(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】クロストリジウム・ヒストリチクム(CLOSTRIDIUM HISTOLYTICUM)酵素およびその使用のための方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/57 20060101AFI20230925BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230925BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230925BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230925BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230925BHJP
C12N 9/52 20060101ALI20230925BHJP
C07K 14/33 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
C12N15/57 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N9/52
C07K14/33
(21)【出願番号】P 2021150945
(22)【出願日】2021-09-16
(62)【分割の表示】P 2020138009の分割
【原出願日】2013-01-10
【審査請求日】2021-09-16
(32)【優先日】2012-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308040971
【氏名又は名称】オーキシリウム インターナショナル ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハーバー,ウェイン,ケー.
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6496386(JP,B2)
【文献】特表2009-525283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
C12N 9/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2の91~3063位のヌクレオチドまたは配列番号2の91~3063位のヌクレオチドの相補体と、前記配列番号2の91~3063位のヌクレオチドまたはその相補体に操作可能に連結された異種制御配列と、を含む組み換え核酸。
【請求項2】
前記制御配列がプロモーターである、請求項1に記載の組み換え核酸。
【請求項3】
請求項1または2に記載の核酸を含む、発現カセット。
【請求項4】
請求項1または2に記載の核酸または請求項
3に記載の発現カセットを含む、ベクター。
【請求項5】
プラスミドである、請求項
4に記載のベクター。
【請求項6】
請求項
4または
5に記載のベクターを含む、組み換え宿主細胞。
【請求項7】
前記宿主細胞が、細菌細胞、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞および哺乳動物細胞からなる群から選択される、請求項
6に記載の組み換え宿主細胞。
【請求項8】
前記宿主細胞が、E.コリ(E.coli)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、シュードモナス属(Pseudomonas)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、酵母細胞、植物細胞、胸腺細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、またはラクトコッカス・ラクティス(lactococcus lactis)である、請求項
7に記載の組み換え宿主細胞。
【請求項9】
前記宿主細胞が、ラクトコッカス・ラクティス(lactococcus lactis)細胞である、請求項
8に記載の組み換え宿主細胞。
【請求項10】
前記宿主細胞が、E.コリ(E.coli)である、請求項
8に記載の組み換え宿主細胞。
【請求項11】
成熟コラゲナーゼIIを産生する方法であって、請求項
6~10のいずれか1項に記載の組み換え宿主細胞を、前記核酸の発現に適切な条件下で培養することと、前記成熟コラゲナーゼIIを回収することと、を含み、前記核酸は配列番号2の91~3063位のヌクレオチドを含む、方法。
【請求項12】
成熟コラゲナーゼIIを産生する方法であって、配列番号2の91~3063位のヌクレオチドを有する核酸を含むベクターまたはプラスミドを含む組み換え宿主細胞を培養することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2012年1月12日提出の米国特許仮出願第61/585,909号の優先権を主張する。上記で示される願書の全内容は本明細書中で参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、哺乳類生物の主要な構造的要素であり、動物身体の皮膚および他の部分の総タンパク質含量の大分部を構成する。ヒトにおいて、これは、創傷治癒過程および自然の加齢の過程において特に重要である。熱傷、外科手術および感染を含む様々な皮膚外傷は、コラーゲンに富み、プロテオグリカン含量が高い繊維組織の蓄積を特徴とする。損傷を受け、破壊された正常組織の置き換えに加えて、過剰で外見を損なう新しい組織の沈着が治癒過程中に形成されることがある。過剰なコラーゲン沈着は、コラーゲン合成とコラーゲン分解との間の均衡の乱れに起因する。
【0003】
過剰なコラーゲン沈着およびコラーゲンに富む繊維組織の不規則な蓄積が付随する疾患および状態は、「コラーゲン介在疾患」と呼ばれ得る。特異的なコラーゲン消化能を有する酵素であるコラゲナーゼは、例えば、デュプイトラン拘縮、ペイロニー病、脂肪腫および癒着性関節包炎を含む様々なコラーゲン介在疾患を処置するために使用されてきた。参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第6,086,872号および同第5,589,171号は、デュピュイトラン病の処置におけるコラゲナーゼ調製物の使用を開示する。参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第6,022,539号は、ペイロニー病の処置におけるコラゲナーゼ調製物の使用を開示する。参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第6,958,150号および同第7,842,673号は、脂肪腫の処置のためのコラゲナーゼの使用を開示する。参照により本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第2006/020448A1号は、癒着性関節包炎の処置におけるコラゲナーゼの使用を開示する。治療における使用のためのコラゲナーゼは、哺乳動物、真菌および細菌性供給源を含む、様々な供給源から得られ得る。粗コラゲナーゼのある一般的な供給源は、細菌性発酵過程、具体的にはクロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)(C.ヒストリチクム(C.histolyticum))の発酵からのものである。C.ヒストリチクム(C.histolyticum)から得られた粗コラゲナーゼは、多くのクロマトグラフィー技術の何れかを用いて精製され得る。
【0004】
細菌発酵のある1つの欠点は、治療用組成物中に存在する場合、患者の健康に有害である様々な毒素が産生されることである。例えば、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)発酵の結果、溶血性毒素αおよびεの合成が起こり、これにより赤血球細胞の溶解(溶血)が引き起こされ得、溶血クリーゼおよび溶血性貧血に至る可能性がある。溶血クリーゼは、正常な赤血球細胞レベルを再確立するのに十分に迅速に赤血球細胞を身体が補給できないことと合わせて、多数の赤血球細胞の急速な破壊があるときに起こる。溶血クリーゼは、急性(およびしばしば重篤な)溶血性貧血を引き起こし、その結果、倦怠感、息切れ、目まい、頭痛、手足の冷感、青白い皮膚、胸痛、黄疸、上腹部痛、下腿潰瘍および疼痛、輸血に対する激しい反応、不整脈,心肥大および心不全が起こり得る。治療用コラゲナーゼ調製物が、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)発酵中に発現され得る溶血性毒素を含有しないことを確実にするために、患者への投与前に医薬品に出荷許可を与えるための方法が与えられる。
【0005】
上記で論じられるとおり、治療での使用のためのコラゲナーゼは、細菌性供給源などの様々な供給源から得られ得る(例えばC.ヒストリチクム(C.histolyticum)の発酵から)。組み換え型のコラゲナーゼ酵素など、コラゲナーゼのさらなる供給源を開発することは有用であろう。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの態様において、本発明は、機能性コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIをコードする突然変異ポリヌクレオチド配列の発見に基づく。したがって、本発明は、新規ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を含む組み換え核酸およびポリペプチドならびにこれを使用するための方法を包含する。本発明はまた、コラゲナーゼの患者への治療的投与前に、コラゲナーゼを産生する細菌性産生株による溶血性毒素の分泌を検出するための方法および、コラゲナーゼ組成物中の溶血性毒素の存在を検出するための方法も提供する。
【0007】
ある実施形態において、本発明は、配列番号1(コラゲナーゼIヌクレオチド配列)または配列番号1の相補体の配列を有するポリヌクレオチドを含む組み換え核酸分子を対象とする。ある一定の態様において、本組み換え核酸は、このポリヌクレオチドに操作可能に連結される異種制御配列をさらに含む。ある一定のさらなる実施形態において、本発明は、配列番号1のポリヌクレオチドからなる組み換え核酸分子である。またさらなる態様において、本発明は、配列番号1のポリヌクレオチドおよびこのポリヌクレオチドに操作可能に連結される異種制御配列からなる組み換え核酸分子に関する。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、配列番号2の配列(コラゲナーゼIIヌクレオチド配列)または配列番号2の相補体を有するポリヌクレオチドを含む組み換え核酸分子である。ある一定の態様において、本組み換え核酸は、このポリヌクレオチドに操作可能に連結される異種プロモーターをさらに含む。ある一定のさらなる実施形態において、本発明は、配列番号2のポリヌクレオチドからなる組み換え核酸分子である。またさらなる態様において、本発明は、配列番号2のポリヌクレオチドおよびこのポリヌクレオチドに操作可能に連結される異種制御配列からなる組み換え核酸分子に関する。
【0009】
本発明はまた、配列番号1または配列番号2の配列を有するポリヌクレオチドを含む組み換え核酸によりコードされる組み換えポリペプチドも含む。
【0010】
ある一定のさらなる実施形態において、本発明は、配列番号1または配列番号2の配列を有するポリヌクレオチドを含む組み換え核酸を含む発現カセットを対象とする。
【0011】
またさらなる実施形態において、本発明は、配列番号1または配列番号2の配列を有するポリヌクレオチドを含む組み換え核酸を含むベクターを対象とする。いくつかの実施形態において、ベクターはプラスミドである。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、配列番号1または配列番号2の配列を有するポリヌクレオチドを含むベクターまたはプラスミドを含む組み換え宿主細胞を対象とする。本発明はまた、その核酸の発現に適切な条件下で宿主細胞を培養し、コラゲナーゼIまたはコラゲナーゼIIを回収することを含む、コラゲナーゼIまたはコラゲナーゼIIを産生する方法も包含する。本発明はまた、組み換え宿主細胞を培養することによって産生されるコラゲナーゼ酵素も含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列を含む組み換え産生コラゲナーゼI、配列番号4のアミノ酸配列を含む組み換え産生コラゲナーゼII、配列番号5のアミノ酸配列を含む組み換え産生コラゲナーゼIまたは配列番号6のアミノ酸配列を含む組み換え産生コラゲナーゼIIを対象とする。
【0014】
本発明において、本明細書中に記載のようなコラゲナーゼI、本明細書中に記載のようなコラゲナーゼIIまたはそれらの組み合わせを含む医薬組成物も含まれる。ある一定の態様において、本発明は、医薬的に許容可能な担体と、配列番号3のアミノ配列を含むポリペプチド、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそれらの組み合わせと、を含む医薬組成物を対象とする。ある一定のさらなる態様において、本発明は、医薬的に許容可能な担体と、配列番号5のアミノ配列を含むポリペプチド、配列番号6のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそれらの組み合わせと、を含む医薬組成物を対象とする。本発明は、さらに、有効量のコラゲナーゼI、コラゲナーゼIIまたはそれらの組み合わせを投与することを含む、コラーゲン介在疾患を処置する方法を含む。
【0015】
上記で論じられるように、本発明は、細菌性産生株による溶血性毒素の分泌を検出するための方法およびコラゲナーゼ組成物中の溶血性毒素の存在を検出するための方法を包含する。
【0016】
本発明のある実施形態において、コラゲナーゼを産生する細菌株は、溶血アッセイを用いた溶血性毒素の産生に対して試験される。ある態様において、溶血アッセイは血液寒天基質を用いて行われる。
【0017】
別の実施形態において、溶血アッセイを用いて、溶血性毒素の存在についてコラゲナーゼ産物を試験する。ある一定の態様において、血液寒天基質を用いて溶血アッセイが行われる。さらなる態様において、溶血アッセイは、放出されるヘモグロビンの光度検出を用いて行われる。溶血アッセイまたは光度検出によって測定した場合に溶血性毒素が存在しないことは、治療的投与のための医薬品の出荷許可を裏付ける。
【0018】
治療的投与に対するコラゲナーゼ医薬品の出荷許可の裏付けとして、本発明の方法に従い、溶血性活性について、コラゲナーゼ産生細菌の様々な株をアッセイし得る。例えば、アクチノバチルス属(Actinobacillus)、アクチノマヅラ属(Actinomadura)、バチルス属(Bacillus)、バクテリオデス属(Bacteriodes)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブルセラ属(Brucella)、カプノサイトファーガ属(Capnocytophaga)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エスケリキア属(Escherichia)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、プレボテラ属(Prevotella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、セラチア属(Serratia)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、トレポネマ属(Treponema)およびビブリオ属(Vibrio)を、治療的投与のためのコラゲナーゼ医薬品の出荷許可の裏付けとして、本発明の方法に従い溶血性活性についてアッセイし得る。
