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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ペンニードルマガジン
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20230925BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20230925BHJP
   A61M 5/34 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
A61M5/00 510
A61M5/32 500
A61M5/34 530
A61M5/32 510B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021563267
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 US2019029321
(87)【国際公開番号】W WO2020219067
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アミット リメイエ
(72)【発明者】
【氏名】ディプモン アイヤンシラ マニ
(72)【発明者】
【氏名】プラヴィーシュ カラッツ ミーサル
(72)【発明者】
【氏名】サジャイエシュ ヴィジャヤチャンドラン
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/132237(WO,A1)
【文献】特開2012-050819(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0032769(US,A1)
【文献】特開2012-232136(JP,A)
【文献】国際公開第97/044078(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
A61M 5/32
A61M 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンニードルマガジン(10)であって、
各々が段付きロッキング要素(16)を有する複数の区画(14)であって、複数の区画(14)が各々、ペンニードル(40)を収容して運ぶ、複数の区画(14)と、
複数の区画(14)の各々の上面に配置され、ペンニードル(40)の各々を、対応する区画(14)内に封入するように構成されたシール(30)と、
段付きロッキング要素(16)に係合するように構成されるスナップロッキング部材(22)をそれぞれ有する複数の区画ドア(20)であって、対応する区画(14)を覆うようにそれぞれ構成された複数の区画ドア(20)と、
を備え、
複数の区画(14)のうちの1つの、閉じた、ロック解除状態において、シール(30)は、複数の区画(14)のうちの1つの上面と、対応する区画ドア(20)との間に配置され、シール(30)は、段付きロッキング要素(16)とスナップロッキング部材(22)との間に配置される、ペンニードルマガジン(10)。
【請求項2】
複数の区画(14)のうちの1つの、閉じた、ロック状態において、シール(30)が取り除かれ、段付きロッキング要素(16)がスナップロッキング部材(22)と係合する、請求項1に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項3】
複数の区画(14)のうちの1つの、開いた、ロック解除状態において、ペンニードル(40)にアクセスし、同時に区画(14)を開けるように、シール(30)が区画(14)の上面から取り除かれる、請求項1に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項4】
ペンニードルマガジン(10)であって、
各々が段付きロッキング要素(16)を有する複数の区画(14)であって、複数の区画(14)が各々、ペンニードル(40)を収容して運ぶ、複数の区画(14)と、
複数の区画(14)の各々の上面に配置され、ペンニードル(40)の各々を、対応する区画(14)内に封入するように構成されたシール(30)と、
段付きロッキング要素(16)に係合するように構成されるスナップロッキング部材(22)をそれぞれ有する複数の区画ドア(20)であって、対応する区画(14)を覆うようにそれぞれ構成された複数の区画ドア(20)と、
を備え、
複数の区画(14)のうちの1つの、閉じた、ロック解除状態において、シール(30)は、複数の区画(14)のうちの1つの上面と、対応する区画ドア(20)との間に配置され、シール(30)は、段付きロッキング要素(16)とスナップロッキング部材(22)との間に配置され、
前記ペンニードルマガジン(10)
