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特許7354066車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/38 20080401AFI20230925BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20230925BHJP
   B60T 7/06 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
G05G1/38
B60T7/02 D
B60T7/06 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020132899
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029564
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 光
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-99794(JP,A)
【文献】特開2018-139059(JP,A)
【文献】特開2003-216258(JP,A)
【文献】特開2015-88082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/38
B60T 7/02
B60T 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用操作ペダル装置は、車両の車体に取付けられるペダルブラケットと、前記ペダルブラケットに軸支されて回動可能に取付けられる操作ペダルとを備え、前記操作ペダルの操作量に関する情報を検出する操作量センサを、前記ペダルブラケットに一体的に配設されるセンサ取付ブラケットに取付ける操作量センサ取付構造であって、
前記センサ取付ブラケットには前記操作量センサを取付けるためのスタッドボルトが、前記操作ペダルの軸支方向と同方向に配設されており、
前記操作量センサにおけるスタッドボルト取付部位には、前記スタッドボルトの軸と直交する方向に開口し前記スタッドボルトを挿通することのできる切欠き取付溝が形成されており、
更に、前記操作量センサを異常な外力操作から保護するためのガード部材が、前記操作ペダルのペダルアームに配設されており、
前記ガード部材は、前記操作量センサを取付けるスタッドボルトの軸方向前面側と下方周面の前記操作量センサを覆うことのできる構成である、車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造であって、
前記ガード部材は、前記操作量センサにおける前記下方周面に配設される本体部と、前記操作量センサにおける前記軸方向前面側に配設されるフランジ部とがL字状に形成されている、車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造であって、
前記操作量センサにおけるスタッドボルト取付部位に形成される切欠き取付溝は2個形成されており、当該2個の切欠き取付溝が開口する位置は、前記スタッドボルトの軸と直交する方向で見て互いに反対方向とされており、かつ、取付時のナットの締付により切欠き取付溝の溝底がスタッドボルトに押圧されるように開口している、車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れかの請求項に記載の車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造であって、
前記切欠き取付溝は溝底から溝開口に向けて溝幅が漸次広がるテーパ形状に形成されている車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れかの請求項に記載の車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造であって、
当該車両用操作ペダル装置は車両用ブレーキペダル装置である、車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造に関する。特に、車両用ブレーキペダル装置におけるストロークセンサ等の操作量センサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等車両には、各種の車両用操作ペダル装置が装備される。例えば、車両用ブレーキペダル装置がある。汎用の車両用操作ペダル装置は、車両の車体に取付けられるペダルブラケットと、このペダルブラケットに軸支されて回動可能に取付けられる操作ペダルを備える。そして、操作ペダルを足の踏込み操作等により回動操作させることにより、ブレーキ機器を作動させる構成となっている。
【0003】
ところで、これらの車両用操作ペダル装置には、操作ペダルの操作量を検出する操作量センサを備える。操作量センサとしては操作ペダルの回動ストロークを検出するストロークセンサがある(下記特許文献1参照)。ストロークセンサは操作ペダルの回動ストロークに基づいて車両の各種機器を制御する。なお、操作量センサとしては、操作ペダルの操作荷重を検出する荷重センサもある。
【0004】
