(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】車両信号を処理して挙動危険性の測度を計算するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/095 20120101AFI20230925BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20230925BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230925BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230925BHJP
G05D 1/08 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
B60W30/095
B60W40/06
G08G1/00 D
G08G1/16 A
G05D1/08 Z
(21)【出願番号】P 2021569895
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 US2020034365
(87)【国際公開番号】W WO2020237207
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521510796
【氏名又は名称】ストリートスコープ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アントンソン,エリック ケー.
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156462(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/038166(JP,A1)
【文献】特開2004-189141(JP,A)
【文献】特開2018-084989(JP,A)
【文献】特開平09-066853(JP,A)
【文献】特開2004-171391(JP,A)
【文献】国際公開第2007/123176(WO,A1)
【文献】特開2005-161929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
G05D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)第1のネットワーク・マシンに記憶された車両データを受信する第1のネットワーク接続、又は(2)ネットワーク接続された車両から車両データを受信する第2のネットワーク接続であって、前記第1のネットワーク接続又は前記第2のネットワーク接続からの前記車両データが、第1の交通物体と第2の交通物体との間の相対速度、及び前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の分離距離を含む、第1のネットワーク接続又は第2のネットワーク接続、並びに
(3)前記第1のネットワーク・マシンと異なる第2のネットワーク・マシンに可視化データを届ける第3のネットワーク接続、を含むネットワークへの接続を提供するネットワーク・インターフェースと、
前記ネットワーク・インターフェースに接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと、を備えるネットワーク・マシンであって、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されて、
前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の前記相対速度を取得し、前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の前記分離距離を受信し、
前記相対速度と前記分離距離とを結合して、前記第1の交通物体が遭遇する危険性の定量的測度を形成し、
前記取得、受信、及び結合する動作を繰り返して、前記第1の交通物体に関連付けられた危険性の累積測度を形成し、
危険性の前記累積測度を分析して、前記第1の交通物体の第1の交通物体安全性スコアを導出し、
前記第1の交通物体安全性スコアから可視化データを形成し、
前記第2のネットワーク・マシンに前記可視化データを届ける
命令を記憶しており、前記結合する命令が、
前記相対速度の2乗を前記分離距離で除算する
命令を含む、ネットワーク・マシン。
【請求項2】
前記車両データは順次受信され、処理される、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項3】
前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、
道路状態に応じて可能な最大制動減速度の測度を組み込む命令を含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項4】
前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、
道路状態に応じて可能な最大の横方向の加速度の測度を組み込む命令を含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項5】
前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、道路状態測度を組み込む命令を含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項6】
(1)第1のネットワーク・マシンに記憶された車両データを受信する第1のネットワーク接続、又は(2)ネットワーク接続された車両から車両データを受信する第2のネットワーク接続であって、前記第1のネットワーク接続又は前記第2のネットワーク接続からの前記車両データが、第1の交通物体と第2の交通物体との間の相対速度、及び前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の分離距離を含む、第1のネットワーク接続又は第2のネットワーク接続、並びに
(3)前記第1のネットワーク・マシンと異なる第2のネットワーク・マシンに可視化データを届ける第3のネットワーク接続、を含むネットワークへの接続を提供するネットワーク・インターフェースと、
前記ネットワーク・インターフェースに接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと、を備えるネットワーク・マシンであって、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されて、
前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の前記相対速度を取得し、
前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の前記分離距離を受信し、
前記相対速度と前記分離距離とを結合して、前記第1の交通物体が遭遇する危険性の定量的測度を形成し、
前記取得、受信、及び結合する動作を繰り返して、前記第1の交通物体に関連付けられた危険性の累積測度を形成し、
危険性の前記累積測度を分析して、前記第1の交通物体の第1の交通物体安全性スコアを導出し、
前記第1の交通物体安全性スコアから可視化データを形成し、
前記第2のネットワーク・マシンに前記可視化データを届ける
命令を記憶しており、前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、
前記第1の交通物体の絶対速度及び前記相対速度の
うちの大きな値の2乗を前記分離距離で除算した値を組み込む
命令を含む、ネットワーク・マシン。
【請求項7】
(1)第1のネットワーク・マシンに記憶された車両データを受信する第1のネットワーク接続、又は(2)ネットワーク接続された車両から車両データを受信する第2のネットワーク接続であって、前記第1のネットワーク接続又は前記第2のネットワーク接続からの前記車両データが、第1の交通物体と第2の交通物体との間の相対速度、及び前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の分離距離を含む、第1のネットワーク接続又は第2のネットワーク接続、並びに
