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特許7354266皮膚疾患及び他の病態の治療用の一連の化合物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】皮膚疾患及び他の病態の治療用の一連の化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 39/19 20060101AFI20230925BHJP
   C07C 39/225 20060101ALI20230925BHJP
   C07C 59/125 20060101ALI20230925BHJP
   C07C 235/18 20060101ALI20230925BHJP
   C07D 213/16 20060101ALI20230925BHJP
   C07D 213/64 20060101ALI20230925BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20230925BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20230925BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230925BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20230925BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230925BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230925BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 31/16 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 31/4406 20060101ALI20230925BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20230925BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20230925BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230925BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
C07C39/19 CSP
C07C39/225
C07C59/125 A
C07C59/125 E
C07C235/18
C07D213/16
C07D213/64
A61Q19/02
A61Q19/08
A61P43/00 111
A61P39/06
A61P17/16
A61P17/00
A61P35/00
A61K8/34
A61K31/05
A61K8/36
A61K31/19
A61K8/362
A61K8/42
A61K31/16
A61K8/49
A61K31/4406
A61K31/44
A23L2/00 A
A23L2/52 101
A23L2/02 A
A23L2/02 E
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021545266
(86)(22)【出願日】2019-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2019056022
(87)【国際公開番号】W WO2020081405
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】62/745,380
(32)【優先日】2018-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521158428
【氏名又は名称】ユニゲン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナンディ,サンディップ・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ホーム,テレサ
(72)【発明者】
【氏名】ドーキンス,ケリー・ローズ
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-125734(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0243069(US,A1)
【文献】特開平03-109319(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103497091(CN,A)
【文献】特開平11-322528(JP,A)
【文献】特開2017-114878(JP,A)
【文献】Organic Letters,2018年09月26日,Vol.20(19),p.6289-6293
【文献】Heterocycles,1978年,Vol.10,p,105-109
【文献】Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1,1984年,Vol.12,p.2881-2886
【文献】European Journal of Organic Chemistry,2018年03月22日,Vol.2018(11),p.1307-1311
【文献】Journal of the American Chemical Society,1974年,Vol.96(26),p.8046-8054
【文献】Journal of the American Chemical Society,2010年,Vol.132(40),p.13981-13983
【文献】Revista Brasileira de Biologia,1981年,Vol.41(1),p.197-203
【文献】Journal of Economic Entomology,1972年,Vol.65(6),p.1644-1647
【文献】Journal of Organic Chemistry,2017年11月30日,Vol.83(1),p.296-302
【文献】Angewandte Chemie, International Edition,2014年,Vol.53(47),p.12907-12911
【文献】RN:1980008-54-5,Registry(STN) [online],2016年08月25日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61Q
A61P
A61K
C07D
A23L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、
Rが、フェニル、ナフチル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジルから構成される群から選択される芳香環又は複素芳香環から構成される群から選択され、
Rは、独立して、C-C10アルキル基又はC-C10アルコキシ基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されている。]
の化合物。
【請求項2】
式I:
【化2】
[式中、
Rが、1’-(4’-ヒドロキシ)フェニル、1’-(3’-ヒドロキシ)フェニル、1’-(2’,4’-ジヒドロキシ)フェニル、1’-(3’,5’-ジヒドロキシ)フェニルから構成される群から選択される、E型及びZ型幾何異性体である。]
の化合物。
【請求項3】
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4)
から構成される群から選択される化合物。
【請求項4】
式II:
【化3】
[式中、
Rが、フェニル、ナフチル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルから構成される群から選択される芳香環又は複素芳香環から構成される群から選択され、
Rは、独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されており、
Rがフェニルの場合、Rは1個のC-C10アルキル基又は1個のヒドロキシル基で置換されている。]
の化合物。
【請求項5】
式II:
【化4】
[式中、
Rが、1’-(4’-ヒドロキシ)フェニル、1’-(2’,4’-ジヒドロキシ)フェニル、1’-(3’,5’-ジヒドロキシ)フェニル、1’-(4’-ヒドロキシ)ナフチル、3’-ピリジル、2’-ピリジル、3’-ピリジル、1’-(4’-メトキシ)-3’-ピリジルから構成される群から選択される。]
の化合物。
【請求項6】
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14)
から構成される群から選択される化合物。
【請求項7】
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);又は
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7)
から構成される群から選択される、化合物。
【請求項8】
式III:
【化5】
[式中、
Rが、フェニル、ナフチル、ビフェニル、3-ピリジル、4-ピリジル、3-フラニルから構成される群から選択される芳香環又は複素芳香環から構成される群から選択され、
Rは、独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されており、
Rがフェニルの場合、Rは、独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されている(但し、Rは1個のイソプロピル基で置換されているフェニル基ではない。)。]
の化合物。
【請求項9】
Rが、1’-(3’,5’-ジヒドロキシ)フェニルから構成される群から選択される、E型及びZ型幾何異性体の、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
から構成される群から選択される化合物。
【請求項11】
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩を含有する、組成物。
【請求項12】
メラニン産生を抑制するための、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する、医薬組成物。
【請求項13】
メラニンの過剰産生又は不均一分布に関連する疾患及び病態を予防及び治療するための、有効量の以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する、医薬組成物。
【請求項14】
皮膚の美白及び/又は明色化のための、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する、医薬組成物。
【請求項15】
チロシナーゼ阻害に関連する症状、病態、障害又は疾患を伴う、メラニン合成を予防するための、有効量の以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する、医薬組成物。
【請求項16】
非チロシナーゼ阻害に関連する症状、病態、障害又は疾患を伴う、メラニン合成を予防するための、有効量の以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する、医薬組成物。
【請求項17】
フリーラジカル、酸化ストレス、紫外線誘発皮膚損傷、皮膚老化、皮膚炎症性疾患又は障害、皮膚変性疾患又は障害に関連する、症状、病態、障害又は疾患を伴う疾患を予防及び治療するための、有効量の以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する、医薬組成物。
【請求項18】
果物、野菜、ジュース及び他の食品の茶変及び変色の抑制方法であって、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含む化合物を施すことを含む、前記方法。
【請求項19】
前記疾患及び病態が、日焼け;皮膚老化、肝斑、肝疾患、熱傷及び局所創傷に起因する色素沈着過剰斑;真菌、微生物及びウイルス感染症に起因する炎症性の病態を原因とする皮膚の色素沈着、白斑、癌腫、メラノーマ並びに他の哺乳動物の皮膚の病態を含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
プロピオニバクテリウム属(アクネ菌:p-acnes)の活性を抑制するための、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する、医薬組成物。
【請求項21】
COX-1、COX-2及び5-LOX等の炎症性サイトカインの活性を不活性するための、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する、医薬組成物。
【請求項22】
