(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ビーム制御装置
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20230925BHJP
H04J 1/00 20060101ALI20230925BHJP
H04B 10/2575 20130101ALI20230925BHJP
H04B 10/516 20130101ALI20230925BHJP
【FI】
H04B7/06 950
H04J1/00
H04B10/2575
H04B10/516
(21)【出願番号】P 2020145836
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2022-07-25
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省、「IoT機器増大に対応した有無線最適制御型電波有効利用基盤技術の研究開発(技術課題力「光ファイバ無線技術によるモバイルフロントホールの大容量化・高効率化技術」)」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】カオ シュン ユン
(72)【発明者】
【氏名】石村 昇太
(72)【発明者】
【氏名】西村 公佐
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-085925(JP,A)
【文献】特開2017-175560(JP,A)
【文献】特開2017-098675(JP,A)
【文献】特開2009-033226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04J 1/00
H04B 10/2575
H04B 10/516
H01Q 3/26
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を複数のアンテナから無線信号として送信することで形成される送信ビームを制御するビーム制御装置であって、
複数の変調信号及び複数の正弦波信号それぞれの位相を決定する決定手段と、
前記複数の変調信号及び前記複数の正弦波信号それぞれの位相を前記決定手段の決定に従い制御する位相制御手段と、
前記位相制御手段による位相制御後の前記複数の変調信号及び前記複数の正弦波信号に基づき、前記複数の変調信号に対応する複数の変調光と、前記複数の正弦波信号に対応する複数の光トーン信号を含む光信号であって、周波数領域において、変調光と光トーン信号が交互に等間隔で配置された前記光信号を生成する生成手段と、
を備え、
前記決定手段は、前記光信号において周波数領域で隣接する1つの光トーン信号及び1つの変調光をペアとし、前記光信号に含まれる各ペアの信号を光電変換して得られる前記電気信号それぞれの位相が目標値となる様に、前記複数の変調信号及び前記複数の正弦波信号それぞれの位相を決定
し、
前記決定手段は、
前記光信号に含まれる前記複数の変調光の内、隣接する光トーン信号が高周波側と低周波側の両方に配置されている第1変調光については、第1変調光と当該第1変調光に高周波側で隣接する光トーン信号とを1つのペアとし、かつ、第1変調光と当該第1変調光に低周波側で隣接する光トーン信号とを1つのペアとし、
前記光信号に含まれる前記複数の変調光の内、隣接する光トーン信号が高周波側のみに配置されている第2変調光については、第2変調光と当該第2変調光に高周波側で隣接する光トーン信号とを1つのペアとし、
前記光信号に含まれる前記複数の変調光の内、隣接する光トーン信号が低周波側のみに配置されている第3変調光については、第3変調光と当該第3変調光に低周波側で隣接する光トーン信号とを1つのペアとする
、ことを特徴とするビーム制御装置。
【請求項2】
各ペアの信号を光電変換して得られる前記電気信号それぞれの位相の前記目標値は、前記送信ビームに基づき決定されることを特徴とする請求項1に記載のビーム制御装置。
【請求項3】
前記複数のアンテナの数M(Mは2以上の整数)が偶数の場合、前記複数の変調光及び前記複数の光トーン信号の内の一方の数はM/2+1であり、他方の数はM/2であり、
前記複数のアンテナの数M(Mは2以上の整数)が奇数の場合、前記複数の変調光及び前記複数の光トーン信号の数は共に(M+1)/2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のビーム制御装置。
【請求項4】
前記複数の正弦波信号を生成する手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載のビーム制御装置。
【請求項5】
情報を搬送する変調信号を分岐して前記複数の変調信号を生成する手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載のビーム制御装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記位相制御手段による位相制御後の前記複数の変調信号及び前記複数の正弦波信号それぞれを異なる周波数に周波数変換する周波数変換手段と、
