(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20230925BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 F
(21)【出願番号】P 2020160231
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】竹田 駿
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-013933(JP,A)
【文献】特開2019-057663(JP,A)
【文献】特開2020-120455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、前記基板側を向く第1面及び前記第1面側とは反対側に第2面を有する第1半導体装置と、
前記第1半導体装置と隣接し、前記基板上に設けられ、前記基板側を向く第1面及び前記第1面側とは反対側に第2面を有する第2半導体装置と、
前記第1半導体装置の前記第2面上に設けられ、第1半導体装置の前記第2面と接続した第1配線と、
前記第2半導体装置の前記第2面上に設けられ、第2半導体装置の前記第2面と接続した第2配線と、
前記第1配線上に設けられ、前記第1配線と接続した第1中間層と、
前記第2配線上に設けられ、前記第2配線と接続した第2中間層と、
前記第1中間層及び前記第2中間層上に前記第1中間層及び前記第2中間層と接続する板部を有し、前記板部と前記基板の間に柱部又は壁部を有し、前記柱部又は前記壁部を介して前記板部と前記基板が接続して、熱伝導性
を有する第3配線を有
し、
前記基板は、3W/mK以上の熱伝導性を有し、
前記第1中間層は、3W/mK以上の熱伝導性を有し、
前記第2中間層は、3W/mK以上の熱伝導性を有し、
前記第1半導体装置及び前記第2半導体装置が、各々前記第1中間層及び前記第2中間層を介して前記第3配線と熱接続している半導体モジュール。
【請求項2】
前記第1中間層は、前記第1配線から第3配線方向に電気的に絶縁性であり、
前記第1中間層を介して、前記第1配線と第3配線間は電気的に導通しておらず、
前記第2中間層は、前記第2配線から第3配線方向に電気的に絶縁性であり、
前記第2中間層を介して、前記第2配線と第3配線間は電気的に導通していない請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記第1中間層は、セラミック層又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層を含み、
前記第2中間層は、セラミック層又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層を含む請求項1又は2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記第1半導体装置の前記第1面に第1電極を有し、
前記第1半導体装置の前記第2面に第2電極を有し、
前記第2半導体装置の前記第1面に第1電極を有し、
前記第2半導体装置の前記第2面に第2電極を有し、
前記第1半導体装置の前記第2電極は、前記第1配線を介して前記第2半導体装置の前記第1電極と接続し、
前記第2配線は、前記第3配線と接続し、
前記第1中間層は、前記第1半導体装置の前記第2電極と前記第3配線の間に位置し、
前記第1中間層は、前記第1半導体装置の前記第2電
極と熱接続し、
前記第2中間層は、前記第2半導体装置の前記第2電極と前記第3配線の間に位置し、
前記第2中間層は、前記第2半導体装置の前記第2電
極と熱接続する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第1半導体装置の前記第1面に第1電極を有し、
前記第1半導体装置の前記第2面に第2電極を有し、
前記第2半導体装置の前記第1面に第2電極を有し、
前記第2半導体装置の前記第2面に第1電極を有し、
前記第1配線と前記第2配線は、開口部が設けられるように連結し、
前記連結した第1配線と第2配線は、前記第1半導体装置の前記第2電極及び前記第2半導体装置の前記第1電極と接続し、
前記第2半導体装置の前記第1電極は、前記第3配線と接続し、
前記開口部に前記第3配線の柱部又は壁部が通り、
前記第1中間層は、前記第1半導体装置の前記第2電極と前記第3配線の間に位置し、
前記第1中間層は、前記第1半導体装置の前記第2電
極と熱接続し、
前記第2中間層は、前記第2半導体装置の前記第1電極と前記第3配線の間に位置し、
前記第2中間層は、前記第2半導体装置の前記第1電
極と熱接続する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記第3配線は、前記半導体モジュールの第1外部電極端子である、又は、前記半導体モジュールの第1外部電極端子と接続している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記第1中間層は、第1金属層、セラミック層又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層、及び、第2金属層が積層した積層構造を有し、