前記疾患及び病態が、日焼け;皮膚老化、肝斑、肝疾患、熱傷及び局所創傷に起因する色素沈着過剰斑;真菌、微生物及びウイルス感染症に起因する炎症性の病態を原因とする皮膚の色素沈着、白斑、癌腫、メラノーマ並びに他の哺乳動物の皮膚の病態から構成される群から選択される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記炎症後の色素沈着過剰(PIH)が、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、色素失調症、扁平苔癬、エリテマトーデス、モルフェア、機械的外傷、イオン化若しくは非イオン化放射線、火傷、レーザー若しくは薬物療法、皮膚感染症又はその組み合わせから誘発される、請求項22に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の保護対象は一般に、メラニン生成により助長されるものを含む疾患及び病態の予防と治療に関する。具体的に、本願の保護対象はメラニン生成抑制・抗酸化作用を目的とした一連の化合物及び組成物とそれらの使用を含む。本願の保護対象は尋常性ざ瘡に起因する皮膚障害並びに関連する炎症性及び炎症後の色素沈着過剰症の治療も含む。更に、これらの化合物の合成方法も本願の保護対象に含まれる。
【背景技術】
【0002】
皮膚の過剰な色素沈着を抑制又は予防できる物質の需要は大きい。皮膚の天然色素であるメラニンは、メラノサイト内に存在する膜結合オルガネラであるメラノソームで合成される窒素含有高分子である。メラニンは皮膚の種類(遺伝的素質)と環境条件に応じて種々の濃度で産生される。メラノサイトは人体の表皮基底膜、毛包、眼球、内耳、骨、心臓及び脳に存在するメラニン産生細胞である。紫外(UV)線等の因子により刺激されると、メラノサイトはより迅速に分裂し、より多量のメラニンを産生する。その後、メラニンは成熟したメラノソームに包まれて表皮の内側のケラチノサイトに輸送され、褐色~黒色(ユーメラニン)から赤色~黄色(フェオメラニン)の皮膚の色として目に見えるようになる(Prota G.Med.Res.Rev.1988,8,525-556)。人体の皮膚において、メラニンは紫外線に対する防御剤として作用すると考えられている。このため、赤道の近くに住む人々は赤道から離れた地域に住む人々よりも皮膚の色が濃い。メラニンの過剰産生は皮膚の色や毛髪の色の種々の異常に加え、肝斑、老人性色素斑及び光線曝露部位損傷等の他の皮膚障害を誘発する可能性がある(Seiberg et al.(2000)J.Invest.Dermatol.115:162;Paine et al.(2001)J.Invest.Dermatol.116:587)。
【0003】
従来技術の図1に示すように、種々の方法で機能するようにメラニン生成(melanogenesis:メラニンの産生)のモジュレーターを設計又は選択することができる。従来技術の図1を参照して説明すると、シグナル伝達カスケードを活性化する外部シグナルに応答してユーメラニンとフェオメラニンの2種類のメラニンが合成され、MITF転写因子が活性化されると共に、メラニン生成に直接関与する酵素を含む下流の遺伝子産物が産生される。メラノサイト細胞表面のKIT、MC1R又は他の受容体を介するリガンド結合によりPKC(茶色)、cAMP(青)、MEK(紫)又はWNT(オレンジ色)経路が活性化されると、MITFが活性化される。メラニン生成関連遺伝子のアップレギュレーションにより、膜結合小胞であるメラノソームでメラニンの産生が可能になる。
【0004】
メラニンはチロシナーゼ酵素により前駆体から産生されるが、これには厳密な要件がある。ヒトチロシナーゼには、チロシンからL-ドーパへの変換を触媒するチロシン水酸化と、L-ドーパからドーパキノンへの変換を触媒するドーパ酸化の2つの異なる作用がある。チロシンからユーメラニンを産生するには両方の段階が必要である。他のチロシン基質が必要な場合には、フェニルアラニンヒドロキシラーゼがフェニルアラニンからチロシンの産生を触媒する。下流のエフェクターからユーメラニンへの変換を行うのは他の酵素であるチロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1)とチロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2)である。
【0005】
メラノサイトでは、複数のレベルでメラニン生成の調節が行われる。チロシナーゼと、TRP1やPMEL17(プレメラノソームタンパク質17)等の他のメラニン生成関連タンパク質は、遺伝子発現レベルで小眼球症関連転写因子MITFにより調節される。MITFが活性化されると、これらの遺伝子の発現が亢進し、その結果、メラニン産生が亢進する。MITFの活性化状態はcAMP経路、MEK経路、PI3K経路及びWnt経路からの下流キナーゼにより調節され、これらの経路は受容体と結合するリガンドにより細胞表面で調節される。Kit受容体はそのリガンドである幹細胞増殖因子(SCF)により活性化され、MC1Rはα-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)又は副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)により活性化される。これらの受容体又はこれらのシグナル伝達カスケードに関与する他の受容体とリガンドが結合すると、キナーゼシグナル伝達経路の活性化と下流のMITFの活性化、メラニン生成遺伝子のアップレギュレーション、及びメラニンの産生を生じる。
【0006】
メラニン生成調節には構造成分も関与している。PMEL17はメラニン中間生成物と結合し、メラニン生成酵素であるチロシナーゼ、TRP1及びTRP2による標的触媒を可能にする糖タンパク質であるが、メラノソーム自体の内側において、メラニン生成経路の反応は主にこのPMEL17を足場とする。PMEL17はそのままでは膜結合型糖タンパク質であるが、メラノソームの内側でβサイトAPP切断酵素2(BACE2)、γ-セクレターゼ、プロタンパク質転換酵素及びメタロプロテアーゼによりプロセシングされて可溶性タンパク質となる。可溶性になると、PMEL17はフィブリルを形成し、メラニン前駆体が遊離され、触媒酵素と接近し易くなる。T細胞により認識されるメラノーマ関連抗原であるMART-1はMelan-Aとも呼ばれ、PMEL17と相互作用し、PMEL17の発現と機能に不可欠である。
【0007】
成熟したメラニンを包んだメラノソームはメラノサイトからケラチノサイトに輸送され、皮膚組織全体に色素を分散させる。これは、Rab Gタンパク質、SNARE及びクラスリンコートタンパク質を含むクラスリン被覆小胞輸送機構により行われる。ケラチノサイトによる取り込みにはPAR2が必要である。
【0008】
メラニン生成の停止は、メラニン生成酵素の1種の阻害、酵素産生の抑制、酵素の劣化亢進、メラニン生成若しくはメラノソーム生合成に関連する構造的足場の阻害、又はメラノソーム輸送の阻害によるメラニン産生自体の停止により生じる。本願の保護対象に含まれる化合物は、これらのメカニズムの1種以上によるメラニン生成の停止によりメラニン生成抑制作用を発揮する。
【0009】
本願の保護対象は尋常性ざ瘡に起因する皮膚障害並びに関連する炎症性及び炎症後の色素沈着過剰の治療も含む。尋常性ざ瘡は角化亢進、ホルモン機能、細菌増殖及び免疫過敏症に関連する多因子性疾患である。これは一般的な疾患であり、ほぼ全ての人で思春期に発症し、生涯のいずれかの時点で成人にも発症する。ざ瘡は一般に毛包内で発生する。毛包の基部には、皮脂を産生する皮脂腺が配置されている。健康な皮膚では、皮脂腺は周囲の皮膚の健康を維持するのに適した量の皮脂を産生し、皮脂は毛根に沿って効率的に排出される。一方、皮脂腺の過剰増殖(脂腺増殖症)と皮脂の過剰産生はざ瘡症状の重要な寄与因子となり得る。男性ホルモンは十代中期でピークとなる傾向があり、ざ瘡発症の主要な因子であると考えられているが、脂腺増殖症はこの男性ホルモンの増加により誘発される可能性がある。男性ホルモン(性ホルモン)は体内で分泌され、皮脂腺に流入し、酵素5αリダクターゼがテストステロンをジヒドロテストステロンに変換し、その結果、皮脂腺での皮脂形成が刺激される。
【0010】
皮脂腺の活性亢進の結果、過剰の皮脂が乾燥した皮膚と混ざり合い、毛包を詰まらせる。毛穴が詰まると、アクネ菌(p-acnes)は毛穴から頻繁に「飛び出し」、その子孫が別の毛穴で生存できるようにする。アクネ菌は皮膚細胞を感作して免疫系と反応する化学物質を放出する。
【0011】
アクネ菌により産生される成分の多くは、TNF-α、IL-8及びIL-1β等の複数の炎症性サイトカインを免疫細胞に分泌させ、皮膚炎症の発生に重要なCOX-1、COX-2、5-LOX等の酵素の活性に関連する炎症経路を活性化させる「外来」分子として免疫系に容易に認識される。
【0012】
免疫系はアクネ菌を攻撃する際に健康な皮膚細胞も殺傷する。このため、皮膚は発赤して炎症を起こし、何らかの時点で丘疹が破裂すると、多少の菌が飛び出すことになる。病変が治癒に向かう段階でこれらの部位は紫色又は赤くなり始め、やがて周囲の皮膚の暗い色調に溶け込んで消退する。炎症後の色素沈着過剰(PIH)はメラニン合成・堆積の亢進に関連する特殊な皮膚の色素沈着病態である。ヒトの皮膚は表皮の基底に位置するメラノサイトと呼ばれる特殊な細胞を含む。これらの細胞は損傷に応答し、自己防御又は自己治癒しようとしてメラニンと呼ばれる色素を産生するようにプログラムされている。PIHは酸化ストレスと炎症応答及び免疫応答のメディエーター及びサイトカインからの攻撃に起因するメラノサイト細胞のアポトーシスも特徴とする。メラニン堆積(即ち色素沈着過剰)は表皮レベルを超えて生じ、多量のメラニンが真皮乳頭層に放出され、大きな免疫細胞により捕捉される。PIHのこれらの特殊な組織学的特徴により、従来の治療剤による治療には多数の問題がある。
【0013】
過酸化ベンゾイルや抗生物質等の局所抗微生物剤は炎症性疾患の治療に有効である。過酸化ベンゾイルはアクネ菌が抗生物質療法に耐性になるのを防ぐ殺菌剤であり、中程度の角栓溶解性と抗炎症性を有する。過酸化ベンゾイルは2.5%から10.0%までの濃度の種々の局所製剤として入手可能である。最初はどのような濃度を使用することもできるが、低い濃度から開始するほうが賢明であると思われ、製剤の濃度が高いほど刺激が強くなり、必ずしも効力は上がらない。過酸化ベンゾイルは毛包の内側に酸素を放出することによりアクネ菌を死滅させる。速効性があり、5日程度の短期間で効果が生じる。主な欠点は強力な漂白剤であるという点である。タオル、シーツ及び衣類を含む繊維製品が過酸化ベンゾイルと接触すると漂白される可能性があることを患者に警告する必要がある。
【0014】
局所エリスロマイシン及びクリンダマイシン製剤は一般に忍容性が良好であり、複数のランダム化比較試験で炎症性病変を46%~70%抑制することが分かっている。しかし、アクネ菌は毎日投与の開始後1カ月以内に耐性となる可能性があるため、局所抗生物質製剤の単剤療法は日常的に使用すべきではない。抗生物質(例えばクリンダマイシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン)は固有の抗炎症・抗微生物作用もあるので、この耐性は問題にならないという説もある。一方、単剤療法では抗生物質耐性の表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)も生じる可能性があるが、局所抗生物質製剤を過酸化ベンゾイルと併用すると、耐性を避けることができる。例えば、レチノイドと抗生物質の併用療法はどちらか一方を単剤で使用するよりも有効である。但し、両剤が相互に適合性であることが分かっていない限り、別々の時点で適用すべきである。同時に適用した場合、過酸化ベンゾイルはトレチノイン等のレチノイドを酸化する可能性がある。軽度~中等度のざ瘡患者249人による12週間ランダム化比較試験の結果、1.0%クリンダマイシンを単剤で使用するよりも0.1%アダパレンゲルと1.0%クリンダマイシンを併用したほうが優れていることが分かった。炎症性病変が存在する場合には、過酸化ベンゾイルを加えた局所抗生物質製剤を局所レチノイド製剤と併用すべきである(例えば過酸化ベンゾイルを加えた局所抗生物質製剤を朝使用し、レチノイド製剤を夜使用する)。患者1259人による3回の臨床試験の結果、病変を緩和し、アクネ菌を抑制するには、1%クリンダマイシンと5%過酸化ベンゾイルを併用したほうがどちらか一方を単剤で使用するよりも有効であることが分かった。
【0015】
PIHの一般的な治療は、コルチコステロイドで炎症を抑えると共に光防御剤を使用し、色素がそれ以上生成されないように予防することに重点が置かれている。皮膚再生機能を助長し、色素沈着を消すため又は薄くするために、サリチル酸やグリコール酸等のケミカルピーリング用化合物も使用されている。局所レチノイド製剤もPIHを治療するために使用されているが、このような方法は顕著な効果が認められるまでに40週間までを要する。
【0016】
チロシナーゼ阻害剤や、ハイドロキノン、アゼライン酸、コウジ酸及びリコリスエキス等の皮膚美白剤もPIHの治療に利用されている。従来の皮膚美白剤又はチロシナーゼ阻害剤の使用に伴う1つの大きな欠点は、PIH部位の辺縁の正常な皮膚の非特異的変色である。この作用により、背景の皮膚の色が薄くなったり、PIH部位が更に目立つようになったりする。このため、これらの治療剤はPIHの部位を覆うように非常に注意深く塗布する必要がある。更に、チロシナーゼ阻害剤はチロシナーゼによるメラニン合成の場である表皮の色素沈着過剰にしか有効ではない。炎症後の色素沈着は皮膚の深層(例えば真皮乳頭層)で起きているので、褐色斑の視覚的変化が認められるまでには、ハイドロキノン製剤を6か月超連続塗布する必要がある。最後に、ハイドロキノン型の皮膚美白剤又はチロシナーゼ阻害剤は皮膚への刺激、乾燥、催奇形性及び白斑と皮膚がんの誘発を含む副作用がある。
【0017】
