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特許7354247相対密度が高い高純度アルファアルミナ、該アルファアルミナの製造方法、及び該アルファアルミナの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】相対密度が高い高純度アルファアルミナ、該アルファアルミナの製造方法、及び該アルファアルミナの使用
(51)【国際特許分類】
   C01F 7/441 20220101AFI20230925BHJP
   C04B 35/111 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
C01F7/441
C04B35/111
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021528486
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019069950
(87)【国際公開番号】W WO2020020960
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】18186178.2
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501186162
【氏名又は名称】サゾル ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレックラー,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ミッツェル,ホルガー
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特表平06-500068(JP,A)
【文献】特開2010-150090(JP,A)
【文献】特開2016-037421(JP,A)
【文献】特開2011-126773(JP,A)
【文献】特開2011-207743(JP,A)
【文献】特開2012-140305(JP,A)
【文献】特開2012-150090(JP,A)
【文献】特表2002-522343(JP,A)
【文献】特開2003-277048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 1/00-17/38
C04B 35/111
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファアルミナを製造する方法であって、
(i)ベーマイトを含み、前記ベーマイトの結晶子サイズが、120軸に沿った長さが3.0~6.5nmの範囲にあり、かつ、020軸に沿った長さが3.0~6.0nmの範囲にあるベーマイトスラリーを提供する工程と、
(ii)(120)軸及び(020)軸の結晶子サイズが改質されたベーマイト粒子を含むベーマイトスラリー熟成体を取得すべく、前記ベーマイトスラリー熟成体が、以下の選択肢(a)~(c):
(a)前記ベーマイトの結晶子サイズの前記(120)軸に沿った長さと前記(020)軸に沿った長さとの差が0nmより大きく、かつ、1nm未満となるか、
(b)前記ベーマイトの結晶子サイズの前記(120)軸に沿った長さが30nmより大きくなるか、
のいずれか、又は
(c)選択肢(a)及び選択肢(b)の双方
に該当するまで、0.5~170時間、30~240℃の温度で前記ベーマイトスラリーの熟成を行う工程と、
(iii)ベーマイト乾燥体を形成すべく、前記ベーマイトスラリー熟成体の乾燥を行う工程と、
(iv)アルファアルミナを製造すべく、1~5時間のか焼時間、1300~1400℃の温度で前記ベーマイト乾燥体のか焼を行う工程と
を少なくとも含む
方法。
【請求項2】
前記ベーマイトスラリーは、アルコキシドアルミニウムの加水分解によって得られる
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(120)軸に沿った長さと前記(020)軸に沿った長さとの前記差は、0.05nmより大きく、かつ、1nm未満であ
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
選択肢(a)について、前記(120)軸に沿った長さは、7nm以上であ
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
選択肢(b)について、前記(120)軸に沿った長さは、40nmよりも大きい
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベーマイトの純度は、99.8000~99.9999%の範囲にあ
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ベーマイトスラリーは、25~40時間、95~160℃の温度で熟成させる
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(ii)の選択肢(b)について、前記(120)軸に沿った前記ベーマイト粒子の熟成体の結晶子サイズは30~100nmであ
