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特許7354240経路を通し目標位置へデバイスを案内するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】経路を通し目標位置へデバイスを案内するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20230925BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20230925BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/10
【請求項の数】 68
(21)【出願番号】P 2021523274
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2019057438
(87)【国際公開番号】W WO2020092064
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】16/175,333
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】コッテンステッテ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン,パー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッカー,スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ダフニ,アディ
(72)【発明者】
【氏名】シャインフェルト,アディ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0067448(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0282890(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0158346(US,A1)
【文献】特表2004-505748(JP,A)
【文献】国際公開第2018/175339(WO,A1)
【文献】M. Azizian, J.Jayender, R.V. Patel,Image Processing Algorithms for Real-Time Tracking and Control of an Active Catheter,Proceedings of European Control Conference 2007,IEEE,2007年07月02日,2135-2142
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-34/37
A61M 25/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル処置システムにより細長い医療デバイスを経路に沿って目標位置に送り込む、前記カテーテル処置システムの作動方法であって、
前記カテーテル処置システムのコントローラが、
確定した前記経路を明示するため画像に適用するマスクを生成する過程と、
一連のリアルタイム画像に基づいて前記細長い医療デバイスの遠位部の位置を追跡する過程と、
前記細長い医療デバイスの前記遠位部の位置に少なくとも基づいて残りの経路長を判定する過程と、
前記細長い医療デバイスの移動中に前記残りの経路長を更新する過程と、
前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記経路から外れていないかどうか判定する過程と、
該判定の結果、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記経路から外れている場合に、前記細長い医療デバイスを補正動作で駆動する過程と、
前記残りの経路長に少なくとも基づいて決定した速度で前記細長い医療デバイスを駆動する過程とを実行し
前記残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部と前記目標位置との間の距離であり、該残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記目標位置に近づくにつれて減少する、作動方法。
【請求項2】
前記コントローラは、前記マスクに関連付けられている画像に前記マスクを表示する過程をさらに実行する、請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記マスクを生成する過程は、生理学的サイクルの各フェーズについて前記マスクを生成する過程を含む、請求項1又は2に記載の作動方法
【請求項4】
前記マスクに関連付けられている心周期のフェーズに対応する画像に前記マスクを各々表示する過程をさらに含む、請求項3に記載の作動方法
【請求項5】
前記細長い医療デバイスの速度は、前記残りの経路長に比例する、請求項1~4のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項6】
前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記経路から外れていないかどうか判定する過程は、前記残りの経路長に基づく、請求項1~5のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項7】
前記細長い医療デバイスを補正動作で駆動する過程は、前記残りの経路長が負の数である場合に前記補正動作で駆動する過程を含む、請求項6に記載の作動方法
【請求項8】
前記補正動作は、前記細長い医療デバイスを逆方向へ駆動することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項9】
前記補正動作は、前記細長い医療デバイスを回転駆動することと逆方向へ駆動することとを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項10】
前記細長い医療デバイスがガイドワイヤである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記マスクを表示する前記画像は、対象領域の一定の参考画像である、請求項2に記載の作動方法
【請求項12】
前記マスクを表示する前記画像は、対象領域のリアルタイム画像である、請求項2に記載の作動方法
【請求項13】
前記一連のリアルタイム画像が蛍光透視画像である、請求項1~12のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項14】
前記コントローラは、脱出を判定するために、前記一連のリアルタイム画像において前記細長い医療デバイスの前記遠位部を監視する過程をさらに実行する、請求項1~13のいずれか1項に記載の作動方法。
【請求項15】
前記コントローラは、脱出が検出された場合に前記細長い医療デバイスを補正動作で駆動する過程をさらに実行する、請求項14に記載の作動方法。
【請求項16】
前記コントローラは、前記経路につながる一連の枝のマスクを生成する過程と、前記一連の枝のマスクを該マスクに関連付けられている画像に表示する過程とをさらに実行する、請求項1~15のいずれか1項に記載の作動方法。
【請求項17】
前記一連の枝のマスクを生成する過程は、生理学的サイクルの各フェーズについて前記一連の枝のマスクを生成する過程を含む、請求項16に記載の作動方法
【請求項18】
前記残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が枝の中へ移動する場合に負の数に遷移する、請求項7に記載の作動方法
【請求項19】
前記残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記目標位置を通り過ぎた場合に負の数に遷移する、請求項7に記載の作動方法
【請求項20】
前記残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記目標位置に到達したときにゼロに等しい、請求項1~19のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項21】
前記コントローラは、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記経路から外れている場合に警告を発生する過程をさらに実行する、請求項1~20のいずれか1項に記載の作動方法。
【請求項22】
前記コントローラは、脱出が検出された場合に警告を発生する過程をさらに実行する、請求項14又は15に記載の作動方法。
【請求項23】
細長い医療デバイスを経路に沿って目標位置へ送り込むシステムであって、
撮像システムと、
該撮像システムに接続されたカテーテル処置システムとを含み、
前記カテーテル処置システムは、
前記細長い医療デバイス及び前記細長い医療デバイスを駆動するように構成された駆動アセンブリを備えるベッドサイドシステムと、
該ベッドサイドシステムに接続されたワークステーションとを含み、
前記ワークステーションは、
ユーザインターフェースと、
前記ベッドサイドシステム、前記ユーザインターフェース、及び前記撮像システムに接続されたコントローラとを含み、
前記コントローラは、
確定した前記経路を明示するため画像に適用するマスクを生成し、
前記撮像システムによって取得される一連のリアルタイム画像に基づいて前記細長い医療デバイスの遠位部の位置を追跡し、
前記細長い医療デバイスの前記遠位部の位置に少なくとも基づいて残りの経路長を判定し、
前記細長い医療デバイスの移動中に前記残りの経路長を更新し、
前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記経路から外れていないかどうか判定し、
該判定の結果、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記経路から外れている場合に、前記駆動アセンブリを使用して、前記細長い医療デバイスを補正動作で駆動し
前記駆動アセンブリを使用して、前記残りの経路長に少なくとも基づいて決定される速度で前記細長い医療デバイスを駆動するように、プログラムされ、
前記残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部と前記目標位置との間の距離であり、該残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記目標位置に近づくにつれて減少する、システム。
【請求項24】
前記ワークステーションは、ディスプレイをさらに含み、
