(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】乗客コンベアの正面スカートの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
B66B 23/22 20060101AFI20230925BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20230925BHJP
B66B 29/04 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
B66B23/22 G
B66B23/22 C
B66B31/00 C
B66B31/00 A
B66B29/04 G
(21)【出願番号】P 2022106902
(22)【出願日】2022-07-01
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 真
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-211477(JP,A)
【文献】特開2006-206249(JP,A)
【文献】特開2013-170041(JP,A)
【文献】特開2014-031251(JP,A)
【文献】特開2021-008359(JP,A)
【文献】特開2018-095446(JP,A)
【文献】特開2006-176277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に伸び、踏段が走行するトラスと、
前記トラスの上部の左右両側部に立設された左右一対の欄干と、
前記欄干の上部と、前記欄干の前部と後部にある半円形端部の外周部に形成された手摺りレールと、
前記手摺りレールを走行する無端状の手摺りベルトと、
前記欄干の前記半円形端部の下部に配された前後方向に長い筒体であって、前記筒体の内周に沿って配された前記手摺りレールを前記手摺りベルトが走行するインレット部と、
前記半円形端部の下方と前記トラスの上部との間にある正面スカートを形成する正面スカート部材と、
を有し、
前記正面スカート部材は、前記トラスの上部に設けられた取り付け部材に着脱自在に取り付けられ、
前記半円形端部の下方と前記トラスの上部との間の空間を前方、又は、後方から見た正面を覆う正面板と、前記踏段側の側面を覆う側面板とを含み、
前記正面板は、前記インレット部の下方において前記正面を覆う第1正面板と、前記第1正面板とは別体であり、前記側面板から延設された第2正面板とからなり、
前記第1正面板を形成する板材に乗客検出センサが取り付けられているか、又は、前記板材に表示装置が取り付けられている、
ことを特徴とする乗客コンベアの正面スカートの取り付け構造。
【請求項2】
前記正面板の上部には、前記インレット部の外周を囲む枠材が取り付けられ、前記インレット部が前記枠材の内周を進退可能である、
請求項1に記載の乗客コンベアの正面スカートの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアの正面スカートの取り付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道において、乗降口にある欄干の前端部と後端部の下部には、正面スカートがそれぞれ設けられ、この正面スカートに乗客を検出するための乗客検出センサ、踏段の移動方向を表示するための表示装置などが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-176277号公報
【文献】特開2019-210114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような乗客コンベアにおいて、乗客検出センサ、表示装置などの必要な装置を有する正面スカートを、トラスに簡単に取り付けることができないという問題点があった。
【0005】
そこで本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、正面スカートを簡単に取り付けることができる、乗客コンベアの正面スカートの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、前後方向に伸び、踏段が走行するトラスと、前記トラスの上部の左右両側部に立設された左右一対の欄干と、前記欄干の上部と、前記欄干の前部と後部にある半円形端部の外周部に形成された手摺りレールと、前記手摺りレールを走行する無端状の手摺りベルトと、前記欄干の前記半円形端部の下部に配された前後方向に長い筒体であって、前記筒体の内周に沿って配された前記手摺りレールを前記手摺りベルトが走行するインレット部と、前記半円形端部の下方と前記トラスの上部との間にある正面スカートを形成する正面スカート部材と、を有し、前記正面スカート部材は、前