(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法、装置、ヘッドセット及びTWSヘッドセット
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20230925BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20230925BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
H04R3/00 320
H04R1/10 101A
H04R1/00 327A
(21)【出願番号】P 2021575984
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2019108290
(87)【国際公開番号】W WO2020252972
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】201910536601.7
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521553656
【氏名又は名称】ウェイファン ゴルテック マイクロエレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ティエ, グアンペン
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231468(JP,A)
【文献】特表2009-530950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0054683(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-3/04,25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法であって、
ヘッドセットの装着者が話しているとき、前記ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得するステップであって、前記予め設定された数は2以上であり、前記第1音信号は、音声信号を含み、前記第2音信号は、前記音声信号及びノイズ信号を含む、ステップと、
前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達
することと、前記骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間を決定するステップと、
前記遅延時間に基づいて、前記マイクロホンからなるマイクロホンアレイと前記装着者の口部とのポインティング角度を計算するステップと、
前記ポインティング角度に基づいて、前記マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、調整後のビームポインティング角度を用いて前記マイクロホンアレイのビームフォーミングを行うステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達
することと、前記骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間を決定する前記ステップは、
前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、予め設定された相互相関関数を用いて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達
することと、骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間を計算するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法。
【請求項3】
前記予め設定された数が2の場合、前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、予め設定された相互相関関数を用いて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達
することと、前記骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間を計算する前記ステップは、
前記第1音信号及び第1マイクロホンにより収集された第2音信号に基づいて、
のピーク点に対応する第1遅延時間を計算するステップであって、前記第1遅延時間は、前記音声信号が前記第1マイクロホンに到達
することと、前記骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間であり、x
*(t)は、前記第1音信号の共役、x
1(t)は、前記第1マイクロホンにより収集された第2音信号である、ステップと、
前記第1音信号及び第2マイクロホンにより収集された第2音信号に基づいて、
の第2遅延時間を計算するステップであって、前記第2遅延時間は、前記音声信号が前記第2マイクロホンに到達
することと、前記骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間であり、x
2(t)は、前記第2マイクロホンにより収集された第2音信号である、ステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載のヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法。
【請求項4】
前記予め設定された数が2の場合、前記遅延時間に基づいて、前記マイクロホンからなるマイクロホンアレイと前記装着者の口部とのポインティング角度を計算する前記ステップは、
計算された第1マイクロホンに対応する第1遅延時間及び第2マイクロホンに対応する第2遅延時間に基づいて、
を用い、前記第1マイクロホン及び前記第2マイクロホンからなるマイクロホンアレイと前記装着者の口部とのポインティング角度を計算するステップであって、θは、前記ポインティング角度、t
