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特許7354118複数の長さ、複数のデニール数、複数の断面を有する繊維の混紡糸
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】複数の長さ、複数のデニール数、複数の断面を有する繊維の混紡糸
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/02 20060101AFI20230925BHJP
   D03D 15/30 20210101ALI20230925BHJP
   D04B 1/14 20060101ALI20230925BHJP
   D04H 1/4391 20120101ALI20230925BHJP
   D06H 7/02 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
D02G3/02
D03D15/30
D04B1/14
D04H1/4391
D06H7/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020541962
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019015996
(87)【国際公開番号】W WO2019152615
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】62/624,422
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/746,619
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/262,234
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516274346
【氏名又は名称】パークデール・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】アッシャー・ジュニア,ロバート・エイ
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-250426(JP,A)
【文献】米国特許第05188892(US,A)
【文献】米国特許第04384450(US,A)
【文献】特開平02-033335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G 3/02
D03D 15/30
D04B 1/14
D04H 1/4391
D06H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つのパラメータ:
(1)ステープルの長さが1.5インチ(3.81cm)、1.25インチ(3.175cm)、1.0インチ(2.54cm)、及び0.75インチ(1.905cm)であるポリエステルステープル繊維の組合せ;
(2)ステープルのデニール数が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに
(3)円形の断面を有する幾つかのステープル繊維及び卵形の断面を有する幾つかのステープル繊維を含む、少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;
により特定される、ポリエステルステープル繊維の混合物からなる紡績した糸。
【請求項2】
長さが1.5インチ(3.81cm)以上のステープルを20重量%;
長さが1.25インチ(3.175cm)以上のステープルを54重量%;
長さが1インチ(2.54cm)以上ステープルを77重量%;且つ
長さが0.75インチ(1.905cm)以上のステープルを96重量%;
の量のポリエステルステープル繊維の混合物からなる、請求項1に記載の紡績した糸。
【請求項3】
(1)ステープルの長さが1.5インチ(3.81cm)、1.25インチ(3.175cm)、1.0インチ(2.54cm)、及び0.75インチ(1.905cm)であるポリエステルステープル繊維の組合せ;
(2)ステープルのデニール数が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに
(3)円形の断面を有する幾つかのステープル繊維及び卵形の断面を有する幾つかのステープル繊維を含む、少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;
を含むポリエステルステープル繊維の混合されたベール。
【請求項4】
請求項3に記載のベールの開繊物。
【請求項5】
請求項4に記載のベールの開繊物から紡績された糸。
【請求項6】
(1)ステープルの長さが1.5インチ(3.81cm)、1.25インチ(3.175cm)、1.0インチ(2.54cm)、及び0.75インチ(1.905cm)であるポリエステルステープル繊維の組合せ;
(2)ステープルのデニール数が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに
(3)円形の断面を有する幾つかのステープル繊維及び卵形の断面を有する幾つかのステープル繊維を含む、少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;
からなる糸を少なくとも幾つか含む布帛。
【請求項7】
織成布帛、不織成布帛、及び編成布帛からなる群から選択される、請求項6に記載の布帛。
【請求項8】
長さが1.5インチ(3.81cm)以上のステープルを20重量%;
長さが1.25インチ(3.175cm)以上のステープルを54重量%;
長さが1インチ(2.54cm)以上のステープルを77重量%;且つ
長さが0.75インチ(1.905cm)以上のステープルを96重量%;
の量のポリエステルステープル繊維の混合物からなる、請求項6に記載の布帛。
【請求項9】
選択された水分量調整特性及び風合い特性を有する糸前駆体混合物を製造する方法であって:
円形の断面を有する幾つかの連続フィラメント及び卵形の断面を有する幾つかの連続フィラメントを生み出すように、圧縮されたベールを開繊するステップと;