内ねじ(44)と外ねじ(46)を有するペンニードル(40)をそれぞれが収容して運ぶ前記複数の区画(14)と、
各々が内ねじ(82)を含む複数の内側シールド(80)であって、内側シールド(80)の1つが前記複数の区画(14)のそれぞれに配置されている、内側シールド(80)と、を備え、
内側シールド(80)の内ねじ(82)は、ペンニードル(40)の外ねじ(46)と係合するように構成され、
ペンニードル(40)の内ねじ(44)と外ねじ(46)とは、異なる方向にねじが切られている、ペンニードルマガジン(10)。
【請求項5】
ペンニードル(40)の内ねじ(44)は、時計回り方向にねじが切られ、ペンニードル(40)の外ねじ(46)は反時計回り方向にねじが切られている、請求項4に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項6】
ペンニードル(40)の内ねじ(44)は、反時計回り方向にねじが切られ、ペンニードル(40)の外ねじ(46)は時計回り方向にねじが切られている、請求項4に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項7】
ペンアセンブリ(1)であって、
ねじ山(4)を有する薬剤送達ペン(2)と、
請求項4に記載のペンニードルマガジン(10)と、
を備え、
薬剤送達ペン(2)のねじ山(4)がペンニードル(40)の内ねじ(44)に係合すると、ペンニードル(40)の外ねじ(46)が内側シールド(80)の内ねじ(82)から外れる、ペンアセンブリ(1)。
【請求項8】
ペンアセンブリ(1)であって、
ねじ山(4)を有する薬剤送達ペン(2)と、
請求項4に記載のペンニードルマガジン(10)と、
を備え、
薬剤送達ペン(2)のねじ山(4)がペンニードル(40)の内ねじ(44)から外れると、ペンニードル(40)の外ねじ(46)が内側シールド(80)の内ねじ(82)に係合する、ペンアセンブリ(1)。
【請求項9】
内側シールド(80)が、複数の区画(14)の各々の遠位端に配置される、請求項4に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項10】
複数の区画(14)の各々が、区画(14)の底部内面から延びるフランジロッキング要素(18)を含む、請求項4に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項11】
内側シールド(80)は、フランジロッキング要素(18)と係合し、内側シールド(80)を区画(14)にロックするように構成される開口部(84)を含む、請求項10に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項12】
スナップロッキング部材(122)を含む区画ドア(20)をさらに備え、
複数の区画(14)のうちの1つは、フレキシブルな部材である段付きロッキング要素(116)を含み、
閉じた、ロック状態では、段付きロッキング要素(116)は、スナップロッキング部材(122)と係合し、区画ドア(20)を区画(14)にロックするように曲がらない、請求項4に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項13】
閉じた、ロック解除状態では、段付きロッキング部材(116)は、弾性変形して、スナップロッキング部材(122)を係合解除し、区画ドア(20)を区画(14)からロック解除する、請求項12に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項14】
複数の区画(14)の各々の上面に配置され、ペンニードル(40)の各々を、対応する区画(14)内に封入するシール(30)と、
各々が対応する区画(14)を覆う複数の区画ドア(20)と、
をさらに備える、請求項4に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項15】
それぞれのシール(30)が、閉じた、ロック解除状態において、複数の区画(14)のうちの1つの上面と、対応する区画ドア(20)との間に配置されている、請求項14に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項16】
シール部(32)およびタブ部(34)を含むシール(30)と、
各々が段付きロッキング要素(16)を有する複数の区画(14)と、
段付きロッキング要素(16)と係合するように構成されているスナップロッキング部材(22)を各々が有する複数の区画ドア(20)と、
をさらに備え、
複数の区画(14)のうちの1つの、閉じた、ロック解除状態において、シール部(32)が、複数の区画(14)のうちの1つの上面と、対応する区画ドア(20)との間配置され、タブ部(34)が、段付きロッキング要素(16)とスナップロッキング部材(22)との間に配置される、請求項4に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項17】