2は、前記第2遅延時間、t
1は、前記第1遅延時間、Lは、前記第1マイクロホンと前記第2マイクロホンとの距離、cは、空気中の音速である、ステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法。
【請求項5】
前記ポインティング角度に基づいて、前記マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、調整後のビームポインティング角度を用いて前記マイクロホンアレイのビームフォーミングを行う前記ステップは、
前記ビームポインティング角度を前記ポインティング角度に調整することによって、前記マイクロホンアレイが前記ポインティング角度を用いてビームフォーミングを行うステップを含む、ことを特徴とする請求項4に記載のヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法。
【請求項6】
前記ヘッドセットの装着者が話しているとき、前記ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得する前記ステップは、
装着状態及び未装着状態を含む前記ヘッドセットの装着状況を取得するステップと、
前記装着状況が前記装着状態であるか否かを判断するステップと、
そうである場合、前記骨伝導マイクロホンが音信号を収集するように制御するステップと、
前記音信号に基づいて、前記装着者が話しているか否かを判断するステップと、
そうである場合、前記骨伝導マイクロホンが第1音信号を収集するように制御し、前記マイクロホンが第2音信号を収集するように制御するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法。
【請求項7】
ヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減装置であって、
ヘッドセットの装着者が話しているとき、前記ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得するために用いられ、前記予め設定された数は2以上であり、前記第1音信号は、音声信号を含み、前記第2音信号は、前記音声信号及びノイズ信号を含む、取得モジュールと、
前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達
することと、前記骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間を決定するための決定モジュールと、
前記遅延時間に基づいて、前記マイクロホンからなるマイクロホンアレイと前記装着者の口部とのポインティング角度を計算するための計算モジュールと、
前記ポインティング角度に基づいて、前記マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、調整後のビームポインティング角度を用いて前記マイクロホンアレイのビームフォーミングを行うための調整モジュールと、
を含む、ことを特徴とするヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減装置。
【請求項8】
前記決定モジュールは、
前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、予め設定された相互相関関数を用いて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達
することと、骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間を計算するための計算サブモジュールを含む、ことを特徴とする請求項7に記載のヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減装置。
【請求項9】
ヘッドセットであって、
メモリ、プロセッサ、骨伝導マイクロホン及び予め設定された数のマイクロホンを含み、
前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するために用いられ、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~6のいずれかに記載のヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法のステップを実現するために用いられる、ことを特徴とするヘッドセット。
【請求項10】
第1無線ヘッドセット及び第2無線ヘッドセットを含むTWSヘッドセットであって、
前記第1無線ヘッドセット及び前記第2無線ヘッドセットは、いずれも、請求項9に記載のヘッドセットである、ことを特徴とするTWSヘッドセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年6月20日に中国特許庁に提出された、出願番号が201910536601.7であり、出願名称が「ヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法、装置、ヘッドセット及びTWSヘッドセット」である中国特許出願について優先権を主張し、その内容の全てが本願の一部とし組み込まれる。
【0002】
本発明は、携帯型リスニング機器の技術分野に関し、特にヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法、装置、ヘッドセット及びTWSヘッドセットに関する。
【背景技術】
【0003】
現代社会の科学技術の発展に伴い、ヘッドセットの使用はますます広がっている。ユーザがヘッドセットを装着する際の通話品質を確保するために、ヘッドセットに複数のマイクを設けてマイクアレイを構成し、マイクアレイを用いてビームフォーミングを行い、収集された音信号のノイズ低減することが多い。
【0004】
