(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】シクロヘキサンカルボン酸を含む酸味増強剤
(51)【国際特許分類】
A23L 27/20 20160101AFI20230925BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20230925BHJP
【FI】
A23L27/20 F
A23L27/10 C
(21)【出願番号】P 2020512382
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018085280
(87)【国際公開番号】W WO2019121551
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/117901
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シアン-ウェン ガン
(72)【発明者】
【氏名】ダン-ティン イン
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ エフリジェ
(72)【発明者】
【氏名】ティン チェン
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-033023(JP,A)
【文献】日本調理科学会誌,2008年,41(4),pp.257-261
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F,A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーバー付けされた物品の酸味を増強する方法であって、
前記方法は、生コーヒー豆エキス、スイカズラ花エキスおよびトチュウ樹皮エキスからなる群から選択される植物エキスを、前記フレーバー付けされた物品に添加するステップを含み、
前記フレーバー付けされた物品は、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸および乳酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸を含み、
前記植物エキスは、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸を含み、
前記植物エキスは、十分な量で添加されて、前記フレーバー付けされた物品に少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量をもたらし、
前記フレーバー付けされた物品における前記少なくとも1種の酸の量が0.02重量%~0.1重量%であ
り、
前記少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸が、5-カフェオイルキナ酸(5-CQA)であり、
前記少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量が、前記フレーバー付けされた物品において50ppm(重量)である、方法。
【請求項2】
フレーバー付けされた物品の酸味を増強するためのシクロヘキサンカルボン酸の使用であって、
前記使用は、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量を前記フレーバー付けされた物品に添加するステップを含み、
前記フレーバー付けされた物品は、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸および乳酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸を含み、
前記フレーバー付けされた物品における前記少なくとも1種の酸の量が0.02重量%~0.1重量%であ
り、
前記少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸が、5-カフェオイルキナ酸(5-CQA)であり、
前記少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量が、前記フレーバー付けされた物品において50ppm(重量)である、
前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年12月22日に出願された国際特許出願番号PCT/CN2017/117901の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書にそのまま組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本明細書に提示されるさまざまな態様は、フレーバー付けされた物品において、それらの酸味を増強、改善または改変するためのシクロヘキサンカルボン酸の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
フレーバー調整剤は、フレーバー付けされた物品の元のフレーバーを補足、増強または改変するために追加される物質である。フレーバーとは、味、匂いまたは香気と、化学的感覚因子とを組み合わせた知覚として定義される。フレーバーの知覚は、口腔と鼻腔の両方の受容体の化学的刺激の結果である。基本味は、甘味、酸味、塩味および苦味である。別の基本味として説明されるうま味は、フレーバープロファイルの他の成分および構成要素の味効果を増強する。うま味や特定の三叉神経効果を含むこれらの基本味は、口腔内で知覚される。香気は、消費される前に食品から発せられる匂い、または製品を噛んで飲み込む間に知覚されるフレーバーであり得る。
【0004】
フレーバー調整剤および/または香気調整剤を、食品(飲料を含む)、パーソナルケア製品もしくは家庭用ケア製品、医薬品、または他の組成物に添加して、望ましいフレーバーおよび/もしくは香気を増強するか、または望ましくない属性をマスキングもしくは排除することにより、製品の受入れを増やすことができる。フレーバー調整剤を使用して、摂取可能な食品、栄養補助食品および医薬品のほか、口腔ケア製品およびパーソナルケア製品(たとえば、マウスウォッシュ、歯磨き粉、化粧品、香水など)、または家庭や企業などの内部および周辺で見出され得る製品のフレーバーおよび/または香気を変えることができる。
【0005】
食品の品質を改善し、そのような製品に新しい異なるフレーバーと香気の感覚を提供することが長い間の目標であった。比較的長い貯蔵寿命を持つと予想される食品の商業生産では、食品組成物に望ましくない異味を生じる可能性のある成分の加工条件、保存条件および/または添加を使用することがしばしば必要である。味の問題に対する典型的な解決策は、成分と製造のコストが高いため、しばしば効果的ではない。フレーバー調整剤の使用は、食品組成物における望ましくない異味を排除または実質的に低減するほか、食品の全体的な味の知覚を改善し、かつ/または新しい斬新な味の体験を提供し得る。したがって、そのようなフレーバーの改善および斬新さを食品に提供し、好ましくは費用効果の高い方法でこれらの利益を与え得るフレーバー調整剤を供給することが望ましいだろう。
【0006】
概要
