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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】パイプシャフトモジュール
(51)【国際特許分類】
   E03B 7/00 20060101AFI20230925BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20230925BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20230925BHJP
   E03B 7/04 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
E03B7/00 B
F16L1/00 C
E03C1/02
E03B7/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021517545
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 SE2019050481
(87)【国際公開番号】W WO2019231382
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】1850647-7
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】520468139
【氏名又は名称】コンセントゥス・プロパティーズ・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】Concentus Properties AB
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】アントン・ルンドホルム
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-144334(JP,A)
【文献】独国実用新案第29507439(DE,U1)
【文献】特開平08-152080(JP,A)
【文献】特開昭51-140227(JP,A)
【文献】特開平05-306572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 7/00
E03C 1/00-1/10
E04F 17/08
F16L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物のパイプシャフト(3)に設けられ、パイプシャフト内の少なくとも1本のパイプに接続されるように構成されたパイプシャフトモジュール(1)であって、
パイプ接続ボックス(5)と、
前記パイプ接続ボックス(5)内に突出し、前記パイプ接続ボックスの長手方向に沿ってスライド可能に設けられ、第1端部(9a、9b、9c)がパイプ接続ボックス(5)に突出する少なくとも1つのパイプ(7a、7b、7c)と、
を備え、
前記パイプ接続ボックス(5)は、
パイプシャフトモジュール(1)に設けた各パイプ(7a、7b、7c)に対して少なくとも1つのパイプコネクタ(13a、13b、13c)を含み、パイプ接続ボックス(5)内で少なくとも2つの異なる位置に移動できるように、パイプ接続ボックス(5)内に取り付けられ、第1の位置は、パイプシャフトモジュール(1)の少なくとも1つのパイプ(7a、7b、7c)の伸張方向ではない位置に各パイプコネクタ(13a、13b、13c)が設けられる位置であり、第2の位置は、1つのパイプコネクタ(13a、13b、13c)がパイプシャフトモジュール(1)の各パイプ(7a、7b、7c)に接続可能となるように配置される接続位置であるパイプ接続装置(11)と、
前記パイプ接続装置(11)の少なくとも1つのパイプコネクタ(13a、13b、13c)を介してパイプシャフトモジュール(1)の少なくとも1つのパイプ(7a、7b、7c)と接続するために、建物のパイプシャフト(3)の別の部分から少なくとも1つのパイプ(17a、17b、17c)を受け入れるように構成された少なくとも1つのパイプ受入口(15a、15b、15c)と、
を備える、パイプシャフトモジュール(1)。
【請求項2】