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記乾燥を行う工程は、入口温度が300~500℃あり、出口温度が100~150℃ある噴霧乾燥機で行われる
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記か焼を行う工程は、1350~1400℃の間の温度行われる
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
純度が99.99%を超え、相対密度が9超え、かつ、BET表面積が10m/g未満である
アルファアルミナ。
【請求項12】
記BET表面積が4m/g以上かつ10m/g未満である
請求項11に記載のアルファアルミナ。
【請求項13】
サファイアの製造のための請求項11~12のいずれか一項に記載のアルファアルミナの使用。
【請求項14】
圧及び/又は焼結によるセラミック体又は複合体の製造のための請求項11~12のいずれか一項に記載のアルファアルミナの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルファアルミナを製造する方法に関し、特に、BET表面積の小さい、高純度かつ高密度のアルファアルミナを製造する方法に関する。本開示は更に、本開示の方法によって製造されたアルミナ、並びに、サファイアの製造又は複合体及びセラミック体の製造におけるアルファアルミナの使用まで拡張する。
【背景技術】
【0002】
超高純度アルミナの技術分野における焦点は、BET表面積の小さい、高純度かつ高密度のアルミナを製造することとなっている。特許文献1には、純度が99.99%以上であり、相対密度が55~90%であるアルファアルミナ粉末が記載されている。この粉末は、アルファアルミナの種結晶の存在下で、(理論量の水でアルミニウムアルコキシドを室温で加水分解することによって2段階の工程で得られる)非晶質アルミナ水酸化物をか焼することにより調製される。
【0003】
アルファアルミナの種結晶を用いずに、高純度かつ高密度のアルミナを製造すること、すなわち工程を簡素化する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第2070873号
【文献】米国特許第3394990号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、アルファアルミナ、特に高純度アルファアルミナを製造する方法が提供され、
(i)ベーマイトを含み、ベーマイトの結晶子サイズが、独立して、120軸に沿って3.0~6.5nmの範囲にあり、020軸に沿って3.0~6.0nmの範囲にあるベーマイトスラリーを提供する工程と、
(ii)(120)軸及び(020)軸の結晶子サイズが改質されたベーマイト粒子を含むベーマイトスラリー熟成体を取得すべく、以下の選択肢(a)~(c):
(a)ベーマイト粒子の(120)軸に沿った長さと(020)軸に沿った長さとの差が1nm未満となるか、
(b)ベーマイト粒子の(120)軸が30nmより大きくなるか、
のいずれか、又は
(c)選択肢(a)及び選択肢(b)の双方
に該当するまで、0.5~170時間、30~240℃の温度でベーマイトスラリーの熟成を行う工程と、
(iii)ベーマイト乾燥体を形成すべく、ベーマイトスラリー熟成体の乾燥を行う工程と、
(iv)アルファアルミナを製造すべく、1~5時間のか焼時間、1200~1600℃の温度でベーマイト乾燥体のか焼を行う工程と
を少なくとも含む。
【0006】
差は、(120)軸に沿った長さから(020)軸に沿った長さの減算を意味するしたがって、差は負の値ともなり得る。
【0007】
(120)軸に沿った長さと(020)軸に沿った長さとの差は、好ましくは、0nmよりも大きく、かつ、1nm未満であり、より好ましくは、0.05nmよりも大きく、かつ、1nm未満であり、更に好ましくは、0.1nmよりも大きく、かつ、1nm未満であり、最も好ましくは、0.5nmよりも大きく、かつ、1nm未満である。
【0008】
更に好ましいのは、選択肢(a)と選択肢(b)との組み合わせである。すなわち、工程(a)は、上述の好適な範囲を含み、同時に、(120)軸は30nmよりも大きい。
【0009】
更に要求されるのは、上述の方法により製造されたアルファアルミナ、並びに、サファイアの製造、又は、特に加圧及び/又は焼結によるセラミック体若しくは複合体の製造のためのアルファアルミナの使用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示については、(120)軸と(020)軸に沿った結晶子サイズの差が1nm未満であり、好ましくは、0nmより大きく、かつ、1nm未満であり、より好ましくは、0.05nmより大きく、かつ、1nm未満であり、更に好ましくは、0.1nmより大きく、かつ、1nm未満であり、最も好ましくは、0.5nmより大きく、かつ、1nm未満であるか、又は(120)軸に沿った結晶子サイズが30nmより大きい、好ましくは40nmより大きいか、のいずれかであるベーマイト粒子を、ベーマイトスラリー熟成体が生成することを可能にすることにより、アルミナの種結晶を用いることなく、相対密度が90%を超える純粋なアルミナを得ることができる。明確なように、本開示については、工程(ii)の選択肢(a)又は工程(ii)の選択肢(b)のいずれかに従うことが要求される。代替的に、選択肢(a)及び選択肢(b)の両方に従っていてもよい。
