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特許7354239調整可能な扉閉鎖制御のためのシステムおよびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】調整可能な扉閉鎖制御のためのシステムおよびデバイス
(51)【国際特許分類】
   E05F 3/10 20060101AFI20230925BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
E05F3/10 Z
E05F5/02 E
E05F5/02 D
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021521937
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019040533
(87)【国際公開番号】W WO2020010220
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】62/694,762
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/502,470
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521129624
【氏名又は名称】モシュン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ティム・ジェイ・バウンディー
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-531631(JP,A)
【文献】米国特許第01965806(US,A)
【文献】特開2014-118303(JP,A)
【文献】特開2004-353712(JP,A)
【文献】米国特許第07628257(US,B1)
【文献】米国特許第01704217(US,A)
【文献】特開2003-266222(JP,A)
【文献】米国特許第05078552(US,A)
【文献】国際公開第2012/042614(WO,A1)
【文献】米国特許第07825045(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0170062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00 - 13/04
E05F 17/00
F16F 9/00 - 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の閉鎖を制御するためのデバイスであって、
わき柱または扉縁部内に設置されるように構成されたヘッドユニット
を備え、前記ヘッドユニットが、
ずり増粘流体で少なくとも部分的に満たされたチャンバと、
プランジャによってキャップに接続されたピストンヘッドであって、1つまたは複数のスロットを有し、前記プランジャが前記ピストンヘッドに対して回転可能である、ピストンヘッドと、
前記プランジャに接続されたプラグと、
前記プラグに取り付けられたシムであって、1つまたは複数のスロットを含み、前記プランジャの回転によって前記ピストンヘッドに対して回転する、シムとを備え、
前記ピストンヘッドは、前記キャップに加えられる力に応答して前記ずり増粘流体に対して圧力を及ぼすように構成され、
前記ピストンヘッドに対する前記シムの第1の位置への回転が、前記シムの前記1つまたは複数のスロットと前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットとを実質的に位置合わせし、前記ピストンヘッドに対する前記シムの第2の位置への回転が、前記シムの前記1つまたは複数のスロットと前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットとを実質的に位置ずれさせる、デバイス。
【請求項2】
前記キャップに加えられる力が、閉じられて前記キャップに接触する扉に応答し、それにより、前記ピストンヘッドを、前記ずり増粘流体に対して移動させ、前記ずり増粘流体が、前記扉が前記キャップに係合する力および速度に応じて前記ピストンヘッドの前記移動に抵抗する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記キャップが前記プランジャの第1の端部に取り付けられているとともに、前記ピストンヘッドが前記第1の端部の反対側にある前記プランジャの第2の端部に取り付けられ
ており、前記プラグが前記プランジャの前記第2の端部に受けられ、前記プランジャが、前記扉が前記キャップを打つのに応答して前記ピストンヘッドを前記チャンバ内へ移動させるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ヘッドユニットが、前記キャップに加えられる前記力に応答して前記キャップおよび前記プランジャを前記チャンバ内へ案内するためのブッシングをさらに備え、前記ブッシングは前記チャンバから流体的に分離された空洞を画定し、前記キャップは前記力に応答して前記空洞内に移動するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ヘッドユニットが、前記キャップに加えられる前記力に応答して前記キャップと前記ブッシングとの間に機械抵抗を提供するように構成された、前記ブッシングの前記空洞内のばねをさらに備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ずり増粘流体が、複数のナノ粒子を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数のナノ粒子が、酸化物、炭酸カルシウム、合成無機物、天然無機物、高分子、SiO、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、またはそれらの混合物のうちの1つまたは複数を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ずり増粘流体が、高分子材料を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ずり増粘流体が、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、シリコン油、フェニルトリメチコン、またはそれらの混合物のうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ピストンヘッドが、前記プラグに係合して前記プラグ及び前記シムの回転を制限する止め具を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットが、幅広の開口部が前記ずり増粘流体に面し、また幅狭の開口部が前記ピストンヘッドの背面に位置するように、勾配を付けられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記シムの前記1つまたは複数のスロットが、前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットにおおよそ等しい形状およびサイズを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記シムが、前記キャップが回転したときに前記ピストンヘッドに対して回転し、それにより、前記キャップに加えられる力に応答して前記ピストンヘッドが前記ずり増粘流体に対して圧力を及ぼすときに、前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットに対する前記シムの前記1つまたは複数のスロットの位置を調整して、前記ピストンヘッドが受ける抵抗量を調整するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記シムが、前記プラグ上を前記ピストンヘッドに対して軸方向に移動可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
扉の閉鎖を制御するためのシステムであって、
わき柱内に設置されるように構成されたヘッドユニットと、
扉縁部内に設置されるように構成され、また、扉が閉められたときに前記ヘッドユニットに接触するように位置合わせされた、ストライクと、
を備え、
前記ヘッドユニットが、ピストンヘッドに接続されたキャップ、ずり増粘流体を含むチ
ャンバ、および、ブッシングおよびばねを具備し、前記ブッシングは前記チャンバから流体的に分離された空洞を画定し、前記ばねは前記空洞内にあって前記キャップと前記ブッシングとの間に機械抵抗を提供するように構成され、
扉が閉められて前記ストライクが前記キャップに接触すると、前記キャップは前記ばねの前記機械抵抗に逆らって前記空洞内に移動し、それにより前記ピストンヘッドを前記ずり増粘流体に対して移動させ、前記ずり増粘流体が、前記ストライクが前記キャップに係合する力および速度に応じて前記ピストンヘッドの前記移動に抵抗する、システム。
【請求項16】
前記ヘッドユニットが、前記キャップと前記ピストンヘッドとの間にプランジャをさらに備え、前記プランジャが、前記扉が前記キャップを打つのに応答して前記ピストンヘッドを前記チャンバ内へ移動させるように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記シムが前記第1の位置にあるときに、前記ピストンヘッドが前記チャンバ内へ移動可能であり、前記シムが前記第2の位置にあるときに、前記ピストンヘッドが前記チャンバ内へ移動しないようにロックされる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
請求項15のシステムのための設置キットであって、
ガイド本体、
ドリルビット、
ドリルブッシング、および
ロッキングカラー
を備え、
前記ガイド本体が、穴のための所望の箇所の上に配置されるように構成され、前記ロッキングカラーが、前記ドリルブッシングを前記ドリルビットの周りに固定し、前記ドリルビットが、前記ガイド本体内の穴に挿入されて、前記ブッシングが前記ガイド本体上の表面に係合するまで穿孔するように、作動される、キット。
【請求項19】
ドリルスリーブをさらに含み、前記ドリルスリーブが、前記スリーブが前記ガイド本体上の表面に係合したときに前記穿孔が停止されるように、前記ブッシングに接触するように構成された、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
扉の閉鎖を制御するための方法であって、
ピストンヘッドに接続されたキャップを有するヘッドユニットと、ずり増粘流体を保有するチャンバと、ブッシングおよびばねとを用意するステップであって、前記ブッシングは前記チャンバから流体的に分離された空洞を画定し、前記ばねは前記空洞内にあって前記キャップと前記ブッシングとの間に機械抵抗を提供するように構成された、ステップと、
前記キャップがわき柱から外へ延在するように、前記ヘッドユニットを前記わき柱にある穴内に挿入するステップと、
ストライクを用意するステップと、
前記扉が閉められたときに前記ストライクが前記キャップと位置合わせされて前記キャップに接触するように、前記ストライクを扉縁部にある穴内に挿入するステップと、
前記キャップが前記ストライクによって係合されて前記ばねに逆らって前記空洞内にさらに押し込まれたときに前記ピストンヘッドを前記ずり増粘流体に対して移動させるステップと、
前記ストライクが前記キャップに係合する力および速度に応じて、前記ずり増粘流体により前記ピストンヘッドの前記移動に抵抗するステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
物体の動きを制御するためのデバイスであって、
ずり増粘流体で少なくとも部分的に満たされたチャンバを含む本体と、
前記本体内に配置されて前記本体内を移動するピストンであって、前記チャンバから外へ延在するキャップに接続され、少なくとも1つのスロットを有するピストンヘッドを含む、ピストンと、
少なくとも1つのスロットを含み、前記ピストンに接続されたシムであって、前記ピストンヘッドに対して回転するように構成された、シムと、
前記本体内のブッシングおよびばねであって、前記ブッシングは前記チャンバから流体的に分離された空洞を画定し、前記ばねは前記空洞内にあって前記キャップと前記ブッシングとの間に機械抵抗を提供するように構成された、ブッシングおよびばねと、を備え、
前記ピストンヘッド及び前記シムは、物体によって前記キャップに加えられる力に応答して前記ずり増粘流体に対して移動するように構成された、デバイス。
【請求項22】