本明細書に提示される一態様は、フレーバー付けされた物品の酸味を増強する方法を提供し、この方法は、生コーヒー豆エキス、スイカズラ花エキスおよびトチュウ樹皮エキスからなる群から選択される植物性エキスを、フレーバー付けされた物品に添加するステップを含み、フレーバー付けされた物品は、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸および乳酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸を含み、植物性エキスは、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸を含み、植物性エキスは、十分な量で添加されて、フレーバー付けされた物品に少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量をもたらす。
【0007】
本明細書に提示される一態様は、フレーバー付けされた物品の酸味を増強する方法を提供し、この方法は、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量をフレーバー付けされた物品に添加するステップを含み、フレーバー付けされた物品は、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、および乳酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸を含む。
【0008】
一態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、生コーヒー豆エキス、スイカズラ花エキスおよびトチュウ樹皮エキスからなる群から選択される植物性エキスから得られる。
【0009】
一態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、5-カフェオイルキナ酸(5-CQA)、3-カフェオイルキナ酸(3-CQA)、4-カフェオイルキナ酸(4-CQA)、3,4-ジカフェオイルキナ酸(3,4-diCQA)、3,5-ジカフェオイルキナ酸(3,5-diCQA)、4,5-ジカフェオイルキナ酸(4,5-diCQA)、3-フェルロイルキナ酸(3-FQA)、4-フェルロイルキナ酸(4-FQA)、5-フェルロイルキナ酸(5-FQA)、3-p-クマロイルキナ酸(3-p-CoQA)、4-p-クマロイルキナ酸(4-p-CoQA)、5-p-クマロイルキナ酸(3-p-CoQA)、3,4-カフェオイルフェルロイルキナ酸(3,4-CFQA)、3,4-フェルロイルカフェオイルキナ酸(3,4-FCQA)、3,5-カフェオイルフェルロイルキナ酸(3,5-CFQA)、3,5-フェルロイルカフェオイルキナ酸(3,4-FCQA)、4,5-カフェオイルフェルロイルキナ酸(4,5-CFQA)、4,5-フェルロイルカフェオイルキナ酸(4,5-FCQA)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0010】
一態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は5-カフェオイルキナ酸である。
【0011】
一態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~1000ppmである。
【0012】
詳細な説明
以下の説明では、実施され得る特定の実施形態が参照され、これは例示として示される。これらの実施形態は、当業者が本明細書に記載の本発明を実施できるように詳細に説明され、他の実施形態が利用されてもよく、本明細書に提示される態様の範囲から逸脱することなく論理的な変更が行われてもよいことを理解されたい。したがって、例示的な実施形態の以下の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本明細書に提示されるさまざまな態様の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0013】
要約は、読者が技術的開示の性質と要旨を迅速に確認できるように、37 C.F.R.1.72(b)に準拠して提供されている。要約は、特許請求の範囲または意味を解釈または制限するのに使用されないという理解の下で提出される。
【0014】
驚くべきことに、フレーバー付けされた物品に少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸を添加すると、フレーバー付けされた物品が酸を含む場合、フレーバー付けされた物品の酸味を増強できることが発見された。酸の非限定的な例には、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ビタミンC、酢酸、ギ酸、シュウ酸、リン酸、コハク酸、フマル酸、ケトグルタル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、およびそれらの組合せが含まれる。
【0015】
本明細書で使用される「嗅覚有効量」という用語は、フレーバー付けされた物品に存在する場合、フレーバー付けされた物品の酸味を増強する少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の量を指す。
【0016】
いくつかの態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、果物(たとえば、リンゴ、アプリコット、ブラックベリー、ブルーベリー、チェリー、柑橘類、ピーチ、ペア、プラムおよびイチゴ)、植物葉(たとえば、ブルーベリー葉、マテ葉、ステビア葉またはトチュウ葉)、野菜(たとえば、アーティチョーク、芽キャベツ、キャベツ、ニンジン、ナス、ケール、ピーマン、ジャガイモおよびトマト)ならびに他の植物(たとえば、竹、コーヒー豆、スイカズラの花、ヒマワリの種およびイェルバ・マテ)などの多種多様な植物から得られたエキスを含み得る。
【0017】
植物性エキスは、商業的に入手され得るか、または、たとえば、Farah et al.,J.Nutr.December 2008,vol.138 no.12,2309-2315、またはUpadhyay et al.,Crit.Rev.Food.Sci.Nutr.,2013,Vol.53,968-984、またはLi et al.,Medicinal Plant,2014,Vol.5,4-7に記載されているように、当該技術分野において知られている手順に従って単離または生成され得る。
【0018】
したがって、本明細書に提示されるいくつかの態様は、フレーバー付けされた物品の酸味を増強する方法を提供し、この方法は、フレーバー付けされた物品に植物性エキスを添加するステップを含み、フレーバー付けされた物品は、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸および乳酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸を含み、植物性エキスは、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸を含み、植物エキスは、十分な量で添加されて、フレーバー付けされた物品に少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量をもたらす。
【0019】
いくつかの態様では、植物性エキスは、生コーヒー豆エキス、スイカズラ花エキスおよびトチュウ樹皮エキスからなる群から選択される。
【0020】