前記第2中間層は、第3金属層、セラミック層又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層、及び、第4金属層が積層した積層構造を有し、
前記第1金属層は、前記第1配線と接合し、
前記第2金属層は、前記第3配線と接合し、
前記第3金属層は、前記第2配線と接合し、
前記第4金属層は、前記第
3配線と接続する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記第1半導体装置は、樹脂封止された半導体素子を有し、
前記第2半導体装置は、樹脂封止された半導体素子を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記第1半導体装置は、ベアチップである半導体素子の表面が前記第1半導体装置の前記第1面であり、
前記第1半導体装置のベアチップの前記表面の反対側が前記第1半導体装置の第2面であり、
前記第2半導体装置は、ベアチップである半導体素子の表面が前記第2半導体装置の前記第1面であり、
前記第2半導体装置のベアチップの前記表面の反対側が前記第2半導体装置の第2面である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体パワーモジュールにおいては、例えば、表裏面に銅箔が貼り付けられたセラミック基板に半田を介して半導体装置が実装されている。このような半導体パワーモジュールは、セラミック基板から放熱することができる。半導体装置から発せられた熱をより多く放出することで、半導体パワーモジュールの信頼性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の高い半導体モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体モジュールは、基板と、基板上に設けられ、基板側を向く第1面及び第1面側とは反対側に第2面を有する第1半導体装置と、第1半導体装置と隣接し、基板上に設けられ、基板側を向く第1面及び第1面側とは反対側に第2面を有する第2半導体装置と、第1半導体装置の第2面上に設けられ、第1半導体装置の第2面と接続した第1配線と、第2半導体装置の第2面上に設けられ、第2半導体装置の第2面と接続した第2配線と、第1配線上に設けられ、第1配線と接続した第1中間層と、第2配線上に設けられ、第2配線と接続した第2中間層と、第1中間層及び第2中間層上に第1中間層及び第2中間層と接続する板部を有し、板部と基板の間に柱部又は壁部を有し、柱部又は壁部を介して板部と基板が接続して、熱伝導性を有する第3配線を有する。基板は、3W/mK以上の熱伝導性を有し、第1中間層は、3W/mK以上の熱伝導性を有し、第2中間層は、3W/mK以上の熱伝導性を有し、第1半導体装置及び第2半導体装置が、各々第1中間層及び第2中間層を介して第3配線と熱接続している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態の半導体モジュールの断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の半導体モジュールの斜視展開図である。
【
図3】
図3は、実施形態の半導体モジュールの断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態の半導体モジュールの断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の半導体モジュールの断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の半導体モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0008】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。なお、図面中、同一又は類似の箇所には、同一又は類似の符号を付している。
【0009】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0010】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0011】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態は、半導体モジュールに関する。半導体装置に関する。第1実施形態は、より具体的には、パワー半導体モジュールに関する。
図1に実施形態の半導体モジュール100の断面図を示す。
図2に実施形態の半導体モジュール100の斜視展開図を示す。
図1及び