前記各パイプコネクタ(13a、13b、13c)は流体経路(14a、14b、14c)を含み、前記流体経路は、パイプコネクタ(13a、13b、13c)が接続位置で前記少なくとも1つのパイプ(7a、7b、7c)に接続されるときの、前記少なくとも1本のパイプ(7a、7b、7c)の延長部である、請求項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項3】
前記各流体経路(14a、14b、14c)は、前記パイプ接続ボックス(5)の高さの少なくとも半分の長さを有する、請求項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項4】
前記パイプ接続ボックス(5)の前記高さは、0.3mから1.5mである、請求項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項5】
前記パイプコネクタ(13a、13b、13c)は、流体経路(14a、14b、14c)を備えるパイプセクションであり、前記パイプセクションは、互いに平行に配置され、前記流体経路(14a、14b、14c)が、少なくとも1本のパイプ(7a、7b、7c)の長手方向とほぼ同じ方向に沿って設けられている、請求項1からのいずれか1項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項6】
前記パイプ接続装置(11)は、少なくとも1本のパイプ(7a、7b、7c)の伸張方向に対して実質的に横方向でパイプ接続ボックス(5)内を移動できるように、パイプ接続ボックス(5)内に取り付けられている、請求項1からのいずれか1項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項7】
前記パイプ接続ボックス(5)に取り付けられた少なくとも2本のパイプ(7a、7b、7c)を備え、前記パイプ接続装置(11)は、少なくとも2つのパイプ接続部(13a、13b、13c)を備え、前記パイプ接続ボックス(5)は、少なくとも2つのパイプ受入口(15a、15b、15c)を備える、請求項1からのいずれか1項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項8】
前記パイプシャフトモジュールは、パイプシャフト内で他のパイプに取り付けられる前に、第1取付段階で取り付けることができ、前記第1取付段階では、少なくとも1本のパイプ(7a、7b、7c)が、パイプ接続ボックス(5)の全高の少なくとも半分でパイプ接続ボックス(5)内に突出するように設けられ、第1取付段階での前記パイプ接続装置(11)は、前記少なくとも1つのパイプコネクタ(13a、13b、13c)が前記少なくとも1本のパイプ(7a、7b、7c)と平行な第1位置に設けられている、請求項1からのいずれか1項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項9】
前記パイプ接続ボックス(5)の外側に設けられ、前記各パイプ(7a、7b、7c)に接続され、前記パイプを前記パイプ接続ボックス(5)に対して一緒にスライドさせることができるパイプ保持装置(21)をさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項10】
前記パイプをスライドさせてパイプ接続ボックス(5)内に突出させるために、前記パイプ保持装置(21)を案内することができる少なくとも1本のガイドレール(23a、23b)をさらに備え、前記少なくとも1本のガイドレールは、パイプ保持装置(21)を少なくとも1本のガイドレールに対して少なくとも2つの異なる位置にロックするように構成されることにより、パイプがパイプ接続ボックス(5)内に異なる量で突出する少なくとも2つの異なる位置を可能にする少なくとも1つのロック機能を備える、請求項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項11】
前記請求項1から10のいずれか1項に記載の他のパイプシャフトモジュールに接続されるように構成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載のパイプシャフトモジュール。
【請求項12】
建物のパイプシャフト(3)に前記請求項1から11のいずれか1項に記載のパイプシャフトモジュールを設けるステップ(S1)と、
前記パイプシャフトモジュール(1)の前記少なくとも1本のパイプ(7a、7b、7c)をスライドさせ、前記少なくとも1本のパイプ(7a、7b、7c)をスライド後に、スライド前よりも小さい距離だけ前記パイプ接続ボックス(5)内に突出させるステップ(S3)と、