本明細書に提示されるいくつかの態様は、フレーバー付けされた物品の酸味を増強する方法を提供し、この方法は、フレーバー付けされた物品に少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量を添加するステップを含み、フレーバー付けされた物品は、少なくとも1種の酸を含む。
【0021】
特定の理論に限定されることを意図するものではないが、モデルシステムを使用して酸味の増強を定量化してもよい。モデルシステムの一例は、0.02重量%~0.1重量%の少なくとも1種の酸を含む5%スクロース溶液を含む。
【0022】
いくつかの態様では、モデルシステムは、0.02~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.02~0.08重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.02~0.07重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは0.02~0.06重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.02~0.05重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.02~0.04重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.02~0.03重量%の少なくとも1種の酸を含む。
【0023】
いくつかの態様では、モデルシステムは、0.03~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.04~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.05~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.06~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.07~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、モデルシステムは、0.08~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。
【0024】
いくつかの態様では、モデルシステムは、0.02、または0.03、または0.04、または0.05、または0.06、または0.07、または0.08、または0.09、または0.10重量%の少なくとも1種の酸を含む。
【0025】
下記の例1は、モデルシステムにおける酸味増強剤として、以下の構造:
【化1】
を有するシクロヘキサンカルボン酸の性能を説明している:
【0026】
いくつかの態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、5-カフェオイルキナ酸(5-CQA)、3-カフェオイルキナ酸(3-CQA)、4-カフェオイルキナ酸(4-CQA)、3,4-ジカフェオイルキナ酸(3,4-diCQA)、3,5-ジカフェオイルキナ酸(3,5-diCQA)、4,5-ジカフェオイルキナ酸(4,5-diCQA)、3-フェルロイルキナ酸(3-FQA)、4-フェルロイルキナ酸(4-FQA)、5-フェルロイルキナ酸(5-FQA)、3-p-クマロイルキナ酸(3-p-CoQA)、4-p-クマロイルキナ酸(4-p-CoQA)、5-p-クマロイルキナ酸(3-p-CoQA)、3,4-カフェオイルフェルロイルキナ酸(3,4-CFQA)、3,4-フェルロイルカフェオイルキナ酸(3,4-FCQA)、3,5-カフェオイルフェルロイルキナ酸(3,5-CFQA)、3,5-フェルロイルカフェオイルキナ酸(3,4-FCQA)、4,5-カフェオイルフェルロイルキナ酸(4,5-CFQA)、4,5-フェルロイルカフェオイルキナ酸(4,5-FCQA)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、鏡像異性体、またはジアステレオ異性体、またはそれらの混合物の形態であり得る。
【0027】
特定の理論に限定されることを意図するものではないが、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸がモデルシステムの酸味を増強する能力は、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸がフレーバー付けされた物品の酸味を増強する能力と相関する。
【0028】
いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.005重量%~0.5重量%の少なくとも1種の酸を含む。
【0029】
いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.02~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.02~0.08重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.02~0.07重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.02~0.06重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.02~0.05重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.02~0.04重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.02~0.03重量%の少なくとも1種の酸を含む。
【0030】
いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.03~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.04~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.05~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.06~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.07~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.08~0.09重量%の少なくとも1種の酸を含む。
【0031】
いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、0.02、または0.03、または0.04、または0.05、または0.06、または0.07、または0.08、または0.09、または0.10重量%の少なくとも1種の酸を含む。
【0032】
いくつかの態様では、少なくとも1種の酸は、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ビタミンC、酢酸、ギ酸、シュウ酸、リン酸、コハク酸、フマル酸、ケトグルタル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0033】
いくつかの態様では、少なくとも1種の酸は、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0034】
いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~900ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~800ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~700ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~600ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~500ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~400ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~300ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~200ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~100ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~90ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~80ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~70ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~60ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~50ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~40ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~30ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~20ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~10ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~9ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~8ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~7ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~6ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~5ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~4ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~3ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~2ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~1ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~0.9ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~0.8ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~0.7ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~0.6ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~0.5ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~0.4ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~0.3ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~0.2ppmである。
【0035】
いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.2~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.3~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.4~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.5~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.6~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.7~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.8~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.9~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において1~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において2~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において3~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において4~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において5~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において6~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において7~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において8~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において9~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において10~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において20~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において30~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において40~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において50~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において60~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において70~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において80~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において90~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において100~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において200~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において300~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において400~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において500~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において600~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において700~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において800~1000ppmである。いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において900~1000ppmである。
【0036】
いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸の嗅覚有効量は、フレーバー付けされた物品において0.1、または0.2、または0.3、または0.4、または0.5、または0.6、または0.7、または0.8、または0.9、または1、または2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10、または20、または30、または40、または50、または60、または70、または80、または90、または100、または200、または300、または400、または500、または600、または700、または800、または900、または1000ppmである。
【0037】
シクロヘキサンカルボン酸
いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸はクロロゲン酸である。本明細書で使用される「クロロゲン酸」という用語は、植物材料に見られるフェノール酸を指す。クロロゲン酸は、キナ酸上のアシル残基の同一性、数および位置により分類され得る。
【0038】
本発明のシクロヘキサンカルボン酸は、商業的に入手でき、たとえば、Sefkow(Eur.J.Org.Chem.2001,1137-1141)に記載されているように、当該技術分野で知られている手順に従って合成できるか、または果物(たとえば、リンゴ、アプリコット、ブラックベリー、ブルーベリー、チェリー、柑橘類、ピーチ、ペア、プラムおよびイチゴ)、植物葉(たとえば、ブルーベリー葉、マテ葉、ステビア葉またはトチュウ葉)、野菜(たとえば、アーティチョーク、芽キャベツ、キャベツ、ニンジン、ナス、ケール、ピーマン、ジャガイモおよびトマト)ならびに他の植物(たとえば、竹、コーヒー豆、スイカズラの花、ヒマワリの種およびイェルバ・マテ)などの多種多様な植物から得ることができる。
【0039】
いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸は、国際特許出願公開番号WO2002/100192A1に開示されているシクロヘキサンカルボン酸から選択される。
【0040】
いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸は、国際特許出願公開番号WO2016/209664A1に開示されているシクロヘキサンカルボン酸から選択される。
【0041】
いくつかの態様では、シクロヘキサンカルボン酸は、米国特許番号6,632,459B2に開示されているシクロヘキサンカルボン酸から選択される。
【0042】
いくつかの態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、5-カフェオイルキナ酸(5-CQA)、3-カフェオイルキナ酸(3-CQA)、4-カフェオイルキナ酸(4-CQA)、3,4-ジカフェオイルキナ酸(3,4-diCQA)、3,5-ジカフェオイルキナ酸(3,5-diCQA)、4,5-ジカフェオイルキナ酸(4,5-diCQA)、3-フェルロイルキナ酸(3-FQA)、4-フェルロイルキナ酸(4-FQA)、5-フェルロイルキナ酸(5-FQA)、3-p-クマロイルキナ酸(3-p-CoQA)、4-p-クマロイルキナ酸(4-p-CoQA)、5-p-クマロイルキナ酸(3-p-CoQA)、3,4-カフェオイルフェルロイルキナ酸(3,4-CFQA)、3,4-フェルロイルカフェオイルキナ酸(3,4-FCQA)、3,5-カフェオイルフェルロイルキナ酸(3,5-CFQA)、3,5-フェルロイルカフェオイルキナ酸(3,4-FCQA)、4,5-カフェオイルフェルロイルキナ酸(4,5-CFQA)、4,5-フェルロイルカフェオイルキナ酸(4,5-FCQA)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、鏡像異性体、またはジアステレオ異性体、またはそれらの混合物の形態であり得る。
【0043】
いくつかの態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は5-カフェオイルキナ酸である。
【0044】
いくつかの態様では、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は生コーヒーから精製される。生コーヒーからシクロヘキサンカルボン酸を精製する方法の例と、生コーヒーから抽出されたシクロヘキサンカルボン酸を含む組成物とは、Del Rio et al.,Nutrients 2(8):820-833(2010)に開示されている。
【0045】
フレーバー付けされた物品
少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、フレーバー付けされた物品に直接添加されてもよい。あるいは少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、フレーバー付けされた物品の特定の成分と事前に混合されてもよい。たとえば、少なくとも1種のシクロヘキサンカルボン酸は、フレーバー付けされた物品に酸味を付与することに関与する成分と混合されてもよく、これはフレーバー付けされた物品の残りの成分にその後添加され得る。
【0046】
フレーバー付けされた物品には、たとえば、食品(たとえば飲料)、天然甘味料または人工甘味料などの甘味料、医薬組成物、栄養補助食品、機能性食品、歯科衛生組成物および化粧品が含まれる。フレーバー付けされた物品は、フレーバー料をさらに含んでもよい。
【0047】
いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、たとえば、果物、野菜、ジュース、ハム、ベーコンおよびソーセージなどの肉製品、卵製品、果物濃縮物、ジャム、ゼリー、保存食品などのゼラチンおよびゼラチン様製品、アイスクリーム、サワークリームおよびシャーベットなどの乳製品、アイシング、糖蜜を含むシロップ、トウモロコシ、小麦、ライ麦、大豆、オート麦、米および大麦製品、ナッツおよびナッツ製品、ケーキ、クッキー、キャンディー、ガム、フルーツフレーバードロップ、およびチョコレートなどの菓子、チューインガム、ミント、クリーム、パイおよびパンを含むが、これらに限定されない食品である。
【0048】
いくつかの態様では、食品は、たとえば、コーヒー、ティー、COKEおよびPEPSIなどの炭酸清涼飲料、非炭酸清涼飲料および他のフルーツ飲料、GATORADEなどのスポーツ飲料ならびにビール、ワインおよび酒などのアルコール飲料を含むが、これらに限定されない飲料である。
【0049】
フレーバー付けされた物品には、水で再構成すると、非炭酸飲料、インスタントプリンミックス、インスタントコーヒーおよびティー、コーヒーホワイトナー、麦芽ミルクミックス、ペットフード、家畜飼料、タバコを提供する粒状フレーバーミックスなどの調製済みパッケージ製品、ならびにパン、クッキー、ケーキ、パンケーキ、ドーナツなどを調製するための粉末状ベーキングミックスなどのベーキング用途の材料も含まれ得る。
【0050】
フレーバー付けされた物品には、スクロースをほとんどまたはまったく含まないダイエット用または低カロリーの食品および飲料も含まれ得る。フレーバー付けされた物品には、ハーブ、スパイスおよび調味料などの薬味、フレーバー増強剤(たとえばグルタミン酸ナトリウム)、ダイエット甘味料ならびに液体甘味料も含まれ得る。
【0051】
いくつかの態様では、フレーバー付けされた物品は、医薬組成物、栄養補助食品、機能性食品、歯科衛生組成物または化粧品である。
【0052】
歯科衛生組成物は、当該技術分野で知られており、たとえば、歯磨き粉、洗口薬、プラークリンス、デンタルフロス、歯痛鎮痛剤(ANBESOLなど)などを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、歯科衛生組成物は1種の天然甘味料を含む。いくつかの態様では、歯科衛生組成物は2種以上の天然甘味料を含む。いくつかの態様では、歯科衛生組成物は、スクロースとコーンシロップ、またはスクロースとアスパルテームを含む。
【0053】
いくつかの態様では、化粧品には、たとえば、フェイスクリーム、口紅、リップグロスなどが含まれるが、これらに限定されない。本開示で使用される他の適切な化粧品には、CHAPSTICKまたはBURT’S BEESWAX Lip Balmなどのリップクリームが含まれる。
【0054】
本発明を最もうまく説明するが、以下の例に限定されない。
【0055】
実施例
例1
モデルシステムにおける酸味増強剤としてのシクロヘキサンカルボン酸の官能評価
リンゴ酸を含むモデルシステム:スクロース(5重量%)およびリンゴ酸(0.05重量%)溶液を調製し、構造:
【化2】
を有するシクロヘキサンカルボン酸の酸味増強効果の評価に使用した。
【0056】
評価は、(i)スクロース/リンゴ酸溶液中50ppmのシクロヘキサンカルボン酸の試験溶液と、(ii)スクロース/リンゴ酸溶液のみを含む対照溶液とから構成されていた。
【0057】
27人の訓練を受けたパネリストに、0から10までの線形スケールで各サンプルの甘味、酸味および渋味の強度を評価するように依頼し、ここで、0は「味がない」、10は「味が強すぎる」に対応していた。サンプルの甘味強度およびpH値は変更せずに、酸味を95%の信頼レベルで4.0(参照サンプル)から4.9(試験済みサンプル)に高めた;同時に、渋味強度も99%の信頼レベルで2.5(参照サンプル)から3.1(試験済みサンプル)に高めた。これらのデータは、化合物Iを50ppm(重量)で添加すると、酸味強度が22.5%、渋味強度が24.0%増強することを示している。
【0058】
41人の訓練を受けた被験者を使用した反復実験では、41人の被験者に、一対比較研究(2-AFC)で、より酸味のあるサンプルを選択するように依頼した。サンプルのpHは3.1(±0.02)であった。41人の被験者のうち28人は、50ppmの化合物Iを含むサンプルが95%の信頼レベルでより酸味があると見出した。これらのデータも、50ppm(重量)の化合物Iが酸味強度を高めるという結論を示した。
【0059】
酒石酸を含むモデルシステム:スクロース(5重量%)および酒石酸(0.05重量%)溶液を調製し、構造:
【化3】
を有するシクロヘキサンカルボン酸の酸味増強効果の評価に使用した。
【0060】
評価は、(i)スクロース/酒石酸溶液中50ppmのシクロヘキサンカルボン酸の試験溶液と、(ii)スクロース/酒石酸溶液のみを含む対照溶液とから構成されていた。
【0061】
41人の被験者に、各ペアでより酸味のあるサンプルを選択するように依頼した。サンプルのpHは2.9(±0.02)であった。41人の被験者のうち28人は、50ppmの化合物Iを添加すると、95%の信頼レベルで酸味が増加するということを見出した。この結果は、50ppm(重量)の化合物Iが、酒石酸を含むモデルシステムにおける酸味強度を高めることを示している。
【0062】
クエン酸および乳酸を含むモデルシステム:スクロース(5重量%)、クエン酸(0.07重量%)および乳酸(0.09重量%)の溶液を調製し、構造:
【化4】
を有するシクロヘキサンカルボン酸の酸味増強効果の評価に使用した。
【0063】
評価は、(i)スクロース/クエン酸・乳酸溶液中50ppmのシクロヘキサンカルボン酸の試験溶液と、(ii)スクロース/クエン酸・乳酸溶液のみを含む対照溶液とから構成されていた。
【0064】
41人の被験者に、各ペアでより酸味のあるサンプルを選択するように依頼した。サンプルのpHは2.9(±0.02)であった。41人の被験者のうち29人は、50ppmの化合物Iを添加すると、95%の信頼レベルで酸味が増加するということを見出した。この結果は、50ppm(重量)の化合物Iが、クエン酸と乳酸との混合物を含むモデルシステムにおける酸味強度を高めることを示している。
【0065】
クエン酸を含むモデルシステム:スクロース(5重量%)およびクエン酸(0.05重量%)溶液を調製し、構造:
【化5】
を有するシクロヘキサンカルボン酸の酸味増強効果の評価に使用した。
【0066】
評価は、(i)スクロース/クエン酸溶液中50ppmのシクロヘキサンカルボン酸の試験溶液と、(ii)スクロース/クエン酸溶液のみを含む対照溶液とから構成されていた。
【0067】
28人の訓練を受けたパネリストに、0から10までの線形スケールで各サンプルの甘味、酸味および渋味の強度を評価するように依頼し、ここで、0は「味がない」、10は「味が強すぎる」に対応していた。サンプルの酸味強度およびpH値は変更せずに、甘味強度を95%の信頼レベルで4.3(参照サンプル)から3.8(試験済みサンプル)に低めた;同時に、渋味強度も2.5(参照サンプル)から3.2(試験済みサンプル)に高めた。これらのデータは、化合物Iを50ppm(重量)で添加すると、甘味強度が11.6%、渋味強度が28.0%減少することを示している。
【0068】
本明細書全体で引用されている出版物は、参照により本明細書にそのまま組み込まれる。本発明のさまざまな態様は、実施例および好ましい実施形態を参照して上記で説明されるが、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、特許法の原則の下で適切に解釈される以下の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。