ストロークセンサは、通常、操作ペダルがペダルブラケットに回動可能に軸支される位置の近傍に設置されている。このため、不用意に、運転者が操作ペダルを蹴り上げるような操作をした場合等に、ストロークセンサに運転者の足が接触したり、或いは、他の比較的大きな外力がかかる等して、ストロークセンサを損傷せしめ、耐久性に影響を及ぼす恐れがある。
【0005】
上述のような状態におけるストロークセンサの保護を図るために、ストロークセンサの下方部位置にガード部材を配設して、ストロークセンサの保護を図る対策がある(下記特許文献2参照)。これにより、ストロークセンサに対する下方部からの外力に対する保護を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-139059号公報
【文献】特開2016-99794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したガード部材によるストロークセンサの保護は、下方部からの異常な外力に対する保護は図られるが、側方からの異常な外力に対する保護を図ることができない問題がある。
【0008】
ところで、従来の一般的なストロークセンサの取付構造は、ストロークセンサをペダルブラケットに取付けるに際しては、操作ペダルのペダルブラケットへの回動軸支方向と同じ方向から取付ける構造となっている。このため、ストロークセンサを取付けるためには、取付け方向に取付け操作上の空間部を要することから、ストロークセンサの側方にはガード部材を配設できない問題があった。
【0009】
而して、本発明は上述した点に鑑みて創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、操作量センサのペダルブラケットへの取付け方向を、操作ペダルのペダルブラケットへの回動軸支方向と直交する方向とすることにより、操作量センサを保護するガード部材の当該操作量センサの側方への配設を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造は、次の手段をとる。
【0011】
本発明の第1の発明は、車両用操作ペダル装置は、車両の車体に取付けられるペダルブラケットと、前記ペダルブラケットに軸支されて回動可能に取付けられる操作ペダルとを備え、前記操作ペダルの操作量に関する情報を検出する操作量センサを、前記ペダルブラケットに一体的に配設されるセンサ取付ブラケットに取付ける操作量センサ取付構造であって、前記センサ取付ブラケットには前記操作量センサを取付けるためのスタッドボルトが、前記操作ペダルの軸支方向と同方向に配設されており、前記操作量センサにおけるスタッドボルト取付部位には、前記スタッドボルトの軸と直交する方向に開口し前記スタッドボルトを挿通することのできる切欠き取付溝が形成されており、更に、前記操作量センサを異常な外力操作から保護するためのガード部材が、前記操作ペダルのペダルアームに配設されており、前記ガード部材は、前記操作量センサを取付けるスタッドボルトの軸方向前面側と下方周面の前記操作量センサを覆うことのできる構成である、車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造である。
【0012】
本発明の第2の発明は、上述した第1の発明の車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造であって、前記ガード部材は、前記操作量センサにおける前記下方周面に配設される本体部と、前記操作量センサにおける前記軸方向前面側に配設されるフランジ部とがL字状に形成されている、車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造である。
【0013】
本発明の第3の発明は、上述した第1の発明または第2の発明の車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造であって、前記操作量センサにおけるスタッドボルト取付部位に形成される切欠き取付溝は2個形成されており、当該2個の切欠き取付溝が開口する位置は、前記スタッドボルトの軸と直交する方向で見て互いに反対方向とされており、かつ、取付時のナットの締付により切欠き取付溝の溝底がスタッドボルトに押圧されるように開口している、車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造である。
【0014】
本発明の第4の発明は、上述した第1の発明から第3の発明の何れかの車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造であって、前記切欠き取付溝は溝底から溝開口に向けて溝幅が漸次広がるテーパ形状に形成されている車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造である。
【0015】
本発明の第5の発明は、上述した第1の発明から第4の発明の何れかの車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造であって、当該車両用操作ペダル装置は車両用ブレーキペダル装置である、車両用操作ペダル装置における操作量センサ取付構造である。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明の手段によれば、操作量センサのペダルブラケットへの取付け方向を、操作ペダルのペダルブラケットへの回動軸支方向と直交する方向とすることにより、操作量センサを保護するガード部材の当該操作量センサの側方への配設を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ブレーキペダル装置の全体構成を右側後方から見た斜視図である。