複数の区画(14)のうちの1つの、閉じた、ロック状態において、シール(30)が取り除かれ、段付きロッキング要素(16)がスナップロッキング部材(22)と係合する、請求項16に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項18】
複数の区画(14)のうちの1つの、開いた、ロック解除状態において、ペンニードル(40)にアクセスし、同時に区画(14)を開けるように、シール(30)が、区画(14)の上面から取り除かれる、請求項16に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項19】
シール(30)、段付きロッキング要素(16)及びスナップロッキング部材(22)を偶発的操作から守る耐タンパー部材(19)をさらに備える、請求項16に記載のペンニードルマガジン(10)。
【請求項20】
ペンニードルマガジン(10)であって、
各々が段付きロッキング要素(16)を有する複数の区画(14)であって、複数の区画(14)が各々、ペンニードル(40)を収容して運ぶ、複数の区画(14)と、
複数の区画(14)の各々の上面に配置され、ペンニードル(40)の各々を、対応する区画(14)内に封入するように構成されたシール(30)と、
段付きロッキング要素(16)に係合するように構成されるスナップロッキング部材(22)をそれぞれ有する複数の区画ドア(20)であって、対応する区画(14)を覆うようにそれぞれ構成された複数の区画ドア(20)と、
を備え、
複数の区画(14)のうちの1つの、閉じた、ロック解除状態において、シール(30)は、複数の区画(14)のうちの1つの上面と、対応する区画ドア(20)との間に配置され、シール(30)は、段付きロッキング要素(16)とスナップロッキング部材(22)との間に配置され、
前記ペンニードルマガジン(10)
各々が内ねじ(82)を含む前記複数の区画(14)であって、各区画(14)が、内ねじ(44)および外ねじ(46)を有するペンニードル(40)を収容して運ぶ、前記複数の区画(14)を備え、
内ねじ(82)は、ペンニードル(40)の外ねじ(46)と係合するように構成されており、
ペンニードル(40)の内ねじ(44)と外ねじ(46)とは異なる方向にねじが切られている、ペンニードルマガジン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の例示的な実施形態は、薬剤送達ペン用ペンニードルの保管および廃棄に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤ペン(medication pen)は、典型的には、患者に薬剤を注射するために使用される。定期的に薬剤を自己注射しなければならない人は、一般的には、薬剤ペン、数本の単回使用のペンニードル、および数本の洗浄用綿棒を携帯する。薬剤ペンは安全性と無菌性を保つために設計されている。しかし、効率の悪さおよび不便さが生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様は、薬剤送達用薬剤ペンと係合するようにそれぞれ構成された複数のニードルを収容するペンニードルマガジンを提供することである。このようなマガジンは、簡単な構成(organization)で利点を提供し、同じマガジン内で使用後のニードル廃棄と使用前のニードル保管を可能にし、最適化されたワークフローで使用法を改善してセットアップ時間とスペースを削減する。ニードルの使用後の廃棄と、使用前の保管により、同期したペンニードルの着脱と、同期したペンニードルの取り外しと廃棄が可能となる。最後に、ペンニードルの取り付けおよびマガジンからの取り外しの制御された動きは、使用者のニードル刺さりを減らし、ペンニードル内のニードルの偶発的な曲がりを低減する。
【0004】
ペンニードルマガジンはまた、いくつかの方法でペンニードルの再使用の可能性を減らす。第1に、ペンニードルマガジンは、ペンニードルが使用されているか新しいかを使用者に示す視覚的インジケータとして機能するシールタブを有する。第2に、シールタブは、耐タンパー部材内に配置され、ロッキング機構と協働して区画を開ける。最後に、シールタブが取り除かれた後、耐タンパー部材は、区画ドアとそれぞれの区画との間のロッキング機構へのアクセスを防止する。
【0005】
本発明の上記および/または他の態様は、各々が段付きロッキング要素を有する複数の区画(compartment)であって、複数の区画が各々、ペンニードルを運ぶ、複数の区画と、複数の区画の各々の上面に配置され、各ペンニードルを、対応する区画内に封入するように構成されたシールと、段付きロッキング要素に係合するように構成されるスナップロッキング部材を各々が有する複数の区画ドアであって、対応する区画を覆うようにそれぞれ構成された複数の区画ドアとを備え、複数の区画のうちの、閉じた、ロック解除状態(closed, unlocked position)において、シールは、複数の区画のうちの1つの上面と、対応する区画ドアとの間に配置され、シールは、段付きロッキング要素とスナップロッキング部材との間に配置される、ペンニードルマガジンを提供することによって達成することができる。