前記コントローラは、前記ディスプレイにおいて、前記マスクに関連付けられている画像に該マスクを表示するようにさらにプログラムされる、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、生理学的サイクルの各フェーズについて前記マスクを生成するようにさらにプログラムされる、請求項23又は24に記載のシステム。
【請求項26】
前記ワークステーションは、ディスプレイをさらに含み、
前記コントローラは、前記ディスプレイにおいて、前記マスクに関連付けられている心周期のフェーズに対応する画像に前記マスクを各々表示するようにさらにプログラムされる、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記細長い医療デバイスの速度は、前記残りの経路長に比例する、請求項23~26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記細長い医療装置の前記遠位部が前記経路から外れていないかどうかの判定を、前記残りの経路長に基づいて行う、請求項23~27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記細長い医療デバイスの補正動作での駆動は、前記残りの経路長が負の数である場合に前記細長い医療デバイスを前記補正動作で駆動することを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記補正動作は、前記駆動アセンブリを使用して前記細長い医療デバイスを逆方向へ駆動することを含む、請求項23~29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記補正動作は、前記駆動アセンブリを使用して前記細長い医療デバイスを回転駆動することと逆方向へ駆動することとを含む、請求項23~29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記細長い医療デバイスがガイドワイヤである、請求項23~31のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記ガイドワイヤの先端が放射線不透過性である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記マスクを表示する前記画像は、対象領域の一定の参考画像である、請求項24に記載のシステム。
【請求項35】
前記マスクを表示する前記画像は、対象領域のリアルタイム画像である、請求項24に記載のシステム。
【請求項36】
前記撮像システムが蛍光透視システムである、請求項23~35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記一連のリアルタイム画像が蛍光透視画像である、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記コントローラは、脱出を判定するために、前記一連のリアルタイム画像において前記細長い医療デバイスの前記遠位部を監視するようにさらにプログラムされる、請求項23~37のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記コントローラは、脱出が検出された場合に、前記駆動アセンブリを使用して前記細長い医療デバイスを補正動作で駆動するようにさらにプログラムされる、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記ワークステーションは、ディスプレイをさらに含み、
前記コントローラは、前記経路につながる一連の枝のマスクを生成し、前記ディスプレイにおいて、前記一連の枝のマスクの各々を該マスクに関連付けられている画像に表示するようにさらにプログラムされる、請求項23~39のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記一連の枝のマスクの生成は、生理学的サイクルの各フェーズについて前記一連の枝のマスクを生成することを含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が枝の中に移動する場合に負の数に遷移する、請求項29に記載のシステム。
【請求項43】
前記残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記目標位置を通り過ぎた場合に負の数に遷移する、請求項29に記載のシステム。
【請求項44】
前記残りの経路長は、前記細長い医療デバイスの前記遠位部が前記目標位置に到達したときにゼロに等しい、請求項23~43のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項45】
前記コントローラは、前記残りの経路長が負の数である場合に警告を発生するようにさらにプログラムされる、請求項28に記載のシステム。
【請求項46】
前記コントローラは、脱出が検出された場合に警告を発生するようにさらにプログラムされる、請求項38又は39に記載のシステム。
【請求項47】
目標位置まで計画された経路のマスクを生成し、前記経路に沿って移動する細長い医療デバイスの位置を追跡する、カテーテル処置システムの作動方法であって、
対象領域の一連の造影画像を取得する過程と、
前記一連の造影画像のうちの少なくとも1つの画像に基づいて血管画像を生成する過程と、
前記血管画像において原点及び目標点を特定する過程と、
前記造影画像に少なくとも基づいて、前記原点から前記目標点までの血管経路を計算する過程と、
前記血管経路を明示するため画像に適用する経路マスクを生成する過程と、
前記一連の造影画像における造影剤の流れに少なくとも基づいて、少なくとも1つの子血管が前記血管経路につながっているかどうか判定する過程と、
該判定の結果、前記少なくとも1つの子血管が前記血管経路につながっている場合に、画像中の前記少なくとも1つの子血管の領域に適用する子血管マスクを生成する過程と、
前記経路マスクを該経路マスクに関連付けられている画像に適用して表示する過程と、
前記少なくとも1つの子血管が前記血管経路につながっていると判定された場合には、前記経路マスクに関連付けられている画像に前記少なくとも1つの子供血管の前記子血管マスクを追加適用して表示する過程とを含む、方法。
【請求項48】
前記一連の造影画像は、生理学的サイクルの少なくとも1つのフェーズに対応する、請求項47に記載の作動方法
【請求項49】
前記血管経路を計算する過程は、前記生理学的サイクルの各フェーズについて、前記原点から前記目標点までの前記血管経路を計算する過程を含む、請求項48に記載の作動方法
【請求項50】
前記血管経路の前記経路マスクを生成する過程及び前記少なくとも1つの子血管の前記子血管マスクを生成する過程は、前記生理学的サイクルの各フェーズについて前記経路及び子血管マスクを生成する過程を含む、請求項49に記載の作動方法
【請求項51】
前記経路マスクに関連付けられた前記生理学的サイクルのフェーズに対応する画像に、前記血管経路の前記経路マスクと前記少なくとも1つの子血管の前記子血管マスクとを表示する過程をさらに含む、請求項50に記載の作動方法
【請求項52】
前記細長い医療デバイスがガイドワイヤである、請求項47~51のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項53】
前記血管画像において少なくとも1つの制約点を特定する過程をさらに含み、計算される前記血管経路が、前記原点、前記目標点、及び前記少なくとも1つの制約点を通過する、請求項47~52のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項54】
前記経路マスクを表示する前記画像は、前記対象領域の一定の参考画像である、請求項47~53のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項55】
前記経路マスクを表示する前記画像は、前記対象領域のリアルタイム画像である、請求項47~53のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項56】
前記一連の造影画像が蛍光透視画像である、請求項47~55のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項57】
前記一連の造影画像に基づいて前記細長い医療デバイスの遠位部の位置を特定する過程と、前記経路マスクに関連付けられている画像において前記細長い医療デバイスの前記遠位部の位置を表示する過程とをさらに含む、請求項47~56のいずれか1項に記載の作動方法
【請求項58】
目標位置まで計画された経路のマスクを生成し、前記経路に沿って移動する細長い医療デバイスの位置を追跡するシステムであって、
撮像システムと、
該撮像システムに接続されたワークステーションとを含み、
前記ワークステーションは、
ユーザインターフェースと、
少なくとも1つのディスプレイと、
前記ユーザインターフェース、前記少なくとも1つのディスプレイ、及び前記撮像システムに接続されたコントローラとを含み、
前記コントローラは、
前記撮像システムから対象領域の一連の造影画像を受信し、
前記一連の造影画像のうちの少なくとも1つの画像に基づいて血管画像を生成し、
前記血管画像において原点及び目標点の特定を受け、
前記一連の造影画像に少なくとも基づいて前記原点から前記目標点までの血管経路を計算し、
前記一連の造影画像における造影剤の流れに少なくとも基づいて、少なくとも1つの子血管が前記血管経路につながっているかどうか判定し、
前記血管経路を明示するため画像に適用する経路マスクを生成し、
前記判定の結果、前記少なくとも1つの子血管が前記血管経路につながっている場合に、画像中の前記少なくとも1つの子血管の領域に適用する子血管マスクを生成し、
前記ディスプレイにおいて、前記経路マスクに関連付けられている画像に前記経路マスクを表示し、
前記少なくとも1つの子血管が前記血管経路につながっていると判定された場合には、前記ディスプレイにおいて、前記経路マスクに関連付けられている画像に前記少なくとも1つの子血管の前記子血管マスクを追加表示するように、プログラムされる、システム。
【請求項59】
前記一連の造影画像は、生理学的サイクルの少なくとも1つのフェーズに対応する、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記血管経路の計算は、前記生理学的サイクルの各フェーズについて、前記原点から前記目標点までの経路を計算することを含む、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記血管経路の前記経路マスクの生成及び前記少なくとも1つの子血管の前記子血管マスクの生成は、前記生理学的サイクルの各フェーズについて前記経路及び子血管マスクを生成することを含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記コントローラは、前記血管経路の前記経路マスクと、前記少なくとも1つの子血管の前記子血管マスクとを、当該マスクに関連付けられている前記生理学的サイクルのフェーズに対応する画像に表示するようにさらにプログラムされる、請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記細長い医療デバイスがガイドワイヤである、請求項58~62のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項64】