図2には、半導体モジュール100の要部を表している。なお、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに交差し、互いに直交することが好ましい。半導体モジュール100は、例えば、風力発電システム、太陽光発電システム及び車両などにおいて、インバータ等の電力変換装置に用いることができるものである。
【0013】
半導体モジュール100は、基板10と、第1半導体装置20Aと、第2半導体装置20Bと、第1配線31と、第2配線32と、第3配線33と、第4配線34と、第1中間層41と、第2中間層42と、外装材50とを有する。第1半導体装置20Aと第2半導体装置20Bは、基板10及び外装材50で構成されたケース内に配置されている。
【0014】
基板10は、絶縁性の支持体である。基板10の表面には、配線層11、配線層12と配線層13が設けられている。基板10は、セラミック層又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層を含むことが好ましい。絶縁性の熱伝導性樹脂層は、好ましくは、フィラーを含有する。フィラーは、例えば、窒化ホウ素、アルミナ、窒化アルミ、窒化ケイ素および炭化ケイ素などからなる群より選ばれる1種以上である。基板10は、第1半導体装置20Aや第2半導体装置20Bが発した熱を外部に放熱する部材であって、熱伝導性が高いことが好ましい。基板10は、3W/mK以上の熱伝導性を有することが好ましい。基板10は、17kV/mm以上の絶縁耐圧を有していることが好ましい。基板10上の配線層11と配線層12上には、第1半導体装置20A及び第2半導体装置20Bが設けられている。
【0015】
配線層11、配線層12及び配線層13は、CuやAlを含有する導電層である。配線層11、配線層12及び配線層13は、Y方向にも延びている。基板10上で配線層11、配線層12及び配線層13は、それぞれ離間している。配線層11上に第1半導体装置20A及び第4配線34が設けられていて、電気的に接続している。配線層12上に第2半導体装置20B及び第1配線31が設けられ、電気的に接続している。配線層13上に第2配線32及び第3配線が設けられ、電気的に接続している。部材間の接続は、ハンダや導電性ペーストを用いて、部材間を接合することが好ましい。配線層11と第1半導体装置20Aの接合部分などに用いられる接合部材は図示を省略している。
【0016】
半導体モジュール100は、半導体装置を有する。
図1において、半導体モジュール100の左側に第1半導体装置20A、半導体モジュール100の右側に第2半導体装置20Aが位置している。第1半導体装置20Aと第2半導体装置20Bは隣接している。半導体装置は、X方向及びY方向に実装され、1つの半導体モジュールに例えば10個以上の半導体装置が含まれる。第1半導体装置20A及び第2半導体装置20Bは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はMOSFETである。第1半導体装置20Aと第2半導体装置20Bは、同じ半導体素子を有することが好ましい。
【0017】
第1実施形態の第1半導体装置20Aは、半導体素子が封止樹脂21で封止されている。第1半導体装置20Aの基板10側を向く面は、第1面である。第1半導体装置20Aの第1面とは反対側の面は第2面である。第1半導体装置20Aの第1面は基板10と対向する。第1半導体装置20Aの第1面は第1配線31と接続している。第1半導体装置20Aは、第1電極22と第2電極23を有する。第1半導体装置20Aの第1面には第1電極22が設けられていて、第1電極22は、配線層11と電気的に接続している。配線層11は、第4配線34とも電気的に接続している。第1半導体装置20Aの第2面は配線層11と接続している。第1半導体装置20Aの第2面には第2電極23が設けられていて、第2電極23は、第1配線31と電気的に接続している。第1半導体装置20Aの第1電極22は、例えばエミッタ電極(ソース電極)で、第2電極23は例えばコレクタ電極(ドレイン電極)であるか、又はその逆である。第1半導体装置20Aからは、制御用の第3電極24が延びている。第3電極24は例えばゲート電極である。
【0018】
第1実施形態の第2半導体装置20Bは、半導体素子が封止樹脂21で封止されている。第2半導体装置20Bの基板10側を向く面は、第1面である。第2半導体装置20Bの第1面とは反対側の面は第2面である。第2半導体装置20Bの第1面は基板10と対向する。第2半導体装置20Bの第1面は第1配線31と接続している。第2半導体装置20Bは、第1電極22と第2電極23を有する。第2半導体装置20Bの第1面には第1電極22が設けられていて、第1電極22は、配線層12と電気的に接続している。配線層12は、第1配線とも電気的に接続している。第2半導体装置20Bの第2面は第2配線32と接続している。第2半導体装置20Bの第2面には第2電極23が設けられていて、第2電極23は、第2配線32と電気的に接続している。第2半導体装置20Bの第1電極22は、例えばエミッタ電極(ソース電極)で、第2電極23は例えばコレクタ電極(ドレイン電極)であるか、又はその逆である。第2半導体装置20Bからは、制御用の第3電極24が延びている。第3電極24は例えばゲート電極である。
