレス加工することにより形成されている。固定片2は、端子22をケース本体7の外側に露出させた状態で、ケース本体7にインサート成形により埋め込まれ、ケース本体7に収容されている。
【0030】
固定接点21は、銀、ニッケル、ニッケル-銀合金の他、銅-銀合金、金-銀合金などの導電性の良い材料のクラッド、メッキ又は塗布等により可動接点41に対向する位置に形成され、ケース本体7の内部に形成されている開口73aの一部から露出されている。
【0031】
端子22は、固定片2の一端に形成されている。端子22はケース本体7の端縁の側壁から外側に突出している。端子22は、電気回路100のモニターライン14と電気的に接続される。
【0032】
本出願においては、特に断りのない限り、固定片2において、固定接点21が形成されている側の面(すなわち
図2において上側の面)をA面、その反対側の面をB面として説明している。固定接点21から可動接点41に向く方向を第1方向と、第1方向とは反対の方向を第2方向とそれぞれ定義した場合、A面は第1方向を向き、B面は第2方向を向く。他の部品、例えば、可動片4及び熱応動素子5等についても同様である。
【0033】
可動片4は、銅等を主成分とする板状の金属材料をプレス加工することにより、長手方向の中心線に対して対称なアーム状に形成されている。
【0034】
可動片4の長手方向の先端部には、可動接点41が形成されている。可動接点41は、例えば、固定接点21と同等の材料によって形成され、溶接の他、クラッド、かしめ(crimping)等の手法によって可動片4の先端部に接合されている。
【0035】
可動片4の長手方向の他端部には、電気回路100のモニターライン14と電気的に接続される端子42が形成されている。端子42はケース本体7の端縁の側壁から外側に突出している。
【0036】
可動片4は、可動接点41と端子42の間に、当接部43及び弾性部44を有している。当接部43は、端子42と弾性部44との間でケース本体7及び蓋部材8と当接する。当接部43は、可動片4の短手方向に翼状に突出する突出部43aを有する。突出部43aが設けられていることにより、当接部43が幅広く大きな領域でケース本体7及び蓋部材8によって挟み込まれ、可動片4がケース9に対して強固に固定される。また、突出部43aが設けられていることにより、ケース9に対する可動片4の位置決め、抜け止めに有効である。
【0037】
弾性部44は、当接部43から可動接点41の側に延出されている。可動片4は、弾性部44の基端側の当接部43で、ケース9によって片持ち支持され、その状態で弾性部44が弾性変形することにより、弾性部44の先端部に形成されている可動接点41が固定接点21の側に押圧されて接触し、固定片2と可動片4とが通電可能となる。
【0038】
可動片4は、弾性部44において、プレス加工により湾曲又は屈曲されている。湾曲又は屈曲の度合いは、熱応動素子5を収納できる限り特に限定はなく、動作温度及び復帰温度における弾性力、可動接点41の押圧力などを考慮して適宜設定すればよい。また、弾性部44のB面には、熱応動素子5に対向して一対の突起44a,44bが形成されている。突起44aは、基端側で熱応動素子5に向って突出し、遮断状態で熱応動素子5と当接する。突起44bは、突起44aよりも先端側(すなわち可動接点41側)で熱応動素子5に向って突出し、遮断状態で熱応動素子5と当接する。過熱により熱応動素子5が変形すると、熱応動素子5が突起44a及び突起44bと当接し、熱応動素子5の変形が突起44a及び突起44bを介して弾性部44に伝達され、可動片4の先端部が押し上げられる(
図4参照)。
【0039】
熱応動素子5は、可動片4の状態を可動接点41が固定接点21に接触する導通状態から可動接点41が固定接点21から離隔する遮断状態に移行させる。熱応動素子5は、断面が円弧状に湾曲した初期形状をなし、熱膨張率の異なる薄板材を積層することにより、板状に形成されている。過熱により動作温度に達すると、熱応動素子5の湾曲形状は、スナップモーションを伴って逆反りし、冷却により復帰温度を下回ると復元する。熱応動素子5の初期形状は、プレス加工により形成することができる。所期の温度で熱応動素子5の逆反り動作により可動片4の弾性部44が押し上げられ、かつ弾性部44の弾性力により元に戻る限り、熱応動素子5の材質及び形状は特に限定されるものでないが、生産性及び逆反り動作の効率性の観点から矩形状が望ましい。