【0019】
別の実施形態において、治療的投与のためのコラゲナーゼ医薬品の出荷許可の裏付けとして、本発明の方法に従い、コラゲナーゼ産生細菌株により産生され、そこから精製されるコラゲナーゼ産物を溶血性活性についてアッセイする。いくつかの実施形態において、上記で列挙されるがそれらに限定されない属から産生株を選択する。本発明の別の態様において、産生株は、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの組み換え型で形質転換されているE.コリ(E.coli)の形態を含む、エスケリキア・コリ(Escherichia coli)株である。本発明のある一定の態様において、産生株は、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)株である。さらなる態様において、産生株はC.ヒストリチクム(C.histolyticum)株である。
【0020】
本発明のまた別の実施形態において、本発明の方法に従い、精製C.ヒストリチクム(C.histolyticum)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの組み合わせを含むコラゲナーゼ組成物を溶血性活性についてアッセイする。さらなる実施形態において、本発明は、本発明の方法に従い、機能性の分泌性溶血性毒素がないことについて細菌性産生株を試験することを含む、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)コラゲナーゼIおよびIIからなる医薬品を産生する方法である。
【0021】
また別の実施形態において、本発明は、ろ過およびカラムクロマトグラフィーによって組成物を精製し、続いて本明細書中に記載の方法に従い溶血性毒素がないことを確認することを含む、粗コラゲナーゼ組成物を精製する方法である。
【0022】
さらなる実施形態において、本発明は、コラーゲン介在状態の処置を必要とする患者においてコラーゲン介在状態を処置する方法であって、コラゲナーゼを含む有効量の医薬品をその患者に投与することを含み、患者へのその医薬品の、および/または医薬組成物中のコラゲナーゼの製剤の投与前に、本発明の方法に従い、この医薬品中またはそのコラゲナーゼを産生する細菌性産生株中に溶血性毒素がないことを確認する方法である。
【0023】
試料中の溶血性毒素の有無について試験するためのキットも記載される。
【0024】
添付の図面(同種の参照文字が様々な図を通じて同じ部分を指す。)で示されるような次の本発明の好ましい実施形態のさらに具体的な記載から、本発明の前述および他の目的、特性および長所が明らかとなろう。この図面は必ずしも縮尺比に従って縮小されておらず、代わりに、本発明の原理を説明ことに重点を置く。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_2834および2835の推定α毒素とのクロストリジウム・セプチクム(Clostridium septicum)α毒素タンパク質アラインメントを示す。C.セプチクム(C.septicum)α毒素アミノ酸配列(配列番号7)は、各列の上部の配列である。C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_2834および2835(配列番号8)は、各列の下部の配列である。下線と影付きの配列は、成熟C.セプチクム(C.septicum)α毒素のN末端である。アミノ酸の上の星印は、機能性に重要な非保存的な必須の残基を示す(配列中のミスマッチを識別)。陰影付きは、保存的な必須残基を示す(同一性を確認)。配列の付番は、C.セプチクム(C.septicum)配列に基づく。
【
図2】
図2は、C.セプチクム(C.septicum)の血液寒天のプレーティングを示す。矢印は、β溶血性活性を示す。
【
図3】
図3は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_2576の推定δ毒素とのバチルス・プロテオリティクス(Bacillus proteolyticus)サーモリシンのアミノ酸アラインメントを示す。各列の上部の配列は、バチルス・プロテオリティクス(Bacillus proteolyticus)(B.プロテオリティクス(B.proteolyticus))サーモリシンタンパク質の配列(配列番号9)を示す。各列の下部の配列は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_2576の配列(配列番号10)である。緑色の陰影は、前駆タンパク質領域を示す。付番は、サーモリシン配列に基づく。
【
図4】
図4は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_2576の推定δ毒素との、B.プロテオリティクス(B.proteolyticus)サーモリシンのプロ配列アミノ酸アラインメントを示す。各列の上部の配列は、B.プロテオリティクス(B.proteolyticus)サーモリシンタンパク質(配列番号11)のプロ配列である。各列の下部の配列は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_2576のプロ配列(配列番号12)である。アミノ酸の上の星印は、機能性に重要な非保存的な必須の残基を示す(配列中のミスマッチを識別)。緑色の陰影は、保存的な必須残基を示す(同一性を確認)。付番は、サーモリシン配列に基づく。
【
図5】
図5は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_2576の推定δ毒素とのB.プロテオリティクス(B.proteolyticus)サーモリシンの成熟配列タンパク質アラインメントを示す。各列の上部の配列は、B.プロテオリティクス(B.proteolyticus)サーモリシンの成熟配列(配列番号13)である。各列の下部の配列は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_2576(配列番号14)である。アミノ酸の上の星印は、機能性に重要な非保存的な必須残基である(配列中のミスマッチを識別)。緑色の陰影は、保存的な必須残基を示す(同一性を確認)。付番は、サーモリシン配列に基づく。
【
図6】
図6は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_1920の推定ε毒素との、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)パーフリンゴリジンのタンパク質アラインメントを示す。各列の上部の配列は、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)パーフリンゴリジンアミノ酸配列(配列番号15)である。各列の下部の配列は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_1920のアミノ酸配列(配列番号16)である。青い星印は、パーフリンゴリジンK43のシグナルぺプチダーゼ切断部位を示す。アミノ酸の上の星印は、機能性に重要な非保存的な必須残基である(配列中のミスマッチを識別)。緑色の陰影は、保存的な必須残基を示す(同一性を確認)。付番は、パーフリンゴリジン配列に基づく。
【
図7】
図7は、テタノリシンのβ溶血性表現型を示す。
【
図8】
図8は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_1861の推定γ毒素との、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クロストリパインのタンパク質アラインメントを示す。各列の上部の配列は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クロストリパインアミノ酸配列(配列番号17)である。各列の下部の配列は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)CLH_1920アミノ酸配列(配列番号18)である。アミノ酸の上の星印は、機能性に重要な非保存的な必須の残基を示す(配列中のミスマッチを識別)。緑色の陰影は、保存的な必須の残基を示す(同一性を確認)。付番は、クロストリパインX63673配列に基づく。
【
図9-1】
図9は、colGからの翻訳アミノ酸配列および配列番号3のアミノ酸配列のアラインメント比較を示す(CLH_1768および1769からの翻訳アミノ酸配列;上部の配列)。
図9で示されるように、配列番号3のアミノ酸配列によりコードされる成熟タンパク質は、colGアミノ酸配列からの翻訳アミノ酸配列と3個のアミノ酸が異なる。成熟タンパク質のN末端は、配列番号3の配列のIle119で始まる。配列番号3のIle119で始まる成熟タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号5である。
【
図9-2】
図9は、colGからの翻訳アミノ酸配列および配列番号3のアミノ酸配列のアラインメント比較を示す(CLH_1768および1769からの翻訳アミノ酸配列;上部の配列)。
図9で示されるように、配列番号3のアミノ酸配列によりコードされる成熟タンパク質は、colGアミノ酸配列からの翻訳アミノ酸配列と3個のアミノ酸が異なる。成熟タンパク質のN末端は、配列番号3の配列のIle119で始まる。配列番号3のIle119で始まる成熟タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号5である。
【
図10-1】
図10は、colHからの翻訳アミノ酸配列および配列番号4のアラインメント比較を示す(CLH_2116からの翻訳アミノ酸配列;下部の配列)。
図10で示されるように、配列番号4のアミノ酸配列によりコードされる成熟タンパク質は、翻訳colGアミノ酸配列と8個のアミノ酸が異なる。成熟タンパク質のN末端は、colGおよび配列番号4のAla31で始まる。配列番号4のAla31で始まる成熟タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号6である。
【
図10-2】
図10は、colHからの翻訳アミノ酸配列および配列番号4のアラインメント比較を示す(CLH_2116からの翻訳アミノ酸配列;下部の配列)。
図10で示されるように、配列番号4のアミノ酸配列によりコードされる成熟タンパク質は、翻訳colGアミノ酸配列と8個のアミノ酸が異なる。成熟タンパク質のN末端は、colGおよび配列番号4のAla31で始まる。配列番号4のAla31で始まる成熟タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号6である。
【
図11-1】
図11は、配列番号1のヌクレオチド配列を示す(CLH_1768および1769;コラゲナーゼI)。
【
図11-2】
図11は、配列番号1のヌクレオチド配列を示す(CLH_1768および1769;コラゲナーゼI)。
【
図12-1】
図12は、配列番号2のヌクレオチド配列を示す(CLH_2116;コラゲナーゼII)。
【
図12-2】
図12は、配列番号2のヌクレオチド配列を示す(CLH_2116;コラゲナーゼII)。
【
図13A】
図13Aおよび13Bは、それぞれ、配列番号8および配列番号21のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す(CLH_2835およびCLH_2834;α毒素)。
【
図13B】
図13Aおよび13Bは、それぞれ、配列番号8および配列番号21のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す(CLH_2835およびCLH_2834;α毒素)。
【
図14A】
図14Aおよび14Bは、それぞれ、配列番号10および配列番号22のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す(CLH_2576;δ毒素)。
【
図14B】
図14Aおよび14Bは、それぞれ、配列番号10および配列番号22のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す(CLH_2576;δ毒素)。
【
図15A】
図15Aおよび15Bは、それぞれ、配列番号16および配列番号23のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す(CLH_1920;ε毒素)。
【
図15B】
図15Aおよび15Bは、それぞれ、配列番号16および配列番号23のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す(CLH_1920;ε毒素)。
【
図16A】
図16Aおよび16Bは、それぞれ、配列番号18および配列番号24のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す(CLH_1861;γ毒素)。
【
図16B】
図16Aおよび16Bは、それぞれ、配列番号18および配列番号24のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す(CLH_1861;γ毒素)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好ましい実施形態の説明は次のとおりである。
「a」または「an」という語は、別段の断りがない限り、1以上を包含するものとする。例えば「ヘモロイティック毒素(hemoloytic toxin)」は、1以上の溶血性毒素を指す。
【0027】
本発明の実施は、別段の断りがない限り、当技術分野の技術の範囲内にある、細胞培養、分子生物学、微生物学、細胞生物学および免疫学の従来の技術を用いる。このような技術は、文献中で詳細に説明されている。例えば、本明細書中で参照により明確にその内容が組み込まれる、Sambrookら、1989,”Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubelら(1995),”Short Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons;Methods in Enzymology(several volumes);Methods in Cell Biology(several volumes)およびMethods in Molecular Biology(several volumes)を参照のこと。
【0028】
A.組み換え核酸およびタンパク質
