(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】機械用トラックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B62D 55/21 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
B62D55/21 Z
(21)【出願番号】P 2020570801
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019037263
(87)【国際公開番号】W WO2020005585
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-10
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガラト、マイケル エス.
(72)【発明者】
【氏名】アキンルア、テミトープ オー.
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-018676(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0300498(US,A1)
【文献】特開平06-247351(JP,A)
【文献】米国特許第05249868(US,A)
【文献】特開2014-034391(JP,A)
【文献】特開平09-221072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/20-55/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックリンクアセンブリ(10)であって、
複数のリンクサブアセンブリ(12)であって、各リンクサブアセンブリ(12)は、ともに結合される1対のリンク(14)を含み、各リンク(14)は、第1のアパーチャ(16)と第2のアパーチャ(18)を含み、前記各リンクの第2のアパーチャ(18)は、第1のアパーチャ(16)よりも大きくなっている、複数のリンクサブアセンブリ(12)と、
各リンクサブアセンブリ(12)において、第1のリンク(14)の前記第1のアパーチャ(16)および第2のリンク(14)の前記第2のアパーチャ(18)を通って延びられる、ピン要素(20)と、
中央開口(24)を有するブッシング要素(22)と、を含み、前記ブッシング要素(22)は、前記ピン要素(20)の一部を囲み、各リンクサブアセンブリ(12)の前記第2のリンク(14)の前記第2のアパーチャ(18)を通って延びられ、前記ブッシング要素(22)は、トラックシュー(54)をブッシング要素(22)に結合するように構成された少なくとも1つの穴(36)を含む、トラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記ブッシング要素(22)は、鍛造されかつ熱処理された鋼で形成された単一要素である、請求項1に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記ブッシング要素(22)は、前記中央開口(24)から半径方向に離れるように延びられるシュー延長部(34)を含み、前記少なくとも1つの穴(36)は、前記シュー延長部(34)の外部から半径方向の内側に延びられる、請求項1に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記シュー延長部(34)は、実質的に長方形であり、前記ブッシング要素(22)は、前記ブッシング
要素(22)の前記中央開口(24)から半径方向に離れるように延びられるブッシング延長部(40)を含み、前記ブッシング延長部(40)は、前記ブッシング要素(22)の縦方向軸に沿って前記シュー延長部(34)と少なくとも部分的に整列される、請求項
3に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記シュー延長部(34)は、トラックシュー(54)を前記ブッシング要素(22)に結合するように構成された複数の穴(56)を含み、前記複数の穴(56)のそれぞれは、ねじ切りされる、請求項4に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記ブッシング要素(22)は、前記第2のアパーチャ(18)内に締り嵌めされ、前記ピン要素(20)は、前記第1のアパーチャ(16)内に滑り嵌めされる、請求項1に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記リンク(14)は板鋼(plate steel)で形成され、各リンク(14)は、第1の部分(26)、第2の部分(28)、および前記第1の部分(26)と前記第2の部分(28)との間で延びられる角部(30)を含み、第1のリンクサブアセンブリ(12)の前