前記ずり増粘流体は、前記キャップに加えられる力に応答して、前記ピストンの前記移動に抵抗する、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記キャップと前記ピストンとの間にプランジャをさらに備え、前記プランジャが、前記キャップに加えられる力に応答して、前記ピストンを前記チャンバ内へ移動させるように構成される、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記プランジャに接続されたプラグをさらに備え、前記シムは前記プラグに取り付けられており、前記プランジャの回転によって前記ピストンヘッドに対して前記シムを回転させる、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記シムが、前記プラグ上を前記ピストンヘッドに対して軸方向に移動可能である、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記ずり増粘流体が、複数のナノ粒子を含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項27】
前記複数のナノ粒子が、酸化物、炭酸カルシウム、合成無機物、天然無機物、高分子、SiO、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、またはそれらの混合物のうちの1つまたは複数を含む、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記ずり増粘流体が、高分子材料を含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項29】
前記ずり増粘流体が、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、シリコン油、フェニルトリメチコン、またはそれらの混合物のうちの1つまたは複数を含む、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットが、幅広の開口部が前記ずり増粘流体に面し、また幅狭の開口部が前記ピストンヘッドの背面に位置するように、勾配を付けられる、請求項21に記載のデバイス。
【請求項31】
前記シムの前記1つまたは複数のスロットが、前記ピストンヘッドの前記少なくとも1つのスロットにおおよそ等しい形状およびサイズを有する、請求項21に記載のデバイス。
【請求項32】
前記ピストンヘッドに対する前記シムの前記回転は、前記ピストンが受ける抵抗量を調整する、請求項21に記載のデバイス。
【請求項33】
前記シムの第1の位置への回転が、前記シムの前記少なくとも1つのスロットと前記ピストンヘッドの前記少なくとも1つのスロットとを実質的に位置合わせし、前記シムの第2の位置への回転が、前記シムの前記少なくとも1つのスロットと前記ピストンヘッドの前記少なくとも1つのスロットとを実質的に位置ずれさせる、請求項21に記載のデバイス。
【請求項34】
前記シムは、前記ピストンが前記チャンバ内へ移動できるように第1の位置から回転し、前記チャンバ内へ移動しないように前記ピストンをロックするように第2の位置まで回転するように構成される、請求項21に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、2018年7月6日に出願され「Adjustable Door Jamb Side Damper/Slam Control/Closure Control Device」と題された米国特許仮出願第62/694,762号の利益および優先権を主張するものである。米国特許仮出願第62/694,762号の完全な主題および内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002]扉の強閉(slamming)は、多くの問題を引き起こし得る。例えば、扉が人の指に、しばしば子どもの指に、打ち付けられ得るという危険性がある。さらに、扉を強く閉めることにより、人またはペットが室内に閉じ込められることにつながり得る。さらに、扉を強く閉めたときの大きな音を愉快に思う人はいない。したがって、これらの問題を解決し得るデバイスが必要とされている。
【0003】
[0003]わき柱における圧力は、極めて高い。わき柱内に個別的に設置されるという追加の利点を伴って、穏やかな速度で閉められたときの通常閉鎖を可能にするデバイスにより(すなわち、扉が閉められたときにほとんど見えない小さなデバイスにおいて)強引な扉閉鎖を阻止しかつ/または制御する能力は、これまで成し遂げられていない。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本技術のいくつかの実施形態は、扉の強閉および扉の閉鎖速度を個別的に制御するデバイスを含むだけでなく、扉が閉まらないようにするロックアウトを提供する。デバイスは、強閉および/または荒々しい扉閉鎖に(例えば、その状態または動作を調整することにより様々な状況および/または入力に応答する能力により)インテリジェントに反応しつつ、扉がゆっくりと、また通常通り閉められるときには扉閉鎖を妨げないように、設計される。デバイスは、小型であり、容易に設置され、また、特別設計材料(例えば、特別設計ポリマー複合材料などの、印加された力に反応するスマートなずり増粘流体)の使用を通じて、扉閉鎖の速度および圧力に対して相応に反応する。したがって、特別設計材料からの反応は、使用者の入力に対してインテリジェントに効率的に応答する。したがって、扉の揺動の圧力および/または速度が高いほど、デバイスによる閉鎖への抵抗はより大きくなり、一方で、圧力および/または速度がより低いほど、より通常通りの扉閉鎖体験をもたらす。また、デバイスの調節可能性は、より迅速によりよく抵抗することを可能にするほかに、扉が閉めることができなくなるようにする完全ロックアウト機能を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】[0005]本発明の一実施形態による例示的なユニットの側断面図である。
図2】[0006]本発明の一実施形態による、わき柱および扉にそれぞれ設置された例示的なヘッドユニットおよびストライクの上方断面図である。
図3】[0007]本発明の一実施形態による、スロットを含む例示的なリバウンドシムの等角図である。
図4】[0008]図4A~4Cは、本発明の一実施形態による例示的なリバウンドガイドプラグの等角図である。
図5】[0009]本発明の一実施形態による、スロットを含む例示的なずり増粘流体ピストンヘッドの等角図である。
図6】[0010]本発明の一実施形態による例示的な設置ガイドの等角図である。