コラゲナーゼの主要な供給源は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)の発酵由来である。C.ヒストリチクム(C.histolyticum)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む注射用製剤は、商品名XIAFLEX(登録商標)のもと販売されており、デュプイトラン拘縮の処置に対してU.S.Food and Drug Administrationにより承認されている。それぞれcolGおよびcolH遺伝子によりコードされるコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIに対するアミノ酸配列は、文献に記載されている。例えば、colGは、GenBank受託番号D87215およびMatsushitaら(1999)、Journal of Bacteriology 181(3):923-933に記載されており、colHは、GenBank受託番号D29981およびYoshiharaら(1994)、Journal of Bacteriology 176(21):6489-6496(これらのそれぞれの内容が、本明細書中で参照により明確に組み込まれる。)に記載されている。本発明は、機能性コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを産生し、分泌するC.ヒストリチクム(C.histolyticum)株(実施例中、下記のクローン004)においてコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIをコードする遺伝子の配列決定分析に一部基づく。コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIをコードする遺伝子のヌクレオチド配列は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)(例えば、GenBank受託番号D87125およびD29981)に対する文献記載配列とは異なることが分かっている(配列番号19および20)(
図9および10)。
【0029】
コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、メタロプロテアーゼであり、それらの活性には堅く結合する亜鉛および緩く結合するカルシウムが必要である(Eddie L.AngletonおよびH.E.Van Wart,Biochemistry 1988,27,7406-7412)。コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、全タイプのコラーゲンに対して幅広い特異性を有する(Steinbrink,D;Bond,MおよびVan Wart,H;(1985),JBC,260 p2771-2776)。コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、生理的条件下でコラーゲンの三重らせん領域を加水分解することによってコラーゲンを消化する(Steinbrink,D;Bond,MおよびVan Wart,H;(1985),JBC,260 p2771-2776)。各コラゲナーゼが異なる特異性を示す(例えば、それぞれが、切断に対して異なる好ましいアミノ配列を有する)としても、一緒に、それらは、コラーゲンに対して相乗的活性を有する(Mandl,I.,(1964),Biochemistry,3:p.1737-1741;Vos-Scheperkeuter,GH(1997),Cell Transplantation,6:p.403-412)。
【0030】
本発明は、配列番号1のポリヌクレオチドまたは配列番号1の相補体を含むかまたはそれからなる組み換え核酸分子を包含する。ある一定の態様において、本組み換え核酸は、このポリヌクレオチドに操作可能に連結される異種制御配列をさらに含む。本発明は、配列番号2のポリヌクレオチドまたは配列番号2の相補体を含むかまたはそれからなる組み換え核酸分子をさらに包含する。ある一定の態様において、本組み換え核酸は、このポリヌクレオチドに操作可能に連結される異種プロモーターをさらに含む。
【0031】
本発明はまた、本明細書中に記載の組み換え核酸によりコードされる組み換えポリペプチドも包含する。いくつかの態様において、本組み換えポリペプチドは、配列番号1および配列番号2からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる組み換え核酸によりコードされる。いくつかの実施形態において、本組み換えポリペプチドは、配列番号3または配列番号4のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態において、本組み換えポリペプチドは、配列番号5(
図9の配列番号3のIle119で始まる成熟コラゲナーゼIタンパク質)または配列番号6(
図10の配列番号4のAla31で始まる成熟コラゲナーゼIIタンパク質)のアミノ酸配列を含む。また別の実施形態において、本組み換えポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列からなる。
【0032】
また別の実施形態において、本発明は、配列番号3または配列番号4のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるポリペプチドをコードする組み換え核酸を対象とする。さらなる実施形態において、本発明は、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるポリペプチドをコードする組み換え核酸を対象とする。さらなる態様において、本組み換え核酸は、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0033】
組み換え核酸は、本明細書中に記載のポリヌクレオチド配列(例えば、配列番号1または配列番号2のポリヌクレオチド配列)に加えて、さらなる異種コードまたは非コードヌクレオチド配列を含有する核酸分子である。「異種」という用語は、ポリヌクレオチドが、異なる種由来であるか、または、同じ種由来であるが、その添加されるヌクレオチド配列とは別のゲノム位置からのものであることを意味する。組み換えポリペプチドまたはタンパク質とは、組み換え技術を用いて産生されるポリペプチドまたはタンパク質、例えば、所望のポリペプチドまたはタンパク質をコードする外因性核酸コンストラクトにより形質転換された細胞から産生されるタンパク質またはポリペプチドを指す。
【0034】
本発明はまた、制御配列に操作可能に連結されている、配列番号1または配列番号2のポリヌクレオチド配列を含む核酸に関する。本発明は、さらに、制御配列に操作可能に連結されている、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸に関する。制御配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を支配するおよび/またはある一定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を支配する制御配列(例えば、組織特異的な制御配列)を含む。制御配列の非限定例は、プロモーターおよびエンハンサーである。制御配列はまた、他の発現調節エレメント、例えばGoeddei,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)(この内容は、本明細書中で参照により明確に組み込まれる。)に記載のもの、も含む。核酸は、その核酸分子が、その核酸配列の発現を可能とするように制御配列に連結される場合、制御配列に「操作可能に連結される」。
【0035】
本明細書中に記載の核酸分子は、マーカー配列、例えばポリペプチドの単離または精製を支援するためのポリペプチドをコードする配列にさらに融合させ得る。このような配列としては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質をコードするもの、インフルエンザからのヘマグルチニンA(HA)ポリペプチドマーカーをコードするものおよびヘキサヒスチジンペプチド、例えばpQEベクター(Qiagen,Inc.)において提供されるタグなどをコードするものが挙げられるがこれらに限定されない。ある一定の態様において、本発明は、マーカーアミノ酸配列に融合される、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を含むポリペプチドを対象とする。
【0036】
さらなる態様において、本発明は、配列番号1または配列番号2のヌクレオチド配列の変異体である核酸を対象とする。変異体核酸は、配列番号1または配列番号2のヌクレオチド配列と比較して、ヌクレオチド置換、付加または欠失を含む核酸である。いくつかの態様において、変異体は、配列番号1または配列番号2のヌクレオチド配列のものと同一であるかまたは実質的に同一であるアミノ酸配列をコードする核酸である。
【0037】
当業者により理解されるであろうとおり、遺伝子コードの縮重のために、いくつかの異なる核酸配列が、ある一定のタンパク質をコードし得る。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはそれぞれ、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、例えば、具体的なアミノ酸が1つのコドンにより特定される全ての位置において、そのコドンは、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることなく同じアミノ酸をコードする対応するコドンの何れかに変更され得る。当業者は、機能的に同一である分子を得るために、ヌクレオチド配列中の各コドン(メチオニンに対する唯一のコドンであるAUGおよび通常はトリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く。)が修飾され得ることを理解するであろう。
【0038】
ある一定の実施形態において、本発明は、1以上のアミノ酸が欠失しているかまたは付加されている、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるポリペプチドを対象とし、このポリペプチドは、コラーゲンを分解するかまたは溶解させる活性を保持する。またさらなる実施形態において、ポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、1以上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基で置換されており、このポリペプチドは、コラーゲンを分解するかまたは溶解させる活性を保持し、このポリペプチドは、GenBank受託番号D87125(配列番号19)およびD29981(配列番号20)のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある一定の態様において、アミノ酸が置換される場合、この置換は、保存的アミノ酸変化である。保存的アミノ酸変化は、例えば、非極性アミノ酸の別の非極性アミノ酸に対する置換、極性アミノ酸の別の極性アミノ酸に対する置換または正電荷アミノ酸の別の正電荷アミノ酸に対する置換である。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが挙げられ;極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられ;正電荷(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが挙げられ;負電荷(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。
【0039】
単離核酸および単離ポリペプチドは、それらが天然で存在する形態または環境にはない。例えば、単離核酸は、通常は天然で核酸分子の側面にあるヌクレオチドから分離されているものである。組み換え核酸およびベクター内の組み換え核酸も単離核酸の例である。また、単離核酸分子としては、異種宿主細胞中の組み換え核酸分子ならびに溶液中の部分的または実質的に精製されている核酸分子が挙げられる。
【0040】
下記でより詳細に記載されるように、本発明はまた、本明細書中に記載の核酸分子を含む、組み換え宿主細胞、例えば細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、両生類細胞および哺乳動物細胞なども包含する。
【0041】
発現カセットは、このような配列と適合性である宿主において、構造遺伝子(即ちタンパク質コード配列、例えば本発明のコラゲナーゼ)の発現に影響を及ぼすことが可能なヌクレオチド配列である。発現カセットは、ポリペプチドコード配列;および場合によっては他の配列、例えば、転写終結シグナルと操作可能に連結されるプロモーターを含み得る。発現を達成することにおいて必要であるかまたは役立つさらなる因子、例えばエンハンサーも使用され得る。
【0042】
本発明はまた、本発明の核酸を含むベクターにも関する。ある実施形態において、本核酸は、配列番号1または配列番号2またはその相補体である。別の実施形態において、本核酸は、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸である。「ベクター」は、それに連結されている別の核酸を輸送することが可能な核酸分子である。ベクターの非限定例は、さらなるDNAセグメントが核酸連結され得る環状の2本鎖DNAであるプラスミドである。ベクターの別の例は、ウイルスベクターであり、ここでさらなるDNAセグメントがウイルスゲノムに核酸連結される。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律的複製が可能である(例えば細菌性複製起点およびエピソーム性哺乳動物ベクターを有する細菌性ベクター)。他のベクター(例えば非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに複製される。発現ベクターは、それらが操作可能に連結される遺伝子の発現を支配することが可能である。このような発現ベクターとしては例えばプラスミドが挙げられる。本発明は、他の発現ベクター、例えば、遺伝子発現を支配することが可能であるウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)などを包含する。当業者により認められるであろうように、発現ベクターの設計は、いくつかの因子、例えば形質転換しようとする宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどに依存する。発現ベクターは、発現のために使用しようとする宿主細胞に基づいて選択される1以上の制御配列を含む。上記で論じられるように、この制御配列は、発現させようとする核酸、例えば本発明の核酸に操作可能に連結される。いくつかの実施形態において、この制御配列は、形質転換宿主細胞に対して生来のものである制御配列である。発現ベクターは、ジヒドロ葉酸レダクターゼをコードする遺伝子および、ネオマイシン、テトラサイクリン、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシンおよびストレプトマイシン耐性に対する耐性を付与する遺伝子を含むがこれらに限定されない、1以上の選択可能マーカーを含み得る。
【0043】