炎症後の色素沈着過剰はざ瘡、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、色素失調症、扁平苔癬、エリテマトーデス又はモルフェア等の内因性炎症性皮膚障害から誘発され得る。PIHの他の原因としては、機械的外傷、イオン化及び非イオン化放射線、火傷、レーザー療法並びに皮膚感染症等の外因性炎症性刺激が挙げられる。これらの皮膚障害に現在使用されている治療剤は、PIHを予防、緩和、抑制又は治療するには無効である。例えば、上記皮膚障害はレチノイド、COX阻害剤(例えばサリチル酸)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、抗微生物剤又はホルモン剤等の抗炎症剤で治療されることが多いが、これらの治療はPIHには無効であることが分かっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【文献】Prota G.Med.Res.Rev.1988,8,525-556
【文献】Seiberg et al.(2000)J.Invest.Dermatol.115:162
【文献】Paine et al.(2001)J.Invest.Dermatol.116:587
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
スキンケアの分野は著しく進歩しており、メラニン生成抑制活性を有する強力なチロシナーゼ阻害剤として天然由来及び合成由来の多数の化合物が報告されているが、それらのうちで有効な皮膚美白剤であることが分かっているものは極めて少数である。これらの治療剤の大半は毒性であることが判明しており、人体に副作用があることが分かっている。また、PIHを抑制するための強力なメラニン生成抑制剤又は抗微生物剤又は抗炎症剤として多数の化合物が報告されているが、それらのうちで四重の作用をもつものは皆無である。このため、四重の作用をもつ単一の化合物を使用し、メラニン生成、尋常性ざ瘡、炎症及び色素沈着過剰を予防、緩和、抑制又は治療するための方法が当分野では依然として必要とされている。本願の保護対象はこれらの必要を満たし、更に他の関連する利点も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願では式I:
【0021】
【化1】
の化合物について記載し、
上記式中、
Rは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルから構成される群から選択される芳香環又は複素芳香環を含み、
Rは、独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されている。
【0022】
本願では式II:
【0023】
【化2】
の化合物について記載し、
上記式中、
Rは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルから構成される群から選択される芳香環又は複素芳香環を含み、
Rは、独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されている。
【0024】
本願では式III:
【0025】
【化3】
の化合物について記載し、
上記式中、
Rは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルから構成される群から選択される芳香環又は複素芳香環を含み、
Rは、独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されている。
【0026】
本願では、
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩を単独又は併用して含有する、組成物を開示する。
【0027】
本願では、メラニン産生の抑制方法であって、メラニン産生の抑制を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を投与することを含む、方法を開示する。
【0028】
本願では、メラニンの過剰産生又は不均一分布に関連する疾患及び病態の予防及び治療方法であって、前記疾患及び病態の予防及び治療を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を有効量投与することを含む、方法を開示する。
【0029】
本願では、皮膚の美白及び/又は明色化方法であって、皮膚の美白及び/又は明色化を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を投与することを含む、方法を開示する。
【0030】
本願では、チロシナーゼ阻害に関連する症状、状態、障害又は疾患伴う、メラニン合成の予防方法であって、前記予防を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を有効量投与することを含む、方法を開示する。
【0031】
本願では、非チロシナーゼ阻害に関連する症状、病態、障害又は疾患を伴う、メラニン合成の予防方法であって、前記予防を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を有効量投与することを含む、方法を開示する。
【0032】
本願では、フリーラジカル、酸化ストレス、紫外線誘発皮膚損傷、皮膚老化、皮膚炎症性疾患又は障害、皮膚変性疾患又は障害に関連する、症状、病態、障害又は疾患を伴う疾患の予防及び治療方法であって、前記予防及び治療を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を有効量投与することを含む、方法を開示する。
【0033】
本願では、果物、野菜、ジュース及び他の食品の茶変及び変色の抑制方法であって、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含む化合物を施すことを含む、方法を開示する。
【0034】
本願では、プロピオニバクテリウム属(アクネ菌:p-acnes)の活性の抑制方法を開示し、前記抑制を必要とする患者に、以下の化合物;
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を投与することを含む、方法を開示する。
【0035】
本願では、COX-1、COX-2及び5-LOX等の炎症性サイトカインの活性の不活性化方法であって、前記不活性化を必要とする患者に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を投与することを含む、方法を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】従来技術の図であり、シグナル伝達カスケードを活性化する外部シグナルに応答してユーメラニンとフェオメラニンの2種類のメラニンが合成され、MITF転写因子が活性化されると共に、メラニン生成に直接関与する酵素を含む下流の遺伝子産物が産生されることを示す。メラノサイト細胞表面のKIT、MC1R又は他の受容体を介するリ癌腫ド結合によりPKC(茶色)、cAMP(青)、MEK(紫)又はWNT(オレンジ色)経路が活性化されると、MITFが活性化される。メラニン生成関連遺伝子のアップレギュレーションにより、膜結合小胞であるメラノソームでメラニンの産生が可能になる。メラニンはチロシナーゼ酵素により前駆体から産生されるが、これには厳密な要件がある。
図2】実施例5に記載するように試験した(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1)によるメラニン産生抑制プロファイルをグラフにより示す。阻害剤濃度(μM)に対するメラニン含量(未処理対照に対する%)としてデータを表す。化合物1のIC50を求めた処、158μMであった。図2は化合物1の濃度を種々に変化させた場合の細胞生存性もグラフにより示す。化合物1のLD50を求めた処、269μMであった。
図3】実施例5に記載するように試験した(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4)によるメラニン産生抑制プロファイルをグラフにより示す。阻害剤濃度(μM)に対するメラニン含量(未処理対照に対する%)としてデータを表す。化合物4のIC50を求めた処、72μMであった。図3は化合物4の濃度を種々に変化させた場合の細胞生存性(LD50)もグラフにより示す。化合物15のLD50を求めた処、127μMであった。
図4】実施例5に記載するように試験した(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6)によるメラニン産生抑制プロファイルをグラフにより示す。阻害剤濃度(μM)に対するメラニン含量(未処理対照に対する%)としてデータを表す。化合物6のIC50を求めた処、9μMであった。図4は化合物6の濃度を種々に変化させた場合の細胞生存性(LD50)もグラフにより示す。化合物6のLD50を求めた処、233μMであった。
図5】実施例5に記載するように試験した(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7)によるメラニン産生抑制プロファイルをグラフにより示す。阻害剤濃度(μM)に対するメラニン含量(未処理対照に対する%)としてデータを表す。化合物7のIC50を求めた処、97μMであった。図5は化合物7の濃度を種々に変化させた場合の細胞生存性(LD50)もグラフにより示す。化合物7のLD50を求めた処、152μMであった。
図6】実施例5に記載するように試験した(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8)によるメラニン産生抑制プロファイルをグラフにより示す。阻害剤濃度(μM)に対するメラニン含量(未処理対照に対する%)としてデータを表す。化合物8のIC50を求めた処、22μMであった。図6は化合物8の濃度を種々に変化させた場合の細胞生存性(LD50)もグラフにより示す。化合物8のLD50を求めた処、68μMであった。
図7】実施例5に記載するように試験した(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12)によるメラニン産生抑制プロファイルをグラフにより示す。阻害剤濃度(μM)に対するメラニン含量(未処理対照に対する%)としてデータを表す。化合物12のIC50を求めた処、74μMであった。図7は化合物12の濃度を種々に変化させた場合の細胞生存性(LD50)もグラフにより示す。化合物12のLD50を求めた処、385μMであった。
図8】実施例5に記載するように試験した(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15)によるメラニン産生抑制プロファイルをグラフにより示す。阻害剤濃度(μM)に対するメラニン含量(未処理対照に対する%)としてデータを表す。化合物15のIC50を求めた処、74μMであった。図8は化合物15の濃度を種々に変化させた場合の細胞生存性(LD50)もグラフにより示す。化合物15のLD50を求めた処、145μMであった。
図9】実施例4に記載するようなインビトロ酵素阻害アッセイにおける化合物6のマッシュルームチロシナーゼ阻害作用をグラフにより示す。化合物6によるチロシナーゼ酵素の明確な用量依存的阻害作用が認められ、IC50は20μMである。
図10A図10Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物1のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。
図10B図10Bは化合物1を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。
図11A図11Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物4のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物4は若干の毒性を示した。
図11B図11Bは化合物4を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。0.05%で化合物4は若干の毒性を示した。
図12A図12Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物6のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。
図12B図12Bは化合物6を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。
図13A図13Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物7のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物7は若干の毒性を示した。
図13B図13Bは化合物7を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。0.05%で化合物7は若干の毒性を示した。
図14図14Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物8のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物8は若干の毒性を示した。
図15A図15Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物12のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物12は若干の毒性を示した。