記リンク(14)は、側方に隣接するリンクサブアセンブリ(12)の外側リンク(14)であって、前記リンク(14)は、トラックシュー(54)を前記リンク(14)に結合するように構成された
ベースプレート(58)の穴(56)または結合部を含まない、請求項1に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記第1のアパーチャ(16)は、幅広部(46)および幅狭部(48)を含み、前記幅広部(46)は、前記第2のアパーチャ(18)よりも大きい直径を含む、請求項1に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項9】
密封要素(50)をさらに含み、前記密封要素(50)は、前記ブッシング要素(22)の端部(44)と前記第1のアパーチャ(16)の幅狭部(48)との間に配置される、請求項8に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項10】
前記ベースプレート(58)の前記穴(56)を介して前記ブッシング要素(22)に結合された少なくとも1つのトラックシュー(54)をさらに含む、請求項
7に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、機械用のトラックアセンブリに関し、より具体的には、トラックシューを機械のトラックアセンブリに結合するための配置構成に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックタイプの機械は、一般に、機械を推進するために地表面と係合するように機械の両側上のトラックチェーンを用いている。複数の個々のリンクは、トラックチェーンを形成するようにブッシングおよびピン配置構成を介して旋回可能に結合される。トラックチェーンを形成する個々のリンクは、機械を動かすため、トラックシューとして知られている地面係合要素に連結される。機械のエンジンによって駆動されるスプロケットは、離隔されたプーリ機構の周りのトラックチェーンと係合して、それを並進運動させる。トラックチェーンが並進運動するにつれ、連結されているトラックシューは、機械の下の地表面と係合して地表面上で機械を推進させる。トラックシューは、多くの場合、機械を支えかつ推進するのに必要なものよりも厚いリンクとボルトが必要な個々のリンクにボルトで締結される。このようなトラックリンクも一般に鍛鋼で形成され、製造および組み立てのコストと時間が増加する。トラックリンクおよびトラックシューは、時間の経過につれ、互いに異なるレートで摩耗されることが多いため、互いに異なるレートで交換および/またはサービスを受ける必要があり得る。このように、生産およびメンテナンスのコストは、しばしばトラックチェーンの製造および組み立てにおける重要な考慮事項である。
【0003】
例示的なトラックチェーンが、Poppの米国特許第3,260,558号(「‘558特許」)に開示されている。‘558特許は、無限トラクションチェーンを形成するように、ともに結合された複数のリンク本体を含むトラックアセンブリを開示する。‘558特許のリンク本体は、機械を推進するために地表面に向かって延びられ、その地表面と少なくとも部分的に係合する突出部または把持部を含む。しかしながら、‘558特許のリンクおよび把持部は、一体に形成またはモールディングされるため、個別に交換またはサービスを受けることができない。’558特許のトラックリンクは、一部のアプリケーションには適している場合があるものの、他のアプリケーションには適さない場合がある。開示されたリンクアセンブリおよび構成は、上述の問題点のうちの1つ以上、および/または当業界における他の問題点を解決することができる。しかしながら、本開示の範囲は、添付の請求項によって定義され、特定の具体的な問題を解決する能力によって定義されるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一態様において、トラックリンクアセンブリは、複数のリンクサブアセンブリを含んでもよい。