本明細書中に記載のベクターによって、原核および真核宿主細胞に対して形質転換を行い得る。本発明のベクターで形質転換され得る宿主細胞としては、細菌細胞、例えばE.コリ(E.coli)(例えば、E.コリ(E.coli)K12株)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、シュードモナス属(Pseudomonas)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)およびサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、ショウジョウバエ(Drosophila)を含む昆虫細胞(バキュロウイルス)、真菌細胞、例えば酵母細胞など、植物細胞および哺乳動物細胞、例えば胸腺細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS細胞など、およびラクトコッカス・ラクティス(lactococcus lactis)細胞が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、本宿主細胞は細菌細胞である。また別の実施形態において、宿主細胞は、E.コリ(E.coli)株である。またさらなる実施形態において、宿主細胞は、ラクトコッカス・ラクティス(lactococcus lactis)細胞である。ラクトコッカス・ラクティス(lactococcus lactis)細菌における組み換えポリペプチドの産生のための方法は、例えば内容が本明細書中で参照により明確に組み込まれる米国特許第7,358,067号に記載されている。ある実施形態において、宿主細胞はラクトコッカス・ラクティス(lactococcus lactis)であり、核酸は、pH制御可能プロモーターP170およびその誘導体に操作可能に連結される配列番号1または配列番号2のヌクレオチド配列を含む。P170プロモーターおよびその誘導体は、内容が本明細書中で参照により組み込まれるWO94/16086およびWO98/10079で詳細に記載されている。
【0044】
核酸分子を遺伝子コンストラクト、例えば発現ベクターに核酸連結し、真核性(酵母、鳥類、昆虫、植物または哺乳動物)または原核性(細菌細胞)の何れかの宿主に形質転換または形質導入することは、標準的手順である。リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAE-デキストラン-介在形質移入、リポフェクションまたはエレクトロポレーションを含むが限定されない従来の形質転換または形質移入技術を用いて、原核または真核細胞に、本明細書中に記載のベクターを導入し得る。様々な過程によって、組み換え細胞培養物から本発明のポリペプチドを単離または精製し得る(例えば均一性のために)。
【0045】
本発明は、本発明の核酸を含むベクターを用いて形質転換または形質移入された宿主細胞を培養することを含む、機能性コラゲナーゼIまたはコラゲナーゼIIまたはそれらの組み合わせを産生する方法を包含する。本方法は、培地または宿主細胞からポリペプチドを単離することをさらに含む。機能性コラゲナーゼは、天然のコラゲナーゼ、例えばコラーゲン分解能を保持するコラゲナーゼの生物学的活性を有するポリペプチドである。
【0046】
陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、エタノール沈殿、アフィニティークロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはそれらの何らかの組み合わせを含むが限定されない方法によって、本ポリペプチドを単離し得る。使用される特定の方法は、ポリペプチドの特性および宿主細胞の選択に依存し;適切な方法は当業者にとって容易に明らかとなろう。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明は、コラゲナーゼIまたはコラゲナーゼIIを産生させる方法であり、この方法は、(i)配列番号1または配列番号2のヌクレオチド配列または適切な制御配列に操作可能に連結される配列番号3、4、5または6のポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含む組み換え細菌を構築し;(ii)この遺伝子を発現させるために適切な条件下でこの組み換え細菌を培養し、(iii)コラゲナーゼIまたはコラゲナーゼIIを組み換え細菌から回収する段階を含む。このコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、色素リガンドアフィニティークロマトグラフィー、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび金属キレートクロマトグラフィーを含む、当業者とって公知の様々な方法によって精製され得る。いくつかの実施形態において、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、ろ過およびカラムクロマトグラフィーを介して精製され、精製されたコラゲナーゼIおよびIIは、内容が本明細書中で参照により明確に組み込まれる米国特許第7,811,250号に記載の方法を用いて約1:1の比で組み合わせられる。
【0048】
本発明の組成物(本明細書中に記載の核酸によりコードされるコラゲナーゼI、コラゲナーゼIIまたはそれらの組み合わせを含み、および/または配列番号3および/または配列番号4のアミノ酸配列を含む。)および方法によって処置され得るコラーゲン介在疾患の例としては、デュピュイトラン病、ペイロニー病、肩関節周囲炎(癒着性関節包炎)、ケロイド、肥厚性瘢痕、陥凹性瘢痕、例えば炎症性ざ瘡の結果起こるもの;術後癒着、尋常性座瘡、脂肪腫および外見を損なう状態、例えば、皺、セルライト形成および腫瘍性線維などが挙げられるがこれらに限定されない。参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第6,086,872号および同第5,589,171号は、デュピュイトラン病の処置におけるコラゲナーゼ調製物の使用を開示する。参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第6,022,539号は、ペイロニー病の処置におけるコラゲナーゼ調製物の使用を開示する。
【0049】
コラーゲン介在疾患の処置におけるその使用に加えて、本明細書中に記載の組み換えポリペプチドを含む組成物はまた、多岐にわたる実験室、診断および治療適用において有用であるように、個々の細胞および細胞塊への組織の解離にも有用である。これらの適用は、小口径合成血管グラフトシーディング(graft seeding)用の微小血管内皮細胞、遺伝子治療、薬物毒性スクリーニングおよび体外肝臓補助装置のための肝細胞、軟骨再生用の軟骨細胞およびインスリン依存性糖尿病の処置のためのランゲルハンス島を含め、様々な使用に対する多くのタイプの細胞の単離を含む。酵素処置は、細胞外マトリクスタンパク質および、細胞と細胞との接触を維持するタンパク質を断片化するために作用する。コラーゲンは、組織超微細構造の主要なタンパク質成分なので、所望の組織崩壊を遂行するために、酵素コラゲナーゼが頻繁に使用されてきた。一般に、本発明の組成物は、細胞の除去または細胞外マトリクスの修飾が所望される何らかの適用に有用である。
【0050】
本発明は、医薬的に許容可能な担体と、本明細書中に記載の方法に従い産生されたコラゲナーゼIおよび/またはコラゲナーゼIIと、を含む医薬組成物を包含する。また別の実施形態において、本医薬組成物は、配列番号3または配列番号5のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるコラゲナーゼIを含む。さらなる実施形態において、本医薬組成物は、配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるコラゲナーゼIIを含む。また別の態様において、本医薬組成物は、医薬的に許容可能な担体と、本明細書中に記載のようなコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIと、を含む。さらなる態様において、本医薬組成物は、医薬的に許容可能な担体と、1:1の質量比のコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIと、を含む。本発明の医薬組成物は、1以上の医薬的に許容可能な担体または賦形剤とともに製剤化される有効量の本発明のコラゲナーゼを含む。
【0051】
B.溶血性毒素の存在を検出する方法
いくつかの実施形態において、本発明は、コラゲナーゼを産生する細菌発酵において溶血性毒素の存在を検出する方法を包含する。ある一定の態様において、本発明は、医薬品産生株中で溶血性毒素の存在を検出することを含む、患者へのコラゲナーゼ製剤原料の治療投与前に、コラゲナーゼ医薬品に出荷許可を与えるための方法を提供する。「医薬品産生株」、「産生株」、「コラゲナーゼ産生株」および「細菌性産生株」という用語は、交換可能に使用され、コラゲナーゼが得られる細菌株を指す。他の態様において、本発明は、医薬品中で溶血性毒素の存在を検出することを含む、患者へのコラゲナーゼ製剤原料の治療投与前に、コラゲナーゼ医薬品に出荷許可を与えるための方法を提供する。
【0052】
本明細書中で使用される場合、「コラゲナーゼ医薬品に出荷許可を与える」という句は、コラゲナーゼ医薬品中に溶血性毒素がないことを確認することを意味する。「製剤原料」、「医薬品」または「コラゲナーゼ組成物」という用語は、交換可能に使用され得ることが理解される。また本明細書中で使用される場合、「ヘモリジン」および「溶血性毒素」も交換可能に使用され、赤血球細胞の溶解に関与する毒素を指す。
【0053】
溶血性活性の有無について、コラゲナーゼ産生株および医薬品をアッセイし得、コラゲナーゼ製剤原料が、再現性が高く、副作用の可能性を低下させながら、最適な酵素性活性および優れた治療効果をもたらすことを保証し得ることが発見された。本発明に従い、医薬品中でコラゲナーゼと同時に存在し得る機能性の溶血性毒素の分泌または存在について産生株または医薬品をアッセイするための方法が提供される。本発明は、試験試料を赤血球細胞と温置し、続いて赤血球細胞の溶解を検出することを含む、細菌性産生株またはコラゲナーゼ組成物を含む試験試料を溶血性毒素の存在についてアッセイする方法を包含する。
【0054】
赤血球細胞の溶解を検出するための具体的な方法は、例えば、その各内容が本明細書中で参照により明確に組み込まれる、1)Ryan KJおよびRay CG.Principles of laboratory diagnosis.In Sherris medical microbiology:an introduction to infectious diseases.Ryan KJ,Ray CGおよびSherris JC(eds.)McGraw-Hill Professional,2004;229-260;および2)Eschbach Eら、Improved erythrocyte lysis assay in microtitre plates for sensitive detection and efficient measurement of hemolytic compounds from ichthyotoxic algae.Journal of Applied Toxicology 21,513-519(2001)を含む文献を通じて記載されている。
【0055】
本発明のある実施形態において、本方法は、血液寒天基質上で、コラゲナーゼ産生株の試料、特に、コラゲナーゼ産生株から単離された部分精製コラゲナーゼまたはコラゲナーゼ医薬品を温置し、温置時間後に排除ゾーンについて血液寒天を観察することを含み、排除ゾーンは赤血球細胞の溶解を示す。細菌性産生株を試験した場合、赤血球細胞の溶解は、細菌性産生株からの機能性溶血性毒素の分泌を示す。部分精製コラゲナーゼまたはコラゲナーゼ医薬品を試験した場合、赤血球細胞の溶解は、部分精製コラゲナーゼ中またはコラゲナーゼ医薬品中での機能性の溶血性毒素の存在を示す。ある一定の実施形態において、本産生株は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)の株である。排除ゾーンがないことは、溶血性毒素がないことを示す。排除ゾーンがないことが観察されることは、コラゲナーゼ産生株において、部分精製コラゲナーゼ中にまたはコラゲナーゼ医薬品中に溶血性毒素がないことを示すかまたはこれを確認し、医薬品が治療投与に対して出荷許可が可能になる。
【0056】
別の実施形態において、本方法は、コラゲナーゼ産生株から採取された抽出物と、またはコラゲナーゼ産生株から単離される部分精製コラゲナーゼと、またはコラゲナーゼ医薬品と、赤血球細胞を温置し、続いて、温置混合物中のヘモグロビンの出現により示されるような赤血球細胞の溶解について温置混合物を測光法で分析することを含む。溶血性毒素は、赤血球細胞を溶解し、温置試料中にヘモグロビンを放出させる。ヘモグロビンの光度検出は、溶血性毒素の存在に対する高感度アッセイを提供し得る。ある態様において、コラゲナーゼ産生株から採取される抽出物と、またはコラゲナーゼ産生株から単離される部分精製コラゲナーゼと、またはコラゲナーゼ医薬品と、赤血球細胞を温置し、次いで、540nmの波長にて測光法でヘモグロビンの存在について抽出物を分析する。別の態様において、414nmの波長で測光分析が行われる。また別の態様において、マイクロタイタープレートを使用して、温置および測光分析が行われ得る。ヘモグロビンがないこと、およびしたがって溶血性毒素がないことによって、患者への治療投与用の医薬品の出荷許可が可能になる。
【0057】
C.ヒストリチクム(C.histolyticum)において見出されるような溶血性毒素は、ヘモリジンの2種類の異なるファミリー:アエロリジン様ヘモリジンおよび酸素不安定性ヘモリジンに属する。アエロリジン様ヘモリジンは、不活性プロ毒素として細胞外環境に分泌される不活性タンパク質前駆体として細菌によって合成される。不活性プロ毒素は、標的細胞膜上の受容体、例えば赤血球細胞上の受容体に結合し、そこでプロテアーゼによってプロ毒素が切断されその活性構造になる。活性化されると、毒素は細胞表面上でオリゴマー化してプレポア複合体となり、次にβバレルが標的細胞膜に挿入される。βバレルは膜においてポアを形成し、それによりカルシウムイオンが細胞に急速に流入するようになり、細胞に対して毒性となる。C.ヒストリチクム(C.histolyticum)のα毒素は、毒素のアエロリジン様ファミリーのメンバーであり、溶血性活性を保持するクロストリジウム・セプチクム(Clostridium septicum)α毒素と顕著な相同性を共有することが発見されているので、アエロリジン様ヘモリジンである可能性が最も高い(例えば下記実施例1参照)。
【0058】
C.ヒストリチクム(C.histolyticum)のε毒素およびクロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)(C.テタニ(C.tetani))のテタノリシンが、酸素不安定性ヘモリジンとして記載されている[Hatheway CL.Clin Microbiol Rev 3(1):66-98(1990)]。C.ヒストリチクム(C.histolyticum)のε毒素は、コレステロールに対して親和性があるチオール活性化、βバレル、ポア形成毒素のメンバーであるテタンロイシン(tetanloysin)と相同性を共有することが発見されている。このようなタンパク質は、コレステロール依存性細胞溶解素(CDC)のファミリーの一部である。これらのタンパク質は、水溶性タンパク質単量体として細菌によって細胞外環境に分泌され、ここでそれらは標的細胞膜に結合するが、この結合にはコレステロール結合が介在する。この毒素は次に、膜表面上でオリゴマー化して、細胞溶解に関与する弧状および環状構造を形成する。C.ヒストリチクム(C.histolyticum)のε毒素は、酸素不安定性ヘモリジンであることが知られており、クロストリジウム属(Clostridium)の他の株、例えばC.テタニ(C.tetani)、C.ノビー(C.novyi)およびC.セプチクム(C.septicum)などにより産生される酸素不安定性ヘモリジンと血清学的に類似している。