【0006】
本発明の上記および/または他の態様は、内ねじおよび外ねじを有するペンニードルを各々が運ぶ複数の区画と、内ねじを含む内側シールドであって、複数の区画の各々に配置されている、内側シールドとを備え、内側シールドの内ねじは、ペンニードルの外ねじに係合するように構成され、ペンニードルの内ねじと外ねじとは、異なる方向にねじが切られている(threaded)、ペンニードルマガジンを提供することによって、さらに達成され得る。
【0007】
本発明の上記および/または他の態様は、各々が内ねじを含む、複数の区画を備えるペンニードルマガジンであって、各区画が、内ねじおよび外ねじを有するペンニードルを運び、内ねじはペンニードルの外ねじと係合するように構成され、ペンニードルの内ねじおよび外ねじは異なる方向に係合する、ペンニードルマガジンを提供することによっても達成することができる。
【0008】
本発明の上記および/または他の態様は、ハウジング内に収容された複数のペンニードルを使用する方法を提供することによってさらに達成することができ、この方法は、未使用のペンニードルを薬剤送達用の薬剤送達ペンに接続する工程と、当該接続工程と同時に未使用のペンニードルをハウジングの空洞から取り除く工程と、薬剤送達ペンに接続されたペンニードルを介して薬剤を投与する工程と、薬剤送達後の使用済みのペンニードルをハウジングの空洞内に配置し、同時に使用済みのペンニードルを薬剤送達ペンから外す工程と、ハウジング内の複数のペンニードルの全てを使用した後に、ハウジングを製造業者または廃棄物処理業者に送る工程とを含む。
【0009】
本発明の追加的なおよび/または他の態様および利点は、以下の説明に記載されるか、説明から明らかになるか、または本発明の実施によって習得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の上記の態様および特徴は、添付の図面を参照した本発明の例示的な実施形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0011】
図1】例示的なペンニードルマガジンの斜視図を示す。
図2】薬剤送達ペンおよび図1のペンニードルマガジンを含むペンアセンブリの断面図を示す。
図3】閉じた、ロック解除状態で使用する準備がされた、図1のペンニードルマガジン内の区画の断面図を示す。
図4】開いた状態(open position)における図3の区画の断面図を示す。
図5】区画内でペンニードルに係合される過程にある薬剤送達ペン、および図4の区画から外される過程にあるペンニードルの断面図を示す。
図6図5の区画からペンニードルを取り外す薬剤送達ペンの断面図を示す。
図7図6の区画内に廃棄する準備がされた、使用済みペンニードルの断面図を示す。
図8】ペンニードルから外される過程にある薬剤送達ペン、および図7の区画に係合される過程にあるペンニードルの断面図を示す。
図9】ペンニードルから分離された薬剤送達ペン、および図8の区画内に配置されたペンニードルの断面図を示す。
図10】閉じた、ロック状態(closed, locked position)にある図9の区画の断面図を示す。
図11】閉じた、ロック解除状態にある、図3の区画と区画ドアとの間のロッキング機構の代替実施形態の断面図を示す。
図12】閉じた、ロック状態にある区画と区画ドアとの間の図11のロッキング機構の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一実施形態によれば、図1は、複数のペンニードル40を運ぶように構成されたペンニードルマガジン10を示している。ペンニードルマガジン10は、マガジンハウジング12と、複数の区画14と、複数の区画ドア20とを含む。マガジンハウジング12は、隣接する区画14の略矩形状の直線状の配列である。複数の区画14の各々は、略正方形状であり、ペンニードル40を運ぶ空洞を含む。複数の区画ドア20の各々は、区画14のそれぞれの一方の面(背面)に蝶番がつけられ、複数の区画14の対応する区画14を覆い、および、そこへのアクセスを提供するために開閉するように構成されている。このような配置は、ペンニードル40の容易な構成を有利に提供する。
【0013】
複数の区画14のそれぞれは、段付きロッキング要素16、フランジ付きロッキング要素18、および耐タンパー部材19をさらに含む。段付きロッキング要素16は、図3に示すように、各区画14の外側面(正面)を越えて延びる突出面である。段付きロッキング要素16はまた、区画14の近位端付近に配置され、区画ドア20に係合してロックするように構成されている。また、段付きロッキング要素16は、各区画14の、蝶番付き側面とは反対側の外側面に配置されている。段付きロッキング要素16の更なる操作上の詳細を以下に説明する。