(3)前記第1のネットワーク・マシンと異なる第2のネットワーク・マシンに可視化データを届ける第3のネットワーク接続、を含むネットワークへの接続を提供するネットワーク・インターフェースと、
前記ネットワーク・インターフェースに接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと、を備えるネットワーク・マシンであって、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されて、
前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の前記相対速度を取得し、
前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の前記分離距離を受信し、
前記相対速度と前記分離距離とを結合して、前記第1の交通物体が遭遇する危険性の定量的測度を形成し、
前記取得、受信、及び結合する動作を繰り返して、前記第1の交通物体に関連付けられた危険性の累積測度を形成し、
危険性の前記累積測度を分析して、前記第1の交通物体の第1の交通物体安全性スコアを導出し、
前記第1の交通物体安全性スコアから可視化データを形成し、
前記第2のネットワーク・マシンに前記可視化データを届ける
命令を記憶しており、前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、横方向の加速度を交通物体の最大安全加速度測度で除算した値を1から減算することで、前記横方向の加速度の能力により前記危険性の定量的測度を調節する命令を含む、ネットワーク・マシン。
【請求項8】
前記最大安全加速度測度は、道路状態に応じて可能な最大制動減速度の測度及び道路状態に応じて可能な最大の横方向の加速度の測度を含む、請求項
7に記載のネットワーク・マシン。
【請求項9】
シグモイド関数が、危険性の前記累積測度に適用される、請求項
7に記載のネットワーク・マシン。
【請求項10】
前記シグモイド関数の積分が、危険性の前記累積測度に適用される、請求項
9に記載のネットワーク・マシン。
【請求項11】
対数関数が、危険性の前記累積測度に適用される、請求項
7に記載のネットワーク・マシン。
【請求項12】
前記対数関数が、自然対数関数である、請求項
11に記載のネットワーク・マシン。
【請求項13】
指数関数が、危険性の前記累積測度に適用される、請求項
7に記載のネットワーク・マシン。
【請求項14】
(1)第1のネットワーク・マシンに記憶された車両データを受信する第1のネットワーク接続、又は(2)ネットワーク接続された車両から車両データを受信する第2のネットワーク接続であって、前記第1のネットワーク接続又は前記第2のネットワーク接続からの前記車両データが、第1の交通物体と第2の交通物体との間の相対速度、及び前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の分離距離を含む、第1のネットワーク接続又は第2のネットワーク接続、並びに
(3)前記第1のネットワーク・マシンと異なる第2のネットワーク・マシンに可視化データを届ける第3のネットワーク接続、を含むネットワークへの接続を提供するネットワーク・インターフェースと、
前記ネットワーク・インターフェースに接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと、を備えるネットワーク・マシンであって、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されて、
前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の前記相対速度を取得し、
前記第1の交通物体と前記第2の交通物体との間の前記分離距離を受信し、
前記相対速度と前記分離距離とを結合して、前記第1の交通物体が遭遇する危険性の定量的測度を形成し、
前記取得、受信、及び結合する動作を繰り返して、前記第1の交通物体に関連付けられた危険性の累積測度を形成し、
危険性の前記累積測度を分析して、前記第1の交通物体の第1の交通物体安全性スコアを導出し、
前記第1の交通物体安全性スコアから可視化データを形成し、
前記第2のネットワーク・マシンに前記可視化データを届ける
命令を記憶しており、前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、知覚反応時間(PRT)測度を組み込む命令を含み、前記分離距離が、前記PRT測度によって低減する、ネットワーク・マシン。
【請求項15】
前記第1の交通物体によって完了する交通セッションについて、ある時間または距離にわたって危険性の前記累積測度が収集される、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項16】
前記プロセッサによって実行されて、複数の交通物体について、ある時間又は距離にわたって危険性の累積測度を収集する命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項17】
前記プロセッサによって実行されて、規定の領域について、ある時間又は距離にわたって危険性の累積測度を収集する命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項18】
前記プロセッサによって実行されて、道路の交差点について、危険性の累積測度を収集する命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項19】
危険性の前記累積測度が、経路に関連付けられる、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項20】
危険性の前記累積測度が、指定された道路状態に関連付けられる、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項21】
前記指定された道路状態が、指定された気象状態である、請求項
20に記載のネットワーク・マシン。
【請求項22】
前記指定された道路状態が、視認性状態である、請求項
20に記載のネットワーク・マシン。
【請求項23】
前記指定された道路状態が、交通状態である、請求項
20に記載のネットワーク・マシン。
【請求項24】
前記指定された道路状態が、太陽角度の測度である、請求項
20に記載のネットワーク・マシン。
【請求項25】
前記プロセッサによって実行されて、危険性の前記累積測度と危険性閾値とを比較して、前記危険性閾値を上回る又は下回る期間を導出する命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項26】
前記プロセッサによって実行されて、危険性の前記累積測度の1つ又は複数の極値を計算する命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項27】
前記プロセッサによって実行されて、危険性の前記累積測度の1つ又は複数の平均値を計算する命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項28】
前記プロセッサによって実行されて、移動平均値から危険性の前記累積測度を計算する命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項29】
危険性の前記累積測度が、相対的に最近の値よりも、相対的に古い値の重み付けを小さくする、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項30】
指数型重み付き移動平均が、危険性の前記累積測度に適用される、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項31】