【0040】
熱応動素子5の材料としては、洋白、黄銅、ステンレス鋼等の各種の合金からなる熱膨張率が異なる2種類の板状の金属材料を積層したものが、所要条件に応じて組み合わせて使用される。例えば、安定した動作温度及び復帰温度が得られる熱応動素子5の材料としては、高膨脹側に銅-ニッケル-マンガン合金、低膨脹側に鉄-ニッケル合金を組み合わせたものが望ましい。また、化学的安定性の観点からさらに望ましい材料として、高膨脹側に鉄-ニッケル-クロム合金、低膨脹側に鉄-ニッケル合金を組み合わせたものが挙げられる。さらにまた、化学的安定性及び加工性の観点からさらに望ましい材料として、高膨脹側に鉄-ニッケル-クロム合金、低膨脹側に鉄-ニッケル-コバルト合金を組み合わせたものが挙げられる。
【0041】
ケース9を構成するケース本体7及び蓋部材8は、難燃性のポリアミド、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの熱可塑性樹脂により成形されている。上述した樹脂と同等以上の特性が得られるのであれば、樹脂以外の材料を適用してもよい。
【0042】
ケース本体7には、可動片4、熱応動素子5などを収容するための内部空間である凹部73が形成されている。凹部73は、可動片4を収容するための開口73a,73b、可動片4及び熱応動素子5を収容するための開口73c等を有している。なお、ケース本体7に組み込まれた可動片4、熱応動素子5の端縁は、凹部73の内部に形成されている枠によってそれぞれ当接され、熱応動素子5の逆反り時に案内される。
【0043】
蓋部材8には、銅等を主成分とする金属板又はステンレス鋼等の金属板がインサート成形によって埋め込まれていてもよい。金属板は、可動片4のA面と適宜当接し、可動片4の動きを規制すると共に、蓋部材8のひいては筐体としてのケース9の剛性・強度を高めつつブレーカー1の小型化に貢献する。
【0044】
図2が示すように、固定片2(固定接点21)、可動片4(可動接点41、弾性部44)及び熱応動素子5等を収容したケース本体7の開口73a、73b、73c等を塞ぐように、蓋部材8が、ケース本体7に装着される。ケース本体7と蓋部材8とは、例えば超音波溶着によって接合される。これにより、端子22及び42を露出させた状態で、ブレーカー1が組み立てられる。
【0045】
図3及び4は、ブレーカー1の動作の概略を示している。
図3は、常温状態におけるブレーカー1の動作を示している。通常の充電又は放電状態においては、熱応動素子5は逆反り前の初期形状を維持している。弾性部44によって可動接点41が固定接点21の側に押圧されることにより、可動接点41と固定接点21とが接触し、ブレーカー1の固定片2と可動片4とが導通可能な状態とされる。
【0046】
図3に示されるように、熱応動素子5は、導通状態の可動片4の突起44a及び突起44bと離隔していてもよい。これにより、可動接点41と固定接点21との接触圧力が高められ、両者間の接触抵抗が低減される。
【0047】
図4は、異常な高温状態におけるブレーカー1の動作を示している。ブレーカー1が高温状態となると、動作温度に達した熱応動素子5は逆反りして可動片4の弾性部44と接触し、弾性部44が押し上げられて固定接点21と可動接点41とが離隔する。このとき、固定接点21と可動接点41の間を流れていた電流は遮断される。
【0048】
ブレーカー1の高温状態が解消されると、熱応動素子5は復帰温度に戻り、元の初期形状に復元する。そして、可動片4の弾性部44の弾性力によって可動接点41と固定接点21とは再び接触し、回路は遮断状態を解かれ、
図3に示す導通状態に復帰する。
【0049】
図1に示されるように、電気回路100では、パワーライン13とから電気的に独立したモニターライン14にブレーカー1が直列に接続されている。これにより、ブレーカー1にパワーライン13の大電流が流れ込むことがない。従って、大電流に対応する高容量のブレーカーを用いることなく、熱源である電池セル111の温度を検出でき、パワーライン13の安全性を高めることができる。
【0050】
パワーライン13には、電流遮断デバイス130が設けられている。電流遮断デバイス130は、パワーライン13のうち、電源11の正極側に設けられているが、負極(グランド)側に設けられていてもよい。