前記コントローラは、前記血管画像における少なくとも1つの制約点の特定を受けるようにさらにプログラムされ、計算された前記血管経路が、前記原点、前記目標点、及び前記少なくとも1つの制約点を通過する、請求項58~63のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項65】
前記マスクを表示する前記画像は、前記対象領域の一定の参考画像である、請求項58~64のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項66】
前記マスクを表示する前記画像は、前記対象領域のリアルタイム画像である、請求項58~64のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項67】
前記一連の造影画像が蛍光透視画像である、請求項58~66のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項68】
前記コントローラは、前記一連の造影画像に基づいて前記細長い医療デバイスの遠位部の位置を特定し、前記ディスプレイにおいて、前記経路の前記経路マスクにおける前記細長い医療デバイスの前記遠位部の位置を表示するように構成される、請求項58~67のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年10月30日出願の米国特許出願16/175,333、発明の名称「SYSTEM AND METHOD FOR NAVIGATING A DEVICE THROUGH A PATH TO A TARGET LOCATION」の優先権を主張する。当該出願の全体は本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、概してカテーテル処置システムの分野に関し、具体的には、デバイス(例えば、細長い医療デバイス)を経路(例えば血管)を通し目標位置へ案内するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテル(及び他の細長い医療デバイス)は、神経介入手術としても知られる神経血管インターベンション(NVI)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、及び末梢血管インターベンション(PVI)を含む様々な血管系の疾患の診断及び治療のための多くの低侵襲医療処置に使用することができる。これらの処置は、典型的には、血管系を通してガイドワイヤを案内し、このガイドワイヤを介して作業カテーテルを進めて治療をなすことを含んでいる。カテーテル処置は、標準的な経皮技術を用いて、シース又はガイドカテーテルにより、動脈又は静脈などの適切な血管への到達を得ることによって開始される。次に、シース又はガイドカテーテルは、診断ガイドワイヤを越えて、NVIであれば内頚動脈、PCIであれば冠状動脈口、又はPVIであれば浅大腿動脈などの初期位置まで前進させられる。そして、脈管構造(血管系)に適したガイドワイヤを、シース又はガイドカテーテルを通して、脈管構造内の目標位置まで案内する。曲がりくねった解剖学的構造などの特定の状況では、支持カテーテル又はマイクロカテーテルがガイドワイヤを越えて挿入されて、ガイドワイヤの案内を補助する。医師又は操作者は、造影注入剤を用いた影像を得るためにイメージングシステム(例えば、蛍光透視鏡)を使用し、そしてガイドワイヤ又はカテーテルを目標位置(例えば、病変)に案内するためにロードマップとして使用する固定フレームを選択する。医師がガイドワイヤ又はカテーテルデバイスを送り込む間に造影画像も得られ、その結果、医師は、デバイスが目標位置へ正しい経路に沿って移動していることを確認することができる。蛍光透視法を使用して解剖学的構造を観察しながら、医師は、ガイドワイヤ又はカテーテルの近位端を操作して、遠位先端を病変に向かって適切な血管内に導き、側枝内への進入を回避する。
【0004】
例えば、NVI、PCI、及びPVIなどのカテーテル処置を実施する際に医師を補助するために使用することのできるロボットカテーテル処置システムが開発されている。神経血管インターベンション(NVI)カテーテル処置の例には、動脈瘤のコイル塞栓形成、動静脈奇形の液体塞栓形成、及び急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓除去が含まれる。NVIにおいて、医師は、ロボットシステムを使用し、神経血管ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルを操作して病変への到達を得て、正常な血流を回復させるための治療をする。この到達は、シース又はガイドカテーテルによって可能にされるが、より末端の領域のために、又はマイクロカテーテル及びガイドワイヤに適切な支持を提供するために、中間カテーテルを必要とすることがある。ガイドワイヤの遠位先端は、病変及び治療のタイプに応じて、病変の中に又は病変の先へ案内される。動脈瘤を治療する場合は、マイクロカテーテルを病変中に前進させ、ガイドワイヤを除去し、いくつかのコイルをマイクロカテーテルを通して動脈瘤中に展開して動脈瘤を塞栓するために使用する。動静脈奇形を治療する場合は、液体塞栓がマイクロカテーテルを介して奇形に注入される。血管閉塞を治療する機械的血栓除去は、吸引又はステント回収器の使用のいずれかによって達成される。吸引は、マイクロカテーテルを通して直接行われるか、又は、より大きな口径の吸引カテーテルを用いて行われる。吸引カテーテルが病変に到達すると、該カテーテルを通して凝塊を除去するために負圧が印加される。あるいは、凝血塊は、マイクロカテーテルを通してステント回収器を配置することによって除去することができる。血餅がステント回収器に一体化したところで、該血餅は、ステント回収器及びマイクロカテーテルをガイドカテーテル内に後退させることによって回収される。
【0005】
PCIでは、医師は、ロボットシステムを使用し、冠状動脈ガイドワイヤを操作して病変への到達を得て、治療を施し正常な血流を回復させる。到達は、ガイドカテーテルを冠状動脈口に配置することによって可能になる。ガイドワイヤの遠位先端は、病変の先へ(通り越して)案内され、複雑な解剖学的構造に対しては、マイクロカテーテルが、ガイドワイヤに適切な支持を提供するために使用される。血流は、病変にステント又はバルーンを送り込んで展開することによって回復させる。病変は、病変の事前拡張のためにバルーンを送り込むことによるか、又は、例えばレーザか回転式のアテレクトミーカテーテル及びガイドワイヤ先のバルーンを使用してアテレクトミーを実施することによる、ステント留置前の準備を必要とする。画像診断及び生理学的測定が、撮像カテーテルやFFR測定を用いることにより適切な治療法を決定するために、実施され得る。
【0006】
PVIでは、医師は、ロボットシステムを使用し、NVI及びPVIと同様の技術で治療を行い血流を回復させる。ガイドワイヤの遠位先端は、病変の先へ案内され、マイクロカテーテルが、複雑な解剖学的構造に対してガイドワイヤに適切な支持を提供するために使用される。血流は、ステント又はバルーンを病変に送り込んで展開することによって回復させる。PCIと同様に、病変準備及び診断用撮像も同じく使用することができる。
【0007】
手動で又はロボットカテーテル処置システムを用いてカテーテル処置を実行する場合に、いくつかの課題がある。例えば、血管系を経るデバイスを通す経路は、心臓又は呼吸サイクルのような生理学的サイクルの間に変化することがあり、これらはデバイスを首尾よく案内するまでに必要となる時間を長くする可能性がある。加えて、デバイスの案内中に使用される造影剤の量が患者に悪影響を及ぼす可能性もある(例えば、治療を必要とする2つ以上の病変があるような場合)。処置時間を短縮し、処置中に使用される造影剤の量を低減するような、経路(例えば、血管)を通し目標位置までデバイス(例えば、細長い医療デバイス)を案内するシステム及び方法を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0008】
一態様によれば、カテーテル処置システムを使用して細長い医療デバイスを経路に沿って目標位置へ送り込む、前記カテーテル処置システムの作動方法は、確定した経路を明示するため画像に適用するマスクを生成する過程と、一連のリアルタイム画像に基づいて細長い医療デバイスの遠位部の位置を追跡する過程と、細長い医療デバイスの遠位部の位置に少なくとも基づいて残りの経路長を判定する過程と、細長い医療デバイスの移動中に残りの経路長を更新する過程と、細長い医療デバイスの遠位部が経路から外れていないかどうかを判定する過程と、この判定の結果、細長い医療デバイスの遠位部が経路から外れている場合に該細長い医療デバイスを補正動作で駆動する過程と、残りの経路長に少なくとも基づいて決定される速度で細長い医療デバイスを駆動する過程とを含む。残りの経路長は、細長い医療デバイスの遠位部と目標位置との間の距離であり、該残りの経路長は、細長い医療デバイスの遠位部が目標位置に近づくにつれて減少する。
【0009】
別の態様によれば、細長い医療デバイスを経路に沿って目標位置へ送り込むシステムは、撮像システムと、撮像システムに接続されたカテーテル処置システムとを含む。そのカテーテル処置システムは、細長い医療デバイス及び該細長い医療デバイスを駆動するように構成された駆動アセンブリを備えたベッドサイドシステムと、このベッドサイドシステムに接続されたワークステーションとを含む。ワークステーションは、ユーザインターフェースと、ベッドサイドシステム、ユーザインターフェース、及び撮像システムに接続されたコントローラとを含む。コントローラは、確定した経路を明示するため画像に適用するマスクを生成し、撮像システムにより取得される一連のリアルタイム画像に基づいて細長い医療デバイスの遠位部の位置を追跡し、細長い医療デバイスの遠位部の位置に少なくとも基づいて残りの経路長を判定し、細長い医療デバイスの移動中に残りの経路長を更新し、細長い医療デバイスの遠位部が経路から外れていないかどうかを判定し、該判定の結果、細長い医療デバイスの遠位部が経路から外れている場合に、駆動アセンブリを使用して、該細長い医療デバイスを補正動作で駆動し、駆動アセンブリを使用して、残りの経路長に少なくとも基づいて決定される速度で細長い医療デバイスを駆動するように、プログラムされる。残りの経路長は、細長い医療デバイスの遠位部と目標位置との間の距離であり、該残りの経路長は、細長い医療デバイスの遠位部が目標位置に近づくにつれて減少する。
【0010】