前記パイプ接続ボックス(5)内のパイプ接続装置(11)を前記パイプコネクタ(13a、13b、13c)が前記パイプシャフトモジュール(1)の各パイプ(7a、7b、7c)に接続可能となるように配置される前記接続位置に移動させるステップ(S5)と、
前記各パイプ(7a、7b、7c)の第1端部(9a、9b、9c)を各パイプコネクタ(13a、13b、13c)に接続するステップ(S7)と、
を備える方法。
【請求項13】
さらに、少なくとも1本のパイプ(7a、7b、7c)の第1端部(9a、9b、9c)とは反対側に位置する第2端部(10a、10b、10c)を、前記請求項1から11のいずれか1項に記載の別のパイプシャフトモジュール(1)のパイプコネクタ(13a、13b、13c)に接続するステップ(S9)を備え、一方のパイプシャフトモジュール(1)がパイプシャフト(3)の他の部分に設けられている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、異なるパイプシャフトモジュールから2本のパイプが各パイプコネクタ(13a、13b、13c)を介して接続されるように、第1パイプシャフトモジュール(1)の各パイプコネクタ(13a、13b、13c)を、パイプシャフト(3)の他の部分に設けた他の各パイプシャフトモジュール(1)からの1本のパイプ(7a、7b、7c)に接続するステップ(S11)を備える、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、接続後にパイプ接続ボックス(5)の外側に設けられるパイプ(7a、7b、7c)の一部を絶縁するステップ(S13)を備える、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記パイプ接続ボックス(5)に対してパイプシャフトモジュール(1)の少なくとも1本のパイプ(7a、7b、7c)をスライドさせるステップ(S3)は、少なくとも1本のガイドレール(23a、23b)に沿ってパイプ接続ボックス(5)の外側でパイプ(7a、7b、7c)を保持し、パイプ保持装置(21)を、少なくとも2つの異なる位置で少なくとも1本のガイドレール(23a、23b)にロックするパイプ保持装置(21)をガイドすることにより設けられている、請求項12から15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプシャフトモジュール、及びパイプシャフトモジュールを建物のパイプシャフトに取り付けるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプが建物のパイプシャフトに接続される場合、多くは、パイプ接続ボックス内で行われる。漏れを、より簡単に検出して修理するため、全てのパイプの接続をパイプ接続ボックス内に集めるのが適切である。例えば、建物の各パイプシャフトにつき、各フロアに1つのパイプ接続ボックスを設けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、パイプシャフトへのパイプの便利な取り付けを可能にするパイプシャフトモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これは、請求項1に記載のパイプシャフトモジュール、及び請求項12に記載の建物のパイプシャフトにパイプシャフトモジュールを取り付ける方法によって達成される。
【0005】
本発明の一態様によれば、建物のパイプシャフトに設けられ、パイプシャフト内の少なくとも1つのパイプに接続されるように構成されたパイプシャフトモジュールであって、
パイプ接続ボックスと、
前記パイプ接続ボックス内に突出し、パイプ接続ボックスの長手方向に沿ってスライド可能に設けられ、第1端部がパイプ接続ボックスに突出する少なくとも1つのパイプと、
を備え、
前記パイプ接続ボックスは、
パイプシャフトモジュールに設けた各パイプに対して少なくとも1つのパイプコネクタを含み、パイプ接続ボックス内で少なくとも2つの異なる位置に移動できるように、パイプ接続ボックス内に取り付けられ、1つの位置は、1つのパイプコネクタがパイプシャフトモジュールの各パイプに接続可能となるように配置される接続位置であるパイプ接続装置と、
前記パイプ接続装置の少なくとも1つのパイプコネクタを介してパイプシャフトモジュールの少なくとも1つのパイプと接続するために、建物のパイプシャフトの別の部分から少なくとも1つのパイプを受け入れるように構成された少なくとも1つのパイプ受入口と、