図15B図15Bは化合物12を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。0.05%で化合物12は若干の毒性を示した。
図16A図16Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物15のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物15は若干の毒性を示した。
図16B図16Bは化合物15を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。0.05%で化合物15は若干の毒性を示した。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は強力なメラニン生成抑制活性を有する薬剤を提供する。マッシュルームチロシナーゼアッセイ、マウスB16-F1メラノーマ細胞によるメラニン産生の抑制、及び再構築ヒト皮膚モデルにおけるメラニン抑制により、代表的化合物のメラニン生成抑制特性を評価した。具体的に言うと、これらの化合物はマウスB16-F1メラノーマ細胞によるメラニン産生の抑制と、再構築ヒト皮膚モデルにおけるメラニン抑制を示すが、マッシュルームチロシナーゼ酵素に対する阻害活性は弱い。この結果は、有効成分がメラニン生成シグナル伝達経路(従来技術の図1)の1つでモジュレーターとして作用し、最終的に組織内のメラニンを抑制することを示唆している。このメラニン生成抑制活性は、メラニン生成における他の酵素の阻害、メラニン生成酵素の劣化亢進若しくは発現低下、メラニン生成シグナル伝達経路の他の成分の阻害、メラニン生成に関与する構造タンパク質の阻害、又はメラノソーム輸送の低下によるものであると思われる。想定される実施形態では、メラニン産生細胞を各化合物で処理し、総合的な遺伝子発現変化を測定し、どの経路が作用を受けているかを確定し、作用機序を突き止める。
【0038】
更に、本願の保護対象はプロピオニバクテリウム属(アクネ菌)に対する優れた抗微生物活性と、COX-1、COX-2及び5-LOXを含む炎症性サイトカインに対する強力な阻害作用も有する。
【0039】
プロピオニバクテリウム属(アクネ菌)に対するMIC/MBC試験により、代表的化合物の強力な抗微生物特性を評価した。COX-1、COX-2及び5-LOXを含む炎症性酵素に対する阻害アッセイにより抗炎症性を評価した。
【0040】
本願では式I:
【0041】
【化4】
の化合物について記載し、
上記式中、
Rは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルから構成される群から選択される芳香環又は複素芳香環を含み、
Rは、独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されている。
【0042】
本願では式II:
【0043】
【化5】
の化合物について記載し、
上記式中、
Rは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルから構成される群から選択される芳香環又は複素芳香環を含み、
Rは、独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されている。
【0044】
本願では式III:
【0045】
【化6】
の化合物について記載し、
上記式中、
Rは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルから構成される群から選択される芳香環又は複素芳香環を含み、
Rは、独立して、C-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基から構成される群から選択される1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されている。
【0046】
本願では、
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩を単独又は併用して含有する、組成物を開示する。
【0047】
本願では、メラニン産生の抑制方法であって、メラニン産生の抑制を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を投与することを含む、方法を開示する。
【0048】
本願では、メラニンの過剰産生又は不均一分布に関連する疾患及び病態の予防及び治療方法であって、前記疾患及び病態の予防及び治療を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を有効量投与することを含む、方法を開示する。
【0049】
本願では、皮膚の美白及び/又は明色化方法であって、皮膚の美白及び/又は明色化を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を投与することを含む、方法を開示する。
【0050】
本願では、チロシナーゼ阻害に関連する症状、状態、障害又は疾患を伴う、メラニン合成の予防方法であって、前記予防を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を有効量投与することを含む、方法を開示する。
【0051】
本願では、非チロシナーゼ阻害に関連する症状、病態、障害又は疾患を伴う、メラニン合成の予防方法であって、前記予防を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を有効量投与することを含む、方法を開示する。
【0052】
本願では、フリーラジカル、酸化ストレス、紫外線誘発皮膚損傷、皮膚老化、皮膚炎症性疾患又は障害、皮膚変性疾患又は障害に関連する、症状、病態、障害又は疾患を伴う疾患の予防及び治療方法であって、予防及び治療を必要とする対象に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を有効量投与することを含む、方法を開示する。
【0053】
本願では、果物、野菜、ジュース及び他の食品の茶変及び変色の抑制方法であって、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含む化合物を施すことを含む、方法を開示する。
【0054】
本願では、プロピオニバクテリウム属(アクネ菌)の活性の抑制方法であって、前記抑制を必要とする患者に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を投与することを含む、方法を開示する。
【0055】
本願では、COX-1、COX-2及び5-LOX等の炎症性サイトカインの活性の不活性化方法であって、前記不活性化を必要とする患者に、以下の化合物:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1);
(E/Z)-3-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(2);
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3);
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(4);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5);
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7);
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8);
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10);
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11);
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12);
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13);
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14);
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15);
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16);
(E)-2,2’-(5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(17)
又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1種を含有する組成物を投与することを含む、方法を開示する。
【0056】
上記方法は日焼け;皮膚老化、肝斑、肝疾患、熱傷及び局所創傷に起因する色素沈着過剰斑;真菌、微生物及びウイルス感染症に起因する炎症性の病態を原因とする皮膚の色素沈着、白斑、癌腫、メラノーマ並びに他の哺乳動物の皮膚の病態を含む、疾患と病態、更に、場合によってはこれらから構成される疾患と病態に有効であると想定される。
【0057】
所定の実施形態において、これらの方法は、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、色素失調症、扁平苔癬、エリテマトーデス、モルフェア、機械的外傷、イオン化若しくは非イオン化放射線、火傷、レーザー若しくは薬物療法、皮膚感染症又はその組み合わせから誘発される炎症後の色素沈着過剰(PIH)に有効であると想定される。
【0058】
本願の保護対象はジエンを構成単位とする新規組成物も含み、前記ジエンは下記一般構造:
【0059】
【化7】
により表される化合物群から選択され、上記式中、「Ar」は本願で使用する「芳香族」なる用語に相当し、1個以上の炭化水素芳香環を含むか又は1個以上の炭化水素芳香環から構成される任意の化合物を意味する。前記環は単環でも多環系でもよい。適切な環の例としては、限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル等が挙げられる。Arは独立して置換の5員又は6員芳香環又は複素芳香環から構成される群から選択され、各6員芳香環又は複素芳香環は独立して-H、-OH、-SH、-OR、-CN、-SR、-NH、-NHR、-NR、Xから構成される1~5個のR’基で置換されており、XはCl、Br、F、Iから構成される群から選択されるハロゲンであり、R1-8は独立して-H、アルキル基、アルケニル基から構成される群から選択され、前記アルキル基、アルケニル基は任意に炭素原子数1~20の1個以上の置換基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよく、n=0~5である。好ましい一実施形態において、n=0~2である。
【0060】
想定される一実施形態において、前記ジエンは以下の一般構造:
【0061】
【化8】
により表される化合物群から選択され、
上記式中、
1-8は、独立して-H、アルキル基、アルケニル基から構成される群から選択され、前記アルキル基、アルケニル基は任意に炭素原子数1~20の1個以上の置換基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよく、n=0~5である。
好ましい一実施形態において、n=0~2である。
【0062】
想定される一実施形態において、本開示は式I~IIIで表される医薬品成分及び化粧品成分を提供する。これらの化合物又はその薬学的に許容される塩はラセミ体に限定されず、優先的な位置の単一のエナンチオマーでもよい。また、これらの化合物又はその薬学的に許容される塩はE体又はZ体のいずれかの優先的な幾何異性体に限定されず、両方の異性体の混合組成でもよい。
【0063】
【化9】
【0064】
これらの化合物又はその薬学的に許容される塩は、化粧品用途と医薬品用途の両面で有用であることが明らかである。
【0065】
これらの化合物は更に、細胞毒性を低く抑えながらメラニン生成抑制特性を示した。チロシナーゼ阻害活性と、マウスB16-F1メラノーマ細胞によるメラニン産生の抑制により、メラニン生成抑制特性を評価した。実施例4及び5に記載するように、マッシュルームチロシナーゼに対する代表的化合物の阻害活性と、マウスB16-F1メラノーマ細胞によるメラニン産生の抑制を例証する。実施例6に記載するように、再構築ヒト皮膚モデルにより代表的化合物の皮膚美白特性を評価した。これらの化合物又はその薬学的に許容される塩は、以下に詳述するように化粧品用途と医薬品用途の両面で有用であることが明らかである。
【0066】
これらの化合物は、グラム陽性菌であるプロピオニバクテリウム属(アクネ菌)に対して一桁のppmレベルで優れた抗微生物特性を持つことが明らかである。実施例7に記載するように、アクネ菌に対する抑制活性により代表的化合物の抗微生物特性を評価した。
【0067】
これらの化合物は更に、COX-1、COX-2及び5-LOX等の炎症性サイトカインに対して優れた抗炎症性を示した。実施例8に記載するように、COX-1、COX-2及び5-LOX等の炎症性サイトカインに対する阻害活性により代表的化合物の抗微生物特性を評価した。
【0068】
この文脈で使用する「誘導体」又は「アナログ」なる用語は、式I~IIIの化合物と同様の化学構造又は機能をもち、置換芳香環と共に1,5-ジエン、1,6-ジエン又は1-7-ジエンから成るコアジエンを保持する化合物を意味する。