前記プロセッサによって実行されて、危険性の前記累積測度と過去の交通データとを相互に関連付ける命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項32】
前記プロセッサによって実行されて、危険性の前記累積測度と過去の交通リスク・データとを相互に関連付ける命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項33】
前記プロセッサによって実行されて、危険性の前記累積測度と過去の損失データとを相互に関連付ける命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項34】
前記プロセッサによって実行されて、集約された交通物体データから、危険性の前記累積測度と、損傷又は危害の発生頻度及び重大さの測度とを相互に関連付ける命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項35】
前記プロセッサによって実行されて、危険性の前記累積測度と、集約された交通物体データについての損傷又は危害のリスクとを相互に関連付ける命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項36】
前記プロセッサによって実行されて、危険性の前記累積測度から、損傷又は危害の発生頻度及び重大さを予測する命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項37】
前記プロセッサによって実行されて、危険性の前記累積測度から、損傷又は危害の発生頻度及び重大さを予測する命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項38】
前記プロセッサによって実行されて、前記第1の交通物体安全性スコアと運転者とを関連付ける命令をさらに含む、請求項1に記載のネットワーク・マシン。
【請求項39】
前記結合する命令が、
前記第1の交通物体の絶対速度及び前記相対速度のうちの大きな値を前記分離距離で除算する
命令を含む、請求項
7に記載のネットワーク・マシン。
【請求項40】
前記結合する命令が、
前記第1の交通物体の絶対速度及び前記相対速度のうちの大きな値の2乗
を前記分離距離で除算する
命令を含む、請求項
7に記載のネットワーク・マシン。
【請求項41】
前記車両データは順次受信され、処理される、請求項
6に記載のネットワーク・マシン。
【請求項42】
前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、
道路状態に応じて可能な最大制動減速度の測度を組み込む命令を含む、請求項
6に記載のネットワーク・マシン。
【請求項43】
前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、
道路状態に応じて可能な最大の横方向の加速度の測度を組み込む命令を含む、請求項
6に記載のネットワーク・マシン。
【請求項44】
前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、道路状態測度を組み込む命令を含む、請求項
6に記載のネットワーク・マシン。
【請求項45】
前記結合する命令が、
前記第1の交通物体の絶対速度及び前記相対速度のうちの大きな値を前記分離距離で除算する
命令を含む、請求項
14に記載のネットワーク・マシン。
【請求項46】
前記結合する命令が、
前記第1の交通物体の絶対速度及び前記相対速度のうちの大きな値の2乗
を前記分離距離で除算する
命令を含む、請求項
14に記載のネットワーク・マシン。
【請求項47】
前記車両データは順次受信され、処理される、請求項
14に記載のネットワーク・マシン。
【請求項48】
前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、
道路状態に応じて可能な最大制動減速度の測度を組み込む命令を含む、請求項
14に記載のネットワーク・マシン。
【請求項49】
前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、
道路状態に応じて可能な最大の横方向の加速度の測度を組み込む命令を含む、請求項
14に記載のネットワーク・マシン。
【請求項50】
前記相対速度と前記分離距離とを結合する前記命令が、道路状態測度を組み込む命令を含む、請求項
14に記載のネットワーク・マシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年5月23日出願の米国特許仮出願第62/851,930号の優先権を主張し、その内容を参考として本明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明は一般に、車両の運転の安全性を測定することに関する。より詳細には、本発明は、センサ信号を処理して、安全性を査定するために異常接近の挙動を特徴付ける挙動危険性の測度を計算するための技法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
[0003] 安全な輸送が社会の重要な要望である。従来、輸送安全の分野では、衝突時の運動エネルギーの消散を管理することに焦点を当ててきた。輸送システムがいっそう自動化されるにつれて、人間システム、自動化システム、及び人間支援システム向けに、検知及び意思決定の有効性と安全性の先行指標を確立することが重要である。過去の衝突データには、遡及的特性、相対的な希薄性、及び原因との関連性の欠如を含め、このタイプの安全性の指標として数多くの欠点がある。衝突とは対照的に、異常接近(衝突危険)は、低速で長距離での低い重大さから近接時での高速接近まで、あらゆるレベルの重大さで頻繁に発生する。異常接近の挙動は、測定することができ、車両検知及び意思決定の安全性の先行指標の役割を果たすことができる。
【0004】
[0004] 自動車安全性の分野では、車両が遭遇する危険性への対策及び車両運転の安全性を実現するための、新規で有用な異常接近対策を創り出す必要性が満たされていない。
【0005】
[0005] 対象車両の挙動の安全性及びリスクの、定量的で、再現性があり、客観的で、独立しており、計算可能で、ほぼ連続的な測度を提供する必要がある。また、車両、車両システム、センサ構成、意思決定、交通、街路、交差点などの安全性及びリスクの分析及び比較を可能にする必要がある。
【0006】
[0006] 車両の挙動及び制御の安全性を測定するために現在実施されていることは、衝突の発生頻度に基づいている。場合によっては、衝突までの時間の測度が使用される。
【0007】
[0007] 車載型の自動化意思決定システムの1マイル当たりの解除回数(ここで解除とは、California、California Code of Regulations、Title 13、Div. 1、Ch. 1、Article 3.8、§227.501に記載されているような自動化システムの手動による無効化である)は、自動化車両又は自律走行車両の挙動の性能及び安全性の指標としても使用される。
【0008】
[0008] 航空の分野では、起こる可能性のある、又は将来起こり得る事故の先行指標として、異常接近(「分離の喪失」と定義される)が記録及び分析される。
【0009】
[0009] 衝突の発生は相対的に頻度が低く、多くの衝突は、複数の原因の結果として発生する。その結果、衝突発生データは、対象車両の挙動の安全性及びリスクの、再現性があり計算可能なほぼ連続的な測度を提供することができない。
【0010】
[0010] 衝突までの時間は、街路又は道路の状態、並びにそれぞれの交通の場面での各物体の速度及び操縦性に依存する。その結果、衝突までの時間は、道路状態にも、速度にも、対象車両及び交通物体の能力にも依存せず、その結果、対象車両の挙動の安全性及びリスクの、独立していて、計算可能で、ほぼ連続的な測度として使用することができない。
【0011】
[0011] 1マイル当たりの「解除」の数は、自動化車両の挙動又は安全性又はリスクの有用な測度ではない。「解除」には多くの原因があり、車両の挙動又は意思決定のシステムには関連していない場合がある。これらは反復可能ではなく、安全ドライバの判断の影響下にあり、したがって主観的な考えに起因して発生し、その結果、客観的ではなく、車両を運転する状態及び場面の選択、並びにドライバが運転する運転方針の選択に影響される。