【0059】
ある一定の態様において、本発明は、本明細書中に記載のアッセイを用いて、細菌性産生株中でC.ヒストリチクム(C.histolyticum)α毒素の存在を検出する方法を対象とする。他の態様において、本発明は、医薬品中でC.ヒストリチクム(C.histolyticum)α毒素の存在を検出する方法を対象とする。さらなる態様において、本発明は、細菌性産生株中でC.ヒストリチクム(C.histolyticum)ε毒素の存在を検出する方法を対象とする。また別の態様において、本発明は、医薬品中でC.ヒストリチクム(C.histolyticum)ε毒素の存在を検出する方法を対象とする。またさらなる態様において、本発明は、細菌性産生株中でC.ヒストリチクム(C.histolyticum)α毒素およびε毒素の存在を検出する方法を対象とする。さらなる実施形態において、本発明は、医薬品中でC.ヒストリチクム(C.histolyticum)α毒素およびε毒素の存在を検出する方法を対象とする。
【0060】
本発明はまた、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)から得られるコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからなる医薬品を作製する方法も包含し、この方法は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)の株を発酵させる段階を含み、溶血性毒素による赤血球細胞の溶解に適切な条件下で赤血球細胞とこの産生株を温置することによって、機能性の分泌型溶血性毒素が無いことが確認され、赤血球細胞の溶解は、溶血性毒素の分泌を示し、赤血球細胞の溶解がないことは、溶血性毒素がないことを示す。別の態様において、本発明は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)から得られるコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからなる医薬品を作製する方法を対象とし、この方法は、溶血性毒素での赤血球細胞の溶解に適切な条件下で赤血球細胞とともに医薬品を温置することによって、医薬品中で機能性の分泌型溶血性毒素がないことを確認する段階を含み、赤血球細胞の溶解は溶血性毒素の分泌を示し、赤血球細胞の溶解がないことは、溶血性毒素がないことを示す。
【0061】
本発明のさらなる態様は、ろ過およびカラムクロマトグラフィーによって組成物を精製し、続いて、溶血性毒素による赤血球細胞の溶解に適切な条件下で赤血球細胞とともに精製組成物の試料を温置することによって溶血性毒素がないことを確認するすることを含む、粗コラゲナーゼ組成物を精製する方法を含み、赤血球細胞の溶解は、溶血性毒素の分泌を示し、赤血球細胞の溶解がないことは、溶血性毒素がないことを示す。
【0062】
上記で論じられるように、いくつかの疾患および状態は、過剰なコラーゲン沈着およびコラーゲンに富む繊維状組織の不規則な蓄積を付随し、コラーゲン医薬品で処置され得る。このような疾患および状態は、まとめて、本明細書中で「コラーゲン介在疾患」と呼ぶ。本発明はまた、コラーゲン介在疾患の処置を必要とする患者においてコラーゲン介在疾患を処置する方法も包含し、コラゲナーゼを含む組成物がこの患者に投与され、投与前に、本明細書中に記載の方法を用いて、溶血性毒素の有無についてこの組成物または細菌性産生株がアッセイされる。本明細書中に記載の組成物および方法により処置され得るコラーゲン介在性状態の例としては、デュピュイトラン病、ペイロニー病、肩関節周囲炎(癒着性関節包炎)、ケロイド、肥厚性瘢痕、陥凹性瘢痕、例えば炎症性ざ瘡の結果起こるもの;術後癒着、尋常性座瘡、脂肪腫および外見を損なう状態、例えば、皺、セルライト形成および腫瘍性線維が挙げられるが、これらに限定されない。ある一定の態様において、ペイロニー病またはデュピュイトラン病または癒着性関節包炎を処置するために、アッセイされた組成物が患者に投与される。
【0063】
本発明の方法に従いアッセイされ得る産生株に関して、例えば、アクチノバチルス属(ActinoBacillus)、アクチノマヅラ属(Actinomadura)、バチルス属(Bacillus)、バクテリオデス属(Bacteriodes)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブルセラ属(Brucella)、カプノサイトファーガ属(Capnocytophaga)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エスケリキア属(Escherichia)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、プレボテラ属(Prevotella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、セラチア属(Serratia)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、トレポネマ属(Treponema)およびビブリオ属(Vibrio)のメンバーである細菌によりコラゲナーゼが発現される。本発明のある実施形態において、産生株は、上記で列挙される属から選択される。別の実施形態において、産生株は、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの組み換え型を用いて形質転換されたE.コリ(E.coli)型を含む、E.コリ(E.coli)株である。より好ましい実施形態において、産生株は、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)株である。最も好ましい実施形態において、産生株はC.ヒストリチクム(C.histolyticum)(C.his)株である。
【0064】
ある一定の態様において、産生株は、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの混合物を含むコラゲナーゼ組成物を産生する。さらなる実施形態において、コラゲナーゼIの混合物およびコラゲナーゼIを産生させるために使用される産生株は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)である。別の実施形態において、コラゲナーゼ医薬品は、約1:1の質量比の高精製C.ヒストリチクム(C.histolyticum)コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの混合物を含む。
【0065】
試料中で赤血球細胞の溶解を引き起こす物質であるヘモリジンの存在について試験するためのキットも与えられる。本キットは、溶血性であるかまたはヘモリジンを含有する試験物質の同定を可能とする。試験物質としては、化学物質、生体物質および放射線放射物質が挙げられるがこれらに限定されない。ある実施形態において、本キットは、例えば、赤血球細胞および関連試験材料を含むキットを含め、試験試料中のヘモリジンの存在について試験するための材料を含む。別の実施形態において、本キットは、血液寒天から構成されるペトリ皿と、陽性対照と、溶血性遺伝子が突然変異しているかまたはノックアウトされている細菌株から構成され、機能性溶血性タンパク質が産生されない陰性対照と、を含む。また別の実施形態において、本キットは、赤血球細胞と、マイクロタイタープレートと、陽性対照と、本医薬品から構成される陰性対照と、を含む。
【0066】
理解されるであろうように、本発明のキットおよび方法は、コラゲナーゼ組成物中でのヘモリジンの有無を検出するために使用し得るが、このコラゲナーゼは細菌から得られる。
【0067】
色素リガンドアフィニティークロマトグラフィー、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび金属キレートクロマトグラフィーを含む当業者にとって公知の様々な方法によって、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)から得られる粗コラゲナーゼを精製し得る。粗製および部分精製コラゲナーゼは、Advance Biofactures Corp.,Lynbrook,New Yorkを含む多くの供給源から市販されている。C.ヒストリチクム(C.histolyticum)から得られる粗コラゲナーゼの精製方法はまた、内容が参照により本明細書中に明確に組み込まれる米国特許第号7,811,560号によっても記載されている。ある一定の実施形態において、精製手順は、a)MUSTANG Q陰イオン交換カプセルであるフィルターに通して粗回収物をろ過し;b)硫酸アンモニウムを添加し;好ましくは最終濃度を1Mとし;c)好ましくは0.45μmフィルターを通じて粗回収物をろ過し;d)ろ液をHICカラム;好ましくはフェニルセファロース6FF(low sub)に通し;e)ろ液にロイペプチンを添加し;HIC後溶出産物に対して好ましくは最終濃度を0.2mMとし;f)TFFによる緩衝液交換、好ましくはTFFによる緩衝液交換によって、硫酸アンモニウムを除去し、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの正しい結合のためにロイペプチンを維持し;g)好ましくは0.45μmフィルターを通じて段階(f)の混合物をろ過し;h)Q-Sepharose HPを用いてコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを分離し;i)個別にコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIに対してTFF濃縮物および処方物を調製し(ここでTFFは、10および/または30K MWCO(分子量カットオフ)PESまたはRC-ポリエーテルスルホンまたは再生セルロースフィルター膜を使用する接線流ろ過である。)(TFFは、選択タンパク質を保持し、濃縮し、ある緩衝溶液から別のものにタンパク質の溶液交換を行うための手段を提供する。);およびj)0.2μmろ過システムを通じてろ過する段階を含む。
【0068】
C.ヒストリチクム(C.histolyticum)α、β、δ、εおよびγ毒素
C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クローン004のα、δおよびε毒素のアミノ酸配列は、図面で示され、それぞれ配列番号8、配列番号12および配列番号16である。C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クローン004のα、δおよびε毒素のヌクレオチド配列も図面で示され、それぞれ配列番号21、配列番号22および配列番号23である。配列番号8、配列番号12、配列番号16の各アミノ酸の配列は、これらのタンパク質を非機能性にし、および/または分泌されないようにする配列特性を有する。
【0069】
γ毒素(クロストリパイン)の場合、モデルタンパク質(実施例セクション参照)と比較した場合、アミノ酸の相違は3個しかなく、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クローン004γ毒素において異なることが見出されるアミノ酸残基の中で、活性に必須なものとして同定されているものはない。したがって、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クローン004γ毒素(配列番号18のアミノ酸配列を有する。)は分泌され、機能性であることが予想される。C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クローン004γ毒素のヌクレオチド配列は配列番号24である。
【0070】
上記で論じられるように、配列番号3および配列番号4のアミノ酸配列を有するβ毒素は完全に機能性である。
【0071】
理解されるであろうように、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)α、β、εまたはγ毒素のヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列(配列番号8、配列番号12、配列番号16および配列番号18、配列番号21、配列番号22、配列番号23および配列番号24)に、1以上の突然変異(例えば1以上のアミノ酸残基または核酸残基の欠失または付加)が導入され得る。ある一定の態様において、毒素の活性、機能、産生および/または分泌を向上させるかまたは減ずるために、1または突然変異が導入される。ある実施形態において、α、βおよび/またはε毒素を機能性にし、および/または分泌されるようにする突然変異が導入され得る。別の実施形態において、γ毒素の配列(配列番号18)は、タンパク質を非機能性にし、および/または分泌されないようにするために突然変異され得る。
【0072】
本発明により、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6またはそれらの断片もしくは変異体またはそれらの何れかの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドを含む有効量の組成物を対象に投与することを含む、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)またはC.ヒストリチクム(C.histolyticum)毒素に対する抗体を産生させる方法も包含される。さらに、本発明は、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6またはそれらの断片もしくは変異体またはそれらの何れかの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドを含む有効量の組成物を対象に投与することを含む、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)毒素に対する免疫反応を刺激する方法を含む。本発明はまた、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6またはそれらの断片もしくは変異体またはそれらの何れかの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む有効量のタンパク質またはペプチドを含むワクチンも含む。配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6またはそれらの断片もしくは変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドは、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)株によって産生させ得るかまたは、組み換えタンパク質またはペプチドであり得る。
【0073】
D.コラゲナーゼを含む医薬組成物および処置方法