記トラスの上部に設けられた取り付け部材に着脱自在に取り付けられ、前記半円形端部の下方と前記トラスの上部との間の空間を前方、又は、後方から見た正面を覆う正面板と、前記踏段側の側面を覆う側面板とを含み、前記正面板は、前記インレット部の下方において前記正面を覆う第1正面板と、前記第1正面板とは別体であり、前記側面板から延設された第2正面板とからなり、前記第1正面板を形成する板材に乗客検出センサが取り付けられているか、又は、前記板材に表示装置が取り付けられている、ことを特徴とする乗客コンベアの正面スカートの取り付け構造である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態1のエスカレータの右から見た縦断面簡略説明図であって、右側の部材を省略した状態である。
【
図3】上階の左側の正面スカートであって、正面スカート部材と裏側正面スカート部材を取り除いた状態の斜視図である。
【
図4】第1のタイプの正面スカート部材の斜視図である。
【
図5】第2のタイプの正面スカート部材の斜視図である。
【
図6】第3のタイプの正面スカート部材の斜視図である。
【
図7】実施形態2のエスカレータにおける上階側の左側の正面スカートの斜視図である。
【
図8】実施形態2の上階側の正面スカートであって、正面スカート部材と裏側正面スカート部材を取り除いた状態の斜視である。
【
図9】実施形態2の第1のタイプの正面スカート部材の斜視図である。
【
図10】実施形態2の第2のタイプの正面スカート部材の斜視図である。
【
図11】実施形態2の第3のタイプの正面スカート部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の乗客コンベアの一つであるエスカレータ10について図面を参照して説明する。
【実施形態1】
【0009】
実施形態1のエスカレータ10について
図1~
図6を参照して説明する。なお、エスカレータ10の前後方向を説明するときは、上階から下階を見下ろし、上階側が後側、下階側が前側とする。
【0010】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の全体の構造について
図1を参照して説明する。
図1は、エスカレータ10を右側から見た縦断面簡略説明図であって、右側の部材を省略した状態である。
【0011】
図1に示すように、エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて前後方向に沿って支持されている。
【0012】
トラス12の内部において、無端状に連結された複数の踏段14が、不図示の駆動装置によって上昇又は下降する。
【0013】
トラス12の上部の左右両側には、左右一対の欄干20,20が立設されている。この欄干20の上部には手摺りレール24が設けられ、この手摺りレール24に走行自在に無端状の手摺りベルト22が取り付けられ、手摺りベルト22は踏段14と同期して移動する。
【0014】
左右一対の欄干20,20の上階側の正面下部には上階側の正面スカート26,26が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカート28,28が設けられている。正面スカート26,28の上部から手摺りベルト22の出入口であるインレット部32,34がそれぞれ突出している。左右一対の欄干20の内側の側面(踏段14側の側面)の下部には、板状のスカートガード30が設けられ、左右一対のスカートガード30,30の間を踏段14が走行する。
【0015】
上階側の乗降口には、乗降板16が水平に設けられている。下階側の乗降口には、乗降板18が水平に設けられている。
【0016】
(2)正面スカート26,28の構造
次に、上階側の左右一対の正面スカート26,26と下階側の左右一対の正面スカート28,28の構造について説明するが、上階側の左右一対の正面スカート26,26のうちの左側の正面スカート26とその周辺についてまず説明する。
【0017】
(2-1)左側の正面スカート26の周辺の構造
左側の正面スカート26の周辺の構造について説明する。
【0018】
図1に示すように、上階側の乗降口にある欄干20の後端部38は、後方に向いて半円形に膨らんでおり、以下では、この部分を「半円形端部」38という。欄干20の上部に沿って前後方向に設けられた手摺りレール24は、この欄干20の半円形端部38の外周を通って欄干20の下部に至る。
【0019】