【0012】
[0012] 分離の喪失は、(相対的でも絶対的でもない)車両と物体の速度についての情報を組み込むことはなく、したがって異常接近の重大さの重要な特性を示すことができない。
【発明の概要】
【0013】
発明の概要
[0013] 要するに、車両の運転の挙動危険性の測度を計算するには、センサ信号の処理を改善する必要がある。
【0014】
[0014] 持続的でコンピュータ読取り可能な記憶媒体は、第1の交通物体と第2の交通物体との間の相対速度を得るために、プロセッサによって実行される命令を有する。第1の交通物体と第2の交通物体との間の分離距離が受信される。相対速度と分離距離とを組み合わせて、第1の交通物体が遭遇する危険性の定量的測度を形成する。取得、受信、及び結合の動作が繰り返されて、第1の交通物体に関連付けられた危険性の累積測度が形成される。危険性の累積測度を分析して、第1の交通物体について、第1の交通物体の安全性スコアを導出する。
【0015】
[0015] 本発明は、添付図面とともになされる以下の詳細な説明に関連してさらに完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図の簡単な説明
【
図1】[0016]たとえば、図示されていない街路の交差点において、速度v
v102で移動する対象車両101と速度v
oi104で移動する交通物体
i103の俯瞰図を示す。
【
図2】[0017]速度v
v102で移動する対象車両101と、速度v
oi104で移動する交通物体103との間の相対速度(S
rel)108の俯瞰図を示す。
【
図3】[0018]対象車両101が交通物体
i102と衝突するのに必要な曲線経路である経路
v110の半径r
t109の俯瞰図を示す(相対位置がこの図に示してある)。
【
図4】[0019]グリップの横方向の加速度を超えることなく、可能な限り鋭く旋回する際の半径r
tmin111の俯瞰図を示す。
【
図5】[0020]m
4120が大きい負の値まで拡大し、m
5121が式(24)の飽和計算によって0~-100の範囲まで滑らかに制限されるグラフを示す。
【
図6】[0021]車両運転者すなわちドライバ130の安全性の試験及び評価のブロック図を示す。
【
図7】[0022]自動化車両又は自律走行車両の検知141及び意思決定140のシステムの、安全性の試験及び評価のブロック図を示す。
【
図8】[0023]センサ141から収集されたデータについての危険性測度の値を計算するためのデータ・フロー及びデータ処理のブロック
図200を示し、これは201、202、205、206を含み、これらは、1つ又は複数の車両又はオフボード132に搭載され、モジュール210によって取り込まれ、データ処理モジュール220によって抽出及び処理され、モジュール221において処理されて異常接近の危険性測度になり、モジュール222において集約され得る。
【
図9】[0024]たとえば、データ処理モジュール502、504、及び560、対象車両101、並びに交通物体103
1~103
Nを含む、本発明の一実施形態によって構成されたシステム500を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0025] 同じ参照番号は、各図面のいくつかの図を通して、対応する部分を指す。
【0018】
発明の詳細な説明
[0026] 本発明は、自動化車両の安全性及びリスクを定量的に判定する方法を提供する。衝突開始後に対象車両の乗員を保護する対象車両の能力に関連する、車両安全性の既存の査定とは異なり、この測度は、衝突前での、又衝突に全く関係のない車両の性能を査定する。衝突データは、習慣的に収集され、発生頻度として査定される。既存の乗用車間の衝突は、相対的に頻度が低く、衝突発生データの分析力及び予測力を制限する。
【0019】
[0027] 対照的に、ここに開示される新規の測度は、車両についての移動データを連続的に収集し、車両の挙動のリスク又は安全性を反映する定量的スコアは、ほぼ連続的に計算され、車両の位置及び速度並びに道路状態の更新された測定値を各センサが提供する速度によってのみ制限される。ここに開示される新規の測度は、衝突ではなく、異常接近の考え方に基づいている。異常接近においては、対象車両は、他の交通物体(たとえば、車両、歩行者、自転車、交通の場面における任意の移動物体)を通り越すが、衝突することはない。この新規の測度は、部分的には、各交通物体への車両の近接度、及び車両と各交通物体の間の相対速度に基づいている。このようにして、この新規の測度は、車両が別の交通物体との衝突までどのくらい近いかと、その相対速度とを査定することができる。距離が短くて速度が低いことは、相対的に距離が長くて速度が高いことと同等とすることができる。
【0020】
[0028] この新規の測度は、対象車両及び各交通物体についてほぼ連続して計算されるので、スコアへのデータの集約が実行される。このような集約の1つの結果として、車両の挙動を表す3つのスカラ量、すなわち対象となる期間中の最大スコア、このスコアが安全でない閾値を超える時間のパーセント、このスコアが危険な閾値を超える時間のパーセントが得られる。こうした3つのスカラ数は、複雑な交通の場面における車両の挙動を完全には取り込まないが、比較することのできる代表的な特性を取り込む。
【0021】
[0029] この新規の測度は、自動化車両の性能、具体的には、車両上の各センサの性能、車両上の各センサの構成、及び車両によって実行される意思決定を評価するのに使用することができる。
【0022】
[0030] この測度は、自動化車両に適用されることが意図されるが、人間のドライバ(又実際には、その運転者の検知、認知、及び意思決定)にスコアを与えるために同様に使用することができる。
【0023】
[0031] 移動中若しくは停止中の1台若しくは複数台の車両に搭載されたセンサによって生成されるか、又は交通管理用に使用されるビデオ・カメラなどの静止センサによって生成される、車両及び交通物体のデータ(位置及び速度)から、この測度を計算することができる。現在では、衝突の発生頻度以外には、このようなドライバの挙動スコアは存在しない。ドライバによっては他のドライバよりも安全性の低い判断を下すことがあるが、衝突の頻度が低いこと、及びドライバの意思決定を超えて衝突発生に寄与する要因が多いことにより、ドライバの能力を評価するため、又はドライバすなわち運転者(自動化若しくは人間の)が運転するのに十分に安全かどうか判断するためには、特に混雑した複雑な場面においてこの情報の使用が制限される。
【0024】
[0032] さらに、交通安全の分野での実務家によっては、衝突までの時間すなわちTTCの推定値を使用して、分析される車両が差し迫った衝突の可能性の高い状態にあるかどうかを示す。特に、衝突が発生することになるまでの時間が、車両の速度、衝突する可能性のある物体の動き、及び道路状態に大きく依存するという点で、この方法には重大な制限がある。
【0025】
[0033] ここで述べる車両と交通のリスクと安全性の新規の測度は、対象車両の位置及び速度、各交通物体の位置及び速度、道路状態、並びに対象車両及び交通物体の操縦性(最大安全制動減速度率及び最大安全旋回率)を利用する。
【0026】
[0034] いかなる場合でも、各交通物体に対して、この対象車両について、この測度が順次計算される。たとえば、対象車両及び8台(8)の交通物体について、測度はペアごとの方式で計算されることになる。すなわち、センサ・データが利用可能になるたびに8回(8)、対象車両に対して各交通物体について1回である。
【0027】
[0035] 以下に定義された用語とともに、本発明を開示する。
【0028】
[0036] 測度:(名詞)測定することによって確認される(何かしら)の量。測度の値は、確立された単位又は標準化された単位で表される。測度は、比較の標準である。
【0029】
[0037] 測定する:(動詞)測定値から得られる信号を使用することによって、通常は、標準と比較することによって、(何かしら)の量又は程度を確認すること。
【0030】