を備えるパイプシャフトモジュールを提供する。
本発明の別の態様によれば、本発明によるパイプシャフトモジュールを建物のパイプシャフトに取り付けるための方法であって、
建物のパイプシャフトにパイプシャフトモジュールを設けるステップと、
スライド後の少なくとも1本のパイプがスライド前よりも短い距離だけパイプ接続ボックス内に突出するような方向に、パイプ接続ボックスに対してパイプシャフトモジュールの少なくとも1本のパイプをスライドさせるステップと、
パイプ接続ボックス内のパイプ接続装置を、パイプコネクタがパイプシャフトモジュールの各パイプに接続できるようにパイプコネクタが配置される接続位置に移動させるステップと、
各パイプの第1端部をそれぞれ1つのパイプコネクタで接続するステップと、
を備える方法を提供する。
【0006】
本発明に係るパイプシャフトモジュールを使用することにより、パイプはパイプシャフトに簡単かつ適切に取り付けられる。さらに、全てのパイプ接続は、発生する可能性のある漏れの検出と修復に適したパイプ接続ボックス内で行われる。さらに、本発明に係るパイプシャフトモジュールを用いて、パイプ及びパイプ接続ボックスは、パイプ接続ボックス内に突出するように配置されたパイプと共に送達することができる。これにより、パイプシャフトへのパイプの取り付けが容易になる。パイプシャフトモジュール、例えば、建物の各フロアに1つのパイプシャフトモジュールがパイプシャフトに設けられている。そして、パイプが既にパイプ接続ボックスに突き出た状態で設けられているため、パイプとパイプ接続ボックスを別々に送達する従来の方法と比較した取り付けのためのステップが省略される。次に、本発明によれば、パイプは、送達中と比較してパイプ接続ボックスの外側に突出するようにパイプ接続ボックスに対してスライドされた後、パイプ接続ボックス内に設けたパイプコネクタを接続位置に移動させることができる。パイプコネクタは、接続ボックスの高さとほぼ同じ長さでパイプ接続することができる。パイプ接続ボックス内でパイプコネクタを移動できるため、送達中及びパイプシャフトモジュールの取付前に、パイプをパイプ接続ボックス内に突き出させることができる。パイプの一部は、パイプ接続ボックス内にパイプコネクタと並べて設けることができるため、送達中及びパイプ接続前のパイプシャフトモジュールのパイプシャフトへの位置決め中に、パイプ接続ボックスとパイプの両方を備えるコンパクトで扱いやすいパイプシャフトモジュールを使用したより適切な取付手順が提供される。
【0007】
本発明の一実施形態では、前記パイプ接続装置は、パイプシャフトモジュールの少なくとも1つのパイプの伸張方向ではない位置に各パイプコネクタを設けた第1位置と、接続位置である第2位置とに移動可能である。
【0008】
本発明の一実施形態では、各パイプコネクタは流体経路を含み、前記流体経路は、パイプコネクタが接続位置で前記少なくとも1つのパイプに接続されるときの、前記少なくとも1つのパイプの延長部分である。
【0009】
本発明の一実施形態では、各流体経路は、パイプ接続ボックスの高さの少なくとも半分の長さを有する。
【0010】
本発明の一実施形態では、パイプ接続ボックスの前記高さは、0.3mから1.5mである。
【0011】
本発明の一実施形態では、前記パイプコネクタは、流体経路を備えるパイプセクションであり、前記パイプセクションは、互いに平行に配置され、前記流体経路が、パイプシャフトモジュールの少なくとも1本のパイプの長手方向とほぼ同じ方向に沿って設けられている。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記パイプ接続装置は、パイプシャフトモジュールの少なくとも1本のパイプの伸張方向に対して実質的に横方向でパイプ接続ボックス内を移動できるように、パイプ接続ボックス内に取り付けられている。
【0013】
本発明の一実施形態では、パイプシャフトモジュールは、パイプ接続ボックスに取り付けられた少なくとも2本のパイプを備え、前記パイプ接続装置は、少なくとも2つのパイプ接続部を備え、前記パイプ接続ボックスは、少なくとも2つのパイプ受入口を備える。本発明の一実施形態では、パイプシャフトモジュールは、3本のパイプ、3つのパイプ接続部及び3つのパイプ受入口を備える。
【0014】