少なくとも3種の異なるデニール数及び少なくとも2種の異なる断面をそれぞれ有する連続合成フィラメントを紡糸するステップと;
前記異なる連続フィラメントを単一のトウに集束するステップと;
前記トウを少なくとも4種の異なる長さのステープルに切断するために共通のカッターを使用するステップと;
前記異なる長さ、異なるデニール数、及び異なる断面を有するステープル繊維を混合して混合されたベールにするステップと;
を含み、
連続合成フィラメントの紡糸は、ステープルのデニール数が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfとなる連続合成フィラメントの紡糸を含み、および
トウを切断するための共通のカッターの使用が、トウを1.5インチ(3.81cm)、1.25インチ(3.175cm)、1.0インチ(2.54cm)、及び0.75インチ(1.905cm)の長さのステープルに切断するための共通カッターの使用を含む、
方法。
【請求項10】
前記紡糸ステップの前に、繊維中の跳ね返りを最小限に抑える程度まで繊維同士の凝集を低減するために、前記繊維が互いに充分に遠方まですれ違うように延伸する少なくとも1つのドラフトステップが行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
選択された水分量調整特性及び風合い特性を有する糸を製造する方法であって:
少なくとも3種の異なるデニール数、少なくとも4種の異なる長さ、及び少なくとも2種の異なる断面を有するポリエステルステープル繊維の混合されたベール開繊することと、前記開繊されたステープル繊維からトウを形成することと;
前記トウから粗糸を形成することと;
前記粗糸から糸を紡績することと;
を含み、
ポリエステルステープル繊維の混合されたベールが、
(1)ステープルの長さが1.5インチ(3.81cm)、1.25インチ(3.175cm)、1.0インチ(2.54cm)、及び0.75インチ(1.905cm)であるポリエステルステープル繊維の組合せ;
(2)ステープルのデニール数が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに
(3)円形の断面を有する幾つかのステープル繊維及び卵形の断面を有する幾つかのステープル繊維を含む、少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;
を含む、方法。
【請求項12】
長さが1.5インチ(3.81cm)以上のステープルを20重量%;
長さが1.25インチ(3.175cm)以上のステープルを54重量%;
長さが1インチ(2.54cm)以上のステープルを77重量%;且つ
長さが0.75インチ(1.905cm)以上のステープルを96重量%;
の量のポリエステルステープル繊維の混合物からなるベールを開繊することを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高機能衣料(technical wear)、スポーツ衣料(athletic wear)、又は「アスレジャー(athleisure)」衣料のアリーナ(arena)における繊維、糸、及び布帛に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ衣料及びレジャー衣料専用の衣料品市場は近年驚くほど成長した。これを受けて、このような最終用途専用の布帛が発展し、更なる発展が望まれている。繊維製品の当業者に充分に理解されていることであるが、衣料品の性能は、裁断及び縫製が施される布帛に基づいており、今度はこの布帛には、織製又は編製が施される糸の特性が反映され、糸の特性には、その糸を形成する元となるステープル繊維が反映される。
【0003】
したがって、20世紀初期にポリマーの発展及び理解が始まって以来、繊維製品の化学者は、天然繊維(綿、羊毛、亜麻繊維)の最も優れた特性を模倣することのみならず、繊維の特性を具体的な最終用途に適合させることを追求してきた。
【0004】
綿は多くの状況下において極めて快適な繊維であり、綿製の衣料品は、その軽量性、多様性、及び好ましい風合い(hand)に起因して、広く普及し続けている。「風合い」という語は、本出願全体に亘り、当業者に充分に理解されている意味で使用される。これは、「それに触る、それを絞る、若しくはそれを擦ることによって知覚される布帛の特徴」(Tortora,page 262)、又は「基材の触感を表すために使用される語(即ち、柔らかい、きしむ、堅い等)」(Textile Glossary;Cotton Incorporated;www.cottoninc.com;アクセス日:2018年3月15日)と定義することができる。
【0005】
それにも関わらず、スポーツ用又は運動用衣料の特定の点に関し、綿は一定の欠点を示す。綿は吸水性が非常に高く、自重の27倍の水を吸収し、スポーツ用衣料という状況に望ましくない重量増加を招く。また、綿は濡れると断熱性を失うと共に不快感を与えることがある。したがって、寒い天候下においては、活動量の多い運動(又は作業用等)により、皮膚に接している綿の層は即座に湿り、重くなり、冷たくなる。綿の肌着は、濡れると高温及び低温の両方の天候下で不快感をもたらす。
【0006】
羊毛は断熱性が非常に優れており、弛緩した長さから30%も余分に伸長させることができ、その乾燥重量の50%までの水分を飽和することなく吸収することができる(Tortora,FAIRCHILD’S DICTIONARY OF TEXTILES,7th Ed.(2009),page 634)。しかしながら、羊毛には皮膚に触れると不快な種類のものもあり、快適性がより高い繊維(例えば、メリノ羊毛)はより高価になる傾向がある。絹は言うまでもなく快適性が極めて高いが、一般に、大量に出回るスポーツ用の衣料品に広範に使用するには高価過ぎる。
【0007】
したがって、合成繊維又は合成繊維及び天然繊維;例えば、Dacron及び羊毛、綿及びポリエステル等を混合したものに基づく合成系布帛の発展に多大な努力が注がれてきた(一定の成功を収めた)。これに加えて、綿の心地よい風合いを模倣しながら、標準的な綿又は一般的な綿-合成繊維混紡品よりも水分量を適切に調整する完全に合成由来の衣料品を発展させることに、更なる努力が注がれてきた。
【0008】