各リンクサブアセンブリは、ともに結合される1対のリンクを含んでもよい。各リンクは、第1のアパーチャと第2のアパーチャを含んでもよく、各リンクの第2のアパーチャは第1のアパーチャよりも大きくなってもよい。トラックリンクアセンブリは、各リンクサブアセンブリにおいて、第1のリンクの第1のアパーチャおよび第2のリンクの第2のアパーチャを通って延びられるピン要素を含んでもよい。トラックリンクアセンブリは、中央開口を有するブッシング要素を含んでもよい。ブッシング要素は、ピン要素の一部を囲み、各リンクサブアセンブリの第2のリンクの第2のアパーチャを通って延びられ得る。ブッシング要素は、トラックシューをブッシング要素に結合するように構成された少なくとも1つの穴を含んでもよい。
【0005】
別の態様において、トラックリンク構成要素は、隣接するトラックリンクを旋回可能に連結するブッシング要素を含んでよく、ブッシング要素は、一体に形成された金属片であってもよく、中央部と中央部の両側の2つの端部とを含んでもよい。ブッシング要素は、一般に円筒形であってもよく、ブッシング要素の長手方向軸を通って延びられる開口を含んでもよい。ブッシング要素は、外部上にあり、開口に向かって半径方向の内側に延びられる複数の穴を含んでもよい。
【0006】
さらなる態様において、トラックリンクは、トラックリンクの一端部にある第1の部分およびトラックリンクの別の端部にあり、第1の端部に平行に延びられる第2の部分を含んでもよい。トラックリンクは、第1の部分と第2の部分との間の角部、第1の部分内の第1のアパーチャ、および第2の部分内の第2のアパーチャを含んでもよい。第1のアパーチャと第2のアパーチャは、トラックリンクの縦方向軸に沿って離隔されてもよく、第2のアパーチャは、第1のアパーチャの少なくとも一部よりも大きくなっていてもよい。トラックリンクは、トラックシューをトラックリンクに結合するように構成された穴または結合部を含まない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的なトラックリンクアセンブリの一部の斜視図である。
【
図2】
図1のトラックリンクアセンブリの部分分解図である。
【
図3】
図1のトラックリンクアセンブリの例示的なブッシングの断面図である。
【
図4】トラックシューに結合されたトラックリンクアセンブリの一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上述の一般的な説明および後述の詳細な説明の両方は、単に例示的かつ説明的なものであり、特許請求されている特徴を限定するものではない。本明細書で使用されているように、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、またはその他の変形例は、非排他的な包含をカバーすることを意図し、それによって要素のリストを含む工程、方法、物品、または装置は、単にそれらの要素のみを含むのではなく、そのような工程、方法、物品、または装置に明示的にリストされていないか、または内在していない他の要素を含んでもよい。本開示の目的のため、用語「地表面」は、通過するあらゆるタイプの材料(例:土、岩、粘土、砂、アスファルト、セメントなど)を指すために広く使用されている。さらに、本開示において、たとえば、「約」、「実質的に」、および「おおよそ」などの相対的な用語は、言及された値の±10%の可能な変動を示すために使用される。
【0009】
図1は、本開示による、例示的なトラックリンクアセンブリ10の一部の斜視図を示す。トラックリンクアセンブリ10は、産業、たとえば鉱業、建設業、農業、輸送業、あるいは当業界によく知られている任意の他の産業と関連した一部のタイプの動作を行う任意の可動機械に結合され得る。たとえば、トラックリンクアセンブリ10は、下部構造アセンブリに結合され、掘削機、ドーザ、ローダ、バックホー、モータグレーダ、または任意の他の土工機械の動力源によって駆動され得る。別個のトラックアセンブリ10が、機械の各側部に結合され、別個の無限ループを形成することができる。示されていないが、地表面の係合を補助するために、複数のトラックシューがトラックリンクアセンブリ10の外側表面に結合され得る。
【0010】