図7】[0011]図6の設置ガイドおよびドリルスリーブの破断図である。
図8】[0012]本発明の一実施形態による、わき柱内の図6の設置ガイドの上方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0013]上記の概要、および本発明のいくつかの実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばより良く理解されよう。本発明を説明する目的のために、いくつかの実施形態が図面に示されている。しかし、本発明は、添付の図面に示された配置および手段に限定されるものではないことが、理解されるべきである。
【0007】
[0014]開示されるシステムのいくつかの例では、ヘッドユニット100が、チャネル15内の特定の体積までずり増粘流体(または、ダイラタント流体)で満たされた調整可能な弁を有して、図1に示されるような全体的に円筒状のデバイスとして画定され、このデバイスは、漏れまたは分解に抵抗するように組み立てられる。動作時には、システムは、少なくとも2つの部品、ヘッドユニット100(図1に示される)およびストライク14(図2に示される)、を有する。
【0008】
[0015]ヘッドユニット100は、例として、23.82mm(15/16インチ)の直径および76.2mm(3インチ)の深さを有する穴内に設置され、この穴は、例えば中央ヒンジの上方または下方で扉のわき柱側に開けられる。これは、扉閉鎖の圧力を支えるのに十分な枠組み支持とともに76.2mm(3インチ)の止り穴を効率的に残す。ヘッドユニット100は、図6から8に関して開示される設置ツールまたはガイド20を含む設置キットを用いて設置され得る。図1に示されるように、ストライク14は、例として、扉縁部(例えば、わき柱側)に開けられた23.82mm(15/16インチ)の直径および12.70mm(1/2インチ)の深さを有する穴内に設置されて、図2に示されるように、ヘッドユニット100のプランジャキャップ3のための接触点を提供する。
【0009】
[0016]本明細書において開示されるように、ずり増粘流体は、調整可能なシム積層体様式の弁を含むスロット付きピストンヘッド9がピストンヘッド9を閉鎖して、結果的に制御された閉鎖をもたらすことを可能にする、「脳」を提供する。ずり増粘流体(または、ダイラタント流体)は、圧力および/または速度を受けたときに硬直する非ニュートン流体である。例えば、速度および/または圧力が大きいほど、流体はより硬直する。速度および/または圧力が小さい場合、流体は流動性を有する。速度および/または圧力が大きくなるにつれて、流体はより固体のように振る舞い始める。調整可能かつ正確な弁動作と組み合わせられたこれらの現象は、望ましくない扉強閉を防ぐ、所望の反応を可能にして、(例えば、プランジャキャップ3が扉縁部にわずかな背圧を印加するので)閉鎖時の騒々しい扉閉鎖および扉の振動を防ぐ。
【0010】
[0017]本技術の実施形態の例示的な構成要素は、以下の通りである:
ヘッドユニットまたは調整可能組立体100(図1に示される)
ヘッドユニット100の構成要素は、以下の通りである:
液圧チャンバ(1)(図1に示される)
わき柱カラー(2)(図1および5に示される)
プランジャキャップ(3)(図1に示される)
プランジャブッシング一体部品(4)(図1に示される)
ずり増粘流体プランジャ(5)(図1に示される)
スロット(18)を有するリバウンドシム(6)(図1および3に示される)
リバウンドガイドプラグ(7)(図1および4A~4Cに示される)
ばね(8)(図1に示される)
スロット(19)を有するずり増粘流体ピストンヘッド(9)(図1および5に示される)
液圧チャンバOリング(10)(図1に示される)
プランジャ棒Oリング(11)(図1に示される)
ずり増粘流体ピストンスロット(ピストンヘッド)Oリング(12)(図1に示される)
止め輪(13)(図1に示される)
システムはまた、ストライク(14)(図2に示される)、およびずり増粘流体(15)(図1に示される)を含む。
【0011】
[0018]構成要素間の関係性
図1に示されるように、プランジャ5が、例として6.35mm(0.25インチ)の穴を通して、プランジャブッシング一体部品4内に挿入される(非フランジ端部)。ばね8が、プランジャブッシング一体部品4内のより大きな直径の空洞内に挿入される。プランジャキャップ3は、プランジャ5の非フランジ端部上に被せられ、ばね8は、プランジャキャップ3の空洞内に位置する。ピストンヘッド9は、プランジャ5のフランジ側に配置され、リバウンドガイドプラグ7は、プランジャ5のフランジ端部内の穿孔穴に挿入される。次いで、このサブ組立体全体が一緒に圧迫され、リバウンドガイドプラグ7およびプランジャ5、ならびにプランジャ5およびプランジャキャップ3は、圧入許容接触面(press-fit tolerance interface)において係合して組み立てられる。止め輪13が、プランジャキャップ3に最も近いプランジャブッシング一体部品4の上方溝上に配置され、液圧チャンバOリング10が、ピストンヘッド9に最も近いプランジャブッシング一体部品4の下方溝内に配置され、そしてピストンスロットOリング12が、ピストンヘッド9内の溝上に配置される。この結果として得られるデバイスは、これよりサブ組立体と呼ばれる。
【0012】
[0019]液圧チャンバ1は、ずり増粘流体15で満たされる。単なる例として、おおよそ7.5グラムのずり増粘流体15が使用され得る。ずり増粘流体15を含む空間は、これよりハイドロチャンバと呼ばれる。
【0013】
[0020]次いで、サブ組立体は、ハイドロチャンバ内に垂直に挿入され得る。止め輪13は、サブ組立体がハイドロチャンバに入ることが可能になるように絞られ、次いでサブ組立体は、止め輪13がハイドロチャンバの内部にある溝内の所定の位置に嵌まるまで押し込まれる。
【0014】
[0021]次いで、わき柱カラー2は、わき柱カラー2上のタブと液圧チャンバ1上の凹部とを位置合わせしながらプランジャブッシング一体部品4上に配置され、次いで所定の位置に押し込まれる。
【0015】
[0022]得られるデバイスは、ヘッドユニット100であり、このヘッドユニット100は、恒久的な組立体である。
[0023]組み立てられると、ヘッドユニット100は、図6から8に関連してさらに論じられる設置ガイド20を用いることなどにより、扉のわき柱側にある穿孔穴内に軽く叩き込まれ得る。
【0016】