水分量調整という語は、布帛が、水分(汗、湿気、雨)を蒸発させることができる布帛の外層へと水分を引き寄せる又は吸い上げる性能又は能力を表す際に用いられる。多くの状況下において、体温(98.6°F、37°)は、特に、エントロピーが一般に気相(即ち、よりランダムな)状態に移行させようとすることを考えると、布帛製衣料品中への吸い上げの進行を促すことができる。したがって、水分量調整は、通常、水蒸気透過度を用いて測定される。
【0009】
しかしながら、合成品は、過度に冷えた場合は着用者に冷たくじっとりとした感触を与える可能性があるので、無条件で万能性を発揮する訳ではない。したがって、最新の「高機能」衣料は、皮膚からの発汗を熱力学的作用により第1層に移行させ、次いで第1層から外層へと追い出すように配置された幾つかの層を形成する2種類の糸から構成されるものが多い。最新の高機能布帛は、この目的のために4~5もの層を有するものもある。
【0010】
更に、出発繊維は、結果として得られる布帛の特性の確立に寄与することから、当業者は、綿(一例として)に関しては、より短い繊維が生成する糸は布帛により良い風合いを付与し、一方、より長い繊維はより滑らか且つより艶のある(finished)糸となり、これは、例えば、綿のビジネスシャツ(繰り返すが、単なる一例である)により洗練された見た目(finished look)を付与するが、風合いはより粗くなることを認識している。
【0011】
紡績技法(リング対オープンエンド)も同様に、完成した衣料品に外観及び風合いの違いを生み出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、風合い及び水分量調整の望ましい組合せを生み出す特殊な糸を設計することが目標であることに変わりはない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態において、本発明は、3つのパラメータ:(1)ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるポリエステルステープル繊維の組合せ;(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及びd1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;でカスタマイズされたポリエステル繊維の混合物から基本的になる糸である。
【0014】
他の実施形態において、本発明は、緊密に混合されたポリエステルステープル繊維のベールであり、この混合物は:(1)ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるステープル繊維の組合せ;(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるステープル繊維の組合せ;並びに(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するステープル繊維の組合せ;を含む。
【0015】
他の実施形態において、本発明は:(1)ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチのポリエステルステープル繊維の組合せ;(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;から基本的になる少なくとも幾つかの糸を含む布帛である。
【0016】
他の実施形態において、本発明は、織成布帛、不織成布帛、及び編成布帛からなる群から選択されるものによる(according to selected from)、結果として得られる布帛である。
【0017】
他の実施形態において、本発明は、選択された水分量調整特性及び風合い特性を有する糸前駆体混合物を製造する方法であって、少なくとも3種の異なるデニール数及び少なくとも2種の異なる断面をそれぞれ有する連続合成フィラメントを紡糸するステップと、異なる連続フィラメントを単一のトウに集束するステップと、トウを少なくとも4種の異なるステープル長さに切断するために共通のカッターを使用するステップと、異なる長さ、異なるデニール数、及び異なる断面を有するステープル繊維を混合して、緊密に混合されたベールとするステップと、を含む、方法である。
【0018】
他の実施形態において、本発明は、糸前駆体混合物を製造する方法であって、連続合成フィラメントを、デニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるステープルに紡糸するステップと、トウを1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチの長さのステープルに切断するために共通カッターを使用するステップと、を含む方法である。
【0019】
他の実施形態において、本発明は、選択された水分量調整特性及び風合い特性を有する糸を製造する方法であって、少なくとも3種の異なるデニール数、少なくとも4種の異なる長さ、及び少なくとも2種の異なる断面を有するステープル繊維の緊密に混合されたベールを開繊するステップと;開繊したステープル繊維からトウを形成するステップと;つま先から粗糸を形成するステップと;粗糸から糸を紡績するステップと、を含む方法である。
【0020】
他の実施形態において、本発明は、糸を作製する方法であって、(1)ステープル長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるポリエステルステープル繊維の組合せ;(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維;並びに(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;から基本的になる緊密に混合されたベールを開繊することを含む、方法である。
【0021】
他の実施形態において、本発明は、ステープル切断装置と一緒に使用するためのリールアセンブリであって:リールアセンブリは、カッターリールと、複数のカッター刃と、カバー部材と、を含み、カッターリールは、互いに軸方向に離間している環状リール部材の対を有し、各リール部材は、予め定められた径を有する外側に面した軸面と、円周上の嵌め合う係合部分とを画定し;複数のカッター刃は、係合及び繊維の切断のために前記リール部材に取り付けられており;カバー部材は、1つのリール部材の周囲を取り囲むように添えられており;改良点は、カッター刃が、合成フィラメントを、1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチの長さの不連続なステープルに切断するように離間されていることを含む、リールアセンブリである。