[0038] 危険性:物体又は人への、潜在的な損傷又は危害の発生源又は状況。
【0031】
[0039] リスク:危険にさらされる場合に、物体又は人が、損傷又は危害を受けることになる可能性又は確率。
【0032】
[0040] 対象車両とは、挙動、安全性、及びリスクについて分析される車両である。
【0033】
[0041] 交通物体とは、交通の場面における、他の車両、歩行者、自転車、及び他の移動物体である。任意の具体的な交通の場面又は状況では、(対象車両に加えて)N個の交通物体が存在することになる。各交通物体は、1~Nの番号で識別される。
【0034】
[0042] 交通の場面とは、交通整理、街路標識、縁石、横断歩道、交通物体など、道路及び/又は街路の物理的な配置である。通常の交通の場面は、15~30秒続くことがあるが、持続時間がそれよりも短いこともあれば、又は長くなることもある。
【0035】
[0043] 異常接近とは、対象車両が、交通物体からある一定の距離だけ離れて、その交通物体に対してある一定の速度で移動しており、ただし衝突は発生していない状況である。
【0036】
[0044] 位置pは、対象車両(p
v)及び各交通物体
【数1】
のベクトル位置である。
【0037】
[0045] 分離距離d
sepは、式(1)に示すように、又
図1に示すように、対象車両と交通物体の間の最も近い距離である。
【数2】
【0038】
[0046] 分離距離dsepは、対象車両上の代表的な点又は場所と、車両又は物体を囲み又はそれを表す、バウンディング・ボックス又は四辺形の中心点など交通物体との間の距離とすることができる。
【0039】
[0047] 分離距離単位ベクトルudsepは、式(2)に示すように、dsepの方向の単位ベクトルである。
【0040】
[0048] 速度vは、対象車両のベクトル速度(v
v)及び各交通物体のベクトル速度
【数3】
である。
【0041】
[0049] 相対速度S
relは、式(5)に示すように、又
図1及び
図2に示すように、交通物体に対する対象車両の相対スカラ速度である。
【数4】
【0042】
[0050] 絶対速度とは、地面に対する、又は地表に固定された座標フレームに対する、ある1つの交通物体の移動の速度である(時間で除算した距離の単位で表され、たとえば、フィート毎秒、メートル毎秒、km毎時、マイル毎時である)。
【0043】
[0051] グリップとは、対象車両又は交通物体が示すことのできる最大安全加速度である。本発明は、制動グリップ(縦方向での最大安全加速度又は最大安全減速度)と、横方向グリップ(横方向での最大安全方向転換、又は最大安全加速度若しくは最大安全減速度)との両方を使用して、対象車両又は交通物体の様々な能力を組み込んで、制動し、操舵し、又は方向を変える。グリップは、道路又は街路の状態を考慮するように調整され、たとえば、滑りやすい道路又は街路の状態によってグリップを低減することになることに留意されたい。グリップの値は、対象車両及び交通物体の操縦性の測度である。
【0044】
[0052] 加速度とは、速度の変化率(時間の2乗で除算した距離の単位で表され、たとえば、フィート毎秒毎秒(per second squared)又はフィート毎秒毎秒(per second per second)、メートル毎秒毎秒(per second squared)又はメートル毎秒毎秒(per second per second))である。加速度は、進行方向(すなわち、制動による制動減速度)、又は進行方向を横切る方向(すなわち、操舵による横方向の加速度)のいずれかとすることができる。
【0045】
[0053] 横方向の加速度alatとは、対象車両又は交通物体が旋回するときに示す、横方向の加速度である。
【0046】
[0054] 飽和とは、本発明によって生成された測度の数値が達成することのできる最大値への制限である。
【0047】
[0055] ペアごととは、各交通物体と対象車両の動きを連続して考慮に入れることである。
【0048】
[0056] 知覚反応時間(PRT)とは、ドライバ又は運転者(人間又は機械のいずれか)が、交通状況を検知及び知覚し、たとえば制動又は操舵を開始することによって、その交通状況に反応するのに必要となる時間である。
【0049】
[0057]
図1には、速度v
v102で移動する対象車両101、及び速度
【数5】
で移動する交通物体
i103の俯瞰図が示してある。
図1に示す例示的な交通の場面の俯瞰図では、対象車両101と交通物体
i103が、2つの街路の交差点(図示せず)において互いに接近している。対象車両101と交通物体
i103の間の分離距離(d
sep)105が示してある。相対速度(S
rel)は、速度v
v102で移動する対象車両101と、
【数6】
で移動する交通物体
i103との間の速度である。相対速度(S
rel)は、分離距離(d
sep)105の方向に沿った対象車両101の速度(Sv)106から、分離距離(d
sep)105の方向に沿った交通物体
i103の速度
【数7】
を引いたものから計算される。
【0050】
[0058]
図2には、速度v
v102で移動する対象車両101と、速度
【数8】
で移動する交通物体
i103との間の相対速度(S
rel)108の俯瞰図が示してある。
【0051】
[0059]
図3には、対象車両101が交通物体
i103と衝突するのに必要な曲線経路である経路
v110の半径r
t109の俯瞰図が示してある(相対位置がこの図に示してある)。
【0052】
[0060]
図4には、グリップの横方向の加速度を超えることなく、可能な限り鋭く旋回する際の半径r
tmin111の俯瞰図が示してある。
【0053】
[0061]
図5には、m
4120が大きい負の値まで拡大し、m
5121が式(24)の飽和計算によって0~-100の範囲まで滑らかに制限されるグラフが示してある。
【0054】
[0062]
図6には、車両運転者130の安全性の試験及び評価のブロック図が示してある。オンボード・センサ131及び/又はオフボード・センサ132からのデータが、本発明の危険性測度を計算するために利用される。
【0055】
[0063]
図7には、自動化車両又は自律走行車両の検知141及び意思決定140のシステムの、安全性の試験及び評価のブロック図が示してある。オンボード・センサ141及び/又はオフボード・センサ132からのデータが、本発明の危険性測度を計算するために利用される。
【0056】
[0064]
図8には、1つ又は複数の車両に搭載されるカメラ201、全地球測位システム(GPS)202、ライダ205、及びレーダ206、又はオフボード・センサ132など、様々なセンサ141から収集されるデータについて危険性測度の値を計算するための、データ・フロー及びデータ処理のブロック
図200が示してある。同期化データ収集モジュール210が、センサ・データを収集し、データ抽出モジュール211が、交通物体212の画像及び位置を生成する。たとえば、物体検出216及び物体認識218のために、トレーニング・データ214を使用してもよい。次いで、物体幾何形状220が導出されて、幾何学的及び運動学的なデータ222、たとえば、位置、サイズ、及び速度データを生成する。このデータは、危険性測度計算モジュール224で使用され、そこから危険性測度226が導出される。個々の測度は、危険性測度集約モジュール228に集約され、そこから、集約された異常接近危険性測度230が導出される。
【0057】
[0065]
図9には、本発明の一実施形態によって構成されたシステム500が示してある。システム500は、有線ネットワークと無線ネットワークの任意の組合せでもよいネットワーク506を介して、第2のサーバ504と通信する第1のサーバ502を備える。第1のサーバ502は、バス514を介して入力/出力装置512に接続されたプロセッサ(たとえば、中央処理装置すなわちCPU)510を備える。入力/出力装置512は、近接又は遠隔のキーボード、マウス、タッチ・ディスプレイなどでもよい。ネットワーク・インターフェース回路すなわちNIC516もバス514に接続されて、ネットワーク506への接続を提供する。メモリ520も、バス514に接続される。メモリ520は、通行データ522を記憶する。通行データ522は、各センサ、並びに、やはりネットワーク506に接続されてもよい対象車両101及び様々な交通物体103