図3に示すように、トラス12の左上部にある左側の欄干20は、トラス12の左側部上面に設けられた複数の支持柱36に固定されている。欄干20の下部は、トラス12よりもやや上方に位置し、トラス12と欄干20の下部との間に空間が形成されている。欄干20の下部とトラス12の間の空間の内側の側面(踏段14側の側面)の前後方向に沿って、金属板からなるスカートガード30が上下方向に設けられている。スカートガード30の上端部と、欄干20の内側面との間には金属板からなる内デッキ42が設けられ、内デッキ42は、上下方向に配された長方形のスカートガード30の上端部から欄干20に向かう程上方になるように傾斜して設けられている。内デッキ42の後端部、すなわち上階側の乗降口の部分には、板状の内ヒレ44が取り付けられている。内ヒレ44は、後部の右側が平面視で曲線となっている。柱68が内デッキ42とトラス12との間に上下方向に立設され、スカートガード30の後辺がこの柱68に固定されている。
【0020】
図2、
図3に示すように、欄干20の半円形端部38の下方において、手摺りレール24と手摺りベルト22を覆うように、筒型のインレット部32が前後方向に移動自在に設けられている。このインレット部32は、筒型ではあるが、上部が前後方向(軸方向)に沿って切欠かれ、欄干20の下部と接触しないようになっている。インレット部32の後端部にはブラシ毛46が設けられ、手摺りベルト22の下部と左右両側部を覆っている。インレット部32の前端部には、不図示のリミットスイッチが設けられている。インレット部32のブラシ毛46に人や荷物が当たり、インレット部32が前方に移動すると、リミットスイッチがそれを検出してインレット警告信号を出力する。エスカレータ10の不図示の制御装置は、インレット警告信号が入力すると、手摺りベルト22と共に異物(手や荷物)が侵入する可能性があるとして、エスカレータ10を停止させて踏段14と手摺りベルト22の移動を停止させる。
【0021】
図3に示すように、インレット部32の下方に位置するトラス12の上面には、金属板より形成された取り付け部材48が左右方向に沿って、かつ、上方に立設されている。この取り付け部材48の上部の左右両端部には、上部が開口した切欠き(縦方向に長い長孔)50,52が設けられている。
【0022】
なお、本明細書において「正面」とは、欄干20の半円形端部38の下方とトラス12の上部との間の空間を上階側の乗降口の後方から見た後面、又は、下階側のその空間を下階側の乗降口の前方から見た前面を意味する。
【0023】
(2-2)正面スカート26の構造
図2と
図3に示すように、上階側の左側の正面スカート26は、左側の欄干20の半円形端部38の下部とトラス12の上部との間にある空間に配されている。正面スカート26は、前記正面とインレット部32の右側にある踏段14側の側面を覆う正面スカート部材56と、前記正面とインレット部32の左側にある踏段14とは反対側(外デッキ側)の側面を覆う裏側正面スカート部材54とより形成されている。正面スカート部材56と裏側正面スカート部材54とについて説明する。
【0024】
図3と
図4に示すように、正面スカート部材56は、正面板62と、正面板62の右辺から前方に延設された側面板64とより形成されている。
図4に示すように、正面板62の上の部分には、インレット部32の下部と右側部の形状に合わせて、横に長い長方形に沿った切欠き部66が切り欠かれている。切欠き部66の下外周部に位置する正面板62の下部65は、後方から見て略正方形であり、左下端部と右下端部には、ネジ孔70とネジ孔72が開口し、切欠き部66の外周部の下部の左端部と右端部には、ネジ孔74とネジ孔76が開口している。切欠き部66の右外周部に位置する正面板62の中部67は、正面板62の下部の右上端部から上方に延設され、後方から見て縦に長い長方形である。切欠き部66の右上外周部に位置する正面板62の上部69は、正面板62の中部67の上端部から上方に延設され、この上部69の右辺は傾斜して形成され、後方から見て三角形となっている。この上部69の右辺は、傾斜した内ヒレ44の内側と合致する。上部69にはネジ孔78が開口している。
【0025】
図4に示すように、側面板64は、右側から見ると長方形であり、その中央部分に長方形の開口部80が開口している。開口部80の前辺の内側と後辺の内側には、受け部82が上下方向に形成され、これら受け部82の上部と下部にはネジ孔88,88がそれぞれ形成されている。開口部80には、長方形の蓋体86が嵌め込まれ、蓋体86の4つの角部にはネジ孔84が開口している。蓋体86を開口部80に被せ、4本のネジ90を4個のネジ孔84とネジ孔88にそれぞれ螺合することにより、蓋体86が側面板64にネジ止めされる。
【0026】
図2に示すように、正面板62の切欠き部66の外周部には、枠材40が取り付けられる。この枠材40は、インレット部32の下部と左右両側部を覆うものであり、枠材40の外周部にはフランジ部92が設けられている。この枠材40に設けられたフランジ部92の下部2箇所には、正面板62のネジ孔74,76(
図4参照)に対応するネジ孔が設けられ、右上端部にもネジ孔78に対応するネジ孔が設けられている。
【0027】
正面スカート部材56には、次の3タイプがある。
【0028】
第1のタイプの正面スカート部材56は、