別の態様によれば、目標位置まで計画した経路のマスクを生成し、該経路に沿って移動する細長い医療デバイスの位置を追跡する、カテーテル処置システムの作動方法は、対象領域の一連の造影画像を取得する過程と、一連の造影画像のうちの少なくとも1つの画像に基づいて血管画像を生成する過程と、この血管画像において原点及び目標点を特定する過程と、一連の造影画像に少なくとも基づいて原点から目標点までの血管経路を計画(計算)する過程と、該血管経路を明示するため画像に適用する経路マスクを生成する過程と、一連の造影画像における造影剤の流れに少なくとも基づいて、血管経路に少なくとも1つの子血管がつながっているかどうかを判定する過程と、該判定の結果、経路に少なくとも1つの子血管がつながっている場合に、画像中の該少なくとも1つの子血管の領域に適用する子血管マスクを生成する過程と、経路マスクを、該経路マスクと関連付けた画像に適用して表示する過程と、少なくとも1つの子血管が血管経路につながっていると判定された場合には、経路マスクと関連付けた画像に少なくとも1つの子血管の子血管マスクを追加適用して表示する過程とを含む。
【0011】
別の態様によれば、目標位置まで計画した経路のマスクを生成し、該経路に沿って移動する細長い医療デバイスの位置を追跡するシステムは、撮像システムを含む。ワークステーションが撮像システムに接続され、このワークステーションは、ユーザインターフェースと、少なくとも1つのディスプレイと、ユーザインターフェース、少なくとも1つのディスプレイ、及び撮像システムに接続されたコントローラとを含む。コントローラは、撮像システムから対象領域の一連の造影画像を受信し、一連の造影画像のうちの少なくとも1つの画像に基づいて血管画像を生成し、血管画像における原点及び目標点の特定を受け、一連の造影画像に少なくとも基づいて原点から目標点への血管経路を計画(計算)し、一連の造影画像における造影剤の流れに少なくとも基づいて、少なくとも1つの子血管が血管経路につながっているかどうかを判定し、血管経路を明示するため画像に適用する経路マスクを生成するように、プログラムされる。前記判定の結果、少なくとも1つの子血管が血管経路につながっている場合は、画像中の該少なくとも1つの子血管の領域に適用する子血管マスクを生成し、ディスプレイにおいて、経路マスクを、該経路マスクと関連付けた画像に表示し、そして、少なくとも1つの子血管が血管経路につながっていると判定された場合には、ディスプレイにおいて、経路マスクと関連付けた画像に少なくとも1つの子血管の子血管マスクを追加表示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、以下の詳細な説明からより深く理解される。以下の詳細な説明は次の図面と併せて提供され、図面中の参照番号は同様の部分を示す。
図1】一実施形態に関し、カテーテル処置システムを例示する斜視図。
図2】一実施形態に関し、カテーテル処置システムを例示する概略ブロック図。
図3】一実施形態に関し、カテーテル処置システムのベッドサイドシステムを例示する斜視図。
図4】一実施形態に関し、経路の可視化及び細長い医療デバイスの案内の方法を説明する図。
図5】一実施形態に関し、血管を通る経路を特定する方法を説明する図。
図6】一実施形態に関し、血管画像における原点及び目標点の特定を説明する図。
図7】一実施形態に関し、経路マスク及び子血管マスクを例示する図。
図8】一実施形態に関し、細長い医療デバイスを目標位置へ送り込む方法を説明する図。
図9】一実施形態に関し、経路を示すと共に該経路を通るガイドワイヤを追跡する表示画面を例示する図。
図10】一実施形態に関し、ワイヤ脱出の例を説明する図。
図11】一実施形態に関し、経路の第1及び第2の二次元表示と生成した三次元経路を説明する図。
図12図12Aは、特定した血管と分岐を介して交差するか又はつながる子血管及び枝(枝血管)を有する血管系を説明する図、図12Bは、血管マスク及び子血管マスクを適用して表示した図12Aの血管系を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、一実施形態に係るカテーテル処置システムを例示した斜視図である。図1において、カテーテル処置システム100は、カテーテルベースの医療処置(例えば、経血管インターベンション(NVI)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、末梢血管インターベンション(PVI))を実行するために使用される。カテーテルベースの医療処置は、患者の疾患の診断を補助するために1つ以上のカテーテルを使用する診断カテーテル処置を含む。例えば、カテーテルベースの診断処置の一実施形態において、カテーテルを通し1つ以上の冠状動脈に造影剤が注入され、患者の心臓の画像が撮られる。カテーテルベースの医療処置は、カテーテルベースの治療処置(例えば、血管形成術、ステント配置、末梢血管疾患の治療、血餅除去、動脈静脈奇形治療、動脈瘤の治療など)を含み、カテーテルベースの治療処置においては、疾患を治療するためにカテーテルが使用される。当業者であれば、所定の経皮的インターベンションデバイス又は構成要素(例えば、ガイドワイヤのタイプ、カテーテルのタイプなど)が、実行されるべき処置のタイプに基づいて選択される、ということを当然理解できる。カテーテル処置システム100は、わずかな調整でいくつものカテーテルベースの医療処置を実行する能力をもち、処置に使用される所定の経皮的インターベンションデバイスに適応する。具体的に、ここに開示する実施形態のカテーテル処置システム100は、主に冠状動脈疾患の診断及び/又は治療に関連して説明されるが、同カテーテル処置システム100は、カテーテルベースの処置による診断及び/又は治療に適応したあらゆるタイプの疾患又は状態を診断及び/又は治療するために使用され得る。
【0014】
カテーテル処置システム100は、実験室ユニット106及びワークステーション116を含む。カテーテル処置システム100は、患者102に隣接して実験室ユニット106内に配置された、ベッドサイドシステム110として示されるロボットカテーテルシステムを含む。患者102はテーブル108上に支持されている。概して言うと、ベッドサイドシステム110は、適切な経皮的インターベンションデバイスやその他の構成要素(例えば、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、塞栓コイル、バルーンカテーテルなどの作業カテーテル、ステント送達システム、吸引カテーテル及びアテレクトミーカテーテル、造影剤、医薬、診断カテーテルなど)を装備し、ユーザが、ワークステーション116に配置されたコントローラなどの各種制御機器の操作を通しロボットシステムを利用してカテーテルベースの医療処置を実行できるようにする。ベッドサイドシステム110は、ここに説明する機能をベッドサイドシステム110に提供するために、いくつかの構成要素及び/又はその組み合わせを含み得る。ベッドサイドシステム110は、様々な要素の中でも特に、ロボットアーム112によって支援される駆動アセンブリ114(例えば、カセット)を含み、この駆動アセンブリ114は、患者102の動脈内に配置したガイドカテーテル内にガイドワイヤを供給するために、又は、患者102内に他の細長い医療デバイス(例えば、カテーテル、バルーンカテーテル、ステント送達システムなど)を供給するために、使用される。
【0015】
ベッドサイドシステム110は、ワークステーション116と通信し、ワークステーション116のユーザ入力によって生成される信号をベッドサイドシステム110に送信してベッドサイドシステム110の様々な機能を制御することができる。ベッドサイドシステム110はまた、ワークステーション116にフィードバック信号(例えば、動作状態、警告信号、エラーコード等)を提供できる。ベッドサイドシステム110は、ワークステーション116とベッドサイドシステム110との間で通信を可能とする、無線通信、有線通信、又は他の各種手段である通信リンク140(図2に示す)を介して、ワークステーション116と接続される。一実施形態において、ベッドサイドシステム110及びワークステーション116は互いに離れており、例えば、同じ建物内の別々の部屋、同じ都市内の別々の建物、あるいは別々の都市にある。別の実施形態では、複数のワークステーション116がベッドサイドシステム110と接続され、ベッドサイドシステム110から離れた所に配置される。
【0016】
ワークステーション116は、カテーテル処置システム100の様々な構成要素又はシステムを操作するためのユーザ入力を受信するように構成されたユーザインターフェース126を含む。ユーザインターフェース126は、ユーザがベッドサイドシステム110を制御してカテーテルベースの医療処置を実行することを可能にする操作器118を含む。例えば、操作器118は、ベッドサイドシステム110に、ベッドサイドシステム110に備えることができる種々の経皮的インターベンションデバイスを使用して各種タスクを実行させるように、構成される(例えば、ガイドワイヤを前進させる、後退させる、又は回転させる、作業カテーテルを前進させる、後退させる、又は回転させる、マイクロカテーテルを前進させる、後退させる、又は回転させる、ガイドカテーテルを前進させる、後退させる、又は回転させる、カテーテルに配設のバルーンを膨張させる、又は収縮させる、ステントを位置決めする、及び/又は展開させる、カテーテルに造影剤を注入する、カテーテルに薬剤を注入する、又は、カテーテルベースの医療処置の一部として実行され得るあらゆる他の機能を実行する)。駆動アセンブリ114は、経皮的インターベンションデバイスを含むベッドサイドシステム110の構成要素の動作(例えば、軸方向及び回転方向の動き)を生じさせるための種々の駆動機構を含む。一実施形態において、駆動アセンブリ114、ユーザインターフェース126、及び/又は操作器118は、ガイドワイヤ又はカテーテルの近位端を操作して、該デバイスの遠位端を目標位置に向かって適切な血管に導き、側枝血管への進入を回避するために使用される。
【0017】
一実施形態において、操作器118は、タッチスクリーン124、1つ又は複数のジョイスティック128、及びボタン130,132を含む。ジョイスティック128は、例えば、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、又は作業カテーテルなどの、様々な構成要素及び経皮的インターベンションデバイスを前進させ、後退させ、又は回転させるように構成される。ボタン130,132には、例えば、緊急停止ボタンと倍率ボタンを含む。緊急停止ボタンが押されるとリレーがトリガされ、ベッドサイドシステム110への電力供給が遮断される。倍率ボタンは、操作器118の操作に応答して関連する構成要素が移動する速度を増減するように作用する。一実施形態において、操作器118は、タッチスクリーン124に表示される1つ以上のつまみ又はアイコン(図示せず)を含み、これらの作動で、カテーテル処置システム100の構成要素の動作を引き起こす。操作器118はまた、バルーン及び/又はステントを膨張又は収縮させるように構成されたバルーン/ステント操作部を含む。操作器の各々は、その操作器が専任の特定の構成要素を制御するのに適当な1つ以上のボタン、ジョイスティック、タッチスクリーン等を含むことができる。さらに、タッチスクリーン124は、操作器118の各部分又はカテーテル処置システム100の各構成要素に関連する1つ以上のアイコン(図示せず)を表示し得る。