1~103
Nから収集された他のパラメータからのものでもよい。したがって、通行データ522は、実世界の試験中車両からの膨大な一群のデータを含んでもよい。また、通行データ522は、交通シミュレーションや、道路、交差点、高速道路など定められた領域についての交通状態を記録するカメラからのデータを含んでもよい。この通行データはまた、気象情報、視認性状態、現在の交通状態、過去の交通状態、現在の太陽角度の測度、過去の交通リスク・データ、過去の損失データ、集約された交通物体のデータなどを含んでもよい。通行データ522は、ネットワーク506に接続された数多くのマシン(図示せず)に分散されてもよいことを理解されたい。便宜上、通行データ522は、単一のマシン上に示される。
【0058】
[0066] サーバ504は、プロセッサ530、入力/出力装置532、バス534、及びネットワーク・インターフェース回路536を備える。メモリ540は、バス534に接続される。メモリ540は、プロセッサ530によって実行される命令を含む、挙動危険性測度モジュール542を記憶して、本明細書に開示された動作を実施する。たとえば、挙動危険性測度モジュール542は、対象車両101及び交通物体1031~103Nからのデータ、並びに通行データ522を収集して、本明細書に開示された動作を実行してもよい。
【0059】
[0067] クライアント・マシン560も、ネットワーク506に接続されてよい。このクライアント・マシン560は、プロセッサ561、入力/出力装置562、バス564、及びネットワーク506への接続を提供するネットワーク・インターフェース回路566を備える。メモリ570が、バス564に接続される。メモリ570は、プロセッサ561によって実行される命令とともに可視化モジュール572を記憶して、挙動危険性測度モジュール542によって生成されるデータの可視化したものを表示する。
【0060】
[0068] 本発明の第1の実施形態(以下に「m
1」と呼ばれる)は、対象車両と交通物体の間の相対速度(S
rel)を、車両とこの物体を分離する距離(d
sep)で除算して計算するものである。S
rel及びd
sepを、
図1及び
図2の線図に示し、又式(8)に示す。
m
1=S
rel/d
sep (8)
【0061】
[0069] m1の単位は[1/時間]である。Srelが負のときm1は負であり、これは、対象車両と交通物体が互いに接近していることを示すことに留意されたい。Srelは、2台が接近しないで離れているときに正である。この計算、及び続いて開示される計算、又は実施形態は、挙動危険性測度モジュール542での実行可能コードとして実施される。
【0062】
[0070] 本発明の第2の実施形態(以下に「m2」と呼ばれる)は、対象車両の絶対速度(Sabs)及び対象車両と交通物体の間の相対速度(Srel)の最大値を、車両とこの物体を分離する距離(dsep)で除算した値を組み込み、これが式(9)に示してある。
m2=max(Sabs,Srel)/dsep (9)
m2の単位は[1/時間]である。
【0063】
[0071] m2(並びに、以下に述べるm3、m5、及びm7)での絶対速度Sabsについてさらに考慮すべき問題は、1台の車両が別の車両のすぐ後ろを追従するなど、近接してはいても、相対速度がほんのわずか(又はゼロ)で移動している車両の場合を考えることである。
【0064】
[0072] 本発明の第3の実施形態(以下に「m3」と呼ばれる)は、対象車両の絶対速度(Sabs)及び対象車両と交通物体の間の相対速度(Srel)の最大値の2乗を、車両とこの物体を分離する距離(dsep)で除算した値を組み込み、これが式(10)に示してある。
m3=max(Sabs,Srel)2/dsep (10)
m3の単位は[距離/時間2]すなわち[加速度]である。
【0065】
[0073] 交通物体に対する対象車両の速度の影響は、従来のいかなる手法と比較してもm3において著しく拡大している。速度の2乗が交通物体に対する対象車両の運動エネルギーに正比例し、衝突での運動エネルギーの消散が損傷及び負傷の原因となるので、この拡大は望ましく、又本発明の重要な特徴である。
【0066】
[0074] 式(11)に示すように、m
3の修正バージョンも本発明において使用される。
【数9】
ここで、グリップ(grip)とは、現在の道路又は街路の状態において、制動(減速度若しくは前後方向の加速度)又は旋回(横方向の加速度若しくは方向転換)のいずれかにおいて車両が加えることのできる最大安全加速度である。
【数10】
の単位は[グリップの小数部]である。乾燥した道路及び街路では、グリップの値はほぼ0.5g、又はほぼ5m/s
2である。
【0067】
[0075] m
3、及び具体的には
【数11】
は、交通及び車両の、挙動及び安全性に直接関連することのできる値を有する。
【数12】
が1.0に等しいとき、本発明によって生成される異常接近測度は、対象車両が示すことのできる最大安全加速度に等しい。各閾値は、交通安全当局が設定するものであるが、回避するために対象車両の最大安全加速度を必要とする異常接近は、懸念の原因となる可能性が高い。
【0068】
[0076] 本発明は、対象車両と交通物体が互いに接近しているとき(すなわち、その間の相対速度が負であるとき)m3の値が負であるという点で、m1によって確立される符号規約を維持することが好ましい。しかし、逆の符号規約、すなわち、対象車両と交通物体が互いに接近しているときにm3が正であることは、本発明の範囲内である。
【0069】
[0077] 本発明の第4の実施形態(以下に「m
4」と呼ばれる)は、対象車両及び交通物体の横方向の加速度(操舵又は方向転換)の能力による測度結果の調節(すなわち低減)を組み込み、対象車両及び各交通物体の最小旋回半径r
turningによって制限される。この調節は、式(14)及び(15)でのu
vehicle、並びに、式(18)及び(19)でのu
objectである。m
3の調節(すなわち低減)は、対象車両又は交通物体が横方向に加速して(操舵して)衝突を引き起こす能力を制限することによって、異常接近(厳密には(S
rel)
2/d
sepによって測定される)の深刻さが低減される状況を説明する。
【数13】
【数14】
及びθ、並びに対象車両が衝突を引き起こすのに追従する必要のある湾曲経路である経路
vが
図3に示してある。
【0070】
[0078]
図4には、半径
【数15】
の湾曲経路が示してあり、これは、経路
vよりも鋭い旋回(すなわち、相対的に半径が小さい)であり、グリップの横方向の加速度を超えることなく、可能な限り鋭い旋回である。
【数16】
【0071】
[0079]
【数17】
は、式(15)及び(19)に示すように、対象車両及び交通物体の最小旋回半径r
turning以上に制限されることに留意されたい。調節u
vihicleの値は、経路
vが直線(r
t→∞、a
lateral=0.0)のときは1.0であり、経路
vの半径r
tが
【数18】
以下のときには0.0まで低下する。
【0072】
[0080] m4は、対象車両と交通物体が衝突した場合、そうなるにはどのような横方向の加速度(操舵又は方向転換)が必要になるかを説明するものである。m4は、衝突を引き起こすために操舵するのに必要なグリップ部分によってm3を低減する。
【0073】
[0081] 本発明は、対象車両と交通物体が互いに接近しているとき(すなわち、その間の相対速度が負であるとき)m4の値が負であるという点で、m1によって確立され、m3によって維持される符号規約を維持することが好ましい。しかし、逆の符号規約、すなわち、対象車両と交通物体が互いに接近しているときにm4が正であることは、本発明の範囲内である。
【0074】
[0082] 本発明のさらなる実施形態(以下に「m
5」と呼ばれる)は、測度が達成できる最大値の制限(又は「飽和」)を組み込む。式(10)を見て分かるように、分母d
sep(分離距離)が小さくなると、m
3(したがってm
4も)は任意に大きくなることがあり、限界においては、d
sepがゼロになると(すなわち、衝突すると)、m
3及びm