図1に示されるように、トラックリンクアセンブリ10は、1対の側方に離隔されかつオフセットリンク14をそれぞれ含む複数の構造的に類似したリンクサブアセンブリ12を含むオフセットリンクチェーンであり得る。各リンク14は、両側の端部のそれぞれにあり、かつ/または各リンク14の縦方向軸に沿って離隔されている、アパーチャ(第1のアパーチャ16および第2のアパーチャ18)を含む。リンク14の第1の対は、トラックリンクアセンブリ10の一側の一部を形成し得、リンク14の第2の対は、トラックリンクアセンブリ10の他側の一部を形成し得る。
【0011】
リンク14の個々のサブアセンブリ12は、ピン20およびブッシング22によって結合される。それぞれのピン20は、それぞれのブッシング22を通って延びられる開口24内に配置され得る。各ピン20は、隣接するリンク14の対を回転可能に結合するために、隣接して側方に離隔されているリンク14の対の一部を通って延長してよい。たとえば、ピン20は、2つのリンクサブアセンブリ12を連結するために、2つの前方リンク14の第1のアパーチャ16と、2つの後方リンク14の第2のアパーチャ18と、を通過することができる(
図2)。さらに、ブッシング22は、後方リンク14の第2のアパーチャ18を通過することができる。
図1に示されるように、ピン20およびブッシング22は、トラックリンクアセンブリ10の一部を形成するように複数のリンクサブアセンブリ12をともに結合する。示されていないが、トラックリンクアセンブリ10は、無限トラックチェーン(すなわち、無限ループを形成するチェーン)を形成するために、チェーンの2つの自由端部を結合するマスタリンクアセンブリを含み得る。さらに、明確にするために、
図1および
図2におけるトラックアセンブリ10の示された部分の右端部がピン20なしで示されており、トラックアセンブリ10の示された部分の左端部がピン20とブッシング22なしで示されていることに留意されたい。
【0012】
言及したように、リンク14は、オフセットリンクであり得る。特に、各リンク14は、少なくとも第1の部分26、第2の部分28、および第1の部分26と第2の部分28との間に延びられる角部30を含んでもよい。第1の部分26は、第1のアパーチャ16を含むことができ、第2の部分28は、第2のアパーチャ18を含んでもよい。第1の部分26および第2の部分28は、互いに実質的に平行であり得る。トラックリンクアセンブリ10を形成するために結合されるとき、各リンク14の第1の部分26は、別のリンク14の第2の部分28の外部に(すなわち、ブッシング22から離れるように)配置される場合があり、ピン20およびブッシング22を介して結合されるときにリンクサブアセンブリ12を形成する。各リンク14は、実質的に一定の厚さを含むことができ、鋼または別の適切な金属で形成され得る。たとえば、各リンク14は、板鋼(plate steel)または別の金属から切断または圧着され得る。金属は、第1の部分26、第2の部分28、および角部30を形成するために予め曲げられてもよく、または金属は、部分26、28、および30を形成するために切断した後に曲げられてもよい。さらに、第1のアパーチャ16および第2のアパーチャ18は、各リンク14を形成する金属内に切断、打ち抜き、または別の方式で形成され得る。金属が各リンク14の所望の形状に形成されると、金属は各リンク14を硬化させるために熱処理される場合があり、各リンク14の摩耗を低減させ、耐久性を高めるのに役立つ場合がある。また、各リンク14は、第1のアパーチャ16および第2のアパーチャ18の以外に「中実(solid)」であってよい。本明細書にて使用されるように、「中実」とは、いかなる内部または外部の空洞、開口または穴もないことを意味する。したがって、中実であることにより、リンク14はトラックシューをリンク14のいずれかに固定、ボルト締結または固着するように構成されているいかなる穴または結合部も含まない。
【0013】
各ピン20は、実質的に円筒形ロッドである場合があり、第1のアパーチャ16、およびブッシング22の開口24を通って滑り嵌めされるようにする大きさで設定される場合がある。一態様において、各ピン20は、ピン20の中央部を通って延びられるピン開口32を含んでもよい。ピン開口32は、第1のアパーチャ16にピン20を保持するのを助けるために広げられた部分を有するねじ、ボルト、または他の固定部材を保持することができる。ピン20は、任意の適切な金属で形成される場合があり、ピン20を硬化させるために熱処理される場合がある。
【0014】