【0019】
第1半導体装置20Aと第2半導体装置20Bは、直列に接続している。
図2のようにY方向に複数の第1半導体装置20Aが設けられている場合、第Y方向に並んだ第1半導体装置20Aは並列に接続している。
図2のようにY方向に複数の第2半導体装置20Bが設けられている場合、第Y方向に並んだ第2半導体装置20Bは並列に接続している。
【0020】
第1半導体装置20Aの第2電極23と第2半導体装置20Bの第1電極22は、第1配線31を介して電気的に接続し、より具体的には、第1配線31及び配線層12を介して電気的に接続している。
【0021】
第1配線31は、第1半導体装置20Aの第2電極23と第2半導体装置20の第1電極22を電気的に接続する導電性部材である。第1配線31は、CuやAlを主体とする金属で構成された導電性部材である。
【0022】
第1配線31は、第1半導体装置20Aの第2電極23から配線層12に向かって延在している。第1配線31は、配線層12の第1半導体装置20A側につながっている。配線層12は、半導体モジュール100のいわゆるコレクタ兼エミッタ端子と呼ばれる外部端子と接続していてもよい。第1配線31などの配線は、配線層12と対向するように面接触する足を設け、配線層12と超音波接合していてもよい。超音波接合によってハンダなどによる接合よりもより強固に接合することができる。第2配線32等と他の部材との接合にも超音波接合を採用することが好ましい。
【0023】
第2配線32は、第2半導体装置20Aの第2電極23と第3配線33を電気的に接続する導電性部材である。第2配線32は、CuやAlを主体とする金属で構成された導電性部材である。
第2配線32は、配線層13を介して第3配線33と接続している。
【0024】
第1中間層41は第1配線31上に設けられていて第1配線31と接続している。第1中間層41は、第1配線31と第3配線33の間に位置している。第1中間層41は、熱伝導性に優れる。第1中間層41は3W/mK以上の熱伝導性を有することが好ましい。第1中間層41は、第1半導体装置20Aの第2電極23と熱接続している。第1中間層41は、第1半導体装置20Aと第3配線33間の熱を伝える伝熱経路である。また、第1中間層42は、第3配線33と熱接続している。第1中間層41を介して、第1配線31と第3配線33が電気的に接続するとショートするため、第1中間層41を介して、第1配線31と第3配線33間が電気的に導通しない。第1中間層41は、第1配線31から第3配線33方向に、17kV/mm以上の絶縁耐圧を有していることが好ましい。第1中間層41は、絶縁性部材であるか第1配線31と第1中間層41が積層する方向において絶縁耐性を有する層を有する。第1中間層41は、セラミック層又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層を含むことが好ましい。第1中間層41を経る経路で熱を伝えやすくするために、第1中間層41の熱伝導率[W/mK]は、第1半導体装置20Aの熱伝導率[W/mK]よりも高いことが好ましい。
【0025】
第2中間層42は、第2配線32上に設けられていて第2配線32と接続している。第2中間層42は、第2配線31と第3配線33の間に位置している。第2中間層42は熱伝導性に優れる。第2中間層42は3W/mK以上の熱伝導性を有することが好ましい。第2中間層42は、第2半導体装置20Bの第2電極23と熱接続している。第2中間層42は、第2半導体装置20Bと第3配線33間の熱を伝える伝熱経路である。また、第2中間層42は、第3配線33と熱接続している。第2中間層42を介して、第2配線32と第3配線33間が電気的に導通しないことが好ましい。第2中間層42は、第2配線32から第3配線33方向に、17kV/mm以上の絶縁耐圧を有していることが好ましい。第2中間層42は、絶縁性部材であるか第2配線32と第2中間層42が積層する方向において絶縁耐性を有する層を有することが好ましい。第2中間層41は、セラミック層又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層を含むことが好ましい。第2中間層42を経る経路で熱を伝えやすくするために、第2中間層42の熱伝導率[W/mK]は、第2半導体装置20Bの熱伝導率[W/mK]よりも高いことが好ましい。
【0026】