従来技術において、マイクロホンアレイを用いてビームフォーミングを行う場合、固定されたビームポインティング角度を用いることが多く、例えば、2つのマイクロホンでビームフォーミング用のデュアルマイクロホンアレイを構成する場合、各々のマイクロホンと口部の位置が固定され、2つのマイクロホン間の間隔距離Lが固定され、間隔距離がLのデュアルマイクロホンアレイを用いてビームフォーミングを行い、アレイのポインティング方向(ビームポインティング角度)も固定される。しかしながら、ユーザが実際にヘッドセットを使用する際において、マイクアレイのポインティング方向は理想的にユーザの口部を指すわけではなく、ユーザによってヘッドセットを装着する習慣が異なるため、マイクの位置が変化し、マイクアレイの向きが口部とずれたり、極端な場合にはユーザがヘッドセットを逆向きに装着して、通話品質が悪くなる。
【0005】
従って、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を適応的に調整し、固定されたビームポインティング角度とユーザ口部とのずれによる通話効果の不良を低減し、マイクロホンアレイのノイズ低減効果を保証し、ユーザ体験を向上させることが課題となっています。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を適応的に調整し、ユーザの通話効果を向上させ、マイクロホンアレイのノイズ低減効果を保証し、ユーザ体験を向上させる、ヘッドホンのマイクロホンアレイノイズ低減方法、装置、ヘッドセット及びTWSヘッドセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術課題を解決するために、本発明は、ヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法を提供するものであり、この方法は、
ヘッドセットの装着者が話しているときに、前記ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得するステップであって、前記予め設定された数は2以上であり、前記第1音信号は、音声信号を含み、前記第2音信号は、前記音声信号及びノイズ信号を含む、ステップと、
前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達することと、前記骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を決定するステップと、
前記遅延時間に基づいて、前記マイクロホンからなるマイクロホンアレイと前記装着者の口部のポインティング角度を計算するステップと、
前記ポインティング角度に基づいて、前記マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、調整後のビームポインティング角度を用いて前記マイクロホンアレイのビームフォーミングを行うステップと、を含む。
【0008】
任意選択的には、前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達して、前記骨伝導マイクロホンに到達するまでの間の遅延時間を決定する前記ステップは、
前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、予め設定された相互相関関数を用いて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を計算するステップを含む。
【0009】
任意選択的には、前記予め設定された数が2の場合、前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、予め設定された相互相関関数を用いて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達
することと、前記骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間を計算する前記ステップは、
前記第1音信号及び第1マイクロホンにより収集された第2音信号に基づいて、
のピーク点に対応する第1遅延時間を計算するステップであって、前記第1遅延時間は、前記音声信号が前記第1マイクロホンに到達
することと、前記骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間であり、x
*(t)は、前記第1音信号の共役、x
1(t)は、前記第1マイクロホンにより収集された第2音信号である、ステップと、
前記第1音信号及び第2マイクロホンにより収集された第2音信号に基づいて、
の第2遅延時間を計算するステップであって、前記第2遅延時間は、前記音声信号が前記第2マイクロホンに到達
することと、前記骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間であり、x
2(t)は、前記第2マイクロホンにより収集された第2音信号である、ステップと、を含む。
【0010】
任意選択的には、前記予め設定された数が2の場合、前記遅延時間に基づいて、前記マイクロホンからなるマイクロホンアレイと前記装着者の口部のポインティング角度を計算する前記ステップは、
計算された第1マイクロホンに対応する第1遅延時間及び第2マイクロホンに対応する第2遅延時間に基づいて、
を用い、前記第1マイクロホン及び前記第2マイクロホンからなるマイクロホンアレイと前記装着者の口部のポインティング角度を計算するステップであって、θは、前記ポインティング角度、t
2は、前記第2遅延時間、t
1は、前記第1遅延時間、Lは、前記第1マイクロホンと前記第2マイクロホンとの距離、cは、空気中の音速である、ステップを含む。
【0011】
任意選択的には、前記ポインティング角度に基づいて、前記マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、調整後のビームポインティング角度を用いて前記マイクロホンアレイのビームフォーミングを行う前記ステップは、
前記ビームポインティング角度を前記ポインティング角度に調整して、前記マイクロホンアレイが前記ポインティング角度を用いてビームフォーミングを行うステップを含む。
【0012】
任意選択的には、前記ヘッドセットの装着者が話しているときに、前記ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得する前記ステップは、