【0022】
本発明の上記及び他の目的及び利点並びにそれらを達成する様式は、以下に示す詳細な説明に基づき添付の図面と一緒に考慮することによってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明による楕円(卵形(oval))断面を有する繊維の顕微鏡写真である。
図2図2は、本発明による糸の一サンプルに基づく繊維長のヒストグラムである。
図3図3は、図2と同一のサンプルに基づく繊維長の第2のヒストグラムである。
図4図4は、図2及び3と同一のサンプルに基づく繊度(デニール、tex)のヒストグラムである。
図5図5は、本発明による糸の第2のサンプルに基づく繊維長のヒストグラムである。
図6図6は、図5と同一の第2のサンプルに基づく繊維長の第2のヒストグラムである。
図7図7は、図5及び6と同一のサンプルに基づく繊度(デニール、ex)のヒストグラムである。
図8図8は、本発明の態様の実施に使用することができる組立て後のカッターリール及び分解組立図で示したカッターリールを組み合わせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において用いられるポリエステルという語は、炭化水素鎖をエステル基と結合させることにより形成される任意のポリマーを指す(Tortora、page 437)。米連邦取引委員会(US Federal Trade Commission)は、ポリエステルを、「[A]繊維を形成する物質の少なくとも85重量%が、置換された芳香族カルボン酸のエステル(これらに限定されるものではないが、置換されたテレフタル酸エステル単位等)から構成される任意の長鎖合成ポリマーである人造繊維」と定めている(16 C.F.R.§303.7(c)(2018))。
【0025】
ベール密度(Bale Density):通常、ポンド毎立方フィートで表される、単位体積当たりの重量の測定単位。密度は、ベールの総重量をベール体積(立方フィート単位)で除することにより求められる。体積は、ベールの長さ、幅、及び厚みの寸法(フィートで表す)を乗じることにより求められる。厚みは、ベール頂部(crown)の一端の結束具から他端の結束具までを測定することにより求められる。
【0026】
汎用密度(Universal Density)(UD):少なくとも28ポンド毎立方フィートである綿ベール密度。
【0027】
標準密度(Standard Density)(SD):少なくとも23ポンド毎立方フィート且つ28ポンド毎立方フィート未満である綿ベール密度。
【0028】
ジンUD(Gin UD):ジンで少なくとも28ポンド毎立方フィートの密度に圧縮されたベール。
(ベールはSection 1.1及び1.2に定められているように帯紐(strapping)又はワイヤーで結束すること)。
(ベールはSection 1.1及び1.2に定められているように帯紐又はワイヤーで結束すること)。
【0029】
ジンSD(Gin SD):ジンで少なくとも23ポンド毎立方フィート且つ28ポンド毎立方フィート未満の密度に圧縮されたベール。
【0030】
http://www.cotton.org/tech/bale/specs/definitions.cfm;アクセス日:2018年2月17日
【0031】
National Cotton Council of America(7193 Goodlett Farms Parkway Cordova,TN 38016)の用語集
【0032】
紡出:
繊維製品産業において使用される「紡出(spinning)」という語は2つの異なる意味を持つ。ほぼ古代までの年代での古典的な意味において、「紡出(紡績)」は、複数の繊維を一緒に撚ることによって糸を製造する段階を意味する。現代の技術において、これは(通常)、「リング」紡績又は「オープンエンド」紡績を用いて行われ、それぞれ当業者によく知られている(例えば,Tortora,Fairchilds Dictionary Of Textiles,7th Ed.(2009),at pages 473 and 395)。
【0033】
他の意味における「紡出(紡糸)」という語は、溶融ポリマーを別個のフィラメントに押し出す段階を指すために用いられ、次いでフィラメントは更に処理が施され、そのようなものとしては、通常、加工(texturing)、「ステープル」長への切断、及びポリマーステープル繊維のオープンエンド又はリング紡績という意味での糸への紡績が挙げられる。(Tortora at page 536)。
【0034】
「開繊」という語も同様に当業者に理解されており、一般に、圧縮されたベールからステープル繊維を掻き取って、よりばらけたタフトに分離し、より重量の重い夾雑物を取り除く(必要な場合)予備ステップを表す。(Tortora page 395)。
【0035】
本明細書において用いられるポリエステルという語は、炭化水素鎖にエステル基を結合させることにより形成される任意のポリマーを指す(Tortora at page 437)。
【0036】
第1の態様において、本発明は、3つのパラメータ:(1)ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるポリエステルステープル繊維の組合せ;(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;でカスタマイズされたポリエステル繊維の混合物から基本的になる糸である。
【0037】
例示的な実施形態において、糸は、長さが1.5インチ以上のステープルを20重量%;長さが1.25インチ以上のステープルを54重量%;長さが1インチ以上のステープルを77重量%;且つ長さが0.75インチ以上のステープルを96重量%;の量のポリエステル繊維の混合物から基本的になり;長さ及び百分率は全て有効数字2桁で表したものである。
【0038】