【0069】
本願の保護対象の各種態様について言及するために、本願では種々の用語を使用する。本願の保護対象の構成要素に関する記載を分かり易くするために、以下に定義を述べる。特に定義しない限り、本願で使用する全科学技術用語は、本願の保護対象が属する技術分野における通常の知識を有する者に広く理解されている意味である。
【0070】
なお、本願で使用する用語で不定冠詞を付けた事物は1以上のこの事物を意味し、例えば、チロシナーゼ阻害剤とは、1種以上のチロシナーゼ阻害剤を意味する。つまり、本願では不定冠詞と、「1以上」及び「少なくとも1」なる用語を同義に使用する。
【0071】
本願で使用する「約」とは、当技術分野における通常の知識を有する者に理解される通りであり、この用語が使用されている文脈に応じて多少程度まで変動する。この用語が使用されている文脈に関して、当技術分野における通常の知識を有する者に不明瞭に数値が使用されている場合には、「約」は特定数値の±10%までを意味する。
【0072】
本願で使用する「ジエン」なる用語は、指定炭素原子数の直鎖又は分岐鎖の不飽和炭化水素を意味する。例えば、(C1-C10)アルケニルとは、炭素原子数1~10の直鎖又は分岐鎖の炭化水素を意味する。アルケニル基は任意に本願に記載するような1個以上の置換基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
【0073】
本願で使用する「芳香族」なる用語は、1個以上の炭化水素芳香環を含むか又は1個以上の炭化水素芳香環から構成される任意の化合物を意味する。前記環は単環でも多環系でもよい。適切な環の例としては、限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、トリフェニル等が挙げられる。
【0074】
本願で使用する「ヘテロ原子」なる用語は、酸素(O)、窒素(N)及び硫黄(S)を意味する。本願で使用する「複素芳香族」なる用語は、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子と、少なくとも1個の炭素原子を含む5~14員複素芳香環を意味する。代表的な複素芳香族としては、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル及びイミダゾリル等が挙げられる。ヘテロアリール基は化学的に許容される限り、どのヘテロ原子又は炭素原子を介して結合していてもよい。ヘテロアリール基は置換されていなくてもよいし、任意に本願に記載するような1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0075】
本願で使用する「複素環」なる用語は、独立して窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和の5~14員非芳香環系を意味し、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されていてもよい。複素環は化学的に許容される限り、どのヘテロ原子又は炭素原子を介して結合していてもよい。非芳香族複素環の代表例としては、限定されないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピロリル、ピラニル及びテトラヒドロピラニル等が挙げられる。複素環基は置換されていなくてもよいし、任意に本願に記載するような1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0076】
本願で使用する「治療」とは、防除、治療及び/又は予防を含む。治療と言う用語を使用する場合、ヒト及び他の動物に適用される。
【0077】
「薬学的又は治療的有効用量又は有効量」とは、所望される生物学的結果を誘導するために十分な用量レベルを意味する。このような結果としては、疾患又は生体系の他の何らかの変化の徴候、症状又は原因の所望される緩和が挙げられる。厳密な用量は種々の因子により異なり、限定されないが、対象の年齢と体型、疾患及び実施する治療が挙げられる。
【0078】
「宿主」又は「患者」又は「対象」とは、治療が所望される生きた哺乳動物、ヒト又は動物である。「宿主」、「患者」又は「対象」とは一般に、本願の保護対象の方法に従って実施される治療の受け手を意味する。なお、本願に記載する保護対象は脊椎動物及びヒト用途に使用することができ、「宿主」なる用語は制限的に解釈すべきではない。脊椎動物用途の場合には、動物の体重を考慮して後述するように用量範囲を決めることができる。
【0079】
本願で使用する「薬学的に許容される」なる用語は、動物用として、より特定的には人体用として、米国連邦政府若しくは州政府の規制当局により認可されていること、又は米国薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方に収載されていることを意味する。「基剤」なる用語は、治療成分と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又は溶剤を意味し、限定されないが、水や油類等の滅菌液体が挙げられる。
【0080】
チロシナーゼ阻害剤の「薬学的に許容される塩」又は「塩」とは、本願に開示する化合物の生成物であり、イオン結合を含み、一般的には本願に開示する化合物を酸又は塩基と反応させることにより生成され、対象に投与するのに適したものである。薬学的に許容される塩としては、限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素酸塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、アリールアルキルスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、琥珀酸塩、乳酸塩及び酒石酸塩等の酸付加塩、Li、Na、K等のアルカリ金属カチオンとの塩、Mg若しくはCa等のアルカリ土類金属との塩、又は有機アミン塩を挙げることができる。
【0081】
「医薬組成物」とは、本願に開示する化合物を含有する製剤であり、対象に投与するのに適した形態のものである。本願の保護対象の医薬組成物は、目的とするその投与経路に適合可能となるように製剤化されていることが好ましい。投与経路の例としては、限定されないが、経口及び非経口(例えば静脈内、皮内、皮下、吸入、局所、経皮、経粘膜及び経直腸)投与が挙げられる。
【0082】
本願で使用する「置換」なる用語は、指定原子の正常原子価を超えず且つ置換により安定な化合物が得られるという条件で、指定原子上のいずれか1個以上の水素が指定群から選択される基で置換されていることを意味する。置換基の例としては、限定されないが、C-C10アルキル基、ヒドロキシ(-OH)基、C-C10アルコキシ基が挙げられる。一般的には、芳香環、複素芳香環又は複素環は1~3個の置換基を有する。
【0083】
想定される一実施形態において、本願の保護対象は式I:
【0084】
【化10】
で示される構造を有する化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
上記式中、
Rは、置換又は非置換の芳香環、複素芳香環又は複素環から選択される。
一実施形態において、Rは、置換又は非置換のフェニル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルを含み、場合によりこれらの基から構成される群から選択される。
一実施形態において、Rは、1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されており、前記部分はC-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基を含み、場合によりこれらの基から構成される群から選択される。
他の実施形態において、Rは、1’-(4’-メトキシ)フェニル、1’-(2,4-ジヒドロキシ)フェニル、1’-(3-ピリジル)、1’-(ビフェニル-4-オール)から構成される群から選択される。
【0085】
その態様の1つにおいて、本願の保護対象は式II:
【0086】
【化11】
で示される構造を有する化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
上記式中、
Rは、置換又は非置換のフェニル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルを含み、場合によりこれらの基から構成される群から選択される。
一実施形態において、Rは、1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されており、前記部分は独立してC-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基を含み、場合によりこれらの基から構成される群から選択される。
他の実施形態において、Rは、1’-(4’-メトキシ)フェニル、1’-(2,4-ジヒドロキシ)フェニル、1’-(3-ピリジル)、1’-(ビフェニル-4-オール)を含み、場合によりこれらの基から構成される群から選択される。
【0087】
想定される一実施形態において、本願の保護対象は式III:
【0088】
【化12】
で示される構造を有する化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
上記式中、
Rは、置換又は非置換の芳香環、複素芳香環又は複素環から選択される。
一実施形態において、Rは、置換又は非置換のフェニル、ビフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-フラニル、3-フラニルを含み、場合によりこれらの基から構成される群から選択される。
一実施形態において、Rは、1~3個の部分(R’,R’’,R’’’)で置換されており、前記部分は独立してC-C10アルキル基、C-C10アルコキシ基又はヒドロキシル基を含み、場合によりこれらの基から構成される群から選択される。
他の実施形態において、Rは、1’-(4’-メトキシ)フェニル、1’-(2,4-ジヒドロキシ)フェニル、1’-(3-ピリジル)、1’-(ビフェニル-4-オール)から構成される群から選択される。
【0089】
表1はメラニン生成抑制剤として有用な式Iの代表的な新規1,5-ジエンアナログを示す。表1に示す各化合物を製造するために使用することができる合成方法については、実施例1に詳細に記載する。合成した各化合物を裏付ける1H-NMRデータと13C-NMRデータも記載する。一般に、式Iの化合物は容易に入手可能な材料から標準有機合成技術を使用して合成することができる。その他の製造経路も文献及び関連資料で参照できる。
【0090】
【表1】
【0091】
表2はメラニン生成抑制剤として有用な式IIの代表的な新規1,6-ジエンアナログを示す。表1に示す各化合物を製造するために使用することができる合成方法については、実施例2に詳細に記載する。合成した各化合物を裏付ける1H-NMRデータと13C-NMRデータも記載する。一般に、式Iの化合物は容易に入手可能な材料から標準有機合成技術を使用して合成することができる。その他の製造経路も文献及び関連資料で参照できる。
【0092】
【表2】
【0093】
表3はメラニン生成抑制剤として有用な式IIの代表的な新規1,6-ジエンアナログを示す。表3に示す各化合物を製造するために使用することができる合成方法については、実施例3に詳細に記載する。合成した各化合物を裏付ける1H-NMRデータと13C-NMRデータも記載する。一般に、式Iの化合物は容易に入手可能な材料から標準有機合成技術を使用して合成することができる。その他の製造経路も文献及び関連資料で参照できる。
【0094】
【表3】
【0095】
グラム陽性菌であるプロピオニバクテリウム属(アクネ菌)に対する選択化合物の抗微生物活性を測定した。MIC値とMBC値(表4)によると、試験した生物に対して細菌増殖の顕著な抑制が認められた。
【0096】
実施例5に記載するようなCOX-1、COX-2及び5-LOXアッセイにより選択化合物の抗炎症活性を測定し、その結果も表4に記載する。表4は、式I~IIIの選択化合物について実施例5に記載するCOX-1、COX-2及び5-LOXアッセイにより測定したIC50値を示す。
【0097】
【表4】
【0098】
表5は抗酸化剤として有用な式I~IIIの代表的な新規1,6-ジエンアナログを示す。ORAC5.0は人体に存在する5種類の主要な活性酸素種(ROS、通称「酸素ラジカル」)であるペルオキシルラジカル、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素及びペルオキシ亜硝酸に対する試料の抗酸化能を評価する5種類のORACアッセイから構成される。トロロックスを参照標準として使用し、結果を試料1グラム(又は1ミリリットル)当たりのマイクロモルトロロックス当量で表す。
【0099】
【表5】
【実施例
【0100】
[実施例1]式Iの化合物の一般及び特定合成方法
例証の目的で置換ベンジルホスホネート基をRとして使用し、スキーム1に一般手順を記載するように式Iの化合物を製造した。ホスホネート試薬は、アルブゾフ反応に従って亜リン酸トリエチルで処理することにより、対応する臭化ベンジルから調製した。要約すると、対応するホスホン酸塩と適切なケトンからウィッティヒ反応により式Iの1,5-ジエン化合物を製造した。その後、カップリング生成物であるジエンをヨウ化メチルマグネシウムで処理して脱メチル化反応を行い、目的のフェノール系ジエンを得た。
【0101】