【0051】
電流遮断デバイス130は、パワーライン13に直列に接続され、パワーライン13に過電流等の異常が生じたとき、パワーライン13を遮断する。電流遮断デバイス130は、電気回路100の異常から電池セル111、モータージェネレーター120及びパワーライン13等を保護する。
【0052】
電流遮断デバイス130には、コンタクタ131等のデバイスが適用される。コンタクタ131は、例えば、コイル等が発生する電磁力を用いてスイッチ(接点)を開閉する。コンタクタ131内のスイッチが開くと、パワーライン13の電流が遮断される。これにより、電気回路100の異常から電池セル111、モータージェネレーター120及びパワーライン13等が保護される。
【0053】
本実施形態のコンタクタ131は、モニターライン14に設けられているブレーカー1の動作に基づいて、パワーライン13を遮断する。これにより、互いに電気的に独立したモニターライン14とパワーライン13とが連携して動作して、電池セル111、モータージェネレーター120及びパワーライン13等を保護する。
【0054】
本実施形態の電気回路100は、電流遮断デバイス130を制御する制御部150を含んでいる。より具体的には、制御部150は、コンタクタ131のコイル等に供給する電流(すなわち、コンタクタ131内のスイッチを開閉するための電流)を制御する。本実施形態では、制御部150として、いわゆるBMU(Battery Management Unit)が適用されている。
【0055】
制御部150は、ブレーカー1の動作に基づいて変動するモニターライン14の抵抗値を監視する。モニターライン14の抵抗値は、モニターライン14に印加する電圧とモニターライン14を流れる電流から計算される。例えば、モニターライン14に一定電圧を印加して、モニターライン14を流れる電流を検出することにより、上記抵抗値が計算される。また、モニターライン14に一定電流を流し、モニターライン14に印加される電圧を検出することにより、上記抵抗値が計算されてもよい。
【0056】
モニターライン14の抵抗値が所定の閾値よりも大きいとき、いずれかの電池セル111が過熱状態となり、それに隣接するブレーカー1が動作(すなわち、固定接点21から可動接点41が離隔)したと考えられる、このとき、制御部150は、コンタクタ131を制御して、パワーライン13の電流を遮断する。
【0057】
図5は、3つの電池セル111のうち、例えば、ハッチングで示される中央の電池セル111が異常に発熱したときの電気回路100の動作を示している。中央の電池セル111が異常に発熱すると、それに隣接するブレーカー1が動作して、モニターライン14に流れる電流を遮断する。これにより、モニターライン14の抵抗値が増加する。モニターライン14の抵抗値が所定の閾値よりも大きいことを検出した制御部150は、コンタクタ131に制御信号を送り、パワーライン13の電流を遮断する。これにより、中央の電池セル111の発熱も収束し、電気回路100の安全性が確保される。
【0058】
また、制御部150は、パワーライン13に流れる電流に基づいて、電流遮断デバイス130を制御するように構成されていてもよい。パワーライン13に流れる電流は、例えば、電流検出部170によって検出される。電流検出部170は、パワーライン13上の電流遮断デバイス130及びモータージェネレーター120に対して直列に接続されている。
【0059】
電流検出部170は、検出した電流に相当する電気信号を制御部150に出力する。制御部150は、例えば、電流検出部170が検出した電流が所定の閾値を超えている場合、電流遮断デバイス130を制御して、パワーライン13に流れる電流を遮断する。このような構成により、電気回路100の安全性がより一層高められる。
【0060】
また、制御部150は、電源11の両端電圧に基づいて、電流遮断デバイス130を制御するように構成されていてもよい。電源11の両端電圧は、電圧検出部160によって検出される。電圧検出部160は、例えば、モータージェネレーター120と並列に接続される。
【0061】
電圧検出部160は、検出した電圧に相当する電気信号を制御部150に出力する。制御部150は、例えば、電圧検出部160が検出した電圧が所定の閾値を超えている場合、電流遮断デバイス130を制御して、パワーライン13に流れる電流を遮断する。このような構成により、電気回路100の安全性がより一層高められる。