4は無限大まで増えることがある。値が任意に大きくなることのある測度を利用するという問題を軽減するために、m
5は、所定の最大値での制限(又は「飽和」)を設ける。この測度の飽和は、式(22)に示すシグモイドSig(x)の式の積分によって遂行される。
【数19】
ここで、αは、シグモイドの曲率を調整するためのパラメータである。
【0075】
[0083] 本発明は、(シグモイド関数それ自体ではなく)シグモイド関数の積分を使用して、m’3の増加する値から飽和レベルまでの滑らかな移行を実現する。シグモイド又はシグモイドの積分以外の関数を使用して、対数、自然対数、指数関数、多項式、超越関数、又は単純な最大関数又は最小関数を含む、危険性測度値の制限又は飽和を実現することもできる。
【0076】
[0084] hは、m
5の最大(負)値であり、典型的には100である。m
5は、連続して0~-hの範囲に分布する。satは、m
5が飽和する(又は制限される)ときのm
4のレベルである。
【数20】
ここで、αは、m
3から飽和レベルにまで移行するときの曲率を調整するためのパラメータである。m
4からのm
5の曲線移行を(-100での)飽和レベルまで示す例示的なグラフが、
図5に示してある。例示的な値は、h=100、sat=300、α=0.075である。
【0077】
[0085] 本発明は、対象車両と交通物体が互いに接近しているとき(すなわち、その間の相対速度が負であるとき)m5の値が負であるという点で、m1によって確立され、m3及びm4によって維持される符号規約を維持することが好ましい。しかし、逆の符号規約、すなわち、対象車両と交通物体が互いに接近しているときにm5が正であることは、本発明の範囲内である。
【0078】
[0086] 本発明の前述の各実施形態は、車両のドライバ又は制御装置の知覚反応時間(PRT)を組み込むことによって強化することができる。人間であろうと、又はセンサやコンピュータであろうと、車両のあらゆる運転者は知覚反応時間を示すことになり、ここで知覚とは、センサのデータを分析及び理解するプロセスであり、反応とは、車両へのコマンドを決定及び送信するプロセスである。典型的な人間ドライバのPRTは、約1.5秒であり、750ミリ秒~3.5秒超の範囲にある。自動化車両又は自律走行車両のPRTについて公表されたデータはほとんどないが、この公表されたデータによれば、PRTは11ミリ秒~200ミリ秒の間であることが示唆してある。
【0079】
[0087] 本発明のさらなる実施形態(以下に「m6」と呼ばれる)は、式(25)に示すように、PRTの持続時間において方向又は速度が変化しないと仮定して、PRT中に車両が移動することになる距離を推定することによってPRTを組み込む。
dreaction=Sabs×treaction (25)
ここで、treactionは、車両の制御装置又は運転者のPRTである。
【0080】
[0088] d
reactionによってd
sepを低減することによって、PRTの追加が遂行される。したがって、m
6はm
5の修正版であり、ここで、m
6の計算の基礎が式(26)に示してある。
【数21】
【0081】
[0089] 式(27)に示すように、d
sep-d
reactionの値は、ゼロ以上に制限される。
【数22】
【0082】
[0090] 前述の各実施形態と一致するように、m6は、対象車両の絶対速度(Sabs)及び対象車両と交通物体の間の相対速度(Srel)の最大値の2乗を、車両とこの物体を分離する距離(dsep)で除算した値を組み込み、これが式(28)に示してある。
m6=max(Sabs,Srel)2/max(0,(dsep-dreaction)) (28)
m6の単位は[距離/時間2]すなわち[加速度]である。
【0083】
[0091] 前述の各実施形態と一致するように、交通物体に対する対象車両の速度の影響は、m1又はm2と比較してもm6において著しく拡大している。速度の2乗が交通物体に対する対象車両の運動エネルギーに正比例し、衝突での運動エネルギーの消散が損傷及び負傷の原因となるので、この拡大は望ましく、又本発明の重要な特徴である。
【0084】
[0092] 式(29)に示すように、m
6の修正バージョンも本発明において使用される。
【数23】
ここで、グリップは、制動(減速)又は旋回(横方向の加速度)のいずれかにおいて車両が加えることのできる最大安全加速度である。
【数24】
の単位は[グリップの小数部]である。乾燥した道路及び街路では、グリップの値はほぼ0.5g、又は5m/s
2である。
【0085】
[0093] m
6、及び具体的には
【数25】
は、交通及び車両の、挙動及び安全性に直接関連することのできる値を有する。
【数26】
が1.0に等しいとき、本発明によって生成される異常接近測度は、対象車両が示すことのできる最大安全加速度に等しい。各閾値は、交通安全当局が設定するものであるが、回避するために対象車両の最大安全加速度を必要とする異常接近は、懸念の原因となる可能性が高い。
【0086】
[0094] 本発明は、対象車両と交通物体が互いに接近しているとき(すなわち、その間の相対速度が負であるとき)m
6及び
【数27】
の値が負であるという点で、m
1によって確立され、m
3、m
4、及びm
5によって維持される符号規約を維持することが好ましい。しかし、逆の符号規約、すなわち、対象車両と交通物体が互いに接近しているときにm
6が正であることは、本発明の範囲内である。
【0087】
[0095] m4について前述したのと同様に、又式(12)~(21)に示すように、本発明のさらなる実施形態(以下に「m7」と呼ばれる)は、対象車両及び交通物体の横方向の加速度(操舵)の能力による測度結果の調節(すなわち低減)を組み込み、対象車両及び各交通物体の最小旋回半径rturningによって制限される。
【0088】
[0096] m5について前述したのと同様に、又式(22)~(24)に示すように、本発明のさらなる実施形態(以下に「m8」と呼ばれる)は、測度m7が達成できる最大値の制限(又は「飽和」)を組み込む。
【0089】
[0097] センサ・データが利用可能であり、対象車両及び周囲の交通物体の位置及び動きを決定することができる各時間ステップにおいて、車両及び物体の各ペアについて前述の通り危険性測度値を計算することができる。こうした個々の値を有効に集約して、様々な目的及び用途向けの集成値にすることができる。
【0090】
[0098] 危険性測度値の集約(危険性の累積測度とも呼ばれる)の第1の実施形態は、ある期間にわたって各閾値を上回り、及び/又は下回る、1つ又は複数の車両及び/又は物体について、1つ又は複数のレベル又は閾値を確立し、又危険性測度値の数を数えることである。
【0091】
[0099] 危険性測度値の集約の第2の実施形態は、ある移動距離にわたって各閾値を上回り及び/又は下回る、1つ又は複数の車両及び/又は物体について、1つ又は複数のレベル又は閾値を確立し、又危険性測度値の数を数えることである。
【0092】
[0100] 危険性測度値の集約の第3の実施形態は、ある経路にわたって各閾値を上回り、及び/又は下回る、1つ又は複数の車両及び/又は物体について、1つ又は複数のレベル又は閾値を確立し、又危険性測度値の数を数えることである。
【0093】
[0101] 危険性測度値の集約の第4の実施形態は、ある領域内で各閾値を上回り、及び/又は下回る、1つ又は複数の車両及び/又は物体について、1つ又は複数のレベル又は閾値を確立し、又危険性測度値の数を数えることである。
【0094】
[0102] 危険性測度値の集約の第5の実施形態は、道路又は街路の交差点内又は区域内で各閾値を上回り、及び/又は下回る、1つ又は複数の車両及び/又は物体について、1つ又は複数のレベル又は閾値を確立し、又危険性測度値の数を数えることである。
【0095】
[0103] 危険性測度値の集約の第6の実施形態は、1つ又は複数の道路状態又は街路状態において各閾値を上回り、及び/又は下回る、1つ又は複数の車両及び/又は物体について、1つ又は複数のレベル又は閾値を確立し、又危険性測度値の数を数えることである。
【0096】
[0104] 危険性測度値の集約の第7の実施形態は、天気、降水、霧、太陽の角度、点灯状態などを含め、1つ又は複数の視認性状態において各閾値を上回り、及び/又は下回る、1つ又は複数の車両及び/又は物体について、1つ又は複数のレベル又は閾値を確立し、又危険性測度値の数を数えることである。