【化13】
【0102】
スキーム1の代表的手順:
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1)の合成:
アルブゾフ反応によるホスホン酸塩合成の一般/典型的手順:臭化4-メトキシベンジル(20g,100mmol)のP(OEt)(23mL,140mmol)溶液を5時間還流させた後、ブロモエタンと過剰の亜リン酸トリエチルを減圧蒸留により除去した。次工程で使用するのに十分な純度の生成物24.5g(95%)が残渣から得られた。
【0103】
ウィッティヒ反応の一般/典型的手順:臭化ベンジルのホスホニウム塩(12g,46mmol)と6-メチル-5-ヘプテン-2-オン(5.3g,42mmol)の無水DMF(50mL)溶液にNaH(60%鉱油分散物,46mmol)を0℃にて少量ずつ加えた。反応混合物を0℃で1時間攪拌すると、この間に混合物は赤色に発色し、イリドの形成を示した。室温で3時間攪拌後、反応は完了する。混合物を0℃にて水で希釈し、生成物をEtOAcで抽出する。有機層を飽和NaHCO水溶液とブラインで洗浄した後、NaSOで乾燥する。溶媒を減圧除去し、酢酸エチル-ヘキサン(5:95)を溶離液として黄色い残渣をシリカゲルのショートベッドに通し、(E/Z:80:20)比のカップリング生成物(9.7g,92%)を薄黄色油状物として得た。
【0104】
脱メチル化反応の一般/典型的手順:EtO 10mlを溶媒とする溶液(7g,21.8mmol)にMeMgI(3M)のEtO(10.0ml,30mmol)溶液を加えた。溶媒を減圧除去し、残渣をアルゴン雰囲気下で130~140℃に10分間加熱した。混合物を室温まで冷却し、飽和NHCl水溶液10mlを加えて反応をクエンチした。生成物をEtOAc(3×100ml)で抽出した。有機相を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を減圧除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;AcOEt/ヘキサン1:10)により精製し、標記化合物(2.6g,55%)を得た。
【0105】
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)フェノール(1):H-NMR(CDCl,500MHz):主生成物(E):7.12(d,2H,J=10Hz),6.79(d,2H,J=10Hz),6.20(s,1H),5.18-5.15(m,1H),2.25-2.14(m,4H),1.84(s,3H),1.71(s,3H),1.64(s,3H);副生成物(Z):7.08(d,2H,J=10Hz),6.77(d,2H,J=10Hz),6.21(s,1H),5.13-5.10(m,1H),2.25-2.14(m,4H),1.87(s,3H),1.68(s,3H),1.61(s,3H)。13C-NMR(CDCl,125MHz):153.66(C),138.71(C),131.92(C),131.61(C),130.21(CH),129.96(2CH),124.21(CH),115.08(2CH),40.89(CH),26.95(CH),25.83(CH)17.92(CH),17.81(CH)。
【0106】
適切な出発材料を使用し、同一の一般反応スキームに従って式Iの代表的化合物2~4(表1)を合成した。総収率は30~48%であった。
【0107】
(E/Z)-4-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(2):H-NMR(CDCl,500MHz):7.16(d,1H,J=7.5Hz),6.78(d,2H,J=8Hz),6.70(s,1H),6.66-6.64(m,1H),6.19(s,1H),5.16-5.12(m,1H),2.16-2.11(m,4H),1.84(s,3H),1.68(s,3H),1.62(s,3H);副生成物(Z):7.13(d,1H,J=7.5Hz),6.76(d,1H,J=8Hz),6.63(s,1H),6.18(s,1H),5.10-5.08(m,1H),2.25-2.121(m,4H),1.86(s,3H),1.66(s,3H),1.61(s,3H)。13C-NMR(CDCl,125MHz):155.22(C),140.41(C),139.43(C),131.90(CH),129.25(CH),125.39(C),124.63(CH),121.57(CH),115.05(CH),113.05(CH),40.82(CH),26.77(CH),25.74(CH),24.12(CH),17.95(CH)。
【0108】
(E/Z)-5-(2,6-ジメチルヘプタ-1,5-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(3):H-NMR(CDCl,500MHz):7.83(d,1H,J=8Hz),6.38(s,1H),6.19(d,1H,J=7.5Hz),6.14(dd,1H,J=2.5Hz),5.16-5.14(m,1H),2.19-2.16(m,4H),1.87(s,3H),1.65(s,3H),1.60(s,3H);副生成物(Z):6.25(d,2H,J=2.5Hz),6.11(s,1H),5.46(s,1H),5.10-5.08(m,1H),2.23-2.21(m,4H),1.83(s,3H),1.65(s,3H),1.58(s,3H)。13C-NMR(CDCl,125MHz):156.65(2C),141.50(C),140.17(C),132.03(C),125.03(C),124.21(CH),124.08(CH),108.69(CH),100.65(CH),40.82(CH),26.88(CH),26.80(CH),18.23(CH),17.93(CH)。
【0109】
(E/Z)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(4):H-NMR(CDCl,500MHz):6.28(d,1H,J=2.5Hz),6.19(dd,1H,J=2.5&2.5Hz),6.10(s,1H),5.47(s,1H),5.13-5.11(m,1H),2.16-2.11(m,4H),1.82(s,3H),1.67(s,3H),1.61(s,3H);副生成物(Z):6.25(d,2H,J=2.5Hz),6.11(s,1H),5.46(s,1H),5.10-5.08(m,1H),2.23-2.21(m,4H),1.83(s,3H),1.65(s,3H),1.58(s,3H)。13C-NMR(CDCl,125MHz):159.57(C),157.56(C),142.47(C),141.27(CH),136.03(C),128.31(C),126.12(CH),122.08(CH),108.69(CH),103.57(CH),41.28(CH),27.68(CH),25.80(CH),18.63(CH),17.69(CH)。
【0110】
[実施例2]式IIの化合物の一般及び特定合成方法
例証の目的で置換ブロモベンゼン基をRとして使用し、スキーム2に一般手順を記載するように式IIの化合物を製造した。要約すると、対応するグリニャール試薬と適切なアルデヒドからグリニャール付加反応により式IIの1,6-ジエン化合物を製造した。グリニャール試薬は対応する臭化アリールと活性化した削状Mgから調製した。その後、カップリング生成物をPOClで処理して脱水反応を行った後、MeMgIを使用して脱メチル化反応を行い、目的のフェノール系ジエンを得た。
【0111】
【化14】
【0112】
スキーム2の代表的手順:(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノール(5)の合成:
グリニャール付加反応の一般/典型的手順:削状マグネシウム(1.9g,80mmol)とヨウ素(ひとつまみ)をTHF(10mL)に加え、アルゴン雰囲気下で還流条件下に4-ブロモアニソール(11.2g.60mmol)のTHF(60ml)溶液を滴下した。滴下の完了後、反応混合物を引き続き更に1時間還流した。次にグリニャール試薬を室温まで放冷した。次にアルゴン雰囲気下で2,6-ジメチル-5-ヘプテナール(6.4g,45mmol)のTHF(50mL)溶液に0℃で攪拌下にグリニャール試薬を加え、室温まで昇温し、更に3時間攪拌を続けた。室温で3時間攪拌後、反応は完了する。次に反応混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、液体状の85:15ジアステレオマー異性体としてカップリング生成物(9.5g,80%)を得た。
【0113】
脱水反応の一般/典型的手順:得られたカップリング生成物(8.0g,31mmol)を次にPOCl(7.4g,48mmol)のピリジン(60mL)溶液で処理し、3時間加熱還流した。次に反応混合物を冷却し、水を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、透明な液体状の単一異性体としてカップリング生成物(5.7g,75%)を得た。
【0114】
脱メチル化反応の一般/典型的手順:得られたアルコキシジエン(5.4g,22mmol)を無水ジエチルエーテル(10mL)に溶解し、この溶液にMeMgI(3M,8.8mL,26.4mmol)を加えた。溶媒を減圧除去し、残渣をアルゴン雰囲気下で130~140℃に10分間加熱した。混合物を室温まで冷却し、飽和NHCl水溶液10mlを加えて反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物(5)(2.53g,50%)を得た。
【0115】
適切な出発材料を使用し、同一のプロトコールに従って代表的化合物5~8を合成した。総収率は40~50%であった。
【0116】
H-NMR(CDCl,500MHz):7.24(d,2H,J=8.5Hz),6.77(d,2H,J=8.5Hz),6.27(d,1H,J=16Hz),5.95(dd,1H,J=16,8Hz),5.14-5.11(m,1H)2.31-2.25(m,1H),2.03-1.98(m,2H),1.69(s,3H),1.60(s,3H),1.43-1.38(m,2H),1.08(d,3H,J=6.5Hz)。13C-NMR(CDCl,125MHz):154.81(C),134.73(CH),131.48(C),130.96(C),128.53(CH),127.65(CH),127.86(CH),115.65(CH),115.60(CH),37.42(CH),36.94(CH),26.07(CH),25.91(CH),20.92(CH),17.91(CH)。
【0117】
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(6)
H-NMR(MeOD,500MHz):7.15(d,1H,J=10Hz),6.51(d,1H,J=19Hz),6.26(s,1H),6.24(d,1H,J=10Hz),5.89(dd,1H,J=19,10Hz),5.14-5.11(m,1H)2.24-2.21(m,1H),2.03-1.99(m,2H),1.66(s,3H),1.59(s,3H),1.40-1.35(m,2H),1.05(d,3H,J=5Hz)。13C-NMR(MeOD,125MHz):158.28(C),156.34(C),134.16(CH),131.98(C),128.03(CH),125.90(CH),124.36(CH),118.41(CH),108.00(CH),38.69(CH),38.53(CH),27.00(CH),25.83(CH),21.52(CH),17.92(CH)。
【0118】
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(7)
H-NMR(CDCl,500MHz):6.66(d,1H,J=16Hz),6.53(S,1H),6.34(s,1H),6.24(S,1H),6.06(dd,1H,J=16,8Hz),5.18-5.11(m,1H),2.38-2.26(M,1H),2.15-196(m,2H),1.68(s,3H),1.61(s,3H),1.40-1.35(m,2H),1.15(d,3H,J=7Hz)。
【0119】
(E)-6-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ナフタレン-2-オール(8)
H-NMR(CDCl,500MHz):7.67(d,2H,J=9Hz),7.60(s,1H),7.58(s,1H),7.53(d,1H,J=9Hz),7.70(d,1H,J=9Hz),7.45(d,1H,J=9Hz),6.45(d,1H,J=16Hz),6.15(dd,1H,J=16,8Hz),5.15-5.12(m,1H),2.36-2.32(m,1H),2.06-2.0(m,2H),1.69(s,3H),1.60(s,3H),1.46-1.43(m,2H),1.11(d,3H,J=6.5Hz)。13C-NMR(CDCl,125MHz):153.30(C),136.48(CH),133.87(C),133.58(C),131.54(C),129.58(CH),128.37(CH),126.65(CH),125.39(CH),118.41(CH),109.63(CH),37.38(CH3),37.09(CH3),26.07(CH),25.89(CH),20.87(CH),17.90(CH)。
【0120】
ブロモ酢酸エチルを用いたO-アルキル化反応後に塩基触媒下で加水分解することにより、対応するフェノール系ジエン5及び6から酸誘導体9及び10を合成した。
【0121】