【0018】
ユーザインターフェース126は、第1のモニタ(ディスプレイ)120と、第2のモニタ(ディスプレイ)122とを含む。第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、ワークステーション116の所にいるユーザに情報や患者固有データを表示するように構成される。例えば、第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、画像データ(例えば、X線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像など)、血行動態データ(例えば、血圧、心拍数など)、患者履歴情報(例えば、病歴、年齢、体重など)を表示するように構成される。さらに、第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、処置固有の情報(例えば、処置にかかる時間、カテーテル又はガイドワイヤの位置、送り込まれる薬剤又は造影剤の量など)を表示するように構成される。第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、ガイドカテーテルの位置に関する情報を表示するようにも構成される。さらに、第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、コントローラ134(図2に示す)に関連する機能を提供するための情報を表示するようにも構成される。別の実施形態において、ユーザインターフェース126は、ここに説明するディスプレイ構成要素及び/又はタッチスクリーン構成要素のうちの1つ以上を表示するのに十分なサイズのスクリーンを単独で含む。
【0019】
カテーテル処置システム100は、実験室ユニット106の中に配置された撮像システム104も含む。撮像システム104は、カテーテルベースの医療処置と併せて使用することができる医療撮像システムのいずれかとすることができる(例えば、非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波など)。一実施形態において、撮像システム104は、ワークステーション116と通信するデジタルX線撮像装置である。一実施形態において、撮像システム104はCアーム(図示せず)を含み、Cアームにより撮像システム104は、患者102に対する様々な角度位置(例えば、矢状面視野、尾側視野、前後視野など)で画像を取得するために、患者102の周りを部分的に又は完全に回転することが可能である。
【0020】
撮像システム104は、所定の処置において患者102の適切な領域のX線画像を得るように構成することができる。例えば、撮像システム104は、心臓の状態を診断するために心臓の1つ以上のX線画像を取得するように構成することができる。撮像システム104はまた、カテーテルベースの医療処置中に1つ以上のX線画像(例えば、蛍光透視法)を撮像して(例えば、リアルタイム画像)、処置中にワークステーション116のユーザがガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、ステントなどを適切に位置決めできるよう補助するように構成される。1つ以上の一連の画像は、第1のモニタ120及び/又は第2のモニタ122に表示することができる。具体的には、画像は、第1のモニタ120及び/又は第2のモニタ122に表示され、ユーザが、例えば、ガイドカテーテルを適切な位置に正確に移動させることを可能にする。
【0021】
図2を参照すると、一実施形態に係るカテーテル処置システム100のブロック図が例示されている。カテーテル処置システム100は、コントローラ134として示してある制御システムを含む。コントローラ134は、ワークステーション116の一部であってもよい。コントローラ134は、広く言えば、ここに説明する様々な機能をカテーテル処置システム100に提供するのに適した電子制御ユニットであってもよい。例えば、コントローラ134は、ここに説明する機能をプログラムした、組み込みシステム、専用回路、汎用システムなどであり得る。コントローラ134は、1つ以上の、ベッドサイドシステム110、操作器118、モニタ120,122、撮像システム104、及び患者センサ136(例えば、心電図(「ECG」)デバイス、脳波(「EEG」)デバイス、血圧モニタ、温度モニタ、心拍数モニタ、呼吸モニタなど)と通信する。一実施形態において、コントローラ134は、ユーザの操作器118との相互作用に基づいて及び/又はコントローラ134に利用可能な情報に基づいて制御信号を生成するように構成され、それにより、カテーテル処置システム100を使用して医療処置を実施することができる。さらに、コントローラ134は、病院ネットワーク(病院データ管理システム)142及び1つ以上の別の出力装置138(例えば、プリンタ、ディスクドライブ、CD/DVDライタなど)と通信することができる。
【0022】
カテーテル処置システム100の各構成要素間の通信は、通信リンク140を介して達成され得る。通信リンク140は、専用の有線又は無線通信である。通信リンク140は、ネットワークを介した通信も表し得る。カテーテル処置システム100は、明示はしていないが、他のシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成され得る。例えば、カテーテル処置システム100は、IVUSシステム、画像処理エンジン、データ記憶及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又は記録システム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテル処置システム100のアクセス又は使用を制限するシステムなど、を含み得る。
【0023】
上述のように、コントローラ134はベッドサイドシステム110と通信し、ベッドサイドシステム110に制御信号を提供して、経皮的インターベンションデバイス(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)を駆動するために使用されるモータ及び駆動機構の動作を制御する。ベッドサイドシステム110は、例えば、ガイドワイヤの前進及び/又は後退を提供するガイドワイヤ軸方向駆動機構と、作業カテーテルの前進及び/又は後退を提供する作業カテーテル軸方向駆動機構と、ガイドワイヤをその長手方向軸の周りに回転させるように構成されたガイドワイヤ回転駆動機構とを含む。一実施形態において、各駆動機構は駆動アセンブリ114(図1に示される)に収容される。
【0024】
図3は、一実施形態に係るカテーテル処置システムのベッドサイドシステムを例示した斜視図である。図3において、ベッドサイドシステム210は、細長い医療デバイス(例えば、経皮的インターベンションデバイスやその他の構成要素)をロボット制御で移動させるために使用されるロボット機構212を含む。ロボット機構212は、ベース214に対して移動可能である。ロボット機構212は、ベース214に対して移動可能なロボット駆動ベース220と、ロボット駆動ベース220に動作可能に連結される駆動アセンブリ222とを含む。図3において、駆動アセンブリ222は、経皮デバイスを駆動するために使用される各種の駆動機構を収容して経皮デバイスを装備したカセットとして示されている。一実施形態において、ベース214は、ユーザがロボット機構212を患者脇に位置決めすることを可能にする関節アーム224に固定される。一実施形態において、ベース214は、関節アーム224の遠位部である。関節アーム224は、レールクランプ(ベッドクランプ)226によって患者ベッドに組み付けられる。関節アーム224の操作によって、ベース214は、患者ベッドの上に横たわる患者に対して一定の位置に配置される。ロボット機構212の患者に対する所望の位置が設定されると、関節アーム224の関節はロックすることができる。
【0025】
ここで使用する場合、遠位方向は患者に向かう方向であり、近位方向は患者から離れる方向である。「上」や「上方/上側」は重力の方向と逆の一般的な方向を指し、「底/低」、「下方/下側」や「下向き」は、一般的な重力の方向を指す。「前」は、関節アームから離れた、ユーザに面するロボット機構の側面を指す。「後」は、関節アーム間近のロボット機構の側面を指す。「内」は、機構の内側部分を指す。「外」は、機構の外側部分を指す。
【0026】
ベッドサイドシステム210は、非直線部分を有する剛性ガイドトラック218に沿って移動可能な可撓性トラック216も含む。可撓性トラック216は、近位端228及び遠位端230を含む。可撓性トラック216は、ガイドカテーテルなどの細長い医療装置を支持し、ガイドカテーテルが座屈することなく患者の体内へ前進できるようにする。一実施形態において、駆動アセンブリ222は、剛性ガイド218を画定する構造を含む。別の実施形態では、ベース214は、単独で、又は駆動アセンブリ222と組み合わせて、剛性ガイド218を画定する構造を含む。
【0027】
可撓性トラック216は、可撓性トラック216の遠位端230が剛性ガイド218のカラー238を越えて延出するまで、可撓性トラック216の遠位端230を剛性ガイド218の近位開口部234から供給することによって、剛性ガイド218の中に最初に配置される。カラー238は、剛性ガイド218の遠位端に形成される。可撓性トラック216の遠位端230は、駆動アセンブリ222に取り外し可能に接続されるシースクリップ232に動作可能に保持され、固定される。剛性ガイド218は、近位開口部234から始まる直線部分と、非直線部分とを含む。一実施形態において、非直線部分は、少なくとも1つの湾曲部位を有する弓形部分である。
【0028】
処置を実行するために、シースクリップ232は、シースクリップ232の遠位端262が患者に近接するまで、長手方向軸256に沿った方向へ駆動アセンブリ222から離れるようにユーザによって引っ張られる。一実施形態において、イントロデューサ(図示せず)がシースクリップ232の遠位端262に固定される。イントロデューサは、患者に対して確実に位置決めして患者に固定されるデバイスで、患者の組織損傷を最小限に抑えながら、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、及び/又は作業カテーテルなどの細長い医療デバイスを患者内へ挿入又は除去することを可能にする。操作者が、イントロデューサが患者に近接するようにシースクリップ232及び付随する可撓性トラック216を患者に向かって引っ張り終えると、可撓性トラック216は、ロッククランプ236によって適切な位置にロックされる。ロッククランプ236は、可撓性トラック216の一部が、患者が患者ベッドに横たわっている限り、患者ベッド及び患者に対して一定の位置にあるように、可撓性トラック216をベース214に対し固定する。
