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特許7354257改善された温度補償を有する遠隔シールシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】改善された温度補償を有する遠隔シールシステム
(51)【国際特許分類】
   G01K 13/02 20210101AFI20230925BHJP
   G01K 7/02 20210101ALI20230925BHJP
   G01K 7/18 20060101ALI20230925BHJP
   G01L 19/04 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
G01K13/02
G01K7/02 Z
G01K7/18 Z
G01L19/04
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021537819
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 US2019067881
(87)【国際公開番号】W WO2020139762
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】16/234,900
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ローゾン,デイビッド・アール
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,スコット・アール
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-501120(JP,A)
【文献】特開平03-107737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
G01L 7/00-23/32,27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔シールシステムであって、
プロセス流体に曝されるように構成された第1の側面を有する遠隔ダイヤフラムと、
前記遠隔ダイヤフラムの第2の側面と流体連絡している充填流体を有している導管と、及び
前記導管に熱的に結合され且つ前記充填流体の温度を感知するように構成された温度センサと、を含み、
前記温度センサが、前記導管に沿って配置され、複数の熱電対が互いに電気的に直列に結合されたサーモパイルを含む、
前記遠隔シールシステム。
【請求項2】
前記温度センサは、前記導管に沿った複数の別個の位置で前記充填流体の温度を感知する、請求項1に記載の遠隔シールシステム。
【請求項3】
前記温度センサは、前記充填流体の平均温度を示す温度信号を生成する、請求項1に記載の遠隔シールシステム。
【請求項4】
前記導管は、前記導管の外径の周りに配置された導管カバーを含む、請求項1に記載の遠隔シールシステム。
【請求項5】
前記温度センサは、前記導管カバー内の前記導管の周りに配置されている、請求項に記載の遠隔シールシステム。
【請求項6】
前記導管は、前記プロセス流体圧力送信機に結合するように構成されている、請求項1に記載の遠隔シールシステム。
【請求項7】
前記遠隔ダイヤフラムは、プロセス流体内の圧力の増加に応答して導管の方へ偏向される、ここで、前記遠隔ダイヤフラムの前記導管の方への偏向は、前記導管内の前記充填流体の圧力を増加させる、請求項1に記載の遠隔シールシステム。
【請求項8】
前記導管は、少なくとも1メートルの長さを有する、請求項1に記載の遠隔シールシステム。
【請求項9】
遠隔感知システムであって、
プロセス流体と流体連絡するように遠隔ダイヤフラムに結合された第1端部と、前記第1端部からプロセス流体圧力送信機まで長さを延ばしている第2端部とを有する可撓性の細長い導管と、
前記可撓性の細長い導管内に容れられた非圧縮性の充填流体と、
前記プロセス流体内の圧力を示す出力値を、前記充填流体の対応する圧力に基づいて生成するように構成されているプロセス流体圧力送信機と、
前記可撓性の細長い導管に結合され、且つ前記可撓性の細長い導管に沿った前記充填流体の平均温度を示す信号を提供するように構成された温度検出器と、及び