前記周波数変換手段による周波数変換後の前記複数の変調信号及び前記複数の正弦波信号を周波数多重して周波数多重信号を出力する周波数多重手段と、
前記周波数多重手段が出力する周波数多重信号に基づき連続光を変調することで前記光信号を生成する光変調手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載のビーム制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号を送信するアンテナサイトとは異なるサイトから送信ビームを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアンテナ(又は、複数のアンテナ素子を有する1つのアレイアンテナ)から送信される無線信号のビームを電気的に制御するビームフォーミング技術が無線通信において使用されている。ビームフォーミングのために、情報を搬送する無線周波数の変調信号(電気信号)は、アンテナの数だけ分岐される。分岐後の各変調信号の位相(又は、振幅及び位相)を調整し、対応するアンテナから無線信号として送信することで所望のビームが形成される。
【0003】
非特許文献1~非特許文献3は、アンテナが設置され、無線信号を送受信するアンテナサイトに各変調信号の位相を独立して制御するためのデバイスを設けることなく、アンテナサイトとは異なるサイト(以下、制御サイト)から送信ビームを制御する構成を開示している。
図1は、非特許文献1~非特許文献3が開示するビーム制御構成の説明図である。なお、
図1においては、アンテナサイトに6つのアンテナが設置されているものとしている。
【0004】
制御サイトは、
図1に示す光信号をアンテナサイトに送信する。光信号は、6つの光トーン信号(連続光)と、6つの変調光と、を周波数多重(波長多重)したものである。なお、
図1においては、矢印が光トーン信号を示し、四角形が変調光を示している。6つの変調光は、それぞれ、連続光を、同じ情報を搬送する同じ電気信号により同じ変調方式で変調したものである。例えば、6つの変調光は、同じ変調光それぞれを異なる周波数に周波数変換することで生成され得る。1つの変調光は、1つの光トーン信号に対応付けられてペアを形成している。本例では、アンテナサイトの6つのアンテナに対応して6つのペア#1~ペア#6が存在する。同じペア内の光トーン信号と、変調光の中心周波数との周波数差は、いずれも同じ値(本例ではfm)である。
【0005】
アンテナサイトにおいては、
図1に示す光信号の周波数分離を行って、各ペアに対応する光信号を取り出して、各光信号を個別に光電変換する。1つの光トーン信号と1つの変調光とを含む光信号を光電変換することで、変調光に対応する変調信号(電気信号)が得られる。この変調信号の中心周波数は、ペア内の光トーン信号と変調光の中心周波数との差である。つまり、
図1の例では、6つのペアに対応する6つの光信号それぞれを光電変換して得られる6つの変調信号の中心周波数はいずれも同じfmとなる。fmを無線周波数帯の周波数に設定することで、各変調信号は、無線周波数帯の信号となる。つまり、
図1は、所謂、RoF(Radio over Fiber)システムでもある。したがって、光電変換で得られた変調信号は、増幅後、対応するアンテナから無線信号として送信される。ここで、ペアを含む光信号を光電変換して得られる変調信号の位相は、光トーン信号の位相により変化する。したがって、各光トーン信号の位相を制御サイトにおいて制御することで、制御サイトから送信ビームを制御することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】高橋浩、「RoF伝送における光位相制御を用いた高周波信号の位相シフト法」、電子情報通信学会ソサイエティ大会、C-3-23、2019、2019年9月12日
【文献】高橋浩、「光位相制御を用いたRoF伝送における高周波信号の位相シフト法」、電子情報通信学会マイクロ波・ミリ波フォトニクス研究会、MWP2019-42、2019年11月27日
【文献】S.Akiba,et.al.,"Photonic Architecture for Beam Forming of RF Phased Array Antenna",in Optical Fiber Communication Conference,OSA Technical Digest(online)(Optical Society of America,2014),paper W2A.51
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、ビームを細かく制御するため、ビームフォーミング技術で使用するアンテナ数が増加している。非特許文献1~非特文献3の構成では、アンテナ数が増加すると、制御サイトとアンテナサイトとを接続する光伝送路に必要な帯域幅が増加する。しかしながら、制御サイトとアンテナサイトとを接続する光伝送路の帯域幅には上限があるため、制御サイトから送信される光信号の帯域幅の増加を抑える必要がある。