【0029】
1つのタイプのインターベンション処置において、ガイドカテーテル(図示せず)は、イントロデューサを通して患者の大腿動脈に挿入され、患者の心臓の冠状動脈口に近接するよう配置される。ガイドカテーテルは、駆動アセンブリ222内で、遠位駆動アセンブリ222の所定の遠位側距離の間、長手方向軸256に沿って直線位置を維持する。一実施形態において、長手方向軸256は、駆動アセンブリ222の長手方向軸に一致する。経皮的冠状動脈インターベンション(PCI)などの医療処置において、ガイドカテーテル(図示せず)は、例えば予備診断を行うために、又は、患者の血管系内の狭窄を治療するために、ガイドワイヤ及びバルーンステントカテーテルのような細長い医療デバイスを患者の体内に案内するために使用される。既述したように、ガイドカテーテルの遠位端は、患者の心臓の冠状動脈口に配置される。ロボット機構212は、ガイドワイヤ及び/又はバルーンステントカテーテルなどの作業カテーテルを患者に対し出し入れする。ガイドワイヤ及び作業カテーテルは、ロボット機構212の遠位端と患者との間においてガイドカテーテル内で駆動される。一実施形態において、長手方向軸256は、駆動アセンブリ222がガイドワイヤを回転させるときの軸であり、駆動アセンブリ222がガイドワイヤをその長手方向軸に沿って駆動し、バルーンステントカテーテルなどの作業カテーテルをその長手方向軸に沿って駆動する軸である。
【0030】
図4は、一実施形態に係る、経路の視覚化及び細長い医療デバイスの案内の方法を示す。ブロック402で、血管系を通る経路が特定(検出)される。一実施形態において、経路は、目標位置、例えば病変、に到達するまでの血管を通る経路である。図5は、一実施形態に係る、血管を通る経路を特定する方法を示す。ブロック502で、撮像システム(例えば、図1に示される撮像システム104)を使用して、対象領域の一連の画像(画像データ)が取得される。一実施形態において、画像は、画像取得の前及び/又は画像取得中に患者に造影剤(媒体)を注入することによって得られる造影画像である。一実施形態において、一連の画像は、対象領域の1つ以上の視野(例えば、矢状面視野、尾側視野、前後視野など)で取得した画像を含む。別の実施形態では、一連の画像は、心臓サイクル又は呼吸サイクルなどの生理学的サイクルの少なくとも1つのフェーズの間に取得される。以下の説明においては、一例として心臓サイクルに言及する。例えば、一連の画像の画像データは、心臓サイクルの単一のフェーズで、心臓サイクルの複数のフェーズで、又は心臓サイクルの全てのフェーズで、取得され得る。生理学的サイクルの状態に関する情報は、例えば、心臓サイクルのECG又はEEGのような患者センサ(例えば、図2に示される患者センサ136)によって提供される。ブロック504で、血管画像が、取得された一連の造影画像に少なくとも基づいて生成される。一実施形態において、血管画像は二次元画像である。二次元血管画像は、例えば、一連の画像のうちの少なくとも1つの画像から血管抽出を実行することによって、生成される。一実施形態において、一連の画像が2つ以上の視野を含む場合、一連の画像から最適な視野を選択することができる。一実施形態において、画像ヘッセ行列の固有値は、例えばフランジフィルタのような「ベッセルネス」測度として使用することができる。追加のフィルタリングが、オブジェクト領域(例えば、小さい形状のオブジェクトをフィルタリングする)及び非線形オブジェクト(例えば、線形形状とは言えないオブジェクトをフィルタリングする)に基づいて実行され得る。カテーテル処置システムの制御システム又はコントローラ(例えば、図2に示されるコントローラ134)は、上記のように二次元血管画像を生成するように構成される。
【0031】
ブロック506で、原点(原位置)及び目標点(目標位置)が血管画像において特定される。図6は、一実施形態に係る、血管画像における原点及び目標点の特定を例示する。図6において、原点(位置)604及び目標点(位置)606が血管画像602において特定されている。一実施形態において、原点(位置)は、冠状動脈口又はガイドカテーテルの遠位端などの経路の開始点である。目標点(位置)は、例えば、血管内の病変や、血管内の病変の直前又は直後のポイントである。原点604及び目標点606は、例えば、カテーテル処置システムのユーザインターフェース(例えば、図1に示されるユーザインターフェース126)の入力(制御値)を使用して特定される。別の実施形態では、経路に沿った1つ以上の追加の制約点を特定することもできる。図6において、原点610、目標点612、及び制約点614が、血管画像608において特定されている。追加の制約点は、例えば、カテーテル処置システムのユーザインターフェース(例えば、図1に示されるユーザインターフェース126)の入力(制御値)を使用して特定される。
【0032】
図5に戻り、ブロック508で、血管を通る原点と目標点との間の経路が特定される。一実施形態において、経路は、血管を通る原点と目標点との間の最短経路を計画(計算)することによって特定される。例えば、有向重み付けグラフが血管画像のスケルトンから生成される。次に、有向グラフにおける最短経路(例えば、重み及び/又はコスト関数に基づく)を、原点から目標点まで計算することができる。さらに、原点から目標点までの血管を通る特定した経路の長さ(距離)を判定することができる。追加の制約点が設けられている場合、最短経路は、連続する点の各対の間で計算することができる。全ての計算した経路は、有向グラフにおける原点から目標点までの単一経路へ累積され、これは全ての制約点を通る。制約点は、ブロック506で、原点及び目標点と共に操作者によって特定されるか、あるいは、経路が正しく特定されない場合に操作者(ユーザ)が制約点を設ける。例えば、特定した経路は、ディスプレイ(例えば、図1に示されるディスプレイ120,122)を使用してユーザに(例えば、二次元又は三次元画像で)表示され、ユーザが、ユーザインターフェース入力を使用して経路を承認したり、ユーザインターフェースを使用して1つ以上の追加の制約点を設ける。そして、ブロック508のプロセスが追加の制約点を用いて繰り返される。別の実施形態では、経路は、ガイドワイヤ又は他の細長い医療デバイスの曲げエネルギーに基づいて平滑化又は補正される。例えば、経路の通る血管に沿った一連のサンプリング点をつないだ有向グラフを生成することができる。グラフの重みは、ガイドワイヤ又は他の細長い医療デバイスの推定された局所的な曲げエネルギーに設定され、これは、各2つのベクトル間の局所的な曲げ角度に関連する。この後、経路は、原点から目標点までの局所曲げエネルギーが最小となる最短経路を判定することによって、計算することができる。曲げエネルギーに基づいて経路を平滑化する方法の例は、S. Schafer, V. Singh, P.B. Noel, A.M. Walczak, J. Xu and K.R. Hoffmann, “Real-time endovascular guidewire position simulation using shortest path algorithms”, Int J. CARS 4, pp.597-608 (2009)に記載されている。当該論文の全体は本明細書に援用される。
【0033】
別の実施形態において、三次元経路を生成することができる。三次元経路は、一連の画像のうちの2つの異なる視野、例えば、第1の視野の第1の画像及び第2の視野の第2の画像、を使用して生成される。第1の二次元血管画像が、第1の視野の第1の画像を使用して生成され、第2の二次元血管画像が、第2の視野の第2の画像を使用して生成される。一実施形態において、第1の二次元血管画像及び第2の二次元血管画像は、ステップ504に関して既述したように生成される。ステップ506及びステップ508に関して既述したように、原点と目標点との間の対象血管を通る経路が第1の血管画像について特定され、同経路が第2の血管画像について特定される。図11は、一実施形態に係る、経路の第1及び第2の二次元表示と生成された三次元経路を示している。三次元経路1106は、第1の視野の第1の二次元血管画像での経路1102と、第2の視野での第2の二次元血管画像での経路1104とを使用して生成される。一実施形態において、三次元経路は、撮像システムの一連のパラメータ(例えば、Cアームのパラメータ)に基づいて、第1の二次元血管画像1108を三次元空間にまず投影し、そして、第2の血管画像1110を同三次元空間に投影することによって、生成される。その次に、第1の血管画像中の経路上の一連の点の各点について、一連のエピポーラ線が第2の血管画像において計算され、他の経路上の最も確実な合致点が、例えば、ビタビアルゴリズムを使用して特定される。2つの表示内の2つの合致点の各々について、三次元空間で共通点が見つけられ、これにより三次元経路が再構成される。
【0034】
経路の通る血管が、生理学的サイクルによって引き起こされる運動から影響を受けない血管系の領域にある場合、当該経路は、生理学的サイクルのフェーズに依存しない。別の実施形態では、経路は、心臓サイクル又は他の生理学的サイクルの単一フェーズについて特定される。別の実施形態では、経路は、心臓サイクル又は他の生理学的サイクルの全てのフェーズについて特定される。血管が心臓サイクルから影響を受ける実施形態において、心臓サイクルの開始ポイントは、例えば、R相ゲーティング(開閉)と、R波ピークに同期した取得画像とを使用して、選択することができる。ブロック502で、心臓の全ての位相よりも少なく画像データが取得された場合、データは取得画像データから補間され、心臓サイクルの全ての位相に対し経路を特定するために使用することができる。一実施形態において、心臓の全ての位相の経路を特定するために、例えば、合致点又はビタビアルゴリズムを利用して、隣接するフレーム間で経路を追跡することができる。カテーテル処置システムの制御システム又はコントローラ(例えば、図2に示されるコントローラ134)は、上記のようにして、原点から目標点までの経路を特定するように構成される。
【0035】