本発明の一実施形態では、前記パイプシャフトモジュールは、パイプシャフト内で他のパイプに取り付けられる前に、第1取付段階で取り付けることができ、前記第1取付段階では、少なくとも1本のパイプが、パイプ接続ボックスの全高の少なくとも半分でパイプ接続ボックス内に突出するように設けられ、第1取付段階での前記パイプ接続装置は、前記少なくとも1つのパイプコネクタが前記少なくとも1本のパイプと平行な第1位置に設けられている。
【0015】
本発明の一実施形態では、パイプ接続ボックスの外側に設けられ、各パイプに接続され、パイプをパイプ接続ボックスに対して一緒にスライドさせることができるパイプ保持装置をさらに備える。
【0016】
本発明の一実施形態では、パイプシャフトモジュールは、パイプをスライドさせてパイプ接続ボックス内に突出させるために、前記パイプ保持装置を案内することができる少なくとも1つのガイドレールをさらに備え、前記少なくとも1つのガイドレールは、パイプ保持装置を少なくとも1つのガイドレールに対して少なくとも2つの異なる位置にロックするように構成されることにより、パイプがパイプ接続ボックス内に異なる量で突出する少なくとも2つの異なる位置を可能にする少なくとも1つのロック機能を備える。
【0017】
本発明の一実施形態では、それは本発明に係る別のパイプシャフトモジュールに接続されるように構成される。
【0018】
本発明の一実施形態では、前記方法は、少なくとも1つのパイプの第1端部とは反対側の端部である第2端部を、本発明に係るパイプシャフトの別の部分に設けた別のパイプシャフトモジュールのパイプコネクタと接続するステップをさらに備える。
【0019】
本発明の一実施形態では、前記方法は、第1パイプシャフトモジュールの各パイプコネクタを、異なるパイプシャフトモジュールからのパイプが各パイプコネクタを介して接続されるように、パイプシャフトの別の部分に設けた他方のパイプシャフトモジュールから延びる一方のパイプの第2端部と接続するステップをさらに備える。
【0020】
本発明の一実施形態では、前記方法は、接続後にパイプ接続ボックスの外側に設けられるパイプの一部絶縁するステップをさらに備える。
【0021】
本発明の一実施形態では、パイプ接続ボックスに対してパイプシャフトモジュールの少なくとも1つのパイプをスライドさせるステップは、パイプ接続ボックスの外側にパイプを保持するパイプ保持装置をガイドレールに沿って誘導し、前記パイプ保持装置を少なくとも2つの異なる位置でガイドレールにロックすることによって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】本発明の一実施形態による、第1取付段階にあり、建物のパイプシャフトに設けられたパイプシャフトモジュールを概略的に示す。
図1B】パイプが下方にスライドして接続ボックスへの突出が少なくなった第2取付段階で、図1Aに示すのと同じパイプシャフトモジュールを概略的に示す。
図1C】接続ステージである第3取り付け段階で、図1A及び図1Bに示したものと同じパイプシャフトモジュールを概略的に示す。
図1D】別のパイプシャフトモジュールからパイプに接続されたときの第4取付段階で、図1から図1Cに示されるものと同じパイプシャフトモジュールを概略的に示す。
図2】本発明の一実施形態に係る方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1Aから図1Dは、異なる取付段階における本発明の一実施形態に係るパイプシャフトモジュール1を概略的に示す。図1Aでは、パイプシャフトモジュール1は、送達段階である第1取付段階にある。図1Bでは、パイプシャフトモジュールは、パイプが滑り落ちた第2取付段階にある。図1Cでは、パイプシャフトモジュール1は接続段階である第3取付段階にある。図1Dでは、パイプシャフトはモジュールが別のパイプシャフトモジュールに接続されている第4取付段階にある。
【0024】
本発明に係るパイプシャフトモジュール1は、建物のパイプシャフト3に設けられ、パイプシャフト内の他の少なくとも1つのパイプに接続されるように構成されている。パイプシャフトモジュール1は、パイプ接続ボックス5を備える。建物のパイプシャフト内のパイプの接続部分は、パイプ接続ボックス5内に設けられている。本発明に係るパイプシャフトモジュールは、少なくとも1本のパイプ7a、7b、7cをさらに備え、パイプ接続ボックス5内に突出し、パイプ接続ボックスに対してその長手方向に沿ってスライドできるようにパイプ接続ボックスに設けられている。パイプ7a、7b、7cの少なくとも1つの第1端部9a、9b、9cは、パイプ接続ボックス5内に突出していてもよいし、突出していなくてもよい。図1Aから図1Dに示される本発明の実施形態では、3つのパイプ7a、7b、7cがパイプシャフトモジュール1に設けられている。本発明によれば、パイプの数も同様に設けることができる。例えば、1、2又は3以上のパイプを設けることができる。3本のパイプ7a、7b、7cを設ける場合、1本は温水用、1本は冷水用、1本は温水循環用に使用することができる。パイプは、加熱又は冷却システムに使用することができる。つまり、加熱媒体と冷却媒体をパイプに供給することができる。