[0024]ストライク14(図2に示される)は、扉縁部側上の穿孔穴内に軽く叩き込まれ得る。この穴の穿孔もまた、設置ガイド20の使用によってなされる。しかし、いくつかの例では、プランジャキャップ3は、本明細書において開示されるシステムおよびデバイスの利点を維持しながら、ストライクの使用を伴わずに扉に直接接触し得る。さらに、またはその代わりに、ストライクは、プランジャキャップ3がストライクと接触する前に空洞に挿入されるように、平坦な表面ではなく凹んだ空洞を有して構成され得る。いくつかの例では、ストライクは、プランジャキャップ3に対向する扉縁部の表面上のプレートであり得る。
【0017】
[0025]ヘッドユニット100およびストライク14の動作
図2に示されるように、ヘッドユニット100は、設置キットによりヘッドユニット100を空洞内に打ち込む(軽く叩き込む)ことにより、わき柱側に開けられた穴内に挿入される。ストライク14は、ストライク14を穿孔穴内の所定の位置に打ち込む(軽く叩き込む)ことにより、扉縁部内に挿入される。扉が閉められるときに、ヘッドユニット100のプランジャキャップ3は、ストライク14などにおいて扉の縁部に接触し、それがプランジャキャップ3を押圧し、その結果、プランジャキャップ3は、プランジャ5およびばね8を押し、プランジャ5は、プランジャブッシング4を通して押される。この動作は、流体15に対するピストンヘッド9およびガイドプラグ7上のシム6の移動をもたらす。流体15は、その衝撃の力および速度に反応して、印加された力に応じて相応に固くなるかまたは流動性を有したままでいる。
【0018】
[0026]いくつかの例では、シム6は、1つまたは複数のスロット18を有し、このスロット18は、サイズおよび/または形状の一方または両方において、ピストンヘッド9を貫通する1つまたは複数のスロット19に概ね一致する。押圧されるプランジャキャップ3の力に抵抗する(したがって、扉閉鎖の速度および/または力を制御する)流体15の能力は、シム6のスロット18およびピストンヘッド9のスロット19の位置合わせに依存する。ピストンヘッド9は、流体15の圧縮量を調整するために左右どちらの回転でもガイドプラグ7が接触するようにピストンヘッド9内に組み込まれた止め具を有する。例えば、シム6上のスロット18が左に(例えば、使用者によるプランジャキャップ3の単純な旋回を介して)回転された場合、シム6上のスロット18は、ピストンヘッド9内のスロット19と整列しなくなり、したがって、流体15は、ピストン5およびプランジャキャップ3の運動に抵抗し、プランジャキャップ3は、押圧されなくなり、扉は、閉まらなくなる(すなわち、得られる位置合わせに応じて、部分的に、完全に、かつ/またはよりゆっくりと)。
【0019】
[0027]しかし、シム6上のスロット18が右に回転されて、ピストンヘッド9上のスロット19と位置合わせされた場合、流体15は、シム6とピストンヘッド9との間をより容易に流れて、プランジャ5およびキャップ3の運動に抵抗しない。したがって、流体15の圧縮は、その最も軽い設定にある。しかし、流体15の力に対する反応性は、流体15を構成する材料(例えば、高分子材料)の硬直効果により、依然としてデバイスに閉鎖速度を制御させる。流体15はまた、ばね8のばね定数の選択と相まって、キャップ3が扉を押し開くことがないようにまたは扉を使用者のところへ激しく跳ね返らせないように、キャップ3からの戻り力を制御する働きをする。いくつかの例では、扉に加えられるキャップ3からの力は、扉の掛け金を(遠隔で、電子的に、手動で、または他の方法で)外すことなどによる、扉を優しく押し開くことによる制御された開口を実現するために、所望のレベルに調整され得る。
【0020】
[0028]シム6は、プランジャキャップ3を回転させることにより、使用者(したがって、ピストンヘッド9内のスロット19に対するシム6内のスロット18の位置)などにより回転可能である。プランジャキャップ3は、プランジャ5にしっかりと取り付けられ、プランジャ5は、ガイドプラグ7にしっかりと取り付けられ、ガイドプラグ7は、シム6にしっかりと取り付けられる。したがって、プランジャキャップ3の回転が、プランジャ5を回転させ、プランジャ5の回転が、ガイドプラグ7を回転させ、ガイドプラグ7の回転が、シム6を回転させて、閉鎖中に経験される圧縮の量(すなわち、抵抗力)の調整を可能にする。
【0021】
[0029]図に関連して開示されるように、ピストンヘッド9のスロット19は、実質的に「V」形状とされるように、流体15に面する開口部の幅広部分とピストンヘッド9の背面の幅狭部分とによって勾配を付けられる。ずり増粘流体15は、扉閉鎖装置の閉鎖/強閉時にピストン5が流体15をかき分けるにつれて、集積(硬直)する。いくつかの開示された例では、ずり増粘流体15は、特別設計されたものとして、無毒性のキャリヤ流体または溶媒と混合される特定の寸法のナノ粒子を有する。ずり増粘流体15に印加される力は、これらのナノ粒子の集積をもたらし、それにより硬直して、流動性を有する液体というよりはむしろ固体のように振る舞う。ずり増粘流体の例は、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第7,825,045号で開示されている。
【0022】
[0030]ずり増粘流体15の粒子は、例として、酸化物、炭酸カルシウム、合成無機物、天然無機物、高分子、またはそれらの混合物であり得る。粒子はまた、例として、SiO、ポリスチレン、またはポリメチルメタクリレートであり得る。溶媒は、例として、水であってよく、この水は、塩、界面活性剤、および/または高分子を含み得る。溶媒はまた、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、シリコン油、フェニルトリメチコン、またはそれらの混合物であり得る。いくつかの例では、粒子は、1ミリメートル未満の平均直径サイズを有する場合があり、また、100ミクロン未満の平均直径サイズを有する場合がある。例として、ずり増粘流体15は、ポリエチレングリコール中に懸濁したシリカ粒子で作られ得る。さらなる例として、シリカ粒子は、おおよそ0.57の体積分率でポリエチレングリコール中に懸濁され得る。シリカ粒子は、おおよそ446nmの平均粒径を有し得る。流体は、おおよそ102~103s-1のずり速度におけるずり増粘遷移を有し得る。
【0023】