一実施形態において、血管を通る原点から目標点までの経路を特定するブロック508の過程は、経路血管の子血管又は枝(枝血管)を判別する過程も含み、この場合、子血管又は枝血管は、原点と目標点との間の特定経路の一部ではなく、特定経路内の血管に分岐を介してつながっている。つまり、子血管又は枝血管は、不正確な又は間違った経路を表す。ステップ502で取得された造影画像データに基づいて、子血管又は枝血管を判別(検出)することができる。さらに、子血管又は枝血管は、経路血管に重なるように見えるか又は経路血管が重なるように見えているが経路血管に直接つながってはいない交差血管とは、区別される。一実施形態において、取得された画像における造影剤の現れ方に基づいて、子血管又は枝血管を判別することができる。例えば、子血管又は枝血管は主経路血管よりも後に造影剤で満たされ、交差血管は主経路血管よりも前に造影剤で満たされる。枝血管が血管と直接流体連通している子血管である場合、該子血管中の造影剤は、流体連通している血管の部分に造影剤が観察された直後に生じるように観察される。一実施形態において、より早いか所定時間後に枝血管に造影剤が現れれば、つながっていない交差枝血管として判定される。原点から目標点までの特定した経路及び判別した子血管を含む1つ以上の画像は、二次元再構成又は三次元再構成のいずれかを使用して再構成することができる。図12Aを参照すると、血管系1200の画像は、原点1212から目標点1214まで延伸した血管を含んでいる。一実施形態において、血管1202が、原点1212から目標点1214まで延在する経路内にある。しかし、原点1212から目標点1214まで延在する経路には、いくつかの血管が含まれている可能性がある。子血管1204が、原点と目標点との間の経路において特定されている血管に直接流体連通している。二次元画像に現れて経路血管の上又は下を横切るけれども直接流体連通はしていない枝血管1206は、非接続枝血管と呼ぶ。既述したように、子血管1204及び非接続枝血管1206は、概説したプロセス又は当技術分野で知られている他の方法を使用して判別される。図12Bを参照して、子血管1204及び枝血管1206が判別されると、経路マスクに関連付けられた画像において血管マスク1208が適用され表示される。経路マスクに関連付けられた画像において子血管マスク1210も適用され表示される。一実施形態において、子血管マスクは、血管1202に間近の子血管1204の部分のみを覆う。図12に示すように、原点1212から目標点1214まで血管マスク1208が適用され表示される。1つ以上の画像が参考画像として使用され、ディスプレイ(例えば、図1に示すディスプレイ120,122)において、カテーテル処置システムのユーザに表示される。カテーテル処置システムの制御システム又はコントローラ(例えば、図2に示されるコントローラ134)は、上述のように、子血管又は非接続枝血管を判別し、特定された経路及び子血管を伴う画像を生成するように構成される。
【0036】
図4に戻り、原点から目標点までの血管を通る経路が特定されると、ブロック404で、特定された経路のマスク(マップ)が作成される。一実施形態において、マスクは、ユーザ(操作者)が視認できるようにしたり、又は、システムが経路に沿って又は経路を外れて血管内を案内されているデバイスを追跡できるようにする、半透明のオーバーレイとして適用される。マスクを画像に適用することにより、経路を可視化することができるので、造影が不要となる。一実施形態において、マスクは、経路を強調表示することによって表示される。このようにして、経路は、ディスプレイ上で目立つように表示される。さらに、ここでは子血管マスクと呼ぶ、判別された子血管又は枝血管のマスクを生成することもできる。血管が心臓サイクルのような生理学的サイクルから影響を受ける場合、一実施形態では、マスクは、心臓サイクル又は他の生理学的サイクルの単一フェーズについて生成され得る。別の実施形態では、マスクは、心臓サイクル又は他の生理学的サイクルのフェーズのそれぞれについて生成され得る。一実施形態において、経路及び子血管のマスクは、二次元である。一実施形態において、経路(及び/又は子血管)の血管マスクは、例えば、血管のエッジ(縁)を突き止めて血管のエッジを滑らかにするための最小コスト輪郭検出アルゴリズム(MCA)を使用して、特定された経路の周りに生成される。血管曲率は、局所経路曲率特性に基づいて「垂直方向」画像に画素をマッピングすることによって特定され得る。エッジが認識されて平滑化された後、経路中心線は、エッジ点の各対の質量中心となるように補正できる。他のマスク境界は、マスクのエッジを血管方向に垂直な方向につなげることによって推定され得る。そして、これらの線の内側の領域に色を付け、形態学的開口が識別される。図7は、一実施形態に係る経路マスク及び子血管マスクを例示する。図7では、経路マスク702が、画像(例えば、参考画像又はリアルタイム画像)中の特定された経路に重ね合わされた第1のクロスハッチングで示されている。参考画像又はリアルタイム画像は、二次元又は三次元である。複数の子血管マスク704が、画像中の複数の判別された子血管又は枝血管に重ねられた第2のクロスハッチングで示されている。一実施形態において、経路マスク702及び子血管マスク704は、異なる色を使用して画像上に示されてもよい。一実施形態において、血管マスク704は、経路702に間近の子血管の部分のみを覆う。一実施形態において、血管マスク704は、子血管の大部分を覆う。既述したように、マスクは、心臓サイクルの各フェーズに関して経路及び子血管に対し生成することが可能で、この場合、経路及び子血管のマスクは、時間と共に、例えば、心臓サイクルを通して、適切に変化し得る。したがって、心周期の全てのフェーズ中に適切なマスクを表示することができる(例えば、マスクを参考画像又はリアルタイム画像上にオーバーレイする)。カテーテル処置システムの制御システム又はコントローラ(例えば、図2に示されるコントローラ134)は、上記のように、特定された経路及び子血管のマスクを作成するように構成される。
【0037】
ブロック406で、経路マスク及び子血管マスクは、カテーテル処置システムの操作者に(例えば、図1に示されるディスプレイ120,122で)表示される。例えば、経路マスク及び子血管マスクは、細長い医療デバイスを手動案内している操作者を支援するために、カテーテル処置システムを使用した操作者による細長い医療デバイスの案内を支援するために、又は、カテーテル処置システムを使用して案内が完全に自動化されている場合に操作者がその案内を監視することを可能にするために、使用可能である。案内が完全に自動化されている場合、ブロック406で又は以下に説明する案内中に、経路マスク及び子血管マスクを操作者に表示する必要はない。上述のように、経路マスク及び子血管又枝血管マスクは参考画像に重ねられ、この場合にマスクは参考画像のフェーズに対応する。あるいは、経路マスク及び子血管マスクは造影のないリアルタイム画像に重ねられ、この場合にマスクは、特定のリアルタイム画像の心臓のフェーズに対応する。したがって、経路マスク及び子血管マスクは、心周期のフェーズにおいて、特定された経路及び子血管の変化に伴って適切に変化し得る。
【0038】
ブロック408で、細長い医療デバイスは、カテーテル処置システムを使用して、特定された経路に沿って案内(ナビゲート)される。一実施形態において、細長い医療デバイスは、カテーテル処置システムを使用した全自動方式で案内される。別の実施形態では、操作者は、カテーテル処置システムを使用して、経路に沿った細長い医療デバイスの目標位置への案内及び到達において操作者を補助するための、特定された経路及び子血管のマスクと、以下でさらに説明するデバイス追跡情報を見ることができる。図8は、一実施形態に係る、細長い医療デバイスを目標位置へ送り込む方法を示す。ブロック802でデバイスの移動が開始され、例えば、操作者は、ユーザインターフェースから入力して完全に自動化されたプロセスを開始することができる。あるいは、操作者は、ユーザインターフェースを利用してデバイスの移動を制御することができる。以下の説明は、ガイドワイヤの案内を例示して言及するが、ここに説明する技術は、例えば、作業カテーテル(例えば、バルーンカテーテル又はステント送達システム)、マイクロカテーテル、又は病変治療デバイスなどの他の細長い医療デバイスの案内にも使用可能であることは当然理解される。カテーテル処置システムの制御システム又はコントローラ(例えば、図2に示されるコントローラ134)は、以下に説明する、細長い医療デバイスを目標位置へ送り込む方法の一部又は全部を実行するように構成される。ガイドワイヤの移動中、ブロック804でガイドワイヤの位置が追跡される。一実施形態において、撮像システムを使用してガイドワイヤの遠位部を追跡する。一実施形態において、ガイドワイヤの遠位部は、ガイドワイヤの先端を含む。ガイドワイヤの遠位部は放射線不透過性であってもよく、ガイドワイヤの遠位部の位置は、撮像システム(例えば、図1に示される撮像システム104)を使用して案内中に取得される画像を利用して追跡可能である。一実施形態において、画像は、造影なしで撮られた蛍光(X線)透視画像である。
【0039】
ガイドワイヤが経路血管を通って移動し、ガイドワイヤの遠位部が追跡されると、残りの経路長が判定され、そしてガイドワイヤの遠位部の位置に基づいて更新される。ここで使用する、残りの経路長は、特定された経路に遠位部があるときに、ガイドワイヤ(又は他の細長い医療デバイス)の遠位部と標的点(位置)との間の特定経路を通した距離である。特定された経路を通ってガイドワイヤの遠位部が原点から目標点に向かって前進するにつれて、残りの経路長は減少する。一実施形態において、処置は、ガイドワイヤに加えてマイクロカテーテルの使用を必要とする。当該実施形態では、ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルは、原点から目標点まで交互に段階的に経路を通って前進させられる。ガイドワイヤの遠位部の位置は、経路及び子血管マスクを含む画像に投影又は表示される。図9は、一実施形態に係る、経路を示すと共に該経路を通るガイドワイヤを追跡するディスプレイを例示する。図9において、ディスプレイは、第1の表示902及び第2の表示904を含む。この表示は、カテーテル処置システムのディスプレイ(例えば、図1に示されるディスプレイ120,122)で操作者に表示される。第1の表示902は、「×」で示される潜在的な分岐を経路に沿って有する、破線で示される経路の参考画像及びマスク908を表す。第2の表示904は、ガイドワイヤが経路を通って移動するときのガイドワイヤの遠位部910の移動及び位置を示すリアルタイム画像を表す。代替の実施形態において、ディスプレイは、マスク(経路及び子血管)及びガイドワイヤ追跡の両方を有するリアルタイム画像を表す1つの表示を含む。図9には示されていないが、子血管マスクもディスプレイに示され得る。ディスプレイ900は、残りの経路長906も示す。残りの経路長はピクセルで計算されるが、他の実施形態では他の尺度を使用してもよい。ガイドワイヤが目標点に向かう経路に沿って移動すると、残りの経路長906はゼロに向かって減少するように示される。最後に、ガイドワイヤの部分909は、経路のマスク908に沿ったその進行を表すことによって示すことができる。
【0040】