【0008】
本発明は、制御サイトから送信される光信号の帯域幅の増加を抑える技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によると、電気信号を複数のアンテナから無線信号として送信することで形成される送信ビームを制御するビーム制御装置は、複数の変調信号及び複数の正弦波信号それぞれの位相を決定する決定手段と、前記複数の変調信号及び前記複数の正弦波信号それぞれの位相を前記決定手段の決定に従い制御する位相制御手段と、前記位相制御手段による位相制御後の前記複数の変調信号及び前記複数の正弦波信号に基づき、前記複数の変調信号に対応する複数の変調光と、前記複数の正弦波信号に対応する複数の光トーン信号を含む光信号であって、周波数領域において、変調光と光トーン信号が交互に等間隔で配置された前記光信号を生成する生成手段と、を備え、前記決定手段は、前記光信号において周波数領域で隣接する1つの光トーン信号及び1つの変調光をペアとし、前記光信号に含まれる各ペアの信号を光電変換して得られる前記電気信号それぞれの位相が目標値となる様に、前記複数の変調信号及び前記複数の正弦波信号それぞれの位相を決定し、前記決定手段は、前記光信号に含まれる前記複数の変調光の内、隣接する光トーン信号が高周波側と低周波側の両方に配置されている第1変調光については、第1変調光と当該第1変調光に高周波側で隣接する光トーン信号とを1つのペアとし、かつ、第1変調光と当該第1変調光に低周波側で隣接する光トーン信号とを1つのペアとし、前記光信号に含まれる前記複数の変調光の内、隣接する光トーン信号が高周波側のみに配置されている第2変調光については、第2変調光と当該第2変調光に高周波側で隣接する光トーン信号とを1つのペアとし、前記光信号に含まれる前記複数の変調光の内、隣接する光トーン信号が低周波側のみに配置されている第3変調光については、第3変調光と当該第3変調光に低周波側で隣接する光トーン信号とを1つのペアとする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、制御サイトから送信される光信号の帯域幅の増加を抑えることができうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】一実施形態による、制御サイトのビーム制御装置がアンテナサイトの無線装置に送信する光信号を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
図2は、本実施形態によるビーム制御装置が無線装置に送信する光信号を示している。なお、無線装置はアンテナサイトに設置され、ビーム制御装置は、アンテナサイトとは異なる場所の制御サイトに設置される。本実施形態によるRoFシステムは、各アンテナに供給される変調信号の位相を個別に制御するためのデバイスをアンテナサイトに設けることなく、制御サイトから送信ビームを制御する。なお、
図2は、
図1と同様に、アンテナサイトの無線装置が6つのアンテナを有し、この6つのアンテナによりビームを形成する場合を示している。
【0014】
光信号は、4つの光トーン信号(連続光)51~54と、3つの変調光61~63と、を周波数領域において交互に配置したものである。光トーン信号と、隣接する変調光の中心周波数との差は、いずれも同じfmである。つまり、周波数領域において光トーン信号と変調光は交互に等間隔で配置されている。なお、fmは無線周波数帯の周波数とする。本実施形態でも、変調光は、隣接する光トーン信号に対応付けられてペアを形成している。但し、本実施形態においては、低周波側で隣接する光トーン信号と、高周波側で隣接する光トーン信号の両方が存在する変調光は、低周波側の光トーン信号及び高周波側の光トーン信号それぞれとペアを形成する。つまり、その様な変調光は、2つのペアそれぞれに属することになる。よって、
図2の例では、図示する様に、アンテナサイトの無線装置の6つのアンテナに対応して6つのペア#1~ペア#6が形成される。なお、
図2では存在しないが、低周波側で隣接する光トーン信号と、高周波側で隣接する光トーン信号のいずれかのみしか存在しない変調光は、1つの隣接する光トーン信号のみとペアを形成する。その様な変調光は、1つのペアのみに属することになる。
【0015】
アンテナサイトの無線装置は、
図2に示す光信号の周波数分離を行って、各ペアに対応する光信号を取り出して、各光信号を個別に光電変換する。1つの光トーン信号と1つの変調光とを含む光信号を光電変換することで、変調光に対応する変調信号(電気信号)が得られる。この変調信号の中心周波数は、ペア内の光トーン信号と変調光の中心周波数との差である。つまり、
図2の例では、6つのペアに対応する6つの光信号それぞれを光電変換して得られる6つの変調信号の中心周波数はいずれも同じfmとなる。無線装置は、この6つの変調信号に対して、増幅やフィルタ処理等を行い、処理後の変調信号を対応するアンテナに出力する。6つの変調信号の位相を制御サイトから個別に制御することができれば、各変調信号の位相を独立して調整するデバイスを無線装置に設けることなく、制御サイトから送信ビームを制御することができる。