本明細書中に記載の発明は、タンパク質配列および組み換えタンパク質を含む医薬組成物およびまた、本明細書中に記載の方法に従いアッセイされるコラゲナーゼ医薬品を含む医薬組成物も包含する。本明細書中で使用される場合、「医薬的に許容可能な担体または賦形剤」という用語は、無毒性の、不活性固形物、半固形物または液体充填剤、希釈剤、封入材料または何らかのタイプの製剤補助剤を意味する。「処置する」または「処置」とは、発症、合併症もしくは疾患の生化学的兆候を阻止するかもしくは遅延させ、症状を緩和もしくは改善するかまたは疾患、状態もしくは障害のさらなる発現を停止させるかもしくは抑制するための本発明の態様の、組成物、化合物または物質の投与を含む。「治療的有効量」または「有効量」は、単独で、または1以上の他の活性剤と組み合わせて、処置しようとする疾患または状態の1以上の症状を、調節、軽減、抑制、改善、阻止するかまたはそれに影響を与え得る量である。免疫反応を生成させる内容において、またはワクチンの調製において、「有効量」は、抗原に対する抗体の産生を含め、免疫反応を生成させるために効果的である量を包含する。
【0074】
医薬的に許容可能な担体となり得る材料のいくつかの例は、糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロースなど;デンプン、例えばコーンスターチおよびジャガイモデンプンなど;セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど;粉状トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;グリコール、例えばプロピレングリコールなど;エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど;アルギン酸;発熱物質不含水;等張性塩水;リンゲル溶液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝溶液ならびに他の無毒性の相溶性の潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど、ならびに着色剤、解除剤、コーティング剤、香料、防腐剤および抗酸化剤も、処方者の判断に従い、組成物中に存在させ得る。
【0075】
コラゲナーゼ組成物は、具体的な数の活性単位または具体的な質量の好ましくは精製酵素の何れかを混合することによっても調製され得る。コラゲナーゼ活性は、合成ペプチドまたはコラーゲン基質の何れかに対する酵素の加水分解能によっても測定され得る。当業者は、機能的に同等な酵素組成物を定義し、調製するために、本明細書中で開示されるもの以外の酵素アッセイも使用し得ることを認めるであろう。コラゲナーゼ活性は、例えばSRC単位で示され得る。1SRC単位は、25℃およびpH7.4で、ラット尾部コラーゲンを1ナノモルロイシン/分に等しくニンヒドリン反応物質中に溶解させる。本発明のある一定の実施形態において、コラゲナーゼ活性は、ABC単位で記載される。このコラゲナーゼの効力アッセイは、pH7.2および37℃で20から24時間にわたる、未変性コラーゲン(ウシの腱由来)の消化に基づく。ニンヒドリンとの反応によって、切断されるペプチド結合数が測定される。トリプシン消化対照により放出されるアミノ基が差し引かれる。コラゲナーゼの1純ABC単位は、1.09ナノモルのロイシン/分と等しく、ニンヒドリン反応性物質が可溶化される。1SRC単位は、およそ6.3ABC単位と等しい。
【0076】
ある一定の態様において、注射用コラゲナーゼのための製剤原料は、2種類の微生物性コラゲナーゼからなり、コラゲナーゼAUX IおよびコラゲナーゼABC IおよびコラゲナーゼAUX IIおよびコラゲナーゼABC IIと呼ばれる。「コラゲナーゼI」、「ABC I」、「AUX I」、「コラゲナーゼAUX I」および「コラゲナーゼABC I」という用語は同じものを意味し、交換可能に使用され得ることが理解される。同様に、「コラゲナーゼII」、「ABC II」、「AUX II」、「コラゲナーゼAUX II」および「コラゲナーゼABC II」という用語は同じ酵素を指し、これらも交換可能に使用され得る。これらのコラゲナーゼは細菌細胞により分泌される。これらは、クロマトグラフィー法によって、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)培養上清から単離され、精製される。両コラゲナーゼとも、特殊なプロテアーゼであり、同じEC番号(E.C3.4.24.3)を共有する。
【0077】
コラゲナーゼAUX Iは、115kDaの分子量を有するおよそ1000アミノ酸からなる1本鎖ポリペプチド鎖を有する。コラゲナーゼAUX IIもまた、110kDaの分子量を有する約1000アミノ酸からなる1本鎖ポリペプチド鎖を有する。
【0078】
いくつかの実施形態において、製剤原料(コラゲナーゼ濃縮物)は、コラゲナーゼAUX IおよびAUX IIに対する質量比がおよそ1:1である。ある実施形態において、コラゲナーゼ濃縮物の吸光係数は1.528である。
【0079】
本発明の医薬組成物は、非経口的に、局所的にまたは埋め込みリザーバーを介して投与され得る。「非経口」という用語は、本明細書中で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内注射または点滴技術を含む。好ましい実施形態において、本組成物は患部組織に注射される。ペイロニー病またはデュピュイトラン病または癒着性関節包炎の場合、本組成物は、手の神経束またはペイロニー斑に注射される。「局所投与」という用語は、本明細書中で、患部組織へのこのような直接注射を包含するものと定義される。ある一定の態様において、本発明の医薬組成物は注射用製剤である。ある一定のさらなる態様において、本医薬組成物は局所製剤である。
【0080】
さらに、処置に依存して、いくつかの状況で、本医薬組成物の投与後に注射部位を固定化することによって結果が改善し得る。例えば投与部位(例えば手)を4時間以上固定化し得る。
【0081】
適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知の技術に従い、注射用製剤、例えば滅菌注射用水性または油性縣濁液を製剤化し得る。滅菌注射用調製物はまた、無毒性の、非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液、縣濁液またはエマルション、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液として、であり得る。使用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒の中でも、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油は溶媒または懸濁化媒体として従来から使用される。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む何らかの無刺激性の固定油を使用し得る。さらに、注射物質の調製において、脂肪酸、例えばオレイン酸などを使用する。
【0082】
使用前に、例えば、細菌保持フィルターを通じてろ過によって、または、滅菌水または他の滅菌注射用の媒体中で溶解または分散され得る滅菌性固形組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、注射用製剤を滅菌し得る。本滅菌溶液はまた、後の使用のために凍結乾燥することもできる。
【0083】
いくつかの実施形態において、コラゲナーゼを含む組成物を凍結乾燥し、約8.0のpHレベルのスクロース、Trisを用いて注射用組成物を製剤化する。一般に、製剤中に、塩化カルシウムなど、カルシウムの供給源が含まれる。
【0084】
本発明の医薬組成物の局所または経皮投与のための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが挙げられる。滅菌状態下で、医薬的に許容可能な担体および、必要とされ得る場合、何らかの必要とされる防腐剤または緩衝液とともに活性成分を混合する。
【0085】
軟膏、ペースト、クリームおよびジェルは、本発明のポリペプチドに加えて、賦形剤、例えば動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛またはそれらの混合物を含有し得る。
【0086】
粉末およびスプレーは、本発明のポリペプチドに加えて、賦形剤、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末など、またはこれらの物質の混合物を含有し得る。スプレーは、さらに、通常の噴射剤、例えばクロロフルオロ炭化水素などを含有し得る。
【0087】
経皮パッチは、活性物質の身体への制御送達をもたらすさらなる長所がある。このような剤形は、的確な媒体中で活性物質を溶解させるかまたは分散させることによって作製し得る。皮膚を横断するポリペプチドの流れを向上させるために、吸収促進剤も使用し得る。速度調節膜を提供するか、またはポリマーマトリクスもしくはゲル中で本発明のポリペプチドを分散するかの何れかにより、速度が調節され得る。
【0088】
医薬の治療投与は、非経口的なもの、局所的なものまたは埋め込みリザーバーを介したものであり得る。本明細書中で使用される場合、非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内注射または点滴技術を含む。「局所投与」という用語は、本明細書中で、このような直接注射を包含するものと定義される。ある実施形態において、本医薬組成物の治療投与は注射による。
【0089】
局所または経皮投与のための剤形での医薬の治療投与は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチを含む。滅菌条件下で、医薬的に許容可能な担体および必要とされ得る場合、何らかの必要とされる防腐剤または緩衝液とともに活性成分を混合する。
【0090】
軟膏、ペースト、クリームおよびジェルは、医薬品の活性化合物に加えて、賦形剤、例えば動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛などまたはそれらの混合物を含有し得る。
【0091】
粉末およびスプレーは、医薬品の化合物に加えて、賦形剤、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末などまたはこれらの物質の混合物を含有し得る。スプレーは、さらに、通常の噴射剤、例えばクロロフルオロ炭化水素などを含有し得る。
【0092】
経皮パッチは、化合物の身体への制御送達をもたらすさらなる長所を有する。このような剤形は、的確な媒体中で化合物を溶解させるかまたは分散させることによって作製し得る。皮膚を横断する化合物の流れを向上させるために、吸収促進剤も使用し得る。速度調節膜を提供するか、ポリマーマトリクスもしくはゲル中で化合物を分散させるかの何れかによって、速度を調節し得る。
【0093】
単に説明を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するものではない次の実施例と関連させて、本発明がより詳細に理解されよう。開示される実施形態に対する様々な変更および改変は、当業者にとって明らかとなろうし、このような変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、なされ得る。
【0094】
実施例
実施例1:C.ヒストリチクム(C.histolyticum)ゲノム配列決定および毒素配列分析
C.ヒストリチクム(C.histolyticum)α、δおよびε(α、δおよびε毒素)に関する科学的研究が不足しているため、これらの毒素のタンパク質構造に関する知識は限られたものとなっている。この知識不足に対処するため、推定毒素遺伝子の同定に特に焦点を当てて産生生物をより詳細に理解するために、ゲノム配列決定の取り組みが行われた。この努力の結果として、最近になってようやく、コラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium Histolyticum)産生株(クローン004)(Auxilium Product Operation,Malvern,PA)の完全なゲノムが作製されたが、これは明らかに、あらゆるC.ヒストリチクム(C.histolyticum)株の中で初めて報告されたゲノム配列であった。
【0095】
ゲノム配列プロジェクトには3つの基本的な段階があった。第一にゲノムDNAをクローン004培養物から抽出し、配列決定のためにCreative Genomics(Shirley,NY,USA)に回した。工業的な標準的方法を用いて、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クローン004のゲノム配列を得た。第二に、ゲノム配列データベースに対して配列情報を問い合わせるために、標準的なバイオインフォマティクス法(BLAST分析)を用いてゲノム配列から得られた結果を分析した。この第二の段階の結果、同定された各C.ヒストリチクム(C.histolyticum)遺伝子に対するタンパク質情報が割り当てられた。2つのデータベースを使用することは、総合的な評価を確保するだけでなく、タンパク質割り当てを実証するための第二のソースともなる。本プロジェクトにおける第三の段階は、BLAST分析により自動的に割り当てられたタンパク質とのC.ヒストリチクム(C.histolyticum)推定毒素配列の比較分析であった。
【0096】
i.C.ヒストリチクム(C.histolyticum)ゲノム配列決定およびモデルタンパク質の同定
クローン004由来のC.ヒストリチクム(C.histolyticum)(CLH)WCBの増殖物から単離されるゲノムDNAの試料をゲノム配列決定のためにCreative Genomics(Shirley,NY,USA)に回した。Creative Genomicsは、クライアントにより提出されたゲノムDNA試料の配列決定のために使用された標準的方法を用いた。Illumina/Solexaゲノム分析装置付きのチタン化学(titanium chemistry)(断片配列決定)を用いてRoche/454 GS-FLXシステムから、ゲノム配列を作製した。プライマーウォーキングによってゲノムの仕上げを行うために、ANI 3730xlを使用した。29.44%GC含量である2,842,906塩基対のゲノム配列全体を完遂したが、これらの値は、他のクロストリジウムゲノムに対して得られた典型的なゲノムサイズおよびGC含量であった。同定された2,887個のオープン・リーディング・フレーム(ORF)のそれぞれに固有のCLH番号を割り当てた。GenBankのBLAST分析およびSwissProtデータベースを用いて、推定2,887遺伝子のそれぞれをさらに調べ、その結果、β、γ、αおよびε毒素に対して遺伝子座が仮に割り当てられた。最初の評価の結果を表1で与える。したがって、2つのデータベースの包括的な検索を介した自動分析の結果として、モデルタンパク質の割り当てが完遂された。モデルタンパク質割り当ては、操作者の解釈により影響を受けなかった。
【表1】
【0097】