【0097】
[0105] 危険性測度値の集約の第8の実施形態は、1つ又は複数の交通状態において各閾値を上回り、及び/又は下回る、1つ又は複数の車両及び/又は物体について、1つ又は複数のレベル又は閾値を確立し、又危険性測度値の数を数えることである。
【0098】
[0106] 危険性測度値の集約の第9の実施形態は、この危険性測度値の極値、たとえば、最大値及び/若しくは最小値(最良値及び/若しくは最悪値)、又はいくつかの最大値及び/若しくは最小値の組合せを決定することである。
【0099】
[0107] 危険性測度値の集約の第10の実施形態は、この値の静的平均及び/又は移動平均を利用することである。
【0100】
[0108] 危険性測度値の集約の第11の実施形態は、相対的に最近の値が、相対的に古い値よりも重み付けされる各値の静的平均及び/又は移動平均を利用することである。
【0101】
[0109] 危険性測度値の集約の第12の実施形態は、式(30)に示すように、指数関数的又は幾何学的な減少率によって、相対的に最近の値が、相対的に古い値よりも重み付けされる各値の指数型重み付き移動平均(EMWA)を利用することである。
【数28】
ここで、nは、EMWAに含まれる値の数であり、係数βは、重み付け減少の程度を表し、0~1の間の定数である。βの値が相対的に大きいと、βの値が相対的に小さい場合よりも、相対的に古い観測の寄与が速く減少する。
【0102】
[0110] 危険性測度値の集約の第13の実施形態は、各車両及び/又は交通物体の1人又は複数人の個々の運転者について、危険性測度値を集約することである。この集約方法は、前述の集約方法のいずれをも利用することができ、各運転者について安全性スコアを形成することができる。
【0103】
[0111] 危険性値の発生頻度の形で、ある期間にわたって収集される危険性データは、損傷又は危害の、発生頻度及び重大さ又はリスクなど、過去の交通リスク・データ並びに/又は過去の衝突及び/若しくは損失のデータと相互に関連付けることができる。この相関関係を利用して、損傷又は危害の、発生頻度及び重大さ又はリスクの、1つ又は複数の予測値を形成することができる。
【0104】
[0112] 自動化車両又は自律走行車両(AV)の開発では、AVシステムのセンサ及び意思決定を試験及び評価するために、普通はシミュレーションが使用される。本発明の1つの用途は、シミュレーションでのAVの挙動を測定及び査定することである。1つ又は複数の場面がシミュレーション・システムに提示されることになり、この場面を表すシミュレートされたセンサ・データが生成され、AV意思決定エンジン(コンピュータ及びソフトウェア)に提示されることになり、車両コマンドが、AV意思決定エンジンによって生成され、車両動力学モデルに提示されることになる。次いで、このAVの動きが、統合された分析及び可視化のシステムに提示されて、この場面でのAVの動きを表示し、その挙動を分析することになる。このシミュレーション・プロセスの分析及び可視化のステップに本発明を適用して、AVの挙動の安全性及びリスクを測定することができる。
【0105】
[0113] AVの開発では、普通はフィールド・テストが使用されて、AVシステム及び車両へのその統合を試験及び評価する。本発明の1つの用途は、フィールド・テストでのAVの挙動を測定及び査定することである。前述のシミュレーション・プロセスと同様に、このAVに状況が提示され、そのセンサ・データ、決定、車両コマンド、及び動きが測定及び査定されることになる。本発明を、この試験プロセスの査定ステップに適用して、AVの挙動の安全性及びリスクを測定することができる。
【0106】
[0114] 本発明はまた、開発、試験、又は導入中の、AVの安全性及びリスクの継続的な査定及び評価に使用することができる。たとえば、本発明によって生成される値を使用して、車両の挙動を調整し、又はそれに影響を及ぼすこと(たとえば、本発明によって生成される値が閾値を超える場合、車両にその速度を落とすように命令すること)ができる。本発明はまた、ニューラル・ネットワークなどのコンピュータ・システムの周期的又は連続的なトレーニングにおいて使用し、開発、試験、又は導入において、コンピュータ・システムに、その挙動についてのフィードバックを提示することができる。
【0107】
[0115] AV及び車両の安全システムの開発においては、普通、サブシステムの性能の比較が実行される。本発明を、このような比較の結果の査定に適用して、AV又は車両の安全システムの挙動の安全性及びリスクを測定し、ある1つのサブシステムから別のサブシステムへ、又はある1つの状況若しくは場面若しくは試験条件から別のものへと、本発明の数値結果を比較することができる。
【0108】
[0116] 本発明は、車両に搭載されるコンピュータ上で実行されるソフトウェアにおいて、又は車両の動きデータが利用可能な静止場所で実行されるコンピュータ上で実施することができる。こうした静止場所には、交通管理センタ、及び/又は交通信号機でのボックスなどの交通管理ボックスが含まれ得る。
【0109】
[0117] 本発明は、集積半導体チップなど、1つ又は複数のハードウェア・デバイスで実施することができ、前述の用途又は場所のいずれでも使用することができる。
【0110】
[0118] 本発明は、カメラ若しくはカメラ・システム、ライダ若しくはライダ・システム、レーダ若しくはレーダ・システムのソフトウェア若しくはハードウェアに統合することができ、又は車両に搭載されたコンピュータ上で動作するソフトウェアに統合することができ、又は車両に搭載されて動作する1つ又は複数の集積半導体チップとすることができる。
【0111】
[0119] 本発明の一実施形態は、様々なコンピュータ実装動作を実行するためのコンピュータ・コードを有するコンピュータ読取り可能な記憶媒体を備えるコンピュータ記憶製品に関する。この媒体及びコンピュータ・コードは、本発明の目的のために特別に設計及び構成されたものでもよく、又はコンピュータ・ソフトウェア技術の当業者にはよく知られていて、利用可能な種類のものでもよい。コンピュータ読取り可能な媒体の例には、それだけには限定されないが、ハード・ディスク、フロッピー・ディスク、及び磁気テープなどの磁気媒体、CD-ROM、DVD、及びホログラフィック装置などの光媒体、光磁気媒体、並びに特定用途向け集積回路(「ASIC」)、プログラマブル論理デバイス(「PLD」)、及びROMデバイスやRAMデバイスなど、プログラム・コードを記憶及び実行するように特別に構成されたハードウェア・デバイスが含まれる。コンピュータ・コードの例には、コンパイラによって生成されるようなマシン・コード、及びインタプリタを使用してコンピュータによって実行される高レベル・コードを含むファイルが含まれる。たとえば、本発明の一実施形態は、JAVA(登録商標)、C++、又は他のオブジェクト指向プログラミング言語及び開発ツールを使用して実施してもよい。本発明の別の実施形態は、マシン実行可能なソフトウェア命令の代わりに、又はそれと組み合わせて、ハードワイヤード回路に実装してもよい。
【0112】
[0120] 説明目的のための前述の説明は、本発明の十分な理解を実現するために特定の専門語を使用した。しかし、本発明を実施するのに具体的な詳細は必要とされないことが、当業者には明らかになろう。したがって、本発明の具体的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明するために提示されるものである。こうした説明は、網羅的であること、又は開示された厳密な形態に本発明を限定することを意図したものではなく、前述の教示に鑑み、数多くの修正形態及び変形形態が実現可能であることが明らかである。本発明の原理及びその実際的な用途を最もよく説明するように、各実施形態を選択及び説明した。それにより、企図された特定の使用に適した様々な修正形態とともに、本発明及び様々な実施形態を当業者が最もよく利用できるようにする。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されるものである。