第3配線33は、第1中間層41及び第2中間層41上に第1中間層41及び第2中間層42と接続する板部33aを有し、板部33aと基板10の間に柱部33b又は壁部33bを有する。第3配線33の板部33aは第1半導体装置20A及び第2半導体装置20Bを覆うようにXーY平面方向に広がっている。第3配線は、CuやAlを主体とする金属で構成された導電性部材である。第3配線33は、配線層13と電気的に接続している。第3配線33は、半導体モジュール100の外部に露出した第1外部電極端子となる端子部33cを有するか図示しない電極端子(第1外部電極端子)と接続している。第3配線33は、第1中間層41及び第2中間層42と熱接続していることが好ましい。第1中間層41及び第2中間層42と接続した第3配線33を設けると、第1半導体装置20Aと第2半導体装置20Bから発せられた熱が伝わるループ状の経路ができる。第1半導体装置20Aと第2半導体装置20Bから基板10側に伝わった熱は、基板10の半導体装置側とは反対側の面であるパッケージの外表面側から放熱し易い構成である。第1半導体装置20Aの第2電極23側で発生された熱は、第1半導体装置20Aを経るか、第1配線31及び第2配線層12を経ることで基板10に伝わり半導体モジュール100の外部に放熱しやすい。そして、第3配線33を設けることで、第1配線31に伝わった熱が、第3配線33の板部33a及び柱部33b又は壁部33bを経て基板10に伝わり、半導体モジュール100の外部に熱を放出し易くなる。第3配線33の柱部33b又は壁部33bの体積を大きくすること、つまり、太い柱部33b又は厚い壁部33bを板部33aと接続することで、効率良く放熱することができる。柱部33bや壁部33bは、半導体モジュール100の外部電極端子と接続するための導電性部分であるため、放熱のために新たな基板10のスペースを必要としない。基板10に追加のスペースを作らず、つまり、パッケージ面積を増やさずに効率的な放熱経路を増やすことができる。放熱経路を増やすことで、第1半導体装置20A及び第2半導体装置20Bの冷却がし易くなり、第1半導体装置20A及び第2半導体装置20Bの故障リスクを下げ、半導体モジュール100の信頼性を向上することができる。第3配線33は外装材50とも接していることから、第3配線33に伝わった熱が外装材50を通しても放熱し易い構成となっている。
【0027】
第3配線33の柱部33bは、Y方向に複数部分離して板部33aと接続するように設けられている。第3配線33の壁部33bは、
図2に示すようにY方向に延びた形状を有し、板部33aと接続している。板部33aの形状は、厳密な板形状に限定されず、一部に平坦面を有していたり、波型の形状を有していたり、凹凸を有していてもよい。また、柱部33b及び柱部33bは、板部33aからZ方向に延びていればよく、例えば、第1配線31のように平坦面と傾斜面を組み合わせた形状でもよい。壁部33bの形状も柱部33bと同様に板部33aからZ方向に延びていればよい。板部33a、柱部33b、壁部33bには、図示していない開口部を設けてもよい。他の配線の板部、柱部及び壁部も第3配線33の板部33a、柱部33b、壁部33bと同様に広義に解釈される。
【0028】
第3配線33には、第2半導体装置20Bの第3電極24が通る開口部33dを有することが好ましい。
図2では、開口面がY方向に延びる大きな長方形状である。
図2のように複数の第3電極24が通る開口部33dを採用することもできるし、1つの第3電極24に対して1つの開口部を設けることもできる。
【0029】
第4配線34は、配線層11と第1半導体装置20Aの第1電極22と電気的に接続している。第4配線34は、CuやAlを主体とする金属で構成された導電性部材である。第4配線34は、柱部34a又は壁部34aと半導体モジュール100の外部に露出した第2外部電極端子となる端子部34bを有する。第4配線34が端子部34bを有しない場合は、第4配線34は、図示しない第2外部電極端子に接続している。
【0030】
外装材50は、第1半導体装置20Aの第3電極24及び第2半導体装置20Bの第3電極24が通る開口部50aを有することが好ましい。外装材50の開口部50aは、例えば絶縁性の樹脂で封止されていることが好ましい。
【0031】
配線に関わる部材は、金属からなる材料で構成されていてもよいし、電気的に接続する面以外の部分に絶縁性で熱伝導性の高い部材を貼り合わせた材料で構成されていてもよい。
【0032】
(第2実施形態)
第2実施形態は、半導体モジュールに関する。
図3に第2実施形態の半導体モジュール101の断面図を示す。第2実施形態の半導体モジュール101は、半導体素子が樹脂封止された半導体装置に代えて樹脂封止されていないベアチップ(半導体素子)20C、20Dを第1半導体装置20C、第2半導体装置20Dとして用いていて、第4配線34に板部34cを設け、半導体素子20C、20Dからの熱を第4配線34を介して基板10に伝える構成であることが第1実施形態の半導体モジュール100と異なる。第1実施形態の半導体モジュール100と第2実施形態の半導体モジュール101で共通する内容については、その説明を省略する。
【0033】
ベアチップ20C、20Dは、絶縁性の樹脂で封止していない分半導体装置20A及び半導体装置20Bよりも薄いため、半導体モジュール101のパッケージ高さを低くすることができる。実施形態では、パッケージ高さを低くせずに、第4配線34に板部34cを設け、より放熱性の高いパッケージの例を示している。
【0034】
ベアチップである半導体素子の表面が第1半導体装置20Cの基板10側の面が第1面であり、第1半導体装置20Cのベアチップの第1面の反対側が第1半導体装置20Cの第1面の第2面である。第1半導体装置20Cの第1面と第2面のそれぞれに第1電極、第2電極が設けられている。