この種の例示的実施形態において、糸は、少なくとも100mtexの繊維を94重量%;少なくとも125mtexの繊維を87重量%;少なくとも150mtexの繊維を76重量%:且つ少なくとも175mtexの繊維を63%;を含み、百分率は全て有効数字2桁で表したものである。
【0039】
表1に、本発明による混合物の例示的な長さ及びdpfの混合割合を記載する。
【0040】
【表1】
【0041】
表1において使用する、30sサイロスパン糸100%は、30Ne糸を意味する(英式糸番手;糸の重量1ポンド当たり30×840ヤード=25,200ヤード)。これは2個の粗糸ボビンから1個の紡績ボビンにドラフトするサイロリング紡績機で紡績されたものであり、この糸は、指定の比率の100%ポリエステル繊維から製造されたものである。
【0042】
40s CPRS60/40は、40Ne糸(英式糸番手;この糸の重量1ポンド当たり40×840ヤード=33,600ヤード)を意味する。CPという記述子はコーマ綿を意味し、したがってこのサンプルは、コーマ綿60%を本発明によるポリエステル40%と調合したことを表す。RSの呼称は、この糸が標準的なリング精紡機で紡績されたことを意味し、これは、1個の粗糸ボビンから1つの紡績位置に供給するものである。その代替を記載すると、この命名法では頭字語OEを使用することになり、これは、ロータ式オープンエンド紡績とも称されるオープンエンド紡績を表す。
【0043】
上の糸番手数は、糸のヤード数/ポンド数の基準を用いた長さ/重量に基づくものである。これは重量/長さを基準とするデニール数の体系の逆である。
【0044】
表2及び3に示すデータは、本発明により製造された糸のサンプルに関し収集したものであり、USTER(登録商標)AFIS PRO 2 fiber process control system(Uster Technologies AG,Sonnenbergstrasse 10,8610 Uster、Switzerland;www.uster.com;https://www.textilemates.com/siro-spinning-application;最終アクセス日:2018年2月24日)で試験したものである。一覧の値の定義は次の通りである。
【0045】
表2及び3:出力された数値結果
ネップ(Neps)(ネップは、絡み合った繊維の小さな塊として定義され、一般に不良として認識されるが、効果を狙って導入されることもある。
http://www.textileglossary.com/terms/nep.html;最終アクセス日:2018年2月25日)。
総ネップ数(Total nep cnt):サンプル中の全ネップ(繊維及び種皮ネップ)の数。
全ネップの平均サイズ(Total nep mean size):全ネップ(繊維及び種皮ネップ)の平均サイズ(ミクロンで計算)。
繊維ネップ数(Fiber nep cnt):繊維ネップの総数。
繊維ネップ平均サイズ(Fib nep mean size):全繊維ネップの平均サイズ(ミクロン単位)。
種皮ネップ数(SC nep count):種皮ネップの総数。
種皮ネップ平均サイズ(SC nep mean size):全種皮ネップの平均サイズ(ミクロン単位)。
【0046】
長さ
L(w):サンプル中の全ての綿繊維の重量平均繊維長。
L(w)CV%:重量平均繊維長に対する変動を、長さの変動又はCV%として表す。CVは充分に理解されている統計学的意味で使用され、平均に対する標準偏差の比を表す。
SFC(w):綿サンプル中の12.7mm(0.5インチ)より短い全ての繊維の重量による百分率(%)。
UQL(w):綿サンプル中の全ての繊維の25重量%が超える長さ。
L(n):サンプル中の全ての綿繊維の数平均繊維長。
繊維長の数平均に対する変動を、長さの変動又はCV%として表す。
SFC(n)%:綿サンプル中の12.7mm(0.5インチ)より短い全ての繊維の数による百分率。
5%L(n):綿サンプル中の全ての繊維のうち長い方の5%の長さ。
【0047】
夾雑物(trash)
総夾雑物数:全粒子(塵及び夾雑物の全粒子)の個数。
全夾雑物のサイズ:計数した全粒子の平均サイズ(塵及び夾雑物粒子)。
塵数:サイズが500ミクロン未満の全粒子の個数。
塵平均サイズ:計数された全塵粒子の平均サイズ。
夾雑物数:サイズが500ミクロンを超える全粒子の個数。
夾雑物平均サイズ:計数した全ての夾雑物粒子の平均サイズ、VFM%:算出は塵及び夾雑物の両方の含有量に加えてサイズも考慮する;Shirley Analyzer等の夾雑物重量測定法に関連。
【0048】
統計学
統計値:全体の測定手順及び結果の総計データ。
【0049】
カラム:平均(Mean、Average)、標準偏差、変動係数CV%、99%信頼区間、最小値、最大値。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
表2及び3のデータの一部を図2~7のヒストグラムに例示する。図2~4は表2に対応し、図5~7は表3に対応する。
【0053】
図2は、百分率表示した繊維長のヒストグラムに、繊維長対累積パーセントのグラフを組み合わせたものであり、比率はいずれも重量で表したものである。計算カラムは、長さが1.5インチを超えるものは混合物の13%未満(有効数字2桁で表す)であり、長さが0.75インチ未満のものはわずか約2.5%であったことを更に示している。
【0054】
図3は、同一サンプルに基づく第2のヒストグラム及びグラフであり、ほぼ同一の結果を示している。長さが1.5インチを超えるものは14%未満であり、長さが0.75インチ未満のものはわずか約5.6%であった。
【0055】
図4は、図2及び3と同一のサンプルに基づく繊度のヒストグラムであり、選択されたデニール数(1、1.2、1.5)の混合物をmtex(即ち、111、133、及び167;全て有効数字3桁で表す)で表したものである。図4は、繊維の80%(有効数字2桁で表す)が250及び100mtexの間(端点を含む)にあることと、67%(2/3)が225及び125mtex(端点を含む)の間にあることとを例証している。
【0056】
図5は、本発明による第2サンプルの百分率表示した繊維長のヒストグラムに繊維長対累積パーセントのグラフを組み合わせたものであり、比率はいずれも重量で表したものである。図5の計算カラムは、混合物の8.0%(有効数字2桁で表す)は長さが1.5インチを超え、長さが0.75インチ未満のものはわずか約4.8%であることを更に示している。