【0016】
ここで、
図1の構成では、光トーン信号及び変調光は1つのペアのみに属し、よって、各ペアは独立していた。したがって、各ペアの変調光の位相を同じとした上で、ペア内の光トーン信号の位相を制御サイトにおいて任意に調整することで、アンテナサイトで得られる各変調信号の位相を任意に制御することが可能であった。しかしながら、本実施形態の構成では、複数のペアに属する光トーン信号又は変調光が存在する。例えば、
図2の構成において光トーン信号52は、ペア#2とペア#3の両方に属している。したがって、
図1の構成に様に、各変調信号61~63の位相を同じとすると、ペア#2に対応する光信号を光電変換して得た変調信号と、ペア#3に対応する光信号を光電変換して得た変調信号は、共に、光トーン信号52の位相のみにより決定され、同じとなる。したがって、
図2の構成では、変調光61~63の位相も、送信ビームに応じて制御する必要がある。以下、具体的に説明する。
【0017】
まず、光トーン信号51~54の位相をθ51~θ54とし、変調光61~63の位相をθ61~θ63とし、ペア#1~ペア#6を光電変換して得られる変調信号を変調信号#1~#6とする。この場合、変調信号#1~#6の位相θ#1~θ#6は、以下の式(1)~(6)で与えられる。
θ#1=θ61-θ51 (1)
θ#2=θ52-θ61 (2)
θ#3=θ62-θ52 (3)
θ#4=θ53-θ62 (4)
θ#5=θ63-θ53 (5)
θ#6=θ54-θ63 (6)
なお、位相θ#1~θ#6は、形成する送信ビームにより決まる値、つまり、所望の送信ビームを形成するための目標値であり、よって、ビーム制御装置には既知の値である。また、位相θ#1~θ#6は、光トーン信号と変調光の位相差により決まるため、位相θ51~θ54及び位相θ61~θ63の内の1つは、任意の位相とすることができる。つまり、例えば、ビーム制御装置は、位相θ51の値を任意に決定することができる。そうすると、未知数は、位相θ52~θ54及び位相θ61~θ63の計6つとなり、式が6つあるため、ビーム制御装置は、所望の送信ビームを形成するための位相θ#1~θ#6と、任意に決定した位相θ51とに基づき、位相θ52~θ54及び位相θ61~θ63の値を決定することができる。
【0018】
なお、アンテナ数が7の場合には、例えば、光トーン信号51より低周波側、又は、光トーン信号54より高周波側に変調光を配置してペア#7を形成する。より、一般的には、アンテナ数をM(Mは2以上の整数)とすると、Mが偶数の場合、光トーン信号の数はM/2+1となり、変調光の数はM/2となる。また、Mが奇数の場合、光トーン信号及び変調光の数は共に(M+1)/2となる。なお、Mが偶数の場合、光トーン信号の数をM/2とし、変調光の数をM/2+1とすることもできる。つまり、
図2の光トーン信号と変調光とを逆転させる構成とすることができる。但し、ビーム制御装置が送信する光信号の帯域幅は、
図2の様に配置した方が狭くなる。
【0019】
図3は、本実施形態によるビーム制御装置の構成図である。なお、以下の説明において、ビーム制御装置が無線装置に送信する光信号に含まれる光トーン信号の数をN
Tとし、変調光の数をN
Mとし、ペア数をMとする。分岐部14は、他の装置又はビーム制御装置の図示しない変調部から受信する、情報を搬送する変調信号(電気信号)をN
M個に分岐し、それぞれを、位相制御部15に出力する。このN
M個の変調信号は、それぞれ、光信号に含まれるN
M個の変調光に対応する。また、局所発振部12は、正弦波信号(電気信号)を生成し、分岐部13に出力する。分岐部13は、正弦波信号をN
T個に分岐し、それぞれを、位相制御部15に出力する。このN
T個の正弦波信号は、それぞれ、光信号に含まれるN
T個の光トーン信号に対応する。
【0020】
制御部11は、形成する送信ビームに応じて、上述した様に各光トーン信号の位相及び各変調光の位相を決定する。なお、形成する送信ビームは固定的であっても、動的に変化するものであっても良い。形成する送信ビームが固定的である場合、送信ビームを示す情報が制御部11に設定される。形成する送信ビームが動的に変化する場合には、例えば、制御部11には、形成する送信ビームを指定する情報が図示しない装置から入力される。例えば、移動通信システム等においては、無線装置の通信相手であるUEから、例えば、PMIの形式で送信ビームが指定され、この指定された送信ビームが制御部11に入力される。なお、形成する送信ビームが動的に変化する場合、制御部11は、送信ビームが変化する度に、各光トーン信号の位相及び各変調光の位相を決定する。なお、各光トーン信号の位相及び各変調光の位相は、対応する正弦波信号及び対応する変調信号の位相でもある。制御部11は、決定した各光トーン信号及び各変調光の位相、つまり、各正弦波信号及び各変調信号の位相を位相制御部15に通知する。