図4に示すように、金属製の板材のみからなり、その正面板62に乗客検出センサ94も表示装置96も取り付けられていないものである。この第1のタイプの正面スカート部材56では、正面板62と側面板64とが一体である。
【0029】
第2のタイプの正面スカート部材56は、
図5に示すように、その正面板62に乗客検出センサ94が取り付けられている。
【0030】
第3のタイプの正面スカート部材56は、
図6に示すように、その正面板62に表示装置96が取り付けられている。
【0031】
第2タイプと第3のタイプの正面スカート部材56においては、
図5と
図6に示すように、正面板62が、第1正面板62aと、第2正面板62bとに分割されている。
【0032】
図5と
図6に示すように、第1正面板62aは、正面板62の下部65の左側部分を構成する板材であり、後方から見た形状が長方形であり、その板材の中央部分に乗客検出センサ94又は表示装置96が設けられている。第1正面板62aの左下端部には、ネジ孔70が開口している。第1正面板62aの右辺上端部から突出片81が突出し、突出片81にはネジ孔83が開口している。
【0033】
図5と
図6に示すように、第2正面板62bは、正面板62の下部65の右側部分と、中部67と、上部69とより構成され、側面板64の後辺から左方向に延設されたものである。正面板62の下部65の右側部分、すなわち第2正面板62bの下端にはネジ孔72が開口し、上端にはネジ孔76が開口している。
【0034】
そして、第1正面板62aの右側に、突出片81を覆うように第2正面板62bを配し、ネジ孔83とネジ孔76を合わせて、第1正面板62aと第2正面板62bとをネジ77で一体にネジ止めする。
【0035】
図2と
図3に示すように、裏側正面スカート部材54は、金属板を折曲して形成され、裏側正面板58と、裏側正面板58の左辺から前方に延設された裏側側面板60より構成されている。裏側正面板58は、正面スカート部材56の正面板62の裏側に一部重なるように配され、裏側側面板60は、踏段14とは反対側(外デッキ側)の側面に配される。
【0036】
上記説明では、上階側の左側の正面スカート26で説明したが、上階側の右側の正面スカート26は、左側の構造と左右対称な構造を有する。
【0037】
下階側の左右一対の正面スカート28,28は、上階側の左右一対の正面スカート26,26と同様の構造を有している。
【0038】
(3)裏側正面スカート部材54と正面スカート部材56の取り付け方法
次に、正面スカート部材56と裏側正面スカート部材54の取り付け方法について説明する。
【0039】
まず、
図2と
図3に示すように、欄干20の半円形端部38の下部に裏側正面スカート部材54を配する。このとき、裏側正面板58は、取り付け部材48の後方であって、インレット部32とトラス12の上面との間にある空間に配し、裏側側面板60は、踏段14とは反対側(外デッキ側)の側面に配する。
【0040】
次に、
図2に示すように、欄干20の半円形端部38の下部に正面スカート部材56を配する。このとき、正面板62が、裏側正面板58の内側(踏段14側)端部を覆い隠すように裏側正面板58の表側に取り付ける。また、側面板64は、踏段14側の側面に配し、その側面板64の上部は、内ヒレ44で覆われるようにし、また、側面板64の前辺を、柱68の後側に差し込んで固定する。なお、第1のタイプの正面スカート部材56は、そのまま配し、第2のタイプと第3のタイプの正面スカート部材56は、第1正面板62aと第2正面板62bとを予め組み合わせて配する。
【0041】
次に、
図2に示すように、ネジ71を、正面板62の下端部左側にあるネジ孔70と、裏側正面板58の不図示のネジ孔と、取り付け部材48の切欠き50とに螺合してネジ止めする。
【0042】
次に、
図2に示すように、ネジ73を、正面板62の下端部右側にあるネジ孔72と、取り付け部材48の切欠き52とに螺合してネジ止めする。これにより、裏側正面スカート部材54と正面スカート部材56とが共にトラス12に固定される。
【0043】
次に、
図2に示すように、枠材40を、正面スカート部材56の切欠き部66の外周部に配し、枠材40のフランジ部92の下端の左側のネジ孔と、正面板62のネジ孔74とを合わせ、ネジ75でネジ止めする。
【0044】
次に、
図2に示すように、枠材40のフランジ部92の下端の右側のネジ孔と、正面板62のネジ孔76とを合わせ、ネジ77でネジ止めする。このネジ止めで第2のタイプと第3のタイプの正面板62は、第1正面板62aと第2正面板62bとが完全に一体になる。
【0045】
最後に、枠材40の右端部の上部に設けられたネジ孔と、上部69のネジ孔78とを合わせ、不図示のネジでネジ止めする。
【0046】
なお、乗客検出センサ94や表示装置96の配線を行う場合は、蓋体86を外し、開口部80からその作業を行うことができる。
【0047】
(4)効果