【0057】
図6は、同一サンプルに基づく第2のヒストグラム及びグラフであり、ほぼ同一の結果を示している。長さが1.5インチを超えるものは12%未満であり、長さ0.75インチ未満のものはわずか約4.0%である。
【0058】
図7は、図5及び6と同一の第2サンプルに基づく繊度のヒストグラムであり、選択されたデニール数(1、1.2、1.5)の混合物をmtex(即ち、111、133、及び167;全て有効数字3桁で表す)で表したものである。図7は、繊維の81%(有効数字2桁で表す)が250及び100mtexの間(端点を含む)にあることと、68%(2/3よりわずかに多い)が225及び125mtexの間(端点を含む)にあることとを例証している。
【0059】
方法
他の態様において、本発明は、選択された水分量調整特性及び風合い特性を有する糸前駆体混合物を形成する方法にある。この態様において、本発明は、少なくとも3種の異なるデニール数及び少なくとも2種の異なる断面をそれぞれ有する連続合成フィラメントを紡糸するステップと、異なる連続フィラメントを単一のトウに集束するステップと、少なくとも4種の異なる長さのステープルに切断するために共通のカッターを使用するステップと、異なる長さ、異なるデニール数、及び異なる断面を有するステープル繊維を混合して緊密に混合したベールにするステップと、を含む。特にこの方法は、連続合成フィラメントを、デニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfのステープルに紡糸することと;トウを1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチの長さのステープルに切断するために共通のカッターを使用することと、を含む。
【0060】
例示的な実施形態において、フィラメント(そして繊維)の断面は円形又は卵形である。卵形(又は楕円形)の断面を有すると、サイズが類似した他の円形フィラメント又は繊維と比較して表面積が増大するため、水分量調整に関する設計要素が増える。
【0061】
共通のカッターを用いることにより、複数のベール(それぞれが、別々の特徴のうちの1つを有することになる)から練条する場合と異なり、1個のベールから供給及び開繊することが可能になる。当業者に知られているように、異なる繊維同士を混合するのが早い(即ち、紡績工程においてより早い;梱包、開繊、ドラフト等)ほど、混紡された糸の特徴が安定する。
【0062】
したがって、他の態様において、本発明は、ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び.75インチであるステープル繊維の組合せ;ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfのステープル繊維の組合せ;並びに少なくとも2種の異なるステープル断面を有するステープル繊維の組合せ;を含む、緊密に混合されたポリエステルステープル繊維のベールである。その結果として、この種のベールを開繊し、このベールから紡績した糸は、緊密に混合されたベールの長さ、デニール数、及び断面の特徴を共有している。
【0063】
緊密に混合されたベールを用いることにより、単一のベール内で調整を行うことが可能になり、異なる特徴を有する複数のベールから慎重に繊維を計量する必要がなくなる。その結果として得られる糸、したがって結果として得られる布帛では、目付に関する重量がより安定且つ精密になり、同様に、他の混合方法を用いるより扱いにくい態様の一部が回避される。
【0064】
したがって、他の態様において、本発明は:(1)ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるポリエステルステープル繊維の組合せ;(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;から基本的になる少なくとも幾つかの糸を含む布帛である。
【0065】
この種の布帛は、織成布帛、不織成布帛、及び編成布帛からなる群から選択することができる。
【0066】
例示的な布帛の実施形態は、ステープルの長さが1.5インチ以上のポリエステル繊維を20重量%;ステープルの長さが1.25インチ以上のポリエステル繊維を54重量%;ステープルの長さが1インチ以上のポリエステル繊維を77重量%;且つステープルの長さが0.75インチ以上のポリエステル繊維を96重量%;の量のポリエステル繊維の混合物を含み、長さ及び百分率は全て有効数字2桁で表したものである。
【0067】
この種の例示的な布帛はまた、少なくとも100mtexの繊維を94重量%;少なくとも125mtexの繊維を87重量%;少なくとも150mtexの繊維を76重量%:且つ少なくとも175mtexの繊維を63%;を含むものと説明することもでき、百分率は全て有効数字2桁で表したものである。
【0068】
更なる他の態様において、本発明は、選択された水分量調整特性及び風合い特性を有する糸を製造する方法である。この態様において、この方法は、少なくとも3種の異なるデニール数、少なくとも4種の異なる長さ、及び少なくとも2種の異なる断面を有するステープル繊維を緊密に混合したベールを開繊するステップと;開繊したステープル繊維からトウを形成するステップと;トウから粗糸を形成するステップと;粗糸から糸を紡績するステップと;を含む。
【0069】
緊密に混合されたベールは、ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるポリエステルステープル繊維の組合せ;ステープルのデニール数が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;1.5インチ以上の長さのステープルを20重量%;1.25インチ以上の長さのステープルを54重量%;1インチ以上の長さのステープルを77重量%;0.75インチ以上の長さのステープルを96重量%;を含み、デニール数、長さ、及び百分率は全て有効数字2桁で表したものである。
【0070】
この態様において、この方法は、少なくとも100mtexの繊維を94重量%;少なくとも125mtexの繊維を87重量%;少なくとも150mtexの繊維を76重量%:且つ少なくとも175mtexを有する繊維を63%;を含むベールを開繊することを含むことができ、百分率は全て有効数字2桁で表したものである。