ブロック806で、少なくとも残りの経路長に基づいて、ガイドワイヤの遠位部が経路から外れていないかどうかが判定される。残りの経路長が減少しつつ、ゼロより大きいがゼロではない場合、ガイドワイヤは前進し続けている。一実施形態によると、ガイドワイヤが移動する速度は、残りの経路長に基づく制御ルールを使用して決定される。制御ルールは、負のフィードバック制御ルールとすることができ、結果としてシステムが安定(例えば、リアプノフ安定)であるように選択される。命令速度と残りの経路長の負の値との間の関係は、受動的な関係である。したがって、残りの経路長の負の値に基づく適切なフィードバック制御ルールも受動的である(線形時不変の場合には正実でもある)。受動制御ルールは、入力と出力の積の積分が正であることを満足するものである。したがって、負の値の残り経路長に基づく制御ルールの場合、入力は負の残り経路長であり、出力は負の速度である。一例の制御ルールでは、速度は残りの経路長に比例し、すなわち、残りの経路長が減少するにつれて、デバイスの速度が減少する。他の例では、速度は、飽和限界(例えば、ガイドワイヤ又は他のデバイスに対する最大許容速度に基づく限界)を伴って残りの経路長に比例する、速度は、双曲線正接関数などの連続的に滑らかな関数によってスケールされる、速度は、キューブマッピングによってスケールされる、又は、速度は、飽和限界を伴ってキューブマッピングによってスケールされる。正実(又は受動)システムを制御する方法の例は、Kottenstette, Nicholas, et al. “On relationships among passivity, positive realness, and dissipativity in linear systems.” Automatica 50.4 (2014): 1003-1016に記載されている。当該論文の全体は本明細書に援用される。別の実施形態では、ガイドワイヤの速度は、曲がりくねる、狭くなるといった経路の局所的な特性に基づいて調整することもできる。
【0041】
ブロック806で、ガイドワイヤが経路から外れていないかどうかを判定するために、様々なパラメータが使用される。一実施形態において、残りの経路長がゼロ未満(負の数)である場合、デバイスは経路から外れている。例えば、デバイスが、特定された経路の一部ではない子血管又は枝血管を下って目標点まで移動している場合、又は、目標点を過ぎてしまった場合、デバイスは経路から外れている可能性がある。ガイドワイヤが特定された経路から外れると、残りの経路長は、正の数から負の数に遷移し、負の方向に増加して、ガイドワイヤの遠位部が経路上にない枝血管を下って移動した距離を示す。ガイドワイヤが目標点を通過する場合、残りの経路長は正の数から負の数に遷移し、残りの経路長は負の方向に増加して、ガイドワイヤの遠位部が目標点を通過した距離を示す。残りの経路長の正の数から負の数への変化を操作者に表示することができ、例えば、図9でディスプレイ900は、残りの経路長906を負の数として表すことができる。
【0042】
ブロック807で、残りの経路長が減少していない場合、ガイドワイヤの遠位部の移動を停止して補正動作が必要であることを示すことができる。例えば、ガイドワイヤの近位端がカテーテル処置システムによって患者へ送られているけれども、ガイドワイヤの遠位部には移動がない場合、ガイドワイヤの遠位部の位置を変更するために補正動作が必要となる。ブロック806でガイドワイヤが経路から外れている場合、又は、ブロック807で残りの経路長が減少していない場合、カテーテル処置システムは、ブロック814で警告を発生する。警告は、ディスプレイ(例えば、図1に示されるディスプレイ120,122)でカテーテル処置システムの操作者に表示され、及び/又は、警告は、可聴のものである。別の実施形態では、処置を停止して、操作者が補正措置をとることができるように警告を操作者に表示する。別の実施形態では、カテーテル処置システムは、自動的に補正措置をとることができる。
【0043】
ブロック816で、ガイドワイヤ又はガイドワイヤの遠位部の位置が補正される。一実施形態において、残りの経路長が負の数に遷移すると、ガイドワイヤの速度は、残りの経路長に比例する負の数になり、つまり、ガイドワイヤの遠位部を後退させることができる。例えば、ガイドワイヤは、ガイドワイヤの遠位位置が、分岐する前のジャンクション上の経路に戻って配置されるか、又は、目標点まで戻るように後退させらる。別の例では、ガイドワイヤは、ガイドワイヤの遠位部が、分岐する前のジャンクション上の経路に戻って配置されるか、又は、目標点まで後退させられるまで、回転させされ、後退させられる。補正動作の別の例は、ガイドワイヤを正しい経路に向け直すために、ガイドカテーテルの遠位端の位置を調整することである。ガイドワイヤの遠位部はさらに、経路から外れている間近に来る枝血管を通過するように「小刻みに」動かされてもよい。一実施形態において、カテーテル処置システムは、ガイドワイヤの遠位部を再配置する補正動作を自動的に実行する。別の実施形態では、操作者がカテーテル処置システムのユーザインターフェースを使用して入力コマンドを提供することによって、ガイドワイヤを制御し、ガイドワイヤの遠位部の位置を調整する。一実施形態において、補正動作は、ガイドワイヤの位置が矯正されるまで、操作者によって繰り返し行われるか、カテーテル処置システムによって自動的に繰り返し行われる。例えば、ガイドワイヤの最初の後退でガイドワイヤの遠位部が経路上に配置されなかった場合、ガイドワイヤは再び後退させられる。一実施形態において、ガイドワイヤの遠位部の位置が経路にのるまで、異なるタイプの補正動作を連続して行うことができる。例えば、ガイドワイヤは、最初に後退させられ、次に回転させられ後退させられてもよい。ブロック816でガイドワイヤの遠位部の位置が補正されると、経路に沿ったガイドワイヤの前進が再開し、プロセスはブロック804へ続き、経路を通るデバイスの移動を追跡する。
【0044】
ブロック806に戻り、ガイドワイヤが経路上にある場合、経路に沿ったガイドワイヤの移動が継続する。ブロック807で、残りの経路長が減少している場合、経路に沿ったガイドワイヤの移動が継続する。ガイドワイヤ又は他の細長い医療デバイスは、血管系を通って前進する間に脱出を経験し得る。ブロック808で、ガイドワイヤの遠位部の脱出が検出された場合、ブロック818で警告が発生される。警告は、ディスプレイ(例えば、図1に示されるディスプレイ120,122)でカテーテル処置システムの操作者に表示されるか、及び/又は、警告は、可聴のものである。一実施形態において、脱出は、撮像システムを使用してガイドワイヤの遠位部を検査することによって検出することができる。図10は、一実施形態に係るワイヤ脱出のタイプを例示する。図10には、開放型脱出1002と閉鎖完全ループ型脱出1006が示されている。開放型脱出1002は、ガイドワイヤの遠位部1004が曲がっているが、完全なループではない状態である。一実施形態において、開放型脱出1002は、ガイドワイヤの遠位部1004の湾曲をチェックすることによって検出することができる。閉鎖型脱出1006は、ガイドワイヤの遠位部1008の完全なループが存在する状態である。一実施形態において、閉ループ型脱出1006は、形態学的充填を使用して検出される。遠位部1006の画像は、ループホールをチェックするために「塗りつぶされた」画像から差し引かれる。別の実施形態では、脱出は、例えば、ガイドワイヤの遠位部が脱出に移行しているかどうかを検出するために、以前の画像からの情報を使用して検出される。検出された脱出は、ブロック820で補正される。カテーテル処置システムは、ブロック820で脱出の補正をどのように進めるかについて示唆する技術を操作者に提供するように構成される。例えば、「ナックリング」技術、デバイスを停止し後退させる、デバイスを停止し回転させる、又はデバイスを回転させ後退させるなど、様々な案内技術を使用して脱出を補正できる。一実施形態において、カテーテル処置システムは、ガイドワイヤの遠位部の脱出を補正するために補正動作を自動的に実行する。別の実施形態では、操作者がカテーテル処置システムのユーザインターフェースを使用して入力コマンドを提供することによって、ガイドワイヤを制御する。一実施形態では、補正処置は、脱出が補正されるまで、操作者によって繰り返し行われるか、又は、カテーテル処置システムによって自動的に繰り返し行われる。例えば、ガイドワイヤの最初の後退で脱出が補正できなかった場合、ガイドワイヤをもう一度後退させることができる。一実施形態において、脱出が補正されるまで、異なるタイプの補正処置を連続して行うことができる。例えば、ガイドワイヤは、最初に停止とされ、後退させされ、次いで、ナックリング技術が使用される。ブロック820でガイドワイヤの遠位部の脱出が補正されると、経路に沿ったガイドワイヤの前進が再開し、プロセスはブロック804へ続き、経路を通るデバイスの移動を追跡する。ブロック810で、残りの経路長がゼロになった場合、ガイドワイヤの遠位部は、目標位置(点)に到達している。ガイドワイヤの移動は停止され、ブロック812で案内が終了する。
【0045】
図4に戻り、ブロック410で、目標位置に到達した場合、例えば、残りの経路長がゼロに等しい場合、デバイスの案内はブロック412で終了する。ブロック410で目標位置に到達していない場合、案内プロセスはブロック408に進む。
【0046】
上述の方法に従って、目標位置への経路を通してデバイスを案内し、目標位置への経路のマスクを生成する、コンピュータ実行可能命令は、コンピュータ可読媒体の形態で格納され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報の記憶に関する各種の方法又は技術で実施される、揮発性、不揮発性、リムーバブル、非リムーバブルの媒体を含む。コンピュータ可読媒体には、限定するものではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、又は他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、又は他の磁気ストレージデバイス、あるいは、所望の命令を記憶するために使用することができ、インターネット又は他のコンピュータネットワーク形態のアクセスを含め、システム100図1に示す)によってアクセスすることができる他のあらゆる媒体が含まれる。
【0047】
発明の詳細な説明は、最良の形態を含めて、本発明を開示するために、また、当業者が本発明をなし利用することを可能にするために、いくつかの例を使用した。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の例を含み得る。それら他の例は、それらの例が特許請求の範囲の文言と違わない構造要素を有する場合でも、又は、それらの例が特許請求の範囲の文言と多少異なる等価の構造要素を含む場合でも、特許請求の範囲内にあると見なされる。プロセス又は方法のどの過程の順序及び時系列も、代替の実施形態に従って変更又は再配列することができる。
【0048】
本発明の思想から逸脱することなく、本発明に多くの他の変更及び修正を加えることができる。これら及び他の変更の範囲は、特許請求の範囲から明らかになる。
図1
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図8
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図10
図11
図12