2-ブロモアセトアミドを用いたO-アルキル化反応により、6からアセトアミド誘導体(11)を合成した。
【0122】
(E)-2-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)フェノキシ)酢酸(9)
H-NMR(MeOD,500MHz):7.44(d,2H,J=8.5Hz),6.89(d,2H,J=8.5Hz),6.34(d,1H,J=16Hz),6.15(dd,1H,J=16,8Hz),5.14-5.11(m,1H),4.66(s,2H)2.33-2.28(m,1H),2.13-2.08(m,2H),1.67(s,3H),1.58(s,3H),1.45-1.38(m,2H),1.11(d,3H,J=6.5Hz)。
【0123】
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)二酢酸(10):
H-NMR(MeOD,500MHz):7.52(d,1H,J=10Hz),6.66(d,1H,J=19Hz),6.36(s,1H),6.28(d,1H,J=10Hz),6.01(dd,1H,J=19,10Hz),5.18-5.14(m,1H),4.63(s,2H),4.58(s,2H),2.34-2.21(m,1H),2.13-2.08(m,2H),1.76(s,3H),1.69(s,3H),1.40-1.35(m,2H),1.15(d,3H,J=7Hz)。
【0124】
(E)-2,2’-(4-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジアセトアミド(11):
H-NMR(MeOD,500MHz):7.98(d,1H,J=8Hz),6.76(d,1H,J=16Hz),6.46(s,1H),6.38(d,1H,J=10Hz),6.01(dd,1H,J=16,10Hz),5.15-5.11(m,1H),4.68(s,2H),4.48(s,2H),2.37-2.23(m,1H),2.16-2.12(m,2H),1.78(s,3H),1.71(s,3H),1.43-1.38(m,2H),1.17(d,3H,J=6.5Hz)。
【0125】
例証の目的で置換ブロモピリジン基をRとして使用し、スキーム3に一般手順を記載するように式IIの化合物(12~14)を製造した。要約すると、対応するグリニャール試薬と適切なアルデヒドからグリニャール付加反応により式IIの1,6-ジエン化合物を製造した。グリニャール試薬は対応する臭化アリールから調製した。その後、カップリング生成物をPOClで処理し、目的のジエンを得た。
【0126】
【化15】
【0127】
グリニャール付加反応の一般/典型的手順:塩化イソプロピルマグネシウム-LiCl錯体溶液を4-ブロモベンゼン(5.6g.30mmol)のTHF溶液に0℃にて加え、対応するグリニャール試薬を調製した。次にグリニャール試薬の溶液に0℃で攪拌下に2,6-ジメチル-5-ヘプテナール(3.2g,22.5mmol)を加え、室温まで昇温し、更に3時間攪拌を続けた。室温で3時間攪拌後、反応は完了する。次に反応混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、液体状のカップリング生成物(4.5g,80%)を得た。
【0128】
脱水反応の一般/典型的手順:得られたカップリング生成物(4.0g,16mmol)を次にPOCl(3.7g,24mmol)のピリジン(32mL)溶液で処理し、3時間加熱還流した。次に反応混合物を冷却し、水を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、液体状のカップリング生成物(2.8g,75%)を得た。
【0129】
(E)-3-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(12):H-NMR(CDCl,500MHz):8.57(d,1H,J=7Hz),8.53(s,1H),7.571(d,1H,J=8Hz),7.27(dd,1H,J=7&8Hz),6.28(d,1H,J=16Hz),6.13(dd,1H,J=8&16Hz),5.06-4.94(m,1H),2.03-1.91(m,2H),1.89-1.78(m,1H),1.65(s,3H),1.57(s,3H),1.39-1.36(m,1H),0.93(d,3H,J=7Hz)。13C-NMR(CDCl,125MHz):149.80(C),149.70(CH),136.32(CH),135.41(CH),131.54(C),127.23(C),126.68(CH),124.40.41(CH),110.84(CH),37.28(CH),37.03(CH),26.02(CH),25.88(CH),20.74(CH),17.87(CH)。
【0130】
適切な出発材料を使用し、同一のプロトコールに従って代表的化合物13及び14を合成した。総収率は40~50%であった。
【0131】
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)ピリジン(13)
H-NMR(CDCl,500MHz):8.65(d,1H,J=7Hz),8.57-8.53(m,1H),8.02(d,1H,J=9Hz),7.82(dd,1H,J=7&9Hz),6.42(d,1H,J=16Hz),7.19(dd,1H,J=8&16Hz),5.10-5.04(m,1H),2.23-2.10(m,1H),2.09-1.89(m,2H),1.64(s,3H),1.58(s,3H),1.39-1.36(m,2H),0.95(d,3H,J=7Hz)。
【0132】
(E)-5-(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエニル)-2-メトキシピリジン(14)
H-NMR(CDCl3,500MHz):8.026(s,1H),7.58(d,1H,J=10Hz),6.64(d,1H,J=9Hz),6,23(d,1H,J=16Hz),5.93(dd,1H,J=15,8Hz),5.09-5.06(m,1H),3.89(s,3H),2.27-2.24(m,1H),1.98-1.94(m,2H),1.65(s,3H),1.57(s,3H),1.39-1.36(m,2H),1.04(d,3H,J=7Hz)。
13C-NMR(CDCl,125MHz):163.30(C),144.99(CH),136.32(CH),135.41(CH),131.54(C),127.23(C),126.68(CH),124.40.41(CH),110.84(CH),53.54(CH),37.28(CH),37.03(CH),26.02(CH),25.88(CH),20.74(CH),17.87(CH)。
【0133】
[実施例3]式IIIの化合物の一般及び特定合成方法
例証の目的で置換ベンジルホスホネート基をRとして使用し、スキーム4に一般手順を記載するように式IIIの化合物を製造した。ホスホネート試薬は、アルブゾフ反応に従って亜リン酸トリエチルで処理することにより、対応する臭化ベンジルから調製した。要約すると、対応するホスホン酸塩と適切なケトンからウィッティヒ反応により式IIIの1,7-ジエン化合物を製造した。その後、カップリング生成物であるオレフィンをヨウ化メチルマグネシウムで処理して脱メチル化反応を行い、目的のフェノール系ジエンを得た。
【0134】
【化16】
【0135】
アルブゾフ反応によるホスホン酸塩合成の一般/典型的手順:臭化p-メトキシベンジル(10.5g,52.2mmol)のP(OEt)(25mL)溶液を5時間還流させた後、ブロモエタンと過剰の亜リン酸トリエチルを減圧蒸留により除去した。次工程で使用するのに十分な純度の生成物12.8g(95%)が残渣から得られた。
【0136】
ウィッティヒ反応の一般/典型的手順:臭化ベンジルのホスホニウム塩(5.2g,12mmol)とケトンの無水DMF(25mL)溶液にNaHを0℃にて少量ずつ加えた。反応混合物を0℃で1時間攪拌すると、この間に混合物は赤色に発色し、イリドの形成を示した。室温で3時間攪拌後、反応は完了する。混合物を0℃にて水で希釈し、生成物をEtOAcで抽出する。有機層を飽和NaHCO水溶液とブラインで洗浄した後、NaSOで乾燥する。溶媒を減圧除去し、酢酸エチル-ヘキサン(5:95)を溶離液として黄色い残渣をシリカゲルのショートベッドに通し、(E/Z:80:20)比のカップリング生成物(3.6g,92%)を薄黄色油状物として得た。
【0137】
脱メチル化反応の一般/典型的手順:アルコキシジエン(7g,21.8mmol)をEtO 10mlに溶解した溶液にMeMgI(3M)のEtO(10.0ml,30mmol)溶液を加えた。溶媒を減圧除去し、残渣をアルゴン雰囲気下で130~140℃に10分間加熱した。混合物を室温まで冷却し、飽和NHCl水溶液10mlを加えて反応をクエンチした。生成物をEtOAc(3×100ml)で抽出した。有機相を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を減圧除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;AcOEt/ヘキサン1:10)により注意深く精製し、夫々標記化合物であるZ体(2.6g)とE体(0.82g)を得た。
【0138】
(Z)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(15):
H-NMR(CDCl,500MHz):6.39(d,2H,J=2Hz),6.32(d,1H,J=2Hz),6.19(d,1H,J=10Hz),5.63(dt,1H,J=10&5Hz),5.31(bs,2H),5.11-5.07(m,1H),2.38-2.26(m,2H),2.25-2.18(m,2H),1.58(s,3H),1.56(s,3H),1.40-1.30(m,1H),1.20-1.10(m,2H),0.88(d,3H,J=7.5Hz)。
13C-NMR(MeOD,125MHz):157.09(C),156.70(C),132.86(C),130.85(C),129.04(CH),124.98(CH),108.67(CH),105.84(CH),101.66(CH),101.34(CH),40.59(CH),36.93(CH),36.03(CH),33.08(CH),25.94(CH),25.80(CH),19.72(CH)。
【0139】
(E)-5-(4,8-ジメチルノナ-1,7-ジエニル)ベンゼン-1,3-ジオール(16)
H-NMR(CDCl,500MHz):6.41(s,2H),6.31(s,1H),6.23(d,1H,J=16Hz),6.18(dt,1H,J=16&5Hz),5.31(bs,2H),5.13-5.09(m,1H),2.41-2.26(m,2H),2.25-2.18(m,2H),1.58(s,3H),1.56(s,3H),1.44-1.38(m,1H),1.18-1.07(m,2H),0.98(d,3H,J=7.5Hz)。
【0140】
ブロモ酢酸エチルを用いたO-アルキル化反応後に塩基触媒下で加水分解することにより、対応するフェノール系ジエン16から酸誘導体17を合成した。
【0141】
[実施例4]チロシナーゼアッセイ
マッシュルーム種であるアガリクスビスポラス(Agaricus bisporus)から単離されたチロシナーゼをSigma-Aldrich社から購入した(カタログ番号T3824-50KU)。この酵素をチロシナーゼアッセイ緩衝液(100mMリン酸ナトリウム,pH6.8)に10U/μlの濃度に溶解し、~70℃で保存した。実験時に、この酵素を新たに前記アッセイ緩衝液で0.2U/μlの濃度まで希釈した。全ての試験化合物を先ず100%DMSOに400mMの濃度に溶解した。これらの化合物を更に10%DMSOで2mMの濃度まで希釈した。次に、10%DMSOを添加したチロシナーゼアッセイ緩衝液で化合物の2mMストック溶液を2倍段階希釈し、合計10種類の試験濃度とした。チロシナーゼ基質であるL-ドーパ(Sigma-Aldrich社,カタログ番号37830)をチロシナーゼアッセイ緩衝液に4mMの濃度に溶解した。その後、この溶液をチロシナーゼ活性アッセイで4倍濃縮基質ストック溶液として使用した。透明底96ウェルプレートで室温にてチロシナーゼアッセイを実施した。アッセイの最終体積は1ウェル当たり200μlとした。2倍に濃縮した試験化合物100μlを4mM L-ドーパ50μlと混合した。マッシュルームチロシナーゼ(0.2U/l,1反応当たり10U)50μlを加えることにより反応を開始し、10分間進行させた。TECAN Geniosプレートリーダーを使用して450nmの光吸収により発色生成物の蓄積をモニターした。アッセイは2回ずつ実施し、1mMから1.95μMまでの試験化合物の濃度範囲に対応するようにした。酵素を加えないウェルの平均(n=2)吸収をブランク値として差し引いた。チロシナーゼを加え且つ試験化合物を加えないウェルに対する活性の百分率としてデータを計算した。
【0142】
図9は実施例4に記載するようなインビトロ酵素阻害アッセイにおける化合物6のマッシュルームチロシナーゼ阻害作用をグラフにより示す。化合物6によるチロシナーゼ酵素の明確な用量依存的阻害作用が認められ、IC50は20μMである。
【0143】
[実施例5]マウスメラノーマ細胞アッセイ
次に、以下に詳述するように、マウスメラノーマ細胞B16-F1によるメラニン産生を抑制する能力について選択化合物を試験した。
【0144】