【0071】
通常、合成繊維及び天然繊維の混合物をカーディングするために、針金の組合せが使用される。本発明による繊維混合物は、Uster AFIS(Advance Fiber Information System)による試験でピーマ綿繊維から得られる繊維長の累積分布曲線を再現する様々な切断長を有するので、針金の組合せを有するカードを使用して75ゲレン/ヤードのスライバを製造した。
【0072】
繊維がドラフト時にわずかに延伸されるのみであった場合、繊維同士が非常に凝集しやすくなり、繊維が跳ね返る原因となる。均斉度(evenness value)により優れ、且つ好ましくない薄い及び厚い部分のより少ない糸を製造するために、合成繊維は、跳ね返る傾向をなくす程度まで繊維同士の凝集を減らすために、互いが充分に遠方まですれ違うように延伸すべきである。
【0073】
綿100%の繊維を加工する場合、通常、練条用クリールの重量はより高く(500ゲレン以上)、練条のドラフトは、綿の繊維同士の凝集性が低いことに基づき、通常低い(5.0~5.5)。ところが、合成繊維を用いるクリールのゲレン重量を高くすると、スチールロールとトップコットとの間がかさ高くなり過ぎる可能性があり、繊維量の制御が制限され、品質が低下する。
【0074】
繊維同士の凝集を管理するために、2段階練条工程を利用することによって、異なるスライバを組み合わせて繊維をより均一に混合した。それと同時に、個々の繊維を中~高(medium high)ドラフト(6.3~6.9)を用いて延伸することにより、繊維同士がより遠方まですれ違うようにして、繊維間の凝集性を低減させた。
【0075】
より細い1.3HR(ハンクロービング)を選択すると、粗紡におけるドラフトは中~高い範囲(9.67)へと上昇し、それにより、互いにすれ違う繊維が更に延伸され、繊維同士の凝集が更に制御された。
【0076】
より細い1.3HRとすることにより、リング紡績のドラフトが低下し、それによって今度は、リング精紡機のドラフトローラによる繊維の制御がより良好になる。合成繊維を紡糸する場合、繊維同士の凝集が高くなることにより生じるロールの振動並びに不適切な総ドラフト及びドラフト分布を管理することが重要である。高ブレークドラフト(1.4~1.53)とすると、繊維のドラフト時にスリップ-スティックが発生する。ブレークドラフトをより低く(1.20)すると、振動作用が消失し、欠陥のより少ない、均斉性に優れた糸が生成した。
【0077】
あらゆるドラフト処理において、望ましくない繊維の損傷を防ぐと同時に、カーディングで形成されたフックを除去することにより最長繊維を更に延伸するために、第1練条(breaker drawing)、第2練条(finisher drawing)、粗紡、及び紡績におけるロールの間隔の設定を、Uster AFIS(Advance Fiber Information System)で測定した最も長い5%の長さに基づき調整した。各処理を、Uster Evennes’testerでも評価した(即ちCV)。ロール間隔及びブレークドラフトを、厚い若しくは薄い部分がないマスダイヤグラム及び堆積部分(繊維の浮きを示唆)若しくは機械的不良のないスペクトログラムを達成するように調整した。表4に各工程の設定を列挙する。
【0078】
【表4】
【0079】
ステープルを完成した糸にするための全体の処理に関する他の説明は、上記Tortora;又はReiter Corporation(www.reiter.com/en/rikipedia);又はCotton Incorporated(www.Cottoninc.com)に記載されている。
【0080】
他の態様において、本発明はカッターリールの改良にあり、この改良は、単一リールで繊維を所望の長さの組合せに切断する位置に刃を離間させることを含む。
【0081】
図8は、組み立てたカッターリール10及び分解組立図で示したカッターリール11を図示するものである。カッターリールは、上部分割カバー12、底部分割カバー13、及び刃押さえ具14を含む。上部ピン保持具15及び底部ピン保持具16が一緒になって複数の刃支持ピン17を支持している。刃支持ピン17上の溝20が、カッターリールの回転に伴いトウを切断するための刃21を支持する。回転は、駆動ハブ22を当業者に充分に理解されている様式で用いて駆動される。
【0082】
図示したように、カッターリールは米国特許第4497231号明細書に基づくものであり、その全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0083】
図面及び明細書において本発明の好ましい実施形態について説明し、特定の用語を使用してきたが、これらは包括的及び説明的な意味でのみ使用したものであり、限定を意図するものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲において定義される。本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]3つのパラメータ:
(1)ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるポリエステルステープル繊維の組合せ;
(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに
(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;
によりカスタマイズされる、ポリエステル繊維の混合物から基本的になる糸。
[2]円形の断面を有する幾つかのステープル繊維及び卵形の断面を有する幾つかのステープル繊維を含む、[1]に記載の糸。
[3]長さが1.5インチ以上のステープルを20重量%;
長さが1.25インチ以上のステープルを54重量%;
長さが1インチ以上ステープルを77重量%;且つ
長さが0.75インチ以上のステープルを96重量%;
の量のポリエステル繊維の混合物から基本的になる糸であって、長さ及び百分率は全て有効数字2桁で表したものである、糸。
[4]少なくとも100mtexの繊維を94重量%;
少なくとも125mtexの繊維を87重量%;
少なくとも150mtexの繊維を76重量%:且つ
少なくとも175mtexの繊維を63%;