前記平均温度に基づいて熱膨張値を計算し、且つ前記熱膨張値に基づいて前記圧力の信号を調整する補償システムと、
を含む、
前記遠隔感知システム。
【請求項10】
前記可撓性の細長い導管は、前記プロセス流体圧力送信機の外部に配置されている、ここで、前記温度検出器は、前記充填流体において感知された平均温度に基づいて温度信号を生成する、請求項に記載の遠隔感知システム。
【請求項11】
前記プロセス流体圧力送信機は、温度信号及び前記可撓性の細長い導管の長さに基づいて前記充填流体の熱膨張を計算するように構成されたプロセッサを含んでいる、請求項に記載の遠隔感知システム。
【請求項12】
前記可撓性の細長い導管の前記長さは、ユーザインタフェースを介して前記プロセス流体圧力送信機へ提供される値である、請求項11に記載の遠隔感知システム。
【請求項13】
前記可撓性の細長い導管の前記長さは、プロセス通信を介して前記プロセス流体圧力送信機へ提供される、請求項11に記載の遠隔感知システム。
【請求項14】
前記温度検出器は、前記可撓性の導管に沿って不均一な仕方で配置されている、請求項に記載の遠隔感知システム。
【請求項15】
前記温度検出器は、前記プロセス流体圧力送信機の外部の周囲温度を示すセンサ信号を生成する、請求項に記載の遠隔感知システム。
【請求項16】
前記プロセス流体圧力送信機は、前記可撓性の細長い導管の長さを示す値を記憶しており、前記値は、製造中に前記プロセス流体圧力送信機内に事前にプログラムされている、請求項に記載の遠隔感知システム。
【請求項17】
前記プロセス流体圧力送信はまた、前記可撓性の細長い導管の垂直方向の長さを示す値を記憶している、請求項16に記載の遠隔感知システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ある種のプロセス制御システムを設置する場合に、導管又は貯蔵タンク内のプロセス流体の圧力を遠隔監視するために、圧力送信機が用いられる。圧力送信機は、圧力が監視される離れた場所へ流体的に結合された圧力センサの電気的表示を測定するか又は取得する回路を含んでいる。圧力センサ信号の大きさは、離れた場所でのプロセス流体の圧力を表す。
【0002】
遠隔シール又は遠隔ダイヤフラムアセンブリは、圧力送信機(多数の電子回路を含む)を危険な測定環境から離すために、又は不便な場所であるプロセス流体測定場所へ圧力送信機を結合するために用いられることがある。例えば、遠隔プロセスシールは、腐食性の高温プロセス流体(例えば、製油所や化学プラントで使用されるようなもの)で使用できる。そのような場合、ダイヤフラムアセンブリ及び毛細管を備えた機械式遠隔シールは、離れた場所からの圧力を安全な間隔離れた圧力送信機に関連付けるために用いられる。遠隔シールにおける可撓性ダイヤフラムは、プロセス流体を毛細管内の充填流体から隔離する。隔離ダイヤフラムが移動すると、充填流体(それは実質的に非圧縮性である)が、毛細管を介して圧力送信機内又は圧力送信機上に置かれた圧力センサへ圧力変化を変換する。圧力送信機の圧力センサ(それは感知ダイヤフラムを含みうる)は、充填流体を介して遠隔の圧力を感知し、プロセス流体の圧力に関連する信号を生成する。
【0003】
毛細管は、圧力送信機をプロセス流体と結合するために数十メートル延びることができる。毛細管の長さを個別扱いする際のコストと困難さのために、遠隔シールアセンブリは通常、毛細管のストック長で利用可能に作られている。毛細管のかなりの長さ、及び毛細管及び/又は充填流体の熱膨張及び/又は別の熱特性は、圧力センサからの測定値において温度に起因する誤差を生じさせる可能性がある。従って、温度補償を備えた改良された遠隔シールシステムを提供することは、そのような遠隔シールシステムの精度を改善し、ひいては、より効果的なプロセス制御を容易にするであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