各ブッシング22は、複数のシュー穴36を有するシュー延長部34を含む。シュー延長部34は、実質的に長方形である場合があり、ブッシング22の外面38から半径方向に離れるように延びられる場合がある。このように、各ブッシング22は、一般に円筒形である場合があり、円筒形のチャネルがそれを通って延びられて開口24を形成する。各ブッシング22は、外面38から離れるように延びられるシュー延長部34を含むため、各ブッシング22は、シュー延長部34によって形成された実質的に長方形の延長部を除いては実質的に円形である断面を含む。ブッシング22の縦方向軸に垂直な方向、たとえば、トラックアセンブリ10の移動方向へのシュー延長部34の幅は、開口24の直径とおおよそ等しい場合がある。一態様において、シュー延長部34の幅は、開口24の直径よりも小さくなっていてもよく、別の態様において、シュー延長部34の幅は、開口24の直径よりも大きくなっていてもよく、たとえば、ブッシング22の外径とおおよそ等しくなっていてもよい。シュー穴36を含むシュー延長部34の外面は、実質的に平坦である場合があり、ブッシング22とトラックシューとの間に平坦な当接部を提供することにより、トラックシューをブッシング22に結合するのに役立つ場合がある。
【0015】
シュー穴36は、シュー延長部34の外部から外面38に向かって内側に延びられ得る。シュー穴36は、開口24内に延びられないようなブラインド穴(blind hole)であり得る(
図3)。シュー穴36は、ボルト、またはトラックシューをブッシング22に結合するための他の結合要素をロック可能に保持するためにねじ切りしてよい(
図4)。一態様において、各シュー延長部34は、トラックシューをブッシング22に固定するのに役立つ3つのシュー穴36を含んでもよい。たとえば、各トラックシューは、シュー穴36の数、大きさ、および配置構成に対応する穴の数、大きさ、および配置構成を含んでもよい。トラックシュー上の穴も、結合要素をトラックシューおよびブッシング22に固定するのを助けるためにねじ切りされることがある。3つのシュー穴36が、
図1~
図3に示されているが、シュー延長部34が1つ、2つ、4つ、またはそれ以上のシュー穴36を含む場合があるため、本開示はこれに限定されない。
【0016】
各ブッシング22は、固定されたカップリングを形成するために、それぞれのリンク14の2つの第2のアパーチャ18内に圧入または締り嵌めされる場合がある。ピン20は、回転可能なカップリングを形成するために、ブッシング22の開口24内に滑り嵌めされる場合があり、ピン20とブッシング22との間のカップリングは、グリース、オイル、または別の潤滑剤を含む場合がある。
【0017】
図2は、トラックリンクアセンブリ10の一部の部分分解図を示す。示されるように、ブッシング22は、半径方向により厚い部分であり得るブッシング延長部40を含んでもよい。ブッシング延長部40は、ブッシング22の中央部の周りに半径方向に延びられる場合があり、シュー延長部34と実質的に整列される場合がある。ブッシング延長部40は、スプロケットがトラックリンクアセンブリ10を駆動するようにブッシング22と係合するときに、ブッシング22の摩耗を低減させるのに役立つ場合がある。ブッシング延長部40はまた、ブッシング延長部40とブッシング22の端部44との間にリップまたは停止面42を形成することができる。停止面42は、第2のアパーチャ18内の圧入または締り嵌め配置構成におけるブッシング22を確実に配置させるのを助けることができる。
【0018】
さらに、
図2に示されるように、第1のアパーチャ16は、幅広部46および幅狭部48を含んでもよい。
図1に示されるように、ピン20は、第1のアパーチャ16を通り、すなわち、幅広部46と幅狭部48の両方を通って延びられ得る。ブッシング22の端部44の一部は、幅広部46の少なくとも一部内に延びられ得る。たとえば、幅広部46は、第2のアパーチャ18よりも半径方向にわずかに広くなっていてもよく、幅広部46を有するリンク14とブッシング22が互いに対して旋回してもよい。
【0019】
1つ以上のシール50、たとえば、ゴムガスケットまたは別の弾性材料のリングがピン20の周りに配置され得る。たとえば、シール50は、ブッシング22の両側上でピン20の周りに配置され得る。一態様において、シール50は、ブッシング22に結合され、開口24の対向側面を囲むことができる。ピン20とブッシング22がリンク14の間に結合されるとき、