[0031]さらに、プランジャキャップ3の単純な回転は、扉を閉めるときに使用者が望む感触に基づいて使用者が弁の感度を制御することを可能にする。止め具まで左に回転することにより、ピストンヘッド9に取り付けられたシム6が、ピストンヘッド9のスロット19がずり増粘流体の通過を可能にすることを完全に阻止するので、デバイスがロックアウトされ、その結果、扉は、全く、優しく閉めるのであっても閉められ得ない。プランジャキャップ3を右に回すことにより、シム6上のスロット18がピストンヘッド9上のスロット19と概ね位置合わせされて流体の通過を可能にするので、デバイスが扉を通常通り閉めさせる(すなわち、強く閉められるのではなく優しく閉められる)ことを可能にする。しかし、流体は、依然として速度および圧力に反応する。したがって、システムは、強閉に抵抗するために、依然として扉閉鎖を制御する。
【0024】
[0032]シム6は、平坦部分(図4A~4Cに示される)を有する円筒状のステンレス鋼製のリバウンドプラグ7により所定の位置に保持され、この平坦部分は、シム6における「D」形状(図3に示される)内に収まって、使用者によるシム6のスロット18とピストンヘッド9のスロット19との調整および位置合わせのための位置にシム6を保持する。シム6は、プランジャ5に向かう方向において固定位置に存在しないように、リバウンドプラグ7上に浮かぶ。したがって、扉閉鎖中、シム6は、ずり増粘流体15が圧縮されているときにはピストンヘッド9を圧迫し、扉の跳ね返り時にはピストンヘッド9から離れて、ピストンヘッド9のスロット19が完全に開口することを可能にする。ピストンヘッド9は、プランジャ5に取り付けられ、プランジャ5は、プランジャキャップ3に取り付けられる(プランジャキャップ3は、扉縁部上のストライク14に接触する構成要素である)。ばね8は、戻りの速度を制御する選択されたばね定数と特別設計のずり増粘流体15との組合わせにより、プランジャ5をその完全伸張位置まで戻し、したがって、反発作用を許容しない。プランジャブッシング一体部品4は、プランジャ5およびプランジャキャップ3のためのガイドとして機能し、かつ、ばね8のための止め具として機能する。プランジャブッシング一体部品4は、少なくとも液圧チャンバ1およびプランジャ棒/ブッシング接触面を密閉するために使用されるOリング10および11のための1つまたは複数の溝を有する。
【0025】
[0033]図1を参照すると、わき柱カラー2は、液圧チャンバ1から突出する一体部品プランジャブッシング4の最も外側の部分上に滑り嵌めされる。わき柱カラー2の外部または「面」は、ヘッドユニット100を受け入れるわき柱の穿孔穴内にヘッドユニット100が挿入されかつ打ち込まれ(軽く叩き込まれ)たときに、わき柱縁部と同一平面になる。
【0026】
[0034]このわき柱カラー2構成要素の機能は、3部から成る。第1に、わき柱カラー2は、デバイスをわき柱内にしっかりと保持する。第2に、ブッシング4上に滑り嵌めされることにより、わき柱枠組みの内側にあるデバイスの残りの部分に(わき柱カラーの内側で前後にわずかに自由に動くことができるので)わき柱自体から分離される能力が与えられ、したがって、わき柱木工品を引っ張らず、かつ、わき柱およびヒンジに応力を加える/わき柱およびヒンジを屈曲させることがない。そして第3に、わき柱カラー2は、ヘッドユニット100が挿入される穿孔穴に対する仕上げ面である。
【0027】
[0035]扉が閉まるとき、プランジャキャップ3(わき柱側)は、ストライク14(扉縁部側)に接触して、上記のように機能する。ストライク14は、高い剛性および安定性ならびに低い摩擦を有する、高分子および/または熱可塑性プラスチックなどの、1種または複数種の特別設計材料から製造され得る。いくつかの例では、ポリオキシメチレン(デルリンまたはアセチルなど)が、潤滑性と相まったその固く頑強な組成のため、ストライク14のための適切な材料である。例えば、この組成は、扉閉鎖中の引っかかりまたは表面へのくっつきをなおも伴わずに、プランジャキャップ3がストライク14に接触しかつストライク14に対して摺動することを可能にする。
【0028】
[0036]したがって、本明細書において説明されるように、開示される技術は、扉の強閉および閉鎖を制御する方法を提供する。有利には、この方法は、指(幼児、低年齢小児)を扉の強閉から保護することができ、性急に扉を閉めるティーンエイジャーまたは成人によってなされるような望ましくない強引な扉閉鎖を防ぐことができ、かつ、風による扉の強閉を防ぐことができる。この方法は、偶発的に扉を閉めて自分自身を室内に閉じ込める傾向を有し得るペット、幼児、または高齢者を扉が閉じ込めるのを防ぐことができる。
【0029】
[0037]これは、わき柱および扉縁部のヒンジ側内にそれぞれ設置される非常に小さなヘッドユニットおよび/またはストライクデバイスにより、全て達成され得る。
[0038]以下は、開示される技術の特定の構成要素を作ることができる材料および/または製造技法の非限定的な例のリストである。
【0030】
1.液圧チャンバ - アルミニウムからCNC機械加工される
2.わき柱カラー - デルリン(アセチル)から成形されるか、またはアルミニウムからのCNC
3.プランジャキャップ - ステンレス鋼からのCNC
4.プランジャブッシング一体部品 - デルリン(アセチル)から成形されるか、またはデルリン(アセチル)からCNC機械加工される
5.ずり増粘流体プランジャ - ステンレス鋼からCNC機械加工される
6.リバウンドシム - デルリン(アセチル)から打抜き加工されるか、またはデルリン(アセチル)から成形される
7.リバウンドガイドプラグ - ステンレス鋼からCNC機械加工される
9.ずり増粘流体ピストンスロット(ピストンヘッド) - PEEKから成形される
14.ストライク - デルリン(アセチル)から成形される
[0039]設置キット/ガイドの構造および動作
開示される技術はまた、図6から8に示された設置キットを含み、この設置キットは、ヘッドユニット100および/またはストライク14をわき柱および扉縁部内にそれぞれ設置するために使用され得る。設置ツールは、わき柱上のヘッドユニット100およびわき柱側の扉縁部上のストライク14の両方の位置を正確に位置決めすること、ならびに内部にヘッドユニット100およびストライク14が設置される穿孔空洞の深さを制御することに役立つ。
【0031】
[0040]設置キットは、設置ガイド20(図6から8に示され、また、デルリン/アセチルなどの材料から成形され得る)、ドリルビット30(図7および8に示される)(別のビットが用いられてもよく、ドリルビット30ブッシングは、別のビットに適合するように修正され得る)、ドリルビットブッシング40(デルリン(アセチル)などの材料から成形またはCNC機械加工され得る)、ドリルスリーブ50(PVC棒またはデルリン棒からCNC機械加工され得る)、および/またはロッキングカラー60(図8に示される)を含む。