遠隔シールシステムは、プロセス流体に曝されるように構成された第1の側面を有する遠隔ダイヤフラムを含む。導管は、上記遠隔ダイヤフラムに結合され、且つ上記遠隔ダイヤフラムの第2の側面と流体連絡している充填流体を含む。温度センサは、上記導管に熱的に結合され、且つ上記充填流体の温度を感知するように構成されている。1例において、遠隔感知アセンブリは、プロセス流体と流体連絡している遠隔ダイヤフラムに結合された第1端部と、上記第1端部からプロセス流体圧力送信機まで長さを延ばす第2端部とを有する可撓性の細長い導管を含む。実質的に非圧縮性の充填流体が、上記可撓性の細長い導管内に配置されている。上記プロセス流体圧力送信機は、上記プロセス流体内の圧力を示す出力値を、充填流体内の対応する圧力に基づいて生成するように構成されている。温度検出器は、上記可撓性の細長い導管に結合され、且つ可撓性の細長い導管に沿った上記充填流体の平均温度を示す信号を提供するように構成されている。補償システムは、上記平均温度に基づいて熱膨張値を計算し、且つ上記熱膨張値に基づいて上記圧力信号を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の1実施形態による、毛細管補償部を備えた遠隔シール部を用いるプロセス流体圧力測定システムの概略図である。
図2】本発明の1実施形態による遠隔シールシステムの概略図である。
図3】本発明の別の実施形態による遠隔シールシステムの概略図である。
図4】本発明の1実施形態による、平均化RTDに使用され得る3つの異なる材料(白金、銅、及びニッケル)に対する様々な温度ベースの抵抗特性を示す図面である。
図5】本発明の1実施形態による、プロセス圧力送信機内の電子機器の概略図である。
図6】本発明の別の実施形態による、プロセス流体圧力を毛細管温度で補償するためのシステムの概略図である。
図7】本発明の1実施形態による、遠隔シールシステムを製造する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
上記のように、遠隔シールシステムは、一般に、1又は複数の離れた測定点から圧力センサに測定のために圧力を伝達するための毛細管を含む。毛細管が垂直に走行している場合、又は垂直である構成部分を有する場合でさえ、充填流体の流体力学的圧力により、圧力測定で誤差が発生する可能性がある。さらに、毛細管内の充填流体の密度は温度とともに変化する可能性があり、密度の変化及び毛細管脚の高さに比例して圧力測定にさらなる誤差を引き起こす可能性がある。さらに、毛細管内の充填流体の温度による熱膨張又は収縮、及び毛細管自体の材料も、誤差の追加の原因を生じる可能性がある。
【0007】
密度は主に温度に依存するので、温度によって誘発される密度の変化は、処理システム(例えば、圧力送信機のマイクロプロセッサ、又はプロセス制御室のコンピュータ)を用いて数学的に補償されうる。そのような補償を提供する際の1つの困難は、実際には毛細管の全長にわたって温度が変化する可能性があることである。このような変動は、毛細管の一部分の部分的な日当り又は部分的な日陰、プロセス状態又は周囲温度勾配への部分的な曝露によって引き起こされうる。このことは、遠隔シール設置の温度を適切に表示するために単一点測定を用いることを困難にする可能性がある。さらに、熱補償を実行するために毛細管上に又はその近くの周囲状態に外部温度センサを設置することは困難である。何故なら、そのような補償は、多くの場合、設置への追加の導管及び配線を走行させる必要があるからである。
【0008】
本明細書で提供される実施形態は、一般に、毛細管で製造されるか、又は毛細管上に組み立てられる特殊な温度センサを介して、毛細管全体の温度勾配の正確な表示を得ることを容易にする。この特殊なセンサは、毛細管全体にわたる温度の平均値又は別の集約関数を指示する単一の量(例えば、温度ベースの抵抗、又は温度ベースの電圧)を提供しうる。
【0009】
図1は、本発明の1実施形態による、毛細管補償を備えた遠隔シール部を用いるプロセス流体圧力測定システムの概略図である。図1に示されたように。圧力送信機100は、それぞれの毛細管106、108を介して遠隔シール部102、104に流体的に結合されている。毛細管106、108は、数十メートルの長さでありうる。しかし、本明細書で規定されるように、毛細管は、少なくとも1メートルの長さを有する可撓性の細長い導管である。
【0010】