図1に示されるように、シール50は、ブッシング22の端部44と、幅広部46と幅狭部48との間の内面52の間で圧縮され得る。このように、シール50は、開口24内の任意の潤滑材料が開口24内に含まれるようにピン20の周りに半径方向に膨張して液密閉鎖部を形成する場合があり、リンクサブアセンブリ12の寿命にわたってブッシング22に対し、ピン20の円滑な回転を保障するのに役立つ場合がある。密封された配置構成において、ブッシング22およびピン20は、互いに対して回転可能であることに留意されたい。
【0020】
図3は、ブッシング22の断面図を示す。示されるように、開口24は、ブッシング22の一部を通って縦方向に延びられる。さらに、シュー延長部34およびブッシング延長部40は、停止面42を形成するために、ブッシング22から半径方向の外側に延びられる。シュー穴36は、シュー延長部34の外部から開口24に向かって延びられるが、内側に延びられない。ブッシング24は、鍛鋼またはモールディングされた鋼で形成することができ、および/またはシュー穴36は、シュー延長部34に穿孔されるか、または別な方式で形成することができる。
【0021】
図4は、トラックシュー54を有するトラックリンクアセンブリ10の一部の斜視図である。トラックシュー54は、トラックシュー54のベースプレート58内の1つ以上の穴56を介して少なくとも1つのブッシング22に結合することができる。1つ以上の結合要素、たとえば、ボルト60は、トラックシュー54のベースプレート58を通ってブッシング22のシュー延長部34のシュー穴36内に延びられ得る。一態様において、トラックシュー54は、トラックシュー54の中央部に配置され、トラックリンクアセンブリ10の移動方向に離隔された2セットの穴56を含んでもよい。穴56の位置は、隣接するブッシング22、たとえば、隣接するリンクサブアセンブリ12のブッシング22(たとえば、
図2参照)内のシュー穴36の位置に対応することができる。トラックシュー54はまた、トラックリンクアセンブリ10に対向するベースプレート58から延びられるリッジまたはグローサなどの1つ以上の延長部62を含んでもよい。トラックシュー54はまた、トラックシュー54の一端部に端部延長部64を含むことができ、端部延長部64は、ベースプレート58から角度を置いて延びることができる。端部延長部64は、
図4に示されるように、トラックシュー54の幅にわたって連続的であり得るか、または1つ以上のギャップ66を含んでもよい。ベースプレート58はまた、端部延長部64に対向する端部上に角部68を含むことができ、角部68は、トラックリンクアセンブリ10が機械を駆動するときに隣接するトラックシュー54が互いに対して旋回できるように、端部延長部64に対応するように形状化することができる。1つ以上の延長部62および端部延長部64は、トラックシュー54が地表面と係合してトラックリンクアセンブリ10で機械を推進するのを助けることができる。
【0022】
示されていないが、角部68はまた、1つ以上のギャップを含んでもよい。端部延長部64内のギャップ66および角部68内の任意のギャップは、ボルト60の両側上に配置され得る。たとえば、端部延長部64内のギャップ66および角部68内の任意のギャップは、リンク14の頂部と実質的に整列される場合がある。端部延長部64内のギャップ66および角部68内の任意のギャップは、リンク14よりも少なくとも部分的により広い場合があり、たとえば、リンク14がスプロケット上などの湾曲した経路に沿わせるときに、リンク14の少なくとも一部がトラックシュー54の一部内に受け入れることを可能とするのに役立つ場合がある。代替的にまたは追加的に、示されてはいないが、ギャップ66は、トラックシュー54の底部内の1つ以上の縦方向に延びられる溝を介して角部68内のギャップに連結される場合があり、トラックシュー54を1つ以上のリンクサブアセンブリ12に結合するのに役立つ場合がある。
【産業上の利用可能性】
【0023】
トラックリンクアセンブリ10の開示された態様は、1つ以上のトラックを形成するために、ともに結合されるリンクを含むトラック式の下部構造を含む任意の機械に使用することができる。本明細書にて説明されているトラックリンクアセンブリ10は、部品の数の減少と、メンテナンスまたは交換が必要となる可能性の減少と共に、強力で耐久力のある連結をリンク14とトラックシュー54との間に提供することができる。したがって、開示されたトラックリンクアセンブリ10は、性能を犠牲にすることなく、信頼性があり、低コストであり得る。
【0024】