装着状態及び未装着状態を含む前記ヘッドセットの装着状況を取得するステップと、
前記装着状況が前記装着状態であるか否かを判断するステップと、
そうである場合、前記骨伝導マイクロホンが音信号を収集するように制御するステップと、
前記音信号に基づいて、前記装着者が話しているか否かを判断するステップと、
そうである場合、前記骨伝導マイクロホンが第1音信号を収集するように制御し、前記マイクロホンが第2音信号を収集するように制御するステップと、を含む。
【0013】
本発明は、ヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減装置をさらに提供し、この装置は、
ヘッドセットの装着者が話しているときに、前記ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得するために用いられ、前記予め設定された数は2以上であり、前記第1音信号は、音声信号を含み、前記第2音信号は、前記音声信号及びノイズ信号を含む、取得モジュールと、
前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達することと、前記骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を決定するための決定モジュールと、
前記遅延時間に基づいて、前記マイクロホンからなるマイクロホンアレイと前記装着者の口部のポインティング角度を計算するための計算モジュールと、
前記ポインティング角度に基づいて、前記マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、調整後のビームポインティング角度を用いて前記マイクロホンアレイのビームフォーミングを行うための調整モジュールと、を含む。
【0014】
任意選択的には、前記決定モジュールは、
前記第1音信号及び前記第2音信号に基づいて、予め設定された相互相関関数を用いて、前記音声信号が各々の前記マイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を計算するための計算サブモジュールを含む。
【0015】
本発明は、ヘッドセットをさらに提供し、このヘッドセットは、メモリ、プロセッサ、骨伝導マイクロホン及び予め設定された数のマイクロホンを含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するために用いられ、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行時に、上記のいずれかに記載のヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法のステップを実現するために用いられる。
【0016】
また、本発明は、第1無線ヘッドセット及び第2無線ヘッドセットを含むTWSヘッドセットをさらに提供し、前記第1無線ヘッドセット及び前記第2無線ヘッドセットは、いずれも、以上に記載のヘッドセットである。
【0017】
本発明に係るヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法は、ヘッドセットの装着者が話しているときに、ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得するステップであって、予め設定された数は2以上であり、第1音信号は、音声信号を含み、第2音信号は、音声信号及びノイズ信号を含むステップと、第1音信号及び第2音信号に基づいて、音声信号が各々のマイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を決定するステップと、遅延時間に基づいて、マイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部のポインティング角度を計算するステップと、ポインティング角度に基づいて、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、調整後のビームポインティング角度を用いてマイクロホンアレイのビームフォーミングを行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
以上から分かるように、本発明は、ヘッドセットの装着者が話しているときに、骨伝導マイクロホンを用いて、マイクロホンアレイにおける各々のマイクロホンが骨伝導マイクロホンに対する音声信号を受信する時間遅延を決定し、それにより、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を適応的に調整し、マイクロホンアレイのビームフォーミングとノイズ低減プロセスにおいて、従来の固定されたビームポインティング角度とユーザの口部のずれによる通話効果が悪くなることなく、マイクロホンアレイのノイズ低減効果を保証し、ユーザ体験を向上させる。また、本発明は、ヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減装置、ヘッドセット及びTWSヘッドセットをさらに提供し、同様に上記有益な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施形態に係るヘッドセットの構造模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るヘッドセットのマイクロホンと装着者の口部の位置模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る別のヘッドセットのマイクロホンと装着者の口部の位置模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る別のヘッドセットのマイクロホンと装着者の口部の位置模式図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減装置の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態または先行技術の技術手的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施形態または先行技術の説明において必要な図面について簡単に説明するが、以下の説明における図面は、本発明の実施形態にすぎず、当業者にとっては、創造的労力をかけずに、添付図面に基づいて他の図面を得ることもできる。本発明の実施形態の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施形態の図面に関連して、本発明の実施形態における技術案を明確かつ完全に説明する。説明された実施形態は、すべての実施形態ではなく、本発明の一部の実施形態であることは明らかである。本発明の実施形態に基づき、当業者が創造的な労力をかけずに得た他の実施形態はすべて本発明の保護の範囲に含まれる。