示された例において、遠隔シール部は、流体封入タンク110に動作可能に結合されている。時には、遠隔シール部104及び遠隔シール部102からのこれら指示の間の圧力差が、上記タンク110内の流体レベルの指示を与えうる。示されたように、毛細管108は、波括弧記号112によって示される重要な垂直成分を有している。更に、毛細管106は、垂直成分は少ないが、余分な毛細管ラインの重要な部分として、コイル114に巻かれ、スタンド116に取り付けられる。毛細管108は直射日光の当たる場所に配置されうるが、一方、毛細管106は日陰に置かれうる。更に、毛細管108よりも低く配置されて示されているコイル114は、地面に近接しているため、毛細管108とは幾分異なる温度にある可能性がある。更に、上記タンク110が高温である場合、毛細管108が上記タンク110に近接すると、毛細管108は、タンク110から離れて配置されたコイル114に主に巻かれる毛細管106よりも暖かくなりうる。このようにして、実際の設置の詳細は、プロセス流体圧力送信機100内の圧力センサによって毛細管106、108から最終的に読み取られる圧力に影響を及ぼしうる非常に複雑な熱システムを生成する。
【0011】
図2は、本発明の1実施形態による遠隔シールシステムの概略図である。遠隔シールシステム150は、一対の取付フランジ152、154を含み、これらは、プロセス流体容器又は導管(例えば、タンク110)のプロセス流体と直接接触する隔離ダイヤフラム158を密封的に提供するために、ボルト締めフランジ接続156を介して一緒に取り付けられる。プロセス流体導管は、図2には示されていないが、フランジ154の左側に配置される。プロセス流体の反対側の隔離ダイヤフラムの側は、圧力送信機又はセンサ(例えば、プロセス流体圧力送信機100)に、端部162を経由して流体的に結合された充填流体160と流体接触している。
【0012】
本発明の1実施形態によれば、平均化RTD素子164は毛細管166の周りに巻かれ、且つ1実施形態において、実質的に毛細管166の全長に延在している。平均化RTD素子164は、1実施形態において、その材料が温度及び距離に比例する抵抗を有する薄い絶縁線である。ほとんどのRTD材料の抵抗は、高精度の測定に関しては若干非線形であるが、毛細管実装に関する一般的な温度範囲で毛細管の有効平均温度を提供するには十分に線形である。同じことが、温度に対する密度に関して、毛細管の充填流体にも当てはまる。平均化温度センサ164は、センサの抵抗に基づいて平均温度値を決定するために、プロセス流体圧力送信機100内の適切な電子機器、又は別個の温度送信機に結合されている。次に、この平均温度値は、遠隔プロセスの流体圧力値を、温度に依存する密度、及び/又は、熱膨張若しくは収縮の変動に対して補正するために用いることができる。1実施形態において、この補償は、プロセス流体圧力送信機100のプロセッサ内に、又は任意の適切なプロセスコントローラ内に格納された参照テーブルを用いて実行されうる。従って、実際の補償は、プロセス流体圧力送信機100又は別の適切なデバイス(例えば、プロセス制御室に配置されたコンピュータ)内で行われ得ることに留意されたい。
【0013】
図3は、本発明の別の実施形態による遠隔シールシステムの概略図である。図3に示された実施形態の多くの構成要素は、図2のものと類似であり、類似の構成要素には類似の参照符号が付けられている。図3に示された実施形態と図2の実施形態との間の主な違いは、平均化温度センサの形式にある。平均化RTDを提供する代わりに、図3に示された実施形態は、互いに電気的に直列に結合された複数の間隔を空けた熱電対(サーモパイルとしても知られる)を用いて、平均値を示している全体的な値(例えば電圧)を提供する。熱電対を用いる実装は、毛細管の防護材の内側に統合するのをより困難にする可能性があるけれども、熱電対254は、毛細管の防護材の外側に取り付けることができ、依然として遠隔シールシステムの不可欠な構成要素である。
【0014】
平均化RTD又はサーモパイルは遠隔シールシステムに不可欠であるので、それは、RTD又は熱電対の実装を、温度送信機に接続するという比較的簡単な問題にする。そのように接続されると、平均化センサは、温度計算における或る係数の何らかの潜在的調整力を備える、ポイント測定RTDと同じ機能を基本的に提供する。更に、平均化はセンサ自体によって行われるので、単一の温度入力のみを備えた温度送信機(例えば、ミネソタ州シャコピーのRosemount会社から商品名3051S Multi-Variable Transmitterで販売されている温度送信機によって提供されるもの)が使用されうる。そのようなデバイスは、平均温度を読み取り必要に応じて補正計算を実行することもできる。