本実施形態によれば、3つのタイプの正面スカート部材56を簡単にインレット部32とトラス12の上面との間の空間にネジ止めすることができる。
【0048】
また、3つのタイプの正面スカート部材56は、ネジで着脱自在であるので簡単に取り替えることができる。
【0049】
また、乗客検出センサ94が取り付けられた第2のタイプの正面スカート部材56を、表示装置96を有する第3のタイプの正面スカート部材56に取り替える場合には、第1正面板62aのみを取り替えるだけでよい。
【実施形態2】
【0050】
次に、実施形態2のエスカレータ10について
図7~
図11を参照して説明する。
【0051】
実施形態1では、正面スカート26の幅(左右方向の寸法)に関して、広幅の正面スカート26について説明したが、本実施形態では実施形態1の正面スカート26の幅よりも狭い、狭幅の正面スカート26について説明する。
【0052】
本実施形態と実施形態1の異なる点は、正面スカート部材56の構造にある。上記したように正面スカート26の幅が狭いため、正面板62の幅も小さく、実施形態1のような正面板62の中部67が存在しない。そのため、
図7に示すように、枠材40を取り付けた場合に、正面板62から側面板64に至るように取り付けられる。また、側面板64には、開口部80と蓋体86が存在しない。他の異なる点としては、
図8に示すように、トラス12の上面に設けられた取り付け部材48には、長孔でなくネジ孔51とネジ孔53が開口し、ここに正面板62をネジ71とネジ73でネジ止めする。
【0053】
第1のタイプの正面スカート部材56は、
図9に示すように、乗客検出センサ94と表示装置96が存在しない金属製の板材だけのタイプであり、実施形態1と同様に正面板62と側面板64が一体となっている。枠材40は、正面板62にネジ75、ネジ77、ネジ79でネジ止めする。
【0054】
第2のタイプの乗客検出センサ94を有した正面スカート部材56と、表示装置96を有する第3のタイプの正面スカート部材56に関して、
図10と
図11に示すように、実施形態1と同様に正面板62が、第1正面板62aと第2正面板62bとに分割されている。
【0055】
第1正面板62aは、
図10と
図11に示すように、正面板62の下部65の左側部分であり、後方から見た形状が長方形であり、中央部分に乗客検出センサ94又は表示装置96が設けられている。第1正面板62aの下部の左端部には、ネジ孔70が開口している。第1正面板62aの右辺から突出片81が突出し、突出片81の上部にはネジ孔83が開口し、突出片81の下部にはネジ孔85が開口している。
【0056】
第2正面板62bは、
図10と
図11に示すように、正面板62の下部65の右側部分と、上部69とより構成され、側面板64の後辺から左方向に延設されたものである。正面板62の下部65の右側部分の下端にはネジ孔72が開口し、上端にはネジ孔76が開口している。
【0057】
そして、第1正面板62aの右側に、突出片81を覆うように第2正面板62bを配し、ネジ孔72と突出片81のネジ孔85、ネジ孔76と突出片81のネジ孔83とをそれぞれ合わせて不図示のネジで一体に固定する。
【0058】
本実施形態であっても、3つのタイプの正面スカート部材56を簡単にインレット部32とトラス12の上面との間の空間にネジ止めすることができる。
【0059】
また、3つのタイプの正面スカート部材56は、ネジで着脱自在であるので簡単に取り替えることができる。
【0060】
また、乗客検出センサ94が取り付けられた第2のタイプの正面スカート部材56を、表示装置96を有する第3のタイプの正面スカート部材56に取り替える場合には、第1正面板62aのみを取り替えるだけでよい。
【変更例】
【0061】
上記実施形態では、エスカレータ10の正面スカートに適用して説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0062】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
10・・・エスカレータ、12・・・トラス、20・・・欄干、22・・・手摺りベルト、24・・・手摺りレール、26・・・上階側の正面スカート、28・・・下階側の正面スカート、30・・・スカートガード、32・・・上階側のインレット部、34・・・下階側のインレット部、40・・・枠材、48・・・取り付け部材、54・・・裏側正面スカート部材、56・・・正面スカート部材、62・・・正面板、64・・・側面板、94・・・乗客検出センサ、96・・・表示装置
【要約】
【課題】正面スカートを簡単に取り付けることができる乗客コンベアの正面スカートの取り付け構造を提供する。
【解決手段】欄干20の半円形端部38の下方とトラス12の上部との間に配された正面スカート26を正面スカート部材56で形成し、正面スカート部材56は、トラス12の上部に設けられた取り付け部材48に着脱自在に取り付けられている、
【選択図】
図4