【0014】
フランジ付きロッキング要素18は、複数の区画14のそれぞれの遠位端の内側底面に配置された円形要素である。フランジ付きロッキング要素18は、底面から上方に延び、内側シールド80と相互作用するように構成される。フランジ付きロッキング要素18から複数のフランジが部分的に切り出され、柔軟性(flexibility)および弾性運動(elastic movement)が向上される。複数のフランジは、近位端において円周面に沿って上方及び半径方向外向きに延びる。これらのフランジは、内側シールド80と係合して、内側シールド80を区画14にロックする。増加した柔軟性及び弾性運動は、内側シールド80の区画14への係合を可能にする。
【0015】
耐タンパー部材19は、各区画14の正面から突出する中空の空洞である。具体的には、耐タンパー部材19は、複数の区画14のそれぞれの外側面に配置された中空の開口部を有する突出部材を含む。この中空の開口部は、区画14の段付きロッキング要素16が区画ドア20のスナップロッキング部材22に係合する空間を有する。
【0016】
さらに、シール30は、区画14の、閉じた、ロック解除状態において、段付きロッキング要素16とスナップロッキング部材22との間に配置されるように構成される。耐タンパー部材19は、特に閉じた、ロック状態において、使用者が段付きロッキング要素16とスナップロッキング部材22を操作することを有利に防止する。耐タンパー部材19はまた、区画14が、閉じた、ロック解除状態にあるとき、特にシール30の屈曲部において、シール30を部分的に隠す。なお、スナップロッキング部材22及びシール30の詳細については後述する。
【0017】
図3及び図4は、各々の区画ドア20のスナップロッキング部材22を示す。スナップロッキング部材22は、(区画14の背面に隣接した)蝶番面とは反対側の(区画14の正面に隣接した)側面に配置されたフランジ部材である。スナップロッキング部材22は、区画14の段付きロッキング要素16(ロッキング機構)に係合してロックするように構成される。具体的には、スナップロッキング部材22のフランジ面は、段付きロッキング要素16の底面と係合するように構成されている。しかしながら、シール30は、スナップロッキング部材22と段付きロッキング要素16との間に配置されて、区画ドア20を、閉じているが、ロック解除されている状態に維持することができる(閉じた、ロック解除状態)。
【0018】
ペンニードル40が複数の区画14からアクセスされる前に、複数の区画14の各々は、シール30によって封入される。図1は、複数のシール30がそれぞれ、複数の区画14の1つを囲む様子を示す。図1の右端の区画14は、シール30が区画14の上面から取り除かれた状態で開かれている。
【0019】
シール30は、プラスチック、ポリマー、ホイルもしくは金属材料、または複合ポリマー金属マルチラミネートの任意の組み合わせからなる。シール30の材料は、区画14内の空洞に密閉シールまたは気密シールを提供する。さらに、この材料により、有利に、シール30が、塑性変形または破壊なしに種々の形状に柔軟に、調整可能となる。
【0020】
図1の右端のシール30は、シール30の構成要素を最もよく示している。具体的には、シール30は、シール部32およびタブ部34を含む。シール部32は、各区画14の上面の真上に配置され、ペンニードル40を区画14内に封入する。区画ドア20がマガジンハウジング12に固定されると、区画ドア20がシール部32を覆い、偶発的に刺すことを有利に防止する。これにより、シール部32は、区画14の、閉じた、ロック解除状態において区画14の上面と区画ドア20との間に挟まれる。
【0021】
タブ部34は、対応する区画14の近くにある。閉じた、ロック解除状態では、図3に示すように、タブ部34は、区画ドア20と区画14との間に配置されている。具体的には、タブ部34は、区画14の正面に沿って配置され、区画14の段付きロッキング要素16と区画ドア20のスナップロッキング部材22との間に配置されている。このようにタブ部34を配置することにより、段付きロッキング要素16がスナップロッキング部材22に係合するのを防止する。タブ部34の材料は、段付きロッキング要素16がスナップロッキング部材22に係合するのを防止するための厳密さを有利に提供する。
【0022】
タブ部34はさらにまた、屈曲部で180°に近い角度で上方に屈曲され、耐タンパー部材19の近位端から出る。すなわち、タブ部34は、耐タンパー部材19の近位端で出入りする。したがって、使用者は有利に、タブ部34にアクセスして使用することで、スナップロッキング部材22を外側に撓ませ、開いた、ロック解除状態で区画ドア20を開けることができる。具体的には、使用者は、タブ部34を保持し、上方に引っ張り、区画ドア20を開けて、シール部32を区画14の上面から取り除く。