【0011】
選択肢(a)については、ベーマイト粒子の(120)軸に沿った長さ(工程(ii)の熟成を適用した後を意味する)は、好ましくは7nm以上であり、より好ましくは10nm以上であり、最も好ましくは13nm以上である。
【0012】
ベーマイトスラリーは、例えば特許文献2に記載のアルミニウムアルコキシドの加水分解等、本開示の技術分野で公知の方法で得ることができる。アルミニウムアルコキシドの加水分解により製造される市販品のベーマイトの例としては、PURAL(登録商標)及びCATAPAL(登録商標)が挙げられる。
【0013】
加水分解に用いられるアルコキシドアルミニウムの純度に依存して、ベーマイトの純度は99.8000~99.9999%、好ましくは99.9900~99.9997%の範囲となり、超高純度アルミナの分野で要求される純度となる。
【0014】
ベーマイトスラリーは、好ましくは、25~40時間、95~160℃の温度で熟成される。熟成は、撹拌下で行うことができる。撹拌は、特に選択肢(a)においては、パドル型撹拌機を用いて、0.5~4m/s、好ましくは1~3m/sの円周速度で供給できる。
【0015】
本開示によるベーマイト粒子の結晶子サイズは、一般的に既知のシェラー式(1):
結晶子サイズ=(K×λ×57.3)/(β×cosθ) …(1)
を用いて、(120)反射及び(020)反射で定量される。ここで、K(形状因子)は0.992であり、λ(X線波長)は0.154nmであり、β(装置の線幅拡大の補正値)は反射に依存し、θは反射に依存する。
【0016】
ベーマイトのX線回折パターンにおいて、(120)反射(120軸に沿った反射)が2θ=28.2°に位置し、(020)反射(020軸に沿った反射)が2θ=14.5°に位置することは、当業者に既知である。これらの値を用いて、式(2):
β=試料の半値幅-基準の半値幅 …(2)
によって算出された線幅広がりの補正値から、各反射に対応する結晶子サイズが、式(1)により算出される。
【0017】
選択肢(b)について、(120)軸に沿ったベーマイト粒子の熟成体の結晶子サイズは、好ましくは、30nmより大きく、30~100nm、より好ましくは、30nmより大きく、30~50nmであり、又は40nmより大きく、40~60nmである。
【0018】
乾燥工程は、噴霧乾燥機で行うことができる。一般的な温度は、入口温度が300~500℃、好ましくは320~400℃であり、出口温度が100~150℃、好ましくは110~120℃である。
【0019】
ベーマイトの乾燥体のか焼は、好ましくは1300~1400℃の温度、より好ましくは1350~1360℃の温度で行われる。か焼時間は、好ましくは3~4時間である。か焼炉の加熱昇温速度は、好ましくは2~8℃/分、より好ましくは4~8℃/分である。なお、か焼温度、か焼時間、昇温速度は、互いに独立して選択できる。
【0020】
本開示の方法では、相対密度が90%より、好ましくは94%より高く、かつ、BET表面積が10m/g未満であるアルファアルミナが生成される。
【0021】
したがって、本開示の第2の態様によれば、本開示の方法により製造されたアルファアルミナが提供される。
【0022】
本開示の方法に従って製造されたアルファアルミナは、純度が99.99%を超え、相対密度が90%を超え、好ましくは94%を超え、かつBET表面積が10m/g未満とすることができる。
【0023】
本開示の第3の態様によれば、純度が99.99%以上であり、相対密度が90%を超え、好ましくは94%を超え、かつBET表面積が10m/g未満であるアルファアルミナが提供される。
【0024】
本開示の更に好適な実施形態では、本開示のアルファアルミナは、サファイアを製造するための粉末状の原料として用いられる。例えば、サファイアは、アルファアルミナ粉末を坩堝に充填し、アルファアルミナ粉末を加熱溶融することにより製造できる。アルファアルミナ粉末は、坩堝内に高い嵩密度で充填することができ、空隙の少ないサファイアを製造するのに好適である。
【0025】
本開示の更に好適な実施形態では、本開示のアルファアルミナは、一般的には加熱及び/又は加圧によって金型で製造されるセラミック又は複合体の製造において、原料として用いられ、場合によっては別の原料とともに用いられる。
【0026】
次に、以下の非限定的な実施例を参照して、本開示を説明する。
【実施例
【0027】
結晶の大きさは、上記のシェラー式に従って測定した。
【0028】
高純度アルファアルミナの純度は、誘導結合プラズマ(ICP)発光により測定した。すなわち、マイクロ波加熱したSpectrosolv(登録商標)PSSを用いて溶解した後、ICP発光分光分析装置により、Ca、Fe、Na、Si、及びTiの含有量を測定した。
【0029】
純度は、式(3):
純度(%)=100[1-(不純物の総含有量(ppm)/10] …(3)
により算出する。
【0030】
純度(%)は、組成物に含まれる金属に対する重量パーセントを意味する。
【0031】
更に、硫酸塩、塩化物、及びリン酸塩の総含有量は、200ppm未満である。
【0032】
相対密度は、粒子密度から式(4)~(6):
閉孔容積(cm/g)=(1/粒子密度)-(1/3.98) …(4)