C.ヒストリチクム(C.histolyticum)ゲノムのBLAST分析の結果の検査から、エラスターゼをコードするORFは明らかにならなかった。しかし、プロテアーゼは、これらのプロテアーゼの活性部位の最も顕著な官能基の基準に基づき、MEROPS(http://MEROPS.sanger.ac.uk/)によって分類されている。このMEROPSに基づく機能アプローチを用いて、エラスターゼは、M4ぺプチダーゼファミリーに分類されるが、このファミリーではサーモリシン(EC3.4.24.27)が最もよく研究されているファミリーメンバーであり、このようなプロテアーゼに対する古典的なモデルである。この知識を用いて、BLAST分析出力の再検査から、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)が、サーモリシンと顕著な相同性を共有する単一のORFを保持することが示唆された。したがって、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)内の推定δ毒素遺伝子は、B.プロテオリティクス(B.proteolyticus)サーモリシンの相同体として割り当てられた。
【0098】
最初の評価の結果を、2つの配列データベースとの比較に基づき下記表2で与える。
【表2】
【0099】
ii.タンパク質配列アラインメントおよび分析
シグナルペプチドを同定するために、候補シグナルペプチド配列を同定するSignalPと呼ばれるプログラムにおいて試料および調節配列を分析した(Nielsen(2004),J.Glasgowら、eds.,Proc.Sixth Int.Conf.on Intelligent Systems for Molecular Biology,122-130.AAAI Press,1998)。シグナルペプチドは通常、タンパク質配列の最初の70アミノ酸(またはN末端領域)内に位置し、分泌されるべき酵素に対するシグナル配列として作用する。シグナルペプチドが切断され、得られたタンパク質配列が成熟タンパク質となる。SignalPを用いて、使用者は、成熟タンパク質のN末端を同定するために、シグナルペプチド切断部位の位置を同定し得る。しかし、一部の試料配列の場合、特にα毒素およびβ毒素(AUX-I)の場合、成熟タンパク質のみが同定され、シグナルペプチド配列を含むタンパク質配列全体は同定されなかった。さらなる試験から、使用した配列断片化手順によって、成熟タンパク質からシグナルペプチド配列が分離されたことが明らかになった。成熟タンパク質およびシグナル配列を再構築し、アラインメントツールを通じてプロセシングした。
【0100】
タンパク質配列全てを回収した後、MATLAB(登録商標)7.0.10(The MathWorks,Inc.,2010)を用いてペアワイズ配列アラインメントを構築した。ペアワイズ配列アラインメントは、2配列間の類似性および相違を判定するための2つの配列の直接比較である。調節および試料配列の両者をMATLAB(登録商標)にアップロードし、Needleman-WunschアルゴリズムおよびBLOSUM50スコアマトリクスを用いてアラインメントを作製した。アルゴリズムおよびアルゴリズムとしてアラインメントを構築することにおけるスコアマトリクス支援は、スコアマトリクスに基づき各アミノ酸のマッチまたはミスマッチの値を規定し、必要に応じてギャップ値を組み込む。2配列の長さが異なることおよび、適切なアミノ酸が互いにマッチしていることを確実にすることを含むがこれに限定されない複数の理由のためにギャップが生じ得る。スコアマトリクスは、配列間で頻繁に観察される置換率に基づき、2配列間の類似性または非類似性を評価するのに役立つ(National Center for Biotechnology Information)。
【0101】
Hatheway(1990)review(Clin Microbiol Rev 3:66-98)は、5種類の毒素全てが分泌型タンパク質(エクソサブスタンス(exosubstance))であり、5種類の毒素全てが識別可能な機能を有することを示した。推定CLH毒素の分析を行うために、この情報を使用した。推定CLH毒素のタンパク質機能を分析するために、文献の知見およびBLASTの結果に基づき若干のモデルタンパク質を選択した。The National Center for Biotechnology Information(NCBI)からFasta方式で対照をダウンロードした。
【0102】
1.アルファ(α)毒素
Bowen(1952)(Yale J Biol Med 25:124-138)の研究の後、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)α毒素に関して文献には僅かな情報しか存在しない。したがって、推定毒素遺伝子に対するゲノム配列の照合は興味深かった。ゲノムの予備分析から、2つのデータベースのBLAST分析により判定されるように、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)が、C.セプチクム(C.septicum)α毒素と顕著なアミノ酸相同性を共有する1個のORFを保持したことが示唆された。したがって、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)内の推定α毒素遺伝子が、C.セプチクム(C.septicum)α毒素の相同体として割り当てられている。Rodney K.Twetenの研究室により幅広く研究されているように、C.セプチクム(C.septicum)α毒素は、毒素のアエロリジン様ファミリーのメンバーとして分類された。とりわけ、C.セプチクム(C.septicum)α毒素は、溶血性活性を保持せず(Ballardら(1992)、Infect Immun 60:784-790;Melton-Wittら(2006)、Biochem 45:14347-14354)、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)ε毒素に対して記載されるように(Hatheway(1990),Clin Microbiol Rev 3:66-98)、酸素不安定性ヘモリジンとは区別される。
【0103】
C.セプチクム(C.septicum)α毒素は、不活性プロ毒素として細胞外環境に対してプロセシングされる不活性プレプロタンパク質として生産される。次に、プロ毒素が細胞膜上の受容体に結合し、そこでこれらがプロテアーゼ(通常フリン)によって切断されてその活性構造となる。毒素内のフリンコンセンサス部位は、真核性プロテアーゼによる活性化に必須である。活性化は、C末端からの40-45アミノ酸の切断を含む。C末端切断がないので、C.セプチクム(C.septicum)α毒素は機能性ではない。全長C.セプチクム(C.septicum)α毒素は溶血性である(Ballardら、1992)。活性毒素は、およそ41.3kDaである(Gordonら、1997)。活性化されたら、毒素は細胞表面上でオリゴマー化してプレプロ複合体となり、続いてβバレルが膜に挿入される。
【0104】
モデルC.セプチクム(C.septicum)α毒素は、D1、D2およびD3と呼ばれる3つの別個のドメインからなる。D1ドメインは受容体結合およびオリゴマー化に関与し、一方でD2ドメインは、両親媒性のヘパリン構造に寄与する。D3ドメインは、既知のAT活性化部位(R398)で切断された短いカルボキシル末端ペプチドを含むD3プロペプチド領域を有し、α毒素の未成熟オリゴマー化を阻止する分子内シャペロンとして機能する。飽和突然変異誘発を用いて、各ドメイン内の1アミノ酸置換によって、生物学的活性に必須の残基の決定ができる(Melton-Wittら、2006)。重要なこととして、機能的アッセイは、LD50用量を決定するために細胞生存能アッセイを利用する。したがって、機能アッセイを用いて、コード領域全体内の1アミノ酸置換の相対的影響を評価した。
【0105】
CLHα毒素の一次構造をさらに理解するために、CLHα毒素を用いて、MATLAB(登録商標)で行って、モデルタンパク質(C.セプチクム(C.septicum)α毒素)のタンパク質アラインメントを作成した。結果を
図1で与える。
【0106】
翻訳CLH推定α毒素は、認識可能なシグナル配列を有し、分泌型タンパク質である可能性が非常に高い。したがって、エクソサブスタンス(exosubstance)の第一の基準が達成される。C.セプチクム(C.septicum)α毒素タンパク質配列とCLHα毒素タンパク質配列との間に、75%の陽性の相同性がある。モデルα毒素とCLH推定α毒素との間で相同性が高い領域が複数同定された。
図1において、このような領域および必須のアミノ酸残基を緑の陰影で強調する。
【0107】
とりわけ、アラインメントによって、Melton-Wittら(2006)(Biochem 45:14347-14354)の研究に基づき、個々にCLH_2834および2835タンパク質を非機能性にする、必須のアミノ酸残基における複数の相違が示される。成熟タンパク質のN末端領域で始まっているので、推定シグナルペプチド切断部位から約20アミノ酸下流に位置するCLHα毒素配列において17アミノ酸配列領域がない。この17アミノ酸ストレッチ内で、C.セプチクム(C.septicum)α毒素上のW74残基が、ループ1(L1)において重要な残基として同定されている。CLH配列バージョンにおけるD1ドメインからの17アミノ酸の欠如から、野生型と比べてこのドメインに対する構造が変化していることおよび受容体結合機能性の破壊が示唆される。
【0108】
タンパク質のC末端領域内で、いくつかのアミノ酸残基の変化によってもまた、CLHタンパク質が非機能性になる。CLHα毒素において、C.セプチクム(C.septicum)α毒素のアミノ酸T302をプロリンにより置換した。CLHα毒素において、C.セプチクム(C.septicum)α毒素の残基E303をスレオニンにより置換する。Melton-Wittら(2006)(Biochem 45:14347-14354)の研究から、これらの改変のそれぞれの結果、個々に、致死率が0%となろう。注目すべきことは、2配列間の活性化部位のまたはフリン切断部位の比較である。C.セプチクム(C.septicum)α毒素は、フリンコンセンサス切断部位がK391で始まり、R398で終結することを示す。最小切断配列がArg-X-X-Argであるものの、この領域は、コンセンサスフリン切断配列Arg-X-Lys/Arg-Argに適合する。CLH推定α毒素は、類似のR398位置においてアルギニンの代わりにグルタミン残基を有する。上で述べたように、C.セプチクム(C.septicum)活性化部位は、重要な残基として同定されるR398を有する、アミノ酸配列、DKKRRGKRSVDSを保持する。D3ペプチドにおけるCLHα毒素相同性配列は、NTSST-EQNVEVである。したがって、推定C.ヒストリチクム(C.histolyticum)α毒素フリン切断部位は非機能性と思われ、このタンパク質は、発現される場合でも、真核性細胞フリンプロテアーゼとの接触によってプロセシングされて、機能性毒素を生成させ得ない。比較アミノ酸配列分析の知見を表3でまとめる。
【表3】
【0109】
配列アラインメント分析のまとめから、推定CLHα毒素は、その成熟タンパク質を非機能性にする多数のアミノ酸残基の相違があることが示唆される。α毒素についての機能性に対する表現型の関連性は、溶血性活性の証明である。重要なこととして、コラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium Histolyticum)産生株は、血液寒天上にプレーティングした場合、溶血性活性を示さない。血液寒天溶血性評価の結果を
図2で示す。
【0110】
図2のパネルAは、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クローン004細胞増殖の試料を血液寒天上で培養した場合に得られる結果を示す。β溶血性表現型の証拠はない。対照的に、
図2のパネルBは、C.セプチクム(C.septicum)の試料を血液寒天上で培養した場合に得られる結果を示す。パネルCで示されるように、試料塗布エリアを十分に越えて広がるβ溶血の明確な証拠がある。提供される画像は、被験物質を検査する場合に観察される質的な相違を的確に表していない。β溶血の出現は、容易に識別可能であり、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)プレートスタンドにおける溶血の完全な欠如は、C.セプチクム(C.septicum)培養物(α毒素の産生体)を検証する場合に指摘される広い溶血ゾーンとは、全く対照的である。
【0111】
2.デルタ(δ)毒素
Hathewayら(1990)(Clin Microbiol Rev 3:66-98)は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)のδ毒素を、主にTakahashiら(1970)(BBRC 39:1058-1064)による最初の研究コミュニケーションに基づきエラスターゼとして定義している。その後、この毒素におけるさらなる実質的な研究は明確に公表されてない。Takahashiらによって、ディファレンシャル限外ろ過(differential ultrafiltration)を用いて、エラスターゼ活性を示す4つの分画がC.ヒストリチクム(C.histolyticum)から単離された。最初に、名目50kDaカットオフ膜の膜を通過したが、名目10kDaのカットオフの膜により保持された分画に焦点を当てた。
【0112】
サーモリシンは、成熟酵素分子量が34.6kDaである亜鉛メタロプロテアーゼである。重要なこととして、サーモリシンは、分泌で用いられるプレ配列(シグナルペプチド)だけでなく、成熟タンパク質のサイズの3分の2であるおよそ200アミノ酸残基の冗長なプロ配列も含有するタンパク質のクラスに対するモデルタンパク質である。成熟酵素の阻害剤としての、また、酵素の正確な折り畳みを確実にするシャペロンとしての役割を果たすプロ配列がある不活性プレプロタンパク質として、サーモリシン様酵素が生産される(O’Donohueら(1996)、JBC 271:26477-26481)。細胞外環境において、分子の成熟酵素部分によって、プロ配列が自動的に除去される。したがって、サーモリシン様酵素に対する成熟経路は、分泌段階、細胞外マトリクスでのプロ成熟型の存在、プロ配列の切断および成熟活性酵素の存在を含む。
【0113】
サーモリシンおよび推定C.ヒストリチクム(C.histolyticum)δ毒素であるCLH_2576に対する遺伝子配列アラインメントを
図3で示す。この画像は、理論的に1つのポリペプチドとして転写される単一の単位として、全長プレプロ成熟アミノ酸配列を提示する。サーモリシンのN末端の最初の28アミノ酸は、Ser232で終結する緑色の陰影付きのプロ配列に隣接することが示される。陰影なしの成熟アミノ酸配列はIle233で始まる。SignalPプログラムを用いて、サーモリシンおよびCLH_2576ポリペプチドが分泌されることが予想される。翻訳される推定C.ヒストリチクム(C.histolyticum)δ毒素は、識別可能なシグナル配列および分泌型タンパク質である可能性が非常に高い。サーモリシンタンパク質配列とCLHδ毒素タンパク質配列との間に65%の陽性の相同性がある。
【0114】
両タンパク質のプロおよび成熟型の性質を理解するために、機能性に関して個別の配列として個々の領域を分析した。プロ配列アラインメントを
図4で示す。2つのプロ配列型の間で57%の陽性の相同性がある。Demidyukら(2008)(Protein J 27:343-354)によって、100を超えるサーモリシン様プロテアーゼのプロ配列の一次構造分析の再評価が最近行われた。これらの試験者は、前駆体またはプロペプチドと呼ばれることもあるプロ配列内でかなりの変動性が存在することに気付いた。プロ配列は、対応する成熟酵素と比較して、突然変異に対してより耐性があった。それにもかかわらず、重要な残基での高度の保存および置換を示す領域は、機能を劇的に変化させ得ることが指摘された。