【0035】
第2半導体装置20Dは、ベアチップである半導体素子の基板10側の面が第2半導体装置20Dの第1面であり、第2半導体装置20Dのベアチップの第1面の反対側が第2半導体装置20Dの第2面である。第2半導体装置20Dの第1面と第2面のそれぞれに第1電極、第2電極が設けられている。
【0036】
半導体モジュール101は、第3中間層43及び第4中間層44を有する。
【0037】
第4配線34の板部34cは、第3配線33の板部33a上でX-Y面方向に広がっている。板部33aには、第1半導体装置2Cの第3配線24を通す開口部34dと、第2半導体装置2Dの第3配線24を通す開口部34eが設けられている。
【0038】
第3中間層43は、第1中間層41上の第3配線33の板部33aと第4配線34の板部34cの間に位置している。第3中間層43は、第1中間層41上の第3配線33の板部33a及び第4配線34の板部34cと熱接続している。第1半導体装置20C及び第2半導体装置20Dから第3配線33へ伝わった熱がさらに第3中間層43を介して第4配線34に伝わり、第4配線34から基板10の裏面を介して放熱することができる。
【0039】
第4中間層44は、第2中間層42上の第3配線33の板部33aと第4配線34の板部34cの間に位置している。第4中間層44は、第2中間層42上の第3配線33の板部33a及び第4配線34の板部34cと熱接続している。第1半導体装置20C及び第2半導体装置20Dから第3配線33へ伝わった熱がさらに第4中間層44を介して第4配線34に伝わり、第4配線34から基板10の裏面を介して放熱することができる。
【0040】
第3中間層43及び第4中間層44を設け、第3配線33に伝わった熱を第4配線34から基板10へ伝える経路が形成されている。従って、半導体装置を更に冷却し易い構成となっており、半導体モジュール101の信頼性が高まる。
【0041】
(第3実施形態)
第3実施形態は、半導体モジュールに関する。
図4に第3実施形態の半導体モジュール102の断面図を示す。第3実施形態の半導体モジュール102は、第2半導体装置20Bの基板10側の第1面に第2電極23を有し、第1面側とは反対側の第2面に第1電極22を有するように第2半導体装置20Bが配置され、第1配線31と第2配線32は、開口部35が設けられるように連結し、連結した第1配線31と第2配線32は、第1半導体装置20Aの第2電極23及び第2半導体装置2Bの第1電極22と接続し、第2半導体装置20Aの第1電極22は、配線層13を介して第3配線33と接続し、開口部35に第3配線33の柱部33d又は壁部33dが通ることが第1実施形態の半導体モジュール100と異なる。第1実施形態から第2実施形態の半導体モジュール100、101と第3実施形態の半導体モジュール102で共通する内容については、その説明を省略する。
【0042】
第3実施形態の半導体モジュール101は、第2半導体装置20Bを第1半導体装置20Aから反転させたように実装させた形態である。第1実施形態では第1半導体装置20Aと第2半導体装置20Bの極性が揃っていいたが、第3実施形態では、逆極性になるように半導体装置を実装させた場合に第3配線33を介して半導体装置から発せられた熱を基板10から放出する一形態を示している。
【0043】
第3実施形態では、逆極性になるように半導体装置は実装されていて、第1配線31と第2配線32が連結していることから、配線層12の役割を第1配線31と第2配線32が連結した部材が担っているため、基板10上の配線層を介さずに第1半導体装置20Aと第2半導体装置20B間を電気的に接続させている。
【0044】
第3配線33の柱部33b又は壁部は、連結した第1配線31と第2配線32の開口部35を通り、基板10上に設けられている配線層13を介して第2半導体装置2Bの第2電極23と電気的に接続している。このようにして第3配線33を経た熱が基板10から放熱することができる。
【0045】
第2半導体装置20Bの第1電極22は第2配線32と接続している。第1配線31と第2配線32が連結していることから、第1半導体装置20Aの第2電極23と第2半導体装置20Bの第1電極22Aは、連結した第1配線31と第2配線32を介して電気的に接続している。
【0046】
第1中間層41は、実施形態1と同様に第1半導体装置20Aの第2電極23と第3配線33の間に位置している。そして、第1中間層41は、第1半導体装置20Aの第2電極23及び第3配線33と熱接続している。また、第2中間層42は、第2半導体装置20Bの第1電極22と第3配線33の間に位置している。そして、第2中間層42は、第2半導体装置20Bの第1電極22及び第3配線33と熱接続している。
【0047】
第3実施形態においても、第1実施形態などと同様に基板10に追加のスペースを設けずに第1中間層41及び第2中間層42で熱を伝えることで、半導体装置を冷却し易い構成となっており、半導体モジュール102の信頼性が向上する。