図2図1に示されるブレーキペダル装置を右側から見た側面図である。
図3図1に示されるブレーキペダル装置を後方から見た後面図である。
図4図1のIV部拡大図である。
図5】ストロークセンサを取付けるストロークセンサ取付部位を示す斜視図である。
図6】ブレーキペダルとストロークセンサとの連結関係を示す斜視図である。
図7図2のVII-VII線矢視断面図である。
図8図6におけるストロークセンサの取付け状態を説明するための補足図である。
図9】ストロークセンサに形成する切欠き取付溝の基本形態を示す平面図である。
図10図9に示す切欠き取付溝の別の実施形態を示す平面図である。
図11】切欠き取付溝の形状の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の車両用操作ペダル装置は、車両用ブレーキペダル装置10の場合であり、操作量センサはペダルアーム12の回動ストロークを検出するストロークセンサ30の場合である。なお、各図の説明における上下、前後、左右等の方向は、自動車等車両の進行方向で見た場合の表示である。そして、各図に示すLは前後方向、Hは高さ方向、Wは左右方向(車両の幅方向)を示している。但し、個別に特に示した表示は、当該表示による。また、構成部品が左右に存在する場合に、左右の部品を個別に指称する場合は、当該構成部品を示す符号の後尾の、左側の構成部品にはLを付し、右側の構成部品にはRを付して示す。
【0019】
<ブレーキペダル装置10の全体構成>
図1はブレーキペダル装置10の全体構成を示す。図2は同右側面図を示す。図3は同後方図を示す。ブレーキペダル装置10は、通常、自動車等車両の運転席前部の下部に配設される。ブレーキペダル装置10はペダルアーム12を備える。このペダルアーム12は本発明の操作ペダルに相当する。図1及び図2に示すように、ペダルアーム12は、長尺形状で上下方向に配設されるペダルアーム本体14と、ペダルアーム本体14の下端部に取付けられるペダル踏面16と、上端部に取付けられるペダルアーム本体14を回動可能に取付けるボス部18(図7参照)とを備える。
【0020】
自動車等車両の運転席前部には、車体構成部材としてインストルメントパネル(不図示)やダッシュパネル22(図2参照)が配置されており、これらのパネルに図1図3に示されるペダルブラケット20が配設される。ペダルブラケット20は右側ペダルブラケット20Rと左側ペダルブラケット20Lがペダルアーム本体14のボス部18を挟んで配設される。なお、ペダルアーム本体14上端のボス部18(図7参照)は、両ペダルブラケット20R,20L間に懸架して配設される支持軸26(図7参照)により軸支されて取付けられる。これにより、ペダルアーム本体14からなるペダルアーム12はペダルブラケット20に回動可能に支持され、下端のペダル踏面16を足で踏込み操作することにより、ブレーキ作動が行われる。
【0021】
したがって、ペダル踏面16は長尺形状のペダルアーム本体14の下端に一体的に取付けられており、運転者が足で踏み込み操作できる位置とされている。ペダル踏面16は操作が容易にできる形状とされており、本実施形態ではその踏込部位は横長の長方形状とされている。
【0022】
<ストロークセンサ30とセンサ取付ブラケット28>
本実施形態のブレーキペダル装置10には、ペダルアーム12の回動状態を検知するストロークセンサ30が装備されている。ストロークセンサ30はハイブリッド車両に備えられており、ペダルアーム12の作動ストロークに応じてブレーク作動油圧機器(ブレーキブースタ等)を制御する。
【0023】
図4に良く示されるように、ストロークセンサ30はセンサ取付ブラケット28に取付けられており、センサ取付ブラケット28は右側ペダルブラケット20Rに一体的に取付けられている。したがって、ストロークセンサ30はセンサ取付ブラケット28を介してペダルブラケット20に取付けられる構成となっている。図5に示されるように、センサ取付ブラケット28の右側ペダルブラケット20Rへの取付けは、センサ取付ブラケット28に形成された脚部28aが、右側ペダルブラケット20Rに溶接により固定されて一体化されている。なお、センサ取付ブラケット28は鋼板製とされている。
【0024】
図5に良く示されるように、センサ取付ブラケット28は長楕円形状に形成されており、中央部位置にストロークセンサ30の取付基部30aを嵌合して取付ける円形孔27が形成されている。その嵌合状態は、後述の図7及び図8に示される。また、センサ取付ブラケット28における円形孔27の両側位置には、スタッドボルト32が2本配設されている。スタッドボルト32の配設方向は、ペダルアーム12の軸支方向と同方向とされている。図5で見てW方向の左右方向(幅方向)とされている。
【0025】
図9に示すように、ストロークセンサ30の基部両側にはスタッドボルト取付部位34(以下、単に「ボルト取付部位34」と称する)が形成されており、このボルト取付部位34にはスタッドボルト32を挿通することのできる切欠き取付溝36が、2個形成されている。この切欠き取付溝36の構成が、本実施形態が特徴とする構成である。図9に示される2個の切欠き取付溝36は、2個とも、図9で見て、下方に向けて開口する形態として形成されている。なお、この切欠き取付溝36の開口方向は、スタッドボルト32の軸方向と直交する方向となっている。
【0026】