各リンク14は、第1のアパーチャ16および第2のアパーチャ18を含み、リンク14は、ピン20およびブッシング22によって結合される。ブッシング22は、端部44を介して第1のまたは内側リンク14に固定結合され、ピン20は、第2のまたは外側リンク14に回転可能にまたは旋回可能に結合される。機械の作動中、リンクサブアセンブリ12の隣接するリンク14は互いに対して旋回する。特に、端部44が固定されたカップリングを形成するために、第2のアパーチャ18を通って締り嵌めまたは圧入された状態において、隣接するリンク14の内側リンク14はブッシング22に結合される。ピン20が相対的な旋回を可能とするために、第1のアパーチャ16を通って滑り嵌めされた状態において、隣接するリンク14の外側リンク14はピン20に結合される。トラックシュー54がリンク14ではなくブッシング22に結合されるため、リンク14は、たとえば、板鋼のようなより薄い金属で形成され得る。リンク14は、ボルトおよびナットとともにトラックシューを厚いトラックリンクに固定する複数の穴を含む既存のトラックリンクよりも容易に生産され、かつ/またはより安価であり得る。たとえば、リンク14は、板鋼から切断される場合があり、別個のモールディングまたは鍛造を必要とせず、潜在的に生産、組み立て、およびメンテナンスコストを削減させることができる。
【0025】
ブッシング22は、シュー穴36を有するシュー延長部34を含む。結合要素、たとえば、ボルト60は、トラックシュー54の一部を通ってシュー穴36内に延びられ、トラックシューをブッシング22に結合することができる。ブッシング延長部40はまた、ブッシング延長部40の増加された半径方向の厚さがトラックリンクアセンブリ10を駆動するために1つ以上のスプロケットと係合することができるため、ブッシング22の摩耗を低減させるのに役立つことができ、ブッシング22の耐久性および寿命を増加させることができる。さらに、ブッシング22は、たとえば、鋼から、一体に形成(すなわち、モールディングまたは鍛造)され得る。ブッシング22の生産は、従来のブッシングよりも時間集約的またはコスト集約的であり得るが、リンク14の形成のための時間およびコストの削減が任意の時間またはコストの増加よりも重要であることに留意されたい。ブッシング22はまた、モールディングされた材料を硬化させるために熱処理され得、ブッシング22が単一要素であり、連結が破損されるリスクが低減されるため、ブッシング22は従来のブッシングおよび/または他のトラック構成要素よりも高温で、かつより長い時間、加熱され得る。このように、ブッシング22は、深い深さまで硬化され得る。
【0026】
さらに、ブッシング22はまた、従来のトラックリンクアセンブリのリンクよりも、トラックリンクアセンブリ10の移動方向を横切る方向により大きい表面積を含んでもよい。したがって、ブッシング22は、シュー延長部34が複数のシュー穴36を含み得るため、トラックシュー54をトラックリンクアセンブリ10に確実に結合するのに役立つことができ、複数のねじ、ボルト60、または結合要素がトラックシュー54をブッシング22に結合することを可能にする。さらに、複数のねじ、ボルト、または結合要素は、トラックシューをトラックリンクに結合するのに従来使用される結合要素よりも小さい場合がある。シュー延長部34によって形成された平坦な表面とともにより多い数のより小さな結合要素は、トラックシュー54とブッシング22との間の確実な連結を増加させるのに役立つことができる。さらに、トラックシュー54がブッシング22により容易に結合され、かつ結合解除される可能性があるため、複数の結合要素は、たとえば、ユーザがトラックリンクアセンブリ10を検査するか、トラックシューを交換するか、または別な方式でトラックリンクアセンブリ10を保持するために、トラックリンクアセンブリ10のメンテナンスおよびオペレーションに役立つ可能性がある。
【0027】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたシステムに様々な修正および変形を加えられ得ることは、当業者に明らかであろう。システムの他の実施形態は、本明細書と、本明細書に開示したトラックリンクアセンブリの実施とを考慮することから、当業者には明らかであろう。本明細書および例は、単に例示的なものと見なされるべきであり、本開示の真の範囲が以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示されることが意図されている。