【0021】
図1を参照すると、
図1は、本発明の実施形態に係るヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法のフローチャートである。該方法は、ステップ101~104を含むことができる。
【0022】
ステップ101:ヘッドセットの装着者が話しているときに、ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得し、予め設定された数は2以上であり、第1音信号は、音声信号を含み、第2音信号は、音声信号及びノイズ信号を含む。
【0023】
本ステップの目的は、ヘッドセット又はヘッドセットとペアリングされた端末におけるプロセッサは、該ヘッドセットの装着者が話しているとき、ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得する、すなわち、プロセッサは、装着者が話しているときの音声信号を含む第1音信号及び第2音信号を取得し、骨伝導マイクロホン(内耳骨マイクロホン)は、装着者の頭部の内部から伝播される第1音信号を収集でき、この信号は、主に、音声信号の中低周波数部分を含み、ノイズ成分が少なく、音声信号を判断する基準信号とすることができ、外部ノイズの干渉を回避し、装着者が話している音声信号を識別する精度を高めることが理解できるであろう。
【0024】
具体的には、本実施形態では、ヘッドセットに設けられた、マイクロホンアレイを構成するマイクロホンの具体的な数、すなわち、予め設定された数の具体的な数値設定は、設計者が適用シーン及びユーザのニーズに応じて自動的に設定することができ、2つのマイクロホンを設けてデュアルマイクロホンアレイを構成してもよい、すなわち、予め設定された数は、2であってもよい。より多くのマイクロホンを設けて対応するアレイを構成してもよく、すなわち、予め設定された数は、2より大きい数値であってもよいが、本実施形態は、これにいかなる制限もない。
【0025】
これに対応して、本ステップにおける第1音信号は、ヘッドセットの装着者が話しているときに、骨伝導マイクロホンにより収集された音信号(振動信号)であってもよい。本ステップにおける第2音信号は、ヘッドホンの装着者が話しているときに、マイクロホンの各々により収集された音信号(振動信号)であってもよい。
【0026】
なお、本実施形態では、プロセッサは第1音信号及び第2音信号を取得する具体的な形態については、設計者が使用シーン及びユーザのニーズに応じて自動的に設定することができる。例えば、プロセッサは、ユーザ(装着者)がヘッドセットを装着するたびに初めて話すとき、第1音信号及び第2音信号を取得する、すなわち、ユーがヘッドセットを装着するたびに、今回の装着に対応するマイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整してもよいし、プロセッサは、ユーザが毎回ヘッドセットを装着した後に、予め設定された時間間隔で第1音信号及び第2音信号を取得する、例えば、ユーザが毎回ヘッドセットを装着した後に、リアルタイムで取得された、ユーザが話しているときの第1音信号及び第2音信号に基づいて、マイクロホンアレイのビームポインティング角度をリアルタイムで調整してもよい。プロセッサは、ヘッドセットの装着者が話しているときに対応する音声信号を含む第1音信号及び第2音信号を取得できる限り、本実施形態は、これにいかなる制限もない。
【0027】
本実施形態では、プロセッサが第1音信号及び第2音信号を取得する具体的なプロセスについては、設計者が自動的に設定することができる。例えば、ヘッドセットが装着されているか否か、及び、装着者が話しているか否かをそれぞれ判断し、それにより、ヘッドセットが装着されており、かつ装着者が話している場合、骨伝導マイクロホン及び予め設定された数のマイクロホンが起動し、第1音信号及び第2音信号を収集するように制御する。プロセッサにより取得された第1音信号及び第2音信号の両方が、ヘッドセットの装着者が話しているときに対応する音声信号を含むことを保証できる限り、本実施形態は、これにいかなる制限もない。
【0028】
具体的には、上記プロセッサは、ヘッドセットが装着されているか否か、及び、装着者が話しているか否かを判断する具体的な形態については、設計者が自動的に設定することができる。例えば、ヘッドセットにおける距離センサ、光センサ及び加速度センサなどのセンサ機器を用いて、ヘッドセットの装着状況を検出し、それにより、ヘッドセットの装着状況が装着状態であるか否かを判断することができる。骨伝導マイクロホンにより収集された音信号を用いて、装着者が話しているか否かを決定することができる。すなわち、本ステップは、装着状態及び未装着状態を含むヘッドセットの装着状況を取得するステップと、装着状況が装着状態であるか否かを判断するステップと、そうである場合、骨伝導マイクロホンが音信号を収集するように制御するステップと、音信号に基づいて、装着者が話しているか否かを判断するステップと、そうである場合、骨伝導マイクロホンが第1音信号を収集するように制御し、マイクロホンが第2音信号を収集するように制御するステップとを含むことができる。プロセッサは、ヘッドセットが装着されているか否か、及び装着者が話しているか否かを判断できる限り、本実施形態は、これにいかなる制限もない。
【0029】