【0021】
位相制御部15は、制御部11からの通知に従い、N
T個の正弦波信号及びN
M個の変調信号それぞれの位相を制御し、位相制御後の正弦波信号及び変調信号それぞれを周波数変換部16に出力する。周波数変換部16は、N
T個の正弦波信号及びN
M個の変調信号それぞれを、
図2に示す様な光信号における光トーン信号及び変調光の配置に従って周波数変換し、周波数変換後の正弦波信号及び変調信号を周波数多重部17に出力する。周波数多重部17は、N
T個の正弦波信号及びN
M個の変調信号を周波数多重した周波数多重信号を光変調部18に出力する。光変調部18は、連続光を生成する光源を有し、周波数多重部17からの周波数多重信号で連続光を変調することで、
図2に示す様な光信号を生成する。当該光信号は、増幅等の処理が行われた後、アンテナサイトの無線装置に送信される。
【0022】
図4は、本実施形態による無線装置の構成図である。なお、アンテナ部23は、M個のアンテナを有している。周波数分離部21は、ビーム制御装置から
図2に示す様な光信号を受信し、ペア毎に周波数分離し、各ペアに対応する光信号を光電変換部22に出力する。つまり、周波数分離部21は、M個のペアそれぞれに対応する、1つの光トーン信号と1つの変調光を含む光信号を出力する。例えば、受信する、
図2に示す様な光信号を2分岐するカップラと、一方の光信号から奇数番号のペア(
図2のペア#1、#3及び#5)を取り出す周波数分離器と、他方から偶数番号のペア(
図2のペア#2、#4及び#6)を取り出す周波数分離器と、により周波数分離部21を構成することができる。
【0023】
光電変変換部22は、各ペアに対応する光信号を個別に光電変換する。したがって、光電変換部22は、M個の変調信号をアンテナ部23の対応するアンテナに出力する。このM個の変調信号は、ビーム制御装置に入力される変調信号に対応し、その位相は、所望の送信ビームを形成するための値(目標値)となっている。したがって、アンテナ部23からは、所望の送信ビームで無線信号が送信される。
【0024】
なお、図示していないが、光電変換部22とアンテナ部23との間には、増幅部やフィルタ部が設けられる。ここで、送信ビームの形成のために各変調信号の振幅を異ならせる場合、図示しない増幅部で個別に変調信号を増幅する構成とすることができる。なお、各増幅部における変調信号のゲインは、例えば、ビーム制御装置の制御部11から図示しない制御線により通知される。また、光トーン信号と変調光の振幅を調整することで、光電変換部22が出力する変調信号の振幅を調整することもできる。なお、各光トーン信号と各変調光の振幅の決定方法は、上述した位相の決定方法と同様である。つまり、
図3の位相制御部15に振幅を制御する機能を追加して振幅位相制御部とする。そして、ビーム制御装置の制御部11は、アンテナサイトにおいて各ペアに対応する信号を光電変換して得られる信号の振幅が所望の値となる様に、各正弦波信号及び各変調信号の振幅も決定して振幅位相制御部に通知する。そして、振幅位相制御部は、制御部11から通知された位相及び振幅となる様に各正弦波信号及び各変調信号を制御する。この場合、無線装置においては、各変調信号を増幅する増幅部のゲインを同じとすることができ、制御部11が無線装置にゲインを通知する必要はなくなる。
【0025】
本実施形態において、Mが偶数であり、かつ、
図2に示す様に光トーン信号の数を変調光より多くする場合、制御サイトから送信される光信号のために必要な帯域幅はfm×Mとなる。なお、Mが奇数の場合、変調光の帯域幅を2W(W<fm)とすると、制御サイトから送信される光信号のために必要な帯域幅はfm×M+Wとなる。一方、
図1の構成において、ペア間のガード帯域をGとすると、制御サイトから送信される光信号のために必要な帯域幅はfm×M+(G+W)×(M-1)となる。したがって、Mが偶数の場合、制御サイトから送信される光信号の帯域幅を(G+W)×(M-1)だけ減少させることができる。また、Mが奇数の場合、制御サイトから送信される光信号の帯域幅を(G+W)×(M-1)だけ減少させることができる。なお、Mが偶数の場合であって、光トーン信号の数を変調光より少なくすると、光トーン信号の数を変調光より多くした場合より2Wだけ帯域が増えるが、Gの値によらず、M=4以上においては帯域幅を減少させることができる。
【0026】
なお、本実施形態においてビーム制御装置は、外部装置から受信した変調信号、又は、内部で生成した変調信号を分岐部14で分岐していた。しかしながら、搬送する情報に基づきビーム制御装置内で変調信号を生成する場合、搬送する情報に基づきNM個の変調信号を個別に生成する構成とすることもできる。また、本実施形態においてビーム制御装置は、局所発振部12で1つの正弦波信号を生成し分岐部13で分岐していた。しかしながら、個別の局所発振部12によりNT個の正弦波信号を生成する構成とすることもできる。
【0027】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
11:制御部、15:位相制御部、18:光変調部