マウスメラノーマ細胞B16-F1はATCCから購入した(カタログ番号CRL-6323)。CellTiter 96 Aqueous One SolutionはPromega社から購入した(カタログ番号G3582)。孔径0.2μmの低タンパク結合フィルターはPALL Life Sciences社から購入した(カタログ番号PN4454)。α-MSHはSigma Aldrich社から購入した(カタログ番号M4135-1MG)。全ての組織培養試薬はVWR社(フェノールレッド不含DMEM:カタログ番号12001-630;L-グルタミン:カタログ番号12001-698)とFisher Scientific社(トリプシン-EDTA:カタログ番号25-200-056)から購入した。
【0145】
95%空気と5%COの加湿雰囲気下で37℃の細胞増殖培地(グルタミン、10%ウシ胎児血清、ペニシリン50単位/ml及びストレプトマイシン50単位/mLを添加した高グルコースDMEM)にB16-F1細胞を維持した。
【0146】
全ての試験化合物を先ず100%DMSOに400mMの濃度に溶解した。次に、400mMの試験化合物6μLを前記細胞増殖培地1.2mLに加え、試験化合物の最終濃度を2mMとし、DMSOの濃度を0.5%とした。化合物を20,000×gで1時間遠心した。上清(1mL)を回収し、0.2μmの滅菌フィルターで濾過した。0.5%DMSOを添加した滅菌細胞増殖培地で化合物を2倍段階希釈し、全試料のDMSO濃度を一定に維持した。段階希釈したこれらの化合物をその後、メラニン産生アッセイと細胞生存性アッセイで2倍濃縮ストック溶液として使用した。2nM α-MSHを添加した培地と、2倍濃縮化合物溶液を等量ずつ混合し、最終濃度を1nM α-MSH、0.5%DMSO及び1倍濃度の試験化合物とした。
【0147】
透明底24ウェルプレートのウェルに細胞増殖培地0.5mLを分注し、B16-F1細胞を1ウェル当たり50,000個の密度で播種した。翌日、α-MSHを添加して新たに調製した試験化合物0.5mLをウェルに加えた。95%空気と5%COの加湿雰囲気下で細胞を37℃に48時間維持した。インキュベーション時間の終了後に、メラニンを含有する馴化培地を細胞から回収し、別のプレートに移した。メラニン含量を測定するために、TECAN Geniosプレートリーダーを使用して馴化培地の492nmの吸光度を読み取った。
【0148】
生細胞の酸化還元電位に基づく標準テトラゾリウム還元アッセイを使用して細胞の生存性を測定した。Glutamax(Fisher Scientific社,カタログ番号61870036)を添加したRPMI 1640培地を透明底96ウェルプレートに分注し、細胞を1ウェル当たり5,000個の密度で播種した。RPMI 1640培地100μLに試験化合物を溶解して細胞を処理し、95%空気と5%COの加湿雰囲気下で37℃にて48時間インキュベートした。インキュベーション後に、Aqueous One Solution20μLを各ウェルに加え、プレートをインキュベーターに戻して30分間インキュベートした。TECAN Geniosプレートリーダーを使用して492nmの細胞ウェルの吸光度を測定することにより、テトラゾリウムの変換をモニターした。
【0149】
結果
代表的な実験の結果を図2~8にまとめる。培養したメラノーマ細胞により産生されたメラニンの90%超が細胞外培地中に検出される。そこで、実験の終了後にメラニンを含有する培地を回収し、492nmの吸収によりメラニンの相対量を求めた。テトラゾリウム化合物からホルマザン発色生成物への変換に基づく比色法は広く使用されているが、(Promega社のCellTiter 96 Aqueous Oneアッセイを使用して)この比色法により細胞の生存率を求めた。この変換は代謝活性細胞中の脱水素酵素により行われ、ホルマザン生成物の量は培養液中の生細胞数に正比例する。細胞を加えないウェルの平均(n=2)吸収をブランク値として差し引いた。細胞を加え且つ試験化合物を加えないウェルに対する百分率として結果を計算した。
【0150】
[実施例6]再構築ヒト皮膚試験:材料と方法
MatTek社(Ashland,Mass.)製の再構築皮膚モデルであるメラノダーム(Melanoderm)(TM)を製造業者の指示に従って使用し、試験化合物の皮膚美白効果を試験した。要約すると、コラーゲンで被覆した膜の表面で暗色の皮膚のドナーに由来する正常ヒト表皮ケラチノサイトと正常ヒトメラノサイトを共培養し、高度に分化した多層化皮膚組織が形成されている(MEL-300-B)。この組織をCOインキュベーターで37℃に保温した。再構築皮膚(直径9mm)の頂端面を空気暴露し、基底面は皮膚分化誘導因子を添加した維持培地(EPI-100-NNM-113)5mLと接触した状態に維持した。試験化合物を80%プロピレングリコールで以下のように調液した。各試験化合物10mgをDMSOに溶解し、80%プロピレングリコール(Sigma-Aldrich社製1,2-プロパンジオール)でストック溶液濃度まで希釈した。次に化合物を0.2μmのフィルターに通すことにより滅菌し、0.5%DMSOを含有する80%プロピレングリコール中で最終試験濃度となるように滅菌水/プロピレングリコールで希釈した。更に、0.5%DMSOを含有する80%プロピレングリコールと、1%コウジ酸を含有する80%プロピレングリコールを対照として使用した。
【0151】
試験化合物を以下のように組織の頂端面に塗布した。各試験化合物25μl、80%プロピレングリコール(溶媒対照)25μl、及び1%コウジ酸(陽性対照)25μlを塗布した。試料を1日おきに14日間繰返し塗布した。全試料を2回ずつ試験した。実験の終了後に顕微鏡写真を撮影した。
【0152】
結果
再構築皮膚モデルで試験化合物の潜在的皮膚美白特性を検討した。モデルは正常ヒト由来表皮ケラチノサイトとメラノサイトを共培養し、高度に分化した多層化皮膚組織を形成したものである。本試験では、メラノサイトは高度の色素沈着を呈するドナーに由来するものとした。
【0153】
種々の濃度の試験化合物、80%プロピレングリコール(溶媒対照)、又は1%コウジ酸(陽性対照)を再構築皮膚の表面に15日間繰返し局所塗布した。試験化合物のうち、化合物#1と化合物#6の2種類は細胞形態の検出可能な変化を生じることなく、皮膚メラノサイトに対して顕著な白色化効果を示した(図11B)。試験化合物のうち、化合物#1及び#6は最大の効果を示し、実験開始後3日という短期間でメラノサイトの顕著な白色化が認められた(データは示さず)。15日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な用量依存的白色化効果が認められる。
【0154】
化合物#1及び#5は更に、プロピオニバクテリウム属(アクネ菌)に対して最大の効果(MIC/MBC;<3.9ppm)を示すと共に、低マイクロモルの範囲で炎症性サイトカインの阻害を示した。
【0155】
図10Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物1のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。
【0156】
図10Bは化合物1を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。
【0157】
図11Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物4のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物4は若干の毒性を示した。
【0158】
図11Bは化合物4を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。0.05%で化合物4は若干の毒性を示した。
【0159】
図12Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物6のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。
【0160】
図12Bは化合物6を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。
【0161】
図13Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物7のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物7は若干の毒性を示した。
【0162】
図13Bは化合物7を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。0.05%で化合物7は若干の毒性を示した。
【0163】
図14Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物8のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物8は若干の毒性を示した。
【0164】
図15Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物12のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物12は若干の毒性を示した。
【0165】
図15Bは化合物12を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。0.05%で化合物12は若干の毒性を示した。
【0166】
図16Aは実施例6に記載するように作製された再構築皮膚に対する化合物15のメラニン抑制作用を示す。皮膚美白剤の局所塗布を模倣できるように、再構築皮膚を気液界面で増殖させた。再構築皮膚はケラチノサイトとメラノサイトの両方を含むものを用いた。0.05%で化合物15は若干の毒性を示した。
【0167】
図16Bは化合物15を利用して実施例6に記載するように実施した再構築皮膚試験の結果を写真により示す。14日間実験後に回収した皮膚標本の写真によると、写真上に暗色の樹状細胞として現れているメラノサイトに対して顕著な白色化効果が認められる。0.05%で化合物15は若干の毒性を示した。
【0168】
[実施例7]アクネ菌試験
文献に記載されている方法(Modugno e.al.(1994)Antimicrobial agents and Chemotherapy 38:2362-2368;Misiek et.al.(1973)Antimicrobial agents and Chemotherapy 3:40-48)により試験化合物の抗微生物活性を評価した。プロピオニバクテリウムアクネス(Propionibacterium acnes)(ATCC11827)を強化クロストリジア培地で37℃にて20時間培養した。試験品と陽性対照を1%DMSOに溶解し、インキュベーション体積を1mLとした。評価時間は1日とした。定量法として濁度の測定を使用した。0.1μg/mLの陽性対照アンピシリンに対して、化合物を250μg/mL、125μg/mL、62μg/mL、31μg/mL、16μg/mL、8μg/mL、4μg/mL、2μg/mLの濃度で2回ずつ試験した。
【0169】
[実施例8]炎症試験
試験化合物によるCOX-1及びCOX-2の阻害
COX-1及びCOX-2活性を阻害した化合物をスクリーニングするために、Cayman Chemical社から酵素阻害アッセイキット(カタログ番号701050)を購入した。要約すると、試験化合物を固定量のCOX-1酵素とCOX-2酵素で処理した。開裂可能なペルオキシド基発色団をアッセイに加え、補因子としてアラキドン酸の存在下で各酵素のペルオキシダーゼ活性を可視化した。一般的には、96ウェルフォーマットでアッセイを実施した。1.9μM、3.9μM、7.8μM、15.6μM、31.2μM、62.5μM、125μM、250μM、500μM及び1000μMの濃度範囲を使用し、100%DMSO中1Mストック溶液から分取した各阻害剤を室温で2回ずつ試験した。ヘミン10μL、DMSOで希釈した阻害剤10μL及びCOX-1又はCOX-2酵素10μLと共にアッセイ緩衝液150μLを各ウェルに加えた。化合物を室温で5分間インキュベートした後に比色基質溶液20μLとアラキドン酸溶液20μLを加え、反応を開始した。プレートを混合し、2分間インキュベートした後に590nmの吸光度を読み取った。阻害率%に対する阻害剤濃度をプロットし、IC50を求めた。
【0170】
試験化合物による5-リポキシゲナーゼの阻害
炎症応答に関与する最も重要な経路の1つは非ヘム鉄イオン含有リポキシゲナーゼ(5-LOX、12-LOX及び15-LOX)により構成され、これらのリポキシゲナーゼはAA等の脂肪酸の酸化を触媒してヒドロペルオキシドである5-HEPTE、12-HEPTE及び15-HEPTEを生成し、これらのヒドロペルオキシドはその後、ロイコトリエンに変換される。Cayman Chemical社製の市販キット(カタログ番号760700;ジャガイモ由来5-リポキシゲナーゼ:カタログ番号60400)を使用してリポキシゲナーゼ阻害アッセイを実施した。試験品と陽性対照を1%DMSOに溶解した。ジャガイモ由来リポキシゲナーゼ酵素希釈液90μLと阻害剤10μLを透明平底96ウェルマイクロプレートに加えた。プレートを室温で5分間プレインキュベートした。リノール酸基質10μLを加えることにより反応を開始した。次にプレートを振盪機にセットし、室温で10分間振盪した。クロモゲン溶液100μLを各ウェルに加え、プレートを再び5分間振盪した。TECAN Geniosプレートリーダーを使用して492nmの吸光度を読み取った。阻害率%に対する阻害剤濃度をプロットし、IC50を求めた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16A
図16B