【0023】
タブ部34は、閉じた区画ドア20の外にいる使用者にとって、ペンニードル40がシール30によって区画14内に封入されていることを示す視覚的インジケータとしても作用する。このような配置は、ペンニードル40が未使用であり、使用可能であることを有利に示す。
【0024】
図10は、使用されたペンニードル40が区画14に戻され、区画ドア20が閉じられる、閉じた、ロック状態にある区画14のうちの1つを示す。この配置において、シール30はもはや存在しないので、区画14の段付きロッキング要素16は、区画ドア20のスナップロッキング部材22と係合して、使用済みペンニードル40を区画14内にロックする。
【0025】
図2は、ペンニードルマガジン10および薬剤送達ペン2を含むペンアセンブリ1を示す。薬剤送達ペン2は、外ねじ4および隔壁6を含む。外ねじ4は、ペンニードル40の内ねじ44にねじ込んで、係合するように構成されている。隔壁6は、薬剤送達ペン2のカートリッジ内に薬剤を保持するシールである。隔壁6がペンニードル40のニードル50の非患者端部によって貫通されると、流体連通が、薬剤送達ペン2とペンニードル40のニードル50の患者端部との間に確立される。
【0026】
図2および図3は、ペンニードル40を示す。ペンニードル40は、ハブ42、内ねじ44、外ねじ46、およびニードル50を含む。ハブ42は、ペンニードル40のハウジングまたは基部である。上述のように、内ねじ44は、薬剤送達ペン2の外ねじ4に取り付けられるように構成されている。内ねじ44が外ねじ4に完全に係合すると、ニードル50の非患者端部は、薬剤送達ペン2の隔壁6を貫通して流体連通を確立する。
【0027】
ペンニードル40の外ねじ46は、内側シールド80の内ねじ82と係合するように構成されている。具体的には、外ねじ46は、内ねじ44とは反対方向に有利にねじが切られている。このようにして、ペンニードル40は、ペンニードル40の着脱時、およびペンニードル40の取り外しおよび廃棄時に、薬剤送達ペン2および内側シールド80の係合および係合解除を同時に提供する。
【0028】
換言すれば、ペンニードル40の内ねじ44と外ねじ46とは、有利には異なる方向にねじが切られている。このような構造は、ペンニードル40の取り付けおよび取り外しと、ペンニードル40の取り外しおよび廃棄とを有利に同期させる。具体的には、薬剤送達ペン2のねじ山4がペンニードル40の内ねじ44に係合すると、ペンニードル40の外ねじ46が内側シールド80の内ねじ82から同時に外れる。この同時動作は、ペンニードル40を、使用のための区画14から取り外すための同一回転運動中に生じる。また、薬剤送達ペン2のねじ山4がペンニードル40の内ねじ44から外れると、ペンニードル40の外ねじ46が内側シールド80の内ねじ82と同時に係合する。この同時動作は、使用済みのペンニードル40を、廃棄用の区画14内に配置するための同一回転運動中に生じる。
【0029】
一実施形態では、図2のペンアセンブリ1を見下ろした平面図から、ペンニードル40の内ねじ44は時計回り方向にネジ山が切られ、ペンニードル40の外ねじ46は、反時計回り方向にネジ山が切られている。別の実施形態では、図2のペンアセンブリ1を見下ろした平面図から、ペンニードル40の内ねじ44は反時計回り方向にネジ山が切られ、ペンニードル40の外ねじ46は、時計回り方向にネジ山が切られている。
【0030】
最後に、ペンニードル40は、当業者に通常理解されるように、ニードル50を含む。ペンニードル40が薬剤送達ペン4に取り付けられると、ニードル50の近位端(非患者端)は、流体連通を確立するために薬剤送達ペン4の隔壁6を貫通する。従って、使用中、ニードル50の遠位端(患者端)は、薬剤を投与するために薬剤送達ペン2と患者との間に流体連通を提供する。
【0031】
図2および図3は、内ねじ82およびロック開口部84を有する内側シールド80の好ましい実施形態を示す。内側シールド80は、各区画14の遠位端に配置された中空円筒である。内ねじ82は、内側シールド80の内面の近位端に配置され、ペンニードル40の外ねじ46と係合するように構成される。
【0032】
内側シールド80は、区画14内のフランジ付きロッキング要素18の円形の特徴部(circular feature)を取り囲んでいる。ロック開口部84は、フランジ付きロッキング要素18のフランジと係合して、内側シールド80を区画14に回転および軸方向にロックする垂直スロットを備える。具体的には、フランジ付きロッキング要素18のフランジは、外側に延びて、内側シールド80のロック開口部84内にまで及んで、ロックする。係合時には、内側シールド80は、区画14から取り外すことができない。また、内側シールド80を区画14内で回転させることができない。