これに対応して、上記ヘッドセットの装着状況が未装着状態の場合、及び、装着者が話していないと判断された場合、本プロセスをそのまま終了してもよいし、ヘッドセットの装着状況を取得するステップに戻って再判断してもよいが、本実施形態は、これにいかなる制限もない。
【0030】
ステップ102:第1音信号及び第2音信号に基づいて、音声信号が各々のマイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を決定する。
【0031】
本ステップの目的は、ヘッドセットの装着者が話しているとき、骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々収集された第2音信号に基づいて、装着者が話しているときの音声信号が各々のマイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を決定する、すなわち、第2音信号の各々と第1音信号における同じ音声信号との時間差を決定することであることが理解できるだろう。
【0032】
これに対応して、本ステップでは、プロセッサは第1音信号、及び予め設定された数の第2音信号に基づいて、音声信号が各々のマイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を決定する具体的な形態については、設計者が自動的に設定することができる。例えば、第1音信号及び各々の第2音信号のうちの音声信号の識別検出により、第1音信号と各々の第2音信号とにおける同じ音声信号の時間差を決定してもよいし、相互相関関数を直接利用して、第1音信号と各々の第2音信号とにおける同じ音声信号の時間差を計算してもよい。すなわち、第1音信号と、各々の第2音信号とを相互相関させ、相互相関は、主に2列の信号間の類似性を指し、そのうちの一方の列の信号は、他方の列の信号より時間上の遅延があり、2列の信号の相互相関関数を計算し、最類似時点、すなわち、相互相関関数のピーク点に対応する時間(時間遅延)を計算する。つまり、本ステップは、第1音信号、及び予め設定された数の第2音信号に基づいて、予め設定された相互相関関数を用いて、音声信号が各々のマイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を計算するステップを含むことができる。本実施形態は、これにいかなる制限もない。
【0033】
具体的には、第1音信号、及び予め設定された数の第2音信号に基づいて、予め設定された相互相関関数を用いて、音声信号が各々のマイクロホンに到達
することと、骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間を計算する上記ステップの具体的なプロセスは、設計者が自動的に設定することができる。例えば、骨伝導マイクロホンと各々のマイクロホンに対応する予め設定された相互相関関数をそれぞれ利用し、各々の予め設定された相互相関関数のピーク点に対応する時間(遅延時間)を計算することができる。たとえば予め設定された数が2であり、
図2に示すように、ヘッドセットには第1マイクロホン(MIC1)及び第2マイクロホン(MIC2)の2つのマイクロホンが設置される場合、第1音信号及び第1マイクロホンにより収集された第2音信号に基づいて、
のピーク点に対応する第1遅延時間t
1を計算する、すなわち、
のピーク点に対応する時間点τはt
1に等しい。第1遅延時間は、音声信号が第1マイクロホンに到達
することと、骨伝導マイクロホン(Bone MIC)に到達する
こととの間の遅延時間であり、x
*(t)は、第1音信号の共役、x
1(t)は、第1マイクロホンにより収集された第2音信号である。第1音信号及び第2マイクロホンにより収集された第2音信号に基づいて、
のピーク点に対応する第2遅延時間t
2を計算する、すなわち、
のピーク点に対応する時間点τはt
2に等しい。第2遅延時間は、音声信号が第2マイクロホンに到達
することと、骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間であり、x
2(t)は、第2マイクロホンにより収集された第2音信号である。本実施形態は、これにいかなる制限もない。
【0034】
ステップ103:遅延時間に基づいて、マイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を計算する。
【0035】
本ステップの目的は、音声信号が各々のマイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を用いて、音声信号が各々のマイクロホンに到達する遅延の差を決定し、予め設定された数のマイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を計算することであることが理解できるであろう。
【0036】
これに対応して、本ステップでは、プロセッサは、遅延時間に基づいて、マイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を計算する具体的な形態については、設計者が自動的に設定することができる。例えば、予め設定された数が2の場合、計算された音声信号が第1マイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間(第1遅延時間t1)、及び、音声信号が第2マイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間(第2遅延時間t2)に基づいて、音声信号が第1マイクロホンに到達することと、第2マイクロホンに到達することとの間の遅延の差Δt(例えば、t2-t1)を決定し、それにより、遅延の差を用いて、第1マイクロホン及び第2マイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を計算する。本実施形態は、これにいかなる制限もない。
【0037】
たとえば予め設定された数が2の場合、本ステップは、計算された第1マイクロホンに対応する第1遅延時間及び第2マイクロホンに対応する第2遅延時間に基づいて、