【0025】
さらに、本発明によれば、前記パイプ接続ボックス5は、パイプシャフトモジュール1に設けた各パイプ7a、7b、7cに対して少なくとも1つのパイプコネクタ13a、13b、13cを有するパイプ接続装置11を備える。パイプコネクタ13a、13b、13cを設けているが、別の数のパイプコネクタも同様に設けることができる。パイプコネクタ13a、13b、13cは、流体経路14a、14b、14cをそれぞれ備える。流体経路14a、14b、14cは、パイプコネクタ13a、13b、13cが接続位置で前記パイプ7a、7b、7cに接続されている場合、前記パイプ7a、7b、7cの延長部となる。各流体経路14a、14b、14cは、例えば、パイプ接続ボックス5の高さhの少なくとも半分の長さを有する。また、流体経路14a、14b、14cの長さは、パイプ接続ボックス5の高さhとほぼ同じとすることもでき、パイプ接続ボックス5の内部に設けるパイプ接続のためのスペースが節約される。パイプ接続ボックス5の高さは、例えば、0.3mから1.5m、あるいは0.5mから1.2である。
【0026】
図1Aから図1Dに示される本発明の実施形態では、パイプコネクタ13a、13b、13cは、互いに平行に配置され、パイプシャフトモジュール1のパイプ7a、7b、7cの長手方向とほぼ同じ方向に沿う流体経路14a、14b、14cを設けたパイプセクション13a、13b、13cである。代替のパイプセクションは、ドリル穴を備えたブロックである。パイプコネクタ13a、13b、13cの長さl1は、例えば、接続ボックスの高さhの少なくとも半分、又はパイプ接続ボックス5の高さhとほぼ同じ長さである。パイプコネクタ13a、13b、13cの長さl1は、パイプコネクタ13a、13b、13cの両端部のパイプへの接続がパイプ接続ボックス5の内側で行われるべきであるため、パイプ接続ボックス5の高さhよりも若干短いのが適切である。パイプシャフトモジュールに設けたパイプ7a、7b、7cの長さl2をパイプコネクタ13a、13b、13cの長さl1と同じ長さまで短くすることができるので、パイプコネクタ13a、13b、13c(つまり、流体経路14a、14b、14cの長さ)及び接続ボックス5の高さhは本発明にとって重要である。パイプ7a、7b、7c及びパイプコネクタ13a、13b、13cの上部(図面の方向参照)は、図1Aに示すように、送達中及び第1取付段階中に、パイプ接続ボックス5内に並べて配置される。これにより、送達中及び第1取付段階中のパイプシャフトモジュールの全長が短縮され、パイプシャフトモジュールの取り扱い及び取り付けが容易になる。パイプコネクタ13a、13b、13cの長さl1及びパイプ接続ボックス5の高さhは、建物の床の間の梁の厚さに合わせることができるので、取り付けが容易である。これにより、送達位置にあるパイプシャフトモジュールの全長を建物の床からの天井の高さに合わせることができ、取り付けが容易になる。前記パイプ接続装置11は、パイプ接続ボックス5内に取り付けた本発明に係るものであり、パイプ接続ボックス5内で少なくとも2つの異なる位置に移動させることができ、一方の位置は、パイプコネクタ13a、13b、13cの接続位置である。1つのパイプコネクタ13a、13b、13cがパイプシャフトモジュール1の各パイプ7a、7b、7cに接続できるように配置される。パイプコネクタ13a、13b、13cは、第1端部9a、9b、9cに接続される。パイプ7a、7b、7cのパイプコネクタ13a、13b、13cは、例えば、パイプ接続装置11の固定位置に取り付けられ、パイプ接続装置11を異なる位置に移動させることができる。第1位置は送達位置と呼ばれ、この位置では、パイプコネクタ13a、13b、13cは、パイプ7a、7b、7cとは同一直線上には設けられていない。すなわち、各パイプコネクタ13a、13b、13cは、パイプシャフトモジュール1のパイプ7a、7b、7cの伸張方向ではない位置に設けられている。