そして、センサ取付ブラケット28に配設される2本のスタッドボルト32の配置間隔幅と、ボルト取付部位34に形成される2個の切欠き取付溝36の形成間隔幅は、同じ幅として設定されている。これにより、スタッドボルト32にストロークセンサ30をボルト取付部位34を介して取付けることができる。その取付けは、ストロークセンサ30をスタッドボルト32の軸方向に直交する方向から行われるが、その詳細は後述する。
【0027】
ストロークセンサ30はペダルアーム12の回動を検知するものであるため、ストロークセンサ30とペダルアーム12がリンク連結されている。図6はそのリンク連結機構を示す。図6に示すように、L字形リンク38がストロークセンサ30の中心部に取付けられており、L字形リンク38の他端がペダルアーム本体14に固定されて配置された固定部材39の凹溝40に係合されている。これにより、ペダルアーム12の回動がストロークセンサ30に伝えられて検知される。
【0028】
なお、図1及び図4に示すように、L字形リンク38は右側ペダルブラケット20Rを跨いで配設されるため、右側ペダルブラケット20Rには連通孔42が形成されている。この連通孔42を通じてL字形リンク38は配設されており、ペダルアーム12の回動がストロークセンサ30に伝えられるようになっている。
【0029】
また、ストロークセンサ30の上部位置に形成されている部位はコネクタ部44であり、ストロークセンサ30の検知情報を電気配線で制御部に伝えるための部位である。
【0030】
<ガード部材46>
次に、本実施形態の特徴とする他の構成であるガード部材46について説明する。ガード部材46は図4に良く示される。ガード部材46は、一般に「足蹴りブラケット」又は「蹴り上げ保護ブラケット」とも称される部材であり、ストロークセンサ30を異常な外力操作から保護するためのものである。例えば、運転者が誤って足でストロークセンサ30を蹴ったりした場合における保護を図るものである。
【0031】
ガード部材46はL字状に形成されており、本体部46Aとフランジ部46Bとから構成される。本体部46Aはストロークセンサ30における下方周面に配設される部位である。フランジ部46Bはストロークセンサ30における前面側(図4で見て、ストロークセンサ30の右側面側)に配設される部位である。本体部46Aとフランジ部46Bは鋼板製で一体に形成されている。
【0032】
ガード部材46は、本体部46AのL字形の反対側の端面がペダルアーム本体14の側面に当接して配設されており、当該当接個所がアーク溶接48により接合されて一体化されている。これにより、ペダルアーム12とガード部材46とは一体化されており、ガード部材46は、ペダルアーム12と一緒に回動するが、回動範囲においては、ストロークセンサ30の下方部と前面を包囲する配置状態となっている。
【0033】
<ストロークセンサ30の取り付け方>
次に、本実施形態が特徴とするストロークセンサ30の取り付け方について説明する。図7図2のVII-VII線矢視断面図を示す。この断面図に示すように、ストロークセンサ30の前面側(図7で見て上方側)にはガード部材46のフランジ部46Bが位置する。このためセンサ取付ブラケット28に固定して取付けられたスタッドボルト32に、当該スタッドボルト32の軸線方向から取付けようとしても、ガード部材46のフランジ部46Bが障害となって取付けることができない。図8はこの状態を説明するための図である。すなわち、図8に示すように、ガード部材46のフランジ部46Bがあると、スタッドボルト32にスタッドボルト取付部位34が係合した位置状態では、ストロークセンサ30の前面部がガード部材46のフランジ部46Bに当接する状態にあり、軸方向からスタッドボルト32に取付けることができない。
【0034】
このため、本実施形態では、ボルト取付部位34にスタッドボルト32の軸と直交する方向に開口し、スタッドボルト32とを挿通することのできる切欠き取付溝36(図9参照)を形成したものである。これにより、ストロークセンサ30をスタッドボルト32に対して、当該スタッドボルト32の軸線方向に対して直交する方向から取付けることができる。すなわち、ガード部材46のフランジ部46Bが障害となることはない。
【0035】
なお、図7に示すように、スタッドボルト32にボルト取付部位34を取付けた後、スタッドボルト32にはナット50が螺合されて、ストロークセンサ30のボルト取付部位34をセンサ取付ブラケット28に確実に取付けられる。
【0036】
<上記実施形態の作用効果>
先ず、本実施形態では、ストロークセンサ30はガード部材46により包囲されて保護されるので、ブレーキペダル装置10の下方からの蹴り上げの異常な外力に対して保護を図ることができる。特に、本実施形態においては、ガード部材46はL字状に形成されており、本体部46Aによりストロークセンサ30の下方部の保護を図るばかりでなく、フランジ部46Bによりストロークセンサ30の前面部の保護を図ることができる。
【0037】
次に、ストロークセンサ30のスタッドボルト32への取付けが、当該スタッドボルト32の軸の軸線方向と直交する方向から行うことができる。これにより、ストロークセンサ30の取付時に、ガード部材46のフランジ部46Bが障害となることがない。これは、ストロークセンサ30におけるボルト取付部位34に形成される切欠き取付溝36がスタッドボルト32の軸と直交する方向に開口して形成されていることによる。
【0038】
また、ガード部材46は本体部とフランジ部とがL字形に形成されていることにより、強度の向上を図ることができることから、板厚を薄くすることができて、軽量化を図ることもできる。