【0032】
[0041]設置ガイド20を使用すると、使用者は、ヘッドユニット100およびストライク14に必要とされる2つの穴を開けることができ、次いで、ヘッドユニット100をわき柱内に挿入し、ストライク14を扉のわき柱側内に挿入することができる。次いで、使用者は、プランジャキャップ3を所望に応じて左もしくは右にまたは中間に回すことにより、ヘッドユニット100を所望に応じて調整して、扉閉鎖を制御しかつ閉鎖の速度および圧力に対応することができる。低い速度および圧力では、扉を閉めることは、ヘッドユニット100からの抵抗をあまり受けず、扉は容易に閉まるが、高い速度および圧力では、ヘッドユニット100は硬直して、強閉を制御する。
【0033】
[0042]動作にあたっては、設置キットは、以下の通りに使用される。わき柱にヘッドユニット100のための穴を開けるために、ねじがヒンジから取り外され、ガイド20にあるねじスロットに入れられ、ツール/ガイド20がわき柱止め具の縁部に対して密に保持された状態で元のヒンジねじ穴に締め付けられて、わき柱上のガイド20を安定させ、かつ、ヘッドユニット100のために穿孔される穴を位置決めする。ブッシング40は、ビット30上に配置されて、カラー60によって所定の位置に保持され、カラー60は、カラー60上の止めねじで締め付けられる。設置キットには、すでにビット30に取り付けられたブッシング40およびカラー60が同梱されてもよい。これは、ドリルビット組立体と呼ばれる。ドリルビット組立体が取り付けられた電動ドリルを使用することにより、使用者は、例としてガイド20にあるおおよそ24.13mm(0.950インチ)の穴を通してわき柱縁部に穿孔することができる。ドリルビット30、ガイド20、カラー60、およびブッシング40の組立体は、図8に示されている。ブッシング40のフランジがガイド20の頂部に接触することによりドリルビット組立体の穿孔が停止されたときに、ヘッドユニット穴の穿孔が完了する。ガイド20を使用したわき柱のための穿孔工程は、図8に示されている。次いで、ガイド20は、ガイド20を所定の位置に保持しているねじを取り外すことにより、わき柱から取り外される。
【0034】
[0043]いくつかの例では、扉縁部側上のヒンジの片割れ上の適合する箇所からねじが取り外され、ガイド20は、扉縁部上で中心に置かれ、ねじは、ガイド20を扉縁部に固定するために使用される。次いで、ドリルスリーブ50は、ドリルに(切削側から)被せられて、ブッシング40上のフランジに接触するまで上方に摺動され得る。次いで、扉縁部に穿孔する工程は、ヘッドユニット100のためにわき柱側に穿孔することに関して説明された工程に類似するが、ドリルスリーブ50は、この場合、設置されるストライクのために扉縁部に例えば12.7mm(1/2インチ)の空洞を作り出す穿孔が完了するときに、ガイド20に接触する。
【0035】
[0044]次に、ヘッドユニット100は、わき柱にある穴に押し込まれ、ガイド20の底部にある止り穴が、ヘッドユニット100のプランジャキャップ3上に配置される。次いで、ヘッドユニット100は、ガイド20の最も隆起した部分を叩き込むことにより、わき柱内に軽く叩き込まれる。完了すると、ヘッドユニットわき柱カラー2は、わき柱と同一平面になり、ヘッドユニット100は、わき柱内にしっかりと設置される。次いで、ストライクは、扉縁部側上の空洞内に軽く叩き込まれて、所定の位置に固定される。この設置ガイド20は、ヘッドユニット100およびストライク14が設置されたときに互いに整列するように、扉が閉められたときに扉縁部上の穿孔穴とわき柱上の穿孔穴とを互いに位置合わせするのに役立つ。設置ガイド20はまた、ヘッドユニット100が設置されたときに水平でありかつ正しい深さに位置するように、また、ストライク14が設置されたときに水平でありかつ正しい深さに位置するように、穿孔穴の深さが正確であることを確認するのに役立つ。一代替実施形態では、ストライク14は、わき柱内に設置されてよく、また、ヘッドユニット100は、扉縁部内に設置されてよい。
【0036】
[0045]本発明は、説明に記載されたまたは図面に示された構造の詳細および構成要素の配置にその適用が限定されるものではないことが、理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ、様々なやり方で実践または実行されることが可能である。また、本明細書において使用される語法および専門用語は、説明の目的のためのものであって、限定するものと見なされるべきではないことが、理解されるべきである。「含んでいる(including)」および「備えている(comprising)」ならびにそれらの変形の使用は、その後に挙げられた品目およびその均等物、ならびに追加的な品目およびその均等物を包含するように意図されている。
【0037】
[0046]本発明の実施形態を説明するために、頂部、底部、下方の、中間の、側方の、水平な、垂直な、前方、などのような様々な空間的および方向的な用語が使用され得るが、そのような用語は図面に示された配向に対して使用されるにすぎないことが、理解される。配向は、上方部分が下方部分である、下方部分が上方部分である、水平が垂直になる、などのように、逆転されるか、回転されるか、または他の方法で変更され得る。
【0038】
[0047]前述のものに対する変形および修正が、本発明の範囲に含まれる。本明細書において開示されかつ定義された本発明は、言及されたまたは文書および/もしくは図面から明らかな個々の特徴のうちの2つ以上の特徴のあらゆる代替的な組合わせに及ぶことが、理解される。これらの様々な組合わせの全てが、本発明の様々な代替的態様を構成する。
(項目1)
扉の閉鎖を制御するためのデバイスであって、
わき柱または扉縁部内に設置されるように構成されたヘッドユニット
を備え、前記ヘッドユニットが、
ずり増粘流体で少なくとも部分的に満たされたチャンバと、
キャップに接続されたピストンであって、前記キャップに印加される力に応答して前記ずり増粘流体に対して圧力を及ぼすように構成された、ピストンと、
を備える、デバイス。
(項目2)