【0015】
図3及び図4に関して示され説明される実施形態は、毛細管に沿って連続的又は一定の間隔で感知素子を提供するが、感知素子は、用途に応じて不均一な仕方で変化させられ又は配置されうることが明らかに意図されている。例えば、毛細管の一部分は、垂直である毛細管のその部分のみが測定されるように、温度感知素子に特別にフィットさせられうる。追加的又は代替的に、毛細管に沿って複数の長さが、温度感知素子のための提供されうる‐最初の長さは密度効果に対処するためであり、そして全長は体積効果(不平衡システムにおける)を補償するためである。
【0016】
図4は、本発明の1実施形態による、平均化RTD 164に対して用いられうる3つの異なる材料(白金、銅、及びニッケル)の様々な温度ベースの抵抗特性を示す図面である。図4に示されるように、プラチナの約0℃から400℃の動作範囲において、高度に線形な出力が提供される。さらに、白金の抵抗は、銅やニッケルの抵抗よりも摂氏1度あたりで大きく変化する。しかし、図4に示されるように、銅とニッケルは、比較的線形の領域においてより高い温度(600℃)まで用いられうる。
【0017】
遠隔シール毛細管で使用できる充填流体の例には、シリコーン200、トライサーム300、シリコーン704、シリコーン705、UltraTherm(商標)805、SYLTHERM(商標)XLT、不活性(ハロカーボン)、Neobee M-20(登録商標)、グリセリン及び水、及びプロピレングリコールと水が包含される。充填流体の温度ベースのパラメータの例として、シリコーン704が25℃で1.07の比重を有することに留意されたい。更に、シリコーン704の熱膨張係数が、0.00095cc/cc/℃(0.00053cc/cc/°F)である。さまざまな充填液とその熱特性に関する詳細が、Rosemount DP Level Fill Fluid Specification, Technical Note 00840-2100-4016、Rev EB、2017年9月に記載されている。
【0018】
図5は、プロセス流体圧力送信機100内の電子機器の概略図である。プロセス圧力送信機100は、全ての回路構成要素に結合された電力供給モジュール300を含み、「全てに」とラベル付けされた矢印によって示されている。プロセス流体圧力送信機100が、有線プロセス通信ループ(例えば、Highway Addressable Remote Transducer(HART(登録商標))ループ、又はFOUNDATION(商標)Fieldbusセグメント)に結合される実施形態において、電力モジュール300は、送信機100の様々な構成要素を動作させるために、ループ又はセグメントから受信した電力を調整する適切な回路を含む。従って、そのような有線プロセス通信ループの実施形態において、電力供給モジュール300は、デバイス全体がそれが結合されるループによって電力を供給されることを可能にする適切な電力調整を与えうる。別の実施形態において、無線プロセス通信が用いられる場合、電力供給モジュール300は、電源(例えば、バッテリ及び適切な調整回路)を含みうる。
【0019】
通信回路302は、少なくとも1つのプロセス通信業界標準プロトコルに従って通信するように構成されている。有線プロセス通信業界標準プロトコルの例には、HART(登録商標)及びFOUNDATION(商標)Fieldbusプロトコルが含まれる。更に、無線プロセス業界標準プロトコルも使用できる。例えば、WirelessHART(登録商標)Protocol(IEC62591)も使用できる。通信回路302は、コントローラ304に、プロセス業界標準通信ループ又はセグメント上での通信をする能力を与えるように、コントローラ304に結合されている。
【0020】