【0039】
<2個の切欠き取付溝36の別の配置形態>
図10はストロークセンサ30におけるスタッドボルト取付部位34に形成する2個の切欠き取付溝36の別の配置形態を示す。この別の配置形態においては、2個の切欠き取付溝36の開口は反対方向とされている。すなわち、2個の切欠き取付溝36が開口する位置は、スタッドボルト32の軸と直交する方向で見て互いに反対方向とされている。図10で見て、左側の切欠き取付溝36は上向きに開口し、右側の切欠き取付溝36は下向きに開口している。この反対方向の開口は、取付時におけるナット50(図7参照)の締付トルク方向(仮想線で示す矢印方向)と逆方向の開口となっている。すなわち、2個の切欠き取付溝36とも、ナット50の締付により切欠き取付溝36の溝底がスタッドボルトに押圧されるように開口している。これにより、ナット締め付けトルクによりストロークセンサ30が回転して切欠き取付溝36の内壁とスタッドボルト32との干渉により組付け位置精度が安定する。
【0040】
<切欠き取付溝36の別の形状形態>
図11はストロークセンサ30におけるスタッドボルト取付部位34に形成する切欠き取付溝36の形状の変形例を示す。当該変形例は切欠き取付溝36の形状をテーパ形状とするものである。テーパ形状は開口部が広く奥が狭いテーパ形状である。すなわち、溝底から溝開口に向けて溝幅が漸次広がるテーパ形状とされている。かかるテーパ形状とすることにより、スタッドボルト32への切欠き取付溝36の組付け挿入を容易に行うことができる。
【0041】
<その他の実施形態>
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は、その他各種の形態でも実施できる。
【0042】
例えば、上記実施形態の車両用ペダル装置は、車両用ブレーキペダル装置の場合であった。しかし、車両におけるその他のペダル装置にも広く適用することができる。例えば、クラッチペダル装置や、アクセルペダル装置等にも応用することができる。
【0043】
また、上記実施形態における操作量センサはストロークセンサ30であった。その他、操作ペダルの操作荷重を検知する荷重センサであってよい。
【0044】
また、上記実施形態におけるペダルアーム本体14は、1枚の板状部材の場合であった。中空形状で形成される構成でも良い。
【0045】
また、上記実施形態におけるストロークセンサ30とペダルアーム12とを連結するリンク連結構成は、L字形リンク38を用いる構成であった。このリンク連結構成は、周知の各種リンク連結構成であってもよい。
【0046】
<「課題を解決するための手段」に記載した各発明の作用効果>
なお、最後に上述の「課題を解決するための手段」における各発明に対応する上記実施形態の作用効果を付記しておく。
【0047】
先ず、第1の発明によれば、操作量センサにおけるスタッドボルト取付部位には、スタッドボルトの軸線方向に対して直交する方向に開口し、当該スタッドボルトを当該直交する方向に挿通することのできる切欠き取付溝が形成されている。これにより、操作量センサをスタッドボルトに対して、当該スタッドボルトの軸線方向に対して直交する方向から取付けることができる。
【0048】
また、第1の発明によれば、上記の結果、ペダルアームに取付けられるガード部材に、スタッドボルトの軸方向前面側を覆うフランジ部を有して形成することができる。これにより、スタッドボルトの軸方向前面側からの異常な外力操作に対して操作量センサの保護を図ることができる。
【0049】
次に、第2の発明によれば、ガード部材のフランジ部は、当該ガード部材における前記操作量センサの下方部を覆う本体部とL字状に形成される。これにより、操作量センサの下方からの外力に対してはガード部の本体部により保護され、側方(スタッドボルトの軸方向前面側)からの外力に対してはガード部材のフランジ部により保護される。
【0050】
次に、第3の発明によれば、操作量センサのスタッドボルト取付部位に形成される切欠き取付溝は2個形成されており、当該2個の切欠き取付溝が開口する位置は、スタッドボルトの軸と直交する方向で見て互いに反対方向とされている。これにより、ナット締め付けトルクにより操作量センサが回転して切欠き取付溝の内壁とスタッドボルトとの干渉により組付け精度が安定する。
【0051】
次に、第4の発明によれば、スタッドボルトが挿通される切欠き取付溝はテーパ形状に形成される。これにより、スタッドボルトを切欠き取付溝に容易に挿入することができ、組付けが容易である。
【0052】
次に、第5の発明によれば、車両用ブレーキペダル装置に好適に実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 ブレーキペダル装置(車両用操作ペダル装置)
12 ペダルアーム(操作ペダル)
14 ペダルアーム本体
16 ペダル踏面
18 ボス部
20 ペダルブラケット
20R 右側ペダルブラケット
20L 左側ペダルブラケット
22 ダッシュパネル
26 支持軸
27 円形孔
28 センサ取付ブラケット
28a 脚部
30 ストロークセンサ(操作量センサ)
32 スタッドボルト
34 スタッドボルト取付部位
36 切欠き取付溝
38 L字形リンク部材
40 凹溝
42 連通孔
44 コネクタ部
46 ガード部材
46A 本体部
46B フランジ部
48 アーク溶接
50 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11