図3の緑色の陰影付きの残基は、プロ配列が機能するのに重要であるアミノ酸残基を特定する。サーモリシンとCLH_2756配列との間の相違は見付からない。サーモリシン配列におけるIle183およびArg184に対応する2個の残基に黄色の陰影を付すが;CLH_2756配列中の置換は、機能の変化を何ら引き起こさないと思われる類似のアミノ酸である。
【0115】
重要なこととして、Ser185で始まるCLH_2756配列の黄色の陰影により示されるように、プロ配列のC末端に非相同性の領域がある。この領域は、自己触媒の部位であり、CLH_2756配列は、成熟酵素の活性部位による切断に対する許容可能な基質ではないことが示唆される。Wetmoreら(1994)(Mol Microbiol 12:747-759)によって、モデル酵素としてバチルス・セレウス(Bacillus cereus)サーモリシン様中性プロテアーゼを用いて、切断部位周囲のアミノ酸残基の重要性が調べられた。これらの試験者は、プロセシングが、切断部位から3残基上流のアミノ酸の性質に対して特に感受性であったと判断した。前駆タンパク質プロセシング部位周辺の配列について、コンセンサス配列を同定し、重要な残基での変化の結果、輸送が行われないかまたは成熟機能性酵素へのタンパク質のプロセシングが起こらなかった。コンセンサス配列の重要な特徴は、位置P3に非極性残基(Gly、Ala、Ile、LeuまたはVal)、位置P1に極性残基またはPro(Pro、Ser、His、Glu)および位置P1’に非極性残基が存在することであった。さらに、プロサーモリシン成熟は、セリンとイソロイシン残基との間で起こることが示されている(O’Donohueら(1994)、Biochem J.300:599-603)。切断部位周囲で配列アラインメントを探索するために、サーモリシンに対するおよびCLH_2576に対する前駆タンパク質プロセシング部位の比較配列評価を検査によって行い得る。前駆タンパク質プロセシングエリア中のCLH_2576アミノ酸配列が、自己触媒を可能にするための適切なアミノ酸配置を含有しないことは明らかである。前駆タンパク質プロセシング部位が配列アラインメントに基づく予想部位と合理的に近いか否かを判断するために、CLH_2576アミノ配列について問い合わせるために理論的演習を行う場合、調整によって正確なアミノ酸配列が同定できるようにならないことは明らかである。前駆タンパク質プロセシング部位2残基をC末端側にずらすことによって、Wetmoreらの規則に違反しないアミノ酸の正確な配置が可能となる。しかし、O’Donohueら(1994)(Biochem J.300:599-603)のSer-Ile規則は存在しない。したがって、CLH_2576ポリペプチドの前駆タンパク質型は、自己触媒に対する適切な基質ではないと結論付けられる。正味の影響は、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)(クローン004)の細胞ブロス中に成熟活性酵素が存在しないことである。
【0116】
両タンパク質の成熟型を探索するために、比較配列アラインメントを
図5で示す。
図5での配列アラインメントの検査から、多くの必須のアミノ酸が保存されていることが示唆される。とりわけ、Ala140で始まるAHELTHAVTD配列は、サーモリシンに対する活性部位の成分として同定されており、CLH_2576により示される高い相同性から、CLHδ毒素が、プロテアーゼのサーモリシンクラスのメンバーであることが示唆される(Kooiら(1996)、J Med Microbiol 45:219-225;Kooiら、(1997)、Infect Immun 65:472-477)。緑色の陰影付きの複数の残基が、結合または触媒に必須であるとして同定されている。この2分子の配列間の注目に値するある相違は、サーモリシンにおけるG135で始まるGGI領域である。アミノ酸残基のこのストレッチは、定められた機能が割り当てられていないサーモリシン様プロテアーゼにおいてよく保存されている(Frigerioら(1997)、Protein Eng 10:223-230)。対応するCLH_2576領域は、この配列においていくつかの顕著な相違を保持する。それにもかかわらず、全般的に相同性および必須のアミノ酸残基の保存性が高いことにより、およそ35kDaの予想分子量を有するδ毒素としてのCLH_2576の選択が確認される。この評価は、Takahashiら(1970)(BBRC 39:1058-1064)により与えられる情報と合致する。
【0117】
まとめると、ゲノム配列分析を用いて推定CLHδ毒素が同定された。しかし、この配列の照合から、前駆タンパク質の切断が起こらず、この分子が非機能性となることが示唆される。したがって、C.ヒストリチクム(C.histolyticum)ATCC21000のクローン004誘導体において発現され、分泌される場合、δ毒素は機能性ではないと推測される。
【0118】
3.イプシロン(ε)毒素
MacLennanら(1962)(Bact Rev 26:176-274)およびHathewayは、酸素不安定性へモリシンとしてのC.ヒストリチクム(C.histolyticum)のε毒素が、クロストリジウム属(Clostridium)の他の株、例えばC.テタニ(C.tetani)、C.ノビー(C.novyi)およびC.セプチクム(C.septicum)などにより産生されるものと血清学的に類似することを記載した。Bowen(1952)(Yale J Biol Med 25:124-138)は、α毒素活性に対して観察されるように、対数期中にε毒素が発現され、定常期中に分解され、同様にインビトロでプロテイナーゼによって分解されたことを明らかにした。
【0119】
C.ヒストリチクム(C.histolyticum)ゲノムのBLAST分析の結果の検査によって、コレステロールに対する親和性を有するチオール活性化型のポア形成タンパク質のメンバーであるパーフリンゴリジンおよびテタノリシンと同じクラスのヘモリジンをコードするORFが同定された。このようなタンパク質は、コレステロール依存性細胞溶解素(CDC)のファミリーの一部であり、これらは全て、別個のタンパク質配列および特有の構造を示す。完全なタンパク質配列が利用可能である25を超えるCDCタンパク質が同定されている。CDCは、全て50-60kDaの分子量の範囲にあるグラム陽性細菌の様々な種により分泌されるβ-バレルポア形成毒素の一群である。原型のCDCは、全CDCに対するモデルタンパク質となるパーフリンゴリジンである(Heuckら、2007,JBC 282:22629-22637)。CDCの典型的な構成は、水溶性単量体のタンパク質としての細胞外環境への輸出を促進するための切断可能なシグナル配列を含む。続いて、折り畳まれた単量体型が標的真核細胞膜に結合し、これにはコレステロール結合が介在し、次いで膜表面上でオリゴマー化して、細胞溶解に関与する弧状および環状構造を形成する。CDCは、チオール活性化細胞溶解素としても知られており、最初はヘモリジンとして記載されていた(Billingtonら、2000)。
【0120】
パーフリンゴリジンおよび推定ε毒素であるCLH_1920に対する遺伝子配列アラインメントを
図6で示す。この画像は、理論的に1つのポリペプチドとして転写される単一の単位としての全長(プレ+成熟)タンパク質配列を示す。パーフリンゴリジンのN末端の最初の29アミノ酸は、シグナルぺプチダーゼ切断部位のLys29の上に青い星印を付して示す。CLH_1920配列のSignalP分析によって、認識可能なシグナルペプチド切断部位は同定されず、非分泌型タンパク質であることが予想された。パーフリンゴリジンタンパク質配列とCLH_1920推定ε毒素タンパク質配列との間には84%の陽性の相同性がある。
【0121】
緑色の陰影付きのアミノ酸残基は、2つのタンパク質間で保存される必須のアミノ酸を示す。重要なこととして、グルタミン458で始まる11個のアミノ酸配列(ECTGLAWEWWR)は、ウンデカペプチド配列と呼ばれる必須領域である。成熟タンパク質領域と呼ばれる配列内で相同性が高いことに加え、このウンデカペプチド配列は、CDCとしてCLH_1920タンパク質を同定するのに役立つ。したがって、分泌型タンパク質として作製される場合、CLH_1920タンパク質は、溶血性の機能性を有すると予想される。2つのタンパク質間の非相同性の単一領域を黄色の陰影で強調する。重要なこととして、CDCのC末端はコレステロール結合に重要であることが示されている(Shimadaら、1999,JBC 274:18536-18542)。CDCによる溶血の過程は、ポア形成前に結合および膜挿入という2つの重要な段階を含む。Shimadaら(1999)(JBC 274:18536-18542)は、C末端に対する中程度の変化が結合段階に影響を与えることを明らかにした。3’末端アミノ酸の変化は、ELISA法により測定した場合、コレステロール結合を大幅に減少させる。赤血球細胞における対応する溶血性活性は、C末端アミノ酸変化の深刻度に依存して協調的に低下したかまたは消去された。CLH_1920配列のC末端の検査から、パーフリンゴリジン配列と比較して、いくつかの顕著な相違が示される。
【0122】
表4でまとめられるように、推定C.ヒストリチクム(C.histolyticum)ε毒素の溶血性活性は、理論的なアミノ酸配列の2つの特性ゆえに存在しないかもしれない。第一に、この分子は、分泌されないと予想され;したがって、この分子は、標的細胞との相互作用に利用可能ではない。第二に、CLH_1920タンパク質のC末端は、コレステロール結合のための相同性領域を保持せず、このことから、溶血に付随する重要なエレメントが欠失しているかもしれないことが示唆される。
【表4】
【0123】
非臨床的毒性研究から、インビボでのヘモリジンの効果の非臨床および形態学的な指標が明らかになった。局所およびIVボーラス投与により生成されたデータは、ε毒素などの溶血性毒素がないことを裏付ける。
【0124】
溶血性毒素がないことは、各C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クローン004発酵の終了時に従来から行われる血液寒天上への試験物質のプレーティングによって検証され得、これによってまた、外来物質増殖がないことも確認される。溶血性毒素の発現の結果、血液細胞の溶解が起こり、それによって、その結果、へモリシンを産生するコロニー周辺で明らかなハローの形成が起こる。コラゲナーゼC.ヒストリチクム(C.histolyticum)産生株は、ハローまたは排除ゾーンを生じさせず(
図2参照)、これにより産生株においてε毒素および何らかの他の溶血性の物質がないことが裏付けられる。CDCの溶血性機能を検証するために、従来からのプレーティング試験を模倣するため、市販のテタノリシンを血液寒天に塗布した。結果を
図7で示すが、これにより、リン酸緩衝食塩水中の10μcLの10μg/mLテタノリシン溶液を血液寒天の表面に塗布し、次いで37℃で24時間温置した場合、β溶血性表現型が観察されたことが示される。したがって、試験物質中に機能性CDCが存在した場合、β溶血性表現型が観察されるはずである。
【0125】
4.クロストリパインまたはガンマ(γ)-毒素
C.ヒストリチクム(C.histolyticum)のγ毒素は、クロストリパイン、システインエンドぺプチダーゼ(EC3.4.22.8)として記載されている。Dargatzら(1993)(Mol Gen Genet 240:140-145)は、クロストリパインに対するC.ヒストリチクム(C.histolyticum)遺伝子をクローニングし、配列決定し、この情報を受託番号X63673下でGenBankに寄託した(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/X63673.1)。CLH_1861γ毒素の一次構造を理解するために、CLH_1861γ毒素理論的配列とともにモデルタンパク質(C.ヒストリチクム(C.histolyticum)クロストリパイン)のMATLAB(登録商標)からのタンパク質配列アラインメントを作成した。結果を
図8で与える。
【0126】
図8の検査から、モデルクロストリパインとゲノム分析から得られる配列との間で相同性が非常に高い(99%)ことが示される。実際に、3アミノ酸しか異ならず、この中で活性に必須であると同定される残基はない。機能性に必須であるとして文献の研究において同定される重要なアミノ酸を緑色の陰影で示す。両タンパク質のSignalP分析から、高い分泌スコアおよび、青い星印で示されるシグナル切断部位が示される(Labrouら(2004)Eur J Biochem 271:983-992)。したがって、CLH_1861分子が分泌され、機能性であることが予想されよう。通常の出荷許可の一部として、残留クロストリパイン分析を行った。
【0127】
クロストリパイン分析は、一般にC.ヒストリチクム(C.histolyticum)毒素に対する配列アラインメントアプローチの長所を裏付ける。機能性の毒素遺伝子の存在は、必ず、既知のモデルタンパク質と高度の相同性を共有したアミノ酸配列につながることが予測されよう。さらに、必須のアミノ酸残基の保存も機能性毒素遺伝子の特徴である。
【0128】
ゲノム配列分析から得られる情報から、推定α、δおよびε毒素に対する遺伝子座が存在するという証拠が提供された。各毒素の理論的一次構造のさらなる分析から、各毒素のアミノ酸配列における重要な欠陥の結果として、各毒素の非機能型が予測されることが示された。とりわけ、αおよびε毒素は、ポア形成、溶血性分子の2つのクラスに対する相同体として割り当てられ得る。発酵の終了時に、通常の純度試験の一部として全バッチからの試料を血液寒天上にプレーティングする。コロニー周辺のハローまたは排除ゾーンの欠如から、培養および発酵において溶血性活性がないことが確認される。その結果として、発酵試料の端部周辺に溶血性ハローがないことから、継続してαおよびε毒素の両者とも存在しないことが明らかとなる。
【0129】
表5は、配列分析からの結果を示し、機能性を予想する。この結果によって、なぜクローン004が機能上、毒性がなく、溶血性活性の欠如を示したかが確認される。
【表5】
【0130】
5.β毒素(コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼII)のC.ヒストリチクム(C.histolyticum)配列分析
推定C.ヒストリチクム(C.histolyticum)β毒素遺伝子座の配列分析を
図9および10で与える。
図9で示されるように、クローン004の成熟コラゲナーゼIのアミノ酸配列(CLH_1768および1769;配列番号3)は、翻訳colG配列(配列番号19)とアミノ酸が3個異なる。
図10は、クローン004の成熟コラゲナーゼIIのアミノ酸配列(CLH_2116;配列番号4)が、翻訳colH配列(配列番号20)と8個のアミノ酸で異なることを示す。両コラゲナーゼとも完全に機能性である。
【0131】
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【0132】
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【0133】
本発明を、その好ましい態様を参照して詳細に示し、記載してきたが、形態および詳細における様々な変形が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることが、当業者により理解されよう。