を用いて、第1マイクロホン及び第2マイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を計算するステップを含むことができる。θは、第1マイクロホン及び第2マイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度、t
2は、第2遅延時間、t
1は、第1遅延時間、Lは、第1マイクロホンと第2マイクロホンとの距離、cは、予め設定された速度値、例えば、空気中の音速である。
【0038】
ステップ104:ポインティング角度に基づいて、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、調整後のビームポインティング角度を用いてマイクロホンアレイのビームフォーミングを行う。
【0039】
本ステップの目的は、計算されたマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を用い、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、マイクロホンアレイのビームポインティング角度の適応を実現し、それにより、この後、調整後のビームポインティング角度でマイクロホンアレイのビームフォーミングを行うことができ、マイクロホンアレイを用いてビームフォーミングを行うときのノイズ低減効果を確保することであることが理解できるであろう。
【0040】
具体的には、本ステップでは、プロセッサはポインティング角度に基づいて、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整する具体的な形態については、設計者が自動的に設定することができる。例えば、ビームポインティング角度をポインティング角度に直接調整することによって、マイクロホンアレイがポインティング角度を用いてビームフォーミングを行うことができる。
図3~
図5に示すように、予め設定された数が2の場合、第1マイクロホン(MIC1)及び第2マイクロホン(MIC2)からなるマイクロホンアレイを用いてビームフォーミングを行うとき、装着者の口部から発せられる音声信号から2つのマイクロホンへの音響伝搬距離の差は、(t
2-t
1)cである。音響伝搬距離の差が正の値の場合(
図3及び
図4)、MIC1が口部に近く、音響伝搬距離の差が負の値の場合(
図5)、MIC2が口部に近く、計算された遅延時間(t
1及びt
2)に基づいて、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を直接調節する。
ポインティング角度の絶対値が予め設定された値より大きい場合、ビームポインティング角度をポインティング角度に調整してもよい。マイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を用い、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整できる限り、本実施形態は、これにいかなる制限もない。
【0041】
本実施形態では、骨伝導マイクロホンにより収集された、外部ノイズによる干渉を受けにくい音声信号を基準とし、音声信号が各々のマイクロホンに到達して、骨伝導マイクロホンに到達するまでの間の到達時間の差(時間遅延)を決定する、すなわち、音声信号が各々のマイクロホンに到達する時間差を取得でき、それにより、予め設定された数のマイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を計算し、マイクロホンアレイがビームフォーミングを行うときのビームポインティング角度を調整できることが理解できるであろう。
【0042】
本発明の本実施形態では、ヘッドセットの装着者が話しているとき、骨伝導マイクロホンを用いて、マイクロホンアレイにおける各々のマイクロホンが骨伝導マイクロホンに比べて音声信号を受信するまでの時間遅延を決定し、それにより、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を適応的に調整し、マイクロホンアレイのビームフォーミングとノイズ低減プロセスにおいて、従来の固定されたビームポインティング角度とユーザの口部とのずれによる通話効果を低下させることなく、マイクロホンアレイのノイズ低減効果を保証し、ユーザ体験を向上させる。
【0043】
図6を参照すると、
図6は、本発明の実施形態に係るヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減装置の構造ブロック図である。該装置は、
ヘッドセットの装着者が話しているとき、ヘッドセットに設けられた骨伝導マイクロホンにより収集された第1音信号、及び予め設定された数のマイクロホンの各々により収集された第2音信号を取得するために用いられ、予め設定された数は2以上であり、第1音信号は、音声信号を含み、第2音信号は、音声信号及びノイズ信号を含む、取得モジュール10と、
第1音信号及び第2音信号に基づいて、音声信号が各々のマイクロホンに到達
することと、骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間を決定するための決定モジュール20と、
遅延時間に基づいて、マイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を計算するための計算モジュール30と、
ポインティング角度に基づいて、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を調整し、調整後のビームポインティング角度を用いてマイクロホンアレイのビームフォーミングを行うための調整モジュール40と、を含むことができる。
【0044】
任意選択的には、決定モジュール20は、
第1音信号及び第2音信号に基づいて、予め設定された相互相関関数を用いて、音声信号が各々のマイクロホンに到達することと、骨伝導マイクロホンに到達することとの間の遅延時間を計算するための計算サブモジュールを含むことができる。
【0045】
任意選択的には、予め設定された数が2の場合、計算サブモジュールは、具体的には、第1音信号及び第1マイクロホンにより収集された第2音信号に基づいて、