前記キャップに印加される力が、閉じられて前記キャップに接触する扉に応答し、それにより、前記ピストンを、前記ずり増粘流体に対して移動させ、前記ずり増粘流体が、前記扉が前記キャップに係合する力および速度に応じて前記ピストンの前記移動に抵抗する、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記ヘッドユニットが、前記キャップと前記ピストンとの間にプランジャをさらに備え、前記プランジャが、前記扉が前記キャップを打つのに応答して前記ピストンを前記チャンバ内へ移動させるように構成される、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
前記ヘッドユニットが、前記キャップに印加される前記力に応答して前記キャップおよび前記プランジャを前記チャンバ内へ案内するためのブッシングをさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
前記ヘッドユニットが、前記キャップに印加される前記力に応答して前記キャップと前記ブッシングとの間に機械抵抗を提供するように構成された、前記ブッシングのチャネル内のばねをさらに備える、項目4に記載のデバイス。
(項目6)
前記ずり増粘流体が、複数のナノ粒子を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
前記複数のナノ粒子が、酸化物、炭酸カルシウム、合成無機物、天然無機物、高分子、SiO 、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、またはそれらの混合物のうちの1つまたは複数を含む、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
前記ずり増粘流体が、高分子材料を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
前記ずり増粘流体が、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、シリコン油、フェニルトリメチコン、またはそれらの混合物のうちの1つまたは複数を含む、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
前記ヘッドユニットが、リバウンドシムおよびピストンヘッドをさらに備え、前記リバウンドシムおよび前記ピストンヘッドの両方が、1つまたは複数のスロットを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットが、幅広の開口部が前記ずり増粘流体に面し、また幅狭の開口部が前記ピストンヘッドの背面に位置するように、勾配を付けられる、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
前記リバウンドシムの前記1つまたは複数のスロットが、前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットにおおよそ等しい形状およびサイズを有する、項目11に記載のデバイス。
(項目13)
前記リバウンドシムが、前記ピストンヘッドに対して回転し、それにより前記ピストンが受ける抵抗量を調整するように構成される、項目12に記載のデバイス。
(項目14)
前記リバウンドシムの第1の位置への回転が、前記リバウンドシムの前記1つまたは複数のスロットと前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットとを実質的に位置合わせし、前記リバウンドシムの第2の位置への回転が、前記リバウンドシムの前記1つまたは複数のスロットと前記ピストンヘッドの前記1つまたは複数のスロットとを実質的に位置ずれさせる、項目13に記載のデバイス。
(項目15)
扉の閉鎖を制御するためのシステムであって、
わき柱内に設置されるように構成されたヘッドユニットと、
扉縁部内に設置されるように構成され、また、扉が閉められたときに前記ヘッドユニットに接触するように位置合わせされた、ストライクと、
を備え、
前記ヘッドユニットが、ピストンに接続されたキャップ、および、ずり増粘流体を含むチャンバを具備し、扉が閉められて前記ストライクが前記キャップに接触すると、それにより前記ピストンを前記ずり増粘流体に対して移動させ、前記ずり増粘流体が、前記ストライクが前記キャップに係合する力および速度に応じて前記ピストンの前記移動に抵抗する、システム。
(項目16)
前記ヘッドユニットが、前記キャップと前記ピストンとの間にプランジャをさらに備え、前記プランジャが、前記扉が前記キャップを打つのに応答して前記ピストンを前記チャンバ内へ移動させるように構成される、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記ヘッドユニットが、リバウンドシムおよびリバウンドガイドプラグをさらに備え、前記リバウンドシムが、前記ピストンが前記チャンバ内へ移動することを可能にするために第1の位置から回転するように、および、前記ピストンが前記チャンバ内へ移動しないようにロックするために第2の位置へ回転するように構成される、項目1に記載のデバイス。
(項目18)
項目15のシステムのための設置キットであって、
ガイドボディ、
ドリルビット、
ドリルブッシング、および
ロッキングカラー
を備え、
前記ガイドボディが、穴のための所望の箇所の上に配置されるように構成され、前記ロッキングカラーが、前記ドリルブッシングを前記ドリルビットの周りに固定し、前記ドリルビットが、前記ガイドボディ内の穴に挿入されて、前記ブッシングが前記ガイドボディ上の表面に係合するまで穿孔するように、作動される、キット。
(項目19)
ドリルスリーブをさらに含み、前記ドリルスリーブが、前記スリーブが前記ガイドボディ上の表面に係合したときに前記穿孔が停止されるように、前記ブッシングに接続され得る、項目18に記載のキット。
(項目20)
扉の閉鎖を制御するための方法であって、
ピストンに接続されたキャップとずり増粘流体を保有するチャンバとを有するヘッドユニットを用意するステップと、
前記キャップがわき柱から外へ延在するように、前記ヘッドユニットを前記わき柱にある穴内に挿入するステップと、
ストライクを用意するステップと、
前記扉が閉められたときに前記ストライクが前記キャップと位置合わせされ前記キャップに接触するように、前記ストライクを扉縁部にある穴内に挿入するステップと、
前記キャップが前記ストライクによって係合されたときに前記ピストンを前記ずり増粘流体に対して移動させるステップと、
前記ストライクが前記キャップに係合する力および速度に応じて、前記ずり増粘流体により前記ピストンの前記移動に抵抗するステップと、
を含む、方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8