第2位置は接続位置と呼ばれ、この位置では、パイプコネクタ13a、13b、13cは、それらを1本のパイプにそれぞれ接続できる位置に移動されている。本実施形態では、パイプ接続装置11は、パイプシャフトモジュールのパイプ7a、7b、7cの伸張に対して実質的に横方向にパイプ接続ボックス内で移動できるように、パイプ接続ボックス5内に取り付けられている。図1に示す実施形態では、パイプ接続装置11は、左から右に移動させることにより送達位置と接続位置との間を移動する。送達位置は、パイプの反対側、パイプの前方側、またはパイプの後方側とすることもできる。すなわち、パイプ接続装置11は、パイプ7a、7b、7c及び図面の方向に関連して前方又は後方に移動させることもできる。本発明の別の実施形態では、パイプ接続装置11の移動方向は、パイプの伸張に対して横方向である必要はなく、任意の角度とすることができる。
【0027】
パイプセクション13a、13b、13cは、図1Cに示すように、第3取付段階において、パイプ7a、7b、7cの延長部として設けられているが、パイプ接続装置11が第2位置(接続位置)に移動される前である。パイプ7a、7b、7cは、スライド後のパイプ7a、7b、7cがスライド前よりも短い距離だけパイプ接続ボックス5内に突出するような方向に、パイプ接続ボックス5に対してスライドさせる必要がある。つまり送達段階である第1取付段階では、パイプ7a、7b、7cは、第2及び第3取付段階よりもパイプ接続ボックス内に突出している。これは、パイプ接続ボックス5内でパイプ接続装置11を移動させる可能性があるためである。パイプコネクタ13a、13b、13cをパイプ7a、7b、7cの延長部から離して設けることにより、送達中、パイプ接続ボックス5にさらに突出させるために、パイプをスライドさせることができる。この結果、よりコンパクトなモジュールとなる。また、第1取付段階(図1A)から第2取付段階(図1B)に移動させるとき、パイプ7a、7b、7cは、パイプ接続ボックス5への突出が少なくなるようにスライドし、第2取付段階から第3取付段階では、パイプ接続装置11が第1位置から第2位置に移動される。パイプ接続装置11の第2位置では、1つのパイプセクション(パイプコネクタ)13a、13b、13cが、パイプの延長部として、パイプ7a、7b、7cのそれぞれと同じ長さ方向に提供される。その後、パイプ7a、7b、7cをパイプコネクタ13a、13b、13cに接続することができる。
【0028】
パイプ接続ボックス5の高さhは、便利で取り扱いが容易なパイプシャフトモジュールを設けるようにして採用することができる。パイプ7a、7b、7cは、例えば、第1取付段階において、ボックスのほぼ全体の高さhに沿って、又は高さの少なくとも半分に沿って、パイプ接続ボックス5の内側に突出させることができる。
【0029】
パイプ接続ボックスはさらに、少なくとも1つのパイプ7aに接続するために、建物のパイプシャフト3の別の部分から少なくとも1つのパイプ7a、7b、7cを受け入れるように構成された少なくとも1つのパイプ受入口15a、15b、15cを備える。本発明の実施形態では、3つのパイプ受入口15a、15b、15cがパイプ接続ボックスに設けられている。これらパイプ受入口15a、15b、15cは、パイプ7a、7b、7cがパイプ接続ボックス5に突出しているところからパイプ接続ボックス5の反対側に設けられている。さらに、パイプ受入口15a、15b、15cは、パイプ受入口15a、15b、15cを介して受け入れられる別のパイプシャフトモジュールからのパイプ7a、7b、7cがパイプコネクタ13aを通るパイプシャフトモジュール1の各パイプ7a、7b、7cに接続されるように、各パイプ7a、7b、7cの伸張方向に沿って配置されている。
【0030】
本発明の実施形態では、パイプシャフトモジュール1は、パイプ7a、7b、7cを一緒にスライドさせて一緒に保持するために、パイプ接続ボックス5の外側に設けたパイプ保持装置21をさらに備える。しかしながら、この構成は任意であり、本発明には必ずしも必要なものではない。パイプ保持装置21は、各パイプ7a、7b、7cに接続されており、パイプをパイプ接続ボックス5に対して一緒にスライドさせることができる。本発明の実施形態では、パイプシャフトモジュールは、パイプをスライドさせてパイプ接続ボックス5内に突出させるために、前記パイプ保持装置21をガイド可能とするガイドレール23a、23bをさらに備える。前記ガイドレール23a、23bは、パイプ保持装置21をガイドレール23a、23bに対して少なくとも2つの異なる位置にロックするように構成された少なくとも1つのロック機能25を備えることにより、パイプ接続ボックス5への突出量が相違するパイプ7a、7b、7cのために、少なくとも2つの異なる位置を可能にする。別の実施形態では、1つのガイドレールのみが、例えば、パイプの後方の中間位置に設けられる。