を含むポリエステル繊維の混合物から基本的になる糸であって、百分率は全て有効数字2桁で表したものである、糸。
[5](1)ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるステープル繊維の組合せ;
(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるステープル繊維の組合せ;並びに
(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するステープル繊維の組合せ;
を含むポリエステルステープル繊維の緊密に混合されたベール。
[6][5]に記載のベールの開繊物。
[7][6]に記載のベールの開繊物から紡績された糸。
[8](1)ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるポリエステルステープル繊維の組合せ;
(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに
(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;
から基本的になる糸を少なくとも幾つか含む布帛。
[9]織成布帛、不織成布帛、及び編成布帛からなる群から選択される、[8]に記載の布帛。
[10]長さが1.5インチ以上のステープルを20重量%;
長さが1.25インチ以上のステープルを54重量%;
長さが1インチ以上のステープルを77重量%;且つ
長さが0.75インチ以上のステープルを96重量%;
の量のポリエステル繊維の混合物から基本的になる、[8]に記載の布帛であって、長さ及び百分率は全て有効数字2桁で表したものである、布帛。
[11]少なくとも100mtexの繊維を94重量%;
少なくとも125mtexの繊維を87重量%;
少なくとも150mtexの繊維を76重量%:
少なくとも175mtexの繊維を63%;
を含むポリエステル繊維の混合物から基本的になる、[8]に記載の布帛であって、百分率は全て有効数字2桁で表したものである、布帛。
[12]選択された水分量調整特性及び風合い特性を有する糸前駆体混合物を製造する方法であって:
少なくとも3種の異なるデニール数及び少なくとも2種の異なる断面をそれぞれ有する連続合成フィラメントを紡糸するステップと;
前記異なる連続フィラメントを単一のトウに集束するステップと;
前記トウを少なくとも4種の異なる長さのステープルに切断するために共通のカッターを使用するステップと;
前記異なる長さ、異なるデニール数、及び異なる断面を有するステープル繊維を混合して緊密に混合されたベールにするステップと;
を含む、方法。
[13][12]に記載の糸前駆体混合物を製造する方法であって:
前記連続合成フィラメントを、デニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び1.5dpfであるステープルに紡糸することと;
前記トウを長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるステープルに切断するために前記共通カッターを使用することと;
を含む、方法。
[14]前記紡糸ステップの前に、繊維中の跳ね返りを最小限に抑える程度まで繊維同士の凝集を低減するために、前記繊維が互いに充分に遠方まですれ違うように延伸する少なくとも1つのドラフトステップが行われる、[13]に記載の方法。
[15]前記開繊ステップは、円形の断面を有する幾つかの連続フィラメント及び卵形の断面を有する幾つかの連続フィラメントを生成する、[12]に記載の方法。
[16]選択された水分量調整特性及び風合い特性を有する糸を製造する方法であって:
少なくとも3種の異なるデニール数、少なくとも4種の異なる長さ、及び少なくとも2種の異なる断面を有するステープル繊維の緊密に混合されたベール開繊することと、前記開繊されたステープル繊維からトウを形成することと;
前記つま先から粗糸を形成することと;
前記粗糸から糸を紡績することと;
を含む方法。
[17](1)ステープルの長さが1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチであるポリエステルステープル繊維の組合せ;
(2)ステープルのデニール数(tex、繊度)が1.0dpf、1.2dpf、及び
1.5dpfであるポリエステルステープル繊維の組合せ;並びに
(3)少なくとも2種の異なるステープル断面を有するポリエステルステープル繊維の組合せ;
から基本的になる緊密に混合されたベールを開繊することを含む、[16]に記載の糸を製造する方法。
[18]長さが1.5インチ以上のステープルを20重量%;
長さが1.25インチ以上のステープルを54重量%;
長さが1インチ以上のステープルを77重量%;且つ
長さが0.75インチ以上のステープルを96重量%;
の量のポリエステル繊維の混合物から基本的になるベールを開繊することを含む、[16]に記載の方法であって、長さ及び百分率は全て有効数字2桁で表したものである、方法。
[19]少なくとも100mtexの繊維を94重量%;
少なくとも125mtexの繊維を87重量%;
少なくとも150mtexの繊維を76重量%:且つ
少なくとも175mtexの繊維を63%;
を含むポリエステル繊維の混合物から基本的になるベールを開繊することを含む、[16]に記載の方法であって、百分率は全て有効数字2桁で表したものである、方法。
[20]ステープル切断装置と一緒に使用するためのリールアセンブリにおいて:
互いに軸方向に離間している環状リール部材の対を有するカッターリールであって、前記リール部材は、それぞれ、予め定められた径を有する外側に面した軸面と、円周上の嵌め合う係合部分とを画定する、カッターリールと;
係合及び繊維の切断のために前記リール部材に取り付けられている、複数のカッター刃と;
前記リール部材の1つの周囲を取り囲むように添えられている、カバー部材と;
を含み、
改良点は、カッター刃が、合成フィラメントを、1.5インチ、1.25インチ、1.0インチ、及び0.75インチの長さの不連続なステープルに切断するように離間されていることを含む、リールアセンブリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8