【0062】
図1に示される電気回路100では、制御部150が、パワーライン13に流れる電流、電源11の両端電圧及び熱源(電源11)の温度を監視し、そのいずれかに異常が生じたとき、パワーライン13に流れる電流を遮断するよう電流遮断デバイス130を制御する。これにより、電気回路100の安全性がより一層高められる。
【0063】
図6は、電気回路100の変形例である電気回路100Aの回路図である。電気回路100Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述した電気回路100の構成が採用されうる。
【0064】
電気回路100Aでは、電池セル111及びブレーカー1の配置が変更されている。電気回路100Aでは、複数の電池セル111の間に跨るように、ブレーカー1が配置されている。これにより、ブレーカー1の個数が削減され、モニターライン14の製造コストが削減される。また、中央の電池セル111の発熱が2つのブレーカー1によって監査されるので、モニターライン14の信頼性が高められる。
【0065】
図7は、電気回路100の別の変形例である電気回路100Bの回路図である。電気回路100Bのうち、以下で説明されてない部分については、上述した電気回路100の構成が採用されうる。
【0066】
電気回路100Bでは、負荷12の温度を熱源の温度として監視できるように、ブレーカー1の配置が変更されている。電気回路100Bでは、モータージェネレーター120に隣接するように、ブレーカー1が配置されている。これにより、モータージェネレーター120の発熱がブレーカー1によって監査されるので、電気回路100Bの安全性が高められる。
【0067】
電気回路100Bは、電気回路100又は電気回路100Aと適宜組み合わせることができる。これにより、モニターライン14によって電源11及び負荷12の温度を熱源の温度として監視し、パワーライン13を制御することが可能となる。
【0068】
電気回路100等において、固定接点21から可動接点41が離隔している高温状態でのブレーカー1(
図4参照)の両端抵抗は、1kΩ以上が望ましい。これにより、制御部150による熱源温度の異常検出がより正確に行えるようになる。
【0069】
電気回路100等において、固定接点21に可動接点41が接触している常温状態でのブレーカー1(
図3参照)の両端抵抗は、100mΩ以下が望ましい。これにより、制御部150による熱源温度の異常検出がより正確に行えるようになる。
【0070】
以上、本発明の電気回路100等が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。すなわち、電気回路100は、少なくとも、電源11と、負荷12とを含む電気回路であって、電源11からの電力を負荷12に供給するためのパワーライン13と、パワーライン13から電気的に独立し、熱源の温度を検出するためのモニターライン14とを含み、モニターライン14には、固定接点21と、可動接点41を有し、可動接点41を固定接点21に押圧して接触させる可動片4と、温度変化に伴って変形することにより可動接点41が固定接点21から離隔するように可動片4を作動させる熱応動素子5とを備えた、ブレーカー1が直列に接続されていればよい。
【0071】
従って、例えば、制御部150が熱源温度の異常を検出したとき、パワーライン13を流れる電流の大きさを制限するように構成されていてもよい。このような電気回路100等は、電流遮断デバイス130に替えて、パワーライン13を流れる電流の大きさを可変制御するデバイスを適用することにより実現される。
【0072】
また、ブレーカー1は、可動片4が、端子42を構成する部品と弾性部44を構成する部品とに分割されている形態であってもよい。この場合、例えば、端子42を構成する部品の一部が、ケース本体7の内部空間に露出するように、ケース本体7にインサート成形され、弾性部44の基端部と溶接等により接合される。
【符号の説明】
【0073】
1 ブレーカー
4 可動片
5 熱応動素子
11 電源
12 負荷
13 パワーライン
14 モニターライン
21 固定接点
41 可動接点
100 電気回路
130 電流遮断デバイス
141 電流遮断デバイス
150 制御部