【0031】
本発明に係るパイプシャフトモジュールは、本発明に係る別のパイプシャフトモジュール1に接続されるように構成されている。例えば、建物のパイプシャフトの各フロアに1つのパイプシャフトモジュール1を設けることができる。パイプ7a、7b、7cの第2端部10a、10b、10cは、下方の床のパイプシャフトに設けた別のパイプシャフトモジュール1のパイプ受入口15a、15b、15cに受入可能に下方の床まで突出するように設けられている。
【0032】
図2は、建物のパイプシャフト3に前記パイプシャフトモジュール1を取り付ける本発明の一実施形態に係る方法のフローチャートである。方法の手順を以下に説明する。
【0033】
S1:図1Aから図1Dについて前述のように、建物のパイプシャフト3にパイプシャフトモジュール1を設ける。パイプシャフトモジュールは、パイプシャフト3に送達して配置された際、図1Aについて説明するように、第1取付段階で設けられる。
【0034】
S3:パイプ接続ボックス5に対して、パイプシャフトモジュール1の少なくとも1つのパイプ7a、7b、7cを、スライド後の少なくとも1つのパイプ7a、7b、7cがパイプ内に突出する方向にスライドさせるステップ。接続ボックス5はスライド前よりも距離が短くなる。これは、図1Bに示すように第2取付段階である。パイプ保持装置21が前述のように設けられる場合(但し、必須ではない)、スライドステップS3は、少なくとも1つのガイドレール23a、23bに沿ってパイプ接続ボックス5の外側でパイプ7a、7b、7cを保持すると共に、前記パイプ保持装置21を少なくとも2つの異なる位置で少なくとも1つのガイドレール23a、23bにロックするパイプ保持装置21によって提供することができる。
【0035】
S5:パイプ接続ボックス5内のパイプ接続装置11を、1つのパイプコネクタ13a、13b、13cがパイプシャフトモジュール1の各パイプ7a、7b、7bに接続できるようにパイプコネクタ13a、13b、13cが配置される接続位置に移動するステップである。
【0036】
S7:各パイプ7a、7b、7cの第1端部9a、9b、9cをそれぞれ各パイプコネクタ13a、13b、13cに接続するステップである。これは、図1Cに示すように第3取付段階である。
【0037】
S9:少なくとも1つのパイプ7a、7b、7cの第1端部9a、9b、9cとは反対側の端部である第2端部10a、10b、10cを、本発明に係る別のパイプシャフトモジュール1のパイプコネクタ13a、13b、13cに接続するステップであって、他のパイプシャフトモジュール1をパイプシャフト3の別の部分に設けるステップである。
【0038】
Sll:パイプシャフトモジュール1の各パイプコネクタ13a、13b、13cを、異なるパイプシャフトモジュールからの2つのパイプが各パイプコネクタ13a、13b、13cを介して接続されるように、パイプシャフトモジュール1の別の部分に設けた別のパイプシャフトモジュール1からそれぞれ1つのパイプ7a、7b、7cの第2の端部10a、10b、10cに接続するステップである。図1Dでは、別のパイプシャフトモジュールから来るパイプの第2端部には、17a、17b、17cの符号が付与されている。しかしながら、これらのパイプ17a、17b、17cは、必ずしも本発明に係るパイプシャフトモジュールから来ているわけではなく、建物内に提供されている他のパイプであってもよい。
【0039】
本発明に係るパイプシャフトモジュール1は、建物のパイプシャフト3で互いに接続された本発明に係るパイプシャフトモジュール1列の第1又は最後とすることができるので、ステップS9及びS11は、必ずしも両方設ける必要はない。
【0040】
接続後にパイプ接続ボックス5の外側に設けるパイプ7a、7b、7cの一部を絶縁するステップS13を設けるのは任意である。図1Dのパイプに絶縁材を設けることが示されているが、本発明で絶縁材は必ずしも必要ない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2