【0048】
(第4実施形態)
第4実施形態は、半導体モジュールに関する。
図5に第4実施形態の半導体モジュール103の断面図を示す。第4実施形態の半導体モジュール103は、柱部33b又は壁部33bが第3配線33に含まれず、柱状又は壁状の第5配線36が第3配線33と配線層13を接続し、第1中間層41が第1金属層41b、セラミック層41a又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層41a、及び、第2金属層41cが積層した積層構造を有し、第2中間層42は、第3金属層42b、セラミック層42a又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層42a、及び、第4金属層42cが積層した積層構造を有ししていることが第3実施形態の半導体装置102と異なる。第1実施形態から第3実施形態の半導体モジュール100、101、102と第4実施形態の半導体モジュール103で共通する内容については、その説明を省略する。
【0049】
柱部33b又は壁部33bの無い第3配線33を用い、柱状又は壁状の第5配線36を第3配線33と基板10上の配線層13の間に設け、第5配線36によって、第3配線33と第2半導体装置20Bの第2電極23を電気的に接続している。第3配線33に柱部33bや壁部33bを設ける場合、加工上の理由で、柱部33bや壁部33bの形状に制限が生じることがある。そのような場合、張り出し部分の大きな柱部33bや壁部33bを別部材(第5配線36)として用意し第3配線33及び配線層13と接合することが好ましい。第5配線36と第3配線33及び配線層13とは、ハンダや導電性ペーストを用いて接合層37、38を形成して接合することが好ましい。
【0050】
第1中間層41は、第1金属層41b、セラミック層41a又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層41a、及び、第2金属層41cが積層した積層構造を有することが好ましい。金属層に挟まれた絶縁層を有する構成を採用することで、高い絶縁性と放熱性を両立することができる。第1金属層41bは、ハンダや焼結した導電性ペーストなどで第1配線31と接合していることが好ましい。第2金属層41cは、ハンダや焼結した導電性ペーストなどで第3配線33と接合していることが好ましい。
【0051】
第2中間層42は、第3金属層42b、セラミック層42a又は/及び絶縁性の熱伝導性樹脂層42a、及び、第4金属層42cが積層した積層構造を有することが好ましい。金属層に挟まれた絶縁層を有する構成を採用することで、高い絶縁性と放熱性を両立することができる。第3金属層42bは、ハンダや焼結した導電性ペーストなどで第1配線31と接合していることが好ましい。第4金属層42cは、ハンダや焼結した導電性ペーストなどで第3配線33と接合していることが好ましい。
【0052】
第4実施形態においても、第1実施形態などと同様に基板10に追加のスペースを設けずに第1中間層41及び第2中間層42で熱を伝えることで、半導体装置を冷却し易い構成となっており、半導体モジュール103の信頼性が向上する。
【0053】
(第5実施形態)
第5実施形態は、半導体モジュールに関する。
図6に第5実施形態の半導体モジュール104の断面図を示す。第5実施形態の半導体モジュール104は、板部33aの第5配線36と接続している部分において、第5配線36に向かって凸部を有することが第4実施形態の半導体モジュール103と異なる。第1実施形態から第4実施形態の半導体モジュール100、101、102、103と第5実施形態の半導体モジュール104で共通する内容については、その説明を省略する。
【0054】
第5配線36を経て熱が基板10へ伝わる構成を採用しているため、第5配線36と配線層13の接合層37及び第5配線36と第3配線33の接合層38は、熱サイクルによる負荷がかかりやすく接合層37、38の信頼性が低下する場合がある。そこで、第5配線36の高さが高い場合に、第5配線36の高さを低くするために板部33aの第5配線36と接続している部分において、第5配線36に向かって凸部を有することが好ましい。第3配線層33に凸部による変形部分があり、歪みを解消しやすい点でも好ましい。
【0055】
第5実施形態においても、第1実施形態などと同様に基板10に追加のスペースを設けずに第1中間層41及び第2中間層42で熱を伝えることで、半導体装置を冷却し易い構成となっており、半導体モジュール104の信頼性が向上する。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
100、101、102、103、104…半導体装置、10…基板、11…配線層、12…配線層、13…配線層、20…半導体装置、21…封止樹脂、22…第1電極、23…第2電極、31…第1配線、32…第2配線、33…第3配線、34…第4配線、35…開口部、36…第5配線、41…第1中間層、42…第2中間層、43…第3中間層、44…第4中間層、50…外装材