コントローラ304は、論理又は回路の何らかの構成であり得、圧力センサ信号に関するデジタル情報を取得し、且つプロセス流体圧力出力を提供することができる。1実施形態において、コントローラ304はマイクロプロセッサである。コントローラ304は、圧力センサ308の電気的特性を測定するように構成された測定回路306に結合されている。例えば、圧力センサ308は、一対のプロセス流体圧力入力の間の差圧に応答して変化する容量を有することができ、且つ測定回路306は、変化する容量の示す情報を提供することができる。従って、圧力センサが抵抗信号を有する実施形態において、測定回路306は、圧力ベースの抵抗を決定するように構成される。測定回路306は、アナログ-デジタル変換器、多重化回路、増幅、及び/又は、線形化回路などの任意の適切な組み合わせを含みうる。測定回路306は、プロセス流体圧力の表示を得るために圧力センサ308に結合されている。コントローラ304は、1又は複数のボタン又はユーザ操作可能要素及びディスプレイの形態でのユーザインタフェースを含むか、又はそれらに結合されえて、ユーザがプロセス圧力送信機100に情報を入力することを可能にする。例えば、ユーザは、1又は複数の毛細管の長さを入力でき、及び/又は毛細管内の様々に可能な充填流体の中から選択することができる。追加的又は代替的に、ユーザは、ユーザインタフェースを用いて、毛細管走行の垂直成分を入力するか、又は提供することができる。追加的又は代替的に、コントローラ304は、通信回路302を用いるプロセス通信を介して、充填流体及び/又は毛細管長を示す情報を受信しうる。追加的又は代替的に、毛細管長及び/又は毛細管垂直長さは、製造中にコントローラ304に事前にプログラムされうる。
【0021】
上記のように、遠隔シールシステムにおいて、プロセス流体圧力センサは、遠隔シールによってプロセス流体容器又は導管から離間されたプロセス流体圧力送信機内に配置される。図5に示された実施形態において、測定回路306はまた、少なくとも1つの毛細管の平均温度の表示を提示する平均化温度センサ310に結合されている。複数の毛細管が用いられる実施形態において、複数のそのような温度センサが同様に用いられうることが明確に意図されている。測定回路306は、これら平均温度の表示をコントローラ304に提供し、上記コントローラ304は次いで、測定されたプロセス流体圧力値を、各個別の導管の平均温度によって補償するために、使用中の特定の充填流体(例えば、上記列挙されたもの)に関する情報、及びそのような充填流体の様々な熱特性を使用することができる。代わりに、複数の平均化温度センサを備えた実施形態において、2つの複数の毛細管について単一の平均値を得るために、上記センサは一緒に配線され又は連鎖されうることが明確に意図されている。
【0022】
図6は、本発明の別の実施形態による、プロセス流体圧力を毛細管温度で補償するためのシステムの概略図である。図6は、プロセス通信ループ又はセグメント402を介して制御室400に動作可能に結合されたプロセス流体圧力送信機100を示す。更に、プロセス流体圧力測定実装の1又は複数の毛細管は、上記のように温度センサを含み、上記温度センサは毛細管温度の平均出力を与える。そのような温度センサは、温度送信機404に結合され、それは公知の技術に従って、平均化温度センサの電気的特性(例えば、抵抗)を測定し、その指示をプロセス通信ループ又はセグメントを介して制御室400に提供する。次に、制御室400内のコンピュータ又は別の適切なプロセッサは、プロセス流体圧力送信機100によって使用されている特定の充填流体の知識、及び温度送信機404によって報告された温度を用いて、温度補償された圧力出力(P(T))を提供するために、圧力送信機100から受信した圧力測定値を、温度送信機404から受信された温度に基づいて補償又は調整する。
【0023】
図7は、本発明の実施形態による遠隔シールシステムを製造する方法の流れ図である。本方法500は、ブロック502で始まり、そこでは、第1端部から第2端部まで延在し、且つその中に充填流体を含むように構成される導管が提供される。次に、ブロック504で、隔離ダイヤフラムが第1及び第2端部の1つにシールされる。ブロック506で、集合温度感知システムが、少なくとも導管の長さに沿って結合される。1例において、集合温度感知システムは、導管の実質的に全長に及ぶ平均化RTDである。次に、ブロック508で、保護材料又は防護材が、導管の外径の周りに提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7