【0033】
代替実施形態において、内ねじ82およびロック開口部84を有する内側シールド80は、各区画14の一体部分(integral portion)である。この構造において、内側シールド80の特徴は、本出願全体を通して記載されるのと同様に機能する。
【0034】
ペンニードルマガジン10の詳細な操作を以下に説明する。操作中、内側シールド80の1つは、複数の区画14の各々にロックされる。具体的には、区画14のフランジロッキング要素18は、内側シールド80のロック開口部84に係合する。この係合は、内側シールド80が区画14内で回転移動して、区画14から取り外されるのを防止する。
【0035】
図3は、閉じた、ロック解除状態にある複数の区画14のうちの1つを示す。この状態で、未使用のペンニードル40を運ぶ区画14は、ペンニードル40の外ねじ46及びシールド80の内ねじ82を介して内側シールド80にねじ込まれている。シール30のシール部32は、区画40を囲み、区画ドア20は、シール30の上に有利に配置されて、区画14をさらに覆い、シール30を不用意に刺すことから保護する。
【0036】
タブ部34は、区画14の段付きロッキング要素16と区画ドア20のスナップロッキング部材22との間に配置される。タブ部34は、スナップロッキング部材22と段付きロッキング要素16との係合を防止することにより、区画ドア20の区画14へのロックを防止する。
【0037】
タブ部34は、スナップロッキング部材22と段付きロッキング要素16との間に配置されるように下向き方向に配置される。その後、タブ部34は、約180°で上向きに曲げられて、区画14の耐タンパー部材19の外でアクセス可能になる。タブ部34の一部、およびスナップロッキング部材22と段付きロッキング要素16との間の接触面(境界面)は、耐タンパー部材19内に配置され、これらの特徴を不注意な操作および使用から有利に保護する。
【0038】
図4は、区画14の、開いた、ロック解除状態を示す。この状態で、使用者は、シール30のタブ部34を上方に引き、スナップロッキング部材22を、区画14から外向きに、かつ、耐タンパー部材19から上方に曲げる。続いて、シール部32を区画14の上面から取り除く。同時に、区画ドア20が回転して区画14を開ける。ペンニードル40が露出し、取り外して使用できる状態になる。
【0039】
図5は、ペンニードル40が内側シールド80と係合を解除する過程にある間に、ペンニードル40と係合する過程にある薬剤送達ペン2を示している。具体的には、使用者は、薬剤送達ペン2を押して回転させて、ねじ4を平面視時計回りに回転させてペンニードル40の内ねじ44にねじ込み、薬剤送達ペン2に取り付ける。同時に、ペンニードル40の外ねじ46を平面視反時計回りに内側シールド80の内ねじ82から外して、内側シールド80から取り外し、最終的に区画14から取り外す。上述のように、内側シールド80は、取り外し可能なように区画14に回転固定されている。ペンニードル40のこの同期した取付け及び取外しは、効率的な使いやすさ及びデザインの単純化において重要な利点を提供する。
【0040】
図6は、ペンニードル40に係合し、区画14から取り外された薬剤送達ペン2を示す。ペンニードル40が薬剤送達ペン2に係合すると、ニードル50の近位端(非患者端)が隔壁6を貫通する。従って、ニードル50の遠位端(患者端)は、薬剤送達ペン2と流体連通し、注入および薬剤送達の準備ができている。
【0041】
図7は、使用者が使用済みのペンニードル40を区画14内に廃棄しようとしている、薬剤送達ペン2に装着された使用済みのペンニードル40を示す。図8は、ペンニードル40が内側シールド80と係合する過程にある間に、薬剤送達ペン2から外れる過程にあるペンニードル40を示している。具体的には、使用者は、薬剤送達ペン2に装着されたペンニードル40を平面視反時計回り方向に押して回転させて、ペンニードル40の内ねじ44を薬剤送達ペン2のねじ山4からねじを外して、取り外す。同時に、外ねじ46を平面視時計回り方向に内側シールド80の内ねじ82にねじ込んで、使用済みのペンニードル40をマガジンハウジング12の区画14内に保持して、最終的に処理する。上述のように、内側シールド80は、ねじ込みが可能なように区画14に回転固定されている。ペンニードル40のこの同期した取り外し及び廃棄は、効率的な使いやすさ及びデザインの単純化において重要な利点を提供する。
【0042】
図9は、薬剤送達ペン2が区画14から取り外され、ペンニードル40が区画14内に保持されているペンニードル40から外された薬剤送達ペン2を示す。ペンニードル40と薬剤送達ペン2との間の流体連通がこれで、終了する。
【0043】