のピーク点に対応する第1遅延時間を計算し、第1遅延時間は、音声信号が第1マイクロホンに到達
することと、骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間であり、x
*(t)は、第1音信号の共役、x
1(t)は、第1マイクロホンにより収集された第2音信号である。第1音信号及び第2マイクロホンにより収集された第2音信号に基づいて、
のピーク点に対応する第2遅延時間を計算し、第2遅延時間は、音声信号が第2マイクロホンに到達
することと、骨伝導マイクロホンに到達する
こととの間の遅延時間であり、x
2(t)は、第2マイクロホンにより収集された第2音信号である。
【0046】
任意選択的には、予め設定された数が2の場合、計算モジュール30は、
計算された第1マイクロホンに対応する第1遅延時間及び第2マイクロホンに対応する第2遅延時間に基づいて、
を用い、第1マイクロホン及び第2マイクロホンからなるマイクロホンアレイと装着者の口部とのポインティング角度を計算するために用いられ、θは、ポインティング角度、t
2は、第2遅延時間、t
1は、第1遅延時間、Lは、第1マイクロホンと第2マイクロホンとの距離、cは、空気中の音速であるポインティング角度計算サブモジュールを含むことができる。
【0047】
任意選択的には、調整モジュール40は、
ビームポインティング角度をポインティング角度に調整することによって、マイクロホンアレイがポインティング角度を用いてビームフォーミングを行うための調整サブモジュールを含むことができる。
【0048】
任意選択的には、取得モジュール10は、
装着状態及び未装着状態を含むヘッドセットの装着状況を取得するための取得サブモジュールと、
装着状況が装着状態であるか否かを判断するための第1判断サブモジュールと、
装着状態である場合、骨伝導マイクロホンが音信号を収集するように制御するための第1制御サブモジュールと、
音信号に基づいて、装着者が話しているか否かを判断するための第2判断サブモジュールと、
話している場合、骨伝導マイクロホンが第1音信号を収集するように制御し、マイクロホンが第2音信号を収集するように制御するための第2制御サブモジュールと、を含むことができる。
【0049】
本発明の本実施形態例は、ヘッドホンの装着者が話しているとき、骨伝導マイクロホンを用いて、マイクロホンアレイにおける各々のマイクロホンが、骨伝導マイクロホンに比べて、音声信号を受信するまでの時間遅延を決定し、それにより、マイクロホンアレイのビームポインティング角度を適応的に調整し、マイクロホンアレイのビームフォーミングとノイズ低減プロセスにおいて、従来の固定されたビームポインティング角度とユーザの口部とのずれによる通話効果を低下させることなく、マイクロホンアレイのノイズ低減効果を保証し、ユーザ体験を向上させる。
【0050】
本発明の実施形態は、ヘッドセットをさらに提供し、このヘッドセットは、メモリ、プロセッサ、骨伝導マイクロホン及び予め設定された数のマイクロホンを含み、メモリは、コンピュータプログラムを記憶するために用いられ、プロセッサは、コンピュータプログラムを実行すると、上記実施形態に係るヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法のステップを実現するために用いられる。
【0051】
また、本発明の実施形態は、第1無線ヘッドセット及び第2無線ヘッドセットを含むTWSヘッドセットをさらに提供し、第1無線ヘッドセット及び第2無線ヘッドセットは、いずれも、以上の一実施形態に係るヘッドセットである。
【0052】
明細書における各実施形態は漸進的に説明されたが、各実施形態で強調して説明したのはいずれもその他の実施形態との相違点であり、各実施形態間の同一または類似している部分については、相互的に参照すればよい。実施形態に開示された装置、ヘッドセット及びTWSヘッドセットについては、実施形態に開示された方法に対応するため、説明は比較的簡単であり、関連する点は、方法の部分を参照して説明すればよい。
【0053】
当業者はさらに、本明細書に開示された実施形態を参照して説明された各例のユニット及びアルゴリズムステップを、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア又は両者の組み合わせで実現することができ、ハードウェアとソフトウェアの互換性を明確に説明するために、上記説明において機能に応じて各例の構成及びステップを一般的に説明することを理解することができる。これらの機能がハードウェアで実行されるか又はソフトウェアで実行されるかは、技術的解決手段の特定の応用及び設計制約条件に依存する。当業者は各特定の適用に対して異なる方法を用いて説明された機能を実現することができるが、このような実現は本発明の範囲を超えると考えられるべきではない。
【0054】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェア、プロセッサによって直接実行されるソフトウェアモジュール、または両方の組み合わせによって実現され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムメモリ(RAM)、メモリ、読取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM、電気的消去可能プログラマブルROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または技術分野において公知の任意の他の形態の記憶媒体に配置することができる。
【0055】
以上、本発明に係るヘッドセットのマイクロホンアレイノイズ低減方法、装置、ヘッドセット及びTWSヘッドセットについて詳細に説明した。本明細書では、本発明の原理および実施形態について具体例を用いて説明したが、以上の実施形態の説明は、本発明の方法およびその核心思想の理解を助けるためにのみ用いられる。本発明の原理を逸脱することなく、本発明に対していくつかの改良および修飾を行うことができることは、当業者にとって、本発明の原理を逸脱することなく、本発明の特許請求の範囲内に含まれることを留意すべきである。