焼結密度(g/cm)=1.1/[(1/3,98)+細孔容積+閉孔容積] …(5)
相対密度(%)=(焼結密度/3.98)×100 …(6)
を用いて算出する。
【0033】
粒子密度(式4)は、ULTRA PYCNOMETER 1000 T(Quantachrome社)を用いて定量される。
【0034】
X線回折(XRD)測定はフィリップス社製の装置XRD X’pertを用いて行われる。
【0035】
細孔容積(式5)は、DIN 66133に準拠した水銀圧入法により、細孔半径が1.8~1000nmの範囲において定量される。
【0036】
BET表面積とは、Quantachrome社のQuadrasorb等の一般的な体積測定装置を液体窒素の温度で用いて、N吸着による比表面積を定量するBET(Brunauer-Emmett-Teller)法に関連する。当該表面積は、DIN ISO 9277:2003-05を用いて定量される。
【0037】
[比較例1(本開示の方法の工程(ii)の選択肢(a)に関連)]
PURAL(登録商標)の水懸濁液500g(10.5重量パーセントのAl、pH=9)は、110℃(1℃/分)に加熱したオートクレーブに添加された。反応条件を調整した後に、スラリーは、撹拌速度500rpmに対応する周速1.6m/sで運転した標準的な撹拌機を用いて、110℃で24時間熟成された。結晶子サイズは120軸に沿って14.1nm、(020)軸に沿って10.6nmであった。次いで、粒子を1350℃で4時間か焼した(加熱速度1℃/分)。純度が99.9990%の純粋なアルファアルミナが得られ、相対密度は59.6%であった。BET表面積は、16m/gであった。
【0038】
[比較例2(工程(ii)の選択肢(b)に関連]
PURAL(登録商標)の水懸濁液500g(7.5重量パーセントのAl)は、140℃(1℃/分)に加熱したオートクレーブに添加された。自生圧力(autogenous pressure)は5barであった。反応条件が調整された後、スラリーは、撹拌速度265rpmに対応する周速3.0m/sで運転した標準的な撹拌機を用いて、140℃で30時間熟成された。室温まで冷却した後、スラリーの熟成体を噴霧乾燥した(入口温度350℃、出口温度110℃)。結晶子サイズは120軸に沿って24.7nmであった。次いで、粒子を1350℃で4時間か焼した(加熱速度1℃/分)。純度が99.9992%の純粋なアルファアルミナが得られ、相対密度は85.2%であった。BET表面積は、11m/gであった。
【0039】
[実施例1(本開示の方法の工程(ii)の選択肢(a)に関連]
PURAL(登録商標)の水懸濁液500g(10.5重量パーセントのAl、pH=9)は、98℃(1℃/分)に加熱したビーカーに添加された。反応条件を調整した後、撹拌速度500rpmに対応する周速1.6m/sで運転した標準的な撹拌機を用いて、98℃で30時間熟成された。室温まで冷却した後、スラリーの熟成体を噴霧乾燥した(入口温度350℃、出口温度110℃)。結晶子サイズは、120軸に沿って13.8nm、020軸に沿って13.1nmであった。次いで、粒子を1350℃で4時間か焼した(加熱速度1℃/分)。純度が99.9996%の純粋なアルファアルミナが得られ、相対密度は97.9%であった。BET表面積は、4m/gであった。
【0040】
[実施例2](本開示の方法の工程(ii)の選択肢(b)に関連)
PURAL(登録商標)の水懸濁液500g(7.5重量パーセントのAl)は、160℃(1℃/分)に加熱したオートクレーブに添加された。自生圧力は10barであった。反応条件が調整された後、スラリーは、撹拌速度265rpmに対応する3m/sの周速で運転した標準的な撹拌機を用いて、160℃で30時間熟成された。室温まで冷却した後、スラリーの熟成体を噴霧乾燥した(入口温度350℃、出口温度110℃)。結晶子サイズは120軸に沿って35.8nmであった。次いで、粒子を1350℃で4時間か焼した(加熱速度1℃/分)。純度が99.9994%の純粋なアルファアルミナが得られ、相対密度は94.1%であった。BET表面積は、8m/gであった。
【0041】
[実施例3](本開示の方法の工程(ii)の選択肢(b)に関連)
PURAL(登録商標)の水懸濁液500g(7.5重量パーセントのAl)は、180℃(1℃/分)に加熱したオートクレーブに添加された。自生圧力は15barであった。反応条件が調整された後、スラリーは、撹拌速度500rpmに対応する1.6m/sの周速で運転した標準的な撹拌機を用いて、180℃で30時間熟成された。室温まで冷却した後、スラリーの熟成体を噴霧乾燥した(入口温度350℃、出口温度110℃)。結晶子サイズは120軸に沿って41.8nmであった。次いで、粒子を1350℃で4時間か焼した(加熱速度1℃/分)。純度99.9996%の純粋なアルファアルミナが得られ、相対密度は97.4%であった。BET表面積は、7m/gであった。
【0042】
実験結果の概要は、以下の表のとおりである。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
比較例と比較した実施例からわかるように、本開示の方法によれば、純度が99.99%を超え、相対密度が90%を超え、好ましくは94%を超え、かつ、BET表面積が10m/g未満のアルファアルミナが生成される。