図10は、使用済みペンニードル40を運ぶ区画14を閉じる区画ドア20を示している。閉じた、ロック状態において、区画ドア20は、区画14にロックされる。具体的には、区画14の段付きロッキング要素16は、区画ドア20のスナップロッキング部材22と係合して、確実なロック配置を提供する。段付きロッキング要素16およびスナップロッキング部材22は、耐タンパー部材19内で係合して、このロッキング係合をいかなる不正操作(tampering)からも保護する。これで、使用者は、別の区画14から新しいペンニードル40を使用することができる。
【0044】
すべてのペンニードル40が使用され、ペンニードルマガジン10のそれぞれの区画14に戻された後、使用者は、安全で無菌の廃棄のために、有利には、例えば、製造業者または廃棄物処理業者に郵便でペンニードルマガジン10を送ることができる。任意で、製造業者は、ペンニードルマガジン10の様々な構成要素をリサイクルし、再利用することができる。例えば、製造業者は、ペンニードルマガジン10内の区画14の一部または全部を滅菌し、再利用することができる。具体的には、製造業者は、1つ以上の区画14において、使用済みのペンニードル40を未使用のペンニードル40と交換し、それぞれの区画14をシール30でシールすることができる。その後、ペンニードルマガジン10を出荷し、最終的には再利用のために販売することができる。
【0045】
図11は、区画14の段付きロッキング要素116と、区画ドア20のスナップロッキング部材122とを備えるロッキング機構の代替実施形態を示す。段付きロッキング要素116は、スナップロッキング部材122から外れるように屈曲または弾性変形する折れやすい(frangible)またはフレキシブルな(flexible)部材である。一実施形態では、段付きロッキング要素116は、区画14の開口部に嵌合するインサート(insert)である。他の実施形態では、段付きロッキング要素116は、区画14に一体化されている。このロッキング機構は、使用済みペンニードル40を区画14に配置する前に、使用者が誤って区画ドア20を閉じる可能性を防止する。
【0046】
図11は、区画14に対して、閉じた、ロック解除状態にある区画ドア20を示している。一方、図12は、スナップロッキング部材122と係合するように曲がらない(rigid)段付きロッキング要素116を示している。この配置において、区画ドア20は、区画14に対して、閉じた、ロック状態にある。
【0047】
同じペンニードルマガジン10内でのペンニードル40の保管および使用、ならびにペンニードル40の廃棄は、多くの有利および利点を提供する。ペンニードル40の保管と廃棄のための別個のパッケージを必要としない。これは、ペンニードルマガジン10がペンニードル40の着脱とペンニードル40の取り外しと廃棄とを有利に同期させるためである。この多くのことに使用できる配置により、使用法が向上し、ワークフローが最適化され、セットアップ時間が最小化され、スペースが最適化される。
【0048】
いくつかの例示的な実施形態の上記の詳細な説明は、本発明の原理およびその実際的な適用を説明する目的で提供され、それにより、当業者が、種々の実施形態について、および企図される特定の用途に適した種々の変更を用いて、本発明を理解することを可能にする。この説明は、必ずしも包括的であるか、または本発明を、開示された正確な実施形態に限定することを意図するものではない。さらに、本明細書に開示された実施形態、特徴および/または要素のいずれも、組み合わせられる実施形態、特徴および/または要素が互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせて、具体的に開示されていない様々な追加の組み合わせを形成することができる。したがって、追加の実施形態が可能であり、本明細書および本発明の範囲内に包含されることが意図される。本明細書は、他の方法で達成することができる、より一般的な目標を達成するための特定の例を記述している。
【0049】
本出願において使用される、用語「前方の(front)」、「後方の(rear)」、「上方の(upper)」、「下方の(lower)」、「上方へ(upwardly)」、「下方へ(downwardly)」、および他の配向に関する記述は、本発明の例示的な実施形態の説明を容易にすることを意図しており、本発明の例示的な実施形態の構造を特定の状態または配向に限定することを意図していない。「実質的に(substantially)」または「およそ(approximately)」などの程度に関する用語は、所与の値の周辺およびそれを含む合理的な範囲、例えば説明された実施形態の製造、組立て、および使用に関連する一般的な公差を指すものと、当業者に理解される。
図